核分裂生成物の核変換技術の現状について核分裂生成物の核変換技術の現状について...

12
核分裂生成物の核変換技術の現状について 平成2599日本原子力研究開発機構 核変換対象LLFP核種 ADS・高速炉による核変換 まとめ 資料2-4 科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会 原子力科学技術委員会 群分離・核変換技術評価作業部会(第2回) H25. 9. 9

Upload: others

Post on 17-Jan-2020

3 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: 核分裂生成物の核変換技術の現状について核分裂生成物の核変換技術の現状について 平成25年9月9日 日本原子力研究開発機構 核変換対象LLFP核種

核分裂生成物の核変換技術の現状について

平成25年9月9日

日本原子力研究開発機構

核変換対象LLFP核種ADS・高速炉による核変換まとめ

資料2-4科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会

原子力科学技術委員会 群分離・核変換技術評価作業部会(第2回)H25. 9. 9

Page 2: 核分裂生成物の核変換技術の現状について核分裂生成物の核変換技術の現状について 平成25年9月9日 日本原子力研究開発機構 核変換対象LLFP核種

2

使用済燃料中の主な長寿命核種

核種 半減期線量換算係数(μSv/kBq)

含有量(1トン当たり)

U-235 7億年 47 10kg

U-238 45億年 45 930kg

核種 半減期線量換算係数(μSv/kBq)

含有量(1トン当たり)

Pu-238 87.7年 230 0.3kg

Pu-239 2万4千年 250 6kg

Pu-240 6,564年 250 3kg

Pu-241 14.3年 4.8 1kg

核種 半減期線量換算係数(μSv/kBq)

含有量(1トン当たり)

Np-237 214万年 110 0.6kg

Am-241 432年 200 0.4kg

Am-243 7,370年 200 0.2kg

Cm-244 18.1年 120 60g

アクチノイド

超ウラン元素

マイナーアクチノイド

(TRU)

核分裂生成物

(FP)

核種 半減期線量換算係数(μSv/kBq)

含有量(1トン当たり)

Se-79 29万5千年 2.9 6g

Sr-90 28.8年 28 0.6kg

Zr-93 153万年 1.1 1kg

Tc-99 21万1千年 0.64 1kg

Pd-107 650万年 0.037 0.3kg

Sn-126 10万年 4.7 30g

I-129 1,570万年 110 0.2kg

Cs-135 230万年 2.0 0.5kg

Cs-137 30.1年 13 1.5kg

(MA)

線量換算係数: 放射性核種を人体に摂取した時の影響を示す指標。 放射能(ベクレル)あたりの被ばく(シーベルト)で示す。

線量換算係数: 放射性核種を人体に摂取した時の影響を示す指標。 放射能(ベクレル)あたりの被ばく(シーベルト)で示す。

Page 3: 核分裂生成物の核変換技術の現状について核分裂生成物の核変換技術の現状について 平成25年9月9日 日本原子力研究開発機構 核変換対象LLFP核種

1E+1

1E+2

1E+3

1E+4

1E+5

1E+6

1E+7

1E+8

1E+9

1E+0 1E+1 1E+2 1E+3 1E+4 1E+5 1E+6 1E+7 1E+8

潜在

的な

有害

度(S

v/tS

F)

再処理後経過時間(年)

天然ウラン9t

Np

Sr90

Tc99

Cs135Zr93

天然ウラン9t

Np

Sr90

Tc99

Cs135Zr93

Sn126Se79

3

核変換対象核種 (1/3)

高レベル廃液中+ヨウ素の潜在的毒性

アクチノイド核種を回収、核変換することで1000年以降の潜在的な毒性を2桁低減

潜在的な有害度=経口摂取した場合の被ばく線量(Sv)

Page 4: 核分裂生成物の核変換技術の現状について核分裂生成物の核変換技術の現状について 平成25年9月9日 日本原子力研究開発機構 核変換対象LLFP核種

4

HLWガラス固化体4万本からの公衆被ばく TRU廃棄物(HLWガラス固化体4万本相当)からの公衆被ばく

1E-12

1E-11

1E-10

1E-9

1E-8

1E-7

1E-6

1E-5

1E+2 1E+3 1E+4 1E+5 1E+6 1E+7

時間(年)

線量

(Sv/

年)

Total

I-129

C-14

Cl-36

Mo-93

Se-79

Cs-135

I129

C14

Cl36

I-129が支配的100万年までは、Cs-135,Se-79,Zr-93などのLLFPが支配的。その後はMA。

1E-15

1E-14

1E-13

1E-12

1E-11

1E-10

1E-9

1E-8

1E-7

1E-6

1E-5

1E+2 1E+3 1E+4 1E+5 1E+6 1E+7

時間(年)

