除草剤を補完・代替する水田雑草防除技術-3-揃期までの期間が長く、逆に高温条件ではこれらの期間が短い。寒地・寒冷地の水田や早期栽培...

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-1- 除草剤を補完・代替する水田雑草防除技術 北陸総合研究部長 森田 弘彦 1.水田雑草の種と生態 1)水田雑草の種類 水田雑草にはイネを作付ける本田の他、畦畔や水路に発生する雑草も含まれる。わが国に発生 する水田雑草の種類は、 年の調査をもとに 種と算定されている 。わが国の耕 1954 43 191 106) 地雑草の多くは有史以前の農耕技術の渡来に随伴した「史前帰化植物」と考えられており,水田 雑草でも熱帯・亜熱帯起源のものが稲作とともに持ち込まれた。しかし、元来多雨で水田に適し た湿地の多い日本では在来と考えられる種類も多く、ほとんどが「史前帰化植物」である畑雑草 とはこの点て様相を異にしている。 年代以降、キシュウスズメノヒエやアメリカアゼナな 1960 どの帰化雑草が水田に発生するようになった。各種資材の国際的な移動が盛んになっている近年 では、ショクヨウガヤツリをはじめ水田での帰化雑草も増加傾向にある。一方、新規の開田や畦 畔を除去した大区画化の基盤整備などによって従来は水田で生育しなかった種が新たな水田雑草 となることもある。従って、現在では水田雑草は 種前後と見られる。 210 2)実用的な区分 水田雑草は以下のように区分される。これらの区分は防除の戦略を立てる上で重要である。 (1)一年生雑草と多年生雑草-休眠型- 冬の休眠期間を種子で過ごす一年生雑草と、塊茎や根茎などの栄養繁殖器官で過ごす多年生雑 草とに区分する。一般的には種子の生産量は栄養繁殖器官の形成量よりはるかに多い。一方、栄 養繁殖体から発生した苗は種子から発生した苗と比べて大きな幼植物が土中深い位置からも発生 するため、種子から発生する雑草に比べて除草剤の効果が低下しやすい。多年生雑草も種子を着 け、時には種子から発生した個体が問題になる。株で越冬する多年生雑草のイヌホタルイ、ヘラ オモダカなどは水田ではほとんど種子から発生する。 (2)イネ科雑草、カヤツリグサ科雑草、広葉雑草-系統分類群- この区分は植物の系統分類学的な縁の近さでまとめた群で、除草剤の選択性を考える上で便利 である。イネ科雑草とカヤツリグサ科雑草は特定の「科」にまとまった分類群であるが,広葉雑 草は多様な分類群(科)を含んでおり、アゼナやチョウジタデなど双子葉植物のみでなく、コナ ギやオモダカなど単子葉植物の雑草も含む。 実用的な雑草の区分としては 「イネ科多年生雑草のキシュウスズメノヒエ 「カヤツリグサ 」、 科一年生雑草のタマガヤツリ」のように系統分類群と休眠型を組合わせて表現する。 表1 休眠型と自然分類の組み合わせによる実用的な雑草の区分 一年生雑草 多年生雑草 イネ科雑草 タイヌビエ、ヒメタイヌビエ、イヌビエ、 ヒメイヌビエ、アゼガヤ キシュウスズメノヒエ、エゾノサヤヌカグ サ、サヤヌカグサ、アシカキ、ウキガヤ、 ハイコヌカグサ、ヨシ、マコモ タマガヤツリ、コゴメガヤツリ、ヒナガヤ ツリ、ヒデリコ マツバイ、ミズガヤツリ、クログワイ、コ ウキヤガラ、ウキヤガラ、シズイ、ハリ イ、イヌホタルイ、タイワンヤマイ 単子葉 コナギ、ミズアオイ、ヒロハイヌノヒゲ、 ホシクサ、イボクサ、ミズオオバコ オモダカ、アギナシ、ウリカワ、ヒルムシ ロ、ウキクサ、アオウキクサ、クロモ、ヘ ラオモダカ、サジオモダカ、ガマ 双子葉 キカシグサ、アゼナ、アメリカアゼナ、ア ブノメ、オオアブノメ、アゼトウガラシ、 スズメノトウガラシ、ミゾハコベ、チョウ ジタデ、ヒメミソハギ、タカサブロウ、タ ウコギ、アメリカセンダングサ、キクモ、 セリ、アゼムシロ、ミズハコベ シダ、コケ植物 ミズワラビ デンジソウ、アカウキクサ、オオアカウキ クサ、サンショウモ、イチョウウキゴケ 藻類など シャジクモ、アオミドロ、アミミドロ、フシマダラ、表層剥離 休眠型による区分 広葉雑草 カヤツリグサ科雑草

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    除草剤を補完・代替する水田雑草防除技術北陸総合研究部長 森田 弘彦

    1.水田雑草の種と生態

    1)水田雑草の種類

    水田雑草にはイネを作付ける本田の他、畦畔や水路に発生する雑草も含まれる。わが国に発生

    する水田雑草の種類は、 年の調査をもとに 科 種と算定されている 。わが国の耕1954 43 191 106)

    地雑草の多くは有史以前の農耕技術の渡来に随伴した「史前帰化植物」と考えられており,水田

    雑草でも熱帯・亜熱帯起源のものが稲作とともに持ち込まれた。しかし、元来多雨で水田に適し

    た湿地の多い日本では在来と考えられる種類も多く、ほとんどが「史前帰化植物」である畑雑草

    とはこの点て様相を異にしている。 年代以降、キシュウスズメノヒエやアメリカアゼナな1960どの帰化雑草が水田に発生するようになった。各種資材の国際的な移動が盛んになっている近年

    では、ショクヨウガヤツリをはじめ水田での帰化雑草も増加傾向にある。一方、新規の開田や畦

    畔を除去した大区画化の基盤整備などによって従来は水田で生育しなかった種が新たな水田雑草

    となることもある。従って、現在では水田雑草は 種前後と見られる。210

    2)実用的な区分

    水田雑草は以下のように区分される。これらの区分は防除の戦略を立てる上で重要である。

    (1)一年生雑草と多年生雑草-休眠型-

    冬の休眠期間を種子で過ごす一年生雑草と、塊茎や根茎などの栄養繁殖器官で過ごす多年生雑

    草とに区分する。一般的には種子の生産量は栄養繁殖器官の形成量よりはるかに多い。一方、栄

    養繁殖体から発生した苗は種子から発生した苗と比べて大きな幼植物が土中深い位置からも発生

    するため、種子から発生する雑草に比べて除草剤の効果が低下しやすい。多年生雑草も種子を着

    け、時には種子から発生した個体が問題になる。株で越冬する多年生雑草のイヌホタルイ、ヘラ

    オモダカなどは水田ではほとんど種子から発生する。

    (2)イネ科雑草、カヤツリグサ科雑草、広葉雑草-系統分類群-

    この区分は植物の系統分類学的な縁の近さでまとめた群で、除草剤の選択性を考える上で便利

    である。イネ科雑草とカヤツリグサ科雑草は特定の「科」にまとまった分類群であるが,広葉雑

    草は多様な分類群(科)を含んでおり、アゼナやチョウジタデなど双子葉植物のみでなく、コナ

    ギやオモダカなど単子葉植物の雑草も含む。

    実用的な雑草の区分としては 「イネ科多年生雑草のキシュウスズメノヒエ 「カヤツリグサ、 」、

    科一年生雑草のタマガヤツリ」のように系統分類群と休眠型を組合わせて表現する。

    表1 休眠型と自然分類の組み合わせによる実用的な雑草の区分

    一年生雑草 多年生雑草

    イネ科雑草タイヌビエ、ヒメタイヌビエ、イヌビエ、ヒメイヌビエ、アゼガヤ

    キシュウスズメノヒエ、エゾノサヤヌカグサ、サヤヌカグサ、アシカキ、ウキガヤ、ハイコヌカグサ、ヨシ、マコモ

    タマガヤツリ、コゴメガヤツリ、ヒナガヤツリ、ヒデリコ

    マツバイ、ミズガヤツリ、クログワイ、コウキヤガラ、ウキヤガラ、シズイ、ハリイ、イヌホタルイ、タイワンヤマイ

    単子葉コナギ、ミズアオイ、ヒロハイヌノヒゲ、ホシクサ、イボクサ、ミズオオバコ

    オモダカ、アギナシ、ウリカワ、ヒルムシロ、ウキクサ、アオウキクサ、クロモ、ヘラオモダカ、サジオモダカ、ガマ

    双子葉

    キカシグサ、アゼナ、アメリカアゼナ、アブノメ、オオアブノメ、アゼトウガラシ、スズメノトウガラシ、ミゾハコベ、チョウジタデ、ヒメミソハギ、タカサブロウ、タウコギ、アメリカセンダングサ、キクモ、

