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アジア諸都市に係る サステナビリティ指標に関する 調査事業 報告書 平成28年3月 経済産業省 (委託先) 平成27年度地球温暖化問題等対策調査

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Page 1: アジア諸都市に係る サステナビリティ指標に関する 調査事業 報 … · 委員 小川 和典 国際協力銀行インフラ・環境ファイナンス部門

アジア諸都市に係る

サステナビリティ指標に関する

調査事業

報告書

平成28年3月

経済産業省

(委託先)

平成27年度地球温暖化問題等対策調査

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■結果概要■

本事業では、アジア諸都市に適用されることを想定した、都市の「持続可能な

成長」を可視化する指標(インデックス)及びこれを具体化するための方法論(フ

レームワーク)を開発した。ISO における議論等を参考にしながら、「持続可能な

都市づくり」で必要な7つの軸として「大気」、「土壌」、「水」、「廃棄物」、「エネル

ギー」、「ICT」、「交通」を取り上げ、それぞれ「基本ステージ」、「進展ステージ」、

「包括発展ステージ」の3段階が存在するとした。また、これに相応しい技術導入

事例や政策立案事例を整理し、アジア諸都市へ適用する際の提案具体例とした。

アジア諸都市における現状を評価し、どのような技術導入や政策立案が相応し

いのか判断するためのツールとして「都市評価シート」、「技術導入指標」、「制

度整備状況チェックリスト」を開発し、活用できるようにした。

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目 次 I. 調査の目的・概要 ............................................. 1

I-1. 調査背景と目的 .................................................... 1 I-2. 調査概要 .......................................................... 6

II. 既存の研究・成果に関する調査 ................................ 8 II-1. 「持続可能な都市づくり」に関する既往研究のレビュー ............... 8 II-2. 我が国における持続可能な都市づくりに向けたこれまでの取り組み .... 19 II-3. 我が国からアジア諸国に展開可能な技術 ........................... 24

III. 指標及び方法論の開発 ...................................... 39 III-1. 都市の類型化 ................................................... 39 III-2. 持続可能な都市づくりの可視化(指標による評価) .................. 42 III-3. アジア新興国現地政府担当者との政策対話における指標活用 .......... 59

IV. 海外における現地調査 ....................................... 66 IV-1. 現地調査結果 ................................................... 66 IV-2. 開発指標の試行結果 ............................................. 75

V. 今後の課題 ................................................. 112 V-1. 開発した指標の改善 .............................................. 112 V-2. アジア新興国に相応しい・適した評価基準の導入 ..................... 113 V-3. アジア新興国における「持続可能な都市づくり」及び我が国技術やノウハウの

現地展開に向けた方法論の改善 ............................................ 113

VI. 参考資料(指標の利用方法に関する取扱説明書) .............. 115

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「アジア諸都市に係るサステナビリティ指標に関する調査」

研究会 委員名簿

委員長 細田 衛士 慶應義塾大学経済学部 教授

委員 浅見 泰司 東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻 教授

委員 大上 二三雄 北九州市 参与

エム・アイ・コンサルティング(株)代表取締役社長

委員 小川 和典 国際協力銀行インフラ・環境ファイナンス部門

電力・新エネルギー第2部長

委員 小島 道一 (独)日本貿易振興機構 アジア経済研究所

新領域研究センター 上席主任調査研究員

委員 鈴木 謙二 株式会社東芝コミュニティ・ソリューション社

技術企画部技術企画担当参事

委員 谷川 寛樹 名古屋大学大学院環境学研究科都市環境学専攻 教授

委員 中口 毅博 芝浦工業大学システム理工学部環境システム学科 教授

NPO法人環境自治体会議環境政策研究所 所長

委員 中村 崇 東北大学多元物質科学研究所 教授

委員 橋本 徹 横浜市国際局 国際協力部長

委員 増永 義彦 森トラスト株式会社コンストラクションマネジメント部長

オブザーバー 多田 克行 経済産業省産業技術環境局環境政策課 政策企画委員

オブザーバー 川地 由也 経済産業省産業技術環境局環境政策課

環境調和産業・技術室 総括係長 ※第1回研究会まで

オブザーバー 山脇 章太 経済産業省産業技術環境局環境政策課

環境調和産業・技術室 総括係長 ※第2回研究会から

オブザーバー 梅田 英幸 経済産業省 産業技術環境局 リサイクル推進課 課長補佐

オブザーバー 塩田 大 経済産業省 産業技術環境局 リサイクル推進課 係長

オブザーバー 阿部 正道 (国研)新エネルギー・産業技術総合開発機構 環境部

主任研究員

オブザーバー 半沢 弘毅 (国研)新エネルギー・産業技術総合開発機構 環境部 主任

事務局 清水孝太郎 三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社

環境・エネルギー部 主任研究員

事務局 植田洋行 三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社

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環境・エネルギー部 主任研究員

事務局 大澤拓人 三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社

環境・エネルギー部 副主任研究員

事務局 喜多昭二 三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社

研究開発第2部(大阪) 副主任研究員

事務局 井上領介 三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社

環境・エネルギー部 研究員

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I.調査の目的・概要

I-1. 調査背景と目的

アジアにおける経済成長は、温室効果ガス排出量の増大、廃棄物処理・公害問

題、エネルギー・資源・水・食糧需給の逼迫等を招くおそれがあり、これらはア

ジアの経済成長、社会の基盤を揺るがすアジア自身にとっての最大の問題の一つ

となっている。アジア諸国が有する課題の全体的な傾向としては、環境行政の実

施体制の未整備、現状把握のためのデータの不備、各種インフラの整備、維持・

管理、これらの取組のための財源の不足、民間企業の環境分野への投資不足、住

民の環境への配慮意識の不足等があげられる(図表 1)。

また、これらの問題は、他の地域へ環境負荷を押し付ける等のやり方で、問題

解決を図ったとしても、アジア全体での持続的な成長には繋がらず、アジア全体

での解決が必要な問題となっている。これらの問題は都市化により顕在化、悪化

する、また、都市毎に事情が異なるため、都市が問題解決の主体となる。単なる

インフラ整備や制度導入だけでは問題を解決することができず、それぞれの地域

の社会条件・政治条件を踏まえて、柔軟なインフラ整備、制度導入、制度運営、

産業育成等を行うことが必要である。

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図表 1 アジア諸国における持続可能な都市づくりに向けた課題

(資料)三菱UFJリサーチ&コンサルティング作成

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このような観点から、制度、制度運営、都市設計・運営、産業育成等のノウハ

ウが必要不可欠である。我が国は、経済成長に伴う厳しい公害問題、エネルギー

問題等を経験し、それを乗り越えた経験を有しており、我が国自治体等が有する

ノウハウと、我が国企業等の有する技術、産業構造を組み合わせることによって、

我が国は多大な貢献が可能である。また、我が国にとっても、縮小する国内市場

に直面する産業、人材、ノウハウを活用・発展できる成長市場を開拓できる可能

性がある。加えて、ノウハウの移転が進み、アジアの都市が持続可能な都市設計

を行うことにより、アジア大の適正な資源循環の実現や温暖化対策(JCMの枠

組みの活用に繋がれば我が国の温暖化対策への貢献としても可視可される)の推

進に繋がる。

なお、日本企業が有する課題の全体的な傾向としては、法規制強化の動向、施

策実行力の把握(政治的要因)、環境対策に対する社会・住民意識の高低の把握

(社会的要因)、経済成長の見通し(経済的要因)、現状技術の日本技術での代

替可能性、新技術の代替可能性の把握(技術的要因)が挙げられる(図表 2)。

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図表 2 日系企業がアジア新興国へ進出を行う際の課題

(資料)三菱UFJリサーチ&コンサルティング作成

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本事業では、アジアの都市に適用されることを想定した、都市の「持続可能な

成長」を可視化する指標(インデックス)、具体化する方法論(フレームワーク)

を開発し、それぞれの課題把握、解決策の検討、連携強化、投資促進を図ること

を目的とした。また、当該指標及び方法論については、アジアの各国政府(中央

政府・地方政府)がインフラ整備・経済政策を実施するにあたって参照するとと

もに、これらの都市への投資を検討する企業・金融機関が投資意思決定を行うに

あたって参照することが可能なものとなるようなものを目指した。

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I-2. 調査概要

本調査事業は、以下各項の調査分析及び検討を実施した。また、検討に際して

は、有識者より構成される研究会を設置し、必要な助言を得た。

■実施した調査分析及び検討事項

○既存の研究・成果に関する調査

本項では、文献調査等を行い、指標及び方法論に関する既存の研究・成果

について評価・比較検討・整理を行った。

○指標及び方法論の開発

本項では、上記調査や研究会における検討結果等を踏まえ、指標及び方法

論の開発・評価を行った。具体的には、アジア新興国の諸都市を類型化する

ための評価基準、各類型に相応しい導入技術候補とその技術を導入すること

によって改善される都市環境を評価する指標の開発(技術導入指標)、また

これら技術を有効に機能させるための各種制度整備の必要性を評価する指標

の開発(制度整備チェックリスト)を行った。

○海外における現地調査

本項では、国内における検討と並行して、指標・方法論の適用を想定して

いる地域(マレーシア・クアラルンプール市、インドネシア・バンドン市)

において、海外有識者へのヒアリング等現地調査を1回行った(平成27年11

月17日~20日)。

■研究会の開催

○第1回会合

日時:平成27年8月6日(木)15:00~17:00

場所:三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株)24階中会議室

主な議題:調査実施計画について

指標・方法論開発に向けた論点について

-現状課題について

-「持続可能な都市づくりの捉え方について

-我が国における持続可能な都市づくりに向けたこれまでの取り

組みについて

○第2回会合

日時:平成27年8月21日(金)13:00~15:00

場所:三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株)14階会議室

主な議題:指標・方法論開発に向けた論点について

-指標開発に関する国際動向のレビューについて

-国際動向を踏まえた指標開発の方向性について

○第3回会合

日時:平成27年9月15日(火)15:00~17:00

場所:三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株)14階会議室

主な議題:指標・方法論開発に向けた論点について

-技術レビューを踏まえた指標開発の方向性について

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○第4回会合

日時:平成27年10月22日(木)15:00~17:00

場所:TKP新橋内幸町ビジネスセンター カンファレンスルーム602

主な議題:指標・方法論開発に向けた論点について

-指標(案)について

海外調査の進め方について

○第5回会合

日時:平成27年11月16日(月)10:00~12:00

場所:三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株)14階会議室

主な議題:指標・方法論開発に向けた論点について

-持続可能な都市づくりの理想的な進化イメージ

-指標(案)について

海外調査について

○第6回会合

日時:平成27年12月22日(火)15:00~17:00

場所:三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株)19階会議室

主な議題:現地調査報告について

指標・方法論開発に向けた論点について

-持続可能な都市づくりの理想的な進化イメージ

-指標(案)について

○第7回会合

日時:平成28年1月28日(木)10:00~12:00

場所:三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株)14階会議室

主な議題:指標・方法論開発について

-類型化指標及び個別指標(技術導入指標及び制度整備指標)の試

行について(馬国クアラルンプール市と尼国バンドン市)

-現地における技術導入に向けた方法論について(技術提案、FS、

実証、実稼働・管理に至るまでのアクションプラン)

報告書の骨子について

○第8回会合

日時:平成28年3月2日(水)10:00~12:00

場所:三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株)14階会議室

主な議題:指標の利用方法について

このたび検討した指標群の今後の見直し課題について

報告書(案)について

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II.既存の研究・成果に関する調査

II-1. 「持続可能な都市づくり」に関する既往研究のレビュー

1. 国際標準

(1)ISO等のデジュール標準策定に関する動向

① ISO37120 (Indicators for city services and quality of life)

開発主体はISOのTC268 (Sustainable development of communities)である。

国際標準化の背景や経緯としては、「都市はそのパフォーマンスを評価する指標

を必要としているが、既存の指標は標準化されておらず、一貫したものではなく、

時系列や都市間での比較ができるものではなかった」とされており、都市指標の

標準化を問題意識として作成されている。また、「この指標は、都市サービスと

生活の質についての進捗管理を計測することを支援する目的で作られた」ともあ

り、都市サービスと生活の質について重点を置かれた指標となっている。

この指標では、17の大項目について指標を策定している(1.経済、2.教育、3.

エネルギー、4.環境、5.財政、6.火災や緊急時の対応、7.政治、8.健康、9.レク

リエーション、10.安全、11.住居、12.固形廃棄物、13.通信、14.交通、15.都市

計画、16.排水、17.水と衛生)。このような項目立てとした根拠として、「持続

的な発展を遂げるためには、全ての都市システムが考慮される必要がある」と記

述されており、持続可能な都市づくりのための網羅的な指標を目指したものであ

ることがうかがえる。

具体的な指標は全部で100以上の項目となるため全ては記述しないが、例として、

「経済」分野における具体的な指標を以下に挙げる。

· 都市の失業率 · 全資産価値のうちの商業・産業が占める割合 · 都市の貧困率 · フルタイム労働者の割合 · 若者の失業率 · 10 万人あたりの仕事の数 · 10 万人当たりの年間新規特許数

本指標の特徴としては、全ての大項目についてコア指標とサブ指標を設けてい

る。コア指標は、都市が進捗を測るために要求される(required)指標であり、

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サブ指標は推奨される(recommended)指標とされている。コア指標とサブ指標の

設定により、優先的にデータの整備を行う指標が明確化されているとも言える。

また、プロファイル指標として、基本的な統計(人口など)と背景情報が整理

されている。プロファイル指標により、主となる指標では測れないが重要となる

都市の性格や特徴を押さえておくことができる。また、都市間の比較を行う際、

似通った都市の進捗を比べることなどにも活用できる。

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② ISO/TS37151 (Principles and requirements for performance metrics)

開発主体はISOのTC268/SC1(Smart community infrastructure)のWG1である。

国際標準化の背景や経緯としては、「スマート都市インフラを標準化する目的は、

都市インフラの製品やサービスの国際貿易を促進し、都市の持続可能性を向上さ

せる最先端の技術に関する情報を広めることを、調和のとれた製品の基準を作る

ことで達成するためである。」とされている。

指標の大項目としては、廃棄物、水、エネルギー、交通、ICTを、都市の機能や

活動を直接的に支えるインフラの代表としてみなしており、これら5項目につい

て検討している。

後述するように、本標準化では具体的な指標について検討しているわけではな

いが、いくつかの指標の例示は行われている。例えば、「廃棄物」分野において

例示された指標として以下のようなものがある 。

· 廃棄物回収サービスの実施回数 · 廃棄物回収サービスの実施エリアの割合 · 廃棄物回収の料金 · 廃棄物処理プラントの容量 · 廃棄物処理のコスト · 廃棄物からのエネルギー回収量 · 廃棄物処理プラントでの燃料使用量 · 開放系で燃やされている廃棄物の割合

この標準化の特徴としては、指標そのものについては明確に規定せず、スマー

ト都市インフラ指標のための原則と要求事項を提示する形となっている点である。

スマート都市インフラとは、「都市の持続的な発展とレジリエンスに貢献するた

めに設計・運営・管理され、高度な技術性能を有する都市インフラである。」と

規定されている。

スマート都市インフラ評価指標が満たすべき望ましい性質として以下が挙げら

れており、こうした性質を持った指標が要求されている。

· 調和がとれている。 · 持続可能性等への貢献の観点からのインフラ性能評価を促す · 都市及びインフラの異なる開発段階に適用できる · 都市インフラの動的な性質を反映している · 都市が直面する様々な問題の間の共同作用や対立を考慮して選定されて

いる

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· 多様な都市に適用できる · 都市における複数のインフラを考慮している

また、インフラ評価指標の特定に際して取るべき手順として以下が記述されて

いる。

· インフラの利用者(住民)、都市運営者、及び環境を含めたステークホル

ダーの視点を理解する · 上記の3者の観点から重要なインフラへのニーズを特定する · ニーズを性能特性(performance characteristics)に「翻訳」する · 性能特性を測るのに適切な評価指標を特定する

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(2)国際機関による指標等開発の動向

① SDGs (Sustainable Development Goals)

開発主体は国際連合である。2012年のRio+20でMDGs(ミレニアム開発目標)に

代えてSDGsを定めることが決まり、2015年9月の国連総会で採択が決定した。SDGs

の17分野 のうちの一つ(Goal11)が都市についての目標「都市と人間の居住地を

包摂的、安全、強靭かつ持続可能にする(Make cities and human settlements

inclusive, safe, resilient and sustainable)」となっている。

SDGsの目標は定性的なものだが、進捗を測るための指標が開発されている段階

である。都市の目標として住居、交通、居住計画、世界遺産、災害、大気質と廃

棄物、公共緑地空間の7項目が挙げられているが、これらに対応して個別に指標

が設定されているわけではない。Goal11における具体的な指標としては、以下の

ような指標が考案されている 。

· スラムやインフォーマルな居住域に住んでいる人口割合 · 0.5km 以内に公共交通(20 分に一本以上のもの)が走っている人口割合 · 微粒子物質(PM10 または PM2.5)の平均濃度 · 公共緑地面積の都市全体に占める割合 · 定期回収され良好の管理がされている固形廃棄物の割合

本指標の特徴としては、持続可能な発展を遂げるための一分野として都市が内

包されている点である。このことからは、持続可能な発展は都市の取り組みだけ

では達成できないという思想が伺える。逆にいえば、都市の目標として挙げられ

た7項目は、持続可能な社会のために都市が主体となって担うべき役割だとみな

していると言える。

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② Large Urban Areas Compendium

開発主体は世界銀行である。指標開発の背景や経緯としては、「大都市の基本

的な機能と快適さが一見して分かるための『バイタルサイン』を提供することを

主目的として作成された。」とある。また、「この指標は、生活の質、都市のサ

ービス、環境負荷を広く捉えており、都市政策の決定を支援するための十分な情

報の提供をするもの」とされており、都市の政策決定のための指標という側面が

強いと言える。

指標の大項目としては、 経済、エネルギー、排出と大気汚染、水と衛生と廃棄

物管理、気候と災害への耐性、住居、政治、交通、教育と技術とイノベーション、

健康が挙げられており、網羅的なものとなっている。この大項目は、GCIF(ISO37120

の起案の開発主体)の指標を参考に決定され、具体的な個別の指標としては、都

市のメタボリズムを測る指標などが新たに追加されている。

具体的な指標 例は多岐に渡るため、ここでは一例として、「交通」分野におけ

る具体的な指標を以下に挙げる。

· 平均通勤時間 · 大人数を輸送できる公共交通システムの(10 万人当たりの距離) · 一人当たり自家用車数 · 年間一人当たりの公共交通での旅行回数

本指標の特徴としては、現実的に指標を測ることへの意識が強く、そのため指

標のリストはデータの制約も考慮した上で作成されている。世界の100の大都市に

ついて実際に評価を行っており、ASEANでも多くの都市について指標が計算されて

いる1。ASEAN内で対象となっている都市はジャカルタ、ダッカ、マニラ、バンコ

ク、ホーチミン、シンガポール、チッタゴン、ハノイ、ヤンゴン、バンドンであ

る。

また、都市のメタボリズム評価など、他の指標では見られない考え方も導入し

ている点も特徴的である。メタボリズム評価では、流入(inflows)、生産(produced)、

ストック、流出(outflows)に分類して考えている。

1 ただし欠落している変数も多い。

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(3)「持続可能な都市づくり」に係る国際潮流

ここまでレビューを行ってきた国際潮流について整理する。

いずれの場合も、それぞれの指標開発のコンセプトに沿って次のレイヤーとな

る指標の軸(分野)が決定され、その軸ごとに具体的な指標が開発されている(図

表 3)それぞれコンセプトが異なるため、ある指標開発が他に比べて優れている

などの優劣をつけることは出来ないが、このような構造は共通していると言える。

図表 4は、上述した国際標準などが指標開発で対象としている領域を整理した

ものである。ISO37151では、「通信」、「エネルギー」、「水」、「固形廃棄物」、

「交通」といったインフラに関係するものを軸としているが、その他の指標開発

を見ても、これら都市におけるインフラを指標の軸としたものは多く、持続可能

な都市づくりにおいて外せない要素と考えている場合が多い。特に廃棄物や交通

などは、持続可能な都市に関する指標を考える場合に頻繁に対象とされているこ

とがうかがえる。ただし、大気や土壌といった公共財については、インフラの視

点では抜け落ちてしまう場合があるため、これらも含めた持続可能性指標を検討

する際は、より広い分野を対象とすべきであると言える。

図表 3 既存の国際標準等における指標開発の構造

(資料)三菱UFJリサーチ&コンサルティング作成

小項目

コンセプト

具体的な指標

環境

ソフトハード

持続可能な都市づくり

廃棄物

ごみ処理

機能

例:ごみ処理量

リサイクル

機能

例:リサイクル率

法制度

例:リサイクル制

度の有無

文化・慣習

例:ごみ捨てへの意

統治

例:財務・ファシリ

テーター機能等

レジリエン

例:廃棄物の変化

や事故への対応等

水 大気

土壌

エネル

ギー

ICT 交

etc…

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図表 4 既存の国際標準等における対象領域

(資料)三菱UFJリサーチ&コンサルティング作成

安全

財政

政治

教育

経済

健康

都市計画

住居

大気環境

火災と防災

レクリエーション

通信

エネルギー

固形廃棄物

交通

平和

平等

グローバル調和

生物多様性

海洋資源

気候変動

女性とジェンダー

生産と消費

貧困撲滅

食糧と農業

世界遺産

SDGs(持続可能な開発目標) ISO37120

(都市サービス及び生活の質の指標)

SDGs Goal11(包括的、安全、レジリエントかつ持続

可能な都市および人間居住を実現する)

世界銀行(Large Urban Areas Compendium)

ISO37151(都市インフラ指標)

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2. 学術研究及び実証等

(1)「持続可能性」の捉え方

① 全体的な傾向

持続可能性の捉え方として、世代間の公平性を保つことだとする研究が多く見

られる。これは、ノルウェーの元首相Brundtland女史が委員長を務めた「環境と

開発に関する世界委員会」の1987年の報告書において、「持続可能な発展:

Sustainable Development」を、「将来世代がニーズを満たすための能力を損なう

ことなく、現在世代のニーズを満たすような発展である」と定義したことが原因

だと考えられる。この発表を通じて、世界中で持続可能な発展論が論じられるよ

うになったため2、既存の持続可能性に関する研究では、この報告書における定義

を引用している場合が非常に多い。

また、持続可能であることの要件として、環境・経済・社会の調和がとれてい

ることを挙げる研究も多い。元来は環境に比重が置かれた概念であったが、真に

持続可能であるためには環境だけでは不十分だという視点から、3領域(ないし

これに制度や個人といった領域を加えたもの)のバランスを取ることを持続可能

性だとみなす考え方が広く普及した。

② 個別事例

以下では、既存研究/論文での「持続可能性」の定義について個別事例の紹介を

行う。

European Foundation(1998)3

「持続可能性とは未来にわたる公平と調和であり、終わりのない慎重な旅であ

り、環境・経済・社会文化の調和のとれた発展のための絶え間ない努力である。」

2 森田恒幸・川島康子「『持続可能な発展』の現状と課題」『三田学会雑誌』85 巻 4 号, 1993.1 3 “Urban Sustainability Indicators”

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Ferrarini et al. (2001)4

「持続可能性とは、経済・社会・環境を含む多次元的な概念であり、一貫した

持続可能な政策を示すならばこれらすべてを勘案しなければならない。」

Van de Kerk and Manuel (2008)5

「持続可能な社会とは、現在世代のニーズを満たし、将来世代がニーズを満た

すための機能を損なうことなく、バランスのとれた社会で環境と調和しながら各

個人が自身を高める機会を自由に持てる社会である。」

(2)「都市づくり」の捉え方

① 全体的な傾向

既存の持続可能性指標の開発に関する研究は、指標開発のアプローチによって、

「都市づくり」の捉え方について大きく二つに分類できる。一つは、他都市と横

比較できるような指標を開発し、都市づくりの主体である地方行政に自分たちの

都市の相対的な位置や問題点を把握させ、より良い都市づくりを行っていくよう

促すものである。この場合、都市が目指すべき姿は都市によらず同一であるとい

う思想が背後にあるといえる。

もう一つは、「都市づくり」は、モニタリングや進捗の管理を含めて都市自身

が自立的に行うべきだとする考え方である。望ましい都市の在り方は都市ごとに

異なるため、その都市特有の指標を開発していくことが「都市づくり」のあるべ

き姿とみなしている。このような「都市づくり」の捉え方のもと指標開発を行う

場合、協議会などの開催を通じて住民の意見を取り入れることや、住民の主観を

定性指標として用いるなど、地域固有の問題点を測ろうとする試みが見られる。

4 “Environmental quality and sustainability in the province of Reggio Emilia (Italy): using multi-criteria analysis to assess and compare municipal performance” Journal of Environmental Management (2001) 63, 117–131 5 “A comprehensive index for a sustainable society:The SSI — the Sustainable Society Index” ECOLOGICAL ECONOMICS 66(2008)228–242

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② 個別事例

SCP De Carvalho et al. (2009)6

「持続可能な都市とは、都市への投入量と排出量を最小化する機会を最大限生

かするものであり、それは自然環境やその機能を模倣するような経験、処置、技

術を用いることで実現されるものである。」

European Foundation (1998) 3

「持続可能な都市とは、環境・経済・社会文化の発展のバランスをとることを、

能動的な市民参加の過程を通じて成功している都市である。」

Global Cities Indicators Facility(GCIF)(2008)7

「これまで、国家、地域、または国際規模で、都市指標を開発する様々な取組

みが行われてきたが、持続可能なものはほとんどなかった。これまでの先進的自

発的な取組みが成功しなかった原因は、いずれも国家、地域、都市機関が必要な

情報を収集するための、トップダウン方式で取り組んできたことにある。地方組

織自身のこれらの取組みへの公約事項がなかったため、資金凍結や政治的な優先

順位を変更した際に、これらの取組みもまた凍結されることとなった。本プログ

ラムは、都市の需要と利益に対応できる指標を都市自身が開発するボトムアップ

方式での取組みを計画している。」(日本語版資料より抜粋)とあり、都市自身

がボトムアップ型で問題を把握し、また対策を打ち出せる都市づくりを目指して

いることがうかがえる。

6 “Application of a sustainability index for integrated urban water management in Southern African cities:Case study comparison – Maputo and Hermanus” Water SA Vol. 35 No. 2 (Special WISA 2008 edition) 2009 7 グローバル都市指標 都市のパフォーマンスの測定とモニタリングに関する統合的アプローチ サマ

リー報告書

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II-2. 我が国における持続可能な都市づくりに向けたこれまでの取り組み

1. 全体傾向

国としての環境政策、および4つの自治体(東京都、横浜市、川崎市、北九州

市)について、過去の環境関連の取り組みを大気汚染、水質、廃棄物・リサイク

ル、地球温暖化の分野ごとに整理した。情報の収集元としては、環境白書、各自

治体の環境レポート(「東京都環境白書」、「横浜の環境」、「川崎市環境総合

研究所年報」、「北九州市の環境」など)を主に使用し、自治体のウェブサイト

よりその他最近の条例等の情報は収集した。

環境問題への対策は7つの手法に分類して整理し(①基本計画・指針・要綱策

定、②委員会など問題検討のための組織の整備、③規制・基準設置など義務付け、

④税制優遇・補助金、⑤自主規制・協定、⑥表彰・認証制度、⑦問題の調査・測

定)、取り組みを行うことになった背景についても整理した。

いずれの分野も、問題への社会的な意識の高まりが初めにあり、それが政府・

自治体の具体的な取り組みへと繋がっていく点で共通している。大気汚染や水質

汚濁などの公害問題は住民からの苦情などを契機に自治体レベルで対策が練られ、

それが国レベルの対策へと昇華されていくが、地球温暖化問題では国際的な要請

に対して国から地方レベルへ対策が下りていく点で問題への意識の高まりの方向

性が全く異なる

問題解決の手法の全体の傾向としては、まず問題への意識の高まりに応じて対

策委員会の設置、基本計画・指針の公布などが行われ、続いて規制等の実施とい

う順に取り組みが行われるケースが多い。近年では補助金や税制優遇などのイン

センティブを与える手法や、表彰・認証制度を設けることなどによって意識を高

める手法が多く用いられている。

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2. 分野別の特徴

(1)大気汚染対策分野

① 中央省庁

地方から生じた大気汚染問題について、国としては1967年の公害対策基本法、

68年の大気汚染防止法の制定などで規制による対応を行った。総量規制は川崎市

などの地方自治体が先だって行っていたものを国が大気汚染防止法の改正という

形で新しく取り入れた(74年改正大気汚染防止法)。初期の公害問題が一旦の落

ち着きを見せると、規制の対象は工場から自動車などへと移り(92年「自動車NOX

法制定」)、規制される物質も窒素酸化物やアスベストへと移行していった。

② 地方自治体

1950年代から60年代にかけて工場からのばいじん・硫黄酸化物に対する住民か

らの苦情の声が大きくなり、それに対応する形で自治体レベルの対策は行われた。

まず自治体で独自に粉じん・硫黄酸化物についての測定装置を設置して問題を

定量的に把握することから対策は始められた。その後対策検討のための委員会の

設置、排出事業者との協定締結などが続いた。この協定には法的な縛りはなかっ

たが、その後事業所への排出規制を行うまでのつなぎとなり、大きな効果を発揮

した。自主協定が機能した理由の一つとして、公害問題に対する社会的気運がこ

の時期激しい高まりを見せていたことが考えられる。

対策の効果は大気中のSOx濃度やNOx濃度に現れる可能性があるが、今後、こう

した政策レベルでの取り組みが、どのように現場レベルでの取り組みにつながり、

結果としてSOx濃度やNOx濃度の改善に結びついたのかを確認する必要がある。

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(2)水質汚濁対策分野

① 中央省庁

地域レベルで浮上してきた70年の水質汚濁問題に対して、水質汚濁防止法、海

洋汚染防止法で規制を行った。70年代後半~80年代は問題がPCBやトリクロロエチ

レンへと移り、それに応じて法改正で規制による対応を行った。

② 地方自治体

工場の不適切な排水による水質汚濁は水俣病などに代表される公害の形で顕在

化し、自治体は対策委員会の設置や排出事業者との協定締結、排水基準の設定な

どで対応した。90年代以降は大きな水質汚濁問題は発生せず水質保全のための計

画・指針策定などが主だった取り組みとなった。

70年代以降河川のBOD(生物化学的酸素要求量)などの指標が大幅に改善されて

いるところであるが、各種の政策レベルでの取り組みが、どのように現場レベル

での取り組みにつながり、結果としてBODなどの指標改善に結びついたのかを確認

する必要がある。

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(3)廃棄物・リサイクル分野

① 中央省庁

公害問題に比べ、廃棄物問題については問題が顕在化したのは遅く、80年代終

わりごろから最終処分場の逼迫や不法投棄の問題が徐々に顕在化し始め、それに

対応して、91年の「廃棄物処理法改正」や「再生資源利用促進法」の制定が行わ

れた。近年では循環基本法や個別のリサイクル法が制定され、廃棄物・資源問題

への国レベルでの対策が加速している。

廃棄物の排出量は近年減少しており、また最終処分場の残余年数も増大してい

るが、政策レベルでの取り組み、現場レベルでの取り組みとどのようにつながっ

てきたのかを確認する必要がある。

② 地方自治体

古くから廃棄物問題への対策は自治体レベルで行われてきたが、80年代終わり

から90年代初めにかけて全国的に廃棄物問題についての意識が高まり、それに対

応する形で規制や指針の策定などの各種取り組みがこの時期に多数行われた。

近年では優良事業所への補助金・助成金制度や表彰・認証制度も用いられるな

ど、各自治体が工夫しながら廃棄物削減・適正処理への取り組みを行っている点

が特徴である。

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(4)地球温暖化対策分野

① 中央省庁

他の分野と異なり、地域住民の声からではなく国際的な要請のもとに始まった

ことが地球温暖化対策の特徴である。それまでも省エネや緑化についての部分的

な取り組みは行われていたが、90年代の気候変動枠組条約、京都議定書批准の頃

から温暖化対策は本格的に始まった。

対策の手法としては、国として厳しい規制をかけるということは他分野に比べ

て少なく、向かうべき方向性を計画制定などで示す程度の取り組みが多い。

日本の一人あたり二酸化炭素排出量は近年横ばいで推移しているが、民生部門、

産業部門、運輸部門の内訳推移と実際に各部門向けの政策がどのように機能して

きたのかを確認する必要がある。なお、アジア諸国の二酸化炭素排出量について

は、CDM事業等の影響を受け、国レベルでのデータ入手は比較的容易である。国デ

ータのもととなっている都市レベルでの利用を促していくことで指標開発も容易

になる可能性がある。

② 地方自治体

国や国際的要請を受けて地方レベルの取り組みが始まるという点で、他の分野

とは対策の緊急性が異なる。

厳しく規制等で縛る方法はあまり多くなく、行動計画や指針を策定し、事業所

や市民の意識を高める種類の取り組みが多いことが特徴である。近年では認証制

度・表彰制度を設ける例も多く、総じて自主的な取り組みを促進するための仕組

み作りを地方行政が担っている。

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II-3. 我が国からアジア諸国に展開可能な技術

アジア諸都市の持続可能な成長を進めるために、我が国から展開可能な技術及

び日本の過去の政策ノウハウについて、NEDO、JST等が作成している各種技術マッ

プや白書等をもとに整理を行った。

1. 廃棄物軸

廃棄物軸についてアジア諸都市に展開可能な技術を図表 5、図表 6に示す。都

市の建築物ゼロエミッション化に関する技術として、建築廃棄物対策、廃材のリ

ユース・リサイクル、長寿命化技術等があげられる。金属資源の利用高度化につ

いては、製品解体後の分離・回収・リユース技術、不純物管理、代替材料開発等

があげられる。その他資源の利用高度化についてはプラスチック、バイオマス、

ASR(自動車シュレッダーダスト)の有効利用、複合材料、代替フロン技術等があ

げられる。持続可能な資源の利用促進については、エコデザイン・再生生産、ラ

イフサイクル戦略・計画策定、輸送・回収システム設計等があげられる。リサイ

クルが難しい資源の高度利用化では廃棄物発電、廃棄物処理過程での発電・エネ

ルギー回収・堆肥化等があげられる。都市におけるマテリアルフローコストの改

善では最終処分量の削減、減容、燃料化、廃棄物の発生抑制等があげられる。有

害廃棄物の適正処理については、無害化、リサイクル・再資源化技術があげられ

る。

廃棄物軸におけるアジア諸都市に展開可能な日本の過去の政策ノウハウを図表

7~図表 10に示す。我が国では高度成長期において環境汚染が進み、人に健康被

害を及ぼす程に環境が悪化した過去があり、こうした状況を改善するために、中

央省庁及び地方自治体によって、有害廃棄物の適正処理に係る法律の策定や、廃

棄物削減に対する施策等、様々な政策が実施されている。また、政策立案の基礎

となる廃棄物発生、リサイクル状況把握のための統計整備、管理管轄のための制

度設計も合わせて実施されている。廃棄物処理、リサイクルへの民間資本の活用

も進められてきており、経済合理性の高い廃棄物回収、処理設備の整備・維持管

理等が行われている。

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図表 5 (廃棄物軸)現地に展開可能な日本の技術(1/2)

技術概要 事業例(実証事業、FS事業等)

都 市 建 築

物のゼロエ

ミッション化

建設廃棄物対策(すでにあるもの、これから建てられるもの)(建

設発生土の工事現場間での転用)

廃材リユース・リサイクル(再生骨材、木質バイオマス利用、地盤

改良材、資源循環住宅等)

長寿命化(ひび割れ防止・補修技術、耐震性強化、さび防止等)

廃棄物の発生抑制・省資源・省エネ(高強度コンクリート、高性能

鋼、易分離接合等)

評価手法開発(劣化予測等維持管理、LCC 規格化等)

H25 環境省事業「ベトナム社会主義共和国における D-waste(建

設解体廃棄物)の循環システム構築・展開事業」

( 金 属 ) 資

源 の 利 用

高度化

○金属資源3R(有害金属に該当するもの)

(解体されたもの等からの)分離・回収・リユース(溶融飛灰、焼ス

ラッジ、廃自動車、電池・磁石、PC・携帯等、テレビ、触媒、超硬

工具、鉄鋼添加系レアメタル等)

○金属資源3R(ベースメタル、レアメタル、貴金属等)

(解体されたもの等からの)分離・回収・リユース・破砕・粉砕・デ

ータ収集(溶融飛灰、焼スラッジ、廃自動車、電池・磁石、PC・携

帯等、テレビ、触媒、超硬工具、鉄鋼添加系レアメタル等)

不純物管理(鉄鋼、アルミニウム、超微細粒鋼等)

簡易識別(金属種別等)

データ収集(レアメタル等の需要統計・予測等)

代替材料(燃料電池電解質・触媒、透明電極、超硬工具、モータ

類)

H24 環境省事業「トルコ共和国電気電子機器廃棄物及び ELV ミッ

クスメタルの統合リサイクルシステム整備事業」

(資料)三菱UFJリサーチ&コンサルティング作成

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図表 6 (廃棄物軸)現地に展開可能な日本の技術(2/2)

技術概要 事業例(実証事業、FS事業等)

(その他)資源 の 利 用高度化

プラスチック(燃料化・油化、モノマー化、塗装膜剥離、リグノフェノールプラスチック、3Rを考慮したプラスチック利用、生分解性プラスチック、リグノフェノールプラスチック等) バイオマス(焼却発電、燃料化、堆肥化、リグノフェノール等) ASR(ガス化、複合リサイクル) 複合素材(易分解設計等) 代替フロン(回収システム、分解技術、低コスト・高効率) ナノテク素材 分離・分別、発酵、燃料化(固体、ガス) ケミカルリサイクル、発酵、燃料化(固体、ガス)

H25 環境省事業「フィリピンメトロセブ地域におけるレジ袋等の軟質系廃プラスチック類マテリアルリサイクル事業の可能性調査」

持続可能な資 源 利 用の促進

エコデザイン・再生生産(ライフサイクル設計、情報管理、ライフサイクル評価、長寿命化・省資源設計、有害物質削減設計、管理技術、リマニュファクチャリング) ライフサイクル戦略・計画策定、輸送・回収システム設計、設計支

援技術・ツール(ライフサイクル評価等も含む) 情報管理、アップグレード設計、製品サービス・システム設計、有

害物質削減設計、製品利用状況モニタリング管理、検査技術

H25 環境省事業「インドネシア共和国における電機産業バリューチェーン全体にかかるリサイクルシステムの構築事業

(リサイクルが 難 し い )資 源 の 高度利用化

廃棄物由来の発電技術 廃棄物処理過程における発電、エネルギー回収、堆肥化等 廃棄物処理過程における堆肥化(園芸土壌リサイクル等)

H24 環境省事業「ベトナム国ホーチミン市における固形廃棄物の統合型エネルギー回収事業」 H25 環境省事業「インド共和国タミル・ナドゥ州におけるごみ焼却

発電技術の導入可能性調査」

都市における マ テ リ アル フ ロ ー コストの改善

最終処分量削減(有機性汚泥、無機系資材(ダスト・鉱滓等)、最終処分場) 減容、選択的吸着、リサイクル(路盤材、有機物質、エネルギー、

セメント、肥料成分・塩成分・金属等の有価物回収)、燃料化(メタン発酵、水素発酵、ガス化) 発生抑制・プロセス改善(汚泥発生抑制水処理技術等)

H24 環境省事業「フィリピン国イザベラ州における固形廃棄物の広域収集・エネルギー回収・衛生埋立事業」

有 害 廃 棄物 の 適 正処理

廃棄物の適正処理・無害化(重金属、化学物質、PCB など) 廃棄物のリサイクル・再資源化(高塩素含有物からのセメント製

造技術、低コスト重金属の回収技術)

H25 環境省事業「中国江蘇省向け工業固形廃棄物適正・無害化処理事業」

(資料)三菱UFJリサーチ&コンサルティング作成

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図表 7 (廃棄物軸)現地に展開可能な日本の過去の政策ノウハウ(1/4)

