予防的支援における教師とスクールカウンセラーの...

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予防的支援における教師とスクールカウンセラーの役割 教師対象の面接調査の分析から荒木史代 1) 中澤 2) 1) 東京学芸大学大学院連合学校教育学研究科・博士課程 2) 千葉大学・教育学部 The roles of teachers and school counselors in school-based prevention Through interviewing with teachersARAKI Fumiyo 1) NAKAZAWA Jun 2) 1) Doctoral Course, The United Graduate School of Education, Tokyo Gakugei University, Japan 2) Faculty of Education, Chiba University, Japan 本研究の目的は,予防的支援における教師とスクールカウンセラーの機能・役割の仮説モデルを生成することで あった。教師13名(小学校4名,中学校4名,高校5名)に,学校教育における予防的支援に対する教師の実践とス クールカウンセラーへの教師のニーズについて尋ねるために,面接調査を行った。発話内容の分析をもとに構成され た仮説モデルは,支援の対象,つまりすべての児童生徒を対象とする一般タイプないし教師が気になる児童生徒を対 象とする選別特定タイプと,教師とスクールカウンセラーの支援の機能・役割の二つに分かれた。一般タイプから 選別特定タイプに移行するにつれ,教師の支援は教師自身から同僚教師や,保護者,スクールカウンセラーとの連 携へと,関係性が広がっていくことが示された。スクールカウンセラーの役割も,教師とのコミュニケーションから コンサルテーションへとより専門化していくことが明らかとなった。 This study established the hypothesis model of teachers’and school counselors’roles in school-based prevention. Thirteen teachers(4 teachers of elementary school, 4 of junior high school, and 5 of high school)interviewed about teachers’practices for school-based prevention and their needs for activities of the school counselor in school-based prevention. The narrative analysis drew the hypothetical model that consisted of two dimensions. One was the types of students that were provided preventive supports. The universal prevention is for all stu- dents that belong to the school, and the selectiveindicated prevention is for the students that teachers concerned. The other dimension was the roles of teachers and school counselors in school-based prevention. On the roles of teachers, as moved from the universal type to the selectiveindicated type, the relationship with those whom worked together to support students much expanded from themselves to their colleagues, parents and the school counselor. Similarly, on the roles of the school counselor, the expertise of school counselor much specialized from communication to consultation with teachers. キーワード:予防的支援(school-based prevention) 教師の実践(teachers’practices) 教師のニーズ(teachers’needs) スクールカウンセラー(school counselor) Nastasi(1998)は公衆衛生の分野で予防のモデルを 提唱したCaplan(1964)の一次予防,二次 予 防,三 次 予防の概念を学校環境に適用し,一次予防を「予防」「リ スク削減」の2つに分け,二次予防に相当する「初期介 入」,三次予防に相当する「治療」という4つの段階に 分類している。石隈(1999)も,一人一人の子どもが発 達し,学校で生活する上で出会う問題状況の解決を援助 するサービスを「心理教育的援助サービス」と定義し, Caplan(1964)の理論をもとに,そのモデル化を行い, 援助サービスの対象から,すべての子どもを対象とする 一次的援助サービス,特別な配慮を要する子どもを対象 とする二次的援助サービス,特別な援助が個別に必要な 子どもに行う三次的援助サービスの三段階に分類し,一 次的援助サービス,二次的援助サービスには,予防的支 援が含まれることを指摘している。 しか し,Caplan(1964)の 予 防 の 分 類 の 枠 組 み は, 一次予防,二次予防の区別が曖昧である,また,一次, 二次という言葉が,本来意図されていない優先的評価の 印象をもたらしてしまうという批判を受けている(Gor- den,1983 ,1987)。そこで,予防を定義する用語を用い る際に,質的に分類可能な用語を用いることが提案され (Gorden,1983 ,1987),本来の一次予防に相当する,一 般の集団を対象としたuniversal(一般型),障害を起こ すリスクが他の集団や個人より高い集団や個人を対象と したselective(選別型),予防的な介入を必要とする十 分高いリスクのある個人を対象とした,本来の二次予防 に相当するindicated(特定型)の3つの分類が提案さ れている(Gorden,1983 , 1987 ; Institute of Medicine, 連絡先著者:荒木史代 千葉大学教育学部研究紀要 第57巻 125~136頁(2009) 125

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予防的支援における教師とスクールカウンセラーの役割―教師対象の面接調査の分析から―

荒木史代1) 中澤 潤2)

1)東京学芸大学大学院連合学校教育学研究科・博士課程 2)千葉大学・教育学部

The roles of teachers and school counselors in school-based prevention―Through interviewing with teachers―

ARAKI Fumiyo1) NAKAZAWA Jun2)1)Doctoral Course, The United Graduate School of Education, Tokyo Gakugei University, Japan

2)Faculty of Education, Chiba University, Japan

本研究の目的は,予防的支援における教師とスクールカウンセラーの機能・役割の仮説モデルを生成することであった。教師13名(小学校4名,中学校4名,高校5名)に,学校教育における予防的支援に対する教師の実践とスクールカウンセラーへの教師のニーズについて尋ねるために,面接調査を行った。発話内容の分析をもとに構成された仮説モデルは,支援の対象,つまりすべての児童生徒を対象とする一般タイプないし教師が気になる児童生徒を対象とする選別/特定タイプと,教師とスクールカウンセラーの支援の機能・役割の二つに分かれた。一般タイプから選別/特定タイプに移行するにつれ,教師の支援は教師自身から同僚教師や,保護者,スクールカウンセラーとの連携へと,関係性が広がっていくことが示された。スクールカウンセラーの役割も,教師とのコミュニケーションからコンサルテーションへとより専門化していくことが明らかとなった。

This study established the hypothesis model of teachers’and school counselors’roles in school-based prevention.Thirteen teachers(4 teachers of elementary school, 4 of junior high school, and 5 of high school)interviewedabout teachers’practices for school-based prevention and their needs for activities of the school counselor inschool-based prevention. The narrative analysis drew the hypothetical model that consisted of two dimensions.One was the types of students that were provided preventive supports. The universal prevention is for all stu-dents that belong to the school, and the selective/indicated prevention is for the students that teachers concerned.The other dimension was the roles of teachers and school counselors in school-based prevention. On the roles ofteachers, as moved from the universal type to the selective/indicated type, the relationship with those whomworked together to support students much expanded from themselves to their colleagues, parents and the schoolcounselor. Similarly, on the roles of the school counselor, the expertise of school counselor much specialized fromcommunication to consultation with teachers.

