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資料2 平成28年度 検討会の議事要旨および発表資料

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Page 1: 資料2 平成28年度 検討会の議事要旨および発表資料 · 事務局:水平距離班、枯死木班、断面班の3 班があって、それぞれの班は2 人ずつで構成されており、

資料2

平成28年度

検討会の議事要旨および発表資料

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平成28年度森林吸収源インベントリ情報整備事業

土壌等調査(指導とりまとめ業務)検討会 議事要旨

日時:平成 29 年 2 月 23 日 13:30–16:00

場所:一般社団法人日本森林技術協会 日林協会館 3 階大会議室(千代田区六番町 7 番地)

出席者:

【委員】 丹下健(座長)、太田誠一、白戸康人

【林野庁】 五関一博、塚田直子、河内清高、大川幸樹、高麗泰行、松井健吾

【森林総合研究所】 三浦覚、田中永晴、古澤仁美、石塚成宏、橋本昌司、山下尚之、平井敬三、稲冨

素子、相澤州平、酒井寿夫

オブザーバー:

【試料収集分析業務受託者】

北海道ブロック (株)セ・プラン 藤田真人、杉浦晃介、川尻綾子、奥井春奈

東北ブロック (株)宮城環境保全研究所 藏重充彦、髙野創士

関東ブロック ソシオエンジニアリング(株) 江田敏幸、池田達男

中部・近畿、中国・四国ブロック (株)一成 北井克実、田中亨吾

九州ブロック (株)九州自然環境研究所 中園朝子、内田和良

試料調整・分析 クリタ分析センター(株) 濱田則之、藤田加代子、天野昌江、野森裕一、佐藤佳孝

※以下、質疑応答中のスライド○○は資料 2 検討会の議事要旨および発表資料のそれぞれのプレゼンテ

ーションのスライド番号を指す。

(1) 第二期の結果概要

【内容】

・背景と目的

・土壌インベントリ調査の設計

・第二期の結果概要

【質疑】

白戸委員:スライド 13 の右下の図について、土壌採取は 10 年間隔となっているが、下段の赤い線が 2

本示されているのはどういう意味か。

事務局:堆積有機物と土壌は、第二期からは半分ずつ調査する計画に変更したことを示したおり、2 本の

赤線は第二期から 5 年毎に上下交互に空白になるべきである。

丹下委員:第一期の計画地点 2788 地点から第二期の計画地点 2674 地点へと減少しているのはなぜか。

事務局:第一期の元の計画地点は 2800 地点であったが、様々な理由(所有者不明、到達不可能、森林以

外の土地利用への変化など)があり、調査を実施したのは 2465 地点となった。第二期の時に、第一期で

実施できなかったところを外した。しかし、森林生態系多様性基礎調査に対応して新しい格子点も加え

られた。

資料2-1

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丹下委員:スライド 16 で第二期の実施地点は 1081 点となっているが、スライド 17 以降の n=930 はど

