薄い貯留層に対する反射法地震 探査のチャレンジ · 2....

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97 石油・天然ガスレビュー アナリシス 薄い貯留層に対する反射法地震 探査のチャレンジ ―反射法地震探査データを利用した薄層貯留層評価― じめに 1930年代以来、石油・天然ガス探鉱の分野で地下の構造並びに貯留層のさまざまな特性(例えば孔隙 率の分布やフラクチャーの存在など)を把握するための技術として反射法地震探査が発展を遂げてきた。 また、近年のデータ収録手法の改善や特殊なデータ処理・解析手法により、反射法地震探査データを 利用した薄層貯留層評価に関して幾つかの成果が上げられてきている。本稿では、薄層貯留層評価の鍵 となる垂直分解能に関する基礎事項を説明した後に、データ収録・処理・解釈の各段階において、特に 広い周波数帯域を確保するための各種技術動向について、実例を取り上げて紹介する。 (1)分解能の定義 反射法地震探査における分解能とは、地中の二つの異 なる物性が独立の事象として分離できる限界を言う。分 解能には水平分解能と垂直分解能の2種類がある。まず、 水平分解能とは水平方向に二つの異なる物質が存在した 場合に、それらを別々の物質としてとらえることのでき る限界の水平距離を表す。一方、垂直分解能は、一般的 に垂直方向(深度方向)における二つの反射波が異なる深 度の別々の物性境界と一致する限界の厚さを表す。言い 換えれば、地層の上面と下面を正しく解釈できる限界の 地層厚と言える。 反射法地震探査では、震源として陸域ではダイナマイ トやバイブレーター、海域ではエアガンを一般的に利用 する。現実に観測される反射波の分解能は、震源の特性 や表層における波の減衰効果などにより左右される。一 般的にインパルスと呼ばれるパルス状の地震波は、さま ざまな帯域の周波数を含む(図1 )のに対し、地下から 戻ってきた反射波は特に高周波の帯域が大きく減衰し、 限られた周波数帯域しか含まない。 分解能を考える上で、最も頻繁に利用されるのが、 「ウェッジモデル」と呼ばれる、 楔 くさび 状の地下の地層を仮 1. 反射法地震探査の垂直分解能 JOGMEC 技術調査部 松澤 進一 図1 周波数帯域の違いによる波形の違い 周波数の異なる波を加算した波形(1~6)。広い周波数帯域を加算するこ とにより、波形が圧縮されていき、波形 6 のようなパルス状になることが 分かる。 出所:Yilmaz, 2001 Time (sec.) Time (sec.) Frequency(Hz) 0 0 0 0 0 6 6 6 12 12 18 24 30 1 2 3 4 5 6 6 18 30 42 54 66 78 90 102 114 -0.5 -0.4 -0.3 -0.2 -0.1 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 -0.5 -0.4 -0.3 -0.2 -0.1 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5

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97 石油・天然ガスレビュー

JOGMEC

アナリシス

薄い貯留層に対する反射法地震探査のチャレンジ―反射法地震探査データを利用した薄層貯留層評価―

はじめに

 1930年代以来、石油・天然ガス探鉱の分野で地下の構造並びに貯留層のさまざまな特性(例えば孔隙率の分布やフラクチャーの存在など)を把握するための技術として反射法地震探査が発展を遂げてきた。 また、近年のデータ収録手法の改善や特殊なデータ処理・解析手法により、反射法地震探査データを利用した薄層貯留層評価に関して幾つかの成果が上げられてきている。本稿では、薄層貯留層評価の鍵となる垂直分解能に関する基礎事項を説明した後に、データ収録・処理・解釈の各段階において、特に広い周波数帯域を確保するための各種技術動向について、実例を取り上げて紹介する。

(1)分解能の定義

 反射法地震探査における分解能とは、地中の二つの異なる物性が独立の事象として分離できる限界を言う。分解能には水平分解能と垂直分解能の2種類がある。まず、水平分解能とは水平方向に二つの異なる物質が存在した場合に、それらを別々の物質としてとらえることのできる限界の水平距離を表す。一方、垂直分解能は、一般的に垂直方向(深度方向)における二つの反射波が異なる深度の別々の物性境界と一致する限界の厚さを表す。言い換えれば、地層の上面と下面を正しく解釈できる限界の地層厚と言える。 反射法地震探査では、震源として陸域ではダイナマイトやバイブレーター、海域ではエアガンを一般的に利用する。現実に観測される反射波の分解能は、震源の特性や表層における波の減衰効果などにより左右される。一般的にインパルスと呼ばれるパルス状の地震波は、さまざまな帯域の周波数を含む(図1)のに対し、地下から戻ってきた反射波は特に高周波の帯域が大きく減衰し、限られた周波数帯域しか含まない。 分解能を考える上で、最も頻繁に利用されるのが、