キーワード:予防的支援(school-based prevention) 教師の実践(teachers’practices)教師のニーズ(teachers’needs) スクールカウンセラー(school counselor)

Nastasi(1998)は公衆衛生の分野で予防のモデルを提唱したCaplan(1964)の一次予防,二次予防,三次予防の概念を学校環境に適用し,一次予防を「予防」「リスク削減」の2つに分け,二次予防に相当する「初期介入」,三次予防に相当する「治療」という4つの段階に分類している。石隈(1999)も,一人一人の子どもが発達し,学校で生活する上で出会う問題状況の解決を援助するサービスを「心理教育的援助サービス」と定義し,Caplan(1964)の理論をもとに,そのモデル化を行い,援助サービスの対象から,すべての子どもを対象とする一次的援助サービス,特別な配慮を要する子どもを対象とする二次的援助サービス,特別な援助が個別に必要な子どもに行う三次的援助サービスの三段階に分類し,一

次的援助サービス,二次的援助サービスには,予防的支援が含まれることを指摘している。しかし,Caplan(1964)の予防の分類の枠組みは,

一次予防,二次予防の区別が曖昧である,また,一次,二次という言葉が,本来意図されていない優先的評価の印象をもたらしてしまうという批判を受けている(Gor-den, 1983, 1987)。そこで,予防を定義する用語を用いる際に,質的に分類可能な用語を用いることが提案され(Gorden,1983,1987),本来の一次予防に相当する,一般の集団を対象としたuniversal(一般型),障害を起こすリスクが他の集団や個人より高い集団や個人を対象としたselective(選別型),予防的な介入を必要とする十分高いリスクのある個人を対象とした,本来の二次予防に相当するindicated(特定型)の3つの分類が提案されている(Gorden, 1983, 1987; Institute of Medicine,連絡先著者:荒木史代

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1994; National Institute of Mental Health, 2001)。また,Greenberg, Domitrovich, & Bumbarger(2001)は,これらの予防的介入の分類に対する定義をもとに,学齢期の子どもを対象とした予防プログラムを,すべての集団対象とするuniversal(一般型),メンタルヘルスの障害が進行するリスクが平均より高い集団や個人を対象とするselective(選別型),メンタルヘルスの障害が進行しているけれども最小限である,また診断がなされていないリスクのある個人を対象とするindicated(特定型)の3つに分類し,紹介している。このような予防的支援は,援助を必要とする大多数の人々に専門家がサービスを提供するための現実的な方法であり,特に,学校教育における予防的支援は,子どもたちの学習面,健康面,メンタルヘルス面を向上させ,それらの問題を減らす効果があることが指摘されている(Meyers, & Nastasi,1999; Tharinger,1995)。予防的支援は,アメリカのスクールカウンセリングに

おいて人気のあるアプローチの一つになっており(伊藤,2004;村上・上地,2001),予防を目的としたアプローチはスクールカウンセラー(以下SCとする)の主な仕事の一つとされている(高原,2006)。しかしながら,日本においてSCによる予防を目的とした取り組みについて検討された研究は,伊藤(2003)以外には見られない。伊藤(2003)は,中学校でのスクールカウンセリングにおいて,学級風土質問紙(伊藤・松井,2001)を用い,教師に対してコンサルテーションを実施したが,学級全体に大きな変化は見られなかった。一方で,教師の実践報告の中には,教科の授業に心理

教育を組み込む,道徳や学活の時間を利用するなど,学校のカリキュラムの中に心理教育を取り入れる工夫がなされている(原田,1996;石井,2006;野木,2003など)。また,学校独自のニーズに応じた学校環境の修正に着目したアプローチを実践した結果,不登校生徒数が減少したという報告もある(永井,2004;田邉,2005)。このような,教師がすでに子どもたちとの関わりの中で行っている多様な実践を掘り起こし,意味づけ,他の学校や教師が共有可能な形で提示することが,心理学の専門家に求められている学校や教師への援助であるとの指摘もある(近藤,1994)。このように,教師の実践では,不登校生徒数の減少など効果が見られ,様々なアプローチが行われているにもかかわらず,それらの予防的実践としての意味づけや子どもに与える変化などを明確化しているものは少ない。荒木・中澤(2008)では,予防的支援における教師の

実践とSCに対するニーズを明らかにするために教師対象に質問紙調査を実施した。その結果,日常の観察結果から児童生徒と個別に関わること,同僚・先輩教師と関わること,SCと日常的にコミュニケーションを図ることが児童生徒の不適応予防につながると考え,教師は実践を行っていた。また,SCに対するニーズについては,「不登校」「情緒不安定な子どもの問題」などの問題の予防に対するニーズが高い割合を示した。さらに,予防を目的とした取り組み内容として,「日常的にSCと教師とコミュニケーション」「人間関係作りのスキル・ストレス対処法を教えるための,教師へのアドバイス」など

SCから教師への間接的援助に関するニーズの割合が高かった。しかし,質問紙調査では予防を目的とした,教師の具体的な実践内容や,SCに対するニーズの詳細まで明らかにすることができなかった。また,荒木・中澤(2008)では,予防を目的として,

SCに関わってほしい問題として,小学校では「いじめ」,中学校では「不登校」と学校種によって,教師のニーズに違いが見られた。一方で,高校では,予防を目的とした取り組みの教師のニーズが低く,これらの結果から発達段階に応じた予防的支援の方法を検討する結果が示唆された。予防を目的とするプログラムは,子どもの発達を促進するという側面もあること,また予防的プログラムの効果をあげるためには,プログラムの目標が,対象となる子どもの発達段階に応じたリスク因子と一致していることなど,学校教育において予防的アプローチを考える際には,子どもの発達的側面を考慮すべきであることが指摘されている(Greenberg, Domitrovich, & Bum-barger, 2001; Han & Weiss, 2005; Meyers & Nastasi,1999)。そこで,本研究では,荒木・中澤(2008)で得られた

結果よりも,さらに詳細に教師が予防的・成長促進的介入を目的に行っている実践を把握するために,小学校から高校の教師を対象に面接調査を実施する。そして,教師の実践を踏まえた上での,学校のニーズや子どもの発達段階に応じた適切な支援を可能とするような予防的支援における教師とSCの役割モデルを生成することを目的とする。

方 法

1.対象者;調査の趣旨を説明し,承諾を得た教師13名に面接調査を実施した。子どもの発達段階に応じた検討を行うために,対象者は,小学校,中学校,高校のすべての学校種の教師を対象とし,小学校4名,中学校4名,高校5名に面接調査を依頼した。対象者の中には,複数の学校種を経験している教師2名(小学校教師1名に幼稚園勤務経験があり,高校教師1名に中学校勤務経験があった)が含まれたが,現在所属している学校種での経験についての面接内容のみ分析に使用した。対象者の平均教職経験年数は16.00年(SD5.90,範囲7~24年)であった。面接対象者の内訳については,表1に示すとおりである。2.調査時期;2007年7~9月3.手続き;面接は,対象者の勤務する学校,筆者らの所属する大学の研究室,喫茶店で実施し,対象者にとって都合のよい場所を選択してもらった。半構造化面接を

