海岸愛護写真コンクール入賞作品集第33回...
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第33回
海岸愛護写真コンクール入賞作品集-美しく、安全で、いきいきした海岸を目指して-
「自然の造形」は、自然の不思議を発見し注意深く観察して撮影されている写真作品となっています。自然は本当に不思議です。突然こんな一部の場所のみに砂紋ができアオサが付いた不思議な浜辺の風景を発見した作者の感性に脱帽です。また太陽がその中心に来るように撮影しているところにこだわりを見ました。右や正面からなど様々な撮影をされていると思いますが、その中の一番良いポジションと構成したものをプリントされているのでしょうね。ブルーの中のグリーンと襞(ヒダ)のある砂紋とのバランスに昆布の茶色が加わり、うまく構成が安定しているのだと思います。大きな画面で見るとその不思議さや作者の感じた印象がより伝わることでしょう。審査員一同が推薦した大臣賞です。
「自然の造形」(北海道苫小牧市 真砂町の海岸)
山内 佳子(北海道札幌市)
国土交通大臣賞
この冊子は、公益財団法人河川財団による河川整備基金の助成を受けています。
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「二人の世界」は、雲の流れ方が本当にいいですね。海水に浸かったまま夕日を眺める二人、その二人と海・雲に対峙するカメラポジション。作者の感性が、本当にうまく画面構成に表現されていると思います。砂浜に寄せた波が引いていき水鏡になるところまで計算して撮影した作者の気持ちがよく伝わり感動しました。ラッキーな雲に撮らされたのではなく写真作品に高めた作者の力量の凄さがある、見事な局長賞です。
「二人の世界」(和歌山県 上浦海岸)
鈴木 文代(和歌山県東牟婁郡串本町)
国土交通省水管理・国土保全局長賞
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「てとて」は、手の込んだ写真作品でレトロムードの色調に加え、二人がカメラを提げているところに作者のこだわりを感じました。自然体であることが重要であると作者はその瞬間を待っていたように思います。ピントとボケ味の出し方も抜群で、流木との構成に非凡な作者の存在を感じました。会長賞に相応しい写真作品です。
「てとて」(千葉県 原岡海岸)
安田 篤吉(千葉県船橋市)
全国海岸協会会長賞
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「満潮の浜」は、寒々しい日本海の海岸が表現されている傑作です。日本海特有の冬の雲が右手に垂れ込め、足元まで濡れている感じの波が押し寄せます。鋭い岩には雪が張り付き立体的な存在を示しています。それらの構成要素がそれぞれ存在感を示しつつも絶妙なバランスで一体感を醸し出しています。プリントも美しく、遠近感と立体感を兼ね備えた素敵な風景写真です。
「満潮の浜」(京都府 立岩海岸)
宮田 敏幸(兵庫県西宮市)
特 選
特 選
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「妻とウミガメ」は、海岸ではないと言われるかもしれませんが、海岸の水中にもこんな光景が沢山あると思います。発想の転換も非常に大切な要素ですから、海岸愛護の精神を持って様々な発想の写真撮影を心がけていただければ幸いです。写真撮影は自由な考え方の元で成立します。自由な発想で自由に楽しむのが写真撮影です。この写真はまさにそれを表していると感じます。
「妻とウミガメ」(沖縄県 渡嘉志久ビーチ)
真砂 昇平(鳥取県西伯郡日吉津村)
特 選
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「メモリー」は、家族で浜辺に降り立った感じがします。砂紋が美しく波立ち、その遠景に家族がいる。ロマンチストの作者の存在を感じてしまいます。付いたばかりの足跡もその印象度を増す機能を果たしており、まさに「メモリー」に相応しいと思いました。これからも「メモリー」をテーマに撮影を楽しんでください。
