製品のご注文は左記の代理店まで アマシャムファル …...volume 3, no. 3 (1998)...

16
Volume 3, No. 3 (1998) Protein Analysis プロテオーム解析と二次元電気泳動 ..............2 Protein Purification レクチンアフィニティークロマトグラフィーによる 糖タンパク質の分離 .............................................5 膜内在性タンパク質の精製とクロマトグラフィー による特性解析....................................................7 Cell Proliferation Non-RI ELISAシステムによるヒト末梢血リンパ球 混合培養試験.......................................................9 Gene Expression 大腸菌内で発現させた GST 融合タンパク質の トラブルシューティング...................................11 Nucleic Acid Detection AlkPhos Direct のノーザンブロッティングへの 応用...................................................................13 「第 71 回日本生化学会総会」展示会プレゼント 抽選券...............................................................16 71-1491-01 取扱代理店 製品お問い合わせバイオダイレクトライン 電話番号:(03)5331-9336 FAX 番号:(03)5331-9370 アマシャム ファルマシア バイオテク株式会社

Upload: others

Post on 25-Jun-2020

0 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Volume 3, No. 3 (1998)

Protein Analysisプロテオーム解析と二次元電気泳動..............2

Protein Purificationレクチンアフィニティークロマトグラフィーによる糖タンパク質の分離.............................................5

膜内在性タンパク質の精製とクロマトグラフィーによる特性解析....................................................7

Cell ProliferationNon-RI ELISAシステムによるヒト末梢血リンパ球混合培養試験.......................................................9

Gene Expression 大腸菌内で発現させたGST融合タンパク質のトラブルシューティング...................................11

Nucleic Acid DetectionAlkPhos Direct のノーザンブロッティングへの応用...................................................................13

「第71回日本生化学会総会」展示会プレゼント抽選券...............................................................16

71-1491-01

製品のご注文は左記の代理店まで取扱代理店

製品お問い合わせバイオダイレクトライン電話番号:(03)5331-9336FAX番号:(03)5331-9370

アマシャムファルマシアバイオテク株式会社

Protein Analysis

3. 検出系にあわせた十分量のタンパク質を添加可能なこと

4. 泳動結果に再現性があること

5. 再現性に影響がある煩雑な操作がないこと

6. 検出は再現性よく、高感度であること

7. スポットの変化を自動で、また迅速・正確に検出可能なこと

固定化pH勾配ゲルの開発

1982年に固定化pH勾配技術(図3)が開発され、両性担体がもついくつかの問題が改善されました(4)。固定化 pH勾配(Immobilized pH gradient[IPG])技術とは、弱酸あるいは弱塩基性の解離基をもつアクリルアミドの誘導体を加えてアクリルアミドとビスアクリルアミドが重合されると同時にゲルのマトリクスの側鎖に、あるpHをもつ解離基を共重合によって導入し、pH勾配をマトリクスに固定化する技術です。両性担体とは異なり、ゲルのもつpH勾配はpH 3~12の間で1pH単位以下もしくは7pH単位以上という幅広い領域で形成することができます。さらに、物理的強度をあげ、扱いやすいようにプラスティックフィルムでサポートされたゲルも開発されています。

その後、Görgらは、IPG法を二次元電気泳動における一次元目の泳動法に適用するプロトコールを開発しました。まずゲルを作成後、洗浄・乾燥させ、3mm幅にカットし、-20℃で保存します。使用の際には8 M 尿素、0.5 %の非イオン性界面活性剤、2.0 %のイオン性界面活性剤、2 %の還元剤、そして0.5 %の両性担体を含んだ膨潤バッファーで再膨潤します(5, 6)。

固定化pH勾配ゲルによって、向上した点を以下にまとめました。

1. pH勾配がゲル内に固定化されているため、pHドリフトを生じず再現性が高い

2. 広範囲のpIをもつタンパク質の展開が可能

3. ゲル上のどの位置からでもサンプル添加可能

4. ゲルの膨潤と同時にサンプル添加可能

5. 大量のタンパク質を添加可能

6. サポートフィルム上にゲルが作成されているので、取り扱いが簡便

7. 二次元目の展開は、水平型と縦型の電気泳動装置を使用可能

アマシャム ファルマシア バイオテクでは1991年、この IPGゲルを ImmobilineDryStripゲル(IPGストリップ)として商品化に成功しました。現在、3種類のpHレンジ(pH 3-10 L, pH 3-10 NL, pH 4-7 L,pH 6-11 L)を持ち、それぞれ7 cm, 11cm, 13 cm, 18 cmのゲル長で、3 mm幅にカットしたIPGストリップを販売しています。IPGストリップはサンプルのpH分布に合わせて選択し、サンプルにあった膨潤バッファーで膨潤後、使用します。サンプル添加は、膨潤と同時に行うこともできますし、膨潤後、泳動開始前に添加することもできます。図4にヒトHepG2細胞抽出液をサンプルとして、3種類のpHレンジのIPGストリップを用い、泳動結果を比較した例を示します。

一次元目:等電点電気泳動

1998年、IPGストリップを泳動するための IPGphorTM高速等電点電気泳動装置が開発されました。この泳動装置にはペルチエ素子による冷却装置と8000Vまで出力可能なパワーサプライが一体化されており、再現性の高い泳動が可能となりました。

IPGphorの特徴は

1. IPGストリップを1本ずつ別々のストリップホルダーに入れて、膨潤・サンプル添加・泳動するため操作が簡単で、かつコンタミネーションのリスクが激減する

2. プログラム機能により、IPGストリップの膨潤開始から泳動終了までを全自動で行うことができる

3. 高電圧パワーサプライにより高速泳動が可能である

二次元目:SDS-PAGE

IPGストリップごとSDS平衡化を行い、二次元目電気泳動を行います(一次元目の

泳動後、すぐに泳動できない場合には、IPGストリップは -60℃以下で冷凍保存ができます)。SDS処理したタンパク質をポリアクリルアミドゲルで泳動する方法は、タンパク質を分子量で分離する優れた方法として確立しています。13%のポリアクリルアミドゲルを用いたSDS-PAGEは、幅広い分子量のタンパク質を展開することができます。グラジエントゲルを用いることによって、より広範囲の分子量をもつタンパク質を鮮明な泳動図として得ることもできます。

通常はLaemmliのTris-Glycineのバッファー系で泳動しますが、より低分子のタンパク質を分離したいときはTris-Tricineのバッファー系で泳動することによって、低分子の分離がより良くなります(7)。

【縦型電気泳動装置を用いたSDS-PAGE】

スタッキングゲルがない均一ゲルを用いても、問題なく展開することができます。

縦型電気泳動装置SE600で二次元目を泳動する場合はデバイダープレートを使用することによって、16×16 cm のゲルを4枚まで同時に泳動することができます。また、Hoefer Daltマルチプルスラブゲル電気泳動ユニットを使用することによって、25×20 cmの大型ゲルを一度に10枚泳動することができます。通常の縦型電気泳動装置を使用して展開する場合は必ずしも必要はありませんが、Hoefer Dalt ではIPGストリップをSDS-PAGEゲルの上部に設置し、アガロースでIPGストリップをシールすることが必要になります。

【水平型電気泳動装置Multiphor® IIを使用したSDS-PAGE】

Multiphor IIを用いて二次元目の展開を行う場合は、 IPGストリップをスタッキングゲル上の、陰極用バッファーストリップや電極ろ紙から数mmの位置に設置します。二次元目展開用ゲルとして、ExcelGelSDS XLをご用意しています。ゲル中のバッファーには pH 6.6のTris-Acetateと0.1% SDSが用いられており、低いpHによりゲルの保存期間が長くなっています。

泳動バッファーは、ポリアクリルアミドで固形化されたバッファーストリップとして供給しています。このバッファーストリップの陰極側はTris-Tricineを用い、5 kDaまでの低分子のタンパク質も分離することができます。通常、縦型電気泳動装置でTris-Glycine系を使用し、6時間泳動した

Science Tools from AmershamPharmacia Biotech 3, 3 (1998) 3

Protein Analysis

Two-dimensional electrophoresis - the most powerfulmethod for PROTEOME analysis

近年注目されるようになったプロテオーム解析において中核の手法となる二次元電気泳動は、細胞、組織等の発現タンパク質の組成解析において現在最も有効な手法です。二次元電気泳動は、タンパク質を等電点による分離(一次元目)と分子量による分離(二次元目)の組合わせにより定量可能なタンパク質のスポットとして提示します。従来の両性担体を使用した二次元電気泳動は、作業が煩雑で熟練した技が必要でしたが、固定化pH勾配 (Immobilized pH gradient)ゲルの登場により、再現性と分離能が劇的に向上しました。ここでは、固定化pH勾配ゲル―Immobiline DryStrip ―を使用した二次元電気泳動についてご紹介し、プロテオーム解析への新しい展開を提案いたします。

Immobiline® DryStripと二次元電気泳動関連製品

はじめに

生体において数千におよぶ遺伝子の発現制御や発現パターンを解明する手段として、Differential Display法に代表される遺伝子解析に基づく方法論と、遺伝子産物であるタンパク質解析に基づく方法論が挙げられます。

プロテオームとは "Total Proteincomplement of a Genome"(1)、"ゲノムにコードされる全てのタンパク質の総称"と定義され、特定の組織、細胞、オルガネラの特定の時期のタンパク質全体の発現パターンを系統的に明らかにしようという概念です。遺伝子によって制御されているタンパク質全体の情報を精査することによって予想される遺伝子産物が発現されているか否か、いつ発現されたか、発現量比、翻訳後の修飾を識別・定量することができます。

図1に示すようにプロテオーム解析では、タンパク質解析において現時点で最高の分離能をもつ二次元電気泳動が中核となっています。そしてタンパク質の一次構造解析は、ペプチドシークエンスデータやゲノムプロジェクトのシークエンスデータを用いて解析されています。二次元電気泳動後のスポットを画像解析で比較・同定後、質量分析計(MS)等で解析を行うことにより、特定スポットのペプチド断片の分子量やアミノ酸のシークエンスデータを得ることができます。これらの情報により、遺伝子地図とそのタンパク質を結びつけることが可

能となり、アミノ酸配列から塩基配列を推定したり、同定されたペプチド断片のパターン(ペプチドマッピング)をゲノムDNAのシークエンスデータとリンクさせることができます。

二次元電気泳動の歴史

1961年、等電点電気泳動のための両性担体が開発され(図2)、その後、1975年O'Farrellによって両性担体を用いた等電点電気泳動とSDS-PAGEを組合わせた二次元電気泳動法が最初に開発されました(2)。この泳動法は高分離能の反面、ディスクゲルを使用するため操作が煩雑で、両性担体の性質上、再現性を得ることが大変困難でした。また、塩基性側のマップが得られにくいという欠点がありました。その後NEPHGE(non-equilibrium pH gradientelectrophoresis :非平衡化pH勾配ゲル)法という塩基性側のマップを得るための泳動法が発表されました(3)。

しかし、両性担体を用いたこれらの二次元電気泳動には以下の問題点がありました。

1. pHドリフトが起こる

2. サンプルによって、形成されているpH勾配が影響をうける

3. 物理的強度が弱い

4. 実験を行う人によって泳動結果が異なり、再現性が得られない

プロテオーム解析に求められる二次元電気泳動の条件

プロテオーム解析では多数のサンプルを比較・同定したり、誰もが利用可能なデータとしてデータベース化する必要があるため、以下の二次元電気泳動の条件が求められます。

1. 酸性から塩基性側まで、広汎なpH範囲のタンパク質を展開可能なこと

2. サンプルとなるタンパク質が可溶化されていること

Immobiline DryStripとExcelGel

2 Science Tools from Amersham Pharmacia Biotech 3, 3 (1998)

二次元電気泳動�

画像解析�

ペプチドMS解析��

遺伝子情報�遺伝子機能情報�

Data Baseタンパク質機能情報�モチーフ機能情報�

タンパク質同定�

図3:固定化pH勾配ゲルを使用した等電点電気泳動

Acrylamide buffer:ImmobilineCH2=CH-CO-NH-R,R contains a carboxylic or atertiary amino group

C=O

NH

C=O

OH

C=O

NH

C=O

C=O

NH

C=O

OH

C-O

NH

C-O

OH

N OC-N-(CH ) -

O-H

2 3

CH

C=O

NH

CH

CH

N

CH33

2

2+

C=O

NH

CH

CH

CH

2

2

2

C=O

NH

C=O

O

C=O

NH

C=O

OH

NH

C=O

OH

CH

NH

CH

CH

CH

NH

CH33

2

2

2

C-N-(CH

O-H

2

N C-N-(CH ) -2 3

N O C-N-(CH ) -

O-H

2 3

N O C-N-(CH ) -

O-H

2 3

CH

C=O

NH

CH

CH

CH

NH

CH33

2

2

2

H2C C—H

C=O

H—N

R

Polyacryl-amide

Buffer

H2

図2:両性担体を使用した等電点電気泳動

Protein Analysis

3. 検出系にあわせた十分量のタンパク質を添加可能なこと

4. 泳動結果に再現性があること

5. 再現性に影響がある煩雑な操作がないこと

6. 検出は再現性よく、高感度であること

7. スポットの変化を自動で、また迅速・正確に検出可能なこと

固定化pH勾配ゲルの開発

1982年に固定化pH勾配技術(図3)が開発され、両性担体がもついくつかの問題が改善されました(4)。固定化 pH勾配(Immobilized pH gradient[IPG])技術とは、弱酸あるいは弱塩基性の解離基をもつアクリルアミドの誘導体を加えてアクリルアミドとビスアクリルアミドが重合されると同時にゲルのマトリクスの側鎖に、あるpHをもつ解離基を共重合によって導入し、pH勾配をマトリクスに固定化する技術です。両性担体とは異なり、ゲルのもつpH勾配はpH 3~12の間で1pH単位以下もしくは7pH単位以上という幅広い領域で形成することができます。さらに、物理的強度をあげ、扱いやすいようにプラスティックフィルムでサポートされたゲルも開発されています。

その後、Görgらは、IPG法を二次元電気泳動における一次元目の泳動法に適用するプロトコールを開発しました。まずゲルを作成後、洗浄・乾燥させ、3mm幅にカットし、-20℃で保存します。使用の際には8 M 尿素、0.5 %の非イオン性界面活性剤、2.0 %のイオン性界面活性剤、2 %の還元剤、そして0.5 %の両性担体を含んだ膨潤バッファーで再膨潤します(5, 6)。

固定化pH勾配ゲルによって、向上した点を以下にまとめました。

1. pH勾配がゲル内に固定化されているため、pHドリフトを生じず再現性が高い

2. 広範囲のpIをもつタンパク質の展開が可能

3. ゲル上のどの位置からでもサンプル添加可能

4. ゲルの膨潤と同時にサンプル添加可能

5. 大量のタンパク質を添加可能

6. サポートフィルム上にゲルが作成されているので、取り扱いが簡便

7. 二次元目の展開は、水平型と縦型の電気泳動装置を使用可能

アマシャム ファルマシア バイオテクでは1991年、この IPGゲルを ImmobilineDryStripゲル(IPGストリップ)として商品化に成功しました。現在、3種類のpHレンジ(pH 3-10 L, pH 3-10 NL, pH 4-7 L,pH 6-11 L)を持ち、それぞれ7 cm, 11cm, 13 cm, 18 cmのゲル長で、3 mm幅にカットしたIPGストリップを販売しています。IPGストリップはサンプルのpH分布に合わせて選択し、サンプルにあった膨潤バッファーで膨潤後、使用します。サンプル添加は、膨潤と同時に行うこともできますし、膨潤後、泳動開始前に添加することもできます。図4にヒトHepG2細胞抽出液をサンプルとして、3種類のpHレンジのIPGストリップを用い、泳動結果を比較した例を示します。

一次元目:等電点電気泳動

1998年、IPGストリップを泳動するための IPGphorTM高速等電点電気泳動装置が開発されました。この泳動装置にはペルチエ素子による冷却装置と8000Vまで出力可能なパワーサプライが一体化されており、再現性の高い泳動が可能となりました。

IPGphorの特徴は

1. IPGストリップを1本ずつ別々のストリップホルダーに入れて、膨潤・サンプル添加・泳動するため操作が簡単で、かつコンタミネーションのリスクが激減する

2. プログラム機能により、IPGストリップの膨潤開始から泳動終了までを全自動で行うことができる

3. 高電圧パワーサプライにより高速泳動が可能である

二次元目:SDS-PAGE

IPGストリップごとSDS平衡化を行い、二次元目電気泳動を行います(一次元目の

泳動後、すぐに泳動できない場合には、IPGストリップは -60℃以下で冷凍保存ができます)。SDS処理したタンパク質をポリアクリルアミドゲルで泳動する方法は、タンパク質を分子量で分離する優れた方法として確立しています。13%のポリアクリルアミドゲルを用いたSDS-PAGEは、幅広い分子量のタンパク質を展開することができます。グラジエントゲルを用いることによって、より広範囲の分子量をもつタンパク質を鮮明な泳動図として得ることもできます。

通常はLaemmliのTris-Glycineのバッファー系で泳動しますが、より低分子のタンパク質を分離したいときはTris-Tricineのバッファー系で泳動することによって、低分子の分離がより良くなります(7)。

【縦型電気泳動装置を用いたSDS-PAGE】

スタッキングゲルがない均一ゲルを用いても、問題なく展開することができます。

縦型電気泳動装置SE600で二次元目を泳動する場合はデバイダープレートを使用することによって、16×16 cm のゲルを4枚まで同時に泳動することができます。また、Hoefer Daltマルチプルスラブゲル電気泳動ユニットを使用することによって、25×20 cmの大型ゲルを一度に10枚泳動することができます。通常の縦型電気泳動装置を使用して展開する場合は必ずしも必要はありませんが、Hoefer Dalt ではIPGストリップをSDS-PAGEゲルの上部に設置し、アガロースでIPGストリップをシールすることが必要になります。

