株式市場の非効率性を利用した調達、 買収 · 1...

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1 株式市場の非効率性を利用した調達、そして買収ライブドアのケーススタディ 早稲田大学商学部 広田ゼミ3年 安中 石川 都夢 窪田 明典 西 直人 八尾 このPDFは pdfFactory Pro 試用版で作成されました ㌴㌳㌳ www.nsd.co.jp/share/

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株式市場の非効率性を利用した調達、そして買収へ

ライブドアのケーススタディ

早稲田大学商学部 広田ゼミ3年

安中 尚 石川 都夢 窪田 励 橘 明典 西 直人 八尾 聡

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1. はじめに ここ数年、日本経済が回復局面にあり、企業の設備投資に対する意欲も高まってきている。

そのため設備投資用の資金を調達しようと新株を発行するケースが増えてきているが、企業

としては当然少しでも高い価格で株式を発行したい。そしてそのためには株式市場の非効率

性を利用しようとしても不思議ではないだろう。本稿では企業が資金を調達する際に、実際

に株式市場の非効率性を利用しようとしているケースが存在することを示す。 1980 年代以降、現代ポートフォリオ理論では説明できないようなアノマリーの存在につ

いて数多くの指摘がなされ、その解明に挑んだ研究も数多い。株式市場において現代ポート

フォリオ理論が想定するように、適切な価格が形成されるならば、資金を必要としているて

いどにおいて、資金が分配され、最適な配分を達成することができる。しかし、何らかの要

因で市場が非効率的で、株価が適切に形成されない場合、さほど資金を必要としていない主

体が必要以上に安く、資金を必要としている主体が必要以上に高い金利を支払わなければな

らなくなる。そのために企業にとって必要な投資でも行われなくなったり、規模が小さくな

ったりしてしまうかもしれない。また、さほど必要でない投資を新たに実施してしまったり、

規模を大きくして行ったりするかもしれない。この結果、経済全体としては非効率が発生し

てしまう。我々はこのような状況は日常的に生じていて、その非効率性を利用した行動もあ

るのではないか、という仮定をもとに分析を開始した。 次節以降の分析ではそのように市場の非効率性を利用した企業としてライブドアをとり

あげ、株式分割とその後の資金調達、買収という流れを考察した。またライブドアの特異性

を示すために、同じ IT 系の企業であるが、本業の安定性という点で違いがある楽天を比較材料としてとりあげる。ライブドアと楽天は、ともにプロ野球への参入問題で話題になった

企業であり、同じような IT系企業として並び評されることも多い。しかし今回の分析では、両企業は収益構造、資金調達、M&Aの仕方に違いがあるということを示している。ライブドアは資金を調達する際に市場の非効率性を利用している節があるのに対し、楽天ではその

ような動きは見られなかった。この違いは、ライブドアと楽天がそれぞれ展開する事業で、

どれだけ確実に収益を生み出せているかに起因している、というのが我々の結論である。 本稿の構成は以下のとおりである。まず 2節でライブドアの事業収益についての考察を行う。その際、楽天を比較対象としてとりあげることで、ライブドアの事業構造の特徴を浮か

び上がらせる。次に 3節ではその特徴を前提にライブドアがどのような資本調達の戦略をとっているのかについて考察する。最後に 4節で今回の分析の結論を述べる。

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2. ライブドアの事業収益の内訳 この章では、ライブドアの事業部別の収益を楽天と比較し、ライブドアの収益を概観する。

その上でM&Aに頼って成長している部分の割合を算出し、ライブドアの成長の特徴を考察する。

ライブドアの事業編成 まず、ライブドアの事業部がどのように編成されているかを紹介する。ライブドアは 1996

年に設立されたホームページ製作会社「オン・ザ・エッヂ」をその前身とし、その後、2000

年に東証マザーズに上場した。2002年 11月、民事再生法を申請していた無料プロバイダ会

社「旧・ライブドア」を買収し、2004年にはネット広告会社バリュークリックジャパン、日

本グローバル証券(現・ライブドア証券)等の買収を行なった。これまでさまざまな M&Aを

繰り返し、大きく成長してきたという特徴を持っている。また現在では和解しているが、2003

年に吸収合併を視野に入れてイーバンクの筆頭株主になったが、経営方針の違いから紛争が

生じた。

ライブドアは買収を数多く行っているためか、毎期事業部の名前、数は一定しておらず、

現在は以下の7事業に分類されている。

①コンサルティング事業 ネットマーケティング、企業ホームページ作成、人材派遣事業。 ② モバイルソリューション事業 携帯電話等の販売等。

③ ネットソリューション事業 データセンター運営、コールセンター運営や LinuxOSの販売。 ④ネットメディア事業 ネット広告配信、無料プロバイダ、ポータルサイト運営等。 ⑤イーコマース事業 ショッピングモールの運営。 ⑥ソフトウェア事業 メールソフト、ブラウザソフトの販売、DVDコピーソフト等の開発・販売 ⑦イーファイナンス(投資)事業 証券業を中心とした消費者ローン、ベンチャー投資事業等 参考までに 2004年度の各セグメントの営業利益に関する貢献度のグラフを以下に載せる。2003年度以前については現在とセグメントが大きく変わってしまっているので、省略した。 注)この論文で用いている全ての資料はそれぞれの企業の決算短信、有価証券報告書を基に

