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食品の安全性を考える 平成25年11月18日

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食品の安全性を考える

平成25年11月18日

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食の安全とリスク

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どんな食品も絶対に安全とは言えません

ソラニン

トマチン

青酸化合物

危害要因(ハザード)

=健康に悪影響をもたらすもの

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リスクとは??

「リスクの大きさ」

=「ハザードに出会う確率」×「影響の大きさ」

ハザード

例1 隕石

例2 猫のタマ

例3 自動車

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リスク分析の考え方

どんな食品にもリスクがあるという前提で、科学的に評価し、妥当な管理をすべき。

リスク分析には三つの要素がある。

健康への悪影響を未然に防ぐ、又は許容できる程度に抑える

リスク評価

リスク管理リスクコミュニケーション

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リスク評価(科学ベース)

内閣府食品安全委員会

食品を摂取することにより人の健康に及ぼす影響について科学的に評価。

例:農薬の安全性評価

一日摂取許容量

(○○mg/kg体重/日)の設定等

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リスク管理(政策ベース)

厚生労働省、農林水産省等

リスク評価結果に基づき、国民の食生活の状況等を考慮し、基準の設定や規制の実施等の行政的対応を行うこと(緊急暫定的な対応を含む。)。

例:農薬の残留基準の設定

米の中の残留基準○○ppm以下に設定等

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リスクコミュニケーション

リスクに関する情報及び意見の相互交換

例:関係者とのリスク情報・意見の交換

パブリックコメント手続の実施

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リスク評価(化学物質)

危害要因は何か。

動物実験から有害作用を知る。

動物実験等から最大無毒性量を推定する。

安全係数(不確実係数)を決める。

ADI(一日摂取許容量=ヒトが一生涯、毎日摂取しても有害作用を示さない量)を設定する。

どの位摂取しているのか(暴露評価)。

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無毒性量を決めるための動物実験等

急性毒性試験

反復投与毒性試験(亜急性、慢性)

遺伝毒性試験(変異原性試験)

発がん性試験

繁殖毒性試験

催奇形性試験

体内運命試験

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無毒性量(NOAEL)

動物を使った毒性試験において何ら有害作用が認められなかった用量レベル

No Observed Adverse Effect Level

各種動物(マウス、ラット、ウサギ、イヌ等)の様々な毒性試験において、それぞれNOAELが求められる。

(胎児への影響等についても試験を実施。)

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例:メタミドホスのNOAEL

動物種 試験 無毒性量(mg/kg体重/日)

ラット 2年間慢性毒性試験 0.1

ラット 亜急性神経毒性試験 0.067

イヌ 慢性毒性試験 0.06

マウス 発がん性試験 0.67

ラット 2世代繁殖試験 0.1

ウサギ 発生毒性試験 0.2

全ての毒性試験の中で最も小さい値をADI設定のためのNOAELとする。

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安全係数(SF)

様々な各種動物試験から求められたNOAFLからヒトのADIを求める際に用いる係数。

Safety Factor

動物からヒトへのデータをあてはめる際、通常、動物とヒトの種差を10、ヒトとヒトとの間の個体差を10として、それらを掛け合わせた100を用いる。

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一日摂取許容量(ADI)

ヒトがある物質を毎日一生涯にわたって摂取しても健康に悪影響がないと判断される量。

Acceptable Daily Intake 「一日当たりの体重1kgに対する量(mg/kg体重/日)」で

表される。

ADI=NOAEL÷安全係数

(例:0.0006=0.06÷100)

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摂取量と生体影響の関係

無毒性量 可逆的影響 非可逆的影響

(作用領域) (中毒/致死領域)

ADI NOAEL 摂取量

実際の使用量

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残留農薬基準

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農薬に係る基準

残留農薬基準・・・食品衛生法(厚労大臣)

登録保留基準・・・農薬取締法(環境大臣)

使用基準・・・農薬取締法(農水大臣)

