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機械設計製図 第八回目 表面性状(表面粗さ) 幾何誤差

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機械設計製図 第八回目

表面性状(表面粗さ) 幾何誤差

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「軸と穴の表面がツルツルかザラザラか」

表面の状態の組合せ加減

表面性状(JIS B 0031)

表面性状(表面粗さ)

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2.表面粗さの定義:𝑅𝑧, 𝑅𝑎,と𝑅𝑞

𝑹𝒛:最大高さ粗さ:十点平均粗さ:最高山頂から高い順に5番目までの山高さの平均と最深の谷底(たにそこ)から深い順に5番目までの谷深さの平均との和。

𝑹𝒂:算術平均粗さ:基準長さにおける縦座標値𝑍(𝑥)の絶対値の平均。

𝑹𝒒:二乗平均平方根粗さ:基準長さにおける縦座標値𝑍(𝑥)の絶対値の平均。

𝑍(𝑥)

𝑅𝑎 =1

𝑙𝑟න0

𝑙𝑟

𝑍(𝑥) 𝑑𝑥

𝑅𝑞 =1

𝑙𝑟න0

𝑙𝑟

𝑍2 𝑥 𝑑𝑥

基準長さ𝒍𝒓

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Ra 3.2

Ra 0.8

Ra 0.4

研磨

G

Ra 0.8

旋削

実際に使用する場合:

3.表面粗さの表し方

a:表面性状パラメータ、その管理項目b:二番目以後のパラメータの指示c:加工方法・表面処理d:筋目とその方向(=、⊥、X、M、C,R、P)e:削り代(mm)

𝐻1 = 1.4 × ℎ 𝑑′ = 0.1 × ℎ𝐻2 = 3 × ℎ ℎ:文字の高さ

1)除去加工の有無を問わない場合

2)除去加工をする場合

3)除去加工をしない場合

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S179628-10-00

注記:

1.特記なき角部はC1maxとし、バリ・カエリのないこと

2.特記なき隅部はR1maxとする

3.高周波焼入れ(表面硬さHRC55~60)

A4 SUJ2 か S55C 1製図用紙 名称 材質 個数 摘要

学籍番号 S179628 氏名 本岡 正幸

第三角法 作成 2018/05/28

機械設計研究室 名称 負荷ブロック(修正後)尺

度1:1 図番 S179628-10-00

A

A部詳細 (5:1)

51±0.02

?16 g6 -0.006

-0.017

1

30°

R2

新規製作図面

4.表面粗さの記入例

指定された面の粗さ

指定されていない面の粗さ

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表面粗さの記入例

Ra 3.2

Ra 3.2

0.02 A

Ra 3.2

?27±

0.1

31±0.01

C1C1

A

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※:公差等級に対応する表面性状の割合

5.はめあい公差と表面性状との関係及び実用例

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(自動車部品メーカの実例)

※:どの程度の値を適用してよいか分からない時

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ミツトヨの小型表面粗さ測定器

6.表面粗さの測定機

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7.部品図面によく使う表面性状記号

Ra 12.5

Ra 6.3

Ra 0.4

Ra 3.2

Ra 1.6

Ra 0.8 Ra 1.6

G G適用範囲:研磨加工が必要な表面

適用範囲:旋削表面(旋盤やマシンリングセンターで加工された表面)

G

適用範囲:旋削表面(旋盤やマシンリングセンターで加工された表面)

適用範囲:精度の悪い機械で加工された表面

適用範囲:非加工表面(素材表面のまま)

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Ra 3.2 Ra 0.8 Ra 0.4

研磨 G

Ra 0.8

旋削実際に使用する場合:

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インロー部の表面性状記号の記入

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表面粗さの図面記入例

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「軸と穴の形が真直ぐか、曲がっているか」

形のゆがみの組合せ加減

幾何公差(JIS B 0021)

一般幾何公差(JIS B 0419)

幾何誤差

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幾何公差(形状のばらつき)形状の指定が必要な場合

穴の形状は傾斜する場合

穴の形状は鼓型の場合 理想形状

理想形状

実際の形状

実際の形状

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1.幾何公差の分類と種類(1)形状公差; (2)姿勢公差; (3)位置公差; (4)振れ公差

