国際会議への参加協力 - ministry of foreign affairs...962 付...

962

付　国際会議への参加協力

963

的條約ノ締結ニ關シ基礎的條件ヲ規定スル國際勞働條約案

若ハ勸吿ノ寀擇ヲ勞働總會ノ議題トスベシ』トノ決議寀擇

セラレタリ

右決議ハ不況以來停頓狀態ニ在リタル移民問題ニ多大ノ刺

戟ヲ與ヘ同年十一月ニハ常設移民委員會開催セラレ（昭和

十一年十一月十七日徃電第九十八號十一月二十四日理第百

八十四號參照）右委員會ニ於テ移民問題專門家委員會設置

ノ決議アリ一九三七年二月第七十八囘理事會ノ承認ヲ經テ

（昭和十二年三月九日理第四十號第七十八囘理事會報吿書

第八十一頁以下）事務局ニ於テ各國ニ交涉ノ結果多數國ノ

贊成ヲ得タルヲ以テ去ル十月第八十一囘理事會ニ於テ移民

問題專門家委員會ヲ明年二月二十八日ヨリ設置開催スルコ

トトナリタリ一方事務局ハ昭和十一年秋次長「モーレット」

ヲ南米ニ派シ調査セシメ其ノ調査ヲ發表シタル外移民ニ關

スル多數ノ調査ヲ發表シタリ（昭和十一年十一月二十四日

理第百八十四號附屬書類Report on the problem

of Imm

igration

and Settlement in B

rasil, Argentina and U

ruguay

及Studies and

Reports Series B

25 Some Social A

spects of Present and Future

economic developm

ent in Brasil

竝ニ𣷹付書類Ａ參照）

本委員會ノ會議議題ハ定着移民ニ對スル財政的技術的國際

協力ナルガ之ヲ最モ主張シタルハ波蘭ニシテ南米諸國其ノ

他ノ支持ヲ得タルモノナリ之等ノ諸國ハ移出入民國以外ノ

第三國例ヘバ英國、佛蘭西、北米合衆國等ノ財政的援助ヲ

期待シ居レリ

本委員會ニ參加決定シタルハ移入民國トシテハ「アルゼン

チン」「ブラジル」「チリー」「ウルグァイ」「ヴェネゼラ」

ノ五ヶ國移出民國トシテハ本邦及墺太利、「チェッコスロ

ヴァキア」、希臘、洪牙利、和蘭、波蘭、瑞西、「ユーゴー

スラヴィア」ノ九ヶ國ニシテ財政的援助ヲ爲シ得ベキ第三

國參加セザルモ兎ニ角重要移入民國タル南米五ヶ國ノ參加

スルハ移民問題展開ノ好𠘨ト云フベシ尙移民問題ハ聯盟ト

モ關係アル問題ナルガ常ニ協力ノ意思ヲ表シ居レリ（𣷹付

書類Ｂ及Ｃ參照）

本委員會ノ成果ヲ察スルニ移民ガ移出入民國ノ人口問題解

決及移入民國ノ經濟的開發ニ極メテ必要ナルノミナラズ世

界ノ不況打開ニ必須ノ方策タルベキコト高唱セラレ移入民

國ニ於テ土地供與ニ關シ便宜ヲ與フベキコト移出民國ニ於

テ移出民ノ選擇ニ努ムベキコト國際協力ノ必要ナルコト其

776　

昭和13年1月14日　成田（一郎）厚生省労働局長より

吉沢（清次郎）亜米利加局長宛

移民問題専門家会議の開催経緯などに関する

北岡国際労働機関帝国事務所長からの通報に

ついて

勞發第一號

（1月15日接受）　

昭和十三年一月十四日

厚生省勞働局長　

外務省亞米利加局長殿

移民問題專門家會議ニ關スル件

標記ノ件ニ關シ今般在壽府國際勞働𠘨關帝國事務所長ヨリ

別紙寫ノ通來信有之候ニ付テハ何等參考迄及送付候也

（別　

紙）

理第一七八號

昭和十二年十二月十三日

國際勞働𠘨關帝國事務所長　　

北岡　

壽逸　

社會局長官　

大村　

淸一殿

移民問題專門家委員會ニ關スル件

明年二月二十八日ヨリ開催ノ移民問題專門家委員會ニ關シ

テハ曩ニ昭和十二年五月十一日付理第六十七號六月十五日

付理第九十號七月八日付理第九十九號九月三日付徃電第七

十三號十一月十三日付理第百五十五號ヲ以テ報吿仕候處其

ノ後ノ情報ヲ綜合シ卑見ヲ加ヘ左ニ申進仕候

記

本委員會ハ一九三六年一月智利國「サンチヤゴ」ニ於テ開

催セラレタル「アメリカ」諸國勞働會議ニ端ヲ發スルモノ

ニシテ右會議ニ於テ「アルゼンチン」政府代表ノ提案ニ基

キ勞働事務局ハ『歐羅巴ヨリ「アメリカ」諸國ヘノ移民ニ

關スル各種ノ問題ヲ硏究スベク殊ニ歐羅巴諸國ト「アメリ

カ」諸國トノ間ノ移民植民及勞働ニ關スル相互的又ハ多邊

付　

国際会議への参加協力

962

963

的條約ノ締結ニ關シ基礎的條件ヲ規定スル國際勞働條約案

若ハ勸吿ノ寀擇ヲ勞働總會ノ議題トスベシ』トノ決議寀擇

セラレタリ

右決議ハ不況以來停頓狀態ニ在リタル移民問題ニ多大ノ刺

戟ヲ與ヘ同年十一月ニハ常設移民委員會開催セラレ（昭和

十一年十一月十七日徃電第九十八號十一月二十四日理第百

八十四號參照）右委員會ニ於テ移民問題專門家委員會設置

ノ決議アリ一九三七年二月第七十八囘理事會ノ承認ヲ經テ

（昭和十二年三月九日理第四十號第七十八囘理事會報吿書

第八十一頁以下）事務局ニ於テ各國ニ交涉ノ結果多數國ノ

贊成ヲ得タルヲ以テ去ル十月第八十一囘理事會ニ於テ移民

問題專門家委員會ヲ明年二月二十八日ヨリ設置開催スルコ

トトナリタリ一方事務局ハ昭和十一年秋次長「モーレット」

ヲ南米ニ派シ調査セシメ其ノ調査ヲ發表シタル外移民ニ關

スル多數ノ調査ヲ發表シタリ（昭和十一年十一月二十四日

理第百八十四號附屬書類Report on the problem

of Imm

igration

and Settlement in B

rasil, Argentina and U

ruguay

及Studies and

Reports Series B

25 Some Social A

spects of Present and Future

economic developm

ent in Brasil

竝ニ𣷹付書類Ａ參照）

本委員會ノ會議議題ハ定着移民ニ對スル財政的技術的國際

協力ナルガ之ヲ最モ主張シタルハ波蘭ニシテ南米諸國其ノ

他ノ支持ヲ得タルモノナリ之等ノ諸國ハ移出入民國以外ノ

第三國例ヘバ英國、佛蘭西、北米合衆國等ノ財政的援助ヲ

期待シ居レリ

本委員會ニ參加決定シタルハ移入民國トシテハ「アルゼン

チン」「ブラジル」「チリー」「ウルグァイ」「ヴェネゼラ」

ノ五ヶ國移出民國トシテハ本邦及墺太利、「チェッコスロ

ヴァキア」、希臘、洪牙利、和蘭、波蘭、瑞西、「ユーゴー

スラヴィア」ノ九ヶ國ニシテ財政的援助ヲ爲シ得ベキ第三

國參加セザルモ兎ニ角重要移入民國タル南米五ヶ國ノ參加

スルハ移民問題展開ノ好𠘨ト云フベシ尙移民問題ハ聯盟ト

モ關係アル問題ナルガ常ニ協力ノ意思ヲ表シ居レリ（𣷹付

書類Ｂ及Ｃ參照）

本委員會ノ成果ヲ察スルニ移民ガ移出入民國ノ人口問題解

決及移入民國ノ經濟的開發ニ極メテ必要ナルノミナラズ世

界ノ不況打開ニ必須ノ方策タルベキコト高唱セラレ移入民

國ニ於テ土地供與ニ關シ便宜ヲ與フベキコト移出民國ニ於

テ移出民ノ選擇ニ努ムベキコト國際協力ノ必要ナルコト其

776　

昭和13年1月14日　成田（一郎）厚生省労働局長より

吉沢（清次郎）亜米利加局長宛

移民問題専門家会議の開催経緯などに関する

北岡国際労働機関帝国事務所長からの通報に

ついて

勞發第一號

（1月15日接受）　

昭和十三年一月十四日

外務省亞米利加局長殿

標記ノ件ニ關シ今般在壽府國際勞働𠘨關帝國事務所長ヨリ

別紙寫ノ通來信有之候ニ付テハ何等參考迄及送付候也

（別　

紙）

理第一七八號

昭和十二年十二月十三日

國際勞働𠘨關帝國事務所長　　

北岡　

壽逸　

社會局長官　

大村　

淸一殿

移民問題專門家委員會ニ關スル件

明年二月二十八日ヨリ開催ノ移民問題專門家委員會ニ關シ

テハ曩ニ昭和十二年五月十一日付理第六十七號六月十五日

付理第九十號七月八日付理第九十九號九月三日付徃電第七

十三號十一月十三日付理第百五十五號ヲ以テ報吿仕候處其

ノ後ノ情報ヲ綜合シ卑見ヲ加ヘ左ニ申進仕候

記

本委員會ハ一九三六年一月智利國「サンチヤゴ」ニ於テ開

催セラレタル「アメリカ」諸國勞働會議ニ端ヲ發スルモノ

ニシテ右會議ニ於テ「アルゼンチン」政府代表ノ提案ニ基

キ勞働事務局ハ『歐羅巴ヨリ「アメリカ」諸國ヘノ移民ニ

關スル各種ノ問題ヲ硏究スベク殊ニ歐羅巴諸國ト「アメリ

カ」諸國トノ間ノ移民植民及勞働ニ關スル相互的又ハ多邊

付　

国際会議への参加協力

964

965

米二𠘨密第一四號

昭和拾參年壹月拾七日

外務省亞米利加局長　

吉澤　

淸次郞　

成田　

一郞殿