ういうことなのか。

事務局:3 プールのデータが揃っているカテゴリAのうち、第一期と第二期で繰り返し調査が行われた格

子点が 930 地点となる。

丹下委員:そうすると、事業が進むにつれ調査地点はどんどん減っていくのか。

事務局:必ずしもそうではない。後になってまた調査できるようになることもあるので、一概にそうと

も言えない。

丹下委員:その場合の全国レベルの推定は、調査ができたりできなかったりした点を含みながらどのよ

うに計算するのか。

事務局:(スライド 14 の日本地図を示しながら)国のスケールで見た場合、長期の炭素蓄積量推定には

点の違いは大きな影響を持たないと考えている。不確かさを見極める必要はあるが、長期的に見れば、

違う調査地点の比較でも炭素蓄積量の変化を検出可能だと思っている。ただし、モニタリングを続けて

今後検証していく必要がある。

丹下委員:日本はモデルで推定して報告しているとのことだが、全国平均の値で十分か。一点一点のデ

ータは、モデルの推定にどのように使っていくのか。

事務局:現在、森林生態系多様性基礎調査のデータや気象データなどを使って、ある地点の炭素量をど

ういうパラメータが決めているのか広域推定を行なっている。

丹下委員:ある環境の中で一点一点の点として扱えるモデルなのか。

事務局:個々の一点一点の比較はあまり意味がないと考えている。データを階層化してその階層毎に比

較する必要があるだろうと考えている。階層化手法自体を、現在検討している段階だ。

丹下委員:土壌の炭素量が増えたということだが(スライド 20)、全部の層位で増えているのは、容積重、

石礫率あるいは細土の炭素濃度などどの影響が大きいのか。それ次第でサンプリング方法、試料の調整、

CN 分析など様々な手順に関係してくると思われるが。

事務局:様々な複合要因が関係していると考えている。一つには、堆積有機物層と鉱質土層の判定があ

る。他にも、試料調整過程でのバイアスや、第二期の CN 分析に適切でなかった例があったことも把握

している。第二期の推定値を確定するには、CN の再分析も含めて今後精査が必要だと考えている。ただ

し、現段階では細土の炭素濃度測定の精度が低くかったために過大評価されたと断定はできない。

(2) 第三期調査について

【内容】

・指導とりまとめ業務の内容と流れ

・精度管理の進め方

・第三期の調査方法の主な変更点

【質疑】

太田委員:CN 分析の精度管理に使用している標準試料に関して、濃度のレンジはどのようになっている

のか。

事務局:有機物と鉱質土壌の両方を用意してある。有機物は炭素濃度 25~50%、土壌はA層に相当する

資料2-2

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表層から最下層まで実際に出現しうる範囲を幅広く用意してある。

太田委員:専門家のチェックといっても個人差があると思うが、何をどのようにチェックするのか専門

家間で共有されているのか。

事務局:堆積有機物層と土壌層の境界の判定であれば、断面写真と断面スケッチを参考にして指導して

いる。枯死木の推定には水平距離が必要なので、土場や川、舗装された道路を除いて、きちんと測定で

きているか写真と調査プロット見取り図を見比べて指導している。

太田委員:チェック項目は決めているのか。

事務局:マニュアルに定めていることをチェックするように決めている。第三期では本当に炭素量推定

に影響が大きいものに絞ってやりたいと考えている。

太田委員:鉱質土層の境界は専門家でもずれるし個人差もある。システムとして単独ではやらない、危

ないところは複数でチェックするなどとするとより良くなるのではないか。

事務局:水平距離班、枯死木班、断面班の 3 班があって、それぞれの班は 2 人ずつで構成されており、

各年度の調査開始当初は同じものを 2 人でチェックして摺り合わせをしている。さらに最終的にはチェ

ック結果取りまとめ担当者がチェックしている。

太田委員:LFH 層を試料 K として一緒にすると、L 層にはサンプリングする季節が影響するので、同一

格子点の次回調査を同じ時期にやる必要があるのではないか。

事務局:以前の委員会でも指摘していただいた点だが、まだ十分には検討できていない。今年度は調査

が遅く始まったが、来年度は早くから始められる。今年度と来年度の調査時期の違いが影響しているか

など、今後検討していきたい。

丹下委員:堆積有機物層と鉱質土壌の境界の判定が 1~2cm ずれていると判断したらどうするのか。再

調査の指示をしているのか、それとも、その試料を外すのか。

事務局:境界のずれだけで外すことはない。CN 分析をして土壌の炭素量が 25%以上の場合には外すよ

うにしている。再調査は無理なので指導していない。

丹下委員:LFH 層を混ぜる件だが、粉砕して混ぜる際に、L 層と FH 層とで分けた方が楽ではないのか。

事務局:粉砕はチッパーでまず粗く粉砕してから、さらに細かく粉砕して 2 段階で粉砕して CN 分析を

行っている。粗いものも細かいものも比較的混合できていると考えている。

丹下委員:今回の試料Kの導入で分析点数を減らしたことも大事だが、試料調整の段階でミスが出て炭

素量計算に影響が出てしまってはいけない。そこは注意が必要だし、L 層や枝などの粗いものと H 層の

ように細かいものの混合がきちんとできているかは検証してみてほしい。

事務局:堆積有機物は全量粉砕して混合している。そこから分析用として取り分けている。

丹下委員:CN 分析は有機物なら数 10mg 程度だと思われる。分析用にごく少量を取るときに、相当粗い

ものと細かいものが本当によく均質化されて混合された中から偏りなく取れているかが問題だ。

事務局:土壌の混合については、今年度検証を行ったがリターの混合についても検証の必要があるかど

うか検討したい。

丹下委員:作業性と測定値の確かさの安定性の両面から検証してほしい。

太田委員:L 層の枝を粉砕したものと、H 層の細かい粒子では粒度が違うため、自然にソーティングが

起こってしまう可能性はある。よく撹拌して均質なサンプルを取ることという点は大事なポイントだ。

丹下委員:分析に使用する量が少ないので均質なサンプルをとることが炭素量計算に影響してくる。試

資料2-3

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料調整の分析の数を減らすという意味では、LFH 層を試料 K として扱うのは良いと思う。

