財界観測 論文 2020年5月22日「2020~21年度の経 …...財界観測 2020.5.22 目 次...

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財界観測 2020.5.22 日本経済: 「コロナ・ショック」からの持ち直 しは L 字型 (1) 総括 (2) 輸出は 4-6 月期に大幅減少、7-9 月期以 降は緩やかな増加へ (3) 鉱工業生産は大幅減少へ、業種ごとの濃 淡も (4) 新型コロナウイルス禍で設備投資は大幅 減少へ (5) 雇用・賃金は今後、更に悪化する見込み (6) 個人消費は 46 月期に更に減少し、そ の後、緩やかに改善しよう (7) 住宅着工戸数は回復しかけるも新型肺炎 禍でまだ落ち込む見込み (8) 公共投資は目先減少、今後の景気対策では 公共投資上積みも (9) 新型肺炎禍の景気の落ち込みで物価の持 ち直しは遅れよう (10) 低下する追加金融緩和の可能性 (11) 日本経済見通し (12) 世界経済見通し 米国経済:景気後退入りへ ユーロ圏経済:追加の量的緩和を見込む 英国経済:資産購入枠の拡大が必要に 中国経済:景気急回復への期待は遠のきつつある 202021 年度の経済見通し -「コロナ・ショック」からの持ち直しは L 字型- 要約と結論 1. 5 18 日公表の 20 1-3 月期 GDP1 次速報、政府による 39 県を対象とする緊急事態宣言解除及び残る都道 府県での解除の可能性を念頭に、 202021 年度の経済見通しを改定した。 19 年度実績の実質 GDP 成長率(年比)-0.1%に対し、2021 年度はそれぞれ同-5.7%、+3.9%を予想する。前回 4 17 日時点見通しとの比較 では、2021 年度がそれぞれ 0.1ppt0.6ppt の上方修正となる。 2. 野村では、欧米主要都市の封鎖措置(ロックダウン)に伴う需要急減、国内での緊急事態宣言発令を背景とした 外出抑制、営業休止の影響を受け、20 4-6 月期実質 GDP は前期比年率-26.5%と極めて大幅な減少を記録 すると予想する。しかし、欧米でのロックダウン、国内の緊急事態宣言がいずれも 5 月に入ってから徐々に解 除に向かっていることから、7-9 月期以降経済成長は持ち直しに向かうと判断する。しかし、新型コロナウイ ルスの感染再拡大を防ぐため今後も緩やかながら行動・営業制限を継続することが求められる上、4-6 月期ま でに生じた需要減少が、所得(賃金、企業収益)の減少を通じて今後も支出(家計消費、企業設備投資)の抑制を 持続させる可能性が高い点からも、7-9 月以降の成長加速は極めて緩慢な「L 字型の回復」となる公算が大き い。 3. 国内の物価環境は、一時的にデフレ化する公算が大きい。20 4-6 月期にかけての需要急落に加え、その後 の回復が鈍いことから、需給ギャップの改善も緩やかなものに留まる上、原油をはじめとする国際商品市況の 急落により投入価格の下落の影響が及んでくると考えられるためである。 2021 年度のコア(生鮮食品を除く、 消費増税、教育無償化の影響を含む)消費者物価はそれぞれ前年比-0.6%、±0.0%を予想する。これらは、前回 見通しに比べ、それぞれ 0.3 ppt0.4ppt の下方修正となる。 4. 政府はこれまで、4 月に決定した 117 兆円規模の緊急経済対策に加え、20 年度第 2 次補正予算編成を通じた 追加経済対策策定に動いてきた。これらは、 1)感染制御のための医療体制整備、 2)雇用対策・個人所得補償策、 3)企業の資金繰り支援、に重点が置かれてきた。しかし、7-9 月期以降も持続が予想される所得・支出減の悪 循環のリスクを踏まると、感染制御に向けた活動制限とのバランスをとりながら、徐々に政策的な需要創出策 を打ち出していくことが求められるだろう。20 年度第 3 次補正予算以降の対策においては、雇用創出効果の 大きい公共事業費の追加が行われる可能性が高いと予想する。 野村證券金融経済研究所 経済調査部 美和 卓、桑原 真樹、岡崎 康平、棚橋 研悟、髙島 雄貴、新井 真

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Page 1: 財界観測 論文 2020年5月22日「2020~21年度の経 …...財界観測 2020.5.22 目 次 要約と結論 日本経済: 「コロナ・ショック」からの持ち直 しはL

財界観測 2020.5.22

目 次

日本経済: 「コロナ・ショック」からの持ち直

しは L字型

(1) 総括

(2) 輸出は 4-6 月期に大幅減少、7-9 月期以

降は緩やかな増加へ

(3) 鉱工業生産は大幅減少へ、業種ごとの濃

淡も

(4) 新型コロナウイルス禍で設備投資は大幅

減少へ

(5) 雇用・賃金は今後、更に悪化する見込み

(6) 個人消費は 4-6 月期に更に減少し、そ

の後、緩やかに改善しよう

(7) 住宅着工戸数は回復しかけるも新型肺炎

禍でまだ落ち込む見込み

(8) 公共投資は目先減少、今後の景気対策では

公共投資上積みも

(9) 新型肺炎禍の景気の落ち込みで物価の持

ち直しは遅れよう

(10) 低下する追加金融緩和の可能性

(11) 日本経済見通し

(12) 世界経済見通し

米国経済:景気後退入りへ

ユーロ圏経済:追加の量的緩和を見込む

英国経済:資産購入枠の拡大が必要に

中国経済:景気急回復への期待は遠のきつつある

2020~21年度の経済見通し

-「コロナ・ショック」からの持ち直しは L字型-

要約と結論

1. 5月 18日公表の 20年 1-3月期 GDP1次速報、政府による 39県を対象とする緊急事態宣言解除及び残る都道

府県での解除の可能性を念頭に、2020~21年度の経済見通しを改定した。19年度実績の実質 GDP成長率(前

年比)-0.1%に対し、20、21年度はそれぞれ同-5.7%、+3.9%を予想する。前回 4月 17日時点見通しとの比較

では、20、21年度がそれぞれ 0.1ppt、0.6pptの上方修正となる。

2. 野村では、欧米主要都市の封鎖措置(ロックダウン)に伴う需要急減、国内での緊急事態宣言発令を背景とした

外出抑制、営業休止の影響を受け、20 年 4-6 月期実質 GDP は前期比年率-26.5%と極めて大幅な減少を記録

すると予想する。しかし、欧米でのロックダウン、国内の緊急事態宣言がいずれも 5月に入ってから徐々に解

除に向かっていることから、7-9月期以降経済成長は持ち直しに向かうと判断する。しかし、新型コロナウイ

ルスの感染再拡大を防ぐため今後も緩やかながら行動・営業制限を継続することが求められる上、4-6月期ま

でに生じた需要減少が、所得(賃金、企業収益)の減少を通じて今後も支出(家計消費、企業設備投資)の抑制を

持続させる可能性が高い点からも、7-9 月以降の成長加速は極めて緩慢な「L 字型の回復」となる公算が大き

い。

3. 国内の物価環境は、一時的にデフレ化する公算が大きい。20 年 4-6 月期にかけての需要急落に加え、その後

の回復が鈍いことから、需給ギャップの改善も緩やかなものに留まる上、原油をはじめとする国際商品市況の

急落により投入価格の下落の影響が及んでくると考えられるためである。20、21年度のコア(生鮮食品を除く、

消費増税、教育無償化の影響を含む)消費者物価はそれぞれ前年比-0.6%、±0.0%を予想する。これらは、前回

見通しに比べ、それぞれ 0.3 ppt、0.4pptの下方修正となる。

4. 政府はこれまで、4 月に決定した 117 兆円規模の緊急経済対策に加え、20 年度第 2 次補正予算編成を通じた

追加経済対策策定に動いてきた。これらは、1)感染制御のための医療体制整備、2)雇用対策・個人所得補償策、

3)企業の資金繰り支援、に重点が置かれてきた。しかし、7-9 月期以降も持続が予想される所得・支出減の悪

循環のリスクを踏まると、感染制御に向けた活動制限とのバランスをとりながら、徐々に政策的な需要創出策

を打ち出していくことが求められるだろう。20 年度第 3 次補正予算以降の対策においては、雇用創出効果の

大きい公共事業費の追加が行われる可能性が高いと予想する。

野村證券金融経済研究所 経済調査部

美和 卓、桑原 真樹、岡崎 康平、棚橋 研悟、髙島 雄貴、新井 真

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予測要約表

図表 1: 日本経済の予測要約表

  

19年度 20年度 21年度 19暦年 20暦年 21暦年(予) (予) (予) (予)

実質国内総生産(GDP) -0.1 -5.7 3.9 0.7 -5.7 2.7

 <内需寄与度> 0.1 -4.4 3.3 0.8 -4.6 2.4

<民間内需> -0.5 -4.8 3.1 0.3 -4.9 2.0

国 <公的内需> 0.6 0.3 0.2 0.5 0.4 0.3

 <外需寄与度> -0.2 -1.3 0.6 -0.2 -1.1 0.3

内  民間最終消費支出 -0.6 -4.8 3.2 0.1 -4.9 2.1

 民間住宅投資 0.3 -11.0 3.4 2.0 -10.5 -0.2

総  民間企業設備投資 -0.9 -10.2 8.0 0.7 -10.3 5.4

 民間在庫品増減<寄与度> -0.1 -0.1 0.0 0.1 -0.2 0.0

生  政府消費 2.4 0.6 0.4 1.9 1.1 0.4

 公的固定資本形成 3.3 4.0 2.0 2.9 2.8 4.5

産  財貨・サービス輸出 -2.7 -12.2 11.4 -1.6 -13.0 9.0

 財貨・サービス輸入 -1.7 -4.4 6.8 -0.7 -6.5 6.5

名目国内総生産(GDP) 0.7 -5.1 3.8 1.3 -4.8 2.4

GDPデフレーター 0.8 0.6 -0.1 0.6 0.9 -0.3 鉱工業生産 -3.8 -8.6 5.8 -3.0 -8.5 4.0

国内企業物価 0.2 -3.3 0.9 0.2 -2.2 -0.3

消費者物価 0.5 -0.6 0.0 0.5 -0.2 -0.3

除く生鮮食品 0.6 -0.6 0.0 0.6 -0.2 -0.4

同(消費増税、教育無償化の影響除く) 0.4 -0.7 0.0 0.6 -0.4 -0.4

完全失業率(%) 2.4 2.9 2.9 2.3 2.8 2.9

貿易収支 (兆円) 0.6 -0.4 0.3 0.4 0.1 0.2

貿易・サービス収支 (兆円) 0.2 -2.3 -0.8 0.5 -2.0 -1.0

経常収支 (兆円) 19.8 15.9 17.7 20.1 16.5 17.5

[2020年5月18日時点]

生産・物価

対外収支

注: 別段の記載がない限り、前年(度)比%。-0.0の場合も0.0と表示している。

出所: 内閣府、総務省、経済産業省、財務省、日本銀行資料より野村作成

図表 2: 経済見通し前提表

  

2020年度 2021年度

110.0 110.0

10.0 10.0

北海ブレント(年度末値、ドル/バレル) 36.8 39.7

ドル円相場(年度末値)

消費税率(期末値、%)

出所: 野村

Nomura | 2020~21年度の経済見通し 2020年5月22日

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日本経済: 「コロナ・ショック」からの持ち直しはL字型

(1) 総括

20年1-3月期GDP1次速報、緊急事態宣言解除を受けた経済見通し改定

5月18日公表の20年1-3月期GDP1次速報、政府による39県を対象とする緊急事態宣

言解除及び残る都道府県での解除の可能性を念頭に、2020~21年度の経済見通しを

改定した。19年度実績の実質GDP成長率(前年比)-0.1%に対し、20、21年度はそれぞ

れ同-5.7%、+3.9%を予想する。前回4月17日時点見通しとの比較では、20年度が0.1

ppt、21年度が0.6pptそれぞれ上方修正となる。

緊急事態宣言解除で実質消費は小幅上方修正だが

緊急事態宣言解除への動きを踏まえ、実質個人消費(前年比-4.8%)は前回見通し(同

-5.6%)に比べ小幅上方修正となる。一方で、実質GDP全体の前年比成長率は、19年

度のゲタの効果を+0.4ppt程度含むため、実質的には下方修正となる。これは、緊急事

態宣言期間の工事停止などの影響を受けた実質住宅投資、実質公共投資の下方修

正に加えて、実質輸入の減少幅が前回見通しに比べ小幅に留まる影響である。国内

での企業の生産停止にも関わらず需要が維持・拡大した一部の財について、輸入代

替が生じた可能性が指摘できる。

実質成長の最悪期は20年4-6月期だが、その後の持ち直しはL字型を予想

野村では、欧米主要都市の封鎖措置(ロックダウン)に伴う需要急減、国内での緊急事

態宣言発令を背景とした外出抑制、営業休止の影響を受け、20年4-6月期実質GDP

は前期比年率-26.5%と極めて大幅な減少を記録すると予想する。しかし、欧米での

ロックダウン、国内の緊急事態宣言がいずれも5月に入ってから徐々に解除に向かっ

ていることから、7-9月期以降経済成長は持ち直しに向かうと判断する。しかし、新型コ

ロナウイルスの感染再拡大を防ぐため今後も緩やかながら行動・営業制限を継続する

ことが求められる点に加え、4-6月期までに生じた需要減少が、所得(賃金、企業収益)

の減少を通じて今後も支出(家計消費、企業設備投資)の抑制を持続させる可能性が

高い点からも、7-9月以降の成長加速は極めて緩慢な「L字型の回復」となる公算が大

きい。

一時的なデフレ化は不可避

国内の物価環境は、一時的にデフレ化する公算が大きい。20年4-6月期にかけての需

要急落に加え、その後の回復が鈍いことから、需給ギャップの改善も緩やかなものに

留まる上、原油をはじめとする国際商品市況の急落により投入価格の下落の影響が

及んでくると考えられるためである。20、21年度のコア(生鮮食品を除く、消費増税、教

育無償化の影響を含む)消費者物価はそれぞれ前年比-0.6%、±0.0%を予想する。こ

れらは、前回見通しに比べ、それぞれ0.3ppt、0.4pptの下方修正となる。

政策の軸足は徐々に需要創出策へ

政府はこれまで、4月に決定した117兆円規模の緊急経済対策に加え、20年度第2次

補正予算編成を通じた追加経済対策策定に動いてきた。これらは、1)感染制御のため

の医療体制整備、2)雇用対策・個人所得補償策、3)企業の資金繰り支援、に重点が置

かれてきた。しかし、7-9月期以降も持続が予想される所得・支出減の悪循環のリスク

を踏まると、感染制御に向けた活動制限とのバランスをとりながら、今後は、徐々に政

策的な需要創出策を打ち出していくことが求められるだろう。20年度第3次補正予算以

降の対策においては、雇用創出効果の大きい公共事業費の追加が行われる可能性

Nomura | 2020~21年度の経済見通し 2020年5月22日

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が高いと予想する。

低下する追加金融緩和の可能性

日本銀行は、4月27日の金融政策決定会合において、1)国債の無制限買入れ表明、

2)社債、CP購入枠増額を含む企業の資金繰り支援策、を柱とする金融緩和強化を決

定した。国債の無制限購入は、政府の大型経済対策に伴う国債増発を視野に入れた

政策協調である一方、現行の長短金利操作の下で金利環境の激変を防ごうとすれば

当然とるべき対応であり実質的な緩和強化とは言い難い面もある。日銀は同時に、こ

れまで政策公表文中で「必要があれば、躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じる」条

件としてきた「物価安定目標に向けてのモメンタム(勢い)」に関する表現を削除した。今

後の日銀金融政策運営は、インフレ率の動向やそのモメンタムから切り離されることと

なり、追加金融緩和が実施される確度は一段と低下した可能性があるだろう。

(2) 輸出は4-6月期に大幅減少、7-9月期以降は緩やかな増加へ

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により20年1-3月期の輸出は大幅減少

2020年1-3月期のGDPベース実質財貨・サービス輸出は前期比-6.0%と、2019年10-

12月期の同+0.4%から大幅な減少に転じた。新型コロナウイルスの世界的な感染拡

大に伴い、多くの国・地域でロックダウン(都市封鎖)の措置が講じられ、需要が激減し

たことや、各国・地域の入国制限により海外旅行が事実上禁止された影響によるもの

と見られる。1-3月期の輸出を財・サービスの寄与度別に見ると、財輸出は前期比-

1.8%pt、サービス輸出は同-4.0%ptとどちらも減少したが、サービス輸出の減少がより

大きく寄与した(図表3)。

図表 3: 実質財貨・サービス輸出(GDPベース)

  

出所: 内閣府資料より野村作成

図表 4: 訪日外国人客数

  

出所: 日本政府観光局(JNTO)資料より野村作成

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インバウンドの回復には時間を要する

サービス輸出のうち、1-3月期に特に大きく減少したのは、訪日外国人客によるインバ

ウンド消費だろう。日本政府観光局(JNTO)によれば、1-3月期の訪日外国人客数はお

よそ394万人と、前期比46.2%の減少(季節調整値)となった。新型コロナウイルスの感

染拡大に伴い、1月下旬に中国からの入国を制限したのを皮切りに、多くの国・地域か

らの入国を制限したためだ。4月の訪日外国人客数も2,900人と、前年同月のおよそ

293万人と比べ、ほぼゼロに等しいところまで激減した状況となっている(図表4)。

当然、外国でも入国制限は行われている。世界の感染者数は増加ペースこそ頭打ち

となっているものの、4月に入ってからほぼ毎日8万人程度のペースでの増加が続いて

おり、感染が終息したと判断するには程遠い状況だ。このような状況下において、入国

制限の緩和を決定したのは、本稿執筆時点でイタリア(6月3日から、EU(欧州諸国連

合)諸国に限り移動制限を解除)や、バルト3国と呼ばれるエストニア・ラトビア・リトアニ

アの3国間(5月15日に解除済み)など数カ国とまだ少なく、対象が隣国に限定されてい

る。

国内で感染が終息しても国外で終息していなければ、入国制限の解除はウイルスが

国外から持ち込まれるリスクを高めることになるため、人の移動に関する制限の解除

までには時間がかかると見た方が良いだろう。また、法的な制限が解除されても、ウイ

ルスの感染拡大が世界的に明らかに終息したと言える状況となる、もしくは治療薬が

広く一般に普及するようになるまでは人々の不安が払拭されるとは考えにくく、国を越

えた渡航者数がすぐに元の水準に戻るとは限らない。不確実性は大きいが、野村で

は、インバウンドが明確な増加に転じ始めるのは、2021年以降になると想定している。

4-6月期の輸出は更なる大幅減少を見込む

財輸出に先行するとされる経済指標を確認してみよう(図表5)。3月の機械受注・外需

は前年同月比-14.4%と、2月の同-10.2%から減少幅が拡大した。4月の工作機械受

注(外需)は前年同月比-46.3%と、大幅に減少した3月(同-43.7%)よりもさらに大幅な

減少となった。4月の製造業PMI新規輸出受注指数は前月差-7.0ptの33.0と、2カ月連

続の大幅下落となった(3月は前月差-7.1ptの40.0)。輸出関連指標は、4-6月期も輸出

が前期比で大きく減少する可能性を示唆していると言えよう。

Nomura | 2020~21年度の経済見通し 2020年5月22日

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図表 5: 輸出関連指標

  

