著者・masaki、かく語りき スチュアート・ハム編stuart hamm radiofreealbemuth stuart...

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メイン・フレーズ 1 小節目。まずは左手で 3 和音を押さえる。 左手を押弦したまま、右手人差指で 2 弦 14f をタップ。 右手人差指を17f にスライドさせて…… 人差指を押弦したまま、中指で 19f をタップする。 スチュアート・ハム 『Radio Free Albemuth』 彼の実力の高さを見事に証明し た 1st ソロ作。ジョー・サトリアー ニやアラン・ホールズワースなども ゲストで参加している。 スチュアート・ハム 『 Kings Of Sleep』 2n d ソロ作。スラップとタッピ ングを中心に、まさに超絶ベーシ ストのソロ作といえるテクニカル なプレイが満載の 1 枚だ。 〜コラム 25 〜 コード・タッピングの発展技 メロディック・タッピング メロディック・タッピングとは、片手でコード を鳴らしながら、もう一方の手でアルペジオを 弾くタッピングだ。コード( ルート音 )を左手 でタップする場合と右手でタップする場合があ るため、コード・タッピングの延長線上にある 奏法ともいえ、コード・タッピングが“ 静 ”とす るなら、メロディック・タッピングが“ 動 ”とい うイメージになる。また、一般的にはメロディッ ク・タッピング=ベースのタッピングという風に 認識されているようだ。指板上での動きが多 いので、コードの知識や音の配列をより深く頭 に入れないと、オリジナル・フレーズを作るの は難しい。まずは図1を見て、メイン・フレーズ のポジションを覚えよう。 左手の押弦を維持しながら 右手でアルペジオを弾こう! メイン・フレーズは、まず左手でコードを鳴ら し続けることがポイント【 註 】 になる。1&2 小 節目では、左手人差指でルート音( 4 弦 8 フレッ ト)、中指で 5度(3 弦 10フレット)、小指で 9 度( 2 弦 12 フレット)を順次タッピングしてい くが、タッピングした指を離さないように注意 しよう(写真①)。左手がストレッチ・フォーム になるため、左手の忍耐力が相当必要になる が、ネック裏の親指の位置を調節するなどし て、途中で押弦が弱まらないように心掛けて みてほしい。右手は、左手が鳴らしている 3 和 音上でアルペジオをタッピングするが、フレッ トが細かく変化するので(写真②)、指を 流れるように動かそう。 著者・MASAKI、かく語りき スチュアート・ハム編 スチュアート・ハムは、もともとジョー・サト リアーニやスティーヴ・ヴァイなどのギタリスト とのセッション活動が有名だったため、筆者 はどこか“ 職人”的な少し地味なイメージを 持 っていた。しかし、彼のソロ・アルバムを初 めて耳にした時に大きな衝撃を受け、彼に対 する考え方は一変した。彼はタッピングを使う ことで、ベースでも美しい旋律を響かせること ができるということを見事に証明してみせたの だ。指弾き、ピック弾き、スラップにつぐベー スの第 4 の奏法“ タッピング ”の可能性を一 気に広げた彼のソロ・アルバムは、超絶ベーシ ストを目指す者なら必ず聴かねばならない。 【 左手でコードを鳴らし続けることがポイント】左手の押弦が緩むとコード感が薄れ、メロディック・タッピングにならない。弦をしっかり押さえることが最も大切だが、サステインがある音色を作っておくことも重要だ。

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Post on 27-Jan-2021

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  • メイン・フレーズ1小節目。まずは左手で3和音を押さえる。 左手を押弦したまま、右手人差指で2弦14fをタップ。

    右手人差指を17fにスライドさせて…… 人差指を押弦したまま、中指で19fをタップする。

    スチュアート・ハム『Radio Free Albemuth』 彼の実力の高さを見事に証明した1stソロ作。ジョー・サトリアーニやアラン・ホールズワースなどもゲストで参加している。

    スチュアート・ハム『Kings Of Sleep』 2ndソロ作。スラップとタッピングを中心に、まさに超絶ベーシストのソロ作といえるテクニカルなプレイが満載の1枚だ。

    〜コラム25〜

    コード・タッピングの発展技メロディック・タッピング メロディック・タッピングとは、片手でコードを鳴らしながら、もう一方の手でアルペジオを弾くタッピングだ。コード(ルート音)を左手でタップする場合と右手でタップする場合があるため、コード・タッピングの延長線上にある奏法ともいえ、コード・タッピングが“静”とするなら、メロディック・タッピングが“動”というイメージになる。また、一般的にはメロディック・タッピング=ベースのタッピングという風に認識されているようだ。指板上での動きが多いので、コードの知識や音の配列をより深く頭に入れないと、オリジナル・フレーズを作るのは難しい。まずは図1を見て、メイン・フレーズのポジションを覚えよう。

    左手の押弦を維持しながら右手でアルペジオを弾こう! メイン・フレーズは、まず左手でコードを鳴らし続けることがポイント【註】になる。1&2小節目では、左手人差指でルート音(4弦8フレット)、中指で5度(3弦10フレット)、小指で9度(2弦12フレット)を順次タッピングしていくが、タッピングした指を離さないように注意しよう(写真①)。左手がストレッチ・フォームになるため、左手の忍耐力が相当必要になるが、ネック裏の親指の位置を調節するなどして、途中で押弦が弱まらないように心掛けてみてほしい。右手は、左手が鳴らしている3和音上でアルペジオをタッピングするが、フレットが細かく変化するので(写真②〜④)、指を流れるように動かそう。

    著者・MASAKI、かく語りきスチュアート・ハム編

     スチュアート・ハムは、もともとジョー・サトリアーニやスティーヴ・ヴァイなどのギタリストとのセッション活動が有名だったため、筆者はどこか“職人”的な少し地味なイメージを持っていた。しかし、彼のソロ・アルバムを初めて耳にした時に大きな衝撃を受け、彼に対する考え方は一変した。彼はタッピングを使うことで、ベースでも美しい旋律を響かせることができるということを見事に証明してみせたのだ。指弾き、ピック弾き、スラップにつぐベースの第 4の奏法“タッピング ”の可能性を一気に広げた彼のソロ・アルバムは、超絶ベーシストを目指す者なら必ず聴かねばならない。

    【左手でコードを鳴らし続けることがポイント】 左手の押弦が緩むとコード感が薄れ、メロディック・タッピングにならない。弦をしっかり押さえることが最も大切だが、サステインがある音色を作っておくことも重要だ。