水道事業・下水道事業における デジタル ... · 2019-12-09 ·...

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水道事業・下水道事業におけるデジタルトランスフォーメーション推進の課題と松江市の取り組みについて

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松江市上下水道局 工務部次 長 中 倉 隆

03/12/2019

Contents

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1.松江市の紹介

2.国内の水道事業・汚水処理(下水道)事業の状況

3.国の成長戦略・ITC戦略・事業推進施策の紹介

4.松江市の水道事業・下水道事業の紹介

6.遠隔監視システム『縁 water 』の構築

5.遠隔監視システムの課題と調達標準仕様の策定

1.松江市の紹介

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松江市の紹介

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松江市は、山陰のほぼ中央に位置し、広島市から約180キロメートル、大阪市からは鉄道距離で約370キロメートルのところにあります。また、市域は東西41キロメートル、南北31キロメートルで、面積は572.99平方キロメートルとなっています。1951年(昭和26年)には、奈良市・京都市と並んで国際文化観光都市となり、現在、人口20万3千人の山陰の中核都市として発展してきております。

国際文化観光都市 松江市

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国宝 松江城

宍道湖の夕日

塩見縄手(しおみなわて) 堀川遊覧船「ぐるっと松江堀川めぐり」

八重垣神社 「鏡の池」の良縁占い

玉造温泉・松江しんじ湖温泉

2.国内の水道事業・汚水処理(下水道)事業の状況

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国内の公共団体数・水道事業数・汚水処理(下水道)事業数

地方公共団体数 水道事業数 汚水処理(下水道)事業数

市 792上水道(5,001以上)

1,263

下水道

公共下水道(狭義) 1,189

特定環境保全公共下水道 752

町 743簡易水道(5,000以下)

702特定公共下水道 10

流域下水道 46

村 183用水供給事業

68

集落排水

農業集落排水施設 912

漁業集落排水施設 170

特別区(東京都)

23林業集落排水施設 26

その他 105

浄化槽 排水処理施設 429

合 計 1,741 合 計 2,033 合 計 3,639

© 2019 AVEVA Group plc and its subsidiaries. All rights reserved.平成28年度決算

汚水処理施設(下水道)の種類

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汚水処理施設

集合処理施設

公共下水道(広義) 〔国土交通省〕

公共下水道(狭義)

特定環境保全公共下水道

特定公共下水道

流域下水道 〔国土交通省〕

農業集落排水施設 〔農林水産省〕

漁業集落排水施設 〔農林水産省〕

林業集落排水施設 〔農林水産省〕

簡易排水施設 〔農林水産省〕

小規模集合排水処理施設 〔総務省〕

コミュニティ・プラント 〔環境省〕

個別処理施設

市町村設置型浄化槽特定地域生活排水処理施設 〔環境省〕

個別排水処理施設 〔総務省〕

個人設置型浄化槽(補助を受け個人が設置) 〔環境省〕

その他浄化槽(上記以外で民間、個人が設置)

下水道法

浄化槽法

改正水道法に基づく広域連携の取組の推進

令和4年度末

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汚水処理事業における「広域化・共同化計画」策定

下水道等の接続可能な事業運営に向けて、「経済・財政再生計画改革工

程表2017改定版」(平成29年12月21日経済財政諮問会議決定)において、

2022年(令和4年度)までの広域化・共同化を推進するための目標として、以

下の2つを設定。

① 全ての都道府県における広域化・共同化に関する計画策定

② 汚水処理施設の統廃合に取り組む地区数

これを踏まえ、国土交通省は関係3省(総務省、農水省、環境省)と連名に

て、全ての都道府県における2022年(令和 4年度)までの「広域化・共同化

計画」策定を要請。

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汚水処理事業の地方公営企業法(公営企業会計)の適用

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公営企業会計の適用拡大に向けた新たなロードマップ

出典:総務省HP 公営企業会計の適用

R2 R3 R4 R5 R6R元

3.国の成長戦略・ITC戦略・事業推進施策の紹介

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高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部