注: 機械受注・外需の最新値は3月分、工作機械受注・外需、製造業PMI新規輸出受注指数の最新値は4月分。

出所: 内閣府資料、日本工作機械工業会資料、IHS Markit・じぶん銀行より野村作成

海外経済の動きに目を転じてみよう。中国の製造業PMIは2月に急低下したものの、3

月には増加/減少の境目となる50にほぼ回復、4月も小幅な低下にとどまり、経済活

動が持ち直しに向かっていることが窺われる(図表6)。同国では、新型コロナウイルス

が最初に大流行した一方で、(現在、感染拡大の第2波が現れ始めた可能性もある

が)終息した時期、ロックダウンからの経済活動再開のタイミングも早かったことが表

れたと見られる。中国向け輸出は日本の輸出のおよそ2割を占めており(図表7)、同国

の経済活動が比較的底堅さを見せているのは心強い。

しかし、米国、ユーロ圏の4月の製造業PMIはそれぞれ36.1(前月差-12.4pt)、33.4(同-

11.1pt)と急低下した(図表6)。これらの地域では、景気が最も悪化するのは4-6月期と

なろう。日本からの中国向け輸出には電子部品などの生産財が多く含まれており、も

ちろん中国国内で消費される面もあるが、大きな最終需要地としての先進国の経済動

向にも影響を受けることを考慮すれば、全体的に日本にとっての外需環境はまだこれ

からさらに悪化する可能性が大きいだろう。

20年度の輸出は大幅減少、21年度は前年比増加を予想

野村では、4-6月期のGDPベース実質財・サービス輸出は前期比-16.1%と、1-3月期

を上回る大幅な減少を見込んでいる。7-9月期には、新型コロナウイルスの感染拡大

がある程度収まり、経済活動を再開させる都市・国も増えてくるとの想定から、実質輸

出は前期比増加に転じると予想する。

ただし、性急な経済活動再開は感染再拡大のリスクを高めるため、そのペースは緩慢

なものとなろう。20年度の実質輸出は前年比-12.2%と大幅に減少、21年度は同

+11.4%と増加を予想する。

Nomura | 2020~21年度の経済見通し 2020年5月22日

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図表 6: 国・地域別 製造業PMI

  

出所: IHS Markitより野村作成

図表 7: 名目輸出に占める各仕向地国・地域の割合(円ベース、2019年)

  

出所: 財務省資料より野村作成

(3) 鉱工業生産は大幅減少へ、業種ごとの濃淡も1-3月期の鉱工業生産は、前期比+0.4%となった。わずかとはいえ3四半期ぶりの前期

比増加であり、年明け後の鉱工業生産は下げ止まりを見せたことになる。内訳をみる

と、消費財が同+1.2%と増加に転じたほか、資本財(輸送機械除く)も同-0.5%と、19年

10-12月期の同-6.5%と比較して減少幅を大きく縮小させている。鉱工業生産の下げ

止まりは、19年10月に行われた消費増税後の内需減少がある程度一服していたこと

を反映している面があろう。

ただし月次ベースでみると、鉱工業生産は1月に前月比+1.9%と増加、2月も同-0.3%

と底堅く推移したが、3月は同-3.7%と大きめの減少となった。3月は、大分類10業種中

9業種の生産が前月比減少している。3月は、鉱工業出荷も同-5.0%、在庫は同

+1.9%、在庫率は同+8.5%となっており、生産・出荷の減少、在庫の積み上がりが明確

となった。新型コロナウイルス感染拡大防止のための外出自粛による内外需の減少

や物流遅延の影響が、顕著に表れ始めたとみられる。

製造工業生産予測調査によれば、4・5月の製造工業生産はそれぞれ前月比+1.4%、-

1.4%となっている。4月には日本を含め世界的に外出自粛が強化されたことを考える

と、これらの生産見通しは楽観的に過ぎるだろう。たとえば、4月23日付の日本経済新

聞電子版は、トヨタ自動車の5月の国内自動車生産が、3月計画比でほぼ半減すると

報じている。一方、製造工業生産予測調査では、輸送機械工業の5月生産見込みは3

月比で2割程度低い水準にとどまっている。他社の動向にもよろうが、同予測調査の

実施期日である4月10日以降、追加的な生産見通しの下方修正があってもおかしくは

ない。

もともと、鉱工業生産の実績は予測調査の結果を下回る傾向があることを踏まえ、過

去3か月の平均修正率で修正すると、4・5月はそれぞれ同-1.5%、-4.7%となる。これ

らをそのまま当てはめた場合、4・5月平均の鉱工業生産は1-3月平均比-6.3%と大幅

減少が示唆される。実際の減少幅はこれを上回る可能性が高く、野村では4-6月期の

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鉱工業生産を前期比-11.7%と予想している。

一方、業種別の生産動向には違いが出そうだ(図表8)。4・5月平均の1-3月平均比を業

種別にみると(修正率調整済み)、輸送機械工業の-22.9%、鉄鋼業の-25.5%が目立っ

ている。これらの業種は、内外での外出自粛に伴う需要減退の影響をまともに受けて

いると考えられる。一方、半導体製造装置などが含まれる生産用機械工業は+0.6%、

基地局通信装置やPC(パソコン)が含まれる情報通信機械工業は+13.6%と増加方向

にあり、電子部品・デバイス工業は-0.4%と小幅減少にとどまっている。テレワークや5

G(第5世代移動通信システム)関連の需要が底堅い可能性が示唆される。

図表 8: 鉱工業生産指数の業種別内訳

  

注: 1. IT・デジタル=電気機械+情報通信機械+電子部品・デバイス。2. 素材=鉄鋼+非鉄金属+化学。3. 20年4-6月期は、4・5月平均の1-3月平均比。20年4・5月は生産予測指数を過去3 ヶ月平均の実現率・予測修正率で調整。

出所: 経済産業省より野村作成

7-9月期以降は、国内外で外出自粛が緩和されていくのに伴い、鉱工業生産も前期比

増加基調に復すると予想する。ただし、そのペースは緩慢なものとなろう。20年度の鉱

工業生産は前年比-8.6%、21年度は同+5.8%を予想する。

(4) 新型コロナウイルス禍で設備投資は大幅減少へ

設備投資にも新型コロナウイルスの悪影響

20年1-3月期のGDPベース実質設備投資は前期比-0.5%と2四半期連続で減少した。

減少率自体は小さいが、19年10-12月期に同-4.8%と大きく減少したところから反発せ

ず、基調の弱さが窺える。19年10月の消費増税によって国内景気が落ち込んでいた

のに加え、新型コロナウイルスの感染拡大が日本でも本格化したことが企業に設備投

資を消極化させたと考えられる。既に公表された多くの統計では企業の景況感は急速

に悪化しており、今後の設備投資にも悪影響が及ぶと考えられる。

日銀短観(20年3月調査)では、20年度の設備投資計画(全産業、含むソフトウェア、除く

土地)は業況判断が悪化したにも関わらず前年比+1.3%と、19年3月時点での19年度

計画値の同+0.2%を上回った(図表9)。一見、企業の設備投資意欲が強いように映る

ものの、20年3月調査の回答基準日は3月11日であり、4月1日付日本経済新聞電子版

によれば約7割の企業がこの日までに回答を終えていたという。日本での新型コロナ

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ウイルスの感染拡大が目立ち始めたのは2月下旬であることから、一部の回答が早

かった企業は、その影響を十分に織り込めていなかった可能性も指摘できる。3月調

査の結果は割り引いて考える必要があり、6月調査での下方修正が大きくなる可能性

が考えられる。

また、20年度設備投資計画を業種別にみると、不動産業によって下支えされている側

面も大きい(3月調査での比較、20年度計画と19年度計画の全産業前年比に対する寄

与度差:+0.8%pt、図表10)。不動産以外の業種を見ると、飲食店・宿泊や電気機械、

鉄鋼、自動車といった、新型コロナウイルスの感染拡大による業績への影響が大きい

とみられる業種で鈍化している。国内外における経済活動規制は、既に設備投資意欲

を減退させ始めているといえよう。

図表 9: 日銀短観設備投資計画(含むソフトウェア、除く土地)

  

注: シャドーは景気基準日付の景気後退期。

出所: 日本銀行、内閣府資料より野村作成

図表 10: 設備投資計画の20年度と19年度の比較

  

注: 3月調査時点での比較。全規模、ソフトウェア含み土地投資除く。

出所: 日本銀行資料より野村作成

不動産業の設備投資計画が加速した背景としては、建築物のヴィンテージ(築後経過

年数)の高止まりによる更新需要があるのかもしれない。日本銀行は、20年1月に公表

した「経済・物価情勢の展望」(展望レポート)で国富調査(1970年)などのデータを用い

た分析を行い、建設投資が好調な背景として、現在まで建物・構築物(住宅除く)のヴィ

ンテージが上昇、高止まりしている点を指摘している。また、同レポート内では、民間

非居住用建築着工(工事費予定額)のデータの周波数分析を行い、中長期循環(15~

50年)のサイクルがこのところの建設投資の押し上げ要因となっている点も指摘してい

る。同レポート内で直接言及されている訳ではないが、バブル期の建設ラッシュで竣工

した物件が現在建て替えを迎えている可能性を指摘できよう。

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大手ゼネコンによる建設工事停止の影響も

もちろん、不動産業においても今後は景気の悪化を受けた設備投資下方修正の可能

性がある。加えて、4月に入ってから大手ゼネコンが相次いで新型コロナウイルスの感

染拡大に対処するため、建設工事の中断を発表した。何割の建設工事がどの程度の

期間中断されるかは不明であるが、野村では、設備投資の4分の1程度を占める建設

投資が、4-6月期に20%の期間停止する結果、4-6月期の実質設備投資は5%程度押

し下げられると想定している。

今後の景気の回復状況は極めて不透明感が強く、企業は設備投資に消極的な状態

が続こう。野村では、GDPベース実質設備投資は20年度に前年比-10.2%と大幅に減

少すると見込む。21年度には、経済活動が緩やかに再開されるのに伴い、同+8.0%と

回復を予想する。

(5) 雇用・賃金は今後、更に悪化する見込み

年明け後の雇用環境は軟化

年明け後の雇用環境は、軟化方向を示している。失業率は、19年12月の2.2%から、3

月には2.5%と19年3月以来の水準まで上昇した。20年3月の有効求人倍率は3か月連

続で低下し、1.39倍となった(図表11)。20年1-3月期の就業者数は前期比-0.3%と、18

年7-9月期以来の減少幅となっている 。19年10月に行われた消費増税後の景気の落

ち込みを受け、企業の採用意欲に陰りが出ているとの評価が可能であろう。

一方、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた外出自粛の影響は、雇用環境にはま

だ明確に表れていないようだ。日本国内において外出自粛ムードが本格化したのは3

月からとみられるが、3月の就業者数は前月比-0.2%と、減少はしているものの取り立

てて大幅ではない。産業別にみると、3月の製造業の就業者数(季節調整は野村によ

る)前月比-1.1%と大きめの減少となっており、海外景気の悪化に伴う輸出減少が影

響した可能性はあるものの、前月比減少が始まったのは20年1月からである。外出自

粛の影響を特に受けやすいとみられる非製造業の就業者数(季節調整野村によ

る)は、同±0.0%と横ばいであった(図表12)。

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図表 11: 完全失業率と有効求人倍率

  

注: シャドー部分は内閣府景気基準日付に基づく景気後退期を示す。 20年1月から求人票の記載内容が変更され、記入項目が増加したため、求人数が減少した点に注意。

出所: 内閣府、総務省、厚生労働省資料より野村作成

図表 12: 産業別の就業者数

  

注: シャドー部分は内閣府景気基準日付に基づく景気後退期を示す。

出所: 内閣府、総務省資料より野村作成

先行き雇用は大きく悪化する見込み

ただし今後は、外出自粛による経済活動の落ち込みが雇用環境を大きく悪化させる可

能性が高い。雇用に先行する傾向のある雇用保険の基本手当受給資格決定件数(季

節調整値)は、3月に前月比+6.5%と大きめに増加している(図表13)。また、5月の

QUICK短観調査の雇用人員判断DI(「過剰」の回答割合から「不足」の回答割合を引

いたもの)は-11と、2月の-43から3ヶ月連続でマイナス幅を縮小させており、人手不足

感が明確に弱まったことを示唆している(図表14)。特に、非製造業の雇用人員判断DI

をみると、3月時点では、−53と強い人手不足感を示していたが、4月に−37、5月に−

23と2ヶ月連続でマイナス幅が大きく縮小した。過去7年程度、非製造業が就業者全体

の増加を主導してきたが、今後は、製造業の就業者数と同様に減少に転じると考える

のが自然であろう。

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図表 13: 雇用保険の基本手当受給資格決定件数

  

注: シャドー部分は内閣府景気基準日付に基づく景気後退期を示す。

出所: 内閣府、厚生労働省資料より野村作成

図表 14: QUICK短観の雇用人員判断DI

  

出所: QUICK短観より野村作成

雇用が悪化しにくい要因も存在

一方で、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う景気悪化局面においては、通常の景

気後退局面とは異なり、雇用の悪化を抑制し得る要因も考えられる。例えば、家計に

余裕がある場合には、感染リスクを避けるためにあえて働くのをやめることも可能であ

ろう。あるいは、学校の休校により自宅に滞在する子供が増え、これまで子供が不在

の時間だけ働いていたパートタイム労働者が求職をやめるかもしれない。このように、

労働市場から一時的に退出する動きが拡がれば、就業者数が減少しても失業率が上

がりにくくなる。実際、単月の動きではあるが、3月の新規求人倍率が前月から上昇し

2.26倍となったのは、分母の新規求職申込件数が前月比-6.9%と、分子の新規求人

数の同−5.1%を上回る減少幅となった結果である。新規求職申込件数の単月の減少

幅としては、月次の季節調整系列が遡れる02年1月以降、11年9月に次ぐ2番目の大き

さである。

加えて、もともと日本では、景気悪化時に雇用が悪化しにくい傾向がある。たとえば、

リーマンショック当時に生じた潜在的な雇用調整圧力に対して、実際にどの程度雇用

者数が減少したのかを算出すると、日本は米国と比較して、雇用調整圧力に対する雇

用者数の減少の程度が小さかったことがわかる。米国では、4月の失業率が前月から

10.3ppt上昇して14.7%となるなど、猛烈な勢いで雇用環境が悪化しているが、日本の

雇用を並列で論じてはいけないということになろう。

リーマンショック当時、産業ごとに、どのような方法で雇用調整が行われたかを振り返

ると、外出自粛の影響を強く受ける宿泊・飲食業と卸・小売業のうち、派遣労働者の削

減を実施した企業、パートタイム労働者の解雇を実施した企業はともに10%未満にと

どまり、雇用調整は主に労働時間の削減によって行われていた(図表15)。これらの業

種では、業務の特性上、雇用の頭数ではなく一人当たりの労働時間を調整することが

容易であるため、リーマンショック時に雇用者数の減少が抑制されたなのかもしれな

い。

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図表 15: 産業別の雇用調整方法

  

注: 各産業において、各雇用調整方法を実施した企業の割合を示す。

出所: 厚生労働省資料より野村作成

野村では、20年度の実質GDP成長率は前年度比-5.7%と、減少率においてリーマン

ショックの影響を受けた09年度の同-3.4%を大きく上回るとみている。リーマンショック

時における失業率をみると、同ショック直前の4%前後から、 ピークだった09年7月に

5.5%まで、1年弱で1.5%ptの急上昇を見せた。また、09年度の就業者数は前年度比-

1.5%と減少した。今回も、失業率の上昇はある程度不可避であろう。

一方で、上述のように、今回の景気悪化は通常とは異なり、失業率が上昇しにくくなる

面もあるとみられる。政府も、リーマンショック当時を超える大規模な経済対策を打ち

出している。以上を踏まえ、20年度の就業者数は前年度比-1.6%と、09年度と同程度

減少、失業率も20年10-12月期に3.2%まで上昇するとみるが、失業率の上昇幅はリー

マンショック後よりも小幅と予想する。21年度には、景気回復に伴い、緩やかに雇用が

改善するとみている。

賃金は概ね従来通りの伸びだが所定外給与が大幅減少

賃金上昇の基調を示す所定内給与は、20年1月から3月にかけて前年同月比+0.4~

0.7%と、従来通り概ね0%台半ばの推移であった(図表16)。一方、新型コロナウイル

スの感染拡大に伴う外出自粛の影響が出始めた3月をみると、所定外給与は同‐6.4%

となり、1・2月から減少幅が拡大した(図表17)。また、パートの所定内給与も同‐0.4%

と19年8月以来の前年同月比減少となった。国内外の外出自粛に伴い企業活動が停

滞し、労働時間が減少したためであろう。

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図表 16: 現金給与総額(雇用者計)と所定内給与(一般労働者)

  

注: 5人以上の継続調査事業所(共通事業所)の数値を使用。

出所: 厚生労働省資料より野村作成

図表 17: 所定外給与(雇用者計)と所定内給与(パートタイム)

  

注: 5人以上の継続調査事業所(共通事業所)の数値を使用。

出所: 厚生労働省資料より野村作成

賃金の先行きを考えてみよう。春闘のベースアップ(ベア)率は、日本労働組合総連合

会の第5回集計(5月7日に集計)時点において0.45%と、19年の0.56%からやや低下す

ることを示唆している(図表18、19)。緊急事態宣言の下で政府からの休業要請に応じ

た企業もあったことを考えると、一般労働者の所定内給与の伸び率は、春闘のベア率

が示唆するよりも低めとなる可能性が高い。一般労働者の所定外給与や特別給与、

パートの賃金は大きく減少する可能性が高いだろう。21年度は景気回復に伴い、緩や

かな賃金持ち直しが期待される。

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図表 18: 各回答集計時点でのベースアップ率

  

注: 2015年は第6回、2016年以降は第7回が最終集計。2020年は第5回集計まで掲載。2020年の第4回集計は集計中止。賃上げ率のうち、ベースアップ分が明確に分かる組合の結果のみ示している。

出所: 日本労働組合総連合会資料より野村作成

図表 19: ベースアップ率と所定内給与

  

注: 1. 本調査の調査対象は、連合傘下の労働組合。2. 賃上げ率は全て連合調査に基づく計数であるが、2013年以前のベースアップ率、定期昇給率は経団連の調査に基づき遡及している。3. 15年以降、賃上げ率のうち、ベースアップ分が明確に分かる組合の結果のみ示している。4. 18年度以降の所定内賃金は共通事業所ベース。5.20年の賃上げ率・ベースアップ率は第5回集計結果。

出所: 日本労働組合総連合会、日本経済団体連合会、厚生労働省資料より野村作成

以上を踏まえ、野村では、20年度の一人当たり現金給与総額を前年度比‐2.7%と減

少、21年度は同+0.8%と増加するとみている。既に議論した雇用の先行きを踏まえる

と、雇用者数×一人当たり賃金で計算した家計部門の「総賃金」は、20年度に前年度

比-3.9%、21年度に同+1.9%と試算される(図表20)。

図表 20: 家計の総賃金(雇用者数☓一人当たあり賃金)の見通し

  

