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E03Ξ原子のX線測定 y Ξ-atom X線を測る世界初の実験 y Ξ-A Optical Potential の直接測定 y Fe(K - ,K + ) 反応による Ξ - 生成 静止 Ξ - → X線測定 y 方法の確立を目指す y 数多くのX線測定で、 Ξ - -A相互作用の解明へ K - K + Ξ X ray Fe target E03 simulation (鉛、炭素) Hyperball Æ Hyperball-J

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Page 1: E03 Ξ原子のX線測定 - 京都大学naruki/jparc/hadron/hadron-expall.pdf · 中間子)を探索します。実験方法は、K-中間子ビームを液体. 3. He 標的に照射します。反応が起こった場合、あるエネルギーを持った

E03:Ξ原子のX線測定Ξ-atom のX線を測る世界初の実験

Ξ-A の Optical Potential の直接測定

Fe(K-,K+) 反応による Ξ- 生成 → 静止 Ξ- → X線測定

方法の確立を目指す数多くのX線測定で、 Ξ--A相互作用の解明へ

K- K+

Ξ−

X ray

Fe target

E03 simulation

鉄(鉛、炭素)

Hyperball Hyperball-J

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J-PARC E05実験

12C(K−,K+)反応によるXハイパー核12ΞBeの分光学的研究

実験の目的Xの束縛状態(Xハイパー核)を高分解能・高統計

で観測し、束縛エネルギーと寿命(状態幅)を決定する。

• Xの原子核ポテンシャルの大きさ引力? 斥力?

• XN相互作用、XN->LL相互作用

高密度核物質(中性子星のコア部など)でのストレンジバリオンの出現の様子

ストレンジネス-2のバリオン間相互作用核力の統一的理解

実験方法K1.8ビームラインで得られる大強度K-中間子ビーム

と高分解能ビームスペクトロメータ、SKS+スペクトロメータをもちいた ミッシングマス・スペクトロスコピー

予想されるスペクトル

緑はポテンシャルの深さ20MeVの場合マゼンダは深さ14MeVの場合。

1.4x106/spillのビーム強度1ヶ月の測定で190イベントを予想期待される分解能 ~3MeV(FWHM)

SKS+スペクトロメータ

既存のSKSスペクトロメータ(写真)に新たに双極電磁石を加える。

立体角:30msr運動量分解能:

Dp/p=0.17%飛行距離:約7m

Page 3: E03 Ξ原子のX線測定 - 京都大学naruki/jparc/hadron/hadron-expall.pdf · 中間子)を探索します。実験方法は、K-中間子ビームを液体. 3. He 標的に照射します。反応が起こった場合、あるエネルギーを持った

p

5

6ΛΛ He

4He

t

Ξ-

p

π-

Λ He

10μm500

10

5

ΛΛ 間の相互作用(ΔBΛΛ)を単一に測定した[世界初! ]

J-PARC E07写真乾板とカウンター複合実験法によるダブルハイパー核の系統的研究

通常の原子核

ハイパー原子核

5ΛHe

ダブルハイパー核

Λ6

ΛHe

4He

参考:Λ(ラムダ)粒子の寿命100億分の1秒

ダブルハイパー核[KEK-E373実験で得た特徴的な事象]

ダブルハイパー核研究の歴史K-粒子の反応から、K+粒子とΞ -[グザイ]

粒子が放出され、Ξ -粒子を写真乾板中の

原子核にそーっと吸収させる[Ξ 吸収]。

ダブルハイパー核の作り方

K-K+

Ξ-

Ξ原子

Ξ-+p (陽子)⇒ ΛΛ

Ξ-

複合核

ΛΛ

ダブルハイパー核

ΛΛ

ツインハイパー核

写真乾板

標的核

Ξ粒子吸収の数

4(期待値)

80

約800

1万

ダブルハイパー核

発見数

1(複数解釈)

1(複数解釈)

7(内1例が単一解釈)

約100

ツインハイパー核

発見数

数十(?)