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農薬の残留基準

残留農薬:農薬を使用した結果、作物等に残った農薬

残留農薬が人の健康に害を及ぼすことがないように、農薬の登録に際して安全性に関する厳重な審査を実施。

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ADI

ADI(acceptable daily intake):体重1kg当たりの1日摂取許容量

その農薬を一生涯に渡って仮に毎日摂取し続けたとしても、危害を及ぼさないと見なせる摂取許容量。

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NOAEL

農薬の登録申請時に提出される、ラット、マウスの慢性毒性試験等の結果から求める。

最も低濃度でも影響の見られる試験を選ぶ。

その試験で影響のみられなかった投与量(無毒性量/NOAEL: no-observed adverse effect level(mg/kg/日))を求める。

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反応出現率と農薬投与量の関係

に A試験

る B試験

出 C試験

動物試験での NOAEL 毎日投与する農薬の量

無毒性の範囲

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ADI

ADI(mg/kg/日)=NOAEL(mg/kg/日)×不確実係数(1/100)

不確実係数=種間差(1/10)×個人差(1/10)

日本人1人当たりの摂取許容量(mg/人/日)=

ADI×日本人の平均体重(53.3kg)

各作物の農薬の残留基準の総計は、農薬のADIの8割以内となるように、農薬の残留基準は、有効成分ごとに、決められる。(大気や水からの摂取を考慮。)

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作物への残留基準の決め方

作物群 使用方法

最大作物残留量(ppm)

基準値(ppm)

フードファクター(g)

推定摂取量(mg)

日本人許容摂取量

(ADI*53.3)

大豆 散布 0.97 2 56.1 0.1122

小豆類 散布 0.87 2 1.4 0.0028

かんしょ 散布 0.47 1 15.7 0.0157

てんさい 散布 0.31 1 4.5 0.0045

キャベツ 散布 0.82 2 22.8 0.0456

たまねぎ 散布 0.33 1 30.3 0.0303

にんじん 散布 0.46 1 24.6 0.0246未成熟いんげん 散布 0.38 1 1.9 0.0019

えだまめ 散布 0.16 0.5 0.1 0.00005

いちご 散布 0.15 0.5 0.3 0.00015

合計 0.2378 4.4184mg/人/日22

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食品添加物

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食品添加物のリスク評価(例:ソルビン酸カルシウム)

保存料として、以前からソルビン酸、ソルビン酸カリウムが加工食品に使用されている。

リスク評価に使用した安全性試験・・・反復投与毒性、生殖毒性、発がん性、遺伝毒性等

試験データーからわかった無毒性量 2500mg/kg体重/日

安全係数(不確実係数)100

ソルビン酸のグループとしての一日摂取許容量(ADI)25mg/kg体重/日(ソルビン酸として)

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食品添加物の使用基準はどうやって決めるのか

食品添加物の使用基準は、厚生労働省が決める。

厚生労働省が国民健康・栄養調査等から各食品の摂取量を調べ、食品添加物の摂取量を推定する。

食品添加物の推定摂取量が、一日摂取許容量(ADI)を大幅に下回るように考慮して、食品添加物ごとに使用基準を定めている。

食品添加物の種類

ADI(mg/kg体重/日)

1日当たり摂取許容量

(日本人平均体重50kgの場合)

日本人1人当たりの平均1日摂取量

摂取許容量に占める摂取量の割合(1日当たり)

ソルビン酸 25mg 1250mg 6.35mg 0.51%アスパルテーム 40mg 2000mg 0.05mg 0.003%赤色2号 0.5mg 25mg 0.005mg 0.02%

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食べる量から1日摂取許容量(ADI)を考える

ソルビン酸のグループとしてのADIは25mg/kg体重/日(ソルビン酸として)。

体重50kgの人の場合、ソルビン酸を1日に1250mg摂るとADIに達する。

ソルビン酸の使用基準(ハム1kg当たり2000mg以下)なので、使用基準上限のソルビン酸量が添加されたハムを1日に625g食べた場合、ADIに達する。(2000mg/kg×0.625kg=1250mg)