中央省庁による各種取組 地方自治体による各種取組

政策

○危険要素の確実な排除

PCB特別阻止法

大気汚染防止法/等

○産業廃棄物処理業の高度化と処理施設に対する地域理解の促進

の推進

(新)産業廃棄物処理業のグリーン成長・地域魅力創出促進支援事

ITを活用した循環型地域づくり基盤整備事業

製造業者等と連携した循環産業形成支援事業

廃棄物エネルギー導入・低炭素化促進事業

○循環資源の高度利用に向けた取組

循環型社会形成推進等経費

レアメタル等を含む小型電子機器等リサイクル推進事業費

適正なリサイクルの推進と不法越境移動の監視強化

○循環型社会形成に必要な廃棄物処理施設の着実な更新

環型社会形成推進交付金(公共)(浄化槽分を除く)

廃棄物処理センター等に対する補助事業(公共)

○低炭素技術の社会実装と循環共生型の都市づくり・街づくりの加速

先導的「低炭素・循環・自然共生」地域創出事業

○廃棄物削減の取り組み

ごみ処理基本計画の作成

排出量削減目標の設定

○リサイクルの推進、循環ビジネス化への取り組み

各種法令に基づいたリサイクルの推進

リサイクル企業の育成・誘致

地元企業の廃棄物処理・廃棄物発生抑制を支援

(資料)三菱UFJリサーチ&コンサルティング作成

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図表 8 (廃棄物軸)現地に展開可能な日本の過去の政策ノウハウ(2/4)

中央省庁による各種取組 地方自治体による各種取組

現 状

把握

○各種統計・白書の作成

有害廃棄物の発生及び処理に関する統計

廃棄物発生量及び抑制効果に関する統計

環境・循環型社会白書

○有害廃棄物の処理推進・廃棄物発生抑制に関する取り組み

各種統計

管 理 ・

管轄

○産業廃棄物処理業の高度化と処理施設に対する地域理解の促進

の推進

(新)産業廃棄物処理業のグリーン成長・地域魅力創出促進支援事

ITを活用した循環型地域づくり基盤整備事業

製造業者等と連携した循環産業形成支援事業

廃棄物エネルギー導入・低炭素化促進事業

○循環資源の高度利用に向けた取組

循環型社会形成推進等経費

適正なリサイクルの推進と不法越境移動の監視強化

○循環型社会形成に必要な廃棄物処理施設の着実な更新

循環型社会形成推進交付金(公共)(浄化槽分を除く)

廃棄物処理センター等に対する補助事業(公共)

○低炭素技術の社会実装と循環共生型の都市づくり・街づくりの加速

先導的「低炭素・循環・自然共生」地域創出事業

○リサイクルの推進、循環ビジネス化への取り組み

リサイクル企業の育成・誘致

行政の廃棄物収集・処理関連業務の民間委託

各種法令に基づいたリサイクルの推進

地元企業の廃棄物処理・廃棄物発生抑制を支援

○廃棄物処理施設の整備、維持管理

PPP/PFI 等による民間資金、ノウハウの活用

公共投資による定期的な更新、改良

地域間で連携した広域的な処理施設の整備

ICT を活用した維持管理業務の効率化/等

(資料)三菱UFJリサーチ&コンサルティング作成

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図表 9 (廃棄物軸)現地に展開可能な日本の過去の政策ノウハウ(3/4)

中央省庁による各種取組 地方自治体による各種取組

関連産業

○危険要素の確実な排除

PCB特別阻止法

大気汚染防止法/等

○産業廃棄物処理業の高度化と処理施設に対する地域理解の促

進の推進

(新)産業廃棄物処理業のグリーン成長・地域魅力創出促進支援

事業

ITを活用した循環型地域づくり基盤整備事業

製造業者等と連携した循環産業形成支援事業

廃棄物エネルギー導入・低炭素化促進事業

○循環資源の高度利用に向けた取組

循環型社会形成推進等経費

レアメタル等を含む小型電子機器等リサイクル推進事業費

適正なリサイクルの推進と不法越境移動の監視強化

○循環型社会形成に必要な廃棄物処理施設の着実な更新

循環型社会形成推進交付金(公共)(浄化槽分を除く)

廃棄物処理センター等に対する補助事業(公共)

○低炭素技術の社会実装と循環共生型の都市づくり・街づくり

の加速化

先導的「低炭素・循環・自然共生」地域創出事業

○廃棄物削減の取り組み

分別回収の徹底、指定ゴミ袋の導入

○廃棄物処理施設の整備、維持管理

公共投資による定期的な更新、改良

地域間で連携した広域的な処理施設の整備

ICT を活用した維持管理業務の効率化/等

PPP/PFI 等による民間資金、ノウハウの活用

○リサイクルの推進、循環ビジネス化への取り組み

地元企業の廃棄物発生抑制や処理を支援

各種法令に基づいたリサイクルの推進

行政の廃棄物収集・処理関連業務の民間委託

○危険要素の確実な排除

ダイオキシン対策を講じられた焼却炉の導入

○廃棄物発電・焼却灰の処理に関する取り組み

廃棄物発電の導入

焼却灰の高度処理(溶融炉+金属回収、燃料化等)

(資料)三菱UFJリサーチ&コンサルティング作成

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図表 10 (廃棄物軸)現地に展開可能な日本の過去の政策ノウハウ(4/4)

中央省庁による各種取組 地方自治体による各種取組

経済・財政

○産業廃棄物処理業の高度化と処理施設に対する地域理解の促

進の推進

(新)産業廃棄物処理業のグリーン成長・地域魅力創出促進支援

事業

ITを活用した循環型地域づくり基盤整備事業

製造業者等と連携した循環産業形成支援事業

廃棄物エネルギー導入・低炭素化促進事業

○循環資源の高度利用に向けた取組

循環型社会形成推進等経費

レアメタル等を含む小型電子機器等リサイクル推進事業費

適正なリサイクルの推進と不法越境移動の監視強化

○循環型社会形成に必要な廃棄物処理施設の着実な更新

環型社会形成推進交付金(公共)(浄化槽分を除く)

廃棄物処理センター等に対する補助事業(公共)

○低炭素技術の社会実装と循環共生型の都市づくり・街づくりの加

速化

先導的「低炭素・循環・自然共生」地域創出事業

○廃棄物削減の取り組み

分別回収の徹底、指定ゴミ袋の導入

一般廃棄物処理の有料化

○リサイクルの推進、循環ビジネス化への取り組み

地元企業の廃棄物発生抑制・廃棄物処理を支援

リサイクル企業の育成・誘致

行政の廃棄物収集・処理関連業務の民間委託

○廃棄物処理施設の整備、維持管理

地域間で連携した広域的な処理施設の整備

PPP/PFI 等による民間資金、ノウハウの活用 /等

(資料)三菱UFJリサーチ&コンサルティング作成

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2. 水(上水・下水)軸

水(上水・下水)軸についてアジア諸都市に展開可能な技術を図表 11、図表 12

に示す。安心して使用できる上水道に関する技術としては、上水処理技術である

凝集沈殿、砂ろ過、膜ろ過技術、ヒ素対策や微量化学汚染物質除去、高度浄水処

理といった水質向上技術、給水管、排水管等の水供給に係る技術があげられる。

生活排水の高度処理については、廃水処理技術である物理・化学処理、嫌気・好

気性生物処理、高機能微生物活用高度処理技術、廃水処理システム、下水道シス

テム構築に係る技術があげられる。産業排水の高度処理については、物理・化学

処理、生物処理技術、省エネ型のMBR(膜分離活性汚泥)技術、廃水処理工程での

有用資源、エネルギー回収技術があげらる。

水(上水・下水)軸におけるアジア諸都市に展開可能な日本の過去の政策ノウ

ハウを図表 13に示す。我が国では水に関する施策は主に地方自治体が主体となっ

て実施してきており、ノウハウを蓄積している分野である。これまでに行われた

政策には、水利用・処理に係る各種法律の制定・施行、汚染物質の排出規制、公

害防止条例の制定・施行、水利用に関する計画、ビジョンの策定等があげられる。

水利用に関する現状把握としては、水質汚濁調査の実施や水質測定所の設置、各

種ガイドラインの策定が実施されている。管理・管轄については、中央省庁では

担当部局の明確化、地方自治体・排出事業者への行政指導、インフラの老朽化知

策等を担い、地方自治体では水道局の設置、上水・下水設備の運営等を行ってい

る。水利用分野への民間資本の活用も進められてきており、PPP/PFI等の民間資金、

ノウハウの活用が行われている。

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図表 11 (水軸)現地に展開可能な日本の技術(1/2)

技術概要 事業例(実証事業、FS事業等)

安心して利用できる上水道

凝集沈殿、砂ろ過(急速撹拌装置・緩速撹拌装置、波形傾斜管装置、汚泥掻寄機、高速凝集沈殿装置、開放型サイフォン・フィルター、A/W 有孔ブロック、自動サイフォン・フィルター、圧力式ろ過器) 膜ろ過(MF/UF 膜ろ過、浸漬型 MF) ヒ素対策(磁気分離による砒素汚染泥水の浄化技術、鉄系吸着剤を利用し

た金属等の除去技術) 微量化学汚染物質除去 高度浄水処理(粒状活性炭処理、オゾン処理、生物処理など) 低副生成物消毒 水中パルス放電 給水管(鉛管、塩化ビニール管、ポリエチレン管、ステンレス管など)) 配水管(ダクタイル鋳鉄管:耐震性に優れる)

-

生 活 排 水の 高 度 処理

基本的な物理・化学的処理(凝集沈殿、接触沈殿、ろ過、スクリーニング) 嫌気性生物処理(セプティックタンク、UASB(上向き嫌気汚泥床)) 好気性生物処理(浮遊活性汚泥法、生物膜法、固定化生物法など) 生物接触ろ過法と晶析法を併用した水処理システム 植生浄化 バイオレメディエーション 無薬注海水淡水化、ロバスト RO/NF 膜の製造技術 高機能微生物活用高度処理 高純度窒素化合物・リン化合物回収 大孔径分離膜による低エネルギーろ過技術 表面ばっ気池 浄化槽 集落排水処理(特に農村部等) 低コスト下水道システム(コンドミニアル下水道、インターセプター下水道、ス

モールボアシステムなど) 大規模水処理システムの要素技術及びシステム化技術(RO膜法、蒸発法

ブライン処理(資源回収他)、FO膜法)

H25 環境省事業「ソロモン諸島における環境配慮型トイレ普及事業」 H24 環境省事業「中国連雲港市の農村地域における

面源汚染浄化システム」 H27 環境省事業「ベトナム国におけるセプティックタン

ク汚泥処理事業」 H24 環境省事業「中国遼寧省瀋陽市における水質改

善および資源回収事業」 H26 環境省事業「マレーシアにおける浄化槽整備による生活排水処理事業」

(資料)三菱UFJリサーチ&コンサルティング作成

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33

図表 12 (水軸)現地に展開可能な日本の技術(2/2)

技術概要 事業例(実証事業、FS事業等)

産 業 排 水

の 高 度 処

基本的な物理・化学的処理(凝集沈殿、接触沈殿、ろ過、スクリー

ニング)

物理・化学的処理(高速凝集沈殿システム、蒸発濃縮装置、水中

ダイオキシン類分解装置、リン除去装置、窒素除去装置など)

生物処理(活性汚泥処理装置、流動担体活性汚泥処理装置、濃

度勾配型活性汚泥処理装置、MBR、制限曝気処理装置など)

高効率難分解性物質分解技術

省エネ型 MBR 技術

省エネ型反応層

革新的膜分離技術

微生物燃料電池

バイオガス発電

容積式エネルギー回収

浸透圧発電

熱電素子、ヒートポンプ

選択的吸着剤

高純度窒素化合物・リン化合物回収

バチルス菌活用による高度処理(パルプ廃水等の高濃度有機系

廃水処理や下水汚泥の減容化。)

H25 環境省事業「ベトナム国 染色産業における排水処理適正化

の推進」

H27 環境省事業「ミャンマー国の染色工場からの排水による水質

汚濁の改善事業」

H26 環境省事業「ベトナム国水産加工工場における排水処理の

水質と施設運営の改善事業」

H26 環境省事業「インド国ムンバイ近郊パタルガンガ工業団地に

おける再生水システム構築事業」

H27 環境省事業「ベトナム国における排水処理の高度化・ 省コス

ト対応制御システムの普及事業」

H27 環境省事業「ベトナム国における排水処理の高度化・ 省コス

ト対応制御システムの普及事業」

H24 環境省事業「ベトナム国省エネ型有機性産業排水処理によ

る水環境改善」

(資料)三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング作成

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34

図表 13 (水軸)現地に展開可能な日本の過去の政策ノウハウ

中央省庁による各種取組 地方自治体による各種取組

政策

健全な水循環の推進 各汚染物質の排出規制 各種法律の制定・施行「浄化槽法」「水道法」「下水道法」

「水質汚濁防止法」 排出総量規制 地下水汚染対策 規制の上乗せ 豊かさを実感できる海の再生事業

各汚染物質の排出規制 公害防止条例 各汚染物質の排出規制基準の上乗せ 排出規制対象物質の拡張(PCB など) 地域水道ビジョンの策定(将来の安定性・持続性を得るためののアセッ

トマネジメント、水安全計画、耐震化計画の策定)

現状把握 -

水質汚濁現地調査実施 環境水質測定所を設置 広域総合水質調査実施 「水辺環境ガイドライン」策定 地域間連携による合同水質調査実施

管理・管轄

汚染問題の担当部局の明確化 地方自治体への行政指導の強化 排出事業者への行政指導の強化 環境影響評価制度 インフラ老朽化対策等のための戦略的な維持管理・更新の

推進

下水道局の設置 公害対策協議会の設置 上水供給設備の整備、運営 下水処理設備、下水道の整備・運営 各種法令、規制に基づいた水源の保全 水供給設備の整備、運営 水道管の更新・修復 下水処理水の再利用 市独自の水質管理計画に基づいた定期水質調査

関連産業

PPP/PFI の推進 地域における総合的な老朽化対策等に対する集中的支援

(防災・安全交付金) 環境庁と東京湾岸の六都県市による東京湾富栄養化対策

連絡会発足

事業所の自主努力を促す協定の締結 ICT 技術を活用した維持管理業務の効率化 PPP/PFI 等による民間資金、ノウハウの活用 国産環境自治体会議(ICLEI)に会員として加入(北九州) 地域間で連携した広域的な処理施設の整備

経済・財政 硝酸性窒素に関する地域総合対策制度推進費 地盤沈下等水管理推進費

公害防止設備資金貸付制度 健全な水循環に係る総合対策推進費・環境保全基金条例制定

(資料)三菱UFJリサーチ&コンサルティング作成

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35

3. エネルギー軸

エネルギー軸についてアジア諸都市に展開可能な技術を図表 14、図表 15に示

す。エネルギー生産技術では、原油・天然ガス採掘・開発技術、燃料製造技術と

いった資源開発技術、石炭・天然ガス火力、原子力発電、石炭ガス化複合発電等

の発電技術、太陽光発電、風力発電、バイオマス発電等の再生可能エネルギーが

あげられる。エネルギー供給技術では、電力供給システムガス輸送・貯蔵システ

ム、大容量送電技術があげられる。エネルギー貯蔵技術では、揚水発電各種蓄電

池、キャパシタ、熱輸送・蓄熱システム、水素輸送・供給等があげられる。エネ

ルギー消費技術では、民生部門においては省エネ型の各種機器、省エネ住宅・ビ

ル、コージェネレーション、エネルギーマネジメント(HEMS、BEMS)燃料電池等

があげられる。産業部門においては、石油精製・石油化学プロセス、重質原油利

用技術、石油・石炭クリーン利用技術、省エネ型産業プロセス、産業間エネルギ

ー連携等があげられる。

エネルギー軸におけるアジア諸都市に展開可能な日本の過去の政策ノウハウを

図表 16に示す。エネルギーに関連する政策の立案、施策の実施は主に中央省庁が

行っている。これまでに行われた政策には、中央省庁では基本立法の制定・施行、

エネルギー需給計画の策定、産業部門・民生部門の省エネ化、再生可能エネルギ

ー導入のための法律の制定・施行等がある。地方自治体では新エネビジョンや目

標等の策定、省エネ機器導入支援等がある。エネルギーに関する現状把握として

は、エネルギー消費統計の整備、長期エネルギー需給見通しの策定等が行われて

いる。管理・管轄については、エネルギー政策基本法に基づいた供給管理各法に

基づいたエネルギー価格の規制等が行われている。エネルギー分野における関連

産業の発展、民間資本の活用に向けて、エネルギー関連産業の振興策の策定、電

気、ガス事業法の規制緩和、FIT制度の導入等による再生可能エネルギー分野への

民間参入の促進、PFI・PPPを活用した再生可能エネルギーの導入が行われ

ている。これらの政策、施策を支える財源確保のために、石油石炭税、電源開発

促進税、ガソリン税等による税収入制度、エネルギー料金の徴収制度の整備、電

力卸市場等のエネルギー取引市場の形成、環境税による税収入制度の整備等が行

われている。

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図表 14 (エネルギー軸)現地に展開可能な日本の技術(1/2)

技術概要 事業例(実証事業、FS事業等)

エネルギーの 生 産・ 供給

○資源開発 原油・天然ガス採掘・開発技術 原油・天然ガス増進回収技術(EOR・EGR) 環境調和型油ガス田開発技術 燃料製造技術(天然ガス液体燃料、石炭液化) ○電技術 石炭・天然ガス火力発電 高効率石炭・天然ガス火力発電 LP ガス高効率燃焼機器技術 原子力発電技術 アドバンスド高湿分空気燃焼ガスタービン発電(AHAT) 燃料電池/ガスタービン複合発電 先進超々臨界圧力火力発電(A-USC) 石炭ガス化複合発電(IGCC) ○再生可能エネルギー 太陽光発電、風力発電(小規模、独立型)、小水力発電 大規模再生可能エネルギー(系統連系) 未利用エネルギー(温度差、圧電、熱電、等) バイオマス燃料製造 バイオマス・廃棄物ガス化発電 水素製造技術 ○エネルギー供給 電力供給システム ガス輸送・貯蔵システム 大容量送電技術 超電動高効率送電 ○エネルギー貯蔵 揚水発電 各種蓄電池(Li イオン、NiH、NaS) 超電導電力貯蔵 キャパシタ 熱輸送・蓄熱システム 水素輸送・供給

H24NEDO 事業「ミャンマー連邦共和国における流水式マイクロ水力発電による農村地域の電化プロジェクトの案件発掘調査」 H24NEDO 事業「カザフスタン共和国における石炭火力発電所近

代化更新プロジェクトの案件発掘調査」 H26NEDO 事業「カンボジア王国における SEZ 向け太陽光・ディー

ゼルハイブリッドシステム発電事業の検討」 H26NEDO 事業「マレーシア国ペナン州における木質系バイオマ

ス発電技術のパッケージ型導入を通じた JCM 実現可能性調査」 H25NEDO 事業「ベトナム国の丘陵地向け風力発電プロジェクトの

案件組成調査」

(資料)三菱UFJリサーチ&コンサルティング作成

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図表 15 (エネルギー軸)現地に展開可能な日本の技術(2/2)

技術概要 事業例(実証事業、FS事業等)

エ ネ

ルギ

ーの

(省エネ型)家電・業務機器

(省エネ型)空調機器

(省エネ型)照明機器

省エネ住宅・ビル

コージェネレーション

エネルギーマネジメント(HEMS、BEMS)

燃料電池(大型)

H25NEDO 事業「タイ王国における空調冷媒過冷却システムプロ

ジェクトの案件発掘調査」

H26NEDO 事業「ミャンマーにおけるスーパーマーケットへの省エ

ネシステム導入プロジェクトの案件調査」

H25NEDO 事業「国際エネルギー消費効率化等技術・システム実

証事業(国際エネルギー実証)」

石油精製・石油化学プロセス

重質原油利用技術

石油クリーン利用技術

石炭クリーン利用技術

コンビナート高度統合化

省エネ型産業プロセス

産業間エネルギー連携

燃料電池

H27NEDO 事業「クリーンコール技術海外普及展開等事業」

H26NEDO 事業「タイ国における超高効率小型貫流ボイラーおよ

び関連技術普及プロジェクト案件調査」

H26NEDO 事業「ベトナム漁船への特殊 LED 照明機器による省エ

ネ化および作業環境改善に係る実現可能性調査」

H25NEDO 事業「ベトナムにおける省エネ型製紙プラント導入プロ

ジェクトの案件調査」

H24NEDO 事業「インドネシア共和国・ジャワ島工業団地における

スマートコミュニティ実証事業」

(資料)三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング作成

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図表 16 (エネルギー軸)現地に展開可能な日本の過去の政策ノウハウ

中央省庁による各種取組 地方自治体による各種取組

政策

エネルギー政策に関する基本立法

エネルギー需給計画の策定

高効率火力発電の開発・活用加速化

産業部門での先端的な省エネ設備の導入・中小企業による省エネ

投資の支援強化

家庭・オフィス、運輸部門での省エネルギー対策の強化

再生可能エネルギー導入拡大制度作成(RPS 法、FIT)

地産地消型のエネルギーネットワークの構築

水素社会の実現

新エネビジョン、新エネ目標等の設定

省エネ機器、システム導入拡大のための補助金、税制優遇

再エネ導入のための補助金、税制優遇

再エネ導入のための金融スキーム、ファンド形成

再エネ導入の義務付け

現状把握

エネルギー消費統計の整備

安定的かつ低廉な資源の確保

長期エネルギー需給見通しの作成

持続的な資源の安定的かつ低廉な供給のための計画の策定

-

管理・管轄

エネルギー政策基本法に基づいた供給管理

各法に基づいたエネルギー価格の規制

エネルギー政策基本法による規定

エネルギーの使用の合理化に関する法律」(省エネ法)による規定

国の法律に基づいた地方公共団体等のエネルギー管理

関連産業

エネルギー関連産業の振興策の策定

エネルギー供給分野への民間企業参入促進のための電気、ガス事

業法の規制緩和

FIT制度の導入等による再生可能エネルギー分野への民間参入の

促進

PFI・PPPを活用した再生可能エネルギーの導入

経済・財政

石油石炭税、電源開発促進税、ガソリン税等による税収入制度

エネルギー料金の徴収制度の整備

電力卸市場等のエネルギー取引市場の形成

環境税による税収入制度

(資料)三菱UFJリサーチ&コンサルティング作成

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III.指標及び方法論の開発8

III-1. 都市の類型化

「持続可能な都市づくり」を実現するためには、都市インフラに関わる以下7

つの軸について適正な状態を達成、維持する必要がある。これは、ISO37151にお

いて、都市の環境インフラ整備には通信、エネルギー、水、固形廃棄物、交通の

5つの視点があるとされていることに加え、本事業では公共財で大気や土壌とい

ったものも「持続可能な都市づくり」には必要不可欠ものであると考えて追加し

たものである。

大気・水:人間が生きていく上で必須となる水や大気を清浄に保つ。

土壌:食料を生み出し、各種生産活動の基盤となる土壌は、農業生産や各種土

地利用に適した状態で維持する。

廃棄物:人間が快適な生活空間を維持するために適正な廃棄物処理を行う。ま

た廃棄物の発生原因となる各種資源を有効利用する。

エネルギー:快適な生活空間を維持し、また高度な生産活動を行うために、可

能な限りクリーンなエネルギーを安定的に調達する。

ICT(Information and Communication Technology):人間の経済活動を効率

的に管理するために、優れたコミュニケーション・インフラを整える。

交通:人間の経済活動を三次元空間で効率的に実現するために、優れた交通イ

ンフラを整える。

これら7つの軸のうち、一部の軸のみを取り上げたミニ・コンセプトとして持

続可能な都市づくりを進めようとすることも可能である。我が国自治体担当者と

アジア新興国政策立案担当者等との政策対話では、しばしば所管業務に応じた範

囲で議論を進めざるを得ない場合もある。それに応じて一部の軸のみを取り上げ

て議論を進めることもできるようになっている。

例えば、「公害防止」というミニ・コンセプトでは、大気、土壌、水、廃棄物

といった軸を取り上げて議論することになる。「循環型社会」というミニ・コン

セプトでは、水、廃棄物、エネルギー、ICTといった軸のみを取り上げて議論する

ことになる。「スマートシティ」というミニ・コンセプトでは、エネルギー、ICT、

交通といった軸のみを取り上げて議論することになる。いずれのミニ・コンセプ

8 本指標及び方法論の開発では、制度整備状況のチェックリストなどを初めとして、多くの部分でアジ

ア低炭素化センターの「北九州モデル」を参考とした。

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トも「持続可能な都市づくり」という究極概念の下位思想として再整理すること

ができるようになっている。

図表 17 「持続可能な都市づくり」のための7つの軸

(資料)三菱UFJリサーチ&コンサルティング作成

「持続可能な都市づくり」の最終目標は、住民の生存を保証した上で、より良

い暮らしを持続することのできる都市の完成である。将来の都市住民にとっても

周辺の都市住民にとっても持続可能であることが最終的に求められる。

いずれの都市もまずは安全さの確保を優先し(基本ステージ(Basic))、豊かに

なるにつれ、住みよい環境の実現を目指すが(進展ステージ(Advanced))、今後は

現在その都市に住む住民だけではなく、将来及び周辺の住民にとっても住みよい

環境を持続的に確保する必要がある(包括発展ステージ(Comprehensive))。

先進国では「基本ステージ」⇒「進展ステージ」⇒「包括発展ステージ」 を追

求してきた歴史があるが、現在は「基本ステージ」⇒「包括発展ステージ」を直

接追求することも可能である。また、経済発展によって、労務費が上昇し、これ

まで安価な労働力を背景に「進展ステージ」を実現できていたとしても、「基本

ステージ」に低下することもあるため、経済発展に応じた取り組みが求められる。

図表 18 「持続可能な都市づくり」における発展イメージ(3つのステージ)

大気

土壌

廃棄物

エネルギー

ICT

交通

持続可能な都市づくり

公害防止

循環型社会スマートシティ

ISO37151:都市環境インフラ指標に関する国際規格でも取り上げられている構成要素

包括発展ステージ

(時間・都市横断レベルでの

改善)進展ステージ

(その都市での

改善)

基本ステージ

(最低限の環境維持)

持続可能性→

(過去) (現在) (将来)

経済発展・賃金上昇によって都市環境は悪化

環境技術の導入による

改善(先進国)

「持続可能な都市づくり」に伴う制度整備・技術導入

先進国

新興国

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(資料)三菱UFJリサーチ&コンサルティング作成

持続可能な都市づくりの進捗を可視化するための指標は、7つの軸(大気、土

壌等)と3つのステージのマトリックスで構成される。

各軸・ステージのセルに応じて評価を行う体系が存在し、技術導入による改善

効果の評価指標(技術導入指標)とそれを円滑に機能させるためのチェックリス

ト(制度整備評価項目)が21セット準備されている(本調査では、水・廃棄物・

エネルギーの3軸:9セットのみ準備)。

セルごとに相応しい導入技術、また政策ノウハウが我が国の経験やノウハウを

もとに整理されており、アジア新興国における持続可能な都市づくりの導入技術

や施策の候補をここから選び出すことができる。

図表 19 「7つの軸×3つのステージ」のイメージ

(注) 各セルに示す矢印中の数値は、各セルの技術導入指標を用いて評価した際の評価点を示す(100

点満点)

大気 土壌 水 廃棄物 エネルギー ICT 交通

基本ステージ(Basic)

(最低限の環境維持) 80

40 60 7010 20

50

包括発展ステージ

(Comprehensive)

(時間・都市横断レ

ベルでの改善)

進展ステージ(Advanced)

(その都市での改善)

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III-2. 持続可能な都市づくりの可視化(指標による評価)

1. 評価の流れ

アジア諸都市における「持続可能な都市づくり」に向けた取り組みを支援する

ため、その都市における各軸のステージを判定(①)、必要な技術とその効果を

可視化するための指標(②)や導入技術を十分に機能させるための制度整備(③)

を具体化させるチェックリストを準備する。技術導入指標は、導入技術の効果把

握、また次のステージに上がるための管理ツールとなる。

図表 20 持続可能な都市づくりに向けた施策候補の洗い出し(4つのフェーズ)

(資料)三菱UFJリサーチ&コンサルティング作成

政策対話の一環として、「都市評価シート」を用いた自己診断をアジア新興国

の現地政府担当者とともに行い、各軸どのステージに属するのか判断を行う(フ

ェーズI)。

このステージ分けに基づき、ステージに対応した技術導入指標での評価を現地

政府担当者が行い、その結果を踏まえてどのような技術が相応しいのかを議論す

る(フェーズII)。また、導入技術を効果的に機能させるための制度整備状況

をチェックし(フェーズIII)、その政策立案を日本側のノウハウ等を提供し

ながら支援する。

各軸ステージ別に設定されている制度整備チェックリ

ストについて、整備が必要な事項を確認する。

③:制度整備評価項目(各軸・ステージ別)

各軸いずれのステージに分類するのがふさわしいか評価する。①:事前評価

(各軸で各ステージ に分類)

各軸ステージに適した技術導入例を参考として、その導入効果を技術導入指標で評価する。

技術導入指標は、設備のライフサイクルでみた場合の投資効果や専門人材の育成効果など

といった中長期的な視点から評価できるようになっている。また、各都市の長所を殺さずに改

善するための評価ができるようになっている。

各軸ステージに適した技術導入例は、日本に蓄積されている導入事例を参考にすることが可

②:技術導入

指標(各軸・ステージ別)

技術導入 制度整備 導入技術を十分に機能させるための制度整備

日本のノウハウを参考にして、具体的な技術導入と並行して各都市政府で進める。

フェ

ーズ

Ⅰフ

ェー

ズⅡ

フェ

ーズ

Ⅲフ

ェー

ズⅣ

持続可能な都市づくりを目指す

技術導入(フェーズIIIから先行

して実施)

PDCAサイクル

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図表 21 我が国の経験を活かした現地政府担当者による評価や技術導入イメージ

(資料)三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング作成

基本ステージ

ステージ 1

「基本ステージ」に相応しい技術

「基本ステージ」に相応しい政策

基本ステージ

日本の政策担当者(中央・

地方)が本指標を紹介し、現

地政府担当者が自己診断

フェーズI フェーズII フェーズIII フェーズIV

該当するステージの指標群

に基づいてその都市の状況

を現地政府担当者が精査

進展ステージ

包括発展ステージ

技術導入指標

制度整備チェックリスト

技術導入の効果を最大化

技術導入と並行して制度整

備状況を現地政府担当者が

チェック

導入技術を機能させるため

の各種政策をチェックリスト

に基づいて実施

PDCAサイクルで再びフェーズIに立ち戻って評価

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2. 都市評価シートによるステージ類型化

アジア諸都市が各軸においてどのステージに該当するかの判定の前提となる、

都市が達成する必要のある基本目標、各軸×各ステージで達成する必要のある具

体な目標を、ステージ別に設定している(図表 22)。

都市が各軸についてどのステージに該当するかの判定は、事前評価(ステージ

分類)シートを用いて行う。図表 23に廃棄物軸、図表 24に水軸(上水)、図表 25

に水軸(上水)、図表 26にエネルギー軸での事前評価シートを示す。事前評価シ

ートの構成、都市の該当ステージの判断の方法は以下に示す通り。

<事前評価シートの構成>

· チェック項目には、大分類、中分類、小分類を設定 · 小分類毎に、「基本ステージ」に該当する都市が抱えていると想定される

課題、「進展ステージ」に該当する都市が抱えていると想定される課題、

「包括発展ステージ」に該当する都市が抱えていると想定される課題を表

すチェック項目が 1 つずつ含まれる(各小分類に 3 つのチェック項目が含

まれる) · チェック項目の内容は、各軸×各ステージで達成する必要のある目標を基

に設定

<各チェック項目への配点の考え方>

· 2 つの大分類にそれぞれ 10 点ずつを配点し、その下にある小分類に 10 点

を均等に配点

<各項目のチェック、都市の該当ステージの判断方法>

· 小分類毎に都市の状況に最も合致するもの、最も重要性が高いと思われる

もの1つにチェックを入れる(主観に基づいた判断で可) · 全ての分類についてチェックを行い、最も加算ポイントが高いステージが、

その都市に該当するステージであると判断

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45

図表 22 各軸×各ステージの基本目標

(資料)三菱UFJリサーチ&コンサルティング作成

Basic Advanced Comprehensive

その都市における都市住民の生命・健康を保証し、必要な経済活動を維持する。

その都市における都市住民が、生命・健康の維持にとどまらない快適な生活を送り、また食費等以外の消費支出も十分に可能な可処分所得を得ることができる経済活動を維持する。

将来世代及び周辺都市の住民についても、生命・健康の維持に止まらない快適な生活を送り、また食費等以外の消費支出も十分に可能な可処分所得を得ることができる経済活動を維持する。

(資源(エネルギー以外)の消費とこれに伴う)廃棄物の発生

・都市住民の生命や健康を直接脅かす廃棄物の無害化(直接被害を生じているもの)

・都市住民の生命や健康、また快適な生活環境を害する廃棄物の無害化(予防措置的なものも含む)

・資源利用の高度化による廃棄物そのものの発生抑制

上水人間の生活および経済活動に必要な水資源の消費

・都市住民の生命や健康を害することのない飲料水の供給(水道もしくは容器入り飲料水の販売等)・冷却等の一般工業用途、農業用途等で利用に耐えうる用水の供給

・都市住民の生命や健康を害することのない飲料水をどこでも安価かつ潤沢に供給(水道もしくは容器入り飲料水の販売等)・各種工業用途、農業用途等で利用に耐えうるのみならず、浄化のための追加的なコストをほとんど要しない潤沢な用水の供給

・都市住民の生命や健康を害することのない飲料水をどこでもまた将来にわたっても安価かつ潤沢に供給(水道もしくは容易入り飲料水の販売等)・各種工業用途、農業用途等で利用に耐えうるのみならず、浄化のための追加的なコストを将来にわたってもほとんど要しない潤沢な用水の供給

下水

(人間の生活および経済活動に必要な水資源の消費に伴う)廃水の発生

・上水道・工業用水の取水源における悪臭や水産資源の劣化を防ぎ、また水源利用に耐えうる水質を維持するための廃水処理

・上水道・工業用水の浄化に要するコストを最小化し、また水産資源を維持することのできる水域全般を維持するための廃水処理(予防措置的なものも含む)

・廃水処理において資源・エネルギー回収も同時に行い、また水資源利用の高度化による廃水そのものの発生抑制

人間の生活および経済活動に必要なエネルギーの消費

・その他軸の「Basic」カテゴリーを実現するために必要な最低限のエネルギー供給・都市住民が熱中症にかかったり、また凍死したりすることがないようにするためのエネルギー供給

・都市住民が快適な生活を送るために必要なエネルギーが潤沢に供給され、また大気汚染の原因となる物質の無害化・除去

・都市住民が快適な生活を送るために必要なエネルギーが十分に供給され、また大気汚染の原因となる物質のみならずエネルギー起源の温室効果ガスも排出抑制

人間の生活及び経済活動に必要な大気の利用

・都市住民の生命や健康を害することのない大気の維持・各種経済活動に悪影響を与えない大気の維持

・都市住民が快適な生活を送るために必要な大気が常に確保され、また大気汚染の原因となる物質の無害化・除去

・将来世代及び周辺都市の住民についても、生命・健康の維持に止まらない快適な生活を送るための大気が常に確保され、また大気汚染の原因となる物質の発生抑制や代替

人間の生活及び経済活動に必要な土壌・土地の利用

・都市住民の健康を直接・間接的に害することのない土壌の維持・農業生産やその他経済活動に悪影響を与えない土壌・土地の維持

(より快適な生活を送るための土壌は不要と考え、外部不経済の影響最小化についてのみ記述)・農業生産やその他経済活動に悪影響を与える物質による汚染の防止・土壌浄化

(より快適な生活を送るための土壌は不要と考え、外部不経済の影響最小化についてのみ記述)・将来にわたっても農業生産やその他経済活動を維持しつづけることのできる土壌の維持・確保

人間の生活及び経済活動に必要な情報通信の実現

・都市住民の生命や健康を維持するための都市管理を実現するための情報通信インフラの整備・サービスの実現(電話システム、統計システム、防災通信システム等)・その他軸の「Basic」カテゴリーを実現するために必要な最低限の情報通信インフラの整備・サービスの実現(モニタリングシステム等)

・都市住民の生活を快適にするための情報通信インフラの整備・サービスの実現(インターネットへのアクセス等)・その他軸の「Advanced」カテゴリーを実現させ、各種流通・移動を最適化させるための情報通信インフラ・サービスの実現

・グローバルな情報通信が将来にわたって安価に実現でき、また各種経済活動を効率化させるための情報通信インフラの整備・サービスの実現(IoT等)・その他実の「Comprehensive」カテゴリーを実現させるための情報通信インフラ・サービスの実現

人間の生活及び経済活動に必要な輸送・移動の実現

・都市住民の生命や健康を維持するための移動・運搬インフラの整備(救急車の配備、道路等の整備)・その他軸の「Basic」カテゴリーを実現するために必要な最低限の移動・運搬インフラの整備・サービスの実現(バス等の公共交通サービスの実施等)

・都市住民の生活や健康を快適にするための移動・運搬インフラの整備(道路網の整備、公共交通機関の整備等)・その他軸の「Advanced」カテゴリーを実現させ、各種移動・運搬を最適化させるための交通インフラ・サービスの実現

・グローバルな移動・運搬が将来にわたって安価に実現でき、また各種経済活動を効率化させるための移動・運搬インフラの整備・サービスの実現(スマートな公共交通機関等)・その他実の「Comprehensive」カテゴリーを実現させるための交通インフラ・サービスの実現

大気

土壌

ICT

交通

各カテゴリーの基本目標→

↓各軸の評価対象

廃棄物

エネルギー

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46

図表 23 廃棄物軸での事前評価(ステージ分類)シート

(資料)三菱UFJリサーチ&コンサルティング作成

配点表 集計表

Basic Advanced Comprehensive

廃棄物の不適正な処理によって疫病等が発生し、都市住民に健康被害が生じている

5 0 0 0

廃棄物の不適正な処理やリサイクルが行われないことから、悪臭問題、景観問題が発生し、都市住民の生活環境を悪化させている

5 0 0 0

域内に経済合理的な処理・リサイクル技術が存在しないため、規制の緩い周辺都市へ悪臭・景観・埋立地不足等の問題を輸出している(する可能性がある)

