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71-1289-07 ECL ウェスタンブロッティングガイドブック ECL WesternBlotting Guidebook

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Page 1: ECL WesternBlotting Guidebook - GEヘルスケア・ … 2D Platinum 二次元電気泳動ゲルの画像解析システム Detection Analysis 画像解析システム Hyperfilm-ECL

71-1289-07

ECL ウェスタンブロッティングガイドブック

ECL WesternBlotting Guidebook

Page 2: ECL WesternBlotting Guidebook - GEヘルスケア・ … 2D Platinum 二次元電気泳動ゲルの画像解析システム Detection Analysis 画像解析システム Hyperfilm-ECL

発売以来ECLウェスタンブロッティングシリーズは

世界中で多くの研究者にご使用いただいており、

また、多くの論文で引用されてまいりました。

その理由は、10年以上の年月をかけて証明されて

きたECLケミルミネッセンス試薬とHybondメン

ブレンそしてECLケミルミネッセンス二次抗体の

感度、早さ、そして汎用性の実績があるからです。

今日ではGEヘルスケア バイオサイエンスのECLシ

リーズにはECL Advance、ECL Plusが加わり、

研究者の皆様からのより幅広いご要望にお応え

するための選択肢を拡げています。

They'reEXCELLENT. Time after time. That Excellence you can count on.

Page 3: ECL WesternBlotting Guidebook - GEヘルスケア・ … 2D Platinum 二次元電気泳動ゲルの画像解析システム Detection Analysis 画像解析システム Hyperfilm-ECL

Rainbow Marker(有色分子量マーカー)●電気泳動経過確認やブロッティングの転写確認に●各バンドが異なる色素で着色済

ECL DualVue Western Blotting Ma● 7種類のS-tagged組換えマーカータンパク質をEC● 3種類の着色済みタンパク質によりブロッティング

ECL Western Blotting Molecular We● HRP標識ストレプトアビジンとあわせて使用する

HRP標識二次抗体

ECL Acce

ECL関連製品マップECL関連製品マップ

Electrophoresis Blotting Labelling

miniVE / SE 260●ゲルサイズ8×9 cmで同時に2枚の泳動が可能

● miniVEは、ブロットモジュール(別売)でブロッティング装置としても使用可能

ミニゲル用電気泳動装置

SE 600 Ruby●ゲルサイズ16x16 cmで同時に

4枚の泳動が可能(デバイダープレート使用時)

●恒温循環装置との接続で、ゲル全面を冷却しスマイリングを防止

スタンダードゲル用電気泳動装置

miniVE

セミウェット式ブロッティング装置

TE 70 / TE 77● TE 70は最大14×16 cm, TE 77は

21×26 cmのゲルを転写可能●発熱によるゲルのゆがみやタンパク質の変性を抑え、少量のバッファーで転写可能

TE 22●最大9×10 cmのミニゲルを同時に

4枚転写可能

TE 42 / TE 62● 15× 21 cmのゲルは 4枚まで、

7×10 cmのゲルは16枚まで同時に転写可能

● TE 42はヒートエクスチェンジャーにより、TE 62は恒温循環装置と接続し冷却可能

タンク式ブロッティング装置

Hybond-P (PVDFメンブレン)●ニトロセルロースメンブレンに比べ高い物理的強度

Hybond-ECL(ニトロセルロースメンブレン)

Membranes

MultiProcessor●ゲルの染色およびメンブレンの検出用溶液交換を自動化

ゲル・メンブレン自動検出処理装置

Electrophoresis Blotting Labelling

● ECL Advance

● ECL Plus

● ECL

● ECL Phosphorylation

● ECL Glycoprotein

ECL Detection Kit

セミドライ式ブロッティング装置

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ImageMaster 2D Platinum●二次元電気泳動ゲルの画像解析システム

Detection Analysis

画像解析システム

Hyperfilm-ECL ●自動現像が可能●無色透明なフィルムベース両面にエマルジョンが塗られているので裏表区別なし

ECL Mini-Camera● ECLをインスタントフィルムで検出、暗室不要でその場で手軽に検出

●ミニゲルサイズのメンブレン(93×74 mmまで)に対応

検出用X線フィルム / カセット

ImageScanner II●可視サンプルのアプリケーション全般に最適な高解像度スキャナー

Typhoon 9400 / 9410 / Trio●蛍光をはじめ、RI、化学発光検出を1台で行えるシステム

検出装置

arkersL化学発光検出グ状態のモニタリング可能

ight MarkersることでECL検出時に同一メンブレン上で検出可能

essories

Detection Analysis

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CONTENTSCONTENTSECL関連製品マップ 2

第1章 ECLの原理と特徴  51.1 反応の概略  6

1.2 原理と特徴  7

第2章 実験プロトコール 92.1 ウェスタンブロッティングの操作の流れ 10

2.2 ECL Advanceウェスタンブロッティング検出プロトコール 11

2.3 ECL Plusウェスタンブロッティング検出プロトコール 14

2.4 ECLウェスタンブロッティング検出プロトコール 17

第3章 検出条件の至適化  213.1 最適抗体濃度の決定  22

3.2 時間短縮のためのプロトコールガイド 24

3.3 ECL Plus検出法からECL Advance検出法へ移行するためのアドバイス 24

3.4 ECL検出法からECL Plus検出法へ移行するためのアドバイス 26

3.5 発色法(DAB検出法)からECL Plus検出法へ移行するためのアドバイス 26

3.6 ECL Mini-CameraとHyperfilmの感度比較  27

3.7 ブロッキング条件の至適化  28

3.8 過酸化水素によるホースラディッシュペルオキシダーゼの不活性化  30

第4章 検出方法  334.1 検出方法の種類と特徴  34

4.2 ECL Mini-Cameraによる検出  35

4.3 Hyperfilmによる化学発光検出(露光から現像まで) 37

4.4 バリアブルイメージアナライザーTyphoonによる検出  39

付録:冷却式CCDカメラシステムによるタンパク質の定量化  40

第5章 ケミフローレッセンスによるECL Plusの検出  415.1 プロトコール 42

5.2 バリアブルイメージアナライザーTyphoonによる検出  43

第6章 関連製品プロトコール 456.1 miniVEミニゲル用電気泳動装置/ブロッティング装置 46

6.2 TE70 / TE77セミドライブロッティング装置  48

6.3 MultiProcessorゲル・メンブレン用自動検出処理装置  50

第7章 アプリケーション例 537.1 二次元電気泳動およびECL Western Blottingを用いた培養生殖細胞上清からのmetallopeptidaseの同定54

7.2 2D DIGE / ECL Plus Western Blottingを使用したチロシンリン酸化タンパク質の検出 57

第8章 トラブルシューティング 658.1 トラブルシューティングガイド 66

8.2 トラブルシューティング参考例  73

付録 各種溶液の調製  75

References 85

ECLウェスタンブロッティングシリーズ製品一覧表  86

ECLウェスタンブロッティングシリーズ関連製品一覧表  88

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第1章ECLの原理と特徴

実験操作を行う際にその手法の原理・特徴を知っておくことはその実験を成功させるための有効な手だての一つです。この章では、ECLによる化学発光の原理について解説します。

1.1 • 反応の概略

1.2 • 原理と特徴

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ECL(Enhanced ChemiLuminescence)ウェスタンブロッティング検出システムは、メンブレンに固定(ブロット)したタンパク質をHorseradish peroxidase(HRP)標識抗体と反応させて化学発光により検出するシステムです。検出原理の概略を下図に示しました。

一次抗体

タンパク質

HRP標識二次抗体

Hybond-PPVDFメンブレン

Hyperfilm ECLO2-2

H2O

ECL Plus基質ECL Advance基質 または

ECL Advance /ECL Plus

ECL

一次抗体

過酸化塩

タンパク質

HRP標識二次抗体

Hybond-ECL ニトロセルロースメンブレン

Hyperfilm ECL

O + 2H2O

2- 2

ルミノール +

エンハンサー

N2 +

3-アミノフタレイト

1.1 反応の概略

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推奨アプリケーション

感度

抗体使用量

一次抗体

二次抗体

ブロッキング剤

リプロービング

推奨メンブレン

発光の持続時間

検出方法*

発光は、励起状態にある基質が基底状態に戻る際に光を放出する現象またはその光を指します。化学発光は、化学反

応により生じたエネルギーが光に変換されて起こるもので、ルミノールのようなcyclic diacylhydrazidesの化学発光は、化学分析で幅広く利用されており(文献1, 2)、またその研究も進められています。そのなかでも特に、アルカリ条件下におけるHRPと過酸化水素(H2O2)によって触媒されるルミノール酸化反応について詳しく解析が進められてい

ます(文献3,4)。ルミノールは酸化されると直ちに励起状態となり、基底状態へと減衰する過程で光を放ちます。

ECL反応(文献2)は、フェノール環を持つ化合物などのエンハンサーの存在下でHRPによってルミノールが酸化されたときに起こります。これにより、光の放出が約1,000倍高まり放出時間も長くなります。

一方、ECL Plusでは、基質がHRPにより酸化されると、アクリジニウムエステルを生成します。このエステルは、アルカリ条件下、過酸化物と反応して化学発光を生じます。光の放出は酵素によりアクリジニウムエステルが生成される

限り続きます。

さらに、ECL Advanceは、新規の基質を用いることで、ECL Plusと同様の発光原理をもちながら、より高感度の検出を実現します。

以下にECL Advance、ECL PlusおよびECLウェスタンブロッティング検出システムの主な特徴を示します。

― 7 ―

1.2 原理と特徴

ECL Advance ECL Plus ECL最高感度の化学発光検出ターゲットタンパク質や一次抗体の量が少ない場合に

ECL Plusに対して最高10倍の高感度

非常に少量

1 : 100,000

1 : 500,000

ECL Advance 専用 Blocking Agent(キットに含まれます)

Hybond-P / Hybond-ECL

4~6時間

X線フィルム(Hyperfilm ECL)

インスタントフィルム(ECL Mini-Camera)

CCDカメラ

化学発光用スキャナー

一般的化学発光検出

10-12 gまで検出可

普通

1 : 10,000

1 : 15,000

Hybond-ECL

1~2時間

X線フィルム(Hyperfilm ECL)

インスタントフィルム(ECL Mini-Camera)

CCDカメラ

化学発光用スキャナー

高感度化学発光検出- 化学発光だけでなく、化学蛍光でも検出できるので、蛍光スキャナーによる解析可能

- 発光持続時間が長いので多検体処理でも余裕を持って実験可能

ECLに対して20倍の高感度

少量

1 : 20,000

1 : 200,000

Hybond-P

24~48時間

X線フィルム(Hyperfilm ECL)

インスタントフィルム(ECL Mini-Camera)

CCDカメラ

化学発光用スキャナー

蛍光Scanner

(Typhoon 9400, Trio, )Storm860

ウェスタンブロッティング化学発光検出試薬 ECLシリーズ選択ガイド

一般的な試薬(5 %スキムミルク、0.1 % PBS-Tなど)

*最良の結果を得るためにはサンプルごとに条件検討を行って至適抗体濃度を決定する必要があります。(第3章参照)

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DAB(diaminobenzidine tetrahydrochloride)やラジオアイソトープを使用しませんので、通常の実験室で容易に取り扱えます。

■ 安全性

■ 簡単な操作

■ ブロットの再利用

■ 結果の保存性

フィルムに結果が得られるので、発色に見られるようなメンブレン上での時間経過による退色がなく、保存性に優れて

います。スライド、写真の作成も容易になると共に、デンシトメーターによる定量化も可能です。

異なる動物種で作製した一次抗体を用いる場合は、初めに使用した抗体をはがさずに他の抗体を反応(リプロービン

グ)できます。それ以外は、メンブレン上のタンパク質の抗原性を失活させずに、抗体のみを除去しリプロービングが

可能です。

■ 低バックグラウンド

検出試薬中のエンハンサーは、HRPの働きによって生じる化学発光のみを強く増強し、バックグラウンドの原因となる他の光の反射を抑えます。したがって、シグナルとバックグラウンドとの比が高まり、より良い結果が得られます。

■ 経済性

1 pg以下のタンパク質を短時間で検出できるこのシステムでは、従来の発色法による検出系よりも一次抗体またはHRP標識二次抗体を希釈して使用することができます。したがって、貴重な抗体を有効に利用できます。

2種類の検出試薬を混ぜ合わせ、その混合液にメンブレンを浸して室温でインキュベートします。後はフィルムと一緒にカセットに入れて露光するだけでシグナルが得られます。

■ 高感度

ECLウェスタンブロッティングシステムは、発色検出系に比べ、10倍以上も高感度です。このため、抗リン酸化チロシン抗体を用いたECLウェスタンブロッティング(文献7-9)や、ビオチン化試薬で修飾した膜タンパク質を免疫沈降後、ECLウェスタンブロッティングにより検出(文献10,11)した例など、多くの実験例が報告されています。

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第2章実験プロトコール

この章では、3種類のECL製品(ECL Advance, ECL Plus, ECL)について、それぞれ詳しい実験操作法をご紹介します。

2.1 • ウェスタンブロッティングの操作の流れ

2.2 • ECL Advanceウェスタンブロッティング検出プロトコール

2.3 • ECL Plus ウェスタンブロッティング検出プロトコール

2.4 • ECLウェスタンブロッティング検出プロトコール

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電気泳動によりタンパク質を分子量の差によって分離

ミニゲル用電気泳動装置:miniVE、SE260

分離したタンパク質を検出(CBB染色・銀染色)

ゲル・メンブレン用自動検出処理装置:MultiProcessor(ゲル染色モードで使用)

染色用試薬: PhastGel Blue RPlusOne Silver StainingKit, Protein

分離されたタンパク質をゲルからメンブレンへトランスファー

セミドライブロッティング装置:TE 70 / 77

非特異的な吸着を防ぐ

ブロッキング剤:ECL Blocking agent

ゲル・メンブレン用自動検出処理装置:MultiProcessor(ブロットモードで使用)

目的タンパク質を特異的に検出

目的タンパク質を化学発光で検出

X線フィルム:Hyperfilm ECL, Hyperfilm MPECL Mini-Camera/インスタントフィルム、CCDカメラなど

HRP標識二次抗体との反応

ビオチン化二次抗体との反応

HRP-ストレプトアビジンとの反応

ECL Advance、ECL Plus、ECL検出試薬との反応

一次抗体との反応

SDS-PAGE

ブロッティングゲルバンド検出

メンブレンのブロッキング、洗浄

抗体反応

フィルムへの露光、機器による検出

2.1 ウェスタンブロッティング操作の流れ

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3.ブロッキング

Note:

・ブロッキングバッファーの調製方法は、付録を参照してください。

・メンブレン1 cm2 あたり0.2 mlのブロッキング剤を使用します。

・PBS-T or TBS-T のTween 20濃度およびブロッキング時間、

温度は実験ごとに至適条件が異なるので、必要に応じて検討し

てください。※3-1

・洗浄には十分量のバッファーを使用してください(メンブレン

1 cm2あたり4 mlのバッファー量を目安にしてください)。

ブロット

↓+2% ブロッキング剤(ECL Advance Blocking Agent)in PBS-T or TBS-T

↓室温、1時間(振とう)または4℃、一晩

↓PBS-T or TBS-Tで洗浄(2分間×2、5分間×1)

1.電気泳動

Note:

・ミニゲル用電気泳動装置(miniVE)のプロトコールは第6章を

参照してください。※1-1

SDS-PAGEでタンパク質を分離

2.ブロッティング

Note:

・ミニゲル用セミドライブロッティング装置(TE 70/TE 77)の

プロトコールは第6章を参照してください。

SDS-PAGEによって分離したタンパク質をHybond-Pまたは

Hybond-ECLへトランスファー※2-1

4.一次抗体反応

Note:

・一次抗体濃度は10,000~100,000倍を目安に検討を始めてくだ

さい。一次抗体の特性は抗体ごとに大きく異なるため、結果に

応じて希釈倍率を検討する必要があります。※4-1

・洗浄には十分量のバッファーを使用してください。

↓+2% ECL Advance Blocking Agent in PBS-T or TBS-Tで

希釈した一次抗体

↓室温、1時間(振とう)

↓PBS-T or TBS-Tで洗浄

(2分間×2、15分間×1、5分間×3)

※2-1 すぐに検出を行わないメンブレンは、風乾後、デシケーター中で2~8℃で3ヶ月まで保存できますが、感度は低下します。使用の際、ニトロセルロースメンブレンは湿らせる必要はありませんが、PVDFメンブレンは100%メタノールによる親水化処理が必要です。

※1-1 miniVE電気泳動装置は、ブロットモジュールを追加することで、ブロッティング操作も行うことができます(第6章参照)。

※3-1 メンブレンはブロッキングバッファー中に4℃で一晩浸しておくこともできます。

※4-1 このための実験にはドットブロッティングが適しています(第3章参照)。

2.2 ECL Advanceウェスタンブロッティング検出プロトコール

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5.二次抗体反応

Note:

・二次抗体の希釈倍率は、バックグラウンドとシグナルの比

(S/N比)が最も高くなる条件に設定します。X線フィルムの露

光を10分間とする場合、200,000倍希釈を目安にしてください。

・ECL DualVue Markerを同時に検出するには、二次抗体反応時

にHRP標識S-proteinを反応させます(79ページ参照)。

・バックグラウンドを下げるために十分に洗浄してください。

・感度が低下するおそれがあるので、ブロッキング剤は使用しな

いでください。

・HRP標識ストレプトアビジンは、100,000~500,000倍希釈を

目安にしてください。

・インキュベート時間は適当な条件に変えてください。

・洗浄には十分量のバッファーを使用してください。

↓+2% ECL Advance Blocking Agent in PBS-T or TBS-Tで希釈したHRP標識二次抗体

↓室温、1時間(振とう)

↓PBS-T or TBS-Tで洗浄(2分間×2、15分間×1、5分間×3)

【ビオチン化抗体の場合、またはECL Western Blotting

Molecular Weight Marker使用の場合、以下の操作を続けて行

います】

↓+PBS-T or TBS-Tで希釈したHRP標識ストレプトアビジン

↓室温、15分間(振とう)

↓PBS-T or TBS-Tで洗浄(2分間×2、15分間×1、5分間×3)

6.検出

Note:

・検出試薬はあらかじめ室温に戻しておきます。

・メンブレン1 cm2あたり0.1 mlの検出試薬が必要です。

・混合液は2~8℃の暗所で1ヶ月保存可能です。

・メンブレンの角をピンセットで軽くつまんで取り出し、反対の

角をキムワイプなどに載せて余分な検出試薬を除去します。

・気泡が入らないよう注意してください。

・赤色安全光の下で作業してください。

・目的タンパク質の量が微量であったり、シグナルが弱い場合は、

露光時間を長くしてください(5分間以上露光)。

・全体にバックグラウンドが見られる場合は、メンブレンをPBS-

T あるいはTBS-Tで10分間2回洗浄した後、再度検出してくだ

さい(☆から繰り返し)。非特異的なバンドが見られる場合は、

一次あるいは二次抗体(ビオチン-ストレプトアビジン)の希釈

倍率を検討し直す必要があります。

↓(☆)メンブレンをラップ上に置き、調製しておいた検出

試薬をかける ECL Advance SolutionA:ECL AdvanceSolutionB =1:1で混合

↓5分間、静置

↓検出試薬を除去し、ラップに包む

(フィルムカセットにHyperfilm ECLをセットする)

↓ブロット面をフィルム側にして置く※6-1

↓30秒~数分間露光

フィルムを現像

※6-1 メンブレンのサイズが9×7 cm以下の場合、ECL Mini-Cameraを使用してインスタントフィルム上での検出も可能です。

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7.リプロービング

Note:

・あらかじめ、メンブレンをフィルムに露光して前回の発光が消

えていることを確認してください。

・「3.ブロッキング」を参照してください。

検出後メンブレン

↓PBS-T or TBS-Tで洗浄(10分間×2)

↓+2% ブロッキング剤 in PBS-T or TBS-T

↓室温、1時間(振とう)

↓4.~6.(11~12ページ)に従い、イムノディテクション

ブロットを再利用することで、結果の再確認を行ったり、分析するタンパク質が少量あるいは貴重な場合にサンプル

を有効に利用できます。異なる動物種由来の一次抗体を用いる場合、以下の方法で繰り返しリプロービングができま

す。検出後のメンブレンは、濡れた状態でラップ等に包み2~8℃で保存してください。

8.抗体除去とリプロービング

Note:

・抗体除去バッファー:

