高機能樹脂ローラの開発mold, thermoplastic elastomer * 箕島製作所 技術開発部...

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ローラ -75- 高機能樹脂ローラの開発 Development of High Performance Thermoplastic Rollers OA される い,これら されているローラ にあ り, ローラ たわみが こり すく, した。 ため ローラに するこ により, たわみ たして った。ローラに する により, が異 るため, した。 また, させるこ により, ローラ かった ローラ した。 キーワード: ローラ, エラストマ Summary Along with the technical progress to pursue higher speed performances of OA machines, photo printers and other applications, marketing requirements for rollers with longer length are increasing. Reinforcing of the current thermoplastic rollers is necessary due to insufficient bending strength in longer lengths. Our technical trials to reinforce the thermoplastic rollers were made by inserting metal cores into extrusion molded pipes. Development of the optimum production procedures was also completed. Because the applied thermoplastics for rollers have variable thermal expansion properties, the inserting procedures established use two kinds of heating systems with the optimum precious extrusion conditions depending on the thermal expansion coefficients. This report summarizes the production procedures and other new technology. Key wordsThermoplastic roller, Thermoplastic resin, Metal core, High frequency induction heating, Extrusion mold, Thermoplastic elastomer *  1.まえがき コピー プリンター OA プリント ローラ され ているが,これら されているローラ にエチレンプロピレンゴム,クロロプレンゴム したゴムローラが ある。これら ゴムローラ ゴムを する があり, コストが かかる かり く, ゴム し, ゴムが する いう 題がある。 ,これらゴムローラ 替え して, に耐 エラストマ, いた ローラを し,各 から けて いる しかし い,ローラ たわみ されるように った。これま ローラ にした いため,たわみが ローラに あった。また いたゴムローラ あって に対 するために を大きくする があ り,これに するため,多大 あった。 ため ローラ かし,多大 くて に対 きるこ し, ローラを する した。 ,そ および について る。 2.従来の樹脂ローラの基本構造 ローラ Fig. 1 に, Fig. 2 す。 これま ローラ 大き さが に変えられるこ ため 榎  A. Yamamoto M. Ozawa S. Enomoto

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Page 1: 高機能樹脂ローラの開発mold, Thermoplastic elastomer * 箕島製作所 技術開発部 1.まえがき コピー機やプリンターなどのOA機器,写真自動現像機,プリント基盤搬送機など,様々な分野でローラは使用され

高機能樹脂ローラの開発

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高機能樹脂ローラの開発Development of High Performance Thermoplastic Rollers

要  約

 OA機器,現像機などが高機能化されるのにともない,これらの機器に使用されているローラは長尺化の傾向にあり,従来の樹脂ローラではたわみが起こりやすく,補強の必要性が発生した。 本報は,補強のため樹脂ローラに金属芯を後挿入することにより,十分なたわみ特性を持たして長尺化への対応

を行った。ローラに使用する樹脂の膨張係数の大小により,金属芯の挿入性が異なるため,個別に製法を開発した。また,当社の持つ精密押出し技術を更に発展させることにより,今までの樹脂ローラでは機能上使用できなかった長尺ローラの開発に成功した。

キーワード:ローラ,熱可塑性樹脂,金属芯,高周波誘導加熱,押出成形,熱可塑性エラストマ

Summary

 Along with the technical progress to pursue higher speed performances of OA machines, photo printers and other

applications, marketing requirements for rollers with longer length are increasing. Reinforcing of the current

thermoplastic rollers is necessary due to insufficient bending strength in longer lengths.

 Our technical trials to reinforce the thermoplastic rollers were made by inserting metal cores into extrusion molded

pipes. Development of the optimum production procedures was also completed. Because the applied thermoplastics

for rollers have variable thermal expansion properties, the inserting procedures established use two kinds of heating

systems with the optimum precious extrusion conditions depending on the thermal expansion coefficients. This

report summarizes the production procedures and other new technology.

