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防衛省航空機の現状と 生産・技術基盤に関する取組 平成23年1月 防衛省経理装備局

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防衛省航空機の現状と

生産・技術基盤に関する取組

平成23年1月

防衛省経理装備局

航 空 機 課

防衛省が保有する主な航空機(固定翼)

()内の数字は平成22年3月末時点で陸・海・空の自衛隊が保有している航空機の機数

陸上自衛隊 海上自衛隊 航空自衛隊

使 途 国 産 ライセンス国産 輸 入

固定

翼機

戦 闘 機

輸 送 機

哨 戒 機

救 難 艇

早期警戒管制機

早 期 警 戒 機

US-2(4)

P-3C(90)

YS-11(8)

F-2A/B(89)

F-4EJ/EJ改(70)F-15J/DJ(202)

C-1(26) C-130H

(16)B-747(2)

US-1A(4))

E-2C(13)E-767(4)

(総数:1,594機 うち 戦闘機361機、戦闘機以外の固定翼機587機)

防衛省が保有する主な航空機(回転翼)

使 途 国 産 ライセンス国産 輸 入

回転

翼機

陸上自衛隊 海上自衛隊 航空自衛隊

対 戦 車

戦 闘

輸 送

観 測

多 用 途

哨 戒

掃 海

救 難

CH-101(2)

UH-1H/J(148)

MCH-101(2) MH-53E(9)

UH-60JA(29)

UH-60J(59)

SH-60J/K(92)

AH-1S(73) AH-64D(9)

CH-47J/JA(71)

OH-1(30) OH-6D(108)

(総数:1,594機 うち 回転翼機646機)

()内の数字は平成22年3月末時点で陸・海・空の自衛隊が保有している航空機の機数

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

3,500

4,000

4,500

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23

航空機購入額(億円)

航空機の整備維持経費(億円)

(億円) 元年度 2年度 3年度 4年度5年度6年度7年度 8年度9年度 10年度 11年度 12年度 13年度 14年度 15年度 16年度 17年度 18年度 19年度 20年度

2,587

21年度 22年度 23年度

航空機購入額 4,075 3,596 2,713 2,716 3,068 2,968 2,193 3,198 2,653 2,520 2,496 2,403 2,096 2,323 2,238 2,076 2,348 1,770 2,195 1,8321,237 2,412

整備維持経費 2,095 2,214 2,154 2,402 2,374 2,549 2,600 2,759 2,895 2,743 2,732 2,780 2,792 2,793 2,825 2,776 2,756 2,860 2,885 2,7992,8472,884 2,952

航空機購入額 航空機関連主要装備品等(近

代化改修や能力向上も含む)整備維持経費 航空機の修理や消耗品の代

価・役務費など

防衛省航空機関係予算の推移

○防衛関係費が抑制される中、新規航空機の予算額(能力向上・近代化の予算額も含む)は減少

(億円)

3注1:整備維持経費は(目)航空機修理費のうち、主要装備品等を除いた額。(目)通信維持費等は含まれていない。 注2:予算の数字は契約ベース

調達数量の比較

・調達数量=調達機数/年

・防衛省(庁)が予算計上した航空

機が対象。

・固定翼機は戦闘機は含まない。

防衛省航空機関係予算の推移

S47

年度

S57

年度

H4

年度

H14

年度~ ~ ~ ~

S56

年度

H3

年度

H13

年度

H23

年度

戦闘機 26.8 22.9 9.0 3.7

固定翼機

25.3 28.4 20.9 9.5

回転翼機

33.5 46.1 31.1 21.5

我が国航空機産業の概況

0

200

400

600

800

1,000

1,200

1 2 3 4 5 6 7 8 9 1011121314151617181920

民需

防需

○我が国航空機産業の生産額(修理額含む)は、防需は横ばいだが、民需の国際共同開発プロ

ジェクト等のけん引により、全体では増加傾向

(年度)

(十億円)

我が国航空機産業の生産額推移

(防需と民需)

出典:経済産業省機械統計年表

国際共同開発プロジェクト等の対象製品

製品名 日本分担比率 共同開発期間

B767 (180-250席) 15%

21%

35%

23%

CF34-8 30% 1996-1999

CF34-10 30% 2000-2004

15%

B777 (300-370席)

15%

1973-1982

1999-1998

2003-

機体

1983-1988

B787 (210-250席)