丹下委員:第二期から立枯木の調査が導入された。根株と立枯木は同じ分解度を適用しているが、両者

は同じ分解度なら同じ比重(密度)であることを確認してそうしているのか。

事務局:実はまだデータがない。他のプロジェクトで、根株について土壌に埋まっている地下部と埋ま

っていない地上部を調べたことがあり、材の密度は同じぐらいだった。立枯木ではやっていない。文献

にも当たって、検討したい。

丹下委員:この想定が妥当かどうか、データで検証する必要があるのではないかと思う。

事務局:調べてみたい。

丹下委員:根株の炭素量は、地上部の体積減少と密度減少から地下部の体積減少と密度減少も地上部と

同じとして計算していると思う。地上部の体積減少が起きている分解度 4・5 について、地下部の体積減

少が地上部と同程度であることを確認しているのか。

事務局:数十本の根株掘りをしたが、脱落して元の形状がわからなくなるタイプと、形状が残る場合が

ある。中程度の分解度 3 ぐらいまではほぼ同じぐらい密度減少であった。それ以上の分解度は実際のデ

ータが取れないので、同じであろうと仮定している。

白戸委員:wiki を使っている件だが、業者からのデータ提出はどのようにしているのか。

事務局:ファイル転送を利用している。

白戸委員:wiki は森林総研外の受託者からも見えるのか。

事務局:見えない。あくまで森林総研内部のチェック用である。

太田委員:今後も事業の期が進むにつれて、精度が改善されて行く。モデルとの関係であるが、時間経

過による変化があったかを検証する際には、異なる精度品質のデータをどのようにつきあわせるのか。

時系列変化を捉えない攻め方なら良いが。時間変化をどのように攻めるのか考えはあるのか。

事務局:審査報告にも関わってくることなので、林野庁とも協議しつつていねいに取り扱う必要がある

と思っている。研究の立場から言えば、今のところまだ変化量を見られるところまで来てはいないと思

っている。地上部の調査でも第三期ぐらいから安定して評価できるものが出て来ているのではないかと

見ている。変化量をこの調査データで解析し報告する前に、まずは、ベースラインを精度よく取ること

を大事だと考えている。時系列変化という点では、まだ残り半分の2回目の調査も終わっていない。

事務局:たぶん、全体の炭素蓄積量の平均値は大きくは外れていないと思っている。期を重ねることで、

不確実性を少しずつ減らしていっているのだと考えている。

(3) 今年度の調査結果

【内容】

・調査計画、進捗状況

・結果:2016 年度と過年度

・結果:検証調査

・受託者への聞き取り調査と次年度計画

【質疑】

林野庁:スライド7で当初計画地点 539 地点あったが、変更後計画地点 401 地点となっている。スライ

資料2-4

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ド 8 では計画地点 401 地点で不実施地点があり、結局 342 地点の実施となっているが、不実施の理由は