表1 面接対象者の内訳(人数)

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行い,許可を得た上で録音した。実施回数は,各1回で,実施時間は30分~90分であった。4.質問内容;以下の2つの質問内容を設定した。

� 学校不適応予防を目的とした教師の実践学校不適応予防を目的とした教師の実践内容を明らか

にするために質問項目を設定した。具体的には,「児童生徒と個別対応の際に気をつけていること」「児童生徒の学校生活がうまくいくように心がけていること」「気になっている児童生徒への取り組み」「学級が上手くいくための取り組み」について尋ねた。

� 児童生徒の学校不適応予防のためのスクールカウンセラーへのニーズ児童生徒の学校不適応予防を目的としたSCへの教師

のニーズを明らかにするために質問項目を設定した。具体的には,「児童生徒の学校生活がうまくいくために,SCへ期待すること」について尋ねた。

分 析

まず,録音した面接内容を逐語文字化して,分析資料とした。なお,質問内容から外れたもの,教師自身の私的な内容は分析資料から除外した。次に,�学校不適応予防を目的とした教師の実践,�児童生徒の学校不適応予防のためのSCへのニーズについて,それぞれコーディングを実施した。本研究で用いた面接から収集した分析資料は質的データである。質的研究におけるコーディングとは,収集された文字テキストデータに対して「コード」,つまり,それぞれの部分が含む内容を示す小見出しのようなものをつけていく作業である(佐藤,2008)。本研究では,質的データ分析ソフトウェアである

MAXqda2007(佐藤,2008)を利用してコーディングしたセグメントを,予防の3つの分類と,予防的支援の対象や教師の予防的支援に対する姿勢に関してのカテゴリーに分類した。予防の分類では,すべての児童生徒を対象とする「一般タイプ」,教師が気になる児童生徒を対象とする「選別タイプ」,不登校などの学校不適応の問題を呈しており,特別な支援を必要とする児童生徒を対象とする「特定タイプ」の3つのカテゴリーに分類した。予防的支援の対象や教師の予防的支援に対する姿勢に

関しては,�学校不適応予防を目的とした教師の実践では,「子ども」「学級」「教師の姿勢」に,�児童生徒の学校不適応予防のためのSCへのニーズでは,「子ども」「学校」「教師」に分類した。これらの手続きにより,分類したコードとその内容については,表2,3に示すとおりである。

結 果

1.学校不適応予防を目的とした教師の実践前述の分析を通して,学校不適応予防を目的とした教

師の実践に関して,予防の分類として「一般タイプ」「選

別タイプ」「特定タイプ」,対象として「子ども」「学級」「教師の姿勢」の3つに分類したカテゴリー,コード,コード内容,コーディングしたセグメントの数,教師のコメント例を表2に示す。セグメントとは,コードが付与されている文章の箇所のことであり(佐藤,2008),そのセグメント(文章)の数を表2に示している。結果については,予防の分類ごとに述べていくこととする。� 「一般タイプ」の教師の実践1)「子ども」を対象とした教師の実践「子ども」を対象とした実践については,「観察・情報収集」「モデリング」「働きかけ」の3つのコードに分類した。「観察・情報収集」は,子どもの日常の様子の観察や,前籍校(中学校の場合は小学校との情報交換)や日記(日常の記述)などからの情報収集である。「たいてい最初は様子を見る」「まず生徒を良く見る」などの観察や,「ソシオメトリックテストをやってみる」「日記を帰りの会で集める」「中学校では入学する段階で小学校の先生からいろいろな申し送り事項がくる」などの情報収集に関するものであった。「モデリング」は,児童生徒のモデルとなるような行動を教師が行うものである。「基本的には笑顔。あと,一語一語の言葉使いはすごく気を使います」「いい見本でありたいと思うから,挨拶しないようなブスッとしたような子がいたら,自分から話しかけるよう心がけています」など,教師が児童生徒に大人としてのモデルを示すものと,「キレル子を一次避難させるために,最初抱きしめて羽交い絞めにする。ものすごく暴れるから…モデリングの効果っていうのがあるから,僕は羽交い絞めにして,それを子どもたちがみている。そうすると,クラスの中でも強い子がちゃんと僕の代わりをするようになる」など特定の子どもへの対応のモデリングの2つの観点から意見が得られた。「働きかけ」は,子どもへの言葉かけなど,教師から児童生徒への積極的な働きかけである。「子どもたちの行動を観察して,それをあるとき子どもたちに解説する」「頑張っている子,(頑張っている)ことに関しては,いつも把握していて,言葉かけなりアドバイスなりというのは大事にしていますし,あとはよく遊びますね」「しゃべるのが好きなんで,生徒たちとよくしゃべっています」など,児童生徒への積極的な言葉かけや一緒に遊ぶなどの実践である。「一般タイプ」の「子ども」を対象とした実践については,小学校・中学校・高校による違いはみられず,どの発達段階でも教師は児童生徒の日常の様子の観察や情報収集を行い,大人としてのモデルとなるように心がけて振舞い,児童生徒に対して声かけなどの積極的な働きかけを実施していることが伺えた。2)「学級」を対象とした教師の実践「学級」を対象とした実践については,「学習指導」「学級活動」「学級指導」の3つのコードに分類した。「学級指導」は,学級のそのときの課題などを学習(授業)の中のテーマとして組み入れることである。例えば,「(小学校)5年生なので,男女の意識を取り払いたいと思うので,男女交流があるような学習を組み込んだり

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している」というものであった。「学級活動」は,レクリエーション活動など学級全体で取り組む活動である。「クラスの中でも,なかなか友達ができない子もいるので,(中略)エンカウンターをやろうかな,と」「(小学校)高学年で扱いが難しくなる時期があるので,『集会係』を作って,子どもが自分たちでこれがやりたいというのを自分たちで企画して,全員で遊ぶ」「全員で何かをさせる。毎日詩を言わせたり…(中略),音楽の勉強をかねて,毎日リコーダーをふかせたりした」「LHR(ロングホームルーム)の中で,レクリエーションだったり,コミュニケーション活動を頻繁にやる。」「1年に一回だけでも主役にさせてやりたいなと思うので誕生日を調べて…(中略),『誕生日大辞典』をコピーして渡して,1分間スピーチとかして…(中略),