2005-2007

V2500

2005-2008

Trent1000

エンジン

GEnx

B787 V2500

※ここでの「共同開発期間」は機体についてはMOU締結から量産を移管するまでの期

間、を、エンジンについては事業契約締結から型式承認取得までの期間を指す

防衛省戦闘機の生産・開発経緯

○我が国は、昭和30年代以降、戦闘機を基本的に絶え間なく生産○高度な技術を必要とする部位を含むライセンス生産や、これまでに着実に実施してきた

研究開発により、充実した生産技術基盤を確立

○しかし、平成23年度のF-2納入以降、戦闘機を生産しない空白の期間が生じる見込み

1950年代 1960年代 1970年代 1980年代 1990年代 2000年代 2010年代

F-86

F-104

T-2(練習機)

F-4

F-1

F-15

F-2

機種

(300機)

(230機)

(96機)

(140機)

(77機)

(199機)

(94機)

1955

1960

1967

1969

1975

1978

1989

1961

1967

1988

1981

1987

1999

2011

契約締結 完納 ライセンス生産機種開発機種(T-2とF-4は開発期間を含む。)

日本初超音速飛行(1971、T-2)

主な防衛省固定翼機の生産・開発経緯(戦闘機除く)

輸送機 哨戒機 救難艇

YS-11(日本航空機製造) C-1(川崎重工)

US-1(新明和)

注1:C-1、C-2(仮称)、P-1、PS-1、US-2は研究開発期間も含む 注2:点線部分は中期防衛力整備計画(2011~2015年度)で整備対象とされている航空機を示す

注3:開発機種とは、開発することを目的に調達した機種を指す

使途 1950年代 1960年代 1970年代 1980年代 1990年代 2000年代 2010年代

輸送(空)

哨戒(海)

救難(海)

YS-11

C-1

P2V-7

P-2J P-3C

US-1/1A

PS-1

凡例

開発機種

ライセンス生産機種

輸入等

C-130HC-46D

TBM-3S2、PV-2

S2F-1

PBY-6A

JRF-5 UF-2

P-3C(川崎重工)

P-1(川崎重工)

C-2(仮称)

P-1

US-2

主な防衛省回転翼機の生産・開発経緯

使途 1950年代 1960年代 1970年代 1980年代 1990年代 2000年代 2010年代

戦闘ヘリ

輸送(陸)

戦闘(陸)

観測(陸)

多用途

(陸)

哨戒(海)

掃海(海)

救難(空)

AH-1S AH-64D

V-44A

V-107

V-107Ⅱ

CH-47J

CH-47JA

H-13E/G/H/KH OH-6D

OH-6J OH-1

H-19C

H-19C

UH-1H/J

S-51

HSS-1/1N

HSS-2/2A/2B

SH-60J

SH-60K

V-107 MH-53E

H-21B

S-62J

V-107/107A

UH-60J

注1:OH-1、SH-60J、SH-60Kは研究開発期間も含む 注2:点線部分は中期防衛力整備計画(2011~2015年度)で整備対象とされている航空機を示す

注3:開発機種とは、開発することを目的に調達した機種を指す

輸送ヘリ 多用途ヘリ 哨戒ヘリ 救難ヘリ

AH-64D(富士重工) CH-47J(川崎重工) UH-1J(富士重工) SH-60K(三菱重工) UH-60J(三菱重工)

新救難ヘリ

MCH-101

新多用途ヘリ

凡例

開発機種

ライセンス生産機種

輸入等

UH-60JA

○先進諸国では、国際共同開発・生産により、装備品の高性能化を実現しつつ、コストの高騰に対応することが主流になってきている

○こうした防衛装備品をめぐる国際的な環境変化の中で、国内に維持していく基盤を検討

していくことも必要

国際共同開発の具体例

戦闘機 F-35

開発開始時期: 2000年

参加国:米国・イギリス・オランダ・イタリア等 9ヵ国

戦闘機 ユーロ・ファイター

開発開始時期:1988年

参加国:イギリス・ドイツ・イタリア・スペイン

輸送機 A400M

開発開始時期: 1982年

参加国:イギリス・フランス・ドイツ・イタリア・スペイン等 8ヵ国

国際的な環境変化への対応

「新たな時代の安全保障と防衛力に関する懇談会」報告書(要約)(2010.8) (抜粋)

