小口保冷配送サービスの 国際標準がもたらす社会 - …...2012 2014 phnom penh...
TRANSCRIPT
2019年9月20日ヤマトホールディングス株式会社
マネージャー 大河原 克彬
小口保冷配送サービスの国際標準がもたらす社会
(C)Yamato Holdings Co., Ltd. 20192019.9.20
会社概要
ヤマトホールディングス株式会社設立年営業収益従業員数事業展開国数主な提供サービス
1919年16,253億円 (2019年3月期)約22万人24カ国宅配便サービス 「宅急便」、小口保冷配送サービス「クール宅急便」
2
(C)Yamato Holdings Co., Ltd. 20192019.9.20
ヤマトグループの事業
デリバリー個人や法人のお客様のための宅配サービスを提供します。宅急便、クロネコDM便など
トラックのメンテナンストラック・バス事業者のために車両保守サービス、車両管理システム、および保険を提供します
eビジネス情報システムの開発とITパッケージの販売
金融商品配送時の代金引換と決済、およびリースサービスを提供します。
BIZ-ロジ国際貨物輸送や倉庫などの商品の効率的な流通と保管のためのサービスを提供します
ホームコンビニエンス引越および家具や家電製品の配送/設置、食料品やその他の日用品の販売などのライフスタイルサポートサービスを提供します。
3
(C)Yamato Holdings Co., Ltd. 20192019.9.20
クール宅急便の誕生により、今まで届けることのできなかった四季折々の地域の美味しい食材をお店や家庭の食卓に新鮮なまま並べることがより可能となった
ヤマトが提供する小口保冷配送サービス 「クール宅急便」
サービス開始 1988年
配達個数 年間約2億個
温度帯 ①冷蔵:0℃~10℃②冷凍:-15 ℃以下
配達レベル 365日対応。原則翌日お届け。
大きさ 縦横高さの合計が120cm以下かつ重さ15kgまで
サービスエリア 日本, 台湾, 上海, 香港, シンガポール, マレーシア, タイ, ベトナム
4
(C)Yamato Holdings Co., Ltd. 20192019.9.20
24の国と地域、80都市にネットワークを構築し、お客様に便利で快適なサービスを提供できるよう展開している
海外ネットワーク
カナダ
メキシコ
アメリカ
米国
現地法人(フォワーディング・ロジ・海外引越) 駐在員事務所現地法人(フォワーディング・ロジ・海外引越)+宅急便
マレーシア
シンガポールインドネシア
ベトナム フィリピン
台湾香港
韓国
中国
タイ
インド
上海ミャンマー
欧州
イギリス
ベルギー
オランダ
フランス
イタリアハンガリー
ドイツ
チェコ
スペイン
アジア
6
1
234
小口保冷配送サービス規格誕生の背景小口保冷配送サービス規格の内容小口保冷配送サービスの認証取得今後の展開
(C)Yamato Holdings Co., Ltd. 20192019.9.20
保冷輸送全体のうち、これまで大口・バルクで輸送されることが主流であった部分も、多頻度・小ロット化が進んでいる
小口保冷配送サービスの広がり
メーカー小売DC
店舗
消費者
卸DC
大口・バルク 小口・パーセル
生産者卸売市場
(C)Yamato Holdings Co., Ltd. 20192019.9.20
日本では、個人間の贈答品に加え、生鮮品ECの普及により、取扱個数が増加してきた。現在アジア各国では、経済成長に伴い小口保冷配送サービスへの需要の増加と市場の拡大が期待されている
小口保冷配送サービスの市場拡大
5410 32282 308 2614 340 1816 2012
180
38
20
120
484236
200
260
60
160
40
52
280
80
5046
140
220
100
440
40
240
2002
1997
1991
2013
1990
19941995
2004
2009
20052007
2011
1993
1996
20001998
2001
2012
20032006
2008
19922015
1989
2016
1999
19882012
2017
2017
2014
2016
2013
2010
20122014
Phnom Penh
YangonHochiminh