作成した。

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グラフ2-1 ライブドア 2004年度営業利益(内部消去前)

5391

700

680

669

653

555 -58 イーファイナンス事業

ネットワークソリューション事業コンサルティング事業

ネットメディア事業

モバイルソリューション事業ソフトウェア事業

イーコマース事業

この表から、2004 年度のライブドアはイーファイナンス事業が収益のかなりの部分を占

めていることがわかる。 ライブドアの本業 上場初期のライブドアの事業部は、以下の 3事業とその他の事業に分類されていた。 ①ウェブ製作

ウェブページなどの製作、管理及び運営

②ウェブ管理

バーチャルホスティング及びハウジング

③ウェブ手数料事業

インターネットコンテンツの提供

④その他

②のバーチャルホスティング及びハウジングについて補足すると、前者は、ホームページ

の開設などのことを望む顧客に対して、データセンター内で所有する設備機器の一部を貸与

するサービスのことであり、後者は顧客のサーバやルータなどの設備を物理的にあずかり、

運用、管理を行うサービスのことである。これにまず投資業務が加わり、以降数回の変遷を

経て、現在のセグメント分割に至ることとなった。

各セグメントの収益の変遷を見ていこうとしたが、セグメントの移り変わりが激しく、前

のセグメントが変化後にどのセグメントに移行したかがわからないので、データの連続性を

維持するのが困難であった。そのため昔から内容の変わっていないイーファイナンス(投資)

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事業の推移を見ることにする。

投資部門は 2001 年度からできているが、ライブドア証券(旧日本グローバル証券)を買

収した 2004年度に爆発的に収益が増加している。M&Aによって、もっとも大きく成長したの

がイーファイナンス(投資)事業だともいえる。よって、イーファイナンス(投資)事業と

その他の事業の営業利益の比率を比べれば、ライブドアがどれだけ M&Aに頼って成長してい

るかを明らかにすることができるだろう。以下に、2000年から 2004年までの、イーファイ

ナンス(投資)事業とそのほかの事業の営業利益の比較のグラフを載せる。

グラフ2-2 ライブドア イーファイナンス(投資)事業とそのほかの営業利益推移

ライブドア営業利益推移

-1000

0

1000

2000

3000

4000

5000

6000

2000 2001 2002 2003 2004

年度

百万円 投資事業

その他事業

グラフ2-2の具体的な数値と、前年度比の成長率を表すと以下のような表になる

ライブドア 2000年 2001年 2002年 2003年 2004年

投資事業 (百万円) 0 25 503 887 5391

成長率 (%) - - 2012 176.3419 607.779

その他事業(全体-投資)

(百万円) -179 195 682 574 263

成長率(%) - -108.939 349.7436 84.16422 45.81882

全体(百万円) -179 220 1185 1461 5654

成長率(%) - -122.905 538.6364 123.2911 386.9952

投資事業割合(%) - 11.36364 42.44726 60.71184 95.34843

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以上のライブドアの収益を楽天と比較してみる。まず、楽天の事業部別営業利益の推移の

グラフを載せる。

グラフ 2-3 楽天、事業部別営業利益推移

楽天営業利益推移

-2,000

0

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

12,000

14,000

16,000

2000 2001 2002 2003 2004

年度

百万円

金融事業

トラベル事業

メディアポータル事業

EC事業

グラフ2-3の具体的な数値と、前年度比の成長率を表すと以下のような表になる。

楽天 2000年 2001年 2002年 2003年 2004年

EC事業(百万円) 1,048 1,799 2,355 4,056 7,362

成長率(%) - 171.6603 130.9061 172.2293 181.5089

メディア・ポータル事業(百万円) -1 -193 195 478 813

成長率(%) - - - 245.1282 170.0837

トラベル事業(百万円) 0 0 0 210 2,165

成長率(%) - - - - 1030.952

金融事業(百万円) 0 0 0 0 4,739

成長率(%) - - - - -

計(百万円) 1,047 1,606 2,551 4,750 15,078

成長率(%) 0 153.3906 158.8418 186.2015 317.4316

EC以外の事業の割合(%) 0 0 7.647059 14.50253 51.17713

楽天の事業部について説明しておくと、EC事業とはイーコマース事業のことで、「楽天市

場」と呼ばれるオンラインショッピングモールのことである。楽天市場への出店手数料など

が収益となっている。他のメディア・ポータル事業・トラベル事業・金融事業はそれぞれ上

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場後に買収した INFOSEEK・マイトリップネット・DLJ証券などが中心となっている。つまり、

