小児腎移植におけるミコフェノール酸モフェチルの 有効性...
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平成平成1919年度年度厚生労働科学研究厚生労働科学研究
臨床試験推進研究成果発表会臨床試験推進研究成果発表会
小児腎移植におけるミコフェノール酸モフェチルの小児腎移植におけるミコフェノール酸モフェチルの
有効性 安全性の確認 用法 用量の検討 確立に有効性 安全性の確認 用法 用量の検討 確立に有効性・安全性の確認、用法・用量の検討・確立に有効性・安全性の確認、用法・用量の検討・確立に
関する研究関する研究 ((H17H17 -- 小児小児 -- 002)002)関する研究関する研究 ((H17 H17 小児小児 002)002)
国立成育医療センター腎臓科国立成育医療センター腎臓科
飯島飯島 一誠一誠
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研究の背景(1)
腎移植は小児期腎不全患者のQOLの改善に最も有効な
研究の背景(1)
治療法である
カルシニューリン阻害薬(シクロスポリン、
タクロリムス)には腎毒性があり、新たな免疫抑制剤
の開発が期待されてきた
ミコフェノール酸モフェチル(MMF)は最近開発された
代謝拮抗薬であり、海外では、小児腎移植においても
良好な成績が示され、薬物動態も明らかにされ、用法・
用量や有効性・安全性が確立され、米国等で承認され用量や有効性 安全性が確立され、米国等で承認され
ている
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研究の背景(2)
わが国では、MMFは成人の腎移植には適応が取得され
研究の背景(2)
ているが、小児腎移植には適応は取得されておらず、
多くの小児腎移植患者で適応外使用されている多くの小児腎移植患者で適応外使用されている
わが国でのMMF投与量は、施設間のばらつきが大きいわ 国 投与量 、施設間 大
わが国の小児腎移植領域では、十分な日本人小児の
エビデンスがないままで、医師の判断でMMFが使用
されているのが現状されているのが現状
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目的目的
わが国の小児腎移植において、MMFの有効性・安全性
の確認と 薬物動態の検討を行い 用法・用量を確の確認と、薬物動態の検討を行い、用法 用量を確
立し、わが国における本薬の小児腎移植適応取得の
ための評価あるいは参考資料となることを目指す
本研究を通じて、小児腎移植領域での多施設臨床試
験ネ トワ クの構築および体制整備を行う験ネットワークの構築および体制整備を行う
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研究体制
飯島 誠 (国立成育医療センタ 腎臓科)
主任研究者 研究協力者
宍戸清 郎(都立清瀬小児病院泌尿器科)飯島一誠 (国立成育医療センター腎臓科)
分担研究者
宍戸清一郎(都立清瀬小児病院泌尿器科)
後藤芳充(名古屋第二赤十字病院小児科)
野津寛大(神戸大学小児科)
本田雅敬(都立八王子小児病院) 中村秀文 (国立成育医療センター治験管理室)
大橋靖雄 (東京大学医学部生物統計学)相川厚(東邦大学医学部腎臓学講座)
野津寛大(神戸大学小児科)
服部元史 (東京女子医大腎臓小児科)
森田 研 (北海道大学泌尿器科)
和田尚弘 (静岡こども病院腎臓内科)
大塚泰史(国立成育医療センター腎臓科)
中山真紀子(国立成育医療センター腎臓科)和田尚弘 (静岡こども病院腎臓内科)
木村利美 (東京女子医大薬剤部)
土田尚 (国立成育医療センター総合診療部) 委託先
佐古まゆみ(国立成育医療センター腎臓科)
土田尚 (国立成育医療センタ 総合診療部)
日本臨床研究支援ユニット(NPO法人)
株式会社スタット・コム
委
オブザーバー
株式会社スタット コム
三菱BCL中外製薬
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方法方法方法方法
わが国の小児腎移植におけるわが国の小児腎移植におけるMMFMMF使用実態調査使用実態調査
米国での承認データの評価米国での承認データの評価
上記のデータを参考にして、わが国の主要な小児上記のデータを参考にして、わが国の主要な小児
腎移植施設において、小児腎移植患者を対象に腎移植施設において、小児腎移植患者を対象にMMFMMF
を投与し有効性・安全性、薬物動態を多施設臨床試を投与し有効性・安全性、薬物動態を多施設臨床試を投与し有効性 安全性、薬物動態を多施設臨床試を投与し有効性 安全性、薬物動態を多施設臨床試
験験
で検討で検討で検討で検討
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わが国の小児腎移植の現状わが国の小児腎移植の現状
わが国の小児腎移植数(00 - 04年)
15 歳未満 277 例 (55 例/年)15 歳未満 277 例 (55 例/年)
20 歳未満 454 例 (91 例/年)
本研究参加施設 20 歳未満 50 60 例/年(全体の60 70%)本研究参加施設 20 歳未満 50-60 例/年(全体の60-70%)
わが国の小児腎移植生着率(20歳未満)
1990-1999年
5年
85.0 %
1年
93.6 %
3年
90.4 %1990 1999年
2000年-
85.0 %93.6 %
97.6 %
90.4 %
93.0 %
移植初期からMMFが投与された例数(00 - 04年)
20 歳未満 277 (61 %)
(腎移植集計センターより)2004年 92/99 (92.0 %)
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小児腎移植における小児腎移植におけるMMFMMF使用実態使用実態
(米国での承認用法・用量 1200 mg/m2/d 分2)
バシリキシマブなどの新たな併用薬剤の登場バシリキシマブなどの新たな併用薬剤の登場
消化器症状などにより約40%程度の患者で減量・中止が必要
承認用量よりも少ない用量で開始される傾向にある
897 mg/m2/d 分2北米小児腎移植共同研究グループ
本研究参加施設 600 – 1,200 mg/m2/d 分2
897 mg/m /d 分2(NAPRTCS Annual Report 2005)
投与量の再検討が必要 !!
