ecosystem...現在,発電,自動車の製造,人と物資...
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現在,発電,自動車の製造,人と物資の輸送,石油・ガスの生産,清浄水の供
給,消費者と企業のオーダーのピッキングなどの重要な役割を果たす数万台の高
付加価値機械が世界中で忙しく働いています.こうした機械の大半は,物理シミュレーションを利用して構造,流体,電磁界,熱な
どの物理特性を最適化して設計されたものです.しかし,古くなり,変化を経たアセットが,
設計時に想定された条件下で稼動していることは稀です.こうしたアセットの動作効率を最大
限に維持する役割を担う担当者は最近まで,運用と環境の変化がアセットの性能に及ぼす影響
を把握することができませんでした.その機械は,1 時間当たり数万ドルの生産ロスを引き起こす可
能性がある故障へと向かっているかもしれません.その機械は,長期的には寿命を縮めることになる不適切な状態で使われているかもしれません.その機
械の性能は,動作条件の変更や機能のアップグレードによって向上させることができるかもしれません.ジェットエンジンなどの高価値アセットを開発する
企業は長い間,センサーを使用してデータを収集してきましたが,こうしたデータはリアルタイムで収集さ
simulation for the D I G I TAL T W I N
Ecosystem
稼働中の機械を十分に理解するには,フル機能の仮想モデルと,
機械から送られる実稼働データをリンクさせる必要があります.
この仮想モデルはデジタルツインと呼ばれています.シミュ
レーションは,機械のパフォーマンスと,様々な変化が寿命
期間中の機械に及ぼす影響を正確に予測できるので,デジタ
ルツインを作成する企業にとって重要なツールです.運用に
大きなインパクトを与える
可能性のある正確で信頼性
が高く洞察に富む結果をデ
ジタルツインから得て,出
力の向上,ダウンタイムの減少,長寿命化を図るために,
ANSYS では,必要なすべてのツールを提供していま
す.シミュレーションを利用して実際の製品挙動を理
解すれば,次世代製品の大幅な改善と市場投入期間
の短縮を図ることができます.
Sameer Kher(ANSYS,シニアソフトウェア 開発マネージャー)
ソリューション
デジタルツインエコシステムを 支援するシミュレーション
Webページ:デジタルツインansys.com/digital-twin
14 ANSYS ADVANTAGE ISSUE 1 | 2017
D I G I TAL T W I N「デジタルツインにエンジニアリング
シミュレーションを導入すれば,実際の
動作条件下における製品の性能を分析して
最適化することができます.」
^ ANSYSでは,包括的なコンポーネントレベルの設計およびシミュレーションから,システム全体のシミュレーションまで,シミュレーションベースのデジタルツインをサポートしている.
れるとは限らず,大量のデータから有用な情報を抽出することは困難でした.「モノのインターネット
(IoT)」が出現したことで,センサーを使用して,これらのアセットからデータを収集し,アセットの性能を即座に把握して最適化することが初めて可能になりました.この運用データと,機械の動作に関する他の情報(保守記録,PLM 情報,シミュレーション結果など),ならびにアナリティクスと機械学習をリンクさせてエコシステムを形成することにより,デジタルツインと呼ばれるフル機能モデルを作成することができます.このデジタルツインを使用すれば,複数のサブシステムと因子の相互作用などの複雑な問題を診断することができます.デジタルツインには,「これを変更したらどうなるだろうか?」,「どうしてそれが発生したのか?」,「設計をどのように改善するか?」といった疑問を解決するシミュレーションが不可欠です. システムレベルのサポート
システムレベルのモデリングソフトウェアであるANSYS Simplorer を使用すれば,コンポーネント,サブアセンブリ,サブシステム間の複雑な相互作用を正確に記述したデジタルツインを構築することができます.
プラットフォーム
仮想システムプロトタイピング
流体
構造 半導体エレクトロニクス
組込み ソフトウェア
© 2017 ANSYS, INC. ANSYS ADVANTAGE 15
インターフェース(HMI)を用いて,デジタルツインの制御と HMI の開発を行うことができます.
これにより,エンジニアは物理的アセットの制御に使用されているのと同じインターフェースを利用して,様々なシナリオや動作条件をデジタルツイン上で仮想的にテストし,デジタルツインがどのように動作するかを確認することができます.