EC事業以外は M&Aによって成長した事業である。

さらに、ライブドアのイーファイナンス事業が全体に占める割合と、楽天の EC 事業以外

の全体に占める割合を見てみる。これを比較することで、ライブドアと楽天の成長の M&A依

存度合いがわかる。つまり、ライブドアではイーファイナンス(投資)事業を M&Aで大きく

なった本業以外の部分と考え、楽天では EC以外の事業を M&A で大きくなった本業以外の部

分と考え、比較する。以下にその表を載せる。ただし、この割合はセグメント間の内部売上

高や振替高を消去後の値から算出しているので、最初にあげた 2004 年度ライブドア事業部

別営業利益のグラフの割合とは多少値が異なるところがある。

グラフ2-4 ライブドア、イーファイナンス(投資)事業の割合(内部消去後)

ライブドア、イーファイナンス(投資)事業の割合

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

2000 2001 2002 2003 2004

年度

%

グラフ 2-5 楽天、EC以外の事業の割合

楽天、EC以外の事業の割合

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

2000 2001 2002 2003 2004

年度

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この二つの表を見て、ライブドアのイーファイナンス事業と、楽天の EC 以外の事業はど

ちらも M&Aによって設立され、大きく成長した事業であることを考えると、ライブドアが楽

天に比べ、より M&Aに頼って成長しているということがわかる。二つの企業にはその成長方

法においてかなりの差がある。楽天は、既存の事業を成長させ必要に応じて M&Aを行い、企

業全体を成長させていく企業であると見えるのに対して、ライブドアは成長の方法自体が

M&Aであるようだ。2004年に楽天の全営業利益のうち M&Aで得た事業の割合が 50%強である

のに対し、ライブドアはイーファイナンス事業が 90%を超えており、この事業の大半が M&A

によって得たものであることを考えると、ライブドアの成長の特徴が浮き彫りになっている。

さて、楽天と比較することでライブドアの成長の特徴がはっきりしてきた。ライブドアは、

楽天以上に M&Aによって企業規模を拡大してきた企業であり、今では事業の大半が M&Aによ

って大きくなった事業で占められている。

M&A を考える上でもう一つ重要なことは、M&A をするための資金がどこから出ているか、

ということである。事業部別営業利益の推移の表(グラフ2-2、2-3)を見る限り、楽

天は安定したキャッシュフローを生み出す事業であるEC事業を抱えていることがわかるが、

ライブドアにはそれがない。

それでは、ライブドアはどのようにして買収資金を調達しているのであろうか。次節以降

でそこの点について検討してみたい。

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3. 分割、調達そして買収へ この節では、この論文の主題でもあるライブドアが、実際にどのように株式市場の非効率

性を利用し、資金調達を行い、その後M&Aを行っているのかという一連の流れを、楽天と比較することで詳しく検討する。そのために、両企業の株式分割、資金調達、M&Aについての流れを分析することにする。 株式分割 通常、株式分割とは株価水準を下げ最低取引単位の株式を取得するために必要な売買金額

を低下させ、株式取得を容易にすることによって、流動性を高めるねらいがある。理論的に

は他の条件が一定ならば株式分割を行うと、株価が下落する。例えば 550円の株価に関して、1 株を 1.1 株へ分割する株式分割を行うと、株式分割後の株価は理論的に 500(=550÷ (1+0.1))円となる。したがって、その後の取引価格が 520円の場合には実質的に株価上昇、480円の場合には実質的には株価下落ということになる。1)つまり、株式分割にしたがって発

行済み株式数は変化するわけだが、企業価値に変化が生じることはない。そのため市場が効

率的であるならば、発行済み株式数が増えた割合だけ、1株あたりの株価は下落するはずということである。 この株式分割の前後で、発行済み株式数の増加を考慮して分割調整した株価を求めること

ができる。2)この株価が株式分割前後で顕著に反応している場合、その株式は非効率的に

動いているということになる。以下の分析で株式分割時の市場の動きを考察する。 データと分析方法 本節では、ライブドアが今まで行った四回の分割のうち、2003年 12月 26日に行った 100分割と 2004年 6月 25日に行った 10分割のケースについて、分割前後の超過収益率を計算した。3) 株式分割の効果を見るためにイベントスタディを行い、株式分割実施日を t=0とし、営業日ベースで t=-30から t=30までと t=-60から t=60までの収益率と市場収益率を入手した。4)

1)株式分割は、「証券市場と行動ファイナンス」(俊野雅司 2004)を参考にした。 2)分割調整株価の求め方 過去の分割前の株価を現在の株価水準に合わせることで求める。 例 100分割した後と前の株価を調整する場合は、分割前の株価/100をする。

