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日本標準商品分類番号 87119 適正使用ガイド 本剤を使用するにあたっての注意点 【禁 忌】(次の患者には投与しないこと) 本剤の成分又はピペリジン誘導体に対し過敏症の既往歴のある患者 薬価基準収載

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Page 1: 適正使用ガイド - Pmda...日本標準商品分類番号 87119 適正使用ガイド 本剤を使用するにあたっての注意点 【禁 忌】(次の患者には投与しないこと)

日本標準商品分類番号 87119

適正使用ガイド本剤を使用するにあたっての注意点

 【禁 忌】(次の患者には投与しないこと)本剤の成分又はピペリジン誘導体に対し過敏症の既往歴のある患者

薬価基準収載

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1 はじめに 1  ・開発の経緯 1  ・アリセプトの概要 22 アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症とは 33 アリセプトの作用機序 64 アリセプトを投与する前に 75 アリセプトの使用に際して注意を要する患者様 7  1. 慎重投与 7  2. 重要な基本的注意 7  3. 高齢者への投与 8  4. 妊婦、産婦、授乳婦等への投与 8  5. 小児への投与 86 適応となる患者様とアリセプトの用法・用量 9  1. 効能・効果 9  2. 用法・用量 9  3. 用法・用量に関連する使用上の注意 107 アリセプトとの併用に注意する薬剤 11  1.相互作用 118 アリセプトのその他の使用上の注意 12  1. 過量投与 12  2. 適用上の注意 13  3. その他の注意 149 アリセプトを服用される患者様のご家族へ 1410 アリセプトの副作用とその対策 15  1. 注意を要する副作用 15   ①QT延長、心室頻拍(torsades de pointesを含む)、心室細動、洞不全症候群、    洞停止、高度徐脈、心ブロック、失神 15   ②心筋梗塞、心不全 16   ③消化性潰瘍、十二指腸潰瘍穿孔、消化管出血 17   ④肝炎、肝機能障害、黄疸 17   ⑤脳性発作、脳出血、脳血管障害 17   ⑥錐体外路障害 17   ⑦悪性症候群(Syndrome malin) 19   ⑧横紋筋融解症 19   ⑨呼吸困難 19   ⑩急性膵炎 19   ⑪急性腎障害 19   ⑫原因不明の突然死 20   ⑬血小板減少 20  2. 高い頻度でみられる副作用 20   ①消化器症状(食欲減退、嘔気、嘔吐、下痢) 20  3. 項目別副作用発現頻度及び臨床検査値異常一覧 2311 アリセプトの有効性(臨床成績) 33  1. 軽度及び中等度のアルツハイマー型認知症 33  2. 高度のアルツハイマー型認知症 35  3. レビー小体型認知症 36  Drug Information 39

目 次

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1

はじめに

アリセプトの有益性とリスクをご理解いただいた上で、アリセプトを適正に使用していただくため、本冊子を作成いたしました。アリセプトをアルツハイマー型認知症及びレビー小体型認知症患者様の治療にお役立ていただくため、添付文書とともに本冊子をご利用くださいますようお願い申し上げます。

開発の経緯

1 はじめに

ドネペジル塩酸塩はアセチルコリンエステラーゼ阻害剤であり、①血漿中濃度消失半減期が長いこと、②末梢性の副作用が少ないこと、③生体利用率が高く脳移行性も良いこと、の3項目を満たす化合物としてエーザイ株式会社によって見出された。国内では1989年1月より、米国では1991年2月より臨床試験を開始し、米国で1996年3月に申請し、優先審査により1996年11月に承認された。次いで米国の臨床試験データを基本として英国で1996年10月に申請、1997年2月に承認された。日本では1998年7月に申請し、優先審査により1999年10月承認された。軽度及び中等度アルツハイマー型痴呆(認知症)の適応に関して、2007年5月時点、アメリカ、イギリス等90カ国以上で承認されていた。日本における適応症は、1999年承認時点では、「軽度及び中等度アルツハイマー型痴呆(認知症)における痴呆(認知症)症状の進行抑制」であった。その後、「高度アルツハイマー型認知症」に関する臨床試験を実施し、錠、細粒、D錠について2005年12月に製造販売承認申請を行い、2007年8月に重症度に関係なく軽度から高度に至る「アルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制」に対する適応が承認された。日本において発売されている剤形については、錠剤(3mg、5mg含有)が1999年に承認されたが、対象患者は高齢者が多く、服用性の改善が要望されたことから、細粒剤(0.5%含有)を開発し、2001年3月承認された。その後、服薬困難を伴う患者に対して更に服用しやすい剤形が期待され、口腔内崩壊錠(以下D錠、3mg、5mg含有)を開発し、2004年2月に承認された。また2007年8月にアルツハイマー型認知症全般に対する適応が承認されるのと同時に10mg含有製剤(錠10mg、D錠10mg)が承認された。さらに、服薬コンプライアンス向上を目的として、内服ゼリー剤及びドライシロップ剤を開発し、それぞれ2009年7月、2013年2月に承認された。その後、「レビー小体型認知症」に関する臨床試験を2007年10月より開始し、2013年10月に製造販売承認申請を行い、2014年9月に「レビー小体型認知症における認知症症状の進行抑制」に対する適応が承認された。

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はじめに

アリセプトの概要(1)強力かつ選択的なアセチルコリンエステラーゼ(AChE)阻害作用を有する。(2)血漿中濃度消失半減期が長いので、1日1回投与である。(3)脳内でのAChEを阻害し、脳内アセチルコリン量を増加させる。(4)�アルツハイマー型認知症及びレビー小体型認知症の中核症状である認知機能障害の進行を抑制す

る。(5)D錠の特徴:

・口腔内で速やかに崩壊するため、服薬しやすい錠剤である。(6)内服ゼリーの特徴:

・水分誤嚥のある嚥下障害の患者に対し、適度な硬さと粘性を有している。・�服用に水を必要としないゼリー製剤であり、誤嚥の危険性や喉に詰まる危険性が低い。また、とろみをつける等の手間が省け服薬介護が簡便である。

(7)ドライシロップの特徴:・服薬コンプライアンスに優れ、介護者負担も軽減できる用時懸濁製剤である。・粉末のままでも服用しやすいドライシロップ剤である。

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アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症とは

アルツハイマー型認知症の診断基準

2 アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症とは

(DSM-ⅣによるAlzheimer病の診断基準)A.�以下の両方により明らかにされる多彩な認知障害の発現(1)記憶障害(新しい情報を学習したり、以前に学習した情報を想起する能力の障害)(2)以下の認知障害の一つ以上

a)失語、b)失行、c)失認、d)遂行機能障害(計画を立てる、組織化する、順序立てる、抽象化することの障害)

B.�基準A(1)およびA(2)の認知障害はその各々が社会的または職業的機能の著しい障害を引き起こし、病前の機能水準からの著しい低下を示す

C.��経過は穏やかな発症と持続的な認知機能の低下により特徴づけられるD.�基準A(1)およびA(2)の認知障害は以下のいずれによるものでもない(1)�記憶や認知に進行性の欠損を引き起こす中枢神経系疾患(例:脳血管性疾患、Parkinson病、

Huntington病、硬膜下血腫、正常圧水頭症、脳腫瘍)(2)�認知症を引き起こすことが知られている全身性疾患(例:甲状腺機能低下症、ビタミンB12または葉

酸欠乏症、ニコチン酸欠乏症、高カルシウム血症、神経梅毒、HIV感染症)(3)物質誘発性の疾患E.�その障害はせん妄の経過中にのみ現れるものではないF.�その障害は大うつ病性障害、統合失調症等精神病ではうまく説明されない

American�Psychiatric�Association,�Diagnostic�and�Statistical�Manual�of�Mental�Disorders.�Fourth�Edition.�Washington,�DC:American�Psychiatric�Association;1994.

(NINCDS-ADRDA研究班によるAlzheimer病の診断基準)臨床的確診(probable AD)の診断基準臨床検査およびMini-Mental�Test、Blessed�Dementia�Scaleあるいは類似の検査で認知症が認められ、神経心理検査で確認される。2つまたはそれ以上の認知領域で欠損がある。記憶およびその他の認知機能領域で進行性の低下がある。意識障害がない。40~90歳の間に発病し、65歳以後が最も多い。記憶および認知の進行性障害の原因となる全身疾患や他の脳疾患がない。

Probable ADの診断は次の各項によって支持される特定の認知機能の進行性障害:言語の障害(失語)、動作の障害(失行)、認知の障害(失認)等。日常生活動作(ADL)の障害および行動様式の変化。同様の障害の家族歴がある。特に神経病理学的に確認されている場合。臨床検査所見(髄液は通常の検査で正常。脳波は正常あるいは徐波活動の増加のような非特異的変化。CTは経時的検査により進行性の脳萎縮が証明される)

AD以外の認知症の原因を除外したのち、probable ADの診断と矛盾しない他の臨床的特徴経過中に進行が停滞することがある。うつ症状、不眠、失禁、妄想、錯覚、幻覚、激しい精神運動性興奮、性行動の異常、体重減少等の症状を伴う。特に進行した症例では筋トーヌスの亢進、ミオクローヌス、歩行障害等の神経学的異常所見がみられる。進行例では痙攣がみられることがある。年齢相応の正常なCT所見。

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アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症とは

Probable ADの診断が疑わしい、あるいはprobable ADらしくない特徴突発的な卒中発作。神経学的局所症状:片麻痺、知覚脱失、視野欠損、共同運動障害が病初期からみられる。痙攣発作や歩行障害が発症時あるいはごく初期から認められる。

臨床的疑診(possible AD)の臨床診断認知症が基盤にあり、原因となる他の神経学的、精神医学的、全身疾患がなく、発症、表現型、経過が典型的でない。原因となり得る他の全身疾患あるいは脳疾患が存在するが、現在の認知症の原因になっているとは考えられない。単一の徐々に進行する重度の認知症があり、他に明らかな原因がない(研究を目的とする場合)。

ADの確実な診断(definite)の基準は、probable ADの臨床診断基準と生検あるいは剖検による神経病理学的証拠に基づく。研究の目的でADの疾患分類をする際、次のようなサブタイプを鑑別する。家族性発症、65歳以前の発症、21トリソミーの存在、Parkinson病のような他の関連疾患の合併。

Mckhann�G,�Drachman�D,�Folstein�M,�et�al.�Clinical�diagnosis�of�Alzheimer’s�disease:report�of�the�NINCDS-ADRDA�Work�Group�under�the�auspices�of�Department�of�Health�and�Human�Services�Task�Force�on�Alzheimer’s�Disease.�Neurology.�1984;34(7):939-944.

