耐震天井工法の開発 - 近畿大学 · 試験結果 試験体 記号 加力 角度...
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耐震天井工法の開発~吊り天井の上端接合金物と天井下地材の力学的特性~
建築材料研究室
1410920038
楠 勇気
研究背景
天井材の落下は人的被害の危険性が高い。
天井材が落下しないように対策することが重要。
接合金物、天井下地材の力学的特性を把握する必要がある。
施工性と耐震性を兼ね備えた接合金物、天井下地材を開発する。
歯車を用いた接合金物とは
写真1 歯車を用いた接合金物
写真2 在来型接合金物
歯車を用いた接合金物の特徴
・歯車が内蔵されていることによって吊りボルトを通す際にスムーズに上げ下げできる。
・手元でブレース材を回すと歯車がロックされ、ある程度の所で空転するようになっているので位置調整が自由自在。
ブレース材吊りボルト
接合金物
野縁受け
野縁
新角型構造用形鋼とは
写真3 新角型構造用形鋼 写真6 在来型野縁写真4 コーナーかしめ
新角型構造用形鋼の特徴・コーナーでかしめているため、ねじれ難く角がきっちりとでていることである。かしめが絶対に外れない構造になっている。在来型の天井下地材はシングル型やダブル型などのコの字型を使用するが、本研究では本来なら間仕切下地材として使用する新角型構造用鋼を天井下地材として使用する。 野縁
野縁受け
写真5 在来型野縁受け
①斜め部材上端接合金物の強度試験試験体一覧
A:歯車を用いた上端接合金物 C:在来型B:在来型 D:在来型 E:在来型 F:在来型
角度 60°
角度 30°
角度 45°
・ブレース試験治具による一点加力試験を行った。
・角度は30°、45°、60°の3種類で行った。
試験結果
試験体 記号 加力 角度 最大荷重Pmax(kN)終局状況の破壊性
状
金物A(歯車) A-1 引張 45° 12 ビスの破断
金物B(在来) B-1 引張 45° 7.98 接合部鋼板破断
金物C(在来) C-1 引張 45° 10.7 吊りボルト降伏
~金物形状別比較(引張試験)~
試験体 記号 加力 角度 最大荷重Pmax(kN)終局状況の破壊性
状
金物A(歯車) A-1 引張 45° 12.0 ビスの破断
金物A(歯車) A-2 引張 60° 10.8 ビスの破断
金物A(歯車) A-3 引張 30° 10.9 ビスの破断
~歯車の引張り角度別比較(引張試験)~
0
2
4
6
8
10
12
14
0 5 10 15 20 25
荷重
(kN)
変位(mm)
60°
45°
30°
0
2
4
6
8
10
12
14
0 5 10 15 20 25
荷重
(kN)
変位(mm)
A
B
C
D
E
F
金物D(在来) D-1 引張 45° 3.38金物の降伏に伴う
滑り
金物E(在来) E-1 引張 45° 9.04吊りボルト及び金
物の降伏
金物F(在来) F-1 引張 45° 4.56吊りボルト及び金
物の降伏
歯車の引張り角度別 荷重-変位グラフ
金物形状別別 荷重-変位グラフ
②吊り天井の天井下地材の曲げ試験試験体一覧
1.野縁受けCC-19・在来型・断面寸法(38×12×1.2)
3.野縁CS-19・在来型・断面寸法(19×25×0.5)
2.野縁受けCC-25・在来型・断面寸法(38×12×1.6)
4.野縁CW-19・在来型・断面寸法(19×50×0.5)
6.野縁CW-25・在来型・断面寸法(25×50×0.5)
5.野縁CS-19・在来型・断面寸法(25×25×0.5)
7.野縁角形鋼H-25・かしめ工法型・断面寸法(□25×45×0.5)
8.野縁受け角形鋼SKH-45・かしめ工法型・断面寸法(□45×45×0.8)
実験方法
900mm
1800mm
試験体1~7のスパン(900スパン)
試験体8のスパン(1800スパン)
P
P万能試験機による曲げ試験を行った。試験体1,2は強軸方向に加力し、試験体3~8は加圧板を間に挟み込み加力した。
試験体1.2試験様子
試験体3~8試験様子
試験結果
0
0.2
0.4
0.6
0.8
1
1.2
1.4
1.6
1.8
2
0 10 20 30 40 50
荷重(kN)
変位(mm)
在来型CC-19
在来型CC-25
角形野縁受け
野縁受けの曲げ試験結果 荷重ー変位グラフ 野縁の曲げ試験結果 荷重ー変位グラフ
最大荷重 1.893kN
最大荷重 1.243kN
最大荷重 0.814kN
最大荷重 0.768kN
最大荷重 0.463kN
最大荷重 0.257kN
最大荷重 0.267kN
最大荷重 0.465kN
破壊性状
全ての試験体の加力部分に曲げ破壊、側面には局部座屈が見られた。