3)2003 年以前の分割については、ライブドアが上場しているマザーズのマザーズ指数を得ることができなかったので、今回の論文ではベータを算出しての分析はしなかった。

4)ライブドアの株価収益率は、公開されているライブドアの株価に基づき計算した。また市場収益率は、マザーズ指数を用いて計算した。

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次に、累計超過収益率 CAR を以下の式に基づき計算した。この値は市場リスク(市場収益率に対する CAPMβ)を調整した上で算出した。βは、ライブドアの t=-60 から-1 までの収益率を被説明変数、市場収益率を説明変数として回帰分析を行い推計した。これと同様

に楽天も 2000年 5月 26日に行った 8分割、2002年 6月 25日に行った 10分割を分析した。5)

CARt1,t2= ∑t=t1

t2rl.t -β ∑

t=t1

t2rm.t 6)

ただし、rl.t:ライブドアの収益率、rm.t:市場収益率

検証結果 では、ライブドアの株式分割前後の株価はどのように動いたのだろうか。次ページ以降の

図 3-1(a),(b)は、2003年の株式分割前後の CARの動きを、図 3-1(c),(d)は 2004年に行われた株式分割前後の CARの動きを表したものである。そして図 3-1(e)が 2000年に行われた、(f)が 2002年に行われた楽天の株式分割前後の CARの動きを表したものである。

5)楽天の株価収益率は、Yahooファイナンスに載っている楽天の株価を参考にして計算し た。市場収益率は JASDAQ指数を用いて計算した 6)超過収益率の計算方法は「証券市場と行動ファイナンス」(俊野雅司 2004)を参考にした。

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2003/12/26(100分割)

-1.5

-1

-0.5

0

0.5

1

1.5

-80 -60 -40 -20 0 20 40 60 80

日数

CAR

図 3-1(a)ライブドア t=-30から t=30

図 3-1(b) t=-60から t=60

2003/12/26(100分割)

-0.4

-0.2

0

0.2

0.4

0.6

0.8

1

1.2

-40 -30 -20 -10 0 10 20 30 40

日数

CAR

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2004/6/25(10分割)

-0.1

0

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

-80 -60 -40 -20 0 20 40 60 80

日数

CAR

図 3-1(c)ライブドア t=-30から t=30

図 3-1(d) t=-60から t=60

2004/6/25(10分割)

-0.1

0

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

0.7

-40 -30 -20 -10 0 10 20 30 40

日数

CAR

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図 3-1(e)楽天 t=-24から t=30

2000/5/26(8分割)

-0.4

-0.2

0

0.2

0.4

0.6

0.8

-30 -20 -10 0 10 20 30 40

日数

CA

R

図 3-1(f)楽天 t=-30から t=30

2002/6/25(10分割)

-0.3

-0.25

-0.2

-0.15

-0.1

-0.05

0

0.05

0.1

0.15

0.2

0.25

-40 -30 -20 -10 0 10 20 30 40

日数

CA

R

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これらの図から読み取れることは、どちらの企業にしても、株式分割直後には、直前より

も超過収益率が上昇しているということである。そして、あるていどの時間がたつとほぼ元

の水準に両方の超過収益率とも戻っていることがわかる。ただ、楽天が分割後一日だけ上昇

していることと比べるとライブドアは、分割後何日間もかけて上昇をする。さらに元の水準

に戻るのも楽天が 30日以内に戻っているのに対して、ライブドアの方は 30日では足りず、60日ほどかけて元の水準に戻る傾向がある。 株式分割の検証からわかること 両企業の株式分割直後の超過収益率を見てみると、理論的には変動しないはずなのに、超

過収益率は大きく動いている。この動きの理由は今回の論文の主題でないので取り扱わない

が、今後検討をする必要がある。ただ、これらの図から株式市場は非効率的に動いていると

いうことを確認することができる。 資金調達とM&A ここからは、ライブドアはどのように株式市場の非効率性を利用して資金調達やM&Aを行っているのかを考察する。先ほども述べたように、株式分割による株価の上昇は、実質的

な株価の上昇でなく株式市場の非効率性による上昇なので、仮にライブドアが株式分割直後

に増資等を行っていれば、市場の非効率性を利用して資金調達を行っていると言える。同様

に楽天についても考察する。 ・ ライブドアの資金調達、M&A一覧(付録 1参照)7) ・ 楽天の資金調達、M&A一覧(付録 2参照)8)

7)この資金調達一覧はライブドア 2004年半期有価証券報告書を基に作成した。 2004年の有価証券報告書はまだ手に入れることができなかったので、2004年の資金調達で一部情報が抜けている部分がある。

8)この資金調達一覧は楽天 2003年有価証券報告書を基に作成した。 2004年の有価証券報告書はまで手に入れることができなかったので、2004年の資金調達の情報は抜けている。

