黒田 hackmytsukuba 20200724...2020/07/24  · はじめに •...

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まちづくり=人々の新しい行動づくり 行動変容論の視点 つくば市保健福祉部参事/コミュニティクリニック・つくば  黒田直明(精神科専門医・公衆衛生学修士)

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Page 1: 黒田 HackMyTsukuba 20200724...2020/07/24  · はじめに • コロナ=>人々の行動パターンの変化が求められている • これまでも感染症が人類の生活を変えてきたが、コロナで

まちづくり=人々の新しい行動づくり 行動変容論の視点

つくば市保健福祉部参事/コミュニティクリニック・つくば 黒田直明(精神科専門医・公衆衛生学修士)

Page 2: 黒田 HackMyTsukuba 20200724...2020/07/24  · はじめに • コロナ=>人々の行動パターンの変化が求められている • これまでも感染症が人類の生活を変えてきたが、コロナで

はじめに• コロナ=>人々の行動パターンの変化が求められている

• これまでも感染症が人類の生活を変えてきたが、コロナで新しいことは、変化の方向を議論して選びうること

コロナウイルス感染症ペスト

共通点 (深刻度においてはコロナはペストよりはるかに低いが) 感染力が高く世界的に多数の死者を出しうるが治療法は未確立

原因と予防策 同定までの期間

6世紀から流行 19世紀に原因菌同定

半年程度で目星がついた 「3密の回避」

人々の態度 恐怖・偏見・受動的 議論して能動的な対策ができる!

極めて速い

どういう社会に再構成すればいいのか? 2つの視点 → 感染症対策の視点 & 感染症対策以外の視点

Page 3: 黒田 HackMyTsukuba 20200724...2020/07/24  · はじめに • コロナ=>人々の行動パターンの変化が求められている • これまでも感染症が人類の生活を変えてきたが、コロナで

「新しい生活様式」の実践例

(1)一人ひとりの基本的感染対策

移動に関する感染対策

□感染が流行している地域からの移動、感染が流行している地域への移動は控える。□発症したときのため、誰とどこで会ったかをメモにする。接触確認アプリの活用も。□地域の感染状況に注意する。

感染防止の3つの基本:①身体的距離の確保、②マスクの着用、③手洗い

□人との間隔は、できるだけ2m(最低1m)空ける。□会話をする際は、可能な限り真正面を避ける。□外出時や屋内でも会話をするとき、人との間隔が十分とれない場合は、症状がなくてもマスクを着用する。ただし、夏場は、熱中症に十分注意する。□家に帰ったらまず手や顔を洗う。人混みの多い場所に行った後は、できるだけすぐに着替える、シャワーを浴びる。□手洗いは30秒程度かけて水と石けんで丁寧に洗う(手指消毒薬の使用も可)。

※ 高齢者や持病のあるような重症化リスクの高い人と会う際には、体調管理をより厳重にする。

(2)日常生活を営む上での基本的生活様式

□まめに手洗い・手指消毒 □咳エチケットの徹底□こまめに換気(エアコン併用で室温を28℃以下に) □身体的距離の確保□「3密」の回避(密集、密接、密閉)□一人ひとりの健康状態に応じた運動や食事、禁煙等、適切な生活習慣の理解・実行□毎朝の体温測定、健康チェック。発熱又は風邪の症状がある場合はムリせず自宅で療養

娯楽、スポーツ等

□公園はすいた時間、場所を選ぶ□筋トレやヨガは、十分に人との間隔をもしくは自宅で動画を活用

□ジョギングは少人数で□すれ違うときは距離をとるマナー□予約制を利用してゆったりと□狭い部屋での長居は無用□歌や応援は、十分な距離かオンライン

食事

□持ち帰りや出前、デリバリーも□屋外空間で気持ちよく□大皿は避けて、料理は個々に□対面ではなく横並びで座ろう□料理に集中、おしゃべりは控えめに□お酌、グラスやお猪口の回し飲みは避けて

買い物

□通販も利用□1人または少人数ですいた時間に□電子決済の利用□計画をたてて素早く済ます□サンプルなど展示品への接触は控えめに□レジに並ぶときは、前後にスペース

公共交通機関の利用

□会話は控えめに□混んでいる時間帯は避けて□徒歩や自転車利用も併用する

(3)日常生活の各場面別の生活様式

イベント等への参加

□接触確認アプリの活用を□発熱や風邪の症状がある場合は参加しない

□テレワークやローテーション勤務 □時差通勤でゆったりと □オフィスはひろびろと

□会議はオンライン □対面での打合せは換気とマスク

(4)働き方の新しいスタイル

※ 業種ごとの感染拡⼤予防ガイドラインは、関係団体が別途作成

「新しい生活様式」の実践例

(1)一人ひとりの基本的感染対策

移動に関する感染対策

□感染が流行している地域からの移動、感染が流行している地域への移動は控える。□発症したときのため、誰とどこで会ったかをメモにする。接触確認アプリの活用も。□地域の感染状況に注意する。

感染防止の3つの基本:①身体的距離の確保、②マスクの着用、③手洗い

□人との間隔は、できるだけ2m(最低1m)空ける。□会話をする際は、可能な限り真正面を避ける。□外出時や屋内でも会話をするとき、人との間隔が十分とれない場合は、症状がなくてもマスクを着用する。ただし、夏場は、熱中症に十分注意する。□家に帰ったらまず手や顔を洗う。人混みの多い場所に行った後は、できるだけすぐに着替える、シャワーを浴びる。□手洗いは30秒程度かけて水と石けんで丁寧に洗う(手指消毒薬の使用も可)。