「ウェッジモデル」と呼ばれる、楔くさび

状の地下の地層を仮

1. 反射法地震探査の垂直分解能

JOGMEC技術調査部 松澤 進一

図1 周波数帯域の違いによる波形の違い

周波数の異なる波を加算した波形(1 ~ 6)。広い周波数帯域を加算することにより、波形が圧縮されていき、波形 6 のようなパルス状になることが分かる。出所:Yilmaz, 2001

Tim

e (s

ec.)

Tim

e (s

ec.)

Frequency(Hz)

0 0 0 0 06 6 612 12 18 24 30

1 2 3 4 5

6

6 18 30 42 54 66 78 90 102 114

-0.5-0.4-0.3-0.2-0.1

00.10.20.30.40.5

-0.5

-0.4

-0.3

-0.2

-0.1

0

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

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JOGMEC

アナリシス

定したモデルである(図2)。これによれば、実際のモデル(水色)と反射面の解釈結果(オレンジ)が一致する限界が垂直分解能となり、これより薄い地層における解釈結果は正しい層厚を示さない。また、層厚が薄くなるにつれて、反射波の振幅が変化する現象が起きる。これをチューニング現象と呼び、振幅が最大値に達する層厚

(チューニング層厚)は垂直分解能と一致することが特徴として挙げられる。 一方、反射法地震探査の分解能は、反射波の波長をλとした場合に、λ/4と表現することができる(Reyleighの1/4波長則)。λ/4はウェッジモデルにおけるチューニング層厚と一致する。波長λは地層の地震波速度Vと地震波の卓越周波数fを利用して、λ=V/fと表すことができる。仮に地層の地震波速度を3,000m/s、卓越周波数を30Hzとすると、λ=100mとなり垂直分解能は25mとなる。

 図3は、ある地域において、地層の厚さがどのくらいの頻度で出現しているのかを、ヒストグラムで示した一例である。非常に厚い地層は頻度が少なく、薄い地層は出現頻度が極端に多い。ヒストグラムの形状は、対数正規分布を示し、厚い地層に比べて薄い地層は圧倒的に多く自然界に存在することが見て取れ、一般的に対象となる貯留層の層厚は多くの場合において反射法地震探査の垂直分解能以下であることが分かる。

(2)垂直分解能向上に必要な要素

 垂直分解能を考える上で重要なこととして挙げられるのが、卓越周波数である。既述で述べたが、地震波の波長は、地震波速度と卓越周波数によって表現される。しかし、地層の地震波速度は岩石固有の値として存在しており、波長の短い(垂直分解能の高い)反射波を得るためには、卓越周波数の高い(広い周波数領域を持つ)データを得ることが必要とされる。 図4に炭酸塩岩貯留層に対する反射法地震探査データを示す。卓越周波数を見かけ上さまざまに変えて、反射波の見え方の違いを比較している。卓越周波数が30Hzの断面では、若干連続性には乏しいものの図面左側に向かって傾斜する反射波が解釈される。しかし、卓越周波数が40Hzになると反射波は水平な部分が見受けられ、

図2 ウェッジモデルと分解能

図3 ある地域における地層厚の例

矢印付近でモデル(水色)と解釈(オレンジ破線)が一致しなくなり、チューニング現象により振幅が最大となっている。出所:RPS Energy, 2008 に一部加筆

出所:RPS Energy, 2008

Limit of resolution(tuning zone)

Reflection

amplitude

Time(Sec.)