    セリ、アゼムシロ、ミズハコベ

    シダ、コケ植物 ミズワラビデンジソウ、アカウキクサ、オオアカウキクサ、サンショウモ、イチョウウキゴケ

    藻類など シャジクモ、アオミドロ、アミミドロ、フシマダラ、表層剥離

    休眠型による区分

    自然分類などによる区分

    広葉雑草

    カヤツリグサ科雑草

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    (3)水生雑草と湿生雑草-土壌水分適応性-

    雑草は発芽後の生育に必要な土壌水分条件により、水生・湿生・乾生雑草に区分される 。水5)

    田に発生する雑草はおおむね湿生・水生雑草であり、湛水条件下で旺盛に生育する。発芽や萌芽

    時の土壌水分や酸素の必要な程度はこれらの区分や種類によって異なる。湿生雑草に属するタカ

    サブロウ、タウコギ、コゴメガヤツリ、ミズガヤツリ、アゼガヤなどは湿潤または湿った畑条件

    下で、また、水生雑草に属するコナギ、イヌホタルイ、オモダカなどは湛水条件下で良好に発生

    する。しかし、湛水条件下で発生の抑制される湿生雑草の種類であっても、一度田面に定着した

    後には湛水されても充分に生育できる。すなわち、通常湛水で管理される水田に湿生雑草が繁茂

    した場合には、田面の露出や浅水管理など水管理に問題のあったことが推定できる。

    3)幼植物での識別

    (1)幼植物

    幼植物(苗)の段階で雑草の名前を知ることは、防除の上でも重要である。水田に発生

    した雑草を早い段階で同定し、防除の要否や防除手段を決める必要がある。花や果実のな

    い状態での同定となるため、成植物に比べて形態に関する情報がはるかに少ない。子葉、

    初生葉、本葉、種子根、冠根、苗の基部に残っている種子や塊茎などの繁殖体の形態を観

    察する(図1 。)

    子葉:枚数(1・単子葉植物,2・双子葉植物)

    初生葉:本葉と形態の異なる初生葉の有無

    本葉:対生、互生 葉序 単葉・複葉 全縁・鋸歯

    根:色 形態

    繁殖体:塊茎、根茎などの栄養繁殖体・有無および形態

    種子・残存の有無および位置(植物体の基部、子葉の先端) 形態

    (2)種子

    収穫物や玄米に雑草種子が混入した場合や、水田の土中にある種子を調べる場合などに

    は種子から雑草を同定する必要がある。種子が生きている場合には発芽させて育て、幼植

    物や成植物の形態を確認して同定する。加熱、長期間経過して種子が死亡した場合や成植

    物を得る時間的余裕がない場合には種子の形態によって同定する。種子の形態では以下の

    項目を観察する。埋土種子や収穫物に混入した種子では包穎・花被片などが欠損したり、

    表面構造が破壊されていることがあるので注意を要する。雑草種子のコレクションは岡山

    大学資源生物研究所(〒 倉敷市中央 )にあり、ここにサンプルを送付し710-0046 2-20-1て同定を依頼することができる。種子の情報を含む図鑑類 も発行されている。111)

    4)発生生態と発生消長

    (1)休眠・発芽・出芽

    種子や塊茎など水田雑草の繁殖体は、形成直後には通常は休眠していて発芽・萌芽しない。休

    眠の覚醒には種類、個体間などで非常に変異が大きく、雑草の発生の不斉一の原因となる。発芽

    は休眠覚醒後に温度、水分、光、酸素などの環境条件が整うと起こる。水田雑草では ~ ℃30 35を発芽適温とするものが多く、種子と栄養繁殖器官との違いも小さい。

    出芽は発芽・萌芽した幼芽が地表に出現することで、その遅速は繁殖体の土中深度に大きく影

    響され、発生の不斉一の主要因となっている。水田雑草の発生深度は、一年生雑草の多くは土中

    以内、深い場合でも ~ 程度であるが、多年生雑草ではより深くなる。発生深度が深5mm l 2cmい場合には幼芽の成長点の分化する位置が変動して除草剤の効果が不安定になることがある。

    (2)発生消長と生育程度

    発生消長は雑草の発生の遅速・斉一の程度を幼芽の抽出状態の時間的経過で示し、生育程度は

    雑草の発育段階を葉齢・ステージや草丈で示したもので、いずれも防除の適期などの指標として

    重要である。水田雑草では図2のように葉齢を確認し、表2に基づいて表示する。

    発生消長は温度の影響を強く受け、低温条件では代かきから出芽まで、および、発生始期から

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    揃期までの期間が長く、逆に高温条件ではこれらの期間が短い。寒地・寒冷地の水田や早期栽培

    の水田では雑草の発生が長期間続き、制御のために残効の長い除草剤を必要とする原因となって

    いる。

    制御の指標として重要な雑草の発生消長や生育程度を気温条件から推定する試みが行われてい

    る。一般的に発生消長や生育程度を代かきや移植後日数で示すことが多いが,この場合には地域

    や年次、作期間で変動する(表3 。日数の代わりに日平均気温などの気象値を用いると変動幅)

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    が小さくなる。さらに、日平均気温から一定値を控除して積算する有効積算温度を用いると安定

    した生育進度の指標が得られる。控除値としは ℃がよく使われ、生育進度の推定に必要な積10算値は、それぞれの地点で数年間かけて調査することにより確認することが望ましい。

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    図2 水田雑草幼植物の葉齢の数え方

    表2 雑草の発生消長と生育程度の指標

    表3 水田雑草の葉齢の標準的推移

    ( 多 年 生

    雑 草 は 農

    事 試 の 慣

    、行移植期

    ノ ビ エ は

    植 調 協 会

    による 芝(

    山、 )1989

    内 容区 分 項 目

    発生消長 発生始期 始めて発生をみた日

    発生盛期 全発生の ~ %が発生した日40 50発生そろい 発生がほとんど終了したと認めた日

    発生期間 発生始めより発生そろいまでの期間

    地下茎の伸長開始期から第1次分棟の発生始期増殖始期

    分棟の発生や地下茎からの新葉抽出が盛んになったころ増殖盛期

    発生後から栄養生長期の中期まで生育程度 生育初期

    栄養生長期の後期から開花始期まで生育中期

    開花期から成熟期まで生育後期

    自然状態における土壌表面 から地上部の最高部位までの高さ草 高 J主悍葉数で示す。伸長中の葉は伸長が完了した時の長さを1として小数で表す葉 齢

    ①ノビエ,メヒシバ,スズメノテッポウなどは子葉鞘(鞘葉)を除き第1本

    葉から数える

    ②コナギなどの一年生雑草やイヌホタルイ,ヘラオモダカなどの種子発生の

    多年生雑草は子葉,子葉鞘を除いた葉から数える(封生葉は1対で1葉か

    する)

    ③ウリカワ(塊茎)は線形初生葉2~3枚を除き広線形のみを数える

    ④ミズカヤツリ(塊茎)は舌状葉(3枚)を除き,葉身と葉鞘とが区別でき

    るものから数える

    ノビ工代かき後 ミズガヤ ヘラオモ

    ホタルイ ダ力日 数 ツリ ウリカワ

    暖地寒地 温暖地寒冷地~ 、 ~ 初生葉5 0.5 1 0 0.5 1.0初生葉

    1.0 2.0 1.0 1.5 0.1 0.2 1.0 1.2 1.0 1.5 1.2 1.87 ~ ~ ~ ~ ~ ~0.5 1.0 0.5 1.0~ ~2.0 3.0 1.5 2.0 0.2 1.0 1 2 1.4 1.5 2.0 2.0 2.110 ~ ~ ~ 、 ~ ~ ~1.0 2.0 1.0 1.5~ ~3.0 4 0 2.0 3.0 0.8 2.0 1.2 1.7 1.5 2.5 2.7 2.812 ~ 、 ~ ~ ~ ~ ~2.0 3.0 1.5~ 前後4.0 5.0 3.0 3.5 1.5 3.5 1,8 2.0 2.0 3.0 3.3 3.515 ~ ~ ~ ~ ~ ~3.0 4.0 1.5 2.0~ ~5.0 6.0 3.5 4.5 3.0 5.0 2.0 3.0 2.5 4.0 4.0 4.320 ~ ~ ~ ~ ~ ~4.0 6.0 2.0 2.5~ ~7.0 8.0 4.5 5.0 4.0 7 025 ~ ~ ~ 、6.0 9.0~