2% SDS, 100 mM 2-mercaptoethanol,62.5 mM Tris-HCl, pH 6.7

・より厳しい条件が必要であれば、70℃でインキュベートしてく

ださい。

・メンブレンをECL Advance 検出試薬で処理し、フィルムで露

光して、抗体除去が完了していることを確認してください。

メンブレン

↓+抗体除去バッファー※8-1

↓50℃、30分間(振とう)

↓PBS-T or TBS-Tで洗浄(10分間×2)

↓3.~6.(11~12ページ)に従い、イムノディテクション

下記の方法でブロットから一次抗体および二次抗体を完全にはがすことができます。

検出後メンブレンは、濡れた状態でラップ等に包み2~8℃で保存してください。

※8-1 抗体除去は、0.2 M glycine, pH 2.8溶液を用いて室温30分間、あるいは7M guanidine HCl, 50 mM glycine, pH 10.8, 0.05 mM EDTA, 0.1 M KCl, 20 mM 2-mercaptoethanolで室温10分(振とう)でも行えます。

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1.電気泳動

Note:

・ミニゲル用電気泳動装置(miniVE)のプロトコールは第6章を

参照してください。※1-1

SDS-PAGEでタンパク質を分離

2.ブロッティング

Note:

・ミニゲル用セミドライブロッティング装置(TE 70/TE 77)のプ

ロトコールは第6章を参照してください。

SDS-PAGEによって分離したタンパク質をHybond-P(または

Hybond-ECL)へトランスファー※2-1, ※2-2

3.ブロッキング

Note:

・PBS-T or TBS-T のTween 20濃度およびブロッキング時間、

温度は実験ごとに至適条件が異なるので、必要に応じて検討し

てください。※3-1、※3-2

・洗浄には十分量のバッファーを使用してください(メンブレン

10×15 cm2あたり600 mlのバッファー量を目安にしてくださ

い)。

ブロット

↓+5% ブロッキング剤(ECL Blocking agent:RPN2125)または 5% スキムミルク in PBS-T or TBS-T

↓室温、1時間(振とう)

↓PBS-T or TBS-Tで洗浄(2分間×2、5分間×1)

4.一次抗体反応

Note:

・一次抗体濃度は0.02~0.05 µg/mlを目安に検討を始めてくださ

い。一次抗体の特性は抗体ごとに大きく異なるため、結果に応

じて希釈倍率を検討する必要があります。※4-1

・洗浄には十分量のバッファーを使用してください。

↓+PBS-T or TBS-Tで希釈した一次抗体

↓室温、1時間(振とう)

↓PBS-T or TBS-Tで洗浄

(2分間×2、10分間×1、5分間×2)

※2-1 最良の結果を得るために、メンブレンはHybond-P(PVDFメンブレン)またはHybond-ECL(ニトロセルロースメンブレン)の使用をおすすめします。Hybond-C extraも使用することができます。

※2-2 すぐに検出を行わないメンブレンは、風乾後、デシケーター中で2~8℃で3ヶ月まで保存できますが、感度は低下します。使用の際、ニトロセルロースメンブレンは湿らせる必要はありませんが、PVDFメンブレンは100%メタノールによる親水化処理が必要です。

※1-1 miniVE電気泳動装置は、ブロットモジュールを追加することで、ブロッティング操作も行うことができます(第6章参照)。

※3-1 ニトロセルロースメンブレンの場合、Tween 20の濃度は0.05~0.1%が一般的な推奨濃度です。他のブロッキング条件については第3章、第8章を参照してください。

※3-2 メンブレンはブロッキングバッファー中に4℃で一晩浸しておくこともできます。

※4-1 このための実験にはドットブロッティングが適しています(第3章参照)。

2.3 ECL Plus ウェスタンブロッティング検出プロトコール

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5.二次抗体反応

Note:

・二次抗体の希釈倍率は、バックグラウンドとシグナルの比

(S/N比)が最も高くなる条件に設定します。X線フィルムの露

光を10分間とする場合、25,000倍希釈を目安にしてください。

・ECL DualVue Markerを同時に検出するには二次抗体反応時に

HRP標識S-proteinを反応させます(79ページ参照)。

・バックグラウンドを下げるために十分に洗浄してください。

・インキュベート時間は適当な条件に変えてください。

・洗浄には十分量のバッファーを使用してください。

↓+PBS-T or TBS-Tで希釈したHRP標識二次抗体※5-1

↓室温、1時間(振とう)

↓PBS-T or TBS-Tで洗浄(2分間×2、10分間×1、5分間×2)

【ビオチン化抗体の場合、以下の操作を続けて行います】

↓+PBS-T or TBS-Tで希釈したHRP標識ストレプトアビジン

↓室温、40~60分間(振とう)

↓PBS-T or TBS-Tで洗浄(2分間×2、15分間×1、5分間×3)

6.検出

Note:

・メンブレン1 cm2あたり0.1 mlの検出試薬が必要です。※6-1

・気泡が入らないよう注意してください。

・赤色安全光の下で作業してください。

・目的タンパク質の量が微量であったり、シグナルが弱い場合は、

露光時間を長くしてください(5分間以上露光)。

・全体にバックグラウンドが見られる場合は、メンブレンをPBS-

T あるいはTBS-Tで10分間2回洗浄した後、再度検出してくだ

さい(☆から繰り返し)。非特異的なバンドが見られる場合は、

一次あるいは二次抗体(ビオチン-ストレプトアビジン)の希釈

倍率を検討し直す必要があります。

↓(☆)メンブレンをラップ上に置き、調製しておいた検出

試薬をかける SolutionA:SolutionB=40:1で混合

↓5分間、静置

↓検出試薬を除去し、ラップに包む

(フィルムカセットにHyperfilm ECLをセットする)

↓ブロット面をフィルム側にして置く※6-2

↓30秒~数分間露光

フィルムを現像

※5-1 HRP標識二次抗体を使用する場合、ECLタンパク質分子量マーカーを同時に検出するためにはHRP標識ストレプトアビジン(RPN1231、1:1,500)を二次抗体希釈液に加えてください。

※6-1 混合時に検出溶液が白濁しますが問題ありません。※6-2 メンブレンのサイズが9×7 cm以下の場合、ECL Mini-Cameraを使用してインスタントフィルム上での検出も可能です。

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― 16 ―

7.リプロービング

Note:

・「3.ブロッキング」を参照してください。

検出後メンブレン

↓PBS-T or TBS-Tで洗浄(10分間×2)

↓+5% ブロッキング剤または、5% スキムミルク

in PBS-T or TBS-T

↓室温、1時間(振とう)

↓4.~6.(14~15ページ)に従い、イムノディテクション

ブロットを再利用することで、結果の再確認を行ったり、分析するタンパク質が少量あるいは貴重な場合にサンプル

を有効に利用できます。異なる動物種由来の一次抗体を用いる場合、以下の方法で繰り返しリプロービングができま

す。検出後のメンブレンは、濡れた状態でラップ等に包み2~8℃で保存してください。

8.抗体除去とリプロービング

Note:

・抗体除去バッファー:

2% SDS, 100 mM 2-mercaptoethanol,

62.5 mM Tris-HCl, pH 6.7

・より厳しい条件が必要であれば、70℃でインキュベートしてく

ださい。

メンブレン

↓+抗体除去バッファー※8-1

↓50℃、30分間(振とう)

↓PBS-T or TBS-Tで洗浄(10分間×2)

↓3.~6.(14~15ページ)に従い、イムノディテクション

下記の方法でブロットから一次抗体および二次抗体を完全にはがすことができます。

検出後メンブレンは、濡れた状態でラップ等に包み2~8℃で保存してください。

※8-1 抗体除去は、0.2 M glycine, pH 2.8溶液を用いて室温30分間、あるいは7M guanidine HCl, 50 mM glycine, pH 10.8, 0.05 mM EDTA, 0.1 M KCl, 20 mM 2-mercaptoethanolで室温10分(振とう)でも行えます。

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― 17 ―

1.電気泳動

Note:

・ミニゲル用電気泳動装置(miniVE)のプロトコールは第6章を参

照してください。※1-1

SDS-PAGEでタンパク質を分離

2.ブロッティング

Note:

・ミニゲル用セミドライブロッティング装置(TE 70/TE 77)の

プロトコールは第6章を参照してください。

SDS-PAGEによって分離したタンパク質をHybond-ECL(またはHybond-P)へトランスファー※2-1, ※2-2

3.ブロッキング

Note:

・PBS-T or TBS-T のTween 20濃度およびブロッキング時間、

温度は実験ごとに至適条件が異なるので、必要に応じて検討し

てください。※3-1、※3-2

・洗浄には十分量のバッファーを使用してください(メンブレン

10×15 cm2あたり600 mlのバッファー量を目安にしてください)。

ブロット

↓+5% ブロッキング剤(ECL Blocking agent:RPN2125)または 5% スキムミルク in PBS-T or TBS-T

↓室温、1時間(振とう)

↓PBS-T or TBS-Tで洗浄(2分間×2、5分間×1)

4.一次抗体反応

Note:

・一次抗体濃度は0.04~0.1 µg/mlを目安に検討を始めてくださ

い。一次抗体の特性は抗体ごとに大きく異なるため、結果に応

じて希釈倍率を検討する必要があります。※4-1、※4-2

・洗浄には十分量のバッファーを使用してください。

↓+PBS-T or TBS-Tで希釈した一次抗体

↓室温、1時間(振とう)

↓PBS-T or TBS-Tで洗浄(2分間×2、10分間×1、5分間×2)

※2-1 最良の結果を得るために、メンブレンはHybond-P(PVDFメンブレン)またはHybond-ECL(ニトロセルロースメンブレン)の使用をおすすめします。Hybond-C extraも使用することができます。

※2-2 すぐに検出を行わないメンブレンは、風乾後、デシケーター中で2~8℃で3ヶ月まで保存できますが、感度は低下します。使用の際、ニトロセルロースメンブレンは湿らせる必要はありませんが、PVDFメンブレンは100%メタノールによる親水化処理が必要です。

※3-1 ニトロセルロースメンブレンの場合、Tween20の濃度は0.05~0.1%が一般的な推奨濃度です。他のブロッキング条件については第3章、第8章を参照してください。

※3-2 メンブレンはブロッキングバッファー中に4℃で一晩浸しておくこともできます。

※4-1 このための実験にはドットブロッティングが適しています(第3章参照)。※4-2 通常、ポリクローナル抗体100~1,000倍以上、モノクローナル抗体の場合ハイブリドーマ上清で10~100倍以上、マウス腹水で1,000倍以上を

目安に希釈してください。

※1-1 miniVE電気泳動装置は、ブロットモジュールを追加することで、ブロッティング操作も行うことができます(第8章参照)。

2.4 ECLウェスタンブロッティング検出プロトコール

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― 18 ―

5.二次抗体反応

Note:

・二次抗体の希釈倍率は、バックグラウンドとシグナルの比(S/N

比)が最も高くなる条件に設定します。X線フィルムの露光を10

分間とする場合、10,000倍希釈を目安にしてください。※5-2

・ECL DualVue Markerを同時に検出するには、二次抗体反応時

にHRP標識S-proteinを反応させます。(79ページ参照)

・バックグラウンドを下げるために十分に洗浄してください。

・インキュベート時間は適当な条件に変えてください。

・洗浄には十分量のバッファーを使用してください。

↓+PBS-T or TBS-Tで希釈したHRP標識二次抗体※5-1

↓室温、1時間(振とう)

↓PBS-T or TBS-Tで洗浄(2分間×2、10分間×1、5分間×2)

【ビオチン化抗体の場合、以下の操作を続けて行います】

↓+PBS-T or TBS-Tで希釈したHRP標識ストレプトアビジン

↓室温、40~60分間(振とう)

↓PBS-T or TBS-Tで洗浄(2分間×2、15分間×1、5分間×3)

6.検出

Note:

・メンブレン1 cm2あたり0.125 mlの検出試薬が必要です。

・気泡が入らないよう注意してください。

・赤色安全光の下で作業してください。

・目的タンパク質の量が微量であったりシグナルが弱い場合は、

露光時間を長くしてください(1分間以上)。

・全体にバックグラウンドが見られる場合は、メンブレンをPBS-

T あるいはTBS-Tで10分間2回洗浄した後、再度検出してくだ

さい(☆から繰り返し)。非特異的なバンドが見られる場合は、

一次あるいは二次抗体(ビオチンストレプトアビジン)の希釈

倍率を検討し直す必要があります。

↓(☆)メンブレンをラップ上に置き、調製しておいた検出

試薬をかける Detection Reagent1:Detection Reagent2=1:1で混合

↓1分間、静置

↓検出試薬を除去し、ラップに包む

(フィルムカセットにHyperfilm ECLをセットする)

↓ブロット面をフィルム側にして置く※6-1

↓30秒~数分間露光

フィルムを現像

※5-1 HRP標識二次抗体を使用する場合、ECLタンパク質分子量マーカーを同時に検出するためにはHRP標識ストレプトアビジン(RPN1231、1:1,500)を二次抗体希釈液に加えてください。

※5-2 HRP標識Protein Aは1,000~5,000倍希釈、ビオチン化二次抗体1,000倍、HRP標識ストレプトアビジン(RPN1231)は1,500倍、HRPストレプトアビジンコンプレックス(RPN1051)は5,000倍希釈を目安にしてください。

※6-1 メンブレンのサイズが9×7 cm以下の場合、ECL Mini-Cameraを使用してインスタントフィルム上での検出も可能です。

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― 19 ―

7.リプロービング

Note:

・「3.ブロッキング」を参照してください。

検出後メンブレン

↓PBS-T or TBS-Tで洗浄(10分間×2)

↓+5% ブロッキング剤または、5% スキムミルク in PBS-Tor TBS-T

↓室温、1時間(振とう)

↓4.~6.(17~18ページ)に従い、イムノディテクション

ブロットを再利用することで、結果の再確認を行ったり、分析するタンパク質が少量あるいは貴重な場合にサンプルを

有効に利用できます。異なる動物種由来の一次抗体を用いる場合、以下の方法で繰り返しリプロービングができます。

検出後メンブレンは、濡れた状態でラップ等に包み2~8℃で保存してください。

8.抗体除去とリプロービング

Note:

・抗体除去バッファー:

2% SDS, 100 mM 2-mercaptoethanol,

62.5 mM Tris-HCl, pH 6.7

・より厳しい条件が必要であれば、70℃でインキュベートしてく

ださい。

メンブレン

↓+抗体除去バッファー※8-1

↓50℃、30分間(振とう)

↓PBS-T or TBS-Tで洗浄(10分間×2)

↓3.~6.(17~18ページ)に従い、イムノディテクション

下記の方法でブロットから一次抗体および二次抗体を完全にはがすことができます。

検出後メンブレンは、濡れた状態でラップ等に包み2~8℃で保存してください。

※8-1 抗体除去は、0.2 M glycine, pH 2.8溶液を用いて室温30分間、あるいは7 M guanidine HCl, 50 mM glycine, pH 10.8, 0.05 mM EDTA, 0.1 M KCl, 20 mM 2-mercaptoethanolで室温10分(振とう)でも行えます。

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1

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第3章検出条件の至適化

より良い実験結果を得るためには検出条件の検討が不可欠です。未定量のサンプルや同定されていないサンプルの場合、検出条件をどのように絞り込み実験を行うかによりその結果は大きく左右されます。この章では実際に実験を行う際に検証すべき条件について解説します。

3.1 • 最適抗体濃度の決定

3.2 • 時間短縮のためのプロトコールガイド

3.3 • ECL PlusからECL Advance検出法へ移行するためのアドバイス

3.4 • ECL検出法からECL Plus検出法へ移行するためのアドバイス

3.5 • 発色法(DAB検出法)からECL Plus検出法へ移行するためのアドバイス

3.6 • ECL Mini-CameraとHyperfilmの感度比較

3.7 • ブロッキング条件の至適化

3.8 • 過酸化水素によるホースラディッシュペルオキシダーゼの不活性化

3

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― 22 ―

ECL Advance、ECL Plus、ECLのような非常に感度の高いウェスタンブロッティング検出では、最良の結果を得るために最適抗体濃度を設定することが重要です。一般的に、ECLウェスタンブロッティングシリーズを使用すると、発色法と比べてより少量の一次抗体または二次抗体で、感度の良い鮮明な結果が得られます。高感度な検出結果を得るために

は最適抗体濃度の決定が必須であり、同時にブロッキングや洗浄の条件を検討することも重要なポイントとなります。

3.1.2 ECL Plus/ECL検出で力価のはっきりしない一次抗体/抗血清を用いる場合

抗体の最適希釈率を設定するにあたって、ドットあるいはスロットブロット法は迅速で効果的な方法です。以下に、

ECL PlusおよびECLを使用する際のプロトコールを示します。

1) 1~5 µgのサンプルタンパク質をHybond-P(PVDFメンブレン)またはHybond-ECL(ニトロセルロースメンブレン)上にスポットし、乾燥させます。希釈率の異なる一次抗体それぞれに対して1枚のブロットを用意します。PVDFメンブレンは100%メタノールによる親水化処理が必要です。

2) ブロッキングバッファー(例:5% スキムミルクを含むPBS-0.1% Tween 20(PBS-T))を用い、室温で1時間ブロッキングします。

3) 洗浄バッファーで2回ブロットをリンスした後、それぞれ新しい洗浄バッファーで、10分間1回、5分間2回洗浄します。

4) 一次抗体を希釈後(例:1/100、1/500、1/1,000、1/5,000、1/10,000)、室温で1時間メンブレンをインキュベートします。

5) ステップ3)にならってメンブレンを洗浄します。

6) 二次抗体を希釈後、室温で各メンブレンを1時間インキュベートします(露光時間を10分間とする場合、ECL Plusでは1/25,000、ECLでは1/10,000を目安に希釈してください)。

7) ステップ3)にならってメンブレンを洗浄します。

8) プロトコールに従って、ECL Plus/ECL検出試薬とインキュベート後、フィルムに露光してシグナルを検出します。

3.1.1 ECL Advance検出で力価のはっきりしない一次抗体/抗血清を用いる場合

ECL Advanceを使用する場合には、希釈倍率の設定に注意する必要があります。抗体濃度の検討には、ドットあるいはスロットブロットが効果的です。以下の方法で抗体濃度をご検討ください。

1)サンプルをメンブレン上にスポットし、乾燥させます。希釈率の異なる一次抗体それぞれに対して1枚のブロットを用意します。PVDFメンブレンを使用する場合はあらかじめ100%メタノールによる親水化処理が必要です。

2) ECL Advance用ブロッキングバッファー(付録参照)を調製し、室温で1時間ブロッキングします。

3) 洗浄バッファー(PBS-TまたはTBS-T)で軽く2回すすぎを行います。

4) 系列希釈した一次抗体溶液中で(例:1/10,000、1/25,000、1/50,000、1/75,000、1/100,000)、室温で1時間振とうします。

5) メンブレンを洗浄バッファーで2回軽くすすいだ後、15分×1回、5分×3回洗浄します。

6) 希釈した二次抗体溶液中で、室温で1時間振とうします。二次抗体の希釈濃度はX線フィルムで10分間露光する場合、1/200,000を目安に希釈してください。

7) ステップ 5)と同じ要領で、メンブレンを洗浄します。

8) 検出試薬でインキュベート後、フィルムに露光してシグナルを検出します。

3.1 最適抗体濃度の決定

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― 23 ―

● 高いバックグラウンドが検出された場合

HRP標識抗体をさらに2倍以上に希釈して用いることで、結果が改善されることがあります。希釈倍率を極端に高くするとシグナルが検出されなくなることがあります。2倍から徐々に希釈倍率を上げてください。ビオチン-ストレプトアビジンシステムを用いている場合は、ビオチン化二次抗体とHRP標識ストレプトアビジンの両方をさらに同じ倍率で希釈します。

● バックグラウンドは観察されなかったものの、非特異バンドが検出された場合

一次抗体をさらに2倍以上に希釈して用いることで、結果が改善されることがあります。

3.1.4 力価が明らかな抗体を用いたブロット検出-ECL Advance / ECL Plus / ECL検出

3.1.3 力価のわからない二次抗体を用いる場合-ECL Advance / ECL Plus / ECL検出

1) 3.1.1または3.1.2のステップ1)、2)と同様にドットあるいはスロットブロットとメンブレンのブロッキングを行います。

2) 一次抗体を希釈後、室温にて1時間メンブレンをインキュベートします。

3) 3.1.1または3.1.2のステップ3)にならってメンブレンを洗浄します。

4) 二次抗体を希釈後(例:1/3,000、1/5,000、1/7,500、1/10,000、1/25,000)、室温で各メンブレンを1時間インキュベートします*。

