自動車データ活用に関する欧州の動向ford...

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JARI Research Journal (2018.5) 1 自動車データ活用に関する欧州の動向 Utilization of vehicle data in Europe 伊藤 * Hiroshi Ito 1. はじめに 自動運転技術開発,及び自動車が外部と繋がる コネクティッドビークルの普及が進んでいる.こ れに伴い,自動車と外部の間でやりとりされる情 報や,その二次利用を含めた活用への期待が高ま っている.日本政府も,自動車を含むデータの適 正な利活用促進に向けて検討を進めており,官の データの共有化だけでなく,民間データについて も競争領域・協調領域に分けて,活用可能性のあ るデータの明確化,データの取引に関わる条件の 検討,パーソナルデータの利活用環境の整備等を 検討している 1) .自動車分野において,大きなデ ータを自動車とセンタサーバの間でやり取りする ことが想定される例としてダイナミックマップが ある.これについては,内閣府のSIP(戦略的イ ノベーション創造プログラム)で検討,開発が行 われている. 一方で,欧州の GDPR General Data Protection Regulation)のように,個人情報に対 する規制強化の動きもある.GDPRでは,違反し た組織は全世界の売り上げの4%の罰金を課され る可能性がある(個人情報保護委員会のホームペ ージ等参照). こうした状況の中で,国内外,特に欧州の自動 車情報の利用に関して,どのような検討が進めら れているかを,標準化活動,公開文献等を通じて 調査した結果を報告する. 2. 日本自動車研究所(JARI )のこれまでの取り組み JARI ITS研究部では,その前身となる財団法人 自動車走行電子技術協会の時代から,経済産業省 等の支援の下,慶応大学等の研究機関や自動車・ 電機業界を中心とする民間企業と協力してプロー * 情報システムに関連する技術開発や国際標準 化を進めてきている.国際標準化に関しては, ISO 22837 2009 プローブデータ, ISO 24100 2010 プローブプライバシに関する基本原則の発行, ISO/DIS 16461 プローブ匿名性評価基準, ISO/CD プローブサービスアーキテクチャの標 準化作業に参加して来た.こうした活動と並行し て,自動車関連情報の収集に関する調査も進めて おり,得られた情報は,経済産業省に報告すると 共に, JARIで発行しているITS産業動向調査報告 書にも反映している. (*プローブ:ここでは,自動車の位置,速度情報等から 交通情報を作り出す仕組みの意味で使用) 3. 想定される自動車データと活用例 自動車データとして想定されているものには, 自動車内部で生成されるデータ(車速,エンジン 回転数,位置,故障診断情報等)と自動車周辺の 情報(レーダ,カメラ等のセンサ情報)がある. 自動車データの取得方法としては,テレマティ ックスサービスとして,自動車メーカ等のサーバ にプローブ情報等を送信する方法,車車間・路車 間通信で送信される情報を収集する方法,スマー トフォン等の持込機器経由で取得される方法等が 想定される.以下,それぞれ具体例を紹介する. 車車間通信は,自動車から周辺車両に対して自 車位置,速度等を1秒間に10回程度,放送型で送 信するもので,日本ではITSコネクトとして2015 年からサービスが始まっている.欧米でも2019JARI Research Journal 20180501 【解説】 1 一般財団法人日本自動車研究所 ITS研究部

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  • - - JARI Research Journal (2018.5)

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    自動車データ活用に関する欧州の動向

    Utilization of vehicle data in Europe

    伊藤 寛 * Hiroshi Ito

    1. はじめに 自動運転技術開発,及び自動車が外部と繋がる

    コネクティッドビークルの普及が進んでいる.こ

    れに伴い,自動車と外部の間でやりとりされる情

    報や,その二次利用を含めた活用への期待が高ま

    っている.日本政府も,自動車を含むデータの適

    正な利活用促進に向けて検討を進めており,官の

    データの共有化だけでなく,民間データについて

    も競争領域・協調領域に分けて,活用可能性のあ

    るデータの明確化,データの取引に関わる条件の

    検討,パーソナルデータの利活用環境の整備等を

    検討している1).自動車分野において,大きなデ

    ータを自動車とセンタサーバの間でやり取りする

    ことが想定される例としてダイナミックマップが

    ある.これについては,内閣府のSIP(戦略的イノベーション創造プログラム)で検討,開発が行

    われている. 一 方 で , 欧 州 の GDPR ( General Data Protection Regulation)のように,個人情報に対する規制強化の動きもある.GDPRでは,違反した組織は全世界の売り上げの4%の罰金を課される可能性がある(個人情報保護委員会のホームペ

    ージ等参照). こうした状況の中で,国内外,特に欧州の自動

    車情報の利用に関して,どのような検討が進めら

    れているかを,標準化活動,公開文献等を通じて

    調査した結果を報告する.