0.0

(m) 75 60 45 30 15

0.100

WedgeThickness

Frequency Comparison.084

.063

.042

.021

.000

Pro

babi

lity

0.00 12.50 25.00 37.50 50.00

Lognormal Distribution Mean=11.91Std Der=15.99

Input Data

図4 卓越周波数の変化による反射法地震探査データの解釈の変化

卓越周波数は上から 30Hz, 40Hz, 60Hz。出所:Zeng and Kerans, 2003

2,000ft

50 m

s50

ms

50 m

s

Toplap

Flat events

Abo producing zoneLandward dipping

Basinwarddipping

DownlapFaultAmplitude

500m00

Page 3: 薄い貯留層に対する反射法地震 探査のチャレンジ · 2. データ取得における工夫 垂直分解能向上を目的としたデータ取得技術として、

99 石油・天然ガスレビュー

JOGMEC

薄い貯留層に対する反射法地震探査のチャレンジ -反射法地震探査データを利用した薄層貯留層評価-

2. データ取得における工夫

 垂直分解能向上を目的としたデータ取得技術として、データ取得手法の改善やデータ取得機器の発展が挙げられる。また、今回項目としては取り上げていないが、高周波数が減衰することのほとんどが表層の影響を受けていることが知られており、直接的にこれを回避するために受振器を地中に埋設する手法も実験的に行われている。一部の情報では、良好な結果が得られているとのことだが、データ取得効率の観点から実際の調査に適用することは困難と考えられている。

(1)Point Receiverデータ取得

 通常のデータ取得仕様では、各受振点において複数の受振器を直線状(もしくは平面状)に配置し、各受振器で観測された波形を足し合わせた結果をデジタル信号処理して記録される。これは観測したい地下からの反射波を強調する以外に、地表を伝

でん

播ぱ

する表面波を除去する効果が得られるためである。これを「受振器アレイ」と呼び、一つの受振点で通常10 ~15個程度の受振器を配置するのが一般的である。受振器アレイでは各受振器における反射波と表面波の到達時間の差を利用して表面波除去を行う。例えばアレイ内において複雑に表層の層厚が変化するような場合には、反射波の到達時間も異なるため、足し合わせにより反射波の波形が崩れてしまうことも考えられる。また、発生する表面波は地域や場所によって固有の特徴を持ち、最適な受振器アレイが設計されているとも限らない。 近年データ取得システムによって膨大なチャンネル数への対応が可能となった。これはデータの転送・記録の速度向上が大きな要因と考えら

れ、3次元地震探査の普及にも大きく貢献していると言える。一方、これまでアレイ内の各受振器の観測波形が、各受振点で足し合わされていたのに対し、すべての受振器(Point Receivers)の観測波形を、それぞれの信号として探鉱機に収録することが可能となった。これによりアレイ内の表層厚や振幅の変化を忠実にとらえることができ、更に得られたデータは処理の段階で仮想的にアレイを組むことができるなど、ハンドリングが容易になったことから、品質の向上および分解能の向上が期待される

(図5、図6)。

(2)Over/Under技術によるデータ取得

 海域でのデータ取得技術のなかで、現在試験的に調査が行われているのが、Over/Under技術である。通常の海域において、2次元地震探査の場合には1本のストリー

60HzになるとToplap、Downlapといった、炭酸塩岩のシーケンスが解釈可能となり、更に多数の断層を解釈することができるようになる。言い換えれば、同じ地質構造においても卓越周波数の違いにより解釈の結果が違ってきている。 これらの結果からも分かるように、垂直分解能の向上

に必要な条件として、反射波を傷つけることなく正しく収録した上で、データ処理の段階では減衰した高周波数帯域を回復して高い卓越周波数を確保することが重要となってくる。

図5 Point Receiver データ取得によるアレイ内表層厚変化の回避事例

左:通常のデータ収録右:Point Receiver によるデータ収録出所:WesternGeco ホームページより

Analogue traces

Conventional receiver array Q-Land point receivers

Outputtrace

Outputtrace

Analogue summation Digital group forming

Point-receiverdigital traces

Static correctedtraces

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1002009.3 Vol.43 No.2

JOGMEC

アナリシス

マーケーブル(一定間隔で受振器を装着したケーブル)を、3次元地震探査の場合には10本程度のストリーマーケーブルを、海面下10 ~ 15m程度で曳

えいこう

航しながらデータを取得する。この場合、得られたデータの周波数帯域を確認すると、振幅スペクトル上において震源(エアガン)の深度とストリーマーの深度に関連する、ノッチ*1

