介護予防サポーター育成・活用事例は じ め に...

43
平成22年3月 群馬県地域リハビリテーション支援センター 協力 群馬リハビリテーションネットワーク 2009 介護予防サポーター育成・活用事例 群馬県介護予防サポーター育成の理念 1.「高齢者が自立して尊厳を保ちながら安心して暮らせる 地域社会」を創るには、元気高齢者が最大の人材 2.元気高齢者に 「真の自立支援」「介護予防」「安心して 暮らせる地域づくり」 を理解してもらい、そして元気高齢 者が活動の中心になって、それを行政が支えるような仕組 みを作る 3.市町村や事業者が全てを提供する構図ではなく、高齢者 が自ら介護予防や介護に取り組むという視点の変換が大切

Upload: others

Post on 13-Sep-2020

0 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: 介護予防サポーター育成・活用事例は じ め に 広域支援センターならびに市町村の関係者の皆様には、介護予防サポーターの育成 ならびに活用にご尽力くださり、感謝申し上げます。

平成22年3月群馬県地域リハビリテーション支援センター

協力群馬リハビリテーションネットワーク

2009介護予防サポーター育成・活用事例

群馬県介護予防サポーター育成の理念1 .「高齢者が自立して尊厳を保ちながら安心して暮らせる地域社会」を創るには、元気高齢者が最大の人材

2 .元気高齢者に「真の自立支援」「介護予防」「安心して暮らせる地域づくり」を理解してもらい、そして元気高齢者が活動の中心になって、それを行政が支えるような仕組みを作る

3 .市町村や事業者が全てを提供する構図ではなく、高齢者が自ら介護予防や介護に取り組むという視点の変換が大切

Page 2: 介護予防サポーター育成・活用事例は じ め に 広域支援センターならびに市町村の関係者の皆様には、介護予防サポーターの育成 ならびに活用にご尽力くださり、感謝申し上げます。

は じ め に

 広域支援センターならびに市町村の関係者の皆様には、介護予防サポーターの育成

ならびに活用にご尽力くださり、感謝申し上げます。

 群馬県では、平成18年度から県が主導する形で、元気高齢者を対象に介護予防サポ

ーターの育成に努めてきました。平成19年度には、「群馬県における介護予防サポー

ター育成による介護予防意識の普及とその効果の研究」が老人保健健康増進等事業に

採択され、平成20年3月に介護予防サポーター育成調査検討委員会によって、『介護予

防サポーター育成マニュアル』が発刊された。このマニュアルはこれまでに育成した

介護予防サポーターの活用や、これからの介護予防サポーター育成に役立つガイドブ

ックとして作成されたが、上級サポーターに関する情報は不足していたと考えている。

 県内のサポーターは、初級受講者5,231名、中級修了者3,537名(平成22年1月現在)

と順調に育成が進んでおり、今後は上級サポーターをいかに育成するかにかかってき

ている。上級サポーターの育成と活用については、もともと標準的な教材や活用方法

は設けられていない。その背景には、“経験をつんだ中級サポーターが、やがて上級サ

ポーターになっていく”という流れはサポーターの方々にも励みになるだろうという

意図と、各市町村にはその実情に応じて自由にサポーターを活用していただきたいと

いう願いがある。

 そのような背景を踏まえ、昨年度に続き、県内市町村、地域包括支援センターや広

域支援センターの先駆事例を紹介する形で、「2009介護予防サポーター育成・活用事

例」としてまとめました。それぞれの地域にあった実のある介護予防を実現していく

ために,本資料が活用されることを願っている。

群馬県地域リハビリテーション支援センター

        センター長 酒井 保治郎

Page 3: 介護予防サポーター育成・活用事例は じ め に 広域支援センターならびに市町村の関係者の皆様には、介護予防サポーターの育成 ならびに活用にご尽力くださり、感謝申し上げます。

も  く  じ

はじめに

1.介護予防サポーター制度の概要 ………………………………………… 1

2.介護予防サポーター養成研修実施状況(平成21年度) ………………… 4

3.介護予防サポーター育成・活用事例

 1)前橋市における介護予防サポーターの育成と活用 ………………… 5

 2)藤岡市介護予防サポーターの取り組み ……………………………… 12

 3)介護予防サポーターで元気高齢者の町づくり“2009”  …………… 15

   ~吉岡町における介護予防サポーターの活用事例について~

 4)沼田市における介護予防サポーターの育成と活用 ………………… 17

 5)利根沼田圏域における介護予防サポーターの養成と

   フォローアップ研修について ………………………………………… 21

 6)桐生市における介護予防サポーター育成と活用 …………………… 24

 7)伊勢崎市における介護予防サポーター養成と活動について ……… 27

 8)伊勢崎市・玉村町における介護予防サポーター育成と活用 ……… 30

 9)高崎市における介護予防サポーター育成・活用について(報告) … 33

 10)安中市における介護予防サポーターの育成と活用 ………………… 37

「1.介護予防サポーター制度の概要」は、「介護予防サポーター育成マニュアル」

(平成20年3月)の再掲です。

Page 4: 介護予防サポーター育成・活用事例は じ め に 広域支援センターならびに市町村の関係者の皆様には、介護予防サポーターの育成 ならびに活用にご尽力くださり、感謝申し上げます。

1

介護予防サポーター制度の概要

 介護予防サポーター制度は、群馬県独自の認定制度である。地域で自主的に介護予

防活動を行おうとする人や、市町村等の介護予防事業にボランティアとして活動した

い人など高齢者を主な対象者として、介護予防に関する知識や技術を身につけていた

だく研修を行い、認定する。

1.背景

 平成18年度の介護保険制度改革により、予防重視型システムへの転換が重要施策の

柱の一つに掲げられ、特に介護予防を推進し、地域において誰もが自立した日常生活

を営むことができるよう支援することを目的として、地域支援事業が創設された。こ

れを受け、群馬県では、平成18年度より介護予防サポーターの育成に取り組んできた。

その背景は以下の点である。

 1 ) 人口約200万人の群馬県では、年間約千億円の介護給付費が支払われており、

さらに毎年増え続けている。このままでは、介護保険の財政破綻が危惧される。

 2 ) 高齢者が地域の中で自ら役割を演じて人の役に立つことが、その人への効果的

な介護予防になると考えられる。

 3 ) 高齢者が自ら元気になる、そして周りの人を元気にする仕組みを地域に作る。

 4 ) その仕組みを行政が支える。つまり行政主導ではなく住民主導の介護予防が望

まれる。このことは鬼石町(現藤岡市)での住民主導型筋トレ・転倒予防教室の

実践から示されている。

 5 ) そしてこのような地域に根ざした介護予防活動が地域づくりにつながることを

確信した。

2.理念

 以下の3点を介護予防サポーター育成の理念とした。

 1 ) 「高齢者が自立して尊厳を保ちながら安心して暮らせる地域社会」を創るには、

元気高齢者が最大の人材

Page 5: 介護予防サポーター育成・活用事例は じ め に 広域支援センターならびに市町村の関係者の皆様には、介護予防サポーターの育成 ならびに活用にご尽力くださり、感謝申し上げます。

2

 2 ) 元気高齢者に「真の自立支援」、「介護予防」、「安心して暮らせる地域づくり」

を理解してもらい、そして元気高齢者が活動の中心になって、それを行政が支え

るような仕組みを作る

 3 ) 市町村や事業者が全てを提供する構図ではなく、高齢者が自ら介護予防や介護

に取り組むという視点の変換が大切

3.研修

 研修は、初・中・上級研修からなる。

初級研修は高齢者を中心に一般の方を

対象として、中級研修は初級研修修了

後に介護予防活動へのボランティア参

加を志願した方を対象として実施した。

初級・中級研修カリキュラムは県下一定

とし、中級研修修了者には県から認定

証を交付する。その後、市町村ごとに

独自の上級研修を行うものである (表1)。

 ボランティア等の人材育成について

は、地域支援事業の中の介護予防一般

高齢者施策である地域介護予防活動支援事業に位置付けられており、本来は市町村が

取り組むべき役割である。しかし、群馬県では市町村の介護予防事業推進を支援する

ため、県から地域リハビリテーション広域支援センター(広域支援センター)への委

託事業として、平成18年度から2年間の予定で、介護予防サポーター育成研修を実施

している。なお、平成20年度以降は、市町村が主体的に介護予防サポーターを育成す

る予定となっている。

 群馬県では平成15年から本格的に地域リハビリテーション支援体制整備推進事業

を展開し、群馬県地域リハビリテーション支援センター(県支援センター)1か所と、

広域支援センター12か所の指定を行い、平成18年から県単独事業(100%県費)とし

て地域リハビリテーション(地域リハ)を推進してきた。介護予防サポーターの育成

介護予防サポーター初級研修の様子

高齢者を中心にたくさんの方が集まり、会場は熱

気にあふれた。この初級研修では、終了後に約半

数の参加者が中級研修への参加を希望した。

Page 6: 介護予防サポーター育成・活用事例は じ め に 広域支援センターならびに市町村の関係者の皆様には、介護予防サポーターの育成 ならびに活用にご尽力くださり、感謝申し上げます。