情報通信技術(IT)の活用により世界的規模で生じている急激かつ大幅な社会経済構造の変化に適確に対応することの緊要性にかんがみ、高度情報通信ネットワーク社会の形成に関する施策を迅速かつ重点的に推進するために、2001年(平成13年)1月、内閣に「高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT総合戦略本部)」が設置された。本 部 長 内閣総理大臣副本部長 情報通信技術(IT)政策担当大臣

内閣官房長官総務大臣経済産業大臣

本 部 員 他の全ての国務大臣、内閣情報通信政策監及び有識者

(IT総合戦略本部)

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官民データ活用推進基本法(平成28年12月7日成立)

出典:首相官邸HP IT総合戦略本部

「デジタル時代の新たなIT政策大綱」の位置づけ

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高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部・官民データ活用推進戦略会議

出典:首相官邸HP IT総合戦略本部

Society 5.0とはサイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させた

システムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会

(Society:ソサエティ)。

狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、

情報社会(Society 4.0)に続く、新たな社会を指すもので、第5期科学技術基

本計画において我が国が目指すべき未来社会の姿として初めて提唱された。

【各国の新たな産業の取り組み】米 国:Smart America Challenge(Industrial Internet Consortium)ド イ ツ:インダストリ4.0イギリス:ハイ・バリュー・マニュファクチャリング(HVM:高価値製造)中 国:中国製造2025(Made in China 2015)

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「デジタル時代の新たなIT政策大綱」(令和元年6月7日)

【2つめの柱】官民のデジタル化の推進

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②民間部門のデジタル化時代への対応の促進〜デジタル・トランスフォーメーションの推進による競争力強化〜

(ii) 社会インフラ部門等(水道等)のシステム共通化の推進

72. 少子高齢化が進展する中、民間部門だけではなく、水道などの社会インフラ部門においても、デジタル化による効率化やベテラン人材の不足などの課題解決が求められている。そのため、厚生労働省と経済産業省は、水道事業者等における各種情報の利活用を行い、AI 等の活用も含むアプリケーションの利用による効率化等を目的として、水道に関する情報利用等のための標準仕様と、それに基づくシステムを検討するための実証事業をセキュリティ対応も含めて行ったところであり、今後、その実装を支援することとしている。これにより、各水道事業者等が個別にシステム開発を行うよりもコスト低減が可能となるとともに、データを活用した水道運営管理の実現、さらには、業務の一体運営を容易にすることによる広域化の後押しを図っていくこととしている。

73. こうした取り組みを、他の社会インフラ部門(例えば、下水道や病院など)や、民間事業者が非競争領域において組込みソフトウェアを含め、システムを共通化する場合などにも応用することにより、効率的かつ競争力の高い情報システムの開発につなげることが可能と考えられる。そのため、こうした非競争領域におけるシステムの共通化に取り組もうとする地方公共団体や民間事業者等を支援することを目的として、令和元年度中に、民間ニーズの把握、利害関係者間の調整、技術的支援(例えば、組込みソフトウェアの高度化)、などを行いつつシステムの共通化などを進めることができる専門家をプールし、デジタル化による効率化を進める業界や自治体等を支援する機能・体制を構築する。

【業所管大臣、経済産業大臣、情報通信技術(IT)政策担当大臣、総務大臣】出典:首相官邸HP IT総合戦略本部

デジタル時代の新たなIT政策大綱民間のDXの推進

© 2019 AVEVA Group plc and its subsidiaries. All rights reserved.出典:首相官邸HP IT総合戦略本部 IT政策大綱

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本文2-② P30 内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室(令和元年6月)