Kuala LumpurManila
2016
Bangkok
2015
Hanoi
Jakarta
2015
2017
Singapore
2014
2013
一人当たりGDP (K USD)*1
年間の保冷宅配便件数(百万件)
Source: Yamato Holdings, The National Economic and Social Development Board (NESDB)International Monetary Fund, World Economic Outlook Database
Shanghai
一人当たりGDPの推移と小口保冷配送サービスの発展(日本、ASEAN主要都市、中国)
8
Beijing
Japan
(C)Yamato Holdings Co., Ltd. 20192019.9.20
小口保冷配送サービス市場が拡大している一方で、一連の小口保冷配送サービスのオペレーションにおいて、不適切な管理による潜在的なリスクが存在している
宅配便事業者による保冷宅配の課題
冷蔵・冷凍小包の常温環境下への長期間の放置
不十分な温度管理①(破損した温度計の使用)
不十分な温度管理②(簡易なボックスの使用)
9
(C)Yamato Holdings Co., Ltd. 20192019.9.20
国際基準が、宅配便事業者のサービス品質の向上を促し、社会に安全・安心な保冷輸送インフラをもたらすことで、経済の発展と豊かな生活を実現する
小口保冷配送サービスの国際基準の社会的な意義
国際基準が
ある世界
ない世界
市場の反応 事業者 サービス品質 社会の未来
多くの事業者が認証を取得
サービス品質を評価し、積極的に利用
国際基準に沿ったサービスが存在しない
低品質で低価格という感覚が広がり、消費者信頼感の低下
一次産業や食品産業、通販等が発展せず生活水準が上がらない
消極的な利用に留まり、事業規模は拡大せず
低品質・低価格なサービスが一
般化
事業が順調に成長
安全・安心な保冷配送サービスが拡大
経済の発展
豊かな生活
基準 認証状況
10
11
1
234
小口保冷配送サービス規格誕生の背景小口保冷配送サービス規格の内容小口保冷配送サービスの認証取得今後の展開
(C)Yamato Holdings Co., Ltd. 20192019.9.20
小口保冷配送サービス策定プロジェクトの概要
規格の名称PAS1018:2017 Publicly Available SpecificationIndirect, temperature-controlled refrigerated delivery services – Land transport of refrigerated parcels with intermediate transfer – Specification
発行日 2017年2月28日
PAS 1018の対象者 配送サービス事業者
策定者 英国規格協会(BSI)
スポンサー ヤマトホールディングス
ステアリンググループ(PAS1018への参画組織) 英国、中国、台湾、日本からの21機関
支援・賛同
日本政府• 農林水産省• 国土交通省• 経済産業省 / 日本工業標準調査会
日本規格協会12
(C)Yamato Holdings Co., Ltd. 20192019.9.20
積替え 積替え 積替え 積替え集荷 配達
センター ベース ベース センター
保冷車両保冷荷室の温度を記録する(10章2節)
積替え作業時間のルールを定め、記録する(11章3節)
輸送温度輸送温度を規定する(4章4節)
規格 物流サービスの規格 食品の規格主目的 車両の保冷荷室の温度管理(※) 梱包方法 食品自体の温度車両 保冷車両 常温車両
輸送形式 2地点間の直接輸送
途中で積替えを伴う輸送
荷物を専用容器と保冷剤で梱包
例 貸切輸送 路線便・宅配便 熱保護梱包輸送
規格策定の対象範囲
内容の例
その他、マニュアルの整備、教育の実施など
※「保冷荷室」には、移動式/固定式保冷庫や断熱コンテナ等も含まれる
保冷車両を用いた保冷配送サービスのうち、途中で積替える輸送形式について、温度管理を軸とした要求事項を規定
PAS 1018の対象範囲
13
(C)Yamato Holdings Co., Ltd. 20192019.9.2014