出所: 総務省、厚生労働省資料より野村作成、予測は野村

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(6) 個人消費は4-6月期に更に減少し、その後、緩やかに改善しよう

個人消費は2四半期連続の前期比減少

20年1-3月期のGDPベース実質民間最終消費支出は、前期比-0.7%となった。消費増

税直後に当たる19年10‐12月期に同‐2.9%と大幅に減少していたが、それに続く2四半

期連続の前期比減少であり、個人消費は弱いと言えよう。

月次の消費統計を確認すると、商業動態統計における実質小売業販売額(季節調整

値、実質化は野村による)は、1月に前月比+0.5%、2月に同+0.8%と2ヶ月連続で増加

した。家計調査の実質家計消費支出(季節調整値、2人以上世帯)は1月に同-1.6%と

減少したものの、2月は同+0.8%と増加した(図表21)。1・2月の個人消費が底堅かった

のは、増税直後に大幅に落ち込んだところからの自然な持ち直しに加え、2月には外

出自粛の拡がりに伴い食料品や光熱・水道代、テレワークに対応するためのPC関連

商品への支出など巣ごもり消費が発生したためとみられる。しかし、3月の実質小売業

販売額は前月比-4.4%、実質家計消費支出は同-4.0%とそれぞれ大きく減少した。内

訳をみると、実質家計消費支出の光熱・水道と教育を除いた全ての業種、系列が減少

しており、3月から外出自粛の浸透に伴う個人消費の押し下げ効果が顕在化したとみ

られる。

図表 21: 実質家計消費支出と実質小売業販売額

  

注: それぞれ季節調整値を使用。小売業販売額の実質化は野村による。実質家計消費支出は2人以上世帯の数値を使用。

出所: 総務省、経済産業省資料より野村作成

4-6月期の個人消費は前期から更に減少する見込み

既に公表されている4月以降の消費関連統計をみると、新車販売台数(乗用車、季節

調整野村による)は前月比-18.2%、大手百貨店のプレスリリースから試算した全国百

貨店売上高は同‐53.2%と大幅に減少しており、4月には外出自粛の影響がさらに顕

著になっていることが確認される(図表22)。週次データを確認できるMETI  POS小売

販売指標では、巣ごもり消費の恩恵を受けるスーパーマーケットやホームセンターの

販売は堅調であるが、コンビニ、家電大型専門店、ドラッグストアの販売は振るわない

(図表23)。業態によって動向は異なるものの、全体として4月の小売販売はさらに減

少する可能性が高い。また、これらの統計には含まれない、外食やレジャー関連消費

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が大きく落ち込むことも想像に難くない。

図表 22: 百貨店売上・新車販売台数

  

注: 野村による季節調整値を使用。20年4月の全国百貨店売上高は大手百貨店のプレスリリースを基にづく野村の推計値。

出所: 日本百貨店協会、日本自動車販売協会連合会より野村作成

図表 23: METI POS小売販売指標

  

注: METI  POS小売販売指標の業態別販売額指数の前年同週比について、商業動態統計の業態別のウエイト(2018年平均)を用いて加重平均をとった数値を用いて作成。

出所: 経済産業省資料より野村作成

消費者センチメントも大きく悪化している。4月の消費者態度指数は大幅に低下(前月

差-9.3pt)し、月次ベースで調査を開始した 04年3月以降で最低水準の21.6となった(

図表24)。内訳をみると、雇用環境は15.0(前月差- 12.9pt)、暮らし向きは21.9(同-8.1

pt)、耐久財の買い時判断は23.3(同-7.7)、収入の増え方は26.3(同-8.5)と全系列が低

下したが、特に雇用環境の悪化が目立つ(図表25)。景気悪化に伴い、雇用環境の悪

化は避けられない見込みだが、雇用調整助成金などの経済対策でそれをどの程度抑

制できるかが、今後の消費者センチメントを左右するだろう。

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図表 24: 消費者態度指数

  

出所: 内閣府資料より野村作成

図表 25: 消費者態度指数の構成項目

  

出所: 内閣府資料より野村作成

緊急事態宣言解除後の個人消費

個人消費の先行きを見通してみよう。既に見た通り、財・サービス消費双方の落ち込

みにより、4-6月期の個人消費の大幅な減少は避けられないだろう。一方、緊急事態

宣言が解除された後は、ある程度の消費活動の持ち直しが予想され、7-9月期以降は

回復に向かうと見込まれる。

問題は、個人消費の回復ペースであろう。性急な経済活動正常化は感染第2波のリス

クを高めてしまうため、緊急事態宣言解除後も消費活動が直ちに元に戻るわけではな

いと考えられる。医療崩壊が起こらない程度の感染再拡大を許容しながら、経済活動

の正常化は緩やかなペースで行われざるをえないだろう。雇用・所得環境の悪化や、

それに伴う消費者センチメントの悪化も、さらに消費活動を抑制すると考えられる。

以上を踏まえると、緊急事態宣言解除後の個人消費持ち直しペースは緩やかなもの

にならざるをえないだろう。野村では、20年度のGDPベース実質個人消費を前年比-

4.8%、21年度は+3.2%と見込んでいる。

(7) 住宅着工戸数は回復しかけるも新型肺炎禍でまだ落ち込む見込み20年1-3月期のGDPベース実質住宅投資は、前期比-4.5%と大きく減少した。先行指

標である住宅着工戸数は19年4-6月期以降前期比減少を続けており、特に19年10-

12月期は前期比-4.6%と大きく減少していたのを踏まえると違和感はない。一方で、20

年1-3月期の住宅着工戸数は前期比-0.2%とほぼ横ばいとなり、これまで続いてきた

住宅着工戸数の減少が一服しつつあったことを示唆している(図表26)。

住宅着工戸数は19年末まで、消費増税後の反動減(住宅は基本的に受け渡し時点の

税率が適用されるため、完成までに時間がかかる住宅の着工の反動減は増税よりも

早いタイミングで始まる)に加え、15年の相続税の基礎控除引き下げに伴う相続税対

策としてのマンションブームの反動減と、金融機関の融資厳格化によって減少を続け

てきたが、20年1-3月期は6四半期ぶりに貸家が増加した。貸家の着工に先行する、金

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融機関の「個人による貸家業への新規貸出」は19年10-12月期に前年同期比+10.5%

と、約3年ぶりに増加に転じており(図表27)、貸家による押し下げ効果はようやく一巡し

ていたとみられる。

図表 26: 住宅着工戸数

  

注: 個々の系列ごとに季節調整が掛けられており、積み上げは合計と一致しない。

出所: 国土交通省資料より野村作成

図表 27: 個人による貸家業への新規貸出と貸家着工戸数

  

出所: 日本銀行、国土交通省資料より野村作成

しかし、新型コロナウイルスの感染拡大が、回復の芽を見せ始めていた住宅投資を再

度落ち込ませると考えられる。長期データを参照できる大手住宅メーカーの受注を見

ると、直近値の4月にかけて大きく落ち込んでいる。大手住宅メーカーの受注は住宅着

工戸数に対して3-4カ月程度先行する傾向があり、住宅着工戸数は今後さらに減少す

るとみられる。

野村では、外出自粛が緩和されれば受注は今見られている大幅な落ち込みから回復

するとみている。住宅着工戸数の底は20年7-9月期となり、その後の着工戸数は回復

方向に向かうと想定しているものの、景気が大きく落ち込むため、7-9月期にかけて減

少した分はその後完全に取り戻されることはないと考えている。GDPベース実質住宅

投資も、住宅着工戸数の変動にやや遅れる形で、20年度に前年比-11.0%、21年度に

同+3.4%と予想する。

(8) 公共投資は目先減少、今後の景気対策では公共投資上積みも20年1-3月期のGDPベース実質公共投資は、前期比-0.4%となった。前期比ベースで

の減少は5四半期ぶりであり、18年度補正予算や19年度当初予算において景気対策

として積み増されてきた公共投資がやや息切れしたと解釈できる。

もっとも、公共投資が今後減少基調に入るわけではないだろう。1月30日に成立した19

年度補正予算には2.6兆円の公共投資が含まれていると見られ、また20年度当初予算

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でも「臨時・特別の措置」の枠で1兆円程度の公共投資が手当てされている。今後はこ

れらの施策が執行されていくことになろう。GDPベースの公共投資に1四半期程度先

行する公共工事請負金額は1-3月期に前期比+1.0%、4月単月の1-3月平均比は

+3.3%となっている(図表28)。本来であれば、GDPベース公共投資も1-3月期に横ば

いかやや増加、4-6月期以降は明確に増加するパターンをたどっていたとみられる。

図表 28: 予算成立タイミングと公共投資

  

注: 公共工事請負金と執行ベース公共投資の季節調整は野村による。縦線 はそれぞれの補正予算の成立タイミング。

出所: 北海道建設業信用保証株式会社、東日本建設業保証株式会社、西

ここで問題となるのが、新型コロナウイルスの影響である。4月30日付の日本経済新

聞朝刊は、公共事業全体の1割弱に当たる約1120件について、受注者が事業の一時

中止を申し入れたとしている。結果として何件の公共事業が、どのくらいの期間にわ

たって停止したかは不明であるが、経済見通しの作成にあたっては、1か月、つまり4-

6月期の3分の1の期間において、1割弱の公共事業が一時的に停止したと考え、4-6

月期の公共事業水準が3%押し下げられたと仮定した。一方、4-6月期に停止した分

は、7-9月期以降に取り戻されるとする。

加えて、先行きについては政府の景気対策による公共投資積み増しも想定される。4

月には、事業規模117兆円の景気対策が策定されたが、企業の資金繰り対策や家計

への所得移転が主要な内容である(図表29)。現在議論が進んでいる第2次補正予算

についても、中小企業の家賃助成が主な内容であり、公共事業増額の議論は聞こえ

てこない(図表30)。もっとも、建設を含む経済活動の活発化が感染リスクを高めること

を考えれば、新型コロナウイルスの感染拡大を受けたこれまでの景気対策に公共投

資が明確に含まれなかったのは不思議ではない。

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図表 29: 「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」の施策

  

(兆円)財政支出 事業規模 施策

Ⅰ.感染拡大防止策と医療提供体制の整備及び治療薬の開発

2.5 2.5・マスク、消毒液等の増産・PCR検査機器導入支援・病床確保、治療薬・ワクチン開発など

Ⅱ.雇用の維持と事業の継続 30.8 88.8

・雇用調整助成金拡充・政府系金融機関、民間金融機関による実質無利子・無担保の融資枠確保・収入大幅減の中堅・中小事業者に対する給付金(上限200万円)・一人当たり一律10万円の給付金・収入大幅減の事業者の国税・地方税・社会保険料の納付を1年間猶予など

Ⅲ.次の段階としての官民を挙げた経済活動の回復

3.3 8.5・新型コロナウイルス感染拡大一服後に割引などによる消費喚起キャンペーン・地方への臨時交付金創設など

Ⅳ.強靭な経済構造の構築 10.2 15.7・一国依存度が高い製品・部素材について生産拠点の国内回帰に補助・マスク・人工呼吸器などの国内生産拠点整備に補助・中小企業によるテレワーク通信機器導入支援など

Ⅴ.今後への備え 1.5 1.5 予備費の創設

合計 48.4 117.1

出所: 内閣府より野村作成

図表 30: 第2次補正予算のイメージ

  

対策 支出金額想定第2次補正予算に含まれる予定

雇用調整助成金の拡充・休業者への直接給付金 1兆円

飲食店などの家賃負担軽減 2兆円

オンライン授業を行う大学等への支援 未定

業績が悪化した大企業への劣後ローン等を用いた資本支援 未定

地方自治体向けの臨時交付金積み増し 2兆円

予備費の積み増し 3~4兆円

第2次補正予算 計 5~10兆円

第1次補正予算の予備費が使われる予定

アルバイト学生の支援 500~2000億円

第1次補正予算の予備費 計 1.5兆円

注: 地方自治体向けの臨時交付金積み増し等についても、第1次補正予算の予備費が部分的に使われるとの報道(日本経済新聞電子版、4月21日付)もある。

出所: 時事通信(5月11日付)、NHK(5月13日付)、日本経済新聞(5月15日付)より野村作成

一方、感染拡大が落ち着いた後は、公共投資を積み増す余地が出てくる。感染リスク

とは別に企業収益や雇用の悪化が設備投資や個人消費を長期にわたって抑制する

可能性が高いこと、社会インフラのサステナビリティを高める目的とも整合的であるこ

とも、感染一服後の公共投資の必然性を高めるとみられる。野村では、20年度後半に

さらなる補正予算が組まれ、2兆円の公共投資積み増しが行われる他、21年度当初予

算にも「臨時・特別の措置」として2兆円の公共投資が計上されると想定している。以上

の結果、GDPベース実質公共投資は、19年度の前年比+3.3%の後、20年度は同

+4.0%、21年度は同+2.0%と高めの水準を維持すると見込む。

(9) 新型肺炎禍の景気の落ち込みで物価の持ち直しは遅れよう20年1-3月期もコアCPIインフレ率は概ね低下方向を続けた。19年12月から20年1月上

旬にかけての原油価格上昇を受け、20年1月にはエネルギーがコアインフレ率を押し

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上げたものの、原油価格が低下に転じると、CPIのエネルギーも押し下げ方向に転じて

いる(図表31)。

2月後半以降に日本でも新型コロナウイルスの本格的な感染拡大がみられており、物

価に影響を与えると考えられる。ただし、通常の不況時には需要が大きく減退すること

を主因として物価に押し下げ圧力がかかるが、今回は新型コロナウイルスの感染拡大

を抑制するための方策として企業活動が抑制される形で供給能力も抑えられている。

物価には押し下げ、押し上げ両方の圧力がはたらくことになり、どちらの影響が強いか

見る必要があろう。

需要と供給のバランスを定量的に示した指標として、一般的に需給ギャップが参照さ

れる。日本銀行、内閣府による推計値が利用可能であるが、それぞれ独自に潜在

GDPを計算し、実質GDPの実績と比べてどれほど需要超過、あるいは供給超過になっ

ているかを公表している。需給ギャップのプラス幅が大きいほど物価に押し上げ圧力

がかかり、逆に需給ギャップ のマイナス幅が大きいほど物価に押し下げ圧力がかか

ると考えられる(図表32)。

図表 31: 全国コア CPI(消費増税の影響除く)の寄与度分解

  

注: 1.コア CPI は生鮮食品を除く消費者物価指数。2014 年 4 月、2019 年 10 月の消費税率引き上げ、2019年 10 月からの幼児教育無償化の影響を除く。2. 非耐久財は、総務省公表の「非耐久消費財」から「食料」「電気代」「都市ガス代」「プロパンガス」「灯油」「ガソリン」を除いたもの。ただし「酒類」は含まれている。

出所: 総務省資料より野村作成

図表 32: 需給ギャップ、短観加重平均DIとインフレ率

  

出所: 日本銀行、総務省資料より野村作成

しかし、需給ギャップのデータは公表がやや遅い。現時点で公表されているのは日本

銀行、内閣府の試算ともに19年10-12月期までである。そこで、日銀短観(20年3月調

査)の雇用人員判断DIと生産設備判断DIから「加重平均DI」を計算し、産業ごとの需給

ギャップの動向を見てみよう(図表33)。加重平均DIは、雇用人員及び生産設備の不

足・過剰感のDI(「過剰」の回答割合-「不足」の回答割合、DIのプラス幅が大きいほど

余剰感が強く、マイナス幅が大きいほど不足感が大きいことを示す)を、労働分配率・

資本分配率で加重平均したものである。企業から見た需要と供給のバランスを意味

し、上記の需給ギャップの計数と近い動きとなっている。ここでは、産業ごとの加重平

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均DIの計算に、日銀短観の産業別の雇用人員判断DI及び生産設備判断DI、労働分

配率に法人企業統計の労働分配率(人件費÷付加価値、全規模、14~18年度平均)を

用いる。全産業の加重平均DIは、19年12月の-22から20年3月は-19に上昇(悪化)し

ている。全体としては、外出自粛の強化とともに需給が緩和し、物価を押し下げる圧力

が生じていることが示唆される。

産業別に加重平均DIを見ると、多くの産業で19年12月から20年3月にかけて需給が緩

和しており、中でも新型コロナウイルスの悪影響を特に受けやすいと考えられる宿泊・

飲食サービスの需給緩和幅が非常に大きい。一方で、紙・パルプや電気機械、小売な

どはむしろ需給逼迫を示唆している。紙・パルプは需要が急増したマスクやトイレット

ペーパー、ティッシュペーパーの生産増を反映していると考えられる。電気機械は新型

コロナウイルスの感染拡大を防ぐためのリモートワーク用機器の需要増が、小売は(百

貨店やスーパーマーケットなどの業態によって影響は異なるだろうが)外食への需要

が、家で食事をとるためにスーパーで食材を購入するようにシフトしたのが反映されて

いる可能性が考えられる。

過去の大きな経済ショックとして、リーマンショックが発生した08年9月調査から、実質

GDP成長率が最も大きなマイナスとなった09年3月調査にかけての変化を見ると、全て

の産業で需給の緩みが見られている。それと比較すると、今回は産業ごとに方向性の

差異が生じている点を特徴として指摘できる。

図表 33: 産業別短観加重平均DI

  

注: 労働分配率は14~18年度の法人企業統計を用い、人件費÷付加価値で計算。符号がマイナスとなった産業は白抜きとなっている。08年9月調査と09年3月調査の比較において、はん用機械、生産用機械、業務用機械は産業区分の変更前のため当時の計数が存在しない。

出所: 日本銀行、財務省資料より野村作成

野村では、20年4-6月期の実質GDP成長率は前期比年率-26.5%と、リーマンショック

時に最も減少率が大きかった09年1-3月期の同-17.8%を上回る、深刻な悪化になると

見込んでいる。この点だけを考えれば、今後のインフレ率はリーマンショック時を上回

る大幅な下落となってもおかしくはないことになる。

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しかし、既にみたように需給が逼迫している産業も存在する点や、リーマンショック時

は大幅な円高が進んだことで輸入物価が下落し、日本国内の物価に押し下げ圧力が

かかったが、現時点では為替レートが安定し、そうした動きは目立っていない点を当時

との差異として指摘することができる(図表34)。これらの点も考慮すれば、今後の物価

下落は必ずしもリーマンショック時を上回るとは限らないのではないか。

図表32にあるように、需給の緩みは物価にやや遅れて反映される。新型コロナウイル

ス禍による景気の悪化がコアコアCPI(エネルギー及び酒類以外の食料を除く総合消

費者物価指数)に及ぼす影響は、21年央にかけて徐々に強まっていくと想定している。

全体として野村では、先行きのインフレ率は、原油価格の下落を受けたエネルギーの

押し下げ効果が主因となり、20年度末にかけマイナス1%程度まで低下すると予想し

ている。21年度に入ってからはエネルギーの押し下げ効果が弱まり、徐々にコアインフ

レ率のマイナス幅は縮小するものの、需給の悪化を受けたコアコア部分の弱含みが

重しとなり(図表35)、インフレ率の持ち直しには時間がかかると考えている。

図表 34: GDPギャップ、ドル円レートとコアコアCPI

  

出所: 日本銀行、総務省資料より野村作成

図表 35: コアインフレ率見通し

  