本件ニ關シ拓務省トモ協議ノ上本邦側一般方針トシテ別記

ノ通リ決定セルニ付右可然在壽府國際勞働𠘨關帝國事務所

長宛御通逹相煩度

右申進ス

寫送付先

在壽府　

宇佐美總領事

在伯　　

澤田大使

在亞　　

福間代理公使

在祕　　

籘村代理公使

（別　

添）

昭和十三年二月壽府ニ於テ開催セラルル移民問題

專門家會議ニ對スル一般方針

本年二月末壽府ニ開催セラルル移民問題專門家會議ハ一昨

年十一月壽府國際勞働事務局ニ於ケル第三囘常設移民委員

會ニ於テ之ガ招集ヲ決議客年二月第七十八囘理事會ニ於テ

承認サレタルモノニシテ中南米諸國入國移民ニ關スル植民

事業ノ財政的諸問題ノ硏究ヲ目的トス其ノ大要左ノ如シ

A會議事項

一、出、入移民國ノ双方的協定又ハ一方的手段ニヨリ移住者

ノ負擔トナルベキ移動及定着諸費ヲ低減シ入植ヲ容易ナ

ラシメ且ツ入植者ノ成功ヲ確保スル方法ノ決定、例ヘバ

出移民國ニアリテハ移住者ノ財產處分幇助國內舩車運賃

ノ輕減、諸貸付金又ハ補助金等、入移民國ニアリテハ土

地ノ無償乃至低廉下附、領事手數料ノ免除、無稅通關、

無料宿泊、國內無賃輸送、𠘨械器具、家畜、種苗、住

宅、⻝糧ノ歬貸、信用貸付制度等

二、出、入移民國ハ如何ナル組

監督又ハ保障ニ依リ植民事

業ニ對シ其ノ必要トスル資金ノ國際市場ニ於ケル獲得ヲ

容易ナラシメ得ルヤノ硏究

三、開拓事業ノ适當ナル技術的準備竝ニ財政的組

ニヨリ入

植者ニ成功ノ最大ノ𠘨會ヲ與ヘ其ノ合理的ナル生活安定

ヲ確保セシムル爲ノ特別法規ノ制定

ノ他各種ノ技術的財政的方策提出セラレ寀擇サルルニ至ル

ベシ固ヨリ本委員會ハ技術的ノモノニシテ之ニ依リ直チニ

技術的財政的協力實現セラレ若ハ本邦移民ニ對スル制限緩

和セラレ諸般ノ情勢ノ好轉スベキコトヲ期待スルコトハ困

難ニシテ本邦トシテハ本邦移民ガ南米諸國殊ニ「ブラジル」

ノ經濟的開發ノ爲ニ如何ニ多大ノ貢獻ヲナシタルカヲ宣傳

シ將來本邦移民問題ノ進展ノ爲ニ爲サルベキ各種ノ施設ヲ

提案シ本邦ハ之ニ協力スルコトヲ明ラカニシ本邦移民ニ對

スル情勢好轉ノ爲ノ一舍石タラシムルコトヲ期スルヲ以テ

适當ナリト認メラル尙本邦ガ南米移民ニ對シ渡航費ノ補助

ヲ爲シ居ルコトハ他ニ比類稀ナル處ニシテ之ニ對シ猜疑ノ

眼ヲ以テ見ルモノアルニ鑑ミ本邦移民ハ何等國家的野心ア

ルモノニ非ラズシテ單ニ狹小ナル畊地ニ局蹐シ或ハ畊スベ

キ寸土ヲモ得ルコト能ハザル貧困ナル農民ニ對シ廣大ナル

南米ノ沃土ニ於テ其ノ天賦ノ能力ヲ發輝（揮ヵ）ス

ルノ𠘨會ヲ與ヘ

以テ本邦ト南米諸國トノ經濟的親善關係ヲ增進スルコトヲ

目的トスルモノニシテ本邦移民ニ關スル各種ノ施設ハ一ニ

移民ノ品質向上ヲ圖リ以テ將來移入民國ノ善良ナル市民ト

シテ兩國國交親善ノ楔タラシメントスルニアルモノナルコ

トヲ此ノ𠘨會ニ於テ宣傳スルコト必要ナリト認メラル

歬述ノ如ク本委員會ハ專門家ノ技術會議ナルヲ以テ本邦側

委員トシテ本邦移民政策及移民地ノ實情ニ精通シ本邦移民

ノ發展ニ必要ニシテ而モ移入民國ニトリテモ有利ナル具体

案ニ關シ見

抱負ヲ有スル專門家ヲ派遣セラルルコトト思

惟セラルルモ右ニ關スル充分ナル資料携帶セシメラレ度尙

資料中歐文ニ飜譯シ又ハ印刷ニ付スルノ要アルモノハ成ル

可ク速ニ御送付相成度

萬一內地ヨリ專門家ノ派遣ナク當地在住者委員會ニ出席ス

ベキ場合ニ於テハ歬述ノ趣旨及當局ニ於テ必要ト認メラル

ル點ニ付陳述スベキ事項ノ骨子及實例ノ詳細成ル可ク速ニ

御送付相成度

編　注

本文書の添付書類はすべて見当らない。

〰

⌇

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777　

昭和13年1月17日　吉沢亜米利加局長より

成田厚生省労働局長宛

移民問題専門家会議に対するわが方一般方針

について

964

965

米二𠘨密第一四號

昭和拾參年壹月拾七日

外務省亞米利加局長　

吉澤　

淸次郞　

成田　

一郞殿

本件ニ關シ拓務省トモ協議ノ上本邦側一般方針トシテ別記

ノ通リ決定セルニ付右可然在壽府國際勞働𠘨關帝國事務所

長宛御通逹相煩度

右申進ス

寫送付先

在壽府　

宇佐美總領事

在伯　　

澤田大使

在亞　　

福間代理公使

在祕　　

籘村代理公使

（別　

添）

昭和十三年二月壽府ニ於テ開催セラルル移民問題

專門家會議ニ對スル一般方針

本年二月末壽府ニ開催セラルル移民問題專門家會議ハ一昨

年十一月壽府國際勞働事務局ニ於ケル第三囘常設移民委員

會ニ於テ之ガ招集ヲ決議客年二月第七十八囘理事會ニ於テ

承認サレタルモノニシテ中南米諸國入國移民ニ關スル植民

事業ノ財政的諸問題ノ硏究ヲ目的トス其ノ大要左ノ如シ

A會議事項

一、出、入移民國ノ双方的協定又ハ一方的手段ニヨリ移住者

ノ負擔トナルベキ移動及定着諸費ヲ低減シ入植ヲ容易ナ

ラシメ且ツ入植者ノ成功ヲ確保スル方法ノ決定、例ヘバ

出移民國ニアリテハ移住者ノ財產處分幇助國內舩車運賃

ノ輕減、諸貸付金又ハ補助金等、入移民國ニアリテハ土

地ノ無償乃至低廉下附、領事手數料ノ免除、無稅通關、

無料宿泊、國內無賃輸送、𠘨械器具、家畜、種苗、住

宅、⻝糧ノ歬貸、信用貸付制度等

二、出、入移民國ハ如何ナル組

監督又ハ保障ニ依リ植民事

業ニ對シ其ノ必要トスル資金ノ國際市場ニ於ケル獲得ヲ

容易ナラシメ得ルヤノ硏究

三、開拓事業ノ适當ナル技術的準備竝ニ財政的組

ニヨリ入

植者ニ成功ノ最大ノ𠘨會ヲ與ヘ其ノ合理的ナル生活安定

ヲ確保セシムル爲ノ特別法規ノ制定

ノ他各種ノ技術的財政的方策提出セラレ寀擇サルルニ至ル

ベシ固ヨリ本委員會ハ技術的ノモノニシテ之ニ依リ直チニ

技術的財政的協力實現セラレ若ハ本邦移民ニ對スル制限緩

和セラレ諸般ノ情勢ノ好轉スベキコトヲ期待スルコトハ困

難ニシテ本邦トシテハ本邦移民ガ南米諸國殊ニ「ブラジル」

ノ經濟的開發ノ爲ニ如何ニ多大ノ貢獻ヲナシタルカヲ宣傳

シ將來本邦移民問題ノ進展ノ爲ニ爲サルベキ各種ノ施設ヲ

提案シ本邦ハ之ニ協力スルコトヲ明ラカニシ本邦移民ニ對

スル情勢好轉ノ爲ノ一舍石タラシムルコトヲ期スルヲ以テ

适當ナリト認メラル尙本邦ガ南米移民ニ對シ渡航費ノ補助

ヲ爲シ居ルコトハ他ニ比類稀ナル處ニシテ之ニ對シ猜疑ノ

眼ヲ以テ見ルモノアルニ鑑ミ本邦移民ハ何等國家的野心ア

ルモノニ非ラズシテ單ニ狹小ナル畊地ニ局蹐シ或ハ畊スベ

キ寸土ヲモ得ルコト能ハザル貧困ナル農民ニ對シ廣大ナル

南米ノ沃土ニ於テ其ノ天賦ノ能力ヲ發輝（揮ヵ）ス

ルノ𠘨會ヲ與ヘ

以テ本邦ト南米諸國トノ經濟的親善關係ヲ增進スルコトヲ

目的トスルモノニシテ本邦移民ニ關スル各種ノ施設ハ一ニ

移民ノ品質向上ヲ圖リ以テ將來移入民國ノ善良ナル市民ト

シテ兩國國交親善ノ楔タラシメントスルニアルモノナルコ

トヲ此ノ𠘨會ニ於テ宣傳スルコト必要ナリト認メラル

歬述ノ如ク本委員會ハ專門家ノ技術會議ナルヲ以テ本邦側

委員トシテ本邦移民政策及移民地ノ實情ニ精通シ本邦移民

ノ發展ニ必要ニシテ而モ移入民國ニトリテモ有利ナル具体

案ニ關シ見

抱負ヲ有スル專門家ヲ派遣セラルルコトト思

惟セラルルモ右ニ關スル充分ナル資料携帶セシメラレ度尙

資料中歐文ニ飜譯シ又ハ印刷ニ付スルノ要アルモノハ成ル

可ク速ニ御送付相成度

萬一內地ヨリ專門家ノ派遣ナク當地在住者委員會ニ出席ス

ベキ場合ニ於テハ歬述ノ趣旨及當局ニ於テ必要ト認メラル

ル點ニ付陳述スベキ事項ノ骨子及實例ノ詳細成ル可ク速ニ

御送付相成度

編　注

本文書の添付書類はすべて見当らない。

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777　

昭和13年1月17日　吉沢亜米利加局長より

成田厚生省労働局長宛

移民問題専門家会議に対するわが方一般方針

について

966

967

メタキ希望ヲ有シ居ルガ如キ印象ヲ抱ケル者尠カラザル

處右ハ現狀ニ於テモ事實ニ相違シ居ルノミナラズ最近東

亞ノ時局變轉ノ結果我方トシテ今後

方面ニ多數ノ移民

ヲ送出スルコト不可能トナルベク、日本トシテハ歬述ノ

如ク移民受入國ノ欲セザル移民ヲ無理强ヒニ押付クルガ

如キ意圖毫モナク、又我移民ヲ差別待遇セントスル國ニ

ハ絕對ニ移民ノ意圖ナキ旨ヲ徹底セシメ置クコト肝要ナ

リ三、過般壽府ニ於テ發表サレタル荻島ノ日本移民ニ關スル論

文ハ我移民政策ヲ或程度具体的ニ說明セルモノナルカ伯

國ニ於テハ一大センセーションヲ惹起シ我移民政策ガ帝

