英詩を利用した言語形式の焦点化の特徴 - hiroshima...

19
36 回中国地区英語教育学会 自由研究発表資料 日時:2005 6 25 日(土) 場所:岡山大学教育学部 西原貴之 広島大学大学院教育学研究科博士課程後期院生 [email protected] 英詩を利用した言語形式の焦点化の特徴 -詩のコミュニケーション 1 的特徴からの理論的考察- 1.はじめに 現在、外国語教育研究では言語形式の焦点化 2 focus on form)について様々な観点から研究され ている(e.g., DeKeyser, 1998; Doughty, 2001; Dooughty & Varela, 1998; Fotos, 1998; Harley, 1998; Kowal & Swain, 1994; Lightbown, 1998; Lightbown & Spada, 1990; Muranoi, 2000; Norris & Ortega, 2000; Robinson, 1995, 2001; Sawyer & Ranta, 2001; Skehan & Foster, 2001; Swain, 1998; Williams, 1999; Wong, 2001)。言語形式の焦点化は、それ以前の言語形式偏重(focus on forms)や意味偏重(focus on meaningの教授アプローチ 3 の反省の上に成り立ったものであり、学習者の目標言語知識発達 4 のためにはコ ミュニケーション(説明文など紙面によるものも含む)の中で意味 5 と言語形式 6 両方に注意 7 が向 1 ここで述べる「コミュニケーション」とは、合理性の再構成を目指すハーバーマス(1981/1985, 1981/1987)等が用いる意味合いではない(より広い視野で見れば関係しているのであるが)。本発表では、 テクストの産出面と受容面から構成されるものという意味で「コミュニケーション」という語を用いる。 2 言語形式の焦点化にも様々なものがある。言語形式の焦点化の種類等については、 Doughty and Williams (1998) 等を参照されたい。 3 言語形式偏重型の教授アプローチとは、文法項目を文脈と切り離した状態で個別に指導する教授法の 総称である。意味偏重型の教授アプローチとは、文法など言語の構造面に関する指導は一切行わず、た だインプットの意味理解のみを重視する教授法の総称である。具体的にどのような教授法が言語形式偏 重型と意味偏重型の教授アプローチにあてはまるかは、Long and Robinson (1998) 等を参照されたい。な お、本発表では Anthony (1963) Richards and Rogers (1986) が述べる、言語の本質及び言語学習の原理 に関する理論的仮説という意味合いで「アプローチ」という語を用いている。 4 目標言語知識発達の様式については様々な考え方が提案されている(Cook, 2001; Mellow & Stanley, 2001; Sharwood Smith, 1994; 西原, 2005)。言語形式の焦点化で比較的多く言及されるモデルとしては、R. Ellis (1995, 1999)Gass and Selinker (2001)McLaughlin (1987, 1990)Rutherford and Sharwood Smith (1985)R. Schmidt (1990, 1995, 2001)Sharwood Smith (1981)VanPatten (1995, 1996, 2003) などが挙げられる。 5 意味については、言語学(Fillmore, 1982; Firth, 1951/1957; Halliday, 1994; Jackendoff, 1983; Katz & Fodor, 1963; Lamb, 1973; Ogden & Richards, 1923; イェルムスレウ, 1953/1959; グレマス, 1966/1988; バンヴェニ スト, 1966/1983)や哲学(see e.g., Allwood et al., 1977; Church, 1951/2001; Davidson, 1967/2001; Frege, 1892/2001; Grice, 1957/2001, 1975/2001; Hempel, 1950/2001; Quine, 1953; Russell, 1905/2001; Searle, 1983; Strawson, 1970/2001; Tarski, 1944/2001)などで様々に研究され、多くの定義がなされている。しかし本発 表では、単純に言語表現内で言語形式によって伝達される内容を指すものとして「意味」という語を用 いる。 6 言語形式も、意味同様に言語学や哲学などで研究されており(see e.g., Chomsky, 1965; Leitch, 1995; Rowe, 1995; イェルムスレウ, 1953/1957; スモレンスキー, 2001)、様々な定義が示されている。しかし本発表で は、「この内容をどのように言えばよいのか」と考える際の「どのように言えば」という点に関わるもの として「言語形式」という語を用いる。 7 注意とは人間が持つ、選択的にあるものに集中する能力である(Richards et al., 1992)。処理する情報に 1

Upload: others

Post on 23-Sep-2020

1 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: 英詩を利用した言語形式の焦点化の特徴 - Hiroshima Universityついてその特徴を整理し、その上で英詩を利用した言語形式の焦点化の特徴を指摘することを

第 36 回中国地区英語教育学会 自由研究発表資料 日時:2005 年 6 月 25 日(土) 場所:岡山大学教育学部

西原貴之 広島大学大学院教育学研究科博士課程後期院生

[email protected]

英詩を利用した言語形式の焦点化の特徴

-詩のコミュニケーション1的特徴からの理論的考察-

1.はじめに 現在、外国語教育研究では言語形式の焦点化2(focus on form)について様々な観点から研究され

ている(e.g., DeKeyser, 1998; Doughty, 2001; Dooughty & Varela, 1998; Fotos, 1998; Harley, 1998; Kowal & Swain, 1994; Lightbown, 1998; Lightbown & Spada, 1990; Muranoi, 2000; Norris & Ortega, 2000; Robinson, 1995, 2001; Sawyer & Ranta, 2001; Skehan & Foster, 2001; Swain, 1998; Williams, 1999; Wong, 2001)。言語形式の焦点化は、それ以前の言語形式偏重(focus on forms)や意味偏重(focus on meaning)の教授アプローチ3の反省の上に成り立ったものであり、学習者の目標言語知識発達4のためにはコ

ミュニケーション(説明文など紙面によるものも含む)の中で意味5と言語形式6両方に注意7が向

                                                      1 ここで述べる「コミュニケーション」とは、合理性の再構成を目指すハーバーマス(1981/1985, 1981/1987)等が用いる意味合いではない(より広い視野で見れば関係しているのであるが)。本発表では、

テクストの産出面と受容面から構成されるものという意味で「コミュニケーション」という語を用いる。 2 言語形式の焦点化にも様々なものがある。言語形式の焦点化の種類等については、Doughty and Williams (1998) 等を参照されたい。 3 言語形式偏重型の教授アプローチとは、文法項目を文脈と切り離した状態で個別に指導する教授法の

総称である。意味偏重型の教授アプローチとは、文法など言語の構造面に関する指導は一切行わず、た

だインプットの意味理解のみを重視する教授法の総称である。具体的にどのような教授法が言語形式偏

重型と意味偏重型の教授アプローチにあてはまるかは、Long and Robinson (1998) 等を参照されたい。な

お、本発表では Anthony (1963) や Richards and Rogers (1986) が述べる、言語の本質及び言語学習の原理

に関する理論的仮説という意味合いで「アプローチ」という語を用いている。 4 目標言語知識発達の様式については様々な考え方が提案されている(Cook, 2001; Mellow & Stanley, 2001; Sharwood Smith, 1994; 西原, 2005)。言語形式の焦点化で比較的多く言及されるモデルとしては、R. Ellis (1995, 1999)、Gass and Selinker (2001)、McLaughlin (1987, 1990)、Rutherford and Sharwood Smith (1985)、R. Schmidt (1990, 1995, 2001)、Sharwood Smith (1981)、VanPatten (1995, 1996, 2003) などが挙げられる。 5 意味については、言語学(Fillmore, 1982; Firth, 1951/1957; Halliday, 1994; Jackendoff, 1983; Katz & Fodor, 1963; Lamb, 1973; Ogden & Richards, 1923; イェルムスレウ, 1953/1959; グレマス, 1966/1988; バンヴェニ

スト, 1966/1983)や哲学(see e.g., Allwood et al., 1977; Church, 1951/2001; Davidson, 1967/2001; Frege, 1892/2001; Grice, 1957/2001, 1975/2001; Hempel, 1950/2001; Quine, 1953; Russell, 1905/2001; Searle, 1983; Strawson, 1970/2001; Tarski, 1944/2001)などで様々に研究され、多くの定義がなされている。しかし本発

表では、単純に言語表現内で言語形式によって伝達される内容を指すものとして「意味」という語を用

いる。 6 言語形式も、意味同様に言語学や哲学などで研究されており(see e.g., Chomsky, 1965; Leitch, 1995; Rowe, 1995; イェルムスレウ, 1953/1957; スモレンスキー, 2001)、様々な定義が示されている。しかし本発表で

は、「この内容をどのように言えばよいのか」と考える際の「どのように言えば」という点に関わるもの

として「言語形式」という語を用いる。 7 注意とは人間が持つ、選択的にあるものに集中する能力である(Richards et al., 1992)。処理する情報に

1

Page 2: 英詩を利用した言語形式の焦点化の特徴 - Hiroshima Universityついてその特徴を整理し、その上で英詩を利用した言語形式の焦点化の特徴を指摘することを

けられることが必要であると考えられている(see e.g., Long, 1991; Long & Robinson, 1998)。両者に

注意を払うことによって、学習者に意味と言語形式をマッピングさせることを目指している。 一連の研究の中で、言語形式の焦点化を効率的に引き起こす方法として文学教材の読解が注目さ

れ、いくつか研究がなされている(e.g., Hanauer, 1997a, 2001a, 2003, 2004; Nishihara, 2005; Rossiter, 1997, 1998; Tarone, 2000; 西原, 2003, 印刷中; ロシター, 2003)。これらの研究は、文学の言語がもつ、