3

は、この地域リハ支援体制を活用して進めた。すなわち、県支援センターが、群馬大

学医学部保健学科の地域貢献事業および県栄養士会、県歯科衛生士会、日本健康運動

指導士会県支部等の協力により、カリキュラムと教材(パワーポイント解説資料)を

作成した。パイロット事業として前橋市芳賀地区で介護予防サポーターを育成して教

材をバージョンアップし、さらに研修内容及び実施方法の伝達講習として、群馬会館

で「介護予防サポーター養成準備研修会」を開催し(平成18年6月13日)、213人の

市町村介護予防担当者や広域支援センター担当者が参加した。

 平成18年秋より、県内12か所の広域支援センターが担当保健医療圏域内の市町村と

相談しながら初級・中級研修を始めた。原則として、市町村がどれだけ介護予防サポ

ーターを育成し、どのように介護予防事業の展開を図っていくかの計画に基づき、広

域支援センターが研修を計画実施した。例えば、研修の実施(日程、会場の確保、講

師の選定など)については、広域支援センターが担当し、実際に介護予防サポーター

の活用を図るのは市町村であることから、市町村あるいは地域包括支援センターが受

講者を募集し、相互に連携して開催した。

4.認定証

 中級修了認定証(右図)については、広域支援

センター又は市町村からの報告を受け、県介護高

齢課において作成し、広域支援センター又は市町

村から各修了者に交付している。上級研修は各市

町村が独自に実施・発行している。

5.サポーターの活躍場所

 育成された介護予防サポーターについては

 ①地域の公民館などで筋トレ中心の介護予防教室等の自主開催

 ②市町村が実施する介護予防事業へのボランティア参加

 ③特定高齢者のフォローなど地域包括支援センターの地域活動にボランティア参加

などの役割が期待される。

Page 7: 介護予防サポーター育成・活用事例は じ め に 広域支援センターならびに市町村の関係者の皆様には、介護予防サポーターの育成 ならびに活用にご尽力くださり、感謝申し上げます。

4

介護予防サポーター養成研修実施状況(平成21年度)

平成22年1月22日現在

市町村名

初級コース

中級コース

期   日

会   場

修了者数

期   日

会   場

修了者数

前橋市

8月5日

富士見中央公民館

24211月26日、27日

総合福祉会館

98

9月3日

前橋公民館

高崎市

5月28日

高崎市役所

1286月5日、11、12日

高崎市役所

110

安中市

10月7日

松井田町基幹集落センター

3410月14日、21日、28日

松井田町基幹集落センター

29

渋川市

10月15日

渋川市中央公民館

2910月22日、10月29日、11月5日

渋川市中央公民館

27

藤岡市、上野村、神流町

11月16日

藤岡市公民館

5111月30日、12月8日

藤岡市公民館

51

甘楽町

1月28日(予定)ら・ら・かんら

242月5日、12日(予定)

ら・ら・かんら

24

中之条町、草津町、六合村、

高山村、東吾妻町

11月9日

ツインプラザ

5011月24日、12月3日、11日

ツインプラザ

43

沼田市、片品村、川場村、

昭和村、みなかみ町

5月21日

利根沼田県民局庁舎

536月1日、9日

沼田市保健福祉センター

43

伊勢崎市

6月22日

殖蓮公民館

477月1日、8日、15日

殖蓮公民館

32

玉村町

11月6日

フルハートホール

2312月3日、10日、16日

フルハートホール

22

桐生市

6月30日

桐生総合福祉センター

297月7日、14日、21日

桐生総合福祉センター

25

みどり市・桐生市

9月9日

笠懸公民館

69月30日、10月7日、14日

笠懸公民館

6

館林市

7月1日

館林市保健福祉センター

767月8日、15日、22日

館林市保健福祉センター

76

板倉町、昭和町

6月3日

板倉町南部公民館

416月10日、17日、24日

明和町公民館

41

千代田町、大泉町

10月7日

大泉町文化むら

3810月14日、21日、28日

大泉町文化むら

34

初級受講者 計

871

中級コース修了者=介護予防サポーター認定数

661

平成18~21年度(見込含む)初級受講者 計

5,231

平成18~21年度(見込含む)中級コース修了者 計

3,537

Page 8: 介護予防サポーター育成・活用事例は じ め に 広域支援センターならびに市町村の関係者の皆様には、介護予防サポーターの育成 ならびに活用にご尽力くださり、感謝申し上げます。

5

前橋市における介護予防サポーターの育成と活用

前橋市役所介護高齢課 理学療法士 北原 絹代

作業療法士 荒木 祐美

 前橋市では、介護予防サポーター育成を平成17年度から実施している。前橋市にお

ける介護予防サポーター育成の流れと実績報告、今年度の介護予防サポーターの活動、

今後の課題と方針について報告する。

1.前橋市介護予防サポーター育成の流れ・実績報告

 前橋市では、「動いて、食べて、磨いて元気」をキャッチフレーズとして、さまざま

な介護予防事業を展開している。介護予防サポーター養成研修もこのキャッチフレー

ズに沿って市独自のプログラムで企画・運営している。

 前橋市介護予防サポーター養成研修では、初級・中級研修終了後、前橋市の介護予

防事業の参加・見学といった実践研修を上級研修として位置づけている。実際には、

特定高齢者を対象として実施している通所型介護予防事業「ピンシャン!元気塾」へ

の参加(3回)、地域住民主体で実施している介護予防自主グループ・サロンへの参

加・見学(1回)をおこない、終了後、反省会を実施している。この上級研修の意義は、

初級・中級研修で得た知識・実技を実際の教室やサロンの中で参加者とともに体験し、

参加者への接し方や運営上の工夫などを学び、サポーターとしての関わりを各自で考

えることにある。この上級研修を修了し、「今後、サポーターとして活動していく」意

志のある方が、前橋市介護予防サポーターとして登録をおこなう。

 前橋市の介護予防サポーターの特徴は、活動内容をサポーター自身が考え、それを

行政がサポートする形をとっていることである。登録時に、活動範囲を①居住地域内

②前橋市内全域どちらかに選択できる仕組みになっている。①居住地域内の活動とは、

自主グループ立ち上げや既存のサロンなどでの介護予防プログラムの導入などであり、

②の前橋市内全域での活動は、他地域での自主グループ立ち上げ支援や介護予防イベ

ントへの参加、介護予防関連研修会(介護予防サポーター養成研修など)の運営補助

などである。前橋市介護予防サポーター養成研修の流れ(図1)、現在までの研修参

Page 9: 介護予防サポーター育成・活用事例は じ め に 広域支援センターならびに市町村の関係者の皆様には、介護予防サポーターの育成 ならびに活用にご尽力くださり、感謝申し上げます。

6

加人数・登録者数(表1)を以下に示す。

<図1.前橋市 介護予防サポーター養成研修の流れ>

表1.介護予防サポーター養成研修実績(H22年3月現在)

H17年度 H18年度 H19年度 H20年度 H21年度 計

初級修了者 116 69 86 294 242 807

中級修了者 34 52 71 151 98 308

上級(登録者) 11 23 57 122 87 300

(名)

Page 10: 介護予防サポーター育成・活用事例は じ め に 広域支援センターならびに市町村の関係者の皆様には、介護予防サポーターの育成 ならびに活用にご尽力くださり、感謝申し上げます。