國主義ノ手段ナルカノ如ク誤傳サレ我移民排斥ノ好材料

トシテ惡用サレタルニ鑑ミ本會議ニ於テ右論文ガ再ビ問

題トナルコトアル場合ハ我方トシテハ右論文ノ眞實性ヲ

否認スルコトハ却テ痛クナキ腹ヲ探ラレ一層疑惑ヲ增ス

虞アルニ付此ノ際潔ヨク之ガ事實ヲ認ムルト共ニ、資力

少ク土地慣習ニ慣レザル我移民ヲ保護指導スル爲メ帝國

政府ハ出來得ル限リノ財政的援助ヲナシ之ガ生活向上ヲ

計リ以テ移民受入國ノ迷惑負擔ニナラザル樣努力シツツ

アルモノニシテ他意アルニ非ズ從テ右ハ移民受入國ノ利

益ト合致スルモノト思考スル旨又移民受入國ニ於テ右ノ

如キ援助ヲ與フルニ於テハ喜ンデ之ヲ其ノ國ニ委スルノ

用意アル旨ヲ說明シ、我方ノ立場ヲ宣明スルコト

尙祕露移民ニ關シ質問アリタル場合右論文中ニ在祕露日

本移民總數ハ二萬二千ト計上セラレ居ルモ現在ノ移民實

數ハ一萬二千ニ過ギズ（其他ノ一萬ハ第二世ニシテ祕露

國籍ヲ取得シ居レリ）又祕露行日本移民ハ政府其ノ他ノ

中央𠘨關ノ補助ヲ受ケ居ラザルコトヲ訂正說明シ置クコ

ト四、壽府資源委員會ニ於ケル首籘商務官ノ演說ハ伯國ニ於テ

センセーションヲ惹起シタルニ付之ニ關スル質問アル場

合ハ本演說ハ中南米諸國ヲ全然除外シタル議論ナリシコ

トヲ說明シ适宜應答ノコト

五、伯國政府ハ外國銀行、會社員其ノ他商用ヲ以テ入國スル

外國人ニ對シテハ六箇月ヲ限リ滯在ヲ許可シ右期間經過

後ハ理由ノ如何ヲ問ハズ出國ヲ强要スルニ鑑ミ長期滯在

者ハ已ムヲ得ズ一般移民ト同樣ノ手續ニテ入國シ居ル處

元來斯ル入國希望者ヲ移民トシテ取扱フコト自體妥當ナ

B會議參加國

亞爾然丁、伯剌西爾、智利、烏爾奎、ベネズエラ、墺太利、

希臘、洪牙利、和蘭、瑞西、チェッコ、スロヴァキア、ユ

ーゴースラヴィア（客年九月現在）ニシテ右ノ外入移民國タ

ル南米諸國ノ參加ヲ特ニ要請スル趣ナリ

C期日　

本年二月二十八日ヨリ一周間ノ豫定

尙本件ニ關シ客年七月十七日勞働事務局ヨリ在壽府帝國事

務所ヲ通ジ帝國ノ參加方ヲ照會越シタル處本會議ハ移民送

出國タル我國ニトリ極メテ重大ナル關係ヲ有スルノミナラ

ズ本邦移民受入國トシテ重大關心ヲ有スル伯、亞其他ノ

「ラテン、アメリカ」諸國之ニ參加スルヲ以テ本會議ノ結

果ハ直ニ、我移民政策ニ影响ヲ及スベキニ鑑ミ政府ハ會議

參加ノ必要ヲ認メ此ノ旨在壽府帝國事務所ニ通ジ囘答セリ

就テハ本會議ニ對スル本邦側ノ態度ヲ決定シ置ク必要アル

處大体左ノ方針ニヨルコト适當ナリト思考セラル

一、現在「ラテン、アメリカ」諸國ハ一般ニ歐洲移民ハ之ヲ

歡迎シ居ルコト明カナルモ我移民ハ是等歐洲移民ノ補足

トシテ仕方ナク之ヲ受入レ居ルヤノ觀アリテ之ヲ歡迎シ

居ルモノト見ルハ疑問ナリ卽人種的偏見ハ北米ニ於ケル

ト同ジク存在シ又我移民ノ勤勉ナル活動トノ競爭ニ耐エ

ザル爲メノ排斥モアリテ我ガ移民ハ同化性ナシト唱ヘ又

最近ニ於テハ帝國主義、侵略主義ノ手段ナルカノ如クニ

宣傳排斥セラルル現狀ニ鑑ミ我方トシテハ會議ニ臨ムモ

成ル可ク消極的、控ヘ目ノ態度ニ出デ我方ヨリ進ンデ積

極的提案ヲナスガ如キコトヲセズ寧ロ第三國ヲシテ我方

ノ言ヒ度キコトヲ言ハシムル樣仕向クルコト

二、但シ我方移民政策ニ關シ誤リタル議論、攻擊等行ハルル

場合、從來帝國政府ニ於テ繰﨤シ宣明セル如ク「日本ハ

我ガ移民ヲ歡迎スル國ニハ之ヲ送出スルモ我ガ移民ヲ欲

セザル國ニハ之ヲ送出スルノ意ナシ」トノ態度ヲ示シ懇

切ニ我方ノ眞意ヲ說明シ、之ガ誤解ヲ是正シ以テ我立場

ヲ擁護シ我ニ不利ナル決議等ノ行ハレザル樣極力努力ス

ルコト

右ニ關シ伯國ニ於ケル排日家ハ日本ハ常ニ計畫的ニ出來

得ル限リ多數ノ移民ヲ渡伯セシメント目論ミ之ガ爲ニ二

分條項ノ廢止方ヲ運動スルト共ニ現行規定サヘ澘ルコト

ニ努力シツツアリト云フカ如キ趣旨ノ宣傳ヲ繼續シ居リ

一方一般民衆中ニモ日本ハ如何ニモ多數移民ヲ入國セシ

966

967

メタキ希望ヲ有シ居ルガ如キ印象ヲ抱ケル者尠カラザル

處右ハ現狀ニ於テモ事實ニ相違シ居ルノミナラズ最近東

亞ノ時局變轉ノ結果我方トシテ今後

方面ニ多數ノ移民

ヲ送出スルコト不可能トナルベク、日本トシテハ歬述ノ

如ク移民受入國ノ欲セザル移民ヲ無理强ヒニ押付クルガ

如キ意圖毫モナク、又我移民ヲ差別待遇セントスル國ニ

ハ絕對ニ移民ノ意圖ナキ旨ヲ徹底セシメ置クコト肝要ナ

リ三、過般壽府ニ於テ發表サレタル荻島ノ日本移民ニ關スル論

文ハ我移民政策ヲ或程度具体的ニ說明セルモノナルカ伯

國ニ於テハ一大センセーションヲ惹起シ我移民政策ガ帝

國主義ノ手段ナルカノ如ク誤傳サレ我移民排斥ノ好材料

トシテ惡用サレタルニ鑑ミ本會議ニ於テ右論文ガ再ビ問

題トナルコトアル場合ハ我方トシテハ右論文ノ眞實性ヲ

否認スルコトハ却テ痛クナキ腹ヲ探ラレ一層疑惑ヲ增ス

虞アルニ付此ノ際潔ヨク之ガ事實ヲ認ムルト共ニ、資力

少ク土地慣習ニ慣レザル我移民ヲ保護指導スル爲メ帝國

政府ハ出來得ル限リノ財政的援助ヲナシ之ガ生活向上ヲ

計リ以テ移民受入國ノ迷惑負擔ニナラザル樣努力シツツ

アルモノニシテ他意アルニ非ズ從テ右ハ移民受入國ノ利

益ト合致スルモノト思考スル旨又移民受入國ニ於テ右ノ

如キ援助ヲ與フルニ於テハ喜ンデ之ヲ其ノ國ニ委スルノ

用意アル旨ヲ說明シ、我方ノ立場ヲ宣明スルコト

尙祕露移民ニ關シ質問アリタル場合右論文中ニ在祕露日

本移民總數ハ二萬二千ト計上セラレ居ルモ現在ノ移民實

數ハ一萬二千ニ過ギズ（其他ノ一萬ハ第二世ニシテ祕露

國籍ヲ取得シ居レリ）又祕露行日本移民ハ政府其ノ他ノ

中央𠘨關ノ補助ヲ受ケ居ラザルコトヲ訂正說明シ置クコ

ト四、壽府資源委員會ニ於ケル首籘商務官ノ演說ハ伯國ニ於テ

センセーションヲ惹起シタルニ付之ニ關スル質問アル場

合ハ本演說ハ中南米諸國ヲ全然除外シタル議論ナリシコ

トヲ說明シ适宜應答ノコト

五、伯國政府ハ外國銀行、會社員其ノ他商用ヲ以テ入國スル

外國人ニ對シテハ六箇月ヲ限リ滯在ヲ許可シ右期間經過

後ハ理由ノ如何ヲ問ハズ出國ヲ强要スルニ鑑ミ長期滯在

者ハ已ムヲ得ズ一般移民ト同樣ノ手續ニテ入國シ居ル處

元來斯ル入國希望者ヲ移民トシテ取扱フコト自體妥當ナ

B會議參加國

亞爾然丁、伯剌西爾、智利、烏爾奎、ベネズエラ、墺太利、

希臘、洪牙利、和蘭、瑞西、チェッコ、スロヴァキア、ユ

ーゴースラヴィア（客年九月現在）ニシテ右ノ外入移民國タ

ル南米諸國ノ參加ヲ特ニ要請スル趣ナリ

C期日　

本年二月二十八日ヨリ一周間ノ豫定

尙本件ニ關シ客年七月十七日勞働事務局ヨリ在壽府帝國事

務所ヲ通ジ帝國ノ參加方ヲ照會越シタル處本會議ハ移民送

出國タル我國ニトリ極メテ重大ナル關係ヲ有スルノミナラ

ズ本邦移民受入國トシテ重大關心ヲ有スル伯、亞其他ノ

「ラテン、アメリカ」諸國之ニ參加スルヲ以テ本會議ノ結

果ハ直ニ、我移民政策ニ影响ヲ及スベキニ鑑ミ政府ハ會議

參加ノ必要ヲ認メ此ノ旨在壽府帝國事務所ニ通ジ囘答セリ

就テハ本會議ニ對スル本邦側ノ態度ヲ決定シ置ク必要アル

處大体左ノ方針ニヨルコト适當ナリト思考セラル

一、現在「ラテン、アメリカ」諸國ハ一般ニ歐洲移民ハ之ヲ

歡迎シ居ルコト明カナルモ我移民ハ是等歐洲移民ノ補足

トシテ仕方ナク之ヲ受入レ居ルヤノ觀アリテ之ヲ歡迎シ

居ルモノト見ルハ疑問ナリ卽人種的偏見ハ北米ニ於ケル

ト同ジク存在シ又我移民ノ勤勉ナル活動トノ競爭ニ耐エ

ザル爲メノ排斥モアリテ我ガ移民ハ同化性ナシト唱ヘ又

最近ニ於テハ帝國主義、侵略主義ノ手段ナルカノ如クニ

宣傳排斥セラルル現狀ニ鑑ミ我方トシテハ會議ニ臨ムモ

成ル可ク消極的、控ヘ目ノ態度ニ出デ我方ヨリ進ンデ積

極的提案ヲナスガ如キコトヲセズ寧ロ第三國ヲシテ我方

ノ言ヒ度キコトヲ言ハシムル樣仕向クルコト

二、但シ我方移民政策ニ關シ誤リタル議論、攻擊等行ハルル

場合、從來帝國政府ニ於テ繰﨤シ宣明セル如ク「日本ハ

我ガ移民ヲ歡迎スル國ニハ之ヲ送出スルモ我ガ移民ヲ欲

セザル國ニハ之ヲ送出スルノ意ナシ」トノ態度ヲ示シ懇

切ニ我方ノ眞意ヲ說明シ、之ガ誤解ヲ是正シ以テ我立場

ヲ擁護シ我ニ不利ナル決議等ノ行ハレザル樣極力努力ス

ルコト

右ニ關シ伯國ニ於ケル排日家ハ日本ハ常ニ計畫的ニ出來

得ル限リ多數ノ移民ヲ渡伯セシメント目論ミ之ガ爲ニ二

分條項ノ廢止方ヲ運動スルト共ニ現行規定サヘ澘ルコト

ニ努力シツツアリト云フカ如キ趣旨ノ宣傳ヲ繼續シ居リ

一方一般民衆中ニモ日本ハ如何ニモ多數移民ヲ入國セシ

968

969

