教育実践報告 を活用するためのデジタル教材作成に関する研...

24
教育実践報告 ICT を活用するためのデジタル教材作成に関する研究 ―ルーブリックの導入を含めて― 小島 源一郎 1 ・上田 喜彦 2 *1 総合教育研究センター 教職課程 ([email protected]) *2 総合教育研究センター 教職課程 ([email protected]) 要旨 教育の情報化の進展に対応して、一人一台のタブレット端末を用いることを前提 に、必要に応じて「デジタル教科書」を用いることができるような法改正が行われ、小 学校ではプログラミング教育が必修化されるなど学校における授業での ICT を活用し た教育が本格化しようとしている。教員養成においては、教職課程コアカリキュラムが 示され、 ICT を活用した指導力は、教員に必須のものとしてその育成が求められている。 本稿では、学校の情報化の進展が著しいこれからの社会において求められる教員の資 質・能力を教師の学びについて考察するとともに、経験学習理論の枠組みに基づいた ICT 活用能力や授業設計能力などの実践的指導力の育成を目指した授業実践「ICT を活用し た授業デザイン」におけるルーブリックの導入の効果について報告する。 キーワード 教員養成 デジタル教材 ICT 指導力の育成 ルーブリック 1. はじめに グローバル化の進展や AI (人工知能)の開発などの社会の変化を背景として、従来の学力観に収ま らないコンピテンシーの育成が各国で推進されている。我が国でも、20172018 年告示の学習指導 要領では、子どもたちの「資質・能力」の育成が謳われコンピテンシーベースの教育課程の編成やア クティブ・ラーニングの視点からの授業改善が求められている。子どもたちに資質・能力を育むため には、質の高い教員の養成が重要であり、そのためには、高等教育における教員養成教育の質保証、 授業改善が求められることは言うまでもない。 教育の情報化の進展に対応して、一人一台のタブレット端末を用いることを前提に、必要に応じて 「デジタル教科書」を用いることができるような学校教育法の一部改正が行われ、学校における授業 での ICT 活用が本格化しようとしている。一方で、ICT 機器の導入状況は、都道府県によってかなり のばらつきがある現状もあり、大型ディスプレイと教師用の PC、有線 LAN のみが整備された状況の 学校も多く存在する。 このような現状のなかで、教員養成教育コアカリキュラムが策定され、教職課程教育の質保証や授

Upload: others

Post on 23-Jan-2021

0 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: 教育実践報告 を活用するためのデジタル教材作成に関する研 …...教育実践報告 ICT を活用するためのデジタル教材作成に関する研究 ―ルーブリックの導入を含めて―

教育実践報告

ICT を活用するためのデジタル教材作成に関する研究

―ルーブリックの導入を含めて―

小島 源一郎 1・上田 喜彦 2

*1総合教育研究センター 教職課程 ([email protected])

*2総合教育研究センター 教職課程 ([email protected])

要旨 教育の情報化の進展に対応して、一人一台のタブレット端末を用いることを前提

に、必要に応じて「デジタル教科書」を用いることができるような法改正が行われ、小

学校ではプログラミング教育が必修化されるなど学校における授業での ICT を活用し

た教育が本格化しようとしている。教員養成においては、教職課程コアカリキュラムが

示され、ICT を活用した指導力は、教員に必須のものとしてその育成が求められている。

本稿では、学校の情報化の進展が著しいこれからの社会において求められる教員の資

質・能力を教師の学びについて考察するとともに、経験学習理論の枠組みに基づいた ICT

活用能力や授業設計能力などの実践的指導力の育成を目指した授業実践「ICT を活用し

た授業デザイン」におけるルーブリックの導入の効果について報告する。

キーワード 教員養成 デジタル教材 ICT 指導力の育成 ルーブリック

1. はじめに

グローバル化の進展や AI(人工知能)の開発などの社会の変化を背景として、従来の学力観に収ま

らないコンピテンシーの育成が各国で推進されている。我が国でも、2017・2018 年告示の学習指導

要領では、子どもたちの「資質・能力」の育成が謳われコンピテンシーベースの教育課程の編成やア

クティブ・ラーニングの視点からの授業改善が求められている。子どもたちに資質・能力を育むため

には、質の高い教員の養成が重要であり、そのためには、高等教育における教員養成教育の質保証、

授業改善が求められることは言うまでもない。

教育の情報化の進展に対応して、一人一台のタブレット端末を用いることを前提に、必要に応じて

「デジタル教科書」を用いることができるような学校教育法の一部改正が行われ、学校における授業

での ICT 活用が本格化しようとしている。一方で、ICT 機器の導入状況は、都道府県によってかなり

のばらつきがある現状もあり、大型ディスプレイと教師用の PC、有線 LAN のみが整備された状況の

学校も多く存在する。

このような現状のなかで、教員養成教育コアカリキュラムが策定され、教職課程教育の質保証や授

Page 2: 教育実践報告 を活用するためのデジタル教材作成に関する研 …...教育実践報告 ICT を活用するためのデジタル教材作成に関する研究 ―ルーブリックの導入を含めて―

業改善についても、これまで以上にその重要性が増しているといえる。しかし、高等教育における授

業研究や教材開発等については、十分に論じれられているとは言いがたい。そこで、本稿では、AI(人

工知能)の発達や学校の情報化の進展が著しいこれからの社会において求められる教員の資質・能力

について考察するとともに、ICT 活用能力や授業設計能力などの実践的指導力の育成を目指した実践

について報告するとともに、「ICT を活用した授業デザイン」におけるルーブリックの導入の効果につ

いて報告し、教員養成教育の質保証や授業改善に資することを目的とする。

2. 教員に求められる資質・能力

教員に求められる資質や能力は、実に多種多様であるといえる。我が国で近代学校制度が確立して

以降、教員に求められる資質・能力が様々に変遷してきたことをみても、時代や社会の要請によって、

あるいは、学校教育の目的や教育内容によって、教職に対する見方・考え方は変化することは明かで

ある。明治以降の学校教育の歴史を振り返ってみても、西洋の近代文明の伝達者として、国家のスポ

ークスマンとして、あるいは、教育勅語にある道徳的価値観の伝達者として、教育内容をマニュアル

に沿って効果よく教えることを求められた明治から戦前の学校における教師、戦後、教科書を教える

教師から教科書で教える教師への変革を求められた教師、現代化の時代に、知識を効率よく注入する

ことを求められた教師、さらには、生活科が導入され、指導者から支援者へと意識改革を迫られた平

成の時代教師など、様々な教職像がある 1)。佐藤学(2016)は、学びの専門家としての教師について、

「転換期における教師」という時代史による視座と「専門家像の革新」という教職それ自体を問い直

す視座という二つの視座を提案し、「転換期における教師」という視座からは、臨時教育審議会(1984

年)以降の新自由主義政策の結果、“教師は国家と社会の後ろ盾を失いその中で、求められてきた教員

の資質能力とはどのようなものであり、これからの時代に求められる、その仕事を耐えず査定される

「公衆の僕(public servant)」”へと変化し、“今日、教師の仕事は過酷さを増す一方、教職に対する

一般市民の信頼と尊厳は失われ、専門家としての力量を向上させる条件も低下している”としている。

また、「専門家像の革新」の視座からは、世界各国の教育改革の動向は、教師教育の「高度化」と教職

の「専門職化」を推進するものであって、その中で、教職の専門家像が近代主義的な「技術的熟達者

(technical expert)」からドナルド・ショーンが提唱した「反省的教師(reflective teacher)」の概念

を基盤としたものへと大きく転換してきていることを述べている 2)。

この章では、近年、教員に求められてきた資質能力とはどのようなものなのか、また、教職課程コ

アカリキュラムで示された教育方法学に関する内容について整理する。その上で、そのような資質能

力を大学の教職課程の教育の中で、どのように身に付けていくことが可能なのかについて、先行研究

を参考に考察する。

2.1 教員に求められる専門性、資質・能力

教師に求められる専門性とはどのようなものなのだろうか。いわゆる専門職として、医師や弁護士

等はその代表的なものであろう。医師や弁護士の専門性については、その専門性の根拠となる専門的

知識についてかなり明確にすることができるように思われる。一方で、同様に高度な専門職といわれ

る教員の専門性については、その包含性と総合性、対応しなければならない課題の多様性などから、

専門性の根拠となる専門的知識を明確にすることは困難であるといわれることが多い。

Page 3: 教育実践報告 を活用するためのデジタル教材作成に関する研 …...教育実践報告 ICT を活用するためのデジタル教材作成に関する研究 ―ルーブリックの導入を含めて―