5 0 0 0

廃棄物の不適正な処理による都市住民への健康被害から、経済損失が発生している

5 0 0 0

廃棄物の処理に大きなコストがかかっており、行政の財政を圧迫している 5 0 0 0

廃棄物発生量の減少見込みが小さく、将来に埋立処分場の不足等の廃棄物問題やコスト負担が発生する可能性がある

5 0 0 0

衛生的な埋立処分場が存在せず、埋め立てられた廃棄物が悪臭問題、水資源・土壌汚染を引き起こしている

2.5 0 0 0

廃棄物の容量を圧縮する技術を保有しておらず、埋立処分場の不足の一因となっている

2.5 0 0 0

廃棄物管理・処理のコスト負担の削減のために、回収から処理までのライフサイクルコストを考慮した、効率的な廃棄物管理ツールの導入が必要となっている

2.5 0 0 0

金属資源(有害資源に該当するもの)の経済的な分離・処理技術を有していないことから、有害廃棄物の分別回収・処理が行われていない

2.5 0 0 0

付加価値を高めるリサイクル技術を保有していないために域内での経済的なリサイクルが成立していない

2.5 0 0 0

ライフサイクルの短い製品、設備が多く使用されており、廃棄物発生量の減少が見込まれない

2.5 0 0 0

廃棄物管理・処理のための法制度の整備が十分でなく、定期的な廃棄物の行政回収、有害廃棄物の分別回収、適切な処理が行われていない

2.5 0 0 0

廃棄物管理・処理のための法制度の整備が十分でなく、効率的な廃棄物処理方法が普及しておらず、廃棄物処理コストの増加、埋立処理場逼迫の一因となっている

2.5 0 0 0

人口増加や経済水準の上昇を見越した廃棄物処理能力の増強に関する計画や準備が整っておらず、将来において問題が発生する懸念がある

2.5 0 0 0

廃棄物管理・処理のための規制が機能していないために、金属資源(有害資源に該当するもの)が適正に回収・処理されていない

2.5 0 0 0

廃棄物の分別、選別(機械・人力を問わない)を進める取組がなされておらず、域内での経済的なリサイクルが成立していない

2.5 0 0 0

廃棄物の発生量削減の取組が行われておらず、都市住民一人当たりの都市廃棄物発生量が同水準の他都市よりも多い

2.5 0 0 0

0 0 0

資源の効率的な利用

2.5

5

人または環境への間接的な

影響

インフラ、技術に由来するも

廃棄物の管理・処理

10

2.5

資源の効率的な利用

2.5

政策、法制度に由来するも

廃棄物の管理・処理

人または環境への直接的な影響

健康被害

10

経済損失

チェック項目Basic Advanced Comprehensive

2.5

5

大分類 小分類大分類 小分類 チェック項目 チェック

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47

図表 24 水軸(上水)での事前評価(ステージ分類)シート

(資料)三菱UFJリサーチ&コンサルティング作成

(上水) 配点表 集計表

Basic Advanced Comprehensive

飲料水(水道水、ボトルドウォーターも含む)の確保が困難で、都市住民に生命や健康を害する場合が発生している

5 0 0 0

上水処理が十分に行われておらず、水道水から悪臭、濁りが発生し、都市住民の生活環境を悪化させている

5 0 0 0

現状は十分な水の利用が可能であるが、将来に渡り持続可能な形での水源の維持が出来ず、都市住民の生活環境を悪化させる懸念がある

5 0 0 0

上水処理が十分に行われていないことによる都市住民への健康被害から、経済損失が発生している

5 0 0 0

上水の浄化に多大なコストが発生しており、行政の財政を圧迫している 5 0 0 0

現状は十分な水の利用が可能であるが、将来に渡り持続可能な形での上水の維持が出来ず、水確保のためのコスト負担が増加する可能性がある

5 0 0 0

上水処理設備が不足、水道管の敷設がなされておらず、上水の供給が行われていないエリアがある

2.5 0 0 0

上水処理の設備に効率の悪い設備が多く、水供給のコスト増の要因となっている 2.5 0 0 0

高度処理が必要な物質が確認されており、高度浄水処理設備の導入の必要性がある

2.5 0 0 0

上水設備、配水設備のトラブルにより、断水が発生しており水利用に制限が生じている

2.5 0 0 0

水道管からの漏水が発生しており、水資源の利用に無駄が発生している 2.5 0 0 0

水の再生処理を行う技術を保有しておらず、水資源の循環利用がなされていない 2.5 0 0 0

水管理に関する法律・制度が十分に整備されておらず、水道料金の徴収が適切に行われていない

2.5 0 0 0

上水処理設備を維持管理していく為の行政の体制構築、財源確保がなされておらず、計画的な上水処理設備の更新が行われていない

2.5 0 0 0

将来の安全性や持続可能性を考慮した水管理の計画が策定されておらず、将来において問題が発生する懸念がある

2.5 0 0 0

安定的な水の供給が優先され、水の有効利用に関する基本的な法律・制度が整備されていない

2.5 0 0 0

上水処理設備を維持管理していく為の行政の体制構築、財源確保がなされておらず、水道管からの漏水の修復・修繕が行われていない

2.5 0 0 0

水の効率的な利用、消費量削減に対する取組が行われておらず、都市住民一人当たりの水消費量が同水準の他都市よりも多い

2.5 0 0 0

0 0 0

水資源の有効利用

2.5

5

人または環境への間接的な

影響

インフラ、技術に由来するも

水の供給、管理

10

2.5

水資源の有効利用

2.5

政策、法制度に由来するも

水の供給、管理

人または環境への直接的な影響

健康被害

10

5

経済的被害

2.5

小分類チェック項目

Basic Advanced Comprehensive大分類大分類 小分類 チェック項目 チェック

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48

図表 25 水軸(下水)での事前評価(ステージ分類)シート

(資料)三菱UFJリサーチ&コンサルティング作成

(下水) 配点表 集計表

Basic Advanced Comprehensive

生活排水・産業排水の適正処理が行われておらず、都市住民に健康被害が生じている

5 0 0 0

生活排水、産業排水の適正処理が行われておらず、悪臭、公共用水利用に制限が発生し、都市住民の生活環境を悪化させている

5 0 0 0

現状は必要な廃水処理能力が得られているが、将来に渡り持続可能な形での廃水処理の維持が出来ず、都市住民の生活環境を悪化させる懸念がある

5 0 0 0

廃水処理が十分に行われていないことによる都市住民への健康被害から、経済損失が発生している

5 0 0 0

生活排水の浄化に多大なコストが発生しており、、行政の財政を圧迫している 5 0 0 0

現状は必要な廃水処理能力が得られているが、将来に渡り持続可能な形での廃水処理の維持が出来ず、廃水処理のコスト負担増の懸念がある

5 0 0 0

生活排水・産業排水の処理設備、処理能力が不足しており、不適切に処理された廃水が排出されている

2.5 0 0 0

生活排水・産業排水処理の設備に効率の悪い設備が多く、処理コスト増の一因となっている

2.5 0 0 0

メンテナンス費用等も含めたライフサイクルコストの高い設備が多く、処理コスト増の一因となっている

2.5 0 0 0

生活排水・産業排水の適正処理が行われておらず、再利用が出来ない状態で排水がなされている

2.5 0 0 0

経済的に成立する水の再利用技術が付加された生活排水・産業排水処理技術を有しておらず、水の再利用が進んでいない

2.5 0 0 0

廃水処理を行う際に、水だけではなくその他資源やエネルギーを回収する設備が導入されておらず、処理コスト増の一因となっている

2.5 0 0 0

廃水管理の法制度の整備が十分でない、又は機能していないために適切な廃水処理が行われていない

2.5 0 0 0

生活廃水処理設備を維持管理していく為の行政の体制構築、財源確保がなされておらず、計画的な廃水処理設備の更新が行われていない

2.5 0 0 0

将来の安全性や持続可能性を考慮した水管理の計画が策定されておらず、将来において問題が発生する懸念がある

2.5 0 0 0

適正な廃水処理が優先され、水の有効利用に関する基本的な法律・制度が整備されていない

2.5 0 0 0

生活廃水処理設備を維持管理していく為の行政の体制構築、資源の有効活用のための廃水処理設備の導入が行われていない

2.5 0 0 0

水の再生利用に対する取組が行われておらず、都市住民一人当たりの廃水発生量が同水準の他都市よりも多い

2.5 0 0 0

0 0 0

水資源の有効利用

2.5

人または環境への間接的な

影響

インフラ、技術に由来するも

廃水の管理・処理

10

2.5

水資源の有効利用

2.5

政策、法制度に由来するも

廃水の管理・処理

2.5

チェック項目Basic Advanced Comprehensive

人または環境への直接的な影響

健康被害

10

5

経済的被害 5

大分類 小分類 チェック項目 チェック 大分類 小分類

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49

図表 26 エネルギー軸での事前評価(ステージ分類)シート

(資料)三菱UFJリサーチ&コンサルティング作成

Basic Advanced Comprehensive

燃料の確保が困難で都市住民に生命や健康を害する場合が発生している 5 0 0 0

発電所由来、液化燃料消費由来の大気汚染が発生し、都市住民の生活環境を悪化させている

5 0 0 0

化石エネルギー消費由来の温室効果ガスにより、都市住民の生活環境の悪化が顕在化している

5 0 0 0

停電、電圧・周波数の乱れが発生し、経済的な損失が発生している 5 0 0 0

エネルギー価格が高止まりしており、都市市民の家計を圧迫、産業部門の収益を悪化させている

5 0 0 0

化石資源由来のエネルギー源だけでは将来的な持続性の維持が難しく、都市住民の生活環境の悪化、産業活動への影響が懸念されている

5 0 0 0

送配電網の敷設がなされておらず、電力供給が行われていないエリアがある 2.5 0 0 0

エネルギー効率の低い発電設備が多く、エネルギー消費の増加、エネルギーコスト増の一因となっている

2.5 0 0 0

化石資源を用いた発電設備への依存度が高く、温暖化ガス排出量増加の一因となっている

2.5 0 0 0

電力、ガスメーターの整備が不十分であり、エネルギー消費の把握が行われていない

2.5 0 0 0

エネルギー効率の低い家電や業務機器の使用が多く、エネルギー消費の増加、エネルギーコスト増の一因となっている

2.5 0 0 0

ICTを活用した需給制御等の高度なエネルギー利用の最適化の取組を進める必要がある

2.5 0 0 0

エネルギーに関する法制度が機能しておらず、エネルギー料金の徴収が適切に行われていない、エネルギー管理のための財源が確保されていない

2.5 0 0 0

エネルギーに関する法制度が十分に整備されておらず、需給の予測、インフラ整備の計画策定が行われていない

2.5 0 0 0

再生可能エネルギー、代替エネルギーの利用促進が行われておらず、温暖化ガス排出量が同水準の他都市に比べて多い

2.5 0 0 0

エネルギー資源の有効活用に関する基本的な法律・制度が整備されていない 2.5 0 0 0

エネルギー消費効率改善、省エネルギーに対する取組が行われておらず、都市住民一人当たりのエネルギー消費量が同水準の他都市よりも多い

2.5 0 0 0

都市全体でのエネルギー利用の最適化の取組が行われていない 2.5 0 0 0

0 0 0

エネルギーの有効利用

2.5

5

人または環境への間接的な

影響

インフラ、技術に由来するも

エネルギーの供給・管理

10

2.5

エネルギーの有効利用

2.5

政策、制度に由来するもの

エネルギーの供給・管理

人または環境への直接的な影響

健康被害

10

経済的被害

チェック項目

Basic Advanced Comprehensive

2.5

5

大分類 小分類大分類 小分類 チェック項目 チェック

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50

3. 技術導入指標による現状評価及び導入候補技術の洗い出し

(1)概要

都市評価シートによって都市の各軸が各ステージに分類された後は、軸ごとに

技術導入指標による評価を行う。技術導入指標による評価は、都市の現状を評価

するとともに、当該都市に導入すべきふさわしい技術を決定するために用いられ

る。

(2)技術導入指標の構成

技術導入指標は、いずれの軸も各ステージ別の指標が準備されており、分類さ

れたステージによって用いられる指標が異なる設計となっている。指標は複数の

分野について用意されており、対象とする軸について包括的に評価できるように

なっている。例として廃棄物軸では、以下の7つの分野が設けられている。

· 都市建築物のゼロエミッション化 · (金属)資源の利用高度化 · (その他)資源の利用高度化 · 持続可能な資源利用の促進 · (リサイクルが難しい)資源の利用高度化 · 都市におけるマテリアルフローコストの改善 · 有害廃棄物の適正処理

各分野について、都市の現状や技術の普及状況を評価するための指標が用意さ

れており、これを個別指標Aと呼ぶ。また個別指標Aとは別途に、当該都市が長期

的に発展していくための安定性を評価する指標も別途用意されている(個別指標

B)。個別指標Bの例として挙げられる指標は、ライフサイクルコストで見た場合

の費用対効果などである。

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51

図表 27 技術導入指標(個別指標A)の例(廃棄物軸)

(資料)三菱UFJリサーチ&コンサルティング作成

都市建築物のゼロエミッション化

-

・建設廃棄物の発生量に占める適正処理(リサイクル等の再資源化が施されるもの)の割合(%)

・人口1人当たりの建築廃棄物の発生量(t/(人・年))

(金属)資源の利用高度化

・合法的・安全・衛生的に回収されている金属資源の割合(%)・有害物質を代替した製品の開発件数(件)

・金属資源のリサイクルに占める政府基準等を満たした施設によるリサイクルの割合(%)・トップランナーの不純物管理技術を導入したリサイクル事業者の件数(件)

・当該都市における金属資源のリサイクル率(%)・金属代替材料の開発件数(件)

(その他)資源の利用高度化合法的・安全・衛生的に回収され、燃料化されている樹脂・バイオマス等の割合(%)

・その他製品・素材のリサイクルに占める政府基準等を満たした施設によるリサイクルの割合(%)

・当該都市におけるその他製品・素材のリサイクル率(%)・代替素材の開発件数(件)

Basic Advanced Comprehensive

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52

(3)各技術導入指標の点数の算出

都市評価シートによる評価とは異なり、技術導入指標は客観的なデータに基づ

いて定量的に評価される指標となっている。データは各指標別に個別に取得され

るが、そのままでは各指標は単位も異なり、その軸全体としての評価を行うこと

が出来ない。そのため、何らかの規格化により、指標を点数化し、異なる指標同

士を加算可能な形に変形する必要がある。

ここではある基準値を設け、その基準値との比較により、0から100点の間で点

数化を行う方法を採っている。規格化の方法は個別の指標によって異なる方法を

採っているが、例えばパーセンテージで表され、100%が望ましい値(基準値)と

して設定されている指標では、パーセンテージを除いた値をそのまま点数として

使用している。反対に低い方が望ましい指標については、基準値を当該都市の値

で割り100を乗ずる等の方法で点数を算出している9。

基準値としては、基本的には日本の値を使用している。ただし、日本における

指標の値が必ずしも理想像として目指すべき数値でない可能性もあるので、基準

値の妥当性については検討が必要である。

個別の指標が0点から100点の間の点数としてそれぞれ規格化された後は、個別

指標Aと個別指標Bの積により各項目の点数が算出され10、それらの平均値により、

100点を満点とした当該軸の点数が計算されることとなる。

当該都市のデータが手に入らない場合は、国レベルのデータが利用可能であれ

ばその値を代替的に用いる(「代替指標」と呼ぶ)。国レベルでもデータが手に

入らない場合は、その技術導入指標の点数は空白となり、当該軸の点数算出のた

めの平均値の計算には用いられない。

9 ただし、基準値以下となった場合は100点とするなどの方法を採っている。 10 厳密には積ではなく、積を100で除した数値を算出する。

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53

図表 28 得点算出のイメージ(廃棄物軸)

(資料)三菱UFJリサーチ&コンサルティング作成

技術分野(技術戦略マップか

ら)

普及状況(個別指標A)

長期安定性

(個別指標B)

代替指標(国平均値)評価点

日本の技術導入事例(ステージ別)普及状況

(代替指標A)長期安定性(代替指標B)

●●のゼロエミッション化

●●の割合(%)

ライフサイクルコスト単位金額あたり処理能力(USD/t)

△△の割合(%)

ライフサイクルコスト単位金額あたり処理能力(USD/t)

45 ・△△処理技術・××燃料化技術 etc.

●●資源の再利用促進

●●の実施率(%)

△△の実施率(%) 60 ・○○高度選別技術

・△△ソーター etc.

持続可能な●●の利用

●●再資源化量(%)

△△再資源化量(%) 10 ・○○設計

・□□発生抑制技術etc.

38平均算出(クモの巣グラフ

表示:次頁参照)

4.「技術戦略マップ」をもとに

相応しいものを提案(低得点

から順次)1.普及状況を評価 2.長期安定性を評価A B 3. × で評価A B

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54

(4)クモの巣グラフ(各軸レベル)による評価

上述した方法により算出された各軸における複数の技術評価指標の点数は、各

指標(分野)を頂点としたクモの巣グラフで表示される。各指標の評価が向上す

ることで、グラフの頂点を結ぶことで描かれる図形の面積が大きくなる。

クモの巣グラフを見ることで、当該都市のどの指標が相対的に課題を抱えてい

るか、視覚的に確認することができる。

図表 29 クモの巣グラフ化のイメージ

(資料)三菱UFJリサーチ&コンサルティング作成

都市建設物のゼロエミッション

金属資源

の利用高

度化

持続可能な資

源利用の促進

(リサイクルが難しい)

資源の利用高度化

都市におけるマ

テリアルフローコ

ストの改善

有害廃棄物

の適正処理

25

100

50

0その他

資源の

利用高

度化

データ欠如で評価できな

いため、現状把握を優先

低評価分野から優先して

技術導入等を取り組み

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55

(5)導入候補技術の洗い出し

クモの巣グラフにより、点数の低い軸が確認された場合は、個別の技術導入指

標の数値を確認することで、その軸における課題を抱えている分野が明らかとな

る。こうした改善の余地がある分野が、優先的に技術導入を行う候補の対象とな

る。

具体的に導入すべき技術については、各軸各ステージに適した技術のリストが

用意されており、それを用いることで導入候補技術が明らかとなる。技術のリス

トは日本の技術戦略マップ等を参考として作成されている。

図表 30 導入候補となる技術リストの例(廃棄物軸)

(資料)三菱UFJリサーチ&コンサルティング作成

都市建築物のゼロエミッション化

【技術マップ】建設廃棄物対策(すでにあるもの、これから建てられるもの)(建設発生土の工事現場間での転用)・廃材リユース・リサイクル(再生骨材、木質バイオマス利用、地盤改良材、資源循環住宅等)【事業例】・H25環境省事業「ベトナム社会主義共和国におけるD-waste(建設解体廃棄物)の循環システム構築・展開事業」

【技術マップ】建設廃棄物対策(これから建てられるもの)・長寿命化(ひび割れ防止・補修技術、耐震性強化、さび防止等)、廃棄物の発生抑制・省資源・省エネ(高強度コンクリート、高性能鋼、易分離接合等)、評価手法開発(劣化予測等維持管理、LCC規格化等)【事業例】-

(金属)資源の利用高度化

【技術マップ】金属資源3R(有害金属に該当するもの)・(解体されたもの等からの)分離・回収・リユース(溶融飛灰、焼スラッジ、廃自動車、電池・磁石、PC・携帯等、テレビ、触媒、超硬工具、鉄鋼添加系レアメタル等)【事業例】-

【技術マップ】金属資源3R(ベースメタル、レアメタル、貴金属等)・(解体されたもの等からの)分離・回収・リユース・破砕・粉砕・データ収集(溶融飛灰、焼スラッジ、廃自動車、電池・磁石、PC・携帯等、テレビ、触媒、超硬工具、鉄鋼添加系レアメタル等)・不純物管理(鉄鋼、アルミニウム、超微細粒鋼等)、リユース、簡易識別(金属種別等)、データ収集(レアメタル等の需要統計・予測等)【事業例】H24環境省事業「トルコ共和国電気電子機器廃棄物及びELVミックスメタルの統合リサイクルシステム整備事業」

【技術マップ】金属資源3R(ベースメタル、レアメタル、貴金属等)(溶融飛灰、焼スラッジ、廃自動車、電池・磁石、PC・携帯等、テレビ、触媒、超硬工具、鉄鋼添加系レアメタル等)・代替材料(燃料電池電解質・触媒、透明電極、超硬工具、モータ類)【事業例】-

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56

1. 制度整備状況チェックリストによる技術導入効果の最大化

(1)概要

技術導入指標により、当該都市の現状改善に必要で、かつ当該都市のレベルに

合った技術が明らかになるが、それだけでは技術導入は進展しない可能性がある。

制度や政策などのソフト面が十分に整備されることで、こうした技術の導入はス

ムースに実施されると考えられる。技術を導入するための制度等の充足度を判断

するために、制度整備状況チェックリストが用いられる。

図表 31 制度整備による現状改善のイメージ

(資料)三菱UFJリサーチ&コンサルティング作成

データや制度整備等を行う前

都市建設物のゼロエミッション

金属資源

の利用高

度化

持続可能な資

源利用の促進(リサイクルが難しい)

資源の利用高度化

都市におけるマ

テリアルフローコ

ストの改善

有害廃棄物

の適正処理

25

100

50

0その他

資源の

利用高

度化

制度整備状況

チェックリスト

制度整備・産業育成等

都市建設物のゼロエミッション

金属資源

の利用高

度化

持続可能な資

源利用の促進(リサイクルが難しい)

資源の利用高度化

都市におけるマ

テリアルフローコ

ストの改善

有害廃棄物

の適正処理

25

100

50

0

その他

資源の

利用高

度化

データ整備

データや制度整備による技術導入効果の拡大

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57

(2)制度整備状況チェックリストの構成

制度整備状況チェックリストは、○や×などで定性的に判断される評価体系と

なっており、各軸各ステージに対応して用意されている。北九州モデルを参考に、

「政策」、「現状把握」、「管理・管轄」、「関連産業」、「経済・財政」の5

つの分野から構成され、それぞれの分野に複数のチェック項目が用意されている

ため、ソフト面の状況について多角的に現状を把握できるように設計されている。

図表 32 制度整備状況チェックリストの例(廃棄物軸)

(資料)三菱UFJリサーチ&コンサルティング作成

政策

・危険廃棄物の回収・適正処理に関する強制力を付与されたルールが存在する

・廃棄物処理に関する基本計画が存在する。・域内の廃棄物処理事業者の振興を促す政策・制度が存在する。

・廃棄物処理業の高度化を促す技術開発支援事業が存在する。

・廃棄物処理を高度化するための企業間連携、共同研究等を促す事業が存在する。・廃棄物の適正処理を拡大させるための設備導入を支援する資金支援制度が存在する。・資源の安定確保という視点からリサイクルを促す

制度が存在する。

・廃棄物処理に関する計画が存在する。・法令に基づいてリサイクルがきちんと機能している。

・地元企業による廃棄物処理が過半を占める。・リサイクル企業の育成・誘致を行うための経済的制度が存在する。

・資源循環といったテーマで企業・地域住民・自治体等の参画を促す制度が存在する。

・不法投棄を監視するしくみが存在する。・不法投棄・越境移動等を監視する技術・設備が導入されている。・不法投棄・越境移動の捕捉がされているか

・廃棄物の発生抑制に関する目標が存在する。・域内企業で発生する廃棄物を抑制する規制や財政支援制度が存在する。

現状把握

・廃棄物の発生・処理等の実態を報告、公表する制度が存在する。・廃棄物の発生・処理等に関する統計制度が

存在する。・有害廃棄物の発生・回収・処理等に関する統計もしくはデータ収集制度が存在する。

・廃棄物の発生・処理等の実態を報告、公表する制度が存在する。・廃棄物の発生・処理等に関する統計制度が存在

する。・有害廃棄物の発生・回収・処理等に関する統計もしくはデータ収集制度が存在する。

・廃棄物の発生・処理等の実態を報告、公表する制度が存在する。・廃棄物の発生・処理等に関する統計制度が存在す

る。・有害廃棄物の発生・回収・処理等に関する統計もしくはデータ収集制度が存在する。

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58

(3)導入候補となる施策

制度整備状況チェックリストを確認することで、どのような施策・制度が不足

しているかが明らかとなる。ソフト面の状況を改善するために導入すべき具体的

な制度については、日本の過去の取り組みが参考となる。

図表 33 導入候補となる施策の例(廃棄物軸)

(資料)三菱UFJリサーチ&コンサルティング作成

政策

【中央】○危険要素の確実な排除 ・PCB特別阻止法 ・大気汚染防止法/等

【地方】○廃棄物削減の取り組み ・ごみ処理基本計画の作成○リサイクルの推進、循環ビジネス化への取り組み ・地元企業の廃棄物処理を支援

【中央】○産業廃棄物処理業の高度化と処理施設に対する地域理解の促進の推進 ・(新)産業廃棄物処理業のグリーン成長・地域魅力創出促進支援事業 ・ITを活用した循環型地域づくり基盤整備事業 ・製造業者等と連携した循環産業形成支援事業 ・廃棄物エネルギー導入・低炭素化促進事業○循環資源の高度利用に向けた取組 ・循環型社会形成推進等経費 ・レアメタル等を含む小型電子機器等リサイクル推進事業費○循環型社会形成に必要な廃棄物処理施設の着実な更新 ・環型社会形成推進交付金(公共)(浄化槽分を除く) ・廃棄物処理センター等に対する補助事業(公共)

【地方】○廃棄物削減の取り組み ・ごみ処理基本計画の作成○リサイクルの推進、循環ビジネス化への取り組み ・各種法令に基づいたリサイクルの推進 ・地元企業の廃棄物処理を支援 ・リサイクル企業の育成・誘致

【中央】○低炭素技術の社会実装と循環共生型の都市づくり・街づくりの加速化 ・先導的「低炭素・循環・自然共生」地域創出事業○循環資源の高度利用に向けた取組 ・適正なリサイクルの推進と不法越境移動の監視強化

【地方】○廃棄物削減の取り組み ・排出量削減目標の設定○リサイクルの推進、循環ビジネス化への取り組み ・地元企業の廃棄物発生抑制を支援

現状把握

【中央】○各種統計・白書の作成 ・有害廃棄物の発生及び処理に関する統計 ・環境・循環型社会白書

【地方】○有害廃棄物の処理推進に関する取り組み ・各種統計

【中央】○各種統計・白書の作成 ・廃棄物処理に関する統計 ・環境・循環型社会白書

【地方】○廃棄物削減の取り組み ・各種統計

【中央】○各種統計・白書の作成 ・廃棄物発生量及び抑制効果に関する統計 ・環境・循環型社会白書

【地方】○廃棄物発生抑制の取り組み ・各種統計

Basic Advanced Comprehensive

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59

III-3. アジア新興国現地政府担当者との政策対話における指標活用

1. 全体の流れ

本調査で開発された指標群を用いることで、現地地方政府に対する具体的な課

題提案のみならず、必要な技術や政策立案も併せて提案することができるように

なる。

指標評価で導入するに相応しいと判断された技術(我が国の保有技術)につい

ても、ただ単に企業のFSや提案に任せるのではなく、整備する必要があると判断

された制度(自治体のノウハウ)も同時並行的に整備支援を進めることで、我が

国環境インフラ技術の円滑な海外展開を実現できるようになる。

現地政府の政策立案担当者も「持続可能な都市づくり」に向けた道のりや必要

な手段を可視化できるようになるだけではなく、これら指標群を用いることでい

わゆるPDCAサイクルによる改善を継続的に促していくことができるようになる。

図表 34 現地地方政府との政策対話における指標の活用流れ

(資料)三菱UFJリサーチ&コンサルティング作成

フェーズⅠ

フェーズⅡ

フェーズⅢ

フェーズⅣ

我が国政策立案担当者(中央・地方)が環境インフラ技術を有する企業とともにミッションを組み、アジア新興国の現地地方政府を訪問

どのステージに近いのか、現地政府の政策立案者に自己診断をしてもらう。

ここから導入が必要と考えられる技術や、整備が必要とされる制度を明らかにする。

「技術導入指標」を用いて改善が必要な事項を明らかにし、技術の種類や導入場所について、現地政府の政策立案者との対話を通じながら具体化させていく。

同時に環境インフラ技術を有する我が国企業による具体的な技術提案等も並行して進めていく(政府によるFS支援等を活用)。

「制度整備チェックリスト」を用いて、導入予定技術を円滑に機能させるために必要な各種制度の整備必要性についても、現地政策立案者との対話を通じながら具体化させていく。

我が国地方自治体において過去蓄積されてきた政策立案ノウハウを現地の政策立案担当者にも移転させていく(政府による来日研修事業等を活用)。

技術導入および制度整備によって「持続可能な都市づくり」が進展したかどうか、「技術導入指標」を用いて再度評価を行い、引き続き改善が必要な事項について具体化させていく(政策対話)。

Page 68: アジア諸都市に係る サステナビリティ指標に関する 調査事業 報 … · 委員 小川 和典 国際協力銀行インフラ・環境ファイナンス部門

60

図表 35 開発ルーツと各フェーズとの関係

(資料)三菱UFJリサーチ&コンサルティング作成

図表 36 開発ツールを用いた「持続可能な都市づくり」へのPDCAサイクル

(資料)三菱UFJリサーチ&コンサルティング作成

「都市評価シート」で各軸ステージを判断

日本の政策担当者(中央・

地方)が本指標を紹介し、現

地政府担当者が自己診断

ステージ 1

フェーズI フェーズII フェーズIII フェーズIV

該当するステージの指標群

に基づいてその都市の状況

を現地政府担当者が精査

技術導入と並行して制度整

備状況を現地政府担当者が

チェック

導入技術を機能させるため

の各種政策をチェックリスト

に基づいて実施

「技術導入指標」で

技術の普及状況と

中長期安定性を

評価(各ステージ

で0~100点)

「制度整備チェックリスト」

から制度整備が

必要な項目を

洗い出す(各項

目で○×評価)

評価項目 チェック

政策

○○事業が存在 ×

○○法の整備 ○

現状把握

○○統計の整備 ×

財政

評価状況から日本にお

ける技術導入事例や政

策立案ノウハウを提示

して、現地における技

術導入支援、また政策

立案支援を促す。

Basic Advanced Comprehensive

廃棄物の不適正な処理によって疫病等が発生し、都市住民に健康被害が生じてい

る5 0 0 0

廃棄物の不適正な処理やリサイクルが行われないことから、悪臭問題、景観問題が発生し、都市住民の生活環境を悪化させている

5 0 0 0

域内に経済合理的な処理・リサイクル技術が存在しないため、規制の緩い周辺都市へ悪臭・景観・埋立地不足等の問題を輸出している(する可能性がある)

5 0 0 5

廃棄物の不適正な処理による都市住民への健康被害から、経済損失が発生してい

る5 0 0 0

廃棄物の処理に大きなコストがかかっており、行政の財政を圧迫している 5 0 5 0

廃棄物発生量の減少見込みが小さく、将来に埋立処分場の不足等の廃棄物問題やコスト負担が発生する可能性がある

5 0 0 0

衛生的な埋立処分場が存在せず、埋め立てられた廃棄物が悪臭問題、水資源・土

壌汚染を引き起こしている2.5 0 0 0

廃棄物の容量を圧縮する技術を保有しておらず、埋立処分場の不足の一因となっている

2.5 0 2.5 0

廃棄物管理・処理のコスト負担の削減のために、回収から処理までのライフサイクルコストを考慮した、効率的な廃棄物管理ツールの導入が必要となっている

2.5 0 0 0

金属資源(有害資源に該当するもの)の経済的な分離・処理技術を有していないこ

とから、有害廃棄物の分別回収・処理が行われていない2.5 0 0 0

付加価値を高めるリサイクル技術を保有していないために域内での経済的なリサイクルが成立していない

2.5 0 2.5 0

ライフサイクルの短い製品、設備が多く使用されており、廃棄物発生量の減少が見込まれない

2.5 0 0 0

10

人または環境

への間接的な影響

5

インフラ、技術

に由来するもの

廃棄物の管理・処理

2.5

資源の効率的な利用

2.5

人または環境への直接的な影響

健康被害

10

経済損失

チェック項目Basic Advanced Comprehensive

5

大分類 小分類大分類 小分類 チェック項目 チェック

都市建設ブルのゼロエミッション

金属資源

の利用高

度化

持続可能な資

源利用の促進(リサイクルが難しい)

資源の利用高度化

都市におけるマ

テリアルフローコ

ストの改善

有害廃棄物

の適正処理

25

100

50

0その他

資源の

利用高

度化

データ欠如評価できない

ため、現状把握を優先

低評価分野から優先して

技術導入等を取り組み

「技術導入指標」及び

「都市評価シート」

で再評価。各構

成要素のバラン

スも見る。

大気

土壌

廃棄物エネルギー

ICT

交通

Basic 100

データ整備

○/●

デー タ整備

○/●

データ整備

○/●

デー タ整備

○/●

デー タ整備

○/●

データ整備

○/●

データ整備

○/●

Adv./Com. 100

Adv./Com. 50

Basic 0

Action

Plan

Do

Check

【フェーズI】

我が国の中央省庁・地方自治体担当者が、アジア新興国との

政策対話の一環として現地を訪問し、「都市評価シート」を用

いて現地ヒアリングを実施

各軸どのステージに属するのか、またどのような技術導入が

相応しいのかを現地政府向けに提案

【フェーズII&フェーズIII】

各軸・ステージ別の「技術導入指標」を用いて各都市を評価。相

応しい技術について我が国における過去の導入事例から提案

を行う。

技術を効果的に機能させるため、不足するソフト施策について

も「制度整備チェックリスト」を用いて提案を行う。

【フェーズIV②】

更なる改善が望まれる分野(技術導入指標1つについて一つの

分野が対応)、また軸(7つの軸)について、導入技術の普及拡

大、新たな技術の導入、これらを十分機能させるための各種ソフ

ト施策を実施していく。

改めて「都市評価シート」を用いて自己診断を行い、「持続可能

な都市づくり」の達成状況を確認する。

【フェーズIV①】

技術導入後、再び「技術導入指標」を用いて各都市を評価し、導

入前と比べてどの程度改善されているかを検証する。

また、ソフト施策の実施是非についても検証を行う。

これらの検証を踏まえて「技術導入指標」の評価点をクモの巣グ

ラフで俯瞰しながら「持続可能な都市づくり」のバランスを見る。

Page 69: アジア諸都市に係る サステナビリティ指標に関する 調査事業 報 … · 委員 小川 和典 国際協力銀行インフラ・環境ファイナンス部門

61

2. フェーズIの進め方(現地訪問及び自己診断による各軸ステージ判別)

我が国の中央省庁担当者がアジア新興国の中央政府担当者を訪問して「持続可

能な都市づくり」のモデル都市を選定する際、また我が国の地方自治体担当者が

同じくアジア新興国の地方政府担当者を訪問して、環境交流事業を行う際などに

本事業で開発された「都市評価シート」を用いて、「持続可能な都市づくり」に

向けたアジア新興国諸都市の現状を簡易に自己診断する(ヒアリングしながらそ

の場で実施)。

評価結果(軸別にステージ分けされる)を見ながら、そのステージに相応しい

我が国の技術導入事例を紹介し、その後の技術導入に向けた議論の流れを作る。

図表 37 フェーズIのイメージ

(資料)三菱UFJリサーチ&コンサルティング作成

政策対話の一環として、日本の中

央・地方自治体担当者が、現地政

府を訪問。

対象となる都市について、現地政府担当者と共

に「都市評価シート」を用いながらその場で自己

診断

各軸どのステージに属する

のかを判断し、改善のため

に必要な導入技術の候補を

日本側から例示

廃棄物の不適正な処理によって疫病等が発生し、都市住民に健康被害が生じている

廃棄物の不適正な処理やリサイクルが行われないことから、悪臭問題、景観問題が発生し、都市住民の生活環境を悪化させている

域内に経済合理的な処理・リサイクル技術が存在しないため、規制の緩い周辺都市へ悪臭・景観・埋立地不足等の問題を輸出している(する可能性がある)

廃棄物の不適正な処理による都市住民への健康被害から、経済損失が発生している

廃棄物の処理に大きなコストがかかっており、行政の財政を圧迫している

廃棄物発生量の減少見込みが小さく、将来に埋立処分場の不足等の廃棄物問題やコスト負担が発生する可能性がある

衛生的な埋立処分場が存在せず、埋め立てられた廃棄物が悪臭問題、水資源・土壌汚染を引き起こしている

廃棄物の容量を圧縮する技術を保有しておらず、埋立処分場の不足の一因となっている

廃棄物管理・処理のコスト負担の削減のために、回収から処理までのライフサイクルコストを考慮した、効率的な廃棄物管理ツールの導入が必要となっている

金属資源(有害資源に該当するもの)の経済的な分離・処理技術を有していないことから、有害廃棄物の分別回収・処理が行われていない

付加価値を高めるリサイクル技術を保有していないために域内での経済的なリサイクルが成立していない

ライフサイクルの短い製品、設備が多く使用されており、廃棄物発生量の減少が見込まれない

人または環境への間接的な

影響

健康被害

経済損失

人または環境への直接的な影響

廃棄物の管理・処理

資源の効率的な利用

インフラ、技術に由来するも

大分類 小分類 チェック項目 チェック

「廃棄物」軸

「水」軸

「エネルギー」軸

・・・

ステージ△

ステージ○

ステージ■

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62

3. フェーズIIの進め方(現状評価と導入技術の絞り込み)

各軸・ステージ別に都市固有データを用いて「持続可能な都市づくり」に向け

た現状を定量的に評価する(現地政府担当者が統計データを自ら探しながら採点

する)。

都市固有のデータがない場合は国平均で代替し、それも難しい場合には評価対

象外とする。

評価点の低いものから優先的に技術導入による都市環境の改善可能性を提案、

検討していく。その際、そのステージに相応しい技術について、我が国における

過去の導入事例を紹介の上(各軸・ステージ別に整理済み)、導入提案を行う。

図表 38 フェーズIIのイメージ

(資料)三菱UFJリサーチ&コンサルティング作成

技術分野(技術戦略マップから)

普及状況(A)

長期安定性

(B)

代替指標(国平均値)評価点(A×B)

日本の技術導入事例(ステージ別)普及状況

(代替指標A)長期安定性(代替指標B)

●●のゼロエミッション化

●●の割合(%)

ライフサイクルコスト単位金額あたり処理能力(USD/t)

△△の割合(%)

ライフサイクルコスト単位金額あたり処理能力(USD/t)

45 ・△△処理技術・××燃料化技術 etc.

●●資源の再利用促進

●●の実施率(%)

△△の実施率(%)

60 ・○○高度選別技術・△△ソーター etc.

持続可能な●●の利用

●●再資源化量(%)

△△再資源化量(%)

10 ・○○設計・□□発生抑制技術etc.