何か。

事務局:所有者から許可が得られなかった、崩落などで現地に到達できなかったところなどが含まれて

いる。

林野庁:不実施の中に現地に到達できなかったものはかなりあるのか。

事務局:具体的な数字は把握していないが、所有者からの許可が下りなかった、到達不可能の理由で不

実施になった地点は共にそれなりにある。

太田委員:スライド 19 左下の図、立枯木が受託者と森林総研とでなぜこれほど違うのか。現場のイメー

ジがわかない。

事務局:急傾斜地でラインが斜面を斜めに横切ると、両側1メートルの範囲にずれが起こり易いのでは

ないか。

事務局:森林総研が見つけられなかった立枯木を受託者の方が見つけたという事例もあった。ほとんど

は直径が細いもので、立枯木として調査する境界(直径 5 ㎝)近くのものであると思う。

丹下委員:土壌の混合試料は4方位を混ぜているが、具体的な手順はどうなっているのか。

事務局:今期から導入し、それぞれの土壌深度で一定体積の試料を採取し、それを現地で大きなポリ袋

に入れて混ぜている。検証に使った地点では、混ぜる前の試料と混合後の両方の試料を 50mL のポリ瓶

に入れて森林総研に送ってもらった。

丹下委員:4 方位の炭素濃度のばらつきはどのくらいか。

事務局:具体的なデータはすぐに答えられないが、ある格子点で、北方向だけ誤って堆積有機物試料を

採取していた例があった。それでも混合すると、これだけの再現性がある。他のサンプルは割と炭素濃

度の値が揃っていたと思う。

事務局:4方位の炭素濃度は違う時にはかなり違いが大きくなる。

丹下委員:そういう場合でも混合して良いということと理解した。

白戸委員:過年度のデータを見て、増えている、減っていると論じるのは早いと言っていたが、(スライ

ド 16 の図を見ると)なんとなく右肩上がりにも見える。モデルの計算上で日本全体はどうなっているの

か。

事務局:ここで示しているデータは単位面積当たりの炭素量(kg C m-2)だが、モデルでは森林タイプ

別の面積を加味した加重平均値のため個々の林分の増減とは関係がなくなり、単純には比較できない。

白戸委員:モデルでも、例えばある地方のスギ林の炭素蓄積量を推定しているのではないか。土壌炭素

蓄積量が林齢と共に徐々に増加するのは、矛盾しないのではないか。

事務局:単位面積あたりで第一期と第二期の炭素蓄積量の違いは、0.9 kg C /m2、ヘクタール当たり 9

トンでとてつもない大きさである。まだ結論を出すには早いと考えている。炭素蓄積量の増減を論じる

には、もう 1~2 期(5~10 年)の事業の継続が必要と考えている。

丹下委員:スライド 15 の 2011 年のところで、堆積有機物は何かあったのか。方法論が変わったのか。

事務局:方法論は変わっていないが、試料調整の指導方法の影響が出たと考えている。2011 年より前の

第一期(2006-2010 年)は堆積有機物が減っているように見える。調査を開始した初期には、土壌や礫

が混じった堆積有機物試料が送られて来たこともあった。そういうエラーを避けるために、2011 年は袋

の下にたまった重い礫や土壌を除いて堆積有機物の重量を測定するように指導した結果ではないかと考

資料2-5

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えている。指導が行き過ぎてバイアスが掛かってしまったことを反省している。送られてきたサンプル