読者の注意を言語形式そのものに向けさせるという特性(後述)に注目している。 従来の言語形式の焦点化は、日常的なコミュニケーションの中で、学習者にそのコミュニケ

ーションで産出された日常言語の意味理解をさせると同時にその言語形式にも注意を向けさせ、

彼(女)らに意味と言語形式のマッピングをはからせることを意図した教授アプローチである。

言語形式の焦点化の手段として文学教材を利用することに注目している研究は、日常言語の代

わりに文学教材を用いることを提案していることになる。しかし、文学教材を用いた場合、そ

れに伴ってわれわれは別のコミュニケーション形態(この場合は文学のコミュニケーション

(literary communication))を想定しなければならなくなる。そうすると、従来の言語形式の焦

点化と共通点(意味理解の中で言語形式に注意を払うこと)があったとしても、コミュニケー

ション形態の違いから他の部分でいくつか相違点が出てくることが予想される。しかし、先行

研究はその相違点についてほとんど考察していない。文学教材を言語形式の焦点化の手段とし

て用いるのであれば、意味理解の中で言語形式に注意を払い、意味と言語形式のマッピングを

行うというプロセスにどのような特徴(従来の言語形式の焦点化との違い)が現われくるのか

ということを考えなければならない。そうしなければ、言語形式の焦点化における文学教材の

有用性を考察した研究は、表面的な類似点においてのみの考察に終始してしまうおそれがある。

そして、例えば意味理解の中で言語形式に注意を払うという共通点のみに注目した安易な文学

教材の利用が行われてしまったり、文学教材を用いた言語形式の焦点化に従事している学習者

のパフォーマンスを、従来の言語形式の焦点化の考え方のみに基づいて不当に評価してしまっ

たりといったことが生じるおそれがある。このような事態は避けなければならないであろう。 しかし、文学には様々なジャンルが存在し、文学一般について議論することは不可能である。そ

こで本発表では、文学のジャンルの中で特に詩を取り上げてみたい。この理由は、言語形式への注

意が典型的にもっとも顕著に生起するのが詩であり(e.g., Jakobson, 1960, 1987)、言語形式の焦点化

の理論との相違点を考察しやすいと考えたためである。本発表で述べる詩は次に述べるような特徴

を典型的に強く備えているテクストを意味している。

a literary text that presents the experiences, thoughts, and feelings of the writer through a self-referential use of language that creates for the reader and writer a new understanding of the experience, thought, or feeling expressed in the text. (Hanauer, 2004, p.10)

これは、決して詩というジャンルを定義するものではない。第 2 節で述べるように、詩はファジー

集合であり、この特徴はあくまでも詩が典型的に強く備えているものとして提示している。また、

上の引用にあるような特徴を強く備えた上で、使用言語が英語であるテクストを英詩(English poetry)と呼ぶことにする8。 そこで本発表は、詩のコミュニケーション(poetic communication)で産出される詩の受容に

                                                                                                                                                                      対して人間は注意を向ける。しかし、一時に注意を向けることのできる情報には限りがある。注意は作

動記憶における中央実行系にコントロールされており、学習者の様々な情報処理において中心的な役割

を担っている(N. Ellis 2001)。更に、注意は第 2 言語の言語知識を発達させる、つまり第 2 言語に関する

情報を長期記憶用に符号化して内在化をさせるのに本質的な役割を担うとされている(R. Schmidt, 2001)。 8 本発表では、詩というテクストタイプ一般に関わる特性について述べる場合は「詩」という語を用い、

言語形式の焦点化や外国語教育との関係で述べる場合は「英詩」という語を用いる。ただし、「英詩」と

「詩」の間には使用言語が明示されているという以外には特に意味の違いはない。

2

Page 3: 英詩を利用した言語形式の焦点化の特徴 - Hiroshima Universityついてその特徴を整理し、その上で英詩を利用した言語形式の焦点化の特徴を指摘することを

ついてその特徴を整理し、その上で英詩を利用した言語形式の焦点化の特徴を指摘することを

目的とする。本資料の構成は次の通りであり、各節の要点は図 1 に示している。第 2 節では、本発

表が前提としている事柄について簡単に整理しておく。具体的には、詩はファジー集合の成員であ

ること(2.1)、詩をコミュニケーションの産物と捉えること(2.2)、詩のコミュニケーションはファ

ジー集合である詩が典型的に伴っているコミュニケーション形態であること(2.3)、について述べ

る。次に、第 3 節で詩のコミュニケーション的特徴について、産出面(3.1)と受容面(3.2)に分け

てまとめる。さらに、受容面について、詩の意味面(3.2.1)、言語形式面(3.2.2)、意味面と言語形

式面の関係(3.2.3)における特徴(つまり日常的なコミュニケーションで産出される日常言語の場

合との違い)を指摘する9。意味面に関しては多くの弱い暗意へのアクセス、言語形式面に関し

ては有標的言語表現の存在と読者の注意を言語形式それ自体へと向けさせる特性、意味面と言

語形式面の関係については両者の有契的関係と言語形式への注意のコミュニケーション上の本

質性、を指摘する。そして、第 4 節では、これら 4 点を踏まえた上で、言語形式の焦点化の手段と

して英詩を用いることの特徴(本来の言語形式の焦点化との相違点)を指摘する。意味面に関して

は意味理解がゆっくりと平行的に進むこと(4.1)、言語形式面については学習者が注意を向けるの

は有標的言語表現であること(4.2)、意味面と言語形式面の関係については意味と言語形式のマッ

ピングにおいて弱い暗意と有標的言語表現が関わることと言語形式の注意による意味理解の妨げは

奨励されるべきものであること(4.3)を指摘する。第 5 節は結論となる。本発表は、ある目的に対

して、言語形式の焦点化の手段として英詩を用いるかどうか決定するための判断や英詩を利用

した言語形式の焦点化に従事した学習者のパフォーマンスを評価するための一助となる情報を

提供するものと考えられる。なお、本発表は詩のコミュニケーションに関する基礎理論(特に文

体論)を援用しながら英詩を利用した言語形式の焦点化について概念上の整理を行うことを目的と

しているため、理論研究のスタイルをとる。 2.いくつかの前提 2.1 ファジー集合の成員としての詩 前節で、Hanauer (2004) を引用しながら、本発表での詩の意味合いを述べた。そこで述べた特徴

は詩を定義するものではなく、典型的に詩が備えていると考えられるものである。ここでは、この

ことについて少し説明を加えておきたい。 詩は日常言語と対比して研究されることが多いことは言うまでもないであろう。このような対比

をしていると、詩は日常言語と独立しており、ある属性(しばしば文学性と呼ばれてきた)の有無

により定義することが可能であるような感覚におそわれる。このようなカテゴリーは古典的集合10

と呼ばれ、文学をこのような形で定義しようとした試みは多くなされている11。確かに、以前はウ

ェルギリウスの輪12に見るように、詩というジャンルを古典的集合とみなすことはできた。しかし、

ロシア・アヴァンギャルド13やモダニズム14、さらにはポストモダニズム15の作品群に見るように、

                                                      9 第 3 節で述べるように、英詩を利用した言語形式の焦点化で学習者が直接関わるのは受容面である。 10 成員がある集合に属すかどうかがはっきりとしており、特性関数によって帰属度が 1 か 0 の値しかと

らない集合を指す(see e.g., 西田・竹田, 1978; 西原, 2004)。 11 具体的には、ロシア・フォルマリズム(e.g., Eichenbaum, 1927/1965; Shklovsky, 1917/1965)、プラーグ構

造主義言語学(e.g., Jakobson, 1960; Mukarovsky, 1932/1964; プラーグ言語学サークル, 1929/1999; ムカルジ

ョフスキー, 1938/1982)などが該当する。 12 詳しくは、ギロー(1957/1959)を参照されたい。 13 1910~20 年代にロシアで繰り広げられた芸術運動である。ロシア・フォルマリズムもこの芸術運動の

1 部である。詳しくは桑野(編訳)(1984)を参照されたい。 14 20 世紀初等にヨーロッパで起こった実験的な芸術運動を指している。伝統的な技巧を廃し、新しい芸

術を生み出そうとした。

3

Page 4: 英詩を利用した言語形式の焦点化の特徴 - Hiroshima Universityついてその特徴を整理し、その上で英詩を利用した言語形式の焦点化の特徴を指摘することを

【第 1 節:はじめに】 問題の所在 英詩を利用した言語形式の焦点化の研究は、テクストの意味理解の中で言語形式に注意を払うとい

う従来の言語形式の焦点化との共通点のみに注目しており、英詩を用いることで生じる相違点(従

来の言語形式の焦点化が想定する日常的なコミュニケーションと英詩のコミュニケーションの特徴

の違いから生じる相違点)については考察していないという点 本発表の目的 詩のコミュニケーションにおける詩の受容の意味面、言語形式面、意味面と言語形式面の関係の特

徴を整理し、その上で英詩を利用した言語形式の焦点化の特徴(従来の言語形式の焦点化との相違

点)を指摘すること 研究の意義 ある目的に対して、英詩が言語形式の焦点化の手段として適切かどうか判断したり、英詩を利用し

た言語形式の焦点化に従事している学習者のパフォーマンスを評価するための一助になると考えら

れる点 方法 文体論の知見に基づいた理論的考察

【第 2 節:いくつかの前提】 本発表の前提 1. 詩はファジー集合の成員である点 2. 詩もコミュニケーションの産物である点 3. 詩のコミュニケーションは詩が典型的に伴っているコミュニケーション形態である点

【第 3 節:詩のコミュニケーションの特徴】 詩のコミュニケーションは、詩の産出面と詩の受容面からなる。 詩の産出面 1. 規約的な符号化のコードがない意味内容が符号化される点 2. 意味内容の符号化の方法として、規則の強調や規則の違反が用いられる点 詩の受容面 ≪意味面≫ 1. 多くの弱い暗意へのアクセス ≪言語形式面≫ 1. 有標的言語表現の存在 2. 有標的言語表現は、読者の注意を言語形式そのものに向けさせる特性を持っている点 ≪意味面と言語形式面の関係≫ 1. 意味と言語形式の間に有契的な関係がある点 2. 言語形式への注意は詩のコミュニケーション上本質的である点

【第 4 節:英詩を利用した言語形式の焦点化の特徴】 英詩を用いた言語形式の焦点化の特徴 ≪意味面≫ 1. 意味理解はゆっくりと並行的に進む点 ≪言語形式面≫ 1. 学習者が注意を向けるのは有標的言語表現である点 ≪意味面と言語形式面の関係≫ 1. 意味と言語形式のマッピングにおいて、弱い暗意と有標的言語表現が関わる点 2. 言語形式への注意による意味理解の妨げは奨励されるべきものである点 図 1.本発表の概要 現代詩を共通の属性の有無で定義することは不可能である。むしろ、詩というジャンルは成員の家

                                                                                                                                                                      15 モダニズムで開発された技巧を茶化して、モダニズムが暗黙の前提としていた事柄を暴き出し、その

体系を転覆させる芸術運動を指す。

4

Page 5: 英詩を利用した言語形式の焦点化の特徴 - Hiroshima Universityついてその特徴を整理し、その上で英詩を利用した言語形式の焦点化の特徴を指摘することを