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(1)株式分割直後の資金調達、M&A ライブドアが株式市場の非効率性を利用して資金調達やM&Aを行っているのかを見るために、二回の分割後から株価が元の水準に戻るまでの期間に資金調達やM&Aをしているのかを考察する。2003年に行った株式分割の場合は、分割後 45営業日間は元の水準に戻っていないので、2003年 12月 26日~2004年 3月 8日での動きを、2004年に行った分割の場合は、分割後 60 営業日たっても元の水準に戻っていないので分割後 60 営業日間つまり、2004年 6月 25日~2004年 9月 21日での動きを考察する。楽天の場合は、2000年の分割の場合は 2000年 5月 26日~2000年 7月 7日の 30営業日間の動き、2002年の分割の場合は 30営業日以前に元の水準に落ちているので 2002年 6月 25日~2002年 7月 24日の 21営業日間の動きを考察する。

ライブドアの動き ・2003年 12月 26日~2004年 3月 8日 ライブドアは分割直後に四回のストックオプションの行使により、資金調達を行っている。

これにより資本金が 4,654,709千円から 4,723,691千円に増加している。 ・2004年 6月 25日~2004年 9月 21日

8/30にロイヤル信販と 9/3にキューズネットを株式交換により買収している。ロイヤル信販は 7,626,000株の株式交換をしており、交換日は 10月 12日で直近三ヶ月の平均株価で交換している。キューズネットは 4,974,000株の株式交換をしており、交換日は 10月 12日で直近三ヶ月の平均株価で交換している。直近三ヶ月の平均株価は 542円なので、ロイヤル信販の実質買収金額は 4,134,018,286円、キューズネットは 2,696,381,714円となる。同時期に他にもジェイリスティング、アルチェ、サイバーアソシエイツの三社を株式取得により買

収しているが、この三社の買収金額はそれぞれジェイリスティングが 350,000,000円、アルチェが 163,294,831円、サイバーアソシエイツが 300,000,000円での買収となっており、株式交換により買収した企業よりも、非常に安い買収となっている。 楽天の動き ・2000年 5月 26日~2000年 7月 7日 特に資金調達も買収も行っていない。

・2002年 6月 25日~2002年 7月 24日 特に資金調達も買収も行っていない。

(2)分割直後ではない時期の資金調達 次に上で分析した以外の時期に、株式市場の非効率性を利用して、資金調達からM&Aを行っていないか考察する。ライブドアは資金調達自体何度もしているが、その中でも際立っ

て大きい額の資金調達であった、2003年 10月 1日と 2004年 4月 3日についてここで分析

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を行う。 まず注目したいのは、2003年 10月 1日に行われた増資である。ライブドアはこの増資に

よって資本金が 2,231,224千円から 4,654,709千円へと約 2倍に増加している。この増資の発行価格は 9月 16日~9月 19日のいずれかの株価×0.9~1.0となっているので、その時期までの株価の動きを以下にグラフで示す。

株価(2003年3月31日~2003年9月29日)

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

2003/3/31 2003/4/30 2003/5/31 2003/6/30 2003/7/31 2003/8/31

株式分割調整後株価

上のグラフから、資金調達を行う数ヶ月前から、ライブドアの株価が顕著に上昇している

ことがわかる。これは 2003年 6月 25日に行われた株式の 10分割の影響がまだ残っているためと考えられる。この後の買収は 2004 年 3 月 15 日まで起きていないので、ここで調達した資金がどれほど買収に使われたのかは定かではないが、少なくとも分割から調達へとい

う経路は確認できる。 次に 2004年 4月 3日の増資に注目する。ライブドアはここで発行価額が 35,868,000千円という巨大な資金調達を行っている。このときは直前の株式分割が 2003年 12月 26日であるので、分割から調達への流れをはっきり確認することができないが、その後にバリュー

クリックジャパンやジェイリスティングなど多数の買収を行っているように、調達から買収

への流れをはっきりと見て取ることができる。 仮説通り、ライブドアは株式分割により自社の株価が上がっている最中に、資金調達や

M&Aを行っていることが観察された。また、楽天は株式分割が行われた直後に資金調達やM&Aを行っておらず、楽天の場合は株式分割を行った理由は単純に自社株の流動性を高めるために行ったと言える。

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4. 結論 まずライブドアと楽天には大きな差があった。両社とも IT ベンチャーというくくりでは類似した企業であるが、その収益の内訳を見ると、大きな差がある。楽天が既存の事業を成

長させることで規模を拡大していく、従来型の企業であるのに対し、ライブドアはM&Aによって企業規模を拡大していく企業であるということがわかった。 次に、ライブドアは安定したキャッシュフローの源であるような事業を持たない。安定し

