『大阪の経済』 2017年版 「大阪の経済2017年版」のポイント ·...

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1 平成28年度 第4回 大阪府・大阪市経済動向報告会 第2部資料 『 「大阪の経済2017年版」のポイント 』 2017年1月31日 公益財団法人 大阪市都市型産業振興センター 経済調査室 主任研究員 上田 恵美子 『大阪の経済』 2017年版 【冊子】 価格 500円(税込) 体裁 A5版 130ページ 発行 大阪市経済戦略局 編集 (公財)大阪市都市型産業振興 センター 本日(1月31日)より販売開始 【ホームページ】 本文 エクセルデータ ☆冊子掲載以外のデータも掲載 (公財)大阪市都市型産業振興センター 経済調査室 作成 ◆ 目 次 ◆ Ⅱ 大阪市の産業動向 1.製造業 2.卸売業 3.小売業 4.サービス業 5.飲食・宿泊業 6.成長産業等の動向 (1) 集客・観光 (2) 健康・医療 Ⅰ 大阪市の経済構造 1.経済規模、経済動向 2.産業構成 3.近畿における大阪市の位置づけ 4.産業集積などの状況 5.需要面の構造 6.最近の動向 (1) 需要セクターに関する指標の最新動向 (2) 供給セクターに関する指標の最新動向 Ⅲ 区別(地域別)の経済構造 1.区別の社会・経済構造 (1) 人口 (2) 事業所数・従業者数 (3) 区内総生産(付加価値額)と税収 (4) 建築着工面積 2. 区別の産業構造 (1) 製造業 (2) 卸売業 (3) 小売業 (4) サービス業 (3) 環境・エネルギー (4) クリエイティブ・デザイン (5) 人材 7.その他の経済活動 (1) 金融・証券 (2) 物流 (3) 貿易 (4) 消費動向 (公財)大阪市都市型産業振興センター 経済調査室 作成 1 ●各国の国内総生産(名目、2015年) ●域内総生産(名目)の指数の推移 Ⅰ 大阪市の経済構造 1. 経済規模、経済動向 資料:大阪市「市民経済計算」、内閣府「国民経済計算」(2016年12月公表の平成17年基準による数値)、 近畿、大阪府は内閣府「県民経済計算」 (公財)大阪市都市型産業振興センター 経済調査室 作成 大阪市の市内総生産の推移は? 「長期の低迷から下げ止まり、回復に向けて足踏み」 全国や近畿が2003年から07年にかけて上昇基調で あったなか、大阪市は同様の推移とはならず、指数の 差は拡大した。さらに、リーマンショックにより08年、09 年は水準を下げ、13年度にはようやく下げ止まってい る状況 左図 注:①近畿は大阪府、兵庫県、京都府、和歌山県、奈良県、滋賀県の6府県で、アジア太平洋研究所 の推計値をドル換算した値 ②大阪市、大阪府の数値は2013年の推計値を日本全体の13年⇒15年 にかけての増加率と等しいと仮定して算出した推計値の換算値 資料:IMF「World Economic Outlook Database」、内閣府「県民経済計算」、「国民経済計算」(16年9月 公表値)、大阪市「市民経済計算」、(一財)アジア太平洋研究所「関西経済の現況と予測 Kansai Economic Insight QuarterlyNo.31」2016年8月30日 大阪市の市内総生産の規 模は、世界第57位のイラ クと同程度の経済規模を 誇る 2 大阪市の産業構成の特徴は? 「卸売・小売業や情報通信業のシェアが、大都市の中でも高い」 大阪市は近畿圏の中枢都市であることから、 1)卸売・小売業のシェアが1/4以上を占め、“商都”の特徴を示している、 2)東京都と同様に情報通信業のシェアが高い、 3)製造業のシェアが全国の約半分、 などの特徴がある。直近では、卸売・小売業のシェアの減少基調に歯止めがかかりつつ あり、一方で、サービス業は増加基調となっている Ⅰ 大阪市の経済構造 2.産業構成 注:対象は産業分野のみ。「その他」は、農林水産業、鉱業、電気・ガス・ 水道業。全国 は暦年ベース ※基準年や業種分類の変更により、大阪市に関しては2000年度以前は遡及推計対象 外のため、「運輸業」は不明であり、「情報通信業」に含めて計上 資料:大阪市「大阪市民経済計算」、内閣府「国民経済計算」 ●産業別に見た従業者数と市内総生産の 構成比比較(大阪市) (公財)大阪市都市型産業振興センター 経済調査室 作成 ●域内総生産(名目)の産業別構成比の推移 注:従業者数の対象は民営事業所のみ。市内総生産の対象は産業分野のみ 資料:総務省「経済センサス-基礎調査」2014年、大阪市「市民経済計算」13年度 3 ●経済活動別総生産額で見た近畿内・大阪府内シェア ●各種社会経済指標で見た大阪市の近畿内シェア 近畿圏の他府県と比較した大阪市の強みは? 「卸売業、情報通信業、対事業所サービス業に強みがある」 ・人口シェア13.0%に対して、域内総生産シェアは10ポイント以上高い23.6・さらに、卸売業販売額・情報通信業売上高のシェアは約6割~7割を占める(左図) ・他方、製造業の近畿内シェアは人口シェアを下回って1割強(右図) 金融・保険業、対事業所サービス業でも、近畿内、大阪府内ともに高いシェアを誇る(右図) 注:生産額は2013年度の名目。人口は15年10月1日の値 資料:内閣府「県民経済計算」13年度、大阪市「大阪市民経済計算」13年度、総務 省「国勢調査」15年 注:域内総生産は名目。事業所数(事業内容等不詳を含む)、従業者数は民営事業所。大 企業数は資本金1億円以上の企業数、情報通信業は情報サービス業,インターネット 附随サービス業の合計 資料:総務省「国勢調査」(昼間人口は抽出速報)、「経済センサス-基礎調査」、「経済セン サス-活動調査」、内閣府「県民経済計算」、大阪市「大阪市民経済計算」、経済産業省 「商業統計調査」 (公財)大阪市都市型産業振興センター 経済調査室 作成 Ⅰ 大阪市の経済構造 3.近畿における大阪市の位置づけ 4