注: 消費増税、教育無償化の影響除くベース。

出所: 総務省資料より野村作成

(10) 低下する追加金融緩和の可能性日本銀行は、4月27日の金融政策決定会合において、1)国債の無制限買入れ表明、

2)社債、CP購入枠増額を含む企業の資金繰り支援策、を柱とする金融緩和強化を決

定した。政府による大型の緊急経済対策、海外中央銀行による金融緩和強化策と連

動し、求められる対応を打ち出したと評価できる一方で、日銀金融政策の限界も改め

て意識させることになったと考えられる。

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日銀による社債、CP購入拡大は、市場の流動性低下に起因する企業の資金調達難

を防ぐ効果を期待できる一方、企業の信用力を直接補完したり、企業に直接資金を供

給したりするわけではない点で一定の限界を有する。新型コロナウイルス感染症対応

金融支援特別オペレーションも、貸出増加分の当座預金残高に対し+0.1%の付利が

あるというインセンティブはあるが、民間金融機関が貸出増加によって負う信用リスク

や潜在的な信用コストを負担する仕組みは備わっていない。

国債の無制限購入は、政府の大型経済対策に伴う国債増発を視野に入れた政策協

調である一方、現行の長短金利操作の下で金利環境の激変を防ごうとすれば当然と

るべき対応であり(図表36参照)、実質的な緩和強化とは言い難い面もある。そればか

りか、日銀がこれまで以上に大量の国債を保有し、ひとたび金利が上昇した場合に保

有国債の価値下落に見舞われるリスクを負うと、緩和の出口において日銀自身が金

利を引き上げることが困難になるというジレンマはより厳しいものにならざるを得ない。

図表 36: 国債財投債の保有主体別ネット売買額

国債純発行額漸減に対応した日銀の買入れ減は国債増発に対応し反転するのは必然

出所: 日本銀行資料より野村作成

日銀は同時に、これまで政策公表文中で「必要があれば、躊躇なく追加的な金融緩和

措置を講じる」条件としてきた「物価安定目標に向けてのモメンタム(勢い)」に関する表

現を削除した。今後の日銀金融政策運営は、インフレ率の動向やそのモメンタムから

切り離されることとなり、追加金融緩和が実施される確度は一段と低下した可能性が

あるだろう。

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経済見通し

(11) 日本経済見通し

図表 37: 四半期実質国内総支出・鉱工業生産・物価予測表

  

(単位:2011年連鎖価格10億円)

19年 20年 21年 22年

7-9 10-12 1-3 4-6(予) 7-9(予) 10-12(予) 1-3(予) 4-6(予) 7-9(予) 10-12(予) 1-3(予)

民間最終消費支出 302703.4 293916.3 291818.3 277521.1 283636.3 284621.0 287205.8 289488.1 291509.8 293307.0 294911.5

(前期比) 0.4 -2.9 -0.7 -4.9 2.2 0.3 0.9 0.8 0.7 0.6 0.5

(前年同期比) 1.4 -1.9 -2.4 -7.9 -6.3 -3.2 -1.6 4.3 2.8 3.1 2.7

民間住宅投資 15592.3 15204.7 14516.9 14121.5 13466.2 13168.9 13310.3 13577.3 13995.9 14171.3 14071.6

(前期比) 1.2 -2.5 -4.5 -2.7 -4.6 -2.2 1.1 2.0 3.1 1.3 -0.7

(前年同期比) 4.3 0.0 -6.1 -8.3 -13.6 -13.4 -8.3 -3.9 3.9 7.6 5.7

民間企業設備投資 87321.1 83167.3 82727.2 69899.3 76972.1 77679.5 79706.7 80932.5 82340.1 82674.8 83335.3

(前期比) 0.2 -4.8 -0.5 -15.5 10.1 0.9 2.6 1.5 1.7 0.4 0.8

(前年同期比) 5.5 -4.6 -4.2 -19.8 -11.9 -6.6 -3.7 15.8 7.0 6.4 4.6

民間在庫投資 718.5 754.8 542.3 542.3 542.3 542.3 542.3 542.3 542.3 542.3 542.3

<前期比寄与度> -0.3 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

政府最終消費支出 109976.5 110186.3 110249.4 110359.6 110470.0 110580.5 110691.1 110801.8 110912.6 111023.5 111134.5

(前期比) 0.7 0.2 0.1 0.1 0.1 0.1 0.1 0.1 0.1 0.1 0.1

(前年同期比) 2.8 2.3 2.5 1.1 0.4 0.4 0.4 0.4 0.4 0.4 0.4

公的固定資本投資 27001.3 27142.8 27032.0 26653.3 27542.3 28792.1 28841.5 28973.6 28740.7 28660.9 28211.5

(前期比) 1.0 0.5 -0.4 -1.4 3.3 4.5 0.2 0.5 -0.8 -0.3 -1.6

(前年同期比) 3.9 5.5 2.6 -0.3 2.0 6.1 6.7 8.7 4.4 -0.5 -2.2

公的在庫投資 -20.6 26.8 87.5 87.5 87.5 87.5 87.5 87.5 87.5 87.5 87.5

<前期比寄与度> 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

純輸出 -4321.1 -1615.9 -2479.8 -13555.7 -8084.5 -9603.1 -7817.4 -7218.9 -6181.8 -6821.7 -6737.1

<前期比寄与度> -0.2 0.5 -0.2 -2.1 1.1 -0.3 0.4 0.1 0.2 -0.1 0.0

輸出 91561.7 91942.6 86455.1 72524.4 79801.3 80991.0 84482.7 86409.9 88812.1 88986.6 89921.6

(前期比) -0.6 0.4 -6.0 -16.1 10.0 1.5 4.3 2.3 2.8 0.2 1.1

(前年同期比) -0.5 -1.8 -6.2 -21.3 -12.8 -11.9 -2.3 19.1 11.3 9.9 6.4

輸入 95882.8 93558.5 88934.9 86080.1 87885.8 90594.1 92300.2 93628.8 94993.9 95808.3 96658.7

(前期比) 0.7 -2.4 -4.9 -3.2 2.1 3.1 1.9 1.4 1.5 0.9 0.9

(前年同期比) 2.6 -4.4 -5.0 -9.6 -8.3 -3.2 3.8 8.8 8.1 5.8 4.7

実質国内総生産(GDP) 539435.6 529375.3 524854.6 485953.5 504924.5 506131.7 512804.5 517397.2 522138.6 523818.2 525712.4

(前期比) 0.0 -1.9 -0.9 -7.4 3.9 0.2 1.3 0.9 0.9 0.3 0.4

(前期比年率) 0.0 -7.3 -3.4 -26.5 16.6 1.0 5.4 3.6 3.7 1.3 1.5

(前年同期比) 1.7 -0.7 -2.0 -9.9 -6.4 -4.4 -2.3 6.5 3.4 3.5 2.5

GDPデフレーター 103.5 103.8 103.9 104.5 104.5 103.9 103.8 103.8 104.1 104.2 104.3

(前年同期比) 0.6 1.2 0.9 1.4 1.0 0.1 -0.1 -0.7 -0.4 0.3 0.5

鉱工業生産 (2015年=100) 101.7 98.0 98.4 86.9 92.1 92.6 94.7 95.7 97.1 97.2 97.5

(前期比) -1.1 -3.6 0.4 -11.7 6.0 0.5 2.3 1.1 1.5 0.1 0.3

(前年同期比) -1.1 -6.8 -4.5 -15.5 -9.4 -5.5 -3.8 10.1 5.4 5.0 3.0

完全失業率 2.3 2.3 2.5 2.6 2.8 3.2 3.0 3.0 2.9 2.8 2.7

注: 1. 断りがない限り、単位は10億円。比率、失業率は%。 2. 2020年1-3月期までは実績、それ以降は野村予測。 3. 四半期の額、指数、失業率は季節調整値(国内企業物価指数は除く)。 4. -0.0の場合も0.0と表示している。

出所: 内閣府、経済産業省、総務省、日本銀行資料より野村作成

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図表 38: 実質国内総支出・鉱工業生産・失業率 (年度・暦年)

  

(単位:2011年連鎖価格10億円)

17年度 18年度 19年度 20年度 21年度 17暦年 18暦年 19暦年 20暦年 21暦年

(予) (予) (予) (予)

民間最終消費支出 298881.2 299089.9 297427.2 283285.6 292329.0 298821.4 298783.0 299200.1 284438.9 290402.3

(前年比 %) 1.1 0.1 -0.6 -4.8 3.2 1.3 0.0 0.1 -4.9 2.1

民間住宅投資 15926.9 15142.5 15183.5 13506.3 13960.7 16196.3 15117.3 15414.2 13802.2 13774.0

(前年比 %) -1.4 -4.9 0.3 -11.0 3.4 1.7 -6.7 2.0 -10.5 -0.2

民間企業設備投資 84268.1 85740.5 84957.5 76307.8 82374.5 83600.6 85396.3 85981.9 77160.5 81350.2

(前年比 %) 4.3 1.7 -0.9 -10.2 8.0 4.0 2.1 0.7 -10.3 5.4

民間在庫投資 1403.7 1451.3 1045.3 549.2 549.2 1196.4 1067.3 1407.5 549.2 549.2

<前年比寄与度 %ポイント> 0.2 0.0 -0.1 -0.1 0.0 0.1 0.0 0.1 -0.2 0.0

政府最終消費支出 106295.5 107248.2 109847.7 110474.8 110917.3 106188.5 107102.5 109176.3 110363.3 110805.4

(前年比 %) 0.3 0.9 2.4 0.6 0.4 0.2 0.9 1.9 1.1 0.4

公的固定資本投資 25956.0 26103.2 26977.3 28046.0 28603.1 25954.3 26031.4 26790.0 27545.4 28777.4

(前年比 %) 0.5 0.6 3.3 4.0 2.0 0.5 0.3 2.9 2.8 4.5

公的在庫投資 77.6 39.5 23.1 89.0 89.0 25.8 58.9 -13.8 89.0 89.0

<前年比寄与度 %ポイント> 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

純輸出 -1202.5 -2005.6 -2871.3 -9761.5 -6751.7 -1534.8 -1800.7 -2625.0 -8423.0 -7023.4

<前年比寄与度 %ポイント> 0.5 -0.1 -0.2 -1.3 0.6 0.6 0.0 -0.2 -1.1 0.3

輸出 91422.3 92978.6 90489.2 79472.5 88520.7 90263.7 93410.3 91917.9 79967.3 87156.3

(前年比 %) 6.4 1.7 -2.7 -12.2 11.4 6.8 3.5 -1.6 -13.0 9.0

輸入 92624.8 94984.1 93360.5 89234.0 95272.4 91798.5 95211.1 94542.9 88390.3 94179.6

(前年比 %) 3.9 2.5 -1.7 -4.4 6.8 3.4 3.7 -0.7 -6.5 6.5

実質国内総生産 532033.7 533408.1 533118.1 502534.3 522251.5 530897.5 532359.9 535884.8 505576.4 518992.8

(前年比 %) 1.9 0.3 -0.1 -5.7 3.9 2.2 0.3 0.7 -5.7 2.7

GDPデフレーター 102.9 102.8 103.6 104.2 104.1 102.8 102.7 103.3 104.3 104.0

(前年比 %) 0.1 -0.2 0.8 0.6 -0.1 -0.2 -0.1 0.6 0.9 -0.3

鉱工業生産 (2015年=100) 103.5 103.8 99.9 91.6 96.9 103.1 104.2 101.1 92.5 96.2

(前年比 %) 2.9 0.3 -3.8 -8.6 5.8 3.1 1.1 -3.0 -8.5 4.0

完全失業率 (%) 2.7 2.4 2.4 2.9 2.9 2.8 2.4 2.3 2.8 2.9

注: 1. 別段の記載がない限り、2011 年連鎖価格10 億円単位。 2. -0.0 の場合も0.0 と表示している。

出所: 内閣府、総務省、経済産業省資料より野村作成

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図表 39: 名目国内総支出(季節調整系列、年率)・物価(四半期)

  

(単位:10億円)

19年 20年 21年 22年

7-9 10-12 1-3 4-6(予) 7-9(予) 10-12(予) 1-3(予) 4-6(予) 7-9(予) 10-12(予) 1-3(予)

民間最終消費支出 309236.8 301997.5 299228.8 283058.4 289141.0 289530.7 291789.6 294350.1 296898.9 298780.4 300564.2

(前期比) 0.6 -2.3 -0.9 -5.4 2.1 0.1 0.8 0.9 0.9 0.6 0.6

(前年同期比) 1.4 -1.3 -1.7 -7.9 -6.5 -4.1 -2.5 4.0 2.7 3.2 3.0

民間住宅投資 17133.9 17001.3 16230.8 15511.9 14819.3 14251.8 14534.3 14879.0 15382.4 15595.3 15503.1

(前期比) 1.6 -0.8 -4.5 -4.4 -4.5 -3.8 2.0 2.4 3.4 1.4 -0.6

(前年同期比) 5.1 2.4 -3.8 -8.0 -13.5 -16.2 -10.5 -4.1 3.8 9.4 6.7

民間企業設備投資 90151.2 85904.3 85075.8 71033.1 78553.5 78787.0 80738.0 81828.3 83559.8 83948.5 84508.7

(前期比) 1.1 -4.7 -1.0 -16.5 10.6 0.3 2.5 1.4 2.1 0.5 0.7

(前年同期比) 5.7 -4.5 -4.0 -20.4 -12.9 -8.3 -5.1 15.2 6.4 6.6 4.7

民間在庫投資 494.9 623.7 578.8 561.2 561.2 561.2 561.2 561.2 561.2 561.2 561.2

<前期比寄与度> -0.3 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

政府最終消費支出 111741.1 111392.2 112636.5 112771.9 113063.2 113338.3 113421.4 114048.8 114695.6 115292.7 115536.3

(前期比) 0.6 -0.3 1.1 0.1 0.3 0.2 0.1 0.6 0.6 0.5 0.2

(前年同期比) 3.2 2.9 3.2 1.6 1.2 1.7 0.7 1.1 1.4 1.7 1.9

公的固定資本投資 29524.0 29930.2 29881.2 29078.3 30181.3 31346.1 31616.1 31791.1 31695.7 31703.9 31421.4

(前期比) 1.4 1.4 -0.2 -2.7 3.8 3.9 0.9 0.6 -0.3 0.0 -0.9

(前年同期比) 5.2 7.4 4.5 -0.1 2.2 4.7 5.8 9.3 5.0 1.1 -0.6

公的在庫投資 -23.0 21.2 49.1 87.4 87.4 87.4 87.4 87.4 87.4 87.4 87.4

<前期比寄与度> 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

純輸出 -126.6 2624.6 1533.6 -4182.7 1343.9 -2018.6 -649.8 -299.2 643.1 -97.8 106.4

<前期比寄与度> 0.0 0.5 -0.2 -1.0 1.1 -0.6 0.3 0.1 0.2 -0.1 0.0

輸出 96110.8 95963.8 90163.9 73393.2 81999.3 84058.1 87860.8 89967.0 92552.2 92849.1 93824.7

(前期比) -1.6 -0.2 -6.0 -18.6 11.7 2.5 4.5 2.4 2.9 0.3 1.1

(前年同期比) -5.0 -6.0 -8.4 -24.8 -14.7 -12.4 -2.6 22.6 12.9 10.5 6.8

輸入 96237.4 93339.3 88630.3 77575.9 80655.5 86076.7 88510.6 90266.2 91909.1 92947.0 93718.4

(前期比) -1.4 -3.0 -5.0 -12.5 4.0 6.7 2.8 2.0 1.8 1.1 0.8

(前年同期比) -4.1 -11.3 -8.1 -20.5 -16.2 -7.8 -0.1 16.4 14.0 8.0 5.9

名目国内総生産 558132.4 549495.1 545214.6 507919.4 527750.7 525883.9 532098.2 537246.7 543524.0 545871.6 548288.7

(前期比) 0.4 -1.5 -0.8 -6.8 3.9 -0.4 1.2 1.0 1.2 0.4 0.4

(前期比年率) 1.6 -6.0 -3.1 -24.7 16.6 -1.4 4.8 3.9 4.8 1.7 1.8

(前年同期比) 2.3 0.5 -1.2 -8.3 -5.6 -4.2 -2.5 5.5 3.0 3.7 3.1

国内企業物価(2015年=100) 101.0 102.2 101.8 99.0 99.4 96.7 98.2 98.8 99.2 99.4 99.5

(前期比) -0.6 1.2 -0.4 -2.7 0.3 -2.7 1.5 0.6 0.4 0.2 0.2

(前年同期比) -0.9 0.3 0.6 -2.5 -1.6 -5.4 -3.6 -0.3 -0.2 2.8 1.4

消費者物価指数(総合)(2015年=100) 101.9 102.1 102.1 101.5 101.5 101.2 101.0 101.1 101.3 101.4 101.4

(前期比) 0.1 0.2 0.1 -0.6 -0.1 -0.3 -0.2 0.1 0.2 0.0 0.1

(前年同期比) 0.3 0.5 0.5 -0.1 -0.3 -0.9 -1.1 -0.4 -0.1 0.2 0.4

消費者物価指数(除く生鮮食品) 101.7 102.0 102.1 101.5 101.5 101.2 101.1 101.0 101.3 101.3 101.4

(2015年=100) (前期比) 0.1 0.3 0.1 -0.6 0.0 -0.2 -0.1 -0.1 0.3 0.1 0.1

(前年同期比) 0.5 0.6 0.6 -0.2 -0.2 -0.8 -1.1 -0.4 -0.2 0.2 0.4

同(消費増税、教育無償化の影響除く) 101.7 101.6 101.6 101.1 101.1 100.8 100.7 100.6 100.9 101.0 101.1

(2015年=100) (前期比) 0.1 -0.1 0.0 -0.5 0.0 -0.2 -0.1 -0.1 0.3 0.1 0.1

(前年同期比) 0.5 0.2 0.2 -0.5 -0.5 -0.8 -1.0 -0.4 -0.2 0.2 0.4

注: 1. 別段の記載がない限り、10 億円単位。 2. -0.0 の場合も0.0 と表示している。3. 2020年1-3月期までは実績、それ以降は野村予測。 4. 四半期の額、指数は季節調整値(国内企業物価指数は除く)。

出所: 内閣府、日本銀行、総務省資料より野村作成

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図表 40: 名目国内総支出・物価(年度・暦年)

  

(単位:10億円)

17年度 18年度 19年度 20年度 21年度 17暦年 18暦年 19暦年 20暦年 21暦年

(予) (予) (予) (予)

民間最終消費支出 303260.1 304784.9 304503.2 288463.5 297728.5 302642.0 304427.9 305771.1 290315.9 295543.5

(前年比 %) 1.5 0.5 -0.1 -5.3 3.2 1.5 0.6 0.4 -5.1 1.8

民間住宅投資 17091.2 16513.5 16815.4 14766.5 15348.5 17310.9 16440.9 16971.9 15182.1 15111.1

(前年比 %) 0.3 -3.4 1.8 -12.2 3.9 3.3 -5.0 3.2 -10.5 -0.5

民間企業設備投資 85917.4 88040.5 87444.3 77502.4 83513.8 85134.1 87509.7 88440.5 78726.8 82449.4