教師に求められる専門性や資質能力を表す言葉として、学校現場で、「四者悟(互)入」という言葉

を聞いたことがある。いわく、「教師は、優れた学者であり、医者であり、易者であり、役者でなけれ

ばならない」と。筆者にこの言葉を教えてくれた校長は、「教員は、教科指導の専門家として、教科内

容に精通した学者であるべきであり、子どもの心と体の健康を整えるための知識や技能をもった医者

であり、子どもの将来を見据えて正しく助言ができる易者であるとともに、子どもの学びを支えるパ

フォーマーでありファシリテーターでなければならない」ということであると説明をしてくれたのを

覚えている。おそらく、現場での経験則のなかで、このような言葉が生まれてきたのであると想像す

るが、この言葉からも、教員の職のもつ包括性、総合性がうかがえるのである。

これまで、教育職員養成審議会や中央教育審議会は、答申の示された時期の社会の要請等に答える

形で、教員に求められる資質を提示してきた。

平成 18 年の中央教育審議会答申「今後の教員養成・免許制度の在り方について」では、教員の資

質・能力について、以下のように述べている 3)。

例えば平成 9 年の教育職員養成審議会第一次答申等においては、いつの時代にも求められる資

質能力と、変化の激しい時代にあって、子どもたちに〔生きる力〕を育む観点から、今後特に求

められる資質能力等について、それぞれ以下のように示している。

(1)いつの時代にも求められる資質能力

教育者としての使命感、人間の成長・発達についての深い理解、幼児・児童・生徒に対す

る教育的愛情、教科等に関する専門的知識、広く豊かな教養、これらを基盤とした実践的指

導力等

(2)今後特に求められる資質能力

地球的視野に立って行動するための資質能力(地球、国家、人間等に関する適切な理解、

豊かな人間性、国際社会で必要とされる基本的資質能力)、変化の時代を生きる社会人に求め

られる資質能力(課題探求能力等に関わるもの、人間関係に関わるもの、社会の変化に適応

するための知識及び技術)、教員の職務から必然的に求められる資質能力(幼児・児童・生徒

や教育の在り方に関する適切な理解、教職に対する愛着、誇り、一体感、教科指導、生徒指

導等のための知識、技能及び態度)

(3)得意分野を持つ個性豊かな教員

画一的な教員像を求めることは避け、生涯にわたり資質能力の向上を図るという前提に立

って、全教員に共通に求められる基礎的・基本的な資質能力を確保するとともに、積極的に

各人の得意分野づくりや個性の伸長を図ることが大切であること

また、平成 17 年 10 月の本審議会の答申「新しい時代の義務教育を創造する」においては、優

れた教師の条件について、大きく集約すると以下の 3 つの要素が重要であるとしている 4)。

1.教職に対する強い情熱

教師の仕事に対する使命感や誇り、子どもに対する愛情や責任感など

2.教育の専門家としての確かな力量

子ども理解力、児童・生徒指導力、集団指導の力、学級づくりの力、学習指導・授業づく

Page 4: 教育実践報告 を活用するためのデジタル教材作成に関する研 …...教育実践報告 ICT を活用するためのデジタル教材作成に関する研究 ―ルーブリックの導入を含めて―

りの力、教材解釈の力など

3.総合的な人間力

豊かな人間性や社会性、常識と教養、礼儀作法をはじめ対人関係能力、コミュニケーショ

ン能力などの人格的資質、教職員全体と同僚として協力していくこと

これらを受けて、平成 24 年 8 月に中央教育審議会が答申した「教職生活の全体を通じた教員の資

質能力の総合的な向上方策について」では、以下のような資質・能力が示されている 5)。

(ⅰ) 教職に対する責任感、探究力、教職生活全体を通じて自主的に学び続ける力(使命感や責

任感、教育的愛情)

(ⅱ) 専門職としての高度な知識・技能

・ 教科や教職に関する高度な専門的知識(グローバル化、情報化、特別支援教育その他

の新たな課題に対応できる知識・技能を含む)

・ 新たな学びを展開できる実践的指導力(基礎的・基本的な知識・技能の習得に加えて

思考力・判断力・表現力等を育成するため、知識・技能を活用する学習活動や課題探

究型の学習、協働的学びなどをデザインできる指導力)

・ 教科指導、生徒指導、学級経営等を的確に実践できる力

(ⅲ) 総合的な人間力(豊かな人間性や社会性、コミュニケーション力、同僚とチームで対応す

る力、地域や社会の多様な組織等と連携・協働できる力)

これらの答申で示された資質や能力の内容を見ると、教科の学問的内容を熟知しているということ

だけ、あるいは、子どもの発達や学習に関する心理学的な知識や技能を身に付けたり、理解したりし

ていることだけでは、教員としての教育活動を担保できないことを示しているといえる。これらの答

申でも示されているように、理論や形式知だけでなくいわゆる実践知といわれるものが次第に重視さ

れていく傾向が見られる。その傾向は、先般示された教職課程コアカリキュラムでも顕著である。

2.2 教職課程コアカリキュラム

教員免許状は、長らく教育職員免許法施行規則第 4 条の表および第 6 条の表に示された単位を取得

し、都道府県教育委員会に申請することにより取得することができた。平成 29 年 11 月 17 日、文部

科学省の教職課程コアカリキュラムの在り方に関する検討会は、大学における教職課程の質的水準の

保証をめざし、全国すべての大学の教職課程で共通に修得すべき資質能力を示した「教職課程コアカ

リキュラム」を作成し公表した。文部科学省は、平成 30 年度中に、全国すべての大学の教職課程につ

いて再課程認定の審査を行った。そのことにより、すべての大学の教職課程の授業シラバスは、この

教職課程コアカリキュラムに対応した内容となったといえる。

教職課程コアカリキュラムの「教育の方法および技術(情報機器および教材の活用を含む)」の領域

では、以下のような目標が示されている 6)。

全体目標:教育の方法および技術(情報機器および教材の活用を含む)では、これからの社会

を担う子供たちに求められる資質・能力を育成するために必要な教育の方法、教育

Page 5: 教育実践報告 を活用するためのデジタル教材作成に関する研 …...教育実践報告 ICT を活用するためのデジタル教材作成に関する研究 ―ルーブリックの導入を含めて―

の技術、情報機器および教材の活用に関する基礎的な知識・技能を身に付ける。

(1)教育の方法論

一般目標:これからの社会を担う子供たちに求められる資質・能力を育成するために必要な教

育の方法を理解する。

到達目標: 1)教育方法の基礎的理論と実践を理解している。

2)これからの社会を担う子供たちに求められる資質・能力を育成するための教育

方法の在り方(主体的・対話的で深い学びの実現など)を理解している。

3)学級・児童および生徒・教員・教材など授業・保育を構成する基礎的な要件を

理解している。

4)学習評価の基礎的な考え方を理解している。

※幼稚園教諭は(中略)