無毒性量は、ADIの100倍なので、ハム62.5kgに相当。

食品からのソルビン酸摂取量は、0.13mg/kg体重/日(ADIの0.51% を摂取(体重50kgとして)。)。

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ネオテーム

既存の甘味料アスパルテームから作られる甘味料で、砂糖の7000~13000倍、アスパルテームの30~60倍の甘味度。

米国、豪州、ニュージーランド等19ヶ国で使用許可。

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ネオテームの主な安全性試験の結果

体内動態(ラット、イヌ):吸収、排泄早い、臓器への蓄積性・胎児移行性なし。

反復経口投与毒性(マウス、ラット、イヌ:13~52週間):毒性所見なし。

2世代繁殖毒性(ラット):無毒性量96.5mg/k g体重/日(F1児動物に低体重)、繁殖能に対する影響なし。

催奇形性(ラット、ウサギ):催奇形性なし。

発がん性(マウス、ラット、2年間):発がん性なし。

遺伝毒性(遺伝子突然変異、染色体異常、マウス小核):すべて陰性。

一般薬理(ラット、イヌ、モルモット、単回~13週間):影響なし。

ヒトにおける知見(単回~13週間):投与の影響なし。

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ネオテームのリスク評価結果

1,003mg/kg体重/日(マウスの13週間反復投与毒性試験による無毒性量)

197mg /kg体重/日(イヌの52週間反復投与毒性試験による無毒性量)

96.5mg /kg体重/日(ラットの二世代繁殖毒性試験による無毒性量)

無毒性量÷100(安全係数)→ADIを「1.0mg/kg体重/日」と設定。

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複合影響

いろいろな食品添加物をいっしょに食べても影響はないのか?

複合影響とは、複数の化学物質を同時に摂った場合に毒性影響を強めたり、弱めたり、化学物質同士が反応を起こして新たな物質が生成されること。

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複合影響

複合的な影響について最も研究が進んでいるのは、医薬品同士、あるいは医薬品と食品や健康食品等の組合せ(例:降圧剤とグレープフルーツジュース)。

医薬品は薬効として生体に影響を与える用量で投与されているため、複合的な影響が現れやすい。

食品添加物同士の場合、ヒトが摂取する量は1日摂取許容量(ADI)以下であり、ADIは動物で何ら毒性が発現しない用量の1/100以下に設定されているので、複合影響により、ヒトに健康被害が発生する可能性は非常に低い。

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食品中の放射性物質

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放射能と人体影響の単位

放射能を出す能力の強さの単位

ベクレル Bq

人が受ける放射線被ばく線量の単位(実効線量)シーベルト Sv

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放射性物質を摂った時の人体影響

例:放射性物質を含む食品(1kg当たり100ベクレルのセシウム137)を0.5kg食べた成人の場合、

100Bq/kg×0.5kg×0.000013=0.00065mSv実効線量係数

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実効線量係数

放射性物質の種類(セシウム137等)ごと、摂取経路(経口、吸入等)ごと、

年齢区分ごとに、国際放射線防護委員会(ICPR)等で設定し、摂取後50年間(子供は70歳まで)に受ける積算の線量(預託線量)。

(参考)実効線量係数の例(セシウム137、経口摂取)

0歳 ~2歳 ~7歳 ~12歳 ~17歳 18歳~

0.000021 0.000012 0.0000096 0.000010 0.000013 0.000013

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放射性物質が減る仕組み

体内に入った放射性物質は、放射性物質の性質と排泄などの体の仕組みによって減少。

①物理的半減期(放射性物質の放射能が半分に弱まる)

セシウム134は2.1年、セシウム137は30年、ヨウ素131は8日

②生物学的半減期(体内の放射性物質が半分に減る)

~1歳 9日 ~9歳 38日

~30歳 70日 ~50歳 90日

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内部被ばくと外部被ばく

内部被ばく

(食品摂取・吸入)

