韓国の新政権下の資源政策・開発動向 (非鉄金属の...

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韓国の新政権下の資源政策・開発動向 (非鉄金属のベースメタルを中心として) 調査部 金属資源調査課 2013年10月28日 古瀬義治 ([email protected] ) 独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構 0 平成25年度第5回金属資源関連成果発表会

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韓国の新政権下の資源政策・開発動向

(非鉄金属のベースメタルを中心として)

調査部 金属資源調査課 2013年10月28日

古瀬義治 ([email protected] )

独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構

0

平成25年度第5回金属資源関連成果発表会

1

韓国の政治経済構造と問題点

韓国の政治経済構造と問題点

李 明博(Lee Myung-Bak)大統領 朴槿恵(Park Geun-Hye)大統領

経歴

1、現代建設に入社後、47歳で会長に就任。海外でのビジネス 実績をベースとし、各国首相及び政財界のトップとの緊密 な人脈を有する。 2、1992年に国会議員に選出後、ソウル市長を経て、 2008年2月に大統領就任。

1、朴・元大統領の長女。1998年に国会議員に初当選。 2、経済政策の経験が浅いと言われている。2013年2月 に大統領就任。

政策

「小さな政府、マクロ経済、グローバル外交」 1、747公約 (年7%成長、10年以内に1人当たり

国民所得4万ドル、10年以内に世界7大国入り)

2、“MBノミクス”:李大統領の資源外交を軸とした

マクロ経済政策。

3、日本、中国、ロシア、米国との緊密関係構築外交。.

「大きな政府、内政重視」 1、雇用の創出、福祉の拡充を重視。 2、原子力発電所の稼働に消極的。再生可能エネルギー

の拡大方針。 3、貧困格差を解消し、富の公平な分配を重視。(大手財

閥対する監視の強化)

影響

1、資源外交において多数の案件についてMOUを締結したが、成果は限定的。また、資源外交に関連した不祥事が発覚により、政治に対する不信感が拡大。

2、財閥など大手企業に対する支援を重視したため、 貧富の格差が拡大。

1、原発の停止(23基中、10基停止)による深刻な電力 不足のため、企業の生産性が悪化。 2、大手財閥に対する監視強化により、各社の企業活 動が停滞。(グループオーナーの相次ぐ逮捕、 国政監査(国監)での企業人を証人喚問、突然の 大手財閥グループ企業への税務調査) 経済に対するマイナスの影響が早くも表面化。

大統領が交代する毎に経済政策が大きく変化し、経済活動に多大な影響を及ぼす。

2 出典:Wikipedia、韓国毎日経済新聞”等より作成

1.韓国大統領の交代と経済に関する影響

3

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アフリカ

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南米

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米国

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ドイツ

EU

中近東

アジアその他

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日本

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400000

500000

600000

2000 2005 2007 2008 2009 2010 2011

アフリカ

オセアニア

南米

北米その他

米国

欧州その他

ドイツ

EU

中近東

アジアその他

中国

日本

2-1.韓国の貿易状況の推移(世界) 1、2000-2011年での韓国の地域別輸出額推移

3、2000-2011年での韓国の地域別輸入額推移

0.00%

10.00%

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70.00%

2000 2005 2010 2011

FDP部品

ビデオ機器

衣料

鉄製品(圧延)

合成樹脂

無線機器

船舶(含部品)

化学製品

自動車部品

自動車

コンピューター

半導体

0.00%

10.00%

20.00%

30.00%

40.00%

50.00%

60.00%

2000 2005 2010 2011

鉄鉱石

石炭

ファインケミカル

鉄製品(圧延)

無線機器

金銀プラチナ

半導体部品

天然ガス

化学品

コンピューター

半導体

原油

2、韓国の輸出額での品目別トップ10のシェア推移

4、韓国の輸入額での品目別トップ10のシェア推移

出典:韓国貿易協会ホームページより作成

単位:百万ドル

1、中国依存度が拡大

2000年に中国が“世界の工場”の地位に躍り出たことで、韓中貿易量が拡大。

(2011年で輸出が24%、輸入が16%でトップ)