まあ拍手とかして盛り上げてやりながら,一応誕生日には祝ってやりたいなあと思って」などの活動について述べられた。これらは,学級活動を通して学級集団での凝集性を高めたり,学級での安心感を高めることを意図した実践であると考えられる。「学級指導」は,学級目標,班編成など学級全体に対する指導である。「学級目標を作るときのステップをすごく大事にする。何かあったときに立ち返る指針として『君たちはこういうクラスを作ろうとしたんじゃないの?』って,たった一言で切り返せるし,しかも生徒が考えて話し合ってなんだかんだでやっている。」「みんな仲良くなるように,そんな簡単なことではないんですけど…班編成の仕方ですね。…(班長などリーダーを)8人で参加させて,もうとにかく話し合いで決めなさい。

表2 「予防的支援を目的とした教師の実践内容」カテゴリー・コードとセグメントの数,コメント内容例

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そして,いろいろ条件をつけるんですね。…(中略)私はたいていいるけれど,目をつぶっています。本当に黙っている。そんときの情報が一番貴重なんですね。実は。」「行事を大事にして,それにむけて役割分担をかなり明確にして,あと,スケジュールもある程度(明確にして),もっぱらそれにかかりきりですね。…(中略)そこは全力一色になって取り組むような感じですね。」など,学級目標の作成や班編成作成の過程や,学校行事などを学級での指導に生かしてこうとするものであった。「一般タイプ」の「学級」を対象とした実践については,「学習指導」は小学校で,「学級活動」は小学校と高校で,「学級指導」は小学校と中学校で意見が得られた。小学校は学級担任制であることから,学習や学級活動を通した実践が行いやすいこと,また,学級活動では「みんなで一緒に遊ぶ」ことを中心とした活動が他の学校種と比べて特徴的であった。これらの取り組みの効果として「一緒に遊ばせたら,あんまり変なことはしなくなり,トラブルも減ったしやりやすくなった」との意見も語られた。中学校では,「班編成」「学級目標」など「学級指導」という枠組みでの学級への実践が中心であった。高校では,「高校生は(学級に)あんまり先生が入るということを好まない。」「高校までくると,生徒が勝手にまとまる。『先生は別物』みたいな(感覚が生徒にあると思う)」等,教師が入らないほうが学級はうまくいくという認識が強いといえる。その一方で,高校で「学級活動」に関する意見が得られたのは,自己理解や他者理解を深めるためのワークシートやレクリエーション活動をロングホームルームに熱心に取り入れた実践活動を行っていた教師がいたためである。3)「一般タイプ」における「教師の姿勢」「一般タイプ」における「教師の姿勢」については,「心構え」「早めの対応」の2つのコードに分類した。「心構え」は,児童生徒の理解や指導に対する心構えのことであり,その中でも,早めに積極的に児童生徒に対応することに関しては「早めの対応」として分類した。「心構え」では,「学校の先生たちが,子どもに対して同じ指導をすること」「同一歩調」「足並みをそろえる」「共通理解」「生徒にとって理不尽なことがない状況を作る」などの,学校全体で,教師が児童生徒に対して同じ指導,一貫した指導を行うことについて述べられていた。また,「表情の訓練もあるけれど,(教師として)もう一人の自分のアンテナを常に立てると言う訓練をしておく」「こんな感じと思いつつも,常にこんな感じを持たないように努めている。(生徒に対して)固定観念を(もたないように)。」「(自分から来てくれる生徒たち)そういう子たちと話すときは目線を同じにしようという考えです」など,児童生徒理解に対する心構え,児童生徒と関わる際の心構えについて述べられていた。「心構え」の中でも,「早めの対応」は,ほとんどの教師によって語られたことであったので,別にコードを設定した。「事が大きくなる前に日頃から小さい目をつんでいけば,自分の範疇で解決していくんだなと思った。(ちょっとでも小さいことに気づいたら)まず聞いて,それから対応する。それをし始めてから,大きなことはなくなった。」「1学期が大事。とくに4月が。約束事は

4月が勝負だと思います。…(中略)4月にとりこぼしたら終わりですね。」「なるべく早めに,早めに聞くように,問題を深くならないうちに,ってことを気にしています。」などであった。「教師の姿勢」については,小学校,中学校,高校のすべての学校種の教師から,「心構え」「早めの対応」については意見が得られ,一貫した指導体制や,児童生徒理解に対する心構え,早めの対応などは,どの学校種の教師も心がけて実践していることであると言える。� 「選別タイプ」の教師の実践1)「子ども」を対象とした教師の実践「選別タイプ」の子どもを対象とした教師の実践については,「個別対応」「友人からの支援」「保護者との連携」「教師間の連携」の4つのコードに分類した。「個別対応」は,教師が気になる児童生徒に個別に支援を行っている実践とした。「頻繁に声をかける」「図書室など(他の児童の)わからないところに連れて行って,話を聞いて,本人の意思を聞いて…」「(気になる生徒との)コミュニケーションはやっぱり多い。」「なるべく声をかけて,こまめに話をしたり」など,教師は,気になる児童生徒に,積極的に声をかけたり,個別に呼び出して話しを聞いたりして,対応していることがわかった。「友人からの支援」は,教師が,気になる児童生徒の友人へ支援への協力を求めることである。「欠席のときのお手紙を(協力的な児童に)届けてもらうのだけど,(頻繁になると)さすがに申し訳ないと思って自分で持っていっていた。」「友達に同席してもらうこともあります。本人が話してくれたら一番(いい)。でもたいていは本人がしゃべってくれることが多いですよ。」「ちょっと手紙を他の子を通じて渡してもらったり…」「本人は連絡つかないことが多いから,友達経由で連絡してもらったりしています」「ちょっと頼りになる子とかに『あの子のことで困っているんだけれど』と言って生徒を巻き込む。そういう子が意外と情報をたくさん提供してくれる。」「仲の良い友達,人間関係がわかっていれば,ちゃんと話している友達から聞けば,大概のことはわかりますよね。そこでいろいろ話をするということは多いですよね。」など友人から気になる生徒の情報収集を行ったり,気になる生徒と教師が直接話ができるよう友人に橋渡しをしてもらったり,と教師が気になる生徒の友人に協力を求めていることがわかった。「保護者との連携」は,教師が気になる児童生徒の保護者との連携に関することである。「保護者に学校での様子を伝えて,これを改善していかなければならないから,一緒に考えていきましょうって。協力を求めます。」「私がやれることは,お家の人と連絡を密にとること。お家の人はなんだかんだ言いつつ自分の子どものことはすごく気にしているんです。」「家での姿と学校での姿は違ったり,親も一緒に入ってくれたら,今の子はどんどん解決の方向にいってくれているかなという気がするけれど」など,教師が家庭と連携を密にとることで,児童生徒の支援のために家庭に協力を求めて,教師と保護者が一緒に問題を解決していこうとする姿勢が伺えた。「教師間の連携」は,気になる児童生徒について教師間での情報共有や連携に関することである。「自分ひと