が観察される。理想的には広く安定的な周波数帯域を持つ波形が観測されることが期待され、ノッチは取得データに障害となる。 Over/Under技術によるデータ取得は、ストリーマーケーブルの深度に応じて生じる振幅スペクトル上でのノッチを、深度の異なるケーブルを曳航して補い合い、安定した広い周波数帯域を確保するものである。図7に、ストリーマーケーブルの曳航方法を示す。深度7.2mのストリーマーケーブルは収録データの比較用に、また深度18mで両側に160m離れて曳航している2本のケーブルは、中央のケーブルの位置を精度良く求めるために曳航している。収録されたデータを振幅スペクトルで比較すると、7.2mのストリーマーケーブルで収録されたデータに比べて、ノッチのない広い周波数帯域を持つことが見られる(図8黄色の着色部分)。 本技術は1970年代から実験的に調査が行われていたが、2本のケーブルを同じ鉛直面上に一定の深度を保ちながら曳航することが必要で、ケーブルをコントロールするための高度な技術が要求され、その上、それぞれの受振器(ハイドロフォン)の位置情報を正確に把握することも必要で、発展するには至らなかった。しかし、4次元地震探査(タイムラプス地震探査)に要求される、高度なストリーマーポジショニング技術の発展により、本技術の実用段階を見据えた実験が始まったところである。

(3)MEMSを利用した受振器

 データ取得機器に関しては、MEMS(Micro Electronics Mechanical System)センサーの導入が近年の特筆事項と言える。通常の地震探査データ収録で利用される受振器は、コイルと永久磁石を利用し、地表面の振動に伴って電磁誘導により発生した電気信号をとらえて、振動を記録している。コイル型受振器は、ある特定の固有周波数以上で平坦な出力が得られるようになっている。 一方、近年開発が進んでいるMEMS技術を利用した受振器は、振幅および位相特性が周波数によらず一定であり、低周波、高周波どちらの領域においても安定した特性を維持することが特徴として挙げられる(図9)。MEMSを利用した受振器は、カナダのオイルサンドに見られるような特に浅い貯留層を対象とした場合には、200Hzを超える高周波成分が収録されているのに加え

図6 Point Receiver によるデータ取得事例 図7 Over/Under 技術による海域データ収録例

図8 Over/Under 技術による振幅スペクトル上での周波数帯域改善例

左:通常のデータ収録右:Point Receiver によるデータ収録出所:Ait-Messound et al, 2005

出所:Moldoveanu et al, 2007

水深 7m のストリーマーケーブルに比べて振幅スペクトルが改善されている(黄色部分)。出所:Moldoveanu et al, 2007 に一部加筆

各ストリーマー深度におけるノッチの位置 7m 18m 25m

Frequency (Hz)

Am

plitu

de (d

B)

Over/Under (18m&25m)

18m25m

7m

Conventional 3D DataTw

o-w

ay tr

avel

time,

ms 1,400

1,500

1,600

1,700

1,800

Q-Land Data

7.2m

160m160m

18m25.2m

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101 石油・天然ガスレビュー

JOGMEC

薄い貯留層に対する反射法地震探査のチャレンジ -反射法地震探査データを利用した薄層貯留層評価-

て、2Hz以下の低周波においても平坦な特性を持ち、周波数帯域に優れた性能を持つと言える。また、MEMSのセンサーが微小(写)であることから、上下動成分だけでなく水平2成分を含めた3方向の振動を記録する受振器が実用化されており、データ処理の段階におけるノイズ除去の観点からも優れている。

(4)3D VSP

 取得データにおける、表層および弾性波の伝播に基づく高周波成分の減衰を避ける手段の一つとして、VSP

(Vertical Seismic Profiling)*2 が挙げられる。VSPは震源として地表にバイブレーターや、場合によってはエアガンピットを設置してエアガンを利用した上で、受振器を坑内に下ろして直達波および反射波を観測する手法である。VSPには、坑井元で発震するゼロオフセットVSP、坑井元から離れた位置で発震するオフセットVSPの他に、震源を直線状に配置して地下の情報を面的にとらえるウォークアウェイVSP(図10)、また震源を面的に配置して、坑井周辺の3次元的な情報をとらえる3D VSP(図11)などがある。

500~2,000m

10~30m

測定ハウス

ゼロオフセットVSP オフセットVSP ウォークアウェイVSP

震源 震源

震源

反射面

反射波②

反射波②

直達波①

直達波①

反射波②

直達波①

多重反射③

受振器

受振器

受振器

反射面 反射面

測定ハウス測定ハウス

1,000

Z

2,000

3,000

Upper Almond

SURFACE SEISMIC

VSPVSP

図10 VSP の種類

図11 3D VSP のイメージ図

図12 3D VSP と反射法地震探査データとの比較

出所:物理探査学会 , 1998

青点は地表震源位置を示す。出所:Goerts et al, 2005

出所:O’Brien et al, 2004

写 コイル型受振器(左)とMEMS センサー(右)の比較

出所:Sercel ホームページより

1Hz 3Hz 10Hz 100Hz30Hz

dB0

-20

150°

100°

50°

Frequency

1Hz 3Hz 10Hz 100Hz30HzFrequency-40

DSU(acceleration)