被ばく線量の単位:シーベルト

=放射線の強さ(ベクレル)×実効線量係数

摂取後50年間(子供は70歳まで)に受ける積算の線量(預託線量)

外部被ばく

被ばく線量:シーベルト

=線量率(mSv/時)×被ばくした時間(時)

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もともとある自然放射線から受ける線量

0 0.5 1 1.5 2 2.5 3

日本平均世界平均

大気中のラドン、トロンから 食品 宇宙 大地

1人当たりの年間線量(日本人平均)は、約2ミリシーベルト

単位:線量 (mSv)

○食品からの被ばくは、自然界に存在するポロニウム210、カリウム40等による。○カリウムは動植物にとって必要な元素であり、その0.012%程度が放射性物質であるカリウム40。

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放射性物質に関するリスク評価とリスク管理の取組

食品健康影響評価

基準値設定

生産現場における放射性物資の低減対策

必要な場合、作付制限・出荷制限等

食品中の放射性物質の検査・モニタリング

食品安全委員会 厚生労働省、農林水産省、地方自治体、生産者等

リスク評価 リスク管理

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食品健康影響評価の結果の概要

放射線による影響が見いだされているのは生涯における追加の累積線量が、おおよそ100mSv以上(通常の一般生活で受ける放射線量(自然放射線やレントゲン検査等)を除く)。

そのうち、小児の期間については、感受性が成人より高い可能性(甲状腺がん、白血病)。

100mSv未満の健康影響について言及は難しい。

(平成23年10月27日 食品安全委員会)

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おおよそ100mSvとは

安全と危険の境界ではなく、食品についてリスク管理機関が適切な管理を行うために考慮すべき値。

これを超えると健康上の影響が出る可能性が高まることが統計的に確認されている値。

食品からの追加的な実際の被ばく量に適用されるもの

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放射性セシウムの現行基準値

年間線量1ミリシーベルトに基づく基準値

○ 放射性ストロンチウム、プルトニウム等を含めて、国際的な指

標に沿った上で、子どもも含めた全ての年齢の方に対応した基準

値を設定。

食品群 基準値(単位:ベクレル/kg)

飲料水 10

牛乳 50

一般食品 100

乳幼児食品 50

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食品中の放射性物質に関する検査計画

国が都道府県に対象品目、検査頻度等を示し、放射性セシウムが高く検出される可能性のある品目等を重点的に検査

原子力対策本部において策定

各都道府県に対し、検査計画の策定、検査の実施を通知(対象以外の自治体における検査の実施を含む)

各自治体で検査計画に基づき多数の検査を実施し、全て公表

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基準値を上回ったときの対応:出荷制限・摂取制限

原子力災害対策特別措置法(原災法)に基づく指示

地域的な広がりが確認された場合に「出荷制限」

著しく高濃度の値が検出された場合は「摂取制限」

食品衛生法に基づく検査

当該ロットは法違反

として処理

原災法に基づき摂取制限

原災法に基づき出荷制限

基準値を超えた場合

地域的な広がりが確認された

著しく高い値が確認された

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流通食品での調査(マーケットバスケット調査)

H24年9~10月に、各地で流通する食品を購入し、放射性セシウムを精密に測定

国民の食品摂取量(国民健康・栄養調査)の、地域別平均に基づいて購入し、混合して測定

通常の食事の形態に従った、簡単な調理をして測定

生鮮食品はできるだけ地元産・近隣産のものを購入

この調査結果をもとに、1年間に受ける線量を推計

実際の線量は、どの地域でも、基準値の上限の水準の1%以下と推計

45

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食品中の放射性物質の検出状況

原発事故に由来する食品中の放射性物質は、減ってきており、現在は極めて低い水準。

検出されるのは一部の食品に限定され、野菜、果物、穀物、家畜の肉、牛乳など、ほとんどの食品からは検出されていない。

実際に食べる食品に含まれる放射性セシウムは、基準値の上限の水準の1%以下。

46

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検査結果の推移(~平成25年9月)