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りの目で見ていくと,個人個人で少々ずれていくので,…(中略)人によって見方が違うから,いろいろな先生の見方を聞くようにしている。」「その子がおかしいと感じたら,その日のうちに同学年の先生には知らせる」「横の連携はしっかりとって,『先生のところどうしてる?』と聞いてみたりとか,いいところがあったら教えて,情報交換するようにはしています。」「教師間の連携が大事だと思います。中学の場合は教科担任だから,ほとんどいろいろな教室を回っているわけですから,そのときに感じることとか,わかることがあるわけですから。」「学年主任とか,副任とかに知っておいてもらう。ちょっと手に負えないこともあるので…ちょっと話をしておく。」など,教師が児童生徒について「気になる」と感じた段階で,他の教師に情報を知らせたり,他の教師にも児童生徒の様子を注意して見てもらうことを依頼したり,ということを行っている。「選別タイプ」の「個別対応」「保護者との連携」「教師間の連携」に関しては,小学校・中学校・高校すべての学校種で実践されているものであった。しかし,「友人からの支援」では,高校の教師に,気になる生徒の友人の活用について語る者が多く見られた。高校生は,発達の観点から考えても,小学生・中学生よりも自他共に確立しており,教師も友人の支援を求めやすく,また,友人(高校生)も教師の求めに応じやすいと考えられる。2)「学級」を対象とした教師の実践「学級」を対象とした教師の実践については,「周囲の子どもへの配慮」のコードのみに分類した。これは,学級全体に対する配慮に関することである。「(攻撃的な子に対して)この子はこの辺で怒り始めるから,もうそれ以上やっちゃいけないんだよ,と言うラインを周りの子どもたちも覚えていかないといけないので。『誰にも苦手なことがあるから,人によってその苦手なことの種類が違うから』という話をしていると,何となく(周りの子どもたちも)わかってきます。」「周りの子にも見せておかないと。(好き放題にやっている子は)どなられるんだというのを見せておかないと。周りの子があいつだけは言い得だとならないように。それは意識してやっています。」というように,「周囲の子どもへの配慮」では,特に問題行動を起こしてしまう子への周囲への配慮に関して述べられていた。また,これらは,小学校,中学校教師のみからの意見であった。3)「選別タイプ」における「教師の姿勢」「選別タイプ」における「教師の姿勢」については,「心構え」「早めの対応」の2つのコードに分類した。「心構え」は,気になる児童生徒に対応する際の教師の心構えのことである。「教師の都合のよいように,子どもの話を収めないようにするということかな。」「高圧的に上から押さえるんではなくて,同じような目線でものを考えてみてあげるということ。」「『聞いたことは(他の先生には)言わないからね』というスタンスではいます。でもこれが,緊急性があってどうしてもこれは他の大人に伝えないといけないと判断した場合は,『あなたに言ってから相談するけれど,それは承諾を得るからね』と。」「生徒と二人で話す時間を意図的に持って,私が最近大事だと思うことは,成長を認識させること。

『こういうのが成長じゃないの?』と言ってあげることがすごく大事かなと思う」など,気になる児童生徒と個別対応を行う際に,教師が児童生徒と話をする心構えについての意見が中心であった。「早めの対応」は,気になる児童生徒に対して,早めに積極的に対応することである。「問題が起こったら,大きくなったら対応が大変だから,様子がおかしいと思ったら,観察して,早めに手を打つ。小さいうちにつぶしておかないと,手遅れになったらいろいろな方向に広がったりするから。」「何か起きたときの敏捷性(が大切)。こっち(教師)側がすばやく行動する。」「すぐその場で対応しないと,『言った』『言ってない』とか気持ちの問題とかあるので,すぐ対応」と,「一般タイプ」での「教師の姿勢」と同様に,「選択タイプ」でも,教師は何か問題が起こったら迅速な対応が重要であると考え,実践を行っていることがわかった。「選別タイプ」の「教師の姿勢」については,小学校,中学校,高校による違いはみられず,どの発達段階でも教師は,気になる児童生徒へ対応する際には,子どもの立場を尊重し早めの対応を心がけていることがわかった。� 「特定タイプ」の教師の実践1)「子ども」を対象とした教師の実践「子ども」を対象とした実践については,「保護者対応」

「電話連絡」「教師間の連携」の3つのコードに分類した。「保護者対応」は,保護者への連絡や家庭訪問など保護者への対応である。「不登校の子の場合は,保護者がとても不安定だったりするので,子どもだけではなく,お母さんも穏やかな気持ちになるよう気をつけて話をしています」「保護者には,電話をするときに,保護者だけで話しませんか,と提案する。保護者とは直接話して,保護者にはガスを抜いてあげて。そしたら生徒と保護者が少し話しやすくなるかな,と。保護者なんて聞いてもらいたいじゃないですか,だからこちらは聞いてあげる立場で,どうですか。どうですかって聞き方はしますね。」など,保護者の心理的安定を目的として,教師が保護者の話を聴くという意見が得られた。「電話連絡」は,学校不適応を起こした保護者や児童生徒への電話連絡である。「(なかなか登校しない児童に対して,管理職から)『朝7時に電話かけなさい』と言われ,毎朝モーニングコールをした。」「直接電話はするんですけれど,今は携帯とかで横で生徒がつながっているから,直接電話をするのと,友だち経由で電話をするというのを,必ず同時にするようにしている。」など,学校に登校しない(またはしづらい)児童生徒に対して,電話を利用して働きかけを行っている実践が挙げられた。「教師間の連携」は,学校不適応を起こした児童生徒に対して,教師間で連携して対応することである。小学校教師から,「不登校の子がいたら教頭先生が率先して(子どもを)迎えにいってくれたり,アドバイスをしてくれたり…(中略)学校にはなるべく来るようにはなった。」と言う意見が得られた。「特定タイプ」の「子ども」を対象とした実践について,小学校,高校教師からのみ意見が得られた。特に,「教師間の連携」については,小学校教師のみからであった。

