静岡県の 生物多様性保全の取組について -...
TRANSCRIPT
1
静岡県の
生物多様性保全の取組について
平成28年12月2日
静岡県くらし・環境部
環境局自然保護課
2
多様な自然環境(生態系)が存在する静岡県
南アルプス富士山
浜名湖 伊豆半島
3
県内で今までに確認された野生生物「静岡県野生生物目録(平成17年発行、平成18年一部改訂)」より
動物:7,363種 植物:4,074種
多様な自然環境が存在する本県は野生生物の宝庫
【アカウミガメ】 【ホテイラン】
4
生物多様性をめぐる現状と課題
野生生物による生態系・農林水産業等被害
生息環境の改変脅威 絶滅危惧種の存在
外来生物の侵入
5
多様な自然環境を保全し、豊かな生態系を
未来に継承するためには
長期的な視野に立った戦略が必要
◇野生生物の保護・管理(個体群管理)
◇野生動植物の生息・生育環境の保全
◇人と野生生物との共存(ライフスタイルの変換)
6
生物多様性地域戦略の策定①
野生生物生息等実態
補足調査の実施
年度 H26 H27 H28
調査地域 中部地域 伊豆・東部
地域
西部地域
7
県野生生物目録・レッドデータブック
の改訂(平成29年度)
《改訂方針》◇新しい分類群の追加
クモ類と菌類(キノコ類)を追加※現在は、植物、哺乳類、鳥類、は虫類・両生類、淡水魚類、昆虫類、陸・淡水産貝類
◇学術的価値の付加国内第一級の学者に監修を依頼
◇事務局体制の充実ふじのくに地球環境史ミュージアムと連携
生物多様性地域戦略の策定②
8
「静岡県生物多様性地域戦略」概要(予定)
生物多様性とは何か
●たくさんの種類の生きものがいて、それらが様々な形でつながりあっていることを「生物多様性」という。●生物多様性とは、単に生きものがたくさんいるだけではなく、「遺伝子の多様性」「種の多様性」「生態系の多様性」という3つの視点で捉えることができる。
9
生物多様性とは何か●生物多様性のめぐみ・生物多様性がもたらす様々なめぐみは人間の生活や産業を支えており、このようなめぐみを「生態系
サービス」と呼ぶ。
●生態系サービス① 供給サービス
食料や繊維、木材等生活に必要なものを供給② 調整サービス
自然災害や急激な気候変動を抑制③ 文化的サービス
心身の安らぎや満足感等、精神を豊かに④ 基盤サービス
①~③のサービスが機能することを支える
「静岡県生物多様性地域戦略」概要(予定)
10
生物多様性に迫る危機
・生物多様性に迫る危機として、「生物多様性国家戦略」では4つに整理される
第1の危機 | 開発等の人間活動による影響
第2の危機 | 人間の関わりの縮小による影響
第3の危機 | 外来生物や化学物質等による影響
第4の危機 | 気候変動による影響
「静岡県生物多様性地域戦略」概要(予定)
11
生物多様性に迫る危機
・県内の生きものに絶滅の危機が迫っている。
14%
86%
植物
2,963種
4%
96%
哺乳類
47種
12%
88%
鳥類
378種
6%
94%
爬虫類
16種
29%
71%
両生類
18種
12%
88%
淡水魚類
47種
1%
99%
昆虫類
6,357種
17%
83%
陸淡水産
貝類
178種
絶滅のおそれのある種
「静岡県生物多様性地域戦略」記載(予定)
12
地域戦略の概要
生物多様性を保全・活用し、継承していくための考え方を示すとともに、多様な主体に取組を広げていくため、「静岡県生物多様性地域戦略」を」策定する。
○ 計画期間・2018(平成30)年度~2027(平成39)年度(10年間)
○ 対象地域・静岡県全域
○ 策定のねらい・生物多様性に迫る危機を知る・生物多様性の将来について県民みんなで考える・生物多様性を守るために取り組む
「静岡県生物多様性地域戦略」概要(予定)
13
生物多様性の現状と課題
1 生物多様性を育む県土
○急激な近代化、高度成長等により多くの自然が失われ、生物多様性に大きな影響を及ぼす環境汚染も発生
○人口減少、高齢化、産業構造の変化による人間と自然の関係性の希薄化等の影響から新たな問題も
○複雑な地形・地質、日本一の標高差による寒暖差等は国内有数の生物多様性の豊かさと深い関係
○地球温暖化など気候変動による影響を踏まえた対応方針の検討が必要