2、輸出動向

半導体、自動車、鉄製品はシェアを堅持。

東南アジア向けは鉄鋼製品の輸出が拡大。

米国、南米は鉄鋼、自動車の輸出が寄与。

欧州は、欧州危機の関係もあり、輸出は減少。

FDP、船舶、自動車部品、化学、合成樹脂は増加。 衣料、電化製品は縮小。

3、輸入動向

中近東からの原油のシェアが圧倒的に多い。

オセア二ア、中近東、東南アジアからの鉄鉱石、石炭、天然ガスが増加

日本からの輸入は金額的には堅調。

(日本からの高級鋼、部品関係、最近はファインケミカル関係が円高であっても量は堅持または増加。)

2-1.韓国の貿易状況の推移(世界)

4、韓国の貿易収支:2012年の貿易収支は283億ドルの黒字(前年比25億ドル減少)

対象国 1位 2位 3位 4位 5位

貿易黒字国 中国(535) 香港(305) 米国(152) シンガポール(132) ベトナム(102)

貿易赤字国 サウジ(306) 日本(256) カタ―ル(248) クエ―ト(167) 豪州(137)

出典:韓国貿易協会、“ジェトロ 韓国の経済状況、2013年版”等より作成

単位:億ドル

4

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2012年の主要国の輸出依存度

3.韓国の貿易の現状(世界)

韓国の貿易構造の特色

中国、ASEAN向け輸出、日本との輸出入では中間財の比率が高い。

(東アジアにおける国際的生産分業で、組立工程を担当する中国、ASEANに対して韓国、日本は

中間財の供給の立場) 米国、EU向け輸出では最終財の比率が高い。但し、自動車での現地生産の割合が急増

特に、日本からの輸入は基幹部品や素材の中間財が多い。

輸出依存度は、韓国は主要先進国中トップ。

結論

素材、資本財での高付加価値製品の製造はできず、輸入せざるを得ないー供給のメインは日本

石炭・鉄鉱石・原油等の資源は韓国での生産に不可欠で輸入せざるを得ない。

韓国製品の付加価値は低く、原料価格と為替レートの動きで業績が影響されやすい。

韓国の貿易構造(2010年)

主要先進国 東アジアの新興国

出典:経産省“第1章 世界経済の動向 2.韓国経済“、IMF, World Trade Atlas等より作成。

単位:%

輸出依存度=輸出額/GDP

5

4.韓国の鉄鋼貿易状況

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5

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15

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25

30

35

40

45

50

韓国の総輸出量

日本の総輸出量

日本向け輸出量

韓国向け輸出量

単位:百万トン

1、韓国の鉄鋼輸出量は、ここ数年の円高ウオン安で上昇。特に、東南アジア向け輸出は増大。但し、2013年

1-6月までの対日輸出額は前年同期比-27.3%。

2、欧州危機を端として経済不況及び中国鉄鋼メーカーの無秩序な増産で、東アジアを中心に在庫が積み上がり、

鋼材価格は下落傾向。

3、一方、米国、カナダでの韓国鉄鋼製品に対する反ダンピング(不当廉売)調査、タイでも反ダンピング関税の

引き上げで、各国が韓国製鉄鋼材の輸入に対する圧力を強めている。

中国の技術力も上昇し、日韓中ではっきりと形成 されていた国際分業構造も次第に曖昧になり、

競争が激化しており、先行き不安。

日韓間の鉄鋼総貿易量と韓日貿易量の推移 韓国の地域別鉄鋼輸出推移

単位:百万トン

.0

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15.0

20.0

25.0

30.0

35.0

2010年 2011年 2012年

アフリカその他

南米

北米

ヨーロッパ

東南アジア

中国

中近東

日本

出典:日本鉄鋼連盟、韓国鉄鋼協会、World Steel Statistics、POSCOホームページ等から作成 6

韓国電力のB/Sの推移

1、韓国での電力事情

日韓の電気料金格差:韓国は、為替レート換算では日本の1/3倍程度。

電源構成(2011年) 韓国:石炭40.2%、LNG20.9%、原子力31.2%。(日本:石炭25%、LNG39.5%、原子力:10.7%) 原子力設備利用率は、90%台(日本は60%台)。