PAS 1018には、保冷荷物の扱い方だけでなく、サービスの開始からサービスの監視と改善に至るまでの、サービス提供に関する要求事項が含まれている
PAS 1018の構成
サービス開始 条件及び監視サービス提供
提供対象及び用語と定義
サービス要求事項
保冷配送サービスの定義とコミュニケーション
適用対象
用語と定義
保冷配送サービス提供者の事業免許
輸送ネットワーク
保冷荷物(発送、センター間輸送、配達)
事業所、保冷車両、保冷庫、冷却剤の条件
配送サービス提供者と荷受人の間で交換される
情報
作業指示書と運用マニュアル
スタッフ
保冷配送サービス提供者とサービス使用者間で交換される情報
保冷配送サービスの監視と改善
15
1
234
小口保冷配送サービス規格誕生の背景小口保冷配送サービス規格の内容小口保冷配送サービスの認証取得今後の展開
(C)Yamato Holdings Co., Ltd. 20192019.9.2016
ヤマトHD傘下のヤマト運輸株式会社など計8社が、BSIからの審査を受け、小口保冷配送サービスに関する国際規格PAS 1018の認証を取得
PAS 1018の認証取得
ヤマト運輸&沖縄ヤマト運輸
マレーシアヤマト運輸
シンガポールヤマト運輸
香港ヤマト運輸
ヤマト(中国)運輸
TCDS 660200PAS 1018
Yamato365Express
SCG Yamato Express
17
1
234
小口保冷配送サービス規格誕生の背景小口保冷配送サービス規格の内容小口保冷配送サービスの認証取得今後の展開
(C)Yamato Holdings Co., Ltd. 20192019.9.2018
日本提案によって、ISOで新たな委員会PC315の設立が承認された。次回11月にインドネシアで第3回国際会議が開催予定であり、2020年のISO23412発行を目指す
Pメンバー国(15)
投票義務あり
Oメンバー国(19)
意見提出の権利あり
Singapore
MalaysiaKorea Philippines
RussiaPortugal
IndonesiaChina
Norway
Spain
Argentina
Hungary
Romania
UK
Germany
Italy
NZ
Japan Thailand
Denmark India
Estonia Iran
FinlandFrance
Austria Bulgaria Colombia Cuba Czech Rep
Israel Senegal
Slovakia
Sierra Leone
(2019年9月現在)
PAS1018を原案としたISO開発提案
(C)Yamato Holdings Co., Ltd. 20192019.9.2019
規格を軸に「食品安全」と「物流サービス品質」を高め、お客様に安心を提供する。また、規格を活用し、トレーサビリティを含めたサプライチェーン全体の最適につなげていく
食品安全との連携により安心な物流サービスを広げる
お客様
海外のお客様
海外との結節点施設
倉庫DC
倉庫DC
海外との結節点施設
国内のお客様
小口・パーセル:小口保冷宅配サービス認証施設・大口・常温:食品安全認証
(C)Yamato Holdings Co., Ltd. 20192019.9.20
FSSC22000の輸送・保管カテゴリーの認証取得ヤマトでは、海外との結節点となる施設や、付加価値をもたらす(物流+αの価値)施設で認証取得を進めている
認証取得組織
・2017年9月沖縄ヤマトグローバルエキスプレス事業部
・2017年7月取得ヤマト運輸羽田CGベース
・2017年12月取得YGL羽田CG支店
20
(C)Yamato Holdings Co., Ltd. 20192019.9.20
荷主企業にとっての意義
小口保冷配送サービス事業者の品質や食品安全を確認できる
商品価値を損なわずに消費者へ商品を届けられる(多頻度、高品質)
物流事業者にとっての意義
物流の運用改善に活用できる
審査を受けることで食品安全やサービス品質の証明ができる
国(政府)にとっての意義
消費者の安全で豊かな生活を導く 企業の販路が拡大する
国際規格認証
21
国際規格を取得している事業者が、荷主からも高く評価され、優先的に活用されることで、小口保冷配送サービス市場を始めとした物流市場が健全に成長していくことを期待
ステークホルダーにとっての国際規格活用の意義