■厚⽣労働省と経済産業省は、各⾃治体の⽔道事業体が縦割りで管理するデータの有効活⽤を促すため、共通プラットフォーム構築のための実証実験を実施。

■①縦割りで保有していたシステムの縮⼩・不要化が可能となるため、⽔道事業の広域化・コスト削減が可能に、②AIなどの活⽤が可能となり⽔道事業の⾼度化・効率化が可能となる、などの効果・メリットを確認。

■今後、少⼦⾼齢化による財政的・⼈的なリソース不⾜に直⾯する、下⽔道、病院などの社会インフラ分野や⺠間のシステム共通化の取組にも応⽤可能。この取組の横展開を図るため、⽀援機能・体制を構築していく。

10.社会インフラ部⾨等(⽔道等)のシステム共通化

共通化する以前の状況 共通プラットフォーム構築によるメリット

⽔道事業体Aのシステム

データA

運⽤コスト

⽔道事業体Bのシステム

運⽤コスト

⽔道事業体Cのシステム

運⽤コスト

データB データC× ×

●データの接続仕様が⽔道事業体のシステム毎に異なるため、データ連携・利活⽤が困難

●システムを個別に維持管理するため、⼈材やITコストが個別に発⽣し、社会的に⾮効率

⽔道事業体A ⽔道事業体B ⽔道事業体C

共通プラットフォーム

データA データB データC

運⽤コスト(プラットフォームを利⽤する⽔道事業体で分散)

●データ流通の共通ルールを定め、異なる⽔道事業体間のデータ連係・利活⽤を促進

●共同利⽤によりITコストを割り勘、低コスト化を、セキュリティの確保も含め実現

利⽤ 利⽤ 利⽤

出典:経済産業省 補助事業 水道施設情報整備促進事業資料 IT政策大綱

日本経済再生本部の成長戦略閣議決定(令和元年6月21日)

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本 部 長 内閣総理大臣① 成長戦略実行計画② 成長戦略フォローアップ③ 令和元年度革新的事業活動に関する実行計画

成長戦略フォローアップSociety 5.0の実現 1.デジタル市場のルール整備(2)新たに講ずべき具体的施策 ⅱ)データ流通の促進②流通・活用環境の整備 ア)攻めのシステム改革・社会インフラにおけるデータ利活用やレガシーシステムの刷新コストの低減、業務コスト効率化のため、組込みソフトウェア分野を含め、非競争領域における共通システム化を促進する。具体的には、上水道事業における業務管理やデータ流通のための共通プラットフォームについて、2019年度中にシステム構築を行い、2020年度から運用を行う。また、得られた成果について他の社会インフラへの展開を検討する。

出典:首相官邸HP

水道情報活用システム「システムモデル事業」

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【背 景】水道分野において経産省がIoT関連の事業を行った経緯①ITシステムの分野では、クラウドサービスの普及が加速②安全管理(セキュリティ対策)への要求は高度化を続けている③インフラ分野の運用技術(OT)においても、IoTによりクラウド技術を導入可能とするCPSが普及している

水道分野での実証(技術検証)の結果、社会実装へ向けたステージへ【水道分野の課題と方向性】・現在、水道事業体は極めて厳しい経営環境にあり、特に小規模事業体ほど深刻。・水道IoTは、水道法改正がめざす「広域連携の推進」にしすることが期待される。

【水道情報活用システムとは】○水道情報活用システムとは、水道事業者等が有する水道に関する設備・機器に係る情報や、事務系システムが取り扱うデータを横断かつ柔軟に利活用できる仕組みである。○構成要素であるデータのプラットフォーム(水道標準プラットフォーム)、アプリケーションやデバイス等のインタフェース、データプロファイル等の使用が標準化されているものである。