Lewy小体型認知症(DLB)の臨床診断基準改訂版(第3回DLB国際ワークショップ)

(1)中心的特徴(DLBほぼ確実probableあるいは疑いpossibleの診断に必要)正常な社会および職業活動を妨げる進行性の認知機能低下として定義される認知症。顕著で持続的な記憶障害は病初期には必ずしも起こらない場合があるが、通常、進行すると明らかになる。

(2)中核的特徴(2つを満たせばDLBほぼ確実、1つではDLB疑い)a.注意や覚醒レベルの顕著な変動を伴う動揺性の認知機能b.典型的には具体的で詳細な内容の、繰り返し出現する幻視c.自然発生の(誘因のない)パーキンソニズム

(3)�示唆的特徴(中核的特徴1つ以上に加え示唆的特徴1つ以上が存在する場合、DLBほぼ確実。中核的特徴がないが示唆的特徴が1つ以上あればDLB疑いとする。示唆的特徴のみではDLBほぼ確実とは診断できない)a.レム期睡眠行動異常症(RBD)b.顕著な抗精神病薬に対する感受性c.SPECTあるいはPETイメージングによって示される大脳基底核におけるドパミントランスポーター取り込み低下

(4)支持的特徴(通常存在するが診断的特異性は証明されていない)a.繰り返す転倒・失神b.一過性で原因不明の意識障害c.高度の自律神経障害(起立性低血圧、尿失禁等)d.幻視以外の幻覚e.系統化された妄想f.うつ症状g.CT/MRIで内側側頭葉が比較的保たれる

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アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症とは

h.脳血流SPECT/PETで後頭葉に目立つ取り込み低下i.MIBG心筋シンチグラフィで取り込み低下j.脳波で徐波化および側頭葉の一過性鋭波

(5)DLBの診断を支持しない特徴a.局在性神経徴候や脳画像上明らかな脳血管障害の存在b.臨床像の一部あるいは全体を説明できる他の身体的あるいは脳疾患の存在c.高度の認知症の段階になって初めてパーキンソニズムが出現する場合

(6)症状の時間的経過(パーキンソニズムが存在する場合)パーキンソニズム発症前あるいは同時に認知症が生じている場合、DLBと診断する。認知症を伴うParkinson病(PDD)という用語は、確固たるParkinson病(PD)の経過中に認知症を生じた場合に用いられる。実用的には、臨床的に最も適切な用語が用いられるべきであり、Lewy小体病のような包括的用語がしばしば有用である。DLBとPDD間の鑑別が必要な研究では、認知症の発症がパーキンソニズムの発症後の1年以内の場合をDLBとする“1年ルール”を用いることが推奨される。それ以外の期間を採用した場合、データの蓄積や比較に混乱を生じることが予想される。臨床病理学的研究や臨床試験を含む、それ以外の研究の場合は、DLBとPDDの両者は、Lewy小体病あるいはαシヌクレイン異常症のようなカテゴリーによって統合的に捉えることが可能である。

レビー小体型認知症(DLB)と認知症を伴うパーキンソン病(PDD)の異同

①臨床病名として、認知症症状が錐体外路症状に先行して発症している場合はDLB、確固としたParkinson病(PD)の経過中に認知症症状が起こってきた場合にPDD(PD�with�dementia)という用語を用いる。②Lewy小体病Lewy�body�disease(LBD)はLewy小体の存在を特徴とするすべての病態を包括する疾患概念である。③DLBとPDDの間に本質的な違いがあるという証拠はない。DLBとPDDは、LBDの一つの疾患スペクトラムの中での認知障害や運動障害の時間的な出現順序や程度の違い、すなわち、同じ疾患の表現型のバリエーションと理解し得る。

参考文献1 McKeith�IG,�Dickson�DW,�Lowe�J,�et�al.Diagnosis�and�management�of�dementia�with�Lewy�bodies:Third�report�of� the�DLB�consortium.�Neurology.�2005;65:1863-72.

2 認知症疾患治療ガイドライン2010� コンパクト版2012.�日本神経学会監修,�「認知症疾患治療ガイドライン」作成合同委員会編集.�医学書院.

2 アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症とは

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アリセプトの作用機序

アルツハイマー型認知症及びレビー小体型認知症では、脳内コリン作動性神経系の顕著な障害が認められている。本薬は、アセチルコリン(ACh)を分解する酵素であるアセチルコリンエステラーゼ(AChE)を可逆的に阻害することにより脳内ACh量を増加させ、脳内コリン作動性神経系を賦活する。

■コリン作動性神経の神経伝達 ■アリセプト投与時の神経伝達

AChE(アセチルコリンエステラーゼ)

ACh(アセチルコリン)

コリンチャネル

酢酸コリン

AChACh

AChレセプター

前シナプス

後シナプス

アリセプト(ドネペジル塩酸塩)

3 アリセプトの作用機序

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アリセプトを投与する前に

4 アリセプトを投与する前に

【禁忌】本剤の成分又はピペリジン誘導体に対し過敏症の既往歴のある患者

1. 慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)

5 アリセプトの使用に際して注意を要する患者様

本剤はアセチルコリンエステラーゼ阻害剤であり、コリン作動性作用により以下に示す患者に対しては症状を誘発又は増悪する可能性があるため慎重に投与すること。(1)洞不全症候群、心房内及び房室接合部伝導障害等の心疾患のある患者(迷走神経刺激作用により徐脈あるいは不整脈を起こす可能性がある。)

(2)消化性潰瘍の既往歴のある患者、非ステロイド性消炎鎮痛剤投与中の患者(胃酸分泌の促進及び消化管運動の促進により消化性潰瘍を悪化させる可能性がある。)

(3)気管支喘息又は閉塞性肺疾患の既往歴のある患者(気管支平滑筋の収縮及び気管支粘液分泌の亢進により症状が悪化する可能性がある。)

(4)錐体外路障害(パーキンソン病、パーキンソン症候群等)のある患者(線条体のコリン系神経を亢進することにより、症状を誘発又は増悪する可能性がある。)

2. 重要な基本的注意

(1)�本剤の投与により、QT延長、心室頻拍(torsades�de�pointesを含む)、心室細動、洞不全症候群、洞停止、高度徐脈、心ブロック(洞房ブロック、房室ブロック)等があらわれることがあるので、特に心疾患(心筋梗塞、弁膜症、心筋症等)を有する患者や電解質異常(低カリウム血症等)のある患者等では、観察を十分に行うこと。

(2)�レビー小体型認知症では、日常生活動作が制限される、あるいは薬物治療を要する程度の錐体外路障害を有する場合、本剤の投与により、錐体外路障害悪化の発現率が高まる傾向がみられていることから、重篤な症状に移行しないよう観察を十分に行い、症状に応じて減量又は中止など適切な処置を行うこと。

(3)�他の認知症性疾患との鑑別診断に留意すること。(4)�定期的に認知機能検査を行う等患者の状態を確認し、本剤投与で効果が認められない場合、漫然と

投与しないこと。(5)�他のアセチルコリンエステラーゼ阻害作用を有する同効薬(ガランタミン等)と併用しないこと。(6)�アルツハイマー型認知症及びレビー小体型認知症では、自動車の運転等の機械操作能力が低下する

可能性がある。また、本剤により、意識障害、めまい、眠気等があらわれることがあるので、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事しないよう患者等に十分に説明すること。

D錠(7)�本剤は口腔内で崩壊するが、口腔の粘膜からは吸収されることはないため、唾液又は水で飲み込む

こと。

アリセプトの使用に際して注意を要する患者様

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アリセプトの使用に際して注意を要する患者様

3. 高齢者への投与

該当しない

4. 妊婦、産婦、授乳婦等への投与

(1)�妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療での有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。(動物実験(ラット経口10mg/kg)で出生率の減少、死産児頻度の増加及び生後体重の増加抑制が報告され

ている。)

(2)�授乳中の婦人への投与は避けることが望ましいが、やむを得ず投与する場合は、授乳を避けさせること。(ラットに14C-ドネペジル塩酸塩を経口投与したとき、乳汁中へ移行することが認められている。)

5. 小児への投与

小児に対する安全性は確立していない(使用経験がない)。

5 アリセプトの使用に際して注意を要する患者様

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適応となる患者様とアリセプトの用法・用量

1. 効能・効果

6 適応となる患者様とアリセプトの用法・用量

(1)効能・効果アルツハイマー型認知症及びレビー小体型認知症における認知症症状の進行抑制

(2)効能・効果に関連する使用上の注意アルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制①本剤は、アルツハイマー型認知症と診断された患者にのみ使用すること。

レビー小体型認知症における認知症症状の進行抑制①�本剤は、レビー小体型認知症の臨床診断基準に基づき、適切な症状観察や検査等によりレビー小体型認知症と診断された患者にのみ使用すること。

②精神症状・行動障害に対する本剤の有効性は確認されていない。両効能共通①�本剤がアルツハイマー型認知症及びレビー小体型認知症の病態そのものの進行を抑制するという成績は得られていない。

②�アルツハイマー型認知症及びレビー小体型認知症以外の認知症性疾患において本剤の有効性は確認されていない。

2. 用法・用量

アルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制

錠、D錠、ゼリー通常、成人にはドネペジル塩酸塩として1日1回3mgから開始し、1~2週間後に5mgに増量し、経口投与する。高度のアルツハイマー型認知症患者には、5mgで4週間以上経過後、10mgに増量する。なお、症状により適宜減量する。

細粒通常、成人には1日1回0.6gから開始し、1~2週間後に1.0gに増量し、経口投与する。高度のアルツハイマー型認知症患者には、1.0gで4週間以上経過後、2.0gに増量する。なお、症状により適宜減量する。

ドライシロップ通常、成人にはドネペジル塩酸塩として1日1回3mg(本剤0.3g)から開始し、1~2週間後に5mg(本剤0.5g)に増量し、経口投与する。高度のアルツハイマー型認知症患者には、5mg(本剤0.5g)で4週間以上経過後、10mg(本剤1.0g)に増量する。なお、症状により適宜減量する。

レビー小体型認知症における認知症症状の進行抑制

錠、D錠、ゼリー通常、成人にはドネペジル塩酸塩として1日1回3mgから開始し、1~2週間後に5mgに増量し、経口投与する。5mgで4週間以上経過後、10mgに増量する。なお、症状により5mgまで減量できる。