負荷率:韓国:70%後半、(日本は60%台)。 負荷率の高い産業用需要が全需要の50%(日本は30%程度)。

政策料金:電気料金が低く抑制ーー>電気料金は原価の約9割しかカバーしていない。

韓国電力公社は、2008年には公的資金による補填(6,680億ウォン=467.6億円)を受けている。

2、2013年の状況

原子力発電の安全確保で原子力発電の稼働ダウンー>電力供給がストップする瀬戸際。

韓国電力が慢性赤字で経営再建が必要ー>2013年から電力価格を燃料費連動制に行う予定。

-20.00

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2009年 2010年 2011年 2012年

売上

営業利益

税後利益

0.00

20.00

40.00

60.00

80.00

100.00

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140.00

160.00

2009年 2010年 2011年 2012年

総資産

総負債

5.韓国の電力事情 (単位:兆ウオン)

韓国電力のP/Lの推移

出典:韓国電力ホームページ、経産省“電気料金の各国比較”等より作成

電力代が高騰し、コストアップー>経済活動に多大な影響。 7

6.まとめ

長所 短所

1、政治

トップダウン、迅速なる決定

2、(経済)

財閥系大企業が中心

1業種に関わる会社数が少ない

海外市場に積極的に参画

電力代が日本、英国、ドイツ、フランス

比較して廉価

3、金融

政府が中心となって民間に税の優遇及び

融資支援

1、政治

長期的戦略の不足(大統領が変わるたびに政策が

変更。)

2、経済

国内市場が小さいので、中小企業が育たたず、また

為替レートに業績が影響されやすい。

海外模倣品が多い

国内での天然資源が少なく、原料を輸入。

韓国電力公社の慢性赤字及び原子力発電所の稼働

不足で電力供給不足

3、金融

外貨規制が厳く為替予約も不十分。

大手の民間金融機関が育っておらず、国家金融に依存大

(技術面)素材製品の加工技術は先進国並み

〔但し、高級素材、基幹部品はいまだ日本

から輸入)

〔技術面)素材の基礎研究技術が不足。

オリジナリテイ―が不足

今後の成長のための問題点及び重要点。

1、韓国は、高付加価値を生む高度の技術力がない。

2、人件費等のコストアップが継続すれば、韓国内の産業の空洞化の恐れ大。

3、韓国は、輸出加工貿易立国なので、国家の成長には、安定的な資源確保が必須。

特に、3については、民間企業では限界があり、国のバックアップが必要。 8

韓国の資源開発と韓国主要生産会社の状況

9

中国

Baotou Yongxin ■(RE-Metal)

BeiFang Tong Ye ★

Wantugou★ Pyong ★

Xian Maxson★(REO)

モンゴル Erdenet ▲

ロシア Ogrregolensk★,Erel ★

ニジェール

Tegida、Immoraren■

マダガスカル Ambatoby■

南アフリカ

Vakplaatz▲

Zandkopsdrift▲

Poschrome★

フイリピン Rapu-Rapu★

インドネシア

Kapuas▲MPP★Bayan、Rondalingk

Tsutsui ,Sabola★

豪州

4鉱山★

8鉱山★4鉱山■2鉱山▲

White Cliff▲、 Maree▲

Boulia▲ Townsville★(製錬)