第三章 防衛力を支える基盤の整備第2節 物的基盤②国際共同開発・共同生産の活用

(略)防衛産業をめぐる世界的潮流に目を転じれば、諸外国においては防衛産業の再編と巨大化が進み、装備品の国際共同開発・生産も一般的となっている。

しかし、日本は、武器輸出三原則等に基づく事実上の武器禁輸政策によって、国内防衛産業としてもこうした流れに乗ることができず、実際、日本は、米国以外の友好国との国際共同開発・生産、あるいは国と国の間の国際共同開発に至る前の民間レベルの先行的な共同技術開発等への参画すら検討できないでいる。

(中略)

日本はこれまで日米の共同開発・共同生産等を武器輸出三原則等の例外として認めてきた。しかし、日本の安全保障における防衛生産・技術基盤の重要性に鑑みれば、武器輸出三原則等の下での武器禁輸政策については、見直すことが必要である。共同開発・共同生産の活用を進めれば、先端技術へのアクセス、装備品の開発コスト低減等のメリットがある。また、共同開発・共同生産は、日米同盟の深化、米国以外の国々との安全保障協力関係の深化にもつながる。(以下略)

戦闘機の生産技術基盤の在り方に関する懇談会

○F-2戦闘機の生産終了に伴い23年度以降の生産の空白期間が生じる見込みである戦闘機の生産・技術基盤に与える影響について、官民で整理することを目的に、平成21年

6月に外部有識者を含む「戦闘機の生産技術基盤の在り方に関する懇談会」を設置

○同年12月に生産中断による影響を具体的に整理・分析した内容を取りまとめた

戦闘機の生産中断による影響

国内生産技術基盤の意義

我が国は国内に基盤を維持していることで、以

下の3つの要素を確保

1.高い可動率の維持

2.我が国の運用に適した能力向上等

3.安全性の確保

1.運用支援能力の低下

○技術質問対応の長期化

○修理期間の長期化

2.将来の戦闘機に関する研究開発への影響

○量の面における影響(人員数確保)

○質の面における影響(技術レベル)安全性の確保

我が国の運用に

適した能力向上等

・高度な知見を要す運用継続

可否判断

・事故未然防止のための分

析・改修等

・日々進歩し続ける最先端技

術への対応

・空自要求を踏まえた適時適

切な能力向上

・早期修復(実地修復等)

・補用品の早期製造

・非可動防止に向けた信頼性向

上に資する改善

高い可動率の維持

戦闘機の生産中断により喪失ないしはレベルの低下が懸念される技術・技能の例

生産中断に伴う影響 機体 エンジン アビオニクス

主として生産工程で培われてきた技能がその適用先を喪失

↓当該技能が喪失又は

レベル低下

キャノピ取付・調整技能

キャノピと機体構造の組立公差の累積による寸法差をすり合わせ、温度・湿度によるキャノピの形状変化と飛行中の機体の変位・変形、後の運用中のキャノピ交換容易化(調整箇所縮減)を考慮しながら、40ヶ所以上の隙間・段差チェック項目全てを満たすように微調整する技能。

ディープケミカルミーリング技能

エンジンのダクト部の高強度化・軽量化を図るため、ダクトを構成する部品を酸性液に浸し、金属を溶かして除肉・高精度成形するのに必要な技能。立体的なマスキングと溶液及び浸漬条件の慎重な調整が必要。

電子部品はんだ付け技能

信号処理用の基盤に電子部品を取付・取り外しするのに必要な技能。微細ピッチ部品、基盤耐熱温度が著しく低い部品等のはんだの自動実装には適さない部品が多く、手作業によるはんだ付け・部品取り外しが必要。

主として研究開発や運用支援で培われてきた技術を有する技術者数が減少

当該技術レベルが低下

システムインテグレーション技術

戦闘機に要求される機能・性能等を分析し、機体全体としての各種制約をクリアしながら、機体の各サブシステムへの機能配分を検討した上で、エンジンやアビオニクス等のサブシステムを含めて1つの戦闘機としてまとめ上げる技術。

システムインテグレーション技術

エンジンに要求される機能・性能等を分析し、要求に合わせて各構成要素に対する最適な機能配分を検討した上で、各サブシステムをエンジンとしてまとめあげる技術。

システムインテグレーション技術

レーダーに要求される機能・性能を分析の上、要求に合わせてレーダーの各構成品に対する最適な機能配分を行い、各サブシステムをレーダーシステムとしてまとめ上げる技術。

売上等の減少、今後の事業性が見込めない等の理由から、下請企業が防衛事業から撤退

技術・技能が喪失

レドーム関連技術

火器管制レーダーの性能を最大発揮させるために必要な電気的特性(電波透過率等)と、戦闘機の機首に装備可能な機械的特性(風圧、旋回G等)を両立しつつ、環境条件に適合した独自の耐雷性能を持たせた構造体を設計及び製造する技術。