たキャッシュフローを生み出す事業がないということは、買収を行う資金を調達するには何

か別の手段を使って資金を集める必要がある。その手段というのが、分割→調達→買収、と

いう戦略である。ライブドアは株式市場の非効率性を利用して、まず株式分割することによ

って株価をあげてバブルをおこし、株価が上がった状態でストックオプションなどを使い、

資金調達をし、それを買収の資金源としたり、上昇した株価を用いて株式交換によるM&Aを行ったりしている。株式交換のM&Aを行う際も、新株を発行して株式交換をしているので、実質的には増資と同じである。このように、ライブドアは株価の非効率性を利用した資

金調達を繰り返し、いわゆる勝ち組 IT ベンチャーとなった企業であることが判明した。ライブドア以外の勝ち組となった企業にも、ライブドアと同様な資金調達を行っているものが

他にもあるのかも知れない。そのような企業が多くあるとすれば、非効率的な資源配分を行

っているということになり、最終的に経済全体の損失となってしまう。 今後の課題としては、ライブドアが買収した企業をしっかり成長させているかを分析する

ことが重要になってくる。単純に企業を買収して、収益が増加していても、それはライブド

アの外にあった事業を内に取り込んだために起こったことで、経済全体で考えると何も生み

出していない。むしろ、買収にかかるコストなどが株主に負担となってかかっているので、

かえって経済全体ではマイナスになっているともいえる。ここで買収した企業を成長させて

いるならば、経済全体に対しても価値を生み出している、ということになるので、買収は完

全に成功だったということができる。ただし、株価の非効率性を利用した買収は、バブルが

起きているときに株を買った株主に損をさせている。一般投資家が企業を評価するとき、マ

ーケットや世論の流れ、または売上高などわかりやすい財務指標で株価を決めてしまうこと

が多いが、その企業の中身までしっかりと分析することは、なかなか難しいこととはいえ、

投資家が株価を設定する上で非常に大切なことである。このような調達を繰り返し、株主が

企業に対して不信感を持つようになると、株式の流通が滞り、株式市場から資金調達をする

ことが難しくなるだろう。この結果、効率的な資源配分ができなくなり、経済全体に対して

マイナスになってしまうかもしれない。

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付録1 2004年ライブドア半期有価証券報告書を基に作成

年月日

発行済み株

式数総数増

減数

発行済み株

式総数残高

資本金増

減(千円)

資本金残

高(千円)

資本準備

金増減額

(千円)

資本金

準備金

残高(千

円)

有償株主割当1:3 1999年 8月 3日 600 800 30000 40000

有償第三者割当 注1) 1999年 9月 4日 150 950 225000 265000 225000 225000

有償第三者割当 注2) 1999年 9月 30日 50 1000 75000 340000 75000 300000

資本準備金の資本組入と株

式分割1:12 1999年 1月 11日 11000 12000 260000 600000 -260000 40000

有償・ブックビルディング方式

による募集 2000年 4月 6日 1000 13000 1487500 2087500 4062500 4102500

株式分割1:3 (発表日) 2000年 5月 15日

株式分割1:3(売買開始日) 2000年 5月 28日

新株引受権の権利行使 1999年 10月 1日~

2000年 9月 30日

42 13042 10500 2098000 4102500

新株引受権の権利行使

2000年 10月 1日~

2001

年 9月 30日

25 13067 3125 2101125 3125 4105625

無償・株式分割1:3(子株還

流日) 2001年 7月 23日 26134 39201 2101125 4105625

パイナップルサーバー買収

注3) 2001年 12月 5日 1943 41144 97150 2198275 224783 4330408

資本準備金減少決議 注4) 2002年 1月 26日 41144 2198275 -3780408 550000

アットサーバー買収 注5) 2002年 3月 28日 775 41919 7750 2206025 5083 555083

スプートニク買収 2002年 6月 28日

ビットキャット、ビットキャットコミュニケーシ

ョン買収 2002年 7月 16日

プロジー買収 2002年 9月 18日

新株引受権付社債の権利行

使 注6)

2002年 10月 1日~

2002年 9月 30日

80.98 41999.98 3374 2209399 3374 558458

ストックオプションの権利行使

注7)

2001年 10月 1日~

2002年 9月 30日

276 42275.98 11500 2220899 11500 569958

プロジーへ割当交付とストッ

クオプションの権利行使

2002年 12月 22日~

2002年 12月 21日

1088 43363.98 125 2221024 125 570083

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注8)

ストックオプションの権利行使

注9)

2002年 12月 22日~

2003年 3月 31日

29 43392.98 1208 2222232 1208 571291

株式分割1:10(発表日) 2003年 5月 19日

バガボンド買収 2003年 5月 29日

株式分割1:10(売買開始

日) 2003年 6月 25日

子会社を合併

注10) 2003年 4月 1日 43392.98 2222232 3848 575140

ストックオプションの権利行使

注7)

2003年 4月 1日~

2003年 6月 23日

83 43475.98 3458 2225690 3458 578598

ストックオプションの権利行使

注11)