38

各軸(7軸)×各ステージ(3ステージ)別の技術

導入指標(複数あり)について、各都市の統計

データをもとに採点(我が国平均水準と比較)

都市データがない場合、国

平均でも代替可。代替不可

の場合、評価対象外

評価対象外のものを除いて算術平均

をとる(=その軸の評価点)。低得点

のものから技術導入を検討・提案

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63

4. フェーズIIIの進め方(技術導入を効果的なものとするための制度整備支援)

導入技術を有効に機能させるためには、関連法令や統計制度の整備、管理体制

の構築、関連産業の育成、経済的制度の導入等といったソフト面での施策も必要

不可欠である。

各軸・ステージ別の「制度整備状況チェックリスト」を参考にして、整備する

必要がある制度を洗い出し、我が国で蓄積されてきた政策立案や事業運営のため

のノウハウを紹介しながら、現地政府担当者による取り組みを促す。

技術導入と並行してこれらの評価や政策立案等を我が国の中央省庁・地方自治

体担当者が支援することで、技術導入の効果をさらに大きくさせることを目指す。

図表 39 フェーズIIIのイメージ

(注)廃棄物軸の「進展ステージ」における制度整備状況チェックリストの例

(資料)三菱UFJリサーチ&コンサルティング作成

評価項目・類似充足で「○」、そうでない場合「×」

政策

【中央】○産業廃棄物処理業の高度化と処理施設に対する地域理解の促進の推進 ・(新)産業廃棄物処理業のグリーン成長・地域魅力創出促進支援事業 ・ITを活用した循環型地域づくり基盤整備事業 ・製造業者等と連携した循環産業形成支援事業 ・廃棄物エネルギー導入・低炭素化促進事業○循環資源の高度利用に向けた取組 ・循環型社会形成推進等経費 ・レアメタル等を含む小型電子機器等リサイクル推進事業費○循環型社会形成に必要な廃棄物処理施設の着実な更新 ・環型社会形成推進交付金(公共)(浄化槽分を除く) ・廃棄物処理センター等に対する補助事業(公共)【地方】○廃棄物削減の取り組み ・ごみ処理基本計画の作成○リサイクルの推進、循環ビジネス化への取り組み ・各種法令に基づいたリサイクルの推進 ・地元企業の廃棄物処理を支援 ・リサイクル企業の育成・誘致

1.廃棄物処理業の高度化を促す技術開発支援事業が存在する。2.廃棄物処理を高度化するための企業間連携、共同研究等を促す事業が存在する。3.廃棄物の適正処理を拡大させるための設備導入を支援する資金支援制度が存在する。4.資源の安定確保という視点からリサイクルを促す制度が存在する。5.廃棄物処理に関する計画が存在する。6.法令に基づいてリサイクルがきちんと機能している。7.地元企業による廃棄物処理が過半を占める。8.リサイクル企業の育成・誘致を行うための経済的制度が存在する。

1.○2.×3.×4.×5.○6.×7.○8.×

我が国(中央官庁、地方自治体)における取り組み事例

制度整備状況に関する評価欄

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64

5. フェーズIVの進め方(技術導入後のフォローアップ)

技術導入後も定期的に技術導入指標を更新評価し、技術導入前と比べてその効

果が出ているかどうかを検証する。

ある程度の改善が認められる場合には、その他分野における技術導入の必要性

や他の軸における改善状況とのバランスをみながら、必要な技術普及、また新技

術の導入、各種ソフト施策の実施必要性について検討を加えて行く。

定期的に技術導入指標や都市評価シートによる再評価を行い、「持続可能な都

市づくり」の達成状況について、アジア新興国の政策立案担当者のみならず、そ

れを支援する我が国の中央省庁・地方自治体担当者も確認できるようにする。

ただし厳密には、都市評価シートによって軸ごとにステージ分けは行われるた

め、異なるステージに分類された軸同士の点数を単純比較することは出来ない。

そのためクモの巣グラフの頂点には軸の名称と併せて当該軸のステージが記され

ており、どのステージにおける評価点数であるかが明示されるようになっている。

図表 40 フェーズIVのイメージ

(資料)三菱UFJリサーチ&コンサルティング作成

実施・実行(Do)【フェーズII~III】

計画(Plan)【フェーズI】

点検・評価(Check)

【フェーズIV】

処置・改善(Action)

【フェーズIV】

我が国の中央省庁・地方

自治体担当者が、アジア新

興国との政策対話の一環

として現地を訪問し、「都市

評価シート」を用いて現地

ヒアリングを実施

各軸どのステージに属する

のか、またどのような技術

導入が相応しいのかを現

地政府向けに提案

各軸・ステージ別の「技術

導入指標」を用いて各都市

を評価。相応しい技術につ

いて我が国における過去

の導入事例から提案を行

う。

技術を効果的に機能させ

るため、不足するソフト施

策についても「制度整備

チェックリスト」を用いて提

案を行う。

更なる改善が望まれる分

野(技術導入指標1つにつ

いて一つの分野が対応)、

また軸(7つの軸)について、

導入技術の普及拡大、新

たな技術の導入、これらを

十分機能させるための各

種ソフト施策を実施していく。

改めて「都市評価シート」を

用いて自己診断を行い、

「持続可能な都市づくり」の

達成状況を確認する。

技術導入後、再び「技術導

入指標」を用いて各都市を

評価し、導入前と比べてど

の程度改善されているかを

検証する。

また、ソフト施策の実施是

非についても検証を行う。

これらの検証を踏まえて

「技術導入指標」の評価点

をクモの巣グラフで俯瞰し

ながら「持続可能な都市づ

くり」のバランスを見る。

Page 73: アジア諸都市に係る サステナビリティ指標に関する 調査事業 報 … · 委員 小川 和典 国際協力銀行インフラ・環境ファイナンス部門

65

図表 41 複数軸のバランスをみながら発展するイメージ

(資料)三菱UFJリサーチ&コンサルティング作成

各項目の平均点(廃棄物軸の例)

大気

土壌

廃棄物エネルギー

ICT

交通

Basic 100

「持続可能な都市づくり」の軸全体で比較

データ整備

○/●

データ整備

○/●

データ整備

○/●

データ整備

○/●

データ整備

○/●

データ整備

○/●

データ整備

○/●

Adv./Com. 100

Adv./Com. 50

Basic 0

都市建設物のゼロエミッション

金属資源

の利用高

度化

持続可能な資

源利用の促進(リサイクルが難しい)

資源の利用高度化

都市におけるマ

テリアルフローコ

ストの改善

有害廃棄物

の適正処理

25

100

50

0その他

資源の

利用高

度化

各項目の平均点

(Advance:○○

ポイント)

大気

土壌

廃棄物

エネルギー

ICT

交通

大気

土壌

廃棄物

エネルギー

ICT

交通

5年後「水」・「廃棄物」軸で改善

データ整備

○/●

データ整備

○/●

データ整備

○/●

データ整備

○/●

データ整備

○/●

データ整備

○/●

データ整備

○/●

データ整備

○/●

データ整備

○/●

データ整備

○/●

データ整備

○/●

データ整備

○/●

Basic 100

Adv./Com. 100

Adv./Com. 50

Basic 0

Basic 100

Adv./Com. 100

Adv./Com. 50

Basic 0

データ整備

○/● データ整備

○/●

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66

IV.海外における現地調査

IV-1. 現地調査結果

日時 訪問先及び訪問者概要

平成27年

11月17日

ISIS(Institute of Strategic and International Studies)

マレーシア戦略国際問題研究所。自主的に設立された非営利の研究

機関で、マレーシア国内・国外の経済、外交政策、社会政策、技術・

改革・環境・サステナビリティ等の問題を研究している。

SWC(Solid Waste Management and Public Cleansing Corporation)

マレーシア・廃棄物管理公社。住宅自治体省の直下にあり固形廃棄

物に関する管理を担当する機関である。

11月18日 DBKL(Dewan Bandaraya Kuala Lumpur: クアラルンプール市)

クアラルンプール市 Rahman氏(健康・環境部門 環境部副部長)

11月19日 ITB (Bandung Institute of Technology) Prayatni教授

インドネシア・バンドン工科大学 都市環境工学学科教授。

上下水工学研究グループ長

水分野で権威ある教授。生活排水が特にご専門。

BPLH(Badan Pengelola Lingkungan Hidup)Bandung

インドネシア・バンドン市環境管理局。

DK(Dinas Kebersihan)Bandung

インドネシア・バンドン市清掃局。

11月20日 ITB (Bandung Institute of Technology) Enri教授

インドネシア・バンドン工科大学 都市環境工学学科教授。

大気・廃棄物管理研究グループ長

廃棄物関係で非常に権威のある教授。廃棄物関係の詳しい情報を持

っており、また影響力も非常に強い。

PDAM (Perusahaan Daerah Air Minum: PDAM)ボジョンソワン下水

処理場

PDAMは地方自治体が100%出資する水事業を担う公営公社。バンドン

市のPDAMは、飲料水の供給部門、下水処理部門、総務部門の三つの

部門に分かれ、当施設は下水処理部門に属する。

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67

(1)指標体系に関する反応

指標体系の全体像については概ね理解いただき、全体として関心は持って頂い

た。特に行政担当者は自身の都市がどのように評価されているかという点が気に

かかるようであり、このような指標をコミュニケーションツールとして用いて政

策対話を行うことの有効性が示されたと考えられる。また、指標による評価の重

要性についても現地では認識されており、指標により問題の進捗管理を行うこと

に関する問題意識は全体として抱いているようであった。

一方で、都市の類型化指標については、全体的にネガティブな意見が多く得ら

れた。その理由として多かったのは、現状のモデルでは類型化指標への回答が難

しく、クリアに類型化を行うことが出来ないという指摘だった。また、都市を一

つの類型に当てはめることは都市の多様性を無視することになってしまうため、

類型化自体に反対という意見も得られた。

図表 42 ヒアリング調査での主なコメント(1)

各都市は、異なるカテゴリーの特徴を併せ持つ可能性があるので、類型

化指標により一つの類型に分けることは避けた方が良い。個別の指標は、

複数のカテゴリーを対象に測ることが望ましいだろう。(研究機関)

全ての指標についての定量データを収集するのではなく、コミュニケー

ションのツールとして定性評価を聞き取る中で活用を進めていくのがよ

いであろう。(研究機関)

指標の利用による評価は重要なことであり、歓迎する。(行政機関)

類型化指標への回答は、既に取り組みはあるがより推進したい場合など

に、単純なYes/Noでは答えることが難しい。(行政機関)

指標体系についてはクリアに理解出来た。(行政機関)

このような指標は行政担当者にとって有益であり、歓迎する。(行政機

関)

都市を類型化することは失礼には当たらないと思うが、行政官はその類

型化を受け入れるかどうかは分からない。(行政機関)

類型化指標やその体系は理解したが、現状の体系では都市を明確に類型

化することは難しい。(研究機関)

大都市にはスラム地域などが存在し、域内でも異なる状況がある点は考

慮が必要である。各都市の担当者には、対象範囲を明確に伝えたうえで、

対応してもらうのが良い。(研究機関)

一つの市を一つのカテゴリーに選定することは都市の多様性を無視する

ことになるので注意が必要である。(研究機関)

日本からの使節団が訪問した際の最初の協議で、指標を用いて議論を行

うことは一定の意義はあると思われる。(行政機関)

技術導入を目的とするのであれば、指標を用いるよりも、具体的に被支

援側自治体のニーズを聞く方が効率的であり、また効果的であると思わ

れる。(行政機関)

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68

現状の類型化のモデルは、対象地域に応じた修正が必要である。例えば

インドネシアにおける廃棄物分野を考えた場合、ごみ収集の主体は自治

体でなく地域のコミュニティであり、その存在は無視できない。(研究

機関)

発展はリニアな経路を辿らない場合があるので、その点は注意が必要で

ある。例えば、スラバヤ市はコミュニティの力を活用した独特の発展形

態を示している。(研究機関)

市長の情熱次第で劇的に状況が変わることはあり得るため、カテゴリー

間の一足飛びの変化は起こり得る。(研究機関)

インドネシアにおいて最も望ましい姿は、行政とコミュニティの役割の

インテグレーションが取られた状態だと考えられる。(研究機関)

現状の類型化指標では、施策のレベルを評価することが難しい。施策の

有無と、施策の充足度合に分けて整理してはどうか。(研究機関)

技術導入指標について、建築廃棄物や金属の廃棄物は、廃棄物ではなく

有価物として各家庭(あるいは事業者)からインフォーマルセクターに

販売されるので、廃棄物発生量はゼロとなってしまう。(研究機関)

技術導入指標は、最初に廃棄物処理の指標を、その後にリサイクルなど

のビジネス関連の指標を並べるべきである。(研究機関)

(資料)三菱UFJリサーチ&コンサルティング作成

Page 77: アジア諸都市に係る サステナビリティ指標に関する 調査事業 報 … · 委員 小川 和典 国際協力銀行インフラ・環境ファイナンス部門

69

(2)技術課題・ニーズ

技術導入の際に重視することとしてまず挙げられるのは、やはり価格面である。

高価で高品質な製品ではなく、現地にあった適切なレベルの製品を求めている場

合が多い。特にイニシャルコストの安さが求められており、相対的に高価な日本

の技術は不利な状況にあると言える。ただし、日本の設備はヨーロッパのものに

比べるとむしろイニシャルコストが安くオペレーションコストが高いという話も

得られている。

価格面以外で重要な要素として多く挙げられたのは、運転管理やメンテナンス

の容易さなどである。現在導入されている技術は管理が難しいものも多いという

意見が得られており、メンテナンスの容易さを強調することにより現地で受け入

れられる可能性が高まることが示唆された。

その他にも、効率性、安全性などを求める意見も得られており、こういった日

本が得意とする部分を押し出しつつ、かつ価格面を適切なレベルに設定すること

が技術導入の際には重要であると考えられる。

図表 43 ヒアリング調査での主なコメント(2)

KL市では、数年前に住民の反対から焼却炉の導入を断念したことがある

が、埋立地の不足やリサイクルの進展などにより、焼却炉を求める声が

高まっている。(研究機関)

技術導入に際しては、価格が重要である。日本から安い技術を紹介して

頂けるとよい。(行政機関)

ランニングコストの安さも考慮するが、やはり財務省から予算を得るた

めにはイニシャルコストの安いものが選ばれやすい。ただし、予算に余

裕のある都市では必ずしもイニシャルコストだけに縛られずに技術を選

択できる可能性がある。(行政機関)

設備導入に際して重要となるのは安さである。イニシャルコストと、オ

ペレーションコストの両方が重要である。(行政機関)

日本はヨーロッパの設備に比べるとむしろイニシャルコストが低く、オ

ペレーションコストが高い。(行政機関)

日本の技術を以前導入したが、修復・メンテナンスの際には日本の部品

を買わなくてはいけないことが難点である。現地の部品では組み合せが

上手くいかず、高価な日本の部品でないと機能しないので、現地化した

いと考えている。(行政機関)

インドネシアでは国家プログラムとして、スラム街においてオンサイト

の汚水浄化を進めることを検討している。(研究機関)

民間企業の場合は、日本の技術のような先進的な技術の導入でも比較的

進みやすいであろう。(研究機関)

技術を売り込む際には、メンテナンスの容易さを強調するとよい。現在

導入されている技術には、高価な上に運転管理やメンテナンスが難しい

ものも多い。(研究機関)

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70

水道公社(PDAM)では、予算の都合上、古い技術を利用しており効率が

良くない。(研究機関)

巨大な水処理システムを組むのは予算の都合上難しいため、技術導入の

際には、より安く、より速いオンサイト処理が求められる。(研究機関)

バンドン市はごみの減量を計画している。現在は小型のバイオダイジェ

スターの導入についての協議を進めている。(行政機関)

近年、近くの最終処分場で爆発があり、管理の強化が必要との声が地域

住民より上がっている。(行政機関)

今後設備を導入する際は、中規模の処理施設が望ましい。(行政機関)

廃棄物の回収・選別・輸送の過程における課題としては、回収車が不足

していることが挙げられる。従来、回収車は主に外国から購入していた

が、最近では国内での調達も増やしている。(行政機関)

排水処理場とごみ処理場の整備を重要課題として考えている。(行政機

関)

現在プラスティックごみの削減プロジェクトを検討中である。その他に、

水のリサイクルなどを検討している。(行政機関)

技術導入に際して、安さ以外に考慮すべき重要な点としては、設備の安

全さと健全さが挙げられる。(研究機関)

リサイクルはバンドン市における最も重要な課題である。ただし、高価

高額な技術ではなく、適切な技術が必要である。(研究機関)

インフォーマルセクターの存在にも配慮した技術普及が望まれる。例え

ば、手選別や中間処理場での選別を考慮した技術である。(研究機関)

バイオダイジェスターの導入は、ごみをむしろ増やしてしまうことが多

く、失敗してきた。運転ノウハウの不足が問題であったと考えている。

(研究機関)

インフラは現状から変更せずに、効率化するような技術があるとよい。

(行政機関)

技術導入の際には、まず効率がよいこと、操作性が良いこと、そしてコ

ストが安いものがよい。(行政機関)

放流水の水質については、現状でも基準を満たしているが、今後は人口

が増え流入水の量も増えるので対応が必要である。(行政機関)

(資料)三菱UFJリサーチ&コンサルティング作成

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71

(3)データ入手の可能性

全体的に、データの入手を都市レベルで行うことは容易ではないという指摘が

多く得られた。原因としては、自治体内の複数の部署にデータが点在しており、

集約することが難しいことや、データ測定のための設備導入が遅れていることな

どが挙げられた。

一方で、データを整備することについての問題意識は多くの行政担当者、研究

者が抱えているようであった。もしデータ収集のためのプロジェクトなどが設け

られれば、好意的に受け止められ一定程度のバックアップが得られる可能性があ

ると考えられる。

ただし、自治体側に何らかのメリットがないとデータ収集に協力的にはならな

いとの指摘も得られており、中央省庁等を巻き込んで各自治体を説得するような

データ収集プロジェクトを設けることの有効性が示唆された。

図表 44 ヒアリング調査での主なコメント(3)

個別自治体の指標データの収集は、複数の部署でデータが点在しており、

難しいと言える。(研究機関)

プトラジャヤでは、廃棄物発電やリサイクル関係のデータなど15の指標

を入手したことがあるため、これらの項目であれば収集可能だろう。(研

究機関)

自治体側にメリットがなければデータを取得するのは難しいので、中央

政府を通じて各自治体を説得することが有効だと考えられる。(研究機

関)

中央政府を通した場合でも、個別のプロジェクトを各市に組成しないと

データの収集は難しいだろう。(研究機関)

類型化指標であれば、各都市で主観的な評価を行うことは可能だろう。

(研究機関)

MURNInetと呼ばれる既存の指標があるため、ここで使われたデータは利

用できるだろう。公的な機関のプロジェクトなので、秘密保持契約など

を締結すればデータの入手が可能だろう。(行政機関)

マレーシアではシンガポールなどに比べて測定箇所が多く、装置をなか

なかアップデートできない事情がある。(行政機関)

データ測定のための設備導入が地方部では遅れている。(行政機関)

(資料)三菱UFJリサーチ&コンサルティング作成

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72

(4)現地環境の現状と今後の課題

現地環境の現状としては、全体的に環境状況に依然として多くの問題を抱えて

いることが明らかとなった。ただし、状況改善のための取り組みは多数存在して

おり、状況の改善に前向きであることはうかがえる。

また、政策は既に整備されているが、インプリメンテーションが課題であると

いう意見も得られており、政策を機能させるための実効能力に課題を抱えている

ことが明らかとなった。

日本には存在しないようなシステムや体制などがあり、実際の技術導入の際に

はこうした違いに配慮して実施する必要があることが示唆された。例えばインド

ネシアでは、地域のコミュニティによるごみ収集・分別が行われていることや、

インフォーマルセクターの存在(廃棄物を重要な収入源とするスカベンジャーな

ど)があることなどである。

図表 45 ヒアリング調査での主なコメント(4)

現在は、選別とリサイクルが強制的に実施されている。(研究機関)

ごみの分別については、トランスファーステーション(廃棄物の仮置場)

と最終処分場で、手動で分別している。(行政機関)

生活ごみの収集量は、全国で3.5万トン/日である。そのうち、85%はそ

のまま埋め立てられており、リサイクルは15%のみである。焼却炉は島

嶼部におかれている4か所のみで、150トン/日程度のキャパシティしか

ない。(行政機関)

KL地域では、焼却炉の入札がはじまった。1000t/日の仕様で、発電機能

つきである。現在は、中間処理施設に送り、60キロ先の埋立地に処分し

ている。(行政機関)

現在リサイクルが最も多く行われているのは紙類である。その他にアル

ミ缶、プラスチック、ガラスを扱っている。(行政機関)

2015年の9月から、8州でごみの分別が開始した。プラスチック、紙、

その他リサイクル品が対象であり、有害物も分離することが決まってい

る。法律による罰則規定の適用は来年6月から開始する予定である。(行

政機関)

現在、上水道へのアクセス率、汚水処理施設へのアクセス率はともに60%

である。ただし下水道システムへのアクセス率は3%程度である。(研

究機関)

バンドン市は上水道も汚水処理も課題が多い。水道については、乾季に

は断水も発生しており、また漏水や無収水率の改善も必要である。(研

究機関)

政策は既に整備されているが、インプリメンテーションが課題である。

産業排水については、多くの事業者が排水処理装置を保持しているが、

現実には稼働させていないことが多い状況である。(研究機関)

インドネシア政府国家開発計画庁(BAPPENAS)の国家プログラムで

「100-0-100」という事業がある。2019年までに水道と下水処理へのアク

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73

セス率を100%達成する目標であり、現在多くの事業が進んでいるが、達

成は難しい状況である。(研究機関)

このうち、下水道の普及率は5%が目標で、残りはセプティックタンク

等のオンサイトシステムで対応する予定である。(研究機関)

バンドン市の廃棄物発生量は、0.5kg/日/人で、市全体では1500~1700ト

ン/日である。そのうち収集できている量は1000~1100トン/日、リサイ

クルされている量は200トン/日であり、残りの200トン程度の行き先は不

明である。(行政機関)

家庭ごみの組成は次の通りである。有機廃棄物56%、メタル0.2%、紙

10.6%、有害物0.1%、プラスティック・ゴム18.5%、布:7.4%、その他

6.5%。家庭ごみ以外の廃棄物の組成としては、有機廃棄物が48%、その

他が52%である。(行政機関)

市内に埋立地はなく、サリムティ(市内から車で2.5時間の距離)に州が

運営するオープンダンピングの埋立地がある。2017年度から、バンドン

により近いレゴックナンカにおけるガス化施設を用いた処理へと移行す

る予定である。サリムティのごみ処理費(Tipping Fee)は、3,500ルピア/

トンであるが、レゴックナンカにおける処理では、130,000ルピア/トン

となる予定である。(行政機関)

インドネシアでは、コミュニティベースによるごみ収集・分別を進めて

おり、自治体は設備や技術者の派遣などでサポートしている。ただし、

コミュニティによる収集が不可能な地域では、行政が直接収集している。

(研究機関)

現在、バンドンでは特にリサイクルを推進している。リサイクルにおけ

る最初の段階は分別であるため、バンドンでは各家庭での分別が非常に

重要となっている。(研究機関)

中央政府はBank of Garbageというごみ収集場所を設置している。住民が

そこに有価廃棄物を供出し、そこからインフォーマルセクターが回収し、

対価を受領する仕組みとなっている。(研究機関)

課題としては、コミュニティごとの質や資金力、業務能力の差や、行政

による全体のコーディネートなどがある。(研究機関)

政府はインフォーマルセクターの存在を問題視しているが、廃棄物はス

カベンジャーにとって重要な収入源であるため、簡単な問題ではない。

(研究機関)

公衆衛生や、焼却炉・埋立地などの問題は環境森林省(Ministry of

Environment and Forestry)の管轄であるが、その具体的な建設は公共

事業省(Ministry of Public Works)の管轄である。またそのマネジメ

ントは内閣府が担当しており、省庁間の連携が課題である。(研究機関)

(資料)三菱UFJリサーチ&コンサルティング作成

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74

(5)今後の連携可能性

今後の連携可能性については、概ねポジティブな返答が得られた。行政担当者

からは、既に何度か日本の都市とプロジェクトを行ってきているとの話も得られ

ており、連携に前向きであった。研究者からも、今後指標開発に関係してコンタ

クトを取ることについては概ね受け入れられた。

一部の指摘として、都市間連携自体は問題ないが、ローンによる技術導入を行

った際に資金的なやりくりが難しくなった場合があったため、贈与の形が望まし

いとの意見があった。贈与による援助でないと分かった途端に現地の担当者が関

心を示さなくなる可能性もあると考えられるため、政策対話を行う際にはその点

を注意する必要があることが示唆された。

図表 46 ヒアリング調査での主なコメント(5)

今後も協力することは構わないので、必要があればコンタクトを取って

ほしい(行政機関)

過去に横浜市、大阪市、北九州市とは都市間の連携プロジェクトを行っ

た経験がある。(行政機関)

JICAを通して北九州市との協力は既に多くあるため、今後の事業では、

できれば横浜市と協力関係を結びたい。(行政機関)

都市間協力は、特定分野に限るのではなく、包括的なものであることが

望ましい。(行政機関)

都市間協力の協議を具体的に進める場合にはDBKL(クアラルンプール市)

に話を持ちかけるのが良い。ただし、その場合でも廃棄物分野ではSWCが

関わることになる。(行政機関)

今後も協力することは構わない(研究機関)

機関としての協力か、個人としての協力かでも違いが生じうるので、そ

の点についても相談してほしい。(研究機関)

施設のローンの支払いに困難を感じているため、今後日本から協力が得

られるのであれば、ローンの形は避けたい。(行政機関)

連携の要望としては設備や設計の妥当性の検討や、FS調査を実施したい。

(行政機関)

基本的には、技術協力や技術の実証活動が連携の最初のステップになる

と考えている。(行政機関)

バンドン市は、オランダ政府から贈与を得て、それを水道配管の延長お

よび改良に利用した経験がある。最近では、オーストラリアから贈与を

受け、家庭から排水処理場への下水道を整備した。(行政機関)

日本の技術を見たことがないため、どのような特徴があるか分からない。

今後も施設の改善をしていきたいと考えているので、日本から紹介でき

る技術があれば紹介していただきたい。(行政機関)

(資料)三菱UFJリサーチ&コンサルティング作成

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75

IV-2. 開発指標の試行結果

1. マレーシア・クアラルンプール市

(1)都市評価シート

現地調査、各種文献調査を基に、廃棄物・水・エネルギー軸についてマレーシ

ア・クアラルンプール市の都市ステージ評価を行った結果を図表 48~図表 51に

示す。

廃棄物軸では「基本ステージ」に該当するチェック項目が0個、「進展ステージ」

に該当するチェック項目が4個、「包括発展ステージ」に該当するチェック項目が

2個となり、「進展ステージ」の加算ポイントが最も高くなった(図表 48)。廃

棄物軸については「進展ステージ」に該当すると判定される。

水軸(上水)では「基本ステージ」に該当するチェック項目が0個、「進展ステ

ージ」に該当するチェック項目が5個、「包括発展ステージ」に該当するチェック

項目が1個となり、「進展ステージ」の加算ポイントが最も高くなった。水軸(上

水)については「進展ステージ」に該当すると判定される(図表 49)。

水軸(下水)では「基本ステージ」に該当するチェック項目が1個、「進展ステ

ージ」に該当するチェック項目が5個、「包括発展ステージ」に該当するチェック

項目が0個となり、「進展ステージ」の加算ポイントが最も高くなった。水軸(下

水)については「進展ステージ」に該当すると判定される(図表 50)。

エネルギー軸では「基本ステージ」に該当するチェック項目が0個、「進展ステ

ージ」に該当するチェック項目が5個、「包括発展ステージ」に該当するチェック

項目が1個となり、「進展ステージ」の加算ポイントが最も高くなった。エネルギ

ー軸については「進展ステージ」に該当すると判定される(図表 51)。

図表 47 クアラルンプール市の都市ステージ評価まとめ

「基本ステー

ジ」

「進展ステー

ジ」

「包括発展ス

テージ」

廃棄物 ○

水 上水 ○

下水 ○

エネルギー ○

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76

図表 48 クアラルンプール市 廃棄物軸での都市ステージ評価結果

(資料)三菱UFJリサーチ&コンサルティング作成

配点表 集計表

Basic Advanced Comprehensive

廃棄物の不適正な処理によって疫病等が発生し、都市住民に健康被害が生じている

5 0 0 0

廃棄物の不適正な処理やリサイクルが行われないことから、悪臭問題、景観問題が発生し、都市住民の生活環境を悪化させている

5 0 0 0

域内に経済合理的な処理・リサイクル技術が存在しないため、規制の緩い周辺都市へ悪臭・景観・埋立地不足等の問題を輸出している(する可能性がある)

5 0 0 5

廃棄物の不適正な処理による都市住民への健康被害から、経済損失が発生している

5 0 0 0

廃棄物の処理に大きなコストがかかっており、行政の財政を圧迫している 5 0 5 0

廃棄物発生量の減少見込みが小さく、将来に埋立処分場の不足等の廃棄物問題やコスト負担が発生する可能性がある

5 0 0 0

衛生的な埋立処分場が存在せず、埋め立てられた廃棄物が悪臭問題、水資源・土壌汚染を引き起こしている

2.5 0 0 0

廃棄物の容量を圧縮する技術を保有しておらず、埋立処分場の不足の一因となっている

2.5 0 2.5 0

廃棄物管理・処理のコスト負担の削減のために、回収から処理までのライフサイクルコストを考慮した、効率的な廃棄物管理ツールの導入が必要となっている

2.5 0 0 0

金属資源(有害資源に該当するもの)の経済的な分離・処理技術を有していないことから、有害廃棄物の分別回収・処理が行われていない

2.5 0 0 0

付加価値を高めるリサイクル技術を保有していないために域内での経済的なリサイクルが成立していない

2.5 0 2.5 0

ライフサイクルの短い製品、設備が多く使用されており、廃棄物発生量の減少が見込まれない

2.5 0 0 0

廃棄物管理・処理のための法制度の整備が十分でなく、定期的な廃棄物の行政回収、有害廃棄物の分別回収、適切な処理が行われていない

2.5 0 0 0

廃棄物管理・処理のための法制度の整備が十分でなく、効率的な廃棄物処理方法が普及しておらず、廃棄物処理コストの増加、埋立処理場逼迫の一因となっている

2.5 0 0 0

人口増加や経済水準の上昇を見越した廃棄物処理能力の増強に関する計画や準備が整っておらず、将来において問題が発生する懸念がある

2.5 0 0 2.5

廃棄物管理・処理のための規制が機能していないために、金属資源(有害資源に該当するもの)が適正に回収・処理されていない

2.5 0 0 0

廃棄物の分別、選別(機械・人力を問わない)を進める取組がなされておらず、域内での経済的なリサイクルが成立していない

2.5 0 2.5 0

廃棄物の発生量削減の取組が行われておらず、都市住民一人当たりの都市廃棄物発生量が同水準の他都市よりも多い

2.5 0 0 0

0 12.5 7.5

資源の効率的な利用

2.5

5

人または環境への間接的な

影響

インフラ、技術に由来するも

廃棄物の管理・処理

10

2.5

資源の効率的な利用

2.5

政策、法制度に由来するも

廃棄物の管理・処理

人または環境への直接的な影響

健康被害

10

経済損失

チェック項目Basic Advanced Comprehensive

2.5

5

大分類 小分類大分類 小分類 チェック項目 チェック

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77

図表 49 クアラルンプール市 水軸(上水)での都市ステージ評価結果

(資料)三菱UFJリサーチ&コンサルティング作成

(上水) 配点表 集計表

Basic Advanced Comprehensive

飲料水(水道水、ボトルドウォーターも含む)の確保が困難で、都市住民に生命や健康を害する場合が発生している

5 0 0 0

上水処理が十分に行われておらず、水道水から悪臭、濁りが発生し、都市住民の生活環境を悪化させている

5 0 0 0

現状は十分な水の利用が可能であるが、将来に渡り持続可能な形での水源の維持が出来ず、都市住民の生活環境を悪化させる懸念がある

5 0 0 5

上水処理が十分に行われていないことによる都市住民への健康被害から、経済損失が発生している

5 0 0 0

上水の浄化に多大なコストが発生しており、行政の財政を圧迫している 5 0 5 0

現状は十分な水の利用が可能であるが、将来に渡り持続可能な形での上水の維持が出来ず、水確保のためのコスト負担が増加する可能性がある

5 0 0 0

上水処理設備が不足、水道管の敷設がなされておらず、上水の供給が行われていないエリアがある

2.5 0 0 0

上水処理の設備に効率の悪い設備が多く、水供給のコスト増の要因となっている 2.5 0 2.5 0

高度処理が必要な物質が確認されており、高度浄水処理設備の導入の必要性がある

2.5 0 0 0

上水設備、配水設備のトラブルにより、断水が発生しており水利用に制限が生じている

2.5 0 0 0

水道管からの漏水が発生しており、水資源の利用に無駄が発生している 2.5 0 2.5 0

水の再生処理を行う技術を保有しておらず、水資源の循環利用がなされていない 2.5 0 0 0

水管理に関する法律・制度が十分に整備されておらず、水道料金の徴収が適切に行われていない

2.5 0 0 0

上水処理設備を維持管理していく為の行政の体制構築、財源確保がなされておらず、計画的な上水処理設備の更新が行われていない

2.5 0 2.5 0

将来の安全性や持続可能性を考慮した水管理の計画が策定されておらず、将来において問題が発生する懸念がある

2.5 0 0 0

安定的な水の供給が優先され、水の有効利用に関する基本的な法律・制度が整備されていない

2.5 0 0 0

上水処理設備を維持管理していく為の行政の体制構築、財源確保がなされておらず、水道管からの漏水の修復・修繕が行われていない

2.5 0 2.5 0

水の効率的な利用、消費量削減に対する取組が行われておらず、都市住民一人当たりの水消費量が同水準の他都市よりも多い

2.5 0 0 0

0 15 5

水資源の有効利用

2.5

5

人または環境への間接的な

影響

インフラ、技術に由来するも

水の供給、管理

10

2.5

水資源の有効利用

2.5

政策、法制度に由来するも

水の供給、管理

人または環境への直接的な影響

健康被害

10

5

経済的被害

2.5

小分類チェック項目

Basic Advanced Comprehensive大分類大分類 小分類 チェック項目 チェック

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図表 50 クアラルンプール市 水軸(下水)での都市ステージ評価結果

(資料)三菱UFJリサーチ&コンサルティング作成

配点表 集計表

ステージⅠ ステージⅡ-A ステージⅡ-B

燃料の確保が困難で都市住民に生命や健康を害する場合が発生している 5 0 0 0

発電所由来、液化燃料消費由来の大気汚染が発生し、都市住民の生活環境を悪化させている

5 0 5 0

化石エネルギー消費由来の温室効果ガスにより、都市住民の生活環境の悪化が顕在化している

5 0 0 0

停電、電圧・周波数の乱れが発生し、経済的な損失が発生している 5 0 0 0

エネルギー価格が高止まりしており、都市市民の家計を圧迫、産業部門の収益を悪化させている

5 0 5 0

化石資源由来のエネルギー源だけでは将来的な持続性の維持が難しく、都市住民の生活環境の悪化、産業活動への影響が懸念されている

5 0 0 0

送配電網の敷設がなされておらず、電力供給が行われていないエリアがある 2.5 0 0 0

エネルギー効率の低い発電設備が多く、エネルギー消費の増加、エネルギーコスト増の一因となっている

2.5 0 2.5 0

化石資源を用いた発電設備への依存度が高く、温暖化ガス排出量増加の一因となっている

2.5 0 0 0

電力、ガスメーターの整備が不十分であり、エネルギー消費の把握が行われていない

2.5 0 0 0

エネルギー効率の低い家電や業務機器の使用が多く、エネルギー消費の増加、エネルギーコスト増の一因となっている

2.5 0 2.5 0

ICTを活用した需給制御等の高度なエネルギー利用の最適化の取組を進める必要がある

2.5 0 0 0

エネルギーに関する法制度が機能しておらず、エネルギー料金の徴収が適切に行われていない、エネルギー管理のための財源が確保されていない

2.5 0 0 0

エネルギーに関する法制度が十分に整備されておらず、需給の予測、インフラ整備の計画策定が行われていない

2.5 0 0 0

再生可能エネルギー、代替エネルギーの利用促進が行われておらず、温暖化ガス排出量が同水準の他都市に比べて多い

2.5 0 0 2.5

エネルギー資源の有効活用に関する基本的な法律・制度が整備されていない 2.5 0 0 0

エネルギー消費効率改善、省エネルギーに対する取組が行われておらず、都市住民一人当たりのエネルギー消費量が同水準の他都市よりも多い

2.5 0 2.5 0

都市全体でのエネルギー利用の最適化の取組が行われていない 2.5 0 0 0

0 17.5 2.5

エネルギーの有効利用

2.5

5

人または環境への間接的な

影響

インフラ、技術に由来するも

エネルギーの供給・管理

10

2.5

エネルギーの有効利用

2.5

政策、制度に由来するもの

エネルギーの供給・管理

人または環境への直接的な影響

健康被害

10

経済的被害

チェック項目ステージⅠ ステージⅡ-A ステージⅡ-B

2.5

5

大分類 小分類大分類 小分類 チェック項目 チェック

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図表 51 クアラルンプール市 エネルギー軸での都市ステージ評価結果

(資料)三菱UFJリサーチ&コンサルティング作成

配点表 集計表

Basic Advanced Comprehensive

燃料の確保が困難で都市住民に生命や健康を害する場合が発生している 5 0 0 0

発電所由来、液化燃料消費由来の大気汚染が発生し、都市住民の生活環境を悪化させている

5 0 5 0

化石エネルギー消費由来の温室効果ガスにより、都市住民の生活環境の悪化が顕在化している

5 0 0 0

停電、電圧・周波数の乱れが発生し、経済的な損失が発生している 5 0 0 0

エネルギー価格が高止まりしており、都市市民の家計を圧迫、産業部門の収益を悪化させている

5 0 5 0

化石資源由来のエネルギー源だけでは将来的な持続性の維持が難しく、都市住民の生活環境の悪化、産業活動への影響が懸念されている

5 0 0 0

送配電網の敷設がなされておらず、電力供給が行われていないエリアがある 2.5 0 0 0

エネルギー効率の低い発電設備が多く、エネルギー消費の増加、エネルギーコスト増の一因となっている

2.5 0 2.5 0

化石資源を用いた発電設備への依存度が高く、温暖化ガス排出量増加の一因となっている

2.5 0 0 0

電力、ガスメーターの整備が不十分であり、エネルギー消費の把握が行われていない

2.5 0 0 0

エネルギー効率の低い家電や業務機器の使用が多く、エネルギー消費の増加、エネルギーコスト増の一因となっている

2.5 0 2.5 0

ICTを活用した需給制御等の高度なエネルギー利用の最適化の取組を進める必要がある

2.5 0 0 0

エネルギーに関する法制度が機能しておらず、エネルギー料金の徴収が適切に行われていない、エネルギー管理のための財源が確保されていない

2.5 0 0 0

エネルギーに関する法制度が十分に整備されておらず、需給の予測、インフラ整備の計画策定が行われていない

2.5 0 0 0

再生可能エネルギー、代替エネルギーの利用促進が行われておらず、温暖化ガス排出量が同水準の他都市に比べて多い

2.5 0 0 2.5

エネルギー資源の有効活用に関する基本的な法律・制度が整備されていない 2.5 0 0 0

エネルギー消費効率改善、省エネルギーに対する取組が行われておらず、都市住民一人当たりのエネルギー消費量が同水準の他都市よりも多い

2.5 0 2.5 0

都市全体でのエネルギー利用の最適化の取組が行われていない 2.5 0 0 0

0 17.5 2.5

エネルギーの有効利用

2.5

5

人または環境への間接的な

影響

インフラ、技術に由来するも

エネルギーの供給・管理

10

2.5

エネルギーの有効利用

2.5

政策、制度に由来するもの

エネルギーの供給・管理

人または環境への直接的な影響

健康被害

10

経済的被害

チェック項目Basic Advanced Comprehensive

2.5

5

大分類 小分類大分類 小分類 チェック項目 チェック

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80

(2)技術導入指標

都市評価シートにより、クアラルンプール市は、廃棄物、水(上水・下水)、

エネルギーの何れの軸においても「進展ステージ」に該当すると判定された。技

術導入指標による評価は、「進展ステージ」における技術と指標がセットとなっ

た技術導入指標を用いて評価する。図表 52に廃棄物軸での評価結果、図表 53に

水軸での評価結果、図表 54にエネルギー軸での評価結果を示す。

廃棄物軸では、個別指標Aをみると、固形廃棄物総発生量に対して廃棄処理が行

われている割合、有害廃棄物総発生量に対して廃棄処理が行われている割合、1人

当たりの固形廃棄物発生量の指標で高い点数となっている。点数の低い指標は、

固形廃棄物総発生量に対してリサイクルが行われている割合、廃棄物発電の総発

電量、固形廃棄物総発生量に対して堆肥化が行われている割合、焼却処理が行わ

れている割合、有害廃棄物総発生量に対してリサイクルが行われている割合とな

っている。都市及び国レベルの両方でデータが得られない指標は政府からライセ

ンスを付与されているリサイクル事業者の件数、環境ラベル認証を受けた商品の

流通件数となっている。

個別指標Bをみると、固形廃棄物処理単位重量あたりにかかるコストの指標が低

い点数となっている。データが得られず評価ができない指標は廃棄物発電設備の

ライフサイクルでの発電原価となっている。総合評価点では「進展ステージ」に

おいて28点と評価される。

水軸では、個別指標Aをみると、総じて高い点数となっている。点数の低い指標

は工場排水の平均BOD、排出の基準を全て満たしている事業所の割合となっている。

都市及び国レベルの両方でデータが得られない指標は飲料水の濁度、排水のカド

ミウム濃度となっている。

個別指標Bをみると、下水道管のメンテナンスコストの指標が低い点数となって

いる。データが得られず評価ができない指標は浄水場におけるライフサイクルの

単位処理量あたりのコスト、産業廃水処理設備の平均耐用年数となっている。総

合評価点では「進展ステージ」において39点と評価される。

エネルギー軸では、個別指標Aをみると、送配電ロス率、電力供給予備率、GDP

当りの民生部門のエネルギー消費量、年負荷率、平均世帯所得に占めるエネルギ

ーコストの割合の指標で高い点数となっている。低い点数となっている指標は発

Page 89: アジア諸都市に係る サステナビリティ指標に関する 調査事業 報 … · 委員 小川 和典 国際協力銀行インフラ・環境ファイナンス部門

81

電所の発電端熱効率、顧客1軒当りの年停電時間である。エネルギー軸では都市又

は国レベルのどちらかでデータが得られている。

個別指標Bをみると、火力発電設備のライフサイクルでの発電原価の指標で低い

点数となっている。総合評価点では「進展ステージ」において51点と評価される。

Page 90: アジア諸都市に係る サステナビリティ指標に関する 調査事業 報 … · 委員 小川 和典 国際協力銀行インフラ・環境ファイナンス部門

82

図表 52 クアラルンプール市 廃棄物軸での技術指標評価結果

(資料)三菱UFJリサーチ&コンサルティング作成

項目 数値 算出方法 項目 数値 算出方法 項目 数値 算出方法 項目 数値 算出方法実態評

価実態評価リ

ソース評価基

準評価基準リソース 評価点

実態評価

実態評価リソース

評価基準

評価基準リソース評価点

都市建築物のゼロエミッション化

【技術マップ】建設廃棄物対策(すでにあるもの、これから建てられるもの)(建設発生土の工事現場間での転用)・廃材リユース・リサイクル(再生骨材、木質バイオマス利用、地盤改良材、資源循環住宅等)【事業例】・H25環境省事業「ベトナム社会主義共和国におけるD-waste(建設解体廃棄物)の循環システム構築・展開事業」