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適応となる患者様とアリセプトの用法・用量

細粒通常、成人には1日1回0.6gから開始し、1~2週間後に1.0gに増量し、経口投与する。1.0gで4週間以上経過後、2.0gに増量する。なお、症状により1.0gまで減量できる。

ドライシロップ通常、成人にはドネペジル塩酸塩として1日1回3mg(本剤0.3g)から開始し、1~2週間後に5mg(本剤0.5g)に増量し、経口投与する。5mg(本剤0.5g)で4週間以上経過後、10mg(本剤1.0g)に増量する。なお、症状により5mg(本剤0.5g)まで減量できる。

3. 用法・用量に関連する使用上の注意

錠、細粒、D錠、ゼリー(1)�3mg/日投与は有効用量ではなく、消化器系副作用の発現を抑える目的なので、原則として1~2

週間を超えて使用しないこと。(2)�10mg/日に増量する場合は、消化器系副作用に注意しながら投与すること。(3)医療従事者、家族などの管理のもとで投与すること。

ドライシロップ(1)�3mg(本剤0.3g)/日投与は有効用量ではなく、消化器系副作用の発現を抑える目的なので、原則

として1~2週間を超えて使用しないこと。(2)�10mg(本剤1.0g)/日に増量する場合は、消化器系副作用に注意しながら投与すること。(3)�医療従事者、家族などの管理のもとで投与すること。

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アリセプトとの併用に注意する薬剤

1. 相互作用

7 アリセプトとの併用に注意する薬剤

本剤は、主として薬物代謝酵素CYP3A4及び一部CYP2D6で代謝される。(1)併用禁忌とその理由

該当しない(2)併用注意とその理由

併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子

スキサメトニウム塩化物水和物 筋弛緩作用を増強する可能性がある。

併用薬剤の脱分極性筋弛緩作用を増強する可能性がある。

コリン賦活剤アセチルコリン塩化物カルプロニウム塩化物ベタネコール塩化物アクラトニウムナパジシル酸塩

コリンエステラーゼ阻害剤アンベノニウム塩化物ジスチグミン臭化物ピリドスチグミン臭化物ネオスチグミン等

迷走神経刺激作用などコリン刺激作用が増強される可能性がある。

本剤とともにコリン作動性の作用メカニズムを有している。

CYP3A阻害剤イトラコナゾールエリスロマイシン等

本剤の代謝を阻害し、作用を増強させる可能性がある。

併用薬剤のチトクロームP450(CYP3A4)阻害作用による。

ブロモクリプチンメシル酸塩イストラデフィリン

キニジン硫酸塩水和物等 併用薬剤のチトクロームP450(CYP2D6)阻害作用による。

カルバマゼピンデキサメタゾンフェニトインフェノバルビタールリファンピシン等

本剤の代謝を促進し、作用を減弱させる可能性がある。

併用薬剤のチトクロームP450(CYP3A4)の誘導による。

中枢性抗コリン剤トリヘキシフェニジル塩酸塩ピロヘプチン塩酸塩マザチコール塩酸塩水和物メチキセン塩酸塩ビペリデン塩酸塩等

アトロピン系抗コリン剤ブチルスコポラミン臭化物アトロピン硫酸塩水和物等

本剤と抗コリン剤は互いに干渉し、それぞれの効果を減弱させる可能性がある。

本剤と抗コリン剤の作用が、相互に拮抗する。

非ステロイド性消炎鎮痛剤 消化性潰瘍を起こす可能性がある。

コリン系の賦活により胃酸分泌が促進される。

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アリセプトのその他の使用上の注意

1. 過量投与

8 アリセプトのその他の使用上の注意

(1)徴候・症状コリンエステラーゼ阻害剤の過量投与は高度な嘔気、嘔吐、流涎、発汗、徐脈、低血圧、呼吸抑制、虚脱、痙攣及び縮瞳等のコリン系副作用を引き起こす可能性がある。筋脱力の可能性もあり、呼吸筋の弛緩により死亡に至ることもあり得る。

(2)処置アトロピン硫酸塩水和物のような3級アミン系抗コリン剤が本剤の過量投与の解毒剤として使用できる。アトロピン硫酸塩水和物の1.0~2.0mgを初期投与量として静注し、臨床反応に基づいてその後の用量を決める。他のコリン作動薬では4級アンモニウム系抗コリン剤と併用した場合、血圧及び心拍数が不安定になることが報告されている。本剤あるいはその代謝物が透析(血液透析、腹膜透析又は血液濾過)により除去できるかどうかは不明である。

患者:70歳代後半女性経過:

退院。血漿ドネペジル塩酸塩濃度は以下のように推移し、約4週間後の外来受診時には血中濃度は感度以下となったため、アリセプトを再開した。

入院4日目

患者が嘔吐。薬剤確認にて当日処方分のアリセプト5mg錠9錠がなくなっており、誤用が疑われた。

某日(午後11時頃)

入院時現症・検査所見:体温35.4℃、呼吸数20回/分、血圧160/80mmHg、心拍数40〜50/分台の洞性不整脈で、両側瞳孔の縮瞳、対光反射遅延、軽度呼吸障害を認める。

緊急外来受診(翌日午前1時40分)

急性アリセプト中毒と診断、アトロピン硫酸塩0.5mgを静注。速やかに心拍数60〜70/分、洞調律となった。呼吸障害、嘔吐、縮瞳は持続したため、入院の上、アリセプトを休薬し、輸液(2L/日)とフロセミド5mgを静脈注射。

入院後

呼吸障害、嘔気・嘔吐、縮瞳は消失。18時間後

国内における過量服用の症例報告

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アリセプトのその他の使用上の注意

2. 適用上の注意

錠(1)薬剤交付時

PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜に刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている)

D錠(1)薬剤交付時

PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜に刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている)

(2)服用時1)�本剤は舌の上にのせて唾液を浸潤させると崩壊するため、水なしで服用可能である。また、水で服用することもできる。

2)本剤は寝たままの状態では、水なしで服用させないこと。

ゼリー(1)投与経路

内服用のみに使用させること。(2)薬剤交付時

1)服用の直前にアルミ袋を開封するよう指導すること(主薬が酸化により分解されることがある)。2)包装又はカップごと服用しないよう指導すること。

(3)服用時1)本剤はカップ入りのゼリー製剤であり、スプーン等で投与しやすい大きさにして服用させること。

2)カップ開封後はできるだけ速やかに服用させること。

血漿ドネペジル塩酸塩濃度

入院時(午前7時)� 54.6ng/mL

同日午後8時� 47.3ng/mL

翌日午後3時� 40.0ng/mL

入院3日目午後5時� 27.7ng/mL

入院4日目午後2時� 18.1ng/mL

*矢野英隆ら:臨床神経学,�43,�482-6(2003)[ART-0927]

8 アリセプトのその他の使用上の注意

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アリセプトのその他の使用上の注意

ドライシロップ服用時本剤は、服用直前に水で懸濁し速やかに服用するが、粉末のまま水とともに服用することもできる。

3. その他の注意

(1)�外国において、NINDS-AIREN診断基準に合致した脳血管性認知症(本適応は国内未承認)と診断された患者を対象(アルツハイマー型認知症と診断された患者は除外)に6カ月間のプラセボ対照無作為二重盲検試験3試験が実施された。最初の試験の死亡率はドネペジル塩酸塩5mg群1.0%(2/198例)、ドネペジル塩酸塩10mg群2.4%(5/206例)及びプラセボ群3.5%(7/199例)であった。2番目の試験の死亡率はドネペジル塩酸塩5mg群1.9%(4/208例)、ドネペジル塩酸塩10mg群1.4%(3/215例)及びプラセボ群0.5%(1/193例)であった。3番目の試験の死亡率はドネペジル塩酸塩5mg群1.7%(11/648例)及びプラセボ群0%(0/326例)であり両群間に統計学的な有意差がみられた。なお、3試験を合わせた死亡率はドネペジル塩酸塩(5mg及び10mg)群1.7%、プラセボ群1.1%であったが、統計学的な有意差はなかった。

(2)�動物実験(イヌ)で、ケタミン・ペントバルビタール麻酔又はペントバルビタール麻酔下にドネペジル塩酸塩を投与した場合、呼吸抑制があらわれ死亡に至ったとの報告がある。

症状の観察について

9 アリセプトを服用される患者様のご家族へ

アリセプトを処方される患者様のご家族には下記の内容をお伝えください。(1)�アリセプトは認知症の症状の進行を遅らせるお薬です。アルツハイマー型認知症、レビー小体型認

知症は進行性の病気なので、たとえ症状に変化が見られなくとも、何も治療をしていない場合より、症状の進行を遅らせていると考えられます(維持効果)。

(2)軽い吐き気や食欲不振がでたり、便が軟らかくなることがあります。(3)活発になりすぎることがあります。(4)�パーキンソン症状(動作が遅くなったり、無表情、筋肉のこわばり、小刻みで歩く、転びやすいなど)

がある患者様では、パーキンソン症状が悪くなることがあります。

アリセプトを服用される患者様のご家族へ

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アリセプトの副作用とその対策

1. 注意を要する副作用

10 アリセプトの副作用とその対策

① QT延長、心室頻拍(torsades de pointesを含む)、心室細動、洞不全症候群、洞停止、高度徐脈、心ブロック、失神

注意点■本剤のコリン作動性作用により迷走神経が刺激されて心拍数を減少させる(徐脈)ことがあるので、QT間隔が延長する可能性があります。QT延長は高度になるとtorsades�de�pointesと呼ばれる心室頻拍、あるいは心室細動などの重症心室性不整脈を生じて、めまい、失神等の脳虚血症状や突然死を来たす恐れがあります。

■心疾患(心筋梗塞、弁膜症、心筋症等)を有する患者や電解質異常(低カリウム血症等)のある患者等では、観察を十分に行ってください。発現状況

■軽度及び中等度のアルツハイマー型認知症を対象とした国内臨床試験及び使用成績調査(再審査終了時)において徐脈(0.08%)が認められました。

■高度のアルツハイマー型認知症を対象とした国内臨床試験において徐脈(0.26%)、第一度房室ブロック(0.78%)、洞性徐脈(0.78%)、心電図QT延長(0.26%)が認められました。

■レビー小体型認知症を対象とした国内臨床試験において失神(0.29%)、徐脈(0.29%)、第一度房室ブロック(0.29%)、洞性徐脈(0.58%)、房室ブロック(0.87%)、心電図QT延長(1.16%)が認められました。対処方法