7

 サポーター養成研修の今年度の実績を表2に示す、昨年度の初級・中級研修終了者

の上級研修を上半期に行い、下半期で今年度の初級・中級・上級研修を実施した(表

2)。

表2.平成21年度介護予防サポーター養成研修

サポーター養成研修 参加者数

4月

上級研修反省会         (H20年度 前期受講者) 57名

新登録者オリエンテーション   (H20年度 前期受講者) 55名

上級研修オリエンテーション   (H20年度 後期受講者) 50名

5月       上級研修      (H20年度 後期受講者)

6月

7月 上級研修反省会         (H20年度 後期受講者) 54名

8月新登録者オリエンテーション   (H20年度 後期受講者) 52名

平成21年度 介護予防サポーター養成研修初級  (富士見) 171名

9月 平成21年度 介護予防サポーター養成研修初級  (市全域) 71名

11月 平成21年度 介護予防サポーター養成研修中級1日目 102名

2日目 101名

12月 平成21年度 介護予防サポーター養成研修上級 78名

1月       上級研修      (H21年度 受講者)

2月

3月 上級研修反省会         (H21年度 受講者) 79名

介護予防サポーター養成研修の様子

Page 11: 介護予防サポーター育成・活用事例は じ め に 広域支援センターならびに市町村の関係者の皆様には、介護予防サポーターの育成 ならびに活用にご尽力くださり、感謝申し上げます。

8

2.今年度の介護予防サポーターの活動

 介護予防サポーターの活動は、前述の通り、サポーターが自主的におこなう居住地

域内の活動と、希望者を募っておこなう市内全域での活動とに分けられる。今年度の

活動は、表3の通りである。

表3.介護予防サポーター登録者の活動

登録サポーターの活動 内     容希望者のみ

4月 平成21年度 第1回全体会議平成21年度の事業説明・保険加入社会福祉協議会によるサロン説明

5月 スキルアップ研修 栄養改善に向けた調理実習 ☆

6月スキルアップ研修 栄養改善に向けた調理実習 ☆

(自主グループ情報交換会) 自主グループのリーダーの意見交換 ☆

8月平成21年度 第2回全体会議

圏域ごとにサポーターが地域包括支援

センターと地域の実情の今後の課題を

意見交換

スキルアップ研修 介護保険制度について

9月 介護予防サポーター養成研修初級の手伝い ☆

10月 スキルアップ研修

前橋市地域リハビリテーションが市民

向けに「レクリエーション」をテーマ

に、講演を実施

11月イベント準備会 「介護予防まつり」の準備 ☆

介護予防サポーター養成研修中級の手伝い ☆

12月茨城県牛久市との交流会

茨城県牛久市かっぱつ体操普及員と情

報交換 ☆

イベント準備会 「介護予防まつり」の準備

1月イベント準備会 「介護予防まつり」の準備 ☆

介護予防まつり 「介護予防まつり」の運営 ☆

2月 スキルアップ研修 救命救急講習 ☆

3月 総会 H21年度の反省会

Page 12: 介護予防サポーター育成・活用事例は じ め に 広域支援センターならびに市町村の関係者の皆様には、介護予防サポーターの育成 ならびに活用にご尽力くださり、感謝申し上げます。

9

 1 ) 居住地域内での活動

   前橋市では、地域に介護予防拠点を増やすことを目的に「自主グループ立ち上げ

支援事業」を実施している。この事業は、市の事業を実施している施設まで通えな

い方が、より身近な場所で介護予防の取り組みに参加できるよう、また介護予防事

業の参加者が終了後も継続してプログラムをおこなえるよう、H20年度より実施し

ている。この事業では、前橋市オリジナルの介護予防体操「ピンシャン!元気体操」

やお口アップ体操、バランスよく食べる歌等を媒体に、楽しみながら活動が継続す

るよう支援している。昨年度立ち上がった自主グループやサロンは37グループであ

ったが、現在は70グループを超え、介護予防の取り組みを自主的におこなう地域が

増えている。これらのグループのリーダーや支援者は、7割程度が介護予防サポー

ターとして登録している。

   今年度は、介護予防サポーター全体会議の中で、社会福祉協議会からサロンやボ

ランティア保険等の説明していただく機会を設けた。このことにより、自主グルー

プやサロン立ち上げの活動の促進、社会福祉協議会と介護予防サポーターの連携に

つながったのではないかと考えている。

 2 ) 市内全域での活動

 〔スキルアップ研修〕

   サポーターの活動の幅を拡げるため、またサポーター自身の自己啓発のためには、

登録後のフォローアップが重要であると考えている。今年度は、第一回目全体会議

時にサポーターにスキルアップ研修テーマの要望を伺い、栄養改善に向けた調理実

習、介護保険制度について、救命救急講習、レクリエーションといった4つのスキ

ルアップ研修を企画した。「レクリエーション」の講演会は、地域リハビリテーショ

ン広域支援センターが主催で実施し、大変好評であった。これらのスキルアップ研

修は、自分に必要と思われる研修を選択して受講できる形をとっている。

 〔介護予防イベント〕

   サポーターの大きな取り組みとして、H19年度より介護予防イベントへの参加を

おこなっている。H19年度は、県庁でおこなわれた介護予防イベント「華麗に加齢

フェスタ2007」に出展し、H20年度は、前橋地域リハビリテーション広域支援セン

Page 13: 介護予防サポーター育成・活用事例は じ め に 広域支援センターならびに市町村の関係者の皆様には、介護予防サポーターの育成 ならびに活用にご尽力くださり、感謝申し上げます。

10

ターとの共催による「介護予防まつり in まえばし」を実施した。

   介護予防イベントの目的は、市民への介護予防の普及啓発と介護予防サポーター

の活動発表の場を設けることである。今年度は、共催に群馬大学医学部保健学科地

域交流教育推進室(教育GP)を加え、 平成22年1月31日に開催する準備を進めて

いる。200名程度の介護予防サポーターがスタッフとなり、企画から運営までをお

こなっている。

   介護予防サポーター登録者の個々の活動を市が把握すること、またサポーター自

身の自己啓発に繋がることを目的に、平成20年度より「活動記録表」を作成し配布

している。この記録表は、年度末に市が回収し、活動状況をデータとして管理して

いる。

3.今後の課題と方針

 介護予防サポーターは、高齢者を対象とすることで、自分の暮らす地域に必要かつ

適した介護予防の取り組みを、自分のこととして考えながら実践できる良さがある。

また、地域での長年の人脈を活かして、多くの人に介護予防を広めることができ、地

域住民のいきいきとした姿を見て、サポーター自身が新たな役割を見い出すことがで

きる。

 今後は、養成した介護予防サポーター自身が、継続的に意欲的に活動できる体制を

作っていく必要があると考えている。介護予防サポーターの活動を市民にもっと周知

させることで、サポーターが地域で活動しやすくなり、地域の資源としての活躍に繋

がるのではなるのではないかと考えている。現在作成中の「がんばってます!あなた

Page 14: 介護予防サポーター育成・活用事例は じ め に 広域支援センターならびに市町村の関係者の皆様には、介護予防サポーターの育成 ならびに活用にご尽力くださり、感謝申し上げます。

11

のまちの介護予防サポーター」のちらし配布や広報等も随時おこなっていきたいと考

えている。

 また、介護予防サポーターが個々おこなう活動だけでなく、地域の中でサポーター

同士が協力しあえるような体制作りが必要である。そのためには、地域包括支援セン

ターや自治会、民生委員等との連携が大切であり、地域で活動できるネットワークの

基盤を作っていきたいと考えている。

 介護予防サポーター自身がやりがいを持って、楽しんで活動ができるよう支援して

きたい。

Page 15: 介護予防サポーター育成・活用事例は じ め に 広域支援センターならびに市町村の関係者の皆様には、介護予防サポーターの育成 ならびに活用にご尽力くださり、感謝申し上げます。

