新日鐵住金株式会社 棒線事業部 室蘭製鐵所 中央発電所 事業所等 … · 2...
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室蘭製鐵所は,北海道室蘭市に立地する日本最北かつ北海道唯一の銑鋼一貫製鉄所で,1909年(明治42年)に創業いたしました。 当所で作られる鋼材は,主に自動車関連産業に向けられており,強度・耐久性などが,最も高い次元で要求されるエンジン・駆動系・足まわりなどの重要保安部品に使用されています。業界最高レベルの設備装備力,品質保証機器,製造技術などにより,お客さまより高い信頼を得ております。 鉄鋼業はエネルギー多消費型の産業ではありますが,生産工程において発生する副生ガスは全量回収し,製造設備の加熱炉や自家発電用ボイラなどに活用しています。 また高炉炉頂回収タービン(TRT),コークス乾式消火設備(CDQ)等の排エネルギー回収設備の設置により,高い省エネルギー効果を発揮しております。 さらに昨年は,従来の副生ガス焚き自家発電設備を拡大更新し,発電効率の向上を図りました。 一方,昨年11月には,高炉熱風炉の排出ガスから二酸化炭素を高純度で回収する技術を活用した液化炭酸ガス製造工場(エア・ウォーター炭酸㈱)が竣工し,地球温暖化対策への取り組みも進めております。 東日本大震災以降,北海道管内においてもタイトな電力需給バランスが継続しておりますが,IPP電力を能力最大限供給すると共に,道内で需給が特に逼迫する冬季には,自家発電設備の余力を活用して管内へ電力を増送電し,電力需給安定化に向けてご協力をしております。 これからも高性能・高品質な製品供給や電力の安定供給によって,お客さまはもとより地域社会の発展に貢献して参ります。
執行役員 棒線事業部
室蘭製鐵所長 安藤 豊
事 業 所 等 紹 介新日鐵住金株式会社 棒線事業部 室蘭製鐵所 中央発電所
北海製鉄株式会社 高炉発電所・コークス発電所
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室蘭製鐵所 エネルギー回収設備の紹介
副生ガス焚き自家発電設備(6号発電設備)
コークス炉
転炉
コークス乾式消火設備(CDQ)
副生ガス焚き発電設備
炉頂圧回収発電設備(TRT)
液化炭酸ガス製造設備
転炉ガス
コークス炉ガス
熱風炉排ガス(CO2)
高炉
高炉ガス(高圧)
生産工程 エネルギー回収設備
高炉ガス(低圧)
蒸
気コークス排熱
製鉄所外
炭酸ガス
電
力
炭酸ガス需要家
北海道管内電力需要家
エア・ウォーター炭酸㈱
IPP(5号発電設備)
副生ガス(高炉ガス,コークス炉ガス,転炉ガス)
6T 6G
10B
4T 4G
8B
5T 5G
9B
5B 6B 7B
1T 1G 2T 2G 3T 3G
高炉送風機(蒸気駆動)
石炭
5号発電設備(IPP)【145MW】
6号発電設備【125MW】
1~3号発電設備【25MW×3】(6号発電設備稼働により予備機化)
4号発電設備【52MW】
拡大更新
所内蒸気本管
室蘭製鐵所 中央発電所 6号発電設備は,主燃料として製鉄プロセスで発生した副生ガスを回収・使用することを特徴としております。従来より,1~3号発電設備(25MW×3機)を副生ガス発電設備として使用してきましたが,平成25年4月にこれを拡大更新し,4割以上の高効率化を図りました。 従来機である1~3号発電設備は,定期修理用予備機として活用すると共に,北海道管内において電力需給が逼迫する冬季には,社外向け電源として稼働させ,地域の電力安定化に貢献しております。
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電力
高炉ガス(低圧)
高炉ガス(高圧)
生産工程
ガスホルダー
高炉送風機高炉 熱風炉
高圧空気(高圧)
原空気(低圧)
昇圧加熱カーボン燃焼(CO発生) 熱風
(高圧)
ガス圧力エネルギー回収+発電
TRT
【TRTフロー】
CO2(高純度)
熱風炉排ガス(CO2+その他ガス)
吸収液(低温)吸収液+CO2
(低温)
その他ガス
加熱された吸収液はCO2放散。
