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1. ビジネスマナーは社会人の基本

1-1. ビジネスマナーとは

 いつの時代も社会人に求められるものは“信頼”

である。ビジネス現場では、他人に認められてこそ、

それぞれの知識・スキルつまり実力を発揮できる。

独りよがりな仕事では、知識やスキルは本来の力を

出せないのである。それはなぜか? 仕事というの

は指示があって実行し、報告する事で完了する。“指

示→実行→報告”という流れの中では、何人かの人

が関わっているので一人では決して仕事が出来ない

のである。

 そこで、知識やスキルを十分に発揮するために、

必要なものや助けるものは何であるか。

 それが“ビジネスマナー”である。仕事はマナー

ですべてが決まるわけではないが、マナーのあり方

で仕事に差がつくことは事実である。

 社会人は学生とは違う。学生時代であれば気の合

う仲間とだけ付き合っていてもよかった。しかし今

は上司・同僚・部下・関係部門・利用者(学生・地

域住民)と関わりながら仕事をしなくてはならない。

 ビジネスマナーの意義としては、相手に安心感や

信頼を与えることが出来、周りの人々からも好感を

得られ、結果仕事の評価も高くなることである。

1-2. 円滑なコミュニケーション

 そこで特に大切なのが“コミュニケーション”で

ある。コミュニケーションを上手に取ることは人間

関係を円滑にするだけでなく、仕事を効率よく進め

たり、ミスを防いだり、思った以上の成果を出せる

ことに直結するのである。

 コミュニケーションを十分に取り、仕事を通した

ネットワークを大切にすることで、人と人とのつな

がりが出来、信頼し合える同士の中で仕事が出来る。

 知識・スキルと同時に、コミュニケーション(マ

ナー)を大切にしたい。

2. 職場でのコミュニケーション

2-1. チームワークに欠かせない協調性

 職場の仕事は、チームワークが大切である。職場

内にたった一人でもマナー違反をする人がいれば、

業務がスムーズに運ばなくなる。そのためには協調

性を持たなければ、お互いに協力し合うことは困難

になってしまう。

 誰にでも気が合わない人間はいるが、職場に個人

的な好き嫌いは持ち込まないで、相手のよい点を探

しだし割り切って付き合うのがよい。自分が相手に

対して苦手意識を持つと、会話や行動に出てしまう。

それが知らず知らずの間に相手にも伝わり、人間関

係がギクシャクするのである。

 職場での会話は仕事の話で成り立っているので、

個人的な感情や年齢の差はそこではまったく関係が

ない。個人個人が、協力しあう気持ちを持って相手

に接することで、年代や能力、性格の差は乗り越え

ることができるのである。

2-2. コミュニケーションの必要性

 例えば、指示→実行→報告 の流れで、指示の内

容に疑問が出たとする。

 ところが、ここで相手に遠慮したり、質問するこ

とを躊躇したりしてしまったら、実行の段階で迷い

やミスが出ることは間違いない。ひいてはミスをし

たまま報告をし、もう一度やり直したり、期限に間

に合わなかったり・・・等ということが起きる。疑問

が出たらその時点で指示者に相談をすることが第一

である。また自分の意見を言いたい時には、冷静に

 ○2008年度図書館実務担当者研修会 全体講義

組織における“コミュニケーション”~結果の出せるワーキングのために~

名古屋産業大学 非常勤講師  伊 藤 祥 子

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館 灯  47号(2008)44 45組織における“コミュニケーション” ~結果の出せるワーキングのために~

 新しく指示されたことが他の仕事と重なった時に

は、指示を出した人に優先順位を聞くこと。勝手に

自己判断で優先順位を決め付けてはいけない。

3-3. 素直に教わり、耳を傾ける

 知らないことは、上司や先輩や同僚に聞いて素直

に教わる姿勢が大切である。

知ったかぶりはあとでミスをおかす元になり、作業

能率を低下させることになる。ミスをした時に、上

司が叱責することがあるが、この場合は自分を正当

化したり弁解したりせず、素直にその言葉に耳を傾

けると、解決が早くなる。

 時には、筋が通らない無理な内容だと感じたら・・・

その時は“なぜか”を聞いてみることも必要である。

積極的な指示の受け方も大切な姿勢である。

3-4. 報告・連絡・相談(ほうれんそう)

 ① 報告~仕事の過程で中間報告を~

 中期・長期の仕事の場合、必ず中間報告をする。

指示通りに進んでいたと思っても、途中で意図や方

針が違ってくることもある。中間報告を入れること

で、やり直しを防ぎ、ミスを発見することもある。

大きな損失にならない様、まめに報告をする。報告

の仕方は、まず結果から伝え、次に経過報告をする。

相手に時間のない時は、結果だけ簡単に報告しても

よい。理路整然と説明するには、話す前に内容をよ

く整理し、ポイントをまとめておくことである。

 ② 連絡~連携作業をスムーズにするポイント~

 仕事のほとんどが単独作業はないので、縦と横

の連絡を蜜にすることが大切である。たとえば、外

出先で予測しない事態に遭遇したり、トラブルやク

レームが発生したら、即座に上司や責任者に連絡し

て指示を仰ぐこと。どんな問題も、連絡が早いほど

解決の糸口が早くみつかるものである。

 ③ 相談~自分の手に負えないことは上司や先輩

に相談する~

 仕事上、問題や決断できないことが発生したら、

上司や先輩に相談すること。無理にこなそうとする

と仕事がはかどらず、結局は周りに迷惑をかけてし

まう。

 相談や意見を聞く時は、相手の手がすいていて、

相談に乗ってくれる状態かどうかを見極めることが

大切である。

わかりやすく説明し、それに対して相手の意見もま

た冷静に聞く姿勢を持つ。双方が同じ目標へ向かう

よう、歩みよることが大切である。

2-3. 職場の目標意識

 個人的な感情を持ち込まないための工夫も、職場

では必要である。

 そのために提案したいのは職場の目標を持つ事で

ある。ただなんとなく業務を消化する毎日よりも、

“短期的な目標”と“長期的な目標”を立て、職場

内の意識付けをすることで、気持ちが同じ方向に向

かい、協力・強調する体制が整うのである。“目標”