オイルタンク技術

エンジンに要求される機能・性能等を分析し、要求に合わせて各構成要素に対する最適な機能配分を検討した上で、各サブシステムをエンジンとしてまとめあげる技術。

�戦闘機生産に必要となる技術・技能について、他事業(補用品製造、修理、能力向上事業及び研究事業)によって維持されるか否かを評価。以下は、生産中断に伴い、喪失ないしはレベルの低下が懸念される機体に係る技術・技能の一例

10

(参考)

既撤退、もしくは撤退中メーカーの業種 鋳造品、アクチェータ、無機ガラス風防、燃料タンク、防振ゴム など

撤退を表明しているメーカーの業種 鋳鍛造品、形材、ワッシャー、レドーム、タイヤ など

戦闘機の生産に係る下請企業のうち、防衛事業から撤退もしくは撤退を表明しているメーカー

レドーム 燃料タンク

○国内における戦闘機の生産技術基盤の維持・育成は極めて重要

○生産中断の影響も考慮し、将来、戦闘機の開発を選択肢として考慮することができるよう調達・

研究開発を進めていくことが必要

1.戦闘機の運用上国内に必要な基盤の整理・「3つの要素」が確保されなければ、安全かつ十全に任務達成を果たすことが困難

・戦闘機全体のシステムインテグレーション等、重要部位に係る基盤の国内維持が必要

戦闘機の生産技術基盤に係る今後の取組み

◆技術・技能を維持すべき部位は継続して更に精査◆機種選定における評価基準や、防衛生産・技術基盤に関する戦略の検討への利用を図る

運用支援上国内における生産技術基盤が重要となる部位

�戦闘機の全機体システムから、機体、戦闘機の戦闘能力に係る装備品及びその故障が飛行安全に重大な影響を与え得る装備品を抽出。それらを構成品レベルに整理することにより、当該部位に関する技術・技能を国内に維持しなければ、戦闘機の運用に影響を及ぼすと考えられる部位を整理。

サブシステムの一例 主要構成品の一例

推進系統 エンジン、始動装置、空気取入系統等

武装系統 火器管制・誘導装置、搭載武器等

運用支援上国内における生産技術基盤が重要となる部位の例

11

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2.将来の戦闘機に関する研究開発ビジョンの策定・戦闘機のような高度かつ特殊な装備品の開発には、中長期的視点に立った戦略的検討が必要

・基盤を取りまく環境の変化等、従来以上に戦略的な研究開発投資が必要

・シーズ・ニーズを踏まえた将来の戦闘機に関する研究開発ビジョンを検討・策定(航空機産業と共有)

◆戦闘機の数的劣勢や第5世代が有するステルス機能への対応を念頭に、将来戦闘機のコンセプトを定め、その実現に向けたロードマップを策定

◆平成22年10月に「将来戦闘機官民合同研究会 」を設置

将来戦闘機のコンセプト

22 23~27 28~32 33~37 38~42

統合火器管制技術の研究

▽実証機初飛行

開発

ステルス性向上技術の研究

次世代アビオニクス技術の研究

コンセプト①②

指向性エネルギー兵器技術の研究コンセプト③

コンセプト⑤

コンセプト⑥

コンセプト⑦

注:コンセプト④については、開発移行可能な技術レベルを既に有している。

開発段階では、機体規模にも依存するが、5,000~8,000億円規模の経費が必要

無人機については、群制御の成果と運用環境の状況を見極め、開発の開始時期は別途検討

指向性エネルギーについては、小型化の実現性を見極め、適用時期は別途検討

次世代エンジン技術の研究

F-2後継の選択肢へ

①誰かが撃てる、撃てば当るクラウド・シューティング②数的な劣勢を補う将来アセットとのクラウド③撃てば即当たるライト・スピード・ウェポン④電子戦に強いフライ・バイ・ライト⑤素材技術を活かした敵を凌駕するステルス⑥パワー半導体技術を活かした次世代ハイパワー・レーダー⑦耐熱材料技術を活かした次世代ハイパワースリム・エンジン