DSU(acceleration)

Geophone(velocity)

Geophone(velocity)

Amplitude response

Phase response

図9 コイル型受振器(赤)と MEMS を利用した受振器(緑)との振幅 ・ 位相特性の比較

出所:Mougenot and Thorburn, 2004

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1022009.3 Vol.43 No.2

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アナリシス

3. データ処理からのアプローチ

 薄層を対象としたデータ処理は、対象としている貯留層に特化して、最大の注意を払ったデータ処理パラメーターの選択が必要である。例として、ノイズ除去処理を実施するにあたって対象層から反射波への影響を最小限に抑える手法を選択する点や、Deconvolution(デコンボリューション)*3、最適なミュートゾーンの設計や静補正は最終結果に大きな影響を及ぼす。また、近年の特徴として、坑井データを有効に活用して、データ処理におけるパラメーターの最適化を図る手法の適用が見受けられる。

(1)表層の影響

 陸上においては、地表付近に存在する表層がそれ以深の地層に比べて非常に遅い速度を持つことから、表層厚が側方に変化する場合には反射波の到達時刻に大きな差異を生む原因となる。反射法地震探査のデータ処理では、収録されたデータにおいて、表層の層厚と速度、表層基底層の速度を求め、一定の基準面まで表層基底層で置き換える時間補正を行う。静補正と呼ばれるこの処理は、一般的に屈折波の初動を利用して発震点側および受振点側における補正量を求めるが、トモグラフィーを利用した手法で良好な結果が得られている事例も報告されてお

り、注意深い処理が要求される(図13)。ただし、補正量を高い精度で求めたとしても重合前の段階で反射波が整列しきらない場合が見受けられ、強制的に反射波が整列する速度を適用することも最終的な選択肢の一つとして考えられる(図14)。 また、振幅補償やデコンボリューションにおいても、各発震点における表層の違いに起因する発震波形の変化を考慮したアルゴリズムを適用した上で、時間方向にもパラメーターの変化を計算に入れた処理が求められる。

(2)Stretch-Free Stack

 反射法のデータ処理においてはCMP(Common Mid Point)重合*4法が広く利用されている。収録されたデータは共通反射点編集(CMPソート)の後に、地下の地震波速度を仮定してオフセット距離を持つ発震点/受振点の組み合わせをゼロオフセット記録に補正する処理

(NMO:Normal Moveout補正)を行う。NMO補正では、浅い深度からの反射波ほど、またオフセット距離の大き

 反射法地震探査は、震源から地表に設置してある受振器までの地震波の伝播経路のなかで、表層を震源側、受振器側の2度通過する点、また地表から地下の物性(地層)境界まで伝播した地震波が、反射して地表に戻ってくる

(往復する)必要がある点が、高周波成分の減衰に大きく影響している。一方、坑内の受振器は、表層の通過は1

度で済む上に、地震波の伝播経路が約半分(片道)で済むことにより、結果的に高周波成分の減衰を避けたデータ収録方法となり、垂直分解能が向上する(図12)。このため、3D VSPは、地下の構造把握ができるエリアは限定的であるとはいえ、坑井周辺における分解能向上を目的とした一つの選択肢と言える。

Refraction Statics Tomographic Statics

図13 表層補正量を求める手法の違いによる品質の違い

図14 残差ムーブアウトの前後によるデータ品質の向上事例

出所:Xianguo et al, 2007 出所:Sherrill et al, 2005

before RMO

after RMO

before RMO after RMO

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103 石油・天然ガスレビュー

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薄い貯留層に対する反射法地震探査のチャレンジ -反射法地震探査データを利用した薄層貯留層評価-

い反射波ほど補正量が大きくなるため、該当する波形は大きく引き伸ばされる。この伸張(Stretch)は、重合後に垂直分解能の低下を招く(図15)ことから、通常は著しく伸張した波形は重合に利用せず、取り除くエリア