完全な技術プラットフォームデジタルツインは,様々なシミュレーションツールを
連携させて使用しますが,ANSYS では,そのユーザー体
験を向上させる高機能なプラットフォームを提供しています.重要なツールの 1 つが,複数のデジタルツインをIoT に接続するプロセスを大幅に簡略化できる ANSYS Engineering Knowledge Manager(EKM)です.たとえば,
モデル内のサブシステムの精度は,高レベルの挙動モデルから詳細な実現象ベースシミュレーションモデルまで所望のレベルに設定することができます.多くの場合,システムレベルモデルのサブシステムとコンポーネントは,物理現象を正確に再現しながら結果をより短時間で得ることができる次数低減モデル(実現象ベースの 3 次元モデルを簡潔に表現したもの)で構成します.
実現象ベースのシミュレーションデジタルツインという概念の可能性を最大限に引き出
すには,複雑なアセットの動作も非常に詳細に再現し,これまでにない条件に晒されてもその性能を完全に把握することができる実現象ベースのモデルを使用します.デジタルツインでは,アセットの動作を再現するシミュレーションモデルを組み込むことが多く,これによって基本的な物理現象を解析してアセットの動作を予測し,不測の事態を診断できます.デジタルツインには,シミュレーションモデルに摩耗や変化を含めるなど,製品やプロセスの現在の状態を再現するために作成したシミュレーションモデルを組み込む必要があります.製品やプロセスに接続されているセンサーから送られるデータは,デジタルツインに境界条件をリアルタイムで適用するために使用します.デジタルツインの結果は,実際のアセットの動作に基づいて調整することができます.
制御システムANSYS SCADE では,実際の物理的アセットで使用さ
れているのと同じ制御ソフトウェアとヒューマンマシン
「デジタルツインには,『これを変更したらどうなるだろうか?』, 『どうしてそれが発生したのか?』,『設計をどのように改善するか?』
といった疑問を解決するシミュレーションが不可欠です.」
エンジニアリングシミュレーションの活用拡大
^ 化学処理設備のヒューマンマシンインターフェース(ANSYS SCADEを使用して開発)
Simulation for the Digital Twin Ecosystem (続き)
デジタル
デジタル
デジタル
探索
プロトタイプ
ツイン
16 ANSYS ADVANTAGE ISSUE 1 | 2017
ある 1 つのアセットの 100 個のデジタルツインを IoT に接続する場合には,それぞれの違い(使用年数や動作条件など)を反映した 100 個のデジタルツインを EKM に個別に保存してから,特定のアセットから送られるデータをその関連するデジタルツインにリンクすることができます.ANSYS のシミュレーション技術プラットフォームには,様々な条件や形状変数を調査して,広範囲の動作条件を迅速に評価し,最高のパフォーマンスを引き出す条件を特定することができる ANSYS DesignXplorer も含まれます.エンジニアはDesignXplorer をオフラインで使用することにより,特定の問題に対する最も有効な解を導き出してから,稼働中のアセットにその解を実装することができます.
デジタルツインエコシステムの統合ANSYS のシミュレーションプラット
フォームは,PTC 社の ThingWorx® や General Electric社の Predix® など,人気の高い様々な IoT プラットフォームとの相互運用性が実証されています.その一例として,
「ANSYS は,プラットフォーム,奥深さと幅広さを持つ 信頼性の高い物理解析機能,システム解析機能を搭載した一連の シミュレーションソリューションを提供する唯一の企業です.」
ANSYS は PTC 社と協力し,稼働中のポンプのシミュレーションモデルが,従来の試行錯誤による方法よりも速く運用上の問題を診断,解決できることを実証しました.
シミュレーションは,物理試験では十分に把握できない複雑な物理現象を評価することにより,
ほぼすべての物理的な製品やプロセスの設計を改善するために長い間使用されてきました.ANSYS は,プラットフォーム,奥深さと幅広さを持つ信頼性の高い物理解析機能,システム解析機能を搭載した一連のシミュレーションソリューションを提供する
唯一の企業です.ANSYS のシミュレーションソリューションは,エンジニアがデジタル
ツインを利用して知見を深めるのに役立っています.デジタルツインにエンジニアリングシミュレーションを導入すれば,実際の動作条件下における製品の性能を解析して最適化したり,将
来の性能を確実に予測して製品の動作と生産性を改善したり,突然のダウンタイムに伴うコストとリスクを低減したりすることが可能になります.
^ デジタルツインに実現象ベースのシミュレーションを導入すれば,ホイールに作用する応力などの情報を得ることができる.
http://www.ansys.com/ja-JP/products/release-highlights/digital-twin
© 2017 ANSYS, INC. ANSYS ADVANTAGE 17