・固形廃棄物総発生量に対して廃棄処理が行われている割合[%]

57.5%

・回収された廃棄物のうち適正処理される割合

・固形廃棄物処理単位重量あたりにかかるコスト[US$/t]

0.57

・自治体回収費用:約2.33RM/kg、衛生埋立処理:0.03RM/kg、計:約2.36RM/k・白井グループ、「マレーシア廃棄物視察報告」(2011年)

・固形廃棄物総発生量に対して廃棄処理が行われている割合[%]

・固形廃棄物処理単位重量あたりにかかるコスト[US$/t]

57.5%

Asian GreenCity Indexhttp://www.siemens.com/entry/cc/features/greencityindex_international/all/en/pdf/report_asia.pdf

・廃棄物の適正処理率をそのまま配点

5863.3円/kg

・自治体回収費用:約2.33RM/kg、衛生埋立処理:0.03RM/kg、計:約2.36RM/k・白井グループ、「マレーシア廃棄物視察報告」(2011年)

37円/kg

・自治体の都市ゴミ処理単位重量あたりにかかるコスト・環境省「平成25年度一般廃棄物処理実態調査」

59 34

・固形廃棄物総発生量に対してリサイクルが行われている割合[%]

N/A

・固形廃棄物総発生量に対してリサイクルが行われている割合[%]

5%・マレーシアにおけるリサイクル率

5%

Asian GreenCity Indexhttp://www.siemens.com/entry/cc/features/greencityindex_international/all/en/pdf/report_asia.pdf

20%

・日本における都市ごみ総排出量の内、資源化される量の割合(約20%)を100点と設定・【計算式】100点×(都市・国の資源化率÷日本の資源化率)

25 25

・政府からライセンスを付与されているリサイクル事業者の件数

N/A

・政府からライセンスを付与されているリサイクル事業者の件数

N/A N/A 1

・日本における人口1,000人当りのリサイクル事業者認可数を100点と設定・【計算式】100点×(都市・国の事業者認可数÷日本の事業者認可数)

N/A N/A

(その他)資源の利用高度化

【技術マップ】(プラスチック(燃料化・油化、モノマー化、塗装膜剥離、リグノフェノールプラスチック、3Rを考慮したプラスチック利用等)、バイオマス(焼却発電、燃料化、堆肥化、リグノフェノール等)、ASR(ガス化、複合リサイクル)、複合素材、代替フロン(回収システム、分解技術、低コスト・高効率)・分離・分別、発酵、燃料化(固体、ガス)・ケミカルリサイクル、発酵、燃料化(固体、ガス)【事業例】H25環境省事業「フィリピンメトロセブ地域におけるレジ袋等の軟質系廃プラスチック類マテリアルリサイクル事業の可能性調査」

・固形廃棄物総発生量に対してリサイクルが行われている割合[%]

N/A -

・国の固形廃棄物総発生量に対してリサイクルが行われている割合[%]

5%・マレーシアにおけるリサイクル率

- 5%

https://www.env.go.jp/recycle/circul/venous_industry/pdf/env/h23/05.pdf

20% ・同上 25 - - - 25

想定される我が国提供可能技術

(左)と技術導入指標

(右)

都市住民の生命や健康、また快適な生活環境を害する廃棄物の無害化(予防措置的なものも含む)

「Advanced」カテゴリー

(金属)資源の利用高度化

【技術マップ】金属資源3R(ベースメタル、レアメタル、貴金属等)・(解体されたもの等からの)分離・回収・リユース・破砕・粉砕・データ収集(溶融飛灰、焼スラッジ、廃自動車、電池・磁石、PC・携帯等、テレビ、触媒、超硬工具、鉄鋼添加系レアメタル等)・不純物管理(鉄鋼、アルミニウム、超微細粒鋼等)、リユース、簡易識別(金属種別等)、データ収集(レアメタル等の需要統計・予測等)【事業例】H24環境省事業「トルコ共和国電気電子機器廃棄物及びELVミックスメタルの統合リサイクルシステム整備事業」

国レベル

- -- -

総合評価点

①個別指標A ②個別指標B ③代替指標A(国レベル) ④代替指標B(国レベル) 指標A 指標B配点

■廃棄物軸

各カテゴリーの基本目標

都市レベル

Page 91: アジア諸都市に係る サステナビリティ指標に関する 調査事業 報 … · 委員 小川 和典 国際協力銀行インフラ・環境ファイナンス部門

83

クアラルンプール市 廃棄物軸での技術指標評価結果(続き)

(資料)三菱UFJリサーチ&コンサルティング作成

項目 数値 算出方法 項目 数値 算出方法 項目 数値 算出方法 項目 数値 算出方法実態評

価実態評価リ

ソース評価基

準評価基準リソース 評価点

実態評価

実態評価リソース

評価基準

評価基準リソース評価点

持続可能な資源利用の促進

【技術マップ】・エコデザイン(有害物質削減設計)・有害物質削減設計【事業例】-

・環境ラベル認証を受けた商品の流通件数(件)

N/A -

・環境ラベル認証を受けた商品の流通件数(件)

N/A - N/A 5000

・エコマーク認証を受けた商品の流通件数を100点と設定【計算式】100点×(都市・国の環境ラベル認証を受けた商品の流通件数÷日本の〃)

N/A - - N/A N/A

・廃棄物発電所の総発電能力[MW]

8

・廃棄物発電所の総発電能力[MW]

8

https://www.env.go.jp/recycle/circul/venous_industry/pdf/env/h23/05.pdf

1590

・日本における廃棄物発電量を100点と設定・【計算式】100点×(都市・国の廃棄物発電量÷日本の廃棄物発電量)

1 0

・固形廃棄物総発生量に対して堆肥化が行われている廃棄物の割合[%]

N/A

・固形廃棄物総発生量に対して堆肥化が行われている廃棄物の割合[%]

1.0% 1.0% 3%

・日本における固形廃棄物総発生量に対して堆肥化が行われている廃棄物の割合を100点と設定・【計算式】100点×(都市・国の堆肥化率÷日本の堆肥化率)

38 7

・1人当たりの固形廃棄物発生量 [kg/日]

1.3

・1人当たりの固形廃棄物発生量 [kg/日]

1.3

Asian GreenCity Indexhttp://www.siemens.com/entry/cc/features/greencityindex_international/all/en/pdf/report_asia.pdf

1

・日本における一人当りの都市ごみ排出量を100点と設定・【計算式】100点×(日本の一人当り都市ごみ排出量÷都市・国の一人当り都市ごみ排出量)

77 45

・焼却処理が行われている廃棄物の割合[%]

N/A

・焼却処理が行われている廃棄物の割合[%]

3% 3% 82%

・日本における都市ごみ総排出量の内、焼却処理量の割合を100点と設定・【計算式】100点×(都市・国の焼却処理率÷日本の焼却処理率)

4 2

・有害廃棄物総発生量に対して廃棄処理が行われている割合[%]

57.5%

・回収された廃棄物のうち適正処理される割合

・有害廃棄物総発生量に対して廃棄処理が行われている割合[%]

58%

CompendiumofEnvironmentStatistics,Malaysia 201377p

・有害廃棄物の適正処理率をそのまま配点

58 58

・有害廃棄物総発生量に対してリサイクル処理が行われている割合[%]

N/A

・有害廃棄物総発生量に対してリサイクル処理が行われている割合[%]

5%・マレーシアにおけるリサイクル率

5% 20%

・日本における有害廃棄物総排出量の内、資源化される量の割合(約20%)を100点と設定・【計算式】100点×(都市・国の資源化率÷日本の資源化率)

25 25

25

想定される我が国提供可能技術

(左)と技術導入指標

(右)

都市レベル

(リサイクルが難しい)資源の利用高度化

【技術マップ】・廃棄物由来の発電技術・廃棄物処理過程における発電、エネルギー回収、堆肥化等【事業例】H24環境省事業「ベトナム国ホーチミン市における固形廃棄物の統合型エネルギー回収事業」H25環境省事業「インド共和国タミル・ナドゥ州におけるごみ焼却発電技術の導入可能性調査」

・廃棄物発電設備のライフサイクルでの発電原価[US$/kWh]

N/A

都市におけるマテリアルフローコストの

改善

【技術マップ】最終処分量削減(有機性汚泥、無機系資材(ダスト・鉱滓等)、最終処分場)減容、選択的吸着、リサイクル(路盤材、有機物質、エネルギー、セメント、肥料成分・塩成分・金属等の有価物回収)、燃料化(メタン発酵、水素発酵、ガス化)【事業例】H24環境省事業「フィリピン国イザベラ州における固形廃棄物の広域収集・エネルギー回収・衛生埋立事業」

総合評価点

①個別指標A ②個別指標B ③代替指標A(国レベル) ④代替指標B(国レベル) 指標A

- -

59

有害廃棄物の適正処理

【技術マップ】廃棄物の適正処理・無害化(重金属、化学物質、フロン、PCBなど)廃棄物のリサイクル・再資源化(高塩素含有物からのセメント製造技術、低コスト重金属の回収技術)【事業例】H25環境省事業「中国江蘇省向け工業固形廃棄物適正・無害化処理事業」

- -

・固形廃棄物処理単位重量あたりにかかるコスト[US$/t]

63.3円/kg

・廃棄物発電設備のライフサイクルでの発電原価[US$/kWh]

N/A N/A

・自治体回収費用:約2.33RM/kg、衛生埋立処理:0.03RM/kg、計:約2.36RM/k・白井グループ、「マレーシア廃棄物視察報告」(2011年)

・固形廃棄物処理単位重量あたりにかかるコスト[US$/t]

0.57

国レベル

37円/kg

・自治体の都市ゴミ処理単位重量あたりにかかるコスト・環境省「平成25年度一般廃棄物処理実態調査」

1913.8円/kWh

・運転年数発電原価方式に基づいて試算・発電原価=(資本費+燃料費+運転維持費)÷発電電力量・計算の期間は発電機の法定耐用年数・㈳廃棄物資源循環学会、廃棄物焼却研究部会試算値

・自治体回収費用:約2.33RM/kg、衛生埋立処理:0.03RM/kg、計:約2.36RM/k・白井グループ、「マレーシア廃棄物視察報告」(2011年)

指標B配点

Page 92: アジア諸都市に係る サステナビリティ指標に関する 調査事業 報 … · 委員 小川 和典 国際協力銀行インフラ・環境ファイナンス部門

84

図表 53 クアラルンプール市 水軸での技術指標評価結果

(資料)三菱UFJリサーチ&コンサルティング作成

項目 数値 算出方法 項目 数値 算出方法 項目 数値 算出方法 項目 数値 算出方法 実態評

実態評価リ

ソース

評価基

準評価基準リソース 評価点 実態評

実態評価

リソース

評価基

準評価基準リソース評価点

・上水道普及率

100%

・マレーシアの

都市部の上水道普及率

・上水道普及率

100%

・World

DevelopmentIndicators(Improved

water source,urban)

100%100%を理想の値とした

100 84.2

・水資源へ

の負荷[%]N/A

・水資源へ

の負荷[%]0.023

淡水取水量(取

水量-造水量-二次利用水)÷水資源賦存

2%

http://www.mlit.go.jp/tochimizushigen/m

izsei/j_international/outline

/data/mas.pdf

1%(日本の値は21%と高いため、1%を100点、10%を0点とした)

86 72.3

無収水率[%]

33%スランゴール州の値

無収水率[%]

33%

http://www.jw

rc-net.or.jp/aswi

n/projects-activities/pdf_Asia/HotNews

_415.pdf

0% 0%を理想の値とした 67 56.4

・飲料水の

濁度[度(カオリン)]

N/A

・飲料水の

濁度[度(カオリン)]

N/A

Water QualityAssessment

of theSemenyihRiver,

Selangor,Malaysia

Journal ofChemistry,Volume 2013

http://www.hindawi.com/journals/jchem

/2013/871056/

100

水質管理目標値1度上昇ごとに1点

下がることとしたhttp://www.mhlw.go

.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/topics/bukyoku/kenkou/sui

do/kijun/kijunchi.html

N/A N/A

想定される我が国提供可能技術

(左)と技術導入指標(右)

N/A 352.9

法定耐用年

数、営業費用、更新費用、施設能力を用い

て計算https://www.w

aterworks.metro.tokyo.jp/suidojigyo/torikumi

/kenkyukai/pdf/k_kaisai_23_01.pdf

84

指標A 指標B

安心して利用

できる上水道

【技術】

・給水管(塩化ビニール管、ポリエチレン管、ステンレス管など)・配水管(ダクタイル鋳鉄管:耐震性に優れ

る)・ヒ素対策(磁気分離による砒素汚染泥水

の浄化技術、鉄系吸着剤を利用した金属等の除去技術)・微量化学汚染物質除去

・浄水場におけるライフサイクル

の単位処理量あたり

のコスト(総コストを総処理量

で除す)[USD/m3]

N/A

・浄水場におけるライフサイクル

の単位処理量あたり

のコスト(総コストを総処理量

で除す)[USD/m3]

N/A

都市レベル 国レベル 配点

各カテゴリーの基本目標

上水

下水

総合評価

点①個別指標A ②個別指標B ③代替指標A(国レベル) ④代替指標B(国レベル)

都市住民の生命や健康を害することのない飲料水をどこでも安価かつ潤沢に供給(水道もしくは容器入り飲料水の販売等)各種工業用途、農業用途等で利用に耐えうるのみならず、浄化のための追加的なコストをほとんど要しない潤沢な用

水の供給

上水道・工業用水の取水源における悪臭や水産資源の劣化を防ぎ、また水源利用に耐えうる水質を維持するための廃水

処理

「Advanced」カテゴリー

「Advanced」カテゴリー

Page 93: アジア諸都市に係る サステナビリティ指標に関する 調査事業 報 … · 委員 小川 和典 国際協力銀行インフラ・環境ファイナンス部門

85

クアラルンプール市 水軸での技術指標評価結果(続き)

項目 数値 算出方法 項目 数値 算出方法 項目 数値 算出方法 項目 数値 算出方法 実態評価

実態評価リソース

評価基準

評価基準リソース 評価点 実態評価

実態評価リソース

評価基準

評価基準リソース評価点

・下水道の普及率 [%]

70%・下水サービスの利用可能な割合から推計

・下水道の普及率 [%]

0.7

Asian GreenCity Indexhttp://www.siemens.com/entry/cc/features/greencityindex_internat

100%100%を理想の値とした

70 2.3

・改善された衛生施設へのアクセス率[%]

96%都市部の値を使用

・改善された衛生施設へのアクセス率[%]

1.0

http://www.mlit.go.jp/tochimizushigen/mizsei/j_international/outline/data/mas.pdf

100%100%を理想の値とした

96 3.1

・河川のBOD[mg/l]

2.6

雨季における、最大値を記録した測定所と最小値を記録した測定所の平均値を使用。スランゴール州のSemenyih川の値。

・河川のBOD[mg/l]

2.6

Water QualityAssessmentof theSemenyihRiver,Selangor,MalaysiaJournal ofChemistry,Volume 2013http://www.hindawi.com/jo

2

日本の環境省が定める基準値(2mg/lでA、10mg/lでE評価)を用いて、均等割りhttps://www.env.go.jp/kijun/wt2-1-1.html

93 3.0

・下水処理場の処理後放流水のBOD[mg/l]

3.7

・下水処理場の処理後放流水の濃度の平均値を使用

・下水処理場の処理後放流水のBOD[mg/l]

3.7

http://www2.jica.go.jp/ja/evaluation/pdf/2013_MXVIII-2_4_f.pdf

25.0

京都の条例「都民の健康と安全を確保する環境に関する条例」放流水質基準

100 3.3

・工場排水の平均BOD[mg/l]

N/A・工場排水の平均BOD[mg/l]

432.4

パームオイル工場の排水状況の平均値から推計

432.4

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/seisaku/kanmin/chusho_h25/pdfs/3a29-1.pdf

160

環境省排水基準値http://www.env.go.jp/water/impure/haisui.html

37 16.0

・排水のカドミウム濃度の平均値[mg/l]

N/A

・排水のカドミウム濃度の平均値[mg/l]

N/A N/A

http://www.env.go.jp/earth/coop/oemjc/malay/j/malayj1.pdf

0.03

環境省排水基準値http://www.env.go.jp/water/impure/haisui.html

N/A N/A

・工業地帯の河川のBOD[mg/l]

2.6

雨季における、最大値を記録した測定所と最小値を記録した測定所の平均値を使用。スランゴール州の

・工業地帯の河川のBOD[mg/l]

2.6

Water QualityAssessmentof theSemenyihRiver,Selangor,Malaysia

2

日本の環境省が定める基準値(2mg/lでA、10mg/lでE評価)を用いて、均等割りhttps://www.env.go.jp/kijun/wt2-1-

93 40.0

・排出の基準値を全て満たしている事業所の割合[%]

N/A

・排出の基準値を全て満たしている事業所の割合[%]

0

パームオイル工場の排水において、サンプリングした5工場全てのBOD値が基準値を上回っていたことから推計

0.0

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/seisaku/kanmin/chusho_h25/pdfs/3a29-1.pdfp7

0%100%を理想の値とした

0 0.0

23

想定される我が国提供可能技術(左)と技術導入

指標(右)

総合評価点①個別指標A ②個別指標B ③代替指標A(国レベル) ④代替指標B(国レベル) 指標A 指標B

都市レベル 国レベル 配点

7

汚水処理用減価償却資産の耐用年数表http://www.kk-support.com/setsuzei/gs_taiyo_5.htm

43

3

http://www.mlit.go.jp/tochimizushigen/mizsei/j_international/outline/data/mas.pdf

0.61

日本の値を基準としたhttp://www.mlit.go.jp/common/000211812.pdf

産業排水の高度処理

【技術】・物理・化学的処理(高速凝集沈殿システム、蒸発濃縮装置、水中ダイオキシン類分解装置、リン除去装置、窒素除去装置など)・生物処理(活性汚泥処理装置、流動担体活性汚泥処理装置、濃度勾配型活性汚泥処理装置、MBR、制限曝気処理装置など)

【事業例】・H26環境省事業「ベトナム国水産加工工場における排水処理の水質と施設運営の改善事業」・H26環境省事業「インド国ムンバイ近郊パタルガンガ工業団地における再生水システム構築事業」・H27環境省事業「ベトナム国における排水処理の高度化・ 省コスト対応制御システムの普及事業」

・産業廃水処理設備の平均耐用年数[年]

N/A

・産業廃水処理設備の平均耐用年数[年]

N/A N/A

18.8

下水道維持管理費/下水道管路延長254.9/13538*1000

18.8

・下水道管のメンテナンスコスト[千USD/(km・年)]

生活排水の高度処理

【技術】・表面ばっ気池・好気性生物処理(浮遊活性汚泥法、生物膜法、固定化生物法など)・低コスト下水道システム(コンドミニアル下水道、インターセプター下水道、スモールボアシステムなど)・生物接触ろ過法と晶析法を併用した水処理システム・無薬注海水淡水化、ロバストRO/NF膜の製造技術

【事業例】・H24環境省事業「中国連雲港市の農村地域における面源汚染浄化システム」・H27環境省事業「ベトナム国におけるセプティックタンク汚泥処理事業」

・下水道管のメンテナンスコスト[千USD/(km・年)]

N/A

Page 94: アジア諸都市に係る サステナビリティ指標に関する 調査事業 報 … · 委員 小川 和典 国際協力銀行インフラ・環境ファイナンス部門

86

(資料)三菱UFJリサーチ&コンサルティング作成

図表 54 クアラルンプール市 エネルギー軸での技術指標評価結果

(資料)三菱UFJリサーチ&コンサルティング作成

項目 数値 算出方法 項目 数値 算出方法 項目 数値 算出方法 項目 数値 算出方法実態評

価実態評価リ

ソース評価基

準評価基準リソース 評価点

実態評価

実態評価リソース

評価基準

評価基準リソース評価点

・発電所の発電端熱効率 [%]

35%

・KL近郊のポートクラン火力発電所の数値を採用

・発電所の発電端熱効率 [%]

35%

http://www2.jica.go.jp/ja/evaluation/pdf/2005_MXIV-4_4_s.pdf

59%

・日本の10電力会社の発電端熱効率の平均値を100点と設定・【計算式】100点×(都市・国の送配電損失÷日本の送配電損失)

59 15

・送配電ロス率 [%]

6%

・国内電力の殆どを供給しているTNB社のデータを採用

・送配電ロス率 [%]

6%

https://www.jetro.go.jp/biznews/2015/01/54bf668b2bf20.html表1.元データはIEA「世界エネルギー見通し2014」

5.1%

・日本の10電力会社の送配電損失(%)の平均値を100点と設定・【計算式】100点×(日本の送配電損失÷都市・国の送配電損失)

85 22

・顧客1軒当たりの年停電時間(SAIDI)[hr/年]

0.6

・国内電力の殆どを供給しているTNB社のデータを採用

・顧客1軒当たりの年停電時間(SAIDI)[hr/年]

0.6

http://www.meti.go.jp/meti_lib/report/2011fy/E001719.pdfp15

0.4

・日本の10電力会社の顧客1件当りの停電時間平均値を100点と設定・【計算式】100点×(日本の顧客1件当りの停電時間÷都市・国の顧客1件当りの停電時間)

64 16

・電力供給予備率 [%]((供給量-需要量)/需要量)

53%

・国内電力の殆どを供給しているTNB社のデータを採用(153%=供給21817MW/需要14246MW)

・電力供給予備率 [%]((供給量-需要量)/需要量)

53%

http://www.meti.go.jp/meti_lib/report/2011fy/E001719.pdfp19

13%

・日本の10電力会社の供給予備率の平均値を100点と設定・【計算式】100点×(都市・国の供給予備率÷日本の供給予備率)

100 26

・需要電力に占める低炭素化電力(原子力、再生可能エネルギー※水力は除く)の割合[%]

0.6%

・マレーシアにおける再生可能エネルギーの割合

・需要電力に占める低炭素化電力(原子力、再生可能エネルギー等※水力は除く)の割合[%]

0.6%

MalaysiaEnergyStatistics2015

4%

・日本の電力供給に占める再生可能エネルギーの比率(水力除く)を100点と設定・【計算式】100点×(都市・国の再エネ率÷日本の再エネ率)

14 3

・運転年数発電原価方式に基づいて試算・発電原価=(資本費+燃料費+運転維持費)÷発電電力量・計算の期間は発電機の法定耐用年数

26

・火力発電設備のライフサイクルでの発電原価[US$/kWh]

28.6円/kWh

想定される我が国提供可能技術(左)と技術導入

指標(右)

マレーシア半島部で計画されている石炭火力発電所(発電能力2,000メガワット)「プロジェクト3B」の発電原価http://www.malaysia-navi.jp/news/?mode=d&i=2947

7.3円/kWh(※石炭火力)

エネルギーの生産・供給

【技術マップ】<エネルギー生産>・原油・天然ガス増進回収技術(EOR・EGR)・環境調和型油ガス田開発技術・燃料製造技術(天然ガス液体燃料、石炭液化)・高効率石炭・天然ガス火力発電・LPガス高効率燃焼機器技術・原子力発電技術<エネルギー供給>・大容量送電技術・揚水発電・各種蓄電池(Liイオン、NiH、NaS)

【事業例】・H24NEDO事業「カザフスタン共和国における石炭火力発電所近代化更新プロジェクトの案件発掘調査」

・火力発電設備のライフサイクルでの発電原価[US$/kWh]

0.253

マレーシア半島部で計画されている石炭火力発電所(発電能力2,000メガワット)「プロジェクト3B」の発電原価http://www.malaysia-navi.jp/news/?mode=d&i=2947

国レベル 配点

評価点①個別指標A ②個別指標B ③代替指標A(国レベル) ④代替指標B(国レベル) 指標A 指標B

■エネルギー軸

各カテゴリーの基本目標

都市レベル

「Advanced」カテゴリー

都市住民が快適な生活を送るために必要なエネルギーが潤沢に供給され、また大気汚染の原因となる物質の無害化・除去

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87

クアラルンプール市 エネルギー軸での技術指標評価結果(続き)

(資料)三菱UFJリサーチ&コンサルティング作成

項目 数値 算出方法 項目 数値 算出方法 項目 数値 算出方法 項目 数値 算出方法実態評

価実態評価リ

ソース評価基

準評価基準リソース 評価点

実態評価

実態評価リソース

評価基準

評価基準リソース評価点

・GDP当りの民生部門年間エネルギー消費量[MJ/US$]

N/A

・GDP当りの民生部門年間エネルギー消費量[MJ/US$]

0.4 0.4

MalaysiaEnergyStatistics2015

0.44

・日本におけるGDP当りの民生部門エネルギー消費量を100点と設定・【計算式】100点×(日本のGDP当りの民生部門エネルギー消費量÷都市・国のGDP当りの民生部門エネルギー消費量)

100 100

・年負荷率[%](最大電力に対する年平均需要電力の比率)

66%

・KL近郊のポートクラン火力発電所の数値を採用

・年負荷率[%](最大電力に対する年平均需要電力の比率)

66%

http://www2.jica.go.jp/ja/evaluation/pdf/2005_MXV-1_4_f.pdf

61%

・日本の10電力会社の年負荷率を100点と設定・【計算式】100点×(都市・国の年負荷率÷日本の年負荷率)

100 100

・平均世帯所得に占めるエネルギーコストの割合 [%]

N/A

・平均世帯所得に占めるエネルギーコストの割合 [%]

2%

・家計支出に占める、電気、ガス、液体燃料、固体燃料への支出額の割合

2%

http://www.dir.co.jp/consulting/asian_insight/110906.html

4%

・日本における家計支出に占める電気、ガス、液体燃料、固体燃料への支出額の割合を100点と設定・【計算式】100点×(日本の平均世帯所得に占めるエネルギコスト比率÷都市・国における〃)

100 100

産業部門

【技術マップ】・重質原油利用技術・石油クリーン利用技術・石炭クリーン利用技術・コンビナート高度統合化・省エネ型産業プロセス

【事業例】・H27NEDO事業「クリーンコール技術海外普及展開等事業」・H26NEDO事業「タイ国における超高効率小型貫流ボイラーおよび関連技術普及プロジェクト案件調査」・H26NEDO事業「ベトナム漁船への特殊LED照明機器による省エネ化および作業環境改善に係る実現可能性調査」・H25NEDO事業「ベトナムにおける省エネ型製紙プラント導入プロジェクトの案件調査」

・GDP当りの産業部門年間エネルギー消費量[MJ/US$]

N/A -

・GDP当りの産業部門年間エネルギー消費量[MJ/US$]

1.8 - 1.8

WorldDevelopmnetIndicatorsEnergy use(kg of oilequivalent percapita)

1.37

・日本におけるGDP当りの産業部門エネルギー消費量を100点と設定・【計算式】100点×(日本のGDP当りの産業部門エネルギー消費量÷都市・国のGDP当りの産業部門エネルギー消費量)

78 - - - 78

51

国レベル 配点

評価点①個別指標A ②個別指標B ③代替指標A(国レベル) ④代替指標B(国レベル) 指標A 指標B

-

エネルギーの消費

民生部門

【技術マップ】・コージェネレーション・省エネ住宅・ビル・省エネ型家電・業務機器・省エネ型空調機器・省エネ型照明機器

【事業例】・H25NEDO事業「タイ王国における空調冷媒過冷却システムプロジェクトの案件発掘調査」・H26NEDO事業「ミャンマーにおけるスーパーマーケットへの省エネシステム導入プロジェクトの案件調査」

- - - -

想定される我が国提供可能技術(左)と技術導入

指標(右)

都市レベル

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88

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89

(3)制度整備チェックシート

クアラルンプール市における制度整備チェックの結果を図表 55~図表 58に示

す。

廃棄物軸では、現状把握の項目は全て充足されているが、その他については充

足されている項目は半分程度であり、改善の余地があることが示唆された。

水軸では、上水下水ともに、政策と現状把握の項目は概ね満たされているが、

その他についてはほとんど満たされていなく、制度整備の推進が必要とされてい

ることが明らかとなった。

エネルギー軸では、関連産業および経済・財政では全ての項目が充足されてい

るが、その他については、一部満たされていない項目があり、改善の余地が残さ

れていることが示唆された。

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90

図表 55 クアラルンプール市 廃棄物軸での制度整備状況

評価項目

・それぞれについて評価を実施・類似の充足要素があれば「○」、そうでない場合は「×」とする。

政策

【中央】○産業廃棄物処理業の高度化と処理施設に対する地域理解の促進の推進 ・(新)産業廃棄物処理業のグリーン成長・地域魅力創出促進支援事業 ・ITを活用した循環型地域づくり基盤整備事業 ・製造業者等と連携した循環産業形成支援事業 ・廃棄物エネルギー導入・低炭素化促進事業○循環資源の高度利用に向けた取組 ・循環型社会形成推進等経費 ・レアメタル等を含む小型電子機器等リサイクル推進事業費○循環型社会形成に必要な廃棄物処理施設の着実な更新 ・環型社会形成推進交付金(公共)(浄化槽分を除く) ・廃棄物処理センター等に対する補助事業(公共)【地方】○廃棄物削減の取り組み ・ごみ処理基本計画の作成○リサイクルの推進、循環ビジネス化への取り組み ・各種法令に基づいたリサイクルの推進 ・地元企業の廃棄物処理を支援 ・リサイクル企業の育成・誘致

1.廃棄物処理業の高度化を促す技術開発支援事業が存在する。2.廃棄物処理を高度化するための企業間連携、共同研究等を促す事業が存在する。3.廃棄物の適正処理を拡大させるための設備導入を支援する資金支援制度が存在する。4.資源の安定確保という視点からリサイクルを促す制度が存在する。

5.廃棄物処理に関する計画が存在する。6.法令に基づいてリサイクルがきちんと機能している。7.地元企業による廃棄物処理が過半を占める。8.リサイクル企業の育成・誘致を行うための経済的制度が存在する。

1.○2.×3.×4.×5.○6.×7.○8.×

現状把握

【中央】○各種統計・白書の作成 ・廃棄物処理に関する統計 ・環境・循環型社会白書【地方】○廃棄物削減の取り組み ・各種統計

1.廃棄物の発生・処理等の実態を報告、公表する制度が存在する。2.廃棄物の発生・処理等に関する統計制度が存在する。3.有害廃棄物の発生・回収・処理等に関する統計もしくはデータ収集制度が存在する。4.技術導入指標計算のためのデータが揃っている。

1.○2.○3.○4.○

管理・管轄

【中央】○産業廃棄物処理業の高度化と処理施設に対する地域理解の促進の推進 ・(新)産業廃棄物処理業のグリーン成長・地域魅力創出促進支援事業 ・ITを活用した循環型地域づくり基盤整備事業 ・製造業者等と連携した循環産業形成支援事業 ・廃棄物エネルギー導入・低炭素化促進事業○循環資源の高度利用に向けた取組 ・循環型社会形成推進等経費○循環型社会形成に必要な廃棄物処理施設の着実な更新 ・循環型社会形成推進交付金(公共)(浄化槽分を除く) ・廃棄物処理センター等に対する補助事業(公共)【地方】○リサイクルの推進、循環ビジネス化への取り組み ・リサイクル企業の育成・誘致 ・行政の廃棄物収集・処理関連業務の民間委託○廃棄物処理施設の整備、維持管理 ・PPP/PFI等による民間資金、ノウハウの活用○リサイクルの推進、循環ビジネス化への取り組み ・各種法令に基づいたリサイクルの推進 ・地元企業の廃棄物処理を支援○廃棄物処理施設の整備、維持管理 ・公共投資による定期的な更新、改良

1.廃棄物処理業の高度化を促す技術開発支援事業が存在する。2.廃棄物処理を高度化するための企業間連携、共同研究等を促す事業が存在する。3.廃棄物の適正処理を拡大させるための設備導入を支援する資金支援制度が存在する。

4.リサイクル企業の育成・誘致を行うための経済的制度が存在する。5.より効率的な廃棄物処理を促すための民間委託制度が整っている。6.より効率的な廃棄物処理を促すための民間委託が実施されている。7.地元企業による廃棄物処理が過半を占める。8.廃棄物処理施設の整備を維持するための公共資金が存在する。

1.○2.×3.×4.×5.○6.○7.○8.×

関連産業

【中央】○産業廃棄物処理業の高度化と処理施設に対する地域理解の促進の推進 ・(新)産業廃棄物処理業のグリーン成長・地域魅力創出促進支援事業 ・ITを活用した循環型地域づくり基盤整備事業 ・製造業者等と連携した循環産業形成支援事業 ・廃棄物エネルギー導入・低炭素化促進事業○循環資源の高度利用に向けた取組 ・循環型社会形成推進等経費 ・レアメタル等を含む小型電子機器等リサイクル推進事業費○循環型社会形成に必要な廃棄物処理施設の着実な更新 ・循環型社会形成推進交付金(公共)(浄化槽分を除く) ・廃棄物処理センター等に対する補助事業(公共)【地方】○危険要素の確実な排除 ・ダイオキシン対策を講じられた焼却炉の導入○リサイクルの推進、循環ビジネス化への取り組み ・各種法令に基づいたリサイクルの推進 ・行政の廃棄物収集・処理関連業務の民間委託○廃棄物発電・焼却灰の処理に関する取り組み ・廃棄物発電の導入 ・焼却灰の高度処理(溶融炉+金属回収、燃料化等)

1.廃棄物処理業の高度化を促す技術開発支援事業が存在する。2.廃棄物処理を高度化するための企業間連携、共同研究等を促す事業が存在する。3.廃棄物の適正処理を拡大させるための設備導入を支援する資金支援制度が存在する。4.資源の安定確保という視点からリサイクルを促す制度が存在する。

5.ダイオキシン対策を念頭においた焼却炉導入促進制度が存在する。6.政府の掲げるリサイクルが予定から大きく外れない範囲で実施されている。7.廃棄物収集・運搬業の民間委託が行われている。8.廃棄物発電の導入を促す制度が存在する。9.焼却処理で発生する焼却灰を処理できる処理事業者存在する。

1.○2.×3.×4.×5.×6.×7.○8.×?9.○?