    2. 日本自動車研究所(JARI)のこれまでの取り組み JARI ITS研究部では,その前身となる財団法人自動車走行電子技術協会の時代から,経済産業省

    等の支援の下,慶応大学等の研究機関や自動車・

    電機業界を中心とする民間企業と協力してプロー

    ブ*情報システムに関連する技術開発や国際標準

    化を進めてきている.国際標準化に関しては,ISO 22837:2009 プローブデータ,ISO 24100:2010 プローブプライバシに関する基本原則の発行,

    ISO/DIS 16461 プローブ匿名性評価基準,ISO/CD プローブサービスアーキテクチャの標準化作業に参加して来た.こうした活動と並行し

    て,自動車関連情報の収集に関する調査も進めて

    おり,得られた情報は,経済産業省に報告すると

    共に,JARIで発行しているITS産業動向調査報告書にも反映している. (*プローブ:ここでは,自動車の位置,速度情報等から

    交通情報を作り出す仕組みの意味で使用)

    3. 想定される自動車データと活用例 自動車データとして想定されているものには,

    自動車内部で生成されるデータ(車速,エンジン

    回転数,位置,故障診断情報等)と自動車周辺の

    情報(レーダ,カメラ等のセンサ情報)がある. 自動車データの取得方法としては,テレマティ

    ックスサービスとして,自動車メーカ等のサーバ

    にプローブ情報等を送信する方法,車車間・路車

    間通信で送信される情報を収集する方法,スマー

    トフォン等の持込機器経由で取得される方法等が

    想定される.以下,それぞれ具体例を紹介する. 車車間通信は,自動車から周辺車両に対して自

    車位置,速度等を1秒間に10回程度,放送型で送信するもので,日本ではITSコネクトとして2015年からサービスが始まっている.欧米でも2019年

    JARI Research Journal 20180501 【解説】

    *1 一般財団法人日本自動車研究所 ITS研究部

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    頃からサービスが開始予定であるが,米国では,

    サービス開始に先立って実施された大規模実証で

    取得したデータをResearch Data Exchange(RDE)として公開していたが,2018年からはITS Public Data Hubに全米各地で実施中の実証試験で得られたデータを公開している2). Fordは自動車のデータ取得インタフェースOpenXC(図1)を公開し,サードパーティーによるアプリ開発を促している3).この仕組みはOBDポートに接続した専用インタフェース機器を通じ

    て自動車データを取得し,ブルートゥース等の通

    信を使って,スマートフォン等に車両データを送

    るものである.取得できるデータは,ステアリン

    グ操舵角,トランスミッショントルク,エンジン

    回転数,緯度・経度等の18項目である.

    図1 OpenXCの機器構成 3)

    ト ヨ タ 自 動 車 は , Toyota Open Vehicle Architecture(図2)という仕組みを発表している4).これは,トヨタ自動車から提供される開発キット

    SDK(Software Development Kit)を使ってT-Connectナビ向けのアプリを作成することができるという仕組みで,ナビに供給されている自動

    車データを利用することができる.こうした仕組

    みはGM等他の自動車メーカにもみられる. 図2 トヨタのサードパーティナビアプリ開発の仕組み4)

    日本の地図会社大手のゼンリンとKDDI,富士通は,自動運転向け「ダイナミックマップ」の生

    成・配信技術の実証実験の開始を発表した.車載

    カメラ,センサ等から得られる大容量データを携

    帯電話網を通じて効率的にサーバにアップロード

    し,ダイナミックマップを生成して,各車両に提

    供するものである(図3).

    図3 ダイナミックマップ情報収集・配信5)

    4. 自動車データ関連の標準化動向 自動車のデータは,自動車内で閉じた利用から,

    自動車の外での利用へと範囲が拡大している.こ

    の際に重要になるのが標準化である.自動車ある

    いは交通分野で,プライバシ等の配慮を含めた取

    り扱いを想定した標準化と,これ以外の分野での

    活用も視野に入れた標準化が進められている. ここでは,動的地図情報生成に関連した標準化

    活 動 SENSORIS ( Sensor Interface Specification),Web技術を自動車に適用する際の自動車データの活用に関するW3C(World Wide Web Consortium, インターネットの規格を審議する民間団体)の標準化活動,自動車機能の拡張(Extended Vehicle)に関するISOの標準化動向について紹介する. 4. 1 SENSORIS デジタル地図会社大手のHereは,2015年に自動車から地図に使われる情報を収集する際の仕様案

    Vehicle Sensor Data Cloud Ingestion Interface

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    Specificationを提案した(図4)6).

    図4 クラウドベースのセンサー情報収集・提供6)

    この仕様案をもとに,自動車メーカ,地図サプ

    ライヤ等を含むコンソシアムで検討を進め,2016年7月にSENSORISを欧州のITS推進組織であるERTICOに提案した.ERTICOの2017年の活動報告7)によれば,13団体の参加で検討が始まり,2017年には23団体が参加している.2018年3月現在,ERTICOのWebページからSENSORISの活動紹介が消えているが,ERTICOの窓口への問い合わせの結果,最初の仕様が近日中に公開予定との

    回答を得ている.