5) 3.1.1のステップ5)または1.2のステップ3)にならってメンブレンを洗います。

6) プロトコールに従って、ECL Advance/ECL Plus/ECL検出試薬とインキュベート後、フィルムに露光してシグナルを検出します。

* ECL Advanceを使用する場合には、希釈率に注意する必要があります(7ページの選択ガイドを目安に設定してください)。また、二次抗体の希釈倍率を決定する場合は、一次抗体の希釈倍率を固定して二次抗体の至適濃度を検討します。

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― 24 ―

・高濃度のブロッキング剤を用いることで時間短縮が可能です。弊社のブロッキング剤(ECL Blocking agent:RPN2125)10%を含むPBS-TまたはTBS-Tを用いると、10分間のインキュベートで十分な効果が得られる場合があります(室温、振とう)。スキムミルクをブロッキング剤として用いる場合も同様です。ECL Advanceを使用する場合にはプロトコールどおりに検出してください

・ブロッキング時間の短縮には、高品質なHybond-P(PVDFメンブレン)およびHybond-ECL(ニトロセルロースメンブレン)が適しています。

1)メンブレンのブロッキング

・ブロッキング後のメンブレンの洗浄時間は短縮することができます。この場合、PBS-TまたはTBS-T中で15秒間ブロットをすすぎ、その後バッファーを交換してさらに15秒間をすすいでください。

・一次抗体濃度を上げることにより、感度を下げることなく一次抗体反応時間を20分程度まで短縮できます。インキュベーション時間に合わせて抗体濃度を再検討してください。

・一次抗体の洗浄はできる限り多量の洗浄バッファー(PBS-TまたはTBS-T)を用い、3回以上ブロットをリンスした後、室温で10分間洗浄してください。

・抗体によっては4℃あるいは37℃でインキュベートすると時間を短縮できる場合があります。

2)一次抗体の反応

・二次抗体濃度を上げることにより、感度を下げることなく時間短縮ができます。目安として、4倍濃度で15分間インキュベート(室温、振とう)することで同等の感度を得られます。この場合、バックグラウンドを抑えるために、メンブレンの洗浄は十分に行ってください。

・一次抗体の洗浄同様、できる限り大量の洗浄バッファー(PBS-TまたはTBS-T)を用い、3回以上ブロットをリンスした後、室温で10分間洗浄してください。

3)二次抗体の反応

・一次抗体および二次抗体濃度を上げると、露光時間を短縮できます。

・ECL Mini-Cameraを使用すると、現像時間が省略されるので、X線フィルムによる検出に比べ大幅に時間を短縮できます。

4)検出

HRP標識抗体を使用する検出を、通常より大幅に時間短縮するための実験ガイドを紹介します。以下のガイドを参考に実験操作をスムーズに行うことで、第2章に示した検出プロトコールを約2時間まで短縮できます。

注意:ECL Advanceは非常に高感度な検出試薬のため、

ECL PlusやECLで検討した抗体濃度をそのまま用いると、

バックグラウンドが高すぎてX線フィルムが真っ黒になってし

まうことがあります(右図)。高感度な検出結果を得るために

は最適抗体濃度の決定が必須となります。

3.2 時間短縮のためのプロトコールガイド

3.3 ECL Plus検出法からECL Advance検出法へ移行するためのアドバイス

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ECL Advance

一次抗体 1:50,000

二次抗体 1:200,000

ECL Plus

一次抗体 1:5,000

二次抗体 1:100,000

←50

50 ngから等倍希釈したBSAをHybond-P(PVDFメンブレン)にスロットブロットしました。抗BSAモノクローナル抗体とHRP標識抗ラビット抗体(NA934)をそれぞれ反応させ、ECL Plus/ECL Advance検出試薬を用いて検出しました。X線フィルム(Hyperfilm ECL)へ5分間露光しました。

<実験例1>

<実験例2>

80 40 20 10 5 2.5 1.2 0.6 (ng)

ECL Advance ECL Plus

80 ngから等倍希釈したBSAをSDS-PAGE後、Hybond-P(PVDFメンブレン)に転写しました。一次抗体として抗BSA抗体(1:20,000)、二次抗体としてHRP標識抗ラビット抗体(NA934、1:200,000)を反応させました。ECL Plus/ECLAdvance検出試薬を用いて検出し、X線フィルム(Hyperfilm ECL)へ10分間露光しました。

抗体濃度を同条件で反応させた場合、ECL AdvanceはECL Plusより8倍以上高感度な結果が得られました。

GUIDE

結 果

ECL Plusと同条件の抗体希釈率で検出を行った場合、希釈濃度によってはバックグラウンドが非常に高くなる場合

がありますのでご注意ください。

ECL AdvanceではECL Plusと比較して、一次抗体を10倍、二次抗体を2倍に希釈することでほぼ同程度の検出感度

が得られることがわかりました。

GUIDE

結 果

ECL PlusからECL Advanceへ移行する場合は、まず二次抗体濃度をECL Plusの場合の2~4倍希釈に固定してから、

一次抗体濃度をECL Plusの場合の4~10倍希釈の範囲でご検討ください。

←25

←12.5

←6.3

←3.1

←1.5

←0.8

(ng)←50

←25

←12.5

←6.3

←3.1

←1.5

←0.8

(ng)

80 40 20 10 5 2.5 1.2 0.6 (ng)

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<実験例>20 ngから等倍希釈したBSAをSDS-PAGE後、Hybond-P(PVDFメンブレン)に転写しました。抗BSA抗体(ウサギ)と抗ウサギHRP標識二次抗体(NA934)をそれぞれ反応させました。ECL Plus/ECL検出試薬を用いて検出し、X線フィルム(Hyperfilm ECL)への露光は10分間行いました。

2% BSAを含む大腸菌懸濁液を10 µgから等倍希釈してSDS-PAGE後、Hybond-P(PVDFメンブレン)に転写しました。抗BSA抗体(ウサギ)と抗ウサギHRP標識二次抗体(NA934)をそれぞれ反応させ、ECL Plus検出試薬およびDAB発色試薬を用いて検出しました。

<実験例>

X線フィルムへの露光時間を10分間とし、上記の条件でウェスタンブロッティングを行いました。その結果、ECLに

比べECL Plusでは、一次抗体を4倍、二次抗体を2.5倍に希釈することでほぼ同等の感度が得られました。また、この

際バックグラウンドもほとんど見られませんでした。

A)一次抗体は2,000倍希釈、二次抗体は10,000倍希釈でそれぞれ反応させ、ECL検出試薬を用いて検出しました。

20 10 5 2.5 1.2 0.6 0.3 (ng) 20 10 5 2.5 1.2 0.6 0.3 (ng)

B)一次抗体は8,000倍希釈、二次抗体は25,000倍希釈でそれぞれ反応させ、ECL Plus検出試薬を用いて検出しました。

A)一次抗体は1,000倍希釈、二次抗体は1,000倍希釈でそれぞれ反応させ、DABを用いて検出しました。DABの発色時間は15分間としました。レーン1:10 ng レーン6:0.3 ngレーン2:5 ng レーン7:0.15 ngレーン3:2.5 ng レーン8:0.07 ngレーン4:1.2 ng レーン9:0.03ngレーン5:0.6 ng レーン10:0.01ng

B)一次抗体は20,000倍希釈、二次抗体は10,000倍希釈でそれぞれ反応させ、ECL Plus検出試薬を用いて検出しました。X線フィルム(Hyperfilm ECL)への露光時間は10分間としました。レーン1:10 ng レーン6:0.3 ngレーン2:5 ng レーン7:0.15 ngレーン3:2.5 ng レーン8:0.07 ngレーン4:1.2 ng レーン9:0.03ngレーン5:0.6 ng レーン10:0.01ng

GUIDE

ECL Plusを用いた結果では、DAB発色法に比べて一次抗体を20倍、二次抗体を10倍に希釈することでほぼ同等の感度が

得られました。2% BSAを含む大腸菌懸濁液を等倍希釈してサンプルとしているため高濃度側で多少のバックグラ

ウンドが見られますが、ECL Plusの結果はDABに比べ明らかにS/N比が高いことがわかります。

結 果

ECLからECL Plusへ移行する場合、ECLの至適化条件に対して二次抗体濃度を2~4倍希釈に固定したうえで、一次

抗体濃度を2~10倍の範囲で検討してください。

発色法からECL Plusへ移行する場合、一次抗体濃度は20~50倍希釈から検討してください。二次抗体は、HRP標

識抗体を用いて露光時間を10分とする場合、10~20倍希釈から検討してください。GUIDE

結 果

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

3.4 ECL検出法からECL Plus検出法へ移行するためのアドバイス

3.5 発色法(DAB検出法)からECL Plus検出法へ移行するためのアドバイス

▲▲

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― 27 ―

ECL Mini-Cameraは化学発光の検出チェックをインスタントフィルムを使用して行うカメラです。

通常、化学発光はX線フィルムやCCDカメラ等を搭載した画像解析装置を使用して検出を行いますが、このECL Mini-Cameraを用いることによって、化学発光をインスタントフィルムに簡便に検出することができます。メンブレンサイズ 74×93 mmまでの検体はこのECL Mini-Cameraで検出できますので、暗室に行かずに実験台の上で検出のチェックを行うことができます。

<感度比較実験>1×105倍から等倍希釈したHRP標識抗ウサギ抗体(NA934)をそれぞれ100 µlずつスロットブロットした後、ECLPlusおよびECL検出試薬、DAB発色試薬でそれぞれ検出しました。ECL PlusとECLの露光時間は5分間、DABの発色時間は15分間としました。X線フィルムはHyperfilm ECL、ECL Mini-CameraはISO3000相当のインスタントフィルムを用いました。

DAB発色法との感度比較(5分間露光)

検出試薬 ECL ECL ECL Plus ECL Plus

検出フィルム Hyperfilm ECL Mini-Camera Hyperfilm ECL Mini-Camera

DAB発色法に対して 16倍 8倍 64倍 16倍

※ BCIP/NBT発色試薬はDAB発色試薬に比べ、4倍程度高感度です。※ 上記の結果は5分間露光による検出ですが、ECL PlusおよびECL検出試薬を用いた場合、露光時間を延長することによってより高い感度を得ることができます。

ECL Mini-CameraとHyperfilmの検出感度の違いは?

1×105 希釈

2×105 希釈

4×105 希釈

8×105 希釈

16×105 希釈

32×105 希釈

64×105 希釈

128×105 希釈

256×105 希釈

512×105 希釈

1×105 希釈

2×105 希釈

4×105 希釈

8×105 希釈

16×105 希釈

32×105 希釈

64×105 希釈

128×105 希釈

3.6 ECL Mini-CameraとHyperfilmの感度比較

Mini-Camera Mini-CameraMini-Camera

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― 28 ―

抗体濃度の至適化とブロッキング条件の至適化は、ECLシリーズのような高感度な検出系で、バックグラウンドが低く、良好なS/N比の結果を得るための重要なポイントです。

タンパク質をメンブレンにトランスファーした後に、抗体や他のプローブが非特異的に結合しないよう、非特異的な結

合部位をあらかじめ飽和させておく必要があります。効果的なブロッキングがおこなわれないと、高いバックグラウン

ドをもたらします。

目的タンパク質の性質は個々のタンパク質によりさまざまです。また、抗体との結合性も、抗体の種類や抗原タンパク

質との組み合わせにより異なります。したがって、すべてのタンパク質に対して最良の結果をだすプロトコールという

ものはありません。以下に、ウェスタンブロッティングでよく用いられるブロッキング溶液とその特徴をご紹介します。

これらのブロッキング剤は、ECLシリーズに用いることができます。

通常ブロッキングは、室温30分~1時間、あるいは4℃一晩でおこないます。

ブロッキング剤濃度、反応温度を上げることで、効果が改善される場合もあります。

■ ECL Blocking agent(コード番号:RPN2125)

ECLおよびECL Plus専用のブロッキング剤です。高感度な検出系に至適化したブロッキング剤で、バックグラウンドの低い良好な結果が得られます。

注意)ECL Advanceで検出する場合は、キットに付属の専用ブロッキング剤をご使用ください。

■スキムミルク/Tween 20

安価で効果の高いブロッキング剤です。通常5%スキムミルクと0.1%Tween20をPBSまたはTBSに加えて使用します。多くの場合、バックグラウンドの非常に低い良好な結果が得られますが、抗原によっては、抗体結合部位までマスキン

グされる場合があります。ECL、ECL Plusの推奨ブロッキング剤のひとつです。

■スキムミルク

タンパク質実験操作で最も一般的なブロッキング剤です。非常に安価であり、多くの場合、バックグラウンドの低い良

好な結果が得られます。通常5%スキムミルク濃度になるよう、PBSまたはTBSに加えて使用します。スキムミルクの欠点は、保存が利かないため、用事調製の必要があることと、抗原までマスキングしてしまうことがある点です。この

ような場合、スキムミルク濃度を1%まで下げることにより、シグナルが強くなることがありますが、改善されない場合は、他のブロッキング剤を試します。

■ Fish Gelatin(コード番号:RPN416)

フィッシュゼラチンは動物由来のものより水素結合を形成するアミノ基が少ないため、低バックグラウンドになります。

通常2%濃度で用いられ、溶解性もよく、この濃度であれば、4℃でもゲル化しません。欠点は、抗原によってはマスキングされてしまう点と、ビオチンのような競合する物質が含まれる点です。また、比較的高価な試薬になります。

■ BSA

価格もそれほど高価でなく、良好なシグナル強度が得られます。通常PBSに0.3~3%の濃度でPBSに加えて使用します。炭水化物の夾雑物があるので、レクチンをプローブに用いた場合、バックグラウンドが高くなる可能性があります。

リン酸化チロシンの抗体による検出では、2%BSAがブロッキング剤としてよく用いられます。

■血清(ウマ血清あるいはウシ胎仔血清)

0.02%アジ化ナトリウムを添加した10%血清としてよく用いられます。このブロッキング剤は高価で、潜在的に交差反応を引き起こす免疫グロブリンを含んでいるという欠点があります。二次抗体やProtein Aをプローブとして用いる系には向きません。

3.7 ブロッキング条件の至適化

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■界面活性剤

NP-40やTritonのような界面活性剤は、メンブレン上のタンパク質と効率よく置換されてしまうので、使用は避けるべきです。Tween-20は使用できますが、濃度を0.3%以上にするべきではありません。一般的には0.1%濃度で5%スキムミルクと組み合わせて使用します。

■ブロッキング剤のミックス

複数のブロッキング剤を組合わせて使用することで、良好な結果が得られる場合があります。

例)

・1% ECL blocking agent(RPN2125)、 0.5% BSA

・3% Fish Gelatin(RPN416)、10% スキムミルク in PBS

図3-1 ブロッキングバッファーの違いによるバックグラウンドの比較ラット肝臓サンプルをSDS-PAGEし、メンブレンにブロットしたものを、抗リン酸化チロシン抗体PY20で検出しました。ブロッキングバッファー:a)BSA in TBS-T b)スキムミルク in TBS-Tスキムミルクにはリン酸化タンパク質が含まれるため、リン酸化タンパク質の検出には適しません。

a ) b )

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ECLウェスタンブロッティング検出システムは、高感度で簡便な化学発光検出試薬です。ここでは、

について行った実験を紹介します。

1) ラット腎臓溶解液(20 µg/lane)を電気泳動し、Hybond-ECLにエレクトロブロッティングします。

2) メンブレンは10%スキムミルクを含むPBS-T(Tween0.1%)で1.5時間室温でブロッキングをおこなった後、PBS-Tで5分×3回洗浄します。

3) メンブレンを2つのセクションに切り、別々に処理します。

メンブレンⅠ:抗アクチンマウスモノクローナル抗体と抗βチューブリンマウスモノクローナル抗体を各々1:3,000希釈PBS中にて1時間反応

メンブレンⅡ:抗アクチンマウスモノクローナル抗体を1:3,000希釈PBS中にて1時間反応

4) メンブレンⅠ、ⅡともPBS-Tで5分間×3回洗浄します。

5) HRP標識二次抗体を反応させます。

メンブレンⅠ:抗マウスIgG-HRP標識二次抗体と抗マウスIgM-HRP標識二次抗体をPBS-Tに1:3,000希釈で30分反応メンブレンⅡ:抗マウスIgM-HRP標識二次抗体をPBS-Tに1:3,000希釈で30分反応

6) メンブレンⅠ、ⅡともPBS-0.3%Tween20で5分間×3回洗浄します。

7) メンブレンⅠ、ⅡともPBS-Tで5分間×3回洗浄します。

8) ECLで1分間反応後、ラップに包み、Hyperfilmに30秒露光します。

9) PBS-TあるいはPBS-0.3%Tween20で10分×2回洗浄し、検出試薬を除去します。

10) メンブレンⅡを15%H2O2 in PBS(30%H2O2とPBSを1:1で混合)に30分インキュベートし、HRPを不活性化します。メンブレンⅠはPBS中で一晩保存します。

11) メンブレンⅠ、ⅡともPBS-Tで5分間×3回洗浄します。

12) メンブレンⅡをECLで1分間反応後、ラップに包み、Hyperfilmに1分露光します。

13) PBS-Tで10分×2回洗浄し、検出試薬を除去します。

10) メンブレンⅡを抗βチューブリンマウスモノクローナル抗体 1:3,000希釈PBS-Tで30分インキュベートします。

15) PBS-Tで5分間×3回洗浄します。

16)抗マウスIgG-HRP標識二次抗体をPBS-Tに1:3,000希釈で30分反応させます。

17)PBS-0.3%Tween20で5分間×3回洗浄後、PBS-Tで5分間×3回洗浄します。

18) メンブレンⅠ、ⅡをECLで1分間反応後、ラップに包み、Hyperfilmに1分露光します。

HRPの不活性化に必要なペルオキシドの濃度は、HRPの量やインキュベート時間によって異なります。このサンプルでは15%のペルオキシドが必要でしたが、これによるメンブレンの損傷や処理後の抗体反応への影響は見られませんでした。この方法を使うことで、検出系を変えることなく、別のタンパク質に関する情報を得ることができました。

● HRP標識二次抗体を用いた抗原の標識と検出

● HRPの不活性化

● 最初に検出したタンパク質による妨害のない別のタンパク質の標識/検出

3.8 過酸化水素によるホースラディッシュペルオキシダーゼの不活性化

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図3-2Rat Kidney Lysate を20 µg/レーンで泳動しHybond-ECLニトロセルロースメンブレン(RPN202QD)にブロットした。ブロッキングは0.1% Tween 20を含むPBSに10%スキムミルクを加えたバッファーを用いた。ブロッキング後、メンブレンは2つに分けて以下の条件下で抗体反応を行った。(メンブレン )抗チューブリン抗体と抗アクチン抗体を含む反応液で1時間インキュベートした後、メンブレンを洗浄し、二次抗体抗-mouse IgG-HRP(Sigma)と IgM-HRP(Cappel)を含む反応液でさらに30分インキュベートした。(メンブレン )抗アクチン抗体で1時間インキュベートした後、メンブレンを洗浄し、二次抗体抗-mouse IgM-HRP で30分間インキュベートした。

各メンブレンは ECL 検出試薬で1分間の反応後、Hyperfilm ECL(RPN2103)に露光した。

図3-3メンブレン は15%のH2O2を含んだPBS中で30分間インキュベートした後、ECL 検出試薬に1分間反応させて Hyperfilm ECL に 1分間露光して検出した。メンブレン は PBSに一晩漬けて保存した。

図 3-4メンブレン は抗チューブリン抗体で1時間インキュベートした後、Anti-mouse IgG-HRPで30分間インキュベートした。メンブレン とメンブレン (PBSで一晩保存したもの)をECL検出試薬 による反応後、Hyperfilm ECLに30 秒露光して検出。

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第4章検出方法

化学発光の検出では、多くの場合、感度が重視されておりますが、実際の実験では、定量性、経済性、便利性などが必要になる場合も多くあります。この章では、現在使われている代表的な検出方法の例をあげて、それぞれの検出方法の特徴について解説します。

4.1 • 検出方法の種類と特徴

4.2 • ECL Mini-Camera による検出

4.3 • Hyperfilmによる化学発光検出(露光から検出まで)

4.4 • バリアブルイメージアナライザーTyphoonによる検出

付録:冷却式CCDカメラシステムによるタンパク質の定量化

4

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ECLの検出は大まかに分類すると2つに大別されます。

①フィルムによる感光フィルムを感光させて検出する方法です。もっともオーソドックスな方法で、高い感度での検出ができます。従来のフ

ィルムの場合、暗室での現像作業が必要でしたが、ECL Mini-Cameraの様なポラロイドフィルムを用いたインスタントカメラタイプでの検出の場合、暗室操作も不要で、手軽にECLの検出ができます。

②検出用機器による検出フィルム露光に変わる方法として利用されている方法には、冷却式CCDカメラによる検出があります。冷却式CCDカメラによる検出は暗室が不要であること、またデジタルデータとして取り込まれるため、定量解析にそのまま用いるこ

とができるという利点があります。最近では多目的画像解析装置の高感度化により、一部のスキャナーでは化学発光

を直接検出することができます。これらのスキャナーの場合、ケミフローレッセンス(化学蛍光)法による検出も可能

なシステムもあります。

ECL Mini-Camera Hyperfilm 冷却式CCDカメラ スキャナー

感度 ○ ◎ ○ △

暗室 不要 必要 不要 不要

手軽さ ◎ △ ○ ○

定量性 △ △ ○ ◎

他アプリケーションでの応用* △ ○ △ ◎

*蛍光検出、放射性同位元素(RI)検出など

4.1 検出方法の種類と特徴

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<ミニゲルホルダーを用いた操作方法>

1) フィルムカートリッジをカメラ本体のフィルムホルダーにセットします。黒い紙(遮光紙)と白タブは外に出した状態にします。

2) 白タブがカメラ本体の内部に巻き込まれていないことを確認します。

3) フィルムホルダーのふたを閉めます。

4) 遮光紙を引き出すと自動的に白タブが引き出されます。フィルムのセットはこれで完了です。メンブレンホルダーのふた側を上にして安定した机の上におきます。

5)化学発光検出試薬をメンブレンにかけて反応させた後、余分な検出試薬を除去してからブロット面を下にしてメンブレンをラップの上にのせます。ラップは30×30cm四方を目安として、机などの平面にラップを広げます。この際、できるだけラップにしわがよらないように注意します。

<推奨フィルム>

4.2 ECL Mini-Cameraによる検出

<対応メンブレンサイズ>

ECL Mini-Cameraとは...