経済産業省商務情報政策局情報産業課厚生労働省医薬・生活衛生局水道課

上水道事業が抱える課題

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職員数の減少・ベテラン職員の退職が進展

老朽化施設が増えつつあり、維持管理コストが増加

人口減少に伴う給⽔収入の減少とともに、施設の最適な運⽤を進める必要

<上⽔道事業が抱える課題> <データ利活⽤の問題>

A社仕様の⽔道事業者

現状はベンダー各社でデータの接続仕様が異なるため、異なるベンダーによって構築されたシステム間のデータ連携が困難

A社製アプリケーション

浄⽔施設①

浄⽔施設

制御機器

センサ

PLCA社製

B社仕様の⽔道事業者

B社製アプリケーション

浄⽔施設②

浄⽔施設

制御機器

センサ

PLCB社製

C社仕様の⽔道事業者

C社製アプリケーション

浄⽔施設③

浄⽔施設

制御機器

センサ

PLCC社製

A社物理接続仕様

B社物理接続仕様

C社物理接続仕様

アプリケーションと現場機器が密接な関係

特に⼩規模な⽔道事業者における持続可能な事業運営が困難に

アプリケーション

現場機器

データ利活⽤による課題解決の可能性

出典:経済産業省 補助事業 水道施設情報整備促進事業資料

水道情報活用システム プラットフォームサービスの概要

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標準IF

A事業者監視システム

ログインID認証

コールセンターシステム障害時の

問合せ対応

データを保持し、誰にどのデータが流通しているのかの

管理機能

課金管理使っている内容

IoTGW

既存SCADA

B事業者監視システム

システムGW

台帳データ

料金データ

プラットフォームで集約・共同化する機能

既存設備改造

GW設置

A事業者事務系システム

IoTGW

既存SCADA 新SCADA

C事業者監視システム

システムGW

台帳データ

料金データ

B事業者事務系システム

監視制御AP

A社アプリケーション

マッピングAP

台帳AP

会計AP

B社アプリケーション

会計AP

監視制御AP

C社アプリケーション

各社コンテンツアクセス制御

台帳

会計

監視制御

庁舎浄⽔場

場外業務

標準IF

データセキュリティ

データセキュリティ

データセキュリティ

広域/単独事業者

⽔道標準プラットフォーム

必要な機能が動くための

サーバ,OS等の資源

業務委託業者

B事業者データ

広域事業者データ

アクセス

A事業者データ

B事業者データ

広域事業者データ

広域事業者データ

ログイン機能セキュリティの機能

監視制御AP

マッピングAP

台帳AP

簡易台帳アプリケーション

小規模事業者

台帳

マッピングAP

会計AP

台帳AP

監視制御AP

D社アプリケーション

マッピングAP

会計AP台帳

AP

・・・・

監視制御

出典:経済産業省 補助事業 水道施設情報整備促進事業 ㈱JECC資料

日本下水道新聞2019年9月11日

安定的な水質管理に向けた下水処理場におけるICTを活用した広域管理検討業務

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水道産業新聞2019年9月19日

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4.松江市の水道事業・下水道事業の紹介

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松江市の水道事業・下水道事業の概要

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適 用 水 道 事 業 下 水 道 事 業

給水人口 行政区域内人口 202,965 人(給水区域内人口:193,925 人)

