退院サマリー・手術記録システム の院内開発について

医療法人社団英明会 大西脳神経外科病院

ＩＴシステム管理室 中田隆司 木原克之

医務部 垰本勝司 久我純弘 福留賢二

はじめに

2000年の開院から2013年春まで退院サマリー及び手術記録・台帳はFileMakerで管理されていました。2008年の電子カルテ導入時には移行を検討しましたが要求を満たす事が難しいため継続的に利用していました。

FileMakerは生産性の高いツールではありますが、簡易言語の特徴によりデータの不整合や入力の手間等の問題がありました。

これらの問題を解決して入力負荷の軽減と、データの信頼性向上を目的にシステム開発した事例をご紹介します。

FileMaker版の入力画面 (退院サマリー)

FileMaker版の入力画面 （手術記録）

FileMaker版の入力画面 (手術台帳)

退院サマリー、手術記録・台帳の入力の流れ

問題点（１）

データの不整合

退院サマリーでは手術をしていないが手術記録では手術されている

→記録同士のチェック機能がない

問題点（２）

二重入力の手間

電子カルテとデータ連携していないため電子カルテの画面を見ながらサマリーに転記している。間違って転記している事もある。

開発の基本方針

項目やレイアウトはFileMaker版に準拠

電子カルテとデータ連携

データの信頼性確保

システムフロー図

サマリー 手術記録

退院サマリー 手術記録 手術台帳

入力 画面

ＣＳＶ

抽出条件 電子カルテ 術中写真

富士通 EGMAIN-NX

システム構成 開発ツール

開発言語 Microsoft Visual Basic 2010 Express Edition

フレームワーク Microsoft .NET Framework 3.5 SP1

帳票 Microsoft Office Excel 2007

データベース Oracle 10g Express Edition

OS環境

ＤＢサーバ Microsoft Windows Server 2003 R2 Standard SP2

クライアント Microsoft Windows XP Professional SP3

電子カルテ環境（参考）

富士通 EGMAIN-NX V02L05

データベース Oracle 9i Standerd Edition

システム開発工数

工程 工数（人月） 人員

システム設計 １．０ ５

プログラミング ４．５ １

結合テスト ０．５ ３

＜合計＞ ６．０ ５

新システムの入力画面(退院ｻﾏﾘｰ)

新システムの入力画面(手術記録)

新システムの入力画面(手術台帳)

考察及び結論

今回開発したシステムは電子カルテに依存しています。電子カルテのバージョンアップによりデータベースの仕様変更があった場合システムが動作しなくなることが考えられます。また将来別の電子カルテシステムに置き換わった場合も動作しなくなる事が考えられます。この影響を最小限にするため本システム単独でも機能できるよう改善する必要があると思われます。

新システム開発により目的としていたデータの信頼性向上と入力負荷の軽減は達成できたと思われますがこれらの課題を解決すべく今後もバージョンアップを行っていく予定です。

ご清聴ありがとうございました

新病棟竣工 ２０１３年５月２５日

新システムの入力画面 (退院ｻﾏﾘｰ 入院時所見)

新システムの入力画面 (退院ｻﾏﾘｰ 入院時所見)

新システムの入力画面 (退院ｻﾏﾘｰ 疾患分類)

新システムの入力画面 (退院ｻﾏﾘｰ 手術)

新システムの入力画面 (退院ｻﾏﾘｰ 経過・合併症)

新システムの入力画面 (退院ｻﾏﾘｰ 退院時所見)

新システムの入力画面 (退院ｻﾏﾘｰ 医療情報管理者)