をどのように試料調整するかは、炭素蓄積量計算を適切に行うために非常に重要なポイントであるとい

うことを痛切に感じた。

丹下委員:非常に目立つと思う。

事務局:記録に残すようにする。

太田委員:スライド 16 では炭素蓄積量が高いところほどエラーバーが大きいように見える。土壌深度が

深いところに行くほどエラーバーが大きくなっている。これはなぜか。

事務局:例えば、黒色土は深さ 30cm まで炭素濃度が高いが他の土壌はそうではない、土壌深度が深い

ところほどそのような差が出やすいからだと考えている。

丹下委員:これからも精度を向上させていくことになる。先ほどは堆積有機物層と鉱質土層の境界の判

定が大事だという話が出ていたが、例えば、石礫率はどうか。専門家と受託者で判定は違わないのか。

事務局:現地講習会では実際の調査地点で、同じ断面を前にして石礫率判定の訓練をして目合わせを行

うなどしている。しかし、安定した結果が得られているか、どの程度の精度なのか十分に検証はしてい

ない。

丹下委員:炭素の分析値だけでなく、炭素蓄積量計算に影響を及ぼす項目についてチェックする必要が

ある。

太田委員:以前の委員会でもその話が出ていた。断面を作成したその時点その地点の石礫率に代表性が

あるのかと考えれば、今後も石礫率データを蓄積していって、炭素蓄積量計算の際には、蓄積された石

礫率の平均データを使った方が良いのではないのか。過去の時点の炭素蓄積量計算にも蓄積された石礫

率データを当てはめて再計算した方が妥当だと思われる。

事務局:森林総研のワーキンググループの検討でも同様の意見が出ている。今後改めてその点は検討し

ていきたい。

丹下委員:平成29年度は4月1日から作業に入れるのか。

林野庁:我々の方で到達経路図や所有者情報などを準備して、そうできるように努力している。

丹下委員:5年契約なので、前年度に調査地点の情報を受託者へ渡すことはできないのか。

林野庁:できる。

丹下委員:そうしていった方が良い。所有者が見つからないということも増えていく可能性もあるが今

後どうしていくのか。

林野庁:受託者からも情報が得られればフィードバックをお願いしたい。林野庁では森林生態系多様性

基礎調査も実施しているので、そちらとも連携して努力していく。

【その他】

受託者:調査する側からはなるべく調査期間は長くとってほしいということがある。堆積有機物採取へ

の季節の影響はどれくらいあるのか。北海道では、夏と秋で堆積有機物の見た目の体積(厚さ)がずい

ぶん違う。

事務局:先ほども委員から指摘があった。まだ十分に検証できていない。特に落葉広葉樹は秋に増える

だろう。ただ、L 層という当該年だけの堆積量だけで全ての堆積有機物量が決まっているわけではない。

今年度と来年度を比較すると少し見えてくると思う。先に検証して誤差を回避するのは難しいが、この

資料2-6

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モニタリグ事業の中で評価していきたい。

受託者:今後、2〜3年経ってから、調査時期に堆積有機物量への影響を避けるために調査時期を変更

して指定されるようなことがあると、受託会社としては年度計画に影響を受けることになるので、予め

お話を伺っておきたかった。

丹下委員:そのような点からも、L 層とそれ以外を分けてサンプリングしておくと、有用な情報が得ら

れる可能性もあるのではないか。先ほども指摘したが、LFH 層をまとめて試料 K としたとき、均質な分

析試料を取ることができるのかがすごく気になる。F 層や H 層の細かい部分が多くなって炭素濃度が高

くなるのではないかと危惧される。

太田委員:粉砕の粒度に関係してくる。すべての試料が十分細かい粒度に粉砕されていれば影響は小さ

いだろう。

太田委員:微粉末にする試料調整は誰がやっているのか。

事務局:受託者である。

太田委員:どれくらいの細かさにするか、指導しているのか。

事務局:マニュアルに記載してある。

事務局:全量粉砕は 5mm 未満である。(※ マニュアルには 6mm とある)

丹下委員:5mm の粒子ともっと細かい粒子を均質に混ぜられるのか。

太田委員:四分法などが必要だろう。

事務局:手順を変更する場合には、必要とされる労力とのバランスを見ながら検討していきたい。

丹下委員:スライド 12 の外れ値、異常値とは何か。

事務局:外れ値は正規分布の棄却域の値。異常値は正常と設定した値からはずれた値のこと、例えば、

土壌試料の炭素濃度が 25%以上の場合。

丹下委員:断面チェックで除外とはどういうことか。土壌は 0 で堆積有機物だけが 1 になっているが。

事務局:堆積有機物層の厚さから想定される試料重よりはるかに重かったので除外した試料である。

丹下委員:分析で異常値が出た場合は、受託者へフィードバックしているのか。

事務局:分析業務受託者にはフィードバックしている。原因がわかればそれも伝えている。

丹下委員:分析結果で明らかになった異常値(境界判定のエラーなど)は、野外調査へもフィードバッ

クしているのか。

事務局:野外調査にまではフィードバックできていない。

丹下委員:野外で試料採取するところまでフィードバックしないと改善しない。異常値だからデータを

外すというだけでは精度向上につながらない。講習会などを通して、野外調査でのミスを減らす改善に

つなげていけるようにした方が良い。

丹下委員:論文を書かれているということだが、得られたデータの信頼性はピア・レビューを受けて高

めていくということか。

事務局:そのとおりだ。学会発表は多数行っているが、最初の論文は森林総研報告(Ugawa et al. 2012)

