教養教育科目 はじめての経済学 -...
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教養教育科目
はじめての経済学第 8 回 市場メカニズム Part-2
2016 年 5 ⽉ 30 ⽇(⽉)5 限担当教員: 経済学部唐渡広志(からと・こうじ)研究室: 経済学研究棟4階432号室email: [email protected]: http://www3.u-toyama.ac.jp/kkarato/
1
【復習】需要と供給の均衡 需要曲線:与えられた価格に対して,需要者が買いたいと思っており,かつ実際に買うことのできる市場全体の数量を⽰している。
供給曲線:与えられた価格に対して,供給者が売りたいと思っており,かつ実際に売ることのできる市場全体の数量を⽰している。
ある与えられた価格⽔準で「需要と供給が等しい」とは・・・ 需要者が買いたい数量と供給者が売りたい数量が市場全体で⼀致している。
このとき,需要曲線と供給曲線は「価格と数量の平⾯」で交わっている。
需要と供給の釣り合いがとれた状況を「市場均衡 (Market Equilibrium) 」とよぶ。
需要と供給の実験(ヴァーノン・スミスによるダブルオークション実験,1962, JPE 70 (2), 111-137) 売り⼿と買い⼿が値段を付けあうことで取引が成⽴する価格を実験で求めた(証券取引所での株の売買とほぼ同じやり⽅)。
需要者,供給者がかなり少ない場合(せいぜい 4,5⼈)でも市場均衡価格に収束することが確かめられた。
2
【復習】需要と供給の不均衡 (1)
3
D
S
Q
P
Q*
P*
P+
Q1 Q2
• P+ > P* のとき
〔供給量Q2〕は〔需要量Q1〕を上回る⇒このような状態を〔超過供給〕とよぶ。
•このとき市場では次の調整メカニズムが働く
1. 売り⼿は,他の売り⼿から顧客を奪おうと,価格を〔引き下げる〕.他の売り⼿も顧客を失わないように,価格を〔引き下げる〕。
2. 価格が下がり始めると,供給量は〔供給曲線〕に沿って〔減少〕する。
3. 価格が下がり始めると,需要量は〔需要曲線〕に沿って〔増加〕する。
4. 最終的に〔均衡〕へ収束する。
現在の価格が均衡価格 P* よりも⾼いケース
超過供給
【復習】需要と供給の不均衡 (2)
4
D
S
Q
P
Q*
P*
P −
Q3 Q4
現在の価格が均衡価格 P* よりも低いケース
P − < P* のとき
〔需要量〕Q4は〔供給量〕Q3を上回る⇒このような状態を〔超過需要〕とよぶ。
このとき市場では次の調整メカニズムが働く
1. 売り⼿は,価格を引き上げても顧客を失わないことに気づき,価格を〔引き上げる〕。他の売り⼿も同様に,価格を〔引き上げる〕。
2. 価格が上がり始めると,供給量は〔供給曲線〕に沿って〔増加〕する。
3. 価格が上がり始めると,需要量は〔需要曲線〕に沿って〔減少〕する。
4. 最終的に〔均衡〕へ収束する。
超過需要
データ発生プロセス
5
2008
2009
2010
20112012
110
130
150
170
350 360 370 380 390 400
価格(円
/ℓ)
ガソリン取引量 (1万Kℓ)
年次ガソリン取引量
(1万Kℓ)
ガソリン価格
(円/ℓ)2008 392 157 2009 387 120 2010 380 133 2011 369 140 2012 361 147
需要・供給モデルは,経済データ(価格,取引量)がどのようにして⽣じたのか [ Data Generating Process ] を論理的に再現しようとしている。
2011年の供給曲線
2012年の供給曲線2011年の需要曲線
2012年の需要曲線
【復習】需要と供給のバランスが崩れるとき
需要サイド所得,関連する財の価格,嗜好,期待などの変化など
需要曲線のシフト
供給サイド投⼊物の価格,技術⽔準,期待,天候,租税制度など
供給曲線のシフト
6
需要サイドの変化 需要曲線
所得上昇 需要の増加 右⽅シフト下落 需要の減少 左⽅シフト
代替財価格上昇 需要の増加 右⽅シフト下落 需要の減少 左⽅シフト
補完財価格上昇 需要の減少 左⽅シフト下落 需要の増加 右⽅シフト
供給サイドの変化 供給曲線
賃⾦上昇 供給の減少 左⽅シフト下落 供給の増⼤ 右⽅シフト
原材料価格上昇 供給の減少 左⽅シフト下落 供給の増⼤ 右⽅シフト
技術⽔準上昇 供給の増⼤ 右⽅シフト下落 供給の減少 左⽅シフト
【例】供給曲線の左方シフト
7
D
S0
Q
P
Q0
P0