経済・財政

【中央】○産業廃棄物処理業の高度化と処理施設に対する地域理解の促進の推進 ・(新)産業廃棄物処理業のグリーン成長・地域魅力創出促進支援事業 ・ITを活用した循環型地域づくり基盤整備事業 ・製造業者等と連携した循環産業形成支援事業 ・廃棄物エネルギー導入・低炭素化促進事業○循環資源の高度利用に向けた取組 ・循環型社会形成推進等経費○循環資源の高度利用に向けた取組 ・循環型社会形成推進等経費○循環型社会形成に必要な廃棄物処理施設の着実な更新 ・環型社会形成推進交付金(公共)(浄化槽分を除く) ・廃棄物処理センター等に対する補助事業(公共)○循環資源の高度利用に向けた取組 ・レアメタル等を含む小型電子機器等リサイクル推進事業費【地方】○リサイクルの推進、循環ビジネス化への取り組み ・地元企業の廃棄物処理を支援 ・リサイクル企業の育成・誘致

1.廃棄物処理業の高度化を促す技術開発支援事業が存在する。2.廃棄物処理を高度化するための企業間連携、共同研究等を促す事業が存在する。3.廃棄物の適正処理を拡大させるための設備導入を支援する資金支援制度が存在する。4.資源の安定確保という視点からリサイクルを促す制度が存在する。

5.地元企業による廃棄物処理が過半を占める。

1.○2.×3.×4.×5.○

想定される我が国から提供可能な政策立案ノウハウ(左)と制度整備チェックリスト(右)

■廃棄物軸クアラルンプール市のカテゴリー Advanced上記の基本目標 都市住民の生命や健康、また快適な生活環境を害する廃棄物の無害化(予防措置的なものも含む)

制度整備状況に関する評価体系 我が国(中央官庁、地方自治体)における取り組み事例

制度整備状況に関する評価欄

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91

(資料)三菱UFJリサーチ&コンサルティング作成

図表 56 クアラルンプール市 水軸(上水)での制度整備状況

(資料)三菱UFJリサーチ&コンサルティング作成

評価項目

・それぞれについて評価を実施・類似の充足要素があれば「○」、そうでない場合は「×」とする。

政策

【中央】・水道水水質基準・パフォーマンス基準【地方】・水道事業・施設整備計画の策定・運営プランの策定

1.法制度は現実に機能している2.規制を機能させるための政策・経済的手段がある。3.定期的に見直しを行う目標・計画があり、進捗が管理されている。4.政府、地方自治体や事業者によって水関連のデータが記録・報告されている。5.断水・漏水を修復・修繕する行政の体制が取られている

1.○2.○3.○4.○5.×

現状把握【地方】・広域総合水質調査実施・「水辺環境ガイドライン」策定

1. 飲料水需要量の評価を行っている2.排出事業者の排水量・排出物質の評価を行っている3.地域の河川流域の情報収集を行っている。4.水環境において影響を受けやすい生態系(水生生物、水鳥など)の評価を行っている5.技術導入指標計算のためのデータが揃っている。

1.○2.○3.○4.×5.○

管理・管轄

【中央】・地方自治体への行政指導の強化【地方】・各種法令、規制に基づいた水源の保全・水供給設備の整備、運営・水道管の更新・修復

1.各部門・企業・住民との連絡調整を行う機能がある2.排出事業者の定期的なモニタリングを行っている。3.水道管の定期的な更新・修復の管理体制がある。

1.×2.○3.×

関連産業

【中央】・PPP/PFIの推進【地方】・ICT技術を活用した維持管理業務の効率化・PPP/PFI等による民間資金、ノウハウの活用

1.地域内での官民連携による水質改善の取り組みがある2.NPO・NGO・インフォーマルセクター等との関係を円滑に保つしくみがある。

1.×2.×

経済・財政

【中央】・硝酸性窒素に関する地域総合対策制度推進費・地盤沈下等水管理推進費【地方】・健全な水循環に係る総合対策推進費

1.浄水場への投資インセンティブとなる経済措置が取られている。

1.×

■水軸(上水)

想定される我が国から提供可能な政策立案ノウハウ(左)と制度整備チェックリスト(右)

制度整備状況に関する評価体系我が国(中央官庁、地方自治体)における取

り組み事例

制度整備状況に関する評価欄

クアラルンプール市のカテゴリー Advanced

上記の基本目標都市住民の生命や健康を害することのない飲料水をどこでも安価かつ潤沢に供給(水道もしくは容器入り飲料水の販売等)各種工業用途、農業用途等で利用に耐えうるのみならず、浄化のための追加的なコストをほとんど要しない潤沢な用水の供給

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92

図表 57 クアラルンプール市 水軸(下水)での制度整備状況

(資料)三菱UFJリサーチ&コンサルティング作成

評価項目

・それぞれについて評価を実施・類似の充足要素があれば「○」、そうでない場合は「×」とする。

政策

【中央】・排出総量規制・地下水汚染対策・規制の上乗せ【地方】・各汚染物質の排出規制基準の上乗せ・排出規制対象物質の拡張(PCBなど)

1.法制度は現実に機能している2.規制を機能させるための政策・経済的手段がある。3.定期的に見直しを行う目標・計画があり、進捗が管理されている。4.政府、地方自治体や事業者によって水関連のデータが記録・報告されている。5.断水・漏水を修復・修繕する行政の体制が取られている

1.×2.○3.○4.○5.○

現状把握【地方】・広域総合水質調査実施・「水辺環境ガイドライン」策定

1.飲料水需要量の評価を行っている2.排出事業者の排水量・排出物質の評価を行っている3.地域の河川流域の情報収集を行っている。4.水環境において影響を受けやすい生態系(水生生物、水鳥など)の評価を行っている5.技術導入指標計算のためのデータが揃っている。

1.○2.○3.○4.×5.○

管理・管轄

【中央】・地方自治体への行政指導の強化・排出事業者への行政指導の強化【地方】・各種法令、規制に基づいた水源の保全・水供給設備の整備、運営・水道管の更新・修復

1.各部門・企業・住民との連絡調整を行う機能がある2.排出事業者の定期的なモニタリングを行っている。3.水道管の定期的な更新・修復の管理体制がある。

1.×2.○3.×

関連産業

【中央】・PPP/PFIの推進【地方】・ICT技術を活用した維持管理業務の効率化・PPP/PFI等による民間資金、ノウハウの活用

1.地域内での官民連携による水質改善の取り組みがある2.NPO・NGO・インフォーマルセクター等との関係を円滑に保つしくみがある。

1.×2.×

経済・財政

【中央】・硝酸性窒素に関する地域総合対策制度推進費・地盤沈下等水管理推進費【地方】・健全な水循環に係る総合対策推進費

1.汚水処理コストを賄う料金制度や財政措置がある。2.汚濁物質処理への投資インセンティブとなる経済措置が取られている。

1.×2.×

■水軸(下水・排水処理)

想定される我が国から提供可能な政策立案ノウハウ(左)と制度整備チェックリスト(右)

制度整備状況に関する評価体系我が国(中央官庁、地方自治体)における取り組み事例

制度整備状況に関する評価欄

クアラルンプール市のカテゴリー Advanced

上記の基本目標上水道・工業用水の浄化に要するコストを最小化し、また水産資源を維持することのできる水域全般を維持するための廃水処理(予防措置的なものも含む)

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93

図表 58 クアラルンプール市 エネルギー軸での制度整備状況

資料)三菱UFJリサーチ&コンサルティング作成

評価項目

・それぞれについて評価を実施・類似の充足要素があれば「○」、そうでない場合は「×」とする。

政策

【中央】・高効率火力発電の開発・活用加速化・産業部門での先端的な省エネ設備の導入・中小企業による省エネ投資の支援強化・家庭・オフィス、運輸部門での省エネルギー対策の強化

【地方】・新エネビジョン、新エネ目標等の設定・省エネ機器、システム導入拡大のための補助金、税制優遇

1.現在及び将来のエネルギー需給に関する計画、指標、数値目標が存在する2.効率的なエネルギー供給の為のインフラ整備計画が策定されている3.エネルギー消費量削減の計画が策定されている、目標値が設定されている

1.○2.×3.○(省エネ補助あり)

現状把握

【中央】・エネルギー消費統計の整備・安定的かつ低廉な資源の確保・長期エネルギー需給見通しの作成

【地方】

1.エネルギー需要量、特性の把握が行われている2.利用可能なエネルギー資源を確保するための計画が策定されている3.長期のエネルギー需給の見通し、計画が策定されている4.技術導入指標計算のためのデータが揃っている

1.○2.○3.×4.○

管理・管轄

【中央】・エネルギー政策基本法による規定・エネルギーの使用の合理化に関する法律」(省エネ法)による規定・各法に基づいたエネルギー価格の規制

【地方】・国の法律に基づいた地方公共団体全体のエネルギー管理

1.エネルギー管理の役割と責任について、中央政府、地方政府等間で調整が行われている2.エネルギー価格の適切な設定のためのルールが整備されている3.エネルギー供給の効率性の把握が行われている(送電ロスの把握、等)

1.○2.×3.○

関連産業

【中央】・エネルギー関連産業の振興策の策定・エネルギー供給分野への民間企業参入促進のための電気、ガス事業法の規制緩和

【地方】

1.エネルギー関連の現地資本の民間企業が存在する2.エネルギーインフラの整備に対して民間の資本が投入されている3.発電・送配電分野への民間企業の参入がある

1.○2.○3.○

経済・財政

【中央】・石油石炭税、電源開発促進税、ガソリン税等による税収入制度・エネルギー料金の徴収制度の整備

【地方】

1.エネルギー供給管理のための財政制度、料金制度が存在する2.エネルギー料金徴収の仕組みが機能している

1.○2.○

想定される我が国から提供可能な政策立案ノウハウ(左)と制度整備チェックリスト(右)

■エネルギー軸クアラルンプール市のカテゴリー Advanced上記の基本目標 都市住民が快適な生活を送るために必要なエネルギーが潤沢に供給され、また大気汚染の原因となる物質の無害化・除去

制度整備状況に関する評価体系 我が国(中央官庁、地方自治体)における取り組み事例

制度整備状況に関する評価欄

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94

2. インドネシア・バンドン市

(1)都市評価シート

現地調査、各種文献調査を基に、廃棄物・水・エネルギー軸についてインドネ

シア・バンドン市の都市ステージ評価を行った結果を図表 60~図表 63に示す。

廃棄物軸では「基本ステージ」に該当するチェック項目が3個、「進展ステージ」

に該当するチェック項目が3個、「包括発展ステージ」に該当するチェック項目が

0個となり、「進展ステージ」の加算ポイントが最も高くなった(図表 60)。廃

棄物軸については「進展ステージ」に該当すると判定される。

水軸(上水)では「基本ステージ」に該当するチェック項目が1個、「進展ステ

ージ」に該当するチェック項目が3個、「包括発展ステージ」に該当するチェック

項目が1個となり、「進展ステージ」の加算ポイントが最も高くなった。水軸(上

水)については「進展ステージ」に該当すると判定される(図表 61)。

水軸(下水)では「基本ステージ」に該当するチェック項目が6個、「進展ステ

ージ」に該当するチェック項目が0個、「包括発展ステージ」に該当するチェック

項目が0個となり、「基本ステージ」の加算ポイントが最も高くなった。水軸(下

水)については「基本ステージ」に該当すると判定される(図表 62)。

エネルギー軸では「基本ステージ」に該当するチェック項目が3個、「進展ステ

ージ」に該当するチェック項目が2個、「包括発展ステージ」に該当するチェック

項目が1個となり、「基本ステージ」の加算ポイントが最も高くなった。エネルギ

ー軸については「進展ステージ」に該当すると判定される(図表 63)。

図表 59 バンドン市の都市ステージ評価結果まとめ

「基本ステー

ジ」

「進展ステー

ジ」

「包括発展ス

テージ」

廃棄物 ○

水 上水 ○

下水 ○

エネルギー ○

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95

図表 60 バンドン市 廃棄物軸での都市ステージ評価結果

(資料)三菱UFJリサーチ&コンサルティング作成

配点表 集計表

Basic Advanced Comprehensive廃棄物の不適正な処理によって疫病等が発生し、都市住民に健康被害が生じている 5 0 0 0

廃棄物の不適正な処理やリサイクルが行われないことから、悪臭問題、景観問題が発生し、都市住民の生活環境を悪化させている 5 0 5 0

域内に経済合理的な処理・リサイクル技術が存在しないため、規制の緩い周辺都市へ悪臭・景観・埋立地不足等の問題を輸出している(する可能性がある) 5 0 0 0

廃棄物の不適正な処理による都市住民への健康被害から、経済損失が発生している 5 0 0 0

廃棄物の処理に大きなコストがかかっており、行政の財政を圧迫している5 0 5 0

廃棄物発生量の減少見込みが小さく、将来に埋立処分場の不足等の廃棄物問題やコスト負担が発生する可能性がある 5 0 0 0

衛生的な埋立処分場が存在せず、埋め立てられた廃棄物が悪臭問題、水資源・土壌汚染を引き起こしている 2.5 2.5 0 0

廃棄物の容量を圧縮する技術を保有しておらず、埋立処分場の不足の一因となっている 2.5 0 0 0

廃棄物管理・処理のコスト負担の削減のために、回収から処理までのライフサイクルコストを考慮した、効率的な廃棄物管理ツールの導入が必要となっている 2.5 0 0 0

金属資源(有害資源に該当するもの)の経済的な分離・処理技術を有していないことから、有害廃棄物の分別回収・処理が行われていない 2.5 0 0 0

付加価値を高めるリサイクル技術を保有していないために域内での経済的なリサイクルが成立していない 2.5 0 2.5 0

ライフサイクルの短い製品、設備が多く使用されており、廃棄物発生量の減少が見込まれない 2.5 0 0 0

廃棄物管理・処理のための法制度の整備が十分でなく、定期的な廃棄物の行政回収、有害廃棄物の分別回収、適切な処理が行われていない 2.5 2.5 0 0

廃棄物管理・処理のための法制度の整備が十分でなく、効率的な廃棄物処理方法が普及しておらず、廃棄物処理コストの増加、埋立処理場逼迫の一因となっている 2.5 0 0 0

人口増加や経済水準の上昇を見越した廃棄物処理能力の増強に関する計画や準備が整っておらず、将来において問題が発生する懸念がある 2.5 0 0 0

廃棄物管理・処理のための規制が機能していないために、金属資源(有害資源に該当するもの)が適正に回収・処理されていない 2.5 2.5 0 0

廃棄物の分別、選別(機械・人力を問わない)を進める取組がなされておらず、域内での経済的なリサイクルが成立していない 2.5 0 0 0

廃棄物の発生量削減の取組が行われておらず、都市住民一人当たりの都市廃棄物発生量が同水準の他都市よりも多い 2.5 0 0 0

7.5 12.5 0

資源の効率的な利用

2.5

5

人または環境への間接的な

影響

インフラ、技術に由来するも

廃棄物の管理・処理

10

2.5

資源の効率的な利用

2.5

政策、法制度に由来するも

廃棄物の管理・処理

人または環境への直接的な影響

健康被害

10

経済損失

チェック項目Basic Advanced Comprehensive

2.5

5

大分類 小分類大分類 小分類 チェック項目 チェック

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96

図表 61 バンドン市 水軸(上水)での都市ステージ評価結果

(資料)三菱UFJリサーチ&コンサルティング作成

(上水) 配点表 集計表

Basic Advanced Comprehensive

飲料水(水道水、ボトルドウォーターも含む)の確保が困難で、都市住民に生命や健康を害する場合が発生している

5 0 0 0

上水処理が十分に行われておらず、水道水から悪臭、濁りが発生し、都市住民の生活環境を悪化させている

5 0 5 0

現状は十分な水の利用が可能であるが、将来に渡り持続可能な形での水源の維持が出来ず、都市住民の生活環境を悪化させる懸念がある

5 0 0 0

上水処理が十分に行われていないことによる都市住民への健康被害から、経済損失が発生している

5 0 0 0

上水の浄化に多大なコストが発生しており、行政の財政を圧迫している 5 0 0 0

現状は十分な水の利用が可能であるが、将来に渡り持続可能な形での上水の維持が出来ず、水確保のためのコスト負担が増加する可能性がある

5 0 0 5

上水処理設備が不足、水道管の敷設がなされておらず、上水の供給が行われていないエリアがある

2.5 2.5 0 0

上水処理の設備に効率の悪い設備が多く、水供給のコスト増の要因となっている 2.5 0 0 0

高度処理が必要な物質が確認されており、高度浄水処理設備の導入の必要性がある

2.5 0 0 0

上水設備、配水設備のトラブルにより、断水が発生しており水利用に制限が生じている

2.5 0 0 0

水道管からの漏水が発生しており、水資源の利用に無駄が発生している 2.5 0 2.5 0

水の再生処理を行う技術を保有しておらず、水資源の循環利用がなされていない 2.5 0 0 0

水管理に関する法律・制度が十分に整備されておらず、水道料金の徴収が適切に行われていない

2.5 0 0 0

上水処理設備を維持管理していく為の行政の体制構築、財源確保がなされておらず、計画的な上水処理設備の更新が行われていない

2.5 0 2.5 0

将来の安全性や持続可能性を考慮した水管理の計画が策定されておらず、将来において問題が発生する懸念がある

2.5 0 0 0

安定的な水の供給が優先され、水の有効利用に関する基本的な法律・制度が整備されていない

2.5 0 0 0

上水処理設備を維持管理していく為の行政の体制構築、財源確保がなされておらず、水道管からの漏水の修復・修繕が行われていない

2.5 0 2.5 0

水の効率的な利用、消費量削減に対する取組が行われておらず、都市住民一人当たりの水消費量が同水準の他都市よりも多い

2.5 0 0 0

2.5 12.5 5

水資源の有効利用

2.5

5

人または環境への間接的な

影響

インフラ、技術に由来するも

水の供給、管理

10

2.5

水資源の有効利用

2.5

政策、法制度に由来するも

水の供給、管理

人または環境への直接的な影響

健康被害

10

5

経済的被害

2.5

小分類チェック項目

Basic Advanced Comprehensive大分類大分類 小分類 チェック項目 チェック

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97

図表 62 バンドン市 水軸(下水)での都市ステージ評価結果

(資料)三菱UFJリサーチ&コンサルティング作成

(下水) 配点表 集計表

Basic Advanced Comprehensive

生活排水・産業排水の適正処理が行われておらず、都市住民に健康被害が生じている

5 5 0 0

生活排水、産業排水の適正処理が行われておらず、悪臭、公共用水利用に制限が発生し、都市住民の生活環境を悪化させている

5 0 0 0

現状は必要な廃水処理能力が得られているが、将来に渡り持続可能な形での廃水処理の維持が出来ず、都市住民の生活環境を悪化させる懸念がある

5 0 0 0

廃水処理が十分に行われていないことによる都市住民への健康被害から、経済損失が発生している

5 5 0 0

生活排水の浄化に多大なコストが発生しており、、行政の財政を圧迫している 5 0 0 0

現状は必要な廃水処理能力が得られているが、将来に渡り持続可能な形での廃水処理の維持が出来ず、廃水処理のコスト負担増の懸念がある

5 0 0 0

生活排水・産業排水の処理設備、処理能力が不足しており、不適切に処理された廃水が排出されている

2.5 2.5 0 0

生活排水・産業排水処理の設備に効率の悪い設備が多く、処理コスト増の一因となっている

2.5 0 0 0

メンテナンス費用等も含めたライフサイクルコストの高い設備が多く、処理コスト増の一因となっている

2.5 0 0 0

生活排水・産業排水の適正処理が行われておらず、再利用が出来ない状態で排水がなされている

2.5 2.5 0 0

経済的に成立する水の再利用技術が付加された生活排水・産業排水処理技術を有しておらず、水の再利用が進んでいない

2.5 0 0 0

廃水処理を行う際に、水だけではなくその他資源やエネルギーを回収する設備が導入されておらず、処理コスト増の一因となっている

2.5 0 0 0

廃水管理の法制度の整備が十分でない、又は機能していないために適切な廃水処理が行われていない

2.5 2.5 0 0

生活廃水処理設備を維持管理していく為の行政の体制構築、財源確保がなされておらず、計画的な廃水処理設備の更新が行われていない

2.5 0 0 0

将来の安全性や持続可能性を考慮した水管理の計画が策定されておらず、将来において問題が発生する懸念がある

2.5 0 0 0

適正な廃水処理が優先され、水の有効利用に関する基本的な法律・制度が整備されていない

2.5 2.5 0 0

生活廃水処理設備を維持管理していく為の行政の体制構築、資源の有効活用のための廃水処理設備の導入が行われていない

2.5 0 0 0

水の再生利用に対する取組が行われておらず、都市住民一人当たりの廃水発生量が同水準の他都市よりも多い

2.5 0 0 0

20 0 0

水資源の有効利用

2.5

人または環境への間接的な

影響

インフラ、技術に由来するも

廃水の管理・処理

10

2.5

水資源の有効利用

2.5

政策、法制度に由来するも

廃水の管理・処理

2.5

チェック項目Basic Advanced Comprehensive

人または環境への直接的な影響

健康被害

10

5

経済的被害 5

大分類 小分類 チェック項目 チェック 大分類 小分類

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98

図表 63 バンドン市 エネルギー軸での都市ステージ評価結果

(資料)三菱UFJリサーチ&コンサルティング作成

配点表 集計表

Basic Advanced Comprehensive

燃料の確保が困難で都市住民に生命や健康を害する場合が発生している 5 0 0 0

発電所由来、液化燃料消費由来の大気汚染が発生し、都市住民の生活環境を悪化させている

5 0 0 0

化石エネルギー消費由来の温室効果ガスにより、都市住民の生活環境の悪化が顕在化している

5 0 0 5

停電、電圧・周波数の乱れが発生し、経済的な損失が発生している 5 5 0 0

エネルギー価格が高止まりしており、都市市民の家計を圧迫、産業部門の収益を悪化させている

5 0 0 0

化石資源由来のエネルギー源だけでは将来的な持続性の維持が難しく、都市住民の生活環境の悪化、産業活動への影響が懸念されている

5 0 0 0

送配電網の敷設がなされておらず、電力供給が行われていないエリアがある 2.5 2.5 0 0

エネルギー効率の低い発電設備が多く、エネルギー消費の増加、エネルギーコスト増の一因となっている

2.5 0 0 0

化石資源を用いた発電設備への依存度が高く、温暖化ガス排出量増加の一因となっている

2.5 0 0 0

電力、ガスメーターの整備が不十分であり、エネルギー消費の把握が行われていない

2.5 2.5 0 0

エネルギー効率の低い家電や業務機器の使用が多く、エネルギー消費の増加、エネルギーコスト増の一因となっている

2.5 0 0 0

ICTを活用した需給制御等の高度なエネルギー利用の最適化の取組を進める必要がある

2.5 0 0 0

エネルギーに関する法制度が機能しておらず、エネルギー料金の徴収が適切に行われていない、エネルギー管理のための財源が確保されていない

2.5 0 0 0

エネルギーに関する法制度が十分に整備されておらず、需給の予測、インフラ整備の計画策定が行われていない

2.5 0 2.5 0

再生可能エネルギー、代替エネルギーの利用促進が行われておらず、温暖化ガス排出量が同水準の他都市に比べて多い

2.5 0 0 0

エネルギー資源の有効活用に関する基本的な法律・制度が整備されていない 2.5 0 0 0

エネルギー消費効率改善、省エネルギーに対する取組が行われておらず、都市住民一人当たりのエネルギー消費量が同水準の他都市よりも多い

2.5 0 2.5 0

都市全体でのエネルギー利用の最適化の取組が行われていない 2.5 0 0 0

10 5 5

エネルギーの有効利用

2.5

5

人または環境への間接的な

影響

インフラ、技術に由来するも

エネルギーの供給・管理

10

2.5

エネルギーの有効利用

2.5

政策、制度に由来するもの

エネルギーの供給・管理

人または環境への直接的な影響

健康被害

10

経済的被害

チェック項目Basic Advanced Comprehensive

2.5

5

大分類 小分類大分類 小分類 チェック項目 チェック

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99

(2)技術導入指標

都市評価シートにより、バンドン市は、廃棄物、水(上水)軸において「進展

ステージ」、水(下水)、エネルギー軸において「基本ステージ」に該当すると

判定された。図表 64に廃棄物軸での評価結果、図表 65に水軸での評価結果、図

表 66にエネルギー軸での評価結果を示す。

廃棄物軸では、個別指標Aをみると、固形廃棄物総発生量に対して堆肥化が行わ

れている廃棄物の割合の指標で高い点数となっている。点数の低い指標は、固形

廃棄物総発生量に対してリサイクルが行われている割合、一人当たりの固形廃棄

物発生量、有害廃棄物総発生量に対してリサイクルが行われている割合となって

いる。多くの指標で都市及び国レベルの両方でデータが得られいない。

個別指標Bをみると、固形廃棄物処理単位重量あたりにかかるコストの指標が低

い点数となっている。データが得られず評価ができない指標は廃棄物発電設備の

ライフサイクルでの発電原価となっている。総合評価点では「進展ステージ」に

おいて36点と評価される。

水軸では、個別指標Aをみると、上水道の普及率、飲料水の濁度、改善された衛

生施設へのアクセス、工場排水のBOD、排水の基準を満たしている事業所の割合の

指標で高い点数となっている。低い点数となっている指標は水資源への負荷、下

水道の普及率、河川のBOD、下水処理場の処理後放流水のBOD、工業地帯のBODであ

る。都市及び国レベルの両方でデータが得られない指標は無収水率、排水のカド

ミウム濃度となっている。

個別指標Bをみると、下水道管のメンテナンスコストの指標が低い点数となって

いる。データが得られず評価ができない指標は浄水場におけるライフサイクルの

単位処理量あたりのコスト、産業廃水処理設備の平均耐用年数となっている。総

合評価点では「進展ステージ」において41点と評価される。

エネルギー軸では、個別指標Aをみると、電力供給を受けている割合、平均世帯

に占めるエネルギーコストの割合の指標で高い点数となっているが、顧客1軒当り

の年停電時間、GDP当りの民生部門のエネルギー消費量、GDP当りの産業部門のエ

ネルギー消費量の指標で低い点数となっている。エネルギー軸では都市又は国レ

ベルのどちらかでデータが得られている。

Page 108: アジア諸都市に係る サステナビリティ指標に関する 調査事業 報 … · 委員 小川 和典 国際協力銀行インフラ・環境ファイナンス部門

100

個別指標Bをみると、火力発電設備のライフサイクルでの発電原価の指標が低い

点数となっている。総合評価点では「進展ステージ」において31点と評価される。

Page 109: アジア諸都市に係る サステナビリティ指標に関する 調査事業 報 … · 委員 小川 和典 国際協力銀行インフラ・環境ファイナンス部門

101

図表 64 バンドン市 廃棄物軸での技術指標評価結果

(資料)三菱UFJリサーチ&コンサルティング作成

項目 数値 算出方法 項目 数値 算出方法 項目 数値 算出方法 項目 数値 算出方法実態評

価実態評価リ

ソース評価基

準評価基準リソース 評価点

実態評価

実態評価リソース

評価基準

評価基準リソース評価点

都市建築物

のゼロエミッション化

【技術マップ】建設廃棄物対策(すでにあるもの、これから建てられるもの)(建設発生土の工事現場間での転用)・廃材リユース・リサイクル(再生骨材、木質

バイオマス利用、地盤改良材、資源循環住宅等)【事業例】・H25環境省事業「ベトナム社会主義共和国におけるD-waste(建設解体廃棄物)の循

環システム構築・展開事業」

・固形廃棄物総発生量に対して

廃棄処理が行われている割合[%]

40%

2000m3/day÷

5000m3/day=40%

・固形廃棄物処理単

位重量あたりにかかるコスト[US$/t]

0.57

・自治体回収費用:約2.33RM/kg、衛生埋立処理:

0.03RM/kg、計:約2.36RM/k・白井グループ、「マレーシア廃棄物視察報告」

(2011年)

・固形廃棄物総発生量に対して

廃棄処理が行われている割合[%]

・固形廃棄物処理単

位重量あたりにかかるコスト[US$/t]

40%

・YachiyoEngineeringCo., Ltd.,“Study ForIntegrated

EnvironmentalImprovementof LeuwigajahDisposal SiteIn West Java,

Republic ofIndonesiaStudyReport”,March 2009

・廃棄物の適正処理率をそのまま配点

4063.3円/kg

・自治体回

収費用:約2.33RM/kg、衛生埋立処理:0.03RM/k

g、計:約2.36RM/k・白井グループ、「マレーシ

ア廃棄物視察報告」(2011年)

37円/kg

・自治体の都市ゴミ処理単位重量あたりにか

かるコスト・環境省「平成25年度一般廃棄物処理実態調査」

59 23

・固形廃棄物総発生量に対して

リサイクルが行われている割合[%]

N/A

・固形廃棄物総発生量に対して

リサイクルが行われている割合[%]

N/A N/A 20%

・日本における都市ごみ総排出量の内、資源化される量の割合(約20%)を

100点と設定・【計算式】100点×(都市・国の資源化率÷日本の資源化率)

N/A N/A

・政府からライセンスを付与され

ているリサイクル事業者の件数

N/A

・政府からライセンスを付与され

ているリサイクル事業者の件数

N/A N/A 1

・日本における人口1,000人当りのリサイクル事業者認可数を100点と設定

・【計算式】100点×(都市・国の事業者認可数÷日本の事業者認可数)

N/A N/A

(その他)資源の利用高度化

【技術マップ】(プラスチック(燃料化・油化、モノマー化、塗装膜剥離、リグノフェノールプラスチック、

3Rを考慮したプラスチック利用等)、バイオマス(焼却発電、燃料化、堆肥化、リグノフェノール等)、ASR(ガス化、複合リサイクル)、複合素材、代替フロン(回収システム、分解技術、低コスト・高効率)・分離・分別、発酵、燃料化(固体、ガス)

・ケミカルリサイクル、発酵、燃料化(固体、ガス)【事業例】H25環境省事業「フィリピンメトロセブ地域におけるレジ袋等の軟質系廃プラスチック類

マテリアルリサイクル事業の可能性調査」

・固形廃棄物総発生量に対してリサイクルが行われ

ている割合[%]

N/A -

・固形廃棄物総発生量に対してリサイクルが行われ

ている割合[%]

N/A - N/A 20% ・同上 N/A - - - N/A

「Advanced」カテゴリー

都市住民の生命や健康、また快適な生活環境を害する廃棄物の無害化(予防措置的なものも含む)

想定される我が国提供可能技術(左)と技術導入

指標(右)

(金属)資源の利用高度化

【技術マップ】

金属資源3R(ベースメタル、レアメタル、貴金属等)・(解体されたもの等からの)分離・回収・リユース・破砕・粉砕・データ収集(溶融飛灰、焼スラッジ、廃自動車、電池・磁石、PC・携

帯等、テレビ、触媒、超硬工具、鉄鋼添加系レアメタル等)・不純物管理(鉄鋼、アルミニウム、超微細粒鋼等)、リユース、簡易識別(金属種別等)、データ収集(レアメタル等の需要統計・予測等)

【事業例】H24環境省事業「トルコ共和国電気電子機器廃棄物及びELVミックスメタルの統合リサイクルシステム整備事業」

総合評価

点①個別指標A ②個別指標B ③代替指標A(国レベル) ④代替指標B(国レベル) 指標A 指標B

国レベル 配点

-- --

■廃棄物軸

各カテゴリーの基本目標

都市レベル

Page 110: アジア諸都市に係る サステナビリティ指標に関する 調査事業 報 … · 委員 小川 和典 国際協力銀行インフラ・環境ファイナンス部門

102

バンドン市 廃棄物軸での技術指標評価結果(続き)

(資料)三菱UFJリサーチ&コンサルティング作成

項目 数値 算出方法 項目 数値 算出方法 項目 数値 算出方法 項目 数値 算出方法実態評

価実態評価リ

ソース評価基

準評価基準リソース 評価点

実態評価

実態評価リソース

評価基準

評価基準リソース評価点

持続可能な資源利用の促進

【技術マップ】・エコデザイン(有害物質削減設計)・有害物質削減設計【事業例】

・環境ラベル認証を受けた商品の流通

件数(件)

N/A -

・環境ラベル認証を受けた商品の流通

件数(件)

N/A - N/A 5000

・エコマーク認証を受けた商品の流通件数を100点と設定【計算式】100点×(都市・国の環境ラベル認証を受

けた商品の流通件数÷日本の〃)

N/A - - - N/A

・廃棄物発電所の総発電能力

[MW]

0・2014年時点で1件の建設予

・廃棄物発電所の総発電能力

[MW]

0

・MEMRPresentationon WtEWeek,

2014

1590

・日本における廃棄物発電量を100点と設定・【計算式】100点×(都

市・国の廃棄物発電量÷日本の廃棄物発電量)

0 0

・固形廃棄物総発生量に対して

堆肥化が行われている廃棄物の割合

[%]

N/A

・固形廃棄物総発生量に対して

堆肥化が行われている廃棄物の割合

[%]

14% 14%

・Indonesia

DomesticSolid WasteStatistic,MoE, 2008

3%

・日本における固形廃棄物総発生量に対して堆肥

化が行われている廃棄物の割合を100点と設定・【計算式】100点×(都市・国の堆肥化率÷日本の堆肥化率)

100 50

・1人当たりの固形廃棄物発

生量 [kg/日]

N/A

・1人当たりの固形廃棄物発

生量 [kg/日]

2.7 2.7

・YachiyoEngineeringCo., Ltd.,“Study For

IntegratedEnvironmentalImprovementof Leuwigajah

Disposal Site

1

・日本における一人当りの都市ごみ排出量を100点と設定・【計算式】100点×(日本

の一人当り都市ごみ排出量÷都市・国の一人当り都市ごみ排出量)

37 22

・焼却処理が行われている廃

棄物の割合[%]

N/A

・焼却処理が行われている廃

棄物の割合[%]

0.4% 0.4% ・同上 82%

・日本における都市ごみ総排出量の内、焼却処理量の割合を100点と設定

・【計算式】100点×(都市・国の焼却処理率÷日本の焼却処理率)

0 0

・有害廃棄物総発生量に対して廃棄処理

が行われている割合[%]

40%

・廃棄物総発生量に対して廃棄処理が行われている廃棄物の割合

(2000m3/day÷5000m3/day=40%)

・有害廃棄物総発生量に対して廃棄処理

が行われている割合[%]

40%

・YachiyoEngineeringCo., Ltd.,“Study For

IntegratedEnvironmentalImprovementof Leuwigajah

・有害廃棄物の適正処理率をそのまま配点

40 40

・有害廃棄物総発生

量に対してリサイクル処理が行われてい

る割合[%]

N/A

・有害廃棄物総発生

量に対してリサイクル処理が行われてい

る割合[%]

N/A N/A 20%

・日本における有害廃棄

物総排出量の内、資源化される量の割合(約20%)を100点と設定・【計算式】100点×(都市・国の資源化率÷日本

の資源化率)

N/A N/A

23

想定される我が

国提供可能技術(左)と技術導入

指標(右)

国レベル 配点

-

59

有害廃棄物

の適正処理

【技術マップ】廃棄物の適正処理・無害化(重金属、化学物質、フロン、PCBなど)廃棄物のリサイクル・再資源化(高塩素含

有物からのセメント製造技術、低コスト重金属の回収技術)【事業例】H25環境省事業「中国江蘇省向け工業固形廃棄物適正・無害化処理事業」

総合評価点

①個別指標A ②個別指標B ③代替指標A(国レベル) ④代替指標B(国レベル) 指標A 指標B

・廃棄物発

電設備のライフサイクルでの発電原価

[US$/kWh]

N/A N/A

・固形廃棄

物処理単位重量あたりにかかるコスト[US$/t]

63.3円/kg

(リサイクルが難しい)資源の利用高度

【技術マップ】・廃棄物由来の発電技術・廃棄物処理過程における発電、エネル

ギー回収、堆肥化等【事業例】H24環境省事業「ベトナム国ホーチミン市における固形廃棄物の統合型エネルギー回

収事業」H25環境省事業「インド共和国タミル・ナドゥ州におけるごみ焼却発電技術の導入可能性調査」

・廃棄物発

電設備のライフサイクルでの発電原価

[US$/kWh]

N/A

都市におけるマテリアルフローコストの改善

【技術マップ】最終処分量削減(有機性汚泥、無機系資材(ダスト・鉱滓等)、最終処分場)減容、選択的吸着、リサイクル(路盤材、有

機物質、エネルギー、セメント、肥料成分・塩成分・金属等の有価物回収)、燃料化(メタン発酵、水素発酵、ガス化)【事業例】

H24環境省事業「フィリピン国イザベラ州における固形廃棄物の広域収集・エネルギー回収・衛生埋立事業」

・固形廃棄

物処理単位重量あたりにかかるコスト[US$/t]

0.57

・自治体回収費用:約2.33RM/kg、衛

生埋立処理:0.03RM/kg、計:約2.36RM/k・白井グループ、「マレーシア廃棄

物視察報告」(2011年)

13.8円/kWh

・運転年数発電原価方式に基づいて試算・発電原価=(資本費+燃料

費+運転維持費)÷発電電力量・計算の期間は

発電機の法定耐用年数・㈳廃棄物資源循環学会、廃

棄物焼却研究部会試算値

・自治体回

収費用:約2.33RM/kg、衛生埋立処理:

0.03RM/kg、計:約2.36RM/k・白井グループ、

「マレーシア廃棄物視察報告」(2011年)

37円/kg

・自治体の都市ゴミ処理単位

重量あたりにかかるコスト・環境省「平成25年度一般廃棄物処理実態

調査」

都市レベル

50

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103

図表 65 バンドン市 水軸での技術指標評価結果

(資料)三菱UFJリサーチ&コンサルティング作成

項目 数値 算出方法 項目 数値算出方

法項目 数値 算出方法 項目 数値

算出方法

実態評価

実態評価リソース

評価基準

評価基準リソース 評価点実態評

実態評価リソー

評価基準

評価基準リソース評価点

・上水道普及率[%]

89%・インドネシアの都市部の上水道普及率

・上水道普及率[%]

0.9

・WorldDevelopmentIndicators(nationalvalue forurban areas)

100%100%を理想の値とした

89 62

・水資源への負荷[%]

N/A・水資源への負荷[%]

5.60%

淡水取水量(取水量-造水量-二次利用水)÷水資源賦存量

5.6%

http://www.mlit.go.jp/tochimizushigen/mizsei/j_international/outline/data/ina.pdf

1%(日本の値は21%と高いため、1%を100点、10%を0点とした)

49 34

無収水率[%]

N/A無収水率[%]

30% 30%

http://www.mlit.go.jp/tochimizushigen/mizsei/j_international/outline/data/ina.pdf

0% 0%を理想の値とした 70 48

・飲料水の濁度[度(カオリン)]

70・地方給水事業公社(PDAM)の測定データ

・飲料水の濁度[度(カオリン)]

70.0

・地方給水事業公社(PDAM)の測定データ

1

水質管理目標値1度上昇ごとに1点下がることとしたhttp://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/topics/bukyoku/kenkou/suido/kijun/kijunchi.html

69 48

想定される我が国提供可能技術(左)と技術導入

指標(右)

N/A 352.9

法定耐用年数、営業費用、更新費用、施設能力を用いて計算https://www.waterworks.metro.tokyo.jp/suidojigyo/torikumi/kenkyukai/pdf/k_kaisai_23_01.pdf

69

指標A 指標B

安心して利用できる上水道

【技術】・給水管(塩化ビニール管、ポリエチレン管、ステンレス管など)・配水管(ダクタイル鋳鉄管:耐震性に優れる)・ヒ素対策(磁気分離による砒素汚染泥水の浄化技術、鉄系吸着剤を利用した金属等の除去技術)・微量化学汚染物質除去

・浄水場におけるライフサイクルの単位処理量あたりのコスト(総コストを総処理量で除

す)[USD/m

3]

N/A

・浄水場におけるライフサイクルの単位処

理量あたりのコスト(総コストを総処理量で除

す)[USD/m

3]

N/A

都市レベル 国レベル 配点

■水軸

各カテゴリーの基本目標

上水

下水

総合評価点

①個別指標A ②個別指標B ③代替指標A(国レベル) ④代替指標B(国レベル)

都市住民の生命や健康を害することのない飲料水をどこでも安価かつ潤沢に供給(水道もしくは容器入り飲料水の販売等)各種工業用途、農業用途等で利用に耐えうるのみならず、浄化のための追加的なコストをほとんど要しない潤沢な用水の供給

上水道・工業用水の取水源における悪臭や水産資源の劣化を防ぎ、また水源利用に耐えうる水質を維持するための廃水処理

「Basic」カテゴリー

「Advanced」カテゴリー

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104

バンドン市 水軸での技術指標評価結果(続き)

(資料)三菱UFJリサーチ&コンサルティング作成

項目 数値 算出方法 項目 数値算出方

法項目 数値 算出方法 項目 数値

算出方法

実態評価

実態評価リソース

評価基準

評価基準リソース 評価点実態評

実態評価リソー

評価基準

評価基準リソース評価点

・下水道の普及率 [%]

30%

バンドン市の下水処理場の人口カバー率より推計

・下水道の普及率 [%]

30%

http://pdf.usaid.gov/pdf_docs/Pnadl920.pdf

p54

100%100%を理想の値とした

30 2

・改善された衛生施設へのアクセス率[%]

73% 都市部の値を使用

・改善された衛生施設へのアクセス率[%]

73%

http://www.mlit.go.jp/tochimizushigen/mizsei/j_international/outline/data/ina.pdf

100%100%を理想の値とした

73 6

・河川のBOD[mg/l]

65

・西ジャワ、チタルム川のモニタリング数値の平均値

・河川のBOD[mg/l]

65.0

・“WATERQUALITY INTHREERESERVOIRSON THECITARUMRIVER,INDONESIA”,Research

2

日本の環境省が定める基準値(2mg/lでA、10mg/lでE評価)を用いて、均等割りhttps://www.env.go.jp/kijun/wt2-1-1.html

0 0

・下水処理場の処理後放流水

のBOD[mg/l]

63

・下水処理場の処理後放流水

の濃度の平均値を使用

・下水処理場の処理後放流水

のBOD[mg/l]

63.0

http://pdf.usaid.gov/pdf_docs/Pnadl920.pd

fp18

25.0

京都の条例「都民の健康と安全を確保す

る環境に関する条例」放流水質基準

40 3

・工場排水の平均BOD[mg/l]

184

・チタルム川最上流における工場排水流入前後の比較値より(2012年値)

・工場排水の平均BOD[mg/l]

184.0

・“WATERQUALITY INTHREERESERVOIRSON THECITARUMRIVER,

160

環境省排水基準値http://www.env.go.jp/water/impure/haisui.html

87 47

・排水のカドミウム濃度の平均値[mg/l]

N/A

・排水のカドミウム濃度の平均値[mg/l]

N/A N/A

http://www.nite.go.jp/data/000050284.pdf

0.03

環境省排水基準値http://www.env.go.jp/water/impure/haisui.html

N/A N/A

・工業地帯の河川の

BOD[mg/l]

65

・西ジャワ、チタルム川のモニタリング数値の平

均値

・工業地帯の河川の

BOD[mg/l]

65.0

・“WATERQUALITY INTHREERESERVOIRS

ON THECITARUMRIVER,

日本の環境省が定める基準値(2mg/lでA、10mg/lでE評価)を用いて、均等

割りhttps://www.env.go.jp/kijun/wt2-1-

0 0

・排出の基準値を満たしている事業所の割合[%]

N/A

・排出の基準値を満たしている事業所の割合[%]

74%

・インドネシア全体における排水基準を満たした企業割合(2004年値)

74%

The StateMinistry ofEnvironment,Indonesia.State of theEnvironmentin Indonesia

0%100%を理想の値とした

74 40

22

配点

総合評価点

①個別指標A ②個別指標B ③代替指標A(国レベル) ④代替指標B(国レベル) 指標A 指標B

想定される我が国提供可能技術(左)と技術導入

指標(右)

都市レベル

産業排水の高度処理

【技術】・物理・化学的処理(高速凝集沈殿システム、蒸発濃縮装置、水中ダイオキシン類分解装置、リン除去装置、窒素除去装置など)・生物処理(活性汚泥処理装置、流動担体活性汚泥処理装置、濃度勾配型活性汚泥処理装置、MBR、制限曝気処理装置など)

