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ひやまshowがいウィーク2017
自閉症の理解と支援
2017-10.16
北海道発達障害者支援センターあおいそらコーディネーター 庄司 晋理
本日の話の流れ
• 理解について
–基礎情報
–障がい特性
–まとめ1
• 支援について
–まとめ2
基礎情報
自閉症スペクトラム???
名称
•自閉スペクトラム“症” ASD
(自閉症(AU) アスペルガー症候群(AS) 広汎性発達障害
(PDD)など含む)
• 注意欠如多動“症” ADHD
• 限局性学習“症” LD
☺この3つを発達障がいと呼びます
スペクトラム
• スペクトラム(Spectrum) = 連続体
①自閉症の中には いろいろなタイプが有る、
が、これらを明確に分けられない…連続体
②発達障がいの3種類も…重複することが有る
3種類は、連続体
注意欠如多動症
自閉スペクトラム症
限局性学習症
“非”自閉症者とも、連続体
薄い ← ~ → 濃い
“非”自閉症 自閉症
実際は
自閉症の発症率
• 連続体(スペクトラム)なので
• 線の引き方によって数値は前後する、が、
• 最新の公的な機関の報告では、「68人に1人」
• その他の調査も含めると、自閉スペクトラム症→「100人に1、2人」(1-2%)
• 白老町の人口(約17,440人)で言うと・・・→174~348人ほど
• 決して希な存在ではない
原因
• 特定されていないが
• 脳機能の“生まれつきの違い”である
• 幾つかの要因が影響していると言われていて、
• 遺伝要因と環境要因が複雑に絡み合っていると言われている
– 「環境要因」:出産時の親の年齢/子宮内環境/低体重出生 などが注目される(現在も調査中)。
※環境要因≠親の育て方、しつけ、養育環境
治癒・治療
• 研究は進んでいるが、原因は特定されていない。今のところ、治癒の対象ではない自閉症の人を「自閉症でない人」にすることは不可能
• 原因不明であるため保護者(特に母親)や養育環境が非難されたり、治癒を謳う「●●療法」等の情報が横行しやすい
“発達”障がい…でも
• “発達”障がい…。
• でも、
• 大人の自閉症、大人のアスペルガー症候群、大人のADHD、大人のLDの方もいる。
• 発達障がいは生まれつきのもの。
• ですが、
• 大人になってから診断を受ける方も
• 多くいます。
特徴
• 非常に個性的 ユニーク
• 一般的ではない物事のとらえ方きばつな発想 思考 独特な感性の持ち主
• 狭い特定の分野に 非常に深い洞察力と集中力を発揮するタイプ
• 我が道を行く 貫く 流されないタイプ
特徴は、長所にも短所にも…。
• 非常に個性的 ユニーク
→ 独特 奇妙 エキセントリック• 一般的ではない物事のとらえ方 発想 思考 独特な感性の持ち主
→ 風変わり 空気を読めない(KY)• 狭い特定の分野に 非常に深い洞察力と集中力を発揮するタイプ
→ やる気が無い わがまま• 我が道を行く 貫く 流されないタイプ
→ 融通が利かない 自己中心的
障がい特性-どんな特徴があるのか-
どんな特徴があるの…?