【水平型電気泳動装置Multiphor® IIを使用したSDS-PAGE】

Multiphor IIを用いて二次元目の展開を行う場合は、 IPGストリップをスタッキングゲル上の、陰極用バッファーストリップや電極ろ紙から数mmの位置に設置します。二次元目展開用ゲルとして、ExcelGelSDS XLをご用意しています。ゲル中のバッファーには pH 6.6のTris-Acetateと0.1% SDSが用いられており、低いpHによりゲルの保存期間が長くなっています。

泳動バッファーは、ポリアクリルアミドで固形化されたバッファーストリップとして供給しています。このバッファーストリップの陰極側はTris-Tricineを用い、5 kDaまでの低分子のタンパク質も分離することができます。通常、縦型電気泳動装置でTris-Glycine系を使用し、6時間泳動した

Science Tools from AmershamPharmacia Biotech 3, 3 (1998) 3

Protein Analysis

Two-dimensional electrophoresis - the most powerfulmethod for PROTEOME analysis

近年注目されるようになったプロテオーム解析において中核の手法となる二次元電気泳動は、細胞、組織等の発現タンパク質の組成解析において現在最も有効な手法です。二次元電気泳動は、タンパク質を等電点による分離(一次元目)と分子量による分離(二次元目)の組合わせにより定量可能なタンパク質のスポットとして提示します。従来の両性担体を使用した二次元電気泳動は、作業が煩雑で熟練した技が必要でしたが、固定化pH勾配 (Immobilized pH gradient)ゲルの登場により、再現性と分離能が劇的に向上しました。ここでは、固定化pH勾配ゲル―Immobiline DryStrip ―を使用した二次元電気泳動についてご紹介し、プロテオーム解析への新しい展開を提案いたします。

Immobiline® DryStripと二次元電気泳動関連製品

はじめに

生体において数千におよぶ遺伝子の発現制御や発現パターンを解明する手段として、Differential Display法に代表される遺伝子解析に基づく方法論と、遺伝子産物であるタンパク質解析に基づく方法論が挙げられます。

プロテオームとは "Total Proteincomplement of a Genome"(1)、"ゲノムにコードされる全てのタンパク質の総称"と定義され、特定の組織、細胞、オルガネラの特定の時期のタンパク質全体の発現パターンを系統的に明らかにしようという概念です。遺伝子によって制御されているタンパク質全体の情報を精査することによって予想される遺伝子産物が発現されているか否か、いつ発現されたか、発現量比、翻訳後の修飾を識別・定量することができます。

図1に示すようにプロテオーム解析では、タンパク質解析において現時点で最高の分離能をもつ二次元電気泳動が中核となっています。そしてタンパク質の一次構造解析は、ペプチドシークエンスデータやゲノムプロジェクトのシークエンスデータを用いて解析されています。二次元電気泳動後のスポットを画像解析で比較・同定後、質量分析計(MS)等で解析を行うことにより、特定スポットのペプチド断片の分子量やアミノ酸のシークエンスデータを得ることができます。これらの情報により、遺伝子地図とそのタンパク質を結びつけることが可

能となり、アミノ酸配列から塩基配列を推定したり、同定されたペプチド断片のパターン(ペプチドマッピング)をゲノムDNAのシークエンスデータとリンクさせることができます。

二次元電気泳動の歴史

1961年、等電点電気泳動のための両性担体が開発され(図2)、その後、1975年O'Farrellによって両性担体を用いた等電点電気泳動とSDS-PAGEを組合わせた二次元電気泳動法が最初に開発されました(2)。この泳動法は高分離能の反面、ディスクゲルを使用するため操作が煩雑で、両性担体の性質上、再現性を得ることが大変困難でした。また、塩基性側のマップが得られにくいという欠点がありました。その後NEPHGE(non-equilibrium pH gradientelectrophoresis :非平衡化pH勾配ゲル)法という塩基性側のマップを得るための泳動法が発表されました(3)。

しかし、両性担体を用いたこれらの二次元電気泳動には以下の問題点がありました。

1. pHドリフトが起こる

2. サンプルによって、形成されているpH勾配が影響をうける

3. 物理的強度が弱い

4. 実験を行う人によって泳動結果が異なり、再現性が得られない

プロテオーム解析に求められる二次元電気泳動の条件

プロテオーム解析では多数のサンプルを比較・同定したり、誰もが利用可能なデータとしてデータベース化する必要があるため、以下の二次元電気泳動の条件が求められます。

1. 酸性から塩基性側まで、広汎なpH範囲のタンパク質を展開可能なこと

2. サンプルとなるタンパク質が可溶化されていること

Immobiline DryStripとExcelGel

2 Science Tools from Amersham Pharmacia Biotech 3, 3 (1998)

二次元電気泳動�

画像解析�

ペプチドMS解析��

遺伝子情報�遺伝子機能情報�

Data Baseタンパク質機能情報�モチーフ機能情報�

タンパク質同定�

図3:固定化pH勾配ゲルを使用した等電点電気泳動

Acrylamide buffer:ImmobilineCH2=CH-CO-NH-R,R contains a carboxylic or atertiary amino group

C=O

NH

C=O

OH

C=O

NH

C=O

C=O

NH

C=O

OH

C-O

NH

C-O

OH

N OC-N-(CH ) -

O-H

2 3

CH

C=O

NH

CH

CH

N

CH33

2

2+

C=O

NH

CH

CH

CH

2

2

2

C=O

NH

C=O

O

C=O

NH

C=O

OH

NH

C=O

OH

CH

NH

CH

CH

CH

NH

CH33

2

2

2

C-N-(CH

O-H

2

N C-N-(CH ) -2 3

N O C-N-(CH ) -

O-H

2 3

N O C-N-(CH ) -

O-H

2 3

CH

C=O

NH

CH

CH

CH

NH

CH33

2

2

2

H2C C—H

C=O

H—N

R

Polyacryl-amide

Buffer

H2

図2:両性担体を使用した等電点電気泳動

製品名 包装 コード番号 価格

Protein Analysis

結果と同等の結果を3時間20分で得ることができます。

検出

もっとも簡単なタンパク質検出方法は染色です。染色方法ごとに、染色感度、操作、定量性に違いがあるため目的に適した染色方法を用いる必要があります。クマシー染色は定量性に優れ、またタンパク質を修飾しないため、ゲルからのタンパク質の回収や一次構造解析に応用することができます。銀染色は放射能を用いない検出系の中で最も感度が高く、検出パターンが明瞭なため二次元電気泳動のパターン解析に最適です。ただタンパク質自身に修飾を施してしまうため、MSと組み合わせて使用する場合において、染色方法に若干の改変を加えることが必要になります(8)。

特異的なタンパク質を検出する場合、そのタンパク質に対する抗体が利用可能ならば、弊社のECLウエスタンブロッティングシステムを用い、化学発光法によりメンブレン上のマップの中から目的のタンパク質を高感度に検出することができます。

二次元電気泳動結果の比較

タンパク質マップを比較するには、新しく出現したスポットや消失したスポット、また発現量が減ったスポット等を検索する必要があります。そのためにはコンピュータ上でマップをデジタル化し、ソフトウエアで比較解析することが必要不可欠になります。このデジタル化した泳動結果から、微量なスポットのタンパク質量の違いを見出すためには、バックグラウンドの自動補正をはじめとするスポット情報の解析、保存、そして比較が必要です。また、データベース化が不可欠となります。

ImageMaster画像解析装置では、マップを解析し、データを蓄積することができます。またスポットの増減や、発現量に変

化があるスポットを検出することも可能です(図5)。また、データベースの作成により、莫大なデータの保存はもとよりユーザーが設定した種々の定性・定量的基準に基づいて検索をおこなうことができます。

このような画像解析後、興味あるスポットについてアミノ酸組成分析・ペプチド/MS マッピング・LC/MS解析等を使用してキャラクタリゼーションを行います(9)。

まとめ

プロテオーム解析において中核の手法となる二次元電気泳動法は、IPGストリップの利用や専用泳動装置の開発によって、結果を迅速・再現性よく検出することができるよう進歩を遂げてきました。また、近年多くのインターネットデータベース*が構築され、一次構造決定のためのデータベー

4 Science Tools from Amersham Pharmacia Biotech 3, 3 (1998)

ご注文情報

Immobiline DryStrip pH 3-10L*1, 18cm*2 12本 17-1234-01 ¥13,300ストリップホルダー 18cm*2 6本 80-6416-68 ¥240,000IPGphor 等電点電気泳動装置*3 1ユニット 80-6414-02 ¥1,350,000Multiphor II*3電気泳動装置 1ユニット 18-1018-06 ¥330,000ExcelGel XL SDS 12-14*2 3枚 17-1236-01 ¥17,000ExcelGel SDS Buffer Strip 6セット 17-1342-01 ¥6,000縦型電気泳動装置SE600*3 1ユニット 80-6171-77 ¥198,000Hoefer DALTマルチプル電気泳動ユニット*3 お問い合わせImageMaster 画像解析装置*3 お問い合わせ

Protein Purification

はじめに

レクチンは動植物を問わず生物界に幅広く存在する糖鎖に親和性を持つタンパク質の総称です。これまでに100種類以上のレクチンが分離され、その非常に高い特異性により糖鎖の分析・分類や細胞の分離・同定などに利用されています。生体成分の多くには糖鎖が結合していることが知られており、レクチンアフィニティーカラムを利用した糖タンパク質の分離も数多く報告されています。

糖タンパク質の糖鎖は、アスパラギン(Asn)残基に結合するN-結合型糖鎖とセリン(Ser)あるいはスレオニン(Thr)残基に結合するO-結合型(ムチン型)糖鎖に大別することができます。前者は高マンノース型、複合型、混成型糖鎖に分類され、さらに構造から2本鎖、3本鎖や還元末端がフコース修飾されたものなどに細分されます(図1)。

いずれの糖鎖も様々な修飾を受けて非常に多様な構造を取ることが知られています。糖タンパク質の多くは複数の糖鎖を持つことが多く、糖鎖自体も複雑な混合物であるため、レクチンとの親和性だけで特定の糖タンパク質を分離精製することは難しいと言えます。しかし、レクチンアフィニティークロマトグラフィーを糖タンパク質の精製ステップに加えることで精製工程を簡略化することができ、収率の向上も期待されます。

レクチンの特異性

HiTrap Lectin テストキットに含まれる4種類のレクチン(Con A, LCA, WGA,PNA)はそれぞれ幅広い種類の糖鎖を認識し、糖鎖に対する結合特異性も大きく異なるため、大部分の糖タンパク質を糖鎖構造の違いにより分画することができます(表1)。Con A, LCAおよびWGAはN-結合型

糖鎖の母核構造であるα-マンノシル残基と親和性があります。Con Aは高マンノース型および混成型糖鎖に強い親和性を示し、複合型2本鎖に対しては弱い結合性を示します。LCAは還元末端側がフコース修飾された糖鎖と結合します。また、WGAはBisect型糖鎖と強く結合しますが、非還元末端型のシアル酸クラスター構造とも新和性を示します。一方、PNAはN-結合型糖鎖には全く親和性がなく、O-結合型糖鎖(特に T抗原)と強く結合します。このように、4種類のレ

Lectin affinity chromatography as convenient tools forglycoprotein purification

レクチンは糖鎖を特異的に認識するというユニークな特性により、糖鎖の分析や分離に幅広く利用されています。近年、細胞間の相互作用やシグナル伝達に膜タンパク質や分泌タンパク質が重要な働きを持つことが知られるにいたって、糖鎖を持つこれらのタンパク質を簡便に精製する手法が求められています。HiTrap Lectinテストキットは4種類[Concanavalin A (Con A),Lentil Lectin (LCA),Wheat Germ Lectin (WGA),PeanutLectin (PNA)] のレクチンカラムからなり、大部分の糖タンパク質の精製に使用することができます。ここではレクチンアフィニティークロマトグラフィーによる糖タンパク質の精製例について紹介します。

HiTrap® Lectin テストキット

New!

HiTrap Lectin テストキット

クチンカラムを単独あるいは組み合わせて用いることにより、糖タンパク質の迅速な精製はもとより、糖鎖構造の推定を行うこともできます(図2)。

レクチンアフィニティークロマトグラフィー

レクチンカラムを用いた糖タンパク質精製の特徴は、分離条件が温和で生理活性への影響が少ないことです。レクチンカラムに結合した糖タンパク質はハプテン糖を含む緩衝液で溶出します。一般的に緩衝液は中性付近のものを用い、非特異的吸着を防ぐために150 mM程度のNaClを添加します。レクチンの多くは金属イオンが配位したタンパク質であるため、緩衝液中には1 mM程度のMn2+やCa2+を添加する必要があります。界面活性剤は糖鎖/レクチンの親和性に影響をおよぼしますが、0.1%SDSや0.1~2% Triton X-100存在下でも分離操作を行うことができます(1)。

Science Tools from Amersham Pharmacia Biotech 3, 3 (1998) 5

*1 L:Linear pH gradient, この他にNL:Non-Linear pH gradient(pH 5-7の範囲の分離をよくするためにゆるやかなpHの勾配)もご用意しています。

*2 この他、多種プレキャストゲルをご用意しています。また、ストリップホルダーは1本単位でも販売しています。詳細はバイオダイレクトラインまでお問い合わせください。

*3 システムの内容や価格等、詳細につきましては、バイオダイレクトラインまでお問い合わせください。

スや、2Dパターン情報のデータベースなどが利用できるようになっています。研究者自らがプロテオームデータベースを構築することはもとより、公開されたデータベースを十分活用することにより、生体分子の構造解析が迅速かつ活発に進むものと思われます。*インターネットデータベースのアドレスについては、同封の資料請求FAX用紙にてご請求ください。

参考文献

1. Wasinger VC. et al., Electrophoresis.16, 1090-1094(1995)

2. O'Farrell, P. H.et al.,J.Biol.Chem.,250, 4007-4021(1975)

3. O'Farrell P.H. et al., Cell. 12, 1133-1142(1977)

4. Bjellqvist B. et al., J Biochem BiophysMethods. 6, 317-339(1982)

5. Görg A. et al., Electrophoresis. 6, 599-604(1985)

6. Görg A. et al., Electrophoresis. 9, 531-546(1988)

7. Schägger H, et al., Anal Biochem. 166,368-379(1987)

8. Shevchenko, A. et al., Anal. Chem. 66,650-658(1996)

9. Science tools Vol.2 No,2, 7-9(1997)

boratorytml

ningsudwig, UK]

タベース

ase-Listail.html

図5: ImageMaster画像解析 検索図

図1:N-結合型糖鎖の構造

Galβ1→Galβ1→Galβ1→

Galβ1→Galβ1→

Manα1→Manα1→

Manα1→

Galβ1→

4GlcNAcβ14GlcNAcβ14GlcNAcβ1

4GlcNAcβ14GlcNAcβ1

2Manα12Manα1

2Manα1

Manα1Manα1

GlcNAcβ14GlcNAcβ1

4 6Manβ1→4GlcNAcβ1→4GlcNAc→Asn

↑ ↑

複合型

混成型

642

63

Manβ1→4GlcNAcβ1→4GlcNAc→Asn63

Manβ1→4GlcNAcβ1→4GlcNAc→Asn63

→→

→ 42

63

2

63

42

GlcNAcβ1 Fucα1↓ ↓

図4:pHレンジが異なるIPGストリップによる泳動結果の比較ヒトHepG2細胞抽出液をサンプルとし、膨潤と同時に13 cmの IPGストリップに添加後、一次元目はIPGphor、二次元目はSE600を用いて泳動し、PlusOne Protein 銀染色キットで検出しました。

複合型 なし ○ × × ×(2本鎖) Bisect ○ *1 × ○ ×

Fucose ○ ○ × ×

混成型 なし ○ × × ×Bisect ○ × ○ ×Fucose ○ ○ × ×

複合型 なし × × ○ *2 ×(3本鎖以上) Bisect × × ○ ×

Fucose × ○ ○ *2 ×

T抗原 × × × ○

N-結合型

O-結合型

○:結合する ×:結合しない*1:Bisecting GlucNACの存在により、ConAとの親和性はさらに弱まる。

*2:シアル酸クラスター構造との親和性による。

製品名 包装 コード番号 価格

Protein Analysis

結果と同等の結果を3時間20分で得ることができます。

検出

もっとも簡単なタンパク質検出方法は染色です。染色方法ごとに、染色感度、操作、定量性に違いがあるため目的に適した染色方法を用いる必要があります。クマシー染色は定量性に優れ、またタンパク質を修飾しないため、ゲルからのタンパク質の回収や一次構造解析に応用することができます。銀染色は放射能を用いない検出系の中で最も感度が高く、検出パターンが明瞭なため二次元電気泳動のパターン解析に最適です。ただタンパク質自身に修飾を施してしまうため、MSと組み合わせて使用する場合において、染色方法に若干の改変を加えることが必要になります(8)。

特異的なタンパク質を検出する場合、そのタンパク質に対する抗体が利用可能ならば、弊社のECLウエスタンブロッティングシステムを用い、化学発光法によりメンブレン上のマップの中から目的のタンパク質を高感度に検出することができます。

二次元電気泳動結果の比較

タンパク質マップを比較するには、新しく出現したスポットや消失したスポット、また発現量が減ったスポット等を検索する必要があります。そのためにはコンピュータ上でマップをデジタル化し、ソフトウエアで比較解析することが必要不可欠になります。このデジタル化した泳動結果から、微量なスポットのタンパク質量の違いを見出すためには、バックグラウンドの自動補正をはじめとするスポット情報の解析、保存、そして比較が必要です。また、データベース化が不可欠となります。

ImageMaster画像解析装置では、マップを解析し、データを蓄積することができます。またスポットの増減や、発現量に変

化があるスポットを検出することも可能です(図5)。また、データベースの作成により、莫大なデータの保存はもとよりユーザーが設定した種々の定性・定量的基準に基づいて検索をおこなうことができます。

このような画像解析後、興味あるスポットについてアミノ酸組成分析・ペプチド/MS マッピング・LC/MS解析等を使用してキャラクタリゼーションを行います(9)。

まとめ

プロテオーム解析において中核の手法となる二次元電気泳動法は、IPGストリップの利用や専用泳動装置の開発によって、結果を迅速・再現性よく検出することができるよう進歩を遂げてきました。また、近年多くのインターネットデータベース*が構築され、一次構造決定のためのデータベー