    4. 2 Webインタフェース Webブラウザで自動車のデータを扱えるようにするためのインタフェースの検討が2013年から始まっている.想定される主な用途は,自動車の

    ナビゲーション等のインフォテイメントシステム

    において,専用アプリに代えてWebブラウザ上にWebアプリを構築するものである.この際に,インフォテイメントシステムからWebブラウザに対して自動車データを提供する際の方法(API:Application Program Interface)とデータを規定する. 当初は,W3C会員外も参加できるビジネスグループで検討が始められ,ピーク時には130名以上が参加,メールや電話会議に加えて対面の会議も

    開催 された.この結果, 2013 年に Vehicle Information APIとVehicle Data Interfacesのドラフトを完成している.これをベースに,W3C内にAutomotive Working Group が組織され,Recommendation(勧告)の策定に向けて議論が

    進められている.WGには,自動車会社のJaguar Land Rover,Volks Wagenを含む57名が参加している.データ項目(Vehicle Data(案))は, 車両諸元:車両寸法,燃料等6項目 走行状況:車速,エンジン回転数等27項目 メンテナンス:距離計,オイル等10項目 パーソナライズ:言語,単位,ミラー等7項目 走行安全:ABS,ESC等8項目 気候 :温度,雨,ワイパー等9項目 画像,駐車:車線逸脱,駐車ブレーキ等4項目 がリストアップされている8) . 2014年に規格開発が始まり,2018年2月時点でCR(Candidate Recommendation勧告候補)段階である.

    4. 3 Extended Vehicleの標準化 2014年にISO TC22/SC31とTC204の合同会議で,Extended Vehicle関連の3群の規格案及びTC204側提案のVehicle Gateway案を各国の投票にかけること(NP投票)が決まり,各国の投票の結果,Extended Vehicleの規格案の策定作業入りが承認された.一方で,Vehicle Gateway案は否決された. Extended Vehicleとは,自動車の範囲を拡張して扱う考え方である(図5).自動車が外部機器と連携してユーザにサービスが提供されることが多

    くなっていることから,こうしたサービスに関し

    て,自動車メーカとサービス提供業者の役割を規

    定することを目指している.

    図5 Extended Vehicleの概念9)

    ISO 20077-1:2017は一般事項を規定し,ISO 20077-2:2018 Extended Vehicle設計手法では,第3者が自動車のデータを使うことで,自動車の

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    動作に悪影響を及ぼすことを防ぐための枠組みを

    規定している.例えば,サービス提供業者が接続

    機器等を経由して自動車データを取得することで,

    自動車が想定外の動作をすることを防ぐことを目

    的としている.このために,自動車メーカはサー

    ビス提供業者から事前に情報(サービス内容,必

    要なデータ等)提供を受け,評価,判断した上で,

    サービス提供業者に許可すると規定している. ISO/DIS 20078は,Extended Vehicle Web serviceと総称される4つの規格案(1. Content,2. Access,3. Security,4. Control)で構成されており,自動車のデータ(主に故障診断情報を想

    定)を,自動車ユーザの承認を得た上で自動車メ

    ーカのサーバに送信し,Webサーバ経由で認められた業者に提供する仕組みに関して規定している.

    4つの規格案それぞれに パート1:データの内容 パート2:Webサーバへのアクセス法 パート3:Webサーバのセキュリティ パート4:提供先のコントロール を規定している(図6).2018年3月現在,DIS(Draft International Standard)投票中である.

    図6 Extended Vehicle Web Serviceの概念10)

    5. 自動車データへのアクセスに関する評価 欧州では,協調ITSの実用化に向けた課題検討のための活動(C-ITS Platform)が2014年~2017年まで実施された.その中で,自動車のデータア

    クセスに関して,前節で紹介したExtended Vehicle方式を含む複数の方式が検討されている.

    2016年1月に最初の報告書『C-ITS Platform Final report 』 が 発 行 さ れ , Technical Issues-Access to in-vehicle data and resources(技術課題-自動車データとリソース)の中で検討結果を報告している11). 一方で,欧州委員会から2017年5月に,Access to In-vehicle Data and Resourcesという報告書が公表されている 12).この報告書は前出のC-ITS Platformの報告書(2016年1月)の結果に対して,技術以外を含む複数の観点で分析を加えたもので

    ある. 5. 1 C-ITS Platform活動 最初に,C-ITS Platform活動の概要を紹介する.この活動は2014年に欧州委員会DG Moveが協調ITS(Cooperative ITS;C-ITS)の実用化のために残された課題を短期間で検討することを目的に,

    業界関係者への参加を呼びかけ開始された.活動

    には,産業界から58名(内,自動車関係21名),EC加盟各国政府機関から20名,合計78名が11のワークパッケージ(WP)に分担して実施した(図7,表1). Technical Issues(技術課題)の検討はWG6のグループで行われた(個々のWPに対して検討を実施するグループがワーキンググループWGである).以下の3つのテーマについて議論を行った. ・Access to In-vehicle Data and Resources (自動車データへのアクセスとリソース) ・Decentralized congestion control (分散渋滞制御) ・Hybrid Communication(ハイブリッド通信)

    これらの内,自動車データへのアクセスとリソ

    ースの検討においては,議長から,5つの原則(同意に基づくデータ提供,公正な競争,データプラ

    イバシ保護,タンパリング防止対策と責任,デー

    タ経済性)が提示された.複数のデータ取得の方

    式に対して,これらの原則に基づき議論・評価が

    行われた.