将来戦闘機ロードマップ

将来戦闘機官民合同研究会で期待する効果

①本研究会を通じた情報・意見交換により、戦闘機関連の研究開発事業をより戦略的に検討することに資する新鮮かつ正確な情報の獲得

②研究開発ビジョンを明示することで、防衛航空機産業が、限られた資源を最大限に活用していく中長期的な事業計画を検討する際の資となること

③防衛事業から撤退する企業がある中で、企業の新たなる防衛事業への参画を促す効果

3.戦闘機を含めた防衛航空機の生産技術基盤維持・向上施策を検討・推進・戦闘機を含む航空機全体に共通した基盤あり

・我が国の航空機の生産技術基盤の維持・活性化に資する施策の検討・推進(民間転用)

◆平成22年4月に外部有識者を含む「防衛省開発航空機の民間転用に関する検討会」を設

置。同年8月に具体的な制度設計に向けた方針を取りまとめた◆生産・技術基盤に与える影響も考慮して開発・生産を検討・実施していく

次期輸送機C-2(川崎重工業)

救難飛行艇US-2(新明和工業)

�海上自衛隊にて救難用途で

運用

�世界で唯一波高3mの荒海で

の運用が可能

⇒離島間での多目的飛行艇

と しての利用を 検討

�極低速飛行が可能

⇒消防飛行艇としての利用

を検討

�C-1の後継として、平成23

年度予算に計上

�大型ジェットエンジンなど大

型不定形貨物の搭載が可能

�同程度の機体規模・搭載能

力を持つ他機種※に比べ。航

続距離や高速・高空性能に

優れる※A400M(エアバス)を想定

次期固定翼哨戒機P-1

(川崎重工業)

�P-3Cの後継として、23年

度に配備される予定

�ただし、P-1については、

開発成果を将来の民間機

開発に適用することを検討

企業が民間転用を検討している防衛省開発航空機

<背景>� 防衛省開発航空機の民間転用は、生産・技術基盤の維持・活性化に資す

る施策であるとともに、自衛隊機と共通する部品の量産効果により防衛調達

コストの削減にもつながるものと期待

<基本的な考え方>� 防衛省開発航空機の民間転用が可能となることで、開発担当企業は、防衛

省以外の市場を獲得可能

� 防衛省としても、企業により民間転用機が開発・生産・販売されることで、3

つのメリットを獲得

<今後の方針>� 取りまとめた基本的な考え方に基づき、利用料等の算定方法や防衛省保

有技術資料の開示・使用に関する手続等を規定する制度を策定していく

3つのメリット①我が国の防衛生産・技術基盤の維持・向上②防衛省機と民間転用機の量産効果による防衛省機にかかる価格(航空機購入費、技術維持費、治工具維持費)の低減③防衛省機が民間転用機のMRO※設備を利用可能

※Maintenance Repair Overhaul

防衛省開発航空機の民間転用について

13

民間転用に関する4項目①企業による国への利用料の支払の在り方②企業に対して発生する付随義務③民間転用不可の装備品・技術④技術資料の開示・使用について

多用途ヘリコプター UH-X・陸上自衛隊のUH-1Jの後継として、平成23年度予算に開発経費を計上

・多岐にわたる任務の実施が求められるため、現有のUH-1Jの問題点である超

低空域・洋上での安全性や航続距離の不足等を克服しつつ、取得単価を抑制

し、将来の陸上自衛隊の主力機として安定的・継続的に取得が可能となるよう、

開発を行う

生産・技術基盤に与える影響も考慮した開発例

14

<開発を選択するにあたって考慮された特性>下記の要素を総合的に評価した結果、国内開発を決定

○導入困難性

・諸外国の類似機において、機動性等の要求性能を全て満足する機種はない

○ライフサイクルコスト

・20年という長期に亘る取得期間を考慮すると、開発機ライフサイクスコストはいずれの海外類似機よりも安価もしく

は同等

○生産・技術基盤に与える影響

・国内で開発することにより、ライセンス国産よりも生産・技術基盤の維持・育成に大きく寄与し、結果として、適宜適

切な能力向上や高い可動率の維持、安全性の確保に貢献できることを期待

�柔軟な運用の実現と機数の多い機種を自主生産することによる効果的な生産・技術基

盤の維持を可能に

�一方で、量産単価が当初の見積額を大幅に超過する等により、調達数が減少し、結果

として生産・技術基盤に対しても十分な効果が出なかったということにならないよう、技

術的なリスクの評価・モニタリングによるコストコントロールが必要