線量

(Sv/

年)

Se-79

Zr-93

Tc-99

Sn-126

Cs-135

Sm-151

Pu-240

U-236

Th-232

Cm-245

Pu-241

Am-241

Np-237

U-233

Th-229

Cm-246

Pu-242

U-238

U-234

Th-230

Ra-226

Pb-210

Am-243

Pu-239

U-235

Pa-231

Ac-227

total

Se-79

Cs-135

Th-229

Total

Np-237

Zr-93

核変換対象核種 (2/3)

地層処分場からの公衆被ばく

JNC TY1400 2001-001 図4.5.6-1(a)JNC TN1400 99-023(第二次取りまとめ)と同条件の評価

Page 5: 核分裂生成物の核変換技術の現状について核分裂生成物の核変換技術の現状について 平成25年9月9日 日本原子力研究開発機構 核変換対象LLFP核種

5

• 公衆被ばくの観点から、I-129、Cs-135、Se-79、Zr-93が候補。

• 潜在的な有害度の観点から、Tc-99、Sn-126が追加。

• I-129: 中性子捕獲によってXeの安定同位体となる。高温において安定で被覆管共存性の高い化学形態の選定が課題。

• Tc-99: 中性子捕獲によってRuの安定同位体となる。発生量が比較的大きい。

• Cs-135: 中性子捕獲によってBaの安定同位体となる。Cs-135の同位体分離が課題。

核変換対象核種 (3/3)

核変換対象とするLLFP核種

Page 6: 核分裂生成物の核変換技術の現状について核分裂生成物の核変換技術の現状について 平成25年9月9日 日本原子力研究開発機構 核変換対象LLFP核種

I, Tc, Csの核変換目標

6

ADSで軽水炉10基からのLLFPを核変換 FBRで自分自身からのLLFPを核変換

軽水炉10基

MA,LLFP

ADS1基 再処理(MA, LLFP) 高速炉1基 再処理(MA, LLFP)

要求性能

ADSで10基の軽水炉を賄う場

合(SF=10)

高速増殖炉で自分自身からのFPを核変換

する場合(SF=1)

I-129 46 6.6 Tc-99 201 21

Cs-135 108 34

核変換目標値(kg/yr/基)

半減期熱中性子捕獲

断面積[b]生成量(kg/GWe/yr)軽水炉 高速増殖炉

I-129 1.57E+6年 30.32 4.6 6.6Tc-99 2.11E+5年 23.6 20.1 20.5

Cs-135 2.3E+6年 8.3 10.8 34.1

商用炉1基あたりの年間発生量(kg/GWe/yr)

SF=サポートファクター。1基の核変換炉が賄える100万キロワット商用炉の基数

Page 7: 核分裂生成物の核変換技術の現状について核分裂生成物の核変換技術の現状について 平成25年9月9日 日本原子力研究開発機構 核変換対象LLFP核種

LLFP核変換のための炉心設計(1/2)

7

LLFP 集合体設計例(中空BaI2+ZrHペレット)

高速炉炉心設計例

陽子ビーム

25 115 1700 135

MA炉心

核破砕ターゲット

反射体

LLFPブラン ケット

LLFPブラン ケット

200

150

50

180

20

r(cm)

z(cm)

ADS炉心設計例ADS軸方向LLFPブランケット概念

横山、他、Global2009, paper 9060

西原健司他、Global2001

内側炉心

外側炉心

ブランケット

LLFP集合体

SF=10を目標に核変換量を最大化する設計SF>1を条件とし、経済性の観点から

LLFP集合体数を最小化する設計

Page 8: 核分裂生成物の核変換技術の現状について核分裂生成物の核変換技術の現状について 平成25年9月9日 日本原子力研究開発機構 核変換対象LLFP核種

LLFP核変換のための炉心設計(2/2)

8

I-129 Tc-99 Cs-135

ADS*1

炉心装荷量 kg/基 1640 1550 -核変換量 kg/yr/基 47 61 -

SF 10.3 3.0 -

FBR炉心装荷量 kg/Gwe ~70*2 ~350*2 ~800*3

核変換量 kg/yr/GWe 6.6 41 16SF 1.0 2.0 0.5

ADSとFBRの核変換性能

*1西原他 Global2001より。ADSでは、IとTcのどちらか一方を核変換した場合。Csは未検討 *2横山他Global2009より。核変換装荷量等は記載された核変換率から概算した。*3 JNC TN9400 2001-098より。炉心は横山らの検討と同様。

ADSでは軽水炉10基分のI-129を核変換できるが、Tc-99は発生量が多く核変換しきれない。Csは未検討だが、核変換困難と予想される。FBRでは、自分自身から発生するI-129とTc-99を核変換でき目標を達成。Cs-135は核変換困難であり対象から除外した。

