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Page 1: 実施事項1:生鮮品等の輸出拠点となっている海外主要空港の ......②FedEx express ③UPS ④Nippon express ⑤SATS airfreight terminal • Airfreight terminalが8箇所、Airfreight

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実施事項1:生鮮品等の輸出拠点となっている海外主要空港の事例調査

シンガポールチャンギ空港(Singapore/SIN)

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空港東側地域への滑走路、各種ターミナル設備の増設を含む大規模な拡張計画「Changi East」を検討中である。

また、既存の旅客ターミナル南側には、新たに第4旅客ターミナル(PTB4)を整備中(2017年中の供用開始)である。

シンガポール・チャンギ国際空港はシンガポール航空のハブである。第一旅客ターミナル隣接した貨物地区(CAC:Changi Airfreight Center)が、空港と一体的に機能している。

シンガポール・チャンギ空港概要

名称 Singapore Changi International Airport

所在地 Airport Blvd., Singapore

運営者Changi Airport Group (CAG)(The Civil Aviation Authority of Singapore 出資)

敷地面積(現在) 1,300ヘクタール

滑走路 計3本

旅客ターミナル(現在) 計3ターミナル

貨物量 189万t (2015年)

旅客ターミナル

貨物地区(CAC)

ChangiEast拡張用地

PTB1

PTB3PTB2

PTB4(整備中)

出所)CAG Webサイト、CAGヒアリング内容/ヒアリング時提供資料、貨物量はACIより

実施事項1:生鮮品等の輸出拠点となっている海外主要空港の事例調査 Changi Airport (SIN)

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貨物地区「CAC(Changi Airfreight Centre)」は、チャンギ空港北部に位置し、空港と一体として機能し、24時間運用である。地区全体がFTZ(フリートレードゾーン)に指定されている。

FTZでは製造業の立地はなく、短期保管を目的とした保管、仕訳が主な機能である。

主要な貨物ハンドリング会社であるSATS社は自社貨物上屋を所有し、温度管理専用上屋の整備も進めている。

空港北部に同空港の貨物地区「CAC」が立地、地区全体がFTZに指定されている

Changi Airfreight Centre

貨物地区敷地面積

貨物地区の大部分がFTZ(Free Trade Zone)に設定されており、敷地面積は計70ヘクタール

貨物関連施設

計9施設が立地、施設合計の面積は約47ヘクタール分内共同上屋は4箇所、12.5万㎡のスペース

特徴的な設備・施設

貨物便専用のスポット12箇所冷凍・冷蔵貨物専用設備エクスプレス貨物専用施設(DHL, TNTが使用)

年間貨物処理能力

約300万t

ハンドリング会社(主要)

SATS社、CIAS社

出所) Changi Airport Group公開資料よりNRI作成

チャンギ空港貨物地区 Changi Airfreight Centre(CAC)

フォワーダー向けロジパーク「ALPS」

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実施事項1:生鮮品等の輸出拠点となっている海外主要空港の事例調査 Changi Airport (SIN)

チャンギ空港内には物流倉庫・オフィス・クール施設が一か所に立地し、効率的なオペレーションが可能である。

① Singapore airfreight center office• Airfreight オペレーションを集約し、24時間対応可能。• 総125,000 ㎡の倉庫とオフィス面識。

② FedEx express③ UPS④ Nippon express⑤ SATS airfreight terminal• Airfreight terminalが8箇所、Airfreight parking baysが 24箇所。• 最大規模のB747-8Fsもアクセス可能。• 年間3百万tのカーゴを取り扱う。

⑥ SIA Cargo⑦ 検疫センター• ターミナルと直接繋がり、ワンストップ検疫を行う。• 全てのカーゴを24時間受入れ可能

⑧ Dnata cargo center• ターミナルオペレータ。

⑨ Megaplex⑩ Cargo Agents building C⑪ Cargo Agents building D⑫ Cargo Agents building E⑬ DHL express⑭ TNT express