野菜

24年度以降は、100Bq/kg超はごくわずか。

果実

23年度は、事故直後に樹体に降下・付着した放射性セシウムの影響

から、100Bq/kg超が1割弱みられた。

24年度以降は、100Bq/kg超の割合はごくわずか。

茶23年度は、事故直後に葉や枝に降下・付着した放射性物質の影響か

ら、暫定規制値超過が1割弱みられた。

24年度以降は、基準値超過の割合は減少し、25年度は基準値超過

無し。47

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大豆23年度は、根からの吸収によってわずかながら100Bq/kgを超過。

24年度以降も100Bq/kg超過がみられるものの、その割合が低下。

米(23年産)

作付を行った地域において17都県で調査を行った結果、99.2%が

50Bq/kg以下。福島県で暫定規制値を超える米が検出されたことから、

米の緊急調査を福島県において実施。

暫定規制値を超える放射性セシウムが検出された米が生産された水田

は、特定避難勧奨地点の付近等に限定的に出現。

米(24年産)

23年産と比較すると100Bq/kg超過割合は減少。

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米(25年産) (~平成25年10月8日)

24年産米の基準値超過はごくわずか。

25年産米の検査は8月より始まったところ。

検査点数基準値超過点数

超過割合(%)

25年産 222万 2 0.00009

24年産 1,036万 84 0.0008

25年産 1,900 0 0

24年産 9,213 0 0

全袋検査分(福島県及び宮城県の一部)

抽出検査分(福島県を除く16都県分)

49

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原乳原発事故当初に200Bq/kgを超過したものがみられたが、23年4

月以降は全て50Bq/kg以下。

24年度以降は全て基準値以下。

牛肉23年度は、高濃度の放射性セシウムを含む稲わら等の給与により

100Bq/kg超過がみられた。

24年度以降は、100Bq/kg超の割合は大幅に低下。

豚肉・鶏肉・卵豚、鶏はトウモロコシ等の輸入飼料への依存度が高く、これまで検査

した豚肉・鶏肉・卵については23年度から大部分(99%)が100Bq/kg以

下。50

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菌床しいたけ菌床しいたけで24年度以降に基準値を超過したものはない。

原木しいたけ23年度は基準値を超えたものが3割みられたが、その割合は年々減

少している。

出荷制限指示

露地栽培:6県(93市町村) 施設栽培:4県(18市町)

山菜等山菜や野生きのこでは、24年度以降も基準値を超えたものがある。

出荷制限指示

山菜:6県(109市町村) 野生きのこ:10県(94市町村)51

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水産物(全国)39,133点中36,365点(92.9%)の放射性セシウム濃度が基準値以下。

水産物(福島県)福島県では、平成23年3-6月期には100Bq/kgを超える割合が53%と

なっていたが、平成25年7-9月期には2.2%まで低下。

水産物(福島県以外)福島県以外では、100Bq/kgを超える割合は徐々に低下し、平成24

年10-12月期以降は1%を切るレベル。平成25年7-9月期は0.4%まで低

下。

52

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原子力災害対策特別措置法に基づく出荷制限の対象食品(平成25年11月12日時点)

県名

(一部地域)

原乳、ホウレンソウ、コマツナ等の非結球性葉菜類、キャベツ等の結球性葉菜類、ブロッコリー等のアブラナ科の花蕾類、カブ、原木シイタケ(露地・施設栽培)、原木ナメコ(露地栽培)、キノコ類(野生のものに限る。)、タケノコ、わさび(畑において栽培されたものに限る。)、くさそてつ(こごみ)、こしあぶら、ぜんまい、うわばみそう(野生のものに限る。)、たらのめ(野生のものに限る。)、ふき(野生のものに限る。)、ふきのとう(野生のものに限る。)、わらび、ウメ、ユズ、クリ、キウイフルーツ、小豆、大豆注1、米(平成23・24・25年産注1)、ヤマメ(養殖を除く。)、ウグイ、ウナギ、アユ(養殖を除く。)、イワナ(養殖を除く。)、コイ(養殖を除く。)、フナ(養殖を除く。)、クマ肉