ポラロイドCB-103フィルムホルダーをベースにしてデザインされた化学発光検出器です。ECLやAlkPhos Direct,Gene Imagesをはじめとした、タンパク質や核酸の化学発光検出すべてに使用することができます。

インスタントフィルムは、8.5×10.5 cmサイズ、

ISO3000相当の感度のものを推奨いたします。

2種類のボートとメンブレンホルダーにより、

7.7×5.2 cmあるいは9.3×7.4 cmまでのメンブレン

をセットすることができます。

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6) メンブレンにあわせて、ミニゲルホルダーを置きます。

7) ラップとメンブレンの間に気泡が入らないように注意して、メンブレンとホルダーをまとめてラップで包みます。

8) カメラ本体のメンブレンホルダー側のふたを開け、ラップで包んだメンブレンとミニゲルホルダーをカメラ本体にセットし、ふたを取り付けます。

9) シャッターを静かに開けて露光します。露光時間はシグナル強度とフィルム感度によりますが、通常は1分間程度の露光からはじめてください。露光が終了したら、シャッターを静かに閉めます。シャッターが完全に閉められていることを確認してください。

10) タブを引いてフィルムを引き出します。フィルムを室温で静置して現像を待ちます。

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<準備>現像液や定着液のマニュアルを参照して溶液を調製します。試薬の温度は結果に大きく影響するので、温度が推奨条件に

なるよう調整します(20℃が一般的です)。温度変化が激しいと容器が結露したり、現像ムラがおきやすくなります。X線フィルム(Hyperfilmなど)やフィルムカセットも温度変化により結露することがあります。暗室の温度を20℃前後に安定させて、試薬や容器、フィルムも使用前にその温度になじませておくことをお奨めします。

1)(白色光下)ラップに包んだメンブレンを、ブロット面を上(ブロット面がX線フィルムと接するよう)にしてフィルムカセットに置きます。

2)(セーフティーライト下)X線フィルムを箱から取り出し、フィルムカセットにセットします。フィルムがメンブレンの上で動くと、画像ブレが起こりますのでご注意ください。フィルムカセットの蓋を閉め、1~5分露光します。発光が強い場合は露光時間を短くすることで画像の濃さを調整できますが、露光時間が1分以下の場合、セッティングの際の画像ブレの影響が出やすくなります。カセットが閉まっている間は、部屋の白色光を点灯させてもかまいません。

3)(セーフティーライト下)カセットを開けてフィルムを取り出します。画像ブレが起こらないよう、速やかにフィルムとメンブレンを離します。

4)(セーフティーライト下)フィルムを現像液に浸します。フィルム面に気泡がないようにし、全体が均一に浸るようにします。20℃で5分を目安に現像します。現像時間を変えることでも画像の濃淡を調整できますが、現像ムラが起こりやすくなったり、操作によるばらつきが大きくなります。温度と時間を一定にすることが、安定した画像を得るポイントです。

5)(セーフティーライト下)フィルムを水道水を満たしたバットに移し、流水中に30秒ほど置き、現像液を洗い流します。

6)(セーフティーライト下)フィルムを定着液で満たしたバットに移します。フィルム面に気泡がないよう注意します。20℃で3分以上、乳剤が溶けてフィルムが透明になるまで十分に置きます。フィルムが透明になったら白色光をつけて定着ムラがないか確認します。定着ムラが見られた場合はさらに定着液に浸して乳剤を除去します。

7)(白色光下)流水中に10分以上置き、定着液を洗い流します。

8)(白色光下)水中からフィルムを取り出し、室温で風乾します。

4.3 Hyperfilmによる化学発光検出(露光~現像まで)

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<Hyperfilm ECLによるタンパク質の定量化>ECLにより発せられた光に対して、Hyperfilm ECLはリニアに感光することが示されています(文献14)。したがって、フィルム上に得られたシグナルを、デンシトメトリーを用いて定量化することが可能です。また、フィルムがリニアに

感光する範囲は、プレフラッシングを行うことにより拡大され、より低レベルのタンパク質の定量化も正確に行えるよ

うになります。以降に未知量タンパク質の定量化のガイドラインを示します。

1) 未知量タンパク質と既知量の同一抗原(スタンダード)サンプルの両方をウェスタンブロッティングします。少なくとも

スタンダードは、5段階の異なる希釈をとることをおすすめします。各希釈段階は10倍以下に設定してください(下記の実験例を参照)。定量すべきタンパク質量がスタンダードレンジに入るよう調製することが重要です。そのために、異な

る希釈倍率で未知量サンプルを何点かとることを考慮してください。

2) フィルムは、プレフラッシングして用いた方が良い結果が得られます。照射距離の目安を示したストロボ(SensitizeRPN2051)を用いれば、この操作を比較的容易に行うことができます。

3) ECLウェスタンブロッティングのプロトコールに基づいて検出を行います。正確に定量するためには、発せられる光量がフィルムのリニアに感光する範囲内であることが重要です。そのため、露光時間を変えて何枚かフィルムを感光させ、最

も低量のスタンダードによるシグナルがフィルム上でわずかに見えれば、他のスタンダードの何点かがリニアレンジに入

ってくるはずです。

4) フィルムをデンシトメーターでスキャンして、スタンダードのタンパク質量に対してピーク値をグラフにブロットします。

未知タンパク質量は、このグラフとブロット時の希釈から導き出すことができます。

※ CCDカメラやスキャナーなどの化学発光・蛍光検出装置を使用することで、より簡単にタンパク質の定量化を行うことができます。

Peak area 計算値 実測値(OD units)

検出用サンプル1 0.865 235 ng 240 ng

検出用サンプル2 0.476 125 ng 120 ng

ミオシン重鎖→(200 kDa)

(左から)

ミオシン600, 450, 300, 150, 60 ngと検出サンプル1, 2

泳動後、Hyperfilm ECLを用いて15秒間露光しました。

60 150 300 450 600

2.5

2

1.5

1

0.5

0

ng myosin

Peak area (OD units )

■ 実験例 -ECLを使用-

ニワトリ砂嚢ミオシンを10 µl泳動バッファー中に、600 ng、450 ng、300 ng、150 ng、60 ng含むスタンダードサンプルと60~600 ngの範囲の検定用サンプルを2種類調製しました。

すべてのサンプルを電気泳動し、Hybond-ECLにブロットしました。イムノディテクションは、抗ミオシン重鎖モノクローナル抗体(1:20)とHRP標識抗マウス抗体(NA931、1:3,000)で反応後、ECL検出試薬で検出しました。露光時間を変えて数枚Hyperfilm ECLを感光させ、60 ngのスタンダードがわずかに見えるフィルムをデンシトメトリーで解析しました。

UltraScan XL Laser densitometer*を用いてフィルムをスキャンし、スタンダードミオシン量に対してピークOD値をグラフにプロットしました。

検定用2サンプルの量を、スタンダード直線から算出しました。

*※米    UltraScan XL Laser densitometerの販売は現在は行っておりません。

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発光の検出は以下の操作手順を順番に行ってください。操作のポイントでは各工程での実際の操作を図で示していま

す。合わせてご参照ください。

〈発光サンプルの準備~操作手順〉1) 発光サンプルを準備します。

発光基質で反応を行ったサンプルを準備します。

2) 発光サンプルのセッティングを行います。

反応を行ったメンブレンを下図のような形で無蛍光ガラスに挟みこみます。

サンプル面のガラスにはカプトンテープを両端に貼り、少し浮いた状態にしてガラスとガラスがくっついてしまわないようにします。

Typhoon 本体のガラスステージ上に蒸留水をかけてカプトンテープを貼ってある面を下に向けて空気が入らないように置きます。

Typhoon の蓋を閉めます。

〈発光サンプルのスキャン〉1) Typhoon の準備

Typhoon本体及びPCの電源を入れ、デスクトップの画面からTyphoon ScannerControl を立ち上げます。

2) スキャン設定を行います。

scan acquisition modeからChemiluminescenceを選択します。SetupでSensitivityをhighにPMT voltageを950Vに設定し、OKをクリックします。グリッドエリアを選択し、Pixel size、Sample orientation、Press sample、focalplane、Image analysis ソフトウェアを選択します。

3) スキャンを始めます。

Scan ボタンをクリックします。ファイル名を入力し、Save をクリックします。

4) 結果の確認を行います。

ImageQuantソフトウェアを立ち上げ、画像の確認を行うことができます。

5) スキャン後のクリーンアップ

サンプルを取り除き、Typhoon 本体をクリーンアップします。

3mm厚ガラス板3mm厚ガラス板

Typhoonガラスステージ

カプトンテープ

メンブレン(サンプル面が下)

蒸留水

4.4 バリアブルイメージアナライザーTyphoonによる検出

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本文

30,000,000

25,000,000

20,000,000

15,000,000

10,000,000

500,000

0

0 50 100 150 200 250

R2=0.9978

BSA(ng)

Volume

BSAをHybond-Pに200、100、50、25、12.5、6.3、3.1、1.6、0.8、0.4、0.2 ngスロットブロットし、抗BSAモノクローナル抗体(1:50,000)、HRP標識抗ラビット抗体(NA934、1:200,000)で反応後、ECLAdvance検出試薬で検出しました。冷却式CCDカメラ(ImageMaster-CL*)を用いて検出し、バックグラウンド補正後のボリューム値(補正後のシグナル強度の和)とBSA添加量をプロットしました。低濃度側8ブロット(0.4~50 ng:閾値以上)のデータポイントに対する近似直線と対応するR2値を示しました。

* ImageMaster-CLは現在販売しておりません。

冷却式CCDカメラによる化学発光検出装置を使用することで、より簡単にタンパク質の定量化を行うことが

できます。この系では、0.4~50 ngの範囲で統計学的に有効な直線性が得られました。結 果

■ 実験例 -ECL Advanceを使用-

付録:冷却式CCDカメラシステムによるタンパク質の定量化

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第5章ケミフローレッセンスによるECL Plusの検出

ECL Plus には化学発光反応中に中間生成物として、蛍光物質を生産する特性があります。この特性を利用することで、ケミフローレッセンス(化学蛍光)法での検出可能です。ケミフローレッセンス法はバリアブルイメージアナライザーTyphoonなどの蛍光検出用画像解析装置で検出でき、データのデジタル化(=数値化)が可能です。この章ではECL Plusを用いたケミフローレッセンス法についてご紹介します。

5.1 • プロトコール

5.2 • バリアブルイメージアナライザーTyphoonによる検出

5

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1. 準備と一般的な取り扱いについて

基本操作は化学発光検出と同じですが、蛍光検出の際には下記の点にご注意ください。

・蛍光検出の成功の秘訣はバックグラウンドを低く抑えることにあります。ブロッキングや洗浄時は十分量のバッファ

ーを使用します。

・使用されるメンブレンは乾かさないようご注意ください。

・洗浄時のバッファー量はメンブレン1 cm2あたり2.5 ml 以上使用することをおすすめします。メンブレンが十分入る大きさの容器を準備します。使用する容器は必ず水とエタノールで洗浄し、メンブレンを取り扱う際にはパウダー

フリーのグローブを使用します。

2. インキュベーション

1)平面に置いた清潔なハイブリダイゼーションバッグ(またはラップフィルム)の上に、洗浄したメンブレンをサンプル面を上にして置きます。

2)ECL Plus基質を、製品添付書に従って調製(Detection Reagent AとBを40:1で混合)します。メンブレンを1 cm2

あたり100 µlのECL Plus基質で完全に覆い、室温で5分間インキュベートします。

3)清潔なピンセットでメンブレンをつまみ、余分な試薬を軽く切り、3 mm厚の無蛍光ガラス板に載せて挟みます。メンブレンとガラス板の間に気泡が入らないようご注意ください。

4)画像検出までに時間をおく場合はメンブレンを遮光し、スキャンを行うまで室温にて保存してください。

表5-1.ケミフローレッセンス基質から得られる蛍光物質の最大励起、蛍光波長と検出時に用いられる酵素

ケミフローレッセンス基質 励起波長 (nm) 蛍光波長 (nm) 酵素

ECL Plus*1 430 503 HRP*2

ECF 440 560 AP*3

DDAOphosphate 646 660 AP*3

*1 ケミフローレッセンスとケミルミネッセンス検出に用いることができる。*2 Horseradish Peroxidase*3 Alkaline Phosphatase

5.1 プロトコール

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1)Typhoonのステージに汚れが無いことを確認し、サンプルを設置する際に、サンプル面側のガラス板にカプトンテープを貼ります。

2)サンプル面を下向きにしてメンブレンを挟んだガラス板を設置します。バックグラウンドを抑えるためには、メンブレンを乾かさないようにすることが重要です。メンブレンとガラス板の間に気泡が入らないようご注意ください。TyphoonでECLPlusをケミフローレッセンス検出する場合、457または488 mm光源で励起します*。

3)「Press Sample」を選択します。Focal Planeは+3 mm、Pixel Size は100 µm、Sensitivity はNormalに設定します。また、PMTボルテージの推奨値は450~800 Vです。

*蛍光ウェスタンブロット検出のための励起、検出設定は蛍光試薬ごとに至適化が必要です。感度を最高にするための励起波長/検出フィルターの組合せは、使用する蛍光色素の最大励起、蛍光波長と必ずしも一致しません(表5-1)。

表5-2.Typhoon 9400でのケミフローレッセンス用いたβ-チューブリンの検出限界

基質 検出限界* (β-tubulin)

ECL Plus 0.5 ng

ECF 2~4 ng

DDAO phosphate 1~2 ng

*検出限界値はチューブリンを目的タンパク質として検出を行った際の結果。検出限界値とはバックグラウンド修正後のS/N比が3以上を保つ限界。

<結果>

図5-1a、bにTyphoonで検出した蛍光ウェスタンブロッティングの検出例を示します。各種の蛍光ウェスタンブロット検出を用いたβ-チューブリンの検出限界を表5-2に示します。化学発光法の場合の8分間のフィルム感光の結果と同等であり、4倍以上の広いリニアダイナミックレンジが得られました。Typhoonは5オーダーのダイナミックレンジを持っています。

図5-1.ケミフローレッセンス法と蛍光標識法によるウェスタンブロッティング

a) ECL Plus基質を用いたケミフローレッセンス法によるウェスタンブロッティング。

β-チューブリンは等倍希釈を行い、レーン左より16、8、4、2、1、0.5 ng添加。

b)フルオレセインを用いた蛍光標識法によるウェスタンブロッティング。β-チューブ

リンは等倍希釈を行い、レーン左より32、16、8、4、2、1 ng添加。

a)

b)

5.2 バリアブルイメージアナライザーTyphoonによる検出

3mm厚ガラス板

Typhoonガラスステージ

カプトンテープ

メンブレン(サンプル面が下)

蒸留水

GUIDE主に非特異的な抗体の付着によってメンブレンのバックグラウンドノイズが大きくなる可能性があります。感度を最大

限に得るために、検出条件の至適化をおすすめします。

GUIDE 対応機種:Typhoon 9410、9400、Trio(488 nmのみ)

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第6章関連製品プロトコール

どんなに化学発光の操作をきれいに行っても、電気泳動・ブロッティングという一連のウェスタンブロッティング操作が上手くいかなければ、良いデータを得ることができません。この章では代表的な電気泳動とブロッティング装置の操作についてご紹介します。また、煩雑なウェスタンブロッティングの各反応を自動化するためのシステムもあわせてご紹介します。

6.1 • mini VEミニゲル用電気泳動装置/ブロッティング装置

6.2 • TE70 / TE77セミドライブロッティング装置

6.3 • MultiProcessorゲル・メンブレン用自動検出処理装置

6

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miniVEとは...

泳動、ゲルキャスティング、ブロッティングを1つのユニットで行うことができる一体型の縦型電気泳動装置です。

6.1.1 ゲルモジュールの準備

6.1.2 ゲル作製

6.1.3 サンプル添加

1)ゲルサンドウィッチ(ノッチ付きガラスプレートおよびガラスプレートのセット)を作製ゲル枚数分準備します。

2)ゲルサンドウィッチをゲルモジュールに設置し、クランプで挟みスクリューをしっかり締めます(図6-1)。

3)シーリングプレートを起こし、つまみをしっかりとはめ込みます。シーリングプレートのガスケットがゲルサンドウィッチの底辺に密着してい

ることを確認してください。

1)ウェルを崩さないようにコームをはずし、泳動バッファーでウェルを洗浄します。

2)ウェルに泳動バッファーを満たし、サンプルを添加します。

1) ゲル溶液を準備します(枚数、厚さによって溶液量が異なります)。

必要なゲル溶液量(2枚分)

ゲル厚(mm) 分離ゲル(ml) 濃縮ゲル(ml)

0.75 15 3.35

1.0 20 4.47

1.50 30 6.70

※バッファー組成、ゲル溶液の調製については付録を参照してください。

2)10% 過硫酸アンモニウム、TEMEDを加えた分離ゲル溶液をゲルサンドウィッチへ流し込み、n-ブタノール飽和水溶液を重層して1時間以上重合させます。

3)n-ブタノール飽和水溶液を除き、濃縮バッファーで分離ゲル表面を洗います。

4)濃縮ゲル溶液を重層して静かにコームを差し込み、1時間以上重合させます。

クランプ

スクリュー

ゲルサンドウィッチ

シーリングプレート

ウェル深1 mmあたりのサンプル量(µl)

ウェル数 ゲル厚

0.75 mm 1.0 mm 1.5 mm

5 9.5 12.7 19.1

9 - 5.8 -

10 3.6 4.8 7.2

15 2.2 2.9 4.4

18 - 2.9 -

図6-1

6.1 miniVE ミニゲル用電気泳動装置/ブロッティング装置

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6.1.4 泳動槽の準備

1)シーリングプレートのつまみを下段の窪みにはめ込み(図6-2)、下部バッファータンク内にゲルモジュールを設置します。

2)上部バッファーチャンバーに泳動バッファーを満たします。ノッチ付きプレートの3~5 mm上までバッファーを注ぎ入れてください。

3)下部バッファータンクの「MIN」の表示より上、「MAX」の表示の下まで泳動バッファーで満たします。必要なバッファー量はゲル(ゲルモジュー

ル)により異なります。

1)ゲルモジュールの陰極、陽極の縁にガスケットをはめ込みます。

2)ゲルと同じサイズのブロッティングペーパーを準備し、トランスファーバッファーに浸しておきます。

3)メンブレンをゲルと同じサイズにカットします。ニトロセルロースメンブレンは蒸留水につけた後、PVDFメンブレンはメタノールで親水処理を行った後にトランスファーバッファーに浸しておきます。図6-3のようにダクロンスポンジ(a,f)、ブロッティングペーパー(b,e)、ゲル(c)、メンブレン(d)を重ねます(メンブレンとゲルの間に気泡が入らないようにします)。

4)陰極の上にa~fをのせ、Blot Moduleを300~350 mlのトランスファーバッファーで満たします。

5)Blot Moduleを下部バッファータンクに設置します。下部バッファータンクを1.2~1.7 Lの室温もしくは4℃に冷却した蒸留水で満たします。

6)リッドを被せ、電極コードをパワーサプライに接続します。

7)定電流でブロッティングを行います。Towbin Bufferを使用する場合、300~400 mAで1~2時間の条件で行います。

6.1.7 Blot Module(オプション)の取り扱い

6.1.6 泳動終了

1)リッドを被せ、電極コードをパワーサプライに接続します。

2)定電流もしくは定電圧で泳動を始めます。SDS-PAGEでは、10~20 mA/ゲルで泳動します。

3)色素がゲル下端に達する直前に泳動を終了します。

abcdef

6.1.5 泳動

1)電源を切り、リッドをはずします。

2)ゲルモジュールを逆さにして泳動バッファーを捨て、ゲルサンドウィッチを取りはずします。

3)プレートからゲルをはがし、染色もしくはブロッティングを行います。ブロッティングを行う場合、ゲルをトランスファーバッファーに浸して平衡化します。

図6-3

図6-2

リッド

ゲルモジュール

下部バッファー

タンク

陽極

陰極

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6.2.1 転写の準備

6.2.2 ブロッティングの実行

TE 70 / TE 77とは...