(2) 教育の技術

一般目標:教育の目標に適した指導技術を理解し、身に付ける。

到達目標: 1)話法・板書など、授業保育を行う上での基礎的な技術を身に付けている。

2)基礎的な学習指導理論を踏まえて、目標・内容、教材・教具、授業・保育展開、

学習形態、評価基準等の視点を含めた学習指導案を作成することができる。

(3) 情報機器および教材の活用

一般目標:情報機器を活用した効果的な授業や情報活用能力の育成を視野に入れた適切な教材

の作成活用に関する基礎的な能力を身に付ける。

到達目標: 1)子供たちの興味・関心を高めたり課題を明確につかませたり学習内容を的確に

まとめさせるために、情報機器を活用して効果的に教材等を作成・提示するこ

とができる。

※幼稚園教諭は(中略)

2)子供たちの情報活用能力(情報モラルを含む)を育成するための指導法を理解

している。

教職課程コアカリキュラムの目標では、学習理論の理解などいわゆる形式知としての教育方法に関

する学問上の知識・技能を理解することと、「情報機器を活用して効果的に教材等を作成・提示するこ

とができる」のように、実践上の技や判断、あるいは、勘といった論理的・明示的に言語化されにく

い、いわゆる暗黙知、あるいは、経験のなかで積み重ねられてきた実践知といわれる部分が含まれて

いることがわかる。

2.3 教員の成長と学び -実践知の育成と経験学習-

これらの目標を大学における教員養成のなかで実現するためには、どのような学びが必要なのであ

ろうか。Schön(1983)は、医師等の専門家は、学問的な理論、知識・技能を現場の問題解決のために

適用することで仕事をしており、そのような専門家を「技術的熟達者」とよんだ。そして、現在のよ

うに複雑な問題が絡まった状況においては、このような技術的熟達者は機能しないことを指摘し、問

題解決の際、問題に枠組みを与え、その行為をしながらその問題について考え、反省的に行為を行っ

ているという「反省的実践家」という専門家像を提唱した。一般に、教員の仕事も、この「反省的実

Page 6: 教育実践報告 を活用するためのデジタル教材作成に関する研 …...教育実践報告 ICT を活用するためのデジタル教材作成に関する研究 ―ルーブリックの導入を含めて―

践家」に該当する職業であるとされる。

教員が、成長していくためには、Schön も指摘しているとおり、行為について振り返るという視点

が重要であるが、振り返りはどのように行われるのであろうか。そして、教員の職能成長と学びを教

員養成にいかしていく方策にはどのようなものがあるのだろうか。

振り返り(reflection)について、学習との関係を経験学習という枠組みで最初に述べたのは、Dewey

(1938)であろう。Dewey は、知識を伝達する詰め込み学習に対して、学習の源泉は、個体が環境に

積極的に働きかけることで経験を生み出していくことであると主張した。経験は後に続く経験を導き、

個々の経験は連続しているのであり、反省的思考によって経験を振り返り、それが次の経験の基礎に

なるとしている。Dewey の議論を基に、Kolb(1984)は経験学習理論を提唱し、Dewey の学習理論

を実務家にもわかりやすい循環論に単純化した(中原、2013)。Kolb の経験学習モデルは、「具体的経

験」からはじまり「内省的観察」、「抽象的概念化」、「能動的実験」、という 4 つのプロセスをたどるサ

イクルとなっている。具体的経験は、日々の仕事の中で具体的経験をする段階であり、内省的観察は、

具体的経験を振り返る段階である。抽象的概念化は、内省的観察から得られた振り返りの成果をその

他の経験で生かせるように自分なりに仮説や理論として一般化する段階である。能動的実験は、その

仮説や理論を実際に活用する段階である。このサイクルを繰り返し行うことで人は成長していくとい

うことになる Schön の「反省的実践家」という概念も経験学習の影響を強く受けていると考えられる。

実践知は、経験の積み重ねによって獲得されるものであり、その際、振り返りが重要な意味をもつ

ことについては先行研究からも明らかであろう(例えば、石井、2019 など)。初任者は、実践的経験

と振り返りを繰り返すことで実践知を蓄積し、ベテラン教師とよばれるようになるといえる 7)。筆者

らの経験に照らしても振り返りの重要性に関するエピソードをいくつもあげることができる。例えば、

私(上田)が、小学校教諭として初任者であったころ、その当時の校長から「1 日の授業が終わって子

供が帰ったら、教卓に座って、教室の机を一つ一つ見ながら、一人ひとりの子どもとどのように関わ

ったかを思い出してみると良い。」と助言を受けたことがある。私は、一つ一つの机を見つめながら、

今日 1 日その机に座っている子供とどのような関わりをし、何を話し、何を聞き取ったのか、そして

どのような助言をしたのか等に思いをめぐらし、何も話せなかった子供や関わりが少なかった子供に

は「明日必ず声掛けをしよう」と心に誓ったものであった。授業の中でのやりとりを思い浮かべて、

その働きかけがうまくいったのかどうかを反省し、次の方策を考えたり、授業に対する教訓を得たり

もした。その振り返りの時間は、今思い返すと 1 日に 20 分程度だったと思うのだが、有意義な時間

であったし、自分自身の成長を感じることができる時間でもあった。

学校現場で行われている授業研究は研修(OJT(on the job training)ではあるが、教員の実践知を

形成するための経験学習の場としてとらえることもできる。筆者も、若いころ、授業がうまくなりた

いとの思いから、多くの先輩の授業を観察させていただき、自身もできる限りの授業研究の機会を使

って授業を提供した経験がある。そのような営みのなかで教師としての実践的な知識を身に付けるこ

とができたという実感をもっている。

藤井斉亮(2014)は、授業研究は講習会やワークショップとは異なることを、米国で授業研究を最

初に試行した校長の一人として知られている Lynn Liptak 氏の整理をもとに第 1 表のようにまとめ

ており、授業研究の構成要素と過程について、第一段階は「問い」を立てる段階、第二段階は研究主

題の授業への具体化を志向する段階、第三段階は研究授業の実施、第四段階は研究授業直後に行われ

る研究協議会、第五段階は総括と反省およびそれらをふまえた研究紀要等の執筆であるとしている 8)。

Page 7: 教育実践報告 を活用するためのデジタル教材作成に関する研 …...教育実践報告 ICT を活用するためのデジタル教材作成に関する研究 ―ルーブリックの導入を含めて―

日々の授業設計においても、問いから始

まる一連のサイクルがあり、それを繰り返

し行うことは、経験学習のサイクルの繰り返

しになっているとみることができる。例え

ば、授業設計の一般的な手順を示したものと

して、インストラクショナルデザインの基本

的なモデルとして知られている ADDIE モ

デル(ディックほか、2004)がある。ADDIE

モデルとは、「Analysis(分析)」「Design(設計)」「Development(開発)」「Implement(実施)」

「Evaluation(評価)」という授業設計の手順の頭文字をとったもので、第 1 図のように示すことが

できる。これは、教員が日常的に授業実践を行う際に行っていることを丁寧に分解あるいは分析した

ものともいえる。

稲垣忠ほか(2011)によれば、「分析」「開発」「設計」「実施」「評価」のそれぞれの段階で、教員は、

次のようなことを実施する 9)。

○ 分析:学習者の特性や前提知識、教える内容を分析し目標を明確にする。

○ 設計:教材研究を行い、教える内容の見取り図をつくる。

○ 開発:単元の計画、授業の流れをまとめ,教材や学習環境を準備する。

○ 実施:指導案に基づき、用意した教材を使って実際に授業を行う。

○ 評価:授業後の検討会等で授業の振り返りをする。

第 1 図 ADDIE モデル(出所:稲垣 忠、鈴木克明、2011、p.3 をもとに筆者が作成した)