QT延長、心室頻拍(torsades�de�pointesを含む)、心室細動、洞不全症候群、洞停止、高度徐脈(各頻度不明)、心ブロック(洞房ブロック、房室ブロック)、失神があらわれ、心停止に至ることがあるので、このような症状があらわれた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行ってください。

洞停止患者

1日投与量投与期間

副作用性年齢

使用理由〔合併症〕

経過及び処置

女80代

アルツハイマー型認知症〔発作性心房細動〕

3mg7日間5mg14日間10mg14日間

投与5日前 軽度認知症。辻褄の合わない事を話し、記銘力低下が認められた。

投与開始日 本剤投与開始。

投与8日目 本剤5mgに増量。

投与22日目 本剤10mgに増量。

投与35日目 本剤10mg投与後14日目に自覚症状(±)の洞停止3sec有。この2-3日前に嘔気・嘔吐、めまい感有。モニターを装着した。

投与36日目(投与中止日)

本剤中止。

既往歴 中止4日目 HR�27拍/分。昼夜不問。

大腿部頚部骨折 中止5日目 R-R�max�6sec、本人意識障害等出現せず。この日以後、徐脈傾向を認めず。

併用薬:クロピドグレル硫酸塩、酸化マグネシウム、クエン酸第一鉄ナトリウム、ワルファリンカリウム

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アリセプトの副作用とその対策

QT 延長症候群、トルサード ド ポアン患者

1日投与量投与期間

副作用性年齢

使用理由〔合併症〕

経過及び処置

女80代

アルツハイマー型認知症〔不眠症、逆流性食道炎、肝癌、全身浮腫、腹部膨満感、腹水、心房細動〕

5mg投与期間不明

投与開始日 不明

発現約1年前 �慢性C型肝炎・肝硬変にて消化器内科通院。

発現約10ヵ月前 QTc�563msec。心拍数59拍/分。

発現9日前 �腹水コントロールのため、消化器内科入院。

発現日 �夕食後、病室にて心肺停止状態で発見。心室細動に対し除細動を行い、自己心拍が再開した。人工呼吸管理となり、ICU入室。リドカインの持続注射を行うが、心室頻拍を繰り返した。

発現2日後(投与中止日)

�循環器内科へ紹介。1日前の心電図でQT延長(QTc�576msec、心拍数�68拍/分)を認め、心室頻拍発作時の波形からトルサード�ド�ポアンと診断。Mgの静注、イソプロテレノールの持続静注、プロポフォールによる鎮静強化を行うもトルサード�ド�ポアン発作を繰り返した。緊急で右心室に体外式ペースメーカー挿入、心拍数80拍/分を維持。挿管中、内服薬は中断。

既往歴 中止1日後 心室頻拍出現なく、抜管。

狭心症、発作性心房細動、子宮癌、腸閉塞、慢性C型肝炎、肝硬変

中止2日後 �ペーシングレートを50拍/分に下げる。一般病棟へ転棟。

中止5日後 �QTc�452msecとQT延長は改善。本剤とベラパミル以外の内服を再開。

中止10日後 �QTc�469msecとQT間隔の増悪なし。心拍数68拍/分。

中止11日後 体外式ペースメーカー抜去。消化器内科にて腹水の治療を再開。

併用薬:ベラパミル塩酸塩、ウルソデオキシコール酸、イソロイシン・ロイシン・バリン、ロキソプロフェンナトリウム水和物、アスピリン、シロスタゾール、一硝酸イソソルビド、フロセミド、トリアゾラム、ランソプラゾール、ラクツロース、デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物、ベンプロペリンリン酸塩、カンレノ酸カリウム

②心筋梗塞、心不全

注意点発現機序は不明ですが、本剤の投与対象患者が高齢者であり、心機能低下状態のリスクを持っていると考えられるため、投与する際は心不全の発現にご注意ください。

発現状況■軽度及び中等度のアルツハイマー型認知症を対象とした国内臨床試験及び使用成績調査(再審査終了時)において急性心不全(0.03%)、心筋梗塞(0.05%)が認められました。

■高度のアルツハイマー型認知症を対象とした国内臨床試験において急性心筋梗塞(0.26%)が認められました。

■レビー小体型認知症を対象とした国内臨床試験において心筋梗塞(0.29%)が認められました。

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アリセプトの副作用とその対策

対処方法心筋梗塞、心不全があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行ってください。

③消化性潰瘍、十二指腸潰瘍穿孔、消化管出血

注意点消化性潰瘍の既往歴のある患者、非ステロイド性消炎鎮痛剤投与中の患者では本剤による胃酸分泌の促進及び消化管運動の促進により消化性潰瘍を悪化させる可能性があります。

発現状況■軽度及び中等度のアルツハイマー型認知症を対象とした国内臨床試験及び使用成績調査(再審査終了時)において胃十二指腸潰瘍(0.03%)、胃腸出血(0.03%)が認められました。

■高度のアルツハイマー型認知症を対象とした国内臨床試験において胃潰瘍(0.26%)が認められました。対処方法

本剤のコリン賦活作用による胃酸分泌及び消化管運動の促進によって消化性潰瘍(胃・十二指腸潰瘍)、十二指腸潰瘍穿孔、消化管出血があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行ってください。

④肝炎、肝機能障害、黄疸

発現状況■軽度及び中等度のアルツハイマー型認知症を対象とした国内臨床試験及び使用成績調査(再審査終了時)において肝機能異常(0.27%)、肝細胞損傷(0.03%)が認められました。

■高度のアルツハイマー型認知症を対象とした国内臨床試験において肝機能異常(0.26%)が認められました。

■レビー小体型認知症を対象とした国内臨床試験において肝機能異常(0.58%)が認められました。対処方法

肝炎、肝機能障害、黄疸があらわれることがあるので、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行ってください。

⑤脳性発作、脳出血、脳血管障害

発現状況■軽度及び中等度のアルツハイマー型認知症を対象とした国内臨床試験及び使用成績調査(再審査終了時)においててんかん(0.11%)、痙攣(0.03%)、脳梗塞(0.03%)、脳出血(0.03%)が認められました。

■高度のアルツハイマー型認知症を対象とした国内臨床試験において痙攣(0.52%)、出血性脳梗塞(0.26%)、脳梗塞(0.26%)、脳出血(0.52%)が認められました。■レビー小体型認知症を対象とした国内臨床試験においてくも膜下出血(0.29%)が認められました。

対処方法脳性発作(てんかん、痙攣等)、脳出血、脳血管障害があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行ってください。

⑥錐体外路障害

注意点錐体外路障害のある患者では線条体のコリン系神経を亢進することにより、症状を誘発又は増悪する可能性があります。レビー小体型認知症では、日常生活動作が制限される、あるいは薬物治療を要する程

10 アリセプトの副作用とその対策

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アリセプトの副作用とその対策

度の錐体外路障害を有する場合、本剤の投与により、錐体外路障害悪化の発現率が高まる傾向がみられていることから、重篤な症状に移行しないよう観察を十分に行い、症状に応じて減量又は中止など適切な処置を行ってください。

発現状況■軽度及び中等度のアルツハイマー型認知症を対象とした国内臨床試験及び使用成績調査(再審査終了時)においてパーキンソニズム(0.08%)、仮面状顔貌(0.03%)、書字障害(0.03%)、振戦(0.29%)、錐体外路障害(0.05%)、無動(0.03%)が認められました。

■高度のアルツハイマー型認知症を対象とした国内臨床試験においてパーキンソニズム(0.10%)、筋固縮(0.02%)が認められました。

■レビー小体型認知症を対象とした国内臨床試験では、パーキンソン症状に関する有害事象の発現率は、プラセボ群、5mg群、10mg群の投与群間で大きな違いは認められませんでした。ただし、パーキンソン症状が比較的強いと考えられる集団において、パーキンソン症状の発現率が実薬群で高まる傾向がみられました。対処法

寡動、運動失調、ジスキネジア、ジストニア、振戦、不随意運動、歩行異常、姿勢異常、言語障害等の錐体外路障害があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行ってください。

錐体外路障害患者

1日投与量投与期間

副作用性年齢

使用理由〔合併症〕

経過及び処置

男80代

アルツハイマー型認知症

3mg経口8日間

本剤投与 モサプリドクエン酸塩、総合消化酵素剤、スルピリド、チアプリド塩酸塩に追加して、本剤の併用開始。

2日目 上記4薬剤を中止し、本剤単独とする。

4日目 患者は、振戦、筋固縮、嚥下障害を認めたが、本剤の服用は継続した。

5日目 上記のパーキンソン症状が強くなり、輸液を投与。

6日目 患者は歩行不能にて、臥床状態となった。経口摂取が極めて悪く、輸液投与。既往歴

8日目 輸液投与。本剤投与中止。

9日目 入院。経管栄養を開始。

10日目 パーキンソン症状に対して、レボドパ・塩酸、ペンセラジド300mg�投与。

11日目 振戦改善。

12日目 振戦、筋固縮消失。

15日目 全身状態良好、回復。併用薬:モサプリドクエン酸塩、総合消化酵素剤、スルピリド、チアプリド塩酸塩

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アリセプトの副作用とその対策

⑦悪性症候群(Syndrome malin)

発現状況■軽度及び中等度のアルツハイマー型認知症を対象とした国内臨床試験及び使用成績調査(再審査終了時)において悪性症候群(0.03%)が認められました。対処方法

無動緘黙、強度の筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧の変動、発汗等が発現し、それに引き続き発熱がみられる場合は、投与を中止し、体冷却、水・電解質管理等の全身管理とともに適切な処置を行ってください。本症発症時には、白血球の増加や血清CK(CPK)の上昇がみられることが多く、また、ミオグロビン尿を伴う腎機能の低下がみられることがあります。

⑧横紋筋融解症

発現状況■国内臨床試験及び使用成績調査(再審査終了時)において認められていません。

対処方法横紋筋融解症があらわれることがあるので、観察を十分に行い、筋肉痛、脱力感、CK(CPK)上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇等があらわれた場合には、投与を中止し、適切な処置を行ってください。また、横紋筋融解症による急性腎障害の発症に注意してください。

⑨呼吸困難

注意点呼吸困難の発現機序は明確ではありません。しかし、本剤の迷走神経刺激作用による肺迷走神経を介する呼吸中枢の抑制、あるいは徐脈や血圧低下による循環動態低下により生じたものとも考えられます。