4 Science Tools from Amersham Pharmacia Biotech 3, 3 (1998)

ご注文情報

Immobiline DryStrip pH 3-10L*1, 18cm*2 12本 17-1234-01 ¥13,300ストリップホルダー 18cm*2 6本 80-6416-68 ¥240,000IPGphor 等電点電気泳動装置*3 1ユニット 80-6414-02 ¥1,350,000Multiphor II*3電気泳動装置 1ユニット 18-1018-06 ¥330,000ExcelGel XL SDS 12-14*2 3枚 17-1236-01 ¥17,000ExcelGel SDS Buffer Strip 6セット 17-1342-01 ¥6,000縦型電気泳動装置SE600*3 1ユニット 80-6171-77 ¥198,000Hoefer DALTマルチプル電気泳動ユニット*3 お問い合わせImageMaster 画像解析装置*3 お問い合わせ

Protein Purification

はじめに

レクチンは動植物を問わず生物界に幅広く存在する糖鎖に親和性を持つタンパク質の総称です。これまでに100種類以上のレクチンが分離され、その非常に高い特異性により糖鎖の分析・分類や細胞の分離・同定などに利用されています。生体成分の多くには糖鎖が結合していることが知られており、レクチンアフィニティーカラムを利用した糖タンパク質の分離も数多く報告されています。

糖タンパク質の糖鎖は、アスパラギン(Asn)残基に結合するN-結合型糖鎖とセリン(Ser)あるいはスレオニン(Thr)残基に結合するO-結合型(ムチン型)糖鎖に大別することができます。前者は高マンノース型、複合型、混成型糖鎖に分類され、さらに構造から2本鎖、3本鎖や還元末端がフコース修飾されたものなどに細分されます(図1)。

いずれの糖鎖も様々な修飾を受けて非常に多様な構造を取ることが知られています。糖タンパク質の多くは複数の糖鎖を持つことが多く、糖鎖自体も複雑な混合物であるため、レクチンとの親和性だけで特定の糖タンパク質を分離精製することは難しいと言えます。しかし、レクチンアフィニティークロマトグラフィーを糖タンパク質の精製ステップに加えることで精製工程を簡略化することができ、収率の向上も期待されます。

レクチンの特異性

HiTrap Lectin テストキットに含まれる4種類のレクチン(Con A, LCA, WGA,PNA)はそれぞれ幅広い種類の糖鎖を認識し、糖鎖に対する結合特異性も大きく異なるため、大部分の糖タンパク質を糖鎖構造の違いにより分画することができます(表1)。Con A, LCAおよびWGAはN-結合型

糖鎖の母核構造であるα-マンノシル残基と親和性があります。Con Aは高マンノース型および混成型糖鎖に強い親和性を示し、複合型2本鎖に対しては弱い結合性を示します。LCAは還元末端側がフコース修飾された糖鎖と結合します。また、WGAはBisect型糖鎖と強く結合しますが、非還元末端型のシアル酸クラスター構造とも新和性を示します。一方、PNAはN-結合型糖鎖には全く親和性がなく、O-結合型糖鎖(特に T抗原)と強く結合します。このように、4種類のレ

Lectin affinity chromatography as convenient tools forglycoprotein purification

レクチンは糖鎖を特異的に認識するというユニークな特性により、糖鎖の分析や分離に幅広く利用されています。近年、細胞間の相互作用やシグナル伝達に膜タンパク質や分泌タンパク質が重要な働きを持つことが知られるにいたって、糖鎖を持つこれらのタンパク質を簡便に精製する手法が求められています。HiTrap Lectinテストキットは4種類[Concanavalin A (Con A),Lentil Lectin (LCA),Wheat Germ Lectin (WGA),PeanutLectin (PNA)] のレクチンカラムからなり、大部分の糖タンパク質の精製に使用することができます。ここではレクチンアフィニティークロマトグラフィーによる糖タンパク質の精製例について紹介します。

HiTrap® Lectin テストキット

New!

HiTrap Lectin テストキット

クチンカラムを単独あるいは組み合わせて用いることにより、糖タンパク質の迅速な精製はもとより、糖鎖構造の推定を行うこともできます(図2)。

レクチンアフィニティークロマトグラフィー

レクチンカラムを用いた糖タンパク質精製の特徴は、分離条件が温和で生理活性への影響が少ないことです。レクチンカラムに結合した糖タンパク質はハプテン糖を含む緩衝液で溶出します。一般的に緩衝液は中性付近のものを用い、非特異的吸着を防ぐために150 mM程度のNaClを添加します。レクチンの多くは金属イオンが配位したタンパク質であるため、緩衝液中には1 mM程度のMn2+やCa2+を添加する必要があります。界面活性剤は糖鎖/レクチンの親和性に影響をおよぼしますが、0.1%SDSや0.1~2% Triton X-100存在下でも分離操作を行うことができます(1)。

Science Tools from Amersham Pharmacia Biotech 3, 3 (1998) 5

*1 L:Linear pH gradient, この他にNL:Non-Linear pH gradient(pH 5-7の範囲の分離をよくするためにゆるやかなpHの勾配)もご用意しています。

*2 この他、多種プレキャストゲルをご用意しています。また、ストリップホルダーは1本単位でも販売しています。詳細はバイオダイレクトラインまでお問い合わせください。

*3 システムの内容や価格等、詳細につきましては、バイオダイレクトラインまでお問い合わせください。

スや、2Dパターン情報のデータベースなどが利用できるようになっています。研究者自らがプロテオームデータベースを構築することはもとより、公開されたデータベースを十分活用することにより、生体分子の構造解析が迅速かつ活発に進むものと思われます。*インターネットデータベースのアドレスについては、同封の資料請求FAX用紙にてご請求ください。

参考文献

1. Wasinger VC. et al., Electrophoresis.16, 1090-1094(1995)

2. O'Farrell, P. H.et al.,J.Biol.Chem.,250, 4007-4021(1975)

3. O'Farrell P.H. et al., Cell. 12, 1133-1142(1977)

4. Bjellqvist B. et al., J Biochem BiophysMethods. 6, 317-339(1982)

5. Görg A. et al., Electrophoresis. 6, 599-604(1985)

6. Görg A. et al., Electrophoresis. 9, 531-546(1988)

7. Schägger H, et al., Anal Biochem. 166,368-379(1987)

8. Shevchenko, A. et al., Anal. Chem. 66,650-658(1996)

9. Science tools Vol.2 No,2, 7-9(1997)

boratorytml

ningsudwig, UK]

タベース

ase-Listail.html

図5: ImageMaster画像解析 検索図

図1:N-結合型糖鎖の構造

Galβ1→Galβ1→Galβ1→

Galβ1→Galβ1→

Manα1→Manα1→

Manα1→

Galβ1→

4GlcNAcβ14GlcNAcβ14GlcNAcβ1

4GlcNAcβ14GlcNAcβ1

2Manα12Manα1

2Manα1

Manα1Manα1

GlcNAcβ14GlcNAcβ1

4 6Manβ1→4GlcNAcβ1→4GlcNAc→Asn

↑ ↑

複合型

混成型

642

63

Manβ1→4GlcNAcβ1→4GlcNAc→Asn63

Manβ1→4GlcNAcβ1→4GlcNAc→Asn63

→→

→ 42

63

2

63

42

GlcNAcβ1 Fucα1↓ ↓

図4:pHレンジが異なるIPGストリップによる泳動結果の比較ヒトHepG2細胞抽出液をサンプルとし、膨潤と同時に13 cmの IPGストリップに添加後、一次元目はIPGphor、二次元目はSE600を用いて泳動し、PlusOne Protein 銀染色キットで検出しました。

複合型 なし ○ × × ×(2本鎖) Bisect ○ *1 × ○ ×

Fucose ○ ○ × ×

混成型 なし ○ × × ×Bisect ○ × ○ ×Fucose ○ ○ × ×

複合型 なし × × ○ *2 ×(3本鎖以上) Bisect × × ○ ×

Fucose × ○ ○ *2 ×

T抗原 × × × ○

N-結合型

O-結合型

○:結合する ×:結合しない*1:Bisecting GlucNACの存在により、ConAとの親和性はさらに弱まる。

*2:シアル酸クラスター構造との親和性による。

Protein Purification

応用例

レクチンカラムは精製した糖タンパク質の糖鎖構造解析や糖ペプチドの分離に数多くの報告がありますが、ここでは糖タンパク質の分析および精製にレクチンアフィニティークロマトグラフィーを利用した例を紹介します。

【レクチンカラムのスカウティング】

精製した乳がん特異的糖タンパク質をレクチンカラムクロマトグラフィーにより分析し、WGAおよびPNAに強く結合する糖鎖を持つことが示唆されました(2)。マウス血清からアナフィラキシーを阻害する因子の部分精製ではCon A, LCAおよびPNAカラムに対する結合性が検討されました(3)。

【可溶性糖タンパク質の精製】

巨核球増殖因子 Thrombopoietin (4)、RNA polymerase II 転写調節因子Sp1 (5)、などの精製ではそれぞれCon AとWGAおよびWGAカラムが使用されています。Thrombopoietinの精製ではWGAカラムの溶出画分をCon Aカラムでさらに精製しており、Sp1の精製ではWGAアフィニティークロマトグラフィーを行うことにより従来の精製法に比べて操作性および収率が改善されたことが示されました。

【膜タンパク質の精製】

レクチンカラムの結合活性は界面活性剤に対して比較的寛容なため、ミクロソーム糖タンパク質(6)、血小板セロトニントランスポーター(7)、白血球PNA結合タンパク質(8)などの膜タンパク質がレクチンアフィニティークロマトグラフィーにより精製されています。これらの報告で膜タンパク質の抽出に用いられた界面活性剤とレクチンカラムは、それぞれ 2% Triton X-100(Con A, WGA使用)、2 mM CHAPS (LCA使用)および0.2% Deoxycholate (PNA使用)でした。

【レセプタータンパク質の精製】

Sulfonylureaレセプター(9)、Interleukin 4(IL-4)レセプター (10)、PDGFレセプター(11)は、Con AあるいはWGAカラムを用いて精製されました。いずれの精製法でも膜画分からレセプタータンパク質の抽出には界面活性剤が使用されており、Sulfonylurea レ セ プ タ ー で は 1%Digitonin (Con A, WGA使用)、IL-4レセプターでは0.1% Triton X-100 (WGA使

用)、PDGFレセプターでは20 mM octyl β-D-glucoside (WGA使用) 存在下で精製が行われました。

【組換えタンパク質の精製】

金属プロテアーゼの一種である原生寄生虫のGP63タンパク質は、糖鎖を持つ組換えタンパク質として昆虫細胞発現系を用いて大量分泌発現され、Con Aカラムを用いて効果的に精製されました(12)。その他にもウサギ透明帯タンパク質(13)やインフルエンザウイルスHAタンパク質(14)なども、それぞれWGAおよびLCAカラムを用いて昆虫細胞抽出液から精製されました。

まとめ

HiTrap Lectin テストキットに含まれるレクチンは糖鎖の認識範囲が広く、糖タンパク質の精製で最も多く利用されています。これらのレクチンと糖鎖の結合は界面活性剤の影響を比較的受けにくく、TritonX-100やCHAPSなどの界面活性剤で可溶化した膜タンパク質の精製に応用することができます。細胞由来の生体成分の精製、高等生物による組換えタンパク質の発現が今後ますます盛んに行われることが予想され、レクチンアフィニティークロマトグラフィーは効果的な精製手法として重要性を増すものと思われます。

参考文献

1. Lotan R. et al., Biochemistry 16,1787-1794(1977)

2. Pancino G. et al., Br. J. Cancer 63,390-398(1991)

3. Astorquiza MI. et al., Immunol. 6,50-54(1996)

4. Hill R. et al., Exp. Hematol. 14, 752-759(1986)

5. Jackson SP. et al., Proc. Natl. Acad.Sci. U S A 86, 1781-1785(1989)

6. Okamoto CT. et al., Biochim.Biophys. Acta 1037, 360-372(1990)

7. Helmeste DM. et al., Eur. J.Pharmacol. 266, 327-331(1994)

8. Mansour MH. et al., Zoolog. Sci. 12,79-85(1995)

9. Nelson DA. et al., Biochemistry 35,14793-14799(1996)

10. Galizzi JP. et al., J. Biol. Chem. 265,439-444(1990)

11. Daniel TO. et al., Proc. Natl. Acad.Sci. U S A 82, 2684-2687(1985)

12. Button LL. et al., Gene 134, 75-81(1993)

13. Prasad SV. et al., Mol. Reprod. Dev.43, 519-529(1996)

14. Vanlandschoot P. et al., Arch Virol141, 1715-1726(1996)

6 Science Tools from Amersham Pharmacia Biotech 3, 3 (1998)

ご注文情報製品名 包装 コード番号 価格

HiTrap Lectin テストキット 1 ml x 4種 17-5109-01 ¥38,000 (HiTrap Con A, HiTrap Lentil Lectin, HiTrap Wheat Germ Lectin, HiTrap Peanut Lectin)HiTrap Con A 1 ml x 5本 17-5105-01 ¥35,000HiTrap Lentil Lectin 1 ml x 5本 17-5106-01 ¥38,000HiTrap Wheat Germ Lectin 1 ml x 5本 17-5107-01 ¥38,000HiTrap Peanut Lectin 1 ml x 5本 17-5108-01 ¥38,000

Protein Purification

はじめに

膜タンパク質の精製には、可溶化のために界面活性剤を用いることを除き、水溶性タンパク質と同様のクロマトグラフィー手法が用いられます。この場合すべての精製ステップを界面活性剤の存在下で行う必要がありますが、膜タンパク質はアグリゲーションや変性を起こす場合があります。よって、状況に応じて特定の画分に適した界面活性剤の濃度および種類を選択しなければなりません。また不安定で変性しやすいタンパク質を扱う際、多くの場合、低温下での迅速な精製プロトコールが必要になります。今回、膜内在性タンパク質cytochrome bo3 ubiquinol oxidase(cytochrome bo3)をE. coliでヒスチジンタグ融合タンパク質として発現させ、その精製を試みました。まず、低温において非イオン性界面活性剤存在下でHiTrapChelating カラムを用いて精製した後、次にイオン交換カラムMono Q HR 5/5およびゲルろ過カラムSuperdex 200 HR10/30によりその均一性を確認しました。

実験方法と結果

【サンプル調製】

ヒスチジンタグ融合cytochrome bo3 は分子量が130kDaで4つのサブユニットにより構成されおり(分子量はそれぞれ58,000、33,000、22,000、17,000 Da)、

サブユニットIIにはカルボキシル末端にヒスチジンタグが結合しています。膜分画は基本的にはRumbley et al.によって述べられている方法(1)で調製しました。沈殿させた膜分画1gに対して1% dodecyl-β-D-maltoside, 300 mM NaCl , 20 mM Tris-HCl バッファー, pH 7.5を10 ml添加し、30分間氷冷条件下で溶解しました。不溶物質は40,000 x g で20分間遠心分離操作を行って除去しました。

【HiTrap Chelating による一段階精製】

クロマトグラフィーシステムにはÄKTAFPLCを使用しました。ÄKTAFPLC

はUV280 nm、電気伝導度モニターを標準装備しており、高濃度の添加剤や低温条件でも安定した送液が可能な、あらゆるタンパク質の精製分取を想定したデザインになっています。

まず、dodecyl-β-D-maltoside溶液中で抽出した膜タンパク質(サンプル量8.5 ml)を、Superloopを用いてNi2+チャージ済みのHiTrap Chelating 1 mlカラムに添加しました(図1)。溶出は界面活性剤の存在下でイミダゾール濃度のグラジエントをかけて行いました。その結果2本の明確なピークが得られ、両ピークの画分にはcytochrome bo3に特有な色が見られました。S D S - P A G E により、両画分にcytochrome bo3と推定される4つのサブユ

Purification and chromatographic characterization ofan integral membrane protein

膜タンパク質について構造決定やその他の高度な解析研究を行うためには、純度および均一性の高い精製が要求されます。不純物が少なく、また分子の会合状態や荷電状態などが均一な精製タンパク質を得る必要があります。また精製の後にはSDS-PAGEのような純度解析の他、非変性条件下でのタンパク質の大きさや荷電状態の特性も調べなければなりません。今回はクロマトグラフィーシステムにÄKTAFPLCを用いて、低温、非イオン性界面活性剤の存在下で、膜タンパク質を高純度に精製し、さらにクロマトグラフィー手法を用いて精製タンパク質の均一性を同定した例をご紹介します。

ÄKTAFPLC®、HiTrap® ChelatingMono Q HR 5/5、Superdex 200 HR 10/30

New!