族的類似性16(Wittgenstein, 1953)に基づいた集合であり、その集合にはプロトタイプ効果17(Lakoff, 1987)があるだけである。つまり、詩はファジー集合18(Zadeh, 1965)である(Groeben & Schreier, 1998; Schauber & Spolsky, 1981, 1986; Steen, 1999; 西原, 2004)。 ファジー集合の成員は、所定の集合の成員らしさというプロトタイプ効果によって統括され、各

成員はその集合の所属の度合い性を持っている(Lakoff, 1987)。詩というジャンルは、詩らしさと

いうプロトタイプ効果により統括され、その成員は詩らしさの強弱によってその所属度が決まる。

詩らしさが強い成員は、読者に詩と認識されることが多くなり、詩らしさが弱い成員はむしろ日常

言語と見なされることが増えることになる(van Peer, 1991; 西原, 2004)。 以上まとめると、詩というジャンルは詩らしさというプロトタイプ効果により統括されるファジ

ー集合である。そして、あるテクストが詩となるかどうかは、そのテクストがある属性(詩らしさ)

を持っているかどうかではなく、どの程度その属性(詩らしさ)が強いかで決まると考えるのであ

る。本発表では、Hanauer (2004) で述べられているような特性を詩らしさとし、その特性が特に強

いものを詩とみなして考察を進める。 2.2 詩はコミュニケーションの産物であること 詩はしばしばコミュニケーションと関係がないかのような扱いがなされることがある19。しかし、

S. Schmidt (1982) などが述べるように、詩もそれに対応したコミュニケーション(つまり詩のコミ

ュニケーション)の中で産出される。詩であってもそれを産出する作家がいて、詩を受容する読者

もいる。日常的なコミュニケーションと詩のコミュニケーションは第 3 節で述べるようにいくつか

異なる点がある。この違いは一方がコミュニケーションでもう一方が非コミュニケーションである

ために生じるものではなく、両者のコミュニケーション形態の違いにより生じている。本発表では、

詩はコミュニケーションの中に埋め込まれているものとみなして以後考察を進める。 2.3 詩のコミュニケーションはファジー集合である詩が典型的に伴っているコミュニケーション形

態であること 2.1 で述べたように、詩というジャンルはファジー集合であり、詩と呼ばれるテクストは Hanauer (2004) が述べたような特徴を典型的に強く備えているテクストを指している。そして、2.2 で述べ

たように、詩もコミュニケーションの中での産物である。次節から詩のコミュニケーション的特徴

を整理していくが、そこで述べる特徴は詩が埋め込まれているコミュニケーション形態が典型的に

備えていると考えられるものである。決して、詩が必ず伴うコミュニケーション形態というわけで

はない。また、英詩を用いた言語形式の焦点化に学習者が従事することで、彼らは詩のコミュニケ

ーションに受容者として参加することになる。 3.詩のコミュニケーションの特徴 詩のコミュニケーションの全体像をとらえるためには、(1)産出面と(2)受容面について考えな

ければならない。もちろん、より広くは、詩をとりまく社会や歴史という観点から考える必要もあ

                                                      16 あるカテゴリーの成員は、何か共通の特性を持っているのではなく、お互いが違った点で似ていると

いうことを意味する概念である。 17 集合の持つ性質で、「~らしさ」という帰属度変数によって設定される帰属度が高いものほどその集合

内で中心的(プロトタイプ的)な成員となるものを指す。 18帰属度関数(つまり「~らしさ」をもとめるための関数)によって、各成員に 0 から 1 の値の帰属度が

与えられるような集合を指す(西田・竹田, 1978; 西原, 2004)。帰属度が 1 に近い成員ほど、その集合内

でプロトタイプ的なものとなる。また帰属度が 0 に近い成員は、場合によってはその他の集合に属する

ものとみなされる場合が多くなる。 19 Wimsatt and Beardsley (1946/1976) など新批評と呼ばれる研究がその代表として挙げられよう。

5

Page 6: 英詩を利用した言語形式の焦点化の特徴 - Hiroshima Universityついてその特徴を整理し、その上で英詩を利用した言語形式の焦点化の特徴を指摘することを

ろう20。しかし、ここではそういった社会や歴史に既に取り囲まれた中での詩の産出及び受容につ

いて考えてみたい。また、言語形式の焦点化として英詩を利用することは主に(2)受容面に関係が

ある。このことを考えると、産出面の考察は必要ないと思われるかもしれない。しかし、言語形式

の焦点化で用いる英詩は 3.1 で述べるような過程で産出されたものであり、後で見るようにその受

容面と産出面は密接に関係している。場当たり的な考察となることを避けるため、ここではまず(1)産出面について 3.1 で簡単にまとめ、その後で(2)受容面について具体的に意味面(3.2.1)、言語

形式面(3.2.2)、意味面と言語形式面の関係(3.2.3)の特徴を指摘する。 3.1 詩の産出面の特徴 詩の産出の考察は、当初Austin (1962) や Searle (1969, 1975/2001) といった研究を応用しながら、

その発語内の力21(illocutionary force)の特定が目指されていた22(e.g., Levin, 1976; Ohman, 1971; Pratt, 1977)。しかし、決定的な答えを得るには至らなかった。今日では、詩は作者によってどのように産

出されるのかという点から研究されている。 まずは、一般的な言語表現の産出をメッセージ・モデル(Akmajian et al, 1995)をもとに考えてみ

よう。その手順は、(1)送り手は自分の伝達したい意味内容を心の中に持つ、(2)伝達したい意味

内容を使用言語に符号化していく、(3)符号化し終えた言語表現を受け手に向けて発する、といっ

たものである。この符号化のプロセスの流れ自体は詩であっても同様である。しかし、詩では符号

化する意味内容、及び符号化の方法に大きな特徴がある。 日常的なコミュニケーションで符号化される意味内容は、既に社会の中で何度も反復的に用いら

れてきた結果、一般に所定の言語体系の中でその符号化のコードが規約的に(いくつか)備わって

いる。一方、詩で符号化される意味内容は、作者によって新たにものごとに見出されたものである

(e.g., Hanauer, 2003, 2004)。Widdowson (1975) は、詩で符号化されるこの意味内容を“an individual awareness of reality other than that which is given general social sanction” (p.70) と述べている。所定の言

語体系は、こういった意味内容を符号化するための規約的コードを備えていない。そこで、詩の場

合は意味内容の符号化に特殊な方法が用いられる。 日常的なコミュニケーションでは、言語の産出者は、伝達したい意味内容を所定の言語体系内の

規約的なコードに従って符号化することになる。意味内容によっては、符号化のコードがいくつか

あるもの(例えば社会言語学を思い起こされたい)もあり、産出者は発話の目的に対して最も効果

的と思われるコードを選択し、符号化を行う。一方、詩における意味内容においては、規約的な符

号化のコードはない。そこで作者は所定の言語体系の規則を強調するか、破るという方法を採用す

ることになる23(see e.g., Ceci, 1983)。したがって、このような符号化の結果として産出された詩は、

日常言語では目にすることがないような有標的言語表現を含むことになる(Fónagy, 1961)。

                                                      20 例えば Foucault (1969/1977, 1971/1981)、Culler (1997) や Eagleton (1996) といった研究が該当する。そ

の他、新歴史主義、文化唯物論、フェミニズム、ポストコロニアリズム、カルチュラル・スタディーズ、

クイア理論などを参照されたい。 21 陳述、依頼、許可、約束など、発話が読者に対してもつ効力のことを指す。詳しくは Austin (1962) を参照されたい。 22 例えば Levin (1976) は、詩の発語内の力として“I imagine myself in and invite you to conceive a world in which …” (p.150) というものを提案している。また、疑問文で始まる詩には、which の後に I ask you を補

うことも提案している。 23 これらの分類は修辞学で伝統的に行われてきた(Dixon, 1971; バルト, 1970/1979)。20 世紀になってか

らは、これらの分類の背後にあるより体系的な構造の考察が行われた。そういった構造の代表的な例と

しては、等価性の原理(Jakobson, 1960, 1968)や逸脱(see e.g., Chomsky, 1961, 1965; Jakobson, 1959; Leech, 1969; Levin, 1965; Riffaterre, 1960; Ziff, 1964)などがある。逸脱に関してもう少し付け加えると、初期の生

成文法(標準理論)では文学の逸脱などは文体規則(‘stylistic’ rules)として他の規則とは区別する形で

その枠組みの中に位置づけられていた(Chomsky, 1995, p.324-325)。しかし、新文体論など生成文法の枠

組みを用いた研究(e.g., Leech & Short, 1981)は多くなされ、多くの成果が残された(see e.g., 斎藤, 1999)。

6

Page 7: 英詩を利用した言語形式の焦点化の特徴 - Hiroshima Universityついてその特徴を整理し、その上で英詩を利用した言語形式の焦点化の特徴を指摘することを

つまり、詩とは、ものごとに新たに作者が見出した意味内容を符号化した結果であり、意味

内容及びそれに伴う符号化の特殊性によって有標的(marked)な言語表現を含んでいる。これ

らの言語表現は単なる言語的装飾ではないことは、これまで述べてきたことを考えれば明白で

あろう。そして、読者にとっては、有標的言語表現は、作品内で作者が伝えたかった意味内容

を考えるための重要な手がかりとして詩のコミュニケーションの中で機能する(van Peer, 1984, 1986)。このように、読者が受容することになる詩は、符号化のための規約的コードが存在しな

い意味内容が、規則の強調あるいは違反によって何とか符合化された結果であり、有標的言語

表現を含んでいるのである。 3.2 詩の受容面の特徴 有標的言語表現は読者に特別な情報処理法の適用を促すことが指摘されている(Hanauer, 1997b; 2001b; Harker, 1987, 1989; Hoffstaedter, 1987, 1988, 1991; S. Schmidt, 1982; Searle, 1975b; 西原, 2003a, 2003b)。この情報処理法はしばしば文学的読解と呼ばれる(e.g., 西原, 印刷中)。文学的読

解とは、自動的な言語処理が妨げられることによって驚き(Mukarovsky, 1932/1964; Shklovsky, 1917/1965)を感じた後、その非自動化を意味あるものとして捉え(Miall & Kuiken, 1994)、弱い暗