(前年比 %) 5.0 2.5 -0.7 -11.4 7.8 4.7 2.8 1.1 -11.0 4.7

民間在庫投資 1322.7 1435.0 976.7 561.0 561.0 1155.9 1055.6 1291.9 565.4 561.0

<前年比寄与度 %ポイント> 0.2 0.0 -0.1 -0.1 0.0 0.1 -0.0 0.0 -0.1 -0.0

政府最終消費支出 107419.5 108507.4 111651.7 113122.9 114859.6 107106.9 108335.3 110813.3 112936.4 114357.1

(前年比 %) 0.9 1.0 2.9 1.3 1.5 0.5 1.1 2.3 1.9 1.3

公的固定資本投資 27565.7 28221.7 29635.9 30657.8 31626.4 27446.9 28020.6 29277.9 30178.8 31680.1

(前年比 %) 2.3 2.4 5.0 3.4 3.2 2.2 2.1 4.5 3.1 5.0

公的在庫投資 73.2 46.2 14.2 67.9 67.9 22.5 59.0 -4.1 67.9 67.9

<前年比寄与度 %ポイント> 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

純輸出 4898.2 573.6 1030.1 -1382.6 80.2 5078.3 1002.8 1161.0 -835.2 -116.4

<前年比寄与度 %ポイント> -0.1 -0.8 0.1 -0.4 0.3 0.0 -0.7 0.0 -0.4 0.1

輸出 98270.7 100697.3 94893.9 81819.0 92247.8 96906.9 101410.9 96969.0 82396.3 90753.1

(前年比 %) 10.5 2.5 -5.8 -13.8 12.7 11.2 4.6 -4.4 -15.0 10.1

輸入 93372.6 100123.7 93863.7 83201.6 92167.6 91828.6 100408.1 95808.0 83231.5 90869.5

(前年比 %) 11.8 7.2 -6.3 -11.4 10.8 12.3 9.3 -4.6 -13.1 9.2

名目国内総生産 547548.0 548122.7 552071.5 523759.2 543785.7 545897.4 546851.7 553723.6 527138.0 539653.8

(前年比 %) 2.0 0.1 0.7 -5.1 3.8 1.9 0.2 1.3 -4.8 2.4

国内企業物価(2015年=100) 99.3 101.5 101.7 98.3 99.2 98.7 101.3 101.5 99.2 98.9

(前年比 %) 2.7 2.2 0.2 -3.3 0.9 2.3 2.6 0.2 -2.2 -0.3

消費者物価指数(総合)(2015年=100) 100.7 101.4 102.0 101.3 101.4 100.4 101.3 101.8 101.6 101.3

(前年比 %) 0.7 0.7 0.5 -0.6 0.0 0.5 1.0 0.5 -0.2 -0.3

消費者物価指数(生鮮食品を除く総合) 100.4 101.2 101.8 101.2 101.2 100.2 101.0 101.7 101.5 101.1

(2015年=100) (前年比 %) 0.7 0.8 0.6 -0.6 0.0 0.5 0.9 0.6 -0.2 -0.4

同(消費増税、教育無償化の影響除く) 100.4 101.2 101.7 100.9 100.9 100.2 101.0 101.6 101.2 100.8

(2015年=100) (前年比 %) 0.7 0.8 0.4 -0.7 0.0 0.5 0.9 0.6 -0.4 -0.4

注: 1. 別段の記載がない限り、10 億円単位。 2. -0.0 の場合も0.0 と表示している。

出所: 内閣府、日本銀行、総務省資料より野村作成

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図表 41: 国際収支

  

(単位:億円)

2019年 2020年 2021年 2022年4-6月 7-9月 10-12月 1-3月 4-6月 7-9月 10-12月 1-3月 4-6月 7-9月 10-12月 1-3月

(予) (予) (予) (予) (予) (予) (予) (予)

[原系列]経常収支 45,456 57,155 37,483 57,521 28,268 56,452 23,184 50,758 39,990 55,869 28,273 52,859

貿易・サービス収支 -1,835 -2,599 4,198 2,572 -11,976 -649 -9,676 -262 -2,358 -2,506 -5,000 1,515

貿易収支 -444 -665 2,743 4,845 -4,075 3,639 -2,952 -821 2,853 783 -716 -316

輸出 187,243 187,858 193,275 180,747 143,243 163,239 175,244 175,489 174,931 183,451 192,643 186,889(前年比) (-6.0%) (-6.5%) (-8.5%) (-5.8%) (-23.5%) (-13.1%) (-9.3%) (-2.9%) (22.1%) (12.4%) (9.9%) (6.5%)

輸入 187,687 188,523 190,532 175,902 147,317 159,600 178,196 176,310 172,078 182,668 193,359 187,205(前年比) (-0.5%) (-5.9%) (-12.7%) (-7.3%) (-21.5%) (-15.3%) (-6.5%) (0.2%) (16.8%) (14.5%) (8.5%) (6.2%)

サービス収支 -1,392 -1,933 1,455 -2,272 -7,901 -4,287 -6,724 559 -5,211 -3,289 -4,284 1,831

第一次所得収支 48,952 64,813 36,320 59,883 42,430 61,790 35,873 55,819 44,535 63,064 36,286 56,144

第二次所得収支 -1,660 -5,060 -3,035 -4,934 -2,187 -4,689 -3,013 -4,800 -2,187 -4,689 -3,013 -4,800

資本移転等収支 -947 -1,986 -730 -710 -1,093 -1,130 -916 -962 -1,025 -1,008 -978 -993

金融収支 66,535 65,424 22,347 68,688 27,174 55,322 22,268 49,795 38,965 54,861 27,295 51,866

(うち外貨準備) 10,227 2,221 902 7,421 6,530 5,675 6,809 5,684 5,035 5,436 6,084 5,893

誤差脱漏 22,026 10,255 -14,407 11,877 0 0 0 0 0 0 0 0

[季節調整系列]経常収支 48,515 47,080 53,118 49,164 31,771 46,206 38,932 42,368 43,373 45,766 44,043 44,542

貿易・サービス収支 -2,353 -311 7,005 -541 -12,048 1,467 -6,755 -3,408 -2,551 -246 -2,058 -1,559

貿易収支 -3,066 776 3,876 5,993 -6,253 4,908 -1,705 295 554 2,195 552 872

輸出 193,275 190,083 186,742 181,861 147,857 165,172 169,321 176,570 180,566 185,624 186,131 188,040(前期比) (-0.3%) (-1.7%) (-1.8%) (-2.6%) (-18.7%) (11.7%) (2.5%) (4.3%) (2.3%) (2.8%) (0.3%) (1.0%)

輸入 196,341 189,308 182,866 175,868 154,110 160,265 171,026 176,276 180,012 183,428 185,579 187,169(前期比) (1.7%) (-3.6%) (-3.4%) (-3.8%) (-12.4%) (4.0%) (6.7%) (3.1%) (2.1%) (1.9%) (1.2%) (0.9%)

サービス収支 714 -1,086 3,129 -6,534 -5,795 -3,440 -5,050 -3,703 -3,105 -2,442 -2,610 -2,431

第一次所得収支 54,078 51,499 49,872 53,577 47,556 48,476 49,425 49,513 49,661 49,750 49,838 49,838

第二次所得収支 -3,210 -4,108 -3,759 -3,871 -3,737 -3,737 -3,737 -3,737 -3,737 -3,737 -3,737 -3,737

2016年度 2017年度 2018年度 2019年度 2020年度 2021年度 2016暦年 2017暦年 2018暦年 2019暦年 2020暦年 2021暦年(予) (予) (予) (予)

経常収支 216,771 223,998 194,848 197,615 158,661 176,991 213,910 227,779 193,743 201,151 165,425 174,890

(ドル建て:億ドル) 2,004 2,025 1,762 1,820 1,465 1,609 1,970 2,032 1,762 1,845 1,532 1,590(対名目GDP比) (4.0%) (4.1%) (3.6%) (3.6%) (3.0%) (3.3%) (4.0%) (4.2%) (3.5%) (3.6%) (3.1%) (3.2%)

貿易・サービス収支 44,083 40,397 -3,001 2,336 -22,562 -8,349 43,887 42,206 1,052 5,060 -19,728 -10,126

貿易収支 57,862 45,338 6,341 6,479 -4,208 2,604 55,175 49,113 11,264 3,812 1,457 2,099

輸出 708,026 782,800 803,184 749,123 657,214 737,913 690,927 772,535 812,263 760,310 662,472 726,514(前年比) (-3.2%) (10.6%) (2.6%) (-6.7%) (-12.3%) (12.3%) (-8.2%) (11.8%) (5.1%) (-6.4%) (-12.9%) (9.7%)

輸入 650,163 737,463 796,842 742,644 661,423 735,309 635,752 723,422 800,998 756,498 661,015 724,414(前年比) (-10.8%) (13.4%) (8.1%) (-6.8%) (-10.9%) (11.2%) (-16.5%) (13.8%) (10.7%) (-5.6%) (-12.6%) (9.6%)

サービス収支 -13,779 -4,942 -9,342 -4,142 -18,353 -10,953 -11,288 -6,907 -10,213 1,248 -21,184 -12,225

第一次所得収支 193,731 205,333 215,263 209,968 195,912 200,029 191,477 206,843 212,723 209,846 199,976 199,704

第二次所得収支 -21,045 -21,732 -17,413 -14,689 -14,689 -14,689 -21,456 -21,270 -20,031 -13,755 -14,823 -14,689

資本移転等収支 -2,485 -3,055 -1,648 -4,373 -4,101 -4,005 -7,433 -2,800 -2,105 -4,131 -3,849 -3,974

金融収支 249,965 208,176 213,153 222,994 154,560 172,986 286,059 188,113 200,057 243,055 173,453 170,916

(うち外貨準備) 5,702 22,710 33,461 20,771 24,698 22,449 -5,781 26,518 26,628 28,039 26,435 22,239

誤差脱漏 35,678 -12,766 19,955 29,751 0 0 79,582 -36,866 8,420 46,035 11,877 0

注: 1. 年度及び暦年の係数は、四半期の値の積み上げ値。2. 2020年1-3月期までは実績、それ以降は野村予測。 2. ドル建ての計数はドル円レートの四半期別期中平均を用いて換算した参考値。

出所: 日本銀行資料より野村作成

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図表 42: 一般会計

  

(単位:兆円)

年度 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021

補正後 (予) (予)

一般会計歳出規模 97.1 100.2 98.8 98.2 97.5 98.1 99.0 104.7 143.3 111.3

[歳出]

一般歳出 59.2 61.3 59.5 59.0 60.1 60.0 60.4 66.1 104.0 71.1

  社会保障関係費 29.2 29.2 30.2 31.4 32.2 32.5 32.6 34.1 36.7 36.4

  公共事業関係費 5.8 8.0 7.3 6.4 6.7 6.9 6.9 8.5 8.9 9.0

  防衛関係費 4.8 4.8 5.1 5.1 5.1 5.3 5.5 5.7 5.8 5.8

地方交付税交付金 16.8 17.4 17.0 16.7 15.2 15.4 15.9 15.6 15.6 15.6

地方特例交付金 0.1 0.1 0.1 0.1 0.1 0.1 0.2 0.5 0.2 0.2

国債費 21.0 21.3 22.2 22.5 22.1 22.5 22.5 22.5 23.5 24.4

 国債費比率(%) 21.6 21.3 22.5 22.9 22.6 23.0 22.8 21.5 16.4 21.9

[歳入]

一般会計歳入 107.8 106.0 104.7 102.2 102.8 103.6 105.7 104.7 143.3 111.3

租税及印紙収入 43.9 47.0 54.0 56.3 55.5 58.8 60.4 60.2 48.8 55.7

 所得税 14.0 15.5 16.8 17.8 17.6 18.9 19.9 19.1 16.1 18.0

 法人税 9.8 10.5 11.0 10.8 10.3 12.0 12.3 11.7 4.7 8.9

 消費税 10.4 10.8 16.0 17.4 17.2 17.5 17.7 19.1 18.1 18.7

 その他税収等 9.8 10.1 10.1 10.2 10.3 10.4 10.5 10.3 9.8 10.1

税外収入等(特別会計余剰金・積立の取り崩し含む) 13.8 15.6 12.2 11.0 9.3 11.3 10.9 7.4 6.6 6.6

国債発行額 50.0 43.5 38.5 34.9 38.0 33.6 34.4 37.1 88.0 49.0

 国債依存度(%) 46.4 41.0 36.8 34.2 37.0 32.4 32.5 35.4 61.4 44.0

 対GDP比(%) 10.1 8.6 7.4 6.6 7.1 6.1 6.3 6.7 16.8 9.0

  (名目GDP、兆円) 494.4 507.3 518.2 532.8 536.9 547.5 548.1 552.1 523.8 543.8

財政投融資計画 17.6 14.6 13.5 15.1 14.5 13.1 13.2 -

地方財政計画 81.9 85.3 85.8 86.6 86.9 89.6 90.7 -

18.4 16.2

81.9 83.4

注: 1. 一般会計は2018年度まで実績。 2. 予測では剰余金の発生を見込んでいない。 3. 財政投融資計画及び地方財政計画は当初計画。

出所: 財務省資料より野村作成

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図表 43: 部門別資金過不足

  

(単位:兆円)

年度 2012 13 14 15 16 17 18 19(予) 20(予) 21(予)

家計 11.0 -1.2 5.7 8.6 12.3 10.8 17.8 16.5 27.7 21.1

(GDP比 %) (2.2) (-0.2) (1.1) (1.6) (2.3) (2.0) (3.3) (3.0) (5.3) (3.9)

非金融法人企業 27.3 33.4 22.9 24.4 24.8 20.8 10.3 14.3 46.8 16.1

(GDP比 %) (5.5) (6.6) (4.4) (4.6) (4.6) (3.8) (1.9) (2.6) (8.9) (3.0)

一般政府 -40.8 -36.4 -25.5 -17.8 -18.1 -14.7 -12.3 -12.2 -63.1 -24.2

(GDP比 %) (-8.3) (-7.2) (-4.9) (-3.3) (-3.4) (-2.7) (-2.2) (-2.2) (-12.1) (-4.4)

海外 -3.9 -1.8 -8.4 -17.6 -21.4 -22.0 -19.2 -19.9 -16.0 -17.8

(GDP比 %) (-0.8) (-0.4) (-1.6) (-3.3) (-4.0) (-4.0) (-3.5) (-3.6) (-3.1) (-3.3)

金融機関 6.4 6.3 4.9 1.5 1.2 3.1 4.7 4.3 4.6 4.8

(GDP比 %) (1.3) (1.2) (1.0) (0.3) (0.2) (0.6) (0.9) (0.8) (0.9) (0.9)

注: 1. -は資金不足を示す。 2.国民経済計算ベース。

出所: 内閣府資料より野村作成

図表 44: マネーストック

  

(単位:%)

2019 2020 2021 2022

7-9月 10-12月 1-3月 4-6月 7-9月 10-12月 1-3月 4-6月 7-9月 10-12月 1-3月

(予) (予) (予) (予) (予) (予) (予) (予)

マネーストック(M2) 2.4 2.6 3.0 3.0 3.0 3.1 3.1 3.2 3.3 3.4 3.5

実質マネーストック(M2) 1.8 1.3 2.1 1.6 2.0 3.0 3.2 3.9 3.7 3.1 3.0

マーシャルのk 1.57 1.61 1.65 1.78 1.72 1.74 1.73 1.73 1.72 1.72 1.73

注: 1. マネーストック(M2)は平残ベース、前年同期比伸び率。2. 実質マネーストック(M2)は、GDP デフレーターベース、前年同期比伸び率。3. マーシャルのk=M2/名目総需要(名目GDP+名目財・サービス輸入)

出所: 日本銀行資料より野村作成

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(12) 世界経済見通し

図表 45: 世界経済見通し要約

  

実質GDP 消費者物価指数 政策金利(前年比、%) (前年比、%) (年末値、%)

2019年 2020年 2021年 2019年 2020年 2021年 2019年 2020年 2021年全世界 3.2 -4.6 5.8 2.6 2.1 1.7先進国 1.6 -8.1 4.6 1.5 0.4 0.6新興国 4.3 -2.0 6.6 3.4 3.4 2.5米州 2.0 -7.5 3.5 2.2 1.2 1.0米国 2.3 -8.9 3.8 1.8 0.5 0.1 1.63 1.63 1.63カナダ 1.6 -5.5 4.0 1.9 0.8 1.9ラテンアメリカ 1.0 -4.1 2.7 3.5 3.0 3.3ブラジル 1.1 -3.5 3.0 3.7 3.0 3.4チリ 1.2 -2.5 3.0 2.6 3.2 3.0コロンビア 3.3 -1.3 3.5 3.5 3.5 3.3メキシコ -0.1 -6.4 1.8 3.6 3.1 3.4ペルー 2.2 -1.6 3.6 2.1 1.9 2.2アジア・太平洋地域 4.7 -1.9 7.2 2.5 2.7 1.6日本 0.7 -5.7 2.7 0.5 -0.2 -0.3 -0.10 -0.10 -0.10豪州 1.8 -5.0 3.0 1.6 0.0 0.2 0.75 0.25 0.25ニュージーランド(NZ) 2.2 -10.0 7.0 1.6 0.5 0.5 1.00 0.25 0.25アジア(除く日本・豪州・NZ) 5.3 -1.4 7.8 2.8 3.1 1.8中国 6.1 1.5 8.8 2.9 3.4 1.2 2.50 2.15 2.15香港 -1.2 -8.7 3.7 2.9 1.8 2.1 2.43 1.03 1.03インド 5.3 -5.0 7.9 3.7 4.6 3.5 5.15 3.65 3.65インドネシア 5.0 -3.2 6.2 2.8 2.5 2.8 5.00 4.50 4.50マレーシア 4.3 -5.8 6.9 0.7 -1.8 1.1 3.00 1.50 1.50フィリピン 6.0 -4.8 8.1 2.5 2.1 2.6 4.00 2.00 2.00シンガポール 0.7 -5.6 5.2 0.6 -0.6 0.6 1.49 0.40 0.70韓国 2.0 -5.9 3.2 0.4 0.5 1.0 1.25 0.50 0.50台湾 2.7 -3.1 3.0 0.6 0.4 1.2 1.38 1.15 1.20タイ 2.4 -6.3 3.8 0.7 -1.3 0.3 1.25 0.25 0.25欧州先進国 1.2 -8.5 6.1 1.3 0.5 1.3ユーロ圏 1.2 -8.2 6.0 1.2 0.4 1.2フランス 1.3 -9.9 6.3 1.3 0.4 1.1 -0.50 -0.50 -0.50ドイツ 0.6 -7.4 5.9 1.4 0.9 1.5 -0.50 -0.50 -0.50イタリア 0.3 -10.8 5.2 0.6 0.0 0.9 -0.50 -0.50 -0.50スペイン 2.0 -10.1 6.0 0.8 -0.2 1.1 -0.50 -0.50 -0.50英国 1.4 -10.0 6.5 1.8 1.1 1.7 0.75 0.10 0.10その他新興国(EEMEA) 1.7 -3.6 3.5 6.4 4.9 4.9チェコ 2.6 -3.9 2.7 2.8 2.6 2.1ハンガリー 4.9 -1.9 3.2 3.4 3.3 3.1ポーランド 4.1 -3.5 3.8 2.3 3.1 2.5ルーマニア 4.2 2.3 3.0 3.8 3.0 3.3南アフリカ 0.1 -5.8 2.5 4.1 3.5 4.1トルコ 0.2 -3.5 4.4 15.5 10.5 9.9ロシア 1.3 -4.6 3.2 4.5 3.5 4.0イスラエル 3.4 2.1 3.5 0.8 0.4 1.1