普及・整備状況

給水人口 190,214人 処理区域内人口 198,274人

給水戸数 93,038 戸 汚水処理人口普及率 97.7 %

普及率 98.6 % 水洗化率 92.7 %

給水・処理状況一日平均給水量 60,355 ㎥ 一日平均処理水量 58,943 ㎥

一日最大給水量 74,754 ㎥

有 収 率 92.5 % 92.7 %

収益的収支総 収 益

6,059,968 千円 8,434,543 千円

(内給水収益) 4,748,020 千円 (内使用料) 3,629,295 千円

総 費 用 5,542,231 千円 7,682,313 千円

資本的収支

収 入 1,445,551 千円 3,109,559 千円

支 出3,957,347 千円 5,842,625 千円

(内建設改良費) 2,701,536 千円 (内建設改良費) 703,836 千円

職 員 数事務系:31 人技術系:47 人

合計:78 人事務系:10 人技術系:17 人

合計:27 人

平成29年度決算値

松江市の水道事業の施設数

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施 設 旧上水道 旧簡易水道 合 計

水 源 5 13 18

浄 水 場 3 9 12

送水・加圧ポンプ場 40 51 91

配 水 池 46 63 109

その他施設 23 0 23

合 計 117 136 253

松江市水道施設図

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松江市の汚水処理(下水道)処理区・施設数

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事 業 名処 理 区処 理 施 設

終 末 処 理 場 備 考

公共下水道 4処理区 -流域下水道に接続中継ポンプ場:9施設

特定環境保全公共下水道 9処理区 8施設内流域下水道に接続:1処理区中継ポンプ場:3施設

農業集落排水施設 23処理区 23施設既公共下水道に接続:3処理区減既特環下水道に接続:4処理区減

漁業集落排水施設 20処理区 19施設 隣接漁集に接続:1処理区

小 計 56処理区 50施設

小規模集合排水施設 1施設 1施設

受贈汚水処理施設 2施設 2施設

小 計 3施設 3施設

合 計 59処理区 53施設

公設浄化槽 797基

松江市の汚水処理施設図

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5.遠隔監視システムの課題と調達標準仕様の策定

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松江市の水道遠隔監視システムの状況(平成21年4月現在)

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水 道 施 設 数 (監視給水区域別)

『大 型 D C S』 Y社

上水(松江)

『FAシステム』 H社 簡水(島根)

『情報処理装置』 Y社 『FAシステム』 H社 簡水(美保関)

『簡易シミュレーター』 Y社 『製品SCADA』 K社 簡水(八雲)

『FAシステム』河川監視 H社 上水(松江) 『製品SCADA』 K社 簡水(玉湯)

『Web監視システム』 上水(松江) 『FAシステム』 H社

簡水(宍道)『クラウドサービス』河川監視 K社 上水(鹿島) 『FAシステム』 H社

『製品SCADA』 K社 上水(玉湯) 『FAシステム』 H社

『製品SCADA』 K社 簡水(松江) 音声ガイダンス(電話回線) 簡水(宍道)

『FAシステム』 H社 簡水(鹿島) 『FAシステム』 M社 簡水(八束)

松江市の下水道遠隔監視システムの状況(平成27年4月現在)

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下 水 道 (汚水) 施 設 数

機 器 ・ シ ス テ ム 適 用 事 業 拠 点 数

携帯電話メール通報 公・特・農・漁・他 241ヶ所

無 線 通 信 農・漁 35ヶ所

音声ガイダンス (電話回線) 特・農・漁 114ヶ所

『コルソス』 N社 公・特・農・漁・他 57ヶ所

回 転 灯 公・特・農・漁・他 155ヶ所

クラウドサービス K社 公・特・農・漁・他 290ヶ所

無 監 視 農・漁 55ヶ所

統合前の遠隔監視システムの様子

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ICS(DCSのHIM)第1期汎用SCADA・第2期汎用SCADAのHMI

DCSの本体と施設毎のテレメータ盤

小型のSCADA

市町村合併後の遠隔監視システムの課題

① 合併市町村ごと及び認可事業ごとに7社(16種類)の遠隔監視システムを持っていたことから、新統合システムの基盤となるシステムの決定が困難であった。また、既存の遠隔制御システムのDCSを存続した場合、維持・更新に多大な経費が必要であった。

② DCS及びSCADAは、各ベンダーが独自に開発した専用システムを導入していたため、通信仕様とシステム仕様が未公開であった。そのため、導入事業者のみが現地通信設備と中央システムのエンジニアリング作業を担っていた。

③ 250ある施設の運転監視の新システムへの統合移行は、設備機器の更新に合わせ数年間をかけて工事(システム接続)することとなる。よって、計装設備及び遠隔監視システムの工事も、各施設の工事に合わせその都度発注する必要がある。