意(後述)に多くアクセスしながら解釈を試みる(Pilkington, 2000; Sperber & Wilson, 1994)ことで、

テクストの意味理解を深める情報処理法である。読者は、テクスト内の有標的言語表現に気づき24

(notice)、作者が符号化しようとした意味内容について様々な可能性を探る中で、最終的には彼(女)

なりの結論に達する。しかし、読者が見出した意味内容が作者が言語表現に込めたものと完全に一

致することはほとんどないであろう(Ceci, 1983)。せいぜい近似的一致である25。場合によっては、

全く異なったものになる可能性もあろう。 以下では、意味面、言語形式面、意味面と言語形式面の関係という 3 つの側面について、詩のコ

ミュニケーションにおける受容面の特徴を挙げる。これら 3 つの側面は、日常的なコミュニケーシ

ョンの中で産出された日常言語の意味理解(意味面)の中でその言語形式(言語形式面)に注意を

向け、学習者に意味と言語形式のマッピング(意味面と言語形式面の関係)を図らせる、という言

語形式の焦点化の考え方に対応させたものであり、第 4 節で従来の言語形式の焦点化と英詩を用い

た言語形式の焦点化の違いを指摘するための準備を行うことを意図したものである。また、ここで

特徴として挙げるものは絶対的なものではなく、傾向的なものであるという点に注意されたい(2.1参照)。付録 1 には詩26(Merwin, 1967/2003)を 1 篇挙げている。必要な場合にこの作品に言及しな

がら、それぞれの側面について説明を加えていく。

                                                      24 気づき(notocing)は、抽象的な原理や規則に対してではなく、それらが反映されている表層情報に対

して生起する(R. Schmidt, 1994)。言いかえれば、表層情報の存在を意識的に捉えることである(西原, 2005)。なお、規則などを意識的に捉えるのは理解(understanding)と呼ばれている(R. Schmidt, 1993)。 25 一般的なコミュニケーションであっても、受容者の意味理解は産出者が想定した意味と近似的になる

(see e.g., Davidson, 1984; 柳瀬, 2002)。しかし、詩の場合はその他のコミュニケーション形態に比べて、

作者が言語表現に込めた意味内容へのアクセスが難しくなる(Davidson, 1991; Empson, 1930/1966, Simon, 1994; van Peer, 1991; 中尾, 2001a, 2001b, 2003, 2004)。その理由は、読者が処理しなければならない有標的

言語表現とその意味内容の関係について、所定の言語体系内に規約的なコードが存在していないためで

ある。これは、3.1 で述べた符号化のプロセスを逆方向に考えれば分かることであろう。読者は、様々な

情報にアクセスする中で、作者が所定の有標的言語表現に込めようとした意味として自分が最も納得の

いくものを読み取ることになる。 26 この作品は固有名詞を除いて 128 語からなる。JACET 8000 の v8an.pl という語彙の頻度レベル別カバ

ー率分析プログラムによると、この作品で使われている語彙のほとんどが英語の語彙を使用頻度の多い

順に並べた際の最初の 2000 語以内のものであることが示された。また、この結果をもとに、固有名詞以

外の語の 1 語あたりの平均レベルを算出したところ、そのスコアは 1.23 であった。こういった結果から

考えると、この作品は語彙的にはかなり容易なテクストであると考えられる。ただし、曖昧性が高いた

め、テクスト理解は困難であることが予想される。

7

Page 8: 英詩を利用した言語形式の焦点化の特徴 - Hiroshima Universityついてその特徴を整理し、その上で英詩を利用した言語形式の焦点化の特徴を指摘することを

3.2.1 意味面の特徴 意味面について考察するにあたって、まず関連性理論における意味の 2 つのレベルを導入したい。

Sperber & Wilson (1995) は、意味を明意27(explicature)と暗意28(implicature)の 2 つのレベルに分

類した。日常的なコミュニケーションは、聞き手が明意と暗意にアクセスすることによって成立し

ている。言語形式の焦点化は日常言語の意味理解の中で言語形式に注意を向けることであり、これ

ら 2 つの意味レベルが関わっている。 しかし、Sperber & Wilson (1995) やPilkington (1992, 2000) によると、詩の受容では、多少状況が

異なってくる。詩の受容でも明意と暗意が両方関わることには変わりないが、特に暗意については

弱い暗意29(weak implicature)が重要になってくるとしている。弱い暗意は、通常のコミュニケー

ションではそれほど問題とはならない。しかし、詩の受容では、通常のコミュニケーションにおけ

る日常言語の受容に比べて、読者は多くの弱い暗意にアクセスすることが必要になる(Pilkington, 1992, 2000; Sperber & Wilson, 1995)という特徴がある。 詩で弱い暗意のような微妙な意味が重要になってくるのは、3.1 で述べた事柄とも大きく関わって

いる。言語体系内に、所定の有標的言語表現とその意味内容を結ぶ規約的なコードがない以上、読

者は有標的言語表現を通して作者が符号化しようとした意味内容を推論しなければならない。その

際に読者は弱い暗意にアクセスすることで有標的言語表現の意味内容を読み取ることになる。具体

的にどのような弱い暗意にアクセスするかは読者自身に負うところが大きい(Pilkington, 1992)。ま

た、同じ読者であっても、どのようなものにアクセスするかは場合によって異なる。こういった結

果として、有標的言語表現を通して作者が符号化しようとした意味内容の解釈も、読者間かつ読者

内で変化することになる。 付録 1 の作品を一読すれば、明意と強い暗意だけではこの作品を理解することは不可能であるこ

とは明らかであろう。この発表資料よりもはるかに多くの可能性を各語あるいは各言語表現に認め

なければ、われわれは作者が表現しようとした意味内容について結論を得ることができない。この

ように、意味面に関しては、従来の言語形式の焦点化が想定する日常的なコミュニケーションにお

ける日常言語の受容の場合と比べて、読者が弱い暗意に多くアクセスするという特徴が見られる。 3.2.2 言語形式面の特徴 まず、詩における言語形式面の特徴として言語表現の有標性という点が挙げられる。言語形式の

焦点化が想定している日常言語は、その言語形式が一般に無標的である。しかし、3.1 で見たように、

詩においては、作者は規約的な符号化のコードがないような意味内容の符号化を試みる。この符号

化の結果として読者は有標的言語表現に直面する。 また、第 1 節でも少し触れたが有標的言語表現は、言語形式それ自体に読者の注意を引きつけ

る特性を持っている(e.g., Jakobson, 1960, 1968; Shklovsky, 1917/1965)。これは、Bühler (1934/1990) のオルガノン・モデルを修正したムカルジョフスキー(1938/1982)が美的機能(aesthetic function)と呼び、これを更に発展させたJakobson (1960) が詩的機能(poetic function)と呼んだものであ

る30。そして、こういった特徴は読者に文学作品に相応しいような態度や文学的読解を採用さ

せることを促す。言語形式の焦点化が想定している日常的なコミュニケーションで産出される日常

言語は言語形式が一般に無標的であり、このような特性をほとんど備えていない。だからこそ、い

わゆるインプット増強法31(input enhancement)(see e.g., Sharwood Smith, 1991, 1993; White et al,

                                                      27 言語表現から受容者が得ることができる明示的な命題である。 28 言語表現には明示されておらず、受容者が推論を行うことではじめて得られる命題のことである。 29 暗意の中でも、特に受容者によってアクセスされにくいものを指す。 30 一連の研究のより詳しい流れについては、千野(1980)や Fokkema & Ibsch (1995) を参照されたい。 31 Text enhancement(see e.g., Alanen, 1995; Jourdenais et al., 1995; Leeman et al., 1995; Leow 1997; White, 1998;

8

Page 9: 英詩を利用した言語形式の焦点化の特徴 - Hiroshima Universityついてその特徴を整理し、その上で英詩を利用した言語形式の焦点化の特徴を指摘することを

1991)が用いられるのである。インプットを操作して特定の言語形式を目立たせることで、その言

語項目に学習者の注意を向けさせ、更に気づきを生起させて第 2 言語習得を目指すことになる(詳

しくは西原(2005)を参照されたい)。しかし、詩に多く見られる有標的言語表現は、そういった操

作を特に行うことなく読者の注意を言語形式に向けさせることができる。言語形式の焦点化の言い

方に合わせるならば、自然なインプット増強とでも呼ぶことができるであろうか。 付録 1 の中にも、多くの有標的言語表現が含まれている。例えば、1 行目の‘no’の集中的使用、句

読点が全く施されていない点、3 行目で everybody の E が大文字で表記されている点など、数え上

げればきりがない。われわれは、これらの言語表現に触れることで驚きを感じ、これらの言語表現

に注意を払うことになるのである。以上のように、詩のコミュニケーションの言語形式面について

は、有標的言語表現が多く含まれている、及び有標的言語表現が読者の注意を言語形式それ自体に

向けさせる特性を持つ、という 2 点が特徴として挙げられよう。 3.2.3 意味面と言語形式面の関係の特徴 この側面に関しては、(1)意味と言語形式の有契的関係、(2)コミュニケーションにおける言語

形式への注意の本質性という 2 点について考えてみたい。 3.2.3.1 意味と言語形式の有契的関係 言語形式の焦点化が想定している日常言語では、意味と言語形式の関係は一般に恣意性が強い32。

一方、詩においては意味面と言語形式面は密接な関係にあることが指摘されている(e.g., Leech, 1969; Widdowson, 1988, 2000)。既に 3.1 で述べたが、詩においては所定の言語体系内に符号化のコー

ドがないような意味内容が符号化される。そして、符号化の結果として有標的言語表現が産出され

る。これらの点からも、意味と言語形式に密接な関係があることは明白であろう。Hanauer (2004) は、

“In poetry, language is not a transparent medium that merely transfers the author’s message; the language of the poem is the author’s message.” (p. 10, emphasis in original) と述べている。このように、詩における

有標的言語表現では、言語形式がその意味内容に動機づけられている傾向が強い。記号論的に述べ

れば、両者の関係は、日常言語に比べて有契的(see e.g., 池上, 1984)であるということになる。 3.2.3.2 コミュニケーションにおける言語形式への注意の本質性 日常的なコミュニケーションでは日常言語の意味理解が中心となり、その言語形式への注意は意