• 自閉スペクトラム症の3つ組
–社会性の違い
–コミュニケーションの違い
–想像力の違い
社会性の違い
• 人間関係の形成が困難。
• 人への興味が薄い、また過度に親しげ。
• マイペース。人に合わせることが苦手。
• 年齢や立場にとらわれず、公平に考える。
• 裏表が無い。人間関係に計算が無い。
• 暗黙の了解、微妙なルールが分からない。
• 一般常識を知らない。
コミュニケーションの違い
• “不自然”なコミュニケーション。• 言葉が出ない。エコラリア(オウム返し)。• 話すスピードが平坦。抑揚がない。• 話が細かすぎる。話題が逸れる、脱線する。• 専門用語や、独特な表現を好む。• 妙に堅い、または馴れ馴れしい話し方。• 比喩・冗談・慣用表現・皮肉が分かりにくい。• 非言語コミュケーション(仕草、表情など)の理解と、使用が難しい。
• 字義(言葉)通りに理解する。• 曖昧な説明では分からない、誤解する。
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想像力の違い
• いつもの方法(やり方/ルート/手順/パターン/物事/行動)へのこだわり。
• 見えないモノ(気持ち/裏の意図/感情/間/空気/抽象概念)を想像することが苦手。
• 興味・関心が狭く、深い。
• いくつもの情報を 一度に頭の中で整理することが苦手。
– 考え方(視点・視野)が狭く硬い(白黒思考)
– 突然の変更、予定外の事にうまく対応できない。
– 細かい点に注目して、全体を見られない
「個」人差に合わせた関わり
• ○○が有る…だから自閉症だ、
• ○○が無い…だから自閉症ではない、
• という理解ではなく、
• 自閉症を持つ、または持つかもしれない目の前の「本人に合った」支援が大切。
見えない障がい
• 彼らの「脳の働きの違い」は目に見えない
• 彼らの「感じ方・受け止め方」も見えない
理解しにくく、誤解されやすい
支援や関わり方の問題(サポート不足)、でなく「本人の問題」と思われてしまう
よくある誤解
• 努力が足りない やる気がない
• いいかげん テキトー 信用できない
• わがまま 自分勝手 自己中心的
• 無礼 冷酷 変人 人でなし
• もっと厳しく言えば分かる
• 叱り方が足りない
• 育て方の問題 躾がなってない
• 親の問題、家族の問題。
自閉スペクトラム症の特性
ADHDの特性
発達障がいを持つ方に特有の部分
誤解や無理解から…
学校や職場での不適応、孤立、いじめ、周囲への攻撃、けんか、怠学、引きこもり。
保護者との関係悪化、暴言、家庭内暴力、家出、深夜徘徊
自尊心の傷つき、不安や不信、落ち込み など
LDの特性
二次障がいとの関連
一次障がい
二次障がい支援の範囲
二次障がいとの関連
• 精神疾患
• 不登校や引きこもり
• 非行
• 虐待 被虐待
• 家庭内暴力
• ニート
• 生活困窮
• 反社会的行動
• 触法
二次障がい
まとめ1
まとめ
☑自閉症を持つ方は生まれ持った“脳の働き方の違い”が有る。
☑その“違い”は、見た目には分かりにくい。
そのため
☑周囲から理解されず、誤解されやすい
☑必要な支援がされず、不適切な関わりをされやすい
☑巡り巡って、深刻な二次障がいに至ること
☑社会適応の困難、触法に至るケースも少なくない
実は、伝わっていなかったかも…?
• 長い話や難しい話を 口答で伝えても…。
• たくさんのことを 一度に伝えても…。
• たとえ話で、説明しても…。
• 怒って注意しても…。
• 〈分かった?〉「うん。」と返事をしていても…。
• 曖昧な表現で伝えても…。
• オープンクエスチョン(どう思う?)では…。
実は、混乱していたかも…?
• 突然、予定が変わった時
• サプライズの、楽しみな活動
• 不意に話し掛けた時
• 活動の途中で、話しかけた時
• 気持ちを答えるように求めた時
まずは知ること
• 浅く で良いので
• 広く 正しく なるべく多くの人に知ってもらうことが大切。
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理解の話は、ここまでです。
支援について
支援のポイント
• 行動を「自閉症の特性」で、考えてみる。
脳の働き方の違い、で見てみる。頑張る、根性、やる気、などでは越えられない違い、であること。
→脳の働き方の違いを補う工夫
日常のやり取り
• 話が全く噛み合わない。
• 相手の気持ちが分からない、考えない。
• 自分の考え方を変えない、譲れない。
• 話が転々として まとまらない。
• 突然、本題から話し始めたり、話が飛ぶ。
• 何回、話しても、一向に伝わらない。
• 質問に答えてくれない、又は主旨からズレた答えが返ってくる。
ある日の夕方
子
母
うん 分かった
アオイくん ちょっと
お風呂見てきてくれる
視点を変えてみると・・・
• よくある普通の反応?
• 自閉症の特性が影響した反応?
• 特性が影響した反応であるとしたら、
• 普通の対応では、ネガティブサイクルにはまり込んでしまう、かも。