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    5)雑草害

    (1)雑草害の時期

    稲に対する雑草害に関しては、最高分けつ期前後と出穂から発熱前期までの2時期に受けると

    影響が大きい。第1の時期は稲の穂数が決まる時期に相当し、雑草との光・養分をめぐる競合が

    激しい場合には穂数誠につながる。第2の時期は稔実の初期にあたり、ここでの競合が激しいと

    1穂重の低下、完全粒数の減少・不完全粒数の増加などの登熟障害につながる 。通常、収量113)

    への影響は穂数の減少となる前者の時期が後者より大きく、初期除草が重要である。

    、 、 、 、稲の収量以外に関わる間接的要因としては 病害虫の寄主 収穫作業の障害 収穫物への混入

    水路での潅漑効率の低下、田面水温の上昇阻害などがある。

    (2)雑草害の程度

    成苗移植栽培での雑草放任条件下では、コナギ、キカシグサなど草丈の低い草種が優占した場

    合 %、これに加えて草丈の高いカヤツリグサやノビエが多発した場合に %の減収率となっ18 43ている。ノビエと数種多年生雑草についての発生量と稲の減収程度は表4(掲載省略)のように

    まとめられている 。多発した多年生雑草による減収率を概括的にみると、ミズガヤ102,105,109)

    、 、 、ツリで ~ クログワイで ~ % ウリカワで ~ イヌホタルイで ~ %30 50%, 20 60 15 25% 25 50ヒルムシロで ~ %、マツバイで ~ %となる。一般的には、雑草の発生量が同じでも20 50 5 20普通期栽培より早期栽培で、成苗移植栽培より稚苗移植栽培、さらに直播栽培で雑草害が大きく

    なる。

    6)繁殖器官の寿命

    繁殖体の土中での死滅を促すことは雑草制御の基本である。繁殖体の寿命は草種や環境条件に

    よって変動する。一般的に、種子は栄養繁殖器官より長命で、一年生雑草では冬期に乾田条件と

    なると 年以上出芽してくるものがある(図3) 。多年生雑草の栄養繁殖体は、畑水分の土15 110)

    、 、 , 、壌中で ミズガヤツリで1~2年 ウリカワで2~3年 ヒルムシロで3~ 年で死滅するが3.5。クログワイでは3年以上生存する108)

    2.化学除草剤の特性を把握した安全使用

    1)水稲用除草剤の種類と作用機構

    (1)有効成分・系統とその特性

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    110)図3 土壌水分条件と移植時期を異にした場合の一年生水田雑草の発生推移

    雑草に作用して枯死させる化学物質が有効成分である。有効成分は化学構造から約20の系統

    に分類され、それぞれに特有の作用機構を有する 。114)

    表5 除草剤の主な有効成分の系統と特性

    液剤や粒剤などの形態、含有率や溶出速度の調節、薬害軽減剤(セーフナー)の添加などの製剤

    技術によって有効成分の特性は大きく変化する。

    反応の特徴有効成分の系統 作用機構トリアジン系 クロロシス(白化 ,頂芽光合成阻害 )酸アミド系 優勢の消失ダイアジン系尿素系ビピリジウム系 褐変枯死光関与の活性酸素生成ジフエニルエーテル系 クロロフィル生合成阻害 白化ダイアゾール系

    生育異常,捻転フェノキシ系 植物ホルモンの撹乱芳香族カルボン酸系カーバメート系 伸長抑制,萌芽抑制蛋白質生成阻害有機リン系スルホニルウレア系 アミノ酸生合成阻害 伸長抑制アミノ酸系

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    2)ヒエ剤の種類と枯殺限界

    タイヌビエなど雑草ヒエは水田で最も重要な雑草であるため、わが国での除草剤の開発

    ・実用化に際しては雑草ヒエに対する充分な効果が要求され、それらは一般に「ヒエ剤」

    と呼ばれている。これらのヒエ剤が単独で使われることは少なく、通常は広葉雑草やカヤ

    ツリグサ科雑草にも効力のある剤との混合で使われる。除草剤の成分量は雑草に対する枯

    殺効果とイネに対する薬害防止の両面から決定されるので一概には言えないが、1~2葉

    期の雑草ヒエを枯殺するための 当たり薬量も、 年代中ごろまでに開発されたク10a 1980ロメトキシニル、ピラゾレートやジメピペレートなどでは ~ 必要としていたの200 300g

    、 、に対し 近年開発されたプレチラクロールやテニルクロールでは ~ 程度へ低下し60 30g最近では で十分な剤も開発されている。すなわち、ヒエ剤についても低成分・高活性6gで周辺環境に安全性の高い剤へと開発の目標が移ってきている。

    3)単剤と混合剤

    雑草の種類によって効果の異なる別々の有効成分を同時に使って、多くの種類の雑草を一度に

    30制御できるようにすること が混合剤の最大の狙いである 畑に比べて雑草の種類が限られ 約、 。 、種程の主要な種類の雑草が発生する水田では、発生する雑草の種類を想定してそれに対応した有

    効成分をあらかじめ配合した混合剤がよく適合している。このことは,除草剤の散布回数の削減

    や、個別に単剤を混合する際の事故の防止など、省力化と安全使用に役だっている。混合剤はこ

    の他、①作用する雑草の種類が同じでも残効性や効果発現の遅速の異なる剤を組み合わせて、長

    い期間安定した効果を持たせる、②特定の剤の組み合わせにより、1+1=2以上の除草効果を

    得る(相乗効果 、③特定の剤の組み合わせにより薬害の軽減をはかる、などいろいろな狙いで)

    作られる。特に、ノビエなどイネ科雑草に効果の高い剤と、広葉雑草や多年生雑草に効果の高い

    表6 代表的な「ヒエ剤」の登録年と使用条件

    含有率 % 剤  型プロパニル 1961 35 乳剤 3.5-3.85l 2 入水前

    ベンチオカーブ 1969 50 乳剤 5-7.5l 1.5 * Dry D/S乳剤 3-4l 2 Wet D/S

    モリネート 1971 8 粒剤 2.4kg 1.5-2 *クロメトキシフェン 1973 7 粒剤 2.1kg 1

    ブタクロール 1973 10 粒剤 1kg 1 *ピラゾレート 1979 10 粒剤 3kg 1-1.5 * D/Sブタミフォス 1980 5 粒剤 1.5kg 1 *

    ビフェノックス 1981 7 粒剤 2.1kg 1プレチラクロール 1984 2 粒剤 0.6kg 1.5 *ピラゾキシフェン 1985 10 粒剤 3kg 1-1.5 D/Sジメピペレート 1986 7 粒剤 2.1kg 1.5 * D/S

    10 粒剤 3kg 2メフェナセット 1986 4 粒剤 1.2kg 2-3.5 *エスプロカルブ 1988 7 粒剤 2.1kg 2.5 *ピリブチカルブ 1989 12 フロアブル 0.6l 1.5 *

    5.7 フロアブル 0.57l 1.5ジチオピル 1991 0.4 粒剤 0.12kg 1.5 *

    テニルクロール 1993 4 粒剤 0.4kg 1 *シンメチリン 1994 0.2 粒剤 0.06kg 2 *

    エトベンザニド 1995 15 粒剤 1.5kg 2.5 * D/Sシハロフホップブチル 1996 1.8 粒剤 0.18kg 3 * D/S

    30 乳剤 0.3kg 5カフェンストロール 1996 3 粒剤 0.3kg 2.5 *

    ピリミノバックメチル 1996 1.2 粒剤 0.12kg 4 * D/Sペントキサゾン 1997 1.5 粒剤 0.15kg 1 *インダノファン 2000 1.4 粒剤 0.14kg 2.5 *