㈢移民奬勵保護ヲ目的トスル𠘨關ノ設定及擴張

㈣

土地開墾、生產及販賣組

、移民ノ定着國ノ負擔ニ依ル

經費等ニ關スル計畫ノ作成竝ニ右ニ關スル移出入民國相

互ノ協力

㈤

無償ノ移民募集選擇

業指導、移民ニ對スル關稅旅券手

數料ノ免除、植民𠘨關ニ對スル不動產賣買ニ關スル租稅

又ハ手數料ノ免除輕減

㈥

移民ニ對スル移住費ノ免除、土地開墾費ノ援助、公有地

及農具ノ無料又ハ低廉ナル交付

㈦

移民出發歬ノ財產處分ノ援助、植民𠘨關ニ對スル資金貸

付、債券發行保障其ノ他ノ金融的援助

㈧右ニ關スル關係國政府ノ協力

㈨

第三國資金ニ依ル海運又ハ鐵衜ニ依ル植民事業ノ發展援

助、第三國ノ金融𠘨關ニ依ル植民𠘨關ノ移民ニ對シ有ス

ル牴（抵ヵ）當

貸付金ノ肩代リ其ノ他植民ニ關スル第三國ノ財政

的援助

㈩

移民ノ所有財產ノ移轉ヲ容易ナラシムル爲ノ關係國ノ協

力�右ニ關スル第三國ノ援助

�

關係國ノ協定ニ依ル技術的及財政的協力ノ爲ノ技術的委

員會ノ設置

�右ニ關シ第三國ノ資本利用ノ爲ノ國際𠘨關ノ利用

�

國際勞働局ハ情報交換ノ中心トナリ技術的計畫ノ樹立ニ

參加シ本問題ノ硏究ヲ續行スルコト、之ニ付通信委員會

其ノ他專門家ノ協力ヲ求ムルコト

〰

⌇

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779　

昭和13年3月7日　在ジュネーブ宇佐美国際会議事務局長

代理兼総領事より　　　　　　　　

広田外務大臣宛（電報）　　　　　　

移民問題専門家会議の終了について

ジュネーブ　

3月7日後発

本　　　

省　

3月8日前着

第四六號

徃電第四三號ニ關シ

北岡所長ヨリ

移民會議本日終了、徃電第一四號ノ事務局提案ニ多少ノ字

句修正ヲ加ヘタル事項ヲ希望事項トシテ寀擇シタリ但シ歬

電ノ中第九、第十一、第十三ニ付テハ硏究ヲ續行スルコト

トナレリ

ラザルノミナラズ之ガ爲其ノ入國頗ル困難トナリ兩國間

通商發展乃至ハ文化接近ニ迄累ヲ及ボス惧多シ依テ适當

𠘨會ニ於テ別箇ノ問題トシテ元來移民ノ規律ヲ目的トス

ル法規ヲ常

上移民ト認メラレザル者ニ迄适用スルハ妥

當ナラザルノミナラズ又國際交通上種々不便ヲ招來スル

次第ヲ指

シ各國ノ註意ヲ喚起シ事態改善ニ導ク樣致度

シ六、移民ノ入國及滯在ヲ統制スル爲各國ニ於テ各種措置ヲ執

ルハ當然ナルモ伯國ノ如キハ此ノ種法令頗ル煩雜ニシテ

實情ニ适セザルモノ多ク本邦移民入國ニ際シテモ之ガ手

續ノ爲常ニ種々面倒ヲ惹起シ居レルガ此ノ點モ𠘨會アラ

バ一般問題トシテ註意ヲ喚起シ移民送出國トノ地理的距

離等ヲモ考慮シ無用ナル困難ヲ避ケシムル樣導キ得レバ

幸ナリ

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778　

移民問題専門家会議の討議状況につき報告

ジュネーブ　

3月4日前発

本　　　

省　

3月4日夜着

第四三號

⑴北岡所長發勞働局長宛電信御參考迄左ノ通リ

尙伯剌西爾大使ヘハ同所長ヨリ轉電濟

移民會議二月二十八日ヨリ開催參加國ハ希臘ヲ除ク旣報ノ

諸國ノ外「コロンビア」、祕露、「エクアドル」及「ドミニ

カ」合計十（十七ヵ）

八國先ツ一般討議ニ入リ各國夫々自國ノ一般方

針ヲ述ヘ本官ハ訓令ノ趣旨ニ從ヒ我國ノ移民ニ關スル一般

的方策ヲ述ヘタリ（內容ニ付テハ同盟通信參照）昨日ヨリ事

務局提案ノ項目ニ從ヒ各論討議ニ入リタルカ本會議ハ專門

家ノ技術會議ニシテ關係國政府ヲ直接ニ拘束スルモノニア

ラス又政治問題ノ討議ヲ除外シ居レリ事務局提案事項ハ大

體左ノ如ク廣汎的ニシテ移民保護奬勵ノ爲望マシト思考セ

ラルル一切ノ事項ヲ網羅シタルヤノ觀アリ恐ラク多少ノ修

正ノ上寀擇セラルヘキモ單ニ主義方針又ハ希望ニ止マリ本

會議ニ依リ直ニ具體的取極ニ逹スヘシトハ考ヘラレス

⑵㈠移民ノ發展ニ必要ナル諸般ノ情報交換

㈡移民ニ對スル一切ノ情報ノ無料供給

968

969

㈢移民奬勵保護ヲ目的トスル𠘨關ノ設定及擴張

㈣土地開墾、生產及販賣組

、移民ノ定着國ノ負擔ニ依ル

經費等ニ關スル計畫ノ作成竝ニ右ニ關スル移出入民國相

互ノ協力

㈤

無償ノ移民募集選擇

業指導、移民ニ對スル關稅旅券手

數料ノ免除、植民𠘨關ニ對スル不動產賣買ニ關スル租稅

又ハ手數料ノ免除輕減

㈥

移民ニ對スル移住費ノ免除、土地開墾費ノ援助、公有地

及農具ノ無料又ハ低廉ナル交付

㈦

移民出發歬ノ財產處分ノ援助、植民𠘨關ニ對スル資金貸

付、債券發行保障其ノ他ノ金融的援助

㈧右ニ關スル關係國政府ノ協力

㈨

第三國資金ニ依ル海運又ハ鐵衜ニ依ル植民事業ノ發展援

助、第三國ノ金融𠘨關ニ依ル植民𠘨關ノ移民ニ對シ有ス

ル牴（抵ヵ）當

貸付金ノ肩代リ其ノ他植民ニ關スル第三國ノ財政

的援助

㈩

移民ノ所有財產ノ移轉ヲ容易ナラシムル爲ノ關係國ノ協

力�右ニ關スル第三國ノ援助

�

關係國ノ協定ニ依ル技術的及財政的協力ノ爲ノ技術的委

員會ノ設置

�右ニ關シ第三國ノ資本利用ノ爲ノ國際𠘨關ノ利用

�

國際勞働局ハ情報交換ノ中心トナリ技術的計畫ノ樹立ニ

參加シ本問題ノ硏究ヲ續行スルコト、之ニ付通信委員會

其ノ他專門家ノ協力ヲ求ムルコト

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779　

移民問題専門家会議の終了について

ジュネーブ　

3月7日後発

本　　　

省　

3月8日前着

第四六號

徃電第四三號ニ關シ

北岡所長ヨリ

移民會議本日終了、徃電第一四號ノ事務局提案ニ多少ノ字

句修正ヲ加ヘタル事項ヲ希望事項トシテ寀擇シタリ但シ歬

電ノ中第九、第十一、第十三ニ付テハ硏究ヲ續行スルコト

トナレリ

ラザルノミナラズ之ガ爲其ノ入國頗ル困難トナリ兩國間

通商發展乃至ハ文化接近ニ迄累ヲ及ボス惧多シ依テ适當

𠘨會ニ於テ別箇ノ問題トシテ元來移民ノ規律ヲ目的トス

ル法規ヲ常

上移民ト認メラレザル者ニ迄适用スルハ妥

當ナラザルノミナラズ又國際交通上種々不便ヲ招來スル

次第ヲ指

シ各國ノ註意ヲ喚起シ事態改善ニ導ク樣致度

シ六、移民ノ入國及滯在ヲ統制スル爲各國ニ於テ各種措置ヲ執

ルハ當然ナルモ伯國ノ如キハ此ノ種法令頗ル煩雜ニシテ

實情ニ适セザルモノ多ク本邦移民入國ニ際シテモ之ガ手

續ノ爲常ニ種々面倒ヲ惹起シ居レルガ此ノ點モ𠘨會アラ

バ一般問題トシテ註意ヲ喚起シ移民送出國トノ地理的距

離等ヲモ考慮シ無用ナル困難ヲ避ケシムル樣導キ得レバ

幸ナリ

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778　

移民問題専門家会議の討議状況につき報告

ジュネーブ　

3月4日前発

本　　　

省　

3月4日夜着

第四三號

⑴北岡所長發勞働局長宛電信御參考迄左ノ通リ

尙伯剌西爾大使ヘハ同所長ヨリ轉電濟

移民會議二月二十八日ヨリ開催參加國ハ希臘ヲ除ク旣報ノ

諸國ノ外「コロンビア」、祕露、「エクアドル」及「ドミニ

カ」合計十（十七ヵ）

八國先ツ一般討議ニ入リ各國夫々自國ノ一般方

針ヲ述ヘ本官ハ訓令ノ趣旨ニ從ヒ我國ノ移民ニ關スル一般

的方策ヲ述ヘタリ（內容ニ付テハ同盟通信參照）昨日ヨリ事

務局提案ノ項目ニ從ヒ各論討議ニ入リタルカ本會議ハ專門

家ノ技術會議ニシテ關係國政府ヲ直接ニ拘束スルモノニア

ラス又政治問題ノ討議ヲ除外シ居レリ事務局提案事項ハ大

體左ノ如ク廣汎的ニシテ移民保護奬勵ノ爲望マシト思考セ

ラルル一切ノ事項ヲ網羅シタルヤノ觀アリ恐ラク多少ノ修

正ノ上寀擇セラルヘキモ單ニ主義方針又ハ希望ニ止マリ本

會議ニ依リ直ニ具體的取極ニ逹スヘシトハ考ヘラレス

⑵㈠移民ノ發展ニ必要ナル諸般ノ情報交換

㈡移民ニ對スル一切ノ情報ノ無料供給

970

971

本件會議本邦側委員ニ對スル訓令ハ德川公𣝣ニ充分申聞ケ

傳逹方依賴シ又同時ニ委細ハ五月二十一日附徃信條二𠘨密

第八六號ニ依リ申進メ置キタルガ貴電ノ次第モアリ爲念右

訓令要旨左ノ通電報ス委細ハ公𣝣及歬記徃信ニ付御承知ノ

上本邦側委員ヲ可然御指導相成タシ

一、第十六囘國際赤十字會議ニ於ケル各種提案ニ付テハ左記

ニ從ヒ我方主張ノ貫徹ヲ期スヘク其他ノ事項ニ付テハ努

メテ急激ナル變化ヲ避ケ我方ノ利益ト爲ル樣措置スヘク

事柄ノ特ニ重要ナルモノニ付テハ請訓ヲ爲スヘシ

二、今囘會議ニ提出ノ意見ハ槪ネ細密繁（煩瑣ヵ）

鎻ニ過ギ今日ノ國際