チャンギ空港内施設紹介

ターミナル1

ター

ミナ

ル2

ター

ミナ

ル3

1

56

8

13

24

14

3

7

9

10

11

12

4台ビル、総125,000 ㎡の倉庫とオフィス面識をカーゴエージェントに提供。

チャンギ空港レイアウト

(出所)South East Asia City maps, Changi airport HP

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施設名 写真 概要 設備 ライセンス

チャンギ空港(全体)

• 24/7オペレーション (24 時間, 7日間運用)

• 2本のRunway(各4kmずつ)• ターミナル付近に14のfreighter

parking baysがあり、離れたところには30 のparking baysがある

該当なし

Changi Airfreight Centre (CAC)

• DHL Express, FedEx Express, TNT Express,UPSと連結

• 24/7オペレーション

• 47ヘクタールのFree Trade Zone の中に位置する

• 125,000 ㎡ のオフィスと倉庫スペースを保有

該当なし

DnataCoolchain

• 年間約7.5万tのPerishableカーゴを取り扱う

• 24/7オペレーション

• 設備投資額4百万SGD(約3.2億円)• 1,400 ㎡の施設面積• 14の個室を有し、個別温度設定を

-25~25度の範囲で調整可能

ISO 9001:2008 certified for Ground Services, Cargo Services, and Catering ServicesISO 22000:2005 certified for Catering Services HACCP Halal Certificate

SatsCoolport

• 年間約25万tのPerishableカーゴを取り扱う

• 24/7オペレーション

• 8,000 ㎡の施設面積を有する• 3階立てのULD (Unit Load

Device)を200パレットを取り扱うことが可能

• 12のトラックドックを有する• 18の個室を有し、-28~25度まで4段階の温度調節が可能

Hazard Analysis and Critical Control Points (HACCP)Good Distribution Practice (GDP)Good Distribution Practice for Medical Devices (GDPMDS) Halal-certified hub

冷蔵、冷凍倉庫は、SatsとDnataの2社により運営。国際クーリエサービスを提供するインテグレータのDHL, FedEx, TNT, UPSの4社もチャンギ空港をハブとして利用している。

(出所)Changi airport, Dnata Coolchain, Sats Coolport HP

2.実施事項別の状況実施事項1:生鮮品等の輸出拠点となっている海外主要空港の事例調査 Changi Airport (SIN)

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ALPSは、東南アジア地域の中心に

立地しているチャンギ空港の優位性に加え、敷地の大部分がFTZ(FreeTrade Zone)に指定されている。また、完全24時間運用が可能な点を

訴求し、フォワーダーの東南アジアにおける地域拠点の誘致を図っている。

世界的な物流大手のDHL、UPS、SDV、Expeditors International、Kuehne + Nagel、DB schenker、Menlo Worldwide、日本通運等 が利用している。

温度管理施設では医薬品を取り扱っており、生鮮品の取り扱いは無い。

CAC内の東部には、航空フォワーダー各社が集積する、ロジスティクス・パーク「ALPS」が整備されている。

出所) Cargo Opportunities in Changi Airport

「ALPS(Airport Logistics Park of Singapore)」

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チャンギ空港へのヒアリング結果(空港内貨物地区について)

スキーム① CAG(Changi Airport Group)が建物を建設・保有し、事業者に貸付

• 現在、MEGAPLEX(マルチテナントのビル)のみがこのスキームを適用している。

スキーム② CAGが事業者に土地を貸し付け、事業者自身が建物を建設・保有

• MEGAPLEX以外の全建物でこのスキームを適用。SATSやdnataは、各上屋の建設投資を行う。

• DHLの場合は、元々CAGが建設した建物を引き継いだため建物の建設は行っていないが、内部の設備を全て自身の投資によって変更した。

空港内の施設運営スキームについて

実施事項1:生鮮品等の輸出拠点となっている海外主要空港の事例調査 Changi Airport (SIN)