ツインハイパー核

#2

Ξ -

#1

J-PARC E07

年次(実験名)

1963(D.Davis)

1987~1997

(KEK-E176)

1995~現在

(KEK-E373)

現在~(J-PARC E07)

NAGARA event

MIKAGE

Ξ -

HeΛΛ6

出町柳

BeΛΛ10

HIDA event

orBeΛΛ11 BeΛΛ

12

現在3種

→10

種以上へ

E07 :ダブルハイパー核図表の描画

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ラムダハイパー核の精密ガンマ線分光 (E13)

�Λ 核子間の力の解明 核力をバリオン間力に拡張して統一的に理解

中性子星内部のような高密度核物質の理解

核内Λ粒子の磁気モーメントの測定核内でバリオンの性質は変化するか(質量減少)?

質量や磁気モーメントの起源の解明

πK-

東北大、KEK、京大、東大、岐阜大、阪大、JINR(ロシア)、トリノ大、CIAE(中国)、フライブルク大、BNL(米)、ヒューストン大、...

©線を精密測定

ハイパー核の構造が正確にわかる

(従来の1000倍のエネルギー精度)

Hyperball 検出器で1998年に初めて成功KEK, BNL(米)で実験を進めてきた

中間子交換クォーク・グルオン交換

質量減少?膨張?

実験装置

磁気分析装置SksMinus

1.4 GeV/cHyperball2 (2005~)

世界唯一のハイパー核γ線検出器

世界有数規模のGe検出器群(検出効率6%@1MeV )世界最高の耐高計数率、耐放射線

(機械式冷凍機、高速PWOカウンター、

波形解析読出し法)

→ J-PARCの大強度ビームを

最大限利用

東北大で開発・建設中

ガンマ線検出器 Hyperball-J

超伝導電磁石SKSπ-

K-

実験方法

目的

K1.8 ビームライン

1.5 GeV/c

調べるハイパー核7

ΛLi : 核内Λの磁気モーメント4

ΛHe : Λ・核子間力の荷電対称性の破れ10

ΛB, 11ΛB, 19

ΛF : Λ・核子間力の詳細

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K中間子原子核探索実験

K中間子原子核とは?

K-中間子3He原子核

K-pp状態 中性子

陽子

陽子

L粒子

p-中間子

通常の原子核を構成している陽子や中性子はクォーク3つからなる重粒子(バリオン)の仲間です。自然界にはこの他にクォークと反クォークからなる中間子(メソン)と呼ばれる粒子があります。通常の原子核の中に中間子を入れると何が起こるでしょうか?我々の研究室では、K中間子が原子核の中に入った状態を実験的に作り出し、その性質を解明しようとしています。

今回の実験では、最も単純なK中間子原子核(2個の陽子と1個のK-中間子)を探索します。実験方法は、K-中間子ビームを液体3He

標的に照射します。反応が起こった場合、あるエネルギーを持った中性子が前方に放出されます。残った2個の陽子とK中間子でK中間子原子核(K-pp状態)が作られます。直ちに、K中間子原子核は別の粒子へと崩壊します。この実験では、3He標的の周りを検出器群(Cylindrical

Detector System)で囲み、崩壊粒子を全て検出し、その運動量を測定します。また前方に放出された中性子も、標的から15m下流に置かれた検出器で検出され、その飛行時間から運動量を知ることが出来ます。このように、反応に関与する全ての粒子の運動量を測定し、そこから、K中間子原子核の質量分布を求めます。その分布から、K中間子原子核の束縛エネルギーと崩壊率を知ることが出来ます。K中間子原子核については、理論の面からも研究が進んでいて、左図には、理論計算から予想される中性子の運動量分布を示しています。

通常の原子核は核子と呼ばれる陽子と中性子で構成されています。通常の原子核にK中間子を入れると、K中間子は周りの核子を引き寄せ、通常の原子核の数倍の密度を持った状態が形成されると言われています(K中間子原子核)。現在まで、実験的にその存在は確かめられていません。