ノ實情ニ卽セザル嫌アルヲ以テ現行條約ノ範圍內ニテ我

方ノ自由措置ヲ認メシムル樣努力スベシ

三、日支事變ニ關スル論議ハ本會議ノ性質ニ鑑ミ之ヲ避クル

コト适當ナリト思考セラルルニ依リ會議ニ於テ右ヲ議題

トセザル樣措置セラルベク尤モ萬一支那代表等カ本件ニ

言及シタル場合ニハ旣送ノ資料（德川公𣝣携行）ニ依リ我

方ノ公正ナル態度ヲ闡明スベシ

四、尙個々ノ問題ニ關シテハ獨伊ノ委員ト連絡シ我方主張ノ

貫徹ニ資スベシ

記

一、專門委員會寀擇「ジュネーヴ」條約改正草案ニ關シテハ

當方トシテ特ニ異議ナシ

二、「ジェネヴァ」條約ノ原則ヲ海戰ニ應用スル條約改正草

案ニ關スル當方意見ハ井上調査部長携行書類ノ通

三、赤十字條約第三十條ノ擴張ノ問題ハ帝國側トシテハ同條

約規定ノ手續ヲ以テ充分ナリト思考シ居リ特ニ之ガ變更

ノ必要ヲ認メ居ラズ

四、衞生都市又ハ中立地帶設置ノ件及傷者病者タル非軍人ニ

對シ本條約ノ保護ヲ擴張セントスルノ件ニ付テハ尙硏究

ノ要アリト認ム

獨伊ヘ諳送アリタシ

（付　記）

本　

省　

5月3日後5時発

第一四七號

客年九月七日附普通第四九四號貴信ニ關シ今般左記ノ通本

件會議ノ本邦側委員決定シタルニ付右英國政府側ヘ傳逹方

可然御取計相成度

尙勞働理事會ニ對シ移民問題ニ對スル協力ヲ諮リ硏究ヲ續

行スル爲關係各國ト協議ノ上參加ヲ希望スル國ノ代表ヨリ

成ル常設移民委員會ヲ設立スルノ希望ヲ決議シタリ

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780　

昭和13年5月27日　宇垣外務大臣より　　　

在伊国堀田大使宛（電報）

第十六回赤十字国際会議では日中戦争が議題

に上らぬよう伊国側へ協力依頼方訓令

本　

省　

5月27日後7時発

第一六二號

先般伊國參事官條約局長ヲ來訪シ本國政府ノ訓令ニ依ル趣

ヲ以テ六月二十日倫敦ニ於テ開催ノ第十六囘赤十字國際會

議ニ於ケル諸議題ニ對スル帝國側意嚮承知致シ度キ旨申入

アリ依テ當方ヨリ同參事官ニ對シ歬記議題ニ對スル當方大

体ノ意嚮ヲ說明スルト共ニ今次會議ニ於テハ日支事變中ノ

コトニモアリ或ハ同事變ニ關スル論議アルヤモ計ラレサル

モ右ハ本會議ノ性質ニ鑑ミ之ヲ避クルコト适當ナリト思考

セラルルニ依リ同會議ニ於テ之ヲ議題トセサル樣本邦側委

員ヲシテ措置セシムル意嚮ナル處右ニ付伊國側ノ援助ヲ得

度キコト又今次會議ニ於ケル議題中ニハ重要ナルモノ尠カ

ラサルニ依リ個々ノ問題ニ關シテハ伊國委員ト連絡シ相互

ニ出來得ル限リ其ノ主張ノ貫徹ニ資スヘキ旨訓令シ置キタ

ルニ付伊國政府ニ於テモ同樣ノ趣旨ヲ同國委員ニ訓令方取

計アリ度キ旨本國政府ニ傳逹方依賴シ置ケリ

以上御含ミノ上右趣旨ヲ先方ニ适宜御申入置相成度

英ニ轉電アリタシ

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781　

在英国吉田大使宛（電報）

第十六回赤十字国際会議に対する訓令要旨に

つき通報

付　記

昭和十三年五月三日発広田外務大臣より在英

国吉田大使宛電報第一四七号

右会議へのわが方参加委員を英国政府へ通報

方訓令

本　

省　

6月7日後0時発

第二〇二號

貴電第三九五號ニ關シ

970

971

本件會議本邦側委員ニ對スル訓令ハ德川公𣝣ニ充分申聞ケ

傳逹方依賴シ又同時ニ委細ハ五月二十一日附徃信條二𠘨密

第八六號ニ依リ申進メ置キタルガ貴電ノ次第モアリ爲念右

訓令要旨左ノ通電報ス委細ハ公𣝣及歬記徃信ニ付御承知ノ

上本邦側委員ヲ可然御指導相成タシ

一、第十六囘國際赤十字會議ニ於ケル各種提案ニ付テハ左記

ニ從ヒ我方主張ノ貫徹ヲ期スヘク其他ノ事項ニ付テハ努

メテ急激ナル變化ヲ避ケ我方ノ利益ト爲ル樣措置スヘク

事柄ノ特ニ重要ナルモノニ付テハ請訓ヲ爲スヘシ

二、今囘會議ニ提出ノ意見ハ槪ネ細密繁（煩瑣ヵ）

鎻ニ過ギ今日ノ國際

ノ實情ニ卽セザル嫌アルヲ以テ現行條約ノ範圍內ニテ我

方ノ自由措置ヲ認メシムル樣努力スベシ

三、日支事變ニ關スル論議ハ本會議ノ性質ニ鑑ミ之ヲ避クル

コト适當ナリト思考セラルルニ依リ會議ニ於テ右ヲ議題

トセザル樣措置セラルベク尤モ萬一支那代表等カ本件ニ

言及シタル場合ニハ旣送ノ資料（德川公𣝣携行）ニ依リ我

方ノ公正ナル態度ヲ闡明スベシ

四、尙個々ノ問題ニ關シテハ獨伊ノ委員ト連絡シ我方主張ノ

貫徹ニ資スベシ

記

一、專門委員會寀擇「ジュネーヴ」條約改正草案ニ關シテハ

當方トシテ特ニ異議ナシ

二、「ジェネヴァ」條約ノ原則ヲ海戰ニ應用スル條約改正草

案ニ關スル當方意見ハ井上調査部長携行書類ノ通

三、赤十字條約第三十條ノ擴張ノ問題ハ帝國側トシテハ同條

約規定ノ手續ヲ以テ充分ナリト思考シ居リ特ニ之ガ變更

ノ必要ヲ認メ居ラズ

四、衞生都市又ハ中立地帶設置ノ件及傷者病者タル非軍人ニ

對シ本條約ノ保護ヲ擴張セントスルノ件ニ付テハ尙硏究

ノ要アリト認ム

獨伊ヘ諳送アリタシ

（付　記）

本　

省　

5月3日後5時発

第一四七號

客年九月七日附普通第四九四號貴信ニ關シ今般左記ノ通本

件會議ノ本邦側委員決定シタルニ付右英國政府側ヘ傳逹方

可然御取計相成度

尙勞働理事會ニ對シ移民問題ニ對スル協力ヲ諮リ硏究ヲ續

行スル爲關係各國ト協議ノ上參加ヲ希望スル國ノ代表ヨリ

成ル常設移民委員會ヲ設立スルノ希望ヲ決議シタリ

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780　

在伊国堀田大使宛（電報）

第十六回赤十字国際会議では日中戦争が議題

に上らぬよう伊国側へ協力依頼方訓令

本　

省　

5月27日後7時発

第一六二號

先般伊國參事官條約局長ヲ來訪シ本國政府ノ訓令ニ依ル趣

ヲ以テ六月二十日倫敦ニ於テ開催ノ第十六囘赤十字國際會

議ニ於ケル諸議題ニ對スル帝國側意嚮承知致シ度キ旨申入

アリ依テ當方ヨリ同參事官ニ對シ歬記議題ニ對スル當方大

体ノ意嚮ヲ說明スルト共ニ今次會議ニ於テハ日支事變中ノ

コトニモアリ或ハ同事變ニ關スル論議アルヤモ計ラレサル

モ右ハ本會議ノ性質ニ鑑ミ之ヲ避クルコト适當ナリト思考

セラルルニ依リ同會議ニ於テ之ヲ議題トセサル樣本邦側委

員ヲシテ措置セシムル意嚮ナル處右ニ付伊國側ノ援助ヲ得

度キコト又今次會議ニ於ケル議題中ニハ重要ナルモノ尠カ

ラサルニ依リ個々ノ問題ニ關シテハ伊國委員ト連絡シ相互

ニ出來得ル限リ其ノ主張ノ貫徹ニ資スヘキ旨訓令シ置キタ

ルニ付伊國政府ニ於テモ同樣ノ趣旨ヲ同國委員ニ訓令方取

計アリ度キ旨本國政府ニ傳逹方依賴シ置ケリ

以上御含ミノ上右趣旨ヲ先方ニ适宜御申入置相成度

英ニ轉電アリタシ

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781　

在英国吉田大使宛（電報）

第十六回赤十字国際会議に対する訓令要旨に

つき通報

付　記

昭和十三年五月三日発広田外務大臣より在英

国吉田大使宛電報第一四七号

右会議へのわが方参加委員を英国政府へ通報

方訓令

本　

省　

6月7日後0時発

第二〇二號

貴電第三九五號ニ關シ

972

973

783　

昭和15年10月23日　松岡外務大臣より

在本邦クレーギー英国大使、在本邦グ

ルー米国大使、在本邦スメターニンソ

連邦大使宛　　　　　　　　　　　

オットセイ保護条約に対するわが方廃棄通告

付記一

昭和十五年十月二十三日

右廃棄に関するオーラル・ステートメント

　　二

昭和十六年三月十七日付在本邦グルー米国大

使より近衛臨時外務大臣事務管理宛公信

右廃棄通告撤回に関する米国政府要請

條三𠘨密合第一八號

以書翰諬上致候陳者本大臣ハ帝國政府カ千九百十一年七月

七日「ワシントン」ニ於テ署名セラレタル膃肭獸保護條約

第十六條ノ規定ニ依リ同條約ヲ廢棄スルコトヲ玆ニ閣下ニ

通報スルノ光榮ヲ有シ候

尤モ北太平洋ニ於ケル膃肭獸ノ合理的基礎ノ上ニ於ケル保

存又ハ保護ハ依然帝國政府ノ關心ヲ有スルトコロニシテ帝

國政府ハ之カ爲別紙ノ原則ヲ基礎トシテ新ニ協定ヲ締結ス

ルノ用意アル旨附言致候

右申進旁本大臣ハ玆ニ重テ閣下ニ向テ敬意ヲ表シ候

敬　

具　

外務大臣　

松岡　

洋右　

大不列顚國特命全權大使

「ゼ、ライト、オノラブル、サー、ロバート、クレイ

ギー」閣下（以下宛先省略）

（別　

紙）

一、海上獵獲ヲ認ムルコト但シ獵業取締上ノ紛議ヲ避クル爲