※ 高齢者や持病のあるような重症化リスクの高い人と会う際には、体調管理をより厳重にする。

(2)日常生活を営む上での基本的生活様式

□まめに手洗い・手指消毒 □咳エチケットの徹底□こまめに換気(エアコン併用で室温を28℃以下に) □身体的距離の確保□「3密」の回避(密集、密接、密閉)□一人ひとりの健康状態に応じた運動や食事、禁煙等、適切な生活習慣の理解・実行□毎朝の体温測定、健康チェック。発熱又は風邪の症状がある場合はムリせず自宅で療養

娯楽、スポーツ等

□公園はすいた時間、場所を選ぶ□筋トレやヨガは、十分に人との間隔をもしくは自宅で動画を活用

□ジョギングは少人数で□すれ違うときは距離をとるマナー□予約制を利用してゆったりと□狭い部屋での長居は無用□歌や応援は、十分な距離かオンライン

食事

□持ち帰りや出前、デリバリーも□屋外空間で気持ちよく□大皿は避けて、料理は個々に□対面ではなく横並びで座ろう□料理に集中、おしゃべりは控えめに□お酌、グラスやお猪口の回し飲みは避けて

買い物

□通販も利用□1人または少人数ですいた時間に□電子決済の利用□計画をたてて素早く済ます□サンプルなど展示品への接触は控えめに□レジに並ぶときは、前後にスペース

公共交通機関の利用

□会話は控えめに□混んでいる時間帯は避けて□徒歩や自転車利用も併用する

(3)日常生活の各場面別の生活様式

イベント等への参加

□接触確認アプリの活用を□発熱や風邪の症状がある場合は参加しない

□テレワークやローテーション勤務 □時差通勤でゆったりと □オフィスはひろびろと

□会議はオンライン □対面での打合せは換気とマスク

(4)働き方の新しいスタイル

※ 業種ごとの感染拡⼤予防ガイドラインは、関係団体が別途作成

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_newlifestyle.html新型コロナウイルス感染症専門家会議からの提言(5月4日)

・どうすれば変わるか?

・人々の行動は合理的な考えに基づいて決まってい

・人々の行動は合理的な考え以外が支配している

簡単にいえば、みながこういう行動をすればよい

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人々の行動は合理的な考えに基づいて決まっている?

感染が脅威か (罹りやすさ・重症度)

行動変容のバリア (手間・コスト)

自己効力感 (やれば変化できそうな感覚)

きっかけとなること

感染予防の ため

の行動変容

何もしないと42万人死亡

行動変容が及ぼす結果に 関する考え

重要な他者の意見と それに従う意思

行動コントロール感 (実行できそうな感じか)

みんなマスクしている

健康信念モデル(Health Beliefs Model)

計画的行動理論 (Theory of Planned Behavior)

志村けんさんの死去

考えに訴えることはそれなりに正しい → 考える前に思わず行動している   →考えないでも行動変容してしまう まちづくりや生活環境

非常事態宣言

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• 好ましい行動をつい選んでしまうように選択肢の出し方を変えること

• 例)デフォルトオプション(初期値設定)を変えること• 臓器提供意思カードのオプトイン(提供する場合にチェックする)をオプトアウト(提供したくないときにチェックする)に変える

• 例)“nudge”する (肘で小突く)ようなメッセージ• 損失フレームを利用して「今、受診しないともったいないですよ」と伝える

人々の行動は合理的な考え以外が支配している? 行動経済学の教え

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考える前に思わず行動してしまうような街づくり Social Ecological Model

個人対人関係学校・職場

https://blogs.bmj.com/

injury-prevention/2019/09/05/

preventing-firearm-suicide-through-the-

social-ecological-model/

社会・政策

どういう社会に再構成したらよいのか?感染対策の話はここまで → 感染対策以外の視点「コロナで死にさえしなければいいのか?」

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• これまで解決できなかった日本社会の課題は?

• 今回の非常事態宣言下の生活で発見した新しいことは?

• 私の場合(精神医療の現場で見えたのは)

• 休校で救われた不登校中の子・在宅生活が得意な人

• 活躍できる主体の変化の可能性

• 時差出勤・休暇を分散・体調悪ければ休んでいい

感染症=変えたかったけど 変えられなかったことを変えるチャンス

「コロナで死にさえしなければいいのか?」

コロナを機に多様な人々が活躍する、より強い社会を

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感染症によって世界は平等さを取り戻した

• スタンフォード大学の歴史学者のウォルター・シャイデル

• 「暴力と不平等の人類史」

• 世の中の平等化してきたのは 戦争・革命・国家の崩壊・疫病

• ペストで人口減少=賃金上昇

• コロナ後はどうなるか?

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https://en.wikipedia.org/wiki/Diffusion_of_innovations#/media/File:Diffusion_of_ideas.svg

新しいものを取り入れる早さは人によって違う 格差を助長してしないようなイノベーションが必要

新しいものを取り入れる人の割合

イノベーションの普及プロセス (Diffusion of Innovation)

革新者 早期 採用者

早期多数 採用者

後期多数 採用者

遅滞者

時間経過

 このあたりで分断しないこと

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まとめ

• 我々は感染症に強い社会を戦略的に考える機会を得た!

• まちづくり=人々の行動変容づくり

• 思わず行動変容してしまう街とは?

• 感染予防と同時に新しい価値を生み出すような社会を!

• 多様な活躍の仕方ができること&平等性

• そもそもどうなりたかったのか!みなさんにとっては?