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2)「学級」を対象とした教師の実践「学級」を対象とした実践については,「クラス編成の配慮」のコードのみ分類した。これは,学校不適応の問題を抱えている児童生徒への,年度末のクラス編成時の配慮である。小学校教師から「クラス替えをするときに,一番仲のよい子を同じクラスにした。離したほうがいいか,くっつけたほうがいいかすごく迷うけど…その子の場合は,登下校時も一緒だから,絶対に離さないようにするという配慮はした。」という意見が得られた。3)「特定タイプ」における「教師の姿勢」「特定タイプ」における「教師の姿勢」は,「事例検討」「SCの活用」の2つのコードに分類した。「事例検討」は,学校不適応を起こした児童生徒を事例とした事例検討会についてである。これは,高校教師から「事例検討みたいなものとか,保健部主催の(学校全体で実施するもの)。学年会議とかで生徒のことを話したり(する場は)とかはあるんですけど。」というものであった。「SCの活用」は,SCへ気になる児童生徒の対応を依頼

することである。「SCがきていただいて3年目なので,うまく何とかいけているのだろうかと思います」「SCにつなぐとか…(中略)一人の力だと限界があるし,…(中略),自分自身があたふたしてしまうから,とにかく巻き込む」と,SCの利用についての意見が述べられた。「特定タイプ」における「教師の姿勢」は,「事例検討」「SCの活用」ともに高校教師からのみの意見であった。

2.児童生徒の学校不適応予防のためのスクールカウンセラーへのニーズ児童生徒の学校不適応予防のためのSCへのニーズに

ついて,予防の分類として「一般タイプ」「選別タイプ」「特定タイプ」,対象として「子ども」「教師」「学校」の3つに分類したカテゴリー,コード,コード内容,コーディングしたセグメントの数,コメント例については,表3に示すとおりである。結果については,1.教師の実践と同様に,予防の分類ごとに述べていくこととする。

表3 「予防的支援に対する教師のスクールカウンセラーへのニーズ」カテゴリー・コードとセグメント数,コメン

ト内容例

予防的支援における教師とスクールカウンセラーの役割

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� 「一般タイプ」におけるスクールカウンセラーに対するニーズ

1)「子ども」対象のスクールカウンセラーへのニーズ「子ども」を対象としたニーズは,「子どもとつながる工夫」「場作り・姿勢」「観察」「授業(心理教育)」の4つに分類した。「子どもとつながる工夫」は,SCと児童生徒が顔見知りになるような働きかけであり,授業や部活など児童生徒の日常の学校生活の場にSCが出向くなど,SCが「もう少し歩く人になっていいと思う」という意見があった。「場作り・姿勢」は,カウンセリングルームの場の意味づけやSCの心構えについてのニーズであり,カウンセラーのいる時間の周知などカウンセラーの姿勢やカウンセリングルームの運営などの意見がえられた。「観察」は,児童生徒の日常の様子の観察であり,授業や学校行事での児童生徒の様子をSCが観察することを望むものであった。「授業(心理教育)」は,道徳の時間や心理教育へのSCの協力を求めるものであり,「ピアサポートなどを道徳に取り入れ,SCに一緒にやってほしい」というニーズが述べられた。「子どもとつながる工夫」「場作り・姿勢」については,SCからの児童生徒への積極的な働きかけを求めるものであり,これらは中学校,高校教師から述べられたニーズであった。「観察」については,小学校,「授業(心理教育)」については,中学校の教師からのニーズであった。2)「教師」対象のスクールカウンセラーへのニーズ「教師」を対象としたニーズは,「コミュニケーション」のみであり,教師とSCの日常的なコミュニケーションを求めるものとした。「話しやすい雰囲気を作るためには,職員室に放課後にいてほしい」「職員室で執務をとってほしい」「管理職にもコミュニケーションをとり,理解していただく」など,教師とSCの関係性を深めるために,日常的なコミュニケーションのニーズが述べられた。また,これらの意見は,小学校・中学校・高校すべての教師から得られた。3)「学校」対象のスクールカウンセラーへのニーズ「学校」を対象とするニーズは,「職員研修」「会議への参加」の2つに分類した。「職員研修」は,SCが講師となる教職員対象の研修会の実施についてのニーズである。「SCがどこまで関わっているかとか知っているかとか,知らない先生もいるだろうし,こういうポイントでこういうふうに関われば未然に防げたはずなど,事例研究じゃないけれど,していただければ」など事例検討会を含めた職員研修のニーズが語られた。「会議への参加」は,学校内で開催される会議へのSCの参加を求めるものである。「SCが学年会議に出たりだとか,生徒指導部の会議に出たりだとか,日頃からいかに情報共有をするか」など日常的な教師とSCの情報共有が重要であるという意見や,管理職と情報共有の場を得ることのニーズが語られた。「職員研修」は,小学校,中学校で,「会議の参加」は中学校,高校の教師から出されたものであった。

� 「選別タイプ」におけるスクールカウンセラーに対するニーズ「選別タイプ」におけるニーズにおいては,対象として,「子ども」「教師」の2つのカテゴリーのみであった。1)「子ども」対象のスクールカウンセラーへのニーズ「子ども」を対象とするニーズは,「カウンセリング」「専門機関への紹介」「生徒の自助グループの運営」の3つに分類した。「カウンセリング」は,児童生徒対象のカウンセリングに対するニーズである。「SCが来るから相談してみたらいいよ,と生徒にふれる」「子どもたちがカウンセラーと少し過ごしただけで落ち着いて,クラスに戻っていければいいかなと思います」「(教師は)じっくり一人一人の生徒の話を聞くというのは物理的に不可能。(SCが生徒とカウンセリングを行うことで)足りない時間の分を補っていただくというのは非常に有効だと思う」等の,児童生徒へのSCの直接援助を求めるニーズが述べられていた。「専門機関への紹介」は,児童生徒の専門機関への紹介や学校と専門機関の調整に対するニーズであり,「外部機関との調整役で,病院とのやり取りのパイプ役になってもらって…(中略)ありがたい」「カウンセラーに入ってもらって,受診をすすめてもらった」など,学校と病院などの外部機関との調整,紹介などに関する意見であった。「生徒の自助グループの運営」は,同じ問題を抱えた生徒の小グループの運営をカウンセラーに求めるものであった。「カウンセリングを受けている子とかの,横の友達のつながりとか,カウンセリングの先生が来る日には昼ごはんを一緒に食べようとか,ちょっと話ができたらいいね,とかそういった会があったらおもしろいかもしれないですね」といった意見が得られた。「カウンセリング」は,すべて学校種の教師からニーズが述べられたが,「専門機関への紹介」は中学校,「生徒の自助グループの運営」は高校教師からのみ得られたものであった。2)「教師」対象のスクールカウンセラーへのニーズ「教師」を対象としたニーズについては,「連携」「コンサルテーション」「カウンセリング」の3つに分類した。「連携」は,教師とSCとの連携による児童生徒の問題への対応に関するものである。「カウンセラーと保健室と加配(教員)と担任がまとまれたらいい。」などの意見があった。「コンサルテーション」は,児童生徒について教師へコンサルテーションの実施に関するものである。「(生徒の行動について)自分の解釈だけでいいのかって疑問に思ったときに,(SCの意見を聞いて)SCの解釈と食い違っていれば,また問題がみえてくる」「SCから(生徒とカウンセラーが会って)こういうことを観察しました,会話しましたということを聞くと,その子をよりよく知るための資源となる」など,SCがカウンセリングを行った児童生徒についての見立てについて教師に知らせて欲しいという意見であった。「カウンセリング」は,SCによる教師対象のカウンセリングである。「(教師の)心が不安定だと生徒に移るの