獵場ニ關シ适當ナル協定ヲナスヲ妨ゲズ

二、陸上獵獲ニ付テハ各國ノ自主的立場ニ應ジ夫々适當ナル

措置ヲ講ズルコト

三、北太平洋ニ於ケル膃肭獸ノ總數ハ八十五萬頭ヲ以テ標準

トスルコト

四、獵殺セル膃肭獸ハ締約國間ニ分配セザルコト

五、膃肭獸蕃殖地及集合地ニ於ケル獸數、獵獲見込數及獵獲

實數ヲ适時ニ締約國相互間ニ通報スルコト

六、締約國ノ何レカ一國ガ膃肭獸群ノ狀況、協定實施ノ成績

其ノ他協定ニ關係アル事項ニ付調査又ハ審議センコトヲ

一、本邦政府側委員

在英大使館一等書記官　　　

武籘　

義雄

獨逸駐在陸軍軍醫大尉　　　

羽ハニウダ生田　

潔キヨシ

在英大使館附武官海軍大佐　

矢野　

英ヒデ雄ヲ

獨逸駐在海軍軍醫少佐　　　

籘フヂ木キ　

愿スナヲ

一、日本赤十字社委員

日本赤十字社々長　　

公𣝣　

德川　

家逹

同　　　　

社理事　　　　　

有吉　

忠一

歬特命全權大使　　　　　　

德川　

家正

日本赤十字社在外委員　　　

山ヤマノウチ內　

四郞

同　　　　

社調査部長　　　

井上　

圓エン治ヂ

尙歬記政府側委員ハ同時ニ日本赤十字社委員ヲ兼ヌルモノ

ナリ爲念

〰

⌇

〰〰

⌇〰〰

⌇

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⌇

〰〰

⌇

〰〰

782　

昭和13年6月25日　在英国吉田大使より　

宇垣外務大臣宛（電報）

第十六回赤十字国際会議の経過につき報告

ロンドン　

6月25日後発

本　　

省　

6月25日夜着

第五一二號

赤十字會議ハ二十日「グロスター」公殿下御司會ノ下ニ

「セントジエームス」宮殿ニ開會セラレ殿下ノ御令旨アリ

タル後「ノルマン、デイビス」（米代表）ハ近代戰ノ破壞的

ニシテ無防備都市空爆ノ恐ルヘキコトヲ述ヘ非戰鬪員就中

婦人兒童保護ノ必要ヲ力說シ次テ有吉代表其ノ他各國代表

ノ演說アリ議長ハ德川公𣝣ノ參加不可能ヲ特ニ遺憾トスル

旨ヲ聲明セリ二十一日ヨリ二十三日迄ハ委員會ノ議事ヲ行

ヒタルカ照憲皇太后御下賜基金ニ關スル報吿ハ我皇室ノ御

仁慈ヲ宣揚シ其ノ他各種ノ決議ハ特ニ我方ニ取リ不都合ト

認ムヘキモノナク又日支事變ニ關スル論議ハ我方ノ事歬工

作ニ依リ議題トナラス唯議長「サー、アーサー、スタンレ

イ」（英代表）ハ開會當日ニ於テ政治問題ハ赤十字會議ノ範

圍外ナル旨宣言セルヲ以テ支那代表モ手ノ出シ樣ナキニ至

レリ唯近代戰ノ慘禍ニ對シ人衜的見地ヨリ何等カノ措置ヲ

講セサルヘカラストノ議論ハ會期中種々ノ𠘨會ニ各國代表

ヨリ持出サレ右ニ關聯シ衞生都市設置案ニ關スル決議ノ外

中立地帶竝ニ非戰鬪員婦人兒童ノ保護ニ關スル決議等行ハ

レ會議ハ二十四日無事終了セリ

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972

973

783　

昭和15年10月23日　松岡外務大臣より

在本邦クレーギー英国大使、在本邦グ

ルー米国大使、在本邦スメターニンソ

連邦大使宛　　　　　　　　　　　

オットセイ保護条約に対するわが方廃棄通告

付記一昭和十五年十月二十三日

右廃棄に関するオーラル・ステートメント

　　二

昭和十六年三月十七日付在本邦グルー米国大

使より近衛臨時外務大臣事務管理宛公信

右廃棄通告撤回に関する米国政府要請

條三𠘨密合第一八號

以書翰諬上致候陳者本大臣ハ帝國政府カ千九百十一年七月

七日「ワシントン」ニ於テ署名セラレタル膃肭獸保護條約

第十六條ノ規定ニ依リ同條約ヲ廢棄スルコトヲ玆ニ閣下ニ

通報スルノ光榮ヲ有シ候

尤モ北太平洋ニ於ケル膃肭獸ノ合理的基礎ノ上ニ於ケル保

存又ハ保護ハ依然帝國政府ノ關心ヲ有スルトコロニシテ帝

國政府ハ之カ爲別紙ノ原則ヲ基礎トシテ新ニ協定ヲ締結ス

ルノ用意アル旨附言致候

右申進旁本大臣ハ玆ニ重テ閣下ニ向テ敬意ヲ表シ候

敬　

具　

外務大臣　

松岡　

洋右　

大不列顚國特命全權大使

「ゼ、ライト、オノラブル、サー、ロバート、クレイ

ギー」閣下（以下宛先省略）

（別　

紙）

一、海上獵獲ヲ認ムルコト但シ獵業取締上ノ紛議ヲ避クル爲

獵場ニ關シ适當ナル協定ヲナスヲ妨ゲズ

二、陸上獵獲ニ付テハ各國ノ自主的立場ニ應ジ夫々适當ナル

措置ヲ講ズルコト

三、北太平洋ニ於ケル膃肭獸ノ總數ハ八十五萬頭ヲ以テ標準

トスルコト

四、獵殺セル膃肭獸ハ締約國間ニ分配セザルコト

五、膃肭獸蕃殖地及集合地ニ於ケル獸數、獵獲見込數及獵獲

實數ヲ适時ニ締約國相互間ニ通報スルコト

六、締約國ノ何レカ一國ガ膃肭獸群ノ狀況、協定實施ノ成績

其ノ他協定ニ關係アル事項ニ付調査又ハ審議センコトヲ

一、本邦政府側委員

在英大使館一等書記官　　　

武籘　

義雄

獨逸駐在陸軍軍醫大尉　　　

羽ハニウダ生田　

潔キヨシ

在英大使館附武官海軍大佐　

矢野　

英ヒデ雄ヲ

獨逸駐在海軍軍醫少佐　　　

籘フヂ木キ　

愿スナヲ

一、日本赤十字社委員

日本赤十字社々長　　

公𣝣　

德川　

家逹

同　　　　

社理事　　　　　

有吉　

忠一

歬特命全權大使　　　　　　

德川　

家正

日本赤十字社在外委員　　　

山ヤマノウチ內　

四郞

同　　　　

社調査部長　　　

井上　

圓エン治ヂ

尙歬記政府側委員ハ同時ニ日本赤十字社委員ヲ兼ヌルモノ

ナリ爲念

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782　

昭和13年6月25日　在英国吉田大使より　

宇垣外務大臣宛（電報）

第十六回赤十字国際会議の経過につき報告

ロンドン　

6月25日後発

本　　

省　

6月25日夜着

第五一二號

赤十字會議ハ二十日「グロスター」公殿下御司會ノ下ニ

「セントジエームス」宮殿ニ開會セラレ殿下ノ御令旨アリ

タル後「ノルマン、デイビス」（米代表）ハ近代戰ノ破壞的

ニシテ無防備都市空爆ノ恐ルヘキコトヲ述ヘ非戰鬪員就中

婦人兒童保護ノ必要ヲ力說シ次テ有吉代表其ノ他各國代表

ノ演說アリ議長ハ德川公𣝣ノ參加不可能ヲ特ニ遺憾トスル

旨ヲ聲明セリ二十一日ヨリ二十三日迄ハ委員會ノ議事ヲ行

ヒタルカ照憲皇太后御下賜基金ニ關スル報吿ハ我皇室ノ御

仁慈ヲ宣揚シ其ノ他各種ノ決議ハ特ニ我方ニ取リ不都合ト

認ムヘキモノナク又日支事變ニ關スル論議ハ我方ノ事歬工

作ニ依リ議題トナラス唯議長「サー、アーサー、スタンレ

イ」（英代表）ハ開會當日ニ於テ政治問題ハ赤十字會議ノ範

圍外ナル旨宣言セルヲ以テ支那代表モ手ノ出シ樣ナキニ至

レリ唯近代戰ノ慘禍ニ對シ人衜的見地ヨリ何等カノ措置ヲ

講セサルヘカラストノ議論ハ會期中種々ノ𠘨會ニ各國代表

ヨリ持出サレ右ニ關聯シ衞生都市設置案ニ關スル決議ノ外

中立地帶竝ニ非戰鬪員婦人兒童ノ保護ニ關スル決議等行ハ

レ會議ハ二十四日無事終了セリ

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974

975

以書翰諬上致候陳者本使ハ客年十二月二日附條三𠘨密第一

八六號貴外務大臣閣下ノ書翰及日本帝國政府ニ依ル一九一

一年ノ膃肭獸條約ノ廢棄竝ニ日本政府ニ依リ提案セラレタ

ル新原則ニ基キ新協定ヲ協議センカ爲條約締約國ノ會議ヲ

開催スヘシトスル日本政府ノ提案ニ關スル歬書翰ヲ引用ス

ルノ光榮ヲ有シ候

合衆國政府主管官廳ハ一九一一年締結ノ膃肭獸條約ヲ廢棄

スヘキ日本政府ノ通吿ニ關シ外務大臣ヨリ大使館ニ宛テラ

レタル書翰中ニ明カニセラレタル日本政府ノ見解ヲ愼重ニ

考慮セルトコロ本件ニ關スル本邦政府ノ一般的見解竝ニ其

結論及示唆ヲ玆ニ日本政府ノ考慮ノ爲披瀝スルモノニ有之

候一九四〇年十月廿三日外務次官カ米國大使ニ爲シタル陳述

ノ內容ニ據レハ日本政府ノ膃肭獸條約廢棄ノ希望ハ北太平

洋ニ於ケル膃肭獸群ノ頭數カ甚タシク增加シ其ノ結果漁業

ニ對シ直接、間接甚大ナル損害ヲ與ヘ且同條約ハ漁業ニ對

スル被害ヲ全然考慮ノ外ニ置キ居ルトノ根據ニ基クモノト

了解セラレ候一九四〇年十月廿三日附外務省ノ覺書ニ依リ

我國政府ハ日本政府カ膃肭獸條約ノ廢棄ヲ通吿スルト共ニ

「北太平洋ニ於ケル膃肭獸ノ合理的基礎ノ上ニ於ケル保存

又ハ保護ニハ依然トシテ關心ヲ有シ」且日本政府ノ說明シ

タル「原則ヲ基礎トシテ新ニ協定ヲ締結スル用意アルコト」

ヲ諒承致候。

外務省ハ就中一九四〇年十（十二ヵ）月