    オキサジクロメフォン 2000 0.8 粒剤 0.08kg 2.5 *フェントラザミド 2000 2 粒剤 0.2kg 2 *

    D/S: 直播栽培に使用可能*: 一発処理剤の成分として使用

    成分名 登録年 左でのノビエ枯殺葉齢

    備考使用量 /ha代表的使用状況

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    有効成分の混合剤である「一発処理剤」が、水稲用除草剤の主流を占めている 。114)

    4)薬害とその防止

    イネと雑草の間の選択性の高い除草剤が普及しているが、基準から外れた使用や環境条件の変

    化によってはイネにも薬害を及ぼし、薬害の甚だしい場合にはイネの減収につながる。薬害の症

    状は散布直後から数週間後の期間に発現するが、中には収穫後の収量調査ではじめて分かるよう

    な場合もある。

    (1)薬害の症状と程度

    表7 水稲除草剤の薬害の表現とその内容

    葉の変色 いろいろな色の斑点,かすり模様。濃緑色化または淡緑色化。

    葉の白化 新葉が白化し,展開が阻害される。

    葉鞘褐変 田面水中にある葉鞘が黒褐色に変化。

    葉のはっ水 葉の水をはじく性質が阻害され,葉身が水面に張り付く(流れ葉 。)

    性の喪失

    奇形葉 葉縁が癒着した筒状葉。葉身の細化または短小化。

    草丈抑制 茎葉の伸長が抑制される。

    分げつ抑制 分げつの発生が阻害される。

    枯死 上記の症状が進行して,結果として株が枯死する。

    近年は水田の全面にわたる薬害の発生は余り見られなくなった。薬害症状が部分的に発生する

    場合には、田植機で浅植えになった列に沿って現れたり、深水の部分にスポット的に発生したり

    するので、よくイネを観察して薬害の程度を判定する。薬害の症状が軽い場合には、新葉の展開

    と共に回復してその後の生育には影響しない。薬害の中でも、奇形葉や分げつ抑制は茎・穂数の

    、 、 。減少をもたらし 症状が重い場合には減収につながるが 軽い場合にはイネの補償力で回復する

    初期に同じ程度の薬害を受けた場合でも、夏期の天候がよい場合には冷夏の場合より回復が早

    く、生育期間の短い早生品種では晩生品種より減収が大きく、生育期間の短い寒地・寒冷地では

    暖地より減収が大きくなる。

    薬害の多くは除草剤の適正使用を守らないことによって起きているので、容器に記入された

    「使用上の注意」をよく読んで以下のような適正使用に関する項目を遵守する。

    ①低気温及び低水温は薬害の危険性があるので使用は避ける。

    ②ごく浅植えの場合,薬害のおそれがあるので注意する。

    ③移植後の深水はさける。

    ④散布は水稲になるべくかからないようにする。

    ⑤著しい高温条件の時には砂壌土ではクロロシス(白化)の発生が著しいので注意する。

    ⑥トリアジン系除草剤の注意事項を守る。

    ⑦MCP混合剤の注意事項を守る。

    ⑧植付精度不良で根が露出する水田では使用しない。

    ⑨短小苗,深水条件での使用は避ける。

    育苗箱に箱施用の殺虫・殺菌剤と間違えて除草剤を散布する事故がしばしば起きている。移植

    前に気づいた場合には播き直す。移植後に気づいた場合には、イネに安全性の高い除草剤の場合

    には掛け流しに務め、イネに作用する剤であれば代かきをやり直して植え替える。

    5)除草剤抵抗性の雑草生物型

    水稲用一発処理型除草剤(一発剤)の主要成分であるスルホニルウレア系成分( 剤)に抵SU抗性を示す雑草の生物型が各地で見いだされている。 年に、ミズアオイ(北海道 、アゼナ1995 )

  • - 10 -

    ( ) 、 。 、類 秋田県 について 剤に対して抵抗性を有する生物型であることが確認された その後SU強害雑草のイヌホタルイ、コナギにも 抵抗性生物型が見いだされ、発生確認地域も関東、近SU畿、九州と全国に渉っている 。抵抗性生物型ではアセト乳酸合成酵素( )に関係する遺104) ALS伝子が 剤の影響を受けないように変異していることが外国で解明され、日本では東北農研セSUンター水田利用部を中心にアゼナ類やイヌホタルイで遺伝子変異の存在を確認した。除草剤抵抗

    性出現頻度は自然界における突然変異頻度から ~ と推定されていることから、当初は10 10-9 -6

    ごく僅かしかなかった抵抗性変異個体が同一除草剤の連用により選択的に増殖したもの考えられ

    る。それぞれの抵抗性生物型に効果を示す除草剤成分を含む初期剤や中・後期剤およびその体系

    処理が有効である(表8 。最近は有効成分を組み合わせた一発処理剤への切り替えが進んでい)

    る。これらの剤ではノビエ対象の処理晩限よりも早めの処理に心がける。

    表8 SU剤抵抗性生物型に有効とされる除草剤成分

    114)6)化学除草剤の安全使用の基本

    (1)対象雑草の把握とそれに対応した剤の選択:イネ科雑草と広葉雑草、一年生雑草と多年

    生雑草などの間で効果の異なる除草剤がある。また、特定の草種に効果の劣る除草剤もある。こ

    のため、発生する雑草に対応した剤の選択につとめる。

    (2)適期処理:除草剤の種類毎に制御し得る雑草の生育程度が異なり、通常は日数に加えて

    雑草の葉齢で示される。このため、剤の能力の範囲での適期処理につとめる。なお、処理直後の

    降雨により茎葉処理剤では雑草に吸収される前に成分が流亡し、土壌処理剤ではオーバーフロー

    など成分が流失して、除草効果の低下をもたらす。このため、気象情報を活用して早めの処理を

    心がける。

    (3)水管理と土壌条件:水田用の土壌処理、茎葉兼土壌処理剤は田面水を利用して均一な処

    。 、 、理層を土壌表層に形成して雑草を枯殺する仕組みである このため 処理層形成前の落水や漏水

    畦越潅漑などは除草効果を低下させるだけでなく、薬害を助長し、有効成分の系外流出をもたら

    すので厳に防止する。土性によって除草剤の動態が変動する。粘土成分の少ない砂壌土などで田

    面水の移動の大きい条件では有効成分の土壌表層への吸着が劣り、その結果イネへの薬害の助長

    や残効性の低下が起きる。水管理の徹底と使用にあたっての土壌条件の確認は除草剤の適正使用

    の基本である。

    (4)処理量:単位面積当たりの処理量を守る。水稲用1キロ粒剤は従来剤の の散布量です1/3むようになっているので、剤型を確認して過剰な散布を避ける。

    (5)不断の雑草管理:水稲作付け期間以外でも雑草管理につとめて水田を清潔に保つことが

    重要である。例えば、早期栽培では収穫後に適当な作物がないためにしばしば放置されるが、刈

    取後1回耕起を行うだけで翌春の雑草発生量が半分以下に減少する。多様な手段を活用して不断

    に雑草の密度を低下させる必要がある。

    (6)水系への流出の防止:水系への除草剤の流出は「水質環境基準」や「農薬取締法の登

    録保留基準」等の各種基準によって規制されている。水田用除草剤は特に一般水系と関連してい

    対象草種 効果のある除草剤成分カフェンストロール、クロメプロップ、ナプロアニリド、ビフェノックス、プレチラクロール、ベンゾフェナッブ、ベンアゼナ類タゾン、ベンチオカーブ、ペントキサゾン、 とシメトリMCPBンの混合剤、フェノチオールとシメトリンの混合剤クロメプロップ、ブロモブチド、プレチラクロールとピラゾレートの混合剤、ベンタゾン、ベンゾビシクロン、 とシイヌホタルイ MCPBメトリンの混合剤クロメプロップ、ナプロアニリド、ビフェノックス、ピラゾレート、プレチラクロール、ブロモブチド、ベンゾフェナッコナギブ、ベンタゾン、ペントキサゾン、メフェナセット、 とMCPBシメトリンの混合剤

  • - 11 -

    るので、水田水中での 日間の平均濃度としての「登録保留基準」が順次設定されている。こ150の値は、年間平均値としての公共用水域等での「水質環境基準」や水道水での「水道水質基準」

    等健康項目の 倍に設定されている。以下のの場合には有効成分の系外への流出が起きる。10代かき時の散布で,成分が土壌に十分吸着される前の田植え時の落水、 田植え直後にa: b:

    浅水管理とするための落水による散布した剤の流出、 畦畔管理の不備や代かきの不徹底c:による漏水、 処理後の降雨や掛け流し濯漑によるオーバーフロー、 容器や袋の不始末d: e:

    除草剤成分の系外流出を最少限にするために、水尻に活性炭を設置して回収する方法等が試み

    られている。

    環境保全型農業に役立つ雑草管理技術3.