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で,自分の技量,コミュニケーションの度合いを高めるためにSCと話しがしたい」「教員のカウンセリング,息抜き,ガス抜き」などSCによる教師への直接援助のニーズについての意見が得られた。「連携」「コンサルテーション」ともに,すべての学校種の教師からのニーズがあり,「カウンセリング」は,中学校,高校の教師からのニーズがあった。� 「特定タイプ」におけるスクールカウンセラーに対するニーズ「特定タイプ」におけるニーズにおいては,「選別タイプ」と同様に,対象として「子ども」「教師」の2つのカテゴリーのみであった。1)「子ども」対象のスクールカウンセラーへのニーズ「子ども」を対象としたニーズにおいては,「カウンセリング」のみであり,「何かあったときの個別の対応」という意見が得られた。これは,小学校教師からのみの意見であった。2)「教師」対象のスクールカウンセラーへのニーズ「教師」を教師対象としたニーズにおいては,「コンサルテーションのみであった。「(当該児童生徒に)関わる職員がお話をよく聞いてもらって,どうしたらいいかってよくこうね,じっくりミーティングできれば還元されるかな」といった意見が得られ,これは,高校教師からのみの意見であった。

考 察

1.教師による予防的支援の実践本研究の結果から仮定される,予防的支援における教

師とSCの機能・役割の仮説モデルを図1に示した。佐藤(2006)は,質的研究においては,多様な資料やデータを生かして研究結果を明確化できたときに,その信頼性と妥当性が保証されると指摘している。本研究では,面接内容を逐語文字化したテキストデータからコーディングを実施しMAXqda2007(佐藤,2008)を用いて分析を行うことで,予防的支援における教師とSCの機

能・役割の仮説モデルを作成することが可能であった。図1の予防的支援における教師とSCの機能・役割の

仮説モデルの上部は,本研究から得られた教師の実践をまとめたものである。また,左半分がすべての児童生徒を対象とする「一般タイプ」の役割・機能,右半分が,教師が気になる児童生徒を対象とする「選別タイプ」と不登校などの学校不適応の問題を呈しており,特別な支援を必要とする児童生徒を対象とする「特定タイプ」をまとめた「選別タイプ/特定タイプ」の役割・機能である。今回の面接調査の結果では,表2,3でも明らかなように,「特定タイプ」についてのコメントは少なかった。教師にとって,不登校など学校不適応の問題を呈している生徒も「気になる児童生徒」であると考えられ,「選別タイプ」と「特定タイプ」の判断が困難であったと言える。これらの理由から,図1の仮説モデル作成にあたっては,「選別タイプ」と「特定タイプ」を分類せずに,「選別タイプ/特定タイプ」とまとめて論じることとした。教師は,「一般タイプ」の段階で,子ども個人に対し

てモデリングの実施や,学級対象に,学習指導,学級活動,学級指導を行うことで児童生徒に指導を実施している。また,日常の子どもの様子の観察,情報収集や働きかけといった実践を行うことで,子どもをアセスメントしようと努めているといえる。アセスメントの結果,ある特定の子どもについて「気

になる子ども」と認識した場合,「選別タイプ/特定タイプ」対象の実践へと移行する。「選別タイプ/特定タイプ」の具体的な対応(支援)は,子ども個人に対しては,個別対応や友人からの支援や保護者との連携,教師間の連携,学級に対しては,「気になる子ども」の周囲の子どもへの配慮や,「気になる子ども」に対する年度末のクラス編成の配慮などを実施している。また,「一般タイプ」では,すべての子どもや学級集

団全体に対して,担任または教師が一人で指導や実践,アセスメントを行っている。一方で,「選別タイプ/特定タイプ」では,気になる子どもに対して,友人,保護者,同僚教師,SCに支援を求めるなど,子どもを支援するサポート源の関係性を拡大させていくことが示唆された。

2.予防的支援におけるスクールカウンセラーへのニーズ図1の下部は,本研究の結果から仮定される予防的支

援におけるSCの機能・役割である。「一般タイプ」の段階で,普及活動として,子どもとつながる工夫や,環境設定として場作りやSCの学校環境や生徒に臨む姿勢の準備を教師は望んでいる。さらに,授業(心理教育)での支援や,アセスメントとして,SCによる児童生徒の観察のニーズがある。次に,「選別タイプ/特定タイプ」の段階での,SCに

よる支援は,カウンセリング,専門機関との連携,生徒の自助グループの運営などである。これらの子どもに対する支援の結果,SCによる教師へのコンサルテーションの実施や,教師とSCの連携による支援を望んでいることが明らかになった。

図1 予防的支援における教師とスクールカウンセラーの機能・役割の仮説モデル

予防的支援における教師とスクールカウンセラーの役割

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「一般タイプ」では,普及活動,環境設定など,SCが学校環境の中で馴化・一般化していくための活動が中心である。一方で,「選別タイプ/特定タイプ」では,カウンセリングやコンサルテーションなど,よりSCの専門性に特化した実践に移行していくことが示唆された。従来SCは,学校不適応の問題を呈している児童生徒

への対応がその仕事として考えられてきた。しかし,本研究の結果から,前述したとおり,一般タイプ,つまり学校に所属する全児童生徒へのSCの役割や活動内容が明らかとなったといえる。

3.予防的支援における教師とスクールカウンセラーの機能・役割の仮説モデル図1の予防的支援における教師とSCの機能・役割の

仮説モデルでは,SCと教師,学校の関連についても示している。この仮説モデルは,学校教育における予防的支援,つまり,児童生徒が学校不適応を起こさないように,教師やSCが果たすべき役割について,教師の実際の活動やSCへのニーズから検討したものである。現在の実践から得られた結果から作成したモデルなので,実際学校教育において予防的支援を導入する際に適したモデルといえる。「一般タイプ」では,教師は,SCとのコミュニケーションを重要視している。さらに,学校全体での関わりとして,職員研修や会議への参加など,SCとの情報の共有などを期待している。これらは,2.予防的支援におけるSCへのニーズで述べたように,「一般タイプ」では,SCが学校環境に馴化し,教師とSCの関係性が深まるような関わりが求められている。次に,教師によるアセスメントの結果,「選別タイ