12

藤岡市介護予防サポーターの取り組み

藤岡市役所 介護高齢課 入野恵美子

 平成18年から養成が始まった介護予防サポーターだが、藤岡市では介護予防事業の

2本柱である筋力トレーニング事業とミニデイサービス事業に協力している。『参加者

のためのみならず、自分自身のため』と積極的に事業にかかわり、楽しみながら充実

した時間を過ごしている。

1.介護予防サポーター数の推移

 介護予防サポーター数は年々増加し、約半数の者

が活動している。

 また、平成21年度までに養成された140名のサポー

ターの8割以上が女性で、平均年齢は63歳である。

2.筋力トレーニング事業

 活動者の8割は筋力トレーニング(鬼石モデル)の指導者として活躍している。1

会場2~3名で受け持ち、現在実施している

56会場のうち約半数の会場で活動中。

 定期的に実施している合同筋力トレーニン

グや体力測定会にも協力している。

 筋力トレーニングは自分の健康づくりにも

なり、やりがいを持って取り組んでいる様子

がうかがえる。 筋力トレーニングの様子

Page 16: 介護予防サポーター育成・活用事例は じ め に 広域支援センターならびに市町村の関係者の皆様には、介護予防サポーターの育成 ならびに活用にご尽力くださり、感謝申し上げます。

13

3.ミニデイサービス事業

 社会福祉協議会に委託し、ミニデイサービス(高齢者のサロン)を実施している。

内容は歌やダンベル体操・ゲーム等で、スタッフの補助として介護予防サポーターが

活躍している。54会場で月1回開催されている。

 参加者が安全に楽しく過ごしていただけるように、心のこもったおもてなしをして

いる。

4.上級認定とフォローアップ研修

 藤岡市では上級認定基準を『1年間介護予

防事業の現場で経験を重ねた者』と定め、該

当者には上級認定証を交付している。

 また知識・技術向上のため、定期的にフォ

ローアップ研修を実施している。

 積極的に研修に参加し、学んだことを自分

の地域に戻って実践している様子が見られる。

合同筋力トレーニングの様子 体力測定会の様子

お茶タイムでおしゃべり ゲーム(風船バレー)の様子

上級認定証交付式の様子

(市長より交付)

Page 17: 介護予防サポーター育成・活用事例は じ め に 広域支援センターならびに市町村の関係者の皆様には、介護予防サポーターの育成 ならびに活用にご尽力くださり、感謝申し上げます。

14

◆上級サポーター数の推移◆

 全体の約4割が上級認定者である。上

級に認定されたことでさらに高い意識を

持って、介護予防事業に取り組んでいる。

◆今までに行ったフォローアップ研修◆

 サポーター自身が講師となり自分の実践の

様子を紹介したり、サポーター同士の交流を

深めるため情報交換会を開催している。

 お互いよい刺激になっている様子である。

5.今後の活動とサポーターに期待するもの

 今後もさらに介護予防に関する理解を深め、筋力トレーニングとミニデイサービス

の2本柱で活動し、高齢者の介護予防に取り組んでほしい。

 自分たちの地域の高齢者を、自分たちの手で元気にしていくことが実感できるサポ

ーター活動に、これからも多くの人に参加していただきたい。そして、高齢者の身近

にいるサポーターの励ましや見守りにより、安心して暮らせる地域づくりを目指して

ほしい。

 現在140名のサポーターがいるが、実際に活動できる人は約半数と少なく、介護予

防事業をすすめていく上でサポーターは欠かせない存在であり、今後も養成していく

必要がある。

 行政もサポーターをバックアップし、高齢者がいつまでも自分らしく、住み慣れた

地域で生活できるよう支援していきたい。

活動紹介の様子

実施日 内     容 参加者数

H20.2.7 健口体操講習 32名H20.5.19・22 ダンベル体操講習 30名H21.6.16 サポーター活動例紹介 59名H21.10.6 レクリエーション・口腔ケア講習 37名

Page 18: 介護予防サポーター育成・活用事例は じ め に 広域支援センターならびに市町村の関係者の皆様には、介護予防サポーターの育成 ならびに活用にご尽力くださり、感謝申し上げます。

15

    介護予防サポーターで元気高齢者の町づくり“2009”

   ~吉岡町における介護予防サポーターの活用事例について~

吉岡町役場 健康福祉課 福祉室

『介護予防で元気高齢者の町づくり』を実現するために・・・

 吉岡町では、この目標の実現のために平成18年度から介護予防サポーターの養成を

開始し、これまでサポーターと一緒に様々な事業を実施してきましたが、平成21年度

からは、よりきめ細かい活動を目指して、地域の高齢者サロンを拠点に活動しています。

1.介護予防サポーターは地域の高齢者に対してどんな手助けが出来るか?

 これは、介護予防サポーターが自分の住んでいる地域で活動を行ううえで、常に頭

を悩ませるテーマです。地域の高齢者サロンに新しい活動の場を求めたことで、より

高齢者個々の問題に直面することもしばしばです。

 そういう状況であっても、高齢者サロンでは少人数を対象とした事業が出来るため、

より参加者の反応や事業の効果を掴みやすい利点があります。

 少人数の高齢者に対して、介護予防という漠然とした広いテーマで活動するのでは

なく、「運動機能の向上」や「栄養改善」、「認知症予防」など年度ごとに1つのテーマ

を決めて、事業の内容を集中することで効果を高めていくことが“ねらい”です。

 2009年、私たちが、最初のテーマに選んだのは、高齢者の食生活(認知症予防と

栄養改善)でした。

2.認知症予防のためのレシピ作成とその活用

 栄養士を講師として招き、脳の活性化に良いとされる食材や調理法を勉強し、その

レシピを持って、介護予防サポーターが地域サロンに出向きました。

 食べやすく調理しやすい食材を吟味して、高齢者に不足しがちな栄養素が補える料

理レシピは、介護食や配食サービスなどにも活用でき、栄養改善と認知症予防に効果

があると好評をいただいております。

Page 19: 介護予防サポーター育成・活用事例は じ め に 広域支援センターならびに市町村の関係者の皆様には、介護予防サポーターの育成 ならびに活用にご尽力くださり、感謝申し上げます。

16

3.まとめ

 介護予防の必要性やサポーターの役割を認識してもらうことに主眼を置いた活動が

3年目で定着し、吉岡町介護予防サポーターは、より地域に密着した主体的な活動が

できる自主グループへと変化しようとしています。

 今後もサポーターの募集や活動報告を積極的に住民に周知し、地域活動で住民の理

解と協力が得られるようにするとともに、関係機関及び団体との協力体制の強化を図

りたいと考えています。

平成21年度吉岡町介護予防サポーター活動実績(予定も含む)

実施月 事 業 名 称 活 動 内 容

9月~隔月

シルバー大学院(講演)

「認知症の予防について」

「交通と防犯について」

「口腔ケアについて」

「栄養について」

事業の運営ボランティア

9月 高齢者筋力トレーニング合同体力測定会 測定員、受付案内係

11月介護予防調理実習 認知症予防のための調理実習

高齢者合同筋力トレーニング 事業の運営ボランティア

1月 高齢者合同筋力トレーニング 事業の運営ボランティア

3月 高齢者筋力トレーニング合同体力測定会 測定員、受付案内係

随時

自主活動

「高齢者筋力トレーニング」

・地区別筋トレ参加支援 「高齢者地域サロン」

・高齢者のための料理レシピ配付

介護予防の地域サポート

不定期 サポーター・ミーティング事業の運営方法や活動内容の

話し合い

Page 20: 介護予防サポーター育成・活用事例は じ め に 広域支援センターならびに市町村の関係者の皆様には、介護予防サポーターの育成 ならびに活用にご尽力くださり、感謝申し上げます。

17

沼田市における介護予防サポーターの育成と活用

沼田市役所高齢福祉課

1.介護予防サポーター養成研修

 本市では、平成18年度から介護予防サポーターの養成に取り組んでいる。初級及び

中級養成については、「利根沼田地域リハビリテーション広域支援センターうちだ」が

実施し、上級養成については本市独自のカリキュラムで実施している。

沼田市介護予防サポーター養成状況

 1)上級養成課程

    平成18年度以降、中級修了者を対象に、

市が主催する介護予防事業への参加(ボラ

ンティアスタッフとして協力)を上級養成

課程(上級コース)に位置づけて実施して

いる。

    具体的には、合同筋トレへの参加、筋ト

レ体力測定会測定員として協力、各事業に

おける運営補助(会場準備・後片付け、自

動血圧測定器の操作、資料及び用具の配付、

参加者の介添え、休憩時の湯茶準備)など

である。

年 度 初 級 中 級 上 級

18年度 100名 81名

19年度 34名 19名 49名

20年度 11名 9名 22名

21年度 7名 7名 18名

合 計 152名 116名 89名

筋トレ体力測定会

血圧測定の補助

Page 21: 介護予防サポーター育成・活用事例は じ め に 広域支援センターならびに市町村の関係者の皆様には、介護予防サポーターの育成 ならびに活用にご尽力くださり、感謝申し上げます。