○都市近郊の農地が減少し、宅地が増加傾向にあり、生きものの生息・生育環境が失われつつある
14
○人の生活や事業活動は多くの生き物や、生きものの生息・生育環境に影響を与えている
○生物多様性のめぐみは様々な文化を生むきっかけとなり、人の生活を豊かにしてくれるがその継承が困難な状況
○自然とのふれあいやエコツーリズム等、自然の中で楽しむ活動の多くは生物多様性のめぐみによってもたらされているが、一方で利用者の増加による環境破壊の懸念も
○生物多様性に関する環境教育、環境学習の方針や機会づくり、人材づくり、教育施設の整備を推進中
2 生物多様性と人とのつながり
生物多様性の現状と課題
15
3 多種多様な生きもの
○「ふじのくに地球環境史ミュージアム」とともに、 生物多様性に関する調査・研究、情報提供を実施。1万種以上の多様な動植物を確認。
○希少野生動植物:在来の野生動植物10,686種のうち、543種(約5%)
が「絶滅のおそれのある種」
○外来生物:外来生物の分布が拡大、在来生物や地域固有の生態系を破壊する原因となっている。
○野性鳥獣:ニホンジカ、イノシシ等の野生鳥獣による農林水産物被害や生態系への影響が問題化
生物多様性の現状と課題
16
4 本県を代表する生態系
○奥山:豊かな自然環境が残された地域。人間活動に対しては脆弱であり、地球温暖化による影響も懸念される。
○里地里山・田園:長い歴史の中で人間の働きかけを通じて形成、二次的自然に特有の生物相、生態系が成立。少子高齢化や過疎化などのため人の働きかけが少なくなり、急速に生物多様性が失われつつあ
る。
○河川・湖沼・湿地:比較的閉鎖的な環境にあり、地域固有の生態系を有する。河川改修や河川構造物の設置、水質汚濁等が進行し、本来あるべき多様性が失われつつある。
○海岸・海洋:海岸浸食等による生息環境の消失などにより動植物の分布等に変化が起きている。
○都市:公園・緑地等のみどりが生きものの貴重な生息・生育環境。外来生物が多く見られ、カラス、ムクドリ等による被害も問題に。
生物多様性の現状と課題
17
5 県内の特徴的な地域
○伊豆半島:火山活動等によりつくられた山岳や滝、岩礁海岸等、特異な自然景観が、「富士・箱根・伊豆国立公園」や「伊豆半島ジオパーク」の重要な構成要素のひとつ。特殊で多様な生きものの生息・生育環境。○富士山:典型的な植林の垂直分布が見られ、標高に応じて数多くの動物が生息
○南アルプス:急峻な山岳環境の中、固有種が多く生息・生育。2014年、ユネスコエコパークへ登録。
○浜名湖:淡水と海水が混じった汽水の環境であり、干潟、藻場等、多様な環境がある。ニホンウナギなどの水産資源を活かした産業も盛ん。
○今守りたい大切な自然:特に開発候補地になりやすく、生態的に重要で、法的規制等のない場所を選定。現在10箇所。
生物多様性の現状と課題
18
生きものと共生する 豊かな社会の構築を目指す
基本理念
戦略の目標 基本方向 行動方針
生物多様性の大切さを理解し、
みんなの力を合わせて
生物多様性のめぐみが実感で
きる理想郷
「ふじのくに」を創造する
【基本方向1】
生物多様性を支える
社会をつくる
【基本方向2】
多様な生きものの
個性を大切にする
【基本方向3】
生態系のつながり
を取り戻す
行動方針
行動方針
行動方針
戦略の基本的な考え方
19
特に本県の特徴的な地域として伊豆半島、富士山、南アルプス、浜名湖の4地域については、地域別個別戦略を策定し、重点的な取組を推進する。また、その他の重要生息生育地域についても「今守りたい大切な自然」として現状を把握し、今後の保全に向けた取組を展開していく。
特徴的な地域の個別戦略① 伊豆半島② 富士山③ 南アルプス④ 浜名湖⑤ 今守りたい大切な自然
特徴的な地域の個別戦略
20
・ 候補地☆ 今守りたい大切な自然
● 課題・既選定地の現状把握と保全対策の検討・新たに選定すべき候補地の検討
今守りたい大切な自然
21
年度 H27 H28 H29 H30
策定
工程
基礎情報の収集、現状と課題の整理
戦略素案の検討
戦略案の検討
生物多様性地域戦略の策定
基本構想の検討
戦略
の策定
県民や企業等からの意見を反映
戦略の公表
22
御静聴
ありがとうございました。