味理解を妨げるものである。このことは言語形式の焦点化の理論が、言語学習であってもコミュニ

ケーションが破綻してはならない(つまり意味理解が妨げられてはならない)という条件を言語形

式への注意に対して課していることからも明らかであろう。つまり、日常的なコミュニケーション

にとっては、言語形式への注意は非本質的なものと考えられている。 一方、詩のコミュニケーションでは、言語形式への注意による意味理解の妨げは重要な要素とな

る。このことはロシア・フォルマリストに端を発する異化作用33(defamiliarization)の名で知られて

いる。読者は、言語形式への注意によって意味理解が妨げられることで、より深いレベルでの意味

                                                                                                                                                                      Wong, 2001)や structured input(e.g., Cadierno, 1995; VanPatten, 1996; VanPatten & Cadierno, 1993a, 1993b; VanPatten & Okkenon, 1996; VanPatten & Sanz, 1995)といったものが含まれる。 32 de Saussure (1916/1972) が述べたように、一般にシーニュ(記号)ではシニフィアン(形式)とシニフ

ィエ(意味)との間には自然的あるいは必然的なつながりはない。それらは、社会における慣習の中で

恣意的に決まっている。近年の認知言語学(e.g., Sweetser, 1990)の発展で、意味と言語形式の間に自然

な関係があることが指摘されているが(e.g., Harland, 1993)、そういった言語項目はまだ少ない。ただし、

アナグラムや擬声語などは例外で、シニフィアンとシニフィエの間に有契的な関係が見られることが以

前から認識されている(see e.g., 丸山, 1987)。 33 日頃見なれているものから、日常性をはぎとって、新たな側面を見出すことを意味する。Miall and Kuiken (1994) 等を参照されたい。

9

Page 10: 英詩を利用した言語形式の焦点化の特徴 - Hiroshima Universityついてその特徴を整理し、その上で英詩を利用した言語形式の焦点化の特徴を指摘することを

理解が可能となり、結果として作者が符号化しようとした意味内容について推論することができる。

詩の受容では、言語形式への注意による表層的なレベルでの意味理解の妨げは、深い意味理解へ到

達するためのステップなのである。まとめると、言語形式への注意は、詩のコミュニケーションに

とって本質的なものと言えよう。 4.英詩を利用した言語形式への焦点化の特徴 言語形式の焦点化の理論が想定している日常的なコミュニケーションと詩のコミュニケーション

の相違点として、テクスト受容の意味面に関しては多くの弱い暗意へのアクセスを、言語形式面に

関しては有標的言語表現の存在とそれらが言語形式それ自体へと読者の注意を向けさせる特性を持

っているという点を、意味面と言語形式面の関係については両者の有契的関係と言語形式への注意

のコミュニケーション上の本質性を指摘した。これらの点を踏まえて、本節では、英詩を用いた言

語形式への焦点化の特徴について整理してみたい。なお、前節で詩のコミュニケーション的特徴と

して指摘したものは、英詩でもそのままあてはまる。ここでは外国語教育内での話となるので、特

に「英詩」という語を用いる(脚注 8 参照)。 4.1 意味面における特徴 言語形式への焦点化の理論が想定している日常的なコミュニケーションでの受容では明意や強い

暗意へのアクセスがほぼすべてとなるのに対して、詩というコミュニケーションでは、読者は多く

の弱い暗意へアクセスしなければならない。したがって、言語形式の焦点化の手段として英詩を用

いているとき、学習者は作者が伝えようとした意味内容を推論するために弱い暗意に多くアクセス

していることになる。 明意と強い暗意は、比較的アクセスが容易である(Pilkington, 1992, 2000; Sperber & Wilson, 1995)。これは、これらのレベルの意味は日常的に用いられており、規約的な面があるためであろう。こう

いったことを考慮すると、従来の言語形式の焦点化では意味理解は直線的に行われることが前提と

されていると言える。しかし、弱い暗意はアクセスに時間がかかる上に、学習者はテクストの他の

部分との関係を考えながら多くの弱い暗意へとアクセスしなければならない。この結果、学習者の

読みのプロセスは遅くなり(Hanauer, 1998)、更にテクストの前後を行き来する(平行的になる)こ

とが増えると考えられる(Yaron, 2002, 2003)。例えば付録 1 では、われわれは各言語表現間を行き

来する中で多くの弱い暗意にアクセスしなければ、この作品の意味内容について結論を得ることは

できない。このように、言語形式の焦点化に英詩を用いる場合は、意味理解のために学習者がアク

セスしている情報が従来の言語形式の焦点化の場合と異なっており、そのスピードは遅く、平行的

になるという特徴があると考えられる。 4.2 言語形式面における特徴 前節で述べたように、従来の言語形式の焦点化の場合と違って、詩の言語形式面では有標的言語

表現が多く含まれている。そして、こういった有標的言語表現は、読者の注意を言語形式それ自体

へと向けさせる特性を持っている。言語形式の焦点化の理論では、目標言語項目を含んだ無標的言

語表現を強調し、学習者はその言語表現に対して注意を向けることが意図されている。しかし、英

詩の場合に学習者の注意が向けられるのは有標的言語表現である。実際、付録 1 を読むと、1 行目

の‘no’の連続や 3 行目の‘Everybody’、14 行目の‘a piece of us’といった有標的言語表現に注意が向く

のではなかろうか。Ceci (1983) が述べたように、有標的な言語表現では所定の言語体系の規則が強

調されているか、破られている。規則の強調の場合は、強調されている規則自体は文法的に逸脱し

ていないため、問題はない。しかし、規則が破られている場合は、その言語表現は逸脱的であるた

め、取り扱いに注意が必要となる。このように、言語形式の焦点化の手段として英詩を利用する場

合は、有標的な言語表現を分析し、それぞれの特徴に合わせた取り扱いが必要となる(西原, 印刷

10

Page 11: 英詩を利用した言語形式の焦点化の特徴 - Hiroshima Universityついてその特徴を整理し、その上で英詩を利用した言語形式の焦点化の特徴を指摘することを

中)。 4.3 意味面と言語形式面の関係における特徴 前節で述べたように、日常的なコミュニケーションの場合と違って、詩においては、意味面と言

語形式面の間の関係が有契的である。このことは、言語形式の焦点化にとって一見好都合な面のみ

を思い浮かべさせてしまうであろう。これら 2 つの側面の間に有契的な関係があれば意味と言語形

式のマッピングは容易になりそうである。しかし、既に述べたが、言語形式の焦点化に英詩を用い

る場合は、意味面では弱い暗意が、言語形式面では有標的言語形式が関わってくる。言語形式の焦

点化が本来想定しているのは、意味面では明意やせいぜい強い暗意であり、言語形式面では無標的

な言語形式である。このように、英詩を用いた言語形式の焦点化では、従来の言語形式の焦点化で

はあまり想定されていないレベルの意味(弱い暗意)と言語形式(有標的言語形式)が関わってく

る点を認識しておく必要がある。実際、付録 1 の 14 行目の‘a piece of us’という表現に驚きを感じた

読者は、そこに何か特別な意味があるのではないかと考え、テクストの他の部分と関係づけながら、

何らかの弱い暗意を付与するのではないであろうか。 また、前節で述べたように、言語形式への注意は、詩のコミュニケーション上本質的なものであ

る。日常的なコミュニケーションでは、言語形式の注意は意味理解を妨げるものであり、外国語学

習の場合であっても、意味理解を妨げない範囲内で行うという制限がある。しかし、詩においては、

言語形式の注意による意味理解の妨げはより深い意味理解へと至るためのステップであり、必要不

可欠なものである。したがって、言語形式の焦点化の手段として英詩を用いる際は、言語形式の注

意による意味理解の阻害を避けるのではなく、むしろ奨励することが重要である。 5.結論 以上述べてきたように、詩のコミュニケーションのにおける詩の受容には、意味面に関して

は多くの弱い暗意へのアクセス、言語形式面に関しては有標的言語表現の存在とそれらが言語

形式それ自体へと読者の注意を向けさせる特性を持っていること、意味面と言語形式面の関係

については両者の有契的関係と言語形式への注意のコミュニケーション上の本質性、という特

徴がある。そして、言語形式の焦点化の手段として英詩を用いる場合、(1)意味理解はゆっく

りと平行的に進む、(2)学習者が注意を向けるのは有標的言語表現となる、(3)意味面と言語

形式面のマッピングにおいて弱い暗意と有標的言語表現が関わる、(4)言語形式の注意による

意味理解の妨げは奨励されるべきものである、という特徴があることを指摘した。このように、

従来の言語形式の焦点化と英詩を用いた言語形式の焦点化の間には、意味理解(英詩の場合は深い

意味理解となる)の中で言語形式に注意を払うという共通点がある一方、こういった相違点が存在

する。こういった点は認識されておくべきことであろう。 われわれが次に考えなければならないのは、こういった特徴をもった英詩をどのように用いれば

よいのかという点である。しかし、これは一概に述べることは難しい。重要なのは、目的に応じて

英詩を用いたり用いなかったり、あるいは他の手段と組み合わせて有機的な指導をしていくことこ

とである。このような意志決定は、英詩を用いた言語形式の焦点化の特徴を踏まえた上ではじめて

可能になることであり、本発表はその一助となることができたのではないかと思われる。また、授

業であれ研究であれ、英詩を用いた言語形式の焦点化を実施する場合は、従来の言語形式の焦点化

とは異なった部分があり、学習者のパフォーマンスは本発表で列挙したような点を踏まえた上で評

価されなければならないという点も認識しなければならないであろう。 本発表の限界としては、文学(または詩)のジャンルが変わると、本発表で指摘した特徴がどの

ように変化するのか考察されていない点などが挙げられる。今後の課題としたい。

11

Page 12: 英詩を利用した言語形式の焦点化の特徴 - Hiroshima Universityついてその特徴を整理し、その上で英詩を利用した言語形式の焦点化の特徴を指摘することを

引用文献 Akmajian, A., Demers, R., Farmer, A., & Harnish, R. (1995). Linguistics: An introduction to language and

communication (4th ed.). Massachusetts: The MIT Press. Alanen, R. (1995). Input enhancement and rule presentation in second language acquisition. In R. Schmidt (Ed.),

Attention and awareness in foreign language learning (pp.259-302). Honolulu, HI: University of Hawaii Press.