TE 70、TE 77は、低電流・低電圧下で発熱量を最小限におさえながらタンパク質をゲルからメンブレン上にすばやく転写できる装置です。

1)陽極、陰極の各電極板を脱イオン水ですすぎます。

2)ウェル部分と濃縮ゲルを除いたゲルサイズを測定します。

泳動後のゲルは必要に応じてトランスファーバッファーで平衡化します。

3)測定したゲルサイズより各辺2 mm程小さい“窓”をマスク中央に開けます(マイラーマスク)。このマスクを陽極電極板上におきます。

4)4~6枚のブロッティングペーパーをゲルと同じサイズにカットし、2~3枚×2組に分けてトランスファーバッファーに浸します。

5)メンブレンをゲルと同じサイズにカットします。ニトロセルロースメンブレンは脱イオン水ですすいだ後、PVDFメンブレンはメタノールで親水処理を行った後にトランスファーバッファーに浸します。

6)以下のようにブロッティングペーパー、メンブレン、ゲルを陽極電極板上に重ねていきます(下図)。

a:4)のブロッティングペーパー1組を軽くバッファーをきり、陽極電極板においたマイラーマスク上に“窓”を覆うように重ねます。

b:5)のメンブレンをa)に重ねます。

c:2)のゲルをb)に重ねます。

d:4)の残りのブロッティングペーパーをc)に重ねます。

7)カバーをセットし、電極コードをベースの接続口に差し込みます。

8)複数枚のゲルを転写する場合は、電極の接触をよくするためにカバーの上に1 kgの重しをのせます。

1)パワーサプライの電圧値を50 Vに設定します。

2)電極コードをパワーサプライにつなぎます。(赤:陽極、黒:陰極)

3)ゲルサイズに対し、0.8 mA / cm2に電流値を設定します。

4)ブロッティングを開始します。(通常、1時間以内に終了しますが、高分子タンパク質やNative状態のタンパク質を転写す

る場合はさらに時間をかけたほうが転写効率が上がります。ただし、2時間以内に終了してください。)

注意:ブロッティング中、電圧値が以下のような場合、サンプルやユニットにダメージを受けることがあります。・電圧が20 V以上になる:イオン強度が不適当→バッファー濃度を確認してください。・電圧が10 V以上変動する:バッファー不足→トランスファーバッファーに浸したブロッティングペーパーを増やしてください。・カバーの温度が上がった場合にもトランスファーバッファーに浸したブロッティングペーパーを増やしてください。

マイラーマスク

ゲル メンブレン ブロッティングペーパー 2-3枚

ブロッティングペーパー 2-3枚

6.2 TE 70 / TE 77セミドライブロッティング装置

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6.2.3 ブロッティング終了後

1)パワーサプライのスイッチを切り、電極コードをぬきます。

2)カバーから出ている電極コードをベースからぬき、カバーをはずします。

3)メンブレンを取り出します。

注意: ・ユニットは、脱イオン水ですすぎ乾燥させます。オートクレーブ、自動洗浄装置は使用しないでください。・セイフティーインターロック部と電極コードはぬらさないでください。・ユニットを水につけ込まないでください。

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ブロットプロトコールを行うには、最初にブロット用トレイと試薬を準備します。ブロット用トレイをトレイサポー

トにのせ以下のセットアップ操作をしてください。

・ ペリスタルティックポンプのチューブをトレイリッドにつなぎます。

・ トレイの水平調節を行います。

・ ポンプのキャリブレーションを行います。

(トレイサイズを変えるときは、必ずトレイの水平調節を行ってください)

<ブロットモード>

MultiProcessorとは...

ウェスタンブロッティングにおけるメンブレンの検出用溶液の交換およびゲルの染色、脱色を自動的に行う装置です。

ブロットしたメンブレンをブロット面が上になるようにトレイに

のせ、リッドをセットします。試薬チューブをあらかじめ準備

しておいた抗体や洗浄用ボトルに正しく差し込みます。

メンブレンをセットしたチャンバーのバルブ(リッドに設置さ

れています)を開きます。使用しないチャンバーのバルブは閉

じていることを確認してください。

プロトコール、メンブレン数およびトレイサイズを選択し、ス

タートボタンを押します。ECLまたは発色法によるウェスタン

ブロッティング検出用プロトコールがあらかじめ入力されてい

ますが、自分でもプログラムすることができます。

選択したプロトコールに従って、溶液の添加、振とう、排出を

自動的に行います。実行中のプロトコールを変更したり、ステ

ップを追加することもできます。

マニュアル操作でECLシリーズ検出試薬をメンブレンに添加し

ます。(発色法の場合、発色試薬を自動添加します)

使用後は、チューブの洗浄を行います。

■ ブロット操作

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6.3 MultiProcessorゲル・メンブレン用自動検出処理装置

プログラミング済みブロット用プロトコール

プログラム 用途

1.ECL Plus ECL Plus検出キット用          

2.ECL ECL検出キット用

3.Standard 一次抗体および二次抗体による免疫検出

4.Enhanced 一次抗体およびビオチン化二次抗体とストレプトアビジン化合物による免疫検出

5.Clean チューブ、バルブおよびボードの洗浄

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<ゲル染色モード>

ゲル染色プロトコールを行う前に、トレイと試薬を準備しま

す。ゲル染色用トレイをトレイサポートにのせブロットモード

同様に以下のセットアップ操作をしてください。

・ ペリスタルティックポンプのチューブをトレイリッドにつ

なぎます。

・ トレイの水平調節を行います。

・ ポンプのキャリブレーションを行います。(トレイサイズを変えるときは必ず、トレイサイズの選択、トレイの水平調節を行ってください)

プログラミング済みゲル染色用プロトコール

プログラム 用途

1.DNA銀染色 DNAゲル 1.0 mm厚支持板なしゲル

0.5 mm厚支持板付きゲル

2.タンパク質銀染色 SDS, Native 0.75および1.0 mm厚支持板なしゲル

0.5 mm厚支持板付きゲル

Immobiline DryPlate

3.タンパク質銀染色 SDS, Native 1.5 mm厚支持板なしゲル

4.タンパク質銀染色 IEF 0.5および1.0 mm厚支持板付きゲル

5.タンパク質CBB染色 SDS, Native 1.0 mm厚支持板なしゲル

0.5 mm厚支持板付きゲル

6.タンパク質CBB染色 SDS, Native 0.75 mm厚支持板なしゲル

7.タンパク質CBB染色 SDS, Native 1.5 mm厚支持板なしゲル

8.タンパク質CBB染色 IEF 0.5および1.0 mm厚支持板付きゲル

9.Clean チューブ、バルブおよびポートからの試薬の洗浄

使用後、チューブおよびトレイの洗浄を行います。

■ ゲル染色操作

染色試薬を準備します。吸引パイプのついたチューブ

を試薬ボトルおよび廃液ボトルに正しく差し込みます。

特に銀染色の場合は、廃液処理を簡便に行うために銀

溶液を別のボトルに回収することをおすすめします。

排出先に間違いがないように確認してください。

ゲルをトレイにのせ、ガラスリッドをセットします。

プロトコールを選択し、スタートボタンを押します。

あらかじめ9つの染色プロトコールが入力されています

が、さらに14種類の染色プロトコールをプログラムする

ことができます。

実行中のプロトコールは、ステップの時間のみ変更する

ことができます。

染色されたゲルをトレイから取り出します。

廃液を処分します。

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6注意:標準の染色トレイはステンレス製です。

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第7章アプリケーション例

ECL製品は検出用の試薬ですので、他の実験・手法と組み合わせることで、さまざまな研究にご利用頂くことができます。この章では実際にECLを用いた実験例をご紹介します。あわて、実際にECLによるウェスタンブロットを行う際の至適化や前処理によるデータの改善例をご紹介します。

7.1 • 二次元電気泳動およびECL Western Blottingを用いた培養生殖細胞上清からのmetallopeptidaseの同定

7.2 • 2D DIGE / ECL Plus Western Blottingを使用したチロシンリン酸化タンパク質の検出

※7章の参考文献情報は各項目ごとにご紹介しています。

7

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Identification of metallopeptidases from germ cell conditionedmedium using pH gradient 2-D electrophoresis and ECLimmunodetection

二次元電気泳動およびECL Western Blottingを用いた培養生殖細胞上清からのmetallopeptidaseの同定

― 54 ―

本報では、精細胞由来のタンパク質をサンプルとして二次

元電気泳動を行い、その後ECLによるウェスタンブロッティ

ングによって特定のタンパク質スポットを同定した二次元ウ

ェスタンブロッティングをご紹介します。二次元電気泳動後、

メンブレンにタンパク質を転写し、metallopeptidaseに対する

抗体を用いてウェスタンブロッティングを行いました。これ

らの解析によって、N-arginine dibasic convertase、amino-

peptidase B、thimet oligopeptidaseを含む既知の生殖細胞由来

metallopeptidaseを同定することができました。

はじめに

10

1 4

ECL

GCCM N-

arginine dibasic (NRD) convertase (narlysin, EC 3.4.24.61)

aminopeptidase B (ApB, EC 3.4.11.6) thimet oligopeptidase

(TOP, EC 3.4.24.15)

使用した製品

実験方法

培養生殖細胞からの培養上清の調製

Pineau SD

5

GCCM

一次元目電気泳動:等電点電気泳動

GCCM 50 µg 400 µl

8 M 0.5 % Triton X-100 0.2 % DTT

0.5 %(v/v) Pharmalyte 3-10 Orange G

Immobiline DryStrip 3-10 NL 18 cm)

MultiTemp III EPS 3500XL

Multiphor II 1

二次元目電気泳動:SDS-PAGE

Immobiline DryStrip 6M 2 % SDS 10 %

0.5 % DTT 50 mM Tris-HC(pH 6.8)

10 DryStrip 6M

2% SDS 10% 4.5%

50 mM Tris-HCl(pH 6.8) 10

SDS-PAGE ExcelGel SDS Gradient

XL 12-14 ECL Western Blotting

Molecular Weight Marker 1

表7-1.電気泳動条件

Voltage Current Power

Step (V) (mA) (W) Time

IEF1 500 1 5 5 h2 500 1 5 5 h3 3,500 1 5 9.5 h

SDS-PAGE1 1,000 20 40 45 min2 1,000 40 40 5 min3 1,000 40 40 2 h 40 min

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銀染色と金コロイド染色

6

PVDF AuroDye Forte Kit

タンパク質のメンブレンへの転写

PVDF

Novablot 1 cm2 0.8 mA 1

ECLを用いたWestern blotting

ECL

SDS-PAGE 1D

3% BSA deglycosylated

TBS 50 mM Tris-HCl (pH 7.6) 150 mM NaCl 1

4

0.1%(v/v) Tween 20 /

TBS 1% BSA

deglycosylated 0.1%(v/v) Tween 20 / TBS

1

1/8,000

2 HRP

1/3,000 ECL

Hyperfilm

表7-2.ECLウェスタンブロッティングにより検出されたmetallopeptidaseの特性

タンパク質 Standard Spot Number m(kDa) pI

thimet oligopeptidase 4907-4913-5915-5916-5917 74.4-75.2 5.46-5.59

NRD convertase 3402-3405-3417-3418-3422-3423-4402 23.5-25.4 5.05-5.31

aminopeptidase B 1004-1008-1010-1109 11.3-11.9 4.60-4.62

3.6 4.4 5.2 5.6 6.0 6.4 7.0 8.0pH (non-linear)

m(kDa)

90 –80 –70 –60 –50 –

40 –

30 –

20 –

15 –

図7-1.銀染色を行ったGCCMの二次元電気泳動

GCCMから回収したタンパク質 50 µgをIPG DryStrip 3-10NL(一次元目電気泳動)およびExcelGel SDS gradient 12-14%(二次元目電気泳動)により二次元電気泳動を行いました。G C特異的に発現しているmetallopeptidaseのウェスタンブロッティング検出にはECLを用いました。

図7-2.ECLウェスタンブロッティング(A)ならびに金コロイド染色(B)を用いて検出したGCCM中のthimet oligopeptidaseのスポット

実験は図7-1と同様の方法で行い、ウェスタンブロッティングによって検出されたタンパク質のスポットを長方形の枠で囲っています。StandardSpot Number 7210のタンパク質スポットは以前にN末端アミノ酸シークエンシングによってtesticular phoshatidylethanolamine binding proteinと同定されたタンパク質のフラグメントです。右側のレーンにはECLWestern Blotting Molecular Weight Markerを泳動しています。サイズは上から、97,400、68,000、46,000、31,000、20,100、14,400 Daになります。

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リプロービング

100 mM /

2%(w/v) SDS / 62.5 mM Tris-HCl(pH 6.7)

50 30

0.1 %(v/v) Tween 20 / TBS 10 2 3% BSA

deglycosylated TBS 50mM Tris-HCl (pH 7.6) 150

mM NaCl 1

結果と考察

GCCM metallopeptidase ECL

1 2 1

thimet oligopeptidase

ECL

ECL

2

3

ECL Western Blotting Molecular Weight Marker

結論

ECL

metallopeptidase

参考文献1. Boitani, C. et al., Cell Differentiation 9, 41-49 (1980).

2. Kramer, J. M. and Erickson, R. P., J. Reprod. Fert. 64, 139-144(1982).

3. Jutte, N. H. P. M. et al., J. Exp. Zool. 233, 285-290 (1985).

4. O' Brien, D. A., Biol. Reprod. 37, 147-157 (1987).

5. Pineau, C. et al., J. Androl. 14, 87-98 (1993).

6. Heukeshoven, J. and Dernick, R., Electrophoresis 9, 28-32 (1988).

図7-3.ストリッピングによるウェスタンブロッティングのシグナルの影響

NRD convertaseをウェスタンブロッティングにより検出しました。一次抗体には抗NRD convertase抗体、二次抗体にはHRP標識抗ウサギ抗体を用いました(A)。メンブレンを本文中の方法によってストリッピングし、thimet oligopeptidaseのウェスタンブロッティング検出を行った後に再度メンブレンをストリッピングし、NRD convertaseの検出を行いました(B)。

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本報では、チロシンリン酸化タンパク質のプロテオーム解

析に二次元ウェスタンブロッティングを利用した例をご紹介

します。まず、二次元電気泳動後のタンパク質をPVDFメン

ブレンに転写し、イムノブロット解析によりチロシンリン酸

化タンパク質を検出しました。つづいて、このイムノブロッ

ト解析の結果を、蛍光標識二次元ディファレンスゲル電気泳

動解析(2D DIGE)により検出された発現差異データ、およ

びタンデムマス解析(MS/MS)によるタンパク質同定結果と

関連づけて解析しました(図7-4、7-5)。Ettan DIGEシステムは、内部標準を利用したプロトコール

を用いることで、キトサン処理/未処理 Arabidopsis thaliana

(シロイヌナズナ)抽出サンプルにおいて、リン酸化チロシン

抗体により検出されたタンパク質スポットならびにチロシン

リン酸化されていないタンパク質の発現差異を明らかにしま

す。ウェスタンブロッティングにより検出された87個のタンパク質をMS/MSによる質量分析のために切り出し、また、発

現差異のみに基づいて92個のタンパク質を選択しました。この結果、4個のチロシンリン酸化タンパク質で発現量に有意な変動がみられました。

はじめに

32P

PY20 1 4G10

2

2 3

ECL Plus Western Blotting Detection Reagents

2D DIGE Arabidopsis

thaliana

7-5

A. thaliana

130 Mb

A. thaliana

4

2D DIGE Ettan DIGE Differential Gel

Electrophoresis

CyDye

Cy2 Cy3 Cy5

CyDye

5

A. thaliana

Detection and identification of tyrosine phosphorylated protein

2D DIGE/ECL Plus Western Blottingを使用したチロシンリン酸化タンパク質の検出

コントロールサンプル

処理サンプル

内部標準

Cy3標識 Cy5標識 Cy2標識

標識サンプルを混合して泳動

画像の取込みCy2/Cy5同時検出&標準化

Cy2/Cy3同時検出&標準化

DeCyder DIAによる画像解析

スポットの3D表示

DeCyder BVAによるゲル間マッチング&統計解析

図7-4. 2D DIGE解析のワークフロー

― 57 ―

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2D DIGE

使用した製品

2D DIGE専用試薬

CyDye DIGE Fluor Cy2 minimal dye, 25 nmol 問合せ

CyDye DIGE Fluor Cy3 minimal dye, 25 nmol 問合せ

CyDye DIGE Fluor Cy5 minimal dye, 25 nmol 問合せ

Pharmalyte pH 3-10 17-0456-01

Immobiline DryStrip, 18 cm, pH 4-7 17-1233-01

Immobiline DryStrip Reswelling Tray 80-6371-84

Immobiline DryStrip Cover Fluid 17-1335-01

サンプル調製試薬

Urea 17-1319-01

CHAPS 17-1314-01

Dithiothreitol 17-1318-02

Tris 17-1321-01

Sodium Dodecylsulfate (SDS) 17-1313-01

Glycerol 17-1325-01

TEMED 17-1312-01

Ammonium Persulfate 17-1311-01

Agarose 80-1130-07

Glycine 17-1323-01

Bind-Silane 17-1330-01

器具・機器

Multiphor II Electrophoresis System 18-1018-06

SE 600 Standard Vertical Electrophoresis Unit*1

Dual Gel Caster 80-6175-00

EPS 3501 XL Power Supply 18-1130-05

Glass plates, 18 × 16 cm, low fluorescence 80-6442-14

Ettan Spot Picker 問合せ

Reference Markers 18-1143-34

Ettan DIGEシステム基本パッケージ 問合せ

ウェスタンブロッティング試薬

Hybond-P RPN2020F

ECL Plus Western Blotting Detection Reagents RPN2132

ECL Phosphorylation module RPN2220

Cy5 mono-Reactive Dye Pack PA25001

その他の試薬・機器

SYPRO Ruby protein gel stain (Invitrogen)

Sequencing Grade Modified Trypsin (Promega)

PepMap C18 column (LC Packings)

Tween (ICI Americas Inc.)