「メモリー」(香川県 有明浜海岸)
小豆 恒夫(香川県小豆郡小豆島町)
特 選
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入 選 「神宿る」(北海道 烏帽子岬)
「神宿る」は、いつ倒れてもおかしくないような形状に侵食された岩礁で、まさにこのタイトルがふさわしいですね。夏の日の出でしょうか、風景写真の一番大切なところからスタートしていると思います。色彩的にも厳かな印象のある海岸美の風景写真です。このスタイルで様々な北海道の海岸風景を撮影されることを今後も期待しています。
加藤 明彦(北海道苫前郡初山別村)
入 選
入 選 「風の海岸のサンドクラフト」(秋田県 釜谷浜)
「風の海岸のサンドクラフト」は、あえて色調を変えて自分のイメージを昇華させていると感じました。魚眼レンズで少しデフォルメした感じになっていますが、この作品ではこの点が成功していると思います。砂の像に立体感があり色彩の印象がさらに像をインパクトあるものにしていると思いました。
金田 勇希(秋田県能代市)
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入 選 「干潟を探検」(兵庫県 新舞子海岸)
「干潟を探検」は、何年か前にもこのような写真作品が応募され入賞したと思いますが、この写真作品ではお揃いの白いコートが印象的です。干潟の模様も美しく、長い影からも時間の経過が理解できます。丁寧に撮影されており、過去の作品群とは異なる心地良さを感じつつ拝見しました。
斎藤 雄宰睦(岡山県岡山市)
入 選 「Tシャツアートの見えるテラス」(愛媛県 ふたみシーサイド公園)
「Tシャツアートの見えるテラス」は、少し長すぎるタイトルです。写真を説明するタイトルではなく、ロマンのあるテラスですから座りたくなるようなタイトルをつけて頂ければと思います。写真作品そのものは作者の印象が十分に表現されていると思います。
末光 則夫(愛媛県松山市)
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入 選 「岩百合満開」(新潟県 外海府海岸)
「岩百合満開」は、佐渡の代表的な場所ですが、このように見事に花が開花した様子はめったに見ることができないと思います。カメラはそうした一瞬を残すための道具です。二度と同じ条件はありません。自ら良いと思ったらカメラに残すことが写心
(写真)です。今後もマナーやルールを守ってこのような写真作品を残してほしいと願っています。
山﨑 泰(栃木県栃木市)
入 選 「耳をすませば」(沖縄県 長浜ビーチ)
「耳をすませば」は、沖縄の海らしく珊瑚礁の浜辺で白いお洋服が印象的に映えています。幼児の手はとてもよいのですがおかあさんの足元まできちんと画面内に入れてあげたほうがよかったと思います。そうすることでタイトルにある感覚がより強くなると思われるからです。隅まできちんと確認しつつ撮影することは大切です。
髙橋 秀治(兵庫県神戸市)
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入 選 「巫女舞」(鹿児島県 岸良海岸)
「巫女舞」は、何らかの浜辺の祭事は毎年作品の応募がありますが、際立った特徴がなくてはなりません。この写真作品は風と波と踊り手にリズム感があるところが素晴らしいと思いました。色彩的にも赤・白・青と印象的でシンボリックな色彩が広がっています。
山田 宏作(鹿児島県霧島市)
入 選 「初めての浜辺」(山口県 虹ケ浜海岸)
「初めての浜辺」は、タイトル通りの雰囲気が伝わります。背後からその雰囲気を表現した作者の気持ちが素敵です。三姉妹の中の末っ子の仕草から恐る恐る海水に浸かる感じと、それを支える姉二人の手から想像力が掻き立てられます。写真作品は鑑賞者がそれぞれ想像や連想して鑑賞するものでもあります。こうした楽しい作品は嬉しくなりますね。