再生塔
吸収液で排ガスからCO2のみを吸収
【化学吸収法フロー】
吸収塔
吸収液を加熱。(蒸気と熱交換)
熱交換機
CO2を吸収した吸収液を加熱
熱交換機
吸収液(高温)
吸収液(低温)
吸収液+CO2(高温)
熱風炉
CO2液化設備
高炉炉頂圧回収タービン発電設備(TRT:Top-presure Recovery Turbine)
液化炭酸ガス製造設備(エア・ウォーター炭酸㈱)
高炉ガスの圧力エネルギーを電力として回収する省エネルギー設備です。
【CDQフロー】
排出コンベア
循環ガス(高温)
循環ガス(低温)
給水
蒸気生産工程
排出コークス約200℃
赤熱コークス約1,050℃
高温循環ガスにより水蒸気を発生。
CDQボイラ
赤熱コークスと不循環ガスを熱交換。・ コークスは消火・冷却。・ 循環ガスは昇温。
CDQチャンバー
コークス乾式消火設備(CDQ:Coke Dry Quenching)
従来水をかけて消火していた赤熱コークスを不活性ガスで消火すると共に,顕熱を蒸気として回収する設備です。排熱回収の他,コークスの品質向上,環境改善などの効果もあります。
化学吸収法により,高炉熱風炉排ガス中に含まれる二酸化炭素を高純度で回収する設備です。回収した二酸化炭素は,ドライアイスなどに製品化され,需要家へ供給されます。
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室蘭製鐵所の電力受給を支えるエネルギー工場は,操業系のエネルギー課と整備系のエネルギー整備課の2課体制です。エネルギー課は,ボイラー・タービンおよび高炉送風機の運転を行う発電送風係と,電力・ガス・蒸気・水等の所内エネルギーの需給調整を行う需給調整係の2係に別れ,一方エネルギー整備課は,機械整備係・電気整備係の2係にて構成されています。工場全体の総人員は85名で,その内29名が30歳以下であり,人材育成が大きな課題となっております。新人に対しては,入社5~6年の社員がコーチャーとしてつき1年間マンツーマンにてOJTを行っています。また技能優秀なベテラン社員を育成専任者として配置し,豊富な知識・技能を活かして技能伝承を日々行っています。
ご安全に!! 入社1年目の五十嵐です。エネルギー工場で運転業務を担当しています。エネルギー工場では,製鐵所コンビナートの各工場へ生産に必要な電力,水,ガス,蒸気,圧空等の各種エネルギーを安定的に供給することが主業務です。その中で,私が所属している発電送風係では,5名×4組の24時間体制で,自家発電設備と高炉送風機を運転し,各工場へ安定した電力と蒸気の供給を行っています。配属されてから,設備の多さや,扱っているものの規模の大きさに驚き,圧倒されました。今はまだ,覚えなくてはならない事が多くありますが,少しでも早く「一人の戦力」として,認められるように,日々努力を続けていきたいと思います。
ご安全に! 入社5年目の舟橋です。入社以来,機械保全職場でボイラ・タービン・高炉送風機のメンテナンス業務を行っております。 当製鐵所にはボイラ6缶,タービン6機,高炉送風機2機あり,古くは1951年運転開始のものから2013年運転開始のものまで様々ですが,同じ設備でもメーカー設計思想の違いにより構造等違うため,設備毎に覚えなければならないことが多く非常に大変です。 現在は田原育成専任者の元,日々の日修対応,各設備の定期開放点検を行っていく中で構造,メンテナンスポイント等学んでいます。今後も各設備の安定,安全稼働に向けて頑張っていきたいと思います。
運転職場(発電送風係)エネルギー工場/エネルギー課/発電送風係五十嵐 友嗣(2014年入社)
整備職場(機械整備係)エネルギー工場/エネルギー整備課/機械整備係舟橋 祐亮(2010年入社)
【職場紹介】
北に日本の力こぶあり!!人と人とのふれあいを育み,限りない情熱と誇りある技術で次なる時代へ力強く前進していきます。
五十嵐友嗣さん(右)とコーチャーの山口信志さん(左)
舟橋祐亮さん(左)と育成専任者の田原昌夫さん(右)
オペレーション業務を指導する山口さんと五十嵐さん
7号送風機の定修作業を指導する田原さんと舟橋さん