ここでも、分析から実施にいたる「具体的経験」について、評価(内省的観察と抽象的概念化)し、

そのことを次の分析に生かし、実践を改善しつつ新たな授業の設計(能動的実験)に向かうサイクル

を繰り返しているとみることができる。その際、よりよい改善ができるかどうかは、評価(内省的観

察内省的観察と抽象的概念化)が最も重要であり、そこでどのように授業を振り返り適切に評価でき

る指標を持っているかに係っていると考えている。

振り返りの果たす役割は、無意識に行われている行為の意識化であり、形式知として明確に認識さ

れていない知識の言語化や明確化、あるいは、授業に対するメタ的な見方やメタ知識の蓄積を促す営

みであるといえる。教師は、教育的な行為をしながら、あるいは、行為を行ったあとで、その行為を

振り返り、子どもとのやりとりを意識化・言語化し、反省的に考え、価値を与え、そこで得られた知

識や技能などの実践知を蓄積するという経験学習を繰り返し行うことを通して、メタ的に自らの授業

伝統的ワークショップ 授業研究

「答え」から始まる 「問い」から始まる

外部の専門家が推進 参加者自身で推進

コミュニケーション:

指導者から教師へ

コミュニケーション:

教師同士間

階層的関係

(指導者と学ぶ側に格差)

互いに学び会う関係

(教師観の関係は互恵的)

知識・情報は研究から実践へ 実践自体が研究

分析

Analysis

設計

Design

開発

Developme

nt

実施Implement

評価Evaluation

必要に応じて改善

Revise as needed

第 1 表 授業研究―と伝統的ワークショップの差違

Page 8: 教育実践報告 を活用するためのデジタル教材作成に関する研 …...教育実践報告 ICT を活用するためのデジタル教材作成に関する研究 ―ルーブリックの導入を含めて―

を見る目(尺度や指標)、あるいは、授業に対するメタ認知的知識を蓄積し、新しい実践知を創造して

ていくのである。

3. 「ICTを活用した授業デザイン」の実践

3.1 教育の情報化の現状

現在、全国の学校では、電子黒板や大型ディスプレイ、タブレット端末や PC 等の ICT 機器が導入

され、それらを活用した授業が展開されるようになってきている。先進地域では、平成 23 年度から 1

人 1 台の情報端末、電子黒板、無線 LAN 等が整備された環境の下で、ICT を活用して子供たちが主

体的に学習する「新しい学び」を創造するための実証研究「学びのイノベーション事業」が行われて、

その成果が報告されている。また、学習指導要領の改訂に伴い、小学校におけるプログラミング教育

が必修となるなど、学校教育における ICT 活用や情報教育を取り巻く状況は大きく変貌を遂げようと

している。しかし、一方で、実際にいくつかの学校に訪問してみると ICT 機器の導入状況については、

自治体の状況や学校の状況によってかなりのばらつきがあり、大型ディスプレイと教師用の PC、有

線 LAN のみが整備された状況の地域が存在し、授業での活用もなかなか進んでいない学校もあるよ

うに思われる。

まず、我が国における教育の情報化の現状を「平成 29 年度学校における教育の情報化の実態等に

関する調査結果」から概観し、整理してみることにする。

3.1.1 ICT機器の整備状況

平成 29 年度学校における教育の情報化の実態等に関する調査(平成 30 年 3 月現在)時点における

学校における主な ICT 環境の整備状況について、全国の都道府県の最高値、最低値、平均値を整理し

たものが第 2 表であり、それをもとにレーダーチャートに表したものが第 2 図である。

第 2 表 教育の情報科の実態に関する主な指標(都道府県別 最高値、平均値、最低値)

1 台あたりの生徒数(人) 普通教室の LAN整備率(%)

最高値 1.8 最高値 99

平均値 5.6 平均値 90.2

最低値 7.9 最低値 64.2

普通教室の無線 LAN整備率(%) 電子黒板の整備率(%)

最高値 68.6 最高値 128.8

平均値 34.5 平均値 26.8

最低値 9.4 最低値 10.6

超高速インターネット接続率(%)

最高値 100

平均値 91.8

最低値 72.1

Page 9: 教育実践報告 を活用するためのデジタル教材作成に関する研 …...教育実践報告 ICT を活用するためのデジタル教材作成に関する研究 ―ルーブリックの導入を含めて―

第 2 図では、目標値を一点破線、全国平均を細い破線で示し、全国の都道府県の最高値を太い実線

で、最低値を太い破線で示している。この図から、超高速インターネット接続率については、最高値

と最低値の差が少なく、全国のどの地域でも、ほぼ高速通信が可能であることがわかる。一方で、最

近では教室でよく見かけるようになった電子黒板の設置率には大きな地域間格差があること、普通教

室における無線 LAN の設置率や 1 台あたりの生徒数にもかなり差があることがわかる。この結果を

単純に解釈すると、電子黒板と無線 LAN が完備され、一人 1 台の PC が設置されている教室もあれ

ば、PC は、一定数整備されインターネットには接続されているもののそれ以外の条件は全く整って

いない教室も存在することが想像でき、教育の情報化の状況は、地域間格差がかなり大きいというこ

とが明かである。

3.1.2 教員の ICT活用指導力の現状

平成 29 年度 学校における教育の情報化の実態等に関する調査では、教員の ICT 活用能力につい

ても調査している。

グラフからわかるように教員の ICT 活用指導力は、調査開始から一貫して向上し続けている。平

成 30 年 3 月の教員の自己評価では、A:教材研究・指導の準備・評価などに ICT を活用する能力で

84.8%の教員が「わりにできる」または「ややできる」と回答している。同様に、B:授業中に ICT

第 2 図 教育の情報科の実態に関する主な指標の地域間格差

Page 10: 教育実践報告 を活用するためのデジタル教材作成に関する研 …...教育実践報告 ICT を活用するためのデジタル教材作成に関する研究 ―ルーブリックの導入を含めて―

を活用して指導する能力で 76.6%、C: 児童・生徒の ICT 活用を指導する能力で 67.1%、D: 情

報モラルなどを指導する能力で 80.6%の回答である。これを見る限り、インターネットを活用して

資料収集したり、オフィスソフトを用いて授業用プリントを準備したり、プレゼンテーションソフト

を用いて提示用の教材を作成したりすることは、必須のスキルとなっているし、情報モラルの指導に

ついても、十分な知識や授業実践を行うための技能を身に付けておく必要があるといえる。

第 3 図 教員の ICT 活用指導力の推移 10)

ここまでに見てきたように、現在の教育現場においては、さまざまな ICT 機器が用いられ、教員

も児童・生徒も高度に発達した情報社会のなかで生活しているし、今後もますます新たな情報技術に

依拠した社会の進展が予想される。

教員養成においても学生は大学での学習に必要な ICT スキルを身に付けるだけではなく、教員と

なったときに、ICT を使って授業を行うことはもとより、児童・生徒に対して基本的な PC やタブレ

ットの操作やインターネットの適切な利用方法等について指導できることが求められている。

3.2 学生の現状と「ICTを活用した授業デザイン」の授業の構想

教育方法学は、教員免許状を取得するための必修科目であり、本学においては、各学部において授

業を設けている。授業では、その時間における講義やワークショップ・グループワーク及び情報機器

を用いた演習によって展開していき、ほぼ毎回、授業での成果物の提出を求めている。事後学習とし

※ 全国の公立学校における全教員を対象として、文部科学省「教員のICT活用指導力の基準の具体化・明確化に関する検討会」において平成18年度にとりまとめた5つの大項目 (A~E) と18の小項目 (A1~E2) からなるチェックリストに基づき、全教員が自己評価を行う形で調査を行った。 ※ 18の小項目(A1~E2)ごとに4段階評価を行い、「わりにできる」若しくは「ややできる」と回答した教員の割合を、大項目(A~E)ごとに平均して算出した値。