P1
Q1
E0
Q2
最初の均衡点は点 E0 (Q0, P0)1. 原材料価格の上昇によって,供給曲線が S0 から S1 へ左⽅にシフトしたとしよう。
2. 価格 P0 のもとでの需要量は Q0 である。⼀⽅,新しい供給量は Q2 である。したがって,Q0 − Q2 の⼤きさの超過需要が発⽣している。
3. 超過需要のとき,価格メカニズムにより価格が上昇する。
4. すなわち,供給量が(供給曲線 S1 に沿って)増加し,需要量(需要曲線Dに沿って)が減少する。
5. 需要量と供給量の差がなくなるまで,価格が上昇し,需要量と供給量が⼀致する Q1に数量が調整されると,価格の上昇は P1 で⽌まる。
6. 新しい均衡点は E1(Q1, P1) になる。
E1
価格 P0 のもとでは『 超過需要 』が⽣じる
S1
原材料価格の上昇(供給曲線の左⽅シフト)は,均衡取引量を減少させ,均衡価格を上昇させる.
比較静学分析-需要と供給の同時変化
8
供給は不変供給の増加(供給曲線の右方シフト)
供給の減少(供給曲線の左方シフト)
需要は不変
価格 P: 不変 価格 P: 下落 価格 P: 上昇
数量 Q: 不変 数量 Q: 増加 数量 Q: 減少
需要の増加(需要曲線の右方シフト)
価格 P: 上昇 価格 P: 不確定 価格 P: 上昇
数量 Q: 増加 数量 Q: 増加 数量 Q: 不確定
需要の減少(需要曲線の左方シフト)
価格 P: 下落 価格 P: 下落 価格 P: 不確定
数量 Q: 減少 数量 Q: 不確定 数量 Q: 減少
不確定: 価格の上昇や下落および,数量の増加や減少がシフトの大きさに依存
[i] [ii]
[iii] [iv]
[i]-1. 需要の増加と供給の増加【価格が上昇するケース】
9
D0
S0
Q
P
Q*
P0
P*
Q0
E0
E*
S1
【価格が上昇するケース】供給増加による価格引き下げ効果よりも,需要増加による価格押し上げ効果の⽅が⼤きい。
D1
最初の均衡点は点 E0 (Q0, P0)1. 所得の増加によって,需要曲線が D0 から D1 へ右⽅にシフトし,原材料価格の下落によって,供給曲線が S0 から S1 へ右⽅にシフトしたとしよう。
2. 価格 P0 のもとでの新しい需要量は Qd ,新しい供給量は Qs である。したがって,Qd − Qs の⼤きさの超過需要が発⽣している。
3. 超過需要のとき,価格メカニズムにより価格が上昇する。
4. すなわち,供給量が(供給曲線 S1 に沿って)増加し,需要量が(需要曲線 D1 に沿って)減少する。
5. 需要量と供給量が⼀致する Q* に数量が調整されると,価格の上昇は P* で⽌まる。
6. 新しい均衡点は E*(Q*, P*) になる。
QdQs
均衡取引量は増加し,均衡価格は上昇した。需要は供給よりも⼤きくシフトしている。
[i]-2. 需要の増加と供給の増加【価格が下落するケース】
10
D0
S0
Q
P
Q*
P0
P*
Q0
E0
E*
S1
【価格が下落するケース】需要増加による価格押し上げ効果よりも,供給増加による価格引き下げ効果の⽅が⼤きい。
D1
最初の均衡点は点 E0 (Q0, P0)1. 所得の増加によって,需要曲線が D0 から D1 へ右⽅にシフトし,原材料価格の下落によって,供給曲線が S0 から S1 へ右⽅にシフトしたとしよう。
2. 価格 P0 のもとでの新しい需要量は Qd ,新しい供給量は Qs である。したがって,Qs − Qd の⼤きさの超過供給が発⽣している。
3. 超過供給のとき,価格メカニズムにより価格が下落する。
4. すなわち,供給量が(供給曲線 S1 に沿って)減少し,需要量が(需要曲線 D1 に沿って)増加する。
5. 需要量と供給量が⼀致する Q* に数量が調整されると,価格の下落は P* で⽌まる。
6. 新しい均衡点は E*(Q*, P*) になる。
QsQd
均衡取引量は増加し,均衡価格は下落した。供給は需要よりも⼤きくシフトしている。
[ii]-1. 需要の増加と供給の減少【取引量が増加するケース】
11
D0
S0
Q
P
Q*
P0
P*
Q0
E0
E*S1
【取引量が増加するケース】供給減少による供給量の減少よりも,需要増加による需要量の増加が勝る。
D1
最初の均衡点は点 E0 (Q0, P0)1. 所得の増加によって,需要曲線が D0 から D1 へ右⽅にシフトし,原材料価格の上昇によって,供給曲線が S0 から S1 へ左⽅にシフトしたとしよう。