HiTrap Chelating

ニットが含まれていることがわかりました(図2)が、フラクション1には他に数本のバンドも見られました。さらにHiTrapChelating 5 ml カラムを用いて5倍にスケールアップしたところ、フラクション1および2にそれぞれ25 mgおよび18 mg のタンパク質が得られました(データ未掲載)。

Science Tools from Amersham Pharmacia Biotech 3, 3 (1998) 7

0 0

20

40

60

80

100

0 10 20 300

500

1000

1500

% B

ml

mAU

Fraction 1

Fraction 2

サンプル: E. coli膜を界面活性剤で抽出したもの8.5 ml

カラム: HiTrap Chelating 1 ml, (Ni2+チャージ済み)

結合バッファー: 20 mM Tris-HCl, pH 7.5, 5 mM imidazol, 0.03% dodecyl-β-D-maltoside, 300 mM NaCl

溶出バッファー: 20 mM Tris-HCl, pH 7.5, 500 mM imidazol, 0.03% dodecyl-β-D-maltoside, 300 mM NaCl

流速: 1 ml/minグラジエント: 0-60 %, 20CV温度: 5℃システム: ÄKTAFPLC

図1:HiTrap Chelating による精製

糖鎖�

Con A

LCA

LCA WGAWGA

WGAWGA

PNA

N-結合型糖鎖高マンノース型�2本鎖複合型�混成型�

O-結合型糖鎖�N-結合型糖鎖�3, 4本鎖複合型�

Bisect型分離�

Bisect型分離 Bisect型分離�

Bisect型分離�

Fucose修飾糖鎖分離�

Fucose修飾糖鎖分離�

O-結合型 (T抗原以外)�3, 4本鎖複合型�

Bisect 3, 4本鎖複合型�3, 4本鎖複合型� (シアル酸クラスター)

Fuc-Bisect 3, 4本鎖複合型�Fuc-3, 4本鎖複合型� (シアル酸クラスター)

Fuc-3, 4本鎖複合型�

高マンノース型�2本鎖複合型�混成型�

Bisect混成型�Fuc-2本鎖複合型�Fuc-混成型�

Fuc-Biosect混成型�

O-結合型 (T抗原)

Fuc-; 還元末端がフコースで修飾された糖鎖�

Concanavalin A (Con A) ; canavalia ensiformisLentil Lectin (LCA) ; Lens culinarisWheat Germ Lectin (WGA) ; Triticum vulgarePeanut Lectin (PNA) ; Arachis hypogaea

図2:レクチンカラムによる糖鎖の分離

Protein Purification

応用例

レクチンカラムは精製した糖タンパク質の糖鎖構造解析や糖ペプチドの分離に数多くの報告がありますが、ここでは糖タンパク質の分析および精製にレクチンアフィニティークロマトグラフィーを利用した例を紹介します。

【レクチンカラムのスカウティング】

精製した乳がん特異的糖タンパク質をレクチンカラムクロマトグラフィーにより分析し、WGAおよびPNAに強く結合する糖鎖を持つことが示唆されました(2)。マウス血清からアナフィラキシーを阻害する因子の部分精製ではCon A, LCAおよびPNAカラムに対する結合性が検討されました(3)。

【可溶性糖タンパク質の精製】

巨核球増殖因子 Thrombopoietin (4)、RNA polymerase II 転写調節因子Sp1 (5)、などの精製ではそれぞれCon AとWGAおよびWGAカラムが使用されています。Thrombopoietinの精製ではWGAカラムの溶出画分をCon Aカラムでさらに精製しており、Sp1の精製ではWGAアフィニティークロマトグラフィーを行うことにより従来の精製法に比べて操作性および収率が改善されたことが示されました。

【膜タンパク質の精製】

レクチンカラムの結合活性は界面活性剤に対して比較的寛容なため、ミクロソーム糖タンパク質(6)、血小板セロトニントランスポーター(7)、白血球PNA結合タンパク質(8)などの膜タンパク質がレクチンアフィニティークロマトグラフィーにより精製されています。これらの報告で膜タンパク質の抽出に用いられた界面活性剤とレクチンカラムは、それぞれ 2% Triton X-100(Con A, WGA使用)、2 mM CHAPS (LCA使用)および0.2% Deoxycholate (PNA使用)でした。

【レセプタータンパク質の精製】

Sulfonylureaレセプター(9)、Interleukin 4(IL-4)レセプター (10)、PDGFレセプター(11)は、Con AあるいはWGAカラムを用いて精製されました。いずれの精製法でも膜画分からレセプタータンパク質の抽出には界面活性剤が使用されており、Sulfonylurea レ セ プ タ ー で は 1%Digitonin (Con A, WGA使用)、IL-4レセプターでは0.1% Triton X-100 (WGA使

用)、PDGFレセプターでは20 mM octyl β-D-glucoside (WGA使用) 存在下で精製が行われました。

【組換えタンパク質の精製】

金属プロテアーゼの一種である原生寄生虫のGP63タンパク質は、糖鎖を持つ組換えタンパク質として昆虫細胞発現系を用いて大量分泌発現され、Con Aカラムを用いて効果的に精製されました(12)。その他にもウサギ透明帯タンパク質(13)やインフルエンザウイルスHAタンパク質(14)なども、それぞれWGAおよびLCAカラムを用いて昆虫細胞抽出液から精製されました。

まとめ

HiTrap Lectin テストキットに含まれるレクチンは糖鎖の認識範囲が広く、糖タンパク質の精製で最も多く利用されています。これらのレクチンと糖鎖の結合は界面活性剤の影響を比較的受けにくく、TritonX-100やCHAPSなどの界面活性剤で可溶化した膜タンパク質の精製に応用することができます。細胞由来の生体成分の精製、高等生物による組換えタンパク質の発現が今後ますます盛んに行われることが予想され、レクチンアフィニティークロマトグラフィーは効果的な精製手法として重要性を増すものと思われます。

参考文献

1. Lotan R. et al., Biochemistry 16,1787-1794(1977)

2. Pancino G. et al., Br. J. Cancer 63,390-398(1991)

3. Astorquiza MI. et al., Immunol. 6,50-54(1996)

4. Hill R. et al., Exp. Hematol. 14, 752-759(1986)

5. Jackson SP. et al., Proc. Natl. Acad.Sci. U S A 86, 1781-1785(1989)

6. Okamoto CT. et al., Biochim.Biophys. Acta 1037, 360-372(1990)

7. Helmeste DM. et al., Eur. J.Pharmacol. 266, 327-331(1994)

8. Mansour MH. et al., Zoolog. Sci. 12,79-85(1995)

9. Nelson DA. et al., Biochemistry 35,14793-14799(1996)

10. Galizzi JP. et al., J. Biol. Chem. 265,439-444(1990)

11. Daniel TO. et al., Proc. Natl. Acad.Sci. U S A 82, 2684-2687(1985)

12. Button LL. et al., Gene 134, 75-81(1993)

13. Prasad SV. et al., Mol. Reprod. Dev.43, 519-529(1996)

14. Vanlandschoot P. et al., Arch Virol141, 1715-1726(1996)

6 Science Tools from Amersham Pharmacia Biotech 3, 3 (1998)

ご注文情報製品名 包装 コード番号 価格

HiTrap Lectin テストキット 1 ml x 4種 17-5109-01 ¥38,000 (HiTrap Con A, HiTrap Lentil Lectin, HiTrap Wheat Germ Lectin, HiTrap Peanut Lectin)HiTrap Con A 1 ml x 5本 17-5105-01 ¥35,000HiTrap Lentil Lectin 1 ml x 5本 17-5106-01 ¥38,000HiTrap Wheat Germ Lectin 1 ml x 5本 17-5107-01 ¥38,000HiTrap Peanut Lectin 1 ml x 5本 17-5108-01 ¥38,000

Protein Purification

はじめに

膜タンパク質の精製には、可溶化のために界面活性剤を用いることを除き、水溶性タンパク質と同様のクロマトグラフィー手法が用いられます。この場合すべての精製ステップを界面活性剤の存在下で行う必要がありますが、膜タンパク質はアグリゲーションや変性を起こす場合があります。よって、状況に応じて特定の画分に適した界面活性剤の濃度および種類を選択しなければなりません。また不安定で変性しやすいタンパク質を扱う際、多くの場合、低温下での迅速な精製プロトコールが必要になります。今回、膜内在性タンパク質cytochrome bo3 ubiquinol oxidase(cytochrome bo3)をE. coliでヒスチジンタグ融合タンパク質として発現させ、その精製を試みました。まず、低温において非イオン性界面活性剤存在下でHiTrapChelating カラムを用いて精製した後、次にイオン交換カラムMono Q HR 5/5およびゲルろ過カラムSuperdex 200 HR10/30によりその均一性を確認しました。

実験方法と結果

【サンプル調製】

ヒスチジンタグ融合cytochrome bo3 は分子量が130kDaで4つのサブユニットにより構成されおり(分子量はそれぞれ58,000、33,000、22,000、17,000 Da)、

サブユニットIIにはカルボキシル末端にヒスチジンタグが結合しています。膜分画は基本的にはRumbley et al.によって述べられている方法(1)で調製しました。沈殿させた膜分画1gに対して1% dodecyl-β-D-maltoside, 300 mM NaCl , 20 mM Tris-HCl バッファー, pH 7.5を10 ml添加し、30分間氷冷条件下で溶解しました。不溶物質は40,000 x g で20分間遠心分離操作を行って除去しました。

【HiTrap Chelating による一段階精製】

クロマトグラフィーシステムにはÄKTAFPLCを使用しました。ÄKTAFPLC

はUV280 nm、電気伝導度モニターを標準装備しており、高濃度の添加剤や低温条件でも安定した送液が可能な、あらゆるタンパク質の精製分取を想定したデザインになっています。

まず、dodecyl-β-D-maltoside溶液中で抽出した膜タンパク質(サンプル量8.5 ml)を、Superloopを用いてNi2+チャージ済みのHiTrap Chelating 1 mlカラムに添加しました(図1)。溶出は界面活性剤の存在下でイミダゾール濃度のグラジエントをかけて行いました。その結果2本の明確なピークが得られ、両ピークの画分にはcytochrome bo3に特有な色が見られました。S D S - P A G E により、両画分にcytochrome bo3と推定される4つのサブユ

Purification and chromatographic characterization ofan integral membrane protein

膜タンパク質について構造決定やその他の高度な解析研究を行うためには、純度および均一性の高い精製が要求されます。不純物が少なく、また分子の会合状態や荷電状態などが均一な精製タンパク質を得る必要があります。また精製の後にはSDS-PAGEのような純度解析の他、非変性条件下でのタンパク質の大きさや荷電状態の特性も調べなければなりません。今回はクロマトグラフィーシステムにÄKTAFPLCを用いて、低温、非イオン性界面活性剤の存在下で、膜タンパク質を高純度に精製し、さらにクロマトグラフィー手法を用いて精製タンパク質の均一性を同定した例をご紹介します。

ÄKTAFPLC®、HiTrap® ChelatingMono Q HR 5/5、Superdex 200 HR 10/30

New!

HiTrap Chelating

ニットが含まれていることがわかりました(図2)が、フラクション1には他に数本のバンドも見られました。さらにHiTrapChelating 5 ml カラムを用いて5倍にスケールアップしたところ、フラクション1および2にそれぞれ25 mgおよび18 mg のタンパク質が得られました(データ未掲載)。

Science Tools from Amersham Pharmacia Biotech 3, 3 (1998) 7

0 0

20

40

60

80

100

0 10 20 300

500

1000

1500

% B

ml

mAU

Fraction 1

Fraction 2

サンプル: E. coli膜を界面活性剤で抽出したもの8.5 ml

カラム: HiTrap Chelating 1 ml, (Ni2+チャージ済み)

結合バッファー: 20 mM Tris-HCl, pH 7.5, 5 mM imidazol, 0.03% dodecyl-β-D-maltoside, 300 mM NaCl

溶出バッファー: 20 mM Tris-HCl, pH 7.5, 500 mM imidazol, 0.03% dodecyl-β-D-maltoside, 300 mM NaCl

流速: 1 ml/minグラジエント: 0-60 %, 20CV温度: 5℃システム: ÄKTAFPLC

図1:HiTrap Chelating による精製

糖鎖�

Con A

LCA

LCA WGAWGA

WGAWGA

PNA

N-結合型糖鎖高マンノース型�2本鎖複合型�混成型�

O-結合型糖鎖�N-結合型糖鎖�3, 4本鎖複合型�

Bisect型分離�

Bisect型分離 Bisect型分離�

Bisect型分離�

Fucose修飾糖鎖分離�

Fucose修飾糖鎖分離�

O-結合型 (T抗原以外)�3, 4本鎖複合型�

Bisect 3, 4本鎖複合型�3, 4本鎖複合型� (シアル酸クラスター)

Fuc-Bisect 3, 4本鎖複合型�Fuc-3, 4本鎖複合型� (シアル酸クラスター)

Fuc-3, 4本鎖複合型�

高マンノース型�2本鎖複合型�混成型�

Bisect混成型�Fuc-2本鎖複合型�Fuc-混成型�

Fuc-Biosect混成型�

O-結合型 (T抗原)

Fuc-; 還元末端がフコースで修飾された糖鎖�

Concanavalin A (Con A) ; canavalia ensiformisLentil Lectin (LCA) ; Lens culinarisWheat Germ Lectin (WGA) ; Triticum vulgarePeanut Lectin (PNA) ; Arachis hypogaea

図2:レクチンカラムによる糖鎖の分離

Cell Proliferation

はじめに

In vitroで細胞増殖を検出することは昔からさまざまな方法で行われています。直接細胞数を顕微鏡下で数えたりすることが基本ですが、多数のサンプルの処理には適していません。そこで、多数のサンプルを簡単に処理することを目的にさまざまな方法が開発されてきました。生細胞数をその代謝物の産生量を測定し、細胞増殖の指標とするという方法などです。現在広く行われているのはMTTを使用した測定法です。MTTは生細胞中のミトコンドリア内膜の酵素で開裂します。これを可溶化し測定します。このアッセイはマイクロタイタープレートで行え、多数のサンプル処理も可能です。しかし、このような測定法は時に真の細胞増殖を検出できません。リンパ球に抗原特異的な刺激を行った場合など、増殖細胞が全体の細胞数に比べ非常に少なく、大多数の非増殖細胞のバックグラウンドにより真の増殖細胞数の測定は困難です。また、3T3細胞などを用い成長因子活性の短期的測定を行うと、生細胞数や細胞の変化が起こらずDNA合成だけが誘導されるためMTTでは検出できません。

一方、細胞増殖ではDNAの複製が必ず行われるので、DNA合成量の測定は細胞増殖の検出の間接法として適した方法です。この測定には一般的に[3H]-thymidineが使用されています。しかし、[ 3H] -thymidineはRIなので、廃棄の問題、危険性、煩雑さ等が指摘されます。

そのため、RIを用いずにDNA合成量を指標とした細胞増殖測定法のニーズが高まっています。

BIOTRAK cell proliferation ELISA

このシステムは5-bromo-2'-deoxyuridine(BrdU)をDNAに取り込ませ、そのBrdUを抗BrdU抗体で検出します。この方法で

Measurement of the proliferation of allogeneic stimu-lated human PBLs (mixed lymphocyte reaction, MLR)by Non-RI ELISA system

Mixed lymphocyte reaction (MLR)はT細胞が抗原によって刺激されて増殖を起こすいわゆるリンパ球幼若化反応の特殊な例で、主要組織適合型が異なる同種抗原の認識により起こります。この試験法には [3H]-thymidineが用いられてきましたが、cellproliferation ELISA system, version2を用いることで、アイソトープを用いずELISAプレート上でMLRを簡便に行うことができます。ここでは細胞増殖の測定とMLRで、[3H]-thymidine を使用した場合との比較についてご紹介します。

Cell proliferation ELISA system,version2

は抗BrdU抗体の特異性がポイントになります。抗BrdU抗体はいくつも開発されており(1)、その抗体を使用した応用もさまざまです。最初に開発された方法は、免疫組織化学的に検出・定量するもので、多数のサンプルを処理するのには向いていませんでした。

1985年、PorstmannらははじめてBrdUの取り込みをEIAで測定し、細胞増殖を検出

する方法を報告しました(2) 。

BIOTRAK システムに使用している抗BrdUモノクローナル抗体(BU-1)は酸処理等のDNA変成なしに、正確、高感度に取り込まれたBrdUを認識します(3)。cell proliferation キットを用いれば、免疫組織化学的に細胞形態を保持したまま観察が可能ですし、多重染色も可能です(図1)。

cell proliferation ELISA システムはこのBU-1抗体を用い、マイクロタイタープレート上で増殖細胞に取り込まれたBrdUを、簡単・迅速・正確に測定できます。このシステムはさまざまな付着/浮遊細胞のいろいろな実験系で使用できます(図1)。

さらにこのシステムでの測定結果は種々の細胞において[3H]-thymidineの取り込みと非常に高い相関を示します(図2)。

混合リンパ球反応 (MLR) 試験

MLRは相異なるリンパ球を混合培養すると幼若化がおきるという現象で

Science Tools from Amersham Pharmacia Biotech 3, 3 (1998) 9

Protein Purification

【荷電状態の確認】

精製したcytochrome bo3の純度および荷電状態の均一性の評価を、非イオン性界面活性剤octyl-β-D-glucoside の存在下、非変性条件で、Mono Q HR 5/5を用いた陰イオン交換クロマトグラフィーにより行いました。フラクション1は1本のメインピークで溶出されましたが、微量の不純物と思われる数本の小さなピークも観察されました(図3a)。これはSDS-PAGEによる分析結果と一致します(図2)。一方フラクション2については1本の鋭いピークが得られました(図3b)。これらの結果はSDS-PAGEの純度検定の結果と一致しており、フラクション2中の物質の荷電状態は均一であることが確認されました。

【サイズ特性の同定】

精製したcytochrome bo3の分子量の測定を、1.5% octyl-β-D-glucosideを用いた非変性条件下で、Superdex 200 HR10/30を用いたゲルろ過クロマトグラフィーによって行いました(図4)。まずLMWおよびHMW 分子量測定用マーカー(ゲルろ過用)を使い、各々の標準タンパク質の溶出位置により算出された分配係数(Kav)と分子量の関係を表した選択曲線を作成しました(データ未掲載)。その選択曲線を用いて、界面活性剤-cytochrome bo3

の複合分子の分子量を計算したところ、160 kDa±5 kDaとなりました。この値は界面活性剤の可変性等によって実際より低く見積もられていることが予想されますが、cytochrome bo3はモノマーとして存在することが分かりました。またメインピークのショルダーを形成している小さなピークは、タンパク質を含まない界面活性剤のミセル形成によるものと推察されます。

まとめ

組換え膜タンパク質cytochrome bo3を低温条件、非イオン性界面活性剤の存在下でÄKTAFPLCを用いたアフィニティークロマトグラフィーにより一段階精製を行い、その後さらに他のクロマトグラフィー手法を用いて特性の同定を行いました。HiTrap Chelating カラムに吸着されたタンパク質はイミダゾールのグラジエント溶出により2つのピークとして明確に分離され、そのどちらのピークにもcytochrome bo3が含まれていました。

さらに続いて同システムを用いて行ったイオン交換クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィーにより精製されたcytochrome bo3の荷電状態および分子量が均一であることが確認されました。

謝辞

この精製プロトコールはSo Isawa 博士およびJaff Abramson 氏(Depertment ofBiochemistry, Upsala University, Sweden)の協力のもとに開発され、この研究はEUGrant BIO4-CT97-2357(DG12-SSMI)"New approches in the crystallization andcrystallography of membrane proteins"にサポートされました。