    持続性の高い農業生産方式の導入を促進するために税制上の優遇や資金の融通を行う「持

    続性の高い農業生産方式の導入の促進に関する法律」の施行規則(平成11年10月22日農林水

    )産省令第69号:環境保全型農業対策室のホームページ http://www. maff. go.jp/eco.htm

    において、その対象となる雑草防除技術は以下の通りである。

    ①機械除草技術(有害植物を機械的方法により駆除する技術をいう。)

    ②除草用動物利用技術(有害植物を駆除するための小動物の農地における放し飼いを

    行う技術をいう。)

    ③生物農薬利用技術

    ⑦マルチ栽培技術(土壌の表面を有害動植物のまん延を防止するための資材で被覆す

    る技術をいう。)

    上記法律の対象に該当するとは限らないが、化学除草剤の削減・代替につながる水田雑

    草防除法を以下に紹介する。

    1)耕種的・生態的防除

    雑草の生態的弱点を見出し、耕起法・播種法・潅漑法・作付体系等の耕種的手段を活用し

    て、発生や増殖に不適な状況を作出して雑草を防除する方法であり、雑草制御技術の根幹を

    なすものである 。水田雑草群落の耕種操作による変化については宮原の総説に詳2,3,4,8,9)

    しい 。51)

    (1)栽培法

    適切な栽培管理によってイネの生育そのものを良好にして雑草との競争力を強化すること

    が基本である。初期生育の旺盛な品種の利用や栽植密度を高める 等の方法に59,62,74,75,88)

    よって雑草との競合を有利にすることができる。作付けの当初から湛水状態である移植栽培

    では水生雑草主体の群落となり、発生が比較的斉一であって発生の期間が短い。イネによる

    被覆も大きいため直播栽培法に比較して雑草量は少なく、雑草の生育量も小さい。播種当初

    から湛水される湛水直播栽培では、移植栽培と同様に水生雑草が主体の群落であるが、イネ

    による被覆が移植栽培に比べて小さいので、雑草量が多い。乾田直播栽培では作付けの当初

    が乾田状態であるため、湿生雑草が主体の群落となり、しかも湿生雑草には個体生育量の大

    きなものが多く、水稲による被覆が小さいので雑草量は極めて大きい。湛水直播栽培で落水

    出芽法では乾田直播栽培に準じた雑草発生となる。

    (2)作期

    作付時期の早晩および収穫期の早晩は雑草群落に影響を与える。早期栽培では普通期栽培

    よりタイヌビエ、カヤツリグサ、マツバイの発生量が多く、発生期間が長いものの、雑草量

    は普通期栽培より少ない。これらの変化は主として気温の高低によるものである。刈取時期

    の早晩は秋季における雑草の種子及び越冬地下器官の形成量に極めて大きな影響を与え、雑

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    草群落を変化させる。特にミズガヤツリ、クログワイなどの多年生雑草の越冬地下器官は刈

    取時期が早い早期栽培で形成量が多く、翌年の発生量が増大し、多年生雑草の割合が高い雑

    草群落に変化する 。72)

    (3)耕うん法

    耕うん・耕起法もまた雑草防除の重要な手段である。このうち、主に除草を目的とした中

    耕は機械的防除の範疇に入るもので、ここては取り上げないが、砕土・整地を目的とした耕

    起は生態的防除手段として広く利用されている 。耕起法は主として土壌中における49,81,82)

    雑草の種子など繁殖体の土中垂直分布を変化させることにより雑草の発生深度が変化して発

    れば、反転耕は表層の雑草種子を中下層に下層の雑草生量に大きな影響を及ぼす。荒井 によ7)

    種子を上中層に分布させ、雑草種子の土中垂直分布を大きく変化させる一方、攪拌耕は耕土全

    層にほぼ均一に雑草種子を分布させる。したがって、雑草の繁殖体が土壌の表層に多く分布し

    ている条件では反転耕によって雑草の発生量は著しく減少する 。攪拌耕は、一般に雑草発51,81)

    生抑制効果は反転耕より少なく、むしろ発生を促進する 。この現象を利用して、秋に浅く攪82)

    拌耕を行って夏雑草の発生を促し、冬の寒さで枯らす方法もある。

    湛水条件では5cm深の埋土でもほとんど出芽できないミズガヤツリや発生深度の浅いウリカ

    ワ 、発生深度も形成深度も浅いマツバイでは、反転耕で繁殖体を埋没することで高い効果が44)

    期待される。しかし、クログワイやヒルムシロでは繁殖体の形成が耕土の中層もしくは下層で

    あり、しかも発生深度が深いので反転耕の効果は小さい。水田多年生雑草の繁殖体は低温・乾

    燥に弱いため、秋・冬季の耕起が防除に有効である。ウリカワ、クログワイ、ミズガヤツリの

    繁殖体は含水率40%前後で萌芽力を失い、30%で完全に死滅する、ミズガヤツリ、クログワイ

    の繁殖体は-5~-7℃で凍死する(草薙 。44、107))

    砕土および代かきの精粗は雑草の発生消長および発生量に影響する。すなわち、砕土が良

    好な条件では発生が斉一であり、発生量が多く、水稲栽培の代かきの回数が多いほど発生が

    斉一となり、発生数が少なくなる。ミズガヤツリの塊茎や幼植物、イボクサの茎断片、キシ

    ュウスズメノヒエスズメの稈切片などは代かき土壌に埋没すると再生できない。

    (4)潅漑法

    水稲作では雑草の制御には水管理が重要である。ノビエ、タマガヤツリ、アゼナ等の湿生

    雑草 の発生・生育は初期に15cm程度の深水とすることで著しく減少する 。しかし、水生5) 6)

    雑草 のコナギやキカシグサでは抑制効果が小さく、ミゾハコベ、キクモなどでは増加する5)

    。一般に深水によって水稲の草丈は伸長し分げつの発生が抑えられるが、雑草と水稲6,88)

    の競合関係によっては変動する 。73)

    (5)田畑輪換

    田畑輪換は水田において数年を単位として水田状態と畑状態を交互に繰り返して行う土地利用

    方式で、土壌の理化学性の改善、土壌伝染性病害虫の制御、雑草の制御などの効果が明らかにさ

    れてきた。田畑輪換に伴う雑草群落の変化は野口 が総説で詳しく述べているように、輪換直61)

    後の草種の交代の結果として輪換畑,輪換田のいずれでも雑草の発生は減少する。さらに輪換に

    伴う土壌水分の変化が種子や多年生雑草の栄養繁殖器官の寿命に影響を及ぼし、雑草の発生密度

    を低下させる。

    (6)マルチ栽培

    ポリエチレンフィルム等を用いたマルチによる雑草防除 は物理的(機械的)防除の範疇に69)

    入るが、マルチの材料が稲わらや麦わら等の植物体を使用している場合には耕種的防除ともみな

    される。緑肥などの被覆植物(力バークロップ)の利用も耕種的防除の重要な手段である。マメ

    科植物の被覆による雑草の抑圧も大きな利点で不耕起水田などでのレングマルチ やヘアリー48)

    ベッチ の効果等が調査された。18,24,27,89)

    (7)密植・密播

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    栽植密度を高めることは雑草の抑制につながるが、倒伏などの障害から減収することもある。

    散播を主とする東南アジアの直播栽培では、雑草抑制のために播種量を引き上げることがある。

    高温登熟による玄米の品質低下の回避などを目的とした疎植は、雑草にとっては好条件を提供し

    ている。

    (8)有機資材

    肥料としても用いられる米ぬか、ナタネ油粕、屑ダイズなどの有機資材を移植前後に水田に湛

    水散布し、雑草の発生抑制に利用されている 。これらの有機資材は施用後急速に発1,50,57,66)

    酵し、田面水の溶存酸素量や土壌Ehの低下が起こリ 、分解によって生成された有機酸が雑57)

    草の根に障害を与えて 雑草の発芽・生育を阻害すると考えられている 。中山 は雑草発87) 50 57))