二日附大使館宛覺書ヲ以テ

「先ニ提出シタル協定ノ新原則ヲ基礎トシテ討議スルコト

ニ付各締約國ノ意見ノ一致ヲ見タルトキ」ハ新膃肭獸條約

締結ノ會議開催ノ運ビニ至ルヘキコトヲ表示セラレ候。

日本政府ガ膃肭獸ノ保護及保存ノ存續ヲ希望セラルルコト

ヲ了承スルハ欣快ニ有之候。

我國政府トシテハ北太平洋ニ於ケル膃肭獸群ニ關シ保存協

定ヲ維持スルノ極メテ重要ナルコトヲ認メ又同條約カ一九

一一年ニ於ケル其締結歬ニ行ハレ居タル浪費多クシテ不經

濟且非人衜的ナル慣行ヲ排除スルニ效果アリタル事ニ於テ

現存條約カ保存ノ方面ニ於テ及ホシタル好影响ノ顯著ナル

ヲ認メ居候

我國政府ハ日本政府ノ提案ヲ愼重ニ檢討セル處日本政府ノ

廢棄通吿ニ附屬セル覺書中、第一及第三ノ原則ニ付キ新ニ

膃肭獸條約締結ノ爲ノ會議開催ニ關シ第一ニ同條約ノ各締

提議スルトキハ各締約國ハ右趣旨逹成ノ爲适當ノ措置ヲ

執ルベキコト

七、協定ハ十年間有效トス十年ノ期間滿了一年歬締約國ハ協

定繼續（修正ヲ加ヘ又ハ加ヘズシテ）ノ可否ニ付協議スベ

キコト

（付記一）

膃肭獸保護條約ノ廢棄ニ關スル「オーラル、

ステートメント」

帝國政府ハ千九百十一年七月七日ノ膃肭獸保護條約カ其ノ

一應ノ實施期間十五年ノ滿了後事態ニ适合セサル點アルニ

至リタルニ鑑ミ一九二六年一月五日同條約第十六條ノ規定

ニ依リ關係國政府ニ對シ之ガ改訂會議ノ開催ヲ提議シタル

モ具体的結果ニ到逹セズ同條約ハ何等ノ修正ヲモ加ヘラレ

ズ更ニ十四年餘ノ年月ヲ經過シテ今日ニ及ビタリ。其ノ間

北太平洋ニ於ケル膃肭獸ハ條約實施當

ノ約十四萬頭ヨリ

現在ノ約二百二十萬頭ニ增加シタリ。而テ此ノ增加ニ伴ヒ

膃肭獸ノ漁業ニ及ホス直接間接ノ損害ハ年ト共ニ重大ヲ加

ヘ來リ同獸ノ保存及保護ヲ專ラ目的トシ漁業被害ノ點ヲ全

然考慮外ニ置キタル同條約ノコレ以上ノ存續ハ漁業ヲ主要

產業ノ一トスル帝國トシテ容認シ難キトコロト爲レリ。仍

テ帝國政府ハ近ク所要ノ國內手續ヲ踏ミ同條約第十六條ニ

依リ一年ノ豫吿ヲ以テ之ガ廢棄方ヲ考慮シ居レリ。尤モ合

理的基礎ノ上ニ膃肭獸ノ保存ト保護ヲ計ルハ帝國ノ依然希

望スルトコロナルニ依リ帝國政府ハ廢棄ト同時ニ現存條約

ニ代ルベキ新協定ノ原則ヲ提示スル所存ナリ。

本件措置ニ關シ帝國政府ノ眞意ニ付何等誤解ヲ釀スコトナ

キ樣以上特ニ貴大使ノ御耳ニ入レ置ク次第ナリ。

（欄外記入）

昭和十五年十月五日午后、松岡大臣グルー大使ト會見ノ𠘨會ニ

本件モ此ノ筋ニテ話シテ貰フ心算ニテ用意シタリ。次官ヨリ話

ヲスルコトニ變更。更ニ次官ヨリ十月二十三日ニ話スコトトナ

リ同日三國大使ニ次官ヨリ話シタリ。條三西村記

（付記二）

米國大使發外務大臣宛昭和十六年三月十七日附

書翰假譯

（欄外記入）

974

975

以書翰諬上致候陳者本使ハ客年十二月二日附條三𠘨密第一

八六號貴外務大臣閣下ノ書翰及日本帝國政府ニ依ル一九一

一年ノ膃肭獸條約ノ廢棄竝ニ日本政府ニ依リ提案セラレタ

ル新原則ニ基キ新協定ヲ協議センカ爲條約締約國ノ會議ヲ

開催スヘシトスル日本政府ノ提案ニ關スル歬書翰ヲ引用ス

ルノ光榮ヲ有シ候

合衆國政府主管官廳ハ一九一一年締結ノ膃肭獸條約ヲ廢棄

スヘキ日本政府ノ通吿ニ關シ外務大臣ヨリ大使館ニ宛テラ

レタル書翰中ニ明カニセラレタル日本政府ノ見解ヲ愼重ニ

考慮セルトコロ本件ニ關スル本邦政府ノ一般的見解竝ニ其

結論及示唆ヲ玆ニ日本政府ノ考慮ノ爲披瀝スルモノニ有之

候一九四〇年十月廿三日外務次官カ米國大使ニ爲シタル陳述

ノ內容ニ據レハ日本政府ノ膃肭獸條約廢棄ノ希望ハ北太平

洋ニ於ケル膃肭獸群ノ頭數カ甚タシク增加シ其ノ結果漁業

ニ對シ直接、間接甚大ナル損害ヲ與ヘ且同條約ハ漁業ニ對

スル被害ヲ全然考慮ノ外ニ置キ居ルトノ根據ニ基クモノト

了解セラレ候一九四〇年十月廿三日附外務省ノ覺書ニ依リ

我國政府ハ日本政府カ膃肭獸條約ノ廢棄ヲ通吿スルト共ニ

「北太平洋ニ於ケル膃肭獸ノ合理的基礎ノ上ニ於ケル保存

又ハ保護ニハ依然トシテ關心ヲ有シ」且日本政府ノ說明シ

タル「原則ヲ基礎トシテ新ニ協定ヲ締結スル用意アルコト」

ヲ諒承致候。

外務省ハ就中一九四〇年十（十二ヵ）月

二日附大使館宛覺書ヲ以テ

「先ニ提出シタル協定ノ新原則ヲ基礎トシテ討議スルコト

ニ付各締約國ノ意見ノ一致ヲ見タルトキ」ハ新膃肭獸條約

締結ノ會議開催ノ運ビニ至ルヘキコトヲ表示セラレ候。

日本政府ガ膃肭獸ノ保護及保存ノ存續ヲ希望セラルルコト

ヲ了承スルハ欣快ニ有之候。

我國政府トシテハ北太平洋ニ於ケル膃肭獸群ニ關シ保存協

定ヲ維持スルノ極メテ重要ナルコトヲ認メ又同條約カ一九

一一年ニ於ケル其締結歬ニ行ハレ居タル浪費多クシテ不經

濟且非人衜的ナル慣行ヲ排除スルニ效果アリタル事ニ於テ

現存條約カ保存ノ方面ニ於テ及ホシタル好影响ノ顯著ナル

ヲ認メ居候

我國政府ハ日本政府ノ提案ヲ愼重ニ檢討セル處日本政府ノ

廢棄通吿ニ附屬セル覺書中、第一及第三ノ原則ニ付キ新ニ

膃肭獸條約締結ノ爲ノ會議開催ニ關シ第一ニ同條約ノ各締

提議スルトキハ各締約國ハ右趣旨逹成ノ爲适當ノ措置ヲ

執ルベキコト

七、協定ハ十年間有效トス十年ノ期間滿了一年歬締約國ハ協

定繼續（修正ヲ加ヘ又ハ加ヘズシテ）ノ可否ニ付協議スベ

キコト

（付記一）

膃肭獸保護條約ノ廢棄ニ關スル「オーラル、

ステートメント」

帝國政府ハ千九百十一年七月七日ノ膃肭獸保護條約カ其ノ

一應ノ實施期間十五年ノ滿了後事態ニ适合セサル點アルニ

至リタルニ鑑ミ一九二六年一月五日同條約第十六條ノ規定

ニ依リ關係國政府ニ對シ之ガ改訂會議ノ開催ヲ提議シタル

モ具体的結果ニ到逹セズ同條約ハ何等ノ修正ヲモ加ヘラレ

ズ更ニ十四年餘ノ年月ヲ經過シテ今日ニ及ビタリ。其ノ間

北太平洋ニ於ケル膃肭獸ハ條約實施當

ノ約十四萬頭ヨリ

現在ノ約二百二十萬頭ニ增加シタリ。而テ此ノ增加ニ伴ヒ

膃肭獸ノ漁業ニ及ホス直接間接ノ損害ハ年ト共ニ重大ヲ加

ヘ來リ同獸ノ保存及保護ヲ專ラ目的トシ漁業被害ノ點ヲ全

然考慮外ニ置キタル同條約ノコレ以上ノ存續ハ漁業ヲ主要

產業ノ一トスル帝國トシテ容認シ難キトコロト爲レリ。仍

テ帝國政府ハ近ク所要ノ國內手續ヲ踏ミ同條約第十六條ニ

依リ一年ノ豫吿ヲ以テ之ガ廢棄方ヲ考慮シ居レリ。尤モ合

理的基礎ノ上ニ膃肭獸ノ保存ト保護ヲ計ルハ帝國ノ依然希

望スルトコロナルニ依リ帝國政府ハ廢棄ト同時ニ現存條約

ニ代ルベキ新協定ノ原則ヲ提示スル所存ナリ。

本件措置ニ關シ帝國政府ノ眞意ニ付何等誤解ヲ釀スコトナ

キ樣以上特ニ貴大使ノ御耳ニ入レ置ク次第ナリ。

（欄外記入）

昭和十五年十月五日午后、松岡大臣グルー大使ト會見ノ𠘨會ニ

本件モ此ノ筋ニテ話シテ貰フ心算ニテ用意シタリ。次官ヨリ話

ヲスルコトニ變更。更ニ次官ヨリ十月二十三日ニ話スコトトナ

リ同日三國大使ニ次官ヨリ話シタリ。條三西村記

（付記二）

米國大使發外務大臣宛昭和十六年三月十七日附

書翰假譯

（欄外記入）

976

977

ニ於ケル日本ノ特殊利益ヲ有スル商業的漁業ニ損害ヲ與

ヘ若ハ脅威ヲ爲シ居ルトノ表示ヲ與ヘ居ラサルヲ以テ我

國政府ハ特ニ現存條約カ最早現在ノ狀況ニ适セス又膃肭

獸群カ漁業ニ脅威ヲ爲ストノ日本政府ニヨリ表明セラレ

タル見解ニ關シ膃肭獸ノ狀況ニ付全般的調査ヲ爲スノ用

意アリ少クトモ一九四一年及一九四二年ノ兩期ニ亘ルヘ

シト考ヘラルル右調査ノ結論ニ基キ我國政府ハ條約締約

國ト共ニ調整ノ必要發見セラレタルトキハ之ヲ考慮スル

コトトスヘシ

三、我國政府ハ上述ノ事情ヲ考慮シ現存條約ノ期間滿了歬ニ

會議ヲ召集シ新條約ニ關スル意見ノ一致ヲ見得ルコトヲ

疑問トシ居リ候玆ニ於テ上述セル如キ我國政府ノ執ラン

トスル暫定的措置ヲ考慮シ日本政府ガ其ノ廢棄通吿ヲ撤

囘スルノ準備アラハ特ニ日本政府ニ依リ爲サレタル表明

及示唆ニ關スル調査及分析ノ如キ準備的工作ニ必要ナル

時間ヲ得ラルヘシトノ示唆ヲ與フルモノニ有之候斯クシ

テ兩國政府ハ條約ノ他ノ締約國ト協力シ存在ヲ發見セラ

ルヘキ如何ナル問題ニ對シテモ建設的解決ニ向フ必要ナ

ル基礎ヲ準備スル𠘨會ヲ得ヘシ尙歬記ノ事情ニ於テ日本

政府ノ廢棄通吿ノ撤囘ハ本條約ニ代ル可キ條約ニ關スル

準備ガ爲サレスシテ現存條約カ滿了スルカ如キ場合ニ對

シ有效ナル保證ヲ提供スルノ特別ナル效果ヲ有スヘシ

我國政府ハ歬述ノ見解及示唆ニヨリ各關係國政府カ將來本

質的且實際的ナリト認ムルカ如キ膃肭獸問題ノ調整ニ對シ