Page 11: 教育実践報告 を活用するためのデジタル教材作成に関する研 …...教育実践報告 ICT を活用するためのデジタル教材作成に関する研究 ―ルーブリックの導入を含めて―

て、授業で学習した内容や情報機器の操作等について復習するとともに、各教科指導法や教育実習講

義などの模擬授業においてこの授業で学んだことを積極的に活用するなど、フィードバックをしなが

ら学習を深めるよう指導している。これまでの授業でのワークショップを通して、ほとんどの学生が

ICT を活用した授業を実践できるようになりたいと感じているにも関わらず,授業実践において ICT

を活用することに自信をもっていないことがわかっている。

ICT を活用した指導ができる力を付けるために、今回の実践では、経験学習の理論を参考に、具体

的な授業を想定してデジタル教材を作成し、それを活用した授業を構成するとともに、授業を意識し

たプレゼンテーション(教材の発表)を行うという「具体的経験」を基にして、作成した教材やプレ

ゼンテーションについて、ルーブリックを用いて評価し振り返ることを通して「内省的観察」をおこ

なう。そこでの実践知への気づきを記述することで「抽象的概念化」を促し、教科指導法、教職実践

演習講義等における模擬授業や教育実習等での授業における「能動的実験」につなげていくことによ

って、教員養成課程のなかで教員に求められる指導力を育成することを目指して「ICT を活用した授

業デザイン」の授業を構想した。

3.3 「ICTを活用した授業デザイン」の授業の実際

教育方法学の授業においては、到達目標を以下のように設定し、講義全体の授業計画をおよそ以下の

表 3 のように立案した。

①教育方法に関する基礎理論について理解できる。

●自己の教育体験の振り返りから、豊かな教育実践を構想する。

●今日の教育課題と学習指導要領の変遷を理解し、学校教育のあり方を深く考える。

●教育実践と教育学研究の関わりについて理解を深める。

第 3 表 「ICT を活用した授業デザイン」の授業の指導計画

授業における講義内容 ICT 活用のワークショップ

1. 自らの教育体験から教育方法について考える 2. 教育方法の歴史的概観 3. 教育方法の歴史的概観 4. 学習指導理論~問題解決学習、発見学習、完全

習得学習 5. 学力観の変遷と学習指導要領の理念(教育評

価の基礎理論を含む) 6. 授業設計と学習指導案 7. 授業実践のための基礎的な技術 8. 協同学習の理論と実際-アクティブ・ラーニ

ングとは- 9. 学校の教育活動と著作権、情報モラルの教育 10. 教育への ICT の活用 11. ICT を用いた教材開発とその活用① 12. ICT を用いた教材開発とその活用②

13. ICT を用いた教材開発とその活用③ 14. ICT を用いた教材開発とその活用④ 15. ICT を用いた教材開発とその活用⑤

PowerPoint・・・フラッシュ型教材の作成 PowerPoint・・・ハイパーリンク PowerPoint・・・アニメーション①

(開始・終了・強調・軌跡) アニメーション②開始のタイミング (アニメーションの効果)

Excel・・・文書作成(表の活用・・・カレンダー) Word・・・プリント・表作成(指導案) ロイロノートスクール

(グループで iPad を使用) ロイロノートスクール

(グループで iPad を使用) ・デジタル教科書・NHK for school

・教育の情報化・iPad のカメラ機能 ・ICT を活用した授業デザイン 教材コンテンツ制作①とルーブリック ・教材コンテンツ制作② ・教材コンテンツの発表 1 ・振り返りとまとめ

Page 12: 教育実践報告 を活用するためのデジタル教材作成に関する研 …...教育実践報告 ICT を活用するためのデジタル教材作成に関する研究 ―ルーブリックの導入を含めて―

②授業展開に必要な基礎的な技能について理解できる。

●体験を通して学ぶことの意味を理解する。

③教育における ICT 活用の基礎的な理論について理解できる。

④ICT を活用した教材開発について理解できる。

●授業のデザインにとって、重要な事項を理解する。

●授業のデザインと実施を通して、基礎的実践力を身につける。

●専門家としての教師をささえる現職教育のあり方を理解する。

3.4 授業の実際(第 12~14時限目の概要)

12 時限目「ICT を用いた教材開発とその活用②」において、次のような課題提示を行った。テーマ

は、『「ICT を活用した授業デザイン」について考えてみよう。』である。具体的には、これまで学んで

きたパワーポイントの技を効果的に使用し、自分が考えている授業に活かしていくための教材作りを

考えてみることである。

授業では、まず、以下のような内容について講義を行った。

○ 効果的に ICT を活用するための手立てについて

①学習への興味・関心を持たせる。

②効果的に授業を進め生徒の学習時間を確保する。

③分かりやすい授業で「知識・理解」の定着をはかる。

④このことを踏まえてデジタルコンテンツを作る。

⑤5 ページ以上のスライドで構成する。

○ デジタル教材作成パワーポイントのスキル活用

これまでのパワーポイントの操作スキルの振り返りに併せて以下の点に留意しながら進めて行くよ

うに指導した。

① 学習指導の効果を高める ICT 活用のためには、ICT 活用と教員の指導力との関連を意識す

ることが重要となる。単に授業で ICT を活用すれば教育効果が期待できるものではなく、

ICT 活用の場面やタイミング、活用する上での創意工夫など、教員の指導力が教育効果に大

きく関わっていると考えられる。つまり,「ICT そのものが児童生徒の学力を向上させる」

のではなく、「ICT 活用が教員の指導力に組み込まれることによって児童生徒の学力向上に

つながる」といえる。

②児童生徒の興味・関心を高めるためであるならば,単に映像を見せるだけではなく、指導のね

らいや児童生徒の実態に応じた題材や素材を教員が十分吟味して選んでいくことが重要であ

る。また、その映像をタイミングよく教員が大きく映して提示したり、提示した映像などを指

し示しながら発問、指示や説明をしたりすることで、ICT 活用による効果が期待できる。より

高い教育効果に結び付けるためには、ICT 活用に加えて、日頃からの児童生徒の実態把握、授

業における活用のタイミング、発問、指示や説明といった従来からの授業の展開との融合も重

要となる 11)。

○ デジタル教材作成のための具体的な方法や場面について

Page 13: 教育実践報告 を活用するためのデジタル教材作成に関する研 …...教育実践報告 ICT を活用するためのデジタル教材作成に関する研究 ―ルーブリックの導入を含めて―