河野 ツネ子(山口県下関市)
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入 選 「絶景を行く」(京都府 若狭湾)
「絶景を行く」は、フレーミングがとても上手だと思いました。今回は鉄道の写真が2点入賞しましたが新鮮味のある構成が印象的です。鉄道写真は列車が来るまでに様々なことを考えつつ余裕がある場合と慌てる場合とがあるものですが、この写真作品を拝見するとゆったり撮影されていると感じました。
廣瀬 靖之(大阪府大阪市)
入 選 「橋杭干潟」(和歌山県 橋杭海岸)
「橋杭干潟」は、代表的な撮影ポイントの場所ですが、自然がなせる現象を的確に捉えたところが素晴らしいと思いました。雲の映り込みが画面を印象的にドラマチックにしています。構成力が優れているところに作者の力を感じました。
濱口 恵美(和歌山県東牟婁郡串本町)
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奨励賞「びゅ~ん!」(徳島県 月見ヶ丘海水浴場)
戸井 咲良(徳島県板野郡藍住町)
奨励賞「トビハゼとヤマトオサガニのかくれんぼ」(東京都 妙典)
谷口 青(東京都大田区)
奨 励 賞
奨励賞「岩礁の海」(神奈川県 荒崎海岸)
小髙 紘佑(神奈川県横浜市)
奨励賞「夏の思い出」(香川県 父母ヶ浜海岸)
横山 彰(香川県観音寺市)
「びゅ~ん!」は、飛行機になった少年でしょうか。楽しい夏の思い出の一コマになったことでしょう。砂地だけで海岸を表現しているところが素敵です。女の子の仕草から風が強い雰囲気を感じ、その風を切る男の子の広げた腕に力強さを感じます。また右側を開けたことで進んでいく方向性を出しているところが上手なところだと思いました。
「岩礁の海」は、作者が写真のテクニックをかなりご存じの方だと思いました。ND フィルターで荒波を流して撮影しているところにフィルム撮影から得た経験があると感じます。フィルム撮影でしょうか。デジタル撮影ならば無難な構成ではなく迫力ある荒磯海岸も表現してほしいと思いました。
「夏の思い出」は、夏休みの一コマでしょうか潮が砂浜に上がり水鏡になって家路につく子供達の姿に夏の思い出が残りました。箱がしっかり出ているだけに、網がもう少し出ると印象度が増したと思います。ともあれ「写真は記録」という原点を見たように思いました。
「トビハゼとヤマトオサガニのかくれんぼ」は、ユーモラスな雰囲気がとても良いと思います。トビハゼの美しさを追い求めている人もいますが、このような出会いの瞬間の面白さを追求することで、なかなか見ることの無い景色を探し出すことができます。予測を楽しみながらこれからも楽しく撮影して頂きたいと願っています。
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奨励賞「ふたりの夕日と海岸と」(神奈川県 城ヶ島海岸)
福山 容子(東京都中央区)
奨励賞「こんぶの季節」(青森県 尻岸内川河口)
山内 佳子(北海道札幌市)
奨励賞「今日もご苦労様です。」(千葉県 北条海岸)
根岸 春果(東京都日野市)
奨励賞「潜り岩」(山口県 本山岬海岸)
林 良子(山口県宇部市)
「ふたりの夕日と海岸と」は、そぞろ歩きの二人が夕日を眺めている雰囲気がとても良いと思いました。影絵のような仕上げにした点も作者の意図でしょう。デジタル撮影では白とびに注意して RAW で撮影することが夕日の場合は重要な要素だと思います。RAW 撮影し、その現像をもっと楽しんで欲しいと思いました。
「こんぶの季節」は、どうしても奥のガスを入れたかったのですね、このような場合は、この撮影後に昆布漁に絞って撮ることも大事です。浜辺と人物だけにすることで写真に力が出てきます。遠くの人物や民家は無しにした状態でも眺めて見てください。昆布の重さなど生活が見えてくる感じがすると思います。浜辺と生活も海岸愛護のテーマになると思います。