Allwod, J., Andersson, L., & Dahl, Ö. (1977). Logic in linguistics. Cambridge: Cambridge University Press. Anthony, E. (1963). Approach, method, and technique. English Language Teaching, 17 (2), 63-67. Austin, J.L. (1962). How to do things with words. Cambridge, Massachusetts: Harvard University Press. Aviram, A. (1998). Literariness, markedness, and surprise in poetry. In C. Myers-Scottor (Ed.), Codes and

consequences: Choosing linguistic varieties (pp.101-123). New York: Oxford University Press. Bühler, K. (1990). Theory of language: The representational function of language (D. F. Goodwin, Trans.).

Amsterdam, Philadelphia: John Benjamins. (Original work published 1934) Cadierno, T. (1995). Formal instruction from a processing perspective: An investigation into the Spanish past tense.

The Modern Language Journal, 79 (2), 179-193. Ceci, L. G. (1983). The case for syntactic imagery. College English, 45 (5), 431-449. Chomsky, N. (1961). Some methodological remarks on generative grammar. Word, 17 (2), 219-239. Chomsky, N. (1965). Aspects of the theory of syntax. Cambridge, MA: The MIT Press. Chomsky, N. (1995). The Minimalist Program. Cambridge, MA: The MIT Press. Church, A. (2001). Intensional semantics. In A. Martinich (Ed.), The philosophy of language (4th ed., pp.61-68).

Oxford: Oxford University Press. (Original work published 1951) Cook, V. (2001). Second language learning and language teaching (3rd ed.). London: Arnold. Culler, J. (1997). Literary theory: A very short introduction. Oxford: Oxford University Press. Davidson, D. (2001). Truth and meaning. In A. Martinich (Ed.), The philosophy of language. (4th ed., pp.98-109).

Oxford: Oxford University Press (Original work published 1967) Davidson, D. (1984). Inquiries into truth and interpretation. Oxford: Oxford University Press. Davidson, D. (1991). James Joyce and Humpty Dumpty. Midwest Studies in Philosophy, 16, 1-12. DeKeyser, R. (1998). Beyond focus on form: Cognitive perspectives on learning and practicing second language

grammar. In C. Doughty & J. Williams (Eds.), Focus on form in classroom second language acquisition (pp.42-63). Cambridge: Cambridge University Press.

de Saussure, F. (1972). Course in general linguistics (R. Harris, Trans.). Chicago: Open Court. (Original work published 1916)

Dixon, P. (1971). Rhetoric. London: Methuen. Doughty, C. (2001). Cognitive underpinnings of focus on form. In P. Robinson (Ed.), Cognition and second

language instruction (pp.206-257). Cambridge: Cambridge University Press. Doughty, C., & Varela, E. (1998). Communicative focus on form. In C. Doughty & J. Williams (Eds.), Focus on

form in classroom second language acquisition (pp.114-138). Cambridge: Cambridge University Press. Doughty, C., & Williams, J. (1998). Pedagogical choices in focus on form. In C. Doughty & J. Williams (Eds.),

Focus on form in classroom second language acquisition (pp.197-261). Cambridge: Cambridge University Press.

Eagleton, T. (1996). Literary theory: An introduction (2nd ed.). Oxford: Blackwell. Eichenbaum, B. (1965). The theory of the “formal method”. In L. Lemon & M. Reis (Eds. & Trans.), Russian

formalist criticism: Four essays (pp.99-139). Lincoln: University of Nebraska Press. (Original work published 1926)

Ellis, N. (2001). Memory for language. In P. Robinson (Ed.), Cognition and second language instruction (pp.33-68). Cambridge: Cambridge University Press.

12

Page 13: 英詩を利用した言語形式の焦点化の特徴 - Hiroshima Universityついてその特徴を整理し、その上で英詩を利用した言語形式の焦点化の特徴を指摘することを

Ellis, R. (1995). Interpretation tasks for grammar teaching. TESOL Quarterly, 29 (1), 87-105. Ellis, R. (1999). Item versus system learning: Explaining free variation. Applied Linguistics, 20 (4), 460-480. Empson, W. (1966). Seven types of ambiguity. New York: New Direction. (Original work published 1930) Fillmore, C. (1982). Frame semantics. In The Linguistic Society of Korea (Ed.), Linguistics in the morning calm:

Selected papers from SICOL-1981 (pp.111-137). Seoul: Hanshin Publishing. Firth, J. (1957). Modes of meaning. In J. Firth, Papers in linguistics. 1934-1951 (pp.190-215). London: Oxford University Press.

(Original work published 1951)

Fokkema, D., & Ibsch, E. (1995). Theories of literature in the twentieth century: Structuralism, Marxism, aesthetics of reception, semiotics (2nd ed.). London: C. Hurst & Compaby, New York: St. Martin’s Press.

Fónagy, I. (1961). Communication in poetry. Word, 17 (1), 194-218. Fotos, S. (1998). Shifting the focus from forms to form in the EFL classroom. English Language Teaching Journal,

52 (4), 301-307. Foucault, M. (1977). What is an author? (D. F. Bouchard & S. Simon, Trans.) In D. F. Bouchard (Ed), Language,

counter-memory, practice: Selected essays and interviews by Michel Foucault (pp.113-138). New York: Cornell University Press. (Original work published 1969)

Foucault, M. (1981). The order of discourse (I. McLeod, Trans.). In R. Young (Ed.), Untying the text: A post-structuralist reader (pp.48-78). London: Routledge & Kegan Paul. (Original work published 1971)

Frege, G. (2001). On sense and nominatum. In A. Martinich (Ed.), The philosophy of language. (4th ed., pp.199-211). Oxford: Oxford University Press (Original work published 1892)

Gass, S., & Selinker, L. (2001). Second language acquisition: An introductory course (2nd ed.). New Jersey: Lawrence Earlbaum Associates.

Grice, H.P. (2001). Meaning. In A. Martinich (Ed.), The philosophy of language (4th ed., pp.92-97). Oxford: Oxford University Press. (Original work published 1957)

Grice, H.P. (2001). Logic and conversation. In A. Martinich (Ed.), The philosophy of language (4th ed., pp.165-175). Oxford: Oxford University Press. (Original work published 1975)

Groeben, N., & Schreier, M. (1998). Descriptive vs. prescriptive aspects of the concept of literature: The example of the polyvalence convention. Poetics, 26 (1), 55-62.

Halliday, M. A. K. (1994). An introduction t functional grammar (2nd ed.). London: Edward Arnold. Harley, B. (1998). The role of focus-on-form tasks in promoting child L2 acquisition. In C. Doughty & J. Williams

(Eds.), Focus on form in classroom second language acquisition (pp.156-174). Cambridge: Cambridge University Press.

Hanauer, D. (1997a). Poetry reading in the second language classroom. Language Awareness, 6 (1), 2-16. Hanauer, D. (1997b). Poetic text processing. Journal of Literary Semantics, 26 (3), 157-172. Hanauer, D. (1998). The genre-specific hypothesis of reading: Reading poetry and encyclopedic items. Poetics, 26

(2), 63-80. Hanauer, D. (2001a). The task of poetry reading and second language acquisition. Applied Linguistics, 22 (3),

295-323. Hanauer, D. (2001b). What we know about poetry: Theoretical positions and empirical research. In D. Schram & G.

Steen (Eds.), The psychology and sociology of literature (pp.107-128). Amsterdam, Philadelphia: John Benjamins.

Hanauer, D. (2003). Multicultural moments in poetry: The importance of the unique. The Canadian Modern Language Review, 60 (1), 69-87.

Hanauer, D. (2004). Poetry and the meaning of life. Toronto: Pippin. Harker, W. (1987). Literary theory and the reading process. Written Communication, 4 (3), 235-252. Harker, W. (1989). Information processing and the reading of literary texts. New Literary History, 20, 465-481. Harland, R. (1993). Beyond Superstructuralism: The syntagmatic side of language. London, New York: Routledge.

13

Page 14: 英詩を利用した言語形式の焦点化の特徴 - Hiroshima Universityついてその特徴を整理し、その上で英詩を利用した言語形式の焦点化の特徴を指摘することを

Hempel, C. (2001). Empiricist criteria of cognitive significance: Problems and changes. In A. Martinich (Ed.), The philosophy of language (4th ed., pp.34-46). Oxford: Oxford University Press. (Original work published 1950)

Hoffstaedter, P. (1987). Poetic text processing and its empirical investigation. Poetics, 16 (1), 75-91. Hoffstaedter, P. (1988). Poetic texts or poetic processing? In J. Petöfi & T. Olivi (Eds.), Von der verbalen

konstitution zur symbolishen bedeutung. – From verbal constitution to symbolic meaning (pp.415-438.). Hamburg: Helmut Buske.

Hoffstaedter, P. (1991). Linguistic competence and poetic text processing. In E. Ibsch, D. Schram, & G. Steen (Eds.), Empirical studies in literature: Proceedings of the second International conference (1989) (pp.87-96). Amsterdam: Rodopi.

Jackendoff, R. (1983). Semantics and cognition. Massachusetts: The MIT Press. Jakobson, R. (1959). Boas’ view of grammatical meaning. In W. Goldschmidt (Ed.), The anthropology of Franz

Boas: Essays on the centiennial of his birth (pp. 139-145). San Francisco, California: American Anthropological Association & Howard Chandler.

Jakobson, R. (1960). Closing statement: Linguistics and poetics. In T. Sebeok (Ed.), Style in language (pp.350-377). Cambridge: The MIT Press.

Jakobson, R. (1968). Poetry of grammar and grammar of poetry. Lingua, 21, 597-609. Jakobson, R. (1987). Language and literature. Cambridge: The Belknap Press of Harvard University Press. Jourdenais, R., Ota, M., Stauffer, S., Boyson, B., & Doughty, C. (1995). Does textual enhancement promote

noticing? A think-aloud protocol analysis. In R. Schmidt (Ed), Attention and awareness in foreign language learning (pp.183-216). Honolulu, HI: University of Hawaii Press.

Katz, J., & Fordor, J. (1963). The structure of a semantic theory. Language, 39 (2), 170-210. Kowal, M., & Swain, M. (1994). Using collaborative language production tasks to promote students’ language

awareness. Language Awareness, 3 (2), 73-93. Lakoff, G. (1987). Women, fire, and dangerous things. Chicago: University of Chicago Press. Lamb, S. (1973). The sememic approach to structural semantics. In A. Makkai & D. Lockwood (Eds.), Readings in

stratificational linguistics (pp.207-228). Alabama: The University of Alabama Press. Leech, G. (1969). A linguistic guide to English poetry. London: Longman. Leech, G., & Short, M. (1981). Style in fiction. London: Longman. Leeman, J., Arteagoitia, I., Fridman, B., & Doughty, C. (1995). Integrating attention to form with meaning: Focus

on form in content-based Spanish instruction. In R. Schmidt (Ed), Attention and awareness in foreign language learning (pp.217-258). Honolulu, HI: University of Hawaii Press.