発現状況■高度のアルツハイマー型認知症を対象とした国内臨床試験において呼吸困難(0.26%)が認められました。対処方法

呼吸困難があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には、投与を中止し、適切な処置を行ってください。

⑩急性膵炎

発現状況■レビー小体型認知症を対象とした国内臨床試験において急性膵炎(0.29%)が認められました。

対処方法急性膵炎があらわれることがあるので、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行ってください。

⑪急性腎障害

発現状況■軽度及び中等度のアルツハイマー型認知症を対象とした国内臨床試験及び使用成績調査(再審査終了時)において腎機能障害(0.03%)が認められました。対処方法

急性腎障害があらわれることがあるので、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行ってください。

10 アリセプトの副作用とその対策

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アリセプトの副作用とその対策

⑫原因不明の突然死

発現状況■軽度及び中等度のアルツハイマー型認知症を対象とした国内臨床試験及び使用成績調査(再審査終了時)において突然死(0.05%)が認められました。

■高度のアルツハイマー型認知症を対象とした国内臨床試験において不整脈(突然死、0.26%)が認められました。

■日本より先に発売されていた海外でも原因不明の突然死が有害事象として報告されており、いずれの症例も剖検されておらず死因は不明です。これらの症例の背景は、高齢者(66~93歳)で既往歴(心房細動、動脈硬化、高血圧症など)もあることから、疾患による死亡例も含まれていると考えられます。本剤の投与対象は高齢者が多いため、合併症をもっている場合も多く、死因や本剤のとの因果関係を特定することが難しいのが現状です。

⑬血小板減少

発現状況■軽度及び中等度のアルツハイマー型認知症を対象とした国内臨床試験及び使用成績調査(再審査終了時)において血小板減少症(0.08%)、血小板数減少(0.03%)が認められました。

■高度のアルツハイマー型認知症を対象とした国内臨床試験において血小板減少症(0.26%)が認められました。対処方法

血液検査等の観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行ってください。

2. 高い頻度でみられる副作用

①消化器症状(食欲減退、悪心、嘔吐、下痢)

発現状況■軽度及び中等度のアルツハイマー型認知症を対象とした国内臨床試験及び使用成績調査(再審査終了時)において食欲減退(1.79%)、悪心(1.76%)が認められました。

■高度のアルツハイマー型認知症を対象とした国内臨床試験において食欲減退(8.81%)、悪心(8.03%)、嘔吐(6.99%)、下痢(4.92%)が認められました。

■レビー小体型認知症を対象とした国内臨床試験において食欲減退(3.18%)、悪心(3.47%)、下痢(3.47%)が認められました。対処法

■消化器症状は、アリセプト投与初期に発現することが多く、ある程度連用すると慣れが生じ、消失する場合もあります。

■消化器症状(食欲減退、悪心、嘔吐など)は、アリセプトのコリンエステラーゼ阻害作用により、アセチルコリンの2種類の受容体のうち末梢のムスカリン受容体へのアセチルコリン作用が増強したために発現すると考えられます。対処法は患者様によって異なりますが、消化器症状がごく軽微な場合には、経過観察のみで症状が軽減し、継続投与が可能なことがあります。また腸疾患治療薬との併用が有用な場合もあります。症状が重い場合には、アリセプトの一時的な減量または休薬をご検討ください。(図1)

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アリセプトの副作用とその対策

■軽度・中等度アルツハイマー型認知症患者様190例にプラセボ、アリセプト3mg、5mgを1日1回12週間投与した二重盲検比較試験において、認められた消化器症状はすべてアリセプト投与後1週間以内に発現していました(表1)。このことからアリセプトによる消化器症状は、投与初期の血漿中濃度の上昇に起因したコリンエステラーゼ阻害作用に基づく急性症状であると考えられています1)。また、消化器症状はある程度連用すると慣れが生じ、消失することが多いとされています2)。症状の継続期間は患者様によって異なり、明確な期間は不明です。

1)本間昭ら:臨床評価,�26,�251-84(1998)[ART-0039]より作成2)中村祐:最新精神医学,�12,�273-4(2007)[ART-1550]

患者背景・症状■90歳代前半 女性 X-4年頃より、物忘れ出現

■70歳代後半 女性 X-1年頃より、物忘れ出現

経 過

薬物治療

経 過

薬物治療

(点)30

●食欲良好●食事をしたことを覚えているようだ

●大便失禁

●便の性状が戻る●失禁がなくなる

X年7月

アリセプト

乳酸菌整腸剤

X+1年3月 X+1年6月 X+2年9月0

MMSE

14点 12点

10mg

3.0g

5mg3mg

13点10点

(点)30

●食思不振●嘔気

X年1月

アリセプト

ドンペリドン

X+1年3月 X+1年6月 X+2年6月0

MMSE

24点

10mg 10mg

30mg

5mg 5mg3mg

11点13点14点

提供:埼玉精神神経センター センター長 丸木雄一

図1 アリセプトの副作用への対応症例

アリセプトの投与時、増量時に出現する消化器の副作用に対する方法として、2症例提示した。1例目は、10mg増量後に大便失禁を呈したため、乳酸菌整腸剤の併用を行なうことで継続服用することができた。2例目は10mg増量後に食思不振、嘔気が発現したため、5mgへの減量とともにドンペリドンの併用を行った。再度10mgに増量したが、消化器系の副作用発現はなく継続服用している。なお、両症例ではご家族との相談の上、整腸剤、制吐剤を継続処方している。アリセプトを処方する際には、消化

10 アリセプトの副作用とその対策

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10

アリセプトの副作用とその対策

器系の副作用が出た場合「すぐに連絡をしてください」とお伝えし、整腸剤、制吐剤の一次的な併用にて対処可能であることを本人、家族に十分説明しておけば順調に内服継続できることを、私は経験している。社会福祉法人シナプス埼玉精神神経センター 理事長�兼�センター長 丸木雄一

国内臨床試験における消化器症状の発現時期・経過1)より作成

投与群性別年齢

有害事象 程度 発現時期 投薬 経過 因果関係

3mg女

60歳代半ば嘔気・嘔吐 中等度 1日目 中止 4日目に消失 関係あり

5mg

女70歳代半ば

倦怠感食欲不振

軽度軽度

2日目2日目

中止3日目に消失3日目に消失

疑いあり疑いあり

女50歳代半ば

嘔気・嘔吐 軽度 1日目 中止 5日目に消失 疑いあり

女60歳代後半

食欲不振嘔気

軽度軽度

1日目1日目

中止1日目に消失1日目に消失

疑いあり疑いあり

女60歳代前半

腹痛嘔気

中等度中等度

7日目7日目

中止2日目に軽快2日目に軽快

関係あり関係あり

女60歳代前半

嘔気嘔吐

軽度軽度

4日目4日目

継続6週目に消失約3週で軽快

疑いあり疑いあり

女80歳代前半

嘔気めまい

軽度軽度

1日目1日目

継続1日目に消失1日目に消失

関係あり関係あり

女50歳代半ば

脱力感眠気嘔気

軽度軽度軽度

4日目4日目4日目

休薬7日目に消失7日目に消失7日目に消失

疑いあり疑いあり疑いあり

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10

アリセプトの副作用とその対策

3. 項目別副作用発現頻度及び臨床検査値異常一覧

① 軽度及び中等度アルツハイマー型認知症承認時/再審査終了時、高度アルツハイマー型認知症承認時及びレビー小体型認知症承認時における副作用・感染症の発現状況一覧表

軽度及び中等度アルツハイマー型認知症高度アルツハイマー

型認知症

総計

レビー小体型認知症

レビー小体型認知症承認時

軽度及び中等度アルツハイマー型認知症承認時

再審査終了時(使用成績調査)

計高度アルツハイマー

型認知症承認時

症例数(安全性解析対象集団) 457 3240 3697 386 4083 346

副作用等の発現症例数 48 346 394 171 565 169

副作用等の発現件数 74 489 563 310 873 302

副作用等の発現症例率(%) 10.50� 10.68 10.66 44.30� 13.84 48.84

副作用の種類副作用の種類別発現症例(件数)

計 率(%)

副作用の種類別発現症例(件数)

率(%) 総計 率(%)

副作用の種類別発現症例(件数)

率(%)

感染症および寄生虫症 1 0.26� 1 0.02� 2 0.58�

胃腸炎 1 0.26� 1 0.02� 1 0.29�

肺炎 1 0.29�

良性、悪性および詳細不明の新生物(嚢胞およびポリープを含む)

2 0.58�

前立腺癌 1 0.29�

胆管癌 1 0.29�

血液およびリンパ系障害 11 11 0.30� 1 0.26� 12 0.29� 2 0.58�

リンパ球減少症 1 0.29�

血小板減少症 3 3 0.08� 1 0.26� 4 0.10�

好塩基球増加症 1 0.29�

白血球減少症 4 4 0.11� 4 0.10�

白血球増加症 2 2 0.05� 2 0.05�

貧血 5 5 0.14� 5 0.12�

内分泌障害 1 0.26� 1 0.02�

甲状腺機能低下症 1 0.26� 1 0.02�

代謝および栄養障害 9 59 68 1.84� 39 10.10� 107 2.62� 13 3.76�

異食症 2 0.52� 2 0.05�

過小食 1 0.26� 1 0.02�

拒食 1 1 0.03� 1 0.02�

高コレステロール血症 1 1 0.03� 1 0.26� 2 0.05�

高脂血症 1 1 0.03� 1 0.02� 2 0.58�

高尿酸血症 1 0.26� 1 0.02�

食欲減退 10 56 66 1.79� 34 8.81� 100 2.45� 11 3.18�

10 アリセプトの副作用とその対策

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10

アリセプトの副作用とその対策

軽度及び中等度アルツハイマー型認知症高度アルツハイマー

型認知症

総計

レビー小体型認知症

レビー小体型認知症承認時

軽度及び中等度アルツハイマー型認知症承認時

再審査終了時(使用成績調査)

計高度アルツハイマー

型認知症承認時

症例数(安全性解析対象集団) 457 3240 3697 386 4083 346

副作用等の発現症例数 48 346 394 171 565 169

副作用等の発現件数 74 489 563 310 873 302

副作用等の発現症例率(%) 10.50� 10.68 10.66 44.30� 13.84 48.84

副作用の種類副作用の種類別発現症例(件数)

計 率(%)

副作用の種類別発現症例(件数)

率(%) 総計 率(%)

副作用の種類別発現症例(件数)

率(%)