注: 1. 合計は購買力平価(PPP)を用いて表示通貨を統一し、世界経済に占める各国GDP の割合を基に算出(PPP ベースの世界GDP の84%を占める)。実質GDP、消費者物価指数は年間平均値。上記の国・地域のうち、先進国は米国、カナダ、日本、豪州、ニュージーランド、香港、シンガポール、ユーロ圏諸国、英国。それ以外を新興国とする。その他新興国(EEMEA)は欧州新興国・中東・アフリカ。2. ブレント原油価格の前提は先物価格を基に、20年35.4 ドル/バレル、21年38.0ドル/バレルと予想。3. ユーロ圏各国の消費者物価指数はHICP。4. 米国の政策金利は、19年はフェデラルファンド金利誘導目標範囲(1.50~1.75%)、20年、21年は(0.00~0.25%)の中心値。中国の政策金利は7日物リバースレポレート。インドネシアの政策金利は7日物リバースレポレート。シンガポールは、政策金利の代わりに3ヶ月物シンガポール銀行間貸出金利(SIBOR)を掲載。ユーロ圏の政策金利は中銀預金金利。5.カナダ、ラテンアメリカ、香港(2020年GDPを除く)、台湾(2020年GDPを除く)、その他新興国はBloombergの予測、その他は野村の予想。6. 2020年5月18日現在。

出所: 国際通貨基金(IMF)、ブルームバーグ、野村

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米国経済:景気後退入りへ

新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大を受け経済成長率は大幅マイナスとなり、

雇用市場が著しく悪化するなか、連邦準備制度理事会(FRB)は金融市場の安定を図

るために打ち出した各種措置を実行しよう。

景気動向

米国経済は景気後退入りし、2020年前半は4-6月期の実質GDP成長率が季調済み

前期比年率-49%となると見込まれるなど急激に落ち込み、その後、年後半に回復に

向かうと予想する。政府主導あるいは消費者(個人)の行動変化による社会的距離(

ソーシャル・ディスタンス)確保措置は近く緩和に向かう見通しであるが、様々な経済活

動への影響は、(21年末までの)予想期間を通じて残るだろう。ワクチンが完成するまで

の間は消費者も企業も慎重姿勢を崩さず、22年に入るまで経済活動全体が新型コロ

ナウィルス以前の水準を下回り続ける可能性がある。新型コロナウイルスの感染拡大

直前まで消費のファンダメンタルズ(基礎的条件)は堅調であったため、経済活動低下

の影響をある程度吸収できるかもしれない。しかし失業率が10%超えの水準に高止ま

りすれば、消費者心理は冷え込み所得の伸びは抑えられよう。また、外需の蒸発と原

油安は企業の設備投資と輸出を下押ししよう。政府の緊急経済対策や金融緩和が経

済成長を支える可能性はあるが、社会的距離確保措置はそれらの効果を弱める可能

性が高い。21年には、新型コロナウイルスのショックが薄れて、積み上がった潜在需

要が顕在化するとみられ、経済活動が落ち着きを取り戻す公算が大きい。

物価動向

新型コロナウイルスを受けた需要の冷え込みは、4-6月期以降のコアサービス価格

を下押しする可能性が高い。さらに、失業率が10%超えの水準にとどまれは、物価は

長期間にわたり抑制されよう。新型コロナウイルスのために長期のインフレ期待が下

押しされるようであれば、将来の物価動向は我々の現行予想を下回って推移する可

能性がある。

金融政策

新型コロナウイルスの感染拡大で見通しが大幅に悪化し、失業率は20%近くまで上昇

する可能性が高っている。そうした中、野村ではFRBが21年末までフェデラルファンド(

FF)金利の誘導目標を実効下限水準に維持すると予想している。また、発表済みの各

種信用供給プログラムを継続し、長期金利が経済活動を妨げることのないよう柔軟な

資産購入を継続するだろう。さらに、家計や企業に十分な信用が行き渡るよう、信用

ファシリティの範囲や規模を拡大させ続ける可能性もある。

リスク要因

我々の予想には上振れ、下振れ双方のリスクがある。社会的距離確保措置が我々の

予想以上に長く続けば、目先の景気の落ち込みが予想以上に深刻になる可能性があ

る。しかし、新型コロナウイルスのワクチンや治療薬が予想よりも早期に実用化されれ

ば、消費活動が予想より早期に正常化し、20年後半の景気回復が予想以上に力強い

ものになる可能性がある。そのほか、ここ数週間の金融資産の下落幅からみて、金融

市場の下落を契機としてより広範囲に経済が縮小する可能性も示唆される。さらに、

11月の選挙後にホワイトハウスと上下両院の全てを民主党または共和党のいずれか

が制することになれば、政府の経済政策が突如として変更される可能性がある一方、

民主党候補が大統領選挙に勝利し上下両院の過半数政党が異なる結果になれば、

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財政再建への圧力が再び高まることが考えられる。

図表 46: 米国経済見通し要約表

  

(%) 19Q1 19Q2 19Q3 19Q4 20Q1 20Q2 20Q3 20Q4 21Q1 21Q2 21Q3 21Q4 2019年 2020年 2021年

実質GDP 3.1 2.0 2.1 2.1 -4.8 -49.2 30.0 5.2 6.4 7.0 5.9 5.3 2.3 -8.9 3.8

個人消費 1.1 4.6 3.1 1.8 -7.6 -60.8 50.8 12.6 1.1 7.0 6.4 5.3 2.6 -11.6 3.9

非住宅固定投資 4.4 -1.0 -2.3 -2.5 -8.6 -79.0 1.7 5.9 8.9 9.0 11.9 12.5 2.1 -26.2 -3.9

住宅投資 -1.1 -2.9 4.6 6.5 21.0 -52.4 27.0 1.3 7.9 2.5 3.0 2.3 -1.5 -4.2 1.3

政府支出 2.9 4.8 1.7 2.5 0.7 4.8 -2.2 -0.8 -0.4 -0.2 0.3 0.6 2.3 1.7 -0.2

輸出(財・サービス) 4.2 -5.7 0.9 2.1 -8.7 -43.5 -6.0 30.5 23.3 16.2 10.6 6.7 0.0 -11.1 10.7

輸入(財・サービス) -1.5 0.0 1.8 -8.4 -15.3 -83.3 -30.3 69.4 23.5 23.0 19.8 14.8 1.0 -31.7 4.4

GDPへの寄与度

最終需要 2.6 2.9 2.1 3.1 -4.3 -48.2 34.1 6.5 1.7 5.0 4.7 4.1 2.2 -7.8 2.8

純輸出 0.7 -0.7 -0.1 1.5 1.3 17.2 3.2 -2.1 0.3 -0.4 -0.8 -0.8 -0.1 3.5 0.7

在庫投資 0.5 -0.9 0.0 -1.0 -0.5 -1.0 -4.1 -1.3 4.7 2.0 1.2 1.3 0.1 -1.1 1.0

失業率(%) 3.9 3.6 3.6 3.5 3.8 18.2 15.2 13.3 12.5 11.3 9.6 7.3 3.7 12.6 10.2非農業部門雇用者数(千人) 139 159 203 210 -139 -8500 2500 87 367 533 867 967 178 -1513 683

住宅着工件数(季節調整済み年率、千戸)

1,213 1,256 1,282 1,441 1,466 905 1,357 1,115 1,286 1,221 1,260 1,240 1,298 1,211 1,252

消費者物価 1.6 1.8 1.8 2.0 2.1 0.4 0.2 -0.5 -0.8 0.3 0.2 0.6 1.8 0.5 0.1

コア消費者物価 2.1 2.1 2.3 2.3 2.2 1.2 0.2 -0.5 -1.2 -0.7 -0.4 0.1 2.2 0.8 -0.5

個人消費支出(PCE)デフレータ 1.4 1.4 1.4 1.4 1.6 0.2 0.1 -0.2 -0.4 0.7 0.6 0.7 1.4 0.4 0.4

コアPCEデフレータ 1.6 1.6 1.7 1.6 1.8 0.7 0.1 -0.2 -0.6 0.1 0.3 0.5 1.6 0.6 0.1

連邦財政収支(対GDP比%) -4.6 -18.2 -12.7

経常収支(対GDP比%) -2.3 1.0 1.5

FRB証券ポートフォリオ

保有高(兆ドル)3.77 3.65 3.58 3.75 4.37 5.53 6.70 6.80 6.90 7.00 7.10 7.20 3.75 6.80 7.20

政策金利2.25-

2.50

2.25-

2.50

1.75-

2.00

1.50-

1.75

0.00-

0.25

0.00-

0.25

0.00-

0.25

0.00-

0.25

0.00-

0.25

0.00-

0.25

0.00-

0.25

0.00-

0.25

1.50-

1.75

0.00-

0.25

0.00-

0.25

2年物財務省証券利回り 2.27 1.75 1.63 1.58 0.23 0.25 0.35 0.40 0.50 0.60 0.70 0.80 1.58 0.40 0.80

5年物財務省証券利回り 2.23 1.76 1.55 1.69 0.37 0.40 0.50 0.60 0.75 0.90 1.05 1.20 1.69 0.60 1.20

10年物財務省証券利回り 2.41 2.00 1.68 1.92 0.70 0.65 0.70 0.80 0.95 1.20 1.35 1.50 1.92 0.80 1.50

(季節調整済み前期比年率%)

(季節調整済み前期比年率%ポイント)

(前年同期比% )

(前年比%)

注: 1. 失業率は労働力人口に対する比率。2. 非農業部門雇用者数は前月比増減の期間平均。3. 住宅着工は期間平均。4. 財政収支は年度(前年10月~9月)。5. 金利は期末値。政策金利は、フェデラルファンド(FF)金利誘導目標水準。6. 太字は実績値、その他は野村予想。7. 2020年5月13日現在。

出所: 米商務省、米労働省、米連邦準備制度理事会(FRB)、野村

Nomura | 2020~21年度の経済見通し 2020年5月22日

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ユーロ圏経済:追加の量的緩和を見込む

2020年前半の深刻な景気後退の後も経済活動の回復は緩慢となり、新型コロナウイ

ルス(COVID-19)感染症が流行する前の水準に戻るには数年を要するだろう。更なる

資産購入拡大が必要になる可能性が高い。

景気動向

ユーロ圏各国の20年1-3月期GDPは軒並み市場予想を下振れたが、イタリアは唯

一、市場予想を上振れただけでなくフランスやスペインをも上回った。しかし野村では、

イタリアの数字は信頼性が低いとみている。3月のデータ収集が極めて困難となり、し

たがって統計が景気悪化の実態を正確に反映していない可能性が高いためである。

欧州中央銀行(ECB)は先日ユーロ圏GDPについて一連の代替シナリオを公表した。年

前半のGDPの減少幅予想以上に注目されるのが、その後の回復軌道と、19年10-

12月期の水準に回復するまでに要する期間の長さである。それを左右する最も重要な

要素は封鎖措置がどのような形で、またどれだけ速やかに解除されるかであろう。

ECBは全てのシナリオにおいて、GDPがCOVID-19以前の水準に戻るのは22年より後

としており、(現時点で最も蓋然性の高そうな)影響が軽微な最善シナリオにおけるGDP

は、ECBの従来予想に対して21年は8%、22年は5%低い数字とされている。野村の予

想において、最終期(21年末)の実質GDPは19年実績を大幅に下回るとみている。

物価動向

今後数ヶ月は各国統計局の用いる推計手法によってインフレ率が左右され(短期的に

は上振れが予想される)、また価格データ取得の困難によりインフレ率の指標の信頼

性は通常よりも低下するとみられる。ECBのフィリップ・レーン・チーフエコノミストは先

日のECBのブログにおいて、経済活動の低下は物価を下押しするが、中期のインフレ

見通しは依然不確実性が高く、「設備や人員の過剰感増加及び需要総量減少と、新

型ウイルスショックが供給全体に与える長期の悪影響のバランスによって決まる」と強

調した。実際、GDPの減少がユーロ圏の物価動向に全体としてどう影響するかはまだ

見通せない。政府統計は推計手法によって上方に偏る可能性があるが、PMI(購買担

当者景気指数)などのサーベイからは、少なくとも今のところ、新型コロナウイルスは

ディスインフレ(インフレ減速)方向に作用していることがうかがえる。

金融政策

4月の政策理事会において、ECBは条件付き長期流動性供給オペ第3弾(TLTRO-III)

の適用金利を引き下げ、主要リファイナンス金利及び預金金利を0.50%ポイント(従来

は0.25%)下回る水準、すなわち-0.50%と-1.00%とした(後者は実体経済に十分に

貸出を行っていた銀行向け)。ECBはまた、計7回に及ぶ新たな長期流動性供給オペ(

LTRO)の実施を発表し、PELTRO(パンデミック緊急LTRO)と名付けた。5月から実施

し、21年7~9月に満期を迎える。我々が予想していた預金金利引き下げは実質的に

実施されたといえるが、手法には若干の違いがあり、TLTRO-IIIの条件緩和という形を

とった。これで、ECBによる利下げの必要はなくなったといえよう。しかし、ここ数週間に

周辺国国債のスプレッドが拡大していることから、ECBは数週間のうちにパンデミック

対応緊急資産購入プログラム(PEPP)での資産購入を増やす可能性が高い。ECBは資

産購入を少なくとも年末まで継続する意向であるため、6月の次回政策理事会におい

て、PEPPの規模を現時点の7,500億ユーロから引き上げる可能性がある。引き上げ幅

が2,500億ユーロを下回る可能性は低く、5,000億ユーロ前後に達する可能性もあるた

Nomura | 2020~21年度の経済見通し 2020年5月22日

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め、総額では1~1.25兆ユーロに上る可能性がある(PEPPだけでユーロ圏GDPの8.5~

10.5%に相当する規模)。

図表 47: ユーロ圏経済見通し要約表

  

(%) 19Q1 19Q2 19Q3 19Q4 20Q1 20Q2 20Q3 20Q4 21Q1 21Q2 21Q3 21Q4 2019年 2020年 2021年

実質GDP 0.5 0.1 0.3 0.1 -3.8 -13.3 10.9 1.7 2.0 1.0 0.5 0.5 1.2 -8.2 6.0

個人消費 0.4 0.2 0.5 0.1 -4.5 -15.0 14.0 1.6 2.5 1.3 0.6 0.6 1.3 -8.8 8.1

総固定資本形成 0.9 5.0 -3.8 4.4 -3.0 -17.0 11.0 2.0 3.0 1.0 0.5 0.5 5.5 -8.1 6.6

政府消費 0.5 0.4 0.6 0.4 0.4 1.0 0.3 0.4 0.3 0.2 0.3 0.3 1.7 2.1 1.4

輸出(財・サービス) 0.9 0.0 0.6 0.3 -2.0 -13.0 7.2 1.5 0.8 0.5 0.8 0.8 2.5 -7.6 3.1

輸入(財・サービス) 0.3 2.7 -1.4 2.2 -0.6 -10.0 5.5 1.0 0.9 0.5 0.9 0.9 3.8 -3.8 2.8

GDPへの寄与度 国内最終需要 0.5 1.2 -0.5 1.1 -3.0 -11.5 9.7 1.4 2.0 1.0 0.5 0.5 2.1 -6.1 6.0

在庫投資 -0.4 0.1 -0.2 -0.1 0.0 0.0 0.2 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 -0.5 -0.1 0.1

純輸出 0.3 -1.2 0.9 -0.8 -0.7 -1.8 1.0 0.3 0.0 0.0 0.0 0.0 -0.4 -2.0 0.5

実質GDP 1.9 0.6 1.2 0.4 -14.4 -43.6 51.3 6.9 8.4 3.9 2.1 2.0 1.2 -8.2 6.0

失業率(%) 7.8 7.6 7.5 7.4 8.6 12.7 9.5 9.1 8.5 8.3 8.2 8.2 7.6 10.0 8.3

雇用者報酬(一人当たり) 2.3 2.1 2.1 1.7 1.6 1.4 1.1 1.4 1.5 1.6 1.7 1.7 2.0 1.4 1.6

労働生産性 0.0 0.0 0.2 -0.1 -2.6 -11.1 -5.5 -4.4 -0.8 9.5 3.1 2.4 0.0 -5.9 3.6

単位労働コスト 2.3 2.1 1.9 1.8 4.2 12.6 6.5 5.7 2.2 -7.9 -7.9 -7.9 2.0 7.2 -2.0

消費者物価(HICP) 1.4 1.4 1.0 1.0 1.1 0.0 0.2 0.3 0.6 1.4 1.4 1.3 1.2 0.4 1.2

コアHICP上昇率 1.0 1.1 0.9 1.2 1.1 0.8 0.8 0.8 1.0 1.3 1.3 1.3 1.0 0.8 1.2

ECB主要リファイナンス金利 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00

中銀預金金利 -0.40 -0.40 -0.50 -0.50 -0.50 -0.50 -0.50 -0.50 -0.50 -0.50 -0.50 -0.50 -0.50 -0.50 -0.50

3ヶ月物EURIBOR金利 -0.31 -0.35 -0.42 -0.38 -0.36 -0.30 -0.30 -0.30 -0.30 -0.30 -0.30 -0.30 -0.38 -0.30 -0.30

10年物ドイツ国債利回り -0.07 -0.33 -0.57 -0.19 -0.47 -0.65 -0.65 -0.65 -0.60 -0.60 -0.55 -0.50 -0.19 -0.65 -0.50

ユーロ/ドル為替レート(ドル) 1.12 1.14 1.08 1.12 1.10 1.07 1.09 1.12 1.12 1.13 1.14 1.15 1.12 1.12 1.15

(季節調整済み前期比%)

(季節調整済み前期比%ポイント)

(前年同期比% )

(前年比%)

(季節調整済み前期比年率%)

(前年同期比% )

注: 1. 失業率は労働力人口に対する比率で、四半期平均。2. 金利・為替は期末値。3. 太字は実績値、その他は野村予測。4. 在庫投資は統計誤差を含む。5. 2020年5月11日現在。