Leitch, V. (1988). American literary criticism from the thirties to the eighties. Cambridge: Cambridge University Press.

Leow, R. (1997). The effects of input enhancement and text length on adult L2 readers’ comprehension and intake in second language acquisition. Applied Language Learning, 8 (2), 151-182.

Levin, S. (1965). Internal and external deviation in poetry. Word, 21 (2), 225-237. Levin, S. (1976). Concerning what kind of speech act a poem is. In T. A. van Dijk (Ed), Pragmtics of language and

literature (pp.141-160). Amsterdan, Oxford: North-Holland & New York: American Elsevier. Lightbown, P. (1998). The importance of timing in focus on form. In C. Doughty & J. Williams (Eds.), Focus on

form in classroom second language acquisition (pp.177-196). Cambridge: Cambridge University Press. Lightbown, P., & Spada, N. (1990). Focus-on-form and corrective feedback in communicative language teaching:

Effects on second language learning. Studies in Second Language Acquisition, 12 (4), 429-448. Long, M.H. (1991). Focus on form: A design feature in language teaching methodology. In K. de Bot, D. Coste, R.

Ginsberg, & C. Kramsch (Eds.), Foreign language research in cross-cultural perspectives (pp.39-52). Amsterdam: John Benjamins.

Long, M.H., & Robinson, P. (1998). Focus on form: Theory, research, and practice. In C. Doughty & J. Williams

14

Page 15: 英詩を利用した言語形式の焦点化の特徴 - Hiroshima Universityついてその特徴を整理し、その上で英詩を利用した言語形式の焦点化の特徴を指摘することを

(Eds.), Focus on form in classroom second language acquisition (pp.15-41). Cambridge: Cambridge University Press.

McLaughlin, B. (1987). Theories of second-language learning. London: Edward Arnold. McLaughlin, B. (1990). Restructuring. Applied Linguistics, 11 (2), 113-128. Mellow, J.D., & Stanley, K. (2001). Alternative accounts of developmental patterns: Towards a functional-cognitive

model of second language acquisition. In K. A. Smith & D. Nordquisit (Eds.), Proceedings of the third annual High Desert Lnguistics Society conference (pp.51-65). Albuquerque: University of New Mexico.

Merwin, W. S. (2003). The Hydra. In J. Ramazani, R. Ellman, & R. O’Clair (Eds), The Norton anthology of modern and contemporary poetry, Vol.2: Contemporary poetry (3rd ed., p.411). New York, London: Norton. (Original work published b1967)

Miall, D., & Kuiken, D. (1994). Foregrounding, defamiliarization, and affect: Response to literary stories. Poetics, 22 (5), 389-407.

Mukarovsky, J. (1964). Standard language and poetic language. In P. Garvin (Ed. & Trans.), A Prague school reader on aesthetics, literary structure, and style (pp.17-30). Washington, DC: Georgetown University Press. (Original work published 1932)

Muranoi, H. (2000). Focus on form through interaction enhancement: Integrating formal instruction into a communicative task in EFL classrooms. Language Learning, 50 (4), 617-673.

Nishihara, T. (2005). A study on the relation between the development of L2 linguistic knowledge and literary reading. JACET Chugoku-Shikoku Chapter Research Bulletin, 2, 1-20.

Norris, J., & Ortega, L. (2000). Effectiveness of L2 instruction: A research synthesis and quantitative meta-analysis. Language Learning, 50 (3), 417-528.

Ogden, C., & Richards, I. (1969). The meaning of meaning (10th ed.). London: Routledge & Kegan Paul. Ohman, R. (1971). Speech acts and the definition of literature. Philosophy and Rhetoric, 4, 1-19. Pilkington, A. (1992). Poetic effects. Lingua, 87 (1-2), 29-51. Pilkington, A. (2000). Poetic effects: A relevance theory perspective. Amsterdam, Philadelphia: John Benjamins. Quine, W. V. O. (1953). From a logical point of view. New York: Harper and Row. Pratt, M. L. (1977). Toward a speech act theory to literary discourse. Bloomington: Indiana University Press. Richards, J., Platt, J., & Platt, H. (1992). Dictionary of language teaching & applied linguistics. Essex: Longman. Richards, J., & Rodgers, T. (1986). Approaches and methods in language teaching: A description and analysis.

Cambridge: Cambridge University Press. Riffaterre, M. (1960). Stylistic context. Word, 16 (2), 207-218. Robinson, P. (1995). Attention, memory, and the “noticing” hypothesis. Language Learning, 45 (2), 283-331. Robinson, P. (2001). Task complexity, cognitive resources, and syllabus design: A triadic framework for examining

task influences on SLA. In P. Robinson (Ed.), Cognition and second language instruction (pp.287-318). Cambridge: Cambridge University Press.

Rossiter, P. (1997). Pleasure as a second language: Creative writing and language learning. Language, Information, Text, 4, 25-48.

Rossiter, P. (1998). Metaphors and Martians: Creative writing and cross-cultural discourse in the language classroom. Language, Information, Text, 5, 51-82.

Rowe, J.C. (1995). Structure. In F. Lentricchia & T. McLaughlin (Eds.), Critical terms for literary study (2nd ed., pp.23-38). Chicago: Chicago University Press.

Russell, B. (2001). On denoting. In A. Martinich (Ed.), The philosophy of language (4th ed., pp.212-220). Oxford: Oxford University Press. (Original work published 1905)

Rutherford, W., & Sharwood Smith, M. (1985). Consciousness-raising and Universal Grammar. Applied Linguistics, 6 (3), 274-282.

Sawyer, M., & Ranta, L. (2001). Aptitude, individual difference, and instructional design. In P. Robinson (Ed.),

15

Page 16: 英詩を利用した言語形式の焦点化の特徴 - Hiroshima Universityついてその特徴を整理し、その上で英詩を利用した言語形式の焦点化の特徴を指摘することを

Cognition and second language instruction (pp.319-353). Cambridge: Cambridge University Press. Schauber, E., & Spolsky, E. (1981). Stalking a generative poetics. New Literary History, 12, 397-413. Schauber, E., & Spolsky, E. (1986). The bounds of interpretation: Linguistic theory and literary text. Stanford:

Stanford University Press. Schmidt, R. (1990). The role of consciousness in second language learning. Applied Linguistics, 11 (1), 17-46. Schmidt, R. (1993). Awareness and second language acquisition. Annual Review of Applied Linguistics, 13,

206-226. Schmidt, R. (1994). Implicit learning and the cognitive unconscious: Of artificial grammars and SLA. In N. Ellis

(Ed.), Implicit and explicit learning of languages (pp.165-209). London: Academic Press. Schmidt, R. (1995). Consciousness and foreign language learning: A tutorial on the role of attention and awareness

in learning. In R. Schmidt (Ed.), Attention and awareness in foreign language learning (pp.1-63). Honolulu, HI: University of Hawaii Press.

Schmidt, R. (2001). Attention. In P. Robinson (Ed.), Cognition and second language instruction (pp.3-32). Cambridge: Cambridge University Press.

Schmidt, S. (1982). Foundations for the empirical study of literature: The components of a basic theory (R. de Bearugrande, Trans.). Hamburg: Helmut Buske.

Searle, J. (1969). Speech acts: An essay in the philosophy of language. Cambridge: Cambridge University Press. Searle, J. (1975). The logical status of fictional discourse. New Literary History, 6 (2), 319-332. Searle, J. (1983). Intentionality: An essay in the philosophy of mind. Cambridge: Cambridge University Press. Searle, J. (2001). Indirect speech acts. In A. Martinich (Ed.), The philosophy of language (4th ed., pp.176-188).

Oxford: Oxford University Press. (Original work published 1975) Sharwood Smith, M. (1981). Consciousness-raising and the second language learner. Applied Linguistics, 2 (2),

159-168. Sharwood Smith, M. (1991). Speaking to many minds: On the relevance of different types of language information

for the L2 learner. Second Language Research, 7 (2), 118-132. Sharwood Smith, M. (1993). Input enhancement in instructed SLA: Theoretical bases. Studies in Second Language

Acquisition, 15 (2), 165-179. Sharwood Smith, M. (1994). Second language learning: Theoretical foundations. London: Longman. Shklovsky, V. (1965). Art as technique. In L. Lemon & M. Reis (Eds. & Trans), Russian formalist criticism: Four

essays (pp.3-24). Lincoln: University of Nabraska Press. (Original work published 1917) Simon, H. (1994). Literary criticism: A cognitive approach. Stanford Humanities Review, 4 (1), 1-26. Skehan, P., & Foster, P. (2001). Cognition and tasks. In P. Robinson (Ed.), Cognition and second language

instruction (pp.183-205). Cambridge: Cambridge University Press. Sperber, D., & Wilson, D. (1995). Relevance: Communication and cognition (2nd ed.). Oxford: Blackwell. Steen, G. (1999). Genres of discourse and the definition of literariness. Discourse Processes, 28 (2), 109-120. Strawson, P. (2001). Meaning and truth. In A. Martinich (Ed.), The philosophy of language (4th ed., pp.110-121).

Oxford: Oxford University Press. (Originl work published 1970) Swain, M. (1998). Focus on form through conscious reflection. In C. Doughty & J. Williams (Eds.), Focus on form

in classroom second language acquisition (pp.64-81). Cambridge: Cambridge University Press. Sweetser, E. (1990). From etymology to pragmatics: Metaphorical and cultural aspects of semantic structure.

Cambridge: Cambridge University Press. Tarone, E. (2000). Getting serious about language play: Language play, interlanguage variation and

second-language acquisition. In B. Swierzbin, F. Morris, M. E. Anderson, C. A. Klee, & E. Tarone (Eds.), Social and cognitive factors in second language acquisition: Selected proceedings of the 1999 Second Language Research Forum (pp.31-54). Somerville: Cascadilla Press.