2. 価格 P0 のもとでの新しい需要量は Qd ,新しい供給量は Qs である。したがって,Qd − Qs の⼤きさの超過需要が発⽣している。
3. 超過需要のとき,価格メカニズムにより価格が上昇する。
4. すなわち,供給量が(供給曲線 S1 に沿って)増加し,需要量が(需要曲線 D1 に沿って)減少する。
5. 需要量と供給量が⼀致する Q* に数量が調整されると,価格の上昇は P* で⽌まる。
6. 新しい均衡点は E*(Q*, P*) になる。
QdQs
均衡取引量は増加し,均衡価格は上昇した。
需要は供給よりも⼤きくシフトしている。
[ii]-2. 需要の増加と供給の減少【取引量が減少するケース】
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D0
S0
Q
P
Q*
P0
P*
Q0
E0
E*
S1
【取引量が減少するケース】供給増加による価格引き下げ効果よりも,需要増加による価格押し上げ効果の⽅が⼤きい。
D1
最初の均衡点は点 E0 (Q0, P0)1. 所得の増加によって,需要曲線が D0 から D1 へ右⽅にシフトし,原材料価格の上昇によって,供給曲線が S0 から S1 へ左⽅にシフトしたとしよう。
2. 価格 P0 のもとでの新しい需要量は Qd ,新しい供給量は Qs である.したがって,Qd − Qs の⼤きさの超過需要が発⽣している。
3. 超過需要のとき,価格メカニズムにより価格が上昇する。
4. すなわち,供給量が(供給曲線 S1 に沿って)増加し,需要量が(需要曲線 D1 に沿って)減少する。
5. 需要量と供給量が⼀致する Q* に数量が調整されると,価格の上昇は P* で⽌まる。
6. 新しい均衡点は E*(Q*, P*) になる。
QdQs
均衡取引量は減少し,均衡価格は上昇した。
供給は需要よりも⼤きくシフトしている。
新聞記事からの例.需要と供給の同時変化
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消費増税対策の効果で需要は依然堅調,職⼈不⾜で建築費⾼騰し,物件価格上昇(⽇経MJ 流通新聞 2014年6⽉6⽇)
⾸都圏のマンション販売⼾数と平均価格2012年:45,546⼾ 4530万円2013年:56,478⼾ 4910万円
需要サイド:住宅ローン減税,消費税引き上げ前の駆け込み需要供給サイド:東⽇本⼤震災復興や東京五輪のため⼈⼿不⾜,資材⾼騰
(⽇経MJ 流通新聞 2014年6⽉6⽇)
D1
S0
Q
P
P0
P1
Q0
E0
E*
S1
D0
Q1
超過供給の発⽣
練習問題 1: [iii].需要の減少と供給の減少【価格が上昇するケース】
D0
S0
P0
Q0
需要曲線が左⽅に,供給曲線が左⽅にシフトすることによって⽣じた新しい均衡は, E0 (Q0, P0)に⽐べて均衡価格が上昇し,均衡取引量が減少しているという。新しい需要曲線 D1 と供給曲線 S1 を下図に書き⼊れ,均衡点 E1 (Q1, P1)を⽰せ。
E0
S1
D1
P1
Q1
E1
14
Q
P
練習問題 2: [iii].需要の減少と供給の増加【数量が減少するケース】
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D0
S0 S1
D1
a bd e fg h i
j k l
初期の均衡点は b(需要曲線 D0 と供給曲線 S0 の交点)であった.需要が減少し(需要曲線 D1 へのシフト),供給が増加した(供給曲線 S1 へのシフト)。
c
問1. 需要と供給の変化によって⽣じたのは次の (1),(2) のうちどちらか。
(1) 超過需要 (2) 超過供給
問2. 問1の⼤きさを図中の記号を使った線分で⽰せ。
線分〔 ac 〕
問3. 新しい均衡点を図中の記号で書け。〔 k〕
Q
P
練習問題 2
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D0
S0
P0
Q0
E0
Q
P
下図は航空サービスの需要曲線と供給曲線であり,点 E0 ( Q0, P0 ) は初期の均衡点を⽰している。いま,世界的なインフルエンザの流⾏により航空サービスの需要が減少し,同時に原油価格の⾼騰により航空サービスの供給が減少した。その結果,取引量は減少し,価格は下落したという。予想される新しい需要曲線 D1 と供給曲線 S1を図に書き⼊れ,均衡点 E1 ( Q1, P1 )を⽰せ。
S1
D1
P1
Q1
E1
供給の増加は供給者の収入を増やすか?
