放送用キャラクタジェネレータに替わる html5 を用いた cg 制 … ·...

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平成 25 年度 学士学位論文梗概 高知工科大学 情報学群 放送用キャラクタジェネレータに替わる HTML5 を用いた CG 制作手法の検討 1140338 高野 康太郎 【 清水研究室 】 1 はじめに テレビ放送において字幕スーパー (テロップ) は,欠 かせない映像効果であり,それを描画するキャラクタ ジェネレータは必要不可欠である.しかし,キャラクタ ジェネレータの導入には数百万円単位での支出を要す る.また,描画環境やシステムの差異によって,出力結 果が異なるといった例も一部の放送で見受けられる.そ こで本研究では,一般的に普及している汎用 PC を用い て,キャラクタジェネレータの代替となる安価描画・制 作手法を検討するとともに,実行環境に因らず統一され た描画を行えるシステムの開発を行い,その有用性につ いて検証する. 2 既存システムの概要 現在,広く導入されているキャラクタジェネレータ は,HD-SDI 規格により信号の伝送を行う方式が一般的 である [1].出力される信号は,描画図形の Fill 信号と, 透過度や形状をグレースケールにて示した Key 信号の 2 つであり,双方の信号を受け取ったスイッチャ上にて 合成処理が行われる.また,合成に当たり信号の位相を 合致させるため,ゲンロック信号にて位相を合致させる 必要がある. 3 汎用 PC を用いた簡易システムの実装 既存システムでは Key 信号と Fill 信号ならびに,位 相合成のためのゲンロック信号の 3 つが必要となるが, Fill 信号に相当する映像信号のみを生成し,クロマキー にて透過・合成処理を行う簡易的なキャラクタジェネ レータを検討,実装した. 3.1 実装にあたって 本システムの実装に当たり,HTML5 をベースとする ことにより,OS に依存しない互換性の向上を図る.ま た,開発するシステムは,文字情報を入力するインター フェースと,それにより得られた文章を元に描画を行う 部分とする.クロマキー処理並びに合成出力は,専用の スイッチャ・ミキサで行い,図 1 の通り接続する. 3.2 描画処理 合成に利用する映像信号については,HTML データ のフルスクリーン表示にて生成する.利用できる素材に ついては,HTML5 の仕様に従い,ベクタ画像・ラスタ 画像・動画・Web フォントを想定した. 4 実験・評価 実際に機器を接続し,描画・合成を実験した. Video-Switcher Personal-Computer Video-Output Display-Device Mixed-Video Imput Telop Output Cam/VTR 1 映像システム系統図 ○○地方で豪雪 通行止め Blue-back 2 PC 描画例 4.1 実験方法 PC をミキサに VGA 端子で接続し,クロマキー並び に合成処理を行う.描画例は図 2 の通り,背景をブルー バックとしている.これらを合成した映像信号をミキサ にて生成し,ディスプレイに出力した. 4.2 評価 ミキサの性能に依存する部分があり,曲線のノイズ や,背景を透過できない制限が生じた.一方,縁が直線 的なものや透過を要しないデザインでは低ノイズでの 合成結果を得られており,調整次第で問題なく合成でき ることが確認できた. 5 まとめ クロマキーによる合成処理を用いた結果,描画品質 やデザインに制限が生じた.合成品質を向上させるた め,PC からの Key/Fill 信号同時送出を検討する必要 がある. 参考文献 [1] 株式会社 朋 栄「HD/SD キャラ ク タ ジェ ネレータ EzV-100HShttp://www.for- a.co.jp/products/ezv100hs/ezv100hs c.pdf 2014 1 27 日 閲覧

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Page 1: 放送用キャラクタジェネレータに替わる HTML5 を用いた CG 制 … · 合成に利用する映像信号については,html データ のフルスクリーン表示にて生成する.利用できる素材に

平成 25年度 学士学位論文梗概 高知工科大学 情報学群

放送用キャラクタジェネレータに替わるHTML5を用いたCG制作手法の検討

1140338 高野 康太郎 【 清水研究室 】

1 はじめにテレビ放送において字幕スーパー (テロップ)は,欠

かせない映像効果であり,それを描画するキャラクタジェネレータは必要不可欠である.しかし,キャラクタジェネレータの導入には数百万円単位での支出を要する.また,描画環境やシステムの差異によって,出力結果が異なるといった例も一部の放送で見受けられる.そこで本研究では,一般的に普及している汎用PCを用いて,キャラクタジェネレータの代替となる安価描画・制作手法を検討するとともに,実行環境に因らず統一された描画を行えるシステムの開発を行い,その有用性について検証する.

2 既存システムの概要現在,広く導入されているキャラクタジェネレータ

は,HD-SDI規格により信号の伝送を行う方式が一般的である [1].出力される信号は,描画図形の Fill信号と,透過度や形状をグレースケールにて示した Key信号の2つであり,双方の信号を受け取ったスイッチャ上にて合成処理が行われる.また,合成に当たり信号の位相を合致させるため,ゲンロック信号にて位相を合致させる必要がある.

3 汎用PCを用いた簡易システムの実装既存システムでは Key信号と Fill信号ならびに,位

相合成のためのゲンロック信号の 3つが必要となるが,Fill信号に相当する映像信号のみを生成し,クロマキーにて透過・合成処理を行う簡易的なキャラクタジェネレータを検討,実装した.3.1 実装にあたって本システムの実装に当たり,HTML5をベースとする

ことにより,OSに依存しない互換性の向上を図る.また,開発するシステムは,文字情報を入力するインターフェースと,それにより得られた文章を元に描画を行う部分とする.クロマキー処理並びに合成出力は,専用のスイッチャ・ミキサで行い,図 1の通り接続する.3.2 描画処理合成に利用する映像信号については,HTMLデータ

のフルスクリーン表示にて生成する.利用できる素材については,HTML5の仕様に従い,ベクタ画像・ラスタ画像・動画・Webフォントを想定した.

4 実験・評価実際に機器を接続し,描画・合成を実験した.

Video-Switcher

Personal-Computer

Video-Output

Display-Device

Mixed-Video

Imput

Telop

Output

Cam/VTR

図 1 映像システム系統図

○○地方で豪雪 通行止め

Blue-back

図 2 PC描画例

4.1 実験方法PCをミキサに VGA端子で接続し,クロマキー並び

に合成処理を行う.描画例は図 2の通り,背景をブルーバックとしている.これらを合成した映像信号をミキサにて生成し,ディスプレイに出力した.4.2 評価ミキサの性能に依存する部分があり,曲線のノイズ

や,背景を透過できない制限が生じた.一方,縁が直線的なものや透過を要しないデザインでは低ノイズでの合成結果を得られており,調整次第で問題なく合成できることが確認できた.

5 まとめクロマキーによる合成処理を用いた結果,描画品質

やデザインに制限が生じた.合成品質を向上させるため,PCからの Key/Fill信号同時送出を検討する必要がある.

参考文献[1] 株 式 会 社 朋 栄「HD/SD キャラ ク タ ジェネレータ EzV-100HS」 ,http://www.for-

a.co.jp/products/ezv100hs/ezv100hs c.pdf 2014

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