Tarski, A. (2001). The semantic conception of truth and the foundation of semantics. In A. Martinich (Ed.), The

16

Page 17: 英詩を利用した言語形式の焦点化の特徴 - Hiroshima Universityついてその特徴を整理し、その上で英詩を利用した言語形式の焦点化の特徴を指摘することを

philosophy of language (4th ed., pp.69-91). Oxford: Oxford University Press. (Original work published 1944) VanPatten, B. (1995). Cognitive aspects of input processing in second language acquisition. In P. Hashemipour, R.

Maldonado, & M. von Naerssen (Eds.), Studies in language learning and Spanish linguistics in honor of Tracy D. Terrell (pp.170-183). New York: McGraw-Hill.

VanPatten, B. (1996). Input processing and grammar instruction. New York: Ablex. VanPatten, B. (2003). From input to output: A teacher’s guide to second language acquisition. New York:

McGraw-Hill. VanPatten, B., & Cadierno, T. (1993a). Input processing and second language acquisition: A role for instruction.

The Modern Language Journal, 77 (1), 45-57. VanPatten, B., & Cadierno, T. (1993b). Explicit instruction and input processing. Studies in Second Language

Acquisition, 15 (2), 225-243. VanPatten, B., & Oikkenon, S. (1996). Explanation versus structured input in processing instruction. Studies in

Second Language Acquisition, 18 (4), 495-510. VanPatten, B., & Sanz, C. (1995). From input to output: Processing instruction and communicative tasks. In F.

Eckman, D. Highland, P. W. Lee, J. Mileham, & R. R. Weber (Eds.), Second language acquisition theory and pedagogy (pp.169-185). Hove: Lawrence Earlbaum Associates.

van Peer, W. (1984). Between stylistics and pragmatics: The theory of foregrounding. In W. van Peer & J. Renkema (Eds.), Pragmatics and stylistics (pp.291-315). Leuven, Belg: Uitgeverij Acco.

van Peer, W. (1986). Stylistics and psychology: Investigations of foregrounding. London: Croom Helm. van Peer, W. (1991). But what is literature?: Toward a descriptive definition of literature. In R. Sell (Ed.), Literary

pragmatics (pp.127-141). London, New York: Longman. van Peer, W. (1991). But what is literature?: Toward a descriptive definition of literature. In R. Sell (Ed.), Literary

pragmatics (pp.127-141). London, New York: Longman. White, J. (1998). Getting the learners’ attention: A typographical input enhancement study. In C. Doughty & J.

Williams (Eds.), Focus on form in classroom second language acquisition (pp.85-113). Cambridge: Cambridge University Press.

White, L., Spada, N., Lightbown, P., & Ranta, L. (1991). Input enhancement and L2 question formation. Applied Linguistics, 12 (4), 416-432.

Widdowson, H.G. (1975). Stylistics and the teaching of literature. Essex: Longman. Widdowson, H.G. (1988). Poetry and pedagogy. In D. Tannen (Ed.), Linguistics in context: Connecting observation

and understanding (Lectures from the 1985 LSA/TESOL and NEH Institutes) (pp.185-197). Norwood, New Jersey: Ablex.

Widdowson, H.G. (2000). Essay on literature and language teaching: An epistle to Dr Edmondson.In C. Riemer (Ed.), Kognitive aspekte des lehrens und lernens von fremdsprachen: Festschrift fur Willis J. Edmondson zum 60 geburstag (pp.387-394). Tubingen: Gunter Narr.

Williams, J. (1999). Learner-generated attention to form. Language Learning, 49 (4), 583-625. Wimsatt, W., & Beardsley, M. (1976). The intentional fallacy. In D. Newton-de Molina (Ed.), On literary intention

(pp.1-13). Edinburgh: Edinburgh University Press. (Original work published 1946) Wittgenstein, L. (1953). Philosophical investigations (G. E. M. Anscombe, Trans.). Oxford: Blackwell. Wong, W. (2001). Modality and attention to meaning and form in the input. Studies in Second Language Acquisition,

23 (3), 345-368. Yaron, I. (2002). Processing of obscure poetic texts: Mechanisms of selection. Journal of Literary Semantics, 31 (2),

133-170. Yaron, I. (2003). Mechanisms of combination in the processing of obscure poems. Journal of Literary Semantics,

32 (2), 151-166. Zadeh, L. (1965). Fuzzy sets. Information and Control, 8 (3), 338-353.

17

Page 18: 英詩を利用した言語形式の焦点化の特徴 - Hiroshima Universityついてその特徴を整理し、その上で英詩を利用した言語形式の焦点化の特徴を指摘することを

Ziff, P. (1964). On understanding “understanding utterances”. In J. A. Fodor & J. Katz (Eds.), The structure of language: Readings in the philosophy of language (pp.390-399). Eaglewood Cliff: Prentice-Hall.

イェルムスレウ,L.(1959).『言語理論序説』(林栄一(訳)).研究社.(原作は 1953 年出版) 池上嘉彦(1984).『記号論への招待』.岩波書店. ギロー,P.(1959).『文体論-ことばのスタイル』(佐藤信夫(訳)).白水社.(原作は 1957 年出版) グレマス,A.(1988).『構造意味論』(田島宏・鳥居正文(訳)).紀伊国屋書店.(原作は 1966 年出版) 桑野隆((編訳))(1984).『ロシア・アヴァンギャルドを読む』.勁草書房. 斎藤兆史(1999).『創作文体論の発信型英語教育への応用』(平成 8~10 年度科学研究費補助金基盤研究

(C)(2),08610470). スモレンスキー,P.(2001).「いまなぜ最適性理論か」(深澤はるか・北原真冬(訳)).『月刊言語』,30

(10),16-26. 千野栄一(1980).「ことばの芸術と芸術のことば」.In 千野栄一(編),『言語の芸術』(pp.3-23).大修

館書店. 中尾佳行(2001a).「Chaucer の言語の曖昧性の仕組み:読者の推論過程とテクスト構成要素間の関係性

の度合い-Troilus and Criseyde を例に-」.In 中尾佳行・地村彰之(編),『菅野正彦教授退官記念 独

創と冒険-英語英文学論文集-』(pp.225-259).英宝社. 中尾佳行(2001b).「Troilus and Creseyde における談話の ambiguity:読者から観たテクスト構成要素間の

関係性の度合いの考察」.『英語と英語教育』,6,47-58. 中尾佳行(2003).「Chaucer の曖昧性の構造-Troilus and Cryseyde 3.12-4 ‘God loveth…’を中心に-」.In 官

野正彦(編),『“Ful of Hy Sentence”英語語彙論集』(pp.21-33).英宝社. 中尾佳行(2004).『Chaucer の曖昧性の構造』.松柏社. 西田俊夫・竹田英二(1978).『ファジィ集合とその応用』.森北出版. 西原貴之.(2003a).「インプットの言語形式への注意と文学的読解プロセスの関係-第二言語習得のた

めの理論的考察-」.『日本教科教育学会誌』,26 (1),41-50. 西原貴之(2003b).「文学テクストから文学的読解へ-第二言語の言語知識発達の面から-」.『中国地区

英語教育学会研究紀要』,33,11-20. 西原貴之(2004).「文化知識教授の教材に関する一考察-文学テクストと説明文テクストの使用の有機

的融合を目指して-」.『中国地区英語教育学会研究紀要』,34,11-20. 西原貴之(2005).『英詩の解釈プロセスにおける英語学習者の言語形式への気づきの生起-第 2 言語習

得論の観点からの一考察-』.第 77 回日本英文学会研究発表資料.2005/5/22.於.日本大学文理学

部. 西原貴之(印刷中).「英語教育における「文学的文学教材」を開発するための理論的考察-等価性の原

理、内的逸脱、外的逸脱に焦点を当てて-」.『日本教科教育学会誌』,28 (3). ハーバーマス,J.(1985).『コミュニケイション的行為の理論(上)』(河上倫逸・M.フーブリヒト・平

井俊彦(訳)).未来社.(原作は 1981 年出版) ハーバーマス,J.(1987).『コミュニケイション的行為の理論(下)』(丸山高司・丸山徳次・厚東・洋

輔・森田数実・馬場孚瑳江・脇圭平(訳)).未来社.(原作は 1981 年出版) バルト,R.(1979).『旧修辞学』(沢崎浩平(訳)).みすず書房.(原作は 1970 年出版) バンヴェニスト,É.(1983).『一般言語学の諸問題』(河村正夫・木下光一・高塚洋太郎・花輪光・矢島

猷三(訳)).みすず書房.(原作は 1966 年出版) プラーグ言語学サークル(1999).「テーゼ」(山口巌(訳)).In 山口巌.『パロールの復権 ロシア・フ

ォルマリズムからプラーグ構造美学へ』(pp.351-381).ゆまに書房.(原作は 1929 年出版) 丸山圭三郎(1987).『言葉と無意識 深層のロゴス・アナグラム・生命の波動』.講談社. ムカジョフスキー、J.(1982).「詩的な意味表現と言語の美的機能」(平井正、千野栄一(訳)).『チェ

コ構造美学論集 美的機能の芸術社会学』(pp.57-72).せりか書房.(原作は 1938 年出版) 柳瀬陽介(2002).「コミュニケーション能力論とデイヴィドソン哲学」.『日本教科教育学会誌』,25 (2),

18

Page 19: 英詩を利用した言語形式の焦点化の特徴 - Hiroshima Universityついてその特徴を整理し、その上で英詩を利用した言語形式の焦点化の特徴を指摘することを

19

1-10. ロシター、P.(2003).(窪田悠介(訳)).「教室の中での言語、文学、創造性-詩‘In the Kitchen’を手が

かりに」.斎藤兆史(編).『英語の教え方学び方』(pp.131-170.).東京大学出版会. 付録 1.英詩の例 (各行に付した数字は行番号である。)

The Hydra

No no the dead have no brothers 1

The Hydra calls me but I am used to it 2 It calls me Everybody 3 But I know my name and do not answer 4

The snow stirs in its wrappings 5 Every season comes from a new place 6

Like your voice with its resemblances 7

A long time ago the lightning was practising 8 Something I thought was easy 9

I was young and the dead were in other 10 Ages 11 As the grass had its own language 12

Now I forget where the difference falls 13

One thing about the living sometimes a piece of us 14 Can stop dying for a moment 15 But you the dead 16

But at moments you have just finished speaking 17

Once you go into those names you go on you never 18 Hesitate 19 You go on                20 

W. S. Merwin