(ミュートゾーン)を設定する。ミュートには、垂直および水平方向に最適なゾーンを設計することが必要である。 NMO補正による波形の伸張を伴わないStretch-Free Stackと 呼 ば れ る 手 法 は、CMI(Common Moveout Interval)と呼ばれる区間を設定し、NMO曲線に沿ってMoveoutせずに重合する手法である(図16)。

(3)Spectral Broadening

 重合後の処理において、高周波数の回復を目的として、必要な周波数帯域のスペクトルを平滑化する処理

(Spectrum Whitening)が適用される場合がある。しかし、通常の地震探査データには反射波以外にもさまざまなノイズが含まれており、単純に振幅スペクトルを操作した場合には、実際の反射波とともにノイズも増大させてしまうことが懸念されるので、注意深い処理を要する。

周波数の帯域を広げる処理として、近年幾つかの技術が紹介されているが、ここでは坑井データを活用した手法を紹介する。 HFI(High Frequency Imaging)と呼ばれる処理は、検層データから作成した合成地震記録をモデルトレースとして、反射波の高周波成分を増幅させる際のパラメーターを最適化する手法とされている。図17ではHFI処理によって卓越周波数が19Hzから45Hzに改善されており、本処理の適用によって貯留層のピンチアウトが解釈され、坑井間の貯留層対比が見直された結果、追加埋蔵量を発見した事例である。

(4)VSPを利用した処理

 HFIと同様に坑井データを活用した高周波数帯域を復元する手法として、VSPデータを活用したデータ処理

図15 NMO Stretch による重合後データの周波数低下事例

図16 Stretch-Free Stackによる重合後断面図の比較 図17 HFI 処理による高周波数帯域

の改善事例

出所:Trickett, 2003

出所:Trickett, 2003

上:通常のデータ中: HFI 処理後のデータ下: 振幅スペクトラムで卓越周波数が19Hzから45Hzに改善されている。出所:Countiss, 2002

Gather After NMO Stack

Normal Stack Normal Stack (Muted) Stretch-Free Stack

A A’B-9

100

mse

s.B-6

A A’B-9

~19 Hz. Dominant Frequency

Input Data

~45 Hz. Dominant Frequency

FrequencyEnhanced

Data

Frequency(Hz)

Sign

al S

tren

gth(

Db)

B-6

100

mse

s.

L-10

L-10

0

-2

-4

-6

-8

-10

-12

-14

-16

-180 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 110 120

Termination

Total Frequency Spectrum

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アナリシス

パラメーターの最適化が挙げられる。VSPの直達波は深度方向における震源波形の減衰や位相の変化を忠実にとらえており、直達波の波形を利用して各層準のQ値(地震波の減衰を定量的に表したもの)を推定することができる(図18)。また、複数の坑井が掘削されている場合には、それぞれの坑井から推定されたQ値を利用して、時間・空間方向に変化を伴うQ volumeを作成することができる。反射法地震探査データの処理では、Qを補償する処理を行うが、VSPから得られた Q Volumeを利用してパラメーターの最適化を図ることにより、高分解能の結果が得られる。 また、前項で紹介した高周波成分の補償を行う際に、VSPのデータ(コリドースタック)がモデルトレースとして利用される事例もある。

4. データ解析段階で何ができるか

 データ解析技術は、 (1)アトリビュート解析、(2)周波数領域での解析、(3)インバージョン解析、(4)統計学的手法を適用した解析、の四つの手法が特に有効とされている。周波数領域における解析技術は近年のトピックであり、Spectral DecompositionやSpectral Inversion技術による薄層の評価事例が報告されている。

(1)アトリビュート解析技術

 薄層を直接評価するものではないが、地震探査データの持つ属性(アトリビュート)を有効に利用することにより、地質学的情報を付加し薄層を解釈する上での精度を高める技術が挙げられる。アトリビュート解析と呼ばれる解析手法のなかにも、地震探査データの波形の振幅や位相、周波数などに着目して算出される各種アトリビュートがあり、地震探査データ解釈のソフトウエアにも数十種類のアトリビュートが算出できることが一般的となっている。 地震探査データの各トレースにおける、隣接トレースとの類似性を表現した Coherenceと呼ばれるアトリビュートは、通常の地震探査データの解釈では抽出できない微小な変化を強調することができる(図19)。これにより、断層やピンチアウト、不整合やチャンネル等の