    生前の米ぬか100~200g/㎡処理でカヤツリグサ類、アゼナ類、ミゾハコベ、キカシグサ、イヌビ

    エの発芽を抑えたが、タイヌビエ、イヌホタルイ、コナギでは発芽の抑制程度は小さいものの、

    ( )。 、 、初期生育を抑えた 中山 学会等への報告はまだ少ないが 各地で圃場試験が行われており57)

    抑草効果については賛否両論がある。一定の効果があることは間違いないが、水稲への障害程度

    と残草量の両面から処理時期と処理量についてさらに検討を要する。また、発酵時の悪臭、水田

    内の生物への影響、田面水のオーバーフローによる水系への影響等、化学除草剤では確認されて

    いる点を有機資材についても明らかにする必要がある。

    (9)石灰窒素

    肥料として用いられる石灰窒素にはノビエなど雑草種子に対して休眠覚醒効果があり 、水31)

    稲収穫後に施用することにより、秋期にノビエを発芽させて冬の寒さで枯死させることが期待で

    きる。

    2)機械的・物理的防除

    除草剤が出現する以前の雑草防除手段のほとんど全ては、手取り除草を合む機械的防除であっ

    た。化学除草剤の急激な普及に伴って、機械的防除の利用頻度は低下した。これは本手段が除草

    剤による防除に比較して、一般に除草効果が低く、作業機が高価であり、作業能率が劣るなどの

    欠点があるためであろう。しかしながら機械的防除法は、人畜や生態系に対する悪形響がきわめ

    て少なく、非選択的に防除できることから近年また見直されつつある。本手段の除草効果や作業

    能率の面については、現在のところ改良すべき点も多いが、雑草と作物を識別するセンサーを開

    発するなどのハイテク技術を駆使すれば、将来的には除草剤に劣らない能力をもつ除草機(除草

    ロポット等)が開発されると考えられる。

    ここでは機具を用いて雑草を除去する手段(狭義の機械的防除)だけでなく、何らかの物理的

    方法によって雑草を直接的に制御する手段すなわち物理的防除(広義の機械的防除)一般につい

    て述べる。

    (1)除草機

    、 、耕うん機具は反転耕用機具と攪拌耕用機具とに分けられ 砕土均平用機具とともに圃場を均平

    整地して播種や移植に備えるための用途が主目的であるが、雑草防除効果も大きい。水田用中耕

    除草機は1958年をピークに生産が減少し、1972年には統計調査も打ち切られた 。しかし最近36)

    では環境負荷の少ない点が見直されている 。従来の中耕除草機は株間の除草効果が20,23,73,76)

    十分でないという欠点があったが,最近生研センターで開発された高精度水田除草機(回転式、

    回転・揺動式)などは株間の除草効果が向上しており、無除草区と比較すると十分な除草効果が

    得られたが、後述の紙マルチにに比べるとやや雑草が多かった 。76)

    (2)マルチの利用

    圃場の土面をプラスチックフィルム,敷わら,敷草等によって被覆して雑草を防除する方法で

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    ある 。再生紙 マルチを張りながら同時にイネを移植できる専用の乗用型再生紙マルチ田69 101))

    植機が開発されている。再生紙の遮光率は98%であり、一年生雑草の発生および生育を十分に抑

    制しうる 。ただし、地表面と再生紙の間に隙聞ができると効果が劣るため、再生紙が浮上12,94)

    しない管埋が必要である。再生紙はマルチの役目を終える設置30日後頃に溶けて分解するので、

    プラスチックフィルムのようにイネの収穫時まで残存して収穫作業の妨げになる恐れがない。再

    生紙の色には白と黒の2色があり,黒マルチのほうが抑草程度が高く、白マルチのように地温の

    低下はみられず、無マルチ区と同程度であった 。近年は移植栽培のみならず直播栽培にも応91)

    用されつつある 。また、液状活性炭(活性炭、澱粉及び水の混合物)が水稲作用雑草抑制資100)

    材として市販されている。10a当たり10kgの製品を雑草の発生前に投入し、水を黒く濁らせる。

    2回目・3回目は濁りの状態を見て7日前後の間隔で役人する。中苗~成苗またはポット苗によ

    る深水栽培が抑草効果を高める。水稲に対する害がないので稚苗にも適用できるが、深水にでき

    ないので他の除草法(除草機、アイガモ、米ぬかなど)と組み合わせると良い。

    上記の資材は農薬登録を要しない農業資材であり、除草剤のような試験設計を統一した連絡試

    験が行われてないため、抑草効果について普遍性のある結論を得にくい状況にある。

    (3)火・熱の利用

    火炎式除草機で直接枯殺する方法と焼畑のように火入れする方法とがある。火炎式除草機(火

    炎放射機)はふつう耕起前の水田、水田の畦畔、開園前の果樹園など作物の生育していない所で

    使用されるが、ダイズ生育期用の火炎式株間除草機も開発されている。火炎式除草機では、雑草

    の地上部や地表面に落下した種子を枯殺するだけでなく病害虫も同時に防除できる。

    火入れは収穫後の水田などで一般に行われる方法である。焼畑を想定した実験では、火入れに

    よる土壌温度の上昇は、地下2cmまでの層では200~400℃以上の最高温度出現までの所要時間が

    25~57分であるのに対し、地下3~6cmでは100℃以上に上昇せず、所要時間も60分以上であっ

    た。火入れによって土壌中の大部分の雑草種子が死滅するのは地下3cm程度とみられる。

    土壌消毒剤臭化メチルの代替技術としての熱水土壌消毒法を雑草防除に流用し、埋土種子量を

    直接的に低減させることが試みられた 。50×50cmの方形コンクリートポットに水田耕土を充96)

    填し、所定の深さに雑草種子を埋設した後90℃の熱湯を30L処理すると、土壌温度は表層下6cmで

    最高約60℃にまで達し、50℃以上の温度を約2時間保持していた。雑草発生数は熱水処理区で除

    草剤処理区より少なかった。5か月後に回収したイネとノビエの種子は全て腐敗していたが、イ

    ヌホタルイでは埋設深度3cmでは全ての種子が腐敗していたものの、埋設深度12cmの種子は65%

    が発芽した。室内実験から熱水処理の効果は乾燥種子では劣り、湿潤種子では70℃・10分の処理

    で供試した全ての雑草種子が発芽力を失ったが、 60℃・10分ではイネ<タイヌビエ<イヌホタ

    ルイの順に発芽力を失う種子の割合が高かった。

    3)生物的防除

    貝類、甲殻類、魚類、鳥類などの小動物を雑草防除に応用する場合には、通常現場技術として

    普及可能である。しかし微生物や昆虫の利用は農薬取締法に規定される「生物農薬」として、化

    学合成農薬と同等にその効果や安全性の審査を経て登録するため、実用化までに多くの時間と経

    費が必要である 。導入生物については生態系への影響に注意を払う必要がある。64)

    (1)鳥類・魚類の利用

    水田にアイガモ(合鴨)の幼鳥を放飼して雑草や害虫を食べさせることが無農薬の水稲栽培法

    として行われている 。雑草防除効果は摂食のほかに足による土壌の攪拌である 。この農法21 14) )

    の経営・技術的な解析の結果、除草効果は高い が野犬などからのアイガモの保護や飼11,13,32)

    育にコストを要するほか、殺菌剤による病害防除が制限されるなど、必ずしも省力的な技術とは

    言えない。しかし、高付加価値米生産の一環として各地で取り組まれている。また、窒素固定を

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    行う浮遊性シダ植物として知られるアゾラ(オオアカウキクサなど)との複合体系も試みられて

    いる 。アゾラはアイガモの餌になると同時に田面を被覆して雑草の発生を抑える効果もある。39)

    魚類の利用では、かつて水路やため他の雑草防除にソウギョの利用が試みられた が、近年は90)

    水田で鯉を飼養して水稲作雑草も摂食させることが試みられている 。ふ化2年目の33,63,65,83)

    鰹を水稲移植7日後の雑草発生始めに10a当たり250匹の密度で45日間処理する方法が除草効果

    が高く、水稲の生育・収量が安定する(大場ら 。アイガモと同様に鯉の安定的な入手法、利65))

