一般演題 血液gunringi.business-hp.com/hp/55th_kanshuto/img/0038-0041.pdf · 2018-09-15 ·...
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【はじめに】MPAL(Mixed phenotype acute leukemia)は 2系統以上の分化傾向を示す急性白血病であり,WHO分類2017では①t(9;22)(q34;q11.2):BCR-ABL1を伴うMPAL,②t(v;11q23.3):KMT2A(MLL)再構成を伴うMPAL,③ MPAL,B/骨髄性,非特定型,④MPAL,T/骨髄性,非特定型の4つの病型となっている.今回我々は,t(9;22)(q34;q11.2):BCR-ABL1を伴うMPALと診断された1例を経験したので報告する.
【症例】40歳代,女性,頭痛,発熱を主訴に近医を受診し,白血球増多,血小板減少および末梢血液像に芽球を認め,急性白血病疑いで精査,加療目的に当院血液・腫瘍内科紹介となった.初診時の血液検査ではWBC 68.5×109/L,Hb 11.4g/dL,PLT 88×109/L, LD 1,926U/L,血清フェリチン 3,951.3 ng/mL,血漿 FDP59.7μg/mL,血清リゾチーム 23.1μg/mL,末梢血液像で芽球を 51.0%認めた.骨髄検査では NCC 32.4×104/μL,Mgk 30/μLで芽球を 72.6%認めた.芽球は小型から大型であり,N/C比は 60~90%,核クロマチン構造は繊細~粗剛でMPO染色 8%陽性であった.細胞表面マ
ーカー検査の結果 CD10, CD19, CD22, cyCD79a, CD34, CD13, TdT, HLA-DR(+),CD3, cyCD3, TCR-αβ, TCR-γδ, CD11c, CD117, MPO(-)であった.染色体分析(G分染法)は 46,XX,t(9;22)(q34;q11.2)[20]で,FISH法は 100細胞中 BCR-ABL融合シグナル 82.0%であった.遺伝子検査はminor-BCR-ABL1キメラ mRNA陽性であった.以上,B細胞系細胞表面マーカー CD19および骨髄系細胞マーカーCD13の同時発現と,遺伝子検査結果より t(9;22)(q34;q11.2):BCR-ABL1を伴うMPALと診断された.【考察およびまとめ】本症例は,MPAL診断に用いられる細胞系統同定の基準において B細胞系同定は CD19+CD79a陽性と骨髄系同定は細胞表面マーカーMPO(-)であったが細胞化学染色MPO陽性であることから診断に至った.骨髄像で小型から大型で核クロマチン構造が繊細~粗剛な芽球
を認めた場合,MPO染色の陽性態度は 2系統の分化傾向の判断に有用な情報源であり,細胞形態観察の重要性を再認
識した 1例であった. 連絡先 0282-87-2175
t(9;22)(q34;q11.2):BCR-ABL1を伴うMPAL と診断された1例
◎屋代 いづみ 1)、大島 春美 1)、湯石 晃一 1)、新保 敬 1)、及川 信次 1)、小飼 貴彦 2)、菱沼 昭 2)
獨協医科大学病院 臨床検査センター 1)、獨協医科大学 感染制御・臨床検査医学 2)
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【はじめに】マラリアは 100ヵ国余りでみられ、世界保健機構(WHO)の推計によると、年間 2億人以上の罹患者と200万人の死亡者があるとされている。一方、国内では年間 50例余りと年々減少傾向にある。ハマダラカを媒介動物とするマラリア原虫の中で、最も重症化しやすく死亡率も
高いのが熱帯熱マラリアである。今回我々は熱帯熱マラリ
アの 1症例を経験したので報告する。【症例】20歳、日本人男性、2018年 6月 6日まで 1年間アフリカのベナンに滞在。帰国後 2日目より発熱、下痢、悪寒、嘔気を訴え近医受診。血液検査により血小板の著明な