実験原理

反応

崩壊

実験装置

q=0˚ pK-=1GeV/c

本実験は、茨城県東海村に新しく建設されたJ-PARCで行います。我々の実

験は、特にその中でもハドロン実験施設のK1.8BRビームラインで行います。

ハドロン実験施設では、大強度の陽子ビームを標的に照射し、そこから発生する2次粒子(K中間子やp中間子など)を用いて、様々な原子核・ハドロン実験が行われます。

Cylindrical Detector System

ホドスコープカウンター

円筒形ドリフトチェンバー ソレノイド電磁石

液体3He標的

中性子カウンター中性子カウンター

CDS

Beam sweep magnet

ビームラインスペクトロメーター

sakuma
長方形
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物質のなりたち:電子、核子(陽子、中性子)と中間子

核子

クォーク2個からできている

中間子

物質質量のほとんどは核子によるもの

核子と中間子の質量生成メカニズム <なぜクォークが100倍重くなるのか> - 強い相互作用(クォーク同士に働く力)の 性質 (2008年ノーベル賞 南部陽一郎 「カイラル対称性の自発的破れ」) による - 高温 /高密度ではふたたび軽くなるはず 加速器によって 宇宙誕生時なみの高温/高密度 状態を再現することでこれを検証

宇宙と物質の誕生、質量の生成 (ビッグバン宇宙論、素粒子標準模型)ビッグバン から 10ピコ秒後 0.1ミリ秒後 3分後 37万年後 宇宙の温度 一京度 一兆度 十億度 3000度

クォークと電子が 質量をもつ(同じくらいの重さ)

核子の生成 クォーク同士の結合 クォーク質量が100倍に

軽い原子核の生成 核子同士の結合

原子の生成 電子と原子核の 結合

KEK-PS E325実験 :中間子が高密度状態(原子核の中)で軽くなることを検出!

実験装置建設 1994-97 @ 高エネ研実験 1997-2002

論文発表 1999,2006,2007/新聞発表2006/12/8原子核中で3.4 % 軽くなった

5m

ベクトル中間子の質量変化の系統的測定(E16実験)

新しい加速器/検出器の性能の向上により、原子核のサイズや中間子運動量と、質量変化の大きさの関係を より精密に測定できる

陽子原子核衝突 :毎秒100万回 から 1000万回へ 中間子生成:毎秒1000個から 50000個へ

電子陽電子対への崩壊:毎秒0.3個から15個へ それが測定器に入る確率:9 %から 23 %へ 中間子の測定数:2000個から 200000個へ軽くなった中間子の測定数:400個から 40000個へ 質量分解能: 11MeV から 5 MeV へ

J-PARC E16実験 新加速器と新検出器による系統的測定で質量の起源を解明

[φ中間子の質量 ]

Cu

軽くなった中間子

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J-PARC E17実験K中間子ヘリウム3原子 3d→2p X線の精密分光

世界 高精度のK中間子原子X線測定 (~ 2 eV)K中間子ヘリウム3原子からの�X線測定は世界初

K中間子-ヘリウム原子核間のオプティカルポテンシャルの深さ、

及び、K中間子原子核の存在に関する重要な知見

K-原子核間の強い相互作用

K−中間子

X線

原子核

K中間子を液体ヘリウム3標的に

静止させてK中間子原子を生成

原子核に も近い軌道は

強い相互作用による影響を受ける

⇒ 電磁相互作用から計算される

軌道準位と比べてずれが生じる電子と入れ替わって

K−中間子が捕獲される!

脱励起過程に放出されるX線を精密測定することで、

強い相互作用による軌道準位のずれを観測

高分解能X線検出器

シリコンドリフト

検出器 (SDD)

shift

12

液体3He標的

純チタン/ニッケル箔

ビームを用いたエネルギー較正

(シグナルと同時計測)

円筒形ドリフト

チェンバー(CDC)

小型ドリフトチェンバー

標的内静止事象の選択

K1.8BRビームライン

SDD

実験セットアップ

高精度のキャリブレーション

液体ヘリウム3標的・円筒型ドリフトチェンバー等、

E15実験と共通する部分を共同で開発

ビーム強度(9μA,30GeV)が一桁弱い場合においても、

一ヶ月程度(35日)でデータ収集が可能

バックグラウンドを減少

入射荷電粒子(ビーム中に混在するπ−,μ−も含)