2003年 6月 24日~

2003年 8月 19日

1328 44803.98 5553 2231224 5533 584132

無償・株式分割 1:10(子株

還流日) 2003年 8月 20日 391283.82 436087.8 2231224 584132

公募増資による新株式発行 2003年 10月 1日 80000 516087.8 2424400 4654709 2424320 3008452

株式分割1:100(発表日) 2003年 11月 19日

株式分割1:100(売買開始

日) 2003年 12月 26日

ストックオプションの権利行使

注12)

2003年 10月 1日~

2003年 12月 31日

1456 517543.8 6067 4660776 6067 3013699

ストックオプションの権利行使

注12)

2003年 10月 1日~

2003年 12月 31日

1530 519073.8 43627 4704403 43627 3057327

ストックオプションの権利行使

注12)

2004年 1月 1日~

2004年 2月 19日

66914 585987.8 19137 4723540 19070 3076246

無償・株式分割 1:100

(子株還流日) 2004年 2月 20日 51388306.2 51974294 4723540 3076246

ストックオプションの権利行使

注12) 2004年 2月 24日 3600 51977894 151 4723691 151 3076397

ターボリナックス買収 2004年 3月 15日

ウェブキャッシングドットコム買収 2004年 3月 15日 480771.9 52458665.9 240385 4964076 80610 3157013

クラサワコミュニケーションズ買収 2004年 3月 15日 913415.58 53372081.5 456707 5420784 2202 3159216

トライン買収 2004年 3月 15日 44448 53416529.5 22224 5443008 2076 3161292

新株引受権の権利行使 注1

6) 2004年 3月 18日 3012 53419541.5 126 5444087 123 3161416

日本グローバル証券買収 2004年 3月 23日

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ストックオプションの権利行使

注12) 2004年 3月 24日 10190 53429731.5 427 5443436 427 3161844

ストックオプションの権利行使

注12) 2004年 3月 26日 13790 53443521.5 579 5444015 579 3162423

新株引受権の権利行使

注16) 2004年 3月 29日 3012 53446533.5 126 5444142 123 3162547

ABS買収 注17) 2004年 3月 29日 700000 54146533.5 350000 5794142 658840 3821387

公募増資による新株式発行 2004年 4月3日

株式分割1:10(発表日) 2004年 5月 10日

MailCreation.Com 2004年 6月 4日

メディアクリップ買収(一部営業譲

渡) 2004年 6月 15日

テントラーコミュニケーションズ買収 2004年 6月 23日

株式分割1:10(売買開始日) 2004年 6月 25日

バリュークリックジャパン買収(一部

営業譲渡) 2004年 7月 2日

ジェイリスティング買収 2004年 7月 12日

アルチェ買収 2004年 8月 30日

ロイヤル信販買収 2004年 8月 30日

キューズネット買収 2004年 9月 3日

サイバーアソシエイツ買収 2004年 9月 3日

トリプルエーコミュニケーショ

ンズ買収 2004年 9月 3日

セッション買収 2004年 9月 3日

700000 54146533.5 350000 5794142 658840 3821387

(注) 1) 割当先:㈱光通信 2)割当先:㈱グッドウィル・コミュニケーション 3)㈱パイナップルサーバーサービスとの株式交換により、新株式 1,943株を株式交換の日の前日の同社の最終株主名簿に記載された株主に対し、その所有する同社普通株式 1株につき当社普通株式 0.0145株の割合をもって割当交付いたしました。

4)平成 13年 12月 21日開催の当社定時株主総会において、資本準備金 3,780,408千円の減少を決議しております。

5) ㈱アットサーバーとの株式交換により、新株式 775株を株式交換の日の前日の同社の最終株主名簿に記載された株主に対し、その所有する同社普通株式 1株につき当社普通株

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式 0.96875株の割合をもって割当交付いたしました。 6)商法等改正整備法第 19 条第2項の規定により新株予約権付社債とみなされる新株引受権付社債の行使

7)旧商法第 280条ノ 19の規定に基づく第1回ストックオプションの行使 8)平成 14年 10月1日から平成 14年 12月 21日までの間に、プロジーグループ㈱との株式交換により、新株式 1,085株を株式交換の日の前日の同社の最終株主名簿に記載された株主(当社を除く)に対し、その所有する同社普通株式 1 株につき当社普通株式 0.5833株の割合をもって割当交付いたしました。また、旧商法第 280条ノ 19の規定に基づくストックオプションの行使を行い、新株式3株(1株につき資本組入額 41,667 円)増加しております。

9)旧商法第 280条ノ 19の規定に基づく第1回ストックオプションの行使 10)平成 15年 4月 1日付を以って、完全子会社である株式会社エッヂコマース、株式会社パイナップルサーバーサービス、株式会社アットサーバー、ビットキャット株式会社、

プロジーグループ株式会社を商法第 408条第一項の定めによって合併しております。当該合併による新株式の発行及び資本金の増加はありませんが、合併差益 3,848千円を計上し資本準備金が増加しております。