減少、脾腫を認めたことからマラリア症が疑われ当院救急
外来を紹介受診。
【検査所見】Hb15.9g/dL、RBC535万/μL、Ht46.9%、WBC3800/μL、PLT3.3万/μL、TP6.5g/dL、Alb4.0g/dL、LDH305U/L、T-BIL1.6㎎/dL、T-cho84㎎/dL、CRP6.64㎎/dL、Glu105㎎/dL、PT-INR1.06、APTT26.9/sec、Fbg316㎎/dL、FDP5.60μg/mL、尿潜血(±)、バイオラインデング Duo NS1Ag+IgG/IgMによるデング熱検査 Ag,Abと
もに(-)、クイックナビ-Flu2によるインフルエンザ検査(-)、BinaxNow Malariaによるイムノクロマト法 T1、T2ともに(+)、血液像:簡易迅速染色(Diff-Quick染色)にて輪状体様のものを確認。Wright-Giemsa染色薄層塗抹標本にて赤血球内の原虫数が 2個を認める。また核を 2個含む輪状体を認める。
【考察】臨床医からの患者情報、マラリア抗原検出キット
の併用、末梢血塗抹標本 Diff-Quick簡易染色の鏡検、Wright-Giemsa染色での最終鏡検確認にて、赤血球寄生率0.3%と少ないがマラリア原虫の確認ができ、感染初期の熱帯熱マラリアと確定診断された。治療は専門施設で行った
が薬剤感受性、予後良好で早期診断治療に貢献できた。
【まとめ】臨床との連携、簡易キット併用がマラリア原虫
の見落とし軽減につながりその重要性を改めて感じた。末
梢血塗抹標本は希少症例としてデジタル画像化しデータを
蓄積、また随時標本確認ができる環境を整え、教育訓練、
検査品質向上へ繋げられるものと考える。
連絡先 042-451-6023
熱帯熱マラリアを検出した1症例
◎中村 朱里 1)、出水 沙織 1)、小関 知子 1)、竹内 一恵 1)、稲葉 幸平 1)、箱田 康典 1)、横沢 隆行 2)、櫻井 勉 2)
公立昭和病院 LSIメディエンス 1)、公立昭和病院臨床検査科 2)
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【はじめに】発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)は、PIG-A遺伝子に後天的変異が起こり、その変異細胞がクローン性に拡大した結果、血管内溶血を引き起こす後天性疾患で
ある.今回我々は本態性血小板血症(ET)経過中に PNHの診断となった症例を経験したので報告する.
【症例】70歳代男性.数年前より血小板増多を指摘された.ETと診断され近医で経過観察されていた.某年 6月に貧血が進行し当院血液内科に紹介受診された.貧血が進行した
ため精査目的で入院し骨髄穿刺、生検を施行した.ETの診断に矛盾は生じなかったが生化学検査や尿一般検査データ
より溶血性貧血が疑われた.末梢血でMPN遺伝子変異解析および高感度 PNH血球検査を行い、JAK2 V617F変異陽性、PNH血球が検出され ETに合併した PNHの診断となった.
【検査所見】血液検査:WBC 6.6×109/ L(Seg 60.5%、Stab 2.5%、Ly 26.5%、Mono 5.5%、Eo 1.0%、Meta 2.0%、Myelo 2.0%)、RBC 2.33×1012/L、Hb 7.6 g/dL、Ht 24.4%、MCV 104.7fL、
MCH 32.6pg、MCHC 31.1%、PLT 795×109/ L、網赤血球 4.9%、赤血球大小不同、奇形赤血球、巨大血小板生化学検査:T-Bil 1.1mg/dL、D-Bil 0.4mg/dL、LDH 950U/L、ハプトグロビン 感度以下骨髄検査:正形成性骨髄、赤芽球系に軽度の異形成
尿一般検査(入院時):潜血(+)、ヘモジデリン(+)輸血検査:直接クームス(−)、間接クームス(−)【臨床経過】翌年 3月より、エクリズマブによる治療が開始された.現在も、輸血とエクリズマブ投与を継続してい
る.