Investigator ProGest (Genomic Solutions)

Q-ToF tandem mass spectrometer

CapLC capillary chromatograph, MaxEnt 3 (Micromass Ltd.)*1 SE 600 Standard Vertical Electrophoresis Unitは現在販売してお

りません。同等品としてSE 600 Ruby(80-6479-57)を販売しております。

実験方法

■ 2D DIGE解析

サンプル調製

A. thaliana 1 6

50 µg/ml

10 24

10 mM Tris-HCl pH 8.8 1 mM

EDTA 2 mM DTT 10,000 g 10

80%

コントロール

①二次元電気泳動処理サンプル

⑤画像の取込み

⑧DeCyder BVAによるブロット-ゲル間マッチング

Cy5染色ブロット②ゲルからPVDFメンブレンへの転写

③Cy5-NHSによるブロット染色

④ECL Plusによる免疫検出

⑦DeCyder DIAによる画像解析

HRP標識抗リン酸化 チロシン抗体

⑥Cy5/ECL Plus同時検出

Cy3/Cy5ゲルイメージ*

Cy5/ECL Plusブロットイメージ

* 図1の2D DIGEワークフロー参照

図7-5. チロシンリン酸化タンパク質の解析ワークフロー

チロシンリン酸化タンパク質はHRP標識抗リン酸化チロシン抗体で検出し、また、ブロット上の全タンパク質をCy5で染色しました。その後、2DDIGE解析結果と組合わせて解析を行いました。

― 58 ―

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-20 1

9 M urea 2 M thiourea 4% CHAPS 30 mM Tris-

HCl pH 8.5 Bradford

サンプルの標識

CyDye DIGE Fluor minimal dye

Dimethylformamide Aldrich 1

nmol/µl 5

50 µg 400 pmol

2 µl 7-3

Cy2 CyDye DIGE

Fluor minimal dye

Cy3 Cy5 30

7 10 mM lysine CyDye DIGE

Fluor minimal dye 400 pmol 1 µl 10

二次元電気泳動

7-3 2

9 M urea 2 M thiourea 4% CHAPS 20 mg/ml DTT

4% Pharmalyt pH 3-10

150 µg 350 µl

Immobiline DryStrip Reswelling Tray Immobiline

DryStrip pH4-7, 18 cm

8

Immobiline DryStrip Cover Fluid

Multiphor II Electrophoresis System

20

1 500 V for 1,000 Vh

2 3,000 Vh gradient from 500 V to 3,500 V

3 70 kVh at 3,500 V

A 6 M urea 2 M thiourea

50 mM Tris pH 8.8 30% glycerol 10% SDS 1% DTT

Immobiline DryStrip 15

B 6 M urea 2 M thiourea 50 mM Tris pH 8.8

30% glycerol 10% SDS 4.8% iodoacetamide 15

Dual Gel Caster 18 16 cm 1

mm 12.5% SDS

Immobiline DryStrip

192 mM

glycine 0.2% [w/v] SDS 25 mM Tris

SE 600 Standard Vertical

Electrophoresis Unit 1 25 mA 30

1 40 mA

画像の取込み

Typhoon 9400

Cy2 488 nm excitation wavelength 520 nm bandpass(BP) 40 nm (520 BP 40) emission filter

Cy3 532 nm excitation wavelength 580 BP 30 emissionfilter

Cy5 633 nm excitation wavelength 670 BP 30 emissionfilter

100 µm

60,000 80,000

PMT

ImageQuant Tools version 2.3

画像解析

Ettan DIGE DeCyder Differential

Analysis Software version 4.00

DeCyder

Cy2 Cy3 Cy2 Cy5

表7-3. 2D DIGE によるBVA解析の実験デザイン

ゲル Cy2 CyDye DIGE Fluor minimal dye Cy3 CyDye DIGE Fluor minimal dye Cy5 CyDye DIGE Fluor minimal dye

1 内部標準 10 min control ARA 59*2 10 min treated ARA 59

2 内部標準 10 min control ARA 57 10 min treated ARA 57

3 内部標準 10 min control ARA 57B 10 min treated ARA 57B

4 内部標準 10 min control ARA 69 10 min treated ARA 69

5 内部標準 24 h control ARA 1 24 h treated ARA 1

6 内部標準 24 h control ARA 3 24 h treated ARA 3

7 内部標準 24 h control ARA 65 24 h treated ARA 65

*2 ARAの番号は、異なるプレート由来のA. thaliana培養細胞が使用されたことを示します。

― 59 ―

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3,500

DeCyder Bio log ica l

Variation Module BVA

Cy2

landmark

Paired Student's t-test

p 0.05

proteins of interest

■ウェスタンブロット解析

二次元ゲルのウェスタンブロット解析

25 mM Tris 200 mM 20%

Hybond-P

150 µg

30 V 4

7-5 Hoefer TransPhor

units

4

ブロットの染色

monofunctional Cy5 0.1% Tween 20 ICI Americas Inc.

PBS 10 mM , pH 7.4

PBS-T 1

PBS-T

100% 10 3

Typhoon 9400 633 nm

excitation wavelength 670 BP 30 emission filter

7-5

抗リン酸化チロシン抗体による免疫検出

TBS-T 10 mM

Tris-HCl pH 7.5 100 mM NaCl 0.1% Tween 20 150 ml

3% BSA 1 4

TBS-T

3% BSA TBS-T 1,000 HRP

PY20 ECL Phosphorylation

module 1

ECL Plus Western Blotting Detection Reagents

Typhoon 9400 Cy5 ECL Plus

ECL Plus 457 nm excitation wavelength 505

nm long-pass filter Cy5 ECL Plus

7-5

イムノブロットの画像解析

DeCyder

ECL Plus

protein of interest 7-5

■質量分析とタンパク質同定

A. thaliana 500 µg

Immobiline DryStrip

140 kVh 2D

PlusOne Bind-Silane 2

fluorescent reference marker

SYPRO Ruby Invitrogen

10% 6%

Typhoon 9400 SYPRO Ruby

532 nm excitation wavelength 610 BP 30 emission

filter DeCyder

2

x-y Pick List Ettan Spot

Picker 2 mm

96

9 10 11

Investigator ProGest Genomic Solutions

12 50 mM

DTT iodoacetamide

Promega 25 mM

6.5 ng/µl 10 µl

60

― 60 ―

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37 1 25 mM

5%

0.1%

Micromass CapLC capillary chromatograph

Q-ToF Micromass

MS/MS

0.1% 6 µl PepMap C18 column 300

µm 0.5 cm LC Packings 0.1%

3

1 µl/min

data acquisition

0.1%

5 70% 20

3,500 V 540

1,000 2 3 4

Data-dependent acquisition

MS/MS

collision gas collision voltage

18 45 V

MS/MS

MaxEnt 3, Micromass

SwissProt/TrEMBL

miss cleavages 1

1 initial mass tolerance 50

ppm

MS/MS

NCBI nr BLAST

13

結果と考察

7-3

Cy2

Cy3

Cy5

DeCyder 2D DIGE 3,132

SYPRO Ruby

500 µg 3

3,315

Master

Master

Master

2D DIGE

7

マスターゲル 1,937

10 10-min control/treated

24 24-h control/treated Paired

Student's t-test 10

p 0.05 94

52

24

p 0.05 39

10 24

unpaired p 0.05

25

7-4

表7-4. コントロール/処理サンプル間の発現差異

ゲルの種類 統計解析結果 総数 増加 減少

10-min control/treated Paired < 0.05 52 29 23

24-h control/treated Paired < 0.05 39 11 28

10-min control/24-h control Unpaired < 0.05 25 12 13

Phosphorylated N/A 87 - -

― 61 ―

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7-6A Cy3

Cy5

7-6A

7-6B

Cy5-NHS ester HRP

PY20

30 mM

HRP PY20

10

8

7-7

ECL Plus

ECL

Plus

8 3,420

1,799

Cy5

7-8 Cy5

ECL Plus

DeCyder BVA

7-9 10

2D DIGE

g h i

2D DIGE

2

f

MS/MS

図7-6. A. 処理から10分後のCy3標識非処理コントロール(赤)とCy5標識処理サンプル(青)のイメージを重ね合わせたもの。B. DeCyder BVA画面。

図A左に、発現が抑制されているスポット(スポットが赤に近い)を拡大表示しました。拡大図中で点線で囲んだスポットの統計結果をBに示しました。

図7-7. A. 全タンパク質のCy5染色の疑似カラーイメージ。キトサン処理から

10分後のサンプルのウェスタンブロットをCy5で染色しました。B. ECL Plusシグナルの疑似カラーイメージ。Aのウェスタンブロットでリン酸化チロシンの検出を行った後にECL Plusを検出しました。

C. 全タンパク質染色とイムノブロットイメージの重ね合わせたもの。D. Cの一部を拡大したもの。

A B

CD

A

B

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表7-5.DeCyder BVAにより得られた典型的なタンパク質同定結果およびその統計解析データ

タンパク質名 BVAで検出された変動 p値 チロシンリン酸化の有無

5-methyltetrahydropteroyltriglutamate- 10-min control/treated 0.0049 有 *

homocysteine methyltransferase 1.26倍増加

Putative thioredoxin (probable protein 24-h control/treated 0.0047 無

disulfide isomerase 2) 1.20倍増加

Tubulin beta-4 chain 10-min control/treated 0.02 有 *

1/1.40倍増加

Adenosine kinase 1 10-min control/treated 0.0067 有 *

1/ 1.16倍増加

control 10-min/control 24-h 0.039

1.6倍増加

Translationally controlled tumor 10-min control/treated 1.20 × 10-5 無

protein-like protein 1.28倍増加

Heat shock protein 81-2 control 10-min/control 24-h 0.0028 有 *

4.57倍増加

*図7-9参照。

179

7-4 Q-ToF MS/MS

87 60

図7-8. マスターゲルと免疫検出されたリン酸化チロシンのマッチング

Cy5による全タンパク質染色イメージを重ね合わせることによりマスターゲルと免疫検出されたリン酸化チロシンのマッチングを行いました。

マスターゲル Cy5染色ブロット ECL Plus標識ブロット

図7-9. キトサン処理から10分後のコントロール/サンプルのECL Plusウェスタンブロットの検出

キトサン処理

タンパク質の同定例:

a. Glutamine synthetase、cytosolic isozyme

b. Serine acetyltransferase

c. Thioredoxin reductase 2

d. Glutathione S-transferaseERD13

e. Putative epimerase/dehydratase

f. 複数のタンパク質を含むスポット

g. 5-methyltetrahydropteroyl-triglutamatehomocysteinemethyltransferase

h. Tubulin beta-4 chain

i. Adenosine kinase 1

コントロール

― 63 ―

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22

5 2D

DIGE 92

31 12

49

7-5

まとめ

ECL Plus Western Blotting Detection reagents

Cy5

Typhoon 9400 Cy5

DeCyder

DeCyder Cy5

2D DIGE

Ettan DIGE

MS

参考文献

1. Chivasa, S. et al. Electrophoresis 23, 1754-1765 (2002).

2. Ducret, A. et al. Electrophoresis 21, 2196-2208 (2000).

3. Leimgruber, R. M. et al. Proteomics 2, 135-144 (2002).

4. Kaul, S. et al. Nature 408, 796-815 (2000).

5. Tonge, R. et al. Proteomics 1, 377-396 (2001).

6. May, M. J. and Leaver, C. J. Plant Physiology 103, 621-627(1993).

7. Unlu, M. et al. Electrophoresis 18, 2071-2077 (1997).

8. Sanchez, J. C. et al. Electrophoresis 18, 324-327 (1997).

9. Jeno, P. et al. Anal. Biochem. 224, 75-82 (1995).

10. Wilm, M. et al. Nature 379, 466-469 (1996).

11. Shevchenko, A. et al. Anal. Chem. 68, 850-858 (1996).

12. Wait, R. et al. Electrophoresis 22, 3043-3052 (2001).

13. Altschul, S. F. et al. Nucleic Acids Res. 25, 3389-3402 (1997).

More information can be obtained in the Ettan DIGE system section at:http://proteomics.amershambiosciences.com/proteomics.

謝辞

University of Durham Durham UK Toni

Slabas Stephen Chivasa Bongani Ndimba

Imperial College of Medicine London UK Robin Wait

― 64 ―

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1

2

3

4

5

6

7

8

第8章トラブルシューティング

実際にECL製品をお使い頂きましていかがでしたでしょうか?この章では実際にECLユーザーの皆様から寄せられる代表的なお問合せ内容を元にトラブルシューティング例をご紹介します。これから実験を始める方にとっても、有用な情報が満載です。

8.1 • トラブルシューティングガイド

8.2 • トラブルシューティング参考例

8

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現象 考えられる原因 解決策

1)シグナルが見えない。 1.1) ゲルからメンブレンへの

タンパク質のトランスファーが

うまくいっていない。

1.1.1) ブロッティング操作を再確認してください。

・ トランスファー効率をチェックするためにゲルやメンブレンをタンパク質染色試薬を用いて染めてください。

・ ブロッティング時間、電流(エレクトロブロッティングの場合)が最適かどうかを、目的タンパク質の分子量範囲を満たすマーカーを用いてチェックしてください。分子量やストークス半径(Stokes' radius)はトランスファーの効率に影響します。

・ 有色分子量マーカーを用いると(例:Rainbowマーカー、付録82ページ参照)、トランスファーのチェックを容易に行うことができます。しかし、正確なトランスファー効率を求める場合は、前述の方法をおすすめします。

・ ブロッティングの際にゲルとメンブレンがしっかり密着しているか確認してください。気泡がゲルとメンブレンの間に混入している場合、ゲル・メンブレン表面上を滅菌したピペットかガラス棒を転がして取り除いてください。

・ 電極に対してゲルとメンブレンの位置は正しくセットされているか確認してください(文献15)。

・ ブロッティング中の温度が高すぎないか確認してください。温度の上昇は気泡やゲル・メンブレンの歪みの原因となります。ブロッティング時間が4時間以上の場合、冷却が必要です。

・ ゲル中にSDS以外の界面活性剤が高濃度で含まれていないか確認してください。NP40などはメンブレンへのタンパク質のトランスファーを阻害します。また、0.01%SDSをブロッティングバッファーに加えるとゲルからのタンパク質の溶出効率は上がりますが、ニトロセルロースメンブレンの場合は特に、タンパク質の結合能が低下します。

・ SDS、尿素、熱などの影響により電気泳動中に抗原性が変化していないか、処理前と処理後のサンプルのドットブロットによる比較対比でチェックしてください。変性条件により抗原抗体反応が阻害されている場合、未変性の条件下で電気泳動を行ってください。

抗トランスフェリン抗体とECLを用いて検出したK562細胞破砕物のウェスタンブロット。ゲルとメンブレン間に気泡があるため、タンパク質のトランスファーが阻害されてシグナルが全く見られない箇所があります。

8.1 トラブルシューティングガイド

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― 67 ―

1.2) 検出前にタンパク質が分解してしまっている。

1.3) メンブレンにタンパク質が保持されていない。

1.4) 検出系がうまくいっていない。

1.2) 新しい泳動用試料を用いて泳動し、ブロッティングしてください。

1.3.1) タンパク質がゲルからトランスファーされていることを、1.1)に従って確認してください。

1.3.2) 新しいメンブレンに親水処理を施して使用してください。

1.4.1) ドットブロットを行い、一次抗体の結合能をチェックしてください。

1.4.2) 一次抗体の濃度、反応処理時間、反応温度について、最適条件を検討してください。

1.4.3) 一次抗体の親和力が弱い場合は、Tweenなしのバッファーを使用してください。

1.4.4) 目的タンパク質に合わせて、抗体濃度、インキュベーション時間の最適条件を設定してください。

1.4.5) 検出試薬に問題がないかチェックしてください。

・ ECL検出試薬、ECL Advance検出試薬の場合、少量(0.5 mlずつ)の検出試薬1と検出試薬2を混合したものに、暗室中で1 µlのHRP標識抗体を加えると、青光が見えるはずです。

・ ECL Plus検出試薬の場合、SolutionA 1 mlにSolutionB 25 µlを混合し、同様に試してください。

現象 考えられる原因 解決策

1.1.2) 高分子タンパク質(>150 kDa)の場合、ブロッティング時間を延長してください。ゲルからの溶出効率を高めるため、ゲル中のアクリルアミド濃度を下げてください。

1.1.3) 低分子タンパク質(<15 kDa)の場合、適切な分子量マーカーを使用し、ブロッティング時間を至適化してください。ニトロセルロースメンブレンより高いタンパク質結合能を持つHybond-P(PVDFメンブレン)の使用をおすすめします。

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2)シグナルが弱い。

3)シグナルの拡散が激しい。

1.5) 検出前にルミノールが急速に消費されてしまっている。

1.6) 発光量が多すぎて、フィルムのソラリゼーションが起こっている。※バンドが白く抜けて(反転して)見えることがあります。

2.1) 上記1)を参照

2.2) ゲルにアプライしたタンパク質量が不十分であった。

2.3) 発せられた化学発光が弱い。

3.1) ゲルにアプライしたタンパク質が多すぎる。

現象 考えられる原因 解決策

1.5.1) 泳動するサンプルタンパク質量を減らしてください。

1.5.2) HRP標識二次抗体量を減らしてください。

1.5.3) 検出試薬をかけたメンブレンをできるだけはやく露光してください。

1.6.1) 泳動するサンプルタンパク質量を減らしてください。

1.6.2) HRP標識二次抗体量を減らしてください。

2.1) 上記1)を参照

2.2) より多くのサンプル量をアプライしてください。

2.3.1) フィルムをプレフラッシュすることにより検出感度と感光特性を向上させることができます。プレフラッシュはバックグラウンドレベルも上げるので注意が必要です。

プ レ フ ラ ッ シ ュ と は 、ご く 短 時 間(~1msec)光を当てることによりフィルムを高感度化するものです。Pre-flash Unit(RPN2051) をご使用ください。またはディフューザーをWratten6Bフィルターで減光したストロボを用い、現像時の540 nmにおける吸光度がノーマルフィルムよりも0.15上がる距離で行ってください。

2.3.2) フィルムへの露光時間を長くしてください (1~2時間)。

2.3.3) サンプルに不純物が混在していないか確認してください。アジ化ナトリウムはHRP活性を阻害しますので、バッファーには加えないでください。

3.1) ゲルにアプライするサンプル量を減らしてください。サンプルを順次希釈してください。

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4)不規則でまだらなしみが検出される。

5)バックグラウンド高い。

3.2) 電気泳動により目的タンパク質がうまく分離されていない。

3.3) 抗体濃度が高い。

3.4) 使用する各試薬の力価が落ちている。

4.1) ブロッティング操作が不適切である。

4.2) メンブレンの親水処理が不十分である。

4.3) メンブレンに指紋やケラチンなど不純物が吸着している。

4.4) 検出試薬の除去が不十分である。

4.5) 二次抗体が凝集している。

5.1) 用いた抗体濃度が高い。

現象 考えられる原因 解決策

3.2) 電気泳動の条件を再検討してください。・ ゲルのアクリルアミド濃度は、目的タンパク質の分離度に応じて検討してください。

・ バッファーの組成、調製法に問題がないか確認してください。

3.3) 至適抗体濃度の検討をしてください。(第3章 参照)

3.4) 検出試薬は使用前に調製し、よく混合して用いてください。

4.1) 先述1)参照

4.2.1) 新しいメンブレンを使用してください。また、メンブレンの湿り方が不均一であった場合にも新しいメンブレンを使ってください。

4.2.2) インキュベーションの間、ブロットが十分バッファーに浸っていることを確認してください。

4.3) メンブレンには直接触れないでください。取り扱いの際は、手袋を着用するか先が平らなピンセットを用いてください。このような汚染は、非常に感度の高いECL検出システムでは特に問題となります。

4.4) メンブレン上の過剰な検出試薬をラップの上から押し出して除いてください。

4.5) 凝集した二次抗体がメンブレンに吸着すると、斑点状のシミとして検出されます。二次抗体をφ0.2 µmフィルターでろ過するか、軽く遠心して上清を回収することで、凝集体を取り除いてください。

5.1) 一次抗体/二次抗体共に高い濃度で用いた場合、バックグラウンドの原因となります。抗体濃度の最適条件を検討してください。(第3章 参照)

ラット脳抽出物のウェスタンブロット。ECLを用いてβ-チューブリンを検出しました。二次抗体濃度が高すぎるため、バックグラウンドが高くなっています。

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5.2) ブロッキングに使用する器具が汚れている。

5.3) バッファーに不純物が混在している。

5.4) ブロッキングが不十分である。

5.5) メンブレンに問題がある。

5.2) 汚れのない、きれいな器具を使用してください。

5.3) バッファーは使用前に、新しく調製するようにしてください。

5.4.1) ECL Advanceでの検出の際は必ずキット専用のブロッキング剤をご使用ください。ブロッキングおよび抗体反応時のブロッキング剤濃度は2%、液量は0.2 ml/cm2でご使用ください。