18

 2)上級修了式

   各年度の上級コース対象事業終了後(おおむね3月)、上級認定基準を満たした

サポーターを対象に修了式を開催している。実施に当たっては、事前に「私にでき

る介護予防」と題したレポート(修了式受付時に提出)を依頼し、当日は、5~7

人のグループに分かれて「地域で実践できる介護予防」をテーマにワークショップ

を実施している。

   ワークショップ終了後、ネームプレート型の上級認定証を全員に交付し、今後の

活動時に名札として活用できるようにしている。

2. 「登録介護予防サポーター制度」の創設

 上級を修了したサポーターについては、今後の各地域における自主的な活動が期待

されるが、引き続き市との関係を継続し、市もバックアップをしていくため、「登録介

護予防サポーター制度」(任意登録)を創設し、継続的に市主催の介護予防事業への

ワークショップの様子

ネームプレート型上級認定証

高齢福祉課長より上級認定証を交付

Page 22: 介護予防サポーター育成・活用事例は じ め に 広域支援センターならびに市町村の関係者の皆様には、介護予防サポーターの育成 ならびに活用にご尽力くださり、感謝申し上げます。

19

参加を呼びかけている。

 登録サポーターは社会福祉協議会のボランティア保険に加入(保険料は公費負担)

している。

3. 「介護予防サポーターだより」の発行

 市から介護予防サポーターへの情報提供及び介護予防サポーター間の情報交換の場

として「介護予防サポーターだより」を発行している。

4.新たな試み

 介護予防サポーターは、市主催事業「いきいき筋トレ大会」(10月開催)において、

例年、会場設営や誘導等の事業運営に対するボランティア協力を行ってきたが、平成

21年度は新たな試みとして、大会終了後に行う交流会を「ミニ・フードフェスティバ

ル」と題して、サポーター自身でメニュー(「変わり種まんじゅう」「リンゴおこわ」「胡

麻ケーキ」「華麗な脳活カレー」)を考案・調理して交流会参加者に提供し、好評を博

した。

5.今後の課題

 1)新規初級受講者の減少

   介護予防サポーター養成研修の新規受講者は年々減少を続けており、広報紙等に

よる一般募集のほか、関係団体に参加を呼びかけるなど募集方法について検討が必

調理(まんじゅう作り)の様子 交流会の様子

Page 23: 介護予防サポーター育成・活用事例は じ め に 広域支援センターならびに市町村の関係者の皆様には、介護予防サポーターの育成 ならびに活用にご尽力くださり、感謝申し上げます。

20

要と思われる。

 2)上級修了者のフォローアップ

   上級修了者については、登録介護予防サポーター制度の創設により、継続的に市

主催の介護予防事業への参加を呼びかけているが、更なるスキルアップを希望する

方を対象とした研修を実施するなどのフォローアップが必要と思われる。

   平成21年度は、「回想法基礎講座」と題して回想法の基礎に関する講義やワーク

ショップを実施した。

 3)介護予防サポーターの自主的な活動

   介護予防サポーター制度の目的として、元気な高齢者がいつまでも元気にその地

域で暮らしていくために支えあえる地域づくりを進めることが挙げられるが、市主

催の介護予防事業に参加するだけでなく、サポーター自身がそれぞれの地域で自主

的な活動が展開できるような方策が必要と思われる。

   本市では、サポーター自身が「ふれあいいきいきサロン」を立ち上げて地域の高

齢者や子ども達との交流の場を設けたり、地域の老人クラブに働き掛けて筋トレを

始めたり、運動教室において筋トレやレクリエーション等を指導するなどの具体例

もあるため、このような動きが市全体に拡大できるよう、サポーターと市が協働し

てまちづくりを進められるような関係づくりを目指していきたいと考えている。

Page 24: 介護予防サポーター育成・活用事例は じ め に 広域支援センターならびに市町村の関係者の皆様には、介護予防サポーターの育成 ならびに活用にご尽力くださり、感謝申し上げます。

21

利根沼田圏域における介護予防サポーターの養成と

フォローアップ研修について

利根沼田地域リハビリテーション 広域支援センターうちだ

1.介護予防サポーター養成状況

 利根沼田地域リハビリテーション広域支援センターうちだでは、介護予防サポータ

ー養成研修(初級・中級)を平成18年から、沼田市・みなかみ町・昭和村・川場村・

片品村に在住の方を対象に行っている。(表1)

(表1) 介護予防サポーター養成参加状況

年 度 初級研修 中級研修 フォローアップ研修

平成18年度 176名 156名

平成19年度 52名 41名 54名

平成20年度 71名 47名 76名

平成21年度 53名 43名 176名

合   計 352名 287名 306名

2.カリキュラムについて

 平成18年に群馬県地域リハビリテーション広域支援センターから提供された資料を

もとに講義を行っている。

 当初は群馬県歯科衛生士会からも講師の派遣があったが、現在では当センターのス

タッフ(理学療法士・作業療法士・健康運動指導士・管理栄養士・認知症ケア専門士・

歯科衛生士・音楽療法士・臨床美術士)により講義が行われている。

 講義内容も講師によるカリキュラムの更新により常に新しい情報を取り入れ、研修

の回数を重ねるごとに充実した内容で研修会を行っている。

 また、研修の終盤に行われる「サポーターの役割と地域づくり」では、市町村で介

護予防に携っている役所の担当者から、高齢者の一人暮らしの増加による地域の交流

Page 25: 介護予防サポーター育成・活用事例は じ め に 広域支援センターならびに市町村の関係者の皆様には、介護予防サポーターの育成 ならびに活用にご尽力くださり、感謝申し上げます。

22

の希薄化や、要介護者の増加による介護保険料の負担増や、地域コミュニティの崩壊

による虐待や孤独死、地域犯罪など、地域の安全の崩壊などの実態を聞かせて頂き、

最後にグループに分かれ、初級・中級研修と今迄に学んできたことを活かし、「今、自

分達に何ができるのか?」を話し合い発表を行っている。(グループディスカッション

でのご意見は下記にまとめた。)

3.フォローアップ研修について

 広域支援センターでは、介護予防サポーター研修の中級課程までを担当しているが、

中級課程修了者に対してもフォローアップ研修として、アートセラピー体験学習、音

楽療法、認知症サポーター研修、回想法など現在までに合計6回研修会を開催した。

4.今後の活動について

 各市町村により上級養成研修は行われておりますが、当センターとしても介護予防

に繋がるフォローアップ研修を随時行う予定です。

 また、当センターでは筋トレ体操のCDやポスター、アートセラピーのDVDを作

グループディスカッションの様子調理実習の様子

Page 26: 介護予防サポーター育成・活用事例は じ め に 広域支援センターならびに市町村の関係者の皆様には、介護予防サポーターの育成 ならびに活用にご尽力くださり、感謝申し上げます。

23

成し、講師がいなくても地域のサロンや老人クラブで自主的に活用頂ける教材の配布

を致しました。

 介護予防サポーターの皆様にはぜひ先頭に立ち、各地域で予防活動を行って頂きた

いと思います。

 また、研修終了後の感想で多かったご近所への「あいさつ」や「声掛け」など、ご

く当たりまえのことですが、住み慣れた地域で楽しく、安心して誰もが暮らせるよう

なまちづくりができるよう地域の皆様と協力して参ります。

5.グループディスカッションでのご意見・ご感想

・ 地区の一人ひとりに声を掛ける、気くばりをする。

・ 小さなサロンを作る。・ 声をかける相手のすきなことを見つける。・ 近所の方の買物の手伝いをする。・ 地域の事業に進んで参加する。・ 家族の食生活を改善する。・ ストレスをためないように日常生活を過ごす。・ 声を掛けることは大事だが、踏み込み過ぎに注意する

・家庭でのコミュニケーションを大事にする。・ 口腔や栄養の話をみんなにしたい。・ 入れ歯も歯磨きが必要だということを広める。・ 敬老会に233人会員がいる。今後、閉じこもりがちの人などに声を掛けもっと増やしてい