Key words:Thermoplastic roller, Thermoplastic resin, Metal core, High frequency induction heating, Extrusion

mold, Thermoplastic elastomer

* 箕島製作所 技術開発部

1.まえがき

 コピー機やプリンターなどのOA機器,写真自動現像機,

プリント基盤搬送機など,様々な分野でローラは使用されているが,これらの機器に使用されているローラは金属芯にエチレンプロピレンゴム,クロロプレンゴム等を加硫成

形したゴムローラが主流である。これらのゴムローラは金属芯とゴムを接着する必要があり,工程が複雑でコストがかかるばかりでなく,写真自動現像機などでは薬液でゴム

が膨潤し,金属芯とゴムが剥離するという問題がある。当社では,これらゴムローラの代替え品として,外層に耐薬品性の良好な熱可塑性エラストマ,内層に熱可塑性樹脂を

用いた樹脂ローラを開発し,各方面から高い評価を受けている 。 しかし近年,機器の高機能化にともない,ローラは長尺

化,低たわみ性を要求されるようになった。これまでの樹

脂ローラは長尺にした場合,熱可塑性樹脂の剛性が金属ほど高くないため,たわみが発生し長尺ローラには不向きであった。また従来の金属芯を用いたゴムローラであって

も,長尺化に対応するためには金型を大きくする必要があり,これにともない設備も大型化するため,多大な設備投資が必要で,長尺化への対応が困難であった。

 このため当社は樹脂ローラの特長を生かし,多大な設備投資を行わなくても長尺化に対応できることを目的とし,樹脂ローラを金属芯で補強する方法を開発した。本報で

は,その設計,製造方法および製品の特性について記述する。

2.従来の樹脂ローラの基本構造

 従来の樹脂ローラの基本的な構造を Fig. 1に,製造工程

の概略図を Fig. 2に示す。 これまでの樹脂ローラの大きな特長は, 押出成形のため長さが自由に変えられること, 回転押出成形のため真

山 本 昭 宏*  小 澤 雅 基*  榎 本 貞 人*

A. Yamamoto M. Ozawa S. Enomoto

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三 菱 電 線 工 業 時 報 第96号 平成12年2月

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くし,外層の熱可塑性エラストマを柔らかくすることにより,ローラ中央の隙間を小さくすることを検討してきた

が,搬送不良を解決するには至らなかった。このため,当社の押出成形品が真直度に優れていることを生かし,押出成形時の内径精度を上げることに加えて,押出成形品に金

属芯を後から挿入することで,優れた補強効果を与える製造方法を開発した。

3.設 計

3.1 目標特性

 Fig. 3のようなシステムで紙を搬送するためには,ローラ間の隙間は,搬送する紙の厚みよりも小さくなければならない。一般に使用されている事務用紙の厚さは約0.1mm