に報告した。その後、容積重と炭素濃度のペドトランスファーの論文(Nanko et al. 2014)を公表し、

さらに、もう一つ要因解析の論文を投稿している。最終的にはピア・レビューを受けて調査結果の信頼

性が高まると考えており、成果はできるだけ国内外に発信していきたい。

丹下委員:来年度はできるだけ早く動けるようにしてほしい。単年度契約ではなく 5 年契約の受託者な

資料2-7

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ので、その利点を最大限に生かしてほしい。

資料2-8

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第二期の結果概要

林野庁森林吸収源インベントリ情報整備事業2017‐02‐23 平成28年度検討会

第二期の結果概要 1

① 背景と目的

② 土壌インベントリ調査の設計

③ 第二期の結果概要

議題(1)の構成

第二期の結果概要 2

① 背景と目的

第二期の結果概要 3

• 1992.6 気候変動枠組条約採択1997.12 COP3 京都議定書2008〜2012 第一約束期間2012〜2020 第二約束期間

• 2015.12 COP21 パリ協定採択2020年以降の地球温暖化対策

地球温暖化の進行、影響の顕在化

日本国温室効果ガスインベントリ報告書(NIR) 第6章土地利用、土地利用変化及び林業

本事業の背景

条約における森林の炭素吸収量報告義務

第二期の結果概要 4

枯死木

リター

土壌(深さ30cm)

•倒木、立枯木、根株

樹木(地上部)

樹木(地下部)

•根

•幹、生枝、葉

バイオマス2プール 土壌等3プール

森林に蓄積する炭素

•堆積有機物

第二期の結果概要 5

1. 全国の土壌等調査の指導とりまとめ

• 試料収集分析業務受託者の指導

• 調査分析の精度管理

• データと試料の一元管理

2. 条約事務局への土壌等3プールの算定・報告の精度向上

• 調査結果に基づいた算定・報告の検証

• 必要に応じたモデルの改良

本事業の目的

第二期の結果概要 6

資料2-9

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② 土壌インベントリ調査の設計

第二期の結果概要 7

森林生態系多様性基礎調査と格子点ID

森林

森林外

4km

4km

調査対象

調査対象外

森林

森林外

4km

4km

調査対象

調査対象外

森林

森林外

4km

4km

調査対象

調査対象外

格子点ID

県番号01~47

各県ごと0001~9999

010055

林野庁HP、森林生態系多様性基礎調査 > 調査方法

特定調査プロット:格子点 ID が5 の倍数(倒木調査、全ての伐根調査)

土壌インベントリ調査の対象

森林の状態とその変化の動向を調査、5年一巡、約15,000点

第二期の結果概要 8

土壌等3プールの炭素蓄積量調査方法

枯死木

倒木 根株 立枯木

ライン法 ライン法 ベルト法 ベルト法

第一期 ○ ○

第二期 ○ ○ ○ ○ 直径、樹種、分解度

堆積有機物

T: 小枝(T) < 5cmL: 未分解のものF: 分解して断片化したものH: 分解が極度に進んだもの

調査プロット

土壌5 cm

30 cm

15 cm

0 cm 堆積有機物量調査と同じ地点で、30cm深までの土壌を採取

● 堆積有機物・土壌採取地点

第二期の結果概要 9

土壌等3プールの炭素蓄積量調査と計算

枯死木炭素蓄積量

枯死木の体積枯死木の体積 材密度材密度 炭素濃度炭素濃度= × ×

(Kg/m2)

堆積有機物炭素蓄積量

堆積有機物乾重量堆積有機物乾重量 採取面積採取面積 炭素濃度炭素濃度= ÷ ×

(kg/m2)

土壌炭素蓄積量

(1‐石礫率)(1‐石礫率) 定積細土重定積細土重 炭素濃度炭素濃度土壌体積= × × ×

(kg/m2)

単位面積当たりの炭素蓄積量を調査により求める

第二期の結果概要 10

2つのタイプの調査地ーカテゴリ

枯死木

リター

土壌(深さ30cm)

•倒木、根株、立枯木

・堆積有機物

カテゴリA カテゴリB

○ ○

○ −

○ −

第二期の結果概要 11

倒木 根株 立枯木

ライン法 ライン法 ベルト法 ベルト法

第一期 ○ △

第二期 ○ △ ○ ○

枯死木調査法の変遷

主ライン上

(1)ラインインターセクト法 (2)ベルト法

根株

計測する

立枯木倒木

計測する

根株

主ラインから両側1m 倒木

根株

立枯木

第二期の結果概要 12

資料2-10

Page 13: 資料2 平成28年度 検討会の議事要旨および発表資料 · 事務局:水平距離班、枯死木班、断面班の3 班があって、それぞれの班は2 人ずつで構成されており、