参考文献

1. Rumbley,J.N. et al.,Biochim.Biophys.Acta 1340,131-142(1997)

8 Science Tools from Amersham Pharmacia Biotech 3, 3 (1998)

ご注文情報製品名 包装/カラムサイズ コード番号 価格 キャンペーン価格

ÄKTAFPLC* 18-1129-78 ¥5,500,000 ¥4,600,000

HiTrap Chelating 1 ml x 5 17-0408-01 ¥9,9005 ml x 1 17-0409-01 ¥8,900

Mono Q HR 5/5 0.5 X 5 cm 17-0546-01 ¥147,000Superdex 200 HR 10/30 1.0 x 30 cm 17-1088-01 ¥190,000

*スタンダードシステム:ポンプP-920、UV・電気伝導度・pHモニターUPC-900(254, 280 nm フィルター付属)、フラクションコレクター、コンピュータ、プリンターを含む。またÄKTAFPLC用の各種カラムセットを取りそろえております。オプションとしてpH電極やサンプルポンプ等もご用意しておりますので、詳細はバイオダイレクトラインまでお問い合わせください。

0 10 200

20

40

60

80

% B

ml

100

0

10

20

30

40

50

60mAU

0

20

40

60

80

100

0 10 200

10

20

30

40

50

60

ml

% BmAU

レーン1: LMWマーカーキット(電気泳動用)

レーン2: E. coli膜を界面活性剤で抽出したもの

レーン3: フロースルー画分レーン4: HiTrap Chelating 1 ml で

得られたフラクション1レーン5: HiTrap Chelating 1 ml で

得られたフラクション2

使用ゲル: PhastGel Gradient 8~25

システム: PhastSystem検出: 銀染色

カラム: Mono Q HR 5/5結合バッファー:20 mM Tris-HCl, pH 7.5,

1% octyl-β-D-glucoside溶出バッファー:20 mM Tris-HCl, pH 7.5,

1% octyl-β-D-glucoside, 1 M NaClグラジエント: 0-50%, 20 CV流速: 1 ml/min温度: 5 ℃システム: ÄKTAFPLC

カラム: Superdex 200 HR 10/30バッファー: 20 mM Tris-HCl,pH 7.5, 1.5%

octyl-β-D-glucoside, 150 mM NaCl流速: 0.25 ml/min温度: 5℃システム: ÄKTAFPLC

図2:HiTrap Chelatingによる精製後のSDS-PAGE

1 2 3 4 5

図3:Mono Q HR 5/5による荷電状態の確認

a)サンプル:結合バッファーで10倍希釈したフラクション1, 2.5 ml

b)サンプル:結合バッファーで10倍希釈したフラクション2, 3 ml

図4:Superdex 200 HR 10/30 における分子量の測定

b)サンプル:HiTrap Chelating 1 ml より得られたフラクション2

a)サンプル:HiTrap Chelating 1 ml より得られたフラクション1

0 5 10 15 20

20

40

60

0

2

4

6

8

10

mAU mS/cm

ml

11.84

0 5 10 15 20

20

40

60

0

2

4

6

8

10

mAU mS/cm

ml

11.94

マイクロタイタープレート上で細胞を培養(1~5 days, 37℃)�

BrdUで標識(2~24 hr, 37℃)�

浮遊細胞� 付着細胞�

固定化剤を加えインキュベーション(30 min, RT)�

固定化剤除去�ブロッキング剤を加えインキュベーション(30 min, RT)�

ブロッキング剤除去�Peroxidase標識抗BrdU抗体を加えインキュベーション�

(30~120 min, RT)�

洗浄3回�

基質を加える(5~30 min, RT)�

反応停止・吸光度測定(450 nm)�

BrdU標識試薬を除去�マイクロタイタープレートを乾燥�(15 min, ドライヤー使用)�

BrdU標識試薬を除去�

図1:cell proliferation ELISAプロトコール

Cell Proliferation

はじめに

In vitroで細胞増殖を検出することは昔からさまざまな方法で行われています。直接細胞数を顕微鏡下で数えたりすることが基本ですが、多数のサンプルの処理には適していません。そこで、多数のサンプルを簡単に処理することを目的にさまざまな方法が開発されてきました。生細胞数をその代謝物の産生量を測定し、細胞増殖の指標とするという方法などです。現在広く行われているのはMTTを使用した測定法です。MTTは生細胞中のミトコンドリア内膜の酵素で開裂します。これを可溶化し測定します。このアッセイはマイクロタイタープレートで行え、多数のサンプル処理も可能です。しかし、このような測定法は時に真の細胞増殖を検出できません。リンパ球に抗原特異的な刺激を行った場合など、増殖細胞が全体の細胞数に比べ非常に少なく、大多数の非増殖細胞のバックグラウンドにより真の増殖細胞数の測定は困難です。また、3T3細胞などを用い成長因子活性の短期的測定を行うと、生細胞数や細胞の変化が起こらずDNA合成だけが誘導されるためMTTでは検出できません。

一方、細胞増殖ではDNAの複製が必ず行われるので、DNA合成量の測定は細胞増殖の検出の間接法として適した方法です。この測定には一般的に[3H]-thymidineが使用されています。しかし、[ 3H] -thymidineはRIなので、廃棄の問題、危険性、煩雑さ等が指摘されます。

そのため、RIを用いずにDNA合成量を指標とした細胞増殖測定法のニーズが高まっています。

BIOTRAK cell proliferation ELISA

このシステムは5-bromo-2'-deoxyuridine(BrdU)をDNAに取り込ませ、そのBrdUを抗BrdU抗体で検出します。この方法で

Measurement of the proliferation of allogeneic stimu-lated human PBLs (mixed lymphocyte reaction, MLR)by Non-RI ELISA system

Mixed lymphocyte reaction (MLR)はT細胞が抗原によって刺激されて増殖を起こすいわゆるリンパ球幼若化反応の特殊な例で、主要組織適合型が異なる同種抗原の認識により起こります。この試験法には [3H]-thymidineが用いられてきましたが、cellproliferation ELISA system, version2を用いることで、アイソトープを用いずELISAプレート上でMLRを簡便に行うことができます。ここでは細胞増殖の測定とMLRで、[3H]-thymidine を使用した場合との比較についてご紹介します。

Cell proliferation ELISA system,version2

は抗BrdU抗体の特異性がポイントになります。抗BrdU抗体はいくつも開発されており(1)、その抗体を使用した応用もさまざまです。最初に開発された方法は、免疫組織化学的に検出・定量するもので、多数のサンプルを処理するのには向いていませんでした。

1985年、PorstmannらははじめてBrdUの取り込みをEIAで測定し、細胞増殖を検出

する方法を報告しました(2) 。

BIOTRAK システムに使用している抗BrdUモノクローナル抗体(BU-1)は酸処理等のDNA変成なしに、正確、高感度に取り込まれたBrdUを認識します(3)。cell proliferation キットを用いれば、免疫組織化学的に細胞形態を保持したまま観察が可能ですし、多重染色も可能です(図1)。

cell proliferation ELISA システムはこのBU-1抗体を用い、マイクロタイタープレート上で増殖細胞に取り込まれたBrdUを、簡単・迅速・正確に測定できます。このシステムはさまざまな付着/浮遊細胞のいろいろな実験系で使用できます(図1)。

さらにこのシステムでの測定結果は種々の細胞において[3H]-thymidineの取り込みと非常に高い相関を示します(図2)。

混合リンパ球反応 (MLR) 試験

MLRは相異なるリンパ球を混合培養すると幼若化がおきるという現象で

Science Tools from Amersham Pharmacia Biotech 3, 3 (1998) 9

Protein Purification

【荷電状態の確認】

精製したcytochrome bo3の純度および荷電状態の均一性の評価を、非イオン性界面活性剤octyl-β-D-glucoside の存在下、非変性条件で、Mono Q HR 5/5を用いた陰イオン交換クロマトグラフィーにより行いました。フラクション1は1本のメインピークで溶出されましたが、微量の不純物と思われる数本の小さなピークも観察されました(図3a)。これはSDS-PAGEによる分析結果と一致します(図2)。一方フラクション2については1本の鋭いピークが得られました(図3b)。これらの結果はSDS-PAGEの純度検定の結果と一致しており、フラクション2中の物質の荷電状態は均一であることが確認されました。

【サイズ特性の同定】

精製したcytochrome bo3の分子量の測定を、1.5% octyl-β-D-glucosideを用いた非変性条件下で、Superdex 200 HR10/30を用いたゲルろ過クロマトグラフィーによって行いました(図4)。まずLMWおよびHMW 分子量測定用マーカー(ゲルろ過用)を使い、各々の標準タンパク質の溶出位置により算出された分配係数(Kav)と分子量の関係を表した選択曲線を作成しました(データ未掲載)。その選択曲線を用いて、界面活性剤-cytochrome bo3

の複合分子の分子量を計算したところ、160 kDa±5 kDaとなりました。この値は界面活性剤の可変性等によって実際より低く見積もられていることが予想されますが、cytochrome bo3はモノマーとして存在することが分かりました。またメインピークのショルダーを形成している小さなピークは、タンパク質を含まない界面活性剤のミセル形成によるものと推察されます。

まとめ

組換え膜タンパク質cytochrome bo3を低温条件、非イオン性界面活性剤の存在下でÄKTAFPLCを用いたアフィニティークロマトグラフィーにより一段階精製を行い、その後さらに他のクロマトグラフィー手法を用いて特性の同定を行いました。HiTrap Chelating カラムに吸着されたタンパク質はイミダゾールのグラジエント溶出により2つのピークとして明確に分離され、そのどちらのピークにもcytochrome bo3が含まれていました。

さらに続いて同システムを用いて行ったイオン交換クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィーにより精製されたcytochrome bo3の荷電状態および分子量が均一であることが確認されました。

謝辞

この精製プロトコールはSo Isawa 博士およびJaff Abramson 氏(Depertment ofBiochemistry, Upsala University, Sweden)の協力のもとに開発され、この研究はEUGrant BIO4-CT97-2357(DG12-SSMI)"New approches in the crystallization andcrystallography of membrane proteins"にサポートされました。

参考文献

1. Rumbley,J.N. et al.,Biochim.Biophys.Acta 1340,131-142(1997)

8 Science Tools from Amersham Pharmacia Biotech 3, 3 (1998)

ご注文情報製品名 包装/カラムサイズ コード番号 価格 キャンペーン価格

ÄKTAFPLC* 18-1129-78 ¥5,500,000 ¥4,600,000

HiTrap Chelating 1 ml x 5 17-0408-01 ¥9,9005 ml x 1 17-0409-01 ¥8,900

Mono Q HR 5/5 0.5 X 5 cm 17-0546-01 ¥147,000Superdex 200 HR 10/30 1.0 x 30 cm 17-1088-01 ¥190,000

*スタンダードシステム:ポンプP-920、UV・電気伝導度・pHモニターUPC-900(254, 280 nm フィルター付属)、フラクションコレクター、コンピュータ、プリンターを含む。またÄKTAFPLC用の各種カラムセットを取りそろえております。オプションとしてpH電極やサンプルポンプ等もご用意しておりますので、詳細はバイオダイレクトラインまでお問い合わせください。

0 10 200

20

40

60

80

% B

ml

100

0

10

20

30

40

50

60mAU

0

20

40

60

80

100

0 10 200

10

20

30

40

50

60

ml

% BmAU

レーン1: LMWマーカーキット(電気泳動用)

レーン2: E. coli膜を界面活性剤で抽出したもの

レーン3: フロースルー画分レーン4: HiTrap Chelating 1 ml で

得られたフラクション1レーン5: HiTrap Chelating 1 ml で

得られたフラクション2

使用ゲル: PhastGel Gradient 8~25

システム: PhastSystem検出: 銀染色

カラム: Mono Q HR 5/5結合バッファー:20 mM Tris-HCl, pH 7.5,

1% octyl-β-D-glucoside溶出バッファー:20 mM Tris-HCl, pH 7.5,

1% octyl-β-D-glucoside, 1 M NaClグラジエント: 0-50%, 20 CV流速: 1 ml/min温度: 5 ℃システム: ÄKTAFPLC

カラム: Superdex 200 HR 10/30バッファー: 20 mM Tris-HCl,pH 7.5, 1.5%

octyl-β-D-glucoside, 150 mM NaCl流速: 0.25 ml/min温度: 5℃システム: ÄKTAFPLC

図2:HiTrap Chelatingによる精製後のSDS-PAGE

1 2 3 4 5

図3:Mono Q HR 5/5による荷電状態の確認

a)サンプル:結合バッファーで10倍希釈したフラクション1, 2.5 ml

b)サンプル:結合バッファーで10倍希釈したフラクション2, 3 ml

図4:Superdex 200 HR 10/30 における分子量の測定

b)サンプル:HiTrap Chelating 1 ml より得られたフラクション2

a)サンプル:HiTrap Chelating 1 ml より得られたフラクション1

0 5 10 15 20

20

40

60

0

2

4

6

8

10

mAU mS/cm

ml

11.84

0 5 10 15 20

20

40

60

0

2

4

6

8

10

mAU mS/cm

ml

11.94

マイクロタイタープレート上で細胞を培養(1~5 days, 37℃)�

BrdUで標識(2~24 hr, 37℃)�

浮遊細胞� 付着細胞�

固定化剤を加えインキュベーション(30 min, RT)�

固定化剤除去�ブロッキング剤を加えインキュベーション(30 min, RT)�

ブロッキング剤除去�Peroxidase標識抗BrdU抗体を加えインキュベーション�

(30~120 min, RT)�

洗浄3回�

基質を加える(5~30 min, RT)�

反応停止・吸光度測定(450 nm)�

BrdU標識試薬を除去�マイクロタイタープレートを乾燥�(15 min, ドライヤー使用)�

BrdU標識試薬を除去�

図1:cell proliferation ELISAプロトコール

溶性画分にインタクトなGST融合タンパク質が発現する量を比較しました。この実験で行った菌株の中ではBL21を宿主とした場合のみがインタクトな可溶性の融合タンパク質を発現していることがわかります。

可溶性画分の増収

大腸菌内で外来タンパク質を高レベルで発現するとき、封入体という不溶性画分を形成する事があります。封入体により、可溶性画分では不安定な融合タンパク質を活性のある状態で精製できる可能性もありますが、融合タンパク質の可溶化と再構成のステップで、必ずしも活性のあるタンパク質を高い収量で得られるとは限りません。

Gene Expression

はじめに

大腸菌内でタンパク質を発現させることにより必要なタンパク質を大量に手に入れることができます。この組換えタンパク質は抗原やワクチンの産生、分子免疫学、構造、生化学、細胞生物学など幅広い研究分野に応用することができます。融合タンパク質の発現・精製系の中でも最も広く用いられている系の一つにGlutathione-S-Transferase (GST) Gene Fusion Systemがあります(1)。GST Gene Fusion Systemは大腸菌を用いてGST融合タンパク質を発現、精製、検出を行う完全なシステムです。しかしながら、一般的に大腸菌で組み換え融合タンパク質を得る系では、全長の可溶性タンパク質の生産・精製を成功させるために障害となる要因がたくさん存在します(2)。ここではそれらいくつかの障害を解消するためのガイドラインとして、クローニングや発現に用いる大腸菌の選択方法や培養条件のモニタリング、可溶性発現の至適化の方法などについて述べます。

クローニングおよび形質転換

pGEXベクターに挿入したインサートの発現は、IPTGにより誘導されるtacプロモーターにより制御されています。また、すべてのpGEXベクターは、lac Iq遺伝子を組み込んであります。この lac Iq遺伝子産物は、リプレッサータンパク質としてtacプロモーターのオペレーター部位に結合し、IPTGにより誘導されるまで発現を抑制する役割を果たします。

pGEXベクターは、誘導条件下で融合タンパク質を高レベルで発現することができ

ます。しかし、非誘導条件下でも、lac Iq

遺伝子の3'末端とtacプロモーターの間に位置する lacプロモーターから少量の基礎レベルの発現(“leak expression”)があります。導入した遺伝子産物が宿主にとって毒性がある場合、宿主の増殖を阻害する可能性があります。このような場合、グルコースのような炭素源を培地に加えると lacプロモーターと結合し、その発現活性を抑えることができます。これをカタボライトリプレッションといい、2%グルコースの存在下でのカタボライトリプレッションの作用は、lacプロモーターによる基礎レベル発現を最少にしますが、IPTG誘導後のtacプロモーターによる発現には影響を及ぼしません。このようなことから、形質転換、保存、及び増殖培養はグルコース存在下で行うことを推奨します。

宿主の株

pGEXベクターを用いてのクローニング・発現には、ほとんどの大腸菌株を使うことができますが、融合タンパク質の発現、特に全長の融合タンパク質を最大限に発現させるために最も適しているものは、細胞内在性プロテアーゼの遺伝子-例えば、lon, ompT, degP, htpRなどに欠損のある株です。これは宿主による融合タンパク質の分解を最少にすることができるためです(3-6)。大腸菌株の一例としては、BL21が挙げられます。この株は、OmpTとLonのプロテアーゼが欠損しています。宿主を選択することにより、インタクトな可溶性融合タンパク質の収量を上げることができます。図1では、宿主の菌株を変更して、可

Troubleshooting GST fusion protein expression inE.coli

インタクトな可溶型Glutathione-S-Transferase (GST)融合タンパク質を得るためには、いくつか至適化すべきポイントがあります。ここでは、GST-luciferase 融合タンパク質の発現における宿主の選択、培養温度、誘導時の細胞の密度および時間について検討しました。例えば、この融合タンパク質では、大腸菌BL21株を用いて28℃で培養した時、他の菌株、培養条件の時より良い結果が得られています。