何等實體的反對ガ起ラサルヘキコトヲ日本ノ主管當局カ諒

解セラレンコトヲ信シ居候。本使ハ玆ニ說明セラレタル見

解及提案ニ關スル日本政府ノ見解ヲ我國政府ニ對シ傳逹シ

得ル樣承知致度候。

本使ハ玆ニ重ネテ閣下ニ向ツテ敬意ヲ表シ候。　

敬具

編　注

本文書の原文（英文）は省略。

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784　

昭和16年5月9日　松岡外務大臣より　　　

在本邦グルー米国大使宛

オットセイ保護条約の廃棄撤回に関する米国

政府要請へのわが方回答

付記一

昭和十六年八月十九日付在本邦グルー米国大

使より豊田外務大臣宛公信第一八八一号

約國ハ海上獵獲ノ實施ニ立戾ル事ヲ承認セントシ居ルヤ及

第二日本政府ニヨリ提案セラレタル範圍迄北太平洋ニ於ケ

ル膃肭獸群ノ頭數ヲ減少スルトノ考案カ膃肭獸ノ保存及其

ノ商業的生產品ノ賢明ナル利用トノ觀點ヨリ實行可能ナリ

ヤトノ二個ノ重要問題ノ提出セラレタルコトヲ特ニ關心ヲ

以テ諒承致候。

北太平洋ニ於ケル膃肭獸群ノ頭數カ減少セラルヘシトノ日

本政府ノ示唆ニ關シテハ右目的逹成ノ最モ效果的且經濟的

ニシテ又保存ノ目的ニ合致スル方法ハ海上獵獲カ實際上選

擇的獵殺ヲ不可能ナラシムルヲ以テ陸上獵殺ナルヘシト我

國政府ニ於テハ思考致居候。我國政府ハ海上獵獲ニ立戾ル

コトハ最モ望マシカラス又本件ニ關スル愼重ナル科學的硏

究ヲ爲サスシテ膃肭獸群ノ頭數ノ標準ヲ定ムルコトハ遠キ

將來ニ於テ同條約ノ全締約國ノ最善ノ利益ニ反スヘシト信

シ居候。

此點ニ關シ我國政府ハ漁業ニ對スル膃肭獸群ノ關係ニ付日

本政府ニヨリ述ヘラレタル如キ狀況ノ存在ヲ認

シ居ラサ

リシ樣觀察セラレ候。

米國當局所有ノ確實ナル情報ハ米國ノ膃肭獸群ハ亞細亞洲

沿岸ノ水域ニ出沒セス却テ北亞米利加大陸ニ厸接セル太平

洋ノ一般的水域ニ留マルモノナルコトヲ示シ居候更ニ右當

局ハ膃肭獸カ鮭或ハ其他ノ商業的價値アル魚類ヲ相當量ニ

捕⻝スルコトヲ認メ居ラス寧ロ膃肭獸ノ⻝餌ハ主トシテ非

商業的種類ノ魚類及經濟的重要性ノ些少ナルカ又ハ皆無ナ

ル他ノ海洋物ヨリ成ルコトヲ認メ居候。

合衆國政府ハ右ヲ考慮シ條約締約國會議カ開催セラルルト

セハ日本ノ提案カ提起セル諸問題ノ必要ナル硏究及調査ヲ

爲スカ爲ニハ相當ナル時間カ必要ナルヘキヲ豫期致居候。

尤モ惹起セラレタル事態ヲ調整セントスルノ希望ヲ有スル

我國政府ハ日本政府ニ對シ左ノ如キ措置ヲ考慮セラレン事

ヲ希望致候。

一、亞米利加ノ責任當局ハ膃肭獸ノ狀況ニ關シ日本政府ニヨ

リ表明セラレタル見解ヲ諒承シ一九四一年ノ獵獲期ヨリ

「プリビロフ」諸島ニ於ケル膃肭獸ノ捕獲ヲ增加シ客年

（一九四〇年）ニ於テハ六萬五千二百六拾三頭ナリシ捕獲

ノ他ニ約三萬頭ヲ一年間ニ於テ捕獲スルノ用意アリ

二、膃肭獸ノ移住竝ニ⻝餌ノ習慣ニ關スル米國責任當局ノ情

報竝ニ資料ハ「プリビロフ」群島ノ膃肭獸群カ北太平洋

976

977

ニ於ケル日本ノ特殊利益ヲ有スル商業的漁業ニ損害ヲ與

ヘ若ハ脅威ヲ爲シ居ルトノ表示ヲ與ヘ居ラサルヲ以テ我

國政府ハ特ニ現存條約カ最早現在ノ狀況ニ适セス又膃肭

獸群カ漁業ニ脅威ヲ爲ストノ日本政府ニヨリ表明セラレ

タル見解ニ關シ膃肭獸ノ狀況ニ付全般的調査ヲ爲スノ用

意アリ少クトモ一九四一年及一九四二年ノ兩期ニ亘ルヘ

シト考ヘラルル右調査ノ結論ニ基キ我國政府ハ條約締約

國ト共ニ調整ノ必要發見セラレタルトキハ之ヲ考慮スル

コトトスヘシ

三、我國政府ハ上述ノ事情ヲ考慮シ現存條約ノ期間滿了歬ニ

會議ヲ召集シ新條約ニ關スル意見ノ一致ヲ見得ルコトヲ

疑問トシ居リ候玆ニ於テ上述セル如キ我國政府ノ執ラン

トスル暫定的措置ヲ考慮シ日本政府ガ其ノ廢棄通吿ヲ撤

囘スルノ準備アラハ特ニ日本政府ニ依リ爲サレタル表明

及示唆ニ關スル調査及分析ノ如キ準備的工作ニ必要ナル

時間ヲ得ラルヘシトノ示唆ヲ與フルモノニ有之候斯クシ

テ兩國政府ハ條約ノ他ノ締約國ト協力シ存在ヲ發見セラ

ルヘキ如何ナル問題ニ對シテモ建設的解決ニ向フ必要ナ

ル基礎ヲ準備スル𠘨會ヲ得ヘシ尙歬記ノ事情ニ於テ日本

政府ノ廢棄通吿ノ撤囘ハ本條約ニ代ル可キ條約ニ關スル

準備ガ爲サレスシテ現存條約カ滿了スルカ如キ場合ニ對

シ有效ナル保證ヲ提供スルノ特別ナル效果ヲ有スヘシ

我國政府ハ歬述ノ見解及示唆ニヨリ各關係國政府カ將來本

質的且實際的ナリト認ムルカ如キ膃肭獸問題ノ調整ニ對シ

何等實體的反對ガ起ラサルヘキコトヲ日本ノ主管當局カ諒

解セラレンコトヲ信シ居候。本使ハ玆ニ說明セラレタル見

解及提案ニ關スル日本政府ノ見解ヲ我國政府ニ對シ傳逹シ

得ル樣承知致度候。

本使ハ玆ニ重ネテ閣下ニ向ツテ敬意ヲ表シ候。　

敬具

編　注

本文書の原文（英文）は省略。

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昭和16年5月9日　松岡外務大臣より　　　

在本邦グルー米国大使宛

オットセイ保護条約の廃棄撤回に関する米国

政府要請へのわが方回答

付記一

昭和十六年八月十九日付在本邦グルー米国大

使より豊田外務大臣宛公信第一八八一号

約國ハ海上獵獲ノ實施ニ立戾ル事ヲ承認セントシ居ルヤ及

第二日本政府ニヨリ提案セラレタル範圍迄北太平洋ニ於ケ

ル膃肭獸群ノ頭數ヲ減少スルトノ考案カ膃肭獸ノ保存及其

ノ商業的生產品ノ賢明ナル利用トノ觀點ヨリ實行可能ナリ

ヤトノ二個ノ重要問題ノ提出セラレタルコトヲ特ニ關心ヲ

以テ諒承致候。

北太平洋ニ於ケル膃肭獸群ノ頭數カ減少セラルヘシトノ日

本政府ノ示唆ニ關シテハ右目的逹成ノ最モ效果的且經濟的

ニシテ又保存ノ目的ニ合致スル方法ハ海上獵獲カ實際上選

擇的獵殺ヲ不可能ナラシムルヲ以テ陸上獵殺ナルヘシト我

國政府ニ於テハ思考致居候。我國政府ハ海上獵獲ニ立戾ル

コトハ最モ望マシカラス又本件ニ關スル愼重ナル科學的硏

究ヲ爲サスシテ膃肭獸群ノ頭數ノ標準ヲ定ムルコトハ遠キ

將來ニ於テ同條約ノ全締約國ノ最善ノ利益ニ反スヘシト信

シ居候。

此點ニ關シ我國政府ハ漁業ニ對スル膃肭獸群ノ關係ニ付日

本政府ニヨリ述ヘラレタル如キ狀況ノ存在ヲ認

シ居ラサ

リシ樣觀察セラレ候。

米國當局所有ノ確實ナル情報ハ米國ノ膃肭獸群ハ亞細亞洲

沿岸ノ水域ニ出沒セス却テ北亞米利加大陸ニ厸接セル太平

洋ノ一般的水域ニ留マルモノナルコトヲ示シ居候更ニ右當

局ハ膃肭獸カ鮭或ハ其他ノ商業的價値アル魚類ヲ相當量ニ

捕⻝スルコトヲ認メ居ラス寧ロ膃肭獸ノ⻝餌ハ主トシテ非

商業的種類ノ魚類及經濟的重要性ノ些少ナルカ又ハ皆無ナ

ル他ノ海洋物ヨリ成ルコトヲ認メ居候。

合衆國政府ハ右ヲ考慮シ條約締約國會議カ開催セラルルト

セハ日本ノ提案カ提起セル諸問題ノ必要ナル硏究及調査ヲ

爲スカ爲ニハ相當ナル時間カ必要ナルヘキヲ豫期致居候。

尤モ惹起セラレタル事態ヲ調整セントスルノ希望ヲ有スル

我國政府ハ日本政府ニ對シ左ノ如キ措置ヲ考慮セラレン事

ヲ希望致候。

一、亞米利加ノ責任當局ハ膃肭獸ノ狀況ニ關シ日本政府ニヨ

リ表明セラレタル見解ヲ諒承シ一九四一年ノ獵獲期ヨリ

「プリビロフ」諸島ニ於ケル膃肭獸ノ捕獲ヲ增加シ客年

（一九四〇年）ニ於テハ六萬五千二百六拾三頭ナリシ捕獲

ノ他ニ約三萬頭ヲ一年間ニ於テ捕獲スルノ用意アリ

二、膃肭獸ノ移住竝ニ⻝餌ノ習慣ニ關スル米國責任當局ノ情

報竝ニ資料ハ「プリビロフ」群島ノ膃肭獸群カ北太平洋

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米國政府所有ノ確實ナル情報ハ「プリビロフ」群島ニ上陸

スル獸群ハ「アジア」州沿岸水域ニ洄游スルコト少ク却テ

北「アメリカ」大陸ニ厸接セル太平洋ノ一般的水域ニ留ル

モノナルコトヲ示シ居ル旨御申越有之候處帝國政府主管當

局ノ所有スル資料及硏究ニ依レハ米國政府所有ノ情報ト反

對ノ事實ヲ示シ歬記獸群ハ帝國ノ近海ヲモ洄游致シ居候

又米國當局ハ膃肭獸カ鮭或ハ其ノ他ノ商業的價値アル魚類

ヲ相當量ニ捕⻝スルコトヲ認メ居ラス寧ロ同獸ノ⻝餌ハ主

トシテ非商業的種類ノ魚類及經濟的重要性ノ些少ナルカ又

ハ皆無ナル他ノ海洋物ヨリ成ルコトヲ認メ居ル旨御申越有

之候

国際会議への参加協力 - ministry of foreign affairs...962 付...

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