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平成28年度 第4回

大阪府・大阪市経済動向報告会 第2部資料

『 「大阪の経済2017年版」のポイント 』

2017年1月31日

公益財団法人 大阪市都市型産業振興センター

経済調査室 主任研究員 上田 恵美子

『大阪の経済』 2017年版

【冊子】 価格 500円(税込) 体裁 A5版 130ページ 発行 大阪市経済戦略局 編集 (公財)大阪市都市型産業振興 センター 本日(1月31日)より販売開始 【ホームページ】 本文 エクセルデータ ☆冊子掲載以外のデータも掲載

(公財)大阪市都市型産業振興センター 経済調査室 作成

◆ 目 次 ◆

Ⅱ 大阪市の産業動向

1.製造業

2.卸売業

3.小売業

4.サービス業

5.飲食・宿泊業

6.成長産業等の動向

(1) 集客・観光

(2) 健康・医療

Ⅰ 大阪市の経済構造

1.経済規模、経済動向

2.産業構成

3.近畿における大阪市の位置づけ

4.産業集積などの状況

5.需要面の構造

6.最近の動向

(1) 需要セクターに関する指標の最新動向

(2) 供給セクターに関する指標の最新動向 Ⅲ 区別(地域別)の経済構造

1.区別の社会・経済構造

(1) 人口

(2) 事業所数・従業者数

(3) 区内総生産(付加価値額)と税収

(4) 建築着工面積

2. 区別の産業構造

(1) 製造業

(2) 卸売業

(3) 小売業

(4) サービス業

(3) 環境・エネルギー

(4) クリエイティブ・デザイン

(5) 人材

7.その他の経済活動

(1) 金融・証券

(2) 物流

(3) 貿易

(4) 消費動向

(公財)大阪市都市型産業振興センター 経済調査室 作成 1

●各国の国内総生産(名目、2015年)

●域内総生産(名目)の指数の推移

Ⅰ 大阪市の経済構造 1. 経済規模、経済動向

資料:大阪市「市民経済計算」、内閣府「国民経済計算」(2016年12月公表の平成17年基準による数値)、 近畿、大阪府は内閣府「県民経済計算」

(公財)大阪市都市型産業振興センター 経済調査室 作成

大阪市の市内総生産の推移は?

「長期の低迷から下げ止まり、回復に向けて足踏み」

全国や近畿が2003年から07年にかけて上昇基調であったなか、大阪市は同様の推移とはならず、指数の差は拡大した。さらに、リーマンショックにより08年、09年は水準を下げ、13年度にはようやく下げ止まっている状況

左図 注:①近畿は大阪府、兵庫県、京都府、和歌山県、奈良県、滋賀県の6府県で、アジア太平洋研究所の推計値をドル換算した値 ②大阪市、大阪府の数値は2013年の推計値を日本全体の13年⇒15年にかけての増加率と等しいと仮定して算出した推計値の換算値

資料:IMF「World Economic Outlook Database」、内閣府「県民経済計算」、「国民経済計算」(16年9月公表値)、大阪市「市民経済計算」、(一財)アジア太平洋研究所「関西経済の現況と予測 Kansai Economic Insight QuarterlyNo.31」2016年8月30日

・大阪市の市内総生産の規模は、世界第57位のイラクと同程度の経済規模を誇る

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大阪市の産業構成の特徴は? 「卸売・小売業や情報通信業のシェアが、大都市の中でも高い」 大阪市は近畿圏の中枢都市であることから、

1)卸売・小売業のシェアが1/4以上を占め、“商都”の特徴を示している、

2)東京都と同様に情報通信業のシェアが高い、

3)製造業のシェアが全国の約半分、

などの特徴がある。直近では、卸売・小売業のシェアの減少基調に歯止めがかかりつつあり、一方で、サービス業は増加基調となっている

Ⅰ 大阪市の経済構造 2.産業構成

注:対象は産業分野のみ。「その他」は、農林水産業、鉱業、電気・ガス・ 水道業。全国は暦年ベース

※基準年や業種分類の変更により、大阪市に関しては2000年度以前は遡及推計対象外のため、「運輸業」は不明であり、「情報通信業」に含めて計上

資料:大阪市「大阪市民経済計算」、内閣府「国民経済計算」

●産業別に見た従業者数と市内総生産の構成比比較(大阪市)

(公財)大阪市都市型産業振興センター 経済調査室 作成

●域内総生産(名目)の産業別構成比の推移

注:従業者数の対象は民営事業所のみ。市内総生産の対象は産業分野のみ

資料:総務省「経済センサス-基礎調査」2014年、大阪市「市民経済計算」13年度

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●経済活動別総生産額で見た近畿内・大阪府内シェア ●各種社会経済指標で見た大阪市の近畿内シェア

近畿圏の他府県と比較した大阪市の強みは? 「卸売業、情報通信業、対事業所サービス業に強みがある」

・人口シェア13.0%に対して、域内総生産シェアは10ポイント以上高い23.6%

・さらに、卸売業販売額・情報通信業売上高のシェアは約6割~7割を占める(左図) ・他方、製造業の近畿内シェアは人口シェアを下回って1割強(右図) ・金融・保険業、対事業所サービス業でも、近畿内、大阪府内ともに高いシェアを誇る(右図)

注:生産額は2013年度の名目。人口は15年10月1日の値 資料:内閣府「県民経済計算」13年度、大阪市「大阪市民経済計算」13年度、総務

省「国勢調査」15年

注:域内総生産は名目。事業所数(事業内容等不詳を含む)、従業者数は民営事業所。大企業数は資本金1億円以上の企業数、情報通信業は情報サービス業,インターネット附随サービス業の合計

資料:総務省「国勢調査」(昼間人口は抽出速報)、「経済センサス-基礎調査」、「経済センサス-活動調査」、内閣府「県民経済計算」、大阪市「大阪市民経済計算」、経済産業省「商業統計調査」

(公財)大阪市都市型産業振興センター 経済調査室 作成

Ⅰ 大阪市の経済構造 3.近畿における大阪市の位置づけ

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大阪市の支出側の内訳のトレンドは? 「“民間最終消費支出”の割合が増加基調にある一方、最大の特徴である“財貨・サービスの移出入ほか”は減少基調」 人口増が続いていることもあって、「民間最終消費支出」の割合は緩やかな増加基調、「財貨・サービスの移出入ほか」の割合は減少基調。緩やかに内需主導型経済に移行しつつある

●支出側の内訳構成

注:市内総生産は名目。市内最終需要=100とした構成。「財貨・サービスの移出入ほか」には在庫品増加と統計上の不突合を含む

資料:大阪市「市民経済 計算」2013年度

●産業活動を示す指標の密度

大阪市の産業集積の特徴は? 「他都市に比べて、産業集積の密度が高い」 東京都区部と比較すると、 1 ㎢あたりの製造品出荷額等で3.2倍、工場数で1.7倍、卸売事業所数で1.3倍、百貨店販売額では1.2倍

(公財)大阪市都市型産業振興センター 経済調査室 作成

Ⅰ 大阪市の経済構造

4.産業集積などの状況 5.需要面の構造

注:1㎢あたりの各項目の密度を東京都区部の数値を100として比較したもの。人口は2015年10月1日の数値。事業所数、従業者数は民営事業所。工場数、製造品出荷額等については従業者数4人以上の事業所(製造業)の数値。基準とする面積は15年10月1日の数値であり、境界未定等を含む参考値を使用

資料:国土地理院「全国都道府県市区町村別面積調」2015年、総務省「国勢調査」15年、「経済センサス-基礎調査」14年、経済産業省「工業統計調査」14

年、「商業動態統計調査」15年、「商業統計調査」14年

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・住宅用の着工面積は2014年の消費増税後は低水準であり、15年Ⅱ期以降に持ち直しつつあったが、16年Ⅲ期は再び減少に転じ、やや低水準

・産業用面積は2011~13年は低水準だったが、14年以降は大規模なビル開発などもあり、持ち直しつつある

●住宅用、産業用別の建築着工面積(大阪市)

注:2016年の推計値はⅠ~Ⅲ期の合計の4/3倍により算出 資料:建設物価調査会「建設統計月報」(2012年2月まで)、国土交通省「建築着工

統計調査」(12年3月以降) 注:各年10月1日時点の数値 資料:大阪市「大阪市統計書」、「国勢調査」、「推計人口」

・人口は2011年以降、増加幅が縮小気味であったが、15年は転入増と転出減により反転増加。出生数は2008年をピークに緩やかな減少基調

(公財)大阪市都市型産業振興センター 経済調査室 作成

Ⅰ 大阪市の経済構造 6. 最近の動向 (1) 需要セクターに関する指標の最新動向

●人口、世帯数の推移(大阪市)

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・スーパー販売額は増加傾向だが、百貨店は2015年Ⅳ期以降、減少基調に転じている

・消費者物価指数はほぼ横ばい。家計消費支出は15年Ⅱ期以降、減少基調が持続し、16年Ⅲ期に持ち直し

● 民間消費関連の指標の推移(大阪市)

注:2008年4~6月期(Ⅱ期)における月平均値を100とする指数。「(季)」は、(公財)大阪市都市型産業振興センターによる季節調整後の系列を示す

資料:経済産業省「商業動態統計調査」、総務省「消費者物価指数」、「家計調査報告」(二人以上世帯)」、「国勢調査」、大阪市「推計人口」

・有効求人数は増加基調が持続し高水準。有効求職者数は、2015年に一時増加に転じるも減少基調、一方で有効求人倍率は高水準

・景気回復に伴い、13年半ばから雇用保険受給者実人員や生活被保護実人員は減少基調

● 社会保障関連の指標の推移(大阪市)

注:2008年4~6月期(Ⅱ期)における月平均値を100とする指数。「(季)」は(公財)大阪市都市型産業振興センターによる季節調整後の系列を示す

資料:厚生労働省「被保護者調査」、大阪労働局「労働市場月報」

(公財)大阪市都市型産業振興センター 経済調査室 作成

Ⅰ 大阪市の経済構造 6.大阪経済の最近の動向 (1) 需要セクターに関する指標の最新動向

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・輸入額(大阪港+関西空港)は増加基調であったが、2015年Ⅲ期以降、減少基調が持続 ・中央卸売市場の取扱高は13年以降、増加基調が持続、15年以降も高水準が持続

●商業系の指標の推移(大阪市)

注:2008年4~6月期(Ⅱ期)における月平均値を100とする指数。「(季)」は、(公財)大阪市都市型産業振興センターによる季節調整後の系列を示す

資料:大阪税関「貿易統計」、大阪市「中央卸売市場(本場・東部市場)の取扱高」(金額ベース)

(公財)大阪市都市型産業振興センター 経済調査室 作成

・ホテル客室稼働率は、2014年以降、高水準で高止まりを維持

・オフィス稼働貸室面積は11年以降、増加基調。貸ビル空室率は減少基調が持続

●サービス業系の指標の推移(大阪市)

注:オフィス稼働貸室面積は2008年4~6月期(Ⅱ期)の月平均値を100とする指数。15年Ⅱ期以降のホテル客室稼働率は従業者数10人以上の施設が対象

資料:三鬼商事㈱「地域別オフィスデータ」『大阪(ビジネス地区)』、日本経済新聞社「主要ホテル稼働率」『大阪地区平均』(~ 15年Ⅰ期)、観光庁「宿泊旅行統計調査」(15年Ⅱ期~ 16年Ⅲ期)

Ⅰ 大阪市の経済構造 6.大阪経済の最近の動向 (2) 供給セクターに関する指標の最新動向

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6.大阪経済の最近の動向(まとめ)

(公財)大阪市都市型産業振興センター 経済調査室 作成

◆需要セクター ①民間最終消費支出

増加し続ける人口を背景に、スーパーの出店が積極的で販売額も順調に増加したが、2016年は横ばい。百貨店販売額も“爆買い”が沈静化して15年後半より減少。17年度に考えられる主なプラス面とマイナス面の要素は次のとおり

・プラス面: 1)消費者となる人口、世帯の持続的増加

2)賃金などの上昇、失業率低下による就労者数の増加

3)増加する訪日外国人の“コト消費”取り込みによる需要拡大 など

・マイナス面: 1)円安と原油高が予想され、物価上昇にもとづく節約志向

2)高齢化による消費縮小トレンド など

②民間住宅投資、企業設備投資

住宅用建築着工面積は14年の消費増税後には低迷したが、15年6月以降は緩やかな持ち直し基調。産業用の着工はホテルや物流倉庫不足解消に向けた投資以外に、大型商業施設などの建替え投資が活発

◆供給セクター ③商業系・工業系・サービス系・倒産件数

輸入額はリーマンショック後の落ち込み以降、増加基調にあったが、15年後半以降、減少基調。ホテル客室稼働率は11年以降、上昇基調となり、

訪日外国人の増加などで、17年も高水準で推移する見込み。一方、工業生産指数及び工業用ガス消費量は09年の大幅減少後、持ち直したものの、15年以降は低迷。また、倒産件数は10年以降、減少基調にある

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①基礎素材型工業が多い

製造業を「基礎素材型」、「加工組立型」、「生活関連型」の3つに分類すると、特に製造品出荷額等や付加価値額に関して、大阪市は他都市と比較して、「基礎素材型」の割合が高く、中でも化学工業の割合が突出して高い

②高付加価値型

付加価値率(製造品出荷額等に占める付加価値額の割合)が東京都区部に次いで高水準で、全国の水準を大きく上回る

③高密度な集積地域

市内の工業集積地である東部地域(東成、生野、城東、平野の4区)の事業所数、従業者数、製造品出荷額等は、1㎢あたりの集積度が全国トップクラスで、全国有数の工業集積地である東大阪市や東京都大田区を上回っている

Ⅱ 大阪市の産業動向 1.製造業

大阪市の製造業の特徴は?

大阪市の製造業の長期的な傾向は?

「操業環境を求めて市外流出等が続き、全国シェアは長期低落傾向」

製造品出荷額等、付加価値額は持ち直しの様相。事業所数、従業者数は長期にわたって減少傾向にある。全国シェアで見ても、各指標ともに緩やかに下降しており、2014年の製造費出荷額等のシェアは1.2%で、大阪市の人口シェア2.1%を下回っている。また、大阪府内への新規の工場立地件数は、2010年以降、低水準で推移している (公財)大阪市都市型産業振興センター 経済調査室 作成 10

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・全国の製造品出荷額等は、リーマンショック後の2009年に大幅に減少、13年以降は金融緩和の影響もあって、緩やかに回復(図なし)

・事業所数、従業者数、製造品出荷額等、付加価値額は、2000年以降も緩やかな減少基調が持続しているものの、製造品出荷額等や付加価値額は持ち直しの様相

●製造業の推移(大阪市)

●製造業の

分野別の推移

(大阪市)

Ⅱ 大阪市の産業動向 1.製造業

注:対象は従業者数4人以上の事業所。産業分類や捕捉範囲の変更等があるため、厳密には連続しない。2011年は「経済センサス-活動調査」の数値。統計データの注意点については章末注を参照のこと

資料:経済産業省「工業統計調査」、総務省「経済センサス-活動調査」

(公財)大阪市都市型産業振興センター 経済調査室 作成

・大阪市は、全国に比べて医薬品関連産業の集積により「化学工業」が多い(図なし)

・化学工業は、事業所数と従業者数では他分野に比べて少ないが、付加価値額では最大。また、基礎素材型と加工組立型は、出荷額と付加価値額で下げ止まって持ち直しの様相。他方、生活関連型は緩やかな減少傾向が持続

<基礎素材型>木材・木製品、パルプ・紙・紙加工品、化学工業、石油製品・石炭製品、プラスチック製品、ゴム製品、窯業・土石、鉄鋼、非鉄金属、金属製品

<加工組立型>はん用機器、生産用機器、業務用機器、電子部品・デバイス・電子回路、電気機器、情報通信機器、輸送用機器

<生活関連型>食料品、飲料・たばこ・飼料、繊維、家具・装備品、印刷・同関連、なめし革・毛皮、その他

注:対象は従業員数4人以上の事業所。統計データの注意点については章末注を

参照のこと。2011年は「経済センサス-活動調査」の数値。

資料:経済産業省「工業統計調査」、「経済センサス-活動調査」 11

・大阪市の付加価値率は、2014年40.0%と東京都区部に次いで高水準であり、全国の30.2%を大きく上回っている

・大阪市東部地域(東成、生野、城東、平野の4区)の製造業の集積度は下降傾向ながらも、全国で最も高い

●製造業の付加価値率の推移

注:付加価値率=付加価値額/製造品出荷額等。対象は従業者数4人以上の事業所。2011年は「経済センサス-活動調査」の数値であり、10年、12年と異なる水準にあるのは統計調査が異なるためと考えられる

資料:経済産業省「工業統計調査」、総務省「経済センサス-活動調査」

●製造業の1㎢当たりの活動密度

注:大阪市東部=東成区、生野区、城東区、平野区。対象は従業者数4人以上の事業所

資料:経済産業省「工業統計調査」2014年、国土地理院「全国都道府県市区町村別面積調」

(公財)大阪市都市型産業振興センター 経済調査室 作成

Ⅱ 大阪市の産業動向 1.製造業

東京都区部

大阪市

福岡市

名古屋市

全国

横浜市

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Ⅱ 大阪市の産業動向 2.卸売業

「かつては全国の流通の中心地であったが、地位の低下が続いている。しかし、依然として関西圏等における流通の中枢機能を担っている」

大阪市の卸売業は、1960年には全国の卸売業販売額の約3割を占めていたが、

繊維産業の衰退や、大手総合商社の東京移転などで全国的地位の低下が続いている。

直近の業種別販売額では、化学製品、電気機械器具、鉄鋼製品などの販売額が多くなっている。繊維品、衣服は、販売額の全国シェアがそれぞれ5割弱、2割強と引き続き高い割合を占めている。

また、卸売業の集積度を図る指標である中心性比率は2012年、13年と下降するも、高水準を保っている

大阪市の卸売業の特徴は?

大阪市の卸売業の長期的な傾向は?

「事業所、従業者数、販売額ともに減少基調」

しかし、大阪市景気観測調査では、黒字企業が赤字企業を5年連続で上回る状況

(公財)大阪市都市型産業振興センター 経済調査室 作成 13

・大阪市では、事業所数、従業者数は長期に緩や

かな減少基調。販売額、総生産はリーマンショッ

クを境に全国よりも大幅減となり、その後の回復も

やや遅れている

●卸売業販売額の業種別構成比(大阪市) ●卸売業の推移(大阪市、全国)

注:販売額、事業所数、従業者数については、2007年以前は「商業統計調査」、09年の事業所数、従業者数は「経済センサス-基礎調査」、11年の販売額と12年の事業所数、従業者数は「経済センサス-活動調査」、13年の販売額は「商業統計調査」、14年の事業所数、従業

者数は「経済センサス-基礎調査」。生産額については、全国は名目・暦年、大阪市は名目・年度。調査の時系列比較は注意を要する(巻頭付記参照)

資料:経済産業省「商業統計調査」、総務省「経済センサス-基礎調査」、「経済センサス-活動調査」、内閣府「国民経済計算」、大阪市「大阪市民経済計算」

資料:経済産業省「商業統計調査」

(公財)大阪市都市型産業振興センター 経済調査室 作成

Ⅱ 大阪市の産業動向 2.卸売業

・生産・資本財の販売額が6割以上。業種別で

みると、化学製品、電機機械器具、鉄鋼製

品の順に多い

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・大阪市の全国シェアは全般的に縮小基調。

ただし、繊維品(生産・資本財)と衣服(消費

財)では依然高い全国シェアを誇る

●卸売業の代表的流通経路別の販売額の変化

(大阪府)

資料::経済産業省「商業統計調査(流通経路別統計編)」

● 卸売業販売額の業種別全国シェア

(大阪市、東京都区部)

注:2011 年は「経済センサス-活動調査」の数値、2011 年以外は「商業統計調査」 資料:経済産業省「商業統計調査」、総務省「経済センサス-活動調査」

(公財)大阪市都市型産業振興センター 経済調査室 作成

Ⅱ 大阪市の産業動向 2.卸売業

・主たる仕入先と主たる販売先の組合せによ

る流通経路別で見ると、産業用使用者を主

たる販売先としている業態での減少率は低

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Ⅱ 大阪市の産業動向 3.小売業

「市域外の商圏需要を取り込んで活発、需要吸引力は全国で最高水準」

大阪市の小売業は、大阪市民だけではなく、大阪都市圏や訪日外国人を含めた観光客の需要に広く応えており、市域外の需要吸引力は東京都区部や名古屋市を凌ぎ、全国の大都市の中で最高の水準を維持している

大阪市の小売業の特徴は?

大阪市の小売業の長期的な傾向は?

「長期的に小規模店舗の減少が続いているが、大型店は好調を維持」

事業所数は長期の減少基調から直近では横ばいに転じた。従業者規模別では4人以下の規模で依然、減少。販売額と生産額は直近は回復に転じた。

百貨店は、2011年以降、開業やリニューアルによる増床が相次ぎ、販売額は、訪日外国人の急増もあって、全国を上回る増加ペースで推移したが、16年は訪日外国人の購買行動の変化や、リニューアル工事着工に伴う減床などにより減少に転じた。他方、スーパーは、人口増加が持続していることを背景に、積極的な出店が相次いでおり、販売額は全国を大きく上回る増加基調。15年以降は出店ペースが緩みつつあるが、堅調な状況が持続している。

このように活況を呈する小売業であるが、一方で、求人需要の増加に対して充足率は低水準にあり、人手不足が慢性化している

(公財)大阪市都市型産業振興センター 経済調査室 作成 16

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4

・全国、大阪市ともに、直近の事業所数は横ばい、販

売額はリーマンショック以降、緩やかながら持ち直し

が持続し、従業者数は僅かに増加。生産額(付加価

値額)では、全国が足ふみに近い緩やかな持ち直し

に対して、大阪市は順調に増加

●小売業の推移(全国、大阪市)

注:事業所数、従業者数については、2007年以前は「商業統計調査」、09年、12年、14年の事業所数、従業者数は「経済センサス」。販売額については、07年以前は「商業統計調査」、09年以降は、全国は「商業動態統計調査」、大阪市は「商業統計調査」。異なる調査の時系列比較は注意を要する。生産額については、全国は名目・暦年、大阪市は名目・年度

資料:経済産業省「商業統計調査」、「商業動態統計調査」、総務省「経済センサス-基礎調査」、内閣府「国民経済計算」14年、大阪市「市民経済計算」13年度

●大型小売店の販売額とトンプソン指標 (都市間比較)

※トンプソン指標=各都市人口1人あたりの大型店販売額÷

全国の人口1人あたりの大型店販売額

注:人口は2014年10月1日現在

資料:各都市「推計人口」、経済産業省「商業動態統計調査」2014年

(公財)大阪市都市型産業振興センター 経済調査室 作成

Ⅱ 大阪市の産業動向 3.小売業

・トンプソン指標は市域外の購買力の大

きさを示しており、大阪市の大型店、

特に百貨店は、他都市よりも突出して

高い

・大阪市の大型店販売額の内訳を他都市

と比較すると、百貨店のシェアが最大

17

・百貨店販売額は、2011年度以降、増加基調に転じ、梅田や天王寺での開業・拡張や訪日外国人増加等により、全国を上回るペースで増加基調が持続。しかし、16年は訪日外国人の購買行動の変化などにより減少

・人口増加が続く大阪市では、スーパーの出店が積極的であり、販売額も全国のペースを大きく上回って増加、16年は増加ペースがやや鈍化(図なし)

●専門量販店等の業態別に見た人口あたり販売額(大阪府・府県比較)

●百貨店の販売額の推移(大阪市・全国)

資料:経済産業省「商業動態統計調査」

(公財)大阪市都市型産業振興センター 経済調査室 作成

注:ES,DS,HCに関しては2014年1月から、CSについては15年7月~都道府県別結果を公表。ES,DS,HCの販売額は16年1~9月の合計を用いて、前年の1~9月の合計が年計に占めるシェアから推計した数値。CSの販売額は15年10月~16年9月の1年間の値。ES,DS,HCは前年比、CSは7~9月期の前年同期比

資料:経済産業省「商業動態統計調査」、総務省「国勢調査」2015年

・大阪府のES(家電大型専門店)は、訪日外国人の需要減により減少するも高水準、DS(ドラッグストア)は最も高い増加率を維持

・大阪府のCS(コンビニエンスストア)の販売額は他都市と比べて低いが、増加率は高い

Ⅱ 大阪市の産業動向 3.小売業

18

「ビジネス支援型サービス業の事業所が多く、全国シェアが高い」

ビジネス支援型サービス業、公共サービス業、生活支援型サービス業の3分野のサービス業のうち、従業者数では、ビジネス支援型サービス業が最多で、市内の従業者数は大阪府の約7割、近畿圏の約5割を占める。なかでも情報通信業では近畿圏の約7割が市内に集中している。ただし、大阪市と、東京都区部の差は大きい。

医療・福祉、教育などの公共サービス業と、理美容業や不動産業などの生活支援型サービス業の従業者数は、人口に比例する傾向が強く、大阪府に占める大阪市の割合は、人口が3割に対して、公共サービス業で3~4割、生活支援型サービス業で4~5割

大阪市のサービス業の特徴は?

Ⅱ 大阪市の産業動向 4.サービス業

大阪市のサービス業の長期的な傾向は?

「サービス産業の生産額(付加価値額)は横ばい」

市民経済計算によれば、サービス業の生産額は、リーマンショック後にやや水準を下げた後、2011年以降は持ち直し基調。従業者数は、医療や福祉、教育分野を含む公共サービス業では増加が続いているのに対して、ビジネス支援型サービス業では横ばい。サービス業全般で人材不足が深刻化しており、特に、生活関連サービス業,娯楽業、情報通信業の求人充足率は極端に低い

(公財)大阪市都市型産業振興センター 経済調査室 作成 19

・生産額は1980年代に急増して製造業を上

回り、リーマンショック後に水準を下げ

た後、近年は持ち直しが持続。全国シェ

アは、2010年以降、横ばいで推移

●サービス業の総生産の推移(大阪市)

狭義のサービス業に、不動産業、情報通信業(2001年度以降のみ、それまでは情報通信業としての区分は無い)を加えた範囲を対象。生産額(名目)の基準年は、2000年度までは00年、05年度以降は05年。大阪市のデータは年度、全国は歴年であるが、シェアは両者の除算にて算出

資料:大阪市「大阪市民経済計算」、内閣府「国民経済計算」

(公財)大阪市都市型産業振興センター 経済調査室 作成

Ⅱ 大阪市の産業動向 4.サービス業

① サービス業の概況 ② ビジネス支援型サービス業

●ビジネス支援型サービス業の事業者数、従業者数 (大阪府・市)

・大阪市は、事業所数に関しては専門サービス業(法律・会計や建築設計事務所など)が最多、従業者数に関しては、その他の事業サービス業(建物サービス業、警備業など)が最多。広告業、映像等制作業、情報サービス業では、府下の約8割の事業所が大阪市内に集中している

注:対象は民営事業所 資料:総務省「経済センサス-基礎調査」2014年 20

③公共サービス業 ④生活支援型サービス業

・大阪市は、事業所数、従業者数ともに、貸家業・駐車場業・不動産管理業等が最多、次いで洗濯・理容・美容・浴場業

●公共サービス業の事業者数、従業者数(大阪府・市) ●生活支援型サービス業の事業者数、従業者数 (大阪府・市)

・大阪市は、事業所数、従業者数ともに医療業が最多、次いで社会保険・社会福祉・介護事業が多い。大阪府内に占める大阪市のシェアは、3~4割の業種が多い。

・医療・福祉系の売上高は大阪市のシェアが半分以上を占める

注と資料:同左 (公財)大阪市都市型産業振興センター 経済調査室 作成

Ⅱ 大阪市の産業動向 4.サービス業

注:対象は民営事業所

資料:総務省「経済センサス-基礎調査」2014年

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●飲食店の事業所数、従業者数の推移(大阪市)

事業所数は、小規模な施設は長期に渡り減少しているが、ホテルな

ど中・大規模では横ばいで推移している。ホテルに関しては、施設

数・客室数ともに増加傾向が続き、急増する訪日外国人を含めて需要

に応えており、稼働率は高水準が持続している。宿泊者の外国人比率

は約3割に達し、他都市を凌ぐ水準にある

(公財)大阪市都市型産業振興センター 経済調査室 作成

Ⅱ 大阪市の産業動向 5.飲食サービス・宿泊業

大阪市の飲食サービス業の特徴は?

「人口あたりの店舗数は東京都区部よりも多く、厳しい競争環境で事業所数は減少基調」

店舗あたりの売上高(大阪府)では東京や神奈川を下回るも、従業者あたりの売上高は東京に次いで高水準。小規模ながら販売効率が高い (図なし) 。事業所あたりの従業者数は緩やかに増加。近年の求人需要は高水準だが、充足率は低水準

●宿泊施設定員稼働率とシティホテル宿泊客の

外国人比率の推移

注:定員稼働率は従業員数10人以上の施設を対象。シティホテルは、ホテルのうちリゾートホテル、ビジネスホテル以外の都市部に立地するものを指す。東京都区部は 千代田、中央、港、新宿、台東、江東、品川、大田、渋谷、豊島区の平均

定員稼働率=延べ宿泊者数/総収容人数。宿泊者数は延べ宿泊者数データを使用 資料:観光庁「宿泊旅行統計」

大阪市の宿泊業の長期的な傾向は?

「事業所数の減少基調は下げ止まりに。急増する訪日外国人で宿泊業は空前の活況」

事業所数は、小規模な施設は長期に渡り減少しているが、ホテルなど中・大規模では横ばいで推移。ホテルは、施設数・客室数ともに増加傾向が続き、急増する訪日外国人を含めて需要に応えており、稼働率は高水準が持続している。宿泊者の外国人比率は他都市を凌ぐ水準

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・LCCを含めた航空ネットワークの充実、円安などで、訪日外国人数は全国、大阪市ともに過去最高を更新

・大阪府の宿泊者数は2016年に初めて1千万人を超える勢いで増加。前年比増加率は18.0%で、主要観光地域を上回る

・大阪府の国別構成は中国が3割で最多、以下、台湾、韓国、香港の順

●外国人の延べ宿泊者数の国・地域別状況

・消費額は全体的に前年よりも増加。総消費額は台湾、中国等東アジアが高いが、豪州や欧米はホテル第など、買物以外の消費額が高い

注::従業員数10人以上の施設。2016年1~9月の合計を4/3倍した値。その他には国籍不詳を含む

資料:観光庁「宿泊旅行統計調査」

(公財)大阪市都市型産業振興センター 経済調査室 作成

●訪日外国人1人あたりの大阪での消費額

Ⅱ 大阪市の産業動向 6.成長産業等の動向 (1)集客・観光

注:関西空港でのアンケート調査

平成27年度第3期調査:2016年3月16日~25日(10日間)。有効回答:1,032

平成26年度第4期調査:2015年2月12日~25日(14日間)。有効回答:1,086

資料:大阪観光局「関西国際空港外国人動向調査結果」

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●医薬品生産額上位の府県の内訳別動向

・江戸時代から製薬業の中心地として栄えた歴史を有し、現在でも、医薬品製造業や卸売業の集積がみられる(図なし) ・大阪府の医薬品生産額は埼玉県、富山県に次ぐ全国第3位

・環境・エネルギービジネスの市場規模は拡大基調(図なし) ・大阪港は周辺でのリチウムイオン電池工場の集積を背景に、輸出は好調に推移(図なし) ・東京都や大阪府の小売電気事業者は、広域的な供給エリアを有する

●登録小売電気事業者数と供給先地域数

注:全国計356事業者(2016年10月24日現在)の立地状況。 供給地域は、北海道、東北、関東、中部、近畿、中国、四国、九州に分類して集計 資料:経済産業省資源エネルギー庁「登録小売電気事業者一覧」

注:用語の意味は次の通り。委託製造:最終製品となる製造工程を他社の製造所に委託。輸入:主として輸入された医薬品から製造された医薬品。(順位)は2013年の総生産額の全国での順位を示す

資料:厚生労働省「薬事工業生産動態統計調査」

(公財)大阪市都市型産業振興センター 経済調査室 作成

Ⅱ 大阪市の産業動向 6.成長産業等の動向 (2)健康・医療 (3)環境・エネルギー

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・事業所、従業者数の全国シェアが高く、特に、デザイン業、広告業、情報サービス業で高い

●クリエイティブ関連産業の業種別の集積状況 (大阪市)

注:対象は民営事業所。2014年の数値 資料:総務省「経済センサス-基礎調査」

(公財)大阪市都市型産業振興センター 経済調査室 作成

Ⅱ 大阪市の産業動向 6.成長産業等の動向 (4)クリエイティブ・デザイン (5)人材

●教育・学習支援業に係る事業所数のシェア(大阪市)

注:対象は民営事業所。その他の学校教育=小・中・高等学校、幼稚園。2014年度の数値

資料:総務省「経済センサス-基礎調査」

・大学の全国シェアは学校数で1.7%と低いが、専修学校・各種学校や職業・教育支援施設などのビジネス実践型の教育機関のシェアは高い ・外国人登録者数を見ると、東京都が突出して多く、以下、愛知県、神奈川県と続き、大阪府は第4位の状況が近年続いている(図なし)

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・銀行貸出残高は、全国が緩やかな増加基調をたどるなか、大阪市は2012年以降、ほぼ横ばい。他方、大阪市の信用金庫貸出残高は増加基調。保証債務残高は減少基調が持続

・大阪取引所のデリバティブ売買代金は増加基調にあるも、16年は減少に転じた(図なし)

● 金融機関の貸出残高などの推移(大阪市) ●道路貨物運送業の推移(大阪府・市)

・大阪府発着貨物の全国シェアは約4%。発貨物の主要品目は、「特殊品」「金属・機械工業品」「化学工業品」など(図なし)

・道路貨物運送業、倉庫業ともに事業所数は増加

・新規求人は横ばいながら、充足数は緩やかな減少基調をたどり、人手不足が懸念される(図なし)

注:各年3月末現在の残高(最新のみ9月末)。保証債務残高については、大阪府域の値、13年までは合併前の大阪府中小企業信用保証協会と大阪市信用保証協会の合計値、14年以降は合併後の大阪信用保証協会の値

資料:全国銀行協会「金融」、大阪銀行協会資料、大阪市「大阪市統計書」、「統計時報」、大阪府信用金庫協会資料、大阪市信用保証協会資料、大阪信用保証協会資料

注:事業所数及び従業者数の2006年以前は「事業所・企業統計調査」、09、14年は「経済センサス-基礎調査」、12年は「経済センサス-活動調査」。異なる調査の時系列比較は注意を要する。対象は民営事業所

資料:総務省「事業所・企業統計調査」、「経済センサス-基礎調査」、「経済センサス-活動調査」

(公財)大阪市都市型産業振興センター 経済調査室 作成

Ⅱ 大阪市の産業動向 7.その他の経済活動 (1)金融・証券 (2)物流

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・大阪港の輸出入額は、12年以降、順調に回復したが、15年から減少に転じた

・全国の6大港のうち、大阪港と東京港は輸入額が輸出額を上回る(図なし)

・関空の輸出、輸入ともに、12年以降増加基調をたどったが、16年はともに減少(図なし)

・主な品目は、大阪港、関空ともに機械系が中心で、特に「電気機器」の比率が高い(図なし)

●輸出入額及び全国シェアの推移(大阪港)

・大阪市の家計消費支出は全国を下回る水準で推移、多くの品目が下降に転じた

・消費増税があった2014年以降、傾向が異なっている品目が多くみられ、スマートフォンなどの普及により上昇を続けてきた「通信」も競争激化等で15年以降は減少に転じた