出所: 欧州連合(EU)統計局、欧州中央銀行(ECB)、欧州連合統計局、ブルームバーグ、ヘイバー・アナリティクス、野村

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英国経済:資産購入枠の拡大が必要に

2020年前半の実質GDP成長率の予想を下方修正し、新型コロナウイルスの感染拡大

はインフレ率を下押しすると考える。20年の財政赤字は対GDP比で10%を超え、資産

購入枠の拡大が必要になろう。

景気動向

経済成長見通しを以下2点について調整した。第1に、英国で封鎖措置が実施された

のは欧州大陸よりも遅かったことと、ユーロ圏の20年1-3月期GDP成長率速報値(前

期比-3.8%)を考慮し、英国の1-3月期の実質GDP成長率のマイナス幅を縮小した(

訳注:5月13日発表済み、前期比-2.0%)。一方で、4-6月期についてはマイナス幅が

従来予想よりも拡大すると見込む。これらを総合し、20年4-6月期のGDPの水準は19

年10-12月期からおよそ20%減少すると見込む。第2に、20年前半の景気がより大幅

に落ち込むため、我々の予想期間の最終年である21年のGDPは新型コロナウイルス

流行前の水準を約3%下回ると見込む(従来は約1%下回ると見込んでいた)。20年の

実質GDP成長率を前年比-10%、21年については同+6.5%と予想するためだ。野村

予想は、イングランド銀行(BOE:中央銀行)が最新の四半期「金融政策報告」で発表し

た参考シナリオにおける成長見通し(20年は同-14%、21年は同+15%)よりも慎重で

ある。さらに我々は、BOEの失業率の想定(3年以内に現在の水準に低下する)には上

振れリスクがあるとみる。

物価動向

野村では、目先の消費者物価(CPI)上昇率は前年同月比1%を切るとみており、4月に

は同+0.9%になると予想する(4月のCPIは5月20日に発表され実績は同+0.8%)。物価

動向は主に、原油安の影響を受けるだろう。原油価格は過去3ヶ月間で約半分の水準

に下落した。データ収集が困難で価格が下落していた可能性がある項目について、英

国国家統計局が価格を推計して補完する場合、ごく短期的にはインフレ指標が実態を

上回る可能性もある。しかし封鎖措置が徐々に解除され、不要不急の商品についても

販売が再開されれば、そういった効果は長続きしない可能性がある。長期的には、野

村では新型コロナウイルスの感染拡大はインフレ率を下押しすると考えている。この見

解を裏付ける要因としては、封鎖措置緩和後の供給回復、失業のより持続的な上昇、

世界金融危機の際の同様な政策対応がインフレを引き起こさなかったこと、が挙げら

れる。一方で、この見解を否定する要因としては、需要は最終的に回復するが供給へ

の打撃が永続的なものとなる可能性、21年にはエネルギー価格の比較対象が低くな

ること、財政支援と流動性供給の影響、中央銀行の信頼性が損なわれる可能性、など

がある。

金融政策

政策金利のバンクレートは、BOEが実効下限とみなす0.10%に引き下げられている。

そのため、我々はさらなる利下げを見込んでいない。現在のペースでいけば、2,000億

ポンドの資産購入枠は7月初めまでに使い切るだろう。しかし今般の危機の深刻さを

考えると、7月初めの支援終了は早すぎるだろう。そのため我々は次回6月の政策会

合で、資産購入枠が1,000億ポンド拡大されるとみる。夏から秋にかけては、BOEの支

援が縮小するなか、量的緩和のペースも鈍化するだろう。財政政策については、コスト

のかかる様々な支援策と財政の自動安定化機能が組み合わさる結果、20年の財政

赤字は対GDP比10%を超える公算が大きい。

Nomura | 2020~21年度の経済見通し 2020年5月22日

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Page 39: 財界観測 論文 2020年5月22日「2020~21年度の経 …...財界観測 2020.5.22 目 次 要約と結論 日本経済: 「コロナ・ショック」からの持ち直 しはL

(注:下記の予測表は5月13日発表の20年1-3月期GDP統計を反映していない)

図表 48: 英国経済見通し要約表

  

(%) 19Q1 19Q2 19Q3 19Q4 20Q1 20Q2 20Q3 20Q4 21Q1 21Q2 21Q3 21Q4 2018年 2019年 2020年 2021年

実質GDP 0.6 -0.1 0.5 0.0 -3.0 -17.8 13.4 1.8 2.0 1.8 0.7 0.5 1.3 1.4 -10.0 6.5

民間消費 0.3 0.5 0.4 0.1 -5.0 -23.0 18.0 1.8 2.2 1.8 0.8 0.4 1.6 1.3 -14.1 6.9

総固定資本形成 1.1 -0.5 0.3 -1.6 -4.4 -16.6 7.5 2.2 1.8 2.0 0.7 0.5 -0.2 0.4 -13.9 4.3

政府消費 0.6 1.3 0.3 2.1 0.8 1.8 1.5 1.3 0.8 0.7 0.6 0.6 0.4 3.6 5.4 4.0

輸出(財・サービス) 1.1 -3.0 5.9 4.1 -5.0 -25.0 15.0 5.0 2.0 1.0 0.5 0.5 1.2 3.7 -12.1 6.2

輸入(財・サービス) 9.2 -10.7 1.2 -0.8 -5.0 -25.0 15.0 5.0 2.0 1.0 0.5 0.5 2.0 3.6 -18.9 6.2

GDPへの寄与度

在庫投資 1.1 -1.4 -1.0 0.2 0.1 0.2 0.8 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.2 0.1 -0.2 0.4

純輸出 -2.6 2.8 1.4 1.5 -0.1 -0.3 0.2 0.1 0.0 0.0 0.0 0.0 -0.2 0.0 2.3 0.1

実質GDP 2.6 -0.4 2.0 0.1 -11.3 -54.4 65.5 7.5 8.3 7.5 3.0 1.9 1.3 1.4 -10.0 6.5

失業率(%) 3.8 3.9 3.8 3.8 4.2 8.0 8.5 8.0 7.4 7.0 6.7 6.5 4.1 3.8 7.2 6.9

週平均賃金 3.1 3.9 3.7 2.9 3.3 1.6 -0.2 -0.3 0.1 1.4 3.2 3.5 3.0 3.4 1.1 2.1

消費者物価(HICP)上昇率 1.9 2.0 1.8 1.4 1.7 0.9 0.8 1.0 1.2 1.7 1.8 2.0 2.5 1.8 1.1 1.7

コアCPI上昇率 1.9 1.8 1.7 1.6 1.6 1.6 1.4 1.5 1.5 1.7 1.9 2.1 2.1 1.7 1.5 1.8

政策金利(バンクレート、期末値) 0.75 0.75 0.75 0.75 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.75 0.75 0.10 0.10

資産購入プログラム(十億ポンド) 445 445 445 445 459 640 705 745 745 745 745 745 445 445 745 745

3ヶ月物銀行間金利(%) 0.85 0.77 0.76 0.79 0.60 0.40 0.25 0.25 0.25 0.25 0.30 0.35 0.91 0.79 0.25 0.35

10年物国債利回り 1.00 0.83 0.49 0.82 0.36 0.25 0.25 0.30 0.35 0.40 0.50 0.60 1.28 0.82 0.30 0.60

ポンド/ユーロ為替レート(ポンド) 0.86 0.89 0.89 0.85 0.89 0.92 0.91 0.90 0.87 0.86 0.86 0.85 0.90 0.85 0.90 0.85

ポンド対ドル相場(ドル) 1.30 1.27 1.23 1.33 1.24 1.16 1.20 1.24 1.29 1.31 1.33 1.35 1.28 1.33 1.24 1.35

ポンド(貿易加重平均) 78.9 76.4 76.4 80.1 77.5 74.1 75.4 76.7 79.5 80.5 80.9 81.9 76.5 80.1 76.7 81.9

(季節調整済み前期比%)

(季節調整済み前期比%ポイント)

(前年同期比% )

(前年比%)

(季節調整済み前期比年率%)

(前年比%ポイント)

(前年比%)

注: 1. 失業率は労働力人口に対する比率。2. 金利・為替は期末値。3. 在庫投資は統計誤差を含む。4. 太字は実績値、その他は野村予想。5. 2020年5月11日現在。

出所: 英国統計局、イングランド銀行(BOE)、ブルームバーグ、ヘイバー・アナリティクス、野村

Nomura | 2020~21年度の経済見通し 2020年5月22日

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中国経済:景気急回復への期待は遠のきつつある

外需の落ち込みにより、2020年4-6月期の実質GDP成長率もマイナスが続くだろう。

政府は間もなく資金面での支援を柱とする大規模な景気刺激策を発表するとみられ

る。

景気動向

新型コロナウイルスは中国経済に深刻な影響を及ぼしており、1-3月期の実質GDP

成長率は前年同期比-6.8%となった。当初の感染抑制策は成功したようにみえる

が、中国はなお2つの差し迫った課題に直面している。すなわち、世界的な感染拡大を

受けた外需の落ち込みと、中国における感染第二波の到来が現実味を帯びてきたこ

とである。そのため、景気急回復への期待は遠のきつつある。我々は4-6月期の実

質GDP成長率が前年同期比-0.5%とマイナスのままとなり、5月22日から開かれる全

国人民代表大会(全人代)で政府は20年の実質GDP成長率目標を大幅に下方修正す

るとみる。政府が成長率予想を示さない可能性もあろう。

物価動向

野村では、消費者物価(CPI)上昇率が向こう数四半期において低下傾向を辿るとみて

いる。比較対象となる前年同期の豚肉価格が上昇傾向を辿ることが、新型コロナウイ

ルス感染拡大によって引き起こされた消費財(特に食料品など生活必需品)供給の

ひっ迫を十二分に吸収すると見込まれるためだ。生産者物価(PPI)上昇率は、内需の

弱まりと世界的な原油価格下落により、向こう数ヶ月間は低調な推移を続ける可能性

がある。

政策動向

政府は中小企業や低所得の家計が新型コロナウイルス感染拡大の影響を乗りれるよ

う政策緩和を強化した。過去数十年で最悪の景気後退に対処するため、政府は間も

なく資金面での支援を柱とする対GDP比約10%にも上る景気刺激策を打ち出すと予

想される。財源の大部分は中国人民銀行(PBC:中央銀行)がまかなうとみられる。大

半は予算外調達となるため、それらを加味した広義の財政赤字は19年の対GDP比

7.1%から20年には同13.1%へと大きく拡大すると予想される。またPBCは、党中央政

治局の方針に従い、預金準備率の引き下げや各種貸出ファシリティを通じてさらなる

流動性を供給し、各種準政策金利の引き下げを一段と進めるだろう(1年物預金基準

金利が0.25%ポイント引き下げられると予想)。

リスク要因

上振れリスクとしては、予想以上の景気刺激策実施や、新型コロナウイル

スの影響の早期収束が挙げられる。他方、下振れリスクには、外需の想定以上の落ち

込み、米中対立の再燃、新型コロナウイルスの深刻な感染「第二波」が到来すること、

債務不履行の増加、不動産市場の急激な調整が挙げられる。

Nomura | 2020~21年度の経済見通し 2020年5月22日

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図表 49: 中国経済見通し要約表

  

(%) 19Q3 19Q4 20Q1 20Q2 20Q3 20Q4 21Q1 21Q2 2019年 2020年 2021年

実質GDP 6.0 6.0 -6.8 -0.5 5.8 5.8 15.0 9.2 6.1 1.5 8.8

GDPへの寄与度

最終需要 3.5 3.5 -4.4 3.5 1.2 5.0

総固定資本形成 1.6 2.7 -1.5 1.9 0.8 3.0

純輸出(財・サービス) 0.9 -0.1 -1.0 0.7 -0.5 0.8

消費者物価(CPI)上昇率 2.9 4.3 5.0 4.1 3.0 1.5 0.8 1.1 2.9 3.4 1.2

コアCPI上昇率 1.5 1.4 1.2 1.1 1.3 1.4 1.6 1.4 1.6 1.3 1.5

生産者物価(PPI) -0.8 -1.2 -0.6 -2.1 -1.7 -1.8 -1.1 0.0 -0.3 -1.6 -0.3

小売売上高(名目) 7.6 7.7 -19.0 3.5 8.6 8.5 18.0 7.8 8.0 0.4 9.5

固定資産投資(名目、年初来) 5.4 5.4 -16.1 -5.0 0.0 1.5 16.0 8.0 5.4 1.5 6.0

鉱工業生産(実質) 5.0 5.9 -8.4 -0.4 7.3 7.2 13.5 8.0 5.7 1.4 8.0

輸出(米ドル建て) -0.3 2.0 -13.3 -30.0 -15.0 -10.0 9.0 18.0 0.5 -17.0 8.3

輸入(米ドル建て) -6.2 3.4 -2.9 -25.0 -10.0 -8.0 6.0 15.0 -2.7 -11.6 9.7

貿易収支(10億米ドル) 117.8 127.1 13.2 46.9 73.3 103.5 28.6 67.0 421.7 236.9 262.9

経常収支(対GDP比%) 1.1 1.0 -1.0 -0.5 -0.2 0.5 -0.5 0.1 1.0 -0.3 -0.1

財政収支(公式、対GDP比%) -4.9 -7.4 -6.0

財政収支(広義、対GDP比%) -7.1 -13.1 -8.0

銀行貸出残高(元建て) 12.5 12.3 12.7 12.8 13.0 13.0 12.8 12.7 12.3 13.0 12.6

社会融資総量残高 10.7 10.7 11.5 11.8 12.0 12.0 11.8 11.4 10.7 12.0 11.2

広義の社会融資総量残高 10.4 10.4 11.2 11.5 11.7 11.7 11.5 11.1 10.4 11.7 10.9

マネーサプライM2 8.4 8.7 10.1 10.4 10.5 10.5 10.4 10.0 8.7 10.5 9.8

1年物中期貸出ファシリティ金利(%) 3.30 3.25 3.15 2.90 2.90 2.90 2.90 2.90 3.25 2.90 2.90

7日物リバースレポレート(%) 2.55 2.50 2.20 2.15 2.15 2.15 2.15 2.15 2.50 2.15 2.15

預金準備率(大手銀行、%) 13.0 13.0 12.5 11.5 11.5 11.5 11.0 11.0 13.0 11.5 10.5

人民元/米ドル為替レート(人民元) 7.14 6.97 7.09 7.16 7.16 7.18 7.19 7.19 6.97 7.18 7.20

(前年同期比% )

(前年同期比% ) (前年比%)

(前年同期比%ポイント) (前年比%ポイント)

(前年比%)

注: 1. 公式の財政収支は中央政府・地方政府の一般会計。広義の財政赤字は、中央・地方の特別債、国有鉄道・政策銀行、地方政府調達機関を含む。連結ベース、財政年度は1月~12月。2. 為替レートはオンショア市場のスポットレート、期末値。金利も期末値。3. 太字は実績値、その他は野村予想。4.2020年5月12日現在。

出所: 中国国家統計局、中国人民銀行、中国商務部、WINDデータベース、野村

Nomura | 2020~21年度の経済見通し 2020年5月22日

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ディスクレイマー

本資料は表紙に記載されている野村グループの関連会社により作成されたもので、表紙などに従業員やその協力者が記載されている1社あるいは複数の野

村グループの関連会社によって単独あるいは共同で作成された資料が含まれます。ここで使用する「野村グループ」は、野村ホールディングス、およびその関

連会社と子会社を指し、(a)日本の野村證券(「NSC」)、(b)ドイツのノムラ・ファイナンシャル・プロダクツ・ヨーロッパ GmbH(「NFPE」)、(c)英国のノムラ・インタ

ーナショナル plc (「NIplc」)、(d)米国のノムラ・セキュリティーズ・インターナショナル・インク (「NSI」)、(e)インスティネット LLC (「ILLC」)、(f)香港の野村国際(香

港) (「NIHK」)、(g)韓国のノムラ・フィナンシャル・インベストメント(韓国) (「NFIK」) (韓国金融投資協会(「KOFIA」)に登録しているアナリストの情報は KOFIA

のイントラネット http://dis.kofia.or.kr でご覧いただけます)、(h)シンガポールのノムラ・シンガポール・リミテッド (「NSL」) (登録番号 197201440E、 シンガポ

ール金融監督局の監督下にあります)、(i)オーストラリアのノムラ・オーストラリア・リミテッド (「NAL」) (ABN 48 003 032 513) (オーストラリアのライセンス番

号 246412、オーストラリア証券投資委員会(「ASIC」)の監督下にあります)、(j)マレーシアのノムラ・セキュリティーズ・マレーシア Sdn. Bhd. (「NSM」)、(k)台

湾の NIHK 台北支店 (「NITB」)、(l)インドのノムラ・フィナンシャル・アドバイザリー・アンド・セキュリティーズ (インディア) プライベート・リミテッド (「NFASL」)、

(登録住所: Ceejay House, Level 11, Plot F, Shivsagar Estate, Dr. Annie Besant Road, Worli, Mumbai- 400 018, India;電話: +91 22 4037 4037、ファッ

クス: +91 22 4037 4111; CIN番号:U74140MH2007PTC169116、SEBI登録番号(株式ブローカレッジ): INZ000255633、SEBI登録番号(マーチャントバ

ンキング):INM000011419、SEBI登録番号(リサーチ):INH000001014)が含まれます。リサーチ・レポートの表紙のアナリスト名の横に記載された「CNS タイ

ランド」の記載は、タイのキャピタル・ノムラ・セキュリティーズ・パブリック・カンパニー・リミテッド (「CNS」)に雇用された当該アナリストが、CNS及び NSL間の

アグリーメントに基づき、NSL にリサーチ・アシスタントのサービスを行っていることを示しています。リサーチ・レポートの表紙の従業員氏名の横に記載された

「NSFSPL」は、ノムラ・ストラクチャード・ファイナンス・サービシーズ・プライベート・リミテッドに雇用された当該従業員が、インタ-カンパニー・アグリーメントに

基づき、特定の野村の関連会社のサポ―トを行っていることを示しています。リサーチ・レポートの表紙のアナリスト名の横に記載された「BDO-NS」(「BDO ノ

ムラ・セキュリティーズ・インク」を表します)の記載は、BDO ユニバンク・インク(「BDO ユニバンク」)に雇用され BDO-NS に配属された当該アナリストが、

BDO ユニバンク、NSL 及び BDO-NS 間のアグリーメントに基づき、NSL にリサーチ・アシスタントのサービスを行っていることを示しています。BDO-NS は

BDO ユニバンクと野村グループのジョイント・ベンチャーで、フィリピンの証券ディーラーです。リサーチ・レポートの表紙の個人名の横に記載された「ベルダー

ナ」は、「PT ベルダーナ セキュリタス インドネシア(「ベルダーナ」)に雇用された従業員が、リサーチパートナーシップアグリーメントに基づき、NIHK に対し

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(損失収入または利益、機会コストを含む)に対する責任(過失による、そうでなければ、全体または一部において)を負いません。信用格付けは意見の表明

であり、事実または証券の購入、保有、売却の推奨を表明するものではありません。格付けは証券の適合性あるいは投資目的に対する証券の適合性を扱う

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伴う全てのリスクについて検証あるいは提示しているのではないことをご了解ください。野村グループは、ファンダメンタル分析、定量分析等、異なるタイプの

数々のリサーチ商品を提供しております。また、時間軸の捉え方や分析方法の違い等の理由により、リサーチのタイプによって推奨が異なる場合があります。

野村グループは野村グループのポータル・サイト上へのリサーチ商品の掲載および/あるいはお客様への直接的な配布を含め、様々な方法によってリサーチ

商品を発表しております。リサーチ部門が個々のお客様の要望に応じて提供する商品およびサービスはお客様の属性によって異なる場合があります。

当レポートに記載されている数値は過去のパフォーマンスあるいは過去のパフォーマンスに基づくシミュレーションに言及したものである場合があり、将来の

または見込まれるパフォーマンスを示唆するものとして信頼できるものではありません。情報に将来のパフォーマンスおよび事業の見通しに関する期待、予

想、示唆が含まれている場合、係る予想は将来のまたは見込まれるパフォーマンスを示唆するものとして必ずしも信頼できるものではありません。また、シミ

ュレーションはモデルと想定の簡略化に基づいて行われており、想定が過度に簡略化され、将来のリターン分布を反映していない場合があります。本資料で

説明のために作成・発行された数値、投資ストラテジー、インデックスは、EU 金融ベンチマーク規制が定義する"ベンチマーク"としての"使用"を意図したもの

ではありません。

特定の証券は、その価値または価格、あるいはそこから得られる収益に悪影響を及ぼし得る為替相場変動の影響を受ける場合があります。

金融市場関連のリサーチについて:アナリストによるトレード推奨については、以下の 2通りに分類されます;戦術的(tactical)トレード推奨は、向こう 3 ヶ月程