幾何学的変化がとらえられ、特に坑井で薄層を確認している場合には、地質学的な特徴を基に広がりを推定する際に有効な手段と言える。また、解析対象層を解釈したホライズンを利用して、解釈結果における微小な不連続性を強調するCurvatureと呼ばれるアトリビュートも、Coherenceと同様の効果を持つものとして挙げられる。

図18 VSPデータを利用したQ値推定(左)とデータ品質改善(右)の事例

図19 Coherence を利用した解析事例

出所:Wang, 2003

左:通常の地震探査データ右:Coherence データ出所:Chopra and Pickford, 2001

Trace number

Q EstimateTime (ms)

Time (s)

0.1-11-1.51.5-22-2.52.5-33-3.53.5-4

47.547.565.883.095.8

108.0128.0

Q

Trav

eltim

e (s

)Tr

avel

time

(s)

Two-

way

Tra

velti

me

(s)

Dep

th (m

)

Dep

th (m

)

1

0200

300

400

500

600

700

800

900

1,000

1,100

1,200

300400500600

700

800

900

1,000

1,1001,2001,3001,400

1,5001,6001,7001,790

300

400

500

600

700

800

900

1,000

1,100

1,200

1,300

1,400

1,500

1,600

1,700

1,790

50 100 150 2000 200 400 600 800 1,000

0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

3.0

3.5

4.0

0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

3.0

3.5

4.0

51 101 151 201 251 301

Trace number1 51 101 151 201 251 301

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薄い貯留層に対する反射法地震探査のチャレンジ -反射法地震探査データを利用した薄層貯留層評価-

(2)Spectral Decomposition

 古くから地層の上面および下面からの反射波によるチューニング現象は知られていたが、この現象を周波数領域で解析することにより、薄層の評価に利用することができる。チューニング現象の性質から考えると、薄い層の上面と下面から反射波は高い周波数においてチューニングを起こすのに対して、比較的厚い層に関しては低い周波数でチューニングを起こすと言える。この性質を利用して、チューニングを起こす周波数から解析対象の層厚を推定する(図20)。 Spectral Decompositionと呼ばれる処理は、重合後の地震探査データの波形に対して、一定のレンジに分割した周波数帯域ごとに地震探査データを分割する処理である。各周波数帯域に分割した地震探査データはチューニングを起こしているエリアにおいて強い振幅を示す。評価 に あ た っ て は、 複 数 の Spectral Decomposition Volumeにそれぞれ異なる色を適用して、複数の周波数データを重ね合わせる(Co-Rendering)ことにより解釈が容易となる。 なお、Spectral Decompositionの処理を行う過程では、時間領域の地震探査データを周波数領域に変換する処理を必要とする。この変換アルゴリズムにはさまざまな手法が提唱されているが、手法によっては時間軸方向への解像度が低下する場合も見受けられるので、目的に合ったアルゴリズムを注意深く利用することが肝要である(図21)。

(3)Spectral Inversion

 地震探査のインバージョンと呼ばれる処理は、重合後(もしくは重合前)の地震探査データから音響インピーダンスモデルを推定する処理であるが、Spectral Inversionは周波数領域における制約をインバージョンのプロセスで 利 用 す る 手 法 で あ り、 制 約 条 件 と し て Spectral Decompositionのデータを利用している。

図20 Spectral Decomposition を利用した貯留層層厚解析

図21 周波数領域への変換アルゴリズムによる違い

図22 Spectral Inversion によるデータ解析事例

上:層厚と卓越周波数の関係下: Spectral Decomposition による解析(左が低周波成分=厚い、右が

高周波成分=薄い部分)出所:Laughlin et al, 2003

FFT(Fast Fourier Transform)と DFT(Discrete Fourier Transform)の違い。DFT の方が高い垂直分解能で周波数領域へ変換していることが分かる。出所:Castagna et al, 2003 を一部修正

左:通常の地震探査断面右:Spectral Inversion 結果、断面中に Sonic Log を表示出所:Chopra et al, 2006

Cross-section

30 Hz

AA A

A’

A’ A’15 Hz

Map Map

Frequency(Hz)

true spectraltrace and wavelets

40 Hz

10 Hz

30 Hz

20 HzTi

me

(ms)

FFT spectral DFT spectral

20000

100

200

300

400

500

600

700

800

900

1,000

60 100 20 60 100 20 60 100Frequency(Hz) Frequency(Hz)