• 温度管理施設は、SATSのCoolPortとdnataのCoolchainがある。

• 部屋毎に温度管理可能であり、商品別に取り扱いを行っている。

• SATSはCEIVファーマ認証*を取得済み。

• CAGはCEIV Pharma 認証取得に向けた空港貨物コミュニティを立ち上げた。

• 5年前、CAGとして一般貨物に頼るのではなく、貨物を多様化していこうという判断がなされ、医薬品や生鮮品、動物、航空機部品といった特殊な貨物の誘致を進めた。これがCEIV Pharmaに対する取り組みを強化したひとつのきっかけとなった。

* :CEIVファーマとは、「the Center of Excellence for Independent Validation in Pharmaceutical Logistics)」の略称。 国際航空運送協会(IATA : International Air Transport Association)が作成した医薬品の温度管理輸送に関しての

輸送品質の国際標準。

温度管理物流への取り組みについて

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輸出入、輸出品目、エアライン別でターミナルがわかれている。

CAG の取扱貨物量189万tのうち、84%の158万tをSATSが取り扱う。

77%が一般貨物、17%が温度管理貨物、4%がExpress、2%が郵便である。

SATS 貨物上屋概要及び施設視察結果

ターミナル名 設立年 役割

ターミナル1 1989年eコマースAir Hub(2016~)

ターミナル2 1981年 Cool Port、郵便

ターミナル3 1981年 輸出、Express

ターミナル4 1989年 輸出、Express

ターミナル5 1995年輸出(シンガポール航空, シルクエアー, スクート)

ターミナル6 2001年 輸入

SATS Airfreight Terminalの役割

Cool Port

ターミナル5(輸出)

• トランジット生鮮品の取扱に特化して整備された施設8,000㎡で、25万t/年の取扱。• 18個の部屋に分かれており、ランドサイドと接続されたトラックドックが12。• 内部には3階層のULDラックが設置され、温度管理が徹底された施設内でトランジット

時の一時的な保管にも対応。• 生鮮貨物は滞留時間も短く、現状では容量オーバーになってはいない

• ターミナル5では、対象航空会社3社の輸出貨物を取り扱う。

• ターミナルへの搬入後、18時間以内に搬出するルールである。

• トラックでの搬入は1階のみで。仕向け地別に蔵置されるフロアが異なり、フロア間移動はエレベーターで行う。

• 多層階の上屋施設は、フロア間の移動の効率性を重視すべき。

• 多層階としたのは土地制約のため

• ターミナル6では、全航空会社の輸入貨物を取り扱う。• 1階はシンガポール航空のベリー作業とトラック搬出、2

階はその他エアラインのベリー作業とトラック搬出、3~6階はフレーター作業(6階はシンガポール航空とキャセイパシフィック航空のみ)

ターミナル6(輸入)

現地視察結果より

• ターミナル5,6で取り扱われる貨物の7割がトランジット貨物である。

• 2つの施設の合計面積は約98,000㎡

• 処理能力は年間140万t

• 2つの施設はベルトコ

ンベアにより接続されており、ULDを自動的

に移動させることが可能。

注)SATSの施設視察にでは、写真撮影禁止とされた。

実施事項1:生鮮品等の輸出拠点となっている海外主要空港の事例調査 Changi Airport (SIN)

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実施事項1:生鮮品等の輸出拠点となっている海外主要空港の事例調査

ロサンゼルス国際空港(Los Angels Airport / LAX)

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LAXでは、南側の平行滑走路の東南に残された僅かな敷地に貨物上屋の用地がある。 LAXは空港の拡張余地が無く、エアサイドに隣接する貨物施設の敷地は限定的である。

貨物取扱量で世界第七位の規模にあるLAXにおいてこの敷地は物流量をこなすにはあまりに狭く、そのため多くの事業者が空港周辺に倉庫を構えている。

実施事項1:生鮮品等の輸出拠点となっている海外主要空港の事例調査 Los Angels Airport (LAX)