g
投与量の再検討が必要 !!
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米国での承認データの評価
1 pivotal, single-arm, open-label study (MYCS2675)
後 歳 植患者 が 象生後3ヶ月- 18歳の小児腎移植患者 100名が対象
結果を成人での比較研究のMMF投与群の結果と比較
MMF投与方法:1200 mg/m2/d 分2
移植後6ヶ月間の急性拒絶反応発症率: 小児19 % vs. 成人20 %
移植12ヶ月後の腎生着率: 小児93 % vs. 成人88 - 92 %
安全性は成人と同様
MPA薬物動態(7日目、3ヶ月目、9ヶ月目)は小児と成人で同等
腎移植患者 も成 患者 様 有効性 安全性が れ小児腎移植患者においても成人患者と同様の有効性・安全性が認められる
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臨床試験プロトコ ル作成における問題点臨床試験プロトコール作成における問題点
小児腎移植数の少なさ (日本<100 例/年 USA 400 600 例/年)小児腎移植数の少なさ (日本<100 例/年、USA 400-600 例/年)
施設ごとの治療プロトコールの差が大きい
MMF投与量 の差 (600 – 1200 mg/d)
カルシニューリン阻害剤 (シクロスポリン vs タクロリムス)カルシニューリン阻害剤 (シクロスポリン vs. タクロリムス)
ステロイド投与法 (ステロイド中止を試みる vs. ステロイド維持)
現時点でのランダム化比較試験現時点でのランダム化比較試験の実施は極めて困難
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小児腎移植適応取得、小児腎移植領域での多施設臨床試験ネットワークの構築という
目標達成のために
米国での小児腎移植適応取得のためのプロトコール
=Single-arm, open-label studyで成人データと比較
米国での小児承認デ タと比較可能な米国での小児承認データと比較可能な
Single-arm, open-label studyの実施
+
啓発活動の継続と人材育成
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試験計画
国内の小児腎移植患者を対象として 多剤免疫抑制剤の併用下で1年間の国内の小児腎移植患者を対象として,多剤免疫抑制剤の併用下で1年間の
試験治療(MMF投与)を行う,単群の多施設共同オープンラベル臨床試験
20歳未満の一次腎移植患者 *
* 同意取得と登録はMMF投与開始
腎移植MMF投与開始までに行う
7日以前
ミコフェノール酸モフェチル(MMF)
600-1200 mg/m2/日,分2,1年間,連日
経口投与または胃管などによる経管投与
(登録が終了していれば腎移植前からの開始も可)
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目的拒絶反応抑制剤としてのMMFの有効性および安全性を評価する 有効性の主拒絶反応抑制剤としてのMMFの有効性および安全性を評価する。有効性の主
要評価項目は腎移植後6ヶ月の拒絶反応発現割合とし,国外小児および国内
成人のヒストリカルデータと比較する成人のヒストリカルデータと比較する。
主要評価項目(primary endpoint)
腎移植後6ヶ月の拒絶反応発現割合
副次評価項目(secondary endpoint)
腎移植後1年の生着割合
腎移植後1年の生存割合
腎生検病理組織検査による拒絶反応発現割合腎生検病理組織検査による拒絶反応発現割合
有害事象発現割合
その他の評価項目その他の評価項目
MMF薬物動態(試験治療開始後3ヶ月に Full AUC,試験治療開始後7-14日
および9ヶ月にAbbreviated AUC)および9ヶ月にAbbreviated AUC)
腎生検病理組織検査による拒絶反応所見
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対象
20歳未満の一次腎移植(生体腎移植または献腎移植)患者のうち,両親または法的保護者から本試験の参加に対する同意が得られた患者が得られた患者
ただし 試験治療により病状を悪化させるおそれのある患者ただし,試験治療により病状を悪化させるおそれのある患者,ABO血液型不適合の腎移植を受ける患者,抗ドナー抗体陽性で術前処置を要する患者,および妊産婦,授乳婦は除外する
なお,MMF投与開始時前急性拒絶反応を発現した患者は本試験の対象としないの対象としない
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試験治療