11) 権利落後の旧商法第 280条ノ 19の規定に基づく第1回ストックオプションの行使 12)株式分割後の旧商法第 280条ノ 19の規定に基づく第1回ストックオプションの行使 13)ウェッブキャッシング・ドットコム㈱との株式交換により、新株式 480,771.9株を株式交換の日の前日の同社の最終株主名簿に記載された株主に対し、その所有する同社普通

株式 1株につき当社普通株式 80.12865株の割合をもって割当交付いたしております。 14)クラサワコミュニケーションズ㈱との株式交換により、新株式株 913,415.58 株を株式交換の日の前日の同社の最終株主名簿に記載された株主に対し、その所有する同社普通

株式 1株につき当社普通株式 245.74株の割合をもって割当交付いたしております。 15)㈱トラインとの株式交換により、新株式株 44,448 株を株式交換の日の前日の同社の最終株主名簿に記載された株主に対し、その所有する同社普通株式 1株につき当社普通株式 46.3株の割合をもって割当交付いたしております。 16) 第1回無担保社債(新株引受権付)の新株引受権の行使 17)㈱ABS との株式交換により、新株式 700,000 株を株式交換の日の前日の同社の最終株主名簿に記載された株主に対し、その所有する同社普通株式 1 株につき当社普通株式35株の割合をもって割当交付いたしております。

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付録 2 2003楽天有価証券報告書を基に作成

発行済株

式 発行済株式

資本金増

減額

資本金残

資本準備

資本準備

総数増減

数 総数残高 増減額 残高

年月日

(株) (株) (千円) (千円) (千円) (千円)

1999年 6月 30日

新株引受権の権利行使

注1)

― 571 ― 60,000 720 720

1999年 7月 1日

新株引受権の権利行使 注

1)

600 1,171 36,000 96,000 36,000 36,720

1999年 9月 22日

有償第三者割当 注2)

184 1,355 156,400 252,400 156,400 193,120

1999年 11月 25日

株式分割 1:8

9,485 10,840 ― 252,400 ― 193,120

1999年 12月 24日

資本準備金の資本金への組

― 10,840 193,120 445,520 △193,120 ―

2000年 4月 19日

有償一般募集 注

3)

1,500 12,340 15,937,500 16,383,020 30,862,500 30,862,500

2000年 7月 7日

株式分割 1:8

86,380 98,720 ― 16,383,020 ― 30,862,500

2000年 10月 1日

177.66 98,897.66 ― 16,383,020 170,727 31,033,227

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インフォキャストとの株

式交換による

2001年3月1日~

2001年 12月 31日

新株引受権社債の権利行使

561 99,458.66 7,012 16,390,032 7,152 31,040,380

2001年 6月 18日

資本準備金による自己株式

の消却による

△700 98,758.66 ― 16,390,032 △674,704 30,365,676

2002年 3月1日~

2002年 3月 31日

新株引受権社債の権利行使

1,336 100,094.66 16,700 16,406,732 17,034 30,382,710

2002年 5月 11日

資本準備金の取崩しによる

― 100,094.66 ― 16,406,732 △

10,000,000 20,382,710

2002年 8月 15日

株式分割 1:10

900,851.94 1,000,946.60 ― 16,406,732 ― 20,382,710

2002年 9月 1日

ビズシークとの株式交換によ

2,821 1,003,767.60 ― 16,406,732 50,904 20,433,614

2002年 10月1日~

2002年 10月 31日

新株引受権社債の権利行使

97 1,003,864.60 121 16,406,853 123 20,433,738

2002年 11月 1日

コミュニケーションオンライン

との株式交換による

2,862.50 1,006,727.10 ― 16,406,853 11,857 20,445,595

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2003年1月1日~

2003年 12月 31日

新株引受権社債の

権利行使

13,215 1,019,942.10 16,518 16,423,372 16,849 20,462,444

2003年 3月 1日~

2003年 3月 31日

新株引受権の権利行使

469 1,020,411.10 26,286 16,449,659 26,286 20,488,730

2003年 3月 28日

資本準備金の取崩による

― 1,020,411.10 ― 16,449,659 △

3,000,000 17,488,730

2003年 12月 10日

有償一般募集による 注4)

100,000 1,120,411.10 23,312,000 39,761,659 23,312,000 40,800,730

(注)

1) 第1回新株引受権付社債の新株引受権の権利行使によります。

発行価格 120,000円 資本組入額 60,000円

2)有償第三者割当によります。

発行価格 1,700,000円 資本組入額 850,000円

3) 有償一般募集によります。

発行価格 33,000,000円 引受価格 31,200,000円 発行価額

21,250,000円

資本組入額 10,625,000円

4) 有償一般募集によります。

発行価格 486,080円 引受価格 486,080円 発行価

額 466,240円

資本組入額 233,120円

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