17
P
0
S1
S2
QD2D1
収⼊(=⽀出)
(原材料価格が低下した後の供給曲線)
価格が低下したからといって,供給者の収⼊が増えるとは限らない需要曲線の形(価格が下がったとき,どれぐらい数量が増えるか)に依存する.
供給が増加するとき,需要曲線 D1と D2では収⼊の変化額が異なる。
豊作貧乏 (1):ある地域の農作物の需要と供給
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D
S0
P0
Q0
E0
S1
P1
Q11,000 Q [kg]
P [円 / kg]豊作の年の供給曲線
E1
1,500
1,000
300
前年の供給曲線
前年の収⼊1,000円×1,000 kg = 1,000,000 円
豊作の年の収⼊300円×1,500 kg = 450,000 円
【重要】価格の下落率70% >取引量の増加率 50% 収⼊は減少
(100万円)
(45万円)
豊作貧乏:豊作であったにも関わらず,価格が低下することによって貧しくなってしまう現象
価格は70%下落
取引量は50%増加
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キャベツ、生産過剰で産地廃棄へ・東海と九州
キャベツが7日から東海と九州の産地で廃棄されることになった。10月以降の安定した天候で生産が過剰となり、卸値が平年(過去5年の平均)を大きく下回っているため。JAあいち経済連(名古屋市)やJA全農ふくれん(福岡市)など4団体で10日までに計9710トンを廃棄する。
農林水産省が全国農業協同組合連合会(全農)から緊急需給調整の届け出を受けた措置で、廃棄した生産者には1キロ27円が交付される。JAあいち経済連は「愛知県の1日の出荷量は平年より5割ほど多い」としている。
農水省によると「東京市場のキャベツ卸値は5日時点で1キロ35円と平年より57%安い」という。キャベツの産地廃棄は2005年8月以来となる。
[2006年12⽉6⽇⽇本経済新聞]
豊作貧乏 (2) 減反,廃棄
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D
S0
P0
Q0
E0
S1
P1
Q11,000 Q [kg]
P [円 / kg]豊作の年の供給曲線
E1
1,500
1,000
300
前年の供給曲線
前年の収⼊: P0Q0 = 1,000,000 円豊作の年の収⼊: P1Q1 = 450,000 円↓
廃棄後の収⼊: P2Q2 = 840,000円
S2
廃棄した後の供給曲線
Q2
1,200
E2700 P2
供給の減少[廃棄]は,逆に収⼊を増やす
廃棄
価格の弾力性
価格に対して「⾮弾⼒的」な需要曲線価格が⼤きく変化しても,数量があまり変わらないケース
• 価格下落率>数量増加率
• 豊作貧乏のケース:価格は70%も下落しているのに,数量は50%しか増えていない。作物の廃棄によって収⼊は増える
価格に対して「弾⼒的」な需要曲線価格が少し変化しただけて,数量が⼤きく変わるケース
• 価格下落率<数量増加率
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弾力性の異なる需要曲線
22
P
0 Q
D1: Q = 40 − 0.4P
D2: Q = 80 − 2P
40 80
40
100
25
30
20
32
価格が25から20に下落した場合 需要量の変化 D1:30 32D2:30 40
需要量 ⽀出額
価格 D1 D2 D1 D2
変化前 25 30 30 25*30 = 750 750変化後 20 32 40 640 800変化率 20%下落 6.7%増加 33%増加 −14.7% +6.7%価格変化率に⽐べて: ⼩さい ⼤きい
⽀出25×30=750
D1は価格⾮弾⼒的な需要曲線D2は価格弾⼒的な需要曲線
で評価すると25,30, PQ
需要の価格弾力性(弾性値)