④ 上記のことから、競争入札を成立させる調達が困難であった。事業者を選ばない製品化された汎用機器を採用する標準仕様の策定が必要となった。

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大型制御システム(DCS)運用の当局の課題

① ハードウエアの耐用年数(15年~10年)ごとに更新が必要。

定期的に高額な更新経費が確保できない。

② 保守メンテナンス契約を求められる。

特命随意契約での委託契約を締結している。

③ 調達制度における課題

システムはメーカーが独自に開発している。

開発メーカー以外ではカスタマイズは行えない。

各種エンジニアリング設定も他社では困難(保障対象外)。

通信仕様(プロトコル)も独自のものを採用。

施設・設備等の機器及び作業に制約が発生する。

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地方公営企業の契約(調達)の規程地方自治法(契約の締結)第二百三十四条 売買、貸借、請負その他の契約は、一般競争入札、指名競争入札、随意契約又はせり売りの方法により締結するものとする。

2 前項の指名競争入札、随意契約又はせり売りは、政令で定める場合に該当するときに限り、これによることができる。

地方自治法施行令(指名競争入札)第百六十七条 地方自治法第二百三十四条第二項の規定により指名競争入札によることができる場合は、次の各号に掲げる場合とする。

一 工事又は製造の請負、物件の売買その他の契約でその性質又は目的が一般競争入札に適しないものをするとき。

二 その性質又は目的により競争に加わるべき者の数が一般競争入札に付する必要がないと認められる程度に少数である契約をするとき。

三 一般競争入札に付することが不利と認められるとき。地方公営企業法施行令

(随意契約)第二十一条の十四 随意契約によることができる場合は、次に掲げる場合とする。

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上・下水道事業を支えた国産メーカーシステム近年になり、DCS等の生産用監視制御システムを導入している水道及び下水道等の関係

公共機関のなかで、調達におけるベンダーロックインの解消が課題とされるようになった。

しかし、そのことは集中制御をあまり必要としない自治体のプラントにおいても、機器数並び

に管理しなければならない情報と警報が多かったことから、大手ベンダーが専用に開発し日

本の産業を支えてきた高性能で高価な大型システムを採用したためであり、特に各ベンダー

が抱え込みを行おうとしたものではなく結果的にそのようになったものである。よって、開発

(導入)ベンダー以外での計装設備・遠隔制御システムの作業が困難になっていたのは、選

択肢がない発注者側が専用機を導入していたという経緯によるものと整理すべきと考えてい

る。

IoTの時代になったが、これまで各ベンダーが高度な技術力により努力を惜しまず開発した

専用のマシンにて、設備機器の安定稼働とベンダーが提供するサポートサービスを授受する

ことができ、上・下水道施設をほぼ無事に運転してきたことは心に留めておきたい。

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遠隔監視システム『縁 water』開発コンセプト

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施設は現地制御の自律分散型にて構成

フェイルセーフとフールプルーフ機構の導入

仕様と構成はオープン化・標準化・モジュール(ユニット)化する

デファクトスタンダード及びコモディティの導入

システム運用管理のアウトソーシング化

エンドユーザコンピューティング体制の構築

『計装設備・遠隔監視システム標準仕様書』の検討①

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基 本 仕 様 概 要 説 明

①業界標準(デファクトスタンダード)を採用

接続仕様等の標準化及び開示 技術趨勢に左右されにくいシステム構築 調達の適正化

②ICT及びオープン化技術を採用

ダウンサイジング化したシステム構成 更新、修繕、維持管理コストの削減 多くの技術者が参加する施設管理

③設備機器の汎用品(コモディティ化)の導入

計装・通信・サーバ等は極力市販されている汎用品を使用 機器類の安価で容易な調達(故障時対応の強化)