GST Gene Fusion System

GST Gene Fusion System

Science Tools from Amersham Pharmacia Biotech 3, 3 (1998) 11

Cell Proliferation

す。MLRの概念を図 3に示しました。MLRの応用例としては

・細胞性免疫能の測定

・免疫抑制因子の検索

・薬剤の免疫抑制作用の検索

・細胞性免疫反応機構の解析

等があげられます。

MLR試験を行った例を次に示します。一方向MLRでは一方の細胞増殖のみが測定され、二方向MLRでは2つの細胞群による相互の細胞増殖が測定されます。実験操作は表1、2に示しました。表2で示す実験系での結果は図4に示したように細胞増殖はTMB基質の発色量として測定されました。

まとめ

アマシャムファルマシアバイオテクのBIOTRAK cell proliferation ELISA システムは、[3H]-thymidineを用いた測定と非常に良い相関を示しますので、RIを用いずに簡便でしかも正確な細胞増殖の定量ができるシステムといえます。

参考文献

1. GRATZNER, H.G., Science, 218,pp.474-475, 1982.

10 Science Tools from Amersham Pharmacia Biotech 3, 3 (1998)

ご注文情報製品名 包装 コード番号 価格

Cell proliferation ELISA system, version2 10x96wells RPN250 ¥62,200

(関連製品)Cell proliferation kit(免疫組織化学法による検出) 100slides RPN20 ¥62,200Anti-BrdU antibody 10ml RPN202 ¥58,000

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

10 100 1000 104 105

Cells/well

Op

tic

al

De

ns

ity

2.5

2.0

1.5

1.0

0.5

0.01 765432

Sample number

Opt

ical

den

sity

One-way MLR Two-way MLR

A

4.0

3.2

2.4

1.6

0.8

0.01 765432

Sample number

[3 H]-

thym

idin

e (c

pm x

10-3

)

One-way MLR Two-way MLR

B

A B

BB

A

A

反応細胞� 刺激細胞� 芽球化細胞�

刺激細胞� 反応細胞�

〈1方向MLR〉�

A B

BB

A

A

反応細胞� 刺激細胞� 芽球化細胞�

刺激細胞� 反応細胞�

〈2方向MLR〉�

A

B

マイトマイシンC処理� HLA抗原�

(A) BrdUによる測定結果。(A)の実験法は表1を参照、

表1:MLR実験方法の概略

ドナーA(mitomycin C処理)

-

-

100µl

-

-

-

-

ドナーB(mitomycin C処理)

100µl

-

-

100µl

-

-

-

細胞培養液

100µl

100µl

-

-

-

-

-

サンプル番号

1

2

3

4

5

6

7

サンプル

刺激細胞コントロール

反応細胞コントロールI

反応細胞コントロールII

1方向MLR

同種細胞コントロールI

同種細胞コントロールII

2方向MLR

ドナーA

-

100µl

100µl

100µl

200µl

-

100µl

ドナーB

-

-

-

-

-

200µl

100µl

1) 各ドナーより、末梢血リンパ球を密度勾配遠心法で分離2) 培養液で洗浄後、1×106細胞/ml培養液に調製3) 刺激細胞コントロールおよび反応細胞コントロールⅡで用いる細胞のmitomycin C処理(終濃度25µg/ml)、

30分培養(37℃、5% CO2、90%湿度恒温槽中)4) mitomycin C処理細胞の洗浄5) 1×106細胞/mlに調製6) 表2のようにマイクロタイタープレートに分注する7) 細胞培養5日間(37℃、5% CO2、90%湿度恒温槽中)8) BrdU標識試薬を加え、更に24時間培養

cell proliferation ELISA system, version2のプロトコールに従って検出

0

10

20

30

40

50

10 100 1000 104 105

Cells/well

[3 H]–

thy

mid

ine

(c

pm

x 1

03 )

図2:Cell proliferation ELISAと[3H]-thymidineの測定値の比較(細胞数と測定値)L929細胞を24時間培養後 (A)BrdUあるいは(B) [3H]-thymidine加え、更に(●)2時間、(□)4時間、(▲)8時間、(*)24時間インキュベーションを行いました。

2. PORSTMANN,T., TERNYCK,T. andAVRAMEAS,S., J.Immunol.Methods,82, pp169-179, 1985.

3. GONCHOROFF, N.J. et.al.,Cytometry, 6, pp.506-512, 1985.

(B)は[3H]-thymidineを用いた標準的な実験法を用いました。

図4:ヒト末梢血リンパ球のMLR図3:混合リンパ球反応試験(MLR)

– Y

1090

– B

L21

– C

600

– B

L21-

fE3

– D

H10

B/p

GE

X 4

-T–

Y10

90–

BL2

1–

C60

0–

BL2

1-fE

3–

DH

10B

/pG

EX

-4T

– M

kDa– 67.0

– 43.0

– 30.0

GST-luciferase –

Sonicatedcell lysate

GlutathioneSepharose®

eluate

GST –

図1: 宿主と融合タンパク質の可溶性。pGEX-4Tにluciferase遺伝子を挿入したベクターを様々な宿主大腸菌に形質転換しました。培養は通常の条件で行いました(10)。融合タンパク質はGlutathione Sepharose 4Bで精製を行いました。なお、大腸菌DH10B株は、GST発現のコントロールとしてpGEX-4Tを形質転換しました。M=分子量マーカー。

〈一方向MLR〉刺激細胞コントロール:マイトマイシンC処理した刺激細胞のBrdU取り込み量反応細胞コントロールI:反応細胞の自然増殖反応細胞コントロールII:マイトマイシンC処理した反応細胞との混合による反応細胞の増殖(この値が高い場合は自己反応性が示唆される)

〈二方向MLR〉同種細胞コントロールI:反応細胞コントロールIの高密度条件での自然増殖同種細胞コントロールII:反応細胞コントロールIIの高密度条件での自然増殖

溶性画分にインタクトなGST融合タンパク質が発現する量を比較しました。この実験で行った菌株の中ではBL21を宿主とした場合のみがインタクトな可溶性の融合タンパク質を発現していることがわかります。

可溶性画分の増収

大腸菌内で外来タンパク質を高レベルで発現するとき、封入体という不溶性画分を形成する事があります。封入体により、可溶性画分では不安定な融合タンパク質を活性のある状態で精製できる可能性もありますが、融合タンパク質の可溶化と再構成のステップで、必ずしも活性のあるタンパク質を高い収量で得られるとは限りません。

Gene Expression

はじめに

大腸菌内でタンパク質を発現させることにより必要なタンパク質を大量に手に入れることができます。この組換えタンパク質は抗原やワクチンの産生、分子免疫学、構造、生化学、細胞生物学など幅広い研究分野に応用することができます。融合タンパク質の発現・精製系の中でも最も広く用いられている系の一つにGlutathione-S-Transferase (GST) Gene Fusion Systemがあります(1)。GST Gene Fusion Systemは大腸菌を用いてGST融合タンパク質を発現、精製、検出を行う完全なシステムです。しかしながら、一般的に大腸菌で組み換え融合タンパク質を得る系では、全長の可溶性タンパク質の生産・精製を成功させるために障害となる要因がたくさん存在します(2)。ここではそれらいくつかの障害を解消するためのガイドラインとして、クローニングや発現に用いる大腸菌の選択方法や培養条件のモニタリング、可溶性発現の至適化の方法などについて述べます。

クローニングおよび形質転換

pGEXベクターに挿入したインサートの発現は、IPTGにより誘導されるtacプロモーターにより制御されています。また、すべてのpGEXベクターは、lac Iq遺伝子を組み込んであります。この lac Iq遺伝子産物は、リプレッサータンパク質としてtacプロモーターのオペレーター部位に結合し、IPTGにより誘導されるまで発現を抑制する役割を果たします。

pGEXベクターは、誘導条件下で融合タンパク質を高レベルで発現することができ

ます。しかし、非誘導条件下でも、lac Iq

遺伝子の3'末端とtacプロモーターの間に位置する lacプロモーターから少量の基礎レベルの発現(“leak expression”)があります。導入した遺伝子産物が宿主にとって毒性がある場合、宿主の増殖を阻害する可能性があります。このような場合、グルコースのような炭素源を培地に加えると lacプロモーターと結合し、その発現活性を抑えることができます。これをカタボライトリプレッションといい、2%グルコースの存在下でのカタボライトリプレッションの作用は、lacプロモーターによる基礎レベル発現を最少にしますが、IPTG誘導後のtacプロモーターによる発現には影響を及ぼしません。このようなことから、形質転換、保存、及び増殖培養はグルコース存在下で行うことを推奨します。

宿主の株

pGEXベクターを用いてのクローニング・発現には、ほとんどの大腸菌株を使うことができますが、融合タンパク質の発現、特に全長の融合タンパク質を最大限に発現させるために最も適しているものは、細胞内在性プロテアーゼの遺伝子-例えば、lon, ompT, degP, htpRなどに欠損のある株です。これは宿主による融合タンパク質の分解を最少にすることができるためです(3-6)。大腸菌株の一例としては、BL21が挙げられます。この株は、OmpTとLonのプロテアーゼが欠損しています。宿主を選択することにより、インタクトな可溶性融合タンパク質の収量を上げることができます。図1では、宿主の菌株を変更して、可

Troubleshooting GST fusion protein expression inE.coli

インタクトな可溶型Glutathione-S-Transferase (GST)融合タンパク質を得るためには、いくつか至適化すべきポイントがあります。ここでは、GST-luciferase 融合タンパク質の発現における宿主の選択、培養温度、誘導時の細胞の密度および時間について検討しました。例えば、この融合タンパク質では、大腸菌BL21株を用いて28℃で培養した時、他の菌株、培養条件の時より良い結果が得られています。

GST Gene Fusion System

GST Gene Fusion System

Science Tools from Amersham Pharmacia Biotech 3, 3 (1998) 11

Cell Proliferation

す。MLRの概念を図 3に示しました。MLRの応用例としては

・細胞性免疫能の測定

・免疫抑制因子の検索

・薬剤の免疫抑制作用の検索

・細胞性免疫反応機構の解析

等があげられます。

MLR試験を行った例を次に示します。一方向MLRでは一方の細胞増殖のみが測定され、二方向MLRでは2つの細胞群による相互の細胞増殖が測定されます。実験操作は表1、2に示しました。表2で示す実験系での結果は図4に示したように細胞増殖はTMB基質の発色量として測定されました。

まとめ

アマシャムファルマシアバイオテクのBIOTRAK cell proliferation ELISA システムは、[3H]-thymidineを用いた測定と非常に良い相関を示しますので、RIを用いずに簡便でしかも正確な細胞増殖の定量ができるシステムといえます。

参考文献

1. GRATZNER, H.G., Science, 218,pp.474-475, 1982.

10 Science Tools from Amersham Pharmacia Biotech 3, 3 (1998)

ご注文情報製品名 包装 コード番号 価格

Cell proliferation ELISA system, version2 10x96wells RPN250 ¥62,200

(関連製品)Cell proliferation kit(免疫組織化学法による検出) 100slides RPN20 ¥62,200Anti-BrdU antibody 10ml RPN202 ¥58,000

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

10 100 1000 104 105

Cells/well

Op

tic

al

De

ns

ity

2.5

2.0

1.5

1.0

0.5

0.01 765432

Sample number

Opt

ical

den

sity

One-way MLR Two-way MLR

A

4.0

3.2

2.4

1.6

0.8

0.01 765432

Sample number

[3 H]-

thym

idin

e (c

pm x

10-3

)

One-way MLR Two-way MLR

B

A B

BB

A

A

反応細胞� 刺激細胞� 芽球化細胞�

刺激細胞� 反応細胞�

〈1方向MLR〉�

A B

BB

A

A

反応細胞� 刺激細胞� 芽球化細胞�

刺激細胞� 反応細胞�

〈2方向MLR〉�

A

B

マイトマイシンC処理� HLA抗原�

(A) BrdUによる測定結果。(A)の実験法は表1を参照、

表1:MLR実験方法の概略

ドナーA(mitomycin C処理)

-

-

100µl

-

-

-

-

ドナーB(mitomycin C処理)

100µl

-

-

100µl

-

-

-

細胞培養液

100µl

100µl

-

-

-

-

-

サンプル番号

1

2

3

4

5

6

7

サンプル

刺激細胞コントロール

反応細胞コントロールI

反応細胞コントロールII

1方向MLR

同種細胞コントロールI

同種細胞コントロールII

2方向MLR

ドナーA

-

100µl

100µl

100µl

200µl

-

100µl

ドナーB

-

-

-

-

-

200µl

100µl

1) 各ドナーより、末梢血リンパ球を密度勾配遠心法で分離2) 培養液で洗浄後、1×106細胞/ml培養液に調製3) 刺激細胞コントロールおよび反応細胞コントロールⅡで用いる細胞のmitomycin C処理(終濃度25µg/ml)、

30分培養(37℃、5% CO2、90%湿度恒温槽中)4) mitomycin C処理細胞の洗浄5) 1×106細胞/mlに調製6) 表2のようにマイクロタイタープレートに分注する7) 細胞培養5日間(37℃、5% CO2、90%湿度恒温槽中)8) BrdU標識試薬を加え、更に24時間培養

cell proliferation ELISA system, version2のプロトコールに従って検出

0

10

20

30

40

50

10 100 1000 104 105

Cells/well

[3 H]–

thy

mid

ine

(c

pm

x 1

03 )

図2:Cell proliferation ELISAと[3H]-thymidineの測定値の比較(細胞数と測定値)L929細胞を24時間培養後 (A)BrdUあるいは(B) [3H]-thymidine加え、更に(●)2時間、(□)4時間、(▲)8時間、(*)24時間インキュベーションを行いました。

2. PORSTMANN,T., TERNYCK,T. andAVRAMEAS,S., J.Immunol.Methods,82, pp169-179, 1985.

3. GONCHOROFF, N.J. et.al.,Cytometry, 6, pp.506-512, 1985.

(B)は[3H]-thymidineを用いた標準的な実験法を用いました。

図4:ヒト末梢血リンパ球のMLR図3:混合リンパ球反応試験(MLR)

– Y

1090

– B

L21

– C

600

– B

L21-

fE3

– D

H10

B/p

GE

X 4

-T–

Y10

90–

BL2

1–

C60

0–

BL2

1-fE

3–

DH

10B

/pG

EX

-4T

– M

kDa– 67.0

– 43.0

– 30.0

GST-luciferase –

Sonicatedcell lysate

GlutathioneSepharose®

eluate

GST –

図1: 宿主と融合タンパク質の可溶性。pGEX-4Tにluciferase遺伝子を挿入したベクターを様々な宿主大腸菌に形質転換しました。培養は通常の条件で行いました(10)。融合タンパク質はGlutathione Sepharose 4Bで精製を行いました。なお、大腸菌DH10B株は、GST発現のコントロールとしてpGEX-4Tを形質転換しました。M=分子量マーカー。

〈一方向MLR〉刺激細胞コントロール:マイトマイシンC処理した刺激細胞のBrdU取り込み量反応細胞コントロールI:反応細胞の自然増殖反応細胞コントロールII:マイトマイシンC処理した反応細胞との混合による反応細胞の増殖(この値が高い場合は自己反応性が示唆される)

〈二方向MLR〉同種細胞コントロールI:反応細胞コントロールIの高密度条件での自然増殖同種細胞コントロールII:反応細胞コントロールIIの高密度条件での自然増殖

Gene Expression

これに対して、培養に関するいくつかの条件を単独もしくはいくつか組み合わせて検討することにより、封入体形成を避け、分解を起こさずに最大量の可溶性画分を得られる可能性があります。その条件としては以下のようなものがあります。

・培養温度を20℃~30℃まで下げる。

・誘導の時間を短くする。

・細胞密度を高くして、短い時間で誘

導をかける。

・エアレーションを良くする。

図2と図3は、温度変化によるGST融合タンパク質の可溶化とタンパク質分解に対する培養温度の影響を示したものです。両ケースとも培養時間を変えて様々な培養密度で0.1 mMのIPTGにより発現誘導しました。培養温度37℃では、インタクトな可溶性融合タンパク質の収量は通常誘導が推奨されるすべての細胞密度(A600=0.5~2 誘導は2~6時間)であまり良くありませんでしたが、培養温度を28℃に下げるとすべての密度、誘導時間でかなり良い結果が得られています。また、収量が低くなる可能性がありますが、場合によっては、高密度(A600=1以上)になるまで培養し、IPTGによる誘導を省略し、基礎レベルでの発現にとどめることも有効かもしれません。図3の最後のレーンではこのアプローチによりインタクトな形で融合タンパク質が得られています。

図3ではまた、オーバーソニケーションの影響も示唆しています。過度のソニケーションは、大腸菌の宿主タンパク質がともに精製されてしまい、融合タンパク質も変性したり、分解したりしてしまいます。こ

の図のレーン2、3は同じ培養条件での抽出液ですが、レーン2ではオーバーソニケーションにより、分解あるいは変性しています。

宿主由来のタンパク質でGST融合タンパク質と一緒に精製されてしまう最も顕著なものはDnaKです。Glutathione Sepharose4Bでの精製後、イオン交換クロマトグラフィーにかけることによりDnaKをGST融合タンパク質から除くことができます(8)。

融合タンパク質の可溶化

可溶性画分を増やす別のアプローチとして、細胞抽出液にTriton X-100とザルコシルを組み合わせて加える方法があります。この方法についての詳細は1993年に発表されたFrangioneとNeelの文献にあります(7)。あらかじめソニケーション前にザルコシルとEDTAを加え、更に清澄化した抽出液にGlutathione Sepharose 4Bで精製する前にTriton X-100を加える方法を紹介しています。この方法によりアフィニティ精製に先立って可溶化を促進できる可能性があります。融合タンパク質の可溶化と、Glutathione Sepharose 4Bへの結合に最適

12 Science Tools from Amersham Pharmacia Biotech 3, 3 (1998)

ご注文情報製品名 包装 コード番号 価格

pGEX Vector各種 27-4597-01他 ¥40,000E.coli BL21 1vial 27-1542-01 ¥5,000Bulk GST Purification Module 5回分 27-4570-01 ¥42,000RediPack GST Purification Module 2回分 27-4570-02 ¥42,000MicroSpin GST Purification Module 50回分 27-4570-03 ¥38,000Glutathione Sepharose 4B 10 ml 17-0756-01 ¥20,000GST Detection Module 50回分 27-4590-01 ¥65,000GST 96-Well Detection Module 96-well×5枚 27-4592-01 ¥60,000