(全域) 牛肉注1、イノシシ肉、カルガモの肉、キジの肉、ノウサギの肉、ヤマドリの肉、海産物(41種)青森県 (一部地域) キノコ類(野生のものに限る。)

(一部地域)原木クリタケ(露地栽培)、原木シイタケ(露地栽培)、原木ナメコ(露地栽培)、キノコ類(野生にものに限る。)、タケノコ、こしあぶら、ぜんまい、せり(野生のものに限る。)、わらび(野生のものに限る。)、大豆注1、ソバ注1、スズキ、クロダイ、イワナ(養殖を除く。)、ウグイ

(全域) 牛肉注1、シカ肉、クマ肉、ヤマドリ肉

(一部地域)原木シイタケ(露地栽培)、キノコ類(野生のものに限る。)、タケノコ、くさそてつ(こごみ)、こしあぶら、ぜんまい、米(平成25年産注1)、大豆注

1、ソバ注1、ヒガンフグ、イワナ(養殖を除く。)、アユ(養殖を除く。)、ヤマメ(養殖を除く。)、ウグイ(全域) 牛肉注1、イノシシ肉、クマ肉、クロダイ、スズキ

山形県 (全域) クマ肉

(一部地域)原木シイタケ(露地・施設栽培)、タケノコ、こしあぶら(野生のものに限る。)、イシガレイ、ヒラメ、アメリカナマズ(養殖を除く。)、ギンブナ(養殖を除く。)、ウナギ

(全域) イノシシ肉注1、コモンカスベ、シロメバル、スズキ、ニベ、マダラ

(一部地域)原木シイタケ(露地・施設栽培)、原木クリタケ(露地栽培)、原木ナメコ(露地栽培)、キノコ類(野生のものに限る。)、タケノコ、くさそてつ(こごみ)(野生のものに限る。)、こしあぶら(野生のものに限る。)、さんしょう(野生のものに限る。)、ぜんまい(野生のものに限る。)、たらのめ(野生のものに限る。)、わらび(野生のものに限る。)、クリ、イワナ(養殖を除く。)

(全域) 牛肉注1、イノシシ肉注1、シカ肉群馬県 (一部地域) キノコ類(野生のものに限る。)、イワナ(養殖を除く。)、ヤマメ(養殖を除く。)  (全域)イノシシ肉、クマ肉、シカ肉、ヤマドリ肉埼玉県 (一部地域) キノコ類(野生のものに限る。)千葉県 (一部地域) 原木シイタケ(露地・施設栽培)、タケノコ、ギンブナ、コイ、ウナギ (全域)イノシシ肉新潟県 (一部地域) クマ肉山梨県 (一部地域) キノコ類(野生のものに限る。)長野県 (一部地域) キノコ類(野生のものに限る。)静岡県 (一部地域) キノコ類(野生のものに限る。)

注1)福島県・岩手県・宮城県・栃木県の牛肉、茨城県・栃木県・千葉県のイノシシ肉、福島県の24年産米、福島県の大豆及び岩手県・宮城県のソバに係る   出荷制限については、知事の管理下のもとで出荷するものについて一部解除注2)太字については、平成25年4月以降、新たに出荷制限の指示又は指示対象範囲が拡大した品目を指す

出荷制限品目

福島県

岩手県

宮城県

茨城県

栃木県

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BSE

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牛海綿状脳症 (BOVINE SPONGIFORM ENCEPHALOPATHY, BSE)

○BSEは牛の病気の一つです。「BSEプリオン」と呼ばれる病原体が、主に脳に蓄積し、脳の組織がスポンジ状になり、異常行動、運動失調などを示し、死亡すると考えられています。

BSE感染牛 BSE感染牛を原料とした肉骨粉を牛に給与

BSEの感染拡大

○この病気が牛の間で広まったのは、BSE感染牛を原料とした肉骨粉を飼料として使ったことが原因と考えられています。

○1995年に、英国で変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)患者が初めて確認されました。vCJDはBSEとの関連性が示唆されています。