【事業例】・H26環境省事業「ベトナム国水産加工工場における排水処理の水質と施設運営の改善事業」

・H26環境省事業「インド国ムンバイ近郊パタルガンガ工業団地における再生水システム構築事業」・H27環境省事業「ベトナム国における排水処理の高度化・ 省コスト対応制御システムの普及事業」

・産業廃水処理設備の平均耐用年数

[年]

N/A

生活排水の高度処理

【技術】・表面ばっ気池・好気性生物処理(浮遊活性汚泥法、生物膜法、固定化生物法など)・低コスト下水道システム(コンドミニアル下水道、インターセプター下水道、スモールボアシステムなど)・生物接触ろ過法と晶析法を併用した水処理システム・無薬注海水淡水化、ロバストRO/NF膜の製造技術

【事業例】・H24環境省事業「中国連雲港市の農村地域における面源汚染浄化システム」・H27環境省事業「ベトナム国におけるセプティックタンク汚泥処理事業」

・下水道管のメンテナンスコスト[千USD/(km・年)]

N/A

54

8

http://www.mlit.go.jp/tochimizushigen/mizsei/j_international/outline/data/i

na.pdf

0.6

日本の値を基準としたhttp://www.mlit.go.jp/common/000211812.pdf

・産業廃水処理設備の平均耐用年数

[年]

N/A N/A

7.407

下水道維持管理費/下水道管路延長(下水道管路延長は、マレーシアのデータから人口当たりの管路延

長を算出し、その値を用いて推計)

7.4

・下水道管のメンテナンスコスト[千USD/(km

・年)]

7

汚水処理用減価償却資産の耐用年数表http://www.kk-support.com/setsuzei/gs_taiyo_

5.htm

国レベル

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105

図表 66 バンドン市 エネルギー軸での技術指標評価結果

(資料)三菱UFJリサーチ&コンサルティング作成

項目 数値 算出方法 項目 数値 算出方法 項目 数値 算出方法 項目 数値算出方

法実態評

価実態評価リ

ソース評価基

準評価基準リソース 評価点

実態評価

実態評価リソース

評価基準

評価基準リソース評価点

・電力供給を受けている人口の割合 [%]

71%・ジャワ島の電化率(2010年)

・電力供給を受けている人口の割合 [%]

71%・PLNStatistics2013

-・電力供給を受けている割合をそのまま配点

71 21

・顧客1軒当たりの年停電時間(SAIDI)[hr/年]

1.22

・西ジャワ地域における顧客1軒当たりの年停電時間

・顧客1軒当たりの年停電時間(SAIDI)[hr/年]

1.22・PLNStatistics2013

0.4

・日本の10電力会社の顧客1件当りの停電時間平均値を100点と設定・【計算式】100点×(日本の顧客1件当りの停電時間÷都市・国の顧客1件当りの停電時間)

31 9

・運転年数発電原価方式に基づいて試算・発電原価=(資本費+燃料費+運転維持費)÷発電電力量・計算の期間は発電機の法定耐用年数

29

・火力発電設備のライフサイクルでの発電原価[US$/kWh]

25.1円/kWh

想定される我が国提供可能

技術(左)と技術導入指標(右)

国営発電企業PLN公開資料より(PLNStatistics2013)

7.3円/kWh(※石炭火力)

エネルギーの生産・供給

【技術マップ】<エネルギー生産>・原油・天然ガス採掘・開発技術・石炭・天然ガス火力発電・小水力発電・太陽光発電、風力発電(小規模、独立型)<エネルギー供給>・電力供給システム・ガス輸送・貯蔵システム

【事業例】・H24NEDO事業「ミャンマー連邦共和国における流水式マイクロ水力発電による農村地域の電化プロジェクトの案件発掘調査」

・火力発電設備のライフサイクルでの発電原価[US$/kWh]

0.222

国営発電企業PLN公開資料より(PLNStatistics2013)

国レベル 配点

総合評価点

①個別指標A ②個別指標B ③代替指標A(国レベル) ④代替指標B(国レベル) 指標A 指標B

■エネルギー軸

各カテゴリーの基本目標

都市レベル

その他軸の「Basic」カテゴリーを実現するために必要な最低限のエネルギー供給都市住民が熱中症にかかったり、また凍死したりすることがないようにするためのエネルギー供給

「Basic」カテゴリー

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106

バンドン市 エネルギー軸での技術指標評価結果(続き)

(資料)三菱UFJリサーチ&コンサルティング作成

項目 数値 算出方法 項目 数値 算出方法 項目 数値 算出方法 項目 数値算出方

法実態評

価実態評価リ

ソース評価基

準評価基準リソース 評価点

実態評価

実態評価リソース

評価基準

評価基準リソース評価点

・GDP当りの民生部門年間エネルギー消費量[MJ/US$]

N/A

・GDP当りの民生部門エネルギー年間消費量[MJ/US$]

2.6 2.6・ユーロモニターDB

0.44

・日本におけるGDP当りの民生部門エネルギー消費量を100点と設定・【計算式】100点×(日本のGDP当りの民生部門エネルギー消費量÷都市・国のGDP当りの民生部門エネルギー消費量)

17 17

・平均世帯所得に占めるエネルギーコストの割合 [%]

N/A

・平均世帯所得に占めるエネルギーコストの割合 [%]

5.5%

・家計支出に占める、電気、ガス、液体燃料、固体燃料への支出額の割合

5.5% ・ユーロモニターDB4%

・日本における家計支出に占める電気、ガス、液体燃料、固体燃料への支出額の割合を100点と設定・【計算式】100点×(日本の平均世帯所得に占めるエネルギコスト比率÷都市・国における〃)

64 64

産業部門

【技術マップ】・石油精製・石油化学プロセス

【事業例】

・GDP当りの産業部門年間エネルギーエネルギー消費量[GJ/US$]

N/A -

・GDP当りの産業部門エネルギー年間エネルギー消費量[MJ/US$]

3.0 - 3.0・ユーロモニターDB

1.37

・日本におけるGDP当りの産業部門エネルギー消費量を100点と設定・【計算式】100点×(日本のGDP当りの産業部門エネルギー消費量÷都市・国のGDP当りの産業部門エネルギー消費量)

47 - - - 47

31

国レベル 配点

総合評価点

①個別指標A ②個別指標B ③代替指標A(国レベル) ④代替指標B(国レベル) 指標A 指標B

-

エネルギーの消費

民生部門

【技術マップ】・家電・業務機器・空調機器・照明機器

【事業例】

- - - -

想定される我が国提供可能

技術(左)と技術導入指標(右)

都市レベル

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107

(3)制度整備チェックシート

バンドン市における制度整備チェックの結果を図表 67~図表 70に示す。

廃棄物軸では、現状把握の項目は概ね充足されているが、その他については充

足されている項目はほとんど無く、改善の余地が大きいことが示唆された。

水軸では、廃棄物軸ほど状況は深刻ではないが、上水下水ともに充足されてい

ない項目が依然として多くあり、制度整備状況を改善する余地が残されているこ

とが明らかとなった。

エネルギー軸についても同様に、全体的に充足されていない項目が散見され、

改善の余地が残されていることがうかがえる。

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108

図表 67 バンドン市 廃棄物軸での制度整備状況

(資料)三菱UFJリサーチ&コンサルティング作成

評価項目

・それぞれについて評価を実施・類似の充足要素があれば「○」、そうでない場合は「×」とする。

政策

【中央】○産業廃棄物処理業の高度化と処理施設に対する地域理解の促進の推進 ・(新)産業廃棄物処理業のグリーン成長・地域魅力創出促進支援事業 ・ITを活用した循環型地域づくり基盤整備事業 ・製造業者等と連携した循環産業形成支援事業 ・廃棄物エネルギー導入・低炭素化促進事業○循環資源の高度利用に向けた取組 ・循環型社会形成推進等経費 ・レアメタル等を含む小型電子機器等リサイクル推進事業費○循環型社会形成に必要な廃棄物処理施設の着実な更新 ・環型社会形成推進交付金(公共)(浄化槽分を除く) ・廃棄物処理センター等に対する補助事業(公共)【地方】○廃棄物削減の取り組み ・ごみ処理基本計画の作成○リサイクルの推進、循環ビジネス化への取り組み ・各種法令に基づいたリサイクルの推進 ・地元企業の廃棄物処理を支援 ・リサイクル企業の育成・誘致

1.廃棄物処理業の高度化を促す技術開発支援事業が存在する。2.廃棄物処理を高度化するための企業間連携、共同研究等を促す事業が存在する。3.廃棄物の適正処理を拡大させるための設備導入を支援する資金支援制度が存在する。4.資源の安定確保という視点からリサイクルを促す制度が存在する。

5.廃棄物処理に関する計画が存在する。6.法令に基づいてリサイクルがきちんと機能している。7.地元企業による廃棄物(事業系廃棄物)処理が過半を占める。8.リサイクル企業の育成・誘致を行うための経済的制度が存在する。

1.×2.×3.×4.×5.○6.×7.△(委託実態を把握できる統計等は無し)8.×

現状把握

【中央】○各種統計・白書の作成 ・廃棄物処理に関する統計 ・環境・循環型社会白書【地方】○廃棄物削減の取り組み ・各種統計

1.廃棄物の発生・処理等の実態を報告、公表する制度が存在する。2.廃棄物の発生・処理等に関する統計制度が存在する。3.有害廃棄物の発生・回収・処理等に関する統計もしくはデータ収集制度が存在する。4.技術導入指標計算のためのデータが揃っている。

1.○(産業廃棄物は統計なし)2.○←同上3.○4.×

管理・管轄

【中央】○産業廃棄物処理業の高度化と処理施設に対する地域理解の促進の推進 ・(新)産業廃棄物処理業のグリーン成長・地域魅力創出促進支援事業 ・ITを活用した循環型地域づくり基盤整備事業 ・製造業者等と連携した循環産業形成支援事業 ・廃棄物エネルギー導入・低炭素化促進事業○循環資源の高度利用に向けた取組 ・循環型社会形成推進等経費○循環型社会形成に必要な廃棄物処理施設の着実な更新 ・循環型社会形成推進交付金(公共)(浄化槽分を除く) ・廃棄物処理センター等に対する補助事業(公共)【地方】○リサイクルの推進、循環ビジネス化への取り組み ・リサイクル企業の育成・誘致 ・行政の廃棄物収集・処理関連業務の民間委託○廃棄物処理施設の整備、維持管理 ・PPP/PFI等による民間資金、ノウハウの活用○リサイクルの推進、循環ビジネス化への取り組み ・各種法令に基づいたリサイクルの推進 ・地元企業の廃棄物処理を支援○廃棄物処理施設の整備、維持管理 ・公共投資による定期的な更新、改良

1.廃棄物処理業の高度化を促す技術開発支援事業が存在する。2.廃棄物処理を高度化するための企業間連携、共同研究等を促す事業が存在する。3.廃棄物の適正処理を拡大させるための設備導入を支援する資金支援制度が存在する。

4.リサイクル企業の育成・誘致を行うための経済的制度が存在する。5.より効率的な廃棄物処理を促すための民間委託制度が整っている。6.より効率的な廃棄物処理を促すための民間委託が実施されている。7.地元企業による廃棄物処理が過半を占める。8.廃棄物処理施設の整備を維持するための公共資金が存在する。

1.×2.×3.×4.×5.×6.×7.×(処理は全て市外)8.○(生活系廃棄物のみ)

関連産業

【中央】○産業廃棄物処理業の高度化と処理施設に対する地域理解の促進の推進 ・(新)産業廃棄物処理業のグリーン成長・地域魅力創出促進支援事業 ・ITを活用した循環型地域づくり基盤整備事業 ・製造業者等と連携した循環産業形成支援事業 ・廃棄物エネルギー導入・低炭素化促進事業○循環資源の高度利用に向けた取組 ・循環型社会形成推進等経費 ・レアメタル等を含む小型電子機器等リサイクル推進事業費○循環型社会形成に必要な廃棄物処理施設の着実な更新 ・循環型社会形成推進交付金(公共)(浄化槽分を除く) ・廃棄物処理センター等に対する補助事業(公共)【地方】○危険要素の確実な排除 ・ダイオキシン対策を講じられた焼却炉の導入○リサイクルの推進、循環ビジネス化への取り組み ・各種法令に基づいたリサイクルの推進 ・行政の廃棄物収集・処理関連業務の民間委託○廃棄物発電・焼却灰の処理に関する取り組み ・廃棄物発電の導入 ・焼却灰の高度処理(溶融炉+金属回収、燃料化等)

1.廃棄物処理業の高度化を促す技術開発支援事業が存在する。2.廃棄物処理を高度化するための企業間連携、共同研究等を促す事業が存在する。3.廃棄物の適正処理を拡大させるための設備導入を支援する資金支援制度が存在する。4.資源の安定確保という視点からリサイクルを促す制度が存在する。

5.ダイオキシン対策を念頭においた焼却炉導入促進制度が存在する。6.政府の掲げるリサイクルが予定から大きく外れない範囲で実施されている。7.廃棄物収集・運搬業の民間委託が行われている。8.廃棄物発電の導入を促す制度が存在する。9.焼却処理で発生する焼却灰を処理できる処理事業者存在する。

1.上記と同様2.上記と同様3.上記と同様4.×5.×6.×7.×(収集はコミュニティにて実施)8.○9.?(ホルシムのセメントプラント?)

経済・財政

【中央】○産業廃棄物処理業の高度化と処理施設に対する地域理解の促進の推進 ・(新)産業廃棄物処理業のグリーン成長・地域魅力創出促進支援事業 ・ITを活用した循環型地域づくり基盤整備事業 ・製造業者等と連携した循環産業形成支援事業 ・廃棄物エネルギー導入・低炭素化促進事業○循環資源の高度利用に向けた取組 ・循環型社会形成推進等経費○循環資源の高度利用に向けた取組 ・循環型社会形成推進等経費○循環型社会形成に必要な廃棄物処理施設の着実な更新 ・環型社会形成推進交付金(公共)(浄化槽分を除く) ・廃棄物処理センター等に対する補助事業(公共)○循環資源の高度利用に向けた取組 ・レアメタル等を含む小型電子機器等リサイクル推進事業費【地方】○リサイクルの推進、循環ビジネス化への取り組み ・地元企業の廃棄物処理を支援 ・リサイクル企業の育成・誘致

1.廃棄物処理業の高度化を促す技術開発支援事業が存在する。2.廃棄物処理を高度化するための企業間連携、共同研究等を促す事業が存在する。3.廃棄物の適正処理を拡大させるための設備導入を支援する資金支援制度が存在する。4.資源の安定確保という視点からリサイクルを促す制度が存在する。

5.地元企業による廃棄物処理が過半を占める。

1.上の項目に同じ設問あり2.同上3.同上4.同上5.同上

想定される我が国から提供可能な政策立案ノウハウ(左)と制度整備チェックリスト(右)

■廃棄物軸バンドン市のカテゴリー Advanced上記の基本目標 都市住民の生命や健康、また快適な生活環境を害する廃棄物の無害化(予防措置的なものも含む)

制度整備状況に関する評価体系 我が国(中央官庁、地方自治体)における取り組み事例

制度整備状況に関する評価欄

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109

図表 68 バンドン市 水軸(上水)での制度整備状況

(資料)三菱UFJリサーチ&コンサルティング作成

■水軸(上水)

評価項目

・それぞれについて評価を実施・類似の充足要素があれば「○」、そうでない場合は「×」とする。

政策

【中央】・水道水水質基準・パフォーマンス基準【地方】・水道事業・施設整備計画の策定・運営プランの策定

1.法制度は現実に機能している2.規制を機能させるための政策・経済的手段がある。3.定期的に見直しを行う目標・計画があり、進捗が管理されている。4.政府、地方自治体や事業者によって水関連のデータが記録・報告されている。5.断水・漏水を修復・修繕する行政の体制が取られている

1.×2.○(プランはあるが、機能は限定的)3.○4.○(数値の信憑性に一部疑問)5.×

現状把握【地方】・広域総合水質調査実施・「水辺環境ガイドライン」策定

1. 飲料水需要量の評価を行っている2.排出事業者の排水量・排出物質の評価を行っている3.地域の河川流域の情報収集を行っている。4.水環境において影響を受けやすい生態系(水生生物、水鳥など)の評価を行っている5.技術導入指標計算のためのデータが揃っている。

1.×2.○3.○4.×5.○

管理・管轄

【中央】・地方自治体への行政指導の強化【地方】・各種法令、規制に基づいた水源の保全・水供給設備の整備、運営・水道管の更新・修復

1.各部門・企業・住民との連絡調整を行う機能がある2.水道管の定期的な更新・修復の管理体制がある。3.盗水を抑制する管理体制がある。4.飲料水起因の健康被害のリスクを住民に伝える仕組みがある。

1.○2.×3.×4.×

関連産業

【中央】・PPP/PFIの推進【地方】・ICT技術を活用した維持管理業務の効率化・PPP/PFI等による民間資金、ノウハウの活用

1.地域内での官民連携による水質改善の取り組みがある2.NPO・NGO・インフォーマルセクター等との関係を円滑に保つしくみがある。

1.×(公営)2.×

経済・財政

【中央】・硝酸性窒素に関する地域総合対策制度推進費・地盤沈下等水管理推進費【地方】・健全な水循環に係る総合対策推進費

1.浄水施設への投資インセンティブとなる経済措置が取られている。

1.○

制度整備状況に関する評価体系我が国(中央官庁、地方自治体)における取

り組み事例

制度整備状況に関する評価欄

バンドン市のカテゴリー Advanced

上記の基本目標都市住民の生命や健康を害することのない飲料水をどこでも安価かつ潤沢に供給(水道もしくは容器入り飲料水の販売等)各種工業用途、農業用途等で利用に耐えうるのみならず、浄化のための追加的なコストをほとんど要しない潤沢な用水の供給

想定される我が国から提供可能な政策立案ノウハウ(左)と制度整備指標(右)

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110

図表 69 バンドン市 水軸(下水)での制度整備状況

(資料)三菱UFJリサーチ&コンサルティング作成

評価項目

・それぞれについて評価を実施・類似の充足要素があれば「○」、そうでない場合は「×」とする。

政策

【中央】・健全な水循環の推進・各汚染物質の排出規制・各種法律の制定・施行「浄化槽法」「水道法」「下水道法」「水質汚濁防止法」【地方】・各汚染物質の排出規制・公害防止条例

1.下水道管理に関する法規制がある。2.産業排水への規制がある。3.技術導入を支援する既存の法令がある。4.生活排水処理に係る数値目標、指標がある。5.産業排水処理に係る数値目標、指標がある。

1.×2.○3.?4.○(セプティックタンクの導入)5.○

現状把握【地方】・水質汚濁現地調査実施・環境水質測定所を設置

1.下水道の普及率を計算している。2.産業排水の排出事業者を把握している3.公共用水域の水質調査を行っている。4.飲料水起因の健康被害の特徴を把握している。5.河川の汚濁が水圏生物に与える影響を把握している。6.技術導入指標計算のためのデータが揃っている。

1.○2.○3.×(やっているが不十分)4.○(基本的に水道水を飲まないので市販PETボトル利用)5.×6.○

管理・管轄

【中央】・汚染問題の担当部局の明確化・地方自治体への行政指導・排出事業者への行政指導【地方】・下水道局の設置・公害対策協議会の設置・下水処理設備、下水道の整備・運営

1.自治体に水問題を管轄する部署がある。 1.○

関連産業【地方】・事業所の自主努力を促す協定の締結

1.地域内の排水事業者の水質改善を促す取り組みがある(法令遵守を含む)

1.○

経済・財政【中央】【地方】・公害防止設備資金貸付制度

1.排水処理インフラ向上のための財務的スキームがある。1.×

想定される我が国から提供可能な政策立案ノウハウ(左)と制度整備チェックリスト(右)

制度整備状況に関する評価体系我が国(中央官庁、地方自治体)における取

り組み事例

制度整備状況に関する評価欄

上記の基本目標 上水道・工業用水の取水源における悪臭や水産資源の劣化を防ぎ、また水源利用に耐えうる水質を維持するための廃水処理

■水軸(下水・排水処理)

バンドン市のカテゴリー Basic

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111

図表 70 バンドン市 エネルギー軸での制度整備状況

(資料)三菱UFJリサーチ&コンサルティング作成

評価項目

・それぞれについて評価を実施・類似の充足要素があれば「○」、そうでない場合は「×」とする。

政策

【中央】・エネルギー政策に関する基本立法・エネルギー需給計画の策定

【地方】

1.エネルギー政策立案を行う人材の育成を行っている2.現在及び将来のエネルギー需給に関する計画、指標、数値目標が存在する

1.×2.○

現状把握

【中央】・エネルギー消費統計の整備・安定的かつ低廉な資源の確保

【地方】

1.エネルギー需要量、特性の把握が行われている2.利用可能なエネルギー資源を確保するための計画が策定されている3.技術導入指標計算のためのデータが揃っている

1.×2.×(場当たり的に実施。計画の有無は不明)3.○

管理・管轄

【中央】・エネルギー政策基本法に基づいた供給管理・各法に基づいたエネルギー価格の規制

【地方】・国の法律に基づいた地方公共団体等のエネルギー管理

1.エネルギー管理の役割と責任について、中央政府、地方政府等間で調整が行われている2.エネルギー価格の適切な設定のためのルールが整備されている3.エネルギー使用料金徴収のための制度が整備されている

1.×2.×。3.○(恐らく課金)

関連産業

【中央】・エネルギー関連産業の振興策の策定

【地方】

1.エネルギー関連の現地資本の民間企業が存在する2.エネルギーインフラの整備に対して民間の資本が投入されている

1.○2.△(一部に民間ガソリンスタンドあり)

経済・財政

【中央】・石油石炭税、電源開発促進税、ガソリン税等による税収入制度・エネルギー料金の徴収制度の整備

【地方】

1.エネルギー供給管理のための財政制度、料金制度が存在する2.エネルギー料金徴収の仕組みが機能している

1.×2.○

想定される我が国から提供可能な政策立案ノウハウ(左)と制度整備チェックリスト(右)

■エネルギー軸バンドン市のカテゴリー Basic上記の基本目標 その他軸の「Basic」カテゴリーを実現するために必要な最低限のエネルギー供給

制度整備状況に関する評価体系 我が国(中央官庁、地方自治体)における取り組み事例

制度整備状況に関する評価欄

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112

V.今後の課題

V-1. 開発した指標の改善

「持続可能な都市づくり」に関するその他の軸の指標群開発

本事業では、経済産業省事業とも関係性の高い「廃棄物」軸、「水(上水・下

水等)」軸、「エネルギー」軸の3軸を優先し、ケーススタディ的に指標開発(ス

テージ類型化のための都市評価シート、各軸・ステージ別の技術導入指標、各軸・

ステージ別の制度整備チェックシート、各軸・ステージ別の日本における技術導

入事例・政策立案事例)を行った。

今後は、「持続可能な都市づくり」のための重要な軸として考えられている「大

気」、「土壌」、「ICT」、「交通」についても同様に指標開発を行っていく

必要がある。

また、「持続可能な都市づくり」とはどのようなものなのか、これを目指すと

どのような良いことが期待されるのか、具体性のある例示等を今後工夫していく

必要がある。

我が国の強みが評価されるような「技術導入指標」づくり

中国等との競合を想定し、我が国技術の強みがアジア新興国政府にも分かりや

すく伝わるようなしかけとして、遵法の重要性が伝わったり、またライフサイク

ルコスト(設備導入から撤去に至るまでに要する総コスト)単位金額あたりの機

能を可視化できたりする指標開発を行った。

今後も、我が国企業の有する技術優位性を整理・具体化し、そうした強みをア

ジア新興国の政策立案者等にも理解してもらえるような技術導入指標の改善を目

指す必要がある。本指標体系がアジア諸都市の発展状況を把握するツールに留ま

らず、日本企業の技術導入に結び付くものへとすることが今後の課題である。

現地の調達仕様書に結び付くような指標開発

現状は調達の視点は取り入れていないが、現地の調達仕様書に絡めてもらえる

ような指標の使い方にしていく必要がある。現在、世界銀行は調達ガイドライン

の改変を進めているが、日本の技術の強みが発揮できるような評価となっている

か、動向を把握していくことが望まれる。新興国等では世界銀行の調達ガイドラ

インを参考にすることが多いため、「持続可能な都市づくり」のための指標開発

においても、こうした潮流を踏まえたものとし、単なる指標開発に留まらない、

調達に影響を与えることまで見据えたものとする必要がある。

Page 121: アジア諸都市に係る サステナビリティ指標に関する 調査事業 報 … · 委員 小川 和典 国際協力銀行インフラ・環境ファイナンス部門

113

ライフサイクルの外部効果の考慮

技術等を評価する際は、ライフサイクルで見た場合の外部効果についても考慮

することが望ましい。外部効果としては、正の外部性と負の外部性の両方が考え

られ、これらを組み込んだ評価でなければ、部分最適な技術導入へと繋がってし

まう恐れがある。しかし、ライフサイクルの外部効果を評価することは容易では

ないため、新しい評価手法の開発などが求められる。

V-2. アジア新興国に相応しい・適した評価基準の導入

「技術導入指標」における評価基準の設定

現状では、暫定的に我が国の都市部における平均的な状況を100点満点等と想定

しながら採点することを想定しているが、そのデータの入手可否、またそもそも

我が国を基準として比較することの是非については、今後も議論を深める必要が

ある。

「技術導入指標」を評価するためのデータ入手可否に関する検証

現在のところ、それぞれの技術導入指標について、我が国自治体における統計

整備の状況、またマレーシア・クアラルンプール市、インドネシア・バンドン市

を対象にした試行を念頭においた開発としているが、実際にはデータの入手が難

しいことによる評価の難しさも存在する。今後、現地におけるデータの入手可能

性を念頭においた指標群の改善、またデータ整備の支援を検討していく必要があ

る。

V-3. アジア新興国における「持続可能な都市づくり」及び我が国技術やノウ

ハウの現地展開に向けた方法論の改善

現地政策担当者向けに例示する導入技術例や政策立案ノウハウの充実

現状、「廃棄物」軸、「水(上水・下水等)」軸、「エネルギー」軸について、

各ステージにそれぞれ相応しい導入技術例や政策立案例を例示している。

こうした技術導入事例や政策立案事例については、今後も定期的に情報蓄積、

更新していく必要がある。また、実際の評価事例等についても逐次記録し、各種

指標群の改善にも結び付けられるような仕組みへと変えていく必要がある。

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114

国および企業との連携を推進する方法論への拡充

指標を用いて政策対話を行う主体となるのは自治体であるが、自治体単体で全

てを担当することは難しいため、国や民間企業との連携を充実させオールジャパ

ンとして進める必要がある。技術導入を行うための技術を保有するのは民間企業

であるため、事業の早い段階から民間企業と連携を図っておくことが望ましい。

また、自治体間の政策対話は国が関与していかなければスムースに交渉を進める

ことは難しいため、国家間の交渉を通じて後押ししていくことが望ましい。現状

は、各ステークホルダーの役割分担が不明瞭な状態であるため、各々の役割を明

確にしていく必要がある。

日本の技術・製品導入に向けたより具体的な連携体制や取り組みの検討

アジア新興国への展開を実行に移していくための体制や枠組みについて確立の

上、都市開発の輸出に結び付けていくことが重要である。

そのため、日本企業との具体的な連携体制や日本の技術・製品導入に向けたよ

り具体的な取り組みの検討が必要である。例えば、現地政府の担当者が訪日する

機会を捉え、同担当者を製造工場やプロジェクト現場等へ案内できるような枠組

みを導入することについても検討が必要である。

マニュアルおよび現地説明資料の充実

本指標は主に自治体が使用することを想定しているが、自治体担当者や関連す

る企業担当者等が本指標を正確に理解できるようにするための、マニュアルや解

説書を整備していく必要である。また、現地政策担当者に説明する場合には英語

版資料(必要に応じ現地語版資料)が必要になることから、そのような資料の準

備についても順次進める必要がある。

(以上)

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115

VI.参考資料(指標の利用方法に関する取扱説明書)

指標の利用方法

アジア諸都市に係るサステナビリティ指標に関する研究会

1

目次

I. 持続可能な都市づくりに向けた考え方 02

II. 持続可能な都市づくりの可視化(指標) 07

III. 持続可能な都市づくりの具体化(方法論) 18

IV. 指標の利用方法 25

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116

2

I.持続可能な都市づくりに向けた考え方

3

「持続可能な都市づくり」における発展イメージ-3つのステージ

「持続可能な都市づくり」の最終目標は、住民の生存を保証した上で、より良い暮らしを持続することのできる都市の完

成である。将来の都市住民にとっても周辺の都市住民にとっても持続可能であることが最終的に求められる。

いずれの都市もまずは安全さの確保を優先し(基本ステージ(Basic))、豊かになるにつれ、住みよい環境の実現を目指

すが(進展ステージ(Advanced))、今後は現在その都市に住む住民だけではなく、将来及び周辺の住民にとっても住み

よい環境を持続的に確保する必要がある(包括発展ステージ(Comprehensive))。

先進国では「基本ステージ」⇒「進展ステージ」⇒「包括発展ステージ」 を追求してきた歴史があるが、現在は「基本ス

テージ」⇒「包括発展ステージ」を直接追求することも可能である。また、経済発展によって、労務費が上昇し、これまで

安価な労働力を背景に「進展ステージ」を実現できていたとしても、「基本ステージ」に低下することもあるため、経済発展

に応じた取り組みが求められる。

包括発展ステージ

(時間・都市横断レベルでの

改善)進展ステージ

(その都市での改善)

基本ステージ

(最低限の環境維持)

持続可能性→

(過去) (現在) (将来)

経済発展・賃金上昇によって都市環境は悪化

環境技術の導入による

改善(先進国)

「持続可能な都市づくり」に伴う制度整備・技術導入

先進国

新興国

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117

4

「持続可能な都市づくり」のために必要な要素-7つの軸

「持続可能な都市づくり」を実現するためには、以下7つの軸について適正な状態を達成、維持する必要がある。

「公害防止」、「循環型社会」、 「スマートシティ」などといったコンセプトは、「持続可能な都市づくり」という究極的な概念

に内包される。

大気・水: 人間が生きていく上で必須となる水や大気を清浄に保つ。

土壌: 食料を生み出し、各種生産活動の基盤となる土壌は、農業生産や各種土地利用に適した状態で維持する。

廃棄物: 人間が快適な生活空間を維持するために適正な廃棄物処理を行う。また廃棄物の発生原因となる各種資源を有効利用する。

エネルギー: 快適な生活空間を維持し、また高度な生産活動を行うために、可能な限りクリーンなエネルギーを安定的に調達する。

ICT: 人間の経済活動を効率的に管理するために、優れたコミュニケーション・インフラを整える。

交通: 人間の経済活動を三次元空間で効率的に実現するために、優れた交通インフラを整える。

大気

土壌

廃棄物

エネルギー

ICT

交通

持続可能な都市づくり

公害防止

循環型社会スマートシティ

ISO37151:都市環境インフラ指標に関する国際規格でも取り上げられている軸

5

「持続可能な都市づくり」に向けた評価体系(都市評価シート:軸と発展ステージ)

持続可能な都市づくりの進捗を可視化するための指標は、都市インフラに関わる7つの軸(大気、土壌等)と3つのス

テージのマトリックスで構成される。

各軸・ステージのセルに応じて評価を行う体系が存在し、技術導入による改善効果の評価指標(技術導入指標)とそれ

を円滑に機能させるためのチェックリスト(制度整備評価項目)が21セット準備されている(本調査では、水・廃棄物・エ

ネルギーの3軸:9セットのみ準備)。

セルごとに相応しい導入技術、また政策ノウハウが我が国の経験やノウハウをもとに整理されており、アジア新興国における持続可能な都

市づくり」の導入技術や施策の候補をここから選び出すことができる。

「7つの軸×3つのステージ」のイメージ

大気 土壌 水 廃棄物 エネルギー ICT 交通

基本ステージ(Basic)

(最低限の環境維持) 80

40 60 7010 20

50(注) 各セルに示す矢印中の数値は、各セルの技術導入指標を用いて評価した際の評価点を示す(100点満点)

包括発展ステージ(Comprehensive)

(時間・都市横断レ

ベルでの改善)

進展ステージ(Advanced)

(その都市での改善)

Page 126: アジア諸都市に係る サステナビリティ指標に関する 調査事業 報 … · 委員 小川 和典 国際協力銀行インフラ・環境ファイナンス部門

118

6

指標の活用による都市の持続的な発展

指標の活用により「持続的な都市」を支える環境インフラの構築が進み、それにより都市の持続的な発展が促進される

都市の様々な魅力が向上することで、人や企業の流入、それによる経済の好循環、所得の向上、教育水準の向上等、

都市サービス、生活の質の向上に繋がっていくことが期待される

大気 土壌 水 廃棄物 エネルギー ICT 交通

持続可能性

指標による都市の現状把握指標に基づいた必要な技術導入、制度整備による持続可能性の向上

住環境

の向上

人の流入

企業の

立地

都市財

政の安

定化都市の

安全性

向上

経済の

好循環

教育水

準の向

娯楽の

多様化

所得の

増加

都市の

利便性

の向上

都市の持続的な発展

指標の活用による「持続的な都市」を支える環境インフラの構築

2015年

20XX年

7

II.持続可能な都市づくりの可視化(指標)

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119

8

持続可能な都市づくりに向けた施策候補の洗い出し-4つのフェーズ

各軸ステージ別に設定されている制度整備チェックリ

ストについて、整備が必要な事項を確認する。

③:制度整備評価項目(各軸・ステージ別)

アジア諸都市における「持続可能な都市づくり」に向けた取り組みを支援するため、その都市における各軸のステージを判定(①)、

必要な技術とその効果を可視化するための指標(②)や導入技術を十分に機能させるための制度整備(③)を具体化させるチェッ

クリストを準備する。技術導入指標は、導入技術の効果把握、また次のステージに上がるための管理ツールとなる。

各軸いずれのステージに分類するのがふさわしいか評価する。①:事前評価

(各軸で各ステージ に分類)

各軸ステージに適した技術導入例を参考として、その導入効果を技術導入指標で評価する。

技術導入指標は、設備のライフサイクルでみた場合の投資効果や専門人材の育成効果など

といった中長期的な視点から評価できるようになっている。また、各都市の長所を殺さずに改

善するための評価ができるようになっている。

各軸ステージに適した技術導入例は、日本に蓄積されている導入事例を参考にすることが可

②:技術導入

指標(各軸・ステージ別)

技術導入 制度整備 導入技術を十分に機能させるための制度整備

日本のノウハウを参考にして、具体的な技術導入と並行して各都市政府で進める。

フェ

ーズ

Ⅰフ

ェー

ズⅡ

フェ

ーズ

Ⅲフェー

ズⅣ

持続可能な都市づくりを目指す

技術導入(フェーズIIIから先行

して実施)

PDCAサイクル

9

基本ステージ

我が国の経験を活かしながら現地政府担当者による評価や技術導入を支援

政策対話の一環として、「都市評価シート」を用いた自己診断をアジア新興国の現地政府担当者とともに行い、各軸どのステージ

に属するのか判断を行う(フェーズI)。

このステージ分けに基づき、基本ステージに対応した技術導入指標での評価を現地政府担当者が行い、その結果を踏まえてど

のような技術が相応しいのかを議論する(フェーズII)。また、導入技術を効果的に機能させるための制度整備状況をチェックし

(フェーズIII)、その政策立案を日本側のノウハウ等を提供しながら支援する。

ステージ 1

「基本ステージ」に相応しい技術

「基本ステージ」に相応しい政策

基本ステージ

日本の政策担当者(中央・

地方)が本指標を紹介し、現

地政府担当者が自己診断

フェーズI フェーズII フェーズIII フェーズIV

該当するステージの指標群

に基づいてその都市の状況

を現地政府担当者が精査

進展ステージ

包括発展ステージ

技術導入指標

制度整備チェックリスト

技術導入の効果を最大化

技術導入と並行して制度整

備状況を現地政府担当者が

チェック

導入技術を機能させるため

の各種政策をチェックリスト

に基づいて実施

PDCAサイクルで再びフェーズIに立ち戻って評価

Page 128: アジア諸都市に係る サステナビリティ指標に関する 調査事業 報 … · 委員 小川 和典 国際協力銀行インフラ・環境ファイナンス部門

120

10

「都市評価シート」で各軸ステージを判断

日本の政策担当者(中央・

地方)が本指標を紹介し、現

地政府担当者が自己診断

本事業で開発したツール(フェーズ別)

ステージ 1

フェーズI フェーズII フェーズIII フェーズIV

該当するステージの指標群

に基づいてその都市の状況

を現地政府担当者が精査

技術導入と並行して制度整

備状況を現地政府担当者が

チェック

導入技術を機能させるため

の各種政策をチェックリスト

に基づいて実施

「技術導入指標」で

技術の普及状況と

中長期安定性を

評価(各ステージ

で0~100点)

「制度整備チェックリスト」

から制度整備が

必要な項目を

洗い出す(各項

目で○×評価)

評価項目 チェック

政策

○○事業が存在 ×

○○法の整備 ○

現状把握

○○統計の整備 ×

財政

評価状況から日本にお

ける技術導入事例や政

策立案ノウハウを提示

して、現地における技

術導入支援、また政策

立案支援を促す。

Basic Advanced Comprehensive

廃棄物の不適正な処理によって疫病等が発生し、都市住民に健康被害が生じている

5 0 0 0

廃棄物の不適正な処理やリサイクルが行われないことから、悪臭問題、景観問題が発生し、都市住民の生活環境を悪化させている

5 0 0 0

域内に経済合理的な処理・リサイクル技術が存在しないため、規制の緩い周辺都市へ悪臭・景観・埋立地不足等の問題を輸出している(する可能性がある)

5 0 0 5

廃棄物の不適正な処理による都市住民への健康被害から、経済損失が発生している

5 0 0 0

廃棄物の処理に大きなコストがかかっており、行政の財政を圧迫している 5 0 5 0

廃棄物発生量の減少見込みが小さく、将来に埋立処分場の不足等の廃棄物問題やコスト負担が発生する可能性がある

5 0 0 0

衛生的な埋立処分場が存在せず、埋め立てられた廃棄物が悪臭問題、水資源・土壌汚染を引き起こしている

2.5 0 0 0

廃棄物の容量を圧縮する技術を保有しておらず、埋立処分場の不足の一因となっている

2.5 0 2.5 0

廃棄物管理・処理のコスト負担の削減のために、回収から処理までのライフサイクルコストを考慮した、効率的な廃棄物管理ツールの導入が必要となっている

2.5 0 0 0

金属資源(有害資源に該当するもの)の経済的な分離・処理技術を有していないこ

とから、有害廃棄物の分別回収・処理が行われていない2.5 0 0 0

付加価値を高めるリサイクル技術を保有していないために域内での経済的なリサイクルが成立していない

2.5 0 2.5 0

ライフサイクルの短い製品、設備が多く使用されており、廃棄物発生量の減少が見込まれない

2.5 0 0 0

10人または環境への間接的な

影響

5

インフラ、技術に由来するも

廃棄物の管理・処理

2.5

資源の効率的な利用

2.5

人または環境への直接的な影響

健康被害

10

経済損失

チェック項目Basic Advanced Comprehensive

5

大分類 小分類大分類 小分類 チェック項目 チェック

都市建設ブルのゼロエミッション

金属資源

の利用高

度化

持続可能な資

源利用の促進(リサイクルが難しい)

資源の利用高度化

都市におけるマ

テリアルフローコ

ストの改善

有害廃棄物

の適正処理

25

100

50

0その他

資源の

利用高

度化

データ欠如評価できない

ため、現状把握を優先

低評価分野から優先して

技術導入等を取り組み

「技術導入指標」及び

「都市評価シート」

で再評価。各構

成要素のバラン

スも見る。

大気

土壌

廃棄物エネルギー

ICT

交通

Basic 100

データ整備

○/●

データ整備

○/●

データ整備

○/●

データ整備

○/●

データ整備

○/●

データ整備

○/●

データ整備

○/●

Adv./Com. 100

Adv./Com. 50

Basic 0

11

開発ツールを用いた「持続可能な都市づくり」へのPDCAサイクル

Action

Plan

Do

Check

【フェーズI】

我が国の中央省庁・地方自治体担当者が、アジア新興国との

政策対話の一環として現地を訪問し、「都市評価シート」を用

いて現地ヒアリングを実施

各軸どのステージに属するのか、またどのような技術導入が

相応しいのかを現地政府向けに提案

【フェーズII&フェーズIII】

各軸・ステージ別の「技術導入指標」を用いて各都市を評価。相

応しい技術について我が国における過去の導入事例から提案

を行う。

技術を効果的に機能させるため、不足するソフト施策について

も「制度整備チェックリスト」を用いて提案を行う。

【フェーズIV②】

更なる改善が望まれる分野(技術導入指標1つについて一つの

分野が対応)、また軸(7つの軸)について、導入技術の普及拡

大、新たな技術の導入、これらを十分機能させるための各種ソフ

ト施策を実施していく。

改めて「都市評価シート」を用いて自己診断を行い、「持続可能

な都市づくり」の達成状況を確認する。

【フェーズIV①】

技術導入後、再び「技術導入指標」を用いて各都市を評価し、導

入前と比べてどの程度改善されているかを検証する。

また、ソフト施策の実施是非についても検証を行う。

これらの検証を踏まえて「技術導入指標」の評価点をクモの巣グ

ラフで俯瞰しながら「持続可能な都市づくり」のバランスを見る。

Page 129: アジア諸都市に係る サステナビリティ指標に関する 調査事業 報 … · 委員 小川 和典 国際協力銀行インフラ・環境ファイナンス部門

121

12

フェーズI:事前評価(各軸について各ステージに分類)

各類型化指標(チェック項目)はどのステージにおいて重要度(緊急性)が高いかを考慮し、重みづけを行う

全ての項目について該当有無をチェックし、最も加算ポイントが高いステージがその都市に該当するステージと判断

大分類は、「人または環境への直接的な影響」、「人または環境への間接的な影響」の2つ

前者の大分類「人または環境への直接的な影響」の下には「健康被害」、「経済損失」の2つの小分類を設定

後者の大分類「人または環境への直接的な影響」の下には「インフラ技術に由来するもの」、「政策、法制度に由来するもの」の2つの中分類を設

定し、各中分類の下に、各軸固有の小分類を設定

2つの大分類にそれぞれ10点ずつを配点し、その下にある小分類に10点を均等割りして配点

各分類について、都市の状況に最も合致するもの、最も重要性が高いと思われるもの1つにチェックを入れる(主観に基づくものでO.K.)