「潜り岩」は、有名な撮影ポイントのようですが、当然のことながら季節によって太陽の位置が変わります。人物を立たせたところはユニークですが少し決まりすぎており、夕日を眺めていない感じがします。自然体の写真が撮れるように努力してほしいと思います。
「今日もご苦労様です。」は、サーファーが波の状況を見ながら待機しているような雰囲気が伝わります。ドームのような黒い部分で海岸の施設を感じます。鳥が一羽飛んでくれているところも良く、スコールのような雨が来そうな予感がするところにも臨場感があり良いと思いました。
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奨励賞「浜昼顔」(高知県 入野海岸)
芝崎 静雄(愛媛県松山市)
奨励賞「惣郷川橋梁」(山口県 宇田惣郷)
藤利 充宏(山口県山口市)
奨励賞「海の声が聞こえる」(宮崎県 日南海岸)
竹尾 康男(宮崎県宮崎市)
奨励賞「りんご岩の浜辺で」(長崎県 白浜海水浴場)
島村 直幸(福岡県宗像市)
「浜昼顔」は、カラートーンが素晴らしく良いと思いました。イベントのTシャツが見える浜辺にサーファーが二人、ロマンのある雰囲気の撮影がとても良いと感じました。これからもカラートーンを武器に撮影されると良いでしょう。
「惣郷川橋梁」は、鉄道写真愛好家の撮影ポイントですが意外と簡単に撮れそうで撮れない場所でもあります。海岸を少し入れ、浜辺に人がいるフレーミングの良さがとても良いと思いました。細かいところに配慮した視点でこれからも撮影を楽しんでください。
「りんご岩の浜辺で」は、珍しい岩の存在と人の大きさが絶妙で、岩の大きさ・高さがよくわかる写真作品に仕上げられています。日本の海岸にはこのような場所が少なからずあると思います。模倣ではなく独自の視点で撮影することが写真の極意といっても過言ではないでしょう。
「海の声が聞こえる」は、日南海岸で撮影されています。ここの全長は相当な距離になり海岸に降りて行くだけでも大変です。そんな中で自分の興味を惹くポイントが多く悩む場所ではないかと思いますが、ピンポイントで形の面白さを重視した視点が良いと思いました。
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奨励賞「みてみて!のれたよ~!」(静岡県 静波海岸)
石川 栞里(静岡県静岡市)
奨励賞「海辺の神輿」(愛媛県 椎名海岸)
大高 久昌(愛媛県四国中央市)
奨励賞「白い海水浴場」(福井県 鳥居浜)
萩原 恒敏(福井県大飯郡高浜町)
「みてみて!のれたよ~!」は、昨年度の大臣賞の作品に若干似ていますが、独自の視点が良かったと思います。ただタイトルは良いのですが、もう少しお子さんの表情がはっきりと出ているともっと良い写真作品に仕上がったと思います。前年度の写真と比較して研鑽されると写真の心がわかるのではないでしょうか。
「白い海水浴場」は、夏大賑わいの海水浴場も冬になると一変するという風景を寒々しい雪で表現したところが良いと思います。しかし光が当たると雪の風景にも暖かさが出て、作者の優しい心が映っているような感じがします。繊細な描写も良いと思いました。
「海辺の神輿」は、足元まできちんと画面に入れて波を蹴飛ばしながら神輿が進行する雰囲気を大事に撮影して欲しかったと思いました。カメラのフレームの四隅を見ながら撮影する癖をつけることがスナップ撮影でも大切なことだと思います。
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審 査 総 評
公益社団法人 日本写真家協会会員(JPS)
丹 地 敏 明
海岸愛護写真コンクールも今年で33回目を迎えました。応募数は例年並
みですが、やはり今年も素敵な写真作品が多数応募されており、審査員一同
楽しく且つ慎重に拝見しながら審査に当たりました。ただ残念なことに比較
的過去の入賞写真作品に似通った応募も多く見られたことは、今後の課題と
言えるでしょう。過去にも総評で申し上げたことがあると思いますが、写真は撮影者一人ひとりの感じた事
柄がその写真作品としてこれを媒体にして伝わるものです。海に囲まれている我が国の海岸を愛護し保全す