であり,本開発においても,荷重を与えたときの中央部の隙間(以下本報ではこの隙間をたわみ量と定義する)が,0.1mm以下であることを目標とした。また,ローラを回転

させたときには,ローラは回転する駆動力に耐えなければならない。紙を搬送する場合,この駆動力は通常1N・m以下で,紙づまりなどのトラブル時には2~3N・m程度とな

る。このためローラには安全率を加えて,約6N・m程度のトルク強度が要求される。したがって,金属芯挿入後の金属芯と樹脂押出品のトルク強度は,6N・m以上を目標と

した。

3.2 基本構造

 金属芯を挿入した樹脂ローラの基本構造を Fig. 4に,製造工程の概略図を Fig. 5に示す。 従来の樹脂ローラでは,金属シャフトに樹脂を射出成形

し,これを樹脂押出品に接着していたが,本開発品は樹脂

直度が良いことである。基本的な製造方法は外層の熱可塑性エラストマと内層の熱可塑性樹脂を同時に押出しを行い,必要長さに切削,外径を研削する。次に,あらかじめ

金属シャフトをインサート成形した軸端部品を接着し,ローラは完成する。 一般的には紙などを搬送するローラは Fig. 3に示すよう

に,ローラの両端の金属シャフトをバネなどで連結し,シャフトに取り付けたギアを回転させることで,ローラの間に紙をはさみ搬送している。このとき,ローラの端面を

支点に金属シャフトをバネで引張るため,ローラにはたわみが生じる。このたわみはローラの芯材の剛性が十分であれば,紙の搬送には影響を与えないが,芯材の剛性が不十

分な場合,ローラの中央で隙間が発生し,紙をはさむことができず搬送不良となる。 これまでの樹脂ローラは芯材(内層)に高剛性の熱可塑

性樹脂を使用しているが,従来の金属芯にゴムを成形したゴムローラと比較すると剛性が小さいため,長尺にしたときにローラ中央で隙間ができ,紙を搬送することができな

くなる。対策として,芯材の熱可塑性樹脂の剛性をより高

熱可塑性樹脂�金属シャフト�

熱可塑性エラストマ�軸端部品�

Fig. 1 Structure of thermoplastic rollers

樹脂ローラの構造

Fig. 2 Manufacturing process of thermoplastic rollers

従来の樹脂ローラの製造工程概略図

外層)熱可塑性エラストマ�内層)熱可塑性樹脂�

ASSY�(溶着or接着)�

必要な長さに切削�

必要な外径に研削�

軸端部品成形�(金属シャフトインサート)�

金属シャフト加工�

同時押出成形�

Fig. 3 Basic conveyer system of rollers

ローラの基本的な搬送システム

駆動ギア�

紙�バネ�

ローラ�

Fig. 4 Structure of metal inserted rollers

金属芯入りローラの構造

金属芯�

熱可塑性エラストマ�

熱可塑性樹脂�

Fig. 5 Manufacturing process of metal inserted rollers

金属芯入りローラの製造工程概略図

外層)熱可塑性エラストマ�内層)熱可塑性樹脂�

必要な長さに切削�

挿入� 金属芯加工�

必要な外径に研削�

同時押出成形�

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高機能樹脂ローラの開発

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押出品に金属芯を挿入するだけの簡単な製造方法とした。

3.3 樹脂材料の選定

 外層の熱可塑性エラストマは搬送する紙の種類により,

オレフィン系とスチレン系の 2種類を使用し,内層の熱可塑性樹脂は,外層のエラストマと相溶性のある樹脂を選定している。したがって樹脂押出品の層間は Table 1に示す

とおり強固に密着しており,約6N・mのトルク強度を満足するものである。

 このように選定した内層の樹脂は,外層がオレフィン系のもので線膨張係数が約 7×10-5mm/mm・℃,スチレン系のもので線膨張係数が約 3× 10 - 5mm/mm・℃であっ

た 。 線膨張係数が大きい場合(目安として5×10-5mm/mm・℃以上),押出品に熱を加え,内径が拡大したところに金属

芯を挿入する方法,いわゆる焼きばめ方式が比較的容易である。これに対し,線膨張係数の小さな場合,押出品を加熱しても,パイプの内径は金属芯を挿入できるほど拡大せず,また不用意に加熱温度を上げると,樹脂は熱可塑性の

ためパイプ自体が変形し,焼きばめ方式を適用することはできない。したがって内層に線膨張係数の小さい樹脂を使用するときは,金属芯を加熱することで押出品の内径を軟

化させながら挿入する方法としなければならない。

4.線膨張係数の大きな押出品

4.1 押出品の内径寸法の設定

 押出品の内径寸法と,金属芯を挿入したときのトルク強

度の関係を Fig. 6に示す。この結果から推定してローラの耐トルク強度6N・mを満たすため,樹脂パイプの内径は基準径の+0.10mm以下と設定した。

 また押出品の内径が小さすぎると金属芯挿入時の抵抗が大きくなり,強制的に挿入すると樹脂が割れるトラブルが発生した。基準径の-0.10mm以下になると割れが発生

しやすい傾向にあることが分かったため,押出品の内径は基準径に対し+0.10~-0.10mmに設定することが妥当であると判断した。

4.2 押出品の内径寸法測定結果

 目標公差内に押出品の内径寸法が入るように種々の条

件を検討し,最適条件を設定した。この条件で成形した押出品の内径寸法の測定結果を Fig. 7に,押出時間と樹脂パイプの内径寸法の関係を Fig. 8に示す。

内外層間のトルク強度

10N・m以上

10N・m以上

外層

オレフィン系エラストマ

スチレン系エラストマ

Table 1 Rotational torques with outside and inside layers

of extrusion pipes

押出し品内外層間のトルク強度

Fig. 6 Rotational torques with inside diameter variation

of the expansion pipes (thermoplastic of higher

thermal expansion)