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    図7 C-ITS Platform活動の構成 11)

    表1 Work Package検討項目11) WP 検討項目 1 Cost Benefit Analysis 2 Business Cases 3 Legal Issues 4 Data protection and Privacy 5 Security and Certification 6 Techni

    cal Issues

    Access to in-vehicle data and resources (車載データ,リソースへのアクセス) Decentralised Congestion Control Hybrid Communications and Spectrum allocation

    7 Standardisation 8 Public Acceptance 9 Implementation Issues 10 International Cooperation 11 Roadmap for deployment of c-its

    2016年1月に発行された報告書12)によれば,大別して2つのアクセス方法が提案されている. 1つは,自動車とデータ利用者の間にサーバを介在させる方式で,データサーバプラットフォー

    ムと呼ばれる方式である(図8).前項で紹介した標準化項目Extended Vehicle Web Serviceが具体的な事例の一つである.

    図8 データサーバプラットフォームの具体例;

    Extended Vehicle Web Serviceのデータの流れ11)

    2つ目のIn-vehicle Interfaceは,車載側にデータ取得のためのインタフェースを設ける方式であ

    る.図9は車載側にCCU(Central Communication Unit:中央通信ユニット)兼ートウェイを設置する方式である.この案については,自動車メーカ

    委員から,セキュリティ上の強い懸念が示された

    ことが記述されている.4.3項でも紹介した2014年にISO TC22とTC204の合同会議(JWG)でTC204から提案され,各国の投票の結果否決されたVehicle Gateway案に相当する.

    図9 車載インタフェース(In-Vehicle Interface: Central Communication Unit)の構成例12)

    In-Vehicle Application Platform(車載アプリケーションプラットフォーム)は,車載システム

    上に複数のアプリケーションを稼動させる仕組み

    (プラットフォーム)を構築し,車載ネットワー

    クからデータを取得すると共に,アプリケーショ

    ンを動作させるものである(図10).この方式は,将来の技術として想定つつつも,その導入には,

    15年以上を要すると想定されている(図11).

    図10 車載アプリケーションプラットフォームの構成12)

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    図11 アプリプラットフォーム導入時期のイメージ12)

    5. 2 欧州委員会報告書 『Access to In-vehicle Data and Resources』 C-ITS Platform WG6の報告を受けて,欧州委員会の委託で英国の研究機関TRLが分析を行った報告書である.分析の対象は,C-ITS Platformの活動で提示された自動車データのアクセス方法

    である. 自動車側にインタフェースを設ける方式として, ・車両インタフェース ・車載アプリプラットフォーム, データサーバを介する方式として ・Extended Vehicle Webサービス, ・共有サーバ, ・B2Bマーケットプレース である.この内,共有サーバは,Extended Vehicle Webサービスが主に個別の自動車メーカがサーバを管理することを想定しているのに対して,複数

    の自動車メーカ等がサーバを共有する方式である.

    B2Bマーケットプレースは,Extended Vehicleの自動車メーカサーバとデータ利用者の間に,サー

    ビスプロバイダを介する方式である(図12).

    図12 B2Bマーケットプレースの概念図12)

    分析の観点は,法律面,技術面,経済性の側面

    の3つである.この内,法的側面では,データ提供者の同意の観点と,公正な競争の観点が着目さ

    れている. 技術面でも,法律面と同様に公平なアクセス,

    公正な競争に焦点が当てられていると共に,デー

    タの標準化の必要性が指摘されている.検討対象

    に米国のEDR(Event Data Recorder)の例13)を挙げている点は注目される. 図13の横軸は5.1節で述べたC-ITS Platformが定めた5つの原則,縦軸は前述の5つの形態でどの程度対応できるかを評価した結果である.グリー

    ンは良好という評価で,橙,赤は問題があること

    を示している. 車載システム側の仕組み(車載アプリプラット

    フォーム,車両インタフェース)では,タンパリ

    ング防止対策と責任に課題があると評価されてい

    る.データプライバシ保護に関して評価が良い点

    については疑問である. サーバ経由でのデータ提供,特に,自動車メー

    カが管理するExtended Vehicle Webサービスについては公正な競争に課題があるとしている.