る精神を素直に伝えてくれる写真作品ももう少し増えてくれると嬉しいです。しかし、海と生活が感じられ
る写真作品や、河川と海岸との関係を表現しようと試みた写真作品などもあり、今後もさらにそれを追い続
けた作品のご応募を楽しみにしています。組写真で応募頂いた作品の中には、一枚で十分にその意図が伝わ
る要素を持っていると思われるところに無理矢理に他の写真をプラスして組写真として応募されたために落
選したというケースが少なからずあったことをお伝えいたします。一枚で見せきる写真の力をご自身で感じ、
また応募していただきたいと思いました。次回は年号が変わって最初の海岸愛護写真コンクールになります。
また新鮮な写真作品を拝見させて頂けることを期待しています。
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第 33回海岸愛護写真コンクール応募作品の結果について
� 一般社団法人全国海岸協会 事務局長
第 33 回海岸愛護写真コンクールにつきまして「美しく、安全で、いきいきした海岸を目指して」をテー
マに平成 30 年8月より 11 月 19 日までの間、募集をいたしたところ、全国各地(42 都道府県)より
189 名(昨年 210 名)の応募者(最年少9歳、最高齢 90 歳、平均年齢 61.3 歳)から 629 点(昨年 704 点)
の応募作品があました。大変有難うございました。
応募作品につきましては、第一次審査を平成 29 年 12 月 26 日に実施し、審査の結果 185 点の作品が
選考され、本年1月 23 日実施の最終審査(第二次審査)を経て国土交通大臣賞、水管理・国土保全局
長賞、全国海岸協会会長賞(各1点)、特選(3点)、入選(10 点)、奨励賞(14 点)、合計 31 点の作
品が選ばれました。入賞作品は、当協会のホームページに掲載しておりますので、ご高配の程、宜しく
願います。
なお、第 34 回(平成 31 年度)も実施いたします。これまでのテーマである美しく、安全で、いきい
きした海岸を目指して「人と海岸のふれあい」、「美しい海岸風景等」に加え「海岸と河川」との関わり
のある作品も積極的に募集いたしますので、これまで同様皆様より多数の応募作品をお待ちいたしてお
ります。
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第 33 回海岸愛護写真コンクールにおいて国土交通大臣賞、国土交通省水管理・国土保全局長賞及び全国海岸協会会長賞を受賞された三名の方に、喜びのコメントをいただきました。
国土交通大臣賞
「自然の造形」(北海道苫小牧市 真砂町の海岸)� 北海道札幌市 山内 佳子
この度は思いもかけぬこの様な大きな賞をいただき、審査員の方々及び今回の写真コンクールに携わられた皆様に心より感謝申し上げます。
普段あまり撮影する機会のないネーチャー的要素の強い作品での受賞は殊の外嬉しく、新しい扉を開いていただいた様に感じております。
この事を励みに、これからこのジャンルの写真にも挑戦していきたいと思います。この写真を撮ったのは一昨年の 5 月、場所は北海道苫小牧市真砂町。
製油所や工場等が立ち並び、夜になるとその灯りがキラキラ輝く苫小牧の夜景スポットの一つ、臨海南通の近くにある海岸です。
私は苫小牧西港フェリーターミナルに入港してくるフェリーを入れて風景を撮影する為、この日の 15 時少し前に初めてこの海岸を訪れました。
どの場所で撮ろうか、砂浜を歩いていて偶然見つけた砂紋。海水に満たされたその造形はとても神秘的で、太陽の反射がより立体感を醸し出している。その時手にしていたミラーレスカメラのレンズを超広角に付け替えて寄って、撮り方を変えながら夢中になっ
て何カットも撮りました。そして最後に一枚、状況説明の為少し背景の工業地帯を入れ込んで撮影したのがこの写真です。撮り終わった後、ふと振り返ると美しい波のきらめきと共に誰もいなかった砂浜に親子連れや歩く人達の姿