    用後の処分法、一時貯留他の確保などが問題点である。

    (2)軟体動物・甲殻類の利用

    スクミリンゴガイは南アメリカから食用に導入された淡水産の巻貝で、ジャンボタニシの別名

    で呼ばれる。西日本を中心に広く野性化して湛水直播をはじめ水稲の栽培に被害を与えている。

    一方、殻高3cmの個体は1日に生重で約3gの雑草を旺盛に摂食することから、大苗の移植や浅

    水管理などの条件でスクミリンゴガイを雑草防除に利用できる 。㎡当たり3~7匹の貝が分68)

    布する水田で、水管理と水稲苗の大きさを変えた場合のスクミリンゴガイの除草効果が実証され

    ている 。この貝の効果的な制御法が未確立なため、既に貝が侵入している水田に限定すべき67)

    で、雑草防除の目的でスクミリンゴガイを新たに導入することは厳に慎むべきである。カブトエ

    ビは脚で土壌表面を撹絆して雑草の幼苗を浮上させるため、これによる水田雑草の防除も各地で

    試みられている 。カブトエビの耐久卵は保存性に優れていることから生物農薬的な使い方37,47)

    が期待されている。産卵後の土壌を湿潤状態で保存し、常温(25℃)で徐々に風乾して土壌含水

    率を10%wt以下にした後、水田に施用すると卵のふ化率が向上する(篠川 。78))

    (3)昆虫類の利用

    イツトガ( Marumo)の幼虫が水田雑草ミズガヤツリに食入してその生育Calamotropha shichito

    を強く抑制することから、生物防除の素材としての可能性が調べられた 。カヤツリグサ属の71)

    雑草でもイツトガの食入の程度に種間差があり、誘引物質として同属植物に特有なセスキテルペ

    ン類が抽出された 。ホソメイガ( sp.)は水田の主要雑草であるタイヌビエやイヌ15) Emmalocera

    ビエの葉鞘や茎に特異的に食入し、タイヌビエに大きな被害を与えることが認められ、北日本に

    おけるホソメイガの生態の解明を基礎に生物防除の素材としての可能性が検討された 。22)

    (4)微生物の利用

    水田の多年生雑草クログワイの茎葉に寄生する病原菌の中で、 綱に属する不完Hyphomycetes

    、 、 、 、全菌が特に顕著に斑紋を形成し 枯死させることが見いだされ 病原体の多量形成法 宿主範囲

    Epicoccosorus nematospo接種条件と除草効果などが調べられた 。この菌は新属新種の糸状菌79)

    と同定され、生物的防除剤として検討されたが、実用化には至らなかった。水稲作の最も普rus

    遍的な雑草であるノビエに寄生して枯殺する糸状菌の1種( )が見いださDrechslera monoceras

    れ、イネには無害であることが認められた 。微生物除草剤としての開発が進められ、微生物92)

    除草剤MTB-951の除草効果・薬害の評価が終了し、農薬登録されたが、市販されるには至ってい

    ない。本剤は2葉期までのノビエを対象とし、ノビエが完全に水没する条件下で効果を発揮する

    、 。 、ため ノビエの生育進展速度が速い西南暖地の普通期水稲作では効果がやや不安定である また

    二次的な感染がなく、効果の持続期聞か短いため、寒地・寒冷地などのノビエの発生期間が長い

    地域では葉齢限界の範囲内で処理時期を遅くする必要がある。

    わが国においても微生物除草剤の実用化段階を迎えているが、それは単独で化学除草剤の代替

    の役割を果たすものではない。当面は、他の代替手段との併用での使用を通して化学除草剤の低

    減への寄与が期待される。また、微生物除草剤は同一の化学除草剤の連続使用で問題になる、雑

    草の薬剤抵抗性変異の増加を避ける役割も期待されている。なお、一部にある「微生物は化学物

    質より安全」との認識に根拠はないので、微生物除草剤の実用化に当たっては化学除草剤の場合

    と同様に十分な安全性評価を行う必要がある。

  • - 16 -

    (5)植物の持つ化学生態的機能の利用

    アレロパシー(植物が放出する化学物質が他の生物に作用を及ぼす現象)の解明と農業分野へ

    の応用が研究されている 。耐雑草性を付与したイネ品種についての研究が始められ、藤井ら103)

    はイネが他の植物の生育におよぼす影響には品種間差のあることを実験室レベルで認めている

    が、圃場条件下では効果は不安定であり 、草型との関係や土壌中での化学物質の移動や安定19)

    性などの研究がさらに必要である。

    4)特定農薬(特定防除資材)

    「その原材料に照らし農作物等、人畜および水産動植物に害を及ぼすおそれがないこと

    が明らかなものとして農林水産大臣及び環境大臣が指定する農薬(改正農薬取締法第2条

    1項 」で 「食酢、重曹および地場で生息する天敵」が指定されている。雑草防除関係) 、

    では、下表のような取り扱いが示されている。

    (農水省HPより)表9 特定農薬として保留された雑草防除手段の扱い

    4.雑草とその防除に関するホームページ

    雑草の種類や防除に関する情報を掲載したホームページは多数にのぼるが、以下に代表

    的なものを紹介する。

    http://wssj.jp1)日本雑草学会2)中央農業総合研究センター 水田雑草研究室

    http://narc.naro.affrc.go.jp/kouchi/suiden/suiden.htm3)中央農業総合研究センター 畑雑草研究室

    http://narc.naro.affrc.go.jp/kouchi/hataza/index.htmlhttp://ss.omg.affrc.go.jp/weed/weed.html4)東北農業研究センター 雑草制御研究室

    5)九州沖縄農業研究センター雑草制御研究室

    http://konarc.naro.affrc.go.jp/padi/weed/weed.html

    1.薬剤でないもの(物理的防除等)(1)情報提供のあったもの

    紙(紙マルチ) 雑草 発芽、成長を妨げるもの

    (2)その他考え得るもの

    水田の水(深水栽培) 水田の雑草 発芽・成長を妨げる

    2.農薬取締法上の天敵に該当しないもの(1)情報提供のあったもの  ①動物

    アイガモ、アヒル 雑草、害虫 雑草の摂食・除去、害虫の捕食牛、ヤギ、羊 雑草 雑草の摂食コイ、フナ、ドジョウ 雑草 雑草の摂食・除去ホウネンエビ 雑草 雑草の摂食・除去

    (2)その他考え得るもの・病害虫等や雑草を食べることがある脊椎動物全般・雑草を食べる水棲の貝や甲殻類全般

    資材名・防除法名

    提供された情報の中に記入されていた効果

    ・土壌病害虫を減らす効果のある植物、他感作用により他の植物の生育を防ぐ植物、害虫を忌避したり天敵を呼び寄せる効果を有する植物等

    提供された情報の中に記入されていた効果対象病害虫等動物の種類

    資材名・防除法名 手段の区分 対象病害虫等

    発芽・生長の阻止

    発芽・成長の阻止

    提供された情報の中に記入されていた効果

    対象病害虫等手段の区分

  • - 17 -

    http://ss.ngri.affrc.go.jp/weedlist/title.html6)畜産草地研究所(写真でみる外来雑草)http://www.japr.or.jp/7 (財)日本植物調節剤研究協会)

    http://www.agri.zennoh.or.jp/visitor/appines/zassou/default.asp8)JA全農(農耕地の雑草)

    (水田雑草以外の雑草に関する文献を含む)参考文献

    1)赤澤昌弘.菜種油粕によるノビエ種子の発芽及び発根抑制効果.岡山県農試研究. 17, 1-3(1999)

    2)荒井正雄ほか.耕地雑草の生態に関する研究第1報 耕地雑草の発生期・開花期・成熟期について.関東

    東山農試研報. 1,27-36(1951)

    3)荒井正雄ほか.耕地雑草の生態に関する研究 第Ⅱ報 田・畑及び畦畔に於ける雑草生態の差違につい

    て.関東東山農試研報. 2,46-56(1951)

    4)荒井正雄ほか.耕地雑草の生態に関する研究 第Ⅲ報 耕地雑草の発生期による分類型について.関東

    東山農試研報.8,47-55(1955)

    5)荒井正雄ほか.耕地雑草の生態に関する研究 第I報 耕地雑草の土壌水湿適応性による分類型につい

    て.関東東山農試研報.8,56-62(1955)

    6)荒井正雄ほか.水稲の本田初期深水灌漑による雑草防除の研究. 第1報:雑草の群落構造及び雑草量に

    及ぼす影響.第2報:水稲の生育収量に及ぼす影響.日作紀.24, 163-165(1956)

    7)荒井正雄.水田裏作雑草の生態学的研究一水田裏麦作の雑草防除の基礎.関東東山農試研報.19, 1-18

    2(1961)