く。

・ BMIの計算方法を皆に知ってもらう。・ 最初は立ち話やお茶飲み話で介護予防を広めていく。

・ 口コミで今回学んだことを広める。・ 各市町村で行っている事業をサポーターが知って伝えていく。

・ 人とのふれあいをつくるように広めていく。・ 協力者を探す。

・ 役場の保健課などに協力してもらい地域の活動に取り入れてもらう。

・ 外に出られない人たちが出られるような場所をつくる。

・ 足の弱い人は移動が問題です。出てこられるように意識の改革が必要。

・ はじめは行政が設定して欲しい。(個人でふみ出すのは難しい。)・ 地域の民生委員への協力。・ 欲張らず長く続けていられるようする。・ 民生委員の人たちと地域のボランティアの人たちと連携して介護予防を広める。

・ 公民館や公共の温泉の場を利用する。・ 個人集団の取り組みを通して、社会参加、コミュニケーション等を維持して、PPK(ピンピンコロリ)で人間を卒業出来るように試み

ます。

・ 口腔ケアが肺炎の予防につながる話は知らない人も多いと思うので、老人会を通し皆に広

める。

・ 今回、参加した仲間が今後も集まり勉強を重ね、学んだことを地域に広める。

・ まだまだ学ぶことが沢山ある。研修会などに参加し皆で知識を増やし、皆が健康で過ごす。

(介護予防サポーター研修を通し、「今、自分達に何ができるのか」を話し合いました。)

Page 27: 介護予防サポーター育成・活用事例は じ め に 広域支援センターならびに市町村の関係者の皆様には、介護予防サポーターの育成 ならびに活用にご尽力くださり、感謝申し上げます。

24

桐生市における介護予防サポーターの育成と活用

桐生市役所介護高齢福祉課

 本市では平成18年度より介護予防サポーター養成研修に取り組み、平成21年度ま

でに初級335人、中級256人、上級177人(平成20年度より)の介護予防サポーター

を養成してきた。現在、中級研修まで修了した人のうち168人が、各地区にある介護

予防サポーターサークルに加入している。

 今回、介護予防サポーターサークルの活動状況と上級介護予防サポーターの育成状

況について報告する。

1.桐生市地区介護予防サポーターサークルの活動について

 平成19年10月、市内13地区に12の介護予防サポーターサークルが発足以降、サー

クル毎に各地区公民館等を拠点に様々な活動を行っている。活動にあたっては、ボラ

ンティア障害保険へ公費で加入し、サポーターの支援を行っている。主な活動内容は

以下のとおりである。

 1)各地区の公民館や施設等にて介護予防に関するボランティア活動

   月1回程度サークル会員で集まり、筋力トレ

ーニングやレクリエーション等を実施する定例

会を開催。定例会では、地域包括支援センター

の職員を講師として招き、地域の高齢者も交え

ながら介護予防教室を開催する場合もある。ま

た、介護施設に出向き、ボランティア活動を行

っている。

 2)市や地域包括支援センター主催の介護予防教室へのボランティア参加

   介護予防教室にボランティアとして参加し、会場準備・後片付け、受付、資料や

物品の配付、湯茶準備等を行っている。

サークル活動の様子

Page 28: 介護予防サポーター育成・活用事例は じ め に 広域支援センターならびに市町村の関係者の皆様には、介護予防サポーターの育成 ならびに活用にご尽力くださり、感謝申し上げます。

25

3 )桐生地域リハビリテーション主催のいきいき介護予防普及啓発事業へのボランテ

ィア参加

   平成21年度は、いきいき介護予防普及啓発事業

「気軽にはじめて彩る暮らし」にボランティアとし

て参加。会場の準備・片付けの他、相談・体験コ

ーナーの1ブースを担当し、来場者の体力測定を

行った。

2.平成21年度上級介護予防サポーターの育成について

 1)上級研修について

   対象は中級研修修了者で、各地区サークルに加入し介護予防サポーターとして今

後活動することを条件に募集を行った。研修内容については、地域で実践的に活躍

できるサポーターの養成を目指し、講義形式の「基本研修」と、地域で3回のボラ

ンティア活動を行う「実践研修」を位置づけた。(表1)基本研修及び3回の実践研

修を受講した者に対し、上級介護予防サポーター修了証の交付を実施予定である。

表1 平成21年度上級研修カリキュラム 研修プログラム 研 修 内 容

基本研修

(約3時間)

1)体力測定の講義と実践

2)脳活性化リハの講義

実践研修

(1回2~3時間)

1)介護予防サポーターサークル活動への参加

2)通所型介護予防事業のボランティア参加

3)一般高齢者向け介護予防教室のボランティア参加

ボランティア活動の様子

体力測定の様子 介護予防教室ボランティア参加の様子

Page 29: 介護予防サポーター育成・活用事例は じ め に 広域支援センターならびに市町村の関係者の皆様には、介護予防サポーターの育成 ならびに活用にご尽力くださり、感謝申し上げます。

26

 2)スキルアップ研修について

   上級介護予防サポーターの資質向上を目的として、平成21年度よりスキルアップ

研修を実施。対象は、各介護予防サポーターサークルに所属している上級介護予防

サポーターとし、第1回目の研修を平成21年11月24日に「高齢者の権利擁護」と

いうテーマで開催した。74名の上級介護予防サポーターが参加、知識を深めた。今

後も定期的にサポーターのニーズに応じたスキルアップ研修の開催を予定している。

3.今後の課題について

 1)介護予防サポーターサークルの再活性化

   現在、各地区の介護予防サポーターサークルには168人が所属している。しかし

ながら、実質、活動を行っているのは半数程度にとどまっている。サークル発足か

ら2年が経過したが、行政側は各サークルに活動を任せきりにするのではなく、サ

ポーターの活躍できる場の提供や、サポーターの意欲が出るような活動内容の工夫

等行っていき、サークル活動の再活性化を図っていきたい。

 2)介護予防サポーターと地域とのつながり

   本市では、平成21年度から地域包括支援センターが市内5か所に設置され、地域

包括支援センターの実施する介護予防教室等においては、各地区の介護予防サポー

ターサークルと連携を図りながら実施しているところである。今後もその連携を強

化していくとともに、さらに地域住民や民生委員、老人クラブといった地域団体と

の連携についても深めていき、地域に根ざした介護予防活動が行える体制づくりを

目指していきたい。

Page 30: 介護予防サポーター育成・活用事例は じ め に 広域支援センターならびに市町村の関係者の皆様には、介護予防サポーターの育成 ならびに活用にご尽力くださり、感謝申し上げます。

27

伊勢崎市における介護予防サポーター養成と活動について

伊勢崎市地域包括支援センター

 本市では、介護予防サポーター養成を伊勢崎地域リハビリテーション広域支援セン

ターと協力し、平成18年から実施し今年度で4年目となる。

 初級・中級・上級研修の修了後は、自主組織『介護予防推進協議会』としてスキル

アップや活動の場を広げている。更に中級研修のカリキュラムに、『ADL体操』(生活

機能を維持するための体操)を取り入れ、自主組織『ADL介護予防ボランティアの会』

につなげ『ADL体操』の普及に努め、2つの組織の活性化と介護予防の推進に努めて

いる。

1.介護予防サポーターの養成研修の流れと実績

 1)平成21年度 サポーター養成の流れとカリキュラム

◆介護予防サポーター募集

◆初級研修

◆中級研修

広報、各種団体(民生委員・健康推進員・食生活改善推進員・ボランティアなど)への呼びかけ、その他

① 介護予防サポーター制度について

② 認知症サポーター総論

③ 介護予防のための健康運動

≪1日目≫

① 認知症の理解と予防

② 食事のバランスチェックと老化を防ぐ食事

≪2日目≫

① ADL体操           

② 歯なしにならない話

③ 介護予防サポーターの役割と地域づくりの秘訣

≪3日目≫

① 口腔ケアの理解と実際    ○各地域

② 介護予防の運動指導    ○介護施設

   ○介護予防教室

   ○ボランティア活動 など

希望者

希望者

ADL介護予防ボランティアの会

≪初級研修≫

Page 31: 介護予防サポーター育成・活用事例は じ め に 広域支援センターならびに市町村の関係者の皆様には、介護予防サポーターの育成 ならびに活用にご尽力くださり、感謝申し上げます。