トルク強度-押出し品内径(線膨張係数:大)

0

5

10

15

20

トルク強度[

N・

m]

-0.15 -0.1 -0.05 0 0.05 0.1 0.15基準径

内径[mm]

割れ発生

目標値:6N・m

Fig. 7 Inside diameter histogram for extrusion pipes

(thermoplastics of higher thermal expansion)

押出し品の内径寸法のヒストグラム(線膨張係数:

大)

0

50

100

150

200

250

N=300 σ=0.0045

個数[個]

-0.15 -0.01 -0.05 0 0.05 0.1 0.15

基準径 内径[mm]

 樹脂パイプの内径のばらつきは 0.1mm以下と非常に小さく,目標設定値を十分満たすこと,また押出時間による

経時変化も非常に小さく,安定して成形できる条件であることが確認できた。

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三 菱 電 線 工 業 時 報 第96号 平成12年2月

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Fig. 8 Inside diameter changes during extrusion time

内径-押出し時間の関係

-0.150

-0.125

-0.100

-0.075

-0.050

-0.025

0.000

0.025

0.050

0.075

0.100

0.125

0.150

0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5

押出時間[Hr]

内径[

mm]

4.3 金属挿入品のたわみ量の確認

 Fig. 3のように金属シャフトの両端に軸受を入れ,これにバネを取り付け,ローラを回転させ,たわみ量の最大値を投影機で測定した。また,従来タイプについてもバネ荷

重およびローラ長を同条件にして,たわみ量を測定した。この結果を Fig. 9に示す。 開発品のたわみ量は目標値の0.1mmよりも小さく,ゴム

ローラと同じレベルであり,良好な結果を得ることができた。

4.4 金属芯挿入品のトルク強度の確認

 押出品に金属芯を挿入した後のトルク強度の測定結果

を Fig. 10に示す。 目標のトルク強度6N・mに対し測定値は11N・m以上で,ばらつきも小さく良好な結果を得ることができた。

4.5 まとめ

 線膨張係数の比較的大きい樹脂により成形した押出品

は,内径を高精度に成形することにより,トルク強度の安定したローラを製造することができるようになった。現在,この押出成形と加熱挿入法により,ローラ長の異なった数種類のローラを製造している。

0

0.05

0.1

0.15

目標値

たわみ量[

mm]

開発品(線膨張係数:大)

樹脂ローラゴムローラ

Fig. 9 Comparison results of bending properties between

the metal inserted (higher thermal expansion) and

current rollers

金属芯入りローラ(線膨張係数:大)と従来ローラ

のたわみ量の比較(定長,定荷重)

Fig. 10 Torques histogram for the extrusion rollers with

metal pipes (thermoplastics of higher thermal

expansion)

トルク強度のヒストグラム(線膨張係数:大)

0

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

N=30  σ=12.4

個数[個]

2 4 6 8 10 12 14 16 18 20

トルク強度[N・m]