ア 学習指導の準備と評価のための教員による ICT 活用

(1) 教育効果を上げるための ICT 活用の計画

授業の計画段階において、教育効果を上げるには、どの場面でどのようにして ICT 活用するか

の計画を検討することが重要である。

(2) 授業で使う教材や資料などを収集するための ICT 活用

授業で使う教材や,指導事例といった資料を収集するために,インターネット,百科事典の DVD、

デジタルテレビ放送などが活用できる。

イ 授業での教員による ICT 活用

(1) 学習に対する児童生徒の興味・関心を高めるための教員による ICT 活用

それぞれの教科の学習内容や学習対象に対して関心を持ち,進んでそれらを調べようとしたりす

るといった興味や関心を高めるために ICT が活用できる。

(2) 児童生徒一人一人に課題を明確につかませるための教員による ICT 活用

学習指導を円滑に進めるためには児童生徒一人一人が課題を明確につかむことが欠かせないが、

そのために ICT を活用することができる。

(3) わかりやすく説明したり、児童生徒の思考や理解を深めたりするための教員による ICT 活用

児童生徒のつまずきを防ぎ、わかる授業を実現するために、また,思考や理解をより深めるため

には、映像などを組み合わせながら説明をすることが大切である。

(4) 学習内容をまとめる際に児童生徒の知識の定着を図るための教員による ICT 活用

知識の定着を図る際に、教員が児童生徒一人一人の習熟の度合いに応じた指導を

したりするために、ICT を活用することが効果的である 12)。

○ 保健体育科での実践事例の紹介

また、中学校・高等学校「保健体育科」の授業においては、実技が主になり体育館やグラウンドで

の「体育」の授業、教室での「保健」の授業と二通りの学習環境が考えられ、授業で活用する ICT 機

器としては、情報提示のための ICT 機器として、プロジェクタ,大型ディスプレイ、電子黒板等に

PC を使って自作のデジタル教材を映す。その際、コンピュータ、インターネット、校内 LAN 等の

情報提示を支えるための基本インフラについては、教室はもちろん体育館や運動場でも使えるものと

考えた。

○ ルーブリックの共有と活用について

これらのことを踏まえて作ったデジタル教材については、自らの成果物を自己評価したり、他者の

作成した教材を評価したりするということを念頭に、内容・構成・資料の提示・アニメーションの効

果的提示・発表という観点で第 4 表に示すルーブリックを作成した。

ルーブリックの作成にあたっては、橋本健夫(2014)など一般的なプレゼンテーション作成用のル

ーブリックを参考にし、学生の実態や授業の到達目標である「授業のデザインにとって、重要な事項

を理解する。」「授業のデザインと実施を通して、基礎的実践力を身につける。」などの内容を具体的に

記述することを心がけて作成した。

また、パワーポイントを用いたスライド作成の具体的スキル(アニメーションやリンクの効果的な

使用)についても、授業内容の理解と定着をはかることをねらって観点として設定した。

各観点とも、「S」は十分に満足できるレベル、「A」は満足できるレベル、、「B」はほぼ満足できる

Page 14: 教育実践報告 を活用するためのデジタル教材作成に関する研 …...教育実践報告 ICT を活用するためのデジタル教材作成に関する研究 ―ルーブリックの導入を含めて―

レベル、「C」は努力が必要なレベルと考えて具体的な内容を検討し記述した。

作成したルーブリックについては、学生とその内容を事前に共有することで、学生が到達目標を具

体的に意識して意欲的にデジタル教材を開発できることや、教材を一定の水準以上の完成度で作成す

ることができることを目的とした。また、提出された教材を教員が評価する際の評価規準として用い

ることについても言及した。

第4表 デジタル教材の作成と発表に関するルーブリック

○ 指導の流れの例示

教材作成を始めるにあたっては、教科・校種・学年・単元・本時のねらいを決め、実際の指導の流

れとして、第5表の学習指導略案を例示した。

第 5 表 学習指導略案(例示)

Page 15: 教育実践報告 を活用するためのデジタル教材作成に関する研 …...教育実践報告 ICT を活用するためのデジタル教材作成に関する研究 ―ルーブリックの導入を含めて―

この授業を受講している学生は、これまでに保健体育科指導法の授業などで学習指導案を作成した

経験がある。そのことを前提に、これまでに作成した学習指導案をブラッシュアップする形で活用す

ることを推奨し、これによってこれまでに作った学習指導案を振り返る機会とした。ここでは、学生

が、授業で使えるデジタル教材の作成を通して、これまで、学習指導案の作成と模擬授業を実施する

ことだけを目的にしてきた活動をふりかえり、授業のねらいや展開について理解を深め、よりよい授

業を構成できる力の育成も視野に入れ指導をした。

このような講義に続き、実際のデジタル教材の作成に入り、第 13 時限目では、学習指導略案および

デジタル教材の作成。第 14 時限目では、授業を想定しながら、作成した教材について発表を行うと

ともに、ルーブリックを活用して教材の評価を行いそこで学んだことなどをリフレクションペーパー

にまとめた。

3.5 デジタル教材の作成と学生作成の教材例

この授業では、全国的な教育の情報化の情報に鑑み、現状としてどの地域の学校でも整備されている

と考えられるパワーポイントを活用した教材作成を行った。

学生たちはインターネットを活用し先行事例を調査し参考にしようと試みていたが、最近の保健体

育科における ICT 機器の活用は、タブレット端末やデジタルカメラ等を用いて自分の動きを撮影し、

動きや技の改善点や高まりを見付け、自己の課題に応じた練習を工夫するものや球技などで競技全体

を撮影し,個々の動きと全体の動きの関連性について検討し戦術を考えるといったものであるため、

なかなか事例を探すことができなかった様子が見られた。また、事後のアンケートで明らかになった

ように、中学校や大学の体育の授業のなかで ICT を活用した授業を受けた経験が必ずしも十分とはい

えないこともあり、作成する教材のイメージをもつことは難しかったようである。

作成された教材の内訳は、第4図のようであった。保健領域で作成した学生が 61%、体育領域で

作成したものが 35%、道徳科などその他の教科・領域で作成した学生が 4%であった。以下に学生

の作成したデジタル教材の例を示す。

第 4 図 学生が作成した教材の領域の内訳

Page 16: 教育実践報告 を活用するためのデジタル教材作成に関する研 …...教育実践報告 ICT を活用するためのデジタル教材作成に関する研究 ―ルーブリックの導入を含めて―

以下の学生の作品は、実技の指導に用いる教材の一例である。

第 5 図 学生が作成した実技指導に関するデジタル教材の例 13)

それぞれの競技種目について、授業を行うことを想定し、体育館や武道場等にタブレット端末や大

型ディスプレイを設置して用いることを想定したものが多く見られた。ハイパーリンクを用いて、

YouTube 等インターネット上の動画を視聴させる教材もあり、工夫が見られた。

また、保健領域では、けがの防止や生活習慣病などの病気の予防について、学習の目的に応じて、

インターネット、図書資料などから必要な情報を収集し、まとめたものが多く見られた。

一連の授業のあと、レポートの提出を求めたが、学生の ICT の利活用に関して次のような考察が

みられたので一事例として紹介する。

私は中学校保健体育の教員を目指していることから、保健体育の授業で上記のメリットと留

意点や課題について考察することとする。

① 体育の授業において、デジタル教材を使えることのメリットの 1 つに大画面を使って、見本

となる動きや動作を、動画を使って確認することができる。自分で見本をみせる場合は途中

で動作を止めて説明することが不可能だが、動画を用いることによって、ポイントとなる動

作の途中で止めて説明することが可能となる。また、タブレット端末などを用いて自分の動

きを動画におさめて、それを自ら確認することもできる。自分の動きを確認するということ

見本との違いを自分の目で比べることができる。自分の課題点が一目で確認することができ

るのだ。一方で保健の授業では、画像や映像などを利用することができ、より具体的に物事

を考えたり、イメージがわきやすくなったりする。生活習慣病やタバコ・お酒の害などの具

体的な映像や画像をみることによって衝撃を与えるかもしれないが、そうした具体的なイメ

ージを作ることによって生活習慣病やタバコ・お酒の害を印象強く残すことができる。さら

に、タブレットを用いることでインターネットで興味、関心のあることについてその場で調

べることができる。授業内レポートや課題をするうえでも効率化をはかることができる。

② 体育の授業で、情報通信機器やデジタル教材等を扱う場合には、それらが生徒の運動を邪

魔しないように、またケガにつながらないようにしなければならない。大画面の液晶であ

れば、かなり高価なものになる。それを体育館や格技場などで使用した後も、その場に置

いておくのには破損する恐れがある。特にバレーボールやバスケットボールなどの球技で

は、思いもよらないボールが飛んでくることもある。使用後はすみやかに片付けなければ

ならない。また、保健、体育共に共通だが、生徒が各自タブレットを使用するような授業

展開では、生徒が各々でタブレットを持っているため、他の機能やアプリで遊んだり、ふ

Page 17: 教育実践報告 を活用するためのデジタル教材作成に関する研 …...教育実践報告 ICT を活用するためのデジタル教材作成に関する研究 ―ルーブリックの導入を含めて―