カテゴリA カテゴリB

調査項目 ①枯死木②堆積有機物③土壌

①枯死木

第一期2006‐2010年

2465地点(調査実施格子点数)

第二期2011‐2015年

1081地点 1174地点

炭素蓄積量変化のインターバル①枯死木:5年間隔②堆積有機物 ③土壌:10年間隔

調査項目とインターバル

第二期の結果概要 13

調査実施地点全体の分布

第二期2011〜2015

林野土壌調査1950〜70年代

第一期2006〜2010

第二期の結果概要 14

③ 第二期の結果概要

第二期の結果概要 15

調査の実施状況 (格子点ID数)

計画地点 実施地点 不実施

第一期2788 2465

(88.4%)323

(11.6%)

第二期

カテゴリA1312 1081

(82.4%)231

(17.6%)

カテゴリB1362 1174

(86.2%)188

(13.8%)

計2674 2255

(84.3%)419

(15.7%)

第二期の結果概要 16

炭素蓄積量 全体(3プール)

第一期 3プール = 枯死木(第一期) + 堆積有機物 + 土壌

第二期 3プール = 枯死木(第二期) + 堆積有機物 + 土壌

炭素蓄積量(㎏

m‐2)

• 炭素蓄積量は、第一期と比べ、枯死木・堆積有機物で少なかったが、土壌で多かった。

• 第二期の枯死木調査法では、蓄積量が2倍に増えた。

第一期 第二期(第一期の方法)

第二期(第二期の方法)

n=9300.46±0.750.48±0.307.05±3.24

枯死木リター土壌

3プール

7.99±3.39

n=9300.75±0.980.33±0.207.93±3.32

8.62±3.42

n=9300.35±0.460.33±0.207.93±3.32

9.02±3.55

土壌 枯死木(第一期の方法) 枯死木(第二期の方法)堆積有機物

第二期の結果概要 17

炭素蓄積量 枯死木

第一期 枯死木 = 倒木(ライン法) + 根株(ライン法)

第二期 枯死木 = 倒木(ライン法) + 根株(ベルト法) + 立枯木(ベルト法)

• 根株は、ライン法では本来測定できないものであった。

• 根株と立枯木のベルト法調査から、枯死木プール全体の大きさと重要性が明らかになった。炭

素蓄積量(㎏

m‐2)

第一期 第二期(第一期の方法)

第二期(第二期の方法)

n=930

-0.02±0.120.44±0.73

立枯木根株倒木

枯死木全体

0.46±0.75

n=9300.17±0.450.26±0.670.32±0.43

0.35±0.46

n=930

-0.03±0.130.32±0.43

0.75±0.98

倒木(ライン法) 根株(ライン法) 根株(ベルト法) 立枯木(ベルト法)

第二期の結果概要 18

資料2-11

Page 14: 資料2 平成28年度 検討会の議事要旨および発表資料 · 事務局:水平距離班、枯死木班、断面班の3 班があって、それぞれの班は2 人ずつで構成されており、

炭素蓄積量 堆積有機物

• 第二期は、堆積有機物のすべての画分で炭素蓄積量が少なかった。

炭素

蓄積

量(㎏

m‐2)

第一期 第二期

n=9300.46±0.75

0.16±0.12

0.14±0.10

n=9300.33±0.20

0.18±0.19

0.03±0.11

0.13±0.09

0.08±0.06

0.12±0.12

0.002±0.03

試料T

L層

F層

H層

第二期の結果概要 19

炭素蓄積量 土壌

炭素

蓄積

量(㎏

m‐2)

第一期 第二期

n=9307.05±3.24

1.81±0.74

2.57±1.21

n=9307.93±3.32

2.67±1.63

2.01±0.75

2.92±1.27

3.02±1.66

0‐5cm

5‐15cm

15‐30cm

• 第二期は、すべての層で土壌炭素蓄積量が多くなる結果となった。

第二期の結果概要 20

1. 調査方法を確立

• 枯死木プールの調査法を改善した

2. 炭素蓄積量の概要を把握

第二期(H27年度)までの概要

土壌等3プールの炭素蓄積量について、

第二期の結果概要 21

資料2-12