赤字:目標達成青字:目標未達成

Page 9: 核分裂生成物の核変換技術の現状について核分裂生成物の核変換技術の現状について 平成25年9月9日 日本原子力研究開発機構 核変換対象LLFP核種

ま と め

9

LLFPのうち、処分後の潜在的毒性・公衆被ばく評価で影響の大きいI-129、Tc-99、Cs-135を核変換対象として選定した。

加速器駆動システム(ADS):

10基の軽水炉からのLLFPを核変換することを目標とした。

I-129については目標性能を有する炉心概念を得たが、Tc-99とCs-135の核変換は困難である。

高速増殖炉:

自身の燃料部から発生するLLFPを、外周ブランケット部で核変換する事を目標とした。

I-129とTc-99については目標性能を有する炉心概念を得たが、Cs-135の核変換は困難である。

Cs-135の核変換については有望な概念が見つかっていない。同位体分離技術のブレイクスルーが必要である。

Page 10: 核分裂生成物の核変換技術の現状について核分裂生成物の核変換技術の現状について 平成25年9月9日 日本原子力研究開発機構 核変換対象LLFP核種

参考資料

10

Page 11: 核分裂生成物の核変換技術の現状について核分裂生成物の核変換技術の現状について 平成25年9月9日 日本原子力研究開発機構 核変換対象LLFP核種

核変換ターゲットの研究開発 (1/2)

テクネチウムの核変換ターゲット

11

金属テクネチウムは核変換ターゲットの候補材

» テクネチウムの融点は2430±30 K» 欧州の共同研究において金属テクネチウム棒の照射試験

– 結晶学的異方性(六方晶)による照射成長が懸念されていたが、ほとんど生じず

» 核変換するとテクネチウム-ルテニウム合金

金属テクネチウムとテクネチウム-ルテニウム合金の調製と特性評価

» 格子定数、熱膨張、比熱容量、熱拡散率、熱伝導率

0 20 40 60 80 100Ru concentration (at%)Tc Ru

a-axis

c-axis0.440

0.445

0.435

0.430

0.425

0.280

0.275

0.270

0.265

Latti

ce p

aram

eter

(nm

)

0 20 40 60 80 100Ru concentration (at%)Tc Ru

a-axis

c-axis0.440

0.445

0.435

0.430

0.425

0.280

0.275

0.270

0.265

Latti

ce p

aram

eter

(nm

)

0

20

40

60

80

100

120

400 600 800 1000 1200Temperature (K)

Tc0.26Ru0.74

Tc0.76Ru0.24

Tc0.51Ru0.49

Tc

Ru

Ther

mal

con

duct

ivity

(W

/m K

)

0

20

40

60

80

100

120

400 600 800 1000 1200Temperature (K)

Tc0.26Ru0.74

Tc0.76Ru0.24

Tc0.51Ru0.49

Tc

Ru

Ther

mal

con

duct

ivity

(W

/m K

)

直径4 mm 直径5 mmアーク溶解-鋳造法による試料調製 格子定数の組成依存性 熱伝導率の温度依存性

試料調製装置(グローブボックス内)

Page 12: 核分裂生成物の核変換技術の現状について核分裂生成物の核変換技術の現状について 平成25年9月9日 日本原子力研究開発機構 核変換対象LLFP核種

核変換ターゲットの研究開発 (2/2)

ヨウ素の核変換ターゲット

12

ヨウ素I2の融点は386.6 K、沸点は457.4K» このままの化学形では核変換ターゲットとして用いるのは困難

» 核変換生成物(Xe)は気体

» ターゲット材に適切なヨウ素化合物の選定が必要

– 融点、中性子捕獲断面積、長寿命核種生成の有無、潮解性・吸湿性の有無、被覆管材との両立性など

ターゲット候補材の特性評価 (安定核種のヨウ素-127を使用)

» 被覆管材との両立性、熱伝導率等を測定評価

– 適切な候補材を選定中

ODS鋼(反応あり)

SUS316鋼(反応なし)

BaI2BaI2

両立性試験(600℃×3000h)

CuI試料

化合物 融点(K) 金属の融点(K) 長寿命核種の生成 化学的安定性 両立性

BaI2 984 1002 133Ba: 10.5 y 潮解性 課題あり

YI3 1270 1799 なし 潮解性 課題あり

MgI2 907 922 なし 潮解性 課題あり

CaI2 1052 1112 41Ca: 1.03 x 105 y 潮解性 課題あり

CuI 868 1358 63Ni: 100.1 y 大気中安定 課題あり