食欲亢進 1 0.26� 1 0.02�

糖尿病 1 0.29�

精神障害 11 61 72 1.95� 37 9.59� 109 2.67� 30 8.67�

うつ病 2 0.58�

リビドー亢進 1 1 0.03� 2 0.52� 3 0.07�

異常行動 2 2 0.05� 2 0.05�

陰気 1 0.26� 1 0.02�

感情不安定 1 1 0.03� 1 0.02� 1 0.29�

気分変化 2 2 0.05� 2 0.05�

激越 4 15 19 0.51� 6 1.55� 25 0.61� 4 1.16�

幻覚 4 4 0.11� 1 0.26� 5 0.12� 2 0.58�

幻視 3 0.87�

幻聴 1 0.29�

幻嗅 1 0.29�

言葉もれ 1 1 2 0.05� 2 0.05�

攻撃性 6 6 0.16� 4 1.04� 10 0.24� 1 0.29�

錯覚 1 1 0.03� 1 0.02�

錯乱状態 1 1 0.03� 1 0.02�

失見当識 1 1 0.03� 1 0.02�

情動障害 1 0.26� 1 0.02�

睡眠障害 1 0.26� 1 0.02� 2 0.58�

性的興奮障害 1 0.29�

精神症状 4 1.16�

精神障害 6 1.55� 6 0.15�

摂食障害 1 1 0.03� 1 0.02�

脱抑制 1 0.26� 1 0.02� 4 1.16�

怒り 9 9 0.24� 9 0.22�

被害妄想 2 2 0.05� 2 0.05�

不安 3 3 0.08� 3 0.07� 1 0.29�

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10

アリセプトの副作用とその対策

軽度及び中等度アルツハイマー型認知症高度アルツハイマー

型認知症

総計

レビー小体型認知症

レビー小体型認知症承認時

軽度及び中等度アルツハイマー型認知症承認時

再審査終了時(使用成績調査)

計高度アルツハイマー

型認知症承認時

症例数(安全性解析対象集団) 457 3240 3697 386 4083 346

副作用等の発現症例数 48 346 394 171 565 169

副作用等の発現件数 74 489 563 310 873 302

副作用等の発現症例率(%) 10.50� 10.68 10.66 44.30� 13.84 48.84

副作用の種類副作用の種類別発現症例(件数)

計 率(%)

副作用の種類別発現症例(件数)

率(%) 総計 率(%)

副作用の種類別発現症例(件数)

率(%)

不眠症 4 10 14 0.38� 8 2.07� 22 0.54� 7 2.02�

無感情 2 2 0.05� 2 0.05� 2 0.58�

無関心 1 1 0.03� 1 0.02�

妄想 5 5 0.14� 1 0.26� 6 0.15�

妄想症 1 0.29�

抑うつ症状 1 0.29�

落ち着きのなさ 3 7 10 0.27� 10 2.59� 20 0.49� 1 0.29�

徘徊癖 2 3 5 0.14� 4 1.04� 9 0.22� 4 1.16�

譫妄 4 4 0.11� 4 1.04� 8 0.20� 1 0.29�

躁病 1 1 2 0.05� 2 0.05�

神経系障害 10 48 58 1.57� 20 5.18� 78 1.91� 32 9.25�

くも膜下出血 1 0.29�

てんかん 4 4 0.11� 4 0.10�

パーキンソニズム 3 3 0.08� 1 0.26� 4 0.10� 23 6.65�

パーキンソン病 1 1 0.03� 1 0.02�

悪性症候群 1 1 0.03� 1 0.02�

意識レベルの低下 1 1 0.03� 1 0.26� 2 0.05�

意識消失 2 2 0.05� 2 0.52� 4 0.10�

意識変容状態 1 1 0.03� 1 0.02�

運動過多 2 2 0.05� 2 0.52� 4 0.10�

仮面状顔貌 1 1 0.03� 1 0.02�

会話障害 2 2 0.05� 2 0.05�

傾眠 2 5 7 0.19� 2 0.52� 9 0.22� 1 0.29�

構語障害 1 1 0.03� 1 0.02�

失神 1 0.29�

出血性脳梗塞 1 0.26� 1 0.02�

書字障害 1 1 0.03� 1 0.02�

振戦 4 8 12 0.32� 12 0.29� 4 1.16�

睡眠の質低下 1 1 0.03� 1 0.02�

10 アリセプトの副作用とその対策

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アリセプトの副作用とその対策

軽度及び中等度アルツハイマー型認知症高度アルツハイマー

型認知症

総計

レビー小体型認知症

レビー小体型認知症承認時

軽度及び中等度アルツハイマー型認知症承認時

再審査終了時(使用成績調査)

計高度アルツハイマー

型認知症承認時

症例数(安全性解析対象集団) 457 3240 3697 386 4083 346

副作用等の発現症例数 48 346 394 171 565 169

副作用等の発現件数 74 489 563 310 873 302

副作用等の発現症例率(%) 10.50� 10.68 10.66 44.30� 13.84 48.84

副作用の種類副作用の種類別発現症例(件数)

計 率(%)

副作用の種類別発現症例(件数)

率(%) 総計 率(%)

副作用の種類別発現症例(件数)

率(%)

錐体外路障害 2 2 0.05� 2 0.05�

精神運動亢進 1 0.26� 1 0.02�

頭痛 2 10 12 0.32� 4 1.04� 16 0.39� 2 0.58�

認知障害 1 0.26� 1 0.02� 1 0.29�

脳梗塞 1 1 0.03� 1 0.26� 2 0.05�

脳出血 1 1 0.03� 2 0.52� 3 0.07�

浮動性めまい 2 6 8 0.22� 3 0.78� 11 0.27� 3 0.87�

味覚異常 1 1 0.03� 1 0.02�

無動 1 1 0.03� 1 0.02� 1 0.29�

痙攣 1 1 0.03� 2 0.52� 3 0.07� 1 0.29�

眼障害 1 1 0.03� 1 0.02� 1 0.29�

眼充血 1 1 0.03� 1 0.02�

白内障 1 0.29�

耳および迷路障害 3 3 0.08� 3 0.07�

回転性めまい 2 2 0.05� 2 0.05�

耳鳴 1 1 0.03� 1 0.02�

心臓障害 2 7 9 0.24� 19 4.92� 28 0.69� 15 4.34�

期外収縮 2 0.52� 2 0.05�

急性心筋梗塞 1 0.26� 1 0.02�

急性心不全 1 1 0.03� 1 0.02�

狭心症 1 0.26� 1 0.02�

左室肥大 1 0.26� 1 0.02�

三尖弁閉鎖不全症 1 0.29�

徐脈 1 2 3 0.08� 1 0.26� 4 0.10� 1 0.29�

上室性期外収縮 1 0.26� 1 0.02� 5 1.45�

心筋虚血 1 0.26� 1 0.02�

心筋梗塞 2 2 0.05� 2 0.05� 1 0.29�

心室性期外収縮 5 1.30� 5 0.12� 3 0.87�

第一度房室ブロック 3 0.78� 3 0.07� 1 0.29�

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アリセプトの副作用とその対策

軽度及び中等度アルツハイマー型認知症高度アルツハイマー

型認知症

総計

レビー小体型認知症

レビー小体型認知症承認時

軽度及び中等度アルツハイマー型認知症承認時

再審査終了時(使用成績調査)

計高度アルツハイマー

型認知症承認時

症例数(安全性解析対象集団) 457 3240 3697 386 4083 346

副作用等の発現症例数 48 346 394 171 565 169

副作用等の発現件数 74 489 563 310 873 302

副作用等の発現症例率(%) 10.50� 10.68 10.66 44.30� 13.84 48.84

副作用の種類副作用の種類別発現症例(件数)

計 率(%)

副作用の種類別発現症例(件数)

率(%) 総計 率(%)

副作用の種類別発現症例(件数)

率(%)

動悸 1 3 4 0.11� 1 0.26� 5 0.12�

洞性徐脈 3 0.78� 3 0.07� 2 0.58�

不整脈 1 0.26� 1 0.02�

房室ブロック 3 0.87�

血管障害 3 3 0.08� 1 0.26� 4 0.10� 3 0.87�

ほてり 3 3 0.08� 3 0.07�

起立性低血圧 1 0.29�

高血圧 1 0.26� 1 0.02� 1 0.29�

低血圧 1 0.29�

呼吸器、胸郭および縦隔障害 3 3 0.08� 2 0.52� 5 0.12�

咳嗽 1 1 0.03� 1 0.02�

呼吸困難 1 0.26� 1 0.02�

窒息 1 0.26� 1 0.02�

鼻漏 1 1 0.03� 1 0.02�

喀痰増加 1 1 0.03� 1 0.02�

喘息 1 1 0.03� 1 0.02�

胃腸障害 16 122 138 3.73� 66 17.10� 204 5.00� 54 15.61�

びらん性胃炎 1 1 0.03� 1 0.02�

レッチング 13 13 0.35� 13 0.32�

悪心 10 55 65 1.76� 31 8.03� 96 2.35� 12 3.47�

胃炎 1 1 0.03� 2 0.52� 3 0.07� 3 0.87�

胃十二指腸潰瘍 1 1 0.03� 1 0.02�

胃食道逆流性疾患 2 0.52� 2 0.05� 1 0.29�

胃腸出血 1 1 0.03� 1 0.02�

胃腸障害 4 1.16�

胃潰瘍 1 0.26� 1 0.02�

下痢 3 26 29 0.78� 19 4.92� 48 1.18� 12 3.47�

急性膵炎 1 0.29�

鼓腸 1 0.26� 1 0.02�

10 アリセプトの副作用とその対策

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アリセプトの副作用とその対策

軽度及び中等度アルツハイマー型認知症高度アルツハイマー

型認知症

総計

レビー小体型認知症

レビー小体型認知症承認時

軽度及び中等度アルツハイマー型認知症承認時

再審査終了時(使用成績調査)

計高度アルツハイマー

型認知症承認時

症例数(安全性解析対象集団) 457 3240 3697 386 4083 346

副作用等の発現症例数 48 346 394 171 565 169

副作用等の発現件数 74 489 563 310 873 302

副作用等の発現症例率(%) 10.50� 10.68 10.66 44.30� 13.84 48.84

副作用の種類副作用の種類別発現症例(件数)

計 率(%)

副作用の種類別発現症例(件数)

率(%) 総計 率(%)

副作用の種類別発現症例(件数)

率(%)