と楽しそうな声が。幸せを感じながらフェリーを撮影し、帰途に着き
ました。工業地帯の裏手にある自然の姿と、人々のここち
よい憩いの場所。これからも、この海岸風景が守られます様にと思
いました。北海道胆振東部地震からもうすぐ半年経ちますが、
普段見過しがちな日常というものがいかに感謝すべきものであるかを改めて思い知らされました。
この地震において被災された方々にお見舞い申し上げますとともに、一日も早く被災地の復旧復興が進みますよう、心よりお祈り申し上げます。
受賞者のコメント
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公益社団法人 日本写真家協会会員(JPS) 丹地 敏明公益社団法人 日本写真協会会員(PSJ) 山﨑 康生国土交通省 水管理・国土保全局 海岸室 課長補佐 篠田 謙一般社団法人 全国海岸協会 事務局長 加藤 雄二
審 査 員(敬称略)
国土交通省水管理・国土保全局長賞
「二人の世界」(和歌山県 上浦海岸)� 和歌山県東牟婁郡串本町 鈴木 文代
私の住む本州最南端の町『串本町』は、三方を太平洋に囲まれ、海岸線は、127.38㎞もの長さがあります。
又、「田原の海霧」や「橋杭岩の日の出」、「潮岬の夕日」などを求めて、多くのカメラマンで賑わっています。
今回の作品は、天まで届くようなすごい雲だったので、「上浦海岸」に立ち寄ったところ、串本の海岸が大好きで、週末には奈良県より来ているというご夫婦に出会いました。
お二人は、刻々と変化する雲の美しさに感動し、いつまでも見つめていましたので、声掛けをして撮らせて頂きました。
私は、このような美しい光景を、ご夫婦と共有出来たことに感動し、感謝したいと思います。串本町では、この美しい海岸を守るため、ボランティアの方々が清掃をしています。この度は、栄えある賞を頂き誠に有難うございました。
全国海岸協会会長賞
「てとて」(千葉県 原岡海岸)� 千葉県船橋市 安田 篤吉
この度は全国海岸協会会長賞という名誉ある賞を頂き大変光栄です。こどもに美しく安全な海岸を残してあげたい。そう思えたのがこちらの原岡海岸でした。
千葉県の原岡海岸の桟橋は最近 SNS で人気の撮影場所で、桟橋での撮影目的で訪れましたが、桟橋のみならず海岸全体が美しく魅了されました。綺麗な砂浜と穏やかな波が印象的で、子どもを連れて行っても安心して過ごすことのできる海だと感じました。子どもたちが遊びに夢中になれた場所でもあります。
写真は冬の海ならではの夕日の美しさと子どもが遊んでいる仲睦まじい姿を掛け合わせた、寒い冬なのにほっこりするようなイメージで撮影しました。
今回の受賞結果を受けて、スポットライトが当たっている場所だけではなく、海岸全体の魅力に気づいてもらえる契機となれば嬉しいです。この写真が、子どもたちのためにも、豊かで美しい海岸を守るための啓発に繋がることを願っています。
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第33回 海岸愛護写真コンクール
四面を海に囲まれたわが国では、海岸は、生活、産業、レクリエーションなどの場として多様に活用されています。そこでは、海岸災害を防ぎ、美しく、安全で、いきいきとした海岸を創出する努力が続けられていますが、うるおいとやすらぎのある海岸への期待は、ますます高まっております。
このような、私たちにとって貴重な自然空間である海岸を、私たちみんなで大切に守り、育てる心の広がりを願って、このコンクールを行うものです。
○主催 一般社団法人 全国海岸協会
○後援 国土交通省
○協賛 富士フイルムイメージングシステムズ株式会社
全国海岸事業促進連合協議会
公益社団法人 日本河川協会
公益社団法人 全国防災協会
発行 一般社団法人 全国海岸協会� TEL:03-3595-6633 FAX:03-3595-6634� URL http://www.kaigan.or.jp E-mail:[email protected]
この冊子は、公益財団法人河川財団による河川整備基金の助成を受けています。