試験薬剤(MMF)の投与を1年間行う試験薬剤(MMF)の投与を1年間行う
MMFは,登録後~腎移植後7日以前で投与可能な日から開始
(登録が終了していれば 腎移植前からの投与開始も可)(登録が終了していれば,腎移植前からの投与開始も可)
薬剤投与量は試験治療開始前に体表面積から計算し,カプセ
が適 プ 剤ル用量が適当でない場合は,必要量を脱カプセルにて調剤し
投与
MMFの用法,用量600 1 200 / 2/日(最高2 /日) 分2 連日600-1,200 mg/m2/日(最高2 g/日),分2,連日
経口または胃管などによる経管投与
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併用禁止薬剤併用禁止薬剤
以下の薬剤は,試験期間中の併用を禁止する
1) MMFと同じ作用機序の免疫抑制剤:アザチオプリン1) MMFと同じ作用機序の免疫抑制剤:アザチオプリン,
ミゾリビン
2) 生 クチ 乾燥弱毒生麻しん クチ 乾燥弱毒2) 生ワクチン:乾燥弱毒生麻しんワクチン,乾燥弱毒
生風しんワクチン,経口生ポリオワクチンなど
(免疫抑制作用により発症の可能性が増加するため)
併用薬剤(試験薬剤以外の免疫抑制剤)
試験薬剤に併用する免疫抑制剤(メチルプレドニゾロン シ試験薬剤に併用する免疫抑制剤(メチルプレドニゾロン,シ
クロスポリン,タクロリムス,バシリキシマブ等)の用量,
用法は添付文書に準じた各施設レジメンに従う用法は添付文書に準じた各施設レジメンに従う
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目標患者数目標患者数
50例 (MMF薬物動態は15例)50例 (MMF薬物動態は15例)
試験実施予定期間
症例登録予定期間:2007年 1月 ~ 2009年 1月 2年間
試験実施予定期間 2007年 1月 2010年 1月 3年間試験実施予定期間:2007年 1月 ~ 2010年 1月 3年間
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目標患者数の設定根拠● 主要評価項目である腎移植後6ヶ月の拒絶反応発現割合を 米国の先行● 主要評価項目である腎移植後6ヶ月の拒絶反応発現割合を,米国の先行
研究を参考に期待値20%,閾値35%とし,閾値以上でないことを片側5%
(α) 検出力80%で証明するには56例が必要である。また 腎移植後1年(α),検出力80%で証明するには56例が必要である。また,腎移植後1年
の生着割合を,期待値95%,閾値85%とし,閾値以下でないことを片側5%
(α),検出力80%で証明するには60例が必要である。しかし,先行研究は
5年以上前の研究であり現在の日本の治療成績は当時より優れていると考え
られるため,実際はそれ以上の検出力が期待できることから目標患者数を
50例と設定した。50例での上記設定における検出力は主要評価項目で75.5%,
副次評価項目の腎移植後1年の生着割合で70.9%である。
● MMF薬物動態については対数変換してAUCを解析する。米国の先行研究を含む経験からその標準偏差を0.4と仮定し 600 mg-1200 mgで直線的用量を含む経験からその標準偏差を0.4と仮定し,600 mg 1200 mgで直線的用量反応関係を両側5%(α),検出力80%で証明するには16例が必要である。さらに,米国のヒストリカルデータと比較しAUCが1.5倍異なる場合に検出可能とするには日米で各15例を要する。
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IRB通過施設数及び登録患者数50
40
30
20登録患者数
1010
IRB通過施設数
2007.1 2008.1 2009.1
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緊急有害事象報告緊急有害事象報告
2007年5月31日 症例登録年 月 症 録
2007年7月23日 イレウス発症 Grade 32007年7月23日 イレウス発症 Grade 3緊急有害事象報告、MMF投与中止
2007年10月22日 MMF投与再開
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適応取得にむけて適応取得にむけて
米国をはじめとした海外で小児適応取得済み米国をはじめとした海外で小児適応取得済み
本臨床試験による有効性・安全性及び薬物動態の検証
関係学会からの要望
使用実態の把握や文献検索等整理
小児薬物療法検討会議
使用実態の把握や文献検索等整理
小児薬物療法検討会議
適応外使用の取扱い通知第104号
承認申請