感染予防・消毒と滅菌 - totoro.to · 1 感染予防・消毒と滅菌...
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感染予防・消毒と滅菌
標準予防策:2007年改訂での追加事項 “respiratory etiquette”
「ハナマスク」はかっこわるいですよ
before after
金具を鼻の形に合わせる
プリーツをのばして装着
この方は「ハナめがね」
http://retro-kanban.com/otsuka/
ハナマスク = 鉄人28号
http://characters.in/article/124679436.html
感染の3要素:感染防止の考え方
隔離(個室収容)
コホーティング(同病者同室)
治療 etc.
逆隔離
ワクチン接種
予防内服
標準予防策(standard precautions)
感染経路別予防策
etc.
感染源対策 感染経路対策 感受性個体対策
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感染制御 infection control
消毒と滅菌
滅菌と消毒:用語の定義
全ての微生物を殺滅or除去すること。
病原微生物を殺して感染性をなくすこと。
(イラストレイテッド微生物学:櫻井純著,南山堂より)
cf. 「殺菌」とは?
高圧蒸気滅菌法(オートクレーブ)
(三洋電機(株)ラボ・オートクレーブカタログより)
「121℃,15分」
○適した被滅菌物:
金属器具,ガラス器具,布製品,熱に強い液体薬品,一部のプラスチックなど
●滅菌できないもの:
熱・湿気に弱い精密機器(内視鏡など),熱で変性する試薬(タンパク質など),熱で変形するプラスチック器具など
特徴:短時間で確実,残留毒性がない,経済的
「オートクレーブできるものはオートクレーブで滅菌するのが基本」
乾熱滅菌法
(三洋電機(株)乾熱滅菌器カタログより)
「160℃,60分」
○適した被滅菌物:
ガラス器具,金属器具
●滅菌できないもの:
紙,布など焦げたり燃えたりするもの,液体試薬,プラスチックやゴムなど熱に弱い器具・機器類,
特徴:圧力がかからないので装置が単純,よって安全性が高い。●高圧蒸気滅菌より高温が必要。
濾過滅菌法
(ミリポア社カタログより)
メンブレンフィルターの場合,ポア(膜孔)径が0.22 マイクロメートル,0.45マイクロメートルなどの種類があり,通常,一般細菌は滅菌できるが,ウイルス,マイコプラズマは除去できない。
特徴:メンブレンフィルター,セラミック,中空糸フィルターなどを利用する。熱で変性する水溶液を滅菌できる。
ガンマ線滅菌
(「感染制御学」小林寛伊編,へるす出版より)
○最終包装(段ボール箱など)のままかけることができる。
●巨大な設備が必要●材質によっては劣化・変質に注意
ディスポーザブル器具などに適応される。
←ガンマ線滅菌施設(我が国には数か所しかない)
(中野原図)
(中野原図)
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酸化エチレン(エチレンオキサイド)ガス滅菌
三浦工業株式会社ホームページよりhttp://www.miuraz.co.jp/medical/index.html
酸化エチレンガス滅菌器
○37~60℃の比較的低温で行うので,熱に弱いプラスチック器具,精密機器などに適応できる。
○プラスチック膜を通過するので包装したまま滅菌できる。
●ガスは刺激性。滅菌後のガス抜き(エアレーション)が必要で,そのため滅菌に時間がかかる。
●残留毒性の問題がある。使用環境でのガス曝露の危険性もある。
過酸化水素ガスプラズマ滅菌
ジョンソンエンドジョンソンメディカルカンパニーホームページより
http://www.jnj.co.jp/jjmkk/index.html
過酸化水素ガスプラズマ滅菌器 ○45℃と比較的低温で行うので,熱に弱いプラスチック器具などに適応できる。
○過酸化水素は最終的に水と酸素になるので,残留毒性の心配がない。
○エアレーションが必要ないので短時間で処理が可能。
●ガーゼ,布,紙,綿花などの天然素材の繊維製品は過酸化水素を吸着するので適さない。
●浸透性がないのでチューブ状のものは滅菌できない。
●プラズマ状態を発生させるために減圧するので,液体は滅菌できない。
(ステラッド®)
消毒
• 煮沸消毒• 100℃ for 10 – 30 min
• 化学消毒• グルタルアルデヒド(グルタラール)
• ホルムアルデヒド(ホルマリン)
• 次亜塩素酸ナトリウム
• ポビドンