大学院経営戦略Ⅱ...
TRANSCRIPT
1
*エコシステムの興隆とゲームチェンジ、*オープン&クローズ戦略で躍進する企業群*エコシステムが創る新しい経済効果のイノベーション
3.2020年代は産業データの時代
2020年5月21日東京大学未来ビジョン研究センター:客員研究員 小川 紘一
*2010年代:価値形成の場がサイバー空間へシフト、*小売・金融がゲームチェンジ*AFVが世界の経済システムを造り変える,*世界中がイノベーションモデル再構築へ
*産業データ経由の繋がりが創る新しい経済効果のイノベーション*産業データ経由の繋がが直面する三つの課題、*フィジカル空間に軸足を置く製造業に躍進のチャンス
4.産業データ時代のイノベーション
2.データ経由の繋がりが創り出すAFV型経済システム
IoT時代のイノベーション戦略=2020年代のイノベーションをどう方向付けるか=
大学院経営戦略Ⅱ
1.いま起きてるのは100年に一度の経済革命
* 産業データとGAFAデータの違い、*新しい経済効果を引き寄せる現場力*繫がる仕組み構築とサービスモデルのイノベーション:ヨーロッパの事例,日本の事例*2020年代のアフターコロナに向けたイノベーションの方向性
18世紀末~:第一次経済革命(イギリス中心)*職人技の組合せ結合イノベーション:
<経験(職人技)の産業化>
19世紀末~:第二次経済革命(ドイツ、アメリカ)*自然法則の組合せ結合イノベーション:
<自然法則の産業化> 、
20世紀末~:第三次経済革命(全世界)*デジタル技術・ソフトウエアの組合せ結合でイノベーション
<人工的な論理体系の産業化>,
いま起きていることは
100年に一度とも言うべき経済革命
①デジタル化で生れる二つのエコシステムが*新しい経済効果を創り出す
②技術の枠組だけでは経済効果の有用性を判断/対処できない*ビジネスルール、社会制度、法律の総動員が必要
リアル空間で価値形成
サイバー空間で価値形成
2© 2020 東京大学 小川紘一
3
デジタル化が造り替える産業構造
エコシステム空間サイバー空間
© 2020 東京大学 小川紘一
プロダクト空間
*研究開発⇒設計⇒生産⇒販売
*モノ造りとモノ売り*フルセット統合モデル;企業内部で価値形成
*産業データを繋ぐ仕組み構築
④モジュール©③モジュール(b)
②モジュール(a)①完成品
*企業の外も使って価値形成
*オープン&クローズ戦略*新しい経済効果で
モノの経済的価値を増加させる
18世紀後半から
第一弾1990年代から
*サイバー空間で新しい
経済効果
第二弾2020年代から
当時のアメリカ世論
1988年ころからIBMが経営危機, 1988~1994年にIBMが15万人をレイオフ
内 5万人は組織能力を変えるための人材の入れ替え
圧倒的な技術イノベーションを生み出す企業が、なぜ見返りが取れないのか
世界最高レベルのR&D能力を持つIBMが凋落1990s中期~欧州や2000s~日本でも同ことが起きた
いずれも①デジタル型のエレクトロニクス産業で最初に出現
②背後に,大規模なビジネスエコシステムの興隆③価値形成メカニズムが変わり、ゲームチェンジが起きる
1990sに出現するオープンンなエコシステムが電機産業の全域でゲームチェンジを引き起こし世界中の伝統的な企業が市場撤退を繰り返す
4© 2020 東京大学小川紘一
シーメンス、フィリップス 電機産業とその周辺
フルセット型の経営思想が機能不全
第一弾の1990年代
エコシステムが創り出す経済効果を最も効果的に活用したのが
5
新しいイノベーションモデルの提案①これまでと同じ
②新しく生れたオープン・エコシステムの中で*コンポーネント相互の結合構造を*ダイナミックに変化させて価値形成する
(システム思考、全体最適)
ここから必然的にオープン&クローズ戦略が生れ1990年代から多くの産業領域へ広がる
(1991)
1980~1990年代のスタートアップ企業
© 2020 東京大学 小川紘一
Henderson&Clark
コンンポーネント自身のイノベーション
アーキテクチャ思考のイノベーション
6
デザイン
User IF
iOS
楽々APIライブラリ群
*iPhoneに日本の材料・部品と基礎技術が
(コンポーネント) 大きく貢献
*しかし利潤の大半がアップルに集中*クローズ領域を背後に持った上での
オープンイノベーションとは、
例えばアップルのオープン&クローズ戦略
汎用部品
アップル設計
の部品
世界中の販売店
コア技術と繋ぐ領域に知財集中
低コスト量産のEMS
↓ ↓
チャネル・コントロール価格・マージン・展示レイアウト
約5万件の知的財産の10%
以下
アップルのクローズ領域
iPhoneの台数シェア15%、利益シェア70%
オープン調達
© 2020 東京大学 小川紘一
<完成品の代表的な事例>
パートナーに投資してもらうこと
一物一特許
7
デバイス型のインテルモデルは*スマホ部品、自動車部品、バイオ、医薬、機能材料、
種苗や農薬など、多種多様な産業領域で使われている*パッシブ型の部品や機能材料にも応用可能なモデル
完成品型のアップルのモデルは
*航空機、自動車、ロボット、工作機械、多種多様な設備などへ広く応用できるモデル
ネットワーク型の欧州GSM携帯電話モデルは*アマゾン、グーグル、Uber,DiDi、*IoT、 Industrie4.0、クラウドはもとより
iPhone/スマホ/AIスピーカー起点の、全てのサービスにも広く使われている
新しい経済効果を取り込むオープン&クローズ戦略が
多くの産業領域で使われる
© 2020 京大学 小川紘一
機能材料
8
エコシステムの経済効果を創り出していた
例:カネカのMSポリマー (世界シェア>80%)
例:村田製作所のセラミックコンデンサー
例:三菱化学のDVD記録材料、
例:トートの光触媒
例:根本特殊化学の蛍光体、
*3Mのウンドーフィルムもオープン&クローズの戦略思想を取りこんで大成功している
*デュポンのフッ素コート材料やドイツ企業の某接着剤も同じ
例えば
ユーザと直接繋がるオープン&クローズのフレームワークで
© 2020 東京大学 小川紘一
いずれも一物一特許の力
+伸び行く手
実は、それ自身でオープン・エコシステムが生れるはずのない
機能材料や部品でも
9
サイエンス
© 2020 東京大学 小川紘一
③オープン&クローズ戦略による経済効果*企業外部のエコシステム構造と
繋がる仕組みの設計とそのコントロール
②ネットワーク効果による経済効果①比較優位の国際分業による経済効果
基盤技術
アメリカのスタートアップが完成させた
イノベーション・フレームワーク
エコシステムの経済効果を活用
モノ造り*企業の内部イノベーション*要素技術単体のイノベーション
*自然法則の探求、*論理体系の探求・構築
*サイエンスベースの技術イノベーションアカデミア
既存企業はここに留まった
企業
アーキテクチャル・イノベーション
コンポーネント・イノベーション
ここまで質問ありますか全体で5分以内
10
11
2.データ経由の繋がりで生れるAFV型の経済システム登場
AFV:サイバー空間がモノ/アセットの機能を代替
Asset Function Virtualization
*スマホ経由で簡単に繋がる金融と小売業でゲームチェンジ
*AFV型経済システムの進展*世界の国々がイノベーションシステムの
再構築に向かう
© 2020 東京大学 小川紘一
サイバー空間が新しい経済効果を創る中心となる
新しい経済効果を経営戦略に取り込むには
いま起きている事象の背後に潜む本質の理解が必要
21世紀のデジタル社会は
1990年代はオープンモジュール化が進んだエレクトロニクス産業からゲームチェンジ
大学院経営戦略Ⅱ
12
2020年代はサイバー空間が新しい経済効果を創る中心となる
エコシステム空間サイバー空間
© 2020 東京大学 小川紘一
プロダクト空間
*研究開発⇒設計⇒生産⇒販売
*モノ造りとモノ売り*フルセット統合モデル;企業内部で価値形成
*産業データを繋ぐ仕組み構築
④モジュール©③モジュール(b)
②モジュール(a)①完成品
*企業の外も使って価値形成
*オープン&クローズ戦略*新しい経済効果で
モノの経済的価値を増加させる
18世紀後半から
1990年代から
*サイバー空間で新しい
経済効果
第二弾2020年代から
13
□金融機関の価値*決済・預金・融資・与信・送金・口座管理など
*この機能の全てがサイバー空間(クラウド)で実現*従来のリテール(小口)ビジネスが崩壊: 医療・損害保険も
□小売業の価値*買う喜び提供・展示・販売・ブランド・決済・仕込・在庫マネジメント*この機能もサイバー空間のソフトウエアで実現
ネット通販が日常生活で必須となった
中国:小物家電の70%,冷蔵庫・洗濯機の30%, エアコンの40%
中西部では自動車の70%がネット通販で売られる
*アマゾンやアリババ:サイバー空間に人類史上最大の店舗
金融業、小売業の機能がサイバー空間へシフトAFV:Asset Function Virtualizationが
新しい経済効果を創り出す
金融の業界地図が世界中で塗り替えられる
既存の大規模店舗が世界中で苦境に立つアメリカのモールで2万店舗が消滅、中国も日本も
*グーグルと米シティー、アップルとゴーウドマンサックス(実店舗の大規模取引データ)*日本では三菱UFJ:全国180店舗を減らす、
人員7,000人削減、 地方銀行も瀕死の状態
二十一世紀の経済システムを作り替える
*人類の1/3以上をカバーし得るフェイスブックのリベラ金融の登場
© 2020 東京大学 小川紘一
2018年のデータ
14
ネット通販金融製造業
クラウドが異なる産業をデータで繋ぎデータが新しいサービスを創り出す
ライドシェア/カーシェア 小売
産業のサービス化 既存の産業
生産サービスAPIサービス
アーキテクチャ思考© 2020東京大学小川紘一
クローズ:コア領域①数100のタクシーと顧客が町中に
散らばっているとき、最も効率的に配車できるドライバーを選定する
巡回セールスマン問題*位置情報を利用して組み合わせ
最適化するノウハウ②PF以外のベンダーが売る何百万点も
の商品からユーザが見付け易くする
協調フィルタリング問題*大量のユーザ情報から共通
パターンを見出すノウハウ*ユーザの無意識の行動をデータから判断
*ヒトや地域、時間と共に変わる
例えばUberとAmazon
サイバー空間が新しい経済効果を創る
個人の行動データ
オープンAPI
至る所でオープン&クローズ戦略
データ経由の繋がり(新結合)がサイバー空間で次々に起き
スマホ経由のデータ
サービス情報
オープンAPIマイクロサービス
オープンAPI
15
いま世界の産業界で起きているのは
これまで無かった新しい経済効果を産み出し
21世紀の経済システムを作り換える
AFV:Asset Function Virtualization
フィジカル空間
サイバー空間
*21世紀第三次経済革命:世界の隅々で起きる
*19世紀後半から第二次経済革命: ⇒アメリカ、ドイツの台頭新しい経済効果:科学技術、輸送・通信コストのイノベーション
*18世紀後半から第一次経済革命: ⇒イギリスの台頭、新しい経済効果:機械化、生産コストのイノベーション
*16世紀から大規模な商業資本主義:⇒16世紀のスペイン、17世紀のオランダ、18世紀以降のイギリス新しい経済効果:
航路の発見・航海術、交易のイノベーション
サイバー空間で新しい経済効果を創るAFV経済システムの進展
© 2020 東京大学 小川紘一
オープン&クローズ戦略によるデータ経由の繫がりが
16
世界の国々と企業が
イノベーション・システムの再構築へ向かう□ アメリカ:2003~2005: GAFA,Yahoo,Twitter, Salesforce.com,
スマホ経由のデータ利活用、サイバー空間で価値形成AFV経済システムの興隆その背後に市場利用コスト/限界コスト:ほぼゼロ
*2014年、Industrial Internet Consortium サイバー空間(Digital Platform)で価値形成;
□ ドイツ: 2013年、Industrie 4.0, RAMI4.0*価値形成の場をモノ/Assetからサイバー空間へ誘導
□ 中国:2015年* 中国製造2025: ドイツIndustrie4.0と同じ* Internet Plus:アメリカGAFAと同じデータ、ソフトウエア
Online to Offline, サイバー空間の価値形成:
□ 日本 :2016.1 Society5.0*価値形成の場をサイバー空間へ誘導:
© 2020 東京大学 小川紘一
新しい経済効果の創出
新しい経済効果の創出
新しい経済効果の創出
ここまで質問ありますか全体で5分以内
17
18© 2020 東京大学 小川紘一
3.2020年代は産業データの時代
2020年からEU/ドイツが産業データの保護と活用に注力
フィジカル空間に軸足を置く全ての産業にチャンス到来
*産業データ経由の繋がりが創る新しい経済効果のイノベーション
*産業データ経由の繋がりが直面する三つの課題*フィジカル空間に軸足を置く製造業に躍進のチャンス
大学院経営戦略Ⅱ
19© 2020東京大学 小川紘一
価値
データの量
スマホ経由個人の行動
データ
伸びが飽和
伸びが急進
データの量
モノ/Assetから出るデータ主権をテコにデータ経由の
繋がりによる経済効果を先導すれば、製造業が躍進できる
モノ/アセット経由の産業データ(IDC)
2025年:*全物理空間のデータ
175ZB
背後にセンサーの技術革新
産業データ: 110ZB(63%)
2019年の時点:インターネット通信量の約50%が画像、5Gになれば10倍以上になる
データ経由の繋がりによる経済効果が
2020年代から第二ステージに入る背景
大規模な企業グループに有利な経営環境が到来
1.ヒト/モノ/アセット経由でフィジカル空間が創り出す経済効果を更に増幅・拡大させる
2.その上で更に、フィジカル空間では不可能だった新しい経済効果のイノベーション。 その基本要素は
3) オープン&クローズ戦略の経済効果、
2) ネットワークによる経済効果
1)比較優位の国際分業の経済効果
産業データ経由の繋がりが2020年代に創り出す新しい経済効果は
1)人間の認識限界の拡張と人智を越えた全体最適
2)仮想化と限界費用ゼロ
3) データ経由の繋がり
20© 2020 東京大学 小川紘一
1990年代の第一弾
2020年代の第二弾は
上記三つの経済効果を増幅させ、効果的に引き寄せるフレームワークがオープン&クローズ戦略
21© 2020 東京大学 小川紘一
サイバー空間が創る
新しい経済効果の具体例
<限界費用ゼロの経済効果>
産業データ経由の繋がりが創り出す新しい経済効果
22© 2020 東京大学 小川紘一
1)初期投資は必要だが、生産量を増やすための特別な投資不要*デジタル・データで表現されたモノ/アセット(Digital Twin)や
サービスなら、製品サービスの量が増えても、何度使っても、追加費用が僅か
*コピーコスト、保存コスト、移動(アクセス)コストが非常に小さい
2)追加費用が非常に小さい仮想化されたイノベーションの場なので*ハードウエアの違いや置かれた場所を意識せず
誰でも何処からでも活用できるインフラ提供が可能
3)需要さえ増えれば、加速的に利潤が増えて自己増殖する*需要先導型だからイノベーションはユーザ便益とUXに向かう
もの造り・物売りでは不可能
製品やサービスを増やすために必要なコスト:モノなら2倍増やすとコストも2倍
23
<人智を越えたマッチングとシェアリング機能>
1)スマホやPC経由で数億人の人がリアルタイムで繋がる*B to B Eコマース、 *B to C(in B) Eコマース,*Long-Tail Marketing
2)企業/地域/国にマスタマイズした適地良品、適地適価
*これだけ多くの製品/企業や多様な顧客/市場が、低コストで、しかも瞬時に繫がる
© 2020 東京大学 小川紘一
店舗やB2Cと同じく、購買経由ぜず、相見積もり無し
もの造り・物売りでは不可能
産業データの繋がりが創り出す新しい経済効果
人間が本質的に持つ認知・認識限界を飛躍的に拡大
3)乗用車、タクシー、宿泊施設、オフィス、衣類などのシェアリングリング(Uber,Airbnb,DiDIなど)のも*必要とする人をマッチングさせる機能と決済機能、限界費用
ゼロの効果を組み合わせて可能になった
24
産業データの繋がりが創り出す新しい経済効果
<オンライン・サービス>
人の移動無しやモノの移動無しのオンラインサービスなど、
1)物理的な場所に依存しない経済活動の創出、
2)グローバルなサプライチェーン/為替の不安定化へ柔軟に対応*その経済効果は昨今の新コロナによる混乱を見れば自明
© 2020 東京大学 小川紘一
もの造り・物売りでは不可能
25
<フィジカル空間とサイバー空間を跨ぐネットワーク効果>
1)日本企業に、Channel/Customer CRM経由で*販売チャネル/顧客を呼び込み、Long-Tailを呼び込み、その
チャネル/顧客/Long-Tail が、技術/製品/サービスの*更なる需要を、日本のプロセス産業へ引き寄せる。
2)このネットワーク効果による市場の拡大が、*顧客と繫がる仕組みを無限に広げ*日本プロセス産業の市場を、指数関数的に拡大させる
3)更に大きなネットワーク経済効果が、サイバー空間はもとより、サイバーとフィジカルを跨ぐ双方の空間にも
瞬時に現れ、
産業データの繋がりが創り出す新しい経済効果
© 2020 東京大学小川紘一
非常に大規模なWin-WinのCPS型市場を創り出す
もの造り・物売りでは不可能
2020年代のオープン&クローズ戦略とは*サイバー空間のエコシステムやサイバーとフィジカルを跨ぐ「エコシステムの構造」と「繋がる仕組み」を設計し
*エコシステムをコントロールする仕組みを設計して、
1)認識限界の拡張と全体最適全体最適、2)限界費用ゼロ、3)人智を越えたマッチングとシェアリング4)オンライン・サービス、5)ネットワーク効果、などの
新しい経済効果を創り出し、引き寄せるための戦略フレームワーク
2020年代の我われは*経済効果を引き込んで躍進する企業の/国のビジョンを描き*ビジョンをオープン&クローズのフレームワークで構造化し
可視化して共有する仕組み造りが期待されている
© 2020 東京大学 小川紘一 26
27
1.人工知能(機械学習)が本質的に持つ限界*サイバー空間で人工知能が提供する結果は
正しいのか、誰が結果を判断するのか
2.モノ/アセットから出るデータを互いに繋ぐ為の基本問題
*産業データの多くは繋がらない(GAFAデータは繫がる)
*繋がらなければ経済効果が生れない
3.繋がり過ぎる経済が必ず持つ不安定性
繫がりの遮断が経済を大混乱させる:デジタル繋がりは*デジタル繋がりは、異常がコロナ感染以上に瞬時の伝播*サイバー攻撃などによるシステミックリスクが大きい
我われが直面する三つの課題
© 2020 東京大学小川紘一
IoT第二弾:2020年代のイノベーションで
その一方で
28
深層学習(Deep Learning)の人工知能(AI)が持つ本質的な限界
例えば、グーグルのAIとパンダ*人間が何も教えず、AIがインターネット・データだけを
使って見付けた動物の顔を
<57%の確率で「パンダの顔」と認識>
*ここへある人が悪戯で、AIのデータへ10%のランダムノイズを混入すると、AIは
<97%の確率でこれは「テナガザルの顔」と認識>
*しかし、人間が見ると、明らかに「パンダの顔」その他、
*例えば、マイクロソフトのAI、北京大学のAI© 2020 東京大学 小川紘一
サイバー空間の価値を正く判断するのは誰だろうか
例えば
29
1.人間の体験によって蓄積され磨かれた経験・勘(暗黙知)が創り出す価値で判断(学ぼうとしても学べない叡智)
2.人間の五感あるいは現場・現実社会における実証実験によって確かめられた価値で判断(だからPoCが必要)
3.制度や法律を総動員した対処で、
人間社会に正しいと共有・定着した価値で判断
4.人間社会が共通善として蓄積してきた道徳や技術・データ
に対する倫理によって判断、
5.オープンでフェアな国際ルールによって判断される価値
サイバー空間で生まれる経済的な価値に
© 2020 東京大学 小川紘一
*AIは、生み出した結果/法則が人間社会にとって有益か否かの判断ができない。*サイバー空間/AIが生み出す結果/法則らしきものを、上記の1.~5.によって
人間が判断、これによってサイバー空間の価値を人間社会に役立たせることができる*このプロセスで、人間のケイパビリティ―が更に深化・精緻化されていく
技術的な枠組みだけでは対処できない
30
サイバー空間で生まれる
新しい経済効果 現場力が重要
*データを出したモノ/アセットのプロファイル、およびデータを出した現場のOTとリンクさせてはじめて、データが価値形成に貢献する
企業の付加価値資産性を高める
サイバー空間の価値を正しく判断するのが
フィジカル空間のビジネス現場力
現場OTに精通したマネジメント陣は
①サイバー空間が創る新しい経済効果を理解し
②これを使って、3年後、5年後までに何をしたいかのビジョンを描き
③現場の課題をOT専門家がリストアップ④サービス・プラットフォームの
IT専門家と協業へ
したがって
© 2020 東京大学 小川紘一
現場データ
経済効果
新しい経済効果を使って
DXを推進するのが
プロセス製造業の現場力
現場力(1)
ここまで質問ありますか全体で5分以内
31
32© 2020 東京大学 小川紘一
4.産業データ時代のイノベーション
2020年代はアフターコロナに向けたイノベーションの時代
*産業データはGAFAデータと全く違う*新しい経済効果を引き寄せる現場力*繫がる仕組みの構築とサービスモデルの
・ヨーロッパの企業事例 イノベーション・日本企業の事例
*アフターコロナに向けたイノベーションの方向性・外部と繋がる仕組みのイノベーション・繋がって安定化するイノベーション
大学院経営戦略Ⅱ
33© 2020 東京大学 小川紘一
繫がる仕組みから見るとGAFAデータと産業データは全く異なる
産業データを繫ぐ仕組み作りのイノベーションが
2020年代の製造業を左右する
繋がらなければ経済効果が生れない
まず繋がる仕組みを造ろう
産業データ:そのままでは繋がらない
34
・・・・・
FB
SaaS
IaaS
PaaS
□
© 2020 東京大学 小川紘一
データの通信路は、オープンフプロトコル
IGRP, TCP/IP
グーグル アップル
<個人情報保護>
それぞれ数億~数十億人の利用者を持ち、異なる
デジタル経済圏が共存
巨大SaaS:アプリケーション機能サービス機能
IDSオープン標準化
中国BAT、J、Hアマゾン
*リアル空間では不可能だった便益が生れ生活を豊かにする
SB,メルカリ等
スマホの決済アプリ
AIスピーカー Watch 無人レジ 自動車
データ流路のNode
クローズ
オープン
オープン&
クローズ
データ表現法、データモデル;互換性無し
クラウド経由の人の繫がり:巨大なデジタル経済圏
*AFV/API経由の繋がりでデジタル経済圏を形成
同じデジタル経済圏なら、すぐ自由に繋がる
35
例えば、モノ造り・モノ売り企業の繋がり、の場合
①エンジニアリング・チェーン*研究-企画-製品設計-生産工程設計
②マニファクチュアリング・チェーン*工場の生産設備-生産工程-検査工程、
*工場と工場
③サプライチェーン*調達-生産計画(ERP)-生産実行(MES)-出荷
④サービス・チェーン*生産-販売-マーケテング-チャネル-顧客
*トレーサビリティー
© 2020 東京大学 小川紘一
②の繫がる仕組みを解決できれば他は既存の「デジタル・プラットフォーム活用」で解決できる
36
© 2020東京大学小川紘一
直面の課題は:生産工場のデータが繋がらない
1.データの体系、2.データの粒度
3.データ形式、用語などの統一、・疑似的な統一目的にシソーラス検索、CSV変換も有効
4.データモデルの統一
5.工場に蓄積されている既存データ(DB)と、新規のセンサー・データを比較分析する仕組み
*ITスタッフにとって、現場データの扱いが困難*現場の実態に合わせた区分には、OTスタッフの
現場ノウハウ(現場力)が必要。*粒度の決定には生産から経営まで俯瞰できる人材が必要
*これが整わないと工程間、工場間のデータが繋がらない*繫がらなければ世界の工場全体もバリューチェーンもERPに繋がらない
*繫がれなければ世界全体のビジネス最適化ができない
ネットワーク効果が生まれず単なる改善のみ
現場力が必要
現場力が必要
37
設備 製品
*4M; Man、MachineMethod、Material
*設備が置かれた環境
*工程を流れる材料・部品の位置*形状・重さ・検査データ*加工組み立て時の工程、設備など
の温度、湿度、オペレータのスキル
PLC 測定
IoT Gateway
DataLake
既存DB
リアルタイムイベント(異常)検出
*イベントが起きた時点の設備や環境、ヒトの操作、投入部品・材料の情報などのプロファイル情報があって初めてデータが価値を生む
*データを価値に換えるには既存DBとセンサーデータをリアルタイムで比較し、イベントを検出
*そのためには①デジタルデータの表現法②データのマッピング(モデル)を統一する必要あり
日本企業は*K社,T社,F社,O社
ドイツは*データ表現法、*データモデル等の
オープン標準化へ
新しい経済価値が
現場力で生まれる
管理シェルをオープン
クローズ
© 2020 東京大学 小川紘一
現場力
繋げる仕組み
管理シェル管理シェル
価値を創る仕組み
現場力(2)
繫がる仕組みと価値を創る仕組み
38
Industrie4.0を先導するドイツは産業データをサイバー空間に集める
イノベーションに注力
© 2020 東京大学 小川紘一
産業データの繫がる仕組み作り<内外の事例紹介>
その仕組みが
*管理シェルのオープン国際標準化*これが世界の製造業を作り変えて行く
モノ/Asset層
39
オープン管理シェルデータ表現・データプロファイル
Function
Asset
Integration
Communication
Information
Business
プラットフォーム層
オープン&クローズ
RAMI4.0の全体構造
5層
モノAsset1層
データの流れ
管理シェルのオープン化でなぜ繫がるようになるのか
オープンなデータ通信路オープンなプロトコル
モノから出るデータがサイバー空間へ
サービス機能・アプリケーション機能
オープン&クローズ
物理アーキテクチャ 論理アーキテクチャ
© 2020 東京大学 小川紘一
ビジネス層
データ流路のNode
ドイツが管理シェルをオープン化するその先で*データモデル構築の現場力とイベントを検出し判断する
現場力(OT)に経済的な価値が宿る*工場設備(工作機械、ロボットなど)や部品はオープン
調達され、相対的に価値が下がる
ジーメンスは、*設備機器の開発・設計戦略を変えるのではないか
・限界コストゼロの活用、・データ流路のコンントロール
© 2020 東京大学 小川紘一
<ジーメンスはPLCで圧倒的なシェアを持つ>*PLC経由による工場設備の全体最適の
経済効果を創り出せる、と同時に*設備の稼働情報をセンサー経由でPLCへ
誘導し、データをPLC経由で収集できる<3D CAD市場でも大きなシェア>*設計から生産・サービスに至るPLMの繋がり
と、繋がりによる全体最適の経済効果も創りだせる。
40
<その他、多数>1.スカニアのトラック、2.GEのジェットエンジン、3.J.Deereの農業機械、4.小米の家電では
41
● KONGSBERG*ロールスロイスの開運事業買収
*エンジンと船舶の設計はするが、エンジンのみ生産船舶は図面を公開してアウトソーシング
●WARTSILA*運行サービスTransas社買収
© 2020 東京大学 小川紘一
なぜ買収なのか
海運事業でも類似のビジネスモデルが見え隠れする
● Finferries(フェリーの自律‣遠隔走行)
● 大島造船(e-Oshima)
船の所有権は?、データアクセス権は?
フィンランド、バルチラ社、船舶エンジン、船舶運航ソリューション
ノルウェー、コングスベルグ社、造船、サービス
フィンランド
42
① S4② Asset
IntegrationNetwork
③ Asset Administration
Service
SAP:クラウドベースERPのサービスモデル
⑤ Data Hub
④ Leonard IoT
インターネット経由でデータ共有
=企業データがSAPへ集まる構図=
データ経由で繋がる領域を拡大させていく戦略構図⑤API/IDS経由で、インダストリー全域と人が繋がる③管理シェル経由で、モノ/アセット相互がデータ経由の繋がり、④でデータ収集②ERPデータ経由で、サプライチェーンの異業種間繋がり(CSV?,API?)①ERPデータ経由で、工場内、工場間、事業部間、事業部と経営間の
オンライン・リアルタイム繋がり(CSV?,API ?)
モノ/Assetデータの収集
© 2020 東京大学 小川紘一
オープン管理シェル経由で、仮想化されたモノ/Assetをサイバー空間で繋ぐ
企業間のネットワーク連携
企業内のネットワーク連携
*欧州:人が介在するフィードバックが困難、*日本企業ならやれる
43
日本企業の取り組み(事例-1)
フィジカル空間に軸足を置く企業が
*新しいサービスモデルで主導権をとるための・戦略構図
*繋がる仕組みで主導権を取るための・仕組み造り
© 2020 東京大学 小川紘一
もの造り・モノ売りからサービスモデルのイノベーションへ
Asset層価値形成(1)
(SaaS)
サービスの流通環境
サービスの開発環境(IaaS、PaaS)
Assetデータのマネジメント
価値形成(3)
サービスプラットフォーム
API
*自動車の全体最適ノウハウ(オープン&クローズ戦略、アーキテクチャ思考)
(DCM)自動車
Assetのマネジメント層
価値形成(2)
API
*製造技術、生産技技術、*コア要素技術(コンポーネント思考)
(DCM)自動車
(DCM)自動車
グローバル通信プラットフォーム
・・・・・・・
自動運転キット API
車両制御
API車両状態
管理 API
動態管理 API
サービス向け
機能API
*カーシェア/ライドシェア、*自動運転、*宅配、*ラストマイル、*交通情報、*地図/道路情報、*気象情報、*グルメ情報
データ
サービス
データ
サービス
API経由で繋いでサービス創出
クラウド
スマート化
自動車サービスプラットフォームのオープン&クローズ構造
現場力:クローズ 44
なぜ繫がるのか:フィジカル空間に軸足を置く企業が主導権を取る戦略構図
© 2020 東京大学 小川紘一
データ流路のNode
Asset層価値形成(1)
SaaS
サービスの開発環境(IaaS、PaaS)
Assetデータのマネジメント
Walmart:自社の強味を起点に反転攻勢
価値形成(3)
サービス・プラットフォーム12,000店舗連携)
API
展示力、商品力、店員の対応力、
28か国12,000の店舗展開、サービスセンタ、ショールーム、効率的な配送システム、厳格な在庫管理、ERP、ITシステム
バーコードAPI
無人レジAPI(マイクロソフト)
声で買い物API (グーグル)
価値形成(2)
API
自動運転宅配API (フォード)
決済API(金融機関)
自動配送API(マイクロソフト)
スマホ、PCで買い物 API
API経由で繋いでサービス創出
サービス
データ データ データ
サービス
サービス
サービス
サービスの流通環境クラウド
モノ/アセットの所有者
スマート化
オープン&クローズ
現場力:クローズ
Assetマネジメント層
© 2020 東京大学 小川紘一 45
グローバル小売業
なぜ繫がるのか:フィジカル空間に軸足を置く企業が主導権を取る戦略構図
46Asset層
価値形成(1)
価値形成(4)
オープンコミュニケーション層
データでサービスの創出
クラウドのアプリ開発環境(PaaS、IaaS)
Assetデータのマネジメント
価値形成(3)
MONET・TechnologyMaaS Platform
API
*HV,PHVの知財公開*自動車OEM,トヨタ、ホンダ、日野、*サプライヤ^
A社の
自動車
Assetのマネジメント層
価値形成(2)
アプリ
トヨタとソンフトバンクのMaaSプラットフォーム
*HV,PHV、EV,FCV*内燃機関、
・・・・・・・
*カーシェア/ライドシェア、*自走式自販機*移動クリニック、*オンデマンドバス、*移動店舗、*自動運転、無人宅配
データ
現場力
*病院・医療、 *Market Place、*時刻表、*交通情報/地図情報、*気象情報、*観光情報、*レジャー情報、*グルメ情報
サービス提供者API経由の情報・サービス
API経由の情報・サービス
モビリティーインフラ提供者
ネットワーク効果
B社の
自動車C社の
自動車D社の
自動車
小売、物流、商社、金融不動産、タクシーなど90社
47
日本企業の取り組み(事例-2)
フィジカル空間に軸足を置く企業が
*新しいサービスモデルで主導権をとるために・どんな戦略構図にしているか
*繋がる仕組みで主導権を取るために・どんな仕組みを造っているか
© 2020 東京大学 小川紘一
もの造り・モノ売りからサービスモデルのイノベーションへ
© 2020 東京大学小川紘一
2.コマツ:Smart Construction/LandlogもKOM-MICSも素晴らしい*コマツKOM-MICSが成功、なぜGEのPredixではダメだったのか
3.ファナック(Fieldsystem).4.三菱電機(Edgecross)、
5.オムロン、6.富士通テレコムネットワーク(スマートモノ造り)
<多くの中堅企業も頑張っている>1.MUJIN(ロボット)、 2.Inafo(農業機械)、3.宝永産業(超精密機械加工)、4.金剛(スマート工場)5.三松(超多品種少量生産)、6.月井精密(SNS型見積サービス)
48
どんな仕組みで繫がりで、
どんなサービスモデルになっているのか
これを具体化できる企業が2020年代に躍進する
1.東芝のオープン・プラットフォーム<if Link>*これまで繋がらなかったモノ/アセットであっても
ifLink提供のオープンAPIで簡単に繫がる
製造業の先進的な取り組み
49
アフターコロナに向けて
企業の持続的成長・国の経済安定化と
新しい経済効果を同時実現させるためのイノベーションが最優先課題
その中でも特に①外部と繋がる仕組みのイノベーション
②繋がって安定化するイノベーション
© 2020 東京大学 小川紘一
今回の経済大混乱は供給不足と需要不足の同時到来によって起きている
供給を正常に戻すプロセスでアフターコロナを語れば
50
2020年代のイノベーションで
今後の日本で起きることはマザー工場の国内回帰、基幹技術の国内内製化、
© 2020 東京大学 小川紘一
<我われが向かうべき方向は>
サイバー空間が創る新しい経済効果を活用して① 国内の産業構造を、強い領域を維持・強化する繋がりにし
*付加価値生産性の高いイノベイティブなシステムへ造り替える
② グローバルなエコシステム型の交易システムを、*繋がっても安定化するシステムへ造り替える
③ イノベーションシステムを、*グローバルなエコシステム型へ造り替える
但し1980年代の日本型に戻ってはならない
51
①エンジニアリング・チェーン*研究-企画-製品設計-生産工程設計
②マニファクチュアリング・チェーン*工場の生産設備-生産工程-検査工程、
*工場と工場
③サプライチェーン*調達-生産計画(ERP)-生産実行(MES)-出荷
④サービス・チェーン*生産-販売-マーケテング-チャネル-顧客
*トレーサビリティー© 2020 東京大学小川紘一
貿易収支で輸出の約90%を占める製造業なら(5年前は94%)
モデルベースモジュール化
現場データの繫がる仕組み
仮想化CRMプラットフォーム
仮想化PLMプラットフォーム
2020年代のイノベーションでは
まず自社の繋がりから始めよう
52
1.エンジニアリング・チェーンの領域なら*モデルベース設計、シミュレーション、*Material Informatics(MI)
2.マニファクチャリング・チェーンの境域なら*繫がる仕組みの構築、現場力、仮想化PLC
3.仮想化PLMや仮想化CRMの領域なら
*いままでの業務のData Baseや作業プロセスを変えず
and/or 若干のカスタマイズで繫がる仕組み
*世界の誰でも何処からでも、Pier to Pierで繋がり、アクセス追加・補完できる、SecureなOn-line Real-time Single-data-baseの構築
*マイクロAPIの組合せイノベーションが可能な開発プラットフォーム© 2020 東京大学小川紘一
繋がる仕組みのイノベーション
自社の繋がりを具体化するための
53© 2020 東京大学 小川紘一
繋がっても安定になる仕組みをサイバー空間が生み出す新しい経済効果で構築
1.コントローラブルネットワーク構築:*システィミック・リスクと局所的な異常の瞬時検出*瞬時の局所遮断、迂回、代替( インターネットルータの仕組み)*誰でも自由に、どこからでもアクセスできて追加できる
SaaS型プラットフォーム
2.仮想化生産ネットワーク構築*物理的な位置に依存しない、生産ラインと設備の組み換えも
自由な仮想化生産システムとそのネットワーク化・その上で更に多品種少量生産
*プリトタイオイング・ラボや3Dプリンタとそのネットワーク化
2020年代のイノベーションで
54
3.仮想化オンライン・システム構築テレワークなど現在の遠隔サービスシステム以外に
*ヒト/モノの移動がなくても済む・3D VRデバイスやアバター・デバイスとそのネットワーク化・スマホやiPadのように、スイッチオンですぐ使える・自分と相手とモノ/アセットをサーバー空間へ表現、フィジカル空間の
動き、表情、五感がそのままサイバー空間でリアルタイム表現
*これは同時に大量データのGatewayデバイスになり5G/6G時代の主役となる。
4.ヒトがいなくても済むオンライン・ロボットシステム構築*医療関係者の負担軽減、感染拡大は何度も起きる
*生産・物流の無人化© 2020 東京大学小川紘一
2020年代のイノベーションで
GAFA+Mが3D VR開発に巨額資金投入
55© 2019 Toshiba Digital Solutions Corporation
Asset Administration Shell(AAS)は、範囲を拡大しながら実用段階に入った
AdminShell
物理実体
Digital DataDefinition
Physical
物理実体
AAS Explorer
設 計 ・ 実 装 ・ 定 義 運 転 ・ 保 守
- 以上のことから、乱暴に整理すると、、、
- と言えそう
+
図面、CAD、写真、関係(電気系統・配管・配置等)など
機器構成、仕様など
状態データ、運転、メンテ履歴など. OPC-UA、etc.
機器やコンポーネントのメーカ
エンジニアリング会社
工場オーナー、工場オペレータ
*このネットワーク化によって物理的な場所に依存しない生産システムへ*サイバー空間経由でフレッキスブルな多品種少量・遠隔生産へ*異常時の緊急遮断、迂回・代替生産へ
サイバー空間
フィジカル空間
稼働履歴
Open AAS(管理シェル)
機器構成, CAD図面、写真、系統・配管・配置等
機器状態、運転、性能、メンテ履歴等
Digital Twin
例えば仮想化生産工場
出典:東芝 中村技師長
*マイクロプロセッサーの性能:10年で100倍
*スーパーコンピュータの性能:10年で500~100倍
これまでの実績
サイバー空間の活用で生まれる新しい経済効果が
世界の産業システムを作り変えていく
量子コンピュータならスーパーコンの10億倍のポテンシャル
2010年以降のスーパコンが10年で100倍だった
フィジカル空間に軸足を置く企業が主役になれる
56© 2020 東京大学 小川紘一
産業データ経由の繋がりを活用した新しい経済効果の活用は今後も加速度的に拡大
100年ぶりに産業構造を大転換させたデジタル化
ここまで質問ありますか12:10まで
57
58
参考図書オープン&クローズ戦略の歴史的経緯や欧米企業の豊富な事例人材育成、およびIoT時代が到来する背景と各国の取り組みなどについては、以下が参考になります
はじめに 基本メッセ-ジとその背景第1章 エレクトロニクス産業の失敗を越えて第2章 製造業のグローバライセーションと
ビジネス・エコシステムの進展第3章 欧米諸国が完成させた「伸びゆく手」
のイノベーション第4章 アジア諸国の政策イノベーション第5章 アジア市場で進む日本企業の
経営イノベーション第6章 オープン&クローズ戦略に基づく
知的財産マネージメント補論 IoTとインダストrチー4.0をめぐっておわりに 2025年の日本
ご清聴ありがとうございました