Basic Advanced Comprehensive

廃棄物の不適正な処理によって疫病等が発生し、都市住民に健康被害が生じている

5 0 0 0

廃棄物の不適正な処理やリサイクルが行われないことから、悪臭問題、景観問題が発生し、都市住民の生活環境を悪化させている

5 0 0 0

域内に経済合理的な処理・リサイクル技術が存在しないため、規制の緩い周辺都市へ悪臭・景観・埋立地不足等の問題を輸出している(する可能性がある)

5 0 0 5

廃棄物の不適正な処理による都市住民への健康被害から、経済損失が発生している

5 0 0 0

廃棄物の処理に大きなコストがかかっており、行政の財政を圧迫している 5 0 5 0

廃棄物発生量の減少見込みが小さく、将来に埋立処分場の不足等の廃棄物問題やコスト負担が発生する可能性がある

5 0 0 0

衛生的な埋立処分場が存在せず、埋め立てられた廃棄物が悪臭問題、水資源・土壌汚染を引き起こしている

2.5 0 0 0

廃棄物の容量を圧縮する技術を保有しておらず、埋立処分場の不足の一因となっている

2.5 0 2.5 0

廃棄物管理・処理のコスト負担の削減のために、回収から処理までのライフサイクルコストを考慮した、効率的な廃棄物管理ツールの導入が必要となっている

2.5 0 0 0

金属資源(有害資源に該当するもの)の経済的な分離・処理技術を有していないことから、有害廃棄物の分別回収・処理が行われていない

2.5 0 0 0

付加価値を高めるリサイクル技術を保有していないために域内での経済的なリサイクルが成立していない

2.5 0 2.5 0

ライフサイクルの短い製品、設備が多く使用されており、廃棄物発生量の減少が見込まれない

2.5 0 0 0

10人または環境への間接的な

影響

5

インフラ、技術に由来するも

廃棄物の管理・処理

2.5

資源の効率的な利用

2.5

人または環境への直接的な影響

健康被害

10

経済損失

チェック項目Basic Advanced Comprehensive

5

大分類 小分類大分類 小分類 チェック項目 チェック

13

フェーズII:技術導入指標による評価(技術導入の候補例と優先順位を判断)

技術導入指標の評価では、各軸×ステージ別(7×3=21パターン)に必要とされる技術の普及状況(個別指標A)とそ

の長期安定性(ライフサイクルコストで見た場合の費用対効果:個別指標B)との積で評価を行う(各分野100点満点でそ

の平均点を用いる)。どの分野の技術導入を優先して取り組むべきか、検討を行う。

技術分野(技術戦略マップか

ら)

普及状況(個別指標A)

長期安定性

(個別指標B)

代替指標(国平均値)評価点

日本の技術導入事例(ステージ別)普及状況

(代替指標A)長期安定性(代替指標B)

●●のゼロエミッション化

●●の割合(%)

ライフサイクルコスト単位金額あたり処理能力(USD/t)

△△の割合(%)

ライフサイクルコスト単位金額あたり処理能力(USD/t)

45 ・△△処理技術・××燃料化技術 etc.

●●資源の再利用促進

●●の実施率(%)

△△の実施率(%) 60 ・○○高度選別技術

・△△ソーター etc.

持続可能な●●の利用

●●再資源化量(%)

△△再資源化量(%) 10 ・○○設計

・□□発生抑制技術etc.

38平均算出(クモの巣グラフ

表示:次頁参照)

4.「技術戦略マップ」をもとに

相応しいものを提案(低得点

から順次)1.普及状況を評価 2.長期安定性を評価A B 3. × で評価A B

Page 130: アジア諸都市に係る サステナビリティ指標に関する 調査事業 報 … · 委員 小川 和典 国際協力銀行インフラ・環境ファイナンス部門

122

14

フェーズII:技術導入指標による評価(各軸でどの技術が必要か判断)

各軸(例:廃棄物、水、エネルギー等)ごとに作成された技術導入指標を用いて評価を行い、どの部分を優先的に取り組

んでいくべきかを判断する(以下のクモの巣グラフ)。

都市建設物のゼロエミッション

金属資源

の利用高

度化

持続可能な資

源利用の促進

(リサイクルが難しい)

資源の利用高度化

都市におけるマ

テリアルフローコ

ストの改善

有害廃棄物

の適正処理

25

各項目における技術導入指標の評価結果(廃棄物軸の例)

技術導入指標での評価

技術普及状況(個別指標A)について、各都市の統計データから

定量的に評価を行う。直接データが得られない場合、代替指標

(国平均データ)を用いる。データがない場合、評価対象外とする。

技術導入の中長期安定性(個別指標B)について、データがない

場合、個別指標Aと同等とみなす。

100

50

0その他

資源の

利用高

度化

項目 数値 算出方法 項目 数値 算出方法 項目 数値 算出方法 項目 数値 算出方法実態評

価実態評価リ

ソース評価基

準評価基準リソース 評価点

実態評価

実態評価リソース

評価基準

評価基準リソース評価点

都市建築物

のゼロエミッション化

【技術マップ】建設廃棄物対策(すでにあるもの、これから建てら

れるもの)(建設発生土の工事現場間での転用)・廃材リユース・リサイクル(再生骨材、木質バイオ

マス利用、地盤改良材、資源循環住宅等)【事業例】

・H25環境省事業「ベトナム社会主義共和国におけるD-waste(建設解体廃棄物)の循環システム構

築・展開事業」

・固形廃棄

物総発生量に対して

廃棄処理が行われ

ている割合[%]

57.5%

・回収された廃棄物

のうち適正処理される

割合

・固形廃棄物処理単

位重量あたりにかか

るコスト[US$/t]

0.57

・自治体回収費用:約2.33RM/kg、衛

生埋立処理:0.03RM/kg、計:約

2.36RM/k・白井グループ、

「マレーシア廃棄物視察報告」(2011

年)

・固形廃棄

物総発生量に対して

廃棄処理が行われ

ている割合[%]

・固形廃棄物処理単

位重量あたりにかか

るコスト[US$/t]

57.5%

Asian GreenCity Index

http://www.siemens.com/e

ntry/cc/features/greencity

index_international/al l/en/p

df/report_asia.pdf

・廃棄物の適正処理率をそのまま配点

5863.3円/kg

・自治体回収費用:約

2.33RM/kg、衛生埋

立処理:0.03RM/k

g、計:約2.36RM/k

・白井グループ、

「マレーシア廃棄物

視察報告」(2011年)

37円/kg

・自治体の都市

ゴミ処理単位重量あたりにか

かるコスト・環境省「平成

25年度一般廃棄物処理実態

調査」

59 34

・固形廃棄

物総発生量に対して

リサイクルが行われ

ている割合[%]

N/A

・固形廃棄

物総発生量に対して

リサイクルが行われ

ている割合[%]

5%

・マレーシアに

おけるリサイクル率

5%

Asian Green

City Indexhttp://www.si

emens.com/entry/cc/featu

res/greencityindex_internat

ional/al l/en/pdf/report_asia.

pdf

20%

・日本における都市ごみ総排出量の内、

資源化される量の割合(約20%)を100点

と設定・【計算式】100点×

(都市・国の資源化率÷日本の資源化

率)

25 25

・政府からライセンス

を付与されているリサ

イクル事業者の件数

N/A

・政府からライセンス

を付与されているリサ

イクル事業者の件数

N/A N/A 1

・日本における人口

1,000人当りのリサイクル事業者認可数

を100点と設定・【計算式】100点×

(都市・国の事業者認可数÷日本の事

業者認可数)

N/A N/A

(その他)資源

の利用高度化

【技術マップ】(プラスチック(燃料化・油化、モノマー化、塗装膜剥

離、リグノフェノールプラスチック、3Rを考慮したプラスチック利用等)、バイオマス(焼却発電、燃料化、

堆肥化、リグノフェノール等)、ASR(ガス化、複合リサイクル)、複合素材、代替フロン(回収システム、

分解技術、低コスト・高効率)・分離・分別、発酵、燃料化(固体、ガス)

・ケミカルリサイクル、発酵、燃料化(固体、ガス)【事業例】

H25環境省事業「フィリピンメトロセブ地域におけるレジ袋等の軟質系廃プラスチック類マテリアルリサイ

クル事業の可能性調査」

・固形廃棄

物総発生量に対して

リサイクルが行われ

ている割合[%]

N/A -

・国の固形

廃棄物総発生量に

対してリサイクルが行

われている割合[%]

5%

・マレーシアに

おけるリサイクル率

- 5%

https://www.e

nv.go.jp/recycle/c ircu l/ven

ous_industry/pdf/env/h23/

05.pdf

20% ・同上 25 - - - 25

都市レベル

総合評価

①個別指標A ②個別指標B ③代替指標A(国レベル) ④代替指標B(国レベル) 指標A 指標B配点

-- -

国レベル

想定される我が

国提供可能技術(左)と

技術導入指標(右)

(金属)資源の利用高度

【技術マップ】

金属資源3R(ベースメタル、レアメタル、貴金属等)・(解体されたもの等からの)分離・回収・リユース・

破砕・粉砕・データ収集(溶融飛灰、焼スラッジ、廃自動車、電池・磁石、PC・携帯等、テレビ、触媒、超

硬工具、鉄鋼添加系レアメタル等)・不純物管理(鉄鋼、アルミニウム、超微細粒鋼

等)、リユース、簡易識別(金属種別等)、データ収集(レアメタル等の需要統計・予測等)

【事業例】H24環境省事業「トルコ共和国電気電子機器廃棄

物及びELVミックスメタルの統合リサイクルシステム整備事業」

データ欠如で評価できな

いため、現状把握を優先

低評価分野から優先して

技術導入等を取り組み

15

フェーズIII:制度整備チェックリストによる評価(技術を機能させるために必要な制度を判断)

各軸ステージ(基本ステージ・進展ステージ・包括発展ステージ)ごとに作成された制度整備チェックリストを用いて、その

カテゴリーに適した導入技術群を有効に機能させるための政策や制度を評価し、不足しているものを明らかにする。

データや制度整備等を行う前

都市建設物のゼロエミッション

金属資源

の利用高

度化

持続可能な資

源利用の促進(リサイクルが難しい)

資源の利用高度化

都市におけるマ

テリアルフローコ

ストの改善

有害廃棄物

の適正処理

25

100

50

0その他

資源の

利用高

度化

制度整備状況

チェックリスト

制度整備・産業育成等

都市建設物のゼロエミッション

金属資源

の利用高

度化

持続可能な資

源利用の促進(リサイクルが難しい)

資源の利用高度化

都市におけるマ

テリアルフローコ

ストの改善

有害廃棄物

の適正処理

25

100

50

0

その他

資源の

利用高

度化

データ整備

データや制度整備による技術導入効果の拡大

Page 131: アジア諸都市に係る サステナビリティ指標に関する 調査事業 報 … · 委員 小川 和典 国際協力銀行インフラ・環境ファイナンス部門

123

16

各項目の平均点(廃棄物軸の例)

フェーズIV:技術導入指標による評価(複数軸のバランスを見る)

各軸ステージ(基本ステージ・進展ステージ・包括発展ステージ)ごとに作成された技術導入指標を用いて、評価対象都

市がバランスよく「持続可能な都市づくり」を実現できているかを評価することができる(以下のクモの巣グラフ)。

大気

土壌

廃棄物エネルギー

ICT

交通

Basic 100

「持続可能な都市づくり」の軸全体で比較

データ整備

○/●

データ整備

○/●

データ整備

○/●

データ整備

○/●

データ整備

○/●

データ整備

○/●

データ整備

○/●

Adv./Com. 100

Adv./Com. 50

Basic 0

都市建設物のゼロエミッション

金属資源

の利用高

度化

持続可能な資

源利用の促進(リサイクルが難しい)

資源の利用高度化

都市におけるマ

テリアルフローコ

ストの改善

有害廃棄物

の適正処理

25

100

50

0その他

資源の

利用高

度化

各項目の平均点

(Advance:○○

ポイント)

17

フェーズIV:技術運用や制度整備による評価の改善(各軸の評価/バランスを改善)

技術導入指標は、各技術分野の技術を導入することで状況が改善されれば評価が上昇するため、結果として各軸評価

点を引き上げることができる。

アジア新興国の諸都市では、現状把握には必須となる統計データや計測データの整備が十分ではないことも多いが、

国レベルの代替指標を用いてもデータが得られない場合は各軸の得点計算からは除外している。(データの整備状況に

ついては制度整備チェックリストで考慮する。)

大気

土壌

廃棄物

エネルギー

ICT

交通

大気

土壌

廃棄物

エネルギー

ICT

交通

5年後「水」・「廃棄物」軸で改善

データ整備

○/●

データ整備

○/●

データ整備

○/●

データ整備

○/●

データ整備

○/●

データ整備

○/●

データ整備

○/●

データ整備

○/●

データ整備

○/●

データ整備

○/●

データ整備

○/●

データ整備

○/●

Basic 100

Adv./Com. 100

Adv./Com. 50

Basic 0

Basic 100

Adv./Com. 100

Adv./Com. 50

Basic 0

データ整備

○/● データ整備

○/●

Page 132: アジア諸都市に係る サステナビリティ指標に関する 調査事業 報 … · 委員 小川 和典 国際協力銀行インフラ・環境ファイナンス部門

124

18

III.持続可能な都市づくりの具体化(方法論)

19

評価例①(マレーシア・クアラルンプール市)

廃棄物軸:進展ステージ

水(上水)軸:進展ステージ/水(下水)軸:進展ステージ

エネルギー軸:進展ステージ

低得点

のもの

廃棄物

エネルギー

Adv./Com. 100

各軸の所属ステージ

Basic100・Adv./Com.0

Basic50

Adv/Com.50

技術導入指標

制度整備の方向性(廃棄物軸の例/制度整備チェックリストから)

技術の方向性 (廃棄物軸の例)

未整備

制度

(リサイクルが難しい)資源の利用高度化

都市廃棄物の堆肥化推進・廃棄物発電を伴う焼却処理拡大

政策分野の場合

廃棄物処理を高度化するための企業間連携、共同研究等の促進

事業立ち上げ

廃棄物の適正処理を拡大させるための設備導入支援補助金

違法事業者の監査体制強化・罰則強化 等

25 ポイント

23 ポイント

51 ポイント

N/A

のもの

課題把握の優先 (廃棄物軸の例)

金属資源の利用高度化

リサイクル事業者の件数把握

持続可能な資源利用の促進

エコデザインを導入した商品の定義作成と流通状況の把握

データ整備

9/14

データ整備

9/10データ整備

11/15

Page 133: アジア諸都市に係る サステナビリティ指標に関する 調査事業 報 … · 委員 小川 和典 国際協力銀行インフラ・環境ファイナンス部門

125

20

技術提案の例①(マレーシア・クアラルンプール市)

廃棄物軸における課題把握・技術導入の方向性

評価項目 評価点 方向性 提案技術の例(我が国「技術戦略マップ」から)

都市建築物のゼロエミッション化

都市の固形廃棄物総発生量に対して廃棄処理が行われている割合[%] 34 技術導入

○建設廃棄物対策、廃材リユース・リサイクル○廃棄物の低コスト処理技術

(金属)資源の利用高度化

【代替】国の固形廃棄物総発生量に対してリサイクルが行われている割合[%]【なし】政府からライセンスを付与されているリサイクル事業者の件数(件)

25

N/A

技術導入+制度整備の強化まず統計整備

○(解体されたもの等からの)分離・回収・リユース・破砕・粉砕・データ収集(溶融飛灰、焼スラッジ、廃自動車、電池・磁石、PC・携帯等、テレビ、触媒、超硬工具、鉄鋼添加系レアメタル等)○不純物管理(鉄鋼、アルミニウム、超微細粒鋼等)、リユース、簡易識別(金属種別等)、データ収集(レアメタル等の需要統計・予測等)(統計整備・現状把握を優先)

(その他)資源の利用高度化

【代替】国の固形廃棄物総発生量に対してリサイクルが行われている割合[%] 25 技術導入+制度

整備の強化

○(プラスチック(燃料化・油化、モノマ化、塗装膜剥離、リグノフェノールプラスチック、3Rを考慮したプラスチック利用等)、バイオマス(焼却発電、燃料化、堆肥化、リグノフェノール等)、ASR(ガス化、複合リサイクル)、複合素材、代替フロン(回収システム、分解技術、低コスト・高効率)○分離・分別、発酵、燃料化(固体、ガス)

持続可能な資源利用の促進

【なし】環境ラベル認証を受けた商品の流通件数(件) N/A まず統計整備 (統計整備・現状把握を優先)

(リサイクルが難しい)資源の利用高度化

廃棄物発電所の発電能力 [MW]【代替】国の固形廃棄物総発生量に対して堆肥化が行われている廃棄物の割合[%]

0

7

技術導入

技術導入

○廃棄物由来の発電技術○廃棄物処理過程における発電、エネルギー回収、堆肥化等

都市におけるマテリアルフローコストの改

【代替】焼却処理が行われている廃棄物の割合[%]1人当たりの固形廃棄物発生量 [kg/日]

452

技術導入制度整備の強化

○最終処分量削減(有機性汚泥、無機系資材(ダスト・鉱滓等)、最終処分場)○減容、選択的吸着、リサイクル(路盤材、有機物質、エネルギー、セメント、肥料成分・塩成分・金属等の有価物回収)、燃料化(メタン発酵、水素発酵、ガス化)

有害廃棄物の適正処理

都市の有害廃棄物総発生量に対して廃棄処理が行われている割合[%]【代替】有害廃棄物総発生量に対してリサイクル処理が行われている割合[%]

58

25

技術導入+制度整備の強化

○廃棄物の適正処理・無害化(重金属、化学物質、フロン、PCBなど)○廃棄物のリサイクル・再資源化(高塩素含有物からのセメント製造技術、低コスト重金属の回収技術)

25 ポイント(進展ステージ)全体平均=

21

制度整備の提案例①(マレーシア・クアラルンプール市)

廃棄物軸における制度整備の方向性 (政策分野におけるチェックリストの例)

評価項目 評価 方向性 政策対話テーマ・ノウハウ提案の例(過去の事例から)

政策

1.廃棄物処理業の高度化を促す技術開発支援事業が存在する。 ○

【中央】○産業廃棄物処理業の高度化と処理施設に対する地域理解の促進の推進

・(新)産業廃棄物処理業のグリーン成長・地域魅力創出促進支援事業

・ITを活用した循環型地域づくり基盤整備事業・製造業者等と連携した循環産業形成支援事業・廃棄物エネルギー導入・低炭素化促進事業

○循環資源の高度利用に向けた取組・循環型社会形成推進等経費・レアメタル等を含む小型電子機器等リサイクル推進

事業費○循環型社会形成に必要な廃棄物処理施設の着実な更新

・環型社会形成推進交付金(公共)(浄化槽分を除く) ・廃棄物処理センター等に対する補助事業(公共)

【地方】○廃棄物削減の取り組み

・ごみ処理基本計画の作成○リサイクルの推進、循環ビジネス化への取り組み

・各種法令に基づいたリサイクルの推進・地元企業の廃棄物処理を支援・リサイクル企業の育成・誘致

2.廃棄物処理を高度化するための企業間連携、共同研究等を促す事業が存在する。 × 事業の整備へ

3.廃棄物の適正処理を拡大させるための設備導入を支援する資金支援制度が存在する。 × 制度立ち上げへ

4.資源の安定確保という視点からリサイクルを促す制度が存在する。 × 制度立ち上げへ

5.廃棄物処理に関する計画が存在する。 ○

6.法令に基づいてリサイクルがきちんと機能している。 × 監視・罰則の強化へ

7.地元企業による廃棄物(事業系廃棄物)処理が過半を占める。 ○

8.リサイクル企業の育成・誘致を行うための経済的制度が存在する。 × 制度立ち上げへ

Page 134: アジア諸都市に係る サステナビリティ指標に関する 調査事業 報 … · 委員 小川 和典 国際協力銀行インフラ・環境ファイナンス部門

126

22

評価例②(インドネシア・バンドン市)

廃棄物軸:進展ステージ

水(上水)軸:進展ステージ/水(下水)軸:基本ステージ

エネルギー軸:基本ステージ

廃棄物(Advanced)

エネルギー

(Basic)水

(上水:Advanced/

下水:Basic)

23 ポイント

22 ポイント

31 ポイント

低得点

のもの

技術の方向性 (廃棄物軸の例)

未整備

制度

(リサイクルが難しい)資源の利用高度化・都市におけるマテフロコストの改善

都市廃棄物の堆肥化推進・廃棄物発電を伴う焼却処理拡大・減容推進

政策分野の場合

廃棄物処理を高度化するための技術開発支援、企業間連携、共同研

究等の促進事業立ち上げ

廃棄物の適正処理を拡大させるための設備導入支援補助金

違法事業者の監査体制強化・罰則強化/優良事業者の誘致促進

技術導入指標計算のためのデータの整備 等

N/A

のもの

課題把握の優先 (廃棄物軸の例)

金属資源の利用高度化・(その他)資源の利用高度化

再資源化割合の把握・リサイクル事業者の件数把握

持続可能な資源利用の促進

エコデザインを導入した商品の定義作成と流通状況の把握

各軸の所属ステージ

技術導入指標

制度整備の方向性(廃棄物軸の例/制度整備チェックリストから)

データ整備

6/14

データ整備

5/6

データ整備

12/15

Adv./Com. 100

Basic100・Adv./Com.0

Basic50

Adv/Com.50

23

技術提案の例②(インドネシア・バンドン市)

廃棄物軸における課題把握・技術導入の方向性

評価項目 評価点 方向性 提案技術の例(我が国「技術戦略マップ」から)

都市建築物のゼロエミッション化

都市の固形廃棄物総発生量に対して廃棄処理が行われている割合[%] 23 技術導入

○建設廃棄物対策(すでにあるもの、これから建てられるもの)(建設発生土の工事現場間での転用)○廃材リユース・リサイクル(再生骨材、木質バイオマス利用、地盤改良材、資源循環住宅等)

(金属)資源の利用高度化

【なし】固形廃棄物総発生量に対してリサイクルが行われている割合[%]【なし】政府からライセンスを付与されているリサイクル事業者の件数(件)

N/A

N/A

まず統計整備

まず統計整備(統計整備・現状把握を優先)

(その他)資源の利用高度化

【なし】固形廃棄物総発生量に対してリサイクルが行われている割合[%] N/A まず統計整備 (統計整備・現状把握を優先)

持続可能な資源利用の促進

【なし】環境ラベル認証を受けた商品の流通件数(件) N/A まず統計整備 (統計整備・現状把握を優先)

(リサイクルが難しい)資源の利用高度化

廃棄物発電所の発電能力 [MW]【代替】国の固形廃棄物総発生量に対して堆肥化が行われている廃棄物の割合[%]

0.0

50

技術導入

技術導入

○廃棄物由来の発電技術○廃棄物処理過程における発電、エネルギー回収、堆肥化等

都市におけるマテリアルフローコストの改

【代替】1人当たりの固形廃棄物発生量 [kg/日]【代替】焼却処理が行われている廃棄物の割合[%]

220

技術導入制度整備の強化

○最終処分量削減(有機性汚泥、無機系資材(ダスト・鉱滓等)、最終処分場)○減容、選択的吸着、リサイクル(路盤材、有機物質、エネルギー、セメント、肥料成分・塩成分・金属等の有価物回収)、燃料化(メタン発酵、水素発酵、ガス化)

有害廃棄物の適正処理

有害廃棄物総発生量に対して廃棄処理が行われている割合[%]【なし】有害廃棄物総発生量に対してリサイクル処理が行われている割合[%]

40

N/A

技術導入

まず統計整備

○廃棄物の適正処理・無害化(重金属、化学物質、フロン、PCBなど)○廃棄物のリサイクル・再資源化(高塩素含有物からのセメント製造技術、低コスト重金属の回収技術)

全体平均= 23 ポイント(進展ステージ)

Page 135: アジア諸都市に係る サステナビリティ指標に関する 調査事業 報 … · 委員 小川 和典 国際協力銀行インフラ・環境ファイナンス部門

127

24

制度整備の提案例②(インドネシア・バンドン市)

廃棄物軸における制度整備の方向性 (政策分野におけるチェックリストの例)

評価項目 評価 方向性 政策対話テーマ・ノウハウ提案の例(過去の事例から)

政策

1.廃棄物処理業の高度化を促す技術開発支援事業が存在する。 × 事業の整備へ

【中央】○産業廃棄物処理業の高度化と処理施設に対する地域理解の促進の推進

・(新)産業廃棄物処理業のグリーン成長・地域魅力創出促進支援事業

・ITを活用した循環型地域づくり基盤整備事業・製造業者等と連携した循環産業形成支援事業・廃棄物エネルギー導入・低炭素化促進事業

○循環資源の高度利用に向けた取組・循環型社会形成推進等経費・レアメタル等を含む小型電子機器等リサイクル推進

事業費○循環型社会形成に必要な廃棄物処理施設の着実な更新

・環型社会形成推進交付金(公共)(浄化槽分を除く) ・廃棄物処理センター等に対する補助事業(公共)

【地方】○廃棄物削減の取り組み

・ごみ処理基本計画の作成○リサイクルの推進、循環ビジネス化への取り組み

・各種法令に基づいたリサイクルの推進・地元企業の廃棄物処理を支援・リサイクル企業の育成・誘致

2.廃棄物処理を高度化するための企業間連携、共同研究等を促す事業が存在する。 × 事業の整備へ

3.廃棄物の適正処理を拡大させるための設備導入を支援する資金支援制度が存在する。 × 制度立ち上げへ

4.資源の安定確保という視点からリサイクルを促す制度が存在する。 × 制度立ち上げへ

5.廃棄物処理に関する計画が存在する。 ○

6.法令に基づいてリサイクルがきちんと機能している。 × 監視・罰則の強化へ

7.地元企業による廃棄物(事業系廃棄物)処理が過半を占める。 △

(委託実態を把握できる統計等なし)現状把握の強化へ

8.リサイクル企業の育成・誘致を行うための経済的制度が存在する。 × 制度立ち上げへ

25

IV.指標の利用方法

Page 136: アジア諸都市に係る サステナビリティ指標に関する 調査事業 報 … · 委員 小川 和典 国際協力銀行インフラ・環境ファイナンス部門

128

26

現地地方政府との政策対話における指標の活用

フェーズⅠ

フェーズⅡ

フェーズⅢ

フェーズⅣ

我が国政策立案担当者(中央・地方)が環境インフラ技術を有する企業とともにミッションを組み、アジア新興国の現地地方政府を訪問

どのステージに近いのか、現地政府の政策立案者に自己診断をしてもらう。

ここから導入が必要と考えられる技術や、整備が必要とされる制度を明らかにする。

「技術導入指標」を用いて改善が必要な事項を明らかにし、技術の種類や導入場所について、現地政府の政策立案者との対話を通じながら具体化させていく。

同時に環境インフラ技術を有する我が国企業による具体的な技術提案等も並行して進めていく(政府によるFS支援等を活用)。

「制度整備チェックリスト」を用いて、導入予定技術を円滑に機能させるために必要な各種制度の整備必要性についても、現地政策立案者との対話を通じながら具体化させていく。

我が国地方自治体において過去蓄積されてきた政策立案ノウハウを現地の政策立案担当者にも移転させていく(政府による来日研修事業等を活用)。

技術導入および制度整備によって「持続可能な都市づくり」が進展したかどうか、「技術導入指標」を用いて再度評価を行い、引き続き改善が必要な事項について具体化させていく(政策対話)。

本調査で開発された指標群を用いることで、現地地方政府に対する具体的な課題提案のみならず、必要な技術や政策

立案も併せて提案することができるようになる。

指標評価で導入するに相応しいと判断された技術(我が国の保有技術)についても、ただ単に企業のFSや提案に任せ

るのではなく、整備する必要があると判断された制度(自治体のノウハウ)も同時並行的に整備支援を進めることで、我

が国環境インフラ技術の円滑な海外展開を実現できるようになる。

現地政府の政策立案担当者も「持続可能な都市づくり」に向けた道のりや必要な手段を可視化できるようになる。

27

フェーズI:現地訪問及び自己診断による各軸ステージ判別

我が国の中央省庁担当者がアジア新興国の中央政府担当者を訪問して「持続可能な都市づくり」のモデル都市を選定

する際、また我が国の地方自治体担当者が同じくアジア新興国の地方政府担当者を訪問して、環境交流事業を行う際

などに本事業で開発された「都市評価シート」を用いて、「持続可能な都市づくり」に向けたアジア新興国諸都市の現状を

簡易に自己診断する(ヒアリングしながらその場で実施)。

評価結果(軸別にステージ分けされる)を見ながら、そのステージに相応しい我が国の技術導入事例を紹介し、その後

の技術導入に向けた議論の流れを作る。

政策対話の一環として、日本の政

策立案担当者(中央・地方)が、現

地政府を訪問。

対象となる都市について、現地政府担当者と共

に「都市評価シート」を用いながらその場で自己

診断

各軸どのステージに属する

のかを判断し、改善のため

に必要な導入技術の候補を

日本側から例示

廃棄物の不適正な処理によって疫病等が発生し、都市住民に健康被害が生じている

廃棄物の不適正な処理やリサイクルが行われないことから、悪臭問題、景観問題が発生し、都市住民の生活環境を悪化させている

域内に経済合理的な処理・リサイクル技術が存在しないため、規制の緩い周辺都市へ悪臭・景観・埋立地不足等の問題を輸出している(する可能性がある)

廃棄物の不適正な処理による都市住民への健康被害から、経済損失が発生している

廃棄物の処理に大きなコストがかかっており、行政の財政を圧迫している

廃棄物発生量の減少見込みが小さく、将来に埋立処分場の不足等の廃棄物問題やコスト負担が発生する可能性がある

衛生的な埋立処分場が存在せず、埋め立てられた廃棄物が悪臭問題、水資源・土壌汚染を引き起こしている

廃棄物の容量を圧縮する技術を保有しておらず、埋立処分場の不足の一因となっている

廃棄物管理・処理のコスト負担の削減のために、回収から処理までのライフサイクルコストを考慮した、効率的な廃棄物管理ツールの導入が必要となっている

金属資源(有害資源に該当するもの)の経済的な分離・処理技術を有していないことから、有害廃棄物の分別回収・処理が行われていない

付加価値を高めるリサイクル技術を保有していないために域内での経済的なリサイクルが成立していない

ライフサイクルの短い製品、設備が多く使用されており、廃棄物発生量の減少が見込まれない

人または環境への間接的な

影響

健康被害

経済損失

人または環境への直接的な影響

廃棄物の管理・処理

資源の効率的な利用

インフラ、技術に由来するも

大分類 小分類 チェック項目 チェック

「廃棄物」軸

「水」軸

「エネルギー」軸

・・・

ステージ△

ステージ○

ステージ■

Page 137: アジア諸都市に係る サステナビリティ指標に関する 調査事業 報 … · 委員 小川 和典 国際協力銀行インフラ・環境ファイナンス部門

129

28

フェーズII:現状評価と導入技術の絞り込み

各軸・ステージ別に都市固有データを用いて「持続可能な都市づくり」に向けた現状を定量的に評価する(現地政府担当

者が統計データを自ら探しながら採点する)。

都市固有のデータがない場合は国平均で代替し、それも難しい場合には評価対象外とする。

評価点の低いものから優先的に技術導入による都市環境の改善可能性を提案、検討していく。その際、そのステージに

相応しい技術について、我が国における過去の導入事例を紹介の上(各軸・ステージ別に整理済み)、導入提案を行う。

技術分野(技術戦略マップから)

普及状況(A)

長期安定性

(B)

代替指標(国平均値)評価点(A×B)

日本の技術導入事例(ステージ別)普及状況

(代替指標A)長期安定性(代替指標B)

●●のゼロエミッション化

●●の割合(%)

ライフサイクルコスト単位金額あたり処理能力(USD/t)

△△の割合(%)

ライフサイクルコスト単位金額あたり処理能力(USD/t)

45 ・△△処理技術・××燃料化技術 etc.

●●資源の再利用促進

●●の実施率(%)

△△の実施率(%)

60 ・○○高度選別技術・△△ソーター etc.

持続可能な●●の利用

●●再資源化量(%)

△△再資源化量(%)

10 ・○○設計・□□発生抑制技術etc.

38

各軸(7軸)×各ステージ(3ステージ)別の技術

導入指標(複数あり)について、各都市の統計

データをもとに採点(我が国平均水準と比較)

都市データがない場合、国

平均でも代替可。代替不可

の場合、評価対象外

評価対象外のものを除いて算術平均

をとる(=その軸の評価点)。低得点

のものから技術導入を検討・提案

29

フェーズIII:技術導入を効果的なものとするための制度整備支援

導入技術を有効に機能させるためには、関連法令や統計制度の整備、管理体制の構築、関連産業の育成、経済的制

度の導入等といったソフト面での施策も必要不可欠である。

各軸・ステージ別の「制度整備状況チェックリスト」を参考にして、整備する必要がある制度を洗い出し、我が国で蓄積さ

れてきた政策立案や事業運営のためのノウハウを紹介しながら、現地政府担当者による取り組みを促す。

技術導入と並行してこれらの評価や政策立案等を我が国の中央省庁・地方自治体担当者が支援することで、技術導入

の効果をさらに大きくさせることを目指す。

評価項目・類似充足で「○」、そうでない場合「×」

政策

【中央】○産業廃棄物処理業の高度化と処理施設に対する地域理解の促進の推進 ・(新)産業廃棄物処理業のグリーン成長・地域魅力創出促進支援事業 ・ITを活用した循環型地域づくり基盤整備事業 ・製造業者等と連携した循環産業形成支援事業 ・廃棄物エネルギー導入・低炭素化促進事業○循環資源の高度利用に向けた取組 ・循環型社会形成推進等経費 ・レアメタル等を含む小型電子機器等リサイクル推進事業費○循環型社会形成に必要な廃棄物処理施設の着実な更新 ・環型社会形成推進交付金(公共)(浄化槽分を除く) ・廃棄物処理センター等に対する補助事業(公共)【地方】○廃棄物削減の取り組み ・ごみ処理基本計画の作成○リサイクルの推進、循環ビジネス化への取り組み ・各種法令に基づいたリサイクルの推進 ・地元企業の廃棄物処理を支援 ・リサイクル企業の育成・誘致

1.廃棄物処理業の高度化を促す技術開発支援事業が存在する。2.廃棄物処理を高度化するための企業間連携、共同研究等を促す事業が存在する。3.廃棄物の適正処理を拡大させるための設備導入を支援する資金支援制度が存在する。4.資源の安定確保という視点からリサイクルを促す制度が存在する。5.廃棄物処理に関する計画が存在する。6.法令に基づいてリサイクルがきちんと機能している。7.地元企業による廃棄物処理が過半を占める。8.リサイクル企業の育成・誘致を行うための経済的制度が存在する。

1.○2.×3.×4.×5.○6.×7.○8.×

我が国(中央官庁、地方自治体)における取り組み事例

制度整備状況に関する評価欄

(注)廃棄物軸の「進展ステージ」における制度整備状況チェックリストの例

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フェーズIV:技術導入後のフォローアップ

実施・実行(Do)【フェーズII~III】

計画(Plan)【フェーズI】

点検・評価(Check)

【フェーズIV】

処置・改善(Action)

【フェーズIV】

我が国の中央省庁・地方

自治体担当者が、アジア新

興国との政策対話の一環

として現地を訪問し、「都市

評価シート」を用いて現地

ヒアリングを実施

各軸どのステージに属する

のか、またどのような技術

導入が相応しいのかを現

地政府向けに提案

各軸・ステージ別の「技術

導入指標」を用いて各都市

を評価。相応しい技術につ

いて我が国における過去

の導入事例から提案を行

う。

技術を効果的に機能させ

るため、不足するソフト施

策についても「制度整備

チェックリスト」を用いて提

案を行う。

更なる改善が望まれる分

野(技術導入指標1つにつ

いて一つの分野が対応)、

また軸(7つの軸)について、

導入技術の普及拡大、新

たな技術の導入、これらを

十分機能させるための各

種ソフト施策を実施していく。

改めて「都市評価シート」を

用いて自己診断を行い、

「持続可能な都市づくり」の

達成状況を確認する。

技術導入後、再び「技術導

入指標」を用いて各都市を

評価し、導入前と比べてど

の程度改善されているかを

検証する。

また、ソフト施策の実施是

非についても検証を行う。

これらの検証を踏まえて

「技術導入指標」の評価点

をクモの巣グラフで俯瞰し

ながら「持続可能な都市づ

くり」のバランスを見る。

技術導入後も定期的に技術導入指標を更新評価し、技術導入前と比べてその効果が出ているかどうかを検証する。

ある程度の改善が認められる場合には、その他分野における技術導入の必要性や他の軸における改善状況とのバラ

ンスをみながら、必要な技術普及、また新技術の導入、各種ソフト施策の実施必要性について検討を加えて行く。

定期的に技術導入指標や都市評価シートによる再評価を行い、「持続可能な都市づくり」の達成状況について、アジア

新興国の政策立案担当者のみならず、それを支援する我が国の中央省庁・地方自治体担当者も確認できるようにする。

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平成27年度地球温暖化問題等対策調査

アジア諸都市に係るサステナビリティ指標に関する調査事業

報告書

平成28年3月

委託先: 三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社

(担当:環境・エネルギー部/清水・大澤・井上)

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