口内炎 1 0.26� 1 0.02� 1 0.29�

消化不良 3 3 0.08� 3 0.07� 3 0.87�

上腹部痛 2 2 0.05� 2 0.52� 4 0.10� 1 0.29�

心窩部不快感 1 0.26� 1 0.02� 1 0.29�

排便障害 1 0.26� 1 0.02�

腹痛 2 3 5 0.14� 1 0.26� 6 0.15� 5 1.45�

腹部不快感 7 7 0.19� 2 0.52� 9 0.22� 6 1.73�

腹部膨満 1 1 0.03� 4 1.04� 5 0.12�

便失禁 1 1 0.03� 1 0.02�

便秘 2 5 7 0.19� 4 1.04� 11 0.27� 12 3.47�

流涎過多 1 4 5 0.14� 5 0.12� 2 0.58�

嘔吐 4 20 24 0.65� 27 6.99� 51 1.25� 2 0.58�

嚥下障害 2 2 0.05� 2 0.05� 1 0.29�

肝胆道系障害 11 11 0.30� 1 0.26� 12 0.29� 3 0.87�

肝機能異常 10 10 0.27� 1 0.26� 11 0.27� 2 0.58�

肝細胞損傷 1 1 0.03� 1 0.02�

肝損傷 1 0.29�

皮膚および皮下組織障害 1 14 15 0.41� 5 1.30� 20 0.49� 6 1.73�

そう痒症 5 5 0.14� 1 0.26� 6 0.15� 1 0.29�

そう痒性皮疹 1 1 0.03� 1 0.02�

紅斑性皮疹 1 1 0.03� 1 0.02�

湿疹 1 1 0.03� 2 0.52� 3 0.07�

手掌紅斑 1 1 0.03� 1 0.02�

全身性そう痒症 1 1 0.03� 1 0.02�

多汗症 2 0.58�

発疹 1 1 0.03� 1 0.26� 2 0.05� 1 0.29�

網状皮斑 1 0.29�

薬疹 4 4 0.11� 4 0.10�

冷汗 1 0.29�

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アリセプトの副作用とその対策

軽度及び中等度アルツハイマー型認知症高度アルツハイマー

型認知症

総計

レビー小体型認知症

レビー小体型認知症承認時

軽度及び中等度アルツハイマー型認知症承認時

再審査終了時(使用成績調査)

計高度アルツハイマー

型認知症承認時

症例数(安全性解析対象集団) 457 3240 3697 386 4083 346

副作用等の発現症例数 48 346 394 171 565 169

副作用等の発現件数 74 489 563 310 873 302

副作用等の発現症例率(%) 10.50� 10.68 10.66 44.30� 13.84 48.84

副作用の種類副作用の種類別発現症例(件数)

計 率(%)

副作用の種類別発現症例(件数)

率(%) 総計 率(%)

副作用の種類別発現症例(件数)

率(%)

蕁麻疹 1 1 0.03� 1 0.26� 2 0.05�

筋骨格系および結合組織障害 4 4 0.11� 2 0.52� 6 0.15� 7 2.02�

筋固縮 1 0.26� 1 0.02� 1 0.29�

筋骨格硬直 1 1 0.03� 1 0.02�

筋攣縮 1 1 0.03� 1 0.02�

筋痙縮 3 3 0.08� 1 0.26� 4 0.10� 2 0.58�

体幹前屈症 1 0.29�

背部痛 1 0.29�

変形性関節症 1 0.29�

変形性脊椎症 1 0.29�

腎および尿路障害 5 5 0.14� 2 0.52� 7 0.17� 14 4.05�

緊張性膀胱 2 0.58�

腎機能障害 1 1 0.03� 1 0.02�

切迫性尿失禁 1 0.29�

蛋白尿 1 0.29�

尿失禁 1 1 0.03� 1 0.26� 2 0.05� 5 1.45�

頻尿 3 3 0.08� 1 0.26� 4 0.10� 4 1.16�

慢性腎不全 1 0.29�

生殖系および乳房障害 1 1 0.03� 1 0.02� 1 0.29�

持続勃起症 1 1 0.03� 1 0.02�

良性前立腺肥大症 1 0.29�

一般・全身障害および投与部位の状態 3 16 19 0.51� 10 2.59� 29 0.71� 14 4.05�

易刺激性 1 4 5 0.14� 3 0.78� 8 0.20� 4 1.16�

異常感 1 1 0.03� 1 0.26� 2 0.05�

胸部不快感 1 0.26� 1 0.02�

倦怠感 2 2 0.05� 2 0.52� 4 0.10� 2 0.58�

突然死 2 2 0.05� 2 0.05�

疲労 1 3 4 0.11� 4 0.10�

不快感 1 0.29�

10 アリセプトの副作用とその対策

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10

アリセプトの副作用とその対策

軽度及び中等度アルツハイマー型認知症高度アルツハイマー

型認知症

総計

レビー小体型認知症

レビー小体型認知症承認時

軽度及び中等度アルツハイマー型認知症承認時

再審査終了時(使用成績調査)

計高度アルツハイマー

型認知症承認時

症例数(安全性解析対象集団) 457 3240 3697 386 4083 346

副作用等の発現症例数 48 346 394 171 565 169

副作用等の発現件数 74 489 563 310 873 302

副作用等の発現症例率(%) 10.50� 10.68 10.66 44.30� 13.84 48.84

副作用の種類副作用の種類別発現症例(件数)

計 率(%)

副作用の種類別発現症例(件数)

率(%) 総計 率(%)

副作用の種類別発現症例(件数)

率(%)

浮腫 1 1 0.03� 1 0.02�

歩行障害 1 1 0.03� 1 0.26� 2 0.05� 3 0.87�

末梢性浮腫 1 1 0.03� 3 0.78� 4 0.10� 4 1.16�

無力症 1 1 2 0.05� 2 0.05�

臨床検査 52 52 1.41� 38 9.84� 90 2.20� 44 12.72�

γ-グルタミルトランスフェラーゼ増加 3 3 0.08� 4 1.04� 7 0.17� 1 0.29�

アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加 4 4 0.11� 1 0.26� 5 0.12�

アミラーゼ増加 1 1 0.03� 1 0.02�

アラニンアミノトランスフェラーゼ増加 3 3 0.08� 3 0.07�

ヘマトクリット減少 1 1 0.03� 1 0.02�

リンパ球数減少 1 0.29�

血圧上昇 1 1 0.03� 3 0.78� 4 0.10� 10 2.89�

血圧低下 1 1 0.03� 1 0.26� 2 0.05� 2 0.58�

血小板数減少 1 1 0.03� 1 0.02�

血小板数増加 1 1 0.03� 1 0.02�

血中アルカリホスファターゼ増加 2 2 0.05� 6 1.55� 8 0.20� 3 0.87�

血中カリウム減少 1 0.29�

血中カルシウム減少 1 0.29�

血中クレアチニン増加 5 5 0.14� 1 0.26� 6 0.15�

血中クレアチンホスホキナーゼ減少 1 0.29�

血中クレアチンホスホキナーゼ増加 10 10 0.27� 9 2.33� 19 0.47� 8 2.31�

血中コレステロール増加 7 7 0.19� 1 0.26� 8 0.20� 2 0.58�

血中トリグリセリド増加 6 6 0.16� 1 0.26� 7 0.17�

血中乳酸脱水素酵素増加 4 4 0.11� 6 1.55� 10 0.24� 1 0.29�

血中尿素増加 10 10 0.27� 2 0.52� 12 0.29� 4 1.16�

好酸球数増加 1 0.29�

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31

10

アリセプトの副作用とその対策

軽度及び中等度アルツハイマー型認知症高度アルツハイマー

型認知症

総計

レビー小体型認知症

レビー小体型認知症承認時

軽度及び中等度アルツハイマー型認知症承認時

再審査終了時(使用成績調査)

計高度アルツハイマー

型認知症承認時

症例数(安全性解析対象集団) 457 3240 3697 386 4083 346

副作用等の発現症例数 48 346 394 171 565 169

副作用等の発現件数 74 489 563 310 873 302

副作用等の発現症例率(%) 10.50� 10.68 10.66 44.30� 13.84 48.84

副作用の種類副作用の種類別発現症例(件数)

計 率(%)

副作用の種類別発現症例(件数)

率(%) 総計 率(%)

副作用の種類別発現症例(件数)

率(%)

脂質異常 1 0.29�

心電図QT延長 1 0.26� 1 0.02� 4 1.16�

心電図ST部分上昇 1 0.26� 1 0.02�

心電図T波逆転 1 0.29�

心電図異常 1 0.26� 1 0.02�

体重減少 1 0.26� 1 0.02� 5 1.45�

体重増加 1 0.29�

尿中ブドウ糖陽性 1 1 0.03� 1 0.02� 1 0.29�

尿中血陽性 1 0.26� 1 0.02� 1 0.29�

尿中蛋白陽性 1 1 0.03� 1 0.26� 2 0.05� 2 0.58�

白血球数減少 4 4 0.11� 2 0.52� 6 0.15� 2 0.58�

白血球数増加 1 0.26� 1 0.02�

傷害、中毒および処置合併症 3 3 0.08� 5 1.30� 8 0.20� 8 2.31�

挫傷 1 0.26� 1 0.02�

転倒 3 3 0.08� 5 1.30� 8 0.20� 13 3.76�

MedDRA�J�version�15.0

10 アリセプトの副作用とその対策

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10

アリセプトの副作用とその対策

②臨床検査値異常変動一覧※

時期軽度及び中等度

アルツハイマー型認知症承認時調査症例数 457臨床検値異常の発現症例数 98臨床検査値異常の発現件数 193臨床検査値異常の発現症例率(%) 21.44�

臨床検査値異常の種類種類別発現件数

率(%)