    図13 C-ITS Platformが設定したガイド原則に対する 各ソリューションの適応評価

    12)

    6. まとめ 欧州でGDPRが施行を控え,対象とみなされる可能性がある位置情報等を含む自動車情報に関し

    て,丁寧な取り扱いが求められる一方で,データ

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    の活用方法をめぐる議論と標準化が活発に行われ

    ている.自動車業界と自動車データを活用したい

    自動車以外の業界とで期待するアプローチが異な

    っている.ISO/TC22/SC31では,自動車業界の意向が反映された標準化活動(Extended Vehicle)がほぼ終結に向かっている.しかしながら,欧州

    委員会が発行した車載データアクセスに関する報

    告書では,この方法は複数の手法の一つと位置づ

    けられており,データの標準化の必要性も指摘さ

    れているため,今後の欧州の動向は注目する必要

    があると思われる.

    参考文献

    1) 平成29年未来投資会議構造改革徹底推進会合第1回会合資料「データ利活用ビジネスの本格展開」,

    (https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/ miraitoshikaigi/suishinkaigo2018/)(2018.4.24) 2) US DoT ITS Public Data HUB

    (https://www.its.dot.gov/data/)(2018.4.24) データ例 Basic Safety Message (https://data.transportation.gov/Automobiles/ Advanced-Messaging-Concept-Development- Basic-Safet/eezi-v4pm (2018.4.24) 3) OpenXCWebページ(http://openxcplatform.com/) (2018.4.24) 4) トヨタ自動車プレスリリース (https://newsroom.toyota.co.jp/jp/detail/3202079) (2018.4.24) 5) 富士通プレスリリース (http://pr.fujitsu.com/jp/news/2017/12/26-1.html) (2018.4.24) 6) ERTICO, 2017 Partnership Activities Report (http://ertico.com/partnershipactivities/)(2018.4.24) 7) ERTICO, Vehicle Sensor Data Cloud Ingestion Interface Specification.pdf (https://lts.cms.here.com/static-cloud-content/ Company_Site/2015_06/Vehicle_Sensor_Data_ Cloud_Ingestion_Interface_Specification.pdf) (2018.4.24) 8) W3C, Vehicle Data(仕様案) (https://rawgit.com/w3c/automotive/master/ vehicle_data/data_spec.html)(2018.4.24) 9) ACEA Position Paper Access to vehicle data for third-party services 2016 (http://www.acea.be/uploads/publications/ ACEA_Position_Paper_Access_to_vehicle_data_

    for_third-party_services.pdf)(2018.4.24) 10) Extended Vehicle Web Service, ダイムラーCLEPA Aftermarket Conference2014報告資料 (http://taysad.org.tr/uploads/dosyalar/18-12-2014- 01-26-5-Extended-Vehicle---a-proposal-for-sharing- diagnostics-data-in-the-future-Scheiblich-ve- Raith-Daimler-27-11-2014.pdf)(2018.4.24) 11) C-ITS Platform Final report(January 2016) (https://ec.europa.eu/transport/sites/transport/ files/themes/its/doc/c-its-platform-final-report- january-2016.pdf)(2018.4.24) 12) Access to In-vehicle Data and Resources Final report, May 2017 (https://ec.europa.eu/transport/sites/transport/files/ 2017-05-access-to-in-vehicle-data-and-resources. pdf)(2018.4.24) 13) US 49 CFR Part 563 - EVENT DATA RECORDERS (https://www.gpo.gov/fdsys/granule/CFR-2011- title49-vol6/CFR-2011-title49-vol6-part563/ content-detail.html)(2018.4.24)