ざけないように注意する必要がある。そのため、使用する場面以外では触らないようにす

るなどの指示を出す必要がある。他にも、ICT を扱うため、情報通信機器やデジタル教材

に詳しくならなければならない。労働時間が多く、仕事量が問題視されており、授業の準

備にあまり時間がさけないといわれている現代の教育現場で、それらを勉強する時間がど

れぐらいあるのかも心配な点である。

4.「ICTを活用した授業デザイン」の成果と課題

「ICT を活用した授業デザイン」の成果について評価するため、資料 1 に示した事後ア

ンケート調査を実施した。実施方法は以下の通りである。

【事後アンケート調査の方法】

(1)調査日 平成 31 年 1 月 21、23 日

(2)調査実施方法 集合調査による質問紙法

(3)調査対象 本学体育学部 3 回生 86 名のうち 69 名

(4)質問項目および回答方法は、資料 1「教育方法学アンケート」を参照

4.1 ICT活用能力の育成について

教育現場における ICT を利活用した授業方法についてどの程度実施できると思うかという問いに

対する事後アンケートの結果は第 6 図の通りである。

第 6 図 学生へのアンケート結果「A 教材研究・指導の準備・評価などに ICT を活用する能力」

ICT を活用した指導力に関するアンケートの項目は、平成 29 年度学校における教育の情報化の実

態等に関する調査と同様の項目について回答を求めた。その結果「A 教材研究・指導の準備・評価な

どに ICT を活用する能力」の項目において 87.4%の学生が、「わりにできる」「ややできる」と答え

ている。このことは自己評価の評価規準が現役の教員とは違うということはあるものの、全国調査の

Page 18: 教育実践報告 を活用するためのデジタル教材作成に関する研 …...教育実践報告 ICT を活用するためのデジタル教材作成に関する研究 ―ルーブリックの導入を含めて―

結果(84.8%)と比較して高い水準で達成できていると評価できる。

同様に、「B 授業中に ICT を活用して指導する能力」についての自己評価は、90.1%の学生が「わ

りにできる」「ややできる」と答えており、全国調査の結果よりも高い割合の回答を得た。結果は第 7

図のとおりである。

第 7 図 学生へのアンケートの結果「B 授業中にICTを活用して指導する能力」

このことに併せて、ルーブリック評価の結果でも、「効果的な表現方法」の観点で、アニメーション

機能やリンク機能をうまく活用できていると思われるの項目について、「S」または「A」と自己評価

した割合は、71%で、アニメーションやリンクをほとんど用いていないと評価されたもの「C」は、

6%にすぎなかった。「C」の中には「生徒の見やすさを考え、あえてアニメーションを使わないシン

プルなもの」を作成したと記述した学生も一定数いることを考え合わせると、教育方法学の一連の授

業のなかで、パワーポイントのアニメーション機能やリンク機能を活用するスキルは、ほぼ身に付い

ていると判断できる。

4.2 ルーブリックを用いた評価について

事後アンケートにおけるルーブリック評価の結果については、第 8 図の通りである。どの観点も、

多くの学生が「S」または、「A」の自己評価をしていることがわかる。

ルーブリックを用いる効果は、学生自身が自らの立ち位置を自覚し、より高い次元を目指そうと意

欲的に学ぶことであると考えている。そのために、評価の具体的な内容や基準を示すルーブリックを、

学生にも理解できる言葉で明確に示すことで、指導者と学生が共有することが重要であるといえる。

ルーブリックの作成にあたって、学生の実態に応じた評価規準の設定が必要であることは言うまでも

ない。

今回の実践では、短い時間のなかで、一定のレベルのデジタル教材(コンテンツ)を作成すること

が求められたのだが、自己評価の結果を見る限り、学生たちがルーブリックの「S」または「A」を目

指して取り組んだということがうかがえる。レポート等の成果物を作成する際には、ルーブリックや

評価規準を示して、自らの作品(成果物)を振り返る視点を具体的に、そして、明確に与えることで

Page 19: 教育実践報告 を活用するためのデジタル教材作成に関する研 …...教育実践報告 ICT を活用するためのデジタル教材作成に関する研究 ―ルーブリックの導入を含めて―

質の担保に効果があるということが示唆されたと考える。

第 8 図 学生へのアンケート結果「ルーブリックを用いた自己評価」

4.3 アンケートの自由記述から

アンケートの自由記述から、学生がどのような実践知を意識化できたかをみることにする。

ICT を活用するためのスキルの獲得については、先のアンケートでも多くの学生に定着が見られた

ことがわかる。「ICT に対して少し苦手意識があった。やり方がわからない。難しい。と言う思いがあ

った。しかし、授業を通して ICT 活用の便利さや興味を持たせたり、イメージを持たせやすくしたり

するという利点をたくさん学び、私自身も将来 ICT を活用した授業展開をしたいと思いました。」と

いうように ICT に対する意識を変えた学生もおり、単に技術の獲得だけではなく、苦手意識の克服や

活用への意欲付けにもなったことがわかる。

また、授業を振り返り、授業に対する明確なイメージ形成に役立つことも、「コンテンツを制作する

ときに、授業をイメージして作成する必要があるため、良いイメージトレーニングになる。」という記

述から読み取ることができる。

授業における知識の多くは言語によって伝達されるが、ICT を活用するメリットについて、「ICT を

使って行う授業は、言葉で伝わりにくいものをうまく伝えることができるので効果が高い。」と記述し

ている学生もいる。黒板だけでは表現できない動画やアニメーションなどさまざまな工夫を行うこと

0%

0%

1%

6%

17%

16%

19%

23%

75%

78%

70%

62%

7%

6%

10%

9%

①本時の目標に沿っている

②意欲・興味・関心を促す

①説明・指示・発問

②導入・展開・まとめ

①画面の見易さ

②図表の的確な扱い

①アニメーション機能

②リンク機能

内容

構成

資料

の提

効果

的な

提示

方法

12

34

1 2 3 4

内容 構成 資料の提示 効果的な提示方法

①本時の目標に沿って

いる

②意欲・興味・関心を

促す

①説明・指示・発問

②導入・展開・まとめ

①画面の見易さ

②図表の的確な扱い

①アニメーション機能

②リンク機能

C(1) 0% 0% 1% 6%

B(2) 17% 16% 19% 23%

A(3) 75% 78% 70% 62%

S(4) 7% 6% 10% 9%

ルーブリックを用いた自己評価の結果

C(1) B(2) A(3) S(4)

Page 20: 教育実践報告 を活用するためのデジタル教材作成に関する研 …...教育実践報告 ICT を活用するためのデジタル教材作成に関する研究 ―ルーブリックの導入を含めて―