④施設毎の自律分散型システム構成へ移行

災害時、故障時のリスク回避 中央側システム及び通信異常時の安定稼働の確保 機器作業時の影響範囲の限定化

⑤フェールセーフ及びフールプルーフ機構を導入

災害時に最適な運転を選択 故障時に影響が出ないよう施設を保持 誤操作、誤判断を抑止する安全対策

『計装設備・遠隔監視システム標準仕様書』の検討②

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基 本 仕 様 概 要 説 明

⑥データセンターの活用 災害、セキュリティ対応の強化

運転コストの削減

遠隔監視システムのオープン化及び通信仕様の標準化

世界シェアが高い汎用SCADA(Wonderware® InTouch® )をプラットフォームとして開発

通信仕様としてOPC-DAを採用 国内に存在する多くの技術者の活用 地元に施設、設備に精通した技術者を育成し確保

⑧情報はポーリングによる単純取得

OPCによる通信はPLC・ゲートウエイ・M2Mルータ等にてポーリングで行い設備工事及び通信不良等による施設運転への影響を排除する

⑨保守管理はアウトソーシング 公民連携・民民連携の促進

エンドユーザコンピューテイングの実施 リモートエンジニアリング・メンテナンスの実施

6.遠隔監視システム『縁water 』の構築

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遠隔監視システム【縁water】のトップ画面

水処理プラントの導入イメージ

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水処理施設1

OPCサーバーOPCサーバー

A社制御装置

監視 データ収集 監視 遠隔監視モバイル監視

インターネット

Internet

Firewall

B社制御装置

水処理施設2

OPCサーバー

C社制御装置

・・・

Internet

水処理施設3

OPCサーバー

D社制御装置

・・・

中央監視所

少子高齢化で水道料収入が低迷・・・既存設備を部分的に更新して利用継続したい・・・複数ベンダーのシステム統合が課題・・・

現場のニーズ

設備ベンダーの違いを吸収!汎用品の組合せによるコスト低減!

OPC導入効果

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オープン型遠隔監視システム『縁 water』の概要図

オープン型遠隔監視システム『縁 water』の構成図

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松江市上下水道局中央管理センターのHMI

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サーバ室の免震ラックにハウジング

OPCーDAサーバ

SCADAサーバ

OPCーDAサーバ

DBサーバ(ヒストリカルサーバ)

そ の 他業務系サーバ

データセンター内のOPCサーバとSCADAサーバ

遠隔監視システム【縁 water】のグラフィック

© 2019 AVEVA Group plc and its subsidiaries. All rights reserved. 忌部川水系河川監視画面

遠隔監視システム【縁 water】のグラフィック

© 2019 AVEVA Group plc and its subsidiaries. All rights reserved. ポンプ場・配水池監視画面

松江市水道事業のPLC等の設置状況

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コントローラ メ ー カ ー 設 置 数

MELSEC 三菱電機㈱ 84

Sysmac オムロン㈱ 13

FA-M3 横河電機㈱ 6

EH-150 ㈱日立産機システム 1

NX(ネットワークモジュール ) アズビル㈱ 15

合 計 119

OPCサーバとネットワーク接続しているPLC等の一覧

縁 water構築におけるポーリングの状況

1.OPCタグ登録数

2.タグの稼働状況

○約250施設のうちPLC設置個所30カ所程度でサーバを割当て

○2,000~3,000タグ/OPCサーバ

○5秒間隔でポーリング(開発当初は5秒間隔で)

○CPU使用率30%を目標

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登録数 実使用数 AI AO DI DO 積 算

10,489 6,331 708 73 4,847 426 277

『縁』システムのシステム構成概念図

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HMI HMIHMIHMIHMIHMIHMI HMI

SCADA① SCADA③SCADA②HistoricalData Server

HistoricalData Server

OPC‐UAServer①‐1

OPC‐UAServer①‐2

OPC‐UAServer②‐1

OPC‐UAServer②‐2

OPC‐UAServer③‐1

OPC‐UAServer③‐2

OPC‐UAServer④‐1

OPC‐UAServer④‐2

PLCOPC‐UA

GatewayOPC‐UA

ブラウザで運転監視VPN(閉域網)