A600 0.5 0.5 0.5 1.0 1.0 1.0 2.0 2.0 2.0

Induction(hours) M 1.0 2.0 4.0 1.0 2.5 3.5 1.0 2.0 3.0

GST-luciferase –

A600 0.5 0.5 0.5 0.5 1.0 1.0 > 1.0

Induction(hours) M 1.0 2.0 2.0 3.0 2.0 3.0 (-)

GST-luciferase –

なザルコシルとTriton X-100の比は経験的に至適化する必要があります。

まとめ

大腸菌内で外来遺伝子の融合タンパク質の効率的発現は、いつも様々な条件に影響されます。免疫用の抗原あるいは機能解析に用いることができる可溶性のタンパク質を収率良く得るために、発現・精製に関わる条件の検討は大切なことです。これらの培養・発現あるいは精製条件は、融合タンパク質における挿入目的遺伝子に応じて検討する必要があります。

参考文献

1. Ausbbel, F. M. et al., eds. CurrentProtocols in Molecular Biology Vol. 2,16. 0.1 (1996)

2. Smith, D. B. and Johnson, K. S., Gene67, 31 (1998)

3. Baker, T. A. et al., Proc. Natl. Acid.Sci., USA 81, 6779(1984)

4. Strauch, K. L. and Beckwith, J., Proc.Natl. Acid. Sci., USA 85, 1576(1988)

5. Gridberg, J. and Dunn, J.J., J.Bacteriol. 170, 1245 (1988)

6. Sugimura, K. and Higashi, N., J.Bacteriol. 170, 3650 (1988)

7. Frangione, J.V. and Neel, B. G., Anal.Biochem. 210, 179 (1993).

8. Science Tools 2(4), 16(1997)

9. GST Gene Fusion System Manual,Amersham Pharmacia Biotech, 1997.

著作権法の関係上文献をお送りすることはできませんが、8、9に関しては弊社資料ですのでお送りすることができます。同封の資料請求用紙にてご請求ください。

図2: 37℃でのGST-luciferase融合タンパク質の発現。pGEX-4T-lucを大腸菌BL21に形質転換し、0.1 mMIPTGで図中に示しましたとおりの条件で誘導を行いました。細胞は超音波破砕を行い、Glutathione Sepharose4Bで精製を行いました。M=分子量マーカー。

図3: 28℃でのGST-luciferase融合タンパク質の発現。pGEX-4T-lucを大腸菌BL21に形質転換し、0.1mM IPTGで図中に示しましたとおりの条件で誘導を行いました。細胞は超音波破砕を行い、GlutathioneSepharose 4Bで精製を行いました。M=分子量マーカー。

株(FRTL5)、およびネガティブコントロールとして甲状腺未分化癌細胞株(FRO)から抽出したTotal RNA(25 µg)を、ホルムアルデヒド変性アガロースゲルで電気泳動し、Hybond™-Nメンブレンに転写、UV固定しました。プローブはチログロブリンcDNAを用いてキットのプロトコールに従

Nucleic Acid Detection

High sensitivity non-radioactive detection for northern blotting

分子生物学の研究分野では、従来からRIによる標識・検出を用いた実験が数多く行われてきました。しかし、特別な施設で実験を行わなければならない煩わしさ、それに伴う経費や実験の安全性への考慮から、全体の流れは着実にnon-RI実験系へ向かっています。ところがそういった流れにもかかわらず、ノーザンブロッティングにおいては検出感度などの問題から、多くの研究者は未だにRIを用いて実験を行っているのもまた周知の通りです。ここでは、AlkPhos Directを用いたノーザンブロッティングの実験例をいくつかご紹介し、これまで多くの研究者が躊躇していたnon-RI系でのノーザンブロッティングへの扉を開きます。

AlkPhos Direct

New!

はじめに

目的としている遺伝子の発現の有無やその量を判定する有用な手法として、ノーザンブロッティングは従来から広く利用されています。しかしながら、ノーザンブロッティングでは、ターゲットとしている遺伝子の発現量が比較的少ないことが多く、高い検出感度が要求されるため、non-RI実験系へという時代の流れにもかかわらず、多くの場合は依然RIを用いた検出が行われています。

アマシャム ファルマシア バイオテクの新しいnon-RI核酸検出システムAlkPhosDirectは、従来のnon-RIシステムとは大きく異なる直接標識法を採用し、抗体を使わずにプローブと酵素(アルカリホスファターゼ)を直接結合させることによって、よりSN比の高い検出と簡便な操作性を実現しました。間接標識法との原理比較を図1に示します。また、改良を加えて高い耐熱性を持たせたアルカリホスファターゼを採用しているので、ハイブリダイゼーション温度の条件検討を50~75℃と幅広く行えます。ここでご紹介するAlkPhos Directを用いたノーザンブロッティングの実験例では、SN比の高いRIに匹敵する検出結果が得られています。

実験例1.ラット・チログロブリン遺伝子の検出

AlkPhos DirectとRIとの検出感度の比較検討を目的として、DNAプローブを用いてラット・チログロブリン遺伝子の発現を解析しました。ラット正常甲状腺細胞

って標識し、キットに付属のハイブリダイゼーションバッファーで55℃、30分のプレハイブリダイゼーションを行った後、55℃、overnightでハイブリダイゼーションを行いました。続いて、キットのプロトコールに従って洗浄後、Hyperfilm-ECLを用いて検出を行いました。

AlkPhos Direct および関連メンブラン・フィルム

AP

AP

AP

APAP

AP AP

AP AP

LightCDP-Star

F1F1

F1

F1 F1

F1F1

F1 F1

APAP

F1 F1

LightCDP-Star

AP AP

プローブ標識

30分 Labelling 1時間以上

ハイブリダイゼーション

15分 Pre-hybridization 1時間2~16時間 Hybridization 2~16時間

30分 Stringency wash 30分

抗体反応

Blocking 1時間Antibody incubation 1時間

検出

1~2時間 Detection 1~2時間

直接標識(AlkPhos Direct) 間接標識(従来法)

Science Tools from Amersham Pharmacia Biotech 3, 3 (1998) 13

Gene Expression

これに対して、培養に関するいくつかの条件を単独もしくはいくつか組み合わせて検討することにより、封入体形成を避け、分解を起こさずに最大量の可溶性画分を得られる可能性があります。その条件としては以下のようなものがあります。

・培養温度を20℃~30℃まで下げる。

・誘導の時間を短くする。

・細胞密度を高くして、短い時間で誘

導をかける。

・エアレーションを良くする。

図2と図3は、温度変化によるGST融合タンパク質の可溶化とタンパク質分解に対する培養温度の影響を示したものです。両ケースとも培養時間を変えて様々な培養密度で0.1 mMのIPTGにより発現誘導しました。培養温度37℃では、インタクトな可溶性融合タンパク質の収量は通常誘導が推奨されるすべての細胞密度(A600=0.5~2 誘導は2~6時間)であまり良くありませんでしたが、培養温度を28℃に下げるとすべての密度、誘導時間でかなり良い結果が得られています。また、収量が低くなる可能性がありますが、場合によっては、高密度(A600=1以上)になるまで培養し、IPTGによる誘導を省略し、基礎レベルでの発現にとどめることも有効かもしれません。図3の最後のレーンではこのアプローチによりインタクトな形で融合タンパク質が得られています。

図3ではまた、オーバーソニケーションの影響も示唆しています。過度のソニケーションは、大腸菌の宿主タンパク質がともに精製されてしまい、融合タンパク質も変性したり、分解したりしてしまいます。こ

の図のレーン2、3は同じ培養条件での抽出液ですが、レーン2ではオーバーソニケーションにより、分解あるいは変性しています。

宿主由来のタンパク質でGST融合タンパク質と一緒に精製されてしまう最も顕著なものはDnaKです。Glutathione Sepharose4Bでの精製後、イオン交換クロマトグラフィーにかけることによりDnaKをGST融合タンパク質から除くことができます(8)。

融合タンパク質の可溶化

可溶性画分を増やす別のアプローチとして、細胞抽出液にTriton X-100とザルコシルを組み合わせて加える方法があります。この方法についての詳細は1993年に発表されたFrangioneとNeelの文献にあります(7)。あらかじめソニケーション前にザルコシルとEDTAを加え、更に清澄化した抽出液にGlutathione Sepharose 4Bで精製する前にTriton X-100を加える方法を紹介しています。この方法によりアフィニティ精製に先立って可溶化を促進できる可能性があります。融合タンパク質の可溶化と、Glutathione Sepharose 4Bへの結合に最適

12 Science Tools from Amersham Pharmacia Biotech 3, 3 (1998)

ご注文情報製品名 包装 コード番号 価格

pGEX Vector各種 27-4597-01他 ¥40,000E.coli BL21 1vial 27-1542-01 ¥5,000Bulk GST Purification Module 5回分 27-4570-01 ¥42,000RediPack GST Purification Module 2回分 27-4570-02 ¥42,000MicroSpin GST Purification Module 50回分 27-4570-03 ¥38,000Glutathione Sepharose 4B 10 ml 17-0756-01 ¥20,000GST Detection Module 50回分 27-4590-01 ¥65,000GST 96-Well Detection Module 96-well×5枚 27-4592-01 ¥60,000

A600 0.5 0.5 0.5 1.0 1.0 1.0 2.0 2.0 2.0

Induction(hours) M 1.0 2.0 4.0 1.0 2.5 3.5 1.0 2.0 3.0

GST-luciferase –

A600 0.5 0.5 0.5 0.5 1.0 1.0 > 1.0

Induction(hours) M 1.0 2.0 2.0 3.0 2.0 3.0 (-)

GST-luciferase –

なザルコシルとTriton X-100の比は経験的に至適化する必要があります。

まとめ

大腸菌内で外来遺伝子の融合タンパク質の効率的発現は、いつも様々な条件に影響されます。免疫用の抗原あるいは機能解析に用いることができる可溶性のタンパク質を収率良く得るために、発現・精製に関わる条件の検討は大切なことです。これらの培養・発現あるいは精製条件は、融合タンパク質における挿入目的遺伝子に応じて検討する必要があります。

参考文献

1. Ausbbel, F. M. et al., eds. CurrentProtocols in Molecular Biology Vol. 2,16. 0.1 (1996)

2. Smith, D. B. and Johnson, K. S., Gene67, 31 (1998)

3. Baker, T. A. et al., Proc. Natl. Acid.Sci., USA 81, 6779(1984)

4. Strauch, K. L. and Beckwith, J., Proc.Natl. Acid. Sci., USA 85, 1576(1988)

5. Gridberg, J. and Dunn, J.J., J.Bacteriol. 170, 1245 (1988)

6. Sugimura, K. and Higashi, N., J.Bacteriol. 170, 3650 (1988)

7. Frangione, J.V. and Neel, B. G., Anal.Biochem. 210, 179 (1993).

8. Science Tools 2(4), 16(1997)

9. GST Gene Fusion System Manual,Amersham Pharmacia Biotech, 1997.

著作権法の関係上文献をお送りすることはできませんが、8、9に関しては弊社資料ですのでお送りすることができます。同封の資料請求用紙にてご請求ください。

図2: 37℃でのGST-luciferase融合タンパク質の発現。pGEX-4T-lucを大腸菌BL21に形質転換し、0.1 mMIPTGで図中に示しましたとおりの条件で誘導を行いました。細胞は超音波破砕を行い、Glutathione Sepharose4Bで精製を行いました。M=分子量マーカー。

図3: 28℃でのGST-luciferase融合タンパク質の発現。pGEX-4T-lucを大腸菌BL21に形質転換し、0.1mM IPTGで図中に示しましたとおりの条件で誘導を行いました。細胞は超音波破砕を行い、GlutathioneSepharose 4Bで精製を行いました。M=分子量マーカー。

株(FRTL5)、およびネガティブコントロールとして甲状腺未分化癌細胞株(FRO)から抽出したTotal RNA(25 µg)を、ホルムアルデヒド変性アガロースゲルで電気泳動し、Hybond™-Nメンブレンに転写、UV固定しました。プローブはチログロブリンcDNAを用いてキットのプロトコールに従

Nucleic Acid Detection

High sensitivity non-radioactive detection for northern blotting

分子生物学の研究分野では、従来からRIによる標識・検出を用いた実験が数多く行われてきました。しかし、特別な施設で実験を行わなければならない煩わしさ、それに伴う経費や実験の安全性への考慮から、全体の流れは着実にnon-RI実験系へ向かっています。ところがそういった流れにもかかわらず、ノーザンブロッティングにおいては検出感度などの問題から、多くの研究者は未だにRIを用いて実験を行っているのもまた周知の通りです。ここでは、AlkPhos Directを用いたノーザンブロッティングの実験例をいくつかご紹介し、これまで多くの研究者が躊躇していたnon-RI系でのノーザンブロッティングへの扉を開きます。

AlkPhos Direct

New!

はじめに

目的としている遺伝子の発現の有無やその量を判定する有用な手法として、ノーザンブロッティングは従来から広く利用されています。しかしながら、ノーザンブロッティングでは、ターゲットとしている遺伝子の発現量が比較的少ないことが多く、高い検出感度が要求されるため、non-RI実験系へという時代の流れにもかかわらず、多くの場合は依然RIを用いた検出が行われています。

アマシャム ファルマシア バイオテクの新しいnon-RI核酸検出システムAlkPhosDirectは、従来のnon-RIシステムとは大きく異なる直接標識法を採用し、抗体を使わずにプローブと酵素(アルカリホスファターゼ)を直接結合させることによって、よりSN比の高い検出と簡便な操作性を実現しました。間接標識法との原理比較を図1に示します。また、改良を加えて高い耐熱性を持たせたアルカリホスファターゼを採用しているので、ハイブリダイゼーション温度の条件検討を50~75℃と幅広く行えます。ここでご紹介するAlkPhos Directを用いたノーザンブロッティングの実験例では、SN比の高いRIに匹敵する検出結果が得られています。

実験例1.ラット・チログロブリン遺伝子の検出

AlkPhos DirectとRIとの検出感度の比較検討を目的として、DNAプローブを用いてラット・チログロブリン遺伝子の発現を解析しました。ラット正常甲状腺細胞

って標識し、キットに付属のハイブリダイゼーションバッファーで55℃、30分のプレハイブリダイゼーションを行った後、55℃、overnightでハイブリダイゼーションを行いました。続いて、キットのプロトコールに従って洗浄後、Hyperfilm-ECLを用いて検出を行いました。

AlkPhos Direct および関連メンブラン・フィルム

AP

AP

AP

APAP

AP AP

AP AP

LightCDP-Star

F1F1

F1

F1 F1

F1F1

F1 F1

APAP

F1 F1

LightCDP-Star

AP AP

プローブ標識

30分 Labelling 1時間以上

ハイブリダイゼーション

15分 Pre-hybridization 1時間2~16時間 Hybridization 2~16時間

30分 Stringency wash 30分

抗体反応

Blocking 1時間Antibody incubation 1時間

検出

1~2時間 Detection 1~2時間

直接標識(AlkPhos Direct) 間接標識(従来法)

Science Tools from Amersham Pharmacia Biotech 3, 3 (1998) 13

Nucleic Acid Detection

14 Science Tools from Amersham Pharmacia Biotech 3, 3 (1998) Science Tools from Amersham Pharmacia Biotech 3, 3 (1998) 15

3)シークエンシング試薬の選択において重視する点は何ですか?(順位をお付けください)

( )感度 ( )ピークの均一性 ( )解析精度 ( )経済性

( )G:Cリッチを簡単に読める ( )その他( )

4)「GeneRapidパーソナルDNAシークエンサー」をご存知ですか?

□既に使用している □購入を検討している

□名前は知っている □知らない

4. 研究の受託サービスについてお伺いします。1)現在、どのような受託サービスをご利用になっていますか?また利用したいとお考えですか?

利用している(メーカー)予定している

①DNAカスタム合成 □( )□(□3ヵ月以内)

②ペプチドカスタム合成 □( )□(□3ヵ月以内)

③抗体作成 □( )□(□3ヵ月以内)

④DNAシークエンス □( )□(□3ヵ月以内)

⑤アミノ酸シークエンス □( )□(□3ヵ月以内)

⑥二次元電気泳動 □( )□(□3ヵ月以内)

⑦その他( )□( )□(□3ヵ月以内)

2)弊社のDNAカスタム合成サービス「OligoExpress」をご存知ですか?

□はい(□既に利用している) □いいえ

5. 二次元電気泳動についてお伺いします。1)二次元電気泳動を行っていますか?

□はい □週~数回 □月~数回 □年に数回

1回のサンプル数:( )程度

□いいえ(□3ヶ月以内に予定している)

2)1)で「はい(行っている)」とお答えになった方にお伺いします。

①一次元目にはどのようなゲルを使用していますか?

□Immobilineゲル(ゲルサイズ:    cm)

□ディスクゲル □その他( )

②二次元目にはどのような機器を使用していますか?

□縦型(メーカー:     ) □水平型(メーカー:      )

③二次元電気泳動解析用の解析ソフトウエアを使用していますか?

□はい(メーカー:       ) □いいえ

6. 現在クロマトグラフィーを行なっている方、またこれから始めようとお考えの方にお伺いします。

1)どのようなサンプルについてクロマトグラフィーを用いた精製をおこなっていますか。またこれから始めようとご計画ですか?

行なっている 計画中 コンサルティング(使用カラム/メーカー) 希望

①天然タンパク質・ペプチド □( / ) □ □

②組換えタンパク質・ペプチド□( / ) □ □

③抗体 □( / ) □ □

④糖タンパク質 □( / ) □ □

⑤その他( )□( / ) □ □

2)タンパク質やペプチドのサンプル量はどのくらいですか?

□~100µg □~10mg □~100mg

□~500mg □500mg以上

3)精製の目的は何ですか?

□一次構造解析 □高次構造解析 □機能解析

□抗体作成 □その他( )

7. 分光光度計をお使いの方にお伺いします。1)ご使用目的は何ですか?

□タンパク質定量 □DNA定量 □mRNA定量

□total RNA定量 □核酸の純度測定

□その他( )

2)現在お使いの機種は何で、いつ頃ご購入されましたか?