空港内貨物エリアが限られているため、空港周辺に民間の倉庫業者が多く立地している

エアサイドに隣接した貨物エリアは狭い

空港周辺に倉庫業者やホテルが林立するゾーンが形成されている

旅客ゾーン

hpl Apollo perishable logistics社

Able Freight

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インタビューメモ:アメリカ・ロサンゼルス空港(hpl Apollo perishable logistics社:1/3)

同社のビジネス

生鮮食品を専業としたフレイトフォワーダー(航空機を使ったフォワーダー)である。荷主から商品を受け、複数のエアラインと契約し、航空機からの搭載/降載からトラック業者に渡すところまでの物流業務と関税手続き代行などを行う。

輸出40%、輸入60%で、季節によって主力が変わる。夏はストロベリーやブルーベリーの出荷時期を迎えるため豪州など冬の国への輸出が多くなり、冬は地域の供給力が減るため、チェリーやマンゴを中南米などから輸入する。パパイヤや花は通年商品。輸出入のバランスが保てていることが、常時需要を作り出す上で重要である。

輸出は多くがカリフォルニアの産品であり、調達できない場合はメキシコから緊急輸入する。輸出先は外国が100t、ハワイが120t。日本にも花だけ15t輸出している(週実績)。

ロスは米州大陸とアジアを航空便で結ぶハブとなっている。マイアミ空港と比較すると、中南米へのネットワークは弱いが、アジア各地に毎日直行便がある。

ロスにある専業フォワーダーでは最大手である。特に世界各地に443地点に拠点があり、荷主の出荷地確保に役立っている。

トラッカーはアウトソーシングしているが、欧州では自社で定期便を持っている。

貨物の処理速度

同社施設は空港外にあるものの車で10分で空港へアクセスできる距離にある。輸入の場合、朝7時に到着後、同社でブレイクダウンし、トラックに載せ、10時の市場に間に合わせることができる。輸出の場合、夜の6時にトラックが到着しても、ビルドアップを即座に済ませ、8時の便に間に合わせることができる。コンパクトな施設の中で、作業場を確保しており、スピーディなハンドリングが強みである。

トラック荷台の床に車輪を敷設し、重いコンテナを荷台からスムーズに出し入れできる冷蔵車両を自社開発した。ドライバー1人でコンテナのハンドリングが可能になった。

トラック荷台の内部

実施事項1:生鮮品等の輸出拠点となっている海外主要空港の事例調査 Los Angels Airport (LAX)

車輪

ローダーで荷物を持ち上げる

荷台の床に敷設された車輪を利用して荷物を奥まで円滑に搬入

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生鮮食品の品質管理・加工を行うフォワーダー

例えばマンゴでは表面の色によって熟度が違い、顧客によって求める熟度も異なる。同社では、品質管理者を雇用し、毎日熟度を点検した結果に応じて出荷する体制を整えている。

例えばケニアから輸入した花は、保存室の水を張った桶に箱から移して品質を保っている。さらに、ブーケに加工して、最適な室温で保ち、スーパーからの要請に応じて、出荷している。

輸入した生鮮品は、同社の倉庫に来るまでに、多かれ少なかれコールドチェーンが途切れている。同社では、一時保管する貨物をパレットに移し替えた後に、低温環境が保たれるセルに移動させる。花は通常4~5日保管された後に出荷される。

食品は果物・野菜・花卉のみ扱っている。魚は臭いが付着するので、同社では一緒に扱わない。

マンゴの熟度をチェックしている様子 ブーケは箱に移されて出荷を待つ 温度帯毎に一時保管するセル

インタビューメモ:アメリカ・ロサンゼルス空港(hpl Apollo perishable logistics社:2/3)

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インタビューメモ:アメリカ・ロサンゼルス空港(hpl Apollo perishable logistics社:3/3)

効率的なスペースの活用

倉庫の総スペースは3500㎡程度であり、そこに作業場、保管庫、検査場が全て入っている。トラックドックは5か所程度。

狭い敷地を有効活用するため、作業が必要な時期と商品に応じて、作業スペースを、輸出と輸入で使い分けている。輸出はX-Ray機と測量機が必要なのでその近くで実施する時が多い。輸入は貨物のブレイクダウンができるためのスペースが必要となる。