【感染経路】

【人への影響】

○BSEに感染した牛では、BSEプリオンが、牛の脳・せき髄・回腸の一部などに蓄積します。

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世界のBSE発生件数の推移

0

5000

10000

15000

20000

25000

30000

35000

40000

1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012

1992 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 累計全体 37,316 2,215 2,179 1,389 878 561 329 179 125 70 45 29 21 190,643

欧州全体(英国除く) 36 1,010 1,032 772 529 327 199 106 83 56 33 21 16 5,961

(フランス) (0) (274) (239) (137) (54) (31) (8) (9) (8) (10) (5) (3) (1) (1,021)(オランダ) (0) (20) (24) (19) (6) (3) (2) (2) (1) (0) (2) (1) (0) (88)

(デンマーク) (2) (6) (3) (2) (1) (1) (0) (0) (0) (1) (0) (0) (0) (16)英国 37,280 1,202 1,144 611 343 225 114 67 37 12 11 7 3 184,621

アメリカ 0 0 0 0 0 1 1 0 0 0 0 0 1 3カナダ 0 0 0 2 (注1) 1 1 5 3 4 1 1 1 0 20(注2)

⽇本 0 3 2 4 5 7 10 3 1 1 0 0 0 36イスラエル 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1ブラジル 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 1

(注1) うち1頭はアメリカで確認されたもの。(注2) カナダの累計数は、輸⼊⽜による発⽣1頭、⽶国での最初の確認事例(2003年12⽉)1頭を含む。

単位:頭

頭数

出典:OIE World Health Situation(2013年4⽉30⽇現在)

注)1992年は最⼤のBSE症例報告年次

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我が国のBSEの発生状況

2001(平成13)年9月に初めてBSEが確認。現在までに、と畜検査で22頭、死亡牛検査で14頭(計36頭)の発生を 確認。

BSE感染牛を出生年別にみると、1996(平成8)年生まれが12頭、2000(平成12)年生まれが13頭と多くなっている。

8例目及び24例目は、検出された異常プリオン蛋白質の性状が定型的なものと異なるとされている。

飼料規制の実施直後の2002(平成14)年1月に生まれた牛を最後に、それ以降、日本でのBSE感染牛の確認はない。

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国内BSE対策の概要

飼料規制

●飼料の安全性確保及び品質の改善に関する法律●⽜海綿状脳症特別措置法

●飼料規制などの⽣産段階からと畜、販売の各段階における規制により、⾷⾁の安全性を確保

農林⽔産省 厚⽣労働省

生産農場

死亡牛

と畜場

家畜保健衛生所

食肉として販売

⾁⾻粉禁⽌

BSE検査●と畜場法●⽜海綿状脳症対策特別措置法

特定部位除去・せき柱の規制●と畜場法●⽜海綿状脳症対策特別措置法

●⾷品衛⽣法

死亡⽜の検査●家畜伝染病予防法●⽜海綿状脳症特別措置法

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BSEの発生から現在まで(国内対策)

1986年 イギリスで初のBSE症例を発見

1995年 イギリスで初の新変異型クロイツフェルト・ヤコブ病症例

2001年 9月 千葉県で日本初のBSE症例

2001年10月 全ての肉骨粉の家畜用飼料への利用を禁止

2001年10月 と畜場で牛の全頭検査を開始、SRM除去・焼却義務付け(頭部(舌・頬肉以

外)、せき髄、せき柱、扁桃、回腸遠位部)

2003年12月 牛トレーサビリティ法施行

2004年 2月 せき柱も使用禁止

2005年 8月 BSE検査対象を21ヶ月齢以上に緩和

2009年 4月 ピッシング禁止

2009年 5月 国内(北海道)で最後のBSE感染牛を確認(36例目)