5.4.2) ブロッキングバッファーの組成に問題がないか確認してください。

5.4.3) 新しく調製したブロッキングバッファーを使用してください。

5.4.4) ブロッキング試薬の濃度を上げてください(最初は10%程度で検討してください)。

5.4.5) 使用するバッファーにTween 20が含まれているか確認してください。

5.4.6) Tween 20濃度を上げてください。特に親和性の弱い一次抗体を使用している場合、抗体の結合力が極端に低下することがあるので注意してください。

5.4.7) ブロッキングの反応時間を長くするか、温度を上げてください。

5.4.8) 他のブロッキング剤をお試しください。例) 1~10%ウシ血清アルブミン

0.5~3%ゼラチン1%ポリビニルピロリドン(PVP)を含むTBS-TあるいはPBS-T

・ アルブミンやゼラチンを用いた場合のインキュベーション時間と温度は、個々に検討する必要があります。1時間室温、オーバーナイトで37℃あるいは50℃などの条件があります(文献15-23)。

5.5.1) メンブレンが完全に溶液に浸っているか、特に洗いの操作について確認してください。また、メンブレンの親水処理およびバッファーによる平衡化を十分にしてください。

現象 考えられる原因 解決策

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5.6) 洗いが不十分である。

5.7) 検出試薬に問題がある。

5.8) 露光時間が長すぎる。

現象 考えられる原因 解決策

抗トランスフェリン抗体とECLを用いて検出したラット脳抽出物のウェスタンブロット。メンブレンの切断部に傷があったために、かなりの非特異的な検出が見られます。

5.5.2) 高品質のメンブレンを使用してください。Hybond-P、Hybond-ECLが適しています。

5.5.3) メンブレンの傷が原因で、検出試薬の非特異的な吸着が起こることがあります。メンブレンの取り扱いには、手袋を着用するか、先の平らなピンセットを用いて十分に注意してください。

5.5.4) 洗浄後のメンブレンの扱いには、きれいなピンセットを使用してください。

5.5.5)洗浄後のメンブレンの扱いには、きれいなピンセットを使用してください。

5.6.1) 洗浄バッファーの量や洗いの回数を増やしたり、洗いの時間を長くしてください。また洗浄の際は、バッファー中でメンブレンを十分に振とうさせてください。

5.6.2) 洗浄バッファー中のTween 20濃度または塩濃度を上げてください。Tween 20の濃度を上げるとバックグラウンドは低くなりますが、抗体の結合に影響することがあるので注意してください。

5.7.1) 洗浄バッファー中で10分間の洗いを2度繰り返し、再検出してください。

5.7.2) フィルムカセットにメンブレンをセットする前に、ペーパータオル等で余分な検出試薬を除いてください。しかし、拭き取り過ぎると反応が極端に弱くなるので注意が必要です。

5.8.1) フィルムに露光する時間を短縮してください。最初は、15秒間で試してください。しかし、露光時間があまりに短い場合は検出系として適当でないので、抗体濃度の最適条件を検討することをおすすめします。(第3章 参照)

5.8.2) フィルムに再露光する前にメンブレンを5~10分間カセットに静置しておいてください。この操作によってシグナルが減衰します。

注意:サンプル中にヘムタンパク(例えば、血清サンプル中のへモグロビン)が含まれる場合、ルミノールが特異的に反応し偽バンドとして検出されることがあります。

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現象 考えられる原因 解決策

6) 目的タンパク質以外のバンドが検出される場合

6.1) 抗体の濃度が高い。

6.2) サンプルの添加量が多い。

6.3) サンプルにヘムタンパクが含まれる場合。

6.1) 抗体の濃度が高いと、非特異的な結合が検出されやすくなります。抗体の濃度をさらに希釈して用いてください。

6.2) 含有量の高いタンパク質のバンドは非特異的な結合が検出されやすくなります。サンプルの添加量を減らすことで、特異的な結合のみを検出することができます。しかしながら、目的タンパク質の含有量が、全タンパク質に比べて非常に少ない場合、目的のバンドも見えなくなることがあります。SDS-PAGE後のゲルを染色し、タンパク質の含有量を確認してください。

6.3) ヘムタンパク(例えば血清サンプル中のヘモグロビンなど)は、ルミノールが特異的に反応し偽バンドとして検出されることがあります。あらかじめ抗体反応をおこなわずに検出試薬で反応させることで、このような偽バンドを確認することが可能です。

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C6ラットグリア細胞におけるβ-tubulinの検出12% SDS-PAGEによって分離したタンパク質を、Hybond-ECLへ転写後、抗β-tubulinモノクローナル抗体(1:1,000)、ビオチン化抗マウスIg(RPN1001、1:500)と異なる希釈のHRPストレプトアビジンコンプレックス(RPN1051)を用い、ECLウェスタンブロッティング検出システムにより15秒間の露出でHyperfilm ECL上に検出しました。

8.2.1 エキストラバンドが観察される場合は、HRP標識二次抗体をさらに希釈する。

C6ラットグリア細胞におけるβ-tubulinの検出12% SDS-PAGEによって分離したタンパク質を、Hybond-ECLへ転写後、抗β-tubulinモノクローナル抗体 ’1:1,000)とHRP標識抗マウスIg抗体(NA931、1:1,000)を用い、イムノディテクションを行いました。

8.2.2.1 高バックグラウンドな結果に際し、メンブレンを再洗浄して再検出する。

1,000倍希釈 1,500倍希釈 5,000倍希釈

ECL検出試薬を用いて、露光時間15秒でHyperfilm ECL上に検出しました。

同一メンブレンをPBS-Tで10分間ずつ2回洗い、再びECL検出試薬を用いて、Hyperfilm ECL上に露光時間15秒で検出しました。

8.2 トラブルシューティング参考例

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― 74 ―

マウス十二指腸腸管粘膜上皮細胞に存在するビタミンDレセプターの検出マウス腸管粘膜上皮細胞を5 mM DTTリン酸バッファー中で可溶化し、超遠心により得られた核分画を11% SDS-PAGEで分離後、ニトロセルロースメンブレン (バイオ・ラッド社) に10 V/cmの条件下で20分間転写しました。このメンブレンを1% スキムミルクを含むPBSでブロッキングし、ラット抗ニワトリビタミンDレセプター抗体、ビオチン化抗ラットIgG、アビジン-ビオチン化ペルオキシダーゼ複合体とECL検出試薬を用いて、プロトコールに従ってフィルム上に検出しました。

8.2.2.2 高バックグラウンドな結果に際し、一次抗体をさらに希釈する

ヘム代謝に関するタンパク質の検出1×106 cellsに相当するヒトHeLa培養細胞を1% SDSで可溶化し、15 ng相当量のタンパク質を含むセルライセートを12% SDS-PAGEで分離後、イモビロンP(ミリポア社)に10 V/cmの条件下で2時間転写しました。このメンブレンを5% スキムミルクを含むTBSを用いてブロッキングし、そこに1/300容のウサギ抗ヘム分解酵素血清 (IgG:30µg/ml)およびウサギ抗ヘム合成酵素血清(IgG:30 µg/ml)混合液を加えて1時間振とう後、新しいTBS-Tで洗浄を10分間4回繰り返し、二次抗体反応を1時間行いました。さらにTBS-Tで10分間の洗浄を4回繰り返した後、ECL検出試薬を用いて、露光時間3分でフィルムに検出しました。

8.2.2.3 高バックグラウンドな結果に際し、二次抗体をさらに希釈する

←ビタミンDレセプター

ラット抗ニワトリビタミンDレセプター抗体 6mg/ml

ラット抗ニワトリビタミンDレセプター抗体 0.06 mg/ml

←ヘム合成酵素

←ヘム分解酵素

HRP標識抗ウサギIgG(カッペル社、コード2412-0081) 30,000倍希釈

HRP標識抗ウサギIgG(カッペル社、コード2412-0081) 100,000倍希釈

(大阪大学 医学部小児科学教室 松本百合子先生 提供)

(関西医科大学 衛生学教室 竹谷茂先生 提供)

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付録各種溶液の調製

1 • 泳動バッファー

2 • ブロッティングバッファー

3 • 検出システムバッファー

4 • タンパク質分子量マーカー

5 • 染色

付 録

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Laemmli 不連続バッファーシステム(文献24)

ゲル溶液

分離ゲル 濃縮ゲルモノマーストック溶液(溶液1) X ml X ml4×分離ゲルバッファー(溶液2) 2.50 ml -4×濃縮ゲルバッファー(溶液3) - 1.25 ml10% SDS(溶液4) 0.10 ml 0.05 ml蒸留水(D.W.) Y ml Y ml10% APS(溶液5) 50 µl 25 µlTEMED 5 µl 2 µl総溶液量 10 ml 5 ml

X ml:アクリルアミド濃度に応じて調製してください。Y ml:モノマーストック溶液(溶液1)の量に応じて調製してください。

※ 調製するゲル溶液量はゲルの枚数、ゲル厚に応じて調節してください。※10% APS、TEMEDはゲルサンドウィッチに流し込む直前に加えてよく混ぜてください。

溶液1 モノマーストック溶液(30% T, 2.7% C)PlusOne Acrylamide PAGE 60.0 gPlusOne N, N'-Methylene-bisacrylamide 1.6 g→D.W.で200 mlに調製※調製後の溶液は、遮光・4℃で3ヶ月保存可能です。

溶液2 4×分離ゲルバッファー(1.5 M Tris-Cl, pH8.8)PlusOne Tris 36.3 g→150 mlのD.W.に溶解→HClでpH8.8に合わせた後、D.W.で200 mlに調製

溶液3 4×濃縮バッファー(0.5 M Tris-Cl, pH6.8)PlusOne Tris 3.0 g→40 mlのD.W.に溶解→HClでpH6.8に合わせた後、D.W.で50 mlに調製

溶液4 10% SDSPlusOne SDS 5.0 g→D.W.で50 mlに調製

1. 泳動バッファー

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― 77 ―

溶液5 10% 過硫酸アンモニウム(APS)PlusOne Ammonium Persulphate 0.1 g→D.W.で1 mlに調製

※用事調製:D.W.を加えた時にパチパチという音がすることをご確認ください。

溶液6 n-ブタノール飽和水溶液イソブチルアルコールとD.W.を1:1の比でよく攪拌します。上層、下層に分かれたところで下層の溶液を捨てます。上層の溶液をさらに攪拌して下層の溶液を捨てます。この操作を数回繰り返し、上層を使用します。

溶液7 サンプルSDS処理バッファー1. 2×SDS処理バッファー(0.125 M Tris-Cl pH6.8, 4% SDS, 20% グリセロール, 10% 2-メルカプトエタノール)4×濃縮ゲルバッファー(溶液3) 2.5 ml10% SDS(溶液4) 4.0 mlPlusOne Glycerol, 87% 2.0 mlPlusOne Mercaptoethanol* 1 mlPlusOne Bromophenol Blue 0.2 mg→D.W.で10 mlに調製

*2-メルカプトエタノールの代わりに、0.31 gのジチオスレイトール(DTT)を添加することもできます。※一般的に、サンプル溶液に等量以上の2×SDS処理バッファーを加えます。よく混合し95℃で3~4分ボイルして処理します。

※作製後、1mlずつに分注し、-40~-80℃にて保存可能です。

2. 6×SDS処理バッファー(0.35 M Tris-Cl pH6.8, 10% SDS, 30% グリセロール, 9.3% DTT)4×濃縮ゲルバッファー(溶液3) 7.0 mlPlusOne SDS 1.0 gPlusOne Glycerol, 87% 3 mlPlusOne DTT 0.93 gPlusOne Bromophenol Blue 1.2 mg→D.W.で10 mlに調製

※サンプル濃度が低い場合に用います。サンプル溶液5容量に対し、6×SDS処理バッファーを1容量加えてよく混合し、95℃で3~4分ボイルします。

※1mlずつ分注し、-70℃にて保存可能です。

溶液8 10×泳動バッファー(0.25 M Tris pH8.3, 1.92 Mグリシン, 1.0% SDS)PlusOne Tris 30.28 gPlusOne Glycine 144.11 gPlusOne SDS 10.0 g→D.W.で1.0 Lに調製

※ pH調整は必要ありません。

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Towbin バッファーシステム(25 mM Tris pH8.3, 192 mMグリシン, 20% v/v メタノール*1)PlusOne Tris 3.0 gPlusOne Glycine 14.4 gメタノール 200 ml *1

PlusOne SDS 1.0 g*2

→D.W.で1.0 Lに調製

※ pH調整は必要ありません。*1メタノールはメンブレンへのタンパク質結合効率を上げたい場合に有効です。10~20%(PVDFメンブレンの場合≦15%、ニトロセルロース≦20%)程度加えてください。

*2 SDSは通常添加不要ですが、高分子タンパク質のゲルからの溶出効率を上げたい場合に、0.01~0.1%(w/v)程度でバッファーに加えてください。

PBS(Phosphate buffered saline)pH7.5(80 mM Na2HPO4, 20 mM NaH2PO4, 100 mM NaCl)Na2HPO4 11.5 gNaH2PO4 2.96 gNaCl 5.84 g→D.W.で1Lに調製、pHチェック

TBS(Tris-bufferd saline)pH7.6(20 mM Tris, 137 mM NaCl)Tris 2.42 gNaCl 8 g1 N HCl 3.8 ml→D.W.で1Lに調製、pHチェック

PBS-T(PBS-Tween)あるいは TBS-T(TBS-Tween)洗浄と抗体の希釈に用います。Tween 20の濃度は0.05~1% が一般的な推奨濃度です(ニトロセルロースメンブレンのECLによる検出には0.1% Tween 20が適しています)。実験ごとに至適条件が異なりますので、必要に応じて検討してください。Tween 20の濃度が高いと抗体の結合力が低下します。

※調製後のバッファーは、少なくとも3ヶ月は安定です。微生物の繁殖を防ぐため2~4℃で保存してください。アジ化ナトリウムはHRPの活性を阻害するため、添加はおすすめできません。

ブロッキングバッファー

● ECL Advanceで検出する場合ECL Advanceキットに付属のECL Advance Blocking Agentの容器を軽く振って、溶液が均等に混ざるようにします。必要量を計ってPBS-TまたはTBS-Tを添加し、2%(w/v)溶液を調製します。メンブレン1 cm2あたり0.2 mlの2%ブロッキング試薬を使用します。

※調製後すぐに使用しない場合、2~8℃で保存可能です。ただし、24時間以内に使用してください。

2. ブロッティングバッファー

3. 検出システムバッファー

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● ECL Plus/ECLで検出する場合5% のブロッキング剤(ECL Blocking agent:RPN2125)あるいは5% スキムミルクを含むPBS-TあるいはTBS-Tをおすすめします。ブロッキングが不十分ならば、スキムミルクの濃度を10% まで上げることができます。また、他のブロッキング剤としてBSA(3%)、ポリビニルピロリドン(1%)、ゼラチン(3%)を試してください。

※スキムミルクはリン酸化タンパク質を多く含むので、リン酸化タンパク質検出システムにはBSA等リン酸化タンパク質を含まないブロッキング剤を用いてください。

4. タンパク質分子量マーカー

4.1. ECL DualVue Western Blotting Marker

ECL DualVue Western Blotting Markerは、電気泳動・ブロッティング状態の目視確認用の3種類の着色済みタンパク質と、化学発光検出が可能な分子量測定用の7種類のS-tagged組換えタンパク質がプレミックスされた分子量マーカーです(次ページ図参照)。抗体反応液に、キット付属のS-Protein-HRPを添加するだけで、マーカー(S-tagged組換えタンパク質)を目的サンプルと同時にECL化学発光検出することができ、より正確に分子量測定がおこなえます。(ECL Plusを用いた化学蛍光検出では検出できませんのでご注意ください)

使用方法1)使用直前にECL DualVue Western blotting markersを室温に戻します。-15℃~-30℃保存により、マーカー溶液中の

SDSが沈殿する場合があります。沈殿が溶けにくい場合は、37℃で短時間温めて沈殿を溶解させます。

2)マーカー溶液をよく混合し、マーカー溶液5 µlに対して、10% β-メルカプトエタノールを含む1×SDSサンプルバッファーを

5 µl加えて混合します。β-メルカプトエタノールの代わりに、同量の還元剤を含むSDSサンプルバッファーも使用可能です。

溶液をゲルのウェルあたり10 µl添加して泳動します。

3)電気泳動後、タンパク質をHybond-ECL(ニトロセルロースメンブレン)あるいはHybond-P(PVDFメンブレン)にエレク

トロブロッティングします。ブロッティングの条件は、お使いのブロッティング装置のマニュアル等に従ってください。転写

後、着色済みマーカーがメンブレン上に目視で確認できます。

4)ブロッキングと一次抗体反応を、サンプルに適した条件でおこないます(注:検出試薬の種類に応じて次ページの表をご参照

ください)。

HRP標識二次抗体の反応液にキット付属のS-protein-HRP conjugateを、ECL検出試薬の種類にあわせて次ページの

表1の希釈倍率になるよう加えます。シグナルが十分に得られるよう室温で30分以上インキュベートします。(注:ECL

DualVue MarkerはS-tagに対するS-Proteinの特異的な結合を利用しています。目的サンプルがS-tagged組換えタン

パク質の場合は、交差反応が起こりますので、分子量マーカーのレーンだけを切り離し、別々のイムノディテクション

操作を行ってください。最後にECL検出試薬との反応後、切り離したものの位置をあわせてフィルムの露光をおこなっ

てください。S-ProteinとS-tagの結合の原理については以下の文献をご参照ください。

Richards,F.M and Wyckoff, H.W. (1971) in The Enzymes, Vol. IV (Boyer, P.D. Ed ) p.647-806, Academic Press, New York.Kim,J. S. and Raines, R.T. (1993 ) Protein Sci. 2, 348-356)

5)定法に従ってメンブレンを洗浄します。

6) ECL化学発光検出システムのプロトコール(注:検出試薬の種類に応じて次ページの表をご参照ください)に従い、化学発光

検出をおこないます。Ⅹ線フィルムでの検出の場合、露光時間は1~2.5分での検出をお奨めします。

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表1.S-Protein HRP conjugateの希釈条件(X線フィルムによる検出)

化学発光検出試薬 Hybond-ECL/ Hybond-P/PVDFメンブレン使用ニトロセルロースメンブレン使用

ECL 1/5000 1/10,000

ECL Plus 1/10,000 1/20,000

ECL Advance 1/100,000 1/200,000

CCDカメラで検出する場合は、感度に合わせてS-Protein conjugatesの希釈濃度を検討します。X線フィルムの場合の10倍濃度を目安に検討してください。

A B Mr(×103)

150

100

75

50

35

25

15

100

16

15

Mr(×103)

A)4~20 %ゲルでSDS-PAGE後、Hybond-ECLニトロセルロース

メンブレンにトランスファーした状態。3本のシャープな着色バン

ドが目視確認できます。

B)A)のブロットをS-Protein-HRPとECL Western blotting

detection reagentsを用いて検出した結果(Hyperfilm ECLに1分間

露光)。7本のS-taggedタンパク質のバンドが検出されています。

(ECL DualVue Western Blotting Markerのカラー表示につきまして

は、巻末の『ECLウェスタンブロッティングシリーズ関連製品一覧

表』をご参照ください)

Page 78: ECL WesternBlotting Guidebook - GEヘルスケア・ … 2D Platinum 二次元電気泳動ゲルの画像解析システム Detection Analysis 画像解析システム Hyperfilm-ECL

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4) 電気泳動後、Hybond-ECL(ニトロセルロース