カナダ

Cree-East▲ Watervarry ■Lake ▲

GreenHills▲Elkview▲,Layban▲

Sa Dena Hes■

米国

Rosemont■

Mt.Hope ■

メキシコ Baleo■

パナマ CobrePanama■

ブラジル

Kobrasco★Namisa■MMX■

CBMM▲

ペルー

Celemdin ▲,Marcona■Rio Blanco▲

ボリビア

Corocoro▲

Pachapaqui★

アルゼンチン

Sal de Vida▲ チリ

Santo Domingo▲

NX Uno■

(注) 鉱種:: Fe/鉄 Coal/石炭 Cu/銅 Zn(Pb)/亜鉛(鉛) Ni/ニッケル Mo/モリブデン、 U/ウラン

REE/レアアース Li/リチウム , Cr/クロム Nb/ニオブ

段階:★生産案件■開発案件▲探鉱案件

赤字は撤退プロジェクト

ニューカレドニア

SNNC-★

出典:KORESホームページ、“韓国の海外金属資源確保戦略に関する調査”より作成 10

7.韓国の主な海外鉱物資源開発進出状況

KORES及び民間企業からの鉱物別海外資源開発投資額(2012年12月末)

8.韓国の主な海外鉱物資源開発とKORESとの現状

単位:百万ドル

329 960 970

20 16

3,844

1,935

828 1,323

667 403 515

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

一般炭 鉄鉱石 亜鉛 銅 ニッケル ウラン その他

韓国による海外資源開発投資額 (12年12月末までの累計)

KORES 民間企業

★ 原料炭は除く

KORESが注力している鉱種

4、銅 KORESはBoleo(メキシコ)とCobre-Panama (パナマ)が 大型の探査・探鉱案件を保有。 一方、民間企業はLS-Nikkoカッパーが探査活動

を実施。 5、ニッケル KORESはAmbatovy(マダガスカル)の開発に 注力。 一方、民間企業(POSCO)はSNNC (ニューカレドニア)の開発を主体的に実施。

民間が開発の主体となっている鉱種

1、一般炭 新規案件は民間企業が独自開発を進めている。 KORESが保有する生産段階の案件については、 早期に民間へ売却。また、探査・開発段階の案件に

ついても、早期に生産段階に移行させ、民間に売却方向。

2、鉄鉱石 POSCO等の大手実需家が独自開発を進めている。 3、鉛・亜鉛 Korea-Zincが独自開発を進めている。

出典: KORESホームページ、“韓国の海外金属資源確保戦略に関する調査”より作成 11

9.韓国の鉄鋼メーカー(POSCO)の状況

0

1

2

3

4

5

6

0

5

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20

25

30

35

40

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2009 2010 2011 2012

売上

営業利益

純利益

単位:兆ウオン

POSCOのP/Lの推移(連結前)

0

10

20

30

40

50

60

2009 2010 2011 2012 2013-1Q

総資産

総負債

単位:兆ウオン

POSCOのP/Lの推移(連結前)

1 、2010年以降、生産量、売上は増加したが、2011-2012年の利益は減少。

要因としては

原料価格が2011年で高騰:鉄鉱石は、前年比47%、原料炭が前年比44%上昇。

欧州危機に発した世界市場悪化で価格転嫁できずマージン率低下。

(2010年:15.1%->2011年:11.1%->2012年7.8%)

“POSCO Vision2020”で掲げた目標(世界での粗鋼生産量、年間6,500万トン、ステンレス年間300万トン) に対する世界的な過度な投資によるコスト増加。

・水平展開:熱延は中国、インドネシア、ベトナム、ブラジル、冷延は、中国、東南アジア、トルコ等での工場設立。

・原料:鉄鉱石、石炭をメインにニッケル。クロム、レアメタルまで鉱山から製造工場への投資。

2、2013年での状況。

電力供給不足で生産量が減少し、株の放出、コストダウンで現状を乗りきることに精一杯。

出典:POSCOホームページ、韓国毎日経済新聞、Posco Research Institute発表資料等から作成 12

10.韓国の非鉄メーカーの状況

1,LS Nikko Copper

生産量は一定。(年間約60万トン) 韓国での需要量は若干減少。

人件費等操業費が年間10%上昇。

2011年にリサイクル工場の新設などの投資を行い、資金負担が増加。(年20%増加)