    8)荒井正雄.水田雑草の生態とその防除法.雑草研究. 1,15-22(1962)

    9)荒井正雄.雑草の個生態研究の意義.雑草研究.4,1-10 (1965)

    10)浅井元朗ほか.カラスムギ数集団の出芽特性と石灰窒素処理による出芽促進反応.雑草研究.47(別), 240-241

    (2002)

    11)浅野紘臣.アイガモ農法連用水田における雑草の発生数の変化.雑草研究.46(1)13-18(2001)

    12)浅野紘臣.水田雑草の発生に及ぼす遮光の影響.雑草研究.46(1),31-36(2001)

    13)浅野紘臣ほか.アイガモ農法水田の継続期間と草種別発生数の変化.熊本県矢部町の事例. 雑草研究.46(1),1

    9-24(2001)

    14)江頭和彦ほか.合鴨による水田土壌の物理的撹絆について.土肥誌.72(2),271-273(2001)

    15)榎本加代子ほか.イツトガにより食人されるカヤツリグサ属植物とその誘引物質.雑草研究.38(別I), 150-1

    51(1993)

    16)藤井義晴.他感物質利用による雑草防除.農業及び園芸.64, 177-182(1989)

    17)藤井義晴ほか.ヘアリーベッチ葉に含まれる植物生長阻害物質としてのシアナミドの同定. 雑草研究.47

    (別), 154-155(2002)

    18)藤原伸介ほか.被覆植物ヘアリーベッチのアレロバレーとマルチ資材としての利用に関する研究. 四国農業

    試験場報告.65, 17-32(2000)

    19)福島裕助ほか.水稲品種のアレロパシーによる雑草防除の試み. 雑草研究.39 (別1),98-99(1994)

    20)古池寿夫ほか.水稲用株間除草機の試作と作業性能(第2報)-作業性能-.農機誌. 55, 131-136(1993)

    21)古野隆雄.合鴨ばんざい-アイガモ水稲同時作の実際-.東京,芸文協. 150(1992)

    22)後藤三千代ほか.雑草ヒエに寄生するホソメイガ sp..の生態学的研究 Ⅶ.野外における越冬幼Emmalocera

    虫の休眠覚醒と制御要因.応動昆.35(4),291-296(1991)

    23)花形敏男ほか.中耕除草による水田の雑草防除. 山梨総農試研報. 10,47-55(2000)

    24)花野義雄ほか.ヘアリーベッチを用いた四国地域の耕地雑草制御:1993年1997年場内試験並びに現地圃場調査

    からの考察. 四国農業試験場報告.62,45-70(1998)

    報1, 129-137(20025)林恭弘ほか.和歌山県における水田雑草の除草法と発生分布の変化. 和歌山農林水技セ研

    0)

  • - 18 -

    26)堀元栄技ほか.ヘアリーベッチ前作圃場における土壌中の硝酸態窒素濃度の推移. 新潟大学農学部

    研究報告.52(2),169-175(2000)

    27)堀本栄枝ほか.ヘアリーベッチを導入した水田における雑草抑制とイネ生育.雑草研究.47(別), 15

    2-153(2002)

    28)市原勝ほか.高知県の河川水における水田施用農薬の消長. 高知農技セ研報.8,23-30(1999)

    29)一前宣正ほか.マツバイが水稲収量および水田雑草の初期生育に及ぼす影響. 雑草研究.42(2), 14

    4-146 (1997)

    30)石田茂樹ほか.火炎式除草機に関する研究. 農機学会北海道支報.21,90-97(1980)

    31)石原信一郎ほか.水稲休閑期におけるノビエ防除に関する研究:第2報石灰窒素によるノビエ種子

    の休眠覚醒効果について.日本雑草防除研究会講演会講演要旨.5・6・7,82 (1966)

    32)磯部勝孝ほか.栽培法の違いが水田における雑草の発生と水稲の生育・収量におよぼす影響:特にア

    イガモ農法に着目して.日作紀.67(3)297-301(1998)

    33)片野学ほか.鯉の放魚密度が水稲の生育,収量,雑草生育に及ぼす影響.九州東海大農紀要. 19,71-

    77(2000)

    34)片岡孝義ほか.数種雑草種子の発芽時の酸素要求度. 雑草研究.23,9-12(1978)

    35)片岡孝義ほか.数種雑草種子の出芽深度.雑草研究.23, 13-18 (1978)

    36)片岡孝義.水田除草機の利用と改良の方向. 雑草とその防除. 16,12-15(1979)

    37)片山寛之ほか.水田雑草の生物学的制御におけるカブトエビの除草効果に関する研究第1報アジア

    カブトエビの除草効果についての野外実験. 雑草研究. 17,55-58(1974)

    38)加藤正広.微生物除草剤キャンペリコ(R)液剤の利用法.農業および園芸.76(1),220-224(2001)

    39)岸田芳朗ほか.総合技術としてのアゾラー合鴨水稲同時作に関する農業生産システム(1):水稲と合

    鴨の生産性に及ぼすアゾラの影響.総合農学.46(1),19-23(1998)

    種一年生雑草の発生消長と出芽深度.雑草研究.46(1),5-140)小荒井晃ほか.水田の代かき後における数

    2(2001)

    41)小林浩幸ほか.不耕起大豆作での冬作緑肥導入による夏生一年生雑草の防除. 雑草研究47(別), 126-

    127(2002)

    42)近藤哲也ほか.セイヨウジュウニヒトエ( L.)による雑草抑制と除草時間の短縮.Ajuga repitans

    雑草研究.42(3),268-276(1997)

    43)小竹美恵子ほか.水田排水が流人する小河川への水田農薬の流出. 愛知農総試研報.25,69-79(1993)

    44)草薙得一.水田多年生雑草の繁殖特性の解明と防除に関する研究.雑草研究.29,255-267(1984)

    45)桑田主税ほか.太陽熱を利用した畑雑草の防除. 千葉農試研報.41,35-44(2000)

    46)丸諭.水系環境における農薬の動態に問する研究.千葉農試特報.18,1-62(1991)

    47)松中昭一ほか.水田雑草の生物学的防除にかんする研究:カブトエビとイツトガ(予報).日本雑草防

    除研究会講演会講演要旨. 13,91-93 (1974)

    48)嶺田拓也ほか.レンゲ草生マルチを活用した不耕起直播水稲作における雑草の発生消長.雑草研究.4

    2(2)88-96(1997)

    49)嶺田拓也ほか.雑草防除法,耕起法および作付け様式の異なる水田における埋土種子の比較.雑草研

    究.42(2),81-87(1997)

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    52)宮原益次.今後の水稲作用除草剤の利用について. 雑草研究.40(2)69-74(1995)

    53)長野県農政部.環境保全型農業技術の手引き. (1994)

    54)中久加菜ほか.アルファルファのアレロパシーに関する研究(2):アルファルファのアレロパシー物質

  • - 19 -

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    89)

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    種子情報を拠点研究室で解析する.雑草研究.47(別),98-99(2002)

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    87)田中福代.フィールドから展開される土壌肥料学:新たな視点でデータを採る・見る2.水田における施用

    有機物の分解と水稲生育.土肥誌.72(4),582-587(2001)

    による無除草剤栽培.雑草研究.47(別), 122-123(2002)88)田中研一ほか.水稲の千鳥密植・深水管理

  • - 20 -

    Vicia villos89) Teasdale.J.R. et al. Weed suppression by live and desiccated hairy vetch(

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    96)牛水純ほか.熱水散布が埋土種子の発芽に及ぼす影響.雑草研究.47(別),234-235(2002)

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    101)湯谷ほか.再生紙マルチ水稲栽培について 第2報 水田雑草の発生におよぼす影響.日作紀.62(別1),30

    -31(1993)

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    12.28-32 1971 .害.雑草研究. ( ))野口勝可・森田弘彦.除草剤便覧-選び方と使い方-、農文協( ).114 1997

    【本稿は 「環境保全型農業における雑草管理技術:児嶋清 平成 年度都道府県農業関、 14係研究員専門研修 耕地雑草の生態と防除研究に関する研修テキスト」および「水田雑草

    の生理生態と制御:児嶋清 雑草及び除草剤試験に関する研修テキスト(平成 年 」に15 )基づき、著者の承諾を得て加筆・再構成したものである 】。