メンブレン)にトランスファーし、プロトコール

に従いイムノディテクションの操作を行います。

ECL Plus/ECLで検出する場合は、HRP標識二

次抗体の反応液にHRP標識ストレプトアビジン

(RPN1231, 1:1,500)を添加してインキュベ

ートします。

ECL Advanceで検出する場合は、HRP標識二次

抗体の反応・洗浄後にHRP標識ストレプトアビジ

ンを添加してインキュベートします。希釈濃度に

は注意してください。1:100,000~500,000に希

釈し、15分間インキュベートします。

・分子量マーカーは用時調製し、サンプルバッファーを加えた状態では保存しない

でください。

・熱変性させた分子量マーカーは、保存・再利用できません。

・ 10 µl泳動し、Towbinの方法(文献25)で30Vオーバーナイトでエレクトロブロ

ッティングした場合、15秒の露光で十分なバンドが得られます。

・HRP標識ストレプトアビジンのインキュベーションバッファーは、スキムミル

クやECL Advance Blocking Agentを含まないもの(例えばPBS-0.1

Tween20)を使ってください。スキムミルクやECL Advance Blocking

Agentには内在性ビオチンが含まれていることがあり、ECLで得られる分子量

マーカーのシグナルが極端に弱くなることがあるためです(文献26)。

・HRP標識ストレプトアビジンと、ブロット上のタンパク質との交差が見られる場

合は、分子量マーカーのレーンだけを切り離し、別々のイムノディテクション操

作を行ってください。最後にECL検出試薬との反応後、切り離したものの位置を

合わせて、フィルムの露光を行ってください。

・検出試薬の種類に応じて、第2章を参照してください。

・通常15秒の露光で十分なバンドが見えるはずです。15秒の露光で十分な感度が得

られない場合、メンブレンへのトランスファーが効率よく行われていないことが

考えられます。トランスファー条件を検討し直す必要があります(第6章 参照)。

・バンドが濃すぎたり、より長い露光時間の方が便利な場合は、分子量マーカー

をさらに希釈してください。

1)1 µlの分子量マーカーを、1×サンプルバッファ

ー(5% 2-メルカプトエタノールを含む)で

10倍に希釈します。

2)100℃、4分間加熱後、サンプルは直ちにゲ

ルにアプライしてください。短時間ならば氷

冷保存可能です。

3)ウェルあたり10 µlアプライします

5)ブロット洗浄、ECL検出を行います。

6) 良い結果を得るために用いるマーカーの量は、

エレクトロブロッティングやイムノディテク

ションの条件と、フィルムの露光時間に依存

します。

4.2. ECL Western Blotting Molecular Weight Markers

ECL Western Blotting Molecular Weight Markersには、ビオチン化された6種類のタンパク質が含まれています。HRP標識ストレプトアビジンでブロットをインキュベーションし、ECL検出試薬を用いて検出することにより、それぞれの分子量に相当する位置に同じ濃さのバンドが得られます。

Page 79: ECL WesternBlotting Guidebook - GEヘルスケア・ … 2D Platinum 二次元電気泳動ゲルの画像解析システム Detection Analysis 画像解析システム Hyperfilm-ECL

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9 µlの泳動バッファーに1 µlの分子量マーカーを加え、12%ポリアクリルアミドゲルで150V1時間泳動し、Hybond-ECLへ30 Vオーバーナイトでブロッティングしました。HRP標識ストレプトアビジン(RPN1231、1:1,500)を使用し、ECLウェスタンブロッティングプロトコール に 従 い 検 出 し ま し た 。Hyperfilm ECLへの露光は15秒間行いました。

Phosphorylase b(97,000)(rabbit muscle)Bovine serum albumin(66,000)

Ovalbumin(45,000)(hen egg white)

Carbonic anhydrase(31,000)(human erythrocyte)

Trypsin lnhibitor(20,100)(soybean)Lysozyme(14,400)(hen egg white)

ECLの検出感度が高いため、分子量55、43、30、16.7 kDaの位置にマイナーバンドが検出されることがあります。

4.0 4.2 4.4 4.6 4.8 5.0

1.0

0.9

0.8

0.7

0.6

0.5

0.4

0.3

0.2

0.1

0.0

Long molecular weight

Ele

ctro

phor

etic

mob

ility

(R

f)

Trailing Edge

Leading Edge

4.3 Full-Range Rainbow Molecular Weight Markers

Full-Range Rainbow Molecular Weight Markers(RPN800)バンドの色 分子量(kDa)

青 250赤 160緑 105黄 75紫 50青 35

オレンジ 30緑 25青 15赤 10

溶液状態で供給され、そのまま添加できます。

※CBB染色の場合、1ウェルあたり10 µl添加してください。※凍結融解の繰り返しを防ぐため、チューブなどに分注して-20℃で凍結保存します。

※分子量の推定に使用できます。分子量の測定には、LMW Marker Kit(低分子:17-0446-01)、あるいはHMW SDS Marker Kit(高分子:17-0615-01)をご使用ください。

Multiphor II用プレキャストゲルExcelGel SDS Gradient 8-18を用

いてSDS-PAGEを行った結果。

Note: このゲル濃度で泳動した場合、Rainbowマーカー(低分子

用)では検出されないマーカー( 2.4 kDa ) があります。

kDa

250→

160→

105→

75→

50→

35→

30→25→

15→10→

kDa

220→

97→

66→

45→

30→

20.1→

14.3→

kDa45→

30→

20.1→

14.3→6.5→3.5→

Full-Range

(RPN800)

Low-Range低分子用

(RPN755)

High-Range高分子用(RPN756)

Page 80: ECL WesternBlotting Guidebook - GEヘルスケア・ … 2D Platinum 二次元電気泳動ゲルの画像解析システム Detection Analysis 画像解析システム Hyperfilm-ECL

― 83 ―

4.4 High-Range/Low-Range Rainbow Molecular Weight Markers(高分子用、低分子用)

Rainbowマーカー(高分子量、低分子量)バンドの色 分子量(kDa) 高分子量 低分子量

(RPN756) (RPN755)青 220 ●茶 97 ●赤 66 ●黄 45 ● ●

オレンジ 30 ● ●青 20.1 ● ●赤紫 14.3 ● ●青黒 6.5 ●青 3.5 ●

溶液状態で供給されます。サンプルバッファー*と1:1の割合で混合して使用します。

*2-メルカプトエタノールが終濃度5%となるように加えてください。

※CBB染色の場合、1ウェルあたり5 µl添加してください。※凍結融解の繰り返しを防ぐため、チューブなどに分注して-20℃で凍結保存します。※分子量の推定・測定にはご使用になれません。

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<染色液>(0.1% CBB、30%メタノール、10%酢酸)Coomassie Tablets, PhastGel Blue R-350(17-0518-01) 1錠に対しD.W. 80 mlを加えて約10分間強く攪拌します。メタノール120 mlをさらに加えて3分間攪拌してろ過し、これをストック溶液とします。使用前にストック溶液に対して等量の2%酢酸を混合します。

※このストック溶液は4℃下で3週間保存可能です。

<脱色液>(30% メタノール、10% 酢酸)メタノール 300 ml酢酸 100 ml→D.W.で1 Lに調製

5.2.銀染色

Silver Staining Kit, Protein(17-1150-01)を用いる場合

※用事調製してください。※(*)印をつけた試薬は使用直前に加えてください。

<固定液>エタノール 100 ml氷酢酸 25 ml→D.W.で250 mlに調製

<増感液>エタノール 75 mlグルタルジアルデヒド(25% w/v)* 1.25 mlチオ硫酸ナトリウム(5% w/v) 10 ml酢酸ナトリウム(17 g) 1 packet→D.W.で250 mlに調製

<銀溶液>硝酸銀溶液(2.5% w/v) 25 mlホルムアルデヒド(37% w/v)* 0.1 ml→D.W.で250 mlに調製

<現像液>炭酸ナトリウム(6.25 g) 1 packetホルムアルデヒド(37% w/v) 0.05 ml→D.W.で250 mlに調製(よく攪拌する)

<停止液>EDTA-Na2・2H2O(3.65 g) 1 packet→D.W.で250 mlに調製

<保護液>エタノール 75 mlグリセロール(87% w/w) 11.5 ml→D.W.で250 mlに調製

5.染色5.1.CBB染色

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20) BURNETTE, W. M., Anal. Biochem., 112, pp.195-203, 1981.

21) BITTNER, M., KUPFERER, P. and MORRIS, C. F., Anal. Biochem., 102. pp.457-471, 1980.

22) LIN, W. and KASAMATSU, H., Anal. Biochem.,128, pp.302-311, 1983.

23) ANDREWS, A.T., Electrophoresis: Theory, Thechniques and Biochemical and Clinical Application, SecondEdition in Monographs on Physical Biochemistry, edited by A. R. Peacock and W. R. Harrington, OxfordScience Publication, 1986.

24) LEAMMILI, U.K., Nature., 227, pp. 680-685, 1970.

25) TOWBIN, H.STAEHELIN, T. and GORDON, J., Proc. Natl. Acad. Sci (USA), 76, pp.4350-4354, 1979

26) HOFFMAN, W.L. and JUMP, A.A., Anal. Biochem., 181, pp.318-320, 1989.

References

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ECL検出試薬ECL Advance Western Blotting Detection Kit 1 Kit(for 1,000cm2 membrane) RPN2135

ECL Plus Western Blotting Detection Reagents for 1,000 cm2 membrane RPN2132

ECL Plus Western Blotting Detection Reagents for 3,000 cm2 membrane RPN2133

ECL Western Blotting Detection Reagents for 1,000 cm2 membrane RPN2109

ECL Western Blotting Detection Reagents for 2,000 cm2 membrane RPN2209

ECL Western Blotting Detection Reagents for 4,000 cm2 membrane RPN2106

ECL Western Blotting Detection Reagents for 6,000 cm2 membrane RPN2134

スターターキットECL Plus Western Blotting Starter Kit Full II 1 Kit 72-AS00-47

(内訳)

ECL Plus Western Blotting Detection Reagents for 1,000 cm2 membrane RPN2132

ECL Plus Reagent Pack(HRP標識二次抗体抗マウスと抗ラビットそれぞれ100 µl,ブロッキング剤 5g) RPN2124

Hybond-P(PVDF) 20×20 cm, 10 sheets RPN2020F

Hyperfilm ECL 18×24 cm, 25 sheets RPN2103K

ECL DualVue Western Blotting Markers 25 gel loadings RPN810

ECL Plus Western Blotting Starter Kit Core II 1 Kit 72-AS00-46

(内訳)

ECL Plus Western Blotting Dtection Reagents for 1,000 cm2 membrane RPN2132

ECL Plus Reagent Pack(HRP標識二次抗体抗マウスと抗ラビットそれぞれ100 µl,ブロッキング剤 5g) RPN2124

ECL DualVue Western Blotting Markers 25 gel loadings RPN810

ECL関連システムECLタンパク質ビオチン化システム

手持ちの抗体あるいはタンパク質サンプルのビオチン化が簡単に行え、ECLウェスタンブロッティング検出システムにより高感度な検出が可能です。

スペーサーアームが組み込まれた合成N-hydorxysuccinimide ビオチンエステルを用いますので、抗原抗体反応性やその他の物理的性質を

ほとんど変化させることなくリシンε-アミノ基、あるいはN末アミノ基をビオチン化することができます。

ECL Protein Biotinylation System (for 2,000 cm2 membrane and 25 reactions) RPN2203*1

ECL Protein Biotinylation Module*2 25 reactions RPN2202

*1 RPN2202とRPN2209のセットになります。*2 別途ECL Dtection Reagentsが必要です。

ECLチロシンリン酸化タンパク質検出システム

HRP標識抗リン酸化チロシン抗体(PY20)によるウェスタンブロッティングをECLにより検出するシステムです。

ECL Phosphorylation Module* for 25 blots RPN2220

* 別途ECL Dtection Reagentsが必要です。

ECL糖タンパク質検出システム

タンパク質サンプルによる糖鎖修飾の有無を、簡便・迅速かつ高感度に検出できるシステムです。過ヨウ素酸酸化により水酸基をもつ隣り合った炭

素間結合を切断後、生じたアルデヒドをビオチン-ヒドラジンでビオチン修飾します。検出は、HRP標識ストレプトアビジン複合体とECLウェスタ

ンブロッティング検出試薬を用いて、化学発光によりフィルム上にシグナルを検出します。

ECL Glycoprotein Detection Module* 25 membrane reactions RPN2190

* 別途ECL Dtection Reagentsが必要です。

製品名 包装 コード番号

ECLウェスタンブロッティングシリーズ製品一覧表

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ECL関連試薬ECL Blocking Agent 40 g RPN2125

ECL Streptavidin-HRP Conjugate and Blocking Agents (HRP標識ストレプトアビジン)500 µl RPN2195

(ブロッキング剤)40 g

HRP標識二次抗体Anti-Human Ig, HRP-Linked Whole Ab (Sheep) 1 ml NA933

Anti-Mouse Ig, HRP-Linked Whole Ab (Sheep)* 1 ml NXA931

Anti-Mouse Ig, HRP-Linked Whole Ab (Sheep) 1 ml NA931

Anti-Mouse Ig, HRP-Linked Whole Ab (Sheep) 100 µl NA931-100UL

Anti-Mouse Ig, HRP-Linked F(ab')2 Fragment (Sheep) 1 ml NA9310

Anti-GST HRP Conjugate 75 µl RPN1236

Anti-Rabbit Ig, HRP-Linked F(ab')2 Fragment (Donkey) 1 ml NA9340

Anti-Rabbit Ig, HRP-Linked Whole Ab (Donkey) 1 ml NA934

Anti-Rabbit Ig, HRP-Linked Whole Ab (Donkey) 100 µl NA934-100UL

Anti-Rat Ig, HRP-Linked F(ab')2 Fragment (Goat) 1 ml NA9350

Anti-Rat Ig, HRP-Linked Whole Ab (Goat) 1 ml NA935

* スクリーニングに適しています。

ビオチン標識二次抗体Anti-Human Ig(Whole Ab, Sheep) 2 ml RPN1003

Anti-Mouse Ig(Whole Ab, Sheep) 2 ml RPN1001

Anti-Rabbit Ig(Whole Ab, Donkey) 2 ml RPN1004

ビオチン化タンパク質分子量マーカー毒 ECL Western Blotting Molecular Weight Markers 1 pack(25 loadings) RPN2107

毒 ECL Protein Molecular Weight Markers with HRP-streptavidin 1 pack RPN2280*

* RPN2107とRPN2195のセットになります。

PlusOne電気泳動試薬シリーズAcrylamide PAGE 250 g 17-1302-01

Acrylamide PAGE 1 kg 17-1302-02

N, N'-Methylene-bisacrylamide 25 g 17-1304-01

N, N'-Methylene-bisacrylamide 100 g 17-1304-02

Tris 500 g 17-1321-01

Sodium Dodecylsulphate (SDS) 100 g 17-1313-01

Ammonium Persulphate 25 g 17-1311-01

TEMED 25 ml 17-1312-01

Glycerol, 87% 1 L 17-1325-01

Mercaptoethanol 25 ml 17-1317-01

Bromophenol Blue(BPB) 10 g 17-1329-01

Dithiothreitol (DTT) 1 g 17-1318-01

Dithiothreitol (DTT) 5 g 17-1318-02

Glycine 500 g 17-1323-01

TWEEN 20 500 ml 17-1316-01

染色試薬Coomassie Tablets, PhastGel Blue R-350 40錠 17-0518-01

Silver Staining Kit, Protein 1 kit 17-1150-01

Deep Purple Total Protein Stain 5 ml RPN6305

製品名 包装 コード番号

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分子量マーカー泳動・ブロッティング効率のモニターに最適。10~250 kDaの幅広い分子領域をカバーし、還元処理済な

のでそのままゲルに添加可能。組換えタンパク質なのでシャープなバンドで分子量推定も可能*。

Full-Range Rainbow Molecular Weight Markers 500 µl RPN800

High-Range Rainbow Molecular Weight Markers 250 µl RPN756

Low-Range Rainbow Molecular Weight Markers 250 µl RPN755

LMW Marker Kit 10 vials, 575 µg / vial 17-0446-01

*分子量測定には標準タンパク質を用いたLMW Marker Kitをご利用ください。

着色バンドでブロッティング効率のモニタリング、さらにECL化学発光時にサンプルと同時検出可能なウェス

タンブロッティング用多機能マーカーです。

ECL DualVue Western Blotting Makers 1 Pack RPN810(25 gel loadings)

メンブレンタンパク質ブロッティングのために作られたメンブレンシリーズ

Hybond-P(PVDF) 20×20 cm 10 sheets RPN2020F

Hybond-P(PVDF) 30 cm×3 ml roll RPN303F

Hybond-ECL 6×8 cm 50 sheets RPN68D

Hybond-ECL 30 cm×3 ml roll RPN303D

ゲル・メンブレン用自動検出処理装置ECL検出に伴う液交換・振とう作業を自動化し、省力化と高い再現性を実現。また、銀染色や発色法に

よるウェスタンブロテッィング検出など、これ1台で様々な用途に応用可能。

MultiProcessor 72-AS00-39

(内訳)

MultiProcessor本体(Processor Plus) 80-6444-04

ブロットトレイセット 80-6444-23

染色トレイ小セット 80-6444-80

検出用X線フィルム自動現像が可能。無色透明なフィルムベースの両面にエマルジョンが塗られているので、表裏の区別なし。

Hyperfilm ECL 18×24 cm 25 sheets RPN2103K

Hyperfilm ECL 18×24 cm 75 sheets RPN3103K

検出用X線フィルムカセットHypercassette 18×24 cm クリーム色 RPN11642

Hypercassette 18×24 cm レッド RPN12642

Hypercassette 18×24 cm ブルー RPN13642

検出器ECLをポラロイドフィルムで検出するため、暗室不要でその場で手軽に検出。結果がでるまでわずか10分。

ミニゲルサイズのメンブレンに対応。

ECL Mini-Camera RPN2069

製品名 包装 コード番号

ECLウェスタンブロッティングシリーズ関連製品一覧表

kDa

94→

67→

43→

30→

20→14.4→

LMW Marker Kit

ECL DualVue WesternBlotting Makrers

S-protein-HRP

kDa

100→

16→15→

kDa

150→

100→75→

50→

35→

25→

15→

kDa

250→160→

105→

75→

50→

35→

30→25→

15→10→

kDa

220→

97→

66→

45→

30→

20.1→

14.3→

kDa45→

30→

20.1→14.3→6.5→3.5→

RPN800 RPN756 RPN755

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+本文

EPS 301 EPS 2A200

+ +

miniVE Blot Module

ゲル作製から電気泳動とブロッティングをオールインワンminiVE + Blot Module + EPS 301(or EPS 2A200)miniVE─ミニゲル用縦型電気泳動装置/ブロッティング装置─● ゲル作製から電気泳動、ブロッティングが1台で可能● 最大9×10 cmのゲルサイズに対応● わずか300 mlのバッファー量で、2枚同時にブロッティング可能(EPS 301+ブロットモジュール1セット使用)● 4枚同時にブロッティング可能(EPS 2A200+ブロットモジュール2セット使用)

miniVE, Complete(アクセサリー付 )* 1台 80-6418-77

Blot Module 1セット 80-6418-96

EPS 301 ( 300 V / 400 mA / 80 W ) 1台 18-1130-01

EPS 2A200 (200 V / 2000 mA / 200 W ) 1台 80-6406-99

タンパク質電気泳動&ブロッティング装置

EPS 601SE 600 Ruby TE 77

+ +

製品名 包装 コード番号

標準サイズのタンパク質電気泳動と短時間ブロッティングSE 600 Ruby + TE 77 + EPS 1001 SE 600 Ruby─スタンダードゲル用縦型電気泳動装置─● ゲルサイズ 14×16 cmまたは16×16 cmに対応● 1度に2枚のゲルを泳動。デバイダープレートを用いれば4枚同時に泳動可能● 恒温循環装置で冷却しながら泳動可能。均一なバッファー冷却機能によりスマイリング防止

TE 77 ─セミドライブロッティング装置─● 少量のバッファー、0.8 mA/cm2の低電流で短時間転写● 最大21×26 cmのゲル1枚、ミニゲルなら4枚を同時に転写可能

SE 600 Ruby, Complete(アクセサリー付) 1台 80-6479-57

TE 77 Semi-Dry Transfer Unit 1台 80-6211-86

EPS 601 ( 1000 V / 400 mA / 100 W ) 1台 18-1130-02

コーム、スペーサーなどのアクセサリーについてはお問合せください。

*Blot Moduleは含まれません。 コーム、スペーサーなどのアクセサリーについてはお問い合わせください。

バリアブルイメージアナライザーTyphoonは放射性同位体や蛍光、ケミルミネッセンスを用いてゲルやメン

ブレンまたはマイクロアレイスライド等、さまざまなサンプルの定量・解析を簡単に行うことができます。さ

らに目的にあわせてソフトウェアを選択することにより、高度なプロテオミクス解析を行うことができます。

Typhoon 9410 問合せ 問合せ

ミニゲル電泳動装置 ブロッティング用モジュール パワーサプライ

スタンダードゲル電泳動装置 セミドライブロッティング装置 パワーサプライ

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www.gehealthcare.co.jp/lifesciences

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お問合せ:バイオダイレクトラインTEL : 03-5331-9336 FAX : 03-5331-9370

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04.12.50(NS)