2009年 5月 OIE(国際獣疫事務局)総会において日本の

BSEステータスは「管理されたリスク」の国に認定

2013年 4月 BSE検査対象を30ヶ月齢超に緩和、SRM除去・焼却義務付けも頭部、せき

髄及びせき柱について30ヶ月超に緩和

2013年 5月 OIE総会において「無視できるリスク」(清淨国)の国に認定

2013年 7月 BSE検査対象を48ヶ月齢超に緩和

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我が国の飼料規制

BSEの感染源となりうるものの飼料への利用を規制し、BSEの発生サイクルを遮断肉骨粉、動物性油脂等の牛用飼料への利用禁止

牛用飼料とその他の飼料の分離牛用飼料とその他の飼料の交差汚染防止のために、飼料の製造、保

管、輸送等を分離

飼料規制の基本的考え方

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(参考)BSEの発生サイクルの遮断

飼料工場

国内農家

飼料

肉骨粉

肉骨粉

と畜場

食肉

焼却

特定危険部位

生体牛

BSE発生国 食肉等

牛由来肉骨粉

※ 米・加・仏・蘭産を除く

肉骨粉製造工場(レンダリング工場) 61

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(参考)我が国の肉骨粉の規制状況

×:飼料利用不可、○:飼料利用可

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特定危険部位(SRM:SPECIFIED RISK MATERIAL)

<BSE発症⽜のプリオンの体内分布及びSRM部位>出典:欧州⾷品安全機関「⽜由来製品の残存BSEリスクに関する定量的評価レポート(2004年)」

図⽰部位中の異常プリオンたん⽩質の分布割合の合計:99.7%

●脳(三叉神経節を含む): 62.5%頭部(脳、扁桃等)⾆、頬⾁を除く

●回腸: 9.6%回腸遠位部盲腸との接続部分から2mの部分を除去する

●せき髄: 24.0%せき髄せき髄を除去する⾼圧洗浄により汚染を除去する

:我が国のSRM

●背根神経節(せき柱に含まれる): 3.6%背根神経節を含むせき柱せき柱を消費者への販売前に除去する

●異常プリオンたん白質は、脳、せき髄、小腸などに蓄積し、これらの器官は特定危険部位(SRM)と呼ばれる。

●SRMの除去は、ヒトがvCJDに感染するリスクを低減するために重要な対策

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BSE検査

⽶ 国 カナダ E U OIE基準

⾷⾁検査 30ヶ⽉齢超 48ヶ⽉齢超

- -

72ヶ⽉齢超(注3)

-(注4)

発⽣状況調査(注1)

24ヶ⽉齢以上の死亡⽜等

24ヶ⽉齢以上の死亡⽜等

30ヶ⽉齢以上の

⾼リスク⽜の⼀部

30ヶ⽉齢超の

⾼リスク⽜の⼀部

48ヶ⽉齢超の

⾼リスク⽜30ヶ⽉齢以上の

⾼リスク⽜の⼀部

(注1)BSEの発⽣状況やその推移などを継続的に調査・監視すること(注2)中枢神経症状⽜、死亡⽜、歩⾏困難⽜などのこと(注3)欧州委員会は、本年2⽉下旬〜3⽉上旬以降、加盟国(ブルガリア及びルーマニアを除く)

の判断により健康⽜のBSE検査を廃⽌することが可能としている。(注4)OIE基準では、BSEスクリーニング検査の実施を求めていない。

⽇ 本

4/1以降改正後

(7/1以降)

(⾼リスク⽜(注2))

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月齢別と畜頭数(平成23年度)

0

20000

40000

60000

80000

100000

120000

0 6 12 18 24 30 36 42 48 54 60 66 72 78

和牛

ホルスタイン(雄)

ホルスタイン(雌)

全体

(備考)牛の検査対象割合の変化20か月齢以下:14.4% 30か月齢以下:61.5% 48か月齢以下:82.9%20か月齢超:85.6% 30か月齢超:38.5% 48か月齢超:17.1%

頭数 (食品安全委員会1次答申) (2次答申)

65