③天井ユニットの水平加力試験試験体一覧
a.在来型天井加力方向~野縁方向加力タイプ~単調、繰返し
b.在来型天井加力方向~野縁受け方向加力タイプ~単調、繰返し
P P
・野縁 ・野縁受け
使用部材
在来型野縁
在来型野縁受け
歯車を用いた接合金物
c.角型天井加力方向~野縁方向加力タイプ~単調、繰返し
d.角型天井加力方向~野縁受け方向加力タイプ~単調、繰返し
・野縁
・野縁受け
P P使用部材
角型野縁
角型野縁受け
歯車を用いた接合金物
単調加力試験結果加力:単調 方向:野縁
加力:単調 方向:野縁受け 加力:単調 方向:野縁受け
加力:単調 方向:野縁
(在来型結果)・野縁方向最大荷重 3510N
・野縁受け方向最大荷重 3850N
(角型結果)・野縁方向最大荷重 15040N
・野縁受け方向最大荷重 13910N
(破壊性状)ブレース材の座屈
(破壊性状)吊りボルトの曲げ変形
繰り返し試験結果
(在来型結果)・野縁方向最大荷重 2580N
・野縁受け方向最大荷重 2970N
加力:繰返し 方向:野縁受け
加力:繰返し 方向:野縁 加力:繰返し 方向:野縁
加力:繰返し 方向:野縁受け
(角型結果)・野縁方向最大荷重 10230N
・野縁受け方向最大荷重 10160N
まとめ
・歯車を用いた上端接合金物と新角型構造用形鋼を使用した新型吊り天井について施工性や耐震性を検討することができた。
・耐震天井には歯車を用いた接合金物と角形の天井下地材を使用することによって大幅に耐震性が上がる。
・在来型に比べて部材コストが高い点、重量が重くなってしまう点や実験方法などを改善する必要がある。
破壊性状
金物B-1(圧縮試験)の破壊性状(接合部合板破断)金物A-1(引張試験)の破壊性状(ビス破壊)
試験の様子
45°
曲げ試験様子
加圧板
この加圧板を用いることによって試験体の局部的な変形(凹みなど)を防止する効果がある。
35mm
加圧板12mm
P
ユニット試験様子
建築物における天井脱落対策に係る技術基準の解説
・天井面構成部材のうち均等に力が作用する箇所に取り付けた治具に左の図に掲げる履歴の正負繰り返し力を加える。同図において、±0.5 𝐃𝐚、±𝐃𝐚及び±1.5 𝐃𝐚の各変位段階でそれぞれ3回以上繰り返すものとする。
繰返しサイクル試験体記 号
加力方向
0.5×Da 1.0×Da 1.5×Da 破壊
1C 2C 3C 4C 5C 6C 7C 8C 9C 10C
a-2
野縁正
2.2 4.4 6.6-
野縁負
-2.2 -4.4 -6.6
b-2
野縁受け正
2.7 5.3 8.0
-野縁受け負
-2.7 -5.3 -8.0
返し加力は,正負交番繰返し加力とし,繰返し条件は単調加力の試験結果から求めた制御変位の基準値Daに対して0.5×Da,1.0×Da,1.5×Daの3段階について,各3回とした。
制御変位の基準値𝐃𝐚は,下式により求めた。なお,𝒂+ の値は,依頼者と決定した。
𝐃𝐚 =𝒅+
𝒂+
ここで𝒅+:単調加力試験における損傷荷重時の変位𝒂+:1.5(試験体記号:a,b,c,d)
試験体記 号
加力方向
損傷荷重時 最大荷重時 許容耐力(Pa+)N
接合部
の剛性N/mm
破壊状況
荷重(Pa)N
変位(δ)mm
荷重
(Pmax)N
変位(δ)mm
a-1野縁正
2540 6.6 3510 13.3 1690 385ブレース材の
座屈
b-1野縁受け正
2990 8.0 3850 15.0 1990 374ブレース材の
座屈
試験体記 号
加力方向
損傷荷重時 最大荷重時 許容耐力(Pa+)N
接合部
の剛性N/mm
破壊状況
荷重(Pa)N
変位(δ)mm
荷重
(Pmax)N
変位(δ)mm
a-1(19-N)
野縁正
2540 6.6 3510 13.3 1690 385ブレース材の
座屈
b-1(19-NU)
野縁受け正
2990 8.0 3850 15.0 1990 374ブレース材の
座屈
試験体記 号
加力方法
繰返し回 数
1.5Da時0.8×(1.5Pa+)
(単調加力)N
1.5Da時の試験体の状況
荷重(P)
N
変位(δ)mm
a-2
(19-N-K)
野縁正
1回目 2560 6.6
2030
異状なし
2回目 2580 6.63回目 2480 6.6
野縁負
1回目 2130 6.6異状なし
2回目 2080 6.63回目 2130 6.6
b-2
(19-NU-K)
野縁受け正
1回目 2500 8.0
2390
異状なし
2回目 2400 8.0
3回目 2440 8.0
野縁受け負
1回目 2970 8.0異状なし
2回目 2920 8.0
3回目 2890 8.0
表 在来単調加力結果 表 在来繰り返し試験結果