有線・無線の通信キャリアのサービスを利用

ポーリングで情報を収集

ポーリングで情報を収集

設備・機器・デバイス(施設は自律分散型で稼働)

= = =

遠隔監視システムで実現する水道/下水道の広域化・官民連携

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松 江 市上下水道局

水道用水供給事業者/受水団体

流域下水道事業者/参画団体

広域化の促進・共同調達・共同運用

汎用遠隔監視シ ス テ ム

【縁】

システム供給事業重電・計装メー

カー

重電・計装メーカー地元電気工事事業者地元管工事事業者地元設備工事事業者

メンテナンス事業者水質検査機関

他の水道事業者下水道事業者

事業体連携・仕様の開示・共同運用

調達の適正化地元事業者との連携施設管理の強化

委託化の促進地元事業者との連携施設管理の強化

仕様の開示教育・工事サポートデバイス供給

教育・工事サポートデバイス供給災害・故障対応

オープン型システム構築による効果

◆施設運転管理の機動性の確保・情報共有の実現

◆ 設備・機器・システムの拡張性の確保

◆ 運用コストの縮減(競争入札の実施)

◆ 災害時対応の強化

◆ 広域連携の実現(施設管理の連携の促進)

◆ 官民連携(アウトソーシング)の実現

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下水道遠隔監視システム『縁 swege』の構築について

2016年(平成28年度) 詳細設計業務(地方共同法人日本下水道事業団委託による発注で日本水工設計㈱が受注)

2018年(平成30年度~令和元年度) システム構築 2ヵ年の継続事業(地方共同法人日本下水道事業団委託による発注で新川電機㈱が受注)

【システム仕様】遠隔監視システムは『 InTouch 』にて構築通信仕様は『 OPC-UA 』を採用し全て携帯電話キャリア(4G/5G)にて接続PRODUCT• InTouch 2017 Runtime 3K Tag without I/O• Development Studio 2017 Unlimited, Unlim/60K/500• Wonderware Historian 2017 Standard, 5,000 Tag 〔DB〕

• Dream Report, 1000 Tags, v4.8 〔本体(帳票) 〕• Dream Report Web Client, 2 Concurrent, v4.8 〔 Client(帳票) 〕• Device Xplorer OPC Server (㈱たけびし)• Device XPlorer Data Logger (㈱たけびし) 〔 Mail発報用〕

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『縁 swege』の開発中の画面

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終わりに

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in conclusion

水処理に直接関係のない遠隔監視システムは

ダ ウ ン す る ・ 通 信 も 途 切 れ る

自然災害及びその他外的要因による水処理の中断は

極 力 回 避 す べ き で あ る

上 ・ 下 水 道 の 水 処 理 設 備 ( 機 器 ) は

全 て 単 独 で 稼 働 す る 単 純 な 構 造 で あ る

水 処 理 施 設 ・ 設 備 ・ 機 器 は

安全に単独稼働する自律分散型で構築する

上 ・ 下 水 道 の 遠 隔 監 視 シ ス テ ム は

制御を行わない監視及び単純な運転操作のみが良い

第2回 インフラメンテナンス大賞

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平成30年8月9日 中央合同庁舎2号館講堂鈴木茂樹総務審議官(総務大臣代理)より授与

【情報通信技術の優れた活用に関する総務大臣賞 受賞】

IoTを活用したオープン型遠隔監視システム構築による広域的水道施設の運転維持管理

国土交通省、総務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、防衛省の6省で設置。205件の応募の中から受賞事例32件(大臣賞・特別賞・優秀賞)を選定。

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インフラメンテナンス大賞 プレゼンテーションビデオ

【情報通信技術の優れた活用に関する総務大臣賞】

IoTを活用したオープン型遠隔監視システム構築による広域的水道施設の運転維持管理

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