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価格の変化率
数量の変化率需要の価格弾力性
D1: Q = 40 − 0.4P 33.0%20%7.6
価格⾮弾⼒的
D2: Q = 80 − 2P 67.1%20%33
価格弾⼒的
|価格の変化率|>|数量の変化率| 価格弾⼒性 < 1
価格弾⼒性> 1
数量 Q = 30,価格 P = 25 周辺での価格弾⼒性
|価格の変化率|<|数量の変化率|
豊作貧乏のケース 71.0%70%50
価格⾮弾⼒的 豊作によって収⼊は減ってしまう
価格⾮弾⼒的な需要曲線では,価格が上昇すると⽀出額は減る。 価格弾⼒的な需要曲線では,価格が下落すると⽀出額は増える。
価格⾮弾⼒的
価格弾⼒的
需要曲線は右下がりなので絶対値で評価する。
需要の価格弾力性の計測例 (1)財・サービス 価格弾⼒性 対象年次
1 電⼒(北陸) 0.72 1986-2006
2 電⼒(関⻄) 0.91 1986-2006
3 ⾷料品 0.11 1985-2012
4 保健・医療 0.80 1985-2012
5 乗⽤⾞ 1.55 1968-2003
6 住宅 1.14 2000-2005
7 携帯電話(通話) 2.51 1997-2000
24
参照1,2: ⾕下(2009) JJSER Vol.303,4: 北村 (2013) Hi-Stat DP 2745: ⼩池 (2011) 運輸政策研究 Vol.146: 吉⽥ほか(2009) 建設物価調査会総研リポート7: 中村・実績 (2007) NO.ICP-2006-02
価格⾮弾⼒的
価格弾⼒的
需要の価格弾力性の計測例 (2)
25
年次 訪⽇外国⼈(中国)[万⼈]
為替レート[⼈⺠元/1万円]
2012年 163 791 2014年 254 580
変化率 [%] 56.0 -26.7
|価格変化率|<|需要量変化率|価格弾⼒的
出所:出⼊国管理統計(法務省), OECD Statistics
出所:JT,厚⽣労働省
年次 推定喫煙者数 価格2010年 1851 3002014年 1530 460
変化率 [%] -17.4 53.3
中国⼈の⽇本旅⾏の需要
たばこの需要
|価格変化率|>|需要量変化率|価格⾮弾⼒的
26
非合法な麻薬の使用を減らす (1)
Q
P
D
S1S2
Q1
P1
P2
Q2
【⿇薬禁⽌政策】•⿇薬の国内流通量を減らすために,⿇薬捜査官を増やし,密輸業者の摘発を増やす。•⿇薬の供給量が減少する。•超過需要が発⽣。⿇薬の価格が⾼騰する。
【政策の効果】•均衡が(Q1,P1)から(Q2,P2)に変わると,⿇薬供給の総収⼊が増加するかもしれない。 P1Q1 < P2Q2
•⿇薬供給の減少は,⿇薬使⽤を⽌める⼈の率よりも,⿇薬価格の上昇率を⾼めてしまうかもしれない。•⿇薬使⽤者が⿇薬に⽀払う市場での総額は増える。
⿇薬常⽤者が⾼い価格の⿇薬を⼿に⼊れるために,窃盗や強盗が増える恐れ
⿇薬の供給を減少させる政策
他の例.禁酒法(1919-1932,⽶国)
⾮弾⼒的な需要曲線
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非合法な麻薬の使用を減らす (2)
Q
P
D1
S
Q1
P1
P2
Q2
D2
【⿇薬の害についての教育政策】•⾮常習者に対する⿇薬教育に⼒を⼊れる。•⿇薬の需要が減少する(⿇薬教育が成功する)。•超過供給が発⽣し,価格が下落する。
•⿇薬取引の総収⼊は減少する。•⿇薬に絡む犯罪も減る。
⿇薬に絡む犯罪も減らすことが,政策⽬標ならば,捜査官の数を増やすよりも,⿇薬の害に対する教育に⼒を⼊れる(お⾦を使う)⽅が,経済学的にみて効果があるかもしれない。
⿇薬の需要を減少させる政策
⾮弾⼒的な需要曲線
キーワードと参考文献
28
Keywords: 超過供給,超過需要,市場[価格]メカニズム,豊作貧乏,需要の価格弾⼒性
参考⽂献1. マンキュー:pp.109-136, 148-150
2. ⼋⽥:pp.34-55