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アナリシス

 Spectral Inversionから得られた結果は、高分解能の反射係数列を再現しており(図22)、薄層の解釈に有用であるだけでなく、通常の地震探査データの表示では分かりにくいような堆積構造を詳細に表示することが可能であるばかりでなく、堆積環境を推定する際にも詳細な情報を提供することができる。この処理は地震探査データにおけるそれぞれのトレースごとに行う処理であるために、解釈ホライズンや通常のインバージョンでは一般的に必要とされる初期モデルが不要である一方、時間・空間方向に変化を伴う正確なウェーブレットを必要とすることから、坑井によるコントロールポイントを要するとされている。

(4)Stochastic Inversion

  坑 井 デ ー タ と 統 計 学 を 利 用 す る 手 法 と し て、Stochastic Inversionが挙げられる。反射法地震探査データからインバージョン処理を通じて推定された音響インピーダンスモデルに対して水平方向の変化(データの類似性)を抽出し、また坑井データにおける垂直方向の変

化も加えて、地震探査データと整合的なインピーダンスモデルを統計学的に算出する手法である。 得られる結果は、坑井データ並みの「高分解能」インピーダンスモデル(図23)であるが、地震探査データに整合的に統計学的に算出された結果の一つにすぎない点に注意を要する。

おわりに

 薄層貯留層の評価を行う上で、反射法地震探査データにおける分解能に関する基礎事項とともに、広い周波数帯域の確保を目的としたデータ取得・処理手法について紹介した。また、データ解析の時点では、特に周波数領域に着目した近年のデータ解析手法について概要を示した。 データ取得段階の技術として取り上げた手法のうち、Over/Under技術によるデータ取得については興味深い結果を示しているが、まだ実用段階には至っておらず、今後の更なる実験が期待される。そのなかで、3D VSPはデータが得られる領域が坑井周辺域に限定されるものの、既に確立されている技術の延長であり、非常に高分解能のデータが得られるという観点から有用な手法と考える。 データ処理・解析においては、広い周波数帯域の復元を目指した、さまざまな試みがなされていることを紹介した。薄層貯留層に限らない要素ではあるが、多くの手法においていかに坑井データを有効に利用するかが重要

となっていることが分かる。また、周波数領域に着目した処理・解析手法は、今後の更なる適用事例の積み重ねが期待される。基本的な点ではあるが、ここで紹介した処理・解析を適用する前段階として、データ処理での基本的な要素、例えば振幅補償やデコンボリューション、表層補正、マイグレーションなどにおいて、注目する貯留層に最大限の注意を払いながら最適なパラメーターを決定していく過程が重要であることは言うまでもない。また、分解能の限界は結果的に避けきれない現象であることから、最終的には不確実性を認識しながら統計学を利用する手法も有用と言える。 なお、本稿で紹介した各種技術は、平成19年度に実施した「地震探査データを用いた薄層貯留層評価に関する技術動向調査(Recent Technologies for Thin Reservoir Evaluation using Seismic Data)」で得られた成果を参照したものであることを付記しておきたい。

図23通常のインバージョン(左)とStochastic Inversion(右)の処理事例

出所:CGGVeritas ホームページより

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薄い貯留層に対する反射法地震探査のチャレンジ -反射法地震探査データを利用した薄層貯留層評価-

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<注・解説>*1: 特定の周波数エネルギーの損失のこと。振幅スペクトル上では下に凸

とつ

の形状を示す。*2: 地表震源による弾性波を坑内の受振器(地震計)で一定間隔の深度レベルで受振し、直達波や反射波等を解析す

る手法のこと。反射法地震探査データと坑井データとの正確な対比を検証するのに重要な役割を持つ。*3: 反射法地震探査データ処理において、震源特性、観測機器の特性、地層特性等の影響要因を除去して記録の分

解能を高めるフィルター処理のこと。*4: ランダムノイズの抑制と反射波の強調を目的として、複数の震源と受振器の組み合わせで収録されたデータを

加算する処理のこと。地層が水平であった場合、反射点は震源と受振器の中間点となる。

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執筆者紹介

松澤 進一(まつざわ しんいち)埼玉県出身。千葉大学大学院理学研究科地質学専攻(修士課程)修了。1995年、石油公団(当時)入団。石油資源開発(株)への出向を経て、2005年より探査技術課で探鉱出資事業などの技術評価・プロジェクト管理業務の他、技術動向調査事業として最新技術の情報収集に従事。2008年より海外地質構造調査課での広域地質評価業務を主に担当し、探査技術課を併任。

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