2,Korea Zinc

Korea Zincグループの亜鉛生産量は、世界の生産の8%でトップクラス。(グループで年間約80万トン) 人件費等操業費が年々上昇。

TSL炉で亜鉛残渣等からの回収での貴金属、レアメタル入手のメリット

3、2012年での収益悪化の原因

銅、鉛、亜鉛価格が2011年から低迷。

ウオン高での非鉄地金の輸出採算が悪化。

投資の増大を含むコストの上昇。

4、2013年の見通し

2013年7月に電力不足で減産との噂がでており、

生産は減少見込み。

ウオン高、非鉄価格の沈滞で経営悪化は継続。

Korea Zincは、さらなる投資意欲が盛んで、2015年に

第二工場を増設の予定。

売上 売上 利益 利益

出典:LS Nikko Copper、Korea Zincホームページ等から作成

(単位:10億ウオン)

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0

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3,000

4,000

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6,000

2010年 2011年 2012年

売上

営業利益

純利益

0

50

100

150

200

250

300

350

400

0

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7,000

8,000

9,000

10,000

2010年 2011年 2012年

売上

営業利益

純利益

13

韓国鉱物資源公社の最新状況

14

15

11.韓国新政府組織とKORES予算の関連性

経済政策の司令塔で経済坦当副首相設置―

企画財政部(日本の財務省に相当)長官を兼任。

食品医薬安全処―食品医薬品安全庁から昇格し、

国務総理室直轄。

教育科学部は、教育部と未来創造科学部。

(IT産業等を担任)に分割。

1、韓国新政府組織の特色

知識経済部を再編→産業通商資源部(通商機能と

旧科学技術部のR&Dの予算権入手)の強化。

大きな政府を目指した国家予算の

増加(全体的に5.1%増加)。

安全、保健、福祉。教育、一般公共

行政等の予算比率が高い。(内政重視) 外交の順位が低下。

一方、経済民主化の前の財政の危機的現象

の解決のため、経済関係でも増額。

目的は?

2、KORESの予算

0

200

400

600

800

1,000

1,200

決算 決算 予算

2011年 2012年 2013年

KORES出資金

海外資源開発融資

海外資源開発投資

鉱物備蓄事業出資

国内資源開発投資

一般鉱業育成支援

KORESへの出資金、国内資源開発、

備蓄関係は昨年より減額。

しかし、海外投資案件は昨年より予算額が

アップ。新政権下でもエネルギー資源確保が

成長のための必須条件と認識。

このアップ分のほとんどは、Ambatovy, Boleo

両プロジェクトへの支援がメインでは?-

( KORESの新組織体制と今後の方向性参照)

出典:韓国“産業資源通商部”ホームページ、韓国毎日経済新聞等より作成

(単位:10億ウオン)

単位:10億ウオン 12.韓国鉱物公社(KORES)の現状

1、2011年で,過去最高の利益をだしたが、

2012年は、生産案件での国際的な鉱産物価格の

下落での子会社の持分法利益の減少で純利益は

212億ウオンの赤字に転落。

2、増大する開発・探査案件への対応により、資本金

及び借入金が増大。

-50

0

50

100

150

200

250

300

2009年 2010年 2011年 2012年

売上額

経常利益

当期純利益

0

500

1000

1500

2000

2500

3000

3500

4000

2009年 2010年 2011年 2012年

固定資産

流動資産

固定負債

流動負債

2、KORESの2009-2012年のB/Sの推移 1、KORESの2009-2012年のP/Lの推移

3、KORESの2009-2012年のD/Eの推移

651 790 1,000 1,260 825

1,427 1,507

2,088

0

1,000

2,000

3,000

4,000

2009年 2010年 2011年 2012年

借入金

資本金

出典:KORESホームページ、“韓国の海外金属資源確保戦略に関する調査”より作成 16

1、開発案件、調査案件は増加しているが、 生産案件の

増加は比較して少ない。 (生産中の案件は豪州の

石炭、フイリピンの銅、中国のレアアース、石灰岩のみ)