機種またはメーカー( )

□1年以内 □1~5年 □6~10年 □11年以上

8. イムノアッセイについてお伺いいたします。1)試験研究目的でイムノアッセイを行なっていますか?

□市販のキットを使用している □独自の系を使用している

□行なっていない

2)定量している物質はどのようなものですか?

□サイトカイン/成長因子 □骨代謝関連物質 □MMP

□セカンドメッセンジャー □アラキドン酸代謝物

□その他( )

3)弊社のアッセイキットのブランド (バイオトラック)をご存知ですか?

□はい □いいえ

9. インターネットについてお伺いします。1)どのような目的でインターネットをお使いですか?

□電子メール

□情報配信サービス □弊社 OligoExpressメール

□日経バイオテク □BIOWEB

□その他( )

□ホームページによる情報収集(よくご覧になるページ: )

□その他( )

□使っていない

(理由:□使える環境が整っていない □必要がない □好きではない)

2)弊社のホームページにアクセスされたことはありますか?

□ある(□週1~数回 □月1~数回 □年に数回)

□ない □あることを知らなかった

10. ご自身の研究で今後特に重要と考えられる解析を3つお選びください。□High throughput DNA sequencing

□タンパク質のMASS解析 □タンパク質の機能解析

□タンパク質の高次構造解析 □タンパク質の相互作用

□タンパク質の修飾解析 □データベースを活用した検索解析

□マイクロアレイによる遺伝子発現様式解析

□二次元電気泳動によるタンパク質の発現様式解析

□アミノ酸配列解析 □オーファン受容体・リガンド探索解析

□その他( )

生化学会アンケート/抽選券

ご協力ありがとうございました。展示会場の弊社ブースにて記念品をお受け取りください。

)(

)(

その結果、1時間の露光でラット・チログロブリン遺伝子が十分検出できました(図2B、レーン1)。シグナルの強さは、RIを用いたもの(overnightハイブリダイゼーション、6時間露光後Fuji BAS-2000で解析)の方が強かったものの(図2A、レーン1)、露光時間を考慮すれば、ほぼ同程度であると考えられます。

実験例2.ラットmatrin 3遺伝子の検出

AlkPhos DirectとRIとの検出感度を比較検討するために、DNAプローブを用いてラットmatrin 3遺伝子の発現を解析しました。ラット肝臓から抽出したtotal RNA(10 µg)を、ホルムアルデヒド変性アガロースゲルで電気泳動し、Hybond-N+メンブレンに転写・UV固定しました。プローブはラットmatrin 3のcDNA(約500 bp)を用いてキットのプロトコールに従って標識し、キットに付属のハイブリダイゼーションバッファーで55℃、30分のプレハイブリダイゼーションを行った後、65℃、16時間のハイブリダイゼーションを行いました。続いて、キットのプロトコールに従って洗浄後、Hyperfilm-MPを用いて検出を行いました。

その結果、2時間の露光でラットmatrin 3遺伝子が十分

検出できました(図3、レーン2)。これは、RI(比活性7.2×108 cpm/µgのプローブを使用、16時間ハイブリダイゼーション、48時間露光)を用いたもの(図 3、レーン1)と比較しても、ほぼ同等な結果が得られていることが分かります。また、0.5% SDS中、60℃で 1時間加温してプローブを除去しリプロービングを行った場合にも、初回と同等のシグナルが得られました(図3、レーン3)。

まとめ

今回ご紹介したAlkPhos Directの実験例では、ラット・チログロブリン遺伝子、およびRI標識プローブを用いて48時間の露光で検出されるようなラットmatrin 3遺伝子について、ほとんど差のない感度で検出されています。これらのことから、

これまでRIを用いなければ困難と思われていたノーザンブロッティングにおいても、AlkPhos Directが十分適用できることが分かりました。今まで煩わしさに耐えながらもRIを使って実験を行っていた研究者や、抗体を使った間接法で手間と労力を費やしていた研究者にとって、AlkPhos Directは安全で有効なツールとなることでしょう。

謝辞

本稿を作成するにあたって、貴重なデータを供与して下さいました次の先生方に心より感謝いたします。

長崎大学 医学部 第 1薬理学講座永山 雄二先生

富山医科薬科大学 遺伝子実験施設日比野 康英先生

ご注文情報製品名 包装/カラムサイズ コード番号 価格

AlkPhos Direct system for chemiluminescenceReagents to label 25 probes and detect 2,500 cm2 with CDP-Star™ RPN3690 ¥56,000Reagents to label 50 probes and detect 5,000 cm2 with CDP-Star™ RPN3691 ¥100,500Hybond-N+ 20×20 cm, 10 Sheets RPN2020B ¥21,000Hybond-N 20×20 cm, 10 Sheets RPN2020N ¥19,000Hybond-NX 20×20 cm, 10 Sheets RPN2020T ¥19,000Hyperfilm-ECL 8×10 inch, 25 Sheets RPN2114H ¥7,700Hyperfilm-MP 8×10 inch, 25 Sheets RPN1677H ¥7,700

レーン2AlkPhos Direct

レーン1RI

レーン3AlkPhos Direct(リプロービング)

レーン1:ラット正常甲状腺細胞株 (FRTL5)

レーン2:甲状腺未分化癌細胞株 (FRO)

1 2 1 2

8.5kb→8.5kb→

A: RIによる検出 B: AlkPhos Directによる検出

図2.ラット・チログロブリン遺伝子の検出(長崎大学 医学部 第1薬理学講座 永山 雄二先生のご厚意により掲載)

図3.ラットmatrin 3遺伝子の検出(富山医科薬科大学 遺伝子実験施設 日比野康英先生のご厚意により掲載)

Hybond-N+、-N、-NX、Hyperfilm-ECL、-MPは他にも各種サイズを取りそろえておりますので、詳しくはバイオダイレクトラインまでお問い合せください。

Nucleic Acid Detection

14 Science Tools from Amersham Pharmacia Biotech 3, 3 (1998) Science Tools from Amersham Pharmacia Biotech 3, 3 (1998) 15

3)シークエンシング試薬の選択において重視する点は何ですか?(順位をお付けください)

( )感度 ( )ピークの均一性 ( )解析精度 ( )経済性

( )G:Cリッチを簡単に読める ( )その他( )

4)「GeneRapidパーソナルDNAシークエンサー」をご存知ですか?

□既に使用している □購入を検討している

□名前は知っている □知らない

4. 研究の受託サービスについてお伺いします。1)現在、どのような受託サービスをご利用になっていますか?また利用したいとお考えですか?

利用している(メーカー)予定している

①DNAカスタム合成 □( )□(□3ヵ月以内)

②ペプチドカスタム合成 □( )□(□3ヵ月以内)

③抗体作成 □( )□(□3ヵ月以内)

④DNAシークエンス □( )□(□3ヵ月以内)

⑤アミノ酸シークエンス □( )□(□3ヵ月以内)

⑥二次元電気泳動 □( )□(□3ヵ月以内)

⑦その他( )□( )□(□3ヵ月以内)

2)弊社のDNAカスタム合成サービス「OligoExpress」をご存知ですか?

□はい(□既に利用している) □いいえ

5. 二次元電気泳動についてお伺いします。1)二次元電気泳動を行っていますか?

□はい □週~数回 □月~数回 □年に数回

1回のサンプル数:( )程度

□いいえ(□3ヶ月以内に予定している)

2)1)で「はい(行っている)」とお答えになった方にお伺いします。

①一次元目にはどのようなゲルを使用していますか?

□Immobilineゲル(ゲルサイズ:    cm)

□ディスクゲル □その他( )

②二次元目にはどのような機器を使用していますか?

□縦型(メーカー:     ) □水平型(メーカー:      )

③二次元電気泳動解析用の解析ソフトウエアを使用していますか?

□はい(メーカー:       ) □いいえ

6. 現在クロマトグラフィーを行なっている方、またこれから始めようとお考えの方にお伺いします。

1)どのようなサンプルについてクロマトグラフィーを用いた精製をおこなっていますか。またこれから始めようとご計画ですか?

行なっている 計画中 コンサルティング(使用カラム/メーカー) 希望

①天然タンパク質・ペプチド □( / ) □ □

②組換えタンパク質・ペプチド□( / ) □ □

③抗体 □( / ) □ □

④糖タンパク質 □( / ) □ □

⑤その他( )□( / ) □ □

2)タンパク質やペプチドのサンプル量はどのくらいですか?

□~100µg □~10mg □~100mg

□~500mg □500mg以上

3)精製の目的は何ですか?

□一次構造解析 □高次構造解析 □機能解析

□抗体作成 □その他( )

7. 分光光度計をお使いの方にお伺いします。1)ご使用目的は何ですか?

□タンパク質定量 □DNA定量 □mRNA定量

□total RNA定量 □核酸の純度測定

□その他( )

2)現在お使いの機種は何で、いつ頃ご購入されましたか?

機種またはメーカー( )

□1年以内 □1~5年 □6~10年 □11年以上

8. イムノアッセイについてお伺いいたします。1)試験研究目的でイムノアッセイを行なっていますか?

□市販のキットを使用している □独自の系を使用している

□行なっていない

2)定量している物質はどのようなものですか?

□サイトカイン/成長因子 □骨代謝関連物質 □MMP

□セカンドメッセンジャー □アラキドン酸代謝物

□その他( )

3)弊社のアッセイキットのブランド (バイオトラック)をご存知ですか?

□はい □いいえ

9. インターネットについてお伺いします。1)どのような目的でインターネットをお使いですか?

□電子メール

□情報配信サービス □弊社 OligoExpressメール

□日経バイオテク □BIOWEB

□その他( )

□ホームページによる情報収集(よくご覧になるページ: )

□その他( )

□使っていない

(理由:□使える環境が整っていない □必要がない □好きではない)

2)弊社のホームページにアクセスされたことはありますか?

□ある(□週1~数回 □月1~数回 □年に数回)

□ない □あることを知らなかった

10. ご自身の研究で今後特に重要と考えられる解析を3つお選びください。□High throughput DNA sequencing

□タンパク質のMASS解析 □タンパク質の機能解析

□タンパク質の高次構造解析 □タンパク質の相互作用

□タンパク質の修飾解析 □データベースを活用した検索解析

□マイクロアレイによる遺伝子発現様式解析

□二次元電気泳動によるタンパク質の発現様式解析

□アミノ酸配列解析 □オーファン受容体・リガンド探索解析

□その他( )

生化学会アンケート/抽選券

ご協力ありがとうございました。展示会場の弊社ブースにて記念品をお受け取りください。

)(

)(

その結果、1時間の露光でラット・チログロブリン遺伝子が十分検出できました(図2B、レーン1)。シグナルの強さは、RIを用いたもの(overnightハイブリダイゼーション、6時間露光後Fuji BAS-2000で解析)の方が強かったものの(図2A、レーン1)、露光時間を考慮すれば、ほぼ同程度であると考えられます。

実験例2.ラットmatrin 3遺伝子の検出

AlkPhos DirectとRIとの検出感度を比較検討するために、DNAプローブを用いてラットmatrin 3遺伝子の発現を解析しました。ラット肝臓から抽出したtotal RNA(10 µg)を、ホルムアルデヒド変性アガロースゲルで電気泳動し、Hybond-N+メンブレンに転写・UV固定しました。プローブはラットmatrin 3のcDNA(約500 bp)を用いてキットのプロトコールに従って標識し、キットに付属のハイブリダイゼーションバッファーで55℃、30分のプレハイブリダイゼーションを行った後、65℃、16時間のハイブリダイゼーションを行いました。続いて、キットのプロトコールに従って洗浄後、Hyperfilm-MPを用いて検出を行いました。

その結果、2時間の露光でラットmatrin 3遺伝子が十分

検出できました(図3、レーン2)。これは、RI(比活性7.2×108 cpm/µgのプローブを使用、16時間ハイブリダイゼーション、48時間露光)を用いたもの(図 3、レーン1)と比較しても、ほぼ同等な結果が得られていることが分かります。また、0.5% SDS中、60℃で 1時間加温してプローブを除去しリプロービングを行った場合にも、初回と同等のシグナルが得られました(図3、レーン3)。

まとめ

今回ご紹介したAlkPhos Directの実験例では、ラット・チログロブリン遺伝子、およびRI標識プローブを用いて48時間の露光で検出されるようなラットmatrin 3遺伝子について、ほとんど差のない感度で検出されています。これらのことから、

これまでRIを用いなければ困難と思われていたノーザンブロッティングにおいても、AlkPhos Directが十分適用できることが分かりました。今まで煩わしさに耐えながらもRIを使って実験を行っていた研究者や、抗体を使った間接法で手間と労力を費やしていた研究者にとって、AlkPhos Directは安全で有効なツールとなることでしょう。

謝辞

本稿を作成するにあたって、貴重なデータを供与して下さいました次の先生方に心より感謝いたします。

長崎大学 医学部 第 1薬理学講座永山 雄二先生

富山医科薬科大学 遺伝子実験施設日比野 康英先生

ご注文情報製品名 包装/カラムサイズ コード番号 価格

AlkPhos Direct system for chemiluminescenceReagents to label 25 probes and detect 2,500 cm2 with CDP-Star™ RPN3690 ¥56,000Reagents to label 50 probes and detect 5,000 cm2 with CDP-Star™ RPN3691 ¥100,500Hybond-N+ 20×20 cm, 10 Sheets RPN2020B ¥21,000Hybond-N 20×20 cm, 10 Sheets RPN2020N ¥19,000Hybond-NX 20×20 cm, 10 Sheets RPN2020T ¥19,000Hyperfilm-ECL 8×10 inch, 25 Sheets RPN2114H ¥7,700Hyperfilm-MP 8×10 inch, 25 Sheets RPN1677H ¥7,700

レーン2AlkPhos Direct

レーン1RI

レーン3AlkPhos Direct(リプロービング)

レーン1:ラット正常甲状腺細胞株 (FRTL5)

レーン2:甲状腺未分化癌細胞株 (FRO)

1 2 1 2

8.5kb→8.5kb→

A: RIによる検出 B: AlkPhos Directによる検出

図2.ラット・チログロブリン遺伝子の検出(長崎大学 医学部 第1薬理学講座 永山 雄二先生のご厚意により掲載)

図3.ラットmatrin 3遺伝子の検出(富山医科薬科大学 遺伝子実験施設 日比野康英先生のご厚意により掲載)

Hybond-N+、-N、-NX、Hyperfilm-ECL、-MPは他にも各種サイズを取りそろえておりますので、詳しくはバイオダイレクトラインまでお問い合せください。

16 Science Tools from Amersham Pharmacia Biotech 3, 3 (1998)

1. PCRについてお伺いします。1)PCRを行っていますか?

□はい(月平均( )回、1回あたり( )反応)

□いいえ(□3ヶ月以内に予定している)

2)RT-PCRを行っていますか?

□はい(月平均( )回、1回あたり( )反応)

□いいえ(□3ヶ月以内に予定している)

3)2)で「はい(行っている)」とお答えになった方にお伺いします。

①RT-PCRを行うとき、最初からRT反応およびPCR反応試薬を混合して行う「1ステップ法」と、RT反応の後で別途PCR反応を行う「2ステップ法」のどちらを用いていますか?

□1ステップ □2ステップ

(理由:                           )

②現在RT-PCR用のキットをお使いですか?

□はい(キット/メーカー:             )

□いいえ

4)PCR-SSCPを行っていますか?

□はい(月平均( )回、1回あたり( )反応)

□いいえ(□3ヶ月以内に予定している)

5)PCR-SSCP解析にはどのような機器をお使いですか?

□縦型電気泳動装置(ミニスラブ等) □自動DNAシークエンサー

□マニュアルシークエンス用泳動装置

□その他( )

2. 核酸の非RI標識と検出についてお伺いいたします。1)弊社新製品「AlkPhos Direct」をご存知ですか?

□はい □いいえ

2)現在市販の非RI検出系をお使いになっていますか?

□ジゴキシゲニンを用いた検出系 □Phyotope

□SMILight □弊社製品(製品名:           )

□いいえ

3)検出の方法は何でしょうか?

□発色 □X線フィルム(メーカー:        )

□イメージャー(メーカー:        )

4)In situハイブリダイゼーションを行っていますか?

□はい(□週~数回 □月~数回 □年に数回)

□いいえ(□3ヶ月以内に予定している)

3. DNAシークエンシングについてお伺いいたします。1) 1年間のサンプル数はどのくらいですか?

□1000サンプル以下 □1000~5000サンプル程度

□5000~10000サンプル程度 □10000サンプル以上

□行なっていない

2)現在行っているシークエンシングの方法は何ですか?

□RI標識シークエンス法 □1色プライマー法□4色プライマー法 □4色ターミネーター法

1998年10月15日~17日

「第71回 日本生化学会総会」展示会プレゼント抽選券

フリガナ

お名前

ご所属

ご住所 〒□□□-□□□□

TEL - - 内線( )FAX - -E-mail

●ご職位

□大学教授、助教授 □大学講師、助手 □大学院生

□国公立研究所研究員(役職:           )

□民間企業研究員(役職:           )

□その他

●ご所属の学会

□生化学会 □分子生物学会 □農芸化学会

□癌学会 □免疫学会 □電気泳動学会

□薬学会 □薬物動態学会 □薬理学会

□その他

●ご研究分野

□ゲノム解析 □プロテオーム解析 □生命情報解析 □シグナル伝達 □発生・分化 □タンパク質工学

□DNA工学 □糖鎖工学 □細胞生物学 □生物物理学 □医療・臨床医学 □創薬・製薬

□食品・醸造 □農水畜産業 □その他

10月15日~10月17日名古屋国際会議場で行われる日本生化学会総会展示場の

アマシャム ファルマシア バイオテクブースにアンケートにお答えのうえ、この抽選券を切り取ってお持ちください。

抽選にはずれた方にももれなく粗品を差し上げます。また、弊社ホームページhttp://www.jp.apbiotech.comでも

アンケートをプリントすることができます。ニュースレターをお持ちでない方はそちらをご利用ください。

(アンケートの質問内容が一部違うことがあります)