形状公差

姿勢公差

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公差の種類 記号 データム指示

位置公差

振れ公差

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2.形状公差の記入例

A

データム

×

形状公差の場合:データムは不要

真円度

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3.姿勢公差の記入例

A

データム

A

姿勢公差の場合:データムは必要

直角度

データムAの意味:Φ10H8穴の中心線を基準Aにする

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4.幾何公差の定義と指示方法

真直度公差

記号 公差域の定義 指示方法及び説明

円筒で規制の場合には、Φを使用すること

𝒕 =0.1

𝒕 =0.1

∅𝒕 =Φ0.08

母線の真直度

中心線の真直度

中心線

母線

公差域は𝒕だけ離れた平行2直線によって規制される。

公差域は𝒕だけ離れた平行2直線によって規制される。

公差域は直径𝒕の円筒によって規制される。

外径

母線の場合にはφを付けない

外形直線の真直度

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平面度公差

記号 公差域の定義 指示方法及び説明

𝒕 =0.08

公差域は距離𝒕だけ離れた平行2平面によって規制される。

実際の表面は、矢印方向に0.08だけ離れた平行2平面の間になければならない。

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円筒度公差

記号 公差域の定義 指示方法及び説明

真円度公差

𝒕 =0.03

𝒕 =0.1

𝒕 =0.1

公差域は同軸の𝒕だけ離れた二つの円によって規制される。

公差域は、距離𝒕だけ離れた同軸の二つの円筒によって規制される。

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平行度公差

記号 公差域の定義 指示方法及び説明

𝒕 =0.03

𝒕 =0.03

𝒕 =0.01

公差域はデータムに平行な直径𝒕の円筒によって規制される。

公差域は、距離𝒕だけ離れ、データム平面Bに平行な

平行2平面によって規制される。

公差域は、距離𝒕だけ離れ、データム平面Cに平行な

平行2平面によって規制される。

平面で規制なので,Φを使用しないこと

円筒で規制の場合には、Φを使用すること Φの使用

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直角度

傾斜度

記号 公差域の定義 指示方法及び説明

𝒕 =0.05

𝒕 =0.05

公差域は、距離𝒕だけ離れ、データムに直角な平行2平面によって規制される。

公差域は、距離𝒕だけ離れ、データムに対して指定した角度で傾いた平行2平面によって規制される。

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位置度公差

記号 公差域の定義 指示方法及び説明

公差域は直径𝒕の円筒によって規制される。その軸線は、データム平面Bに垂直で、C及びDに関して理論的に正確な寸法によって位置付けられる。

線の位置度公差(方向を定めている場合)

穴の軸線がデータム平面Bに垂直で、C及びDに関して理論的に正確な位置にある直径0.05の穴の円筒公差域の中になければならない。

円筒で規制の場合には、Φを使用すること

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位置度公差

記号 公差域の定義 指示方法及び説明

公差域は真位置を軸線とする直径𝒕の円筒により規制される。

線の位置度公差(方向を定めていない場合) 公差域は真位置を軸線とす

る直径0.05の円筒の中になければならない。

円筒で規制の場合には、Φを使用すること

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同軸度公差

対称度公差

記号 公差域の定義 指示方法及び説明

F

公差域は、 𝒕だけ離れ、データム

に関して中心平面に対称な平行2平面によって規制される。

公差域は直径𝒕の円筒によって規制される。

E

E-F:共通データム軸直線

偏心の場合

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円周振れ公差

記号 公差域の定義 指示方法及び説明

A円周振れ公差:半径方向

円周振れ公差:軸方向

共通データム軸直線

軸方向の振れ公差

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記号 公差域の定義 指示方法及び説明

円周振れ公差

円周振れ公差:指定した方向

円周振れ公差:任意方向

振れ公差の方向

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全周振れ公差

記号 公差域の定義 指示方法及び説明

振れ公差範囲

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幾何誤差を記入する時の注意点:

• 形状公差を記入する時には,データム指示は不要

• 姿勢公差や位置公差や振れ公差を記入する時には,一般的にデータム指示は必要

• 公差域を円筒で規制する場合には,公差値の前にφを付ける

• 同心度や同軸度,位置度を記入する時には,公差域の前に必ずφを付ける

• 一般的に真円度や平行度や直角度を記入する時には,公差域の前にφを付けない

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上下運動式

測定子

スピンドル

ステム

短針

目盛板

長針

5.振れ公差の測定器:ダイヤルゲージ

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6.ダイヤルゲージを用いた振れ公差の測定

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8.普通幾何公差の図面への記入例

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9.最大実体公差方式最大実体状態(Maximum Material Condition:MMC)とは、公差の範囲内で実体、す

なわち質量が最大となる状態である。穴部品であれば穴の径が最小のとき、軸部品であれば軸の径が最大となる場合である。言い換えれば、組付けが最も厳しい状態のことである。

図1 穴の位置度公差に最大実体公差を指示した例

50

80

100

H7 +0.021 0

M で最大実体公差方式を表現する

M (JIS Z 8114):最大実体公差方式

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10.普通寸法公差と普通幾何公差の図示例

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11.付加記号

PCD=Pitch Circle DiameterPC∅