プ/特定タイプ」の段階では,SCには,教師が「気になる児童生徒」の対応が求められる。その後,SCによる教師へのコンサルテーションや,教師の対応やアセスメントを通した実践から得た情報の共有などの,教師とSCの連携によって,「選別タイプ/特定タイプ」の実践が行われていく。さらに,学校全体での関わりとして,「気になる児童生徒」や不登校など学校不適応の問題の問題を示している児童生徒に対する事例検討にSCが関与することを期待している。「選別タイプ/特定タイプ」では,前述したとおり,「一般タイプ」に比べて,教師は,サポート源の関係性を拡大させていき,SCの専門性はより深化していくといえる。また,図1の予防的支援における教師とSCの機能・

役割の仮説モデルは,予防的支援に限定されるものではなく,一般のスクールカウンセリング活動にもあてはまるものであると考えられる。さらに,「一般タイプ」から「選別タイプ/特定タイプ」に移行するにつれて,SCの役割の専門性がより深まることを指摘した。これは,第一筆者の経験から,SCが新任校に赴任して,最初は学校や教師とコミュニケーションを通して関係性を深め,その後,教師の気になる児童生徒のSCへの紹介が増え,より専門性が求められる仕事に従事するようになるというプロセスと同様のものであると考えられる。図1の仮説モデルにおいて,予防的支援に,より特徴的な教師とSCの機能について,実践を通して明確化していくこと

が今後の課題である。

4.発達的観点から捉えた予防的支援本研究では,子どもの発達段階に応じた適切な支援を

可能とするような予防的支援のあり方について検討するために,小学校,中学校,高校教師対象に面接調査を実施した。予防的支援を目的とした教師の実践内容では,「一般

タイプ」の子ども対象の実践としては,すべての学校種の教師が,日常の観察や情報収集,働きかけを通して,日常の児童生徒の様子をアセスメントしていることがわかった。一方で,学級対象の実践では,小学校教師は学習指導や学級活動,学級指導など学級を通した幅広い実践を行っているのに対し,中学校教師は学級指導中心の実践を行い,また,高校教師からは「学級に教師が入らないほうがうまくいく」といった意見が得られた。小学校は学級担任制であることから,「学級」が予防的支援の中核となる。これらから,小学校では,学級担任を中心とした心理教育などの一般タイプの実践の可能性が示唆されたといえる。一方で,高校では,他の発達段階に比べて個が自他共

に確立している時期なので,集団よりも個別対応にシフトしていくと考えられる。さらに,高校では,「選別タイプ」において,他の発達段階と比べて「友人からの支援」を活用していることが特徴的であった。また,SCへのニーズにおいても,「生徒の自助グループの運営」との意見もあり,これらの結果から,高校において,予防的支援を目的とした友人間で支援しあうピアサポート活動を導入する可能性も示唆された。ピアポートとは,仲間同士支えあい,援助するためにトレーニングを受けた生徒が困った問題に直面する仲間を支援する活動である(森川,2001)。これは,中学生,高校生は,仲間との関係,将来の職業選択,学業成績などさまざまな問題に直面しているが,それらの問題の80%は生徒同士で相談し,解決していることが明らかになったことから,1970年代後半カナダ,バンクーバー周辺よりスタートした活動である(森川,2001)。現在日本では,小・中学校を中心に,段階的に社会的スキルを教えることで子ども同士が支えあえるような関係を作ることを目的とした心理教育としてのピアサポート活動が実践されている(中尾・戸田・宮前,2008)。しかし,本来のピアサポートの発祥の起源や,今回の面接調査の結果からえられた教師の実践をふまえて,高校生対象のピアサポートの実践も検討する必要があると考えられる。

5.本研究における問題と今後の課題本研究における問題として以下の2点が挙げられる。一つ目は,教師の児童生徒の不適応予防を目的とした

予防的実践内容とその効果について,本論文では詳細に検討できなかった点である。対象者の中の教職経験20年近い教員2名が「これまで担任をしてきたクラスでは,不登校をだしたことがない」と述べていた。これらの教師は,新年度の始業式前(春休み中)から前年度から不登校傾向の子どもと熱心に関わった経験や,日常的に教師自身が自分の行動をモニタリングし,子どもの言動の

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背景にある意図を教師が子どもたちにフィードバックするといった実践を面接の中で語ってくださった。近藤(1994)の指摘にもあるように,教師がすでに子どもたちとの関わりの中で行っている多様な実践を掘り起こし,意味づけ,他の学校や教師が共有可能な形で提示することが,心理学の専門家に求められている学校や教師への援助である。面接調査で得られたこれらの教師の貴重な実践内容について,意味づけ,他の学校や教師にとって有益な資料となりうるような検討が今後必要であると考えられる。二つ目は,図1の仮説モデルの説明においても述べた

ように,教師にとって,教師が気になる児童生徒を対象とする「選別タイプ」と,不登校などの学校不適応の問題を呈しており,特別な支援を必要とする児童生徒を対象とする「特定タイプ」の判断が困難であったことである。教師が不登校など問題を呈してしまった児童生徒への対応については実践している一方で,選別タイプに該当するリスクのあると考えられる児童生徒への予防を目的とした実践の検討が重要であることが示唆された。また,調査方法における質問内容についても検討するとともに,先行研究を精査しながら,学校教育での実践に即した予防の分類や支援方法について検討していく必要があると考えられる。また,今後の課題として以下の2点が挙げられる。一

つ目は,本研究からは,海外の先行研究で報告されているような,心理教育を始めとする一般タイプの予防的支援に関する教師やSCの役割についてはほとんど見出せなかった。学校不適応の予防という観点からは,不登校などの問題を生じる前からのアプローチが重要である。日本の学校教育で実践可能となるような一般タイプの予防的支援についての検討も今後の課題である。二つ目は,本研究で得られた「予防的支援における教

師とSCの機能・役割の仮説モデル」について,実際の予防的支援の実践の中で検討していくことが挙げられる。図1は,今回の教師の面接調査から仮定した仮説モデルである。前述したとおり,このモデルは一般のスクールカウンセリング活動にもあてはまると考えられる。予防的支援が学校教育の中で効果を上げるためにも,また,予防的支援により特徴的なSCと教師の機能と役割を明確化するためにも,実際の予防を目的とした実践の中で,面接調査で得られた教師の機能,SCの機能が果たしうるのか,仮説モデルを検証していく必要があると考えられる。

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