血圧上昇 1 0.22�アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加 12 2.63�アラニンアミノトランスフェラーゼ増加 11 2.41�血中ビリルビン増加 3 0.66�尿中ウロビリノーゲン増加 4 0.88�γ-グルタミルトランスフェラーゼ増加 5 1.09�γ-グルタミルトランスフェラーゼ減少 1 0.22�血中アルカリホスファターゼ増加 13 2.84�血中乳酸脱水素酵素増加 19 4.16�血中乳酸脱水素酵素減少 1 0.22�血中クレアチンホスホキナーゼ増加 15 3.28�血中カリウム増加 2 0.44�血中ブドウ糖増加 2 0.44�血中コレステロール増加 10 2.19�血中コレステロール減少 1 0.22�血中ナトリウム増加 2 0.44�血中クロール減少 1 0.22�総蛋白減少 3 0.66�尿中ブドウ糖陽性 3 0.66�血中尿素増加 13 2.84�アミラーゼ増加 19 4.16�血中トリグリセリド減少 3 0.66�血中トリグリセリド増加 9 1.97�血中アルブミン減少 3 0.66�アミラーゼ減少 1 0.22�高比重リポ蛋白増加 1 0.22�高比重リポ蛋白減少 1 0.22�血中クロール増加 2 0.44�心拍数減少 1 0.22�赤血球数増加 3 0.66�赤血球数減少 3 0.66�ヘマトクリット減少 5 1.09�ヘモグロビン減少 4 0.88�ヘマトクリット増加 3 0.66�白血球数減少 3 0.66�白血球数増加 3 0.66�血小板数増加 2 0.44�尿中蛋白陽性 3 0.66�尿沈渣陽性 2 0.44�

MedDRA�J�version�15.0※軽度及び中等度アルツハイマー型認知症承認時には、臨床検査値異常変動は別集計としたため、別表にて記載した。

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11

アリセプトの有効性(臨床成績)

1. 軽度及び中等度のアルツハイマー型認知症

軽度及び中等度のアルツハイマー型認知症患者268例を対象に本剤5mg(3mg/日を1週間投与後、5mg/日を23週間投与)又はプラセボを24週間投与する二重盲検比較試験を実施した。最終全般臨床症状評価において5mg群はプラセボ群と比較して有意に優れていた。「改善」以上の割合は5mg群17%、プラセボ群13%、「軽度悪化」以下の割合は5mg群17%、プラセボ群43%であった。

最終全般臨床症状評価

投与群�

判定 著明改善

改善軽度改善

不変軽度悪化

悪化著明悪化

判定不能

合計

5mg

例数 1 19 40 36 15 4 0 1

116% (1) (16) (34) (31) (13) (3) (0) (1)

区分% (17) (34) (31) (17)

プラセボ

例数 1 13 10 40 21 21 5 1

112% (1) (12) (9) (36) (19) (19) (4) (1)

区分% (13) (9) (36) (43)

認知機能を評価するADAS-Jcog得点の経時変化を表に示す(最終解析対象:205例)。投与開始時との得点差の平均では、投与12週後より5mg群がプラセボ群と比較して有意な改善が認められた。最終時の5mg群とプラセボ群の投与前後の変化量の差は2.44点であった。

ADAS-Jcogの経時変化

評価時期 投与群0週からの変化量※1 変化量の群間比較

平均値±S.E.(n) 平均差※2

12週5mg -3.03±0.47(106) -

プラセボ -0.84±0.50(101) 2.19

24週5mg -3.07±0.50(96) -

プラセボ -0.11±0.56(86) 2.96

最終※35mg -2.70±0.48(107) -

プラセボ -0.26±0.52(98) 2.44(マイナス値は改善を示す。)

11 アリセプトの有効性(臨床成績)

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11

アリセプトの有効性(臨床成績)

重症度評価尺度であるCDRの経時変化を表に示す(最終解析対象:228例)。投与開始時との得点差の平均では、投与12週後より5mg群がプラセボ群と比較して有意な改善が認められた。

1)Homma,�A.�et�al�:�Dement,�Geriatr,�Cogn.�Disord.,�11,�299(2000)[ART-0247]

CDR合計点の経時変化

評価時期 投与群0週からの変化量※1 変化量の群間比較

平均値±S.E.(n) 平均差※2

12週5mg -0.12±0.08(113) -

プラセボ 0.23±0.10(109) 0.35

24週5mg -0.14±0.13(104) -

プラセボ 0.72±0.17(95) 0.86

最終※35mg -0.10±0.12(116) -

プラセボ 0.75±0.15(112) 0.85(マイナス値は改善を示す。)

※1:[各評価時期の値]-[0週の値]※2:[プラセボ群の0週からの変化量の平均値]-[5mg群の0週からの変化量の平均値]※3:最終時は原則として24週時の評価としたが、中止・脱落例については、12週以上の服薬がある場合の最終データを解析の対象

とした。

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35

11

アリセプトの有効性(臨床成績)

. 2. 高度のアルツハイマー型認知症高度のアルツハイマー型認知症患者302例を対象に本剤10mg(3mg/日を2週間投与後、5mg/日を4週間投与、次いで10mg/日を18週間投与)、5mg(3mg/日を2週間投与後、5mg/日を22週間投与)又はプラセボを24週間投与する二重盲検比較試験を実施した。CIBIC�plus(全般的臨床症状評価)において10mg群はプラセボ群と比較して有意に優れていた(最終解析対象:287例)。

最終時のCIBIC plus

投与群�

判定 著明改善

改善軽度改善

不変軽度悪化

悪化著明悪化

判定不能

合計

10mg例数 0 7 35 20 19 9 0 0

90% (0) (8) (39) (22) (21) (10) (0) (0)

5mg例数 0 4 27 26 30 9 0 0

96% (0) (4) (28) (27) (31) (9) (0) (0)

プラセボ例数 0 6 18 30 34 11 1 1

101% (0) (6) (18) (30) (34) (11) (1) (1)

認知機能を評価するSIB得点の最終時の変化量を表に示す(最終解析対象:288例)。投与開始時との得点差の平均では、5mg群、10mg群それぞれ、6.7点、9.0点であり、プラセボ群と比較して有意な改善が認められた。

1)Homma,�A.�et�al�:�Dement,�Geriatr,�Cogn.�Disord.,�25,�399(2008)[ART-1700]

最終時※1のSIB

投与群0週からの変化量※2 変化量の群間比較

平均値±S.E.(n) 平均差※3

10mg 4.7±1.1(92) 9.0

5mg 2.5±1.0(95) 6.7

プラセボ -4.2±1.0(101) -(プラス値は改善を示す。)

※1:最終時は原則として24週時の評価としたが、中止・脱落例については、最終データを解析の対象とした。※2:[最終の値]-[0週の値]※3:[各投与群の0週からの変化量の平均値]-[プラセボ群の0週からの変化量の平均値]

11 アリセプトの有効性(臨床成績)

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11

アリセプトの有効性(臨床成績)

3. レビー小体型認知症

(1)�レビー小体型認知症患者(MMSE得点:10点以上26点以下)140例を対象に本剤10mg(3mg/日を2週間投与後、5mg/日を4週間投与、次いで10mg/日を6週間投与)、5mg(3mg/日を2週間投与後、5mg/日を10週間投与)、3mg又はプラセボを12週間投与する二重盲検比較試験を実施した。全般臨床症状を評価するCIBIC�plusにおいて、3mg群、5mg群、10mg群はいずれもプラセボ群と比較して有意に優れていた。

最終時のCIBIC plus

投与群�

判定 著明改善

改善軽度改善

不変軽度悪化

悪化著明悪化

合計

10mg例数 1 3 13 8 1 0 0

26% (4) (12) (50) (31) (4) (0) (0)

5�mg例数 5 5 10 4 2 2 0

28% (18) (18) (36) (14) (7) (7) (0)

3�mg例数 1 5 14 6 1 0 1

28% (4) (18) (50) (21) (4) (0) (4)

プラセボ例数 0 1 8 5 10 3 0

27% (0) (4) (30) (19) (37) (11) (0)

認知機能を評価するMMSE得点の最終時の変化量のプラセボ群との差は、3mg群、5mg群、10mg群それぞれ1.8点、4.1点、2.8点であり、全ての群でプラセボ群と比較して有意な改善が認められた。

最終時※1のMMSE

投与群0週からの変化量※2 変化量の群間比較

平均値±S.E.(n) 平均差※3

10mg 2.3±3.2(30) 2.8

5mg 3.5±3.2(30) 4.1

3mg 1.2±3.8(30) 1.8

プラセボ -0.6±2.7(28) -(プラス値は改善を示す。)

精神症状・行動障害のうち幻覚、認知機能変動を評価するNPI-2得点の最終時の変化量のプラセボ群との差は、3mg群、5mg群、10mg群それぞれ-2.4点、-3.6点、-5.2点であり、5mg群、10mg群でプラセボ群と比較して有意な改善が認められた。

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11

アリセプトの有効性(臨床成績)

最終時※1のNPI-2

投与群0週からの変化量※2 変化量の群間比較

平均値±S.E.(n) 平均差※3

10mg -5.1±4.6(31) -5.2

5mg -3.4±3.9(30) -3.6

3mg -2.2±6.1(30) -2.4

プラセボ 0.2±4.0(28) -(マイナス値は改善を示す。)

本試験は探索的試験であり、主要評価項目は選択せず、評価項目毎・用量毎の検定の多重性も制御していない。

(2)�レビー小体型認知症患者(MMSE得点:10点以上26点以下)142例を対象に本剤10mg(3mg/日を2週間投与後、5mg/日を4週間投与、次いで10mg/日を6週間投与)、5mg(3mg/日を2週間投与後、5mg/日を10週間投与)又はプラセボを12週間投与する二重盲検比較試験を実施した。認知機能を評価するMMSE得点の最終時の変化量のプラセボ群との差は、5mg群、10mg群それぞれ0.8点、1.6点であり、10mg群でプラセボ群と比較して有意な改善が認められた。

最終時※1のMMSE

投与群0週からの変化量※2 変化量の群間比較

平均値±S.E.(n) 平均差※3

10mg 2.2±0.4(49) 1.6

5mg 1.4±0.5(43) 0.8

プラセボ 0.6±0.5(44) -(プラス値は改善を示す。)

精神症状・行動障害のうち幻覚、認知機能変動を評価するNPI-2得点の最終時の変化量では、5mg群、10mg群ともにプラセボ群との間に有意差は認められなかった。

最終時※1のNPI-2

投与群0週からの変化量※2 変化量の群間比較

平均値±S.E.(n) 平均差※3

10mg -2.8±0.5(49) -0.7

5mg -1.8±0.6(45) 0.4

プラセボ -2.1±0.6(44) -(マイナス値は改善を示す。)

※1:最終時は原則として12週時の評価としたが、中止・脱落例については、最終データを解析の対象とした。※2:[最終の値]-[0週の値]※3:[各投与群の0週からの変化量の平均値]-[プラセボ群の0週からの変化量の平均値]

本試験では、認知機能障害、精神症状・行動障害の両症状に対する本剤の有効性がプラセボに比較して優れているという検証仮説は検証されていない。

11 アリセプトの有効性(臨床成績)

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CODE�DI-J-6252017年6月作成