28

◆上級研修  初級・中級修了後、各自できる範囲で6ヵ月以上高齢者支援を経験した人

≪上級研修≫

≪中級研修≫

≪ADL介護予防ボランティアの会活動≫

≪1日目≫

 ① 伊勢崎市の高齢者の状況

 ② グループワーク『現在実施していること』

≪2日目≫

 グループワーク『高齢者が望んでいる生活とは』

≪3日目≫

 グループワーク『組織づくりについて』

介護予防推進協議会

■活動の目的 ○市民に対する介護予防意識の啓発

       ○市が実施する介護予防事業の協力と推進

       ○介護予防推進活動向上のための研修

       ○その他会の目的達成に必要な事業を行う

■活動内容  ○介護予防教室への協力

       ○介護予防フェスティバルへの協力

       ○行政区が行う高齢者対象行事への協力

       ○資質向上のための研修 など

Page 32: 介護予防サポーター育成・活用事例は じ め に 広域支援センターならびに市町村の関係者の皆様には、介護予防サポーターの育成 ならびに活用にご尽力くださり、感謝申し上げます。

29

 2)実績

2.介護予防サポーターの今後の課題

 活動について介護予防推進協議会会員と行政側も創意工夫をしているが、なかなか

活動目的に到達しない。

 中級・上級修了者はADL介護予防ボランティアの会や民生委員や健康推進員など

地域の役員を兼ねている人が多く、サポーターとしての活動に時間を費やすことがで

きない傾向にあるが、どのような活動の中にも、高齢者支援に必要な対応と情報提供

ができるよう、自己研鑽が必要である。また、サポーター独自の自主的活動の展開に

向け、『これならできそう』というところから取り組めるよう土台をつくり、後押しす

ることが必要であると思われる。

初級 中級 上級 介護予防推進協議会

平成18年度 70人 55人

  19年度 103人 81人 52人

  20年度 34人 26人 11人 52人

  21年度 47人 34人 32人 未定

≪研修≫

≪介護予防フェスティバル協力≫≪ミニデイ支援≫

Page 33: 介護予防サポーター育成・活用事例は じ め に 広域支援センターならびに市町村の関係者の皆様には、介護予防サポーターの育成 ならびに活用にご尽力くださり、感謝申し上げます。

30

伊勢崎市・玉村町における介護予防サポーター育成と活用

伊勢崎地域リハビリテーション広域支援センター 大澤 誠

1.介護予防サポーター育成状況

 伊勢崎市と玉村町でも、平成18年度から介護予防サポーターの育成に取り組んで

いる。伊勢崎市は上級まで育成するが、玉村町は中級までの育成となっているものの、

いずれも伊勢崎地域リハビリテーション広域支援センターとそれぞれの行政の地域包

括支援センターが協力して行っている。

 初級・中級に関しては、県地域リハビリテーション支援センターの作った教材をも

とに、各講師がアレンジして行っている。これまでに育った介護予防サポーターは表

1のとおりである。

2.伊勢崎市の上級介護予防サポーター育成要項

 初級・中級に関しては、各行政ともその内容に大きな差異はないと思われるので、

ここでは伊勢崎市における上級の内容についてご紹介する。

 1)目 的: 中級研修終了後、ボランティアとしての活動参加を積み、地域でのリ

ーダーとして、自主的活動を希望する人の育成を行う。

伊勢崎 初級 中級 上級

H18 70 55 0

H19 103 81 52

H20 33 28 11

H21 47 32 31(見込み)

計 266 196 94(見込み)

玉村町 初級 中級

表1

H18 0 29

H19 39 35

H20 13 11

H21 23 22

計 62 97

Page 34: 介護予防サポーター育成・活用事例は じ め に 広域支援センターならびに市町村の関係者の皆様には、介護予防サポーターの育成 ならびに活用にご尽力くださり、感謝申し上げます。

31

 2)対象者: ①中級修了者であって、高齢者を対象にしたボランティア経験を有す

る人

       ②受講後、地域で介護予防ボランティアとして活動の出来る人

       ③上級研修会全日程の参加が可能な人

       上記①②③の条件をすべて満たす人を対象とする。

 3)会 場:あずま支所3階研修室

 4)講座の内容(1回につき2時間15分):

 5)方 法: 定員を概ね30名とし、グループワークを中心に行い、修了者には修了

証を交付する。

 

3.介護予防フェスタ

 こうして育った介護予防サポーターの活躍の場の一つとして、「介護予防フェスタ」

がある。平成20年度に引き続き、平成21年度も伊勢崎地域リハビリテーション広域

支援センターと伊勢崎市の共催で、「こころもからだも元気イキイキ!~夫婦で、家族

で、地域でみんな一緒に介護予防」をテーマに、11月8日、地域交流センター『絣の郷』

内     容 担   当

1回目1月20日

・開校式・自己紹介・伊勢崎市の高齢者の状況報告・グループワーク  「高齢者が望んでいる生活とは」

・グループ発表

地域包括支援センター

広域支援センター

2回目1月27日

・グループワーク  「現在実施していることの報告」

・グループ発表

地域包括支援センター

広域支援センター

3回目2月3日

・グループワーク  「組織づくりについて」

・今後の活動計画を発表・閉校式  修了証書交付

地域包括支援センター

広域支援センター

Page 35: 介護予防サポーター育成・活用事例は じ め に 広域支援センターならびに市町村の関係者の皆様には、介護予防サポーターの育成 ならびに活用にご尽力くださり、感謝申し上げます。

32

においてこのイベントを開催した。伊勢崎市の18団体の協力を得たが、多くが職能団

体や施設の団体の伊勢崎支部であったりするが、その中に、伊勢崎市介護予防推進協

議会とADL介護予防ボランティアという二つのボランティア団体があって、それぞれ

介護予防サポーターを多数擁している。将来的には、それらの団体が介護予防フェス

タを主催し、伊勢崎地域リハビリテーション広域支援センターと伊勢崎市が支援する

という形がとれれば良いと思っている。

ADL介護予防ボランティアの

会が行った「明るく、楽しく

ADL体操!」の一コマ

新型インフルエンザの流行の

さなかで、マスク姿が目立っ

たが、450名が参加

筑波大学、征矢英昭先生の

フリフリグッパーの講演

Page 36: 介護予防サポーター育成・活用事例は じ め に 広域支援センターならびに市町村の関係者の皆様には、介護予防サポーターの育成 ならびに活用にご尽力くださり、感謝申し上げます。

33

高崎市における介護予防サポーター育成・活用について(報告)

高崎市 長寿社会課介護予防担当、支所(市民)福祉課

1.介護予防サポーター養成実施状況

2.高崎市における上級介護予防サポーターについて

 平成20年度から、「活動の記録」を全中級以上の介護予防サポーターへ配布。サポ

ーターとしての活動を4つの項目に分け、活動時間の記録を開始。

  ・自主活動(サロン等の自主活動)

  ・事業参加(高崎市主催介護予防事業への参加)

  ・研修参加(原則高崎市または県主催の研修参加)

  ・その他(地域での見守り訪問等

          …民生委員としての活動は除く)

 以上の時間数を合計し、以下の要件を満たした人が上級研修を受講

 1)自主活動と高崎市主催事業への参加を合わせて20時間以上

 2)介護予防関係の研修参加(原則市及び県主催)が5時間以上

 3)上記1)2)の活動時間を満たし、全活動時間の合計が30時間以上

 ●上級研修は5時間の研修(講義半日、グループワーク半日)

   講義内容は「傾聴」研修として、産業カウンセラー協会の沼澤文子先生、「腰痛・

膝痛予防」研修として、地域リハビリテーション広域支援センターの後閑理学療

法士に依頼した。地域での活動には「傾聴」の姿勢が欠かせないこと、またサロ

ン対象者等に膝や腰の痛みを訴える人が多いため必須の研修として位置づけた。

初級 中級 上級

~H20年度(高崎) 591人 440人 85人

~H20年度(吉井) 91人 72人 61人

H21年度養成数 128人 110人 14人

合   計 810人 622人 160人

Page 37: 介護予防サポーター育成・活用事例は じ め に 広域支援センターならびに市町村の関係者の皆様には、介護予防サポーターの育成 ならびに活用にご尽力くださり、感謝申し上げます。

34

3.介護予防サポーターの活用とそのメリットについて

 事業参加として、高崎市が直営・委託している各地域実施の介護予防事業について

案内し、希望者に教室運営に関わってもらっている。

事業の種類:

認知症予防、運動器の機能向上、閉じこもり予防の教室

 活用のメリットとして、介護予防サポーターが事業に参加することで、教室運営の

方法や参加者へのかかわり方、レクリエーション等を学んでもらう。また、参加者が

地域住民ということで顔なじみになり、教室終了後も継続したつどいの場を渇望され、

その声からサロンや教室を立ち上げる人が増えていることも嬉しい副産物である。

4. 介護予防サポーターに対するフォローアップ研修について

 年3~4回、医師による講座、鬼石の筋トレ講習会、レクリエーション実技研修、

軽スポーツ講習会等、サポーターからの要望で研修を企画し、スキルアップを図る。

 参加サポーターからは、「サロンや教室で使える内容でためになった」「今までやっ

てきたことが確認できて良かった」とおおむね良好な反応を得ている。

浅川先生による「鬼石筋トレ」の講義と実技 健康運動指導士による「健康八木節」の講習

サポーターが見本となり、教室運営に参加。

Page 38: 介護予防サポーター育成・活用事例は じ め に 広域支援センターならびに市町村の関係者の皆様には、介護予防サポーターの育成 ならびに活用にご尽力くださり、感謝申し上げます。

35

5. 介護予防サポーター情報交換会について

 平成18年度から毎年実施。当初の目的は、サポーター同士の横の繋がりを作ること

で、地区ごとにグループわけを行い、情報の共有や今後自分たちに何ができるかなど

グループワークを行った。その後サポーター数も増えてきたため、もう一度サポータ

ーとはどうあるべきか?群馬大学の山口教授より講義をしてもらい、それを踏まえて

今後の地域での方向性を決めたり、地域ごとの名簿を発行するに至っている。名簿は、

名簿掲載拒否者を除き小学校区単位で平成20年度から、サポーター、区長、民生委員、

在宅介護支援センター、包括支援センターへ配布し、広く介護予防サポーターについ

ての広報も兼ねて実施している。今後は横の繋がりづくりに役立てばと考えている。

6.活動発表の場としての介護予防フェスティバルの実施について

 平成21年度の新規事業として、介護予防フェスティバルを高崎地域広域リハビリ支

援センター(事務局:日高病院)との共催で実施。市民へ広く「介護予防」について

啓発できる場として、理学療法士による体力測定、保健師の相談、講演会を実施。介

護予防サポーターには体力測定の補佐や会場整理等を依頼し、多くの協力が得られた。

また介護予防サポーターの活動をパネル展示し、市民に周知を図った。来場者は241

名で、高齢者から家族連れまで幅広い参加者があった。

 次年度は体力測定や来場者の情報収集を行い、評価へとつなげていきたい。さらに

今後は経年事業として位置づけ、介護予防サポーターの発表の場、介護予防普及啓発

の場として定着させていきたい。

情報交換会の様子

Page 39: 介護予防サポーター育成・活用事例は じ め に 広域支援センターならびに市町村の関係者の皆様には、介護予防サポーターの育成 ならびに活用にご尽力くださり、感謝申し上げます。

36

7.今後の課題

 介護予防サポーターは600名を超え、地域での活動も活発となっている。しかし、

知名度が低いため地域での活動の場が広がらない現状もある。今後も引き続き広報活

動、地域での活動の仕方等を共に考えることが重要である。

8.おわりに

 行政が、地域と介護予防サポーターの調整(パイプ)役となり、スムーズに地域活

動ができるよう支援していきたい。

介護予防フェスティバルの様子

Page 40: 介護予防サポーター育成・活用事例は じ め に 広域支援センターならびに市町村の関係者の皆様には、介護予防サポーターの育成 ならびに活用にご尽力くださり、感謝申し上げます。

37

安中市における介護予防サポーターの育成と活用

安中市役所介護高齢課地域包括支援センター

1.介護予防サポーター養成状況

 安中市では、平成18年度から、介護予防サポーターの養成に取り組んでいる。平成

21年度は、介護予防サポーター養成講座卒業生を対象に、フォローアップ研修も実施

した。初級・中級及びフォローアップ研修のいずれも、「高崎・安中地域リハビリテー

ション広域支援センター」の協力のもと実施している。

 1)平成21年度介護予防サポーター養成研修

  日 時 初級研修 平成21年10月7日(水) 13時30分~16時30分

      中級研修 平成21年10月14日(水)      〃

           平成21年10月21日(水)      〃

           平成21年10月28日(水)      〃

  場 所 安中市役所松井田支所 基幹集落センター1階 研修室

  対象者  地域の元気高齢者(「お知らせ版」で募集、民生委員については、募集

通知を発送した)

 2)介護予防サポーターフォローアップ研修

  日 時 平成21年7月22日(水) 13時30分~15時30分

  場 所 安中市役所 保健センター3階 305会議室

  内 容 講師 筑波大学大学院教授 征矢英昭先生

      『介護予防に役立つ楽しい運動』

       講義、TDMS-ST(二次元気分尺度)

の実施、フリフリグッパー体操

  対象者 平成18年度~平成20年度の介護

     予防サポーター養成研修受講者

  参加者 60名

Page 41: 介護予防サポーター育成・活用事例は じ め に 広域支援センターならびに市町村の関係者の皆様には、介護予防サポーターの育成 ならびに活用にご尽力くださり、感謝申し上げます。

38

 3)安中市介護予防サポーター養成状況

2.介護予防サポーターとしての活動

 1)地域での自主活動

 ふれあい・いきいきサロンを立ち上げ、

ボランティアとして運営を行っている。ま

た、介護予防サポーターとしての知識を参

加者やスタッフに伝え、介護予防の啓蒙を

行っている。

 サポーターの中には健康課で実施する筋

力トレーニング普及員講座を受講した方が

7名おり、地域の高齢者を集め、自主的に

筋トレの普及を行っている。

2)地域包括支援センターの実施する事業への参加

 地域包括支援センターは、福祉ふれあい

まつりにおいて、介護予防普及啓発事業と

して「高崎・安中地域リハビリテーション

広域支援センター」と協力し、体力測定・

脳年齢測定を実施しており、サポーターは

受付・記録等の補助を行っている。

18年度 19年度 20年度 21年度 合計

初級 23名 3名 15名 5名 46名

中級 53名 23名 22名 29名 127名

合計 76名 26名 37名 34名 173名

年 度 会 場 開催状況 参加者

20年度 5会場 週1~月1回 70名

Page 42: 介護予防サポーター育成・活用事例は じ め に 広域支援センターならびに市町村の関係者の皆様には、介護予防サポーターの育成 ならびに活用にご尽力くださり、感謝申し上げます。

39

 介護予防サポーター養成研修で、前年度

までの卒業生のうち、積極的に活動をして

いる方が、今後サポーターとなる方の参考になるよう、自身の活動内容を発表している。

 その他、「介護予防講演会」への参加、及び啓蒙を行っている。

3.まとめ

 今後、サポーターが地域で自主的に活動できる体制作りを模索し、市とサポーター

が協同して介護予防に取り組んでいきたいと考えている。

年 度 体力測定 脳年齢測定

20年度 133名

21年度 164名 143名

Page 43: 介護予防サポーター育成・活用事例は じ め に 広域支援センターならびに市町村の関係者の皆様には、介護予防サポーターの育成 ならびに活用にご尽力くださり、感謝申し上げます。

「介護予防サポーター育成・活用事例」執筆者(あいうえお順)

安中市役所介護高齢課地域包括支援センター

伊勢崎市地域包括支援センター

伊勢崎地域リハビリテーション広域支援センター

桐生市役所介護高齢福祉課

高崎市長寿社会課介護予防担当、支所(市民)福祉課 

利根沼田地域リハビリテーション広域支援センターうちだ

沼田市役所高齢福祉課

藤岡市役所介護高齢課

前橋市役所介護高齢課

吉岡町役場健康福祉課福祉室

2009介護予防サポーター育成・活用事例平成22年3月

群馬県地域リハビリテーション支援センター

(事務局:群馬大学医学部保健学科内)

協力

群馬リハビリテーションネットワーク

謝辞

本資料への一部再掲をご了承いただいた 「群馬県介護予防サポーター育成マニュアル」

(平成20年3月発行) ご執筆者の群馬県介護予防サポーター育成調査検討委員会

(事務局:群馬県健康福祉部介護高齢課)に深謝します。