は自らの能力を高めるものでもあるが、個人個人が

目標意識を持つことで、職場の能力も高まり、結果

的に利用者の満足を得られることに結びつく。居心

地のよい職場は、利用者にとっても居心地がいいも

のである。

3. 円滑なコミュニケーションへの取り組み方

3-1. 相手をたて敬意をはらう

 2-1で記述のとおり職場内の人間関係において

は、年齢や男女や経験の差なく“相手をたてる”と

いう気持ちを持って接すること。どのような人に対

しても敬意をはらうよう心がける。気が合わないか

らといって、余りにも距離を取りすぎると“礼儀知

らず”とみなされ、関係のない他人からも大人気な

い人と評価されてしまう。結果、仕事の成果にも支

障をきたしてしまう。職場においては仕事を期限内

に成立することが第一であるから、お互いのマイナ

ス感情のために、成果を邪魔しないよう気を付ける。

 また、お酒の席ではたとえ業務外であろうとも、

上下のけじめは忘れない事。

 人の噂話や批判や愚痴などは、後々問題になるこ

ともあるので話さないこと。

3-2. 指示に従う

 仕事というのは、連携プレーである。仕事の指示

を受けるときは相手が何を伝えようとしているかを

集中して聞くようにする。相手の指示を受けながら、

“何を・どのように・いつまでに”やるのかを整理

しながら聞く。その時に、指示が複雑であれば、必

ずメモを取り(箇条書き)要点を理解する。指示者

の話が終わった時点で不明な点を質問し、その後要

点を復唱してもれがないかを確認する。特に固有名

詞・日時・金額・数量などは間違えのないようにする。

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館 灯  47号(2008)44 45組織における“コミュニケーション” ~結果の出せるワーキングのために~

 「今、よろしいでしょうか。」「ご意見を伺いたい

ことがあります。」と尋ねる。質問内容を整理して

から、要領よく意見を仰ぐ。アドバイスを受けたら

感謝の言葉を伝えて、その後無事終えたことを報告

するのを忘れずに。

3-5. 常に肯定的なものの考えをする

 2-1でのように、職場にはいろいろなタイプの

職員や学生・地域の利用者がいる。相手を批判して

距離を置く前に、柔軟な気持ちになってその人を観

察し、折り合えるところを見つける。たとえば、仕

事に細かい人がいるとする。その人の評価をA氏は

“神経質”といい、B氏は“几帳面”だという。B

氏の方が人付き合いは得意であろう。他人の欠点を

見たら、人は自分とは違うことを知り、自分自身へ

の反省材料とする。誰にもよい面はある。

3-6. 身だしなみ

 ① 清潔に   ・・・相手に不快感を与えない。

指先(爪)にも気を配る

 ② 調和が取れている・・・職場にふさわしい雰

囲気

 ③ 機能的で働きやすいこと・・・シンプル第一

(3色におさえると良い)

 外見の印象はその人を判断させる第一の要因であ

る。(評価にも影響)

 第一印象で損をしないためにも、身だしなみに気

を配ることで、身も心もひきしめ、仕事への意欲を

高める。

4. 感じの良いあいさつ

 あいさつは、人間関係の基本である。気持ちのよ

いあいさつを交わせば一日気分よく過ごせるもの。

 [笑顔で ] [明るい声で ] [アイコンタクトをし

て ] [自分から先に ]を心がけ、よい人間関係を

築き、スムーズに仕事を進めること。

~職場で交わすあいさつ~

① 外出の際・・・「○○へ行ってまいります」

② 外出から戻ったとき・・・「ただ今戻りました」

③ 退出するとき・・・「お先に失礼します」

④ 外出する人へ・・・「行ってらっしゃい」

⑤ 「ご苦労さま」より「お疲れさま」を

⑥ 「すみません」以外の言葉を使う・・・

           「申し訳ございません」

           「失礼いたしました」

           「恐れ入ります」

           「お手数掛けます」

           「ありがとうございました」

⑦ 「どうも・・」で終わらない。最後まで言い切

ること。

5. まとめ

 図書館業務は“サービス業”です。サービス業は

マナーの質によって大きく左右されます。業務をス

ムーズに遂行し、利用者が快適な満足を感じられる

のは、職員のマナーによるところがほとんどです。

利用者が満足を感じられなければ、それはただ業

務をこなしただけで、“サービス”にはなりません。

これからの大学経営を考えても、図書館の顔である

皆様職員は“学校の広報”の役目も担っている、と

いう意識を持って頂きたいと思います。

 職場におけるコミュニケーションを進んでとり、

人間関係を円滑にすることにより、質の高い仕事の

成果も得られます。“知識とスキル”をすでに持っ

ている職員の皆様には、もう一つ“ビジネスマナー

におけるコミュニケーション”を身に付けていただ

き、今後この両輪をバランスよく取ることで、大学

図書館の役割を十分に果たすことが出来るかと思い

ます。

 コミュニケーションもビジネスマナーも相手に対

する思いやりの気持ちが外に表れたものです。自分

が人からされてうれしいことを人にもして、自分が

されていやなことはしないこと。相手の立場になっ

て考えること。これらをマスターして自信をもって

行動できるよう、その礎になることを願います。

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