    JARI Research Journal 20180501【解説】自動車データ活用に関する欧州の動向

    1. はじめに自動運転技術開発,及び自動車が外部と繋がるコネクティッドビークルの普及が進んでいる.これに伴い,自動車と外部の間でやりとりされる情報や,その二次利用を含めた活用への期待が高まっている.日本政府も,自動車を含むデータの適正な利活用促進に向けて検討を進めており,官のデータの共有化だけでなく,民間データについても競争領域・協調領域に分けて,活用可能性のあるデータの明確化,データの取引に関わる条件の検討,パーソナルデータの利活用環境の整備等を検討しているP1)P.自動車分野において,大きなデータを自動車...一方で,欧州のGDPR(General Data Protection Regulation)のように,個人情報に対する規制強化の動きもある.GDPRでは,違反した組織は全世界の売り上げの4%の罰金を課される可能性がある(個人情報保護委員会のホームページ等参照).こうした状況の中で,国内外,特に欧州の自動車情報の利用に関して,どのような検討が進められているかを,標準化活動,公開文献等を通じて調査した結果を報告する.2. 日本自動車研究所(JARI)のこれまでの取り組みJARI ITS研究部では,その前身となる財団法人自動車走行電子技術協会の時代から,経済産業省等の支援の下,慶応大学等の研究機関や自動車・電機業界を中心とする民間企業と協力してプローブP*P情報システムに関連する技術開発や国際標準化を進めてきている.国際標準化に関しては,ISO 22837:2009 プローブデータ,ISO 24100:2010 プローブプライバシに関する基本原則の発行,ISO/DIS 16461プローブ匿名性評価基準,ISO/CD プローブサービスアーキテクチャの標準化作業に参...(*プローブ:ここでは,自動車の位置,速度情報等から交通情報を作り出す仕組みの意味で使用)3. 想定される自動車データと活用例自動車データとして想定されているものには,自動車内部で生成されるデータ(車速,エンジン回転数,位置,故障診断情報等)と自動車周辺の情報(レーダ,カメラ等のセンサ情報)がある.自動車データの取得方法としては,テレマティックスサービスとして,自動車メーカ等のサーバにプローブ情報等を送信する方法,車車間・路車間通信で送信される情報を収集する方法,スマートフォン等の持込機器経由で取得される方法等が想定される.以下,それぞれ具体例を紹介する.*1 一般財団法人日本自動車研究所 ITS研究部車車間通信は,自動車から周辺車両に対して自車位置,速度等を1秒間に10回程度,放送型で送信するもので,日本ではITSコネクトとして2015年からサービスが始まっている.欧米でも2019年頃からサービスが開始予定であるが,米国では,サービス開始に先立って実施された大規模実証で取得したデータをResearch Data Exchange(RDE)として公開していたが,2018年からはITS Public Data Hubに全米各地で実施中の実証試験で得られたデータを公開しているP2)P.PFordは自動車のデータ取得インタフェースOpenXC(図1)を公開し,サードパーティーによるアプリ開発を促しているP3)P.この仕組みはOBDポートに接続した専用インタフェース機器を通じて自動車データを取得し,ブルートゥース等の通信を使って,スマートフォン等に車両データを送るものである.取得できるデータは,ステアリング操舵角,トランスミッショントルク,エンジン回転数,緯度・経度等の18項目である./図1 OpenXCの機器構成 P3)トヨタ自動車は,Toyota Open Vehicle Architecture(図2)という仕組みを発表しているP4)P.これは,トヨタ自動車から提供される開発キットSDK(Software Development Kit)を使ってT-Connectナビ向けのアプリを作成することができるという仕組みで,ナビに供給されている自動車データを利用することができる.こうした仕組みはGM等他の自動車メーカにもみられる./図2 トヨタのサードパーティナビアプリ開発の仕組みP4)日本の地図会社大手のゼンリンとKDDI,富士通は,自動運転向け「ダイナミックマップ」の生成・配信技術の実証実験の開始を発表した.車載カメラ,センサ等から得られる大容量データを携帯電話網を通じて効率的にサーバにアップロードし,ダイナミックマップを生成して,各車両に提供するものである(図3)./図3 ダイナミックマップ情報収集・配信P5)4. 自動車データ関連の標準化動向自動車のデータは,自動車内で閉じた利用から,自動車の外での利用へと範囲が拡大している.この際に重要になるのが標準化である.自動車あるいは交通分野で,プライバシ等の配慮を含めた取り扱いを想定した標準化と,これ以外の分野での活用も視野に入れた標準化が進められている.ここでは,動的地図情報生成に関連した標準化活動SENSORIS(Sensor Interface Specification),Web技術を自動車に適用する際の自動車データの活用に関するW3C(World Wide Web Consortium, インターネットの規格を審議する民間団体)の標準化活動,自動車機能の拡張(Extended Vehicle)に関するISOの標準化動向について紹介する.4. 1 SENSORISデジタル地図会社大手のHereは,2015年に自動車から地図に使われる情報を収集する際の仕様案Vehicle Sensor Data Cloud Ingestion Interface Specificationを提案した(図4)P6)P./図4 クラウドベースのセンサー情報収集・提供P6)この仕様案をもとに,自動車メーカ,地図サプライヤ等を含むコンソシアムで検討を進め,2016年7月にSENSORISを欧州のITS推進組織であるERTICOに提案した.ERTICOの2017年の活動報告P7)Pによれば,13団体の参加で検討が始まり,2017年には23団体が参加している.2018年3月現在,ERTICOのWebページからSENSORISの活動紹介が消えているが,ERTICOの窓口への問い合わせの結果,最初の仕様が近日中に公開予定との回答を得ている.4. 2 WebインタフェースWebブラウザで自動車のデータを扱えるようにするためのインタフェースの検討が2013年から始まっている.想定される主な用途は,自動車のナビゲーション等のインフォテイメントシステムにおいて,専用アプリに代えてWebブラウザ上にWebアプリを構築するものである.この際に,インフォテイメントシステムからWebブラウザに対して自動車データを提供する際の方法(API:Application Program Interface)とデータを規定する.