一般的な荷姿

生鮮食品は100%ベリーで運ばれている。そのため高さはドアの高さである64インチ以下に抑えたパレット積みをしている。それ以上の高さに積み上げると、下に積まれた貨物が上に積まれた貨物の重量に耐えられなくなる。また、上部に置くドライアイスからの冷気が下まで十分に伝わらなくなる。

仮にフレーター上部で運ばれたとしても搭載できるように、上部の角を斜めにした台形の荷姿を作っている。

Cool Guardと呼んでいる銀色のインサレーション(遮熱剤)で貨物を包み、パレットに載せた荷姿が標準である。その形態は長期間のフライトでも温度が保たれる仕組みである。ロサンゼルス周辺の物流ではインサレーションを利用することが一般的であるが、メキシコのような途上国から来る貨物には、未だにインサレーションを使っていないケースが多い。

右肩が斜めになっているパレット積み貨物 箱の上部に置くドライアイス(青色) 遮熱剤で包まれたパレット積み貨物

実施事項1:生鮮品等の輸出拠点となっている海外主要空港の事例調査 Los Angels Airport (LAX)

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実施事項1:生鮮品等の輸出拠点となっている海外主要空港の事例調査 Los Angels Airport (LAX)

インタビューメモ:アメリカ・ロサンゼルス空港(Able Freight:1/2)

効率的なスペース活用と精度の高い温度管理

倉庫面積は2500㎡と貨物量に比して小さい。トラックドックの内側に一時保管スペース、その内側に作業場、さらにその奥に保管スペースが段階的に配置されており、その間はカーテンで仕切られている。動線が一方向であり、物の移動がし易い効率的なレイアウトとなっている。

温度帯は細かく分けられており、手前から、5度、2度、1度となっている。それ以外に、常温の20度と冷蔵施設がある。なお、冷凍庫はあるが、ドライアイスの保管庫として利用している。

スペースを小さく分け、商品ごとに温度帯を変えているのは、適温が商品によって異なるためである。

2度を最も大きい作業スペースに利用しているのは、大手スーパーマーケットの基準に合わせているためである。大手スーパーマーケットでは、商品の温度管理が3度以上となると商品の受付を断られる。温度管理のリスクは、顧客に代わって同社が負っているので、温度を保たないと、商品を買い取らなければならなくなる。

保冷コンテナは、緊急用など付加価値の高い商品にしか使わない。荷主の要請があった時だけ借りることにしているが、平日一週間で2000ドルするため、高額である。

トラック内で輸出を待つ貨物。ドッグの前は平場の作業スペース 保冷コンテナは使われていない

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スピードに拘ったハンドリング

輸出時は、商品搬入から航空機への搭載を1時間で行わねばならない時もある。

LAXの貨物ターミナルにはコールドチェーンの施設が無い。6時間前から貨物搬入を受け付けるが、その場合は直前まで同社施設に冷蔵保管して、空港上屋には直前に持っていくようにしている。貨物ターミナルは、航空会社のハンドリング施設しかない。

沖縄の可能性

同社は日本にも出荷しており、台湾や香港への直行便で輸出していることから、沖縄での冷蔵施設の整備に関心を持っていた。

ハワイの旅行客向けの食材はほとんど航空便で運ばれている。観光客が増えている沖縄でも、観光客向けの食材需要が高まると予想されることから、航空貨物(輸入および日本国内からの空輸)が増大することが想定され、物流の将来性も高いと感じている。

青果の段ボールはボックスに入れて運ばれることもある ドライコンテナにドライアイス入りの段ボールを詰め込む作業員

実施事項1:生鮮品等の輸出拠点となっている海外主要空港の事例調査 Los Angels Airport (LAX)

インタビューメモ:アメリカ・ロサンゼルス空港(Able Freight:2/2)