・大阪市の単身世帯の比率は48.6%と高く、うち、高齢の単身世帯が1/3弱を占める

●一世帯の1カ月平均消費支出額の推移

注:二人以上の全世帯の数値による。2016年は1~9月の合計値を4/3倍した推計値で指数化

資料:総務省「家計調査」

(公財)大阪市都市型産業振興センター 経済調査室 作成

Ⅱ 大阪市の産業動向 7.その他の経済活動 (3)貿易 (4)消費動向

注:2016年下期は、7~9月の合計を2倍した推計値 資料:大阪税関、財務省「貿易統計」

通信

食料

理美容

サービス 教養娯楽

被服・履物

交際費

家賃地代

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●人口

(公財)大阪市都市型産業振興センター 経済調査室 作成

Ⅲ 区別(地域別)の経済構造 1.区別の社会・経済構造 (1)人口 (2)事業所数・従業者数

●人口の増減

●事業所の開業率、廃業率、開廃業率(大阪市)

注:開業率などはすべて年平均の値

資料:総務省「経済センサス-基礎調査」2014年

・大阪市の人口は、湾岸部と中心部で少なく、周辺部に多いが、増減をみると中心部、特に中央、北、西の3区での増加が顕著

・昼間人口は就業、就学などで市外から通う人の多い中央区、北区などの都心部に集中(図なし)

・事業所数と従業者数は中央と北の2区に集中し、各々2区で全市の31.6%、42.3%を占める(図なし)

・開業率、廃業率ともに高いのは都心部の中央区、北区。阿倍野区は開廃業率が24区中最高の+1.8%

注:2005年と2015年の比較

資料:総務省「国勢調査」

注:2015年10月1日の数値

資料:総務省「国勢調査」

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Ⅲ 区別(地域別)の経済構造 1.区別の社会・経済構造 (3)区内総生産(付加価値額)と税収 (4)建築着工面積

●用途別建築着工面積の 構成比の区別分布 (大阪市)

●市税決算額と法人分・非法人分の内訳 (大阪市)

注:2013年~15年上半期までの用途別建築着工面積の合計(公務用、電気・ガス・熱供給・水道業用、居住専用準住宅など、シェア1%未満の用途を除く)より算出。BtoC系用途とは医療,福祉用、卸売業、小売業用、教育、学習支援業用、宿泊業,飲食サービス業用の4用途。BtoB系用途とは不動産業用、運輸業用、情報通信業用、金融業・保険業用、その他のサービス業用、製造業用の6用途

資料:国土交通省「建築着工統計」

注:2014年度分の調定額。市税決算額[法人分]は、法人市民税、法人純固定

資産税、法人都市計画税、事業所税の合算値。中央区で一括計上されている「たばこ税」はいずれにも含めていない

資料:大阪市「決算説明書(市税関係)」、「大阪市税務統計」2014年度

・用途別の面積割合では、17区で住宅が6割以上を占めるが、此花区など臨海部3区では3割弱と低く、運輸などBtoB系用途の割合が高い

・BtoC系用途の割合は、北区、西成区、阿倍野区の3区が3割以上と高い

・総生産では中央、北、西の都心3区と淀川の4区で市全体の73.7%を占める

・市税収に占める法人分割合は57.9%で、法人分割合が非法人分割合を超える区は10区

(公財)大阪市都市型産業振興センター 経済調査室 作成 29

・東部には従業者規模が小さい事業所が多

数集積する一方、淀川北岸や臨海部には

大規模な事業者が立地している。中央区

には管理業務等の大規模事業所が多い

・製造品出荷額等では淀川北岸の淀川区・

西淀川区、臨海部の此花区で多い

(公財)大阪市都市型産業振興センター 経済調査室 作成

(上図、事業所数、従業者数) 注:事業所数の対象は民営の

全事業所 資料:総務省「経済センサス-

活動調査」2014年

Ⅲ 区別(地域別)の経済構造 2. 区別の産業構造 (1)製造業 (2)卸売業

・船場の繊維品、立売堀の機械工具などの各種問屋街が、都心部を中心に形成された歴史から、中央、北、西の3区に事業所が集中し、販売額は3区で市全体の7割以上を占める

・中央区は、衣服、繊維品、身の回り品が集中しているほか、医薬品・化粧品等、化学製品についても突出。西区は、産業機械器具でトップ。北区は食料・飲料、電気機械器具などが多い

●事業所数などの地域別シェア(大阪市)

注:事業所数と従業者数は2014年、年間商品販売額は13年の数値 資料:経済産業省「商業統計調査」

●事業所数 ●従業者数

●製造品出荷額等

(下図、製造品出荷額等)

注:対象は民営事業所。従業者数4人以上の事業所

資料:経済産業省「工業統計調査」2014年

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・織物・衣服・身の回り品小売業と、化粧品な

どを扱うその他の小売業は都心部に集中、

特に中央区と北区は中心地性が高い

・店舗の売り場効率は、大型店舗の集積する

都心6区(北、中央、天王寺、福島、西、浪速)

で突出して高い

●従業者1人あたり販売額および売場効率の 地域間比較(大阪市)

(公財)大阪市都市型産業振興センター 経済調査室 作成

Ⅲ 区別(地域別)の経済構造 2. 区別の産業構造 (3)小売業 (4)サービス業

・ビジネス支援型サービス業の多くは都心部の北区、中央区を中心に立地。企業の本社等が都心部に集積していることが理由の一つとして考えられる ・生活支援型サービス業は、娯楽業などの一部の業種を除いて、概ね市域全体に分布。娯楽業は都心部と、テーマパークを有する此花区で多い(図なし)

●主要なビジネス支援型サービス業 従事者数の区別割合(2012年)

広告業

情報サービス業 映像・音声・文字情報制作業

専門サービス業

注:対象は民営事業所 資料:総務省「経済センサス-基礎調査」2014年

注:都心3区…北区、中央区、浪速区 3区を除く都心部・・・天王寺区、福島区、西区。販売額は13年の数値。対象は民営事業所。淀川区(北東部)の販売額に関し

て、全国に分布するガソリンスタンドの売上を本社で一括計上している可能性が高い“燃料小売業”を除外して計算している

資料:経済産業省「商業統計調査」2014年

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