【まとめ】ETの経過中に、貧血が悪化した場合は、骨髄異形成症候群など他の疾患への移行が疑われる.本症例のよ
うに、ETに PNHを合併することは稀であり、血液検査だけではなく生化学検査や一般検査データを総合的に判断す
ることで早期に診断することができた.PNHの早期診断は、患者の予後や治療を判定するにあたり非常に重要であり臨
床との情報共有の大切さを改めて認識した.
連絡先 03-3862-9111(内 2503)
本態性血小板血症の経過中に発作性夜間ヘモグロビン尿症と診断された症例
◎成田 柚子 1)、橋田 早希 1)、相原 久美子 1)、松熊 美千代 1)、矢野 正生 1)
社会福祉法人 三井記念病院 臨床検査部 1)
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【はじめに】後天性血友病 Aは、凝固第Ⅷ因子に対する自
己抗体が産生された結果、凝固第Ⅷ因子が減少し出血傾向
となる難治性出血性疾患である。APTT延長例にクロスミキ
シング試験行うことで早期鑑別が可能とされる。今回、ク
ロスミキシング試験が有用であった後天性血友病 A症例を
4症例経験したので報告する。【症例】①37 歳女性。既往
歴なし。出産歴 3回、第 3子分娩時に約 3Lの出血をきたし
輸血施行。右臀部痛にて近医受診、MRIにて血腫あり当院
受診。Hb:10.9g/dL、血小板数:34.2x104/μL、PT:13.2秒、
APTT:65.0秒。②77 歳男性。既往歴は狭心症、胃がん、大
腸潰瘍。近医にて歯科治療中、止血困難より当院歯科を受
診し腫瘤切除。退院後も止血困難、四肢の紫斑が見られ再
入院。Hb:6.7g/dL、血小板数:15.8x104/μL、PT:12.8秒、
APTT:59.9秒。③57 歳男性。既往歴は関節リウマチ、間質
性肺炎、肺気腫。右大腿痛にて近医受診し右大腿血腫認め
たため入院。胸部紫斑出現したため当院入院。
Hb:6.8g/dL血小板数:23.4x104/μL、PT:15.5秒、
APTT:101.4秒。④87 歳女性。既往歴なし。貧血、皮下気腫
にて近医入院。内視鏡にて出血なし、MRIにて右大腿血腫
認め当院入院。Hb:7.8g/dL、血小板数:47.6x104/μL、
PT:11.9秒、APTT:103.6秒。【結果】何れの症例もクロス
ミキシング試験 2時間後で上に凸のインヒビターパターン
を示した。【考察】後天性血友病 Aはクロスミキシング試
験の保険適応や診療ガイドラインの確立により他の出血性
疾患との鑑別が容易になってきた。確定診断には第Ⅷ因子
インヒビターの存在の証明が必須であるが、凝固因子活性
やインヒビター定量は外部委託のため、院内で実施可能な
クロスミキシング試験を検査することで第Ⅷ因子インヒビ
ターの存在を推測することができ、先天性因子欠乏やルー
プスアンチコアグラントとの早期鑑別に有用であった。
【まとめ】クロスミキシング試験を行うことで早期診断に
貢献し、適切な止血・輸血療法や免疫抑制療法へ繋げるこ
とができた。後天性血友病 Aは、見落とすことができない
重篤な出血性疾患であり、出血傾向、APTT単独延長が見ら
れる場合には鑑別の方法としてクロスミキシング試験が有
用であると考えられた。連絡先:027-322-5646
クロスミキシング試験が有用であった後天性血友病 Aの 4症例
◎竹内 紗耶香 1)、白井 洋平 1)、松本 善信 1)、峰岸 正明 1)
国立病院機構 高崎総合医療センター 1)
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