当初は,W3C会員外も参加できるビジネスグループで検討が始められ,ピーク時には130名以上が参加,メールや電話会議に加えて対面の会議も開催された.この結果,2013年にVehicle Information APIとVehicle Data Interfacesのドラフトを完成している.これをベースに,W3C内にAutomotive Working Groupが組織され,Recommendation(勧告)の策定に向けて議論が進められている.WGには,自動車会社のJaguar Land Rove...車両諸元:車両寸法,燃料等6項目走行状況:車速,エンジン回転数等27項目メンテナンス:距離計,オイル等10項目パーソナライズ:言語,単位,ミラー等7項目走行安全:ABS,ESC等8項目気候  :温度,雨,ワイパー等9項目画像,駐車:車線逸脱,駐車ブレーキ等4項目がリストアップされているP8)P .2014年に規格開発が始まり,2018年2月時点でCR(Candidate Recommendation勧告候補)段階である.4. 3 Extended Vehicleの標準化2014年にISO TC22/SC31とTC204の合同会議で,Extended Vehicle関連の3群の規格案及びTC204側提案のVehicle Gateway案を各国の投票にかけること(NP投票)が決まり,各国の投票の結果,Extended Vehicleの規格案の策定作業入りが承認された.一方で,Vehicle Gateway案は否決された.Extended Vehicleとは,自動車の範囲を拡張して扱う考え方である(図5).自動車が外部機器と連携してユーザにサービスが提供されることが多くなっていることから,こうしたサービスに関して,自動車メーカとサービス提供業者の役割を規定することを目指している./図5 Extended Vehicleの概念P9)ISO 20077-1:2017は一般事項を規定し,ISO 20077-2:2018 Extended Vehicle設計手法では,第3者が自動車のデータを使うことで,自動車の動作に悪影響を及ぼすことを防ぐための枠組みを規定している.例えば,サービス提供業者が接続機器等を経由して自動車データを取得することで,自動車が想定外の動作をすることを防ぐことを目的としている.このために,自動車メーカはサービス提供業者から事前に情報(サービス内容,必要なデータ等)提供を受け,評価,判断した上で,サービス提供...ISO/DIS 20078は,Extended Vehicle Web serviceと総称される4つの規格案(1. Content,2. Access,3. Security,4. Control)で構成されており,自動車のデータ(主に故障診断情報を想定)を,自動車ユーザの承認を得た上で自動車メーカのサーバに送信し,Webサーバ経由で認められた業者に提供する仕組みに関して規定している.4つの規格案それぞれにパート1:データの内容パート2:Webサーバへのアクセス法パート3:Webサーバのセキュリティパート4:提供先のコントロールを規定している(図6).2018年3月現在,DIS(Draft International Standard)投票中である./図6 Extended Vehicle Web Serviceの概念P10)5. 自動車データへのアクセスに関する評価欧州では,協調ITSの実用化に向けた課題検討のための活動(C-ITS Platform)が2014年~2017年まで実施された.その中で,自動車のデータアクセスに関して,前節で紹介したExtended Vehicle方式を含む複数の方式が検討されている.2016年1月に最初の報告書『C-ITS Platform Final report』が発行され,Technical Issues-Access to in-vehicle data and resources(技術課題-自動車データとリソース)...一方で,欧州委員会から2017年5月に,Access to In-vehicle Data and Resourcesという報告書が公表されているP12)P.この報告書は前出のC-ITS Platformの報告書(2016年1月)の結果に対して,技術以外を含む複数の観点で分析を加えたものである.5. 1 C-ITS Platform活動最初に,C-ITS Platform活動の概要を紹介する.この活動は2014年に欧州委員会DG Moveが協調ITS(Cooperative ITS;C-ITS)の実用化のために残された課題を短期間で検討することを目的に,業界関係者への参加を呼びかけ開始された.活動には,産業界から58名(内,自動車関係21名),EC加盟各国政府機関から20名,合計78名が11のワークパッケージ(WP)に分担して実施した(図7,表1).Technical Issues(技術課題)の検討はWG6のグループで行われた(個々のWPに対して検討を実施するグループがワーキンググループWGである).以下の3つのテーマについて議論を行った.・Access to In-vehicle Data and Resources(自動車データへのアクセスとリソース)・Decentralized congestion control(分散渋滞制御)・Hybrid Communication(ハイブリッド通信)これらの内,自動車データへのアクセスとリソースの検討においては,議長から,5つの原則(同意に基づくデータ提供,公正な競争,データプライバシ保護,タンパリング防止対策と責任,データ経済性)が提示された.複数のデータ取得の方式に対して,これらの原則に基づき議論・評価が行われた./図7 C-ITS Platform活動の構成 P11)表1 Work Package検討項目P11PP)2016年1月に発行された報告書P12)Pによれば,大別して2つのアクセス方法が提案されている.1つは,自動車とデータ利用者の間にサーバを介在させる方式で,データサーバプラットフォームと呼ばれる方式である(図8).前項で紹介した標準化項目Extended Vehicle Web Serviceが具体的な事例の一つである./図8 データサーバプラットフォームの具体例;Extended Vehicle Web Serviceのデータの流れP11)/ 2つ目のIn-vehicle Interfaceは,車載側にデータ取得のためのインタフェースを設ける方式である.図9は車載側にCCU(Central Communication Unit:中央通信ユニット)兼ートウェイを設置する方式である.