度の見通しに基づいています;戦略的(strategic)トレード推奨は、向こう 6ヶ月から 12ヶ月の見通しに基づいています。これら推奨トレードについては、経済・

市場環境の変化に応じて、適宜見直しの対象となります。また、ストップ・ロスが明記されたトレードについては、その水準を超えた時点で推奨の対象から自

動的に外れます。トレード推奨に明記される金利水準や証券のプライスについては、リサーチ・レポートの発行に際してアナリストから提出された時点の、ブル

ームバーグ、ロイター、野村のいずれかによる気配値であり、その時点で、実際に取引が可能な水準であるとは限りません。

本資料に記載された証券は米国の 1933年証券法に基づく登録が行われていない場合があります。係る場合、1933年証券法に基づく登録が行われる、ある

いは当該登録義務が免除されていない限り、米国内で、または米国人を対象とする購入申込みあるいは売却はできません。準拠法が他の方法を認めていな

い限り、いかなる取引もお客様の地域にある野村の関連会社を通じて行う必要があります。

本資料は、NIplcにより英国において投資リサーチとして配布することを認められたものです。NIplcは、英国のプルーデンス規制機構によって認可され、英国

の金融行為監督機構とプルーデンス規制機構の規制を受けています。NIplc はロンドン証券取引所会員です。本資料は、英国の適用される規則の意味する

範囲での個人的な推奨を成すものではなく、あるいは個々の投資家の特定の投資目的、財務状況、ニーズを勘案したものではありません。本資料は、英国

の適用される規則の目的のために「適格カウンターパーティ」あるいは「専門的顧客」である投資家のみを対象にしたもので、したがって、当該目的のために

「個人顧客」である者への再配布は認められておりません。

本資料は、ノムラ・ファイナンシャル・プロダクツ・ヨーロッパ GmbH (「NFPE」)により欧州経済領域内において投資リサーチとして配布することを認められたも

のです。NFPEは、フランクフルト/マイン裁判所の商業登記簿に登録された商業登記番号 HRB110223であるドイツ法下の有限責任会社として組織された会

社であり、ドイツ連邦金融監督庁(BaFin)の監督下にあります。

本資料は、香港証券先物委員会の監督下にあるNIHKによって、香港での配布が認められたものです。本資料は、香港で適用される規制における「プロの投

資家」 に該当する投資家のみを対象としており、そのような目的で 「プロの投資家」 でない人には再配布できません。

本資料は、オーストラリアで ASICの監督下にある NALによってオーストラリアでの配布が認められたものです。

また、本資料は NSMによってマレーシアでの配布が認められています。

シンガポールにおいては、本資料は、証券先物法(第 110 条)及びその他で定義される免除フィナンシャルアドバイザーである NSL により配布されており、シ

ンガポール通貨庁により規制されております。NSL は、金融アドバイザー規制の規則32C に基づく取り決めに従って海外の関係会社により発行された本資

料を配布することができます。本資料の受領者が、証券先物法(第 289条)で定義されている認定、専門的もしくは機関投資家でない場合、NSLはそのような

受領者に対しては本資料の内容について、法律によって要求される範囲においてのみ法的責任を負うものとします。シンガポールにて本資料の配布を受け

たお客様は本資料から発生した、もしくは関連する事柄につきましては NSL にお問い合わせください。本資料は、一般的な流通のために作成されたものであ

り、特定の投資目的、金融の状況又は特定の者の特定の必要性を考慮したものではありません。受領者は、別途の契約に基づいて、投資の適切性について

フィナンシャルアドバイザーからの助言を、妥当なものであるとして受けることを含め、証券購入の決定をする前に、自身の特定の投資目的、金融の状況又は

特定の必要性を考慮する必要があります。

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本資料は米国においては 1933 年証券法のレギュレーション S の条項で禁止されていない限り、米国登録ブローカー・ディーラーである NSI により配布され

ます。NSIは1934年証券取引所法規則15a-6に従い、その内容に対する責任を負っております。本資料を作成した会社は、野村グループ内の関連会社が、

顧客が入手可能な複製を作成することを許可しています。

野村サウジアラビア、NIplc、あるいは他の野村グループ関連会社はサウジアラビア王国(「サウジアラビア」)での(資本市場庁が定めるところの、)「オーソラ

イズド・パーソンズ」、「エグゼンプト・パーソンズ」、または「インスティテューションズ」以外の者への本資料の配布、アラブ首長国連邦(「UAE」)においては、

(ドバイ金融サービス機構が定めるところの、)「マーケット・カウンターパーティー」または「専門的顧客」以外の者への配布、また、カタール国の(カタール金融

センター規制機構が定めるところの、)「マーケット・カウンターパーティー」、または「ビジネス・カスタマーズ」以外の者への配布を認めておりません。サウジア

ラビアおいては、「オーソライズド・パーソンズ」、「エグゼンプト・パーソンズ」、または「インスティテューションズ」以外の者、UAE の「マーケット・カウンターパー

ティー」または「専門的顧客」以外の者、あるいはカタールの「マーケット・カウンターパーティー」、または「ビジネス・カスタマーズ」以外の者を対象に本資料な

らびにそのいかなる複製の作成、配信、配布を行うことは直接・間接を問わず、係る権限を持つ者以外が行うことはできません。この規定に従わないと、サウ

ジアラビア、UAE、あるいはカタールの法律に違反する行為となる場合があります。

カナダ投資家向け:当レポートは、Investment Industry Regulatory Organization of Canada (「IIROC」) および Canadian Investor Protection Fundの会

員である Instinet Canada Limited (「ICL」)により、カナダの投資家向けに配布することを承認されています。ICL の関連会社が作成したリサーチ・レポート

(「関連会社リサーチ・レポート」)は、当該関連会社の地域におけるリサーチ配布に適用される規則上の要件を満たすよう作成されており、利益相反に係る開

示を含んでいます。ICL は、IIROCが必要とするカナダにおける開示が行われていることを確認するために当関連会社リサーチ・レポートをレビューしました。

ICL は、関連会社リサーチ・レポートの配布に関連して、対価を受取っていません。ICL のリサーチ配信に関するポリシー及び手順に従い、ICL は関連会社リ

サーチ・レポートを、電子的にまたは印刷された形で、ICL の現顧客および将来の顧客のみにしか提供しません。ICL は、全ての受領者が同時に関連会社リ

サーチ・レポートを利用可能となる及びまたは配布されるよう努めます。当関連会社リサーチ・レポートは、推奨ではなく、また、いかなる特定の口座の投資対

象、金融状況や特定のニーズを考慮しているものでもありません。

インドネシア共和国の法律に基づいて公募増資を行う場合、本資料はインドネシア国内での配布、インドネシア共和国域内での流通やインドネシア国民(居

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における募集もしくは販売、インドネシア国民(居住地または所在地にかかわらず)への募集もしくは販売、あるいはインドネシア共和国の法律に基づいて公

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Recommending Trades in Securities to Customer」及びまたはその他の台湾の法令・規則に基づき、お客様が本資料を関係者、関係会社およびその他の

第三者を含む他者へ提供すること、あるいは本資料を用いて利益相反があるかもしれない活動に従事することを禁じます。NIHK 台湾支店が執行できない証

券または商品に関する情報は、情報の提供だけを目的としたものであり、投資の推奨または勧誘を意図したものではありません。

本資料は、中華人民共和国(「中国」(この資料では、香港、マカオ、台湾を除く))の域外に設立された野村グループ若しくはその子会社・関連会社(以下総称

して「オフショア会社」)により作成されており、中国国内での配布を承認されていない、もしくは配布を意図されていません。オフショア会社は、証券投資コン

サルティングサービスを含む金融サービスを中国国内で実行する免許を保有していないか、中国当局の管理・監督下にありません。利用者は、投資判断を行

うに当たり、本資料を利用してはならず、また本レポートに含まれる如何なる情報にも依拠してはいけません。また、オフショア会社はこれに関して責任を負い

ません。

本資料のいかなる部分についても、野村グループ会社から事前に書面で同意を得ることなく、(i)その形態あるいは方法の如何にかかわらず複製、撮影、再生

成、または重複することあるいは(ii)再配信、再発行、再配布することを禁じます。本資料が、電子メール等によって電子的に配布された場合には、情報の傍

受、変造、紛失、破壊、あるいは遅延もしくは不完全な状態での受信、またはウィルスへの感染の可能性があることから、安全あるいは誤りがない旨の保証

は致しかねます。従いまして、送信者は電子的に送信したために発生する可能性のある本資料の内容の誤りあるいは欠落に対する責任(過失による、そうで

なければ、全体または一部において)を負いません。確認を必要とされる場合には、印刷された文書をご請求下さい。

日本で求められるディスクレイマー

レポート本文中の格付記号の前に※印のある格付けは、金融商品取引法に基づく信用格付業者以外の格付業者が付与した格付け(無登録格付け)です。無

登録格付けについては「無登録格付に関する説明書」https://www.nomura.co.jp/retail/bond/noregistered.html をご参照ください。

当社で取り扱う商品等へのご投資には、各商品等に所定の手数料等(国内株式取引の場合は約定代金に対して最大 1.43%(税込み)(20 万円以下の場合

は、2,860 円(税込み))の売買手数料、投資信託の場合は銘柄ごとに設定された購入時手数料(換金時手数料)および運用管理費用(信託報酬)等の諸経

費、等)をご負担いただく場合があります。また、各商品等には価格の変動等による損失が生じるおそれがあります。商品ごとに手数料等およびリスクは異な

りますので、当該商品等の契約締結前交付書面、上場有価証券等書面、目論見書、等をよくお読みください。

国内株式(国内 REIT、国内 ETF、国内 ETN、国内インフラファンドを含む)の売買取引には、約定代金に対し最大 1.43%(税込み)(20 万円以下の場合は

2,860円(税込み))の売買手数料をいただきます。国内株式を相対取引(募集等を含む)によりご購入いただく場合は、購入対価のみお支払いいただきます。

Page 45: 財界観測 論文 2020年5月22日「2020~21年度の経 …...財界観測 2020.5.22 目 次 要約と結論 日本経済: 「コロナ・ショック」からの持ち直 しはL

ただし、相対取引による売買においても、お客様との合意に基づき、別途手数料をいただくことがあります。国内株式は株価の変動により損失が生じるおそれ

があります。国内 REITは運用する不動産の価格や収益力の変動により損失が生じるおそれがあります。国内 ETF・ETNは連動する指数等の変動により損

失が生じるおそれがあります。国内インフラファンドは運用するインフラ資産等の価格や収益力の変動により損失が生じるおそれがあります。

外国株式の売買取引には、売買金額(現地約定金額に現地手数料と税金等を買いの場合には加え、売りの場合には差し引いた額)に対し最大 1.045%(税

込み)(売買代金が 75 万円以下の場合は最大 7,810 円(税込み))の国内売買手数料をいただきます。外国の金融商品市場での現地手数料や税金等は国

や地域により異なります。外国株式を相対取引(募集等を含む)によりご購入いただく場合は、購入対価のみお支払いいただきます。ただし、相対取引による

売買においても、お客様との合意に基づき、別途手数料をいただくことがあります。外国株式は株価の変動および為替相場の変動等により損失が生じるおそ

れがあります。

信用取引には、売買手数料(約定代金に対し最大 1.43%(税込み)(20 万円以下の場合は 2,860 円(税込み)))、管理費および権利処理手数料をいただき

ます。加えて、買付の場合、買付代金に対する金利を、売付けの場合、売付け株券等に対する貸株料および品貸料をいただきます。委託保証金は、売買代

金の 30%以上(オンライン信用取引の場合、売買代金の 33%以上)で、かつ 30 万円以上の額が必要です。信用取引では、委託保証金の約 3.3 倍まで(オ

ンライン信用取引の場合、委託保証金の約 3 倍まで)のお取引を行うことができるため、株価の変動により委託保証金の額を上回る損失が生じるおそれがあ

ります。詳しくは、上場有価証券等書面、契約締結前交付書面、等をよくお読みください。

CBの売買取引には、約定代金に対し最大 1.10%(税込み)(4,400 円に満たない場合は 4,400 円(税込み))の売買手数料をいただきます。CBを相対取引

(募集等を含む)によりご購入いただく場合は、購入対価のみお支払いいただきます。ただし、相対取引による売買においても、お客様との合意に基づき、別

途手数料をいただくことがあります。CBは転換もしくは新株予約権の行使対象株式の価格下落や金利変動等によるCB価格の下落により損失が生じるおそ

れがあります。加えて、外貨建てCBは、為替相場の変動等により損失が生じるおそれがあります。

債券を募集・売出し等その他、当社との相対取引によってご購入いただく場合は、購入対価のみお支払いいただきます。債券の価格は市場の金利水準の変

化に対応して変動しますので、損失が生じるおそれがあります。また、発行者の経営・財務状況の変化及びそれらに関する外部評価の変化等により、投資元

本を割り込むことがあります。加えて、外貨建て債券は、為替相場の変動等により損失が生じるおそれがあります。

個人向け国債を募集によりご購入いただく場合は、購入対価のみお支払いいただきます。個人向け国債は発行から 1 年間、原則として中途換金はできませ

ん。個人向け国債を中途換金する際、原則として次の算式によって算出される中途換金調整額が、売却される額面金額に経過利子を加えた金額より差し引

かれます。(変動 10年:直前 2回分の各利子(税引前)相当額×0.79685、固定 5年、固定 3年: 2回分の各利子(税引前)相当額×0.79685)

物価連動国債を募集・売出し等その他、当社との相対取引によってご購入いただく場合は、購入対価のみお支払いいただきます。物価変動国債の価格は、

市場の金利水準の変化や全国消費者物価指数の変化に対応して変動しますので、損失が生じるおそれがあります。想定元金額は、全国消費者物価指数の

発行時からの変化率に応じて増減します。利金額は、各利払時の想定元金額に表面利率を乗じて算出します。償還額は、償還時点での想定元金額となりま

すが、2023年以降に償還するもの(第 17回債以降)については、額面金額を下回りません。

投資信託のお申込み(一部の投資信託はご換金)にあたっては、お申込み金額に対して最大 5.5%(税込み)の購入時手数料(換金時手数料)をいただきま

す。また、換金時に直接ご負担いただく費用として、換金時の基準価額に対して最大 2.0%の信託財産留保額をご負担いただく場合があります。投資信託の

保有期間中に間接的にご負担いただく費用として、国内投資信託の場合には、信託財産の純資産総額に対する運用管理費用(信託報酬)(最大 5.5%(税込

み・年率))のほか、運用成績に応じた成功報酬をご負担いただく場合があります。また、その他の費用を間接的にご負担いただく場合があります。外国投資

信託の場合も同様に、運用会社報酬等の名目で、保有期間中に間接的にご負担いただく費用があります。

投資信託は、主に国内外の株式や公社債等の値動きのある証券を投資対象とするため、当該資産の市場における取引価格の変動や為替の変動等により

基準価額が変動します。従って損失が生じるおそれがあります。投資信託は、個別の投資信託ごとに、ご負担いただく手数料等の費用やリスクの内容や性質

が異なります。また、上記記載の手数料等の費用の最大値は今後変更される場合がありますので、ご投資にあたっては目論見書や契約締結前交付書面を

よくお読みください。

金利スワップ取引、及びドル円ベーシス・スワップ取引(以下、金利スワップ取引等)にあたっては、所定の支払日における所定の「支払金額」のみお受払いい

ただきます。金利スワップ取引等には担保を差入れていただく場合があり、取引額は担保の額を超える場合があります。担保の額は、個別取引により異なり

ますので、担保の額及び取引の額の担保に対する比率を事前に示すことはできません。金利スワップ取引等は金利、通貨等の金融市場における相場その

他の指標にかかる変動により、損失が生じるおそれがあります。また、上記の金融市場における相場変動により生じる損失が差入れていただいた担保の額

を上回る場合があります。また追加で担保を差入れていただく必要が生じる場合があります。お客様と当社で締結する金利スワップ取引等と「支払金利」(又

は「受取金利」)以外の条件を同一とする反対取引を行った場合、当該金利スワップ取引等の「支払金利」(又は「受取金利」)と、当該反対取引の「受取金利」

(又は「支払金利」)とには差があります。商品毎にリスクは異なりますので、契約締結前交付書面やお客様向け資料をよくお読みください。

クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)取引を当社と相対でお取引いただく場合は手数料をいただきません。CDS 取引を行なうにあたっては、弊社との間で合

意した保証金等を担保として差し入れ又は預託していただく場合があり、取引額は保証金等の額を超える場合があります。保証金等の額は信用度に応じて

相対で決定されるため、当該保証金等の額、及び、取引額の当該保証金等の額に対する比率をあらかじめ表示することはできません。CDS 取引は参照組

織の一部又は全部の信用状況の変化や、あるいは市場金利の変化によって市場価値が変動し、当該保証金等の額を超えて損失が生じるおそれがあります。

信用事由が発生した場合にスワップの買い手が受取る金額は、信用事由が発生するまでに支払う金額の総額を下回る場合があります。また、スワップの売

り手が信用事由が発生した際に支払う金額は、信用事由が発生するまでに受取った金額の総額を上回る可能性があります。他の条件が同じ場合に、スワッ

プの売りの場合に受取る金額と買いの場合に支払う金額には差があります。 CDS 取引は、原則として、金融商品取引業者や、あるいは適格機関投資家等

の専門的な知識を有するお客様に限定してお取り扱いしています。

Page 46: 財界観測 論文 2020年5月22日「2020~21年度の経 …...財界観測 2020.5.22 目 次 要約と結論 日本経済: 「コロナ・ショック」からの持ち直 しはL

証券保管振替機構を通じて他の証券会社へ株式等を移管する場合には、数量に応じて、移管する銘柄ごとに 11,000 円(税込み)を上限額として移管手数料

をいただきます。有価証券や金銭のお預かりについては料金をいただきません。

野村證券株式会社

金融商品取引業者 関東財務局長(金商) 第 142号

加入協会/日本証券業協会、一般社団法人 日本投資顧問業協会、一般社団法人 金融先物取引業協会、一般社団法人 第二種金融商品取引業協会

野村グループは法令順守に関する方針および手続き(利益相反、チャイニーズ・ウォール、守秘義務に関する方針を含むがそれに限定されない)やチャイニ

ーズ・ウォールの維持・管理、社員教育を通じてリサーチ資料の作成に関わる相反を管理しています。

本資料で推奨されたトレードについて、その構築に用いられた手法や数理・解析モデルに関する追加情報が必要な場合は、表紙に記載された野村のアナリ

ストにお問い合わせください。ディスクロージャー情報については下記のサイトをご参照ください。

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