でよりわかりやすい授業が構築できる効果について言及している。

デジタル教材の作成を通して生徒の目線でわかりやすさや興味付けについて意識化できた「生徒の

興味や関心がわくようにアニメーションをたくさん取り入れたり、グラフや表や図を取り入れたりし

てコンテンツを作ることを考えると、生徒目線でどのような授業が、興味がわくのかっていうことを

すごく考えることができた。」という記述も見られた。

プレゼンテーションを作成する上でのスキルに加えて、教育実習など次のステップに目を向けてい

る次のような記述もあった。「具体的なスキルとしては文字のサイズを 32 ポイント以上にすることや

文章ではなくてフレーズがすることを箇条書きは体言止めにすることなどを工夫していきたい。今回

のコンテンツでもそのような工夫をたくさんできたが教育実習でぜひ活用しようと考えている。」

スキルはすでに知っているもののそれを活用して理解を促進するためにはどのように教材を構成す

るかに関する「アニメーションの機能はこれまでに知っていたが、どのようにしたらわかりやすいコ

ンテンツになるかを考えるのに時間がかかった。」という記述からは、教材作成という具体的な経験を

行いながら、振り返り新たな知を生み出そうとする姿がうかがえる。

ルーブリックを使った評価に関しての「自己評価は少し高めですが、これまで先生たちが授業で使

っていた方法のほとんどは使うことができたのでスキルは身に付いたと思います。」という記述や

「ICT を使うことで効率化できる時間は、自分たちで考えたり、対話をしたりする時間に充てられる

ので、深い学びにつながるのではないかと思いました。」という ICT 活用の効果に言及している記述

も多数みられた。

5. おわりに

本稿では、学校の情報化の進展が著しいこれからの社会において求められる教員の資質・能力を教

師の学びについて考察するとともに、経験学習理論の枠組みに基づいた ICT 活用能力や授業設計能力

などの実践的指導力の育成を目指した授業実践「ICT を活用した授業デザイン」におけるルーブリッ

クの導入の効果について報告した。

本稿で報告した実践の成果としては、

① 教材研究・指導の準備・評価などに ICT を活用する能力や授業中に ICT を活用して指導する能

力について、一定程度のスキルを多くの学生が身に付けることができたことや、ICT を用いること

に苦手意識を持っていた学生の意識を前向きに変えることができたこと

② ルーブリックを用いた自己評価により、明確な目標を持って学習に意欲的に取り組むことができ

るとともに、学生の成果物が一定の水準をクリアできたこと

③ 指導者が経験学習のサイクルを意識して授業展開したことにより、学んだことを次にいかそうと

する意識が学生に芽生えたこと

があげられる。

今後の課題としては、さらに多くの学習場面に対応したルーブリックの作成を行って事例を増や

していくことや、ルーブリックの記述によっては、学修成果の上限を示すことになってしまい、学

生がより高い達成を目標としなくなってしまう可能性があるため、教員養成課程におけるルーブリ

ックの適切な設定をどのように行うべきなのかについて他の科目や事例について研究を蓄積する必

要があることなどがあげられる。

Page 21: 教育実践報告 を活用するためのデジタル教材作成に関する研 …...教育実践報告 ICT を活用するためのデジタル教材作成に関する研究 ―ルーブリックの導入を含めて―

注・引用文献

1) このことについては、上田喜彦 2018 「教職観の変遷からみる教員の資質能力-近代以降における教職観

の変遷と教員の資質能力」 天理大学教職教育研究 pp.37-46 を参照。

2) 佐藤学 2016 「序章 学びの専門家としての教師」/佐藤学編 2016 『岩波講座 教育 変革への展望

4 学びの専門家としての教師』,岩波書店,pp.1-9

3) 中央教育審議会 2006 「「今後の教員養成・免許制度の在り方について(答申)」文部科学省ホームページ

(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/attach/1336999.htm)

最終アクセス 2019 年 3 月 30 日

4) 中央教育審議会 2005 「新しい時代の義務教育を創造する(答申)」 p.19

文部科学省ホームページ(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/05102601/all.pdf)

最終アクセス 2019 年 3 月 30 日

5) 中央教育審議会 2012 「教職生活の全体を通じた教員の資質能力の総合的な向上方策について(答申)」 p.2

文部科学省ホームページ

( http://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/toushin/__icsFiles/afieldfile/2012/08/30/1325094_1.pdf)

最終アクセス 2019 年 3 月 30 日

6) 教職課程コアカリキュラムの在り方に関する検討会 2017 「教職課程コアカリキュラム」 p.22

文部科学省ホームページ

(http://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/toushin/__icsFiles/afieldfile/2017/11/27/1398442_1_3.

pdf) 最終アクセス 2019 年 3 月 30 日

7) 経験学習に関する内容については、 脇本建弘 2015 「教師は経験からどのように学ぶのか-教師の経験

学習」 中原淳監修 2015 『教師の学を科学する データから見える若手の育成と熟達のモデル』 北大

路書房 第 4 章 pp.47-49 を参考にした。

8) 藤井斉亮 2014 「授業研究における学習指導案の検討過程に関する一考察」『日本数学教育学会誌』 第 96

巻第 10 号 pp.2-13

9) 稲垣忠 鈴木克明編著 2011 『授業設計マニュアル―教師のためのインストラクショナルデザイン―』 北大

路書房 p.3

10) 文部科学省 2018 「平成 29 年度 学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果(概要)【確定値】」

から引用した。

文部科学省ホームページ

(http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detAIl/__icsFiles/afieldfile/2018/10/30/140

8157_001.pdf) 最終アクセス日 2019 年 3 月 30 日

11) この内容については、「教育の情報化に関する手引」(文部科学省 平成 22 年 10 月 29 日)第 3 章教科指導

における ICT 活用にある、「4.授業での教員による ICT 活用の効果を高めるために」-で示されている内容

を参考にした。

12)この整理は、「教育の情報化の手引き」(文部科学省 平成 22 年 10 月 29 日)、第 3 章 2 節 教科指導におけ

る ICT 活用の具体的な方法や場面から整理をした。

13)この教材例については、作成した学生の許諾を得て掲載している。なお、学生が学校における授業での使用

を想定して作成した教材(第 5 図)の中で、以下のホームページから柔道の受け身の画像およびその練習方

法等の動画を引用している。

画像の引用元 URL:https://www.judo-ch.jp/knowledge/#ukemi ホームメイト「柔道チャンネル」

動画の引用元 URL: https://www.youtube.com/watch?v=BTLf5cdWrdA 東京有明医療大学

動画の引用元 URL:https://www.youtube.com/watch?v=5nTzF4UTYqI ホームメイト「柔道チャンネル」

Page 22: 教育実践報告 を活用するためのデジタル教材作成に関する研 …...教育実践報告 ICT を活用するためのデジタル教材作成に関する研究 ―ルーブリックの導入を含めて―

参考文献

1) 脇本建弘 2015 「教師は経験からどのように学ぶのか-教師の経験学習」/中原淳監修 2015 『教師の

学を科学する データから見える若手の育成と熟達のモデル』 北大路書房

2) Schön, D. A. , 1983, “The Reflective Practitioner : How Professionals Think in Action” Basic Books, Inc.

(訳)柳沢昌一,三輪健二 2007 『省察的実践とは何か -プロフェッショナルの行為と思考-』鳳書房

3) Dewey,J. , 1938, “Experience and education” (訳)市村尚久 2004 『経験と教育』 講談社

4) Kolb,D.A., 1984, “Experiential learning: experience as the source of learning and development.” Engle-

wood Cliffs, Prentice Hall

5) 中原淳 2013 『経営学習論』 東京大学出版会

6) 神奈川県立体育センター事業部指導研究課研修指導班 2017 「平成 28 年度神奈川県立体育センター研究報

告書 ICT を活用した保健体育授業の充実に向けて-タブレット端末を活用した主体的・対話的で深い学び

を目指して-」 神奈川県立体育センター

http ://www.pref.kanagawa.jp/uploaded/attachment/907001.pdf 最終アクセス 2019 年 3 月 30 日

7) 橋本健夫 2014 「多文化理解とことば」 別紙 2 プレゼンターション用ルーブリック 長崎大学イノベー

ションセンターアクティブラーニング事例集 2

http://www.innov.nagasaki-u.ac.jp/teacher/files/AL2/AL2B_8_tmp2.pdf 最終アクセス 2019 年 3 月 30

8) 石井英真 2019 「教師の学びと成長とは?~リフレクション入門」/授業づくりネットワーク No/31(通

巻 339 号)リフレクション大全 pp.10-17

Page 23: 教育実践報告 を活用するためのデジタル教材作成に関する研 …...教育実践報告 ICT を活用するためのデジタル教材作成に関する研究 ―ルーブリックの導入を含めて―
Page 24: 教育実践報告 を活用するためのデジタル教材作成に関する研 …...教育実践報告 ICT を活用するためのデジタル教材作成に関する研究 ―ルーブリックの導入を含めて―