この案については,自動車メーカ委員から,セキュリティ上の強い懸念が示されたことが記述されている.4.3項でも紹介した2014年にISO TC22とTC204の合同会議(JWG)でTC204から提案され,各国の投票の結果否決されたVehicle Gateway.../図9 車載インタフェース(In-Vehicle Interface:Central Communication Unit)の構成例P12)In-Vehicle Application Platform(車載アプリケーションプラットフォーム)は,車載システム上に複数のアプリケーションを稼動させる仕組み(プラットフォーム)を構築し,車載ネットワークからデータを取得すると共に,アプリケーションを動作させるものである(図10).この方式は,将来の技術として想定つつつも,その導入には,15年以上を要すると想定されている(図11)./図10 車載アプリケーションプラットフォームの構成P12)/図11 アプリプラットフォーム導入時期のイメージP12)5. 2 欧州委員会報告書『Access to In-vehicle Data and Resources』C-ITS Platform WG6の報告を受けて,欧州委員会の委託で英国の研究機関TRLが分析を行った報告書である.分析の対象は,C-ITS Platformの活動で提示された自動車データのアクセス方法である.自動車側にインタフェースを設ける方式として,・車両インタフェース・車載アプリプラットフォーム,データサーバを介する方式として・Extended Vehicle Webサービス,・共有サーバ,・B2Bマーケットプレースである.この内,共有サーバは,Extended Vehicle Webサービスが主に個別の自動車メーカがサーバを管理することを想定しているのに対して,複数の自動車メーカ等がサーバを共有する方式である.B2Bマーケットプレースは,Extended Vehicleの自動車メーカサーバとデータ利用者の間に,サービスプロバイダを介する方式である(図12)./図12 B2Bマーケットプレースの概念図P12)分析の観点は,法律面,技術面,経済性の側面の3つである.この内,法的側面では,データ提供者の同意の観点と,公正な競争の観点が着目されている.技術面でも,法律面と同様に公平なアクセス,公正な競争に焦点が当てられていると共に,データの標準化の必要性が指摘されている.検討対象に米国のEDR(Event Data Recorder)の例P13)Pを挙げている点は注目される.図13の横軸は5.1節で述べたC-ITS Platformが定めた5つの原則,縦軸は前述の5つの形態でどの程度対応できるかを評価した結果である.グリーンは良好という評価で,橙,赤は問題があることを示している.車載システム側の仕組み(車載アプリプラットフォーム,車両インタフェース)では,タンパリング防止対策と責任に課題があると評価されている.データプライバシ保護に関して評価が良い点については疑問である.サーバ経由でのデータ提供,特に,自動車メーカが管理するExtended Vehicle Webサービスについては公正な競争に課題があるとしている./図13 C-ITS Platformが設定したガイド原則に対する各ソリューションの適応評価P12)6. まとめ欧州でGDPRが施行を控え,対象とみなされる可能性がある位置情報等を含む自動車情報に関して,丁寧な取り扱いが求められる一方で,データの活用方法をめぐる議論と標準化が活発に行われている.自動車業界と自動車データを活用したい自動車以外の業界とで期待するアプローチが異なっている.ISO/TC22/SC31では,自動車業界の意向が反映された標準化活動(Extended Vehicle)がほぼ終結に向かっている.しかしながら,欧州委員会が発行した車載データアクセスに関する報告書では,この方法は複数の手法の...参考文献2) US DoT ITS Public Data HUB(https://www.its.dot.gov/data/)(2018.4.24)データ例 Basic Safety Message(https://data.transportation.gov/Automobiles/Advanced-Messaging-Concept-Development-Basic-Safet/eezi-v4pm (2018.4.24)3) OpenXCWebページ(http://openxcplatform.com/)(2018.4.24)6) ERTICO, 2017 Partnership Activities Report(http://ertico.com/partnershipactivities/)(2018.4.24)7) ERTICO, Vehicle Sensor Data Cloud IngestionInterface Specification.pdf9) ACEA Position Paper Access to vehicle data forthird-party services 2016(http://www.acea.be/uploads/publications/ACEA_Position_Paper_Access_to_vehicle_data_for_third-party_services.pdf)(2018.4.24)10) Extended Vehicle Web Service, ダイムラーCLEPAAftermarket Conference2014報告資料(http://taysad.org.tr/uploads/dosyalar/18-12-2014-01-26-5-Extended-Vehicle---a-proposal-for-sharing-diagnostics-data-in-the-future-Scheiblich-ve-Raith-Daimler-27-11-2014.pdf)(2018.4.24)11) C-ITS Platform Final report(January 2016)(https://ec.europa.eu/transport/sites/transport/files/themes/its/doc/c-its-platform-final-report-january-2016.pdf)(2018.4.24)12) Access to In-vehicle Data and Resources Finalreport, May 2017(https://ec.europa.eu/transport/sites/transport/files/2017-05-access-to-in-vehicle-data-and-resources.pdf)(2018.4.24)13) US 49 CFR Part 563 - EVENT DATA RECORDERS(https://www.gpo.gov/fdsys/granule/CFR-2011-title49-vol6/CFR-2011-title49-vol6-part563/content-detail.html)(2018.4.24)