2、開発案件で、期近で生産案件に移行する案件は下記

13. 2012年のKORESの主な海外投融資状況

Ambatovy/ニッケル: 累計投資額は960百万U$。 Boleo/銅:JVパートナーであるBaja Mining社の資金 不足により、KORESが追加出資を実行。シェアが33%から60%に拡大。

2つの案件でポートフォリオの約60%を占める。

43%

17%

26%

10%

1% 3%

鉱種別の投融資内訳

Ambatovy

その他のニッケル

Boleo

その他の銅

石炭

ウラン

その他の鉱物

出典:KORESホームページ、“韓国の海外金属資源確保戦略に関する調査等”より作成 17

11%

43% 17%

19%

10%

段階毎の投資内訳

探査

Ambatovy

Boleo

その他開発

生産

9% 2%

2%

44% 17%

16%

9%

1% 地域毎の投資内訳

豪州

中国

その他アフリカ

Ambatovy

Boleo

その他中南米

北米

アジア

14. KORESの方針と今後の方向性

1、新組織体制での方針と具体案

方針 具体案

非経済的で効率の悪い案件からの撤収。

Celendin(ペルー・銅)、Boulia(豪・銅)、White Cliff(豪:ニッケル)を 2013年3月に撤退。

資源開発で劣っている技術関係のレべルアップ。

技術研究院を本部級に格上げ。(技術部門の拡充)

投資関係での契約及び事務評価能力のアップ。

戦略経営本部に新規に投資契約と事業評価能力を強化するための投資法務室を新設。

社内ベンチャーの活性化。 新戦略鉱物室を社内ベンチャー企業として育成し、カナダの株式市場に上場することを目標。

生産段階に近い案件の実現への専門組織の配置。

社長直属の2室を作成し、Ambatovy、Boleo両プロジェクトの生産、管理に集中させる。

出典: KORESホームページ、韓国毎日経済新聞等より作成 18

2、KORESの今後の方向性 現在進行中の大型開発案件を早期に生産段階に移行させるべく、経営資源を集中させ過去の投融資における

非採算案件の整理を進める。 資源開発分野での人材・技術面のレベルアップ。 レアメタル、レアアース等の非鉄資源での知見を深め、民間企業へのサポート業務を行う。

将来的には、鉱山開発技術及び鉱山運営経験を持つ会社になり、韓国の成長を支える資源開発企業

を目指す。

まとめ

19

韓国政府が迷走している限り、KORESの資源政策も迷走。

3、国家及びKORESの資源政策は下記

鉄鉱石、石炭(一般炭・原料炭)は、POSCOを中心とする民間企業が資源権益の確保を独自に行う。 亜鉛・鉛も同様のコンセプト。

銅・ニッケルでは、KORESと民間企業が官民一体となって権益確保に動く。 特に、KORESの投融資ポートフォリオの60%を占めるAmbatovy(ニッケル)とBoleo(銅)については、早期の生産段階への移行に注力する。

15.まとめ 1、朴新大統領の政権運営に国民よりの不満が増大。

経済悪化で、福祉関係の公約の見直しを宣言。

原発の安全性を重視して原子力発電所の稼働不足で電力供給不足。-1、2年は続く見込み。

財閥等大手企業に対する管理強化で、企業活動が沈滞気味。―経済界と対立傾向。

韓国の2013年まで政府が発行した国債全体(約480兆ウオン)の内、赤字国債が約51%に増大する見込み。

特に公社の放漫経営で政府に対する負債が増加。

2、経済悪化

ウオン高、電力不足そして中国の景気悪化で先行きは不透明。第二次通貨危機の噂も出ており、

予断は許さない。

韓国製品の競争力が減少していく中で、韓国製品の高付加価値化を早急に成し遂げる必要がある。

4、問題点

民間企業が長期的見地で動けない中で、資源政策を推進するのには、国がバックアップする必要あり。

その場合、国家機関であるKORESに対する期待は益々増加。

しかし、経済状況が悪化し、韓国政府の財源不足になれば、KORESに対する資金供与に限界がでる。

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