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高機能樹脂ローラの開発

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5.線膨張係数の小さな押出品

5.1 金属芯の加熱方法

 前章で記述した製法検討時に,線膨張係数の小さな樹脂については,押出品の内径面を軟化させながら金属芯を挿

入すること,このためには挿入中に金属芯は加熱され続けていることが望ましいことが分かった。加熱温度,挿入速度にもよるが,挿入時に金属芯が加熱されていないと,軟

化していた樹脂が固化して金属芯に抱きつくことから,挿入が困難になることがあるためである。上記のことから金属芯の加熱方法を検討した結果,通電加熱と高周波誘導加

熱が候補と考えられたが,前者は金属芯に常に電極を接触させる必要があるため,設備が複雑になることが分かった。このため非接触で加熱できる後者を採用することと

し,予備実験により検討した結果,十分に適用できる設備と条件設定が開発できた 。

5.2 目標特性

 前章と同様,たわみ量 0.1mm以下,トルク強度 6N・m

以上を目標とした。

5.3 押出品の内径寸法の設定

 押出品の内径寸法と,金属芯を挿入したときのトルク強

度の関係をFig. 11に示す。前章と同様,この結果から押出品の内径は基準径に対し+0.125~-0.125mmと設定することが妥当であると判断した。

5.4 押出品の内径寸法測定結果

 目標公差内に押出品の内径寸法が入るように押出し実験を実施し,最適条件を設定した。この条件で成形した押出品の,内径寸法の測定結果を Fig. 12に示す。

 内径寸法は基準径に対し大きめになったが,ばらつきは0.15mmと小さく,目標設定値を満たすことが確認できた。

時間的な変化はこの樹脂ではまだ実験していないが,前章と同傾向であることは確認しており,安定すると考えられる。

5.5 金属挿入品のたわみ量の確認

 前章と同じ要領でたわみ量を測定した。結果をFig. 13に示す。

 本品のたわみ量も目標値の 0.1mmよりも小さく,ゴムローラと同じレベルであり,良好な結果を得ることができた。

5.6 金属芯挿入品のトルク強度の確認

 押出品に金属芯を挿入した後のトルク強度の測定結果を Fig. 14に示す。

 目標のトルク強度6N・mに対し測定値は13N・m以上で,若干ばらつきが大きいが良好な結果を得ることができた。

5.7 まとめ

 線膨張係数の小さな押出品による挿入方法の開発検討を実施し,高周波誘導加熱を利用することと,最適押出し

内径との組合せにより,安定して金属芯を挿入することができるようになった。この方法により製造したローラについても,量産中である。

Fig. 11 Rotational torques with inside diameter variation

of the expansion pipes (thermoplastic of lower

thermal expansion)

トルク強度-押出し品内径(線膨張係数:小)

0

5

10

15

20

25

トルク強度[

N・

m]�

-0.15 -0.1 -0.05 0 0.05 0.1 0.15

基準径 内径[mm]�

割れ発生�目標値:6N・m

Fig. 12 Inside diameter histogram for extrusion pipes

(thermoplastics of lower thermal expansion)

押出し品の内径寸法のヒストグラム(線膨張係数:小)

0

10

20

30

40

N=70 σ=0.025

個数[個]�

-0.15 -0.01 -0.05 0 0.05 0.1 0.15

基準径 内径[mm]�

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三 菱 電 線 工 業 時 報 第96号 平成12年2月

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山本昭宏(やまもと あきひろ)

箕島製作所 技術開発部 第三グループ樹脂押出成形品の研究・開発に従事

小澤雅基(おざわ まさき)

箕島製作所 技術開発部 第三グループ

樹脂押出成形品の研究・開発に従事

榎本貞人(えのもと さだひと)箕島製作所 技術開発部 第三グループ

樹脂押出成形品の研究・開発に従事

0

0.05

0.1

0.15

目標値

たわみ量[

mm]

開発品(線膨張係数:小)

樹脂ローラゴムローラ

������� ������������� �������������������������

������� �������� ���������� ����������

�������� ���

金属芯入りローラ(線膨張係数:小)と従来ローラ

のたわみ量の比較(定長,定荷重)

0

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

N=30  σ=17.2

個数[個]

2 4 6 8 10 12 14 16 18 20

トルク強度[N・m]

������� �������������������������������� �������

���� ����� �������� ������ �� ���� ������

��������

トルク強度のヒストグラム(線膨張係数:小)

6.む す び

 ローラの長尺化にともなう補強のため,押出品に金属芯を挿入する方法についての製法開発を行った。樹脂の線膨

張係数の差により,製法の変更は必要であったが,押出条件および挿入条件の最適化により,量産化が可能となった。押出品を精密に押出成形するという当社が培ってきた

技術と,新たな設備および条件設定の組合せにより開発した独自性の高い製品である。今後も長尺樹脂ローラの需要

は拡大するものと期待され,より安定した製品を供給できるよう開発を進めるつもりである。

参考文献

� 有馬ほか.三菱電線工業時報.(��),����,� �!.

� 広報委員会編集.エンプラ"#�#$%%&.東京,工業用熱可塑性樹脂技術連絡会,����,� ��'().

� 社団法人金属表面技術協会編集.金属表面技術便覧.

東京,日刊工業新聞社,��*+,� ��))'���(.