入射K中間子

特性X線

X線

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M. Naruki, S. Ishimoto, Y. Sato, S. Sawada and M. Sekimoto, S. Dairaku, H. Fujimura, K. Imai, K. Miwa, Y. Nakatsugawa, N. Saito and K. Tanida,S. Ajimura, M. Niiyama, T. Maruta , H. Tamura, H. Fujioka, D. Nakajima and T.N. Takahashi

KEK, Kyoto Univ., Osaka Univ., RIKEN, Tohoku Univ., Univ. of Tokyo

ペンタクォークとは?

ダイクォークモデル: Jaffe, Wilczek

L=1

(ud)

(ud)s

バリオン(クォーク3体)

メソン(クォーク2体)

新しい粒子 ペンタクォーク=クォーク5体の束縛状態

これまでは以下のようなクォーク2体ないし3体の束縛状態しか見つかっていなかった。しかし、理論的には4体以上のハドロンも存在してよい。

ハドロン:物質を構成する素粒子

メソン ― クォーク2体の束縛状態 例:π中間子、K中間子…バリオン― クォーク3体の束縛状態 例:陽子、中性子…

2003年、姫路にあるSpring-8ではじめて5つのクォークから成るハドロン、ペンタクォークΘ+ が見つかった。

Θ+

Diakonov らZ. Phys. A359 (’97) 305カイラルソリトンモデルにおける反10重項表現

M=1530 MeV, Γ< 15MeV

LEPS LEPS実験 @ Spring-8 (’03)• γC → Κ−Θ+X→ Κ−Κ+n• M=1540±10 MeV• Γ<25 MeV

PRL 91(03)012002

実験手法

期待される質量分布

主要なバックグラウンド;

φ :φn K+K–n 30.0 μbΛ :Λ(1520)K0 K–K0p 20.8 μbフェイズスペース: K–KN 26 μb

理論予想

存在を確定できるほど高統計の証拠がない。

高エネルギー実験などでは見つかっていない。

崩壊幅が1MeV以下と大変狭い。

現在の問題点:その後、多くの実験で追認された。しかし…K1.8 ビームラインにて、 SKS(超電導電磁石スペクトロメータ)を用いる。

π−中間子ビームを液体水素標的に照射し、散乱したK中間子を測定する。

2GeV/c π- + p K- + Θ+

K- 中間子: 散乱角は40°以下、運動量は0.9GeV/c以下

SKS : 測定可能な運動量領域: 0.7-0.95GeV/c散乱角領域≤ 20°運動量分解能:dp/p ~ 0.2% @ 1GeV/c

ペンタクォークΘ+ 探索にとって理想的!

実験事実を再現するモデルによって、内部構造を解明することができる。→クォークの動力学を解明する!

実験の目的

生成機構

J-PARC E19実験では、 π–p K–X 反応を用い、高統計・高分解能でペンタクォーク Θ+ を測定する。

t-channel(右図)の寄与はほとんどない。s-channel(左図)の断面積は崩壊幅に比例する。さらに、N*経由の生成も示唆されている(CLAS super-g実験)

π–p K–X 反応によってΘ+が生成されるはずであり、

最も大きな特徴である狭い崩壊幅についての情報を与えることができる。

J-PARC E19実験

π–p K–X 反応におけるペンタクォークΘ+ 探索

Momentum (GeV/c)0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1 1.1 1.2

Sca

tter

ed a

ng

le (

deg

)

0

5

10

15

20

25 production+Θ

background production

運動量

散乱角

SKSで測定できる領域

黒:バックグラウンド赤:ペンタクォークΘ+生成イベント

K中間子の運動量と散乱角の関係

significance : 62σassumingΓ < 2MeVσ = 1.9μb(KEK E522実験のピーク)

Θ+

u dπ− d sΚ−

n

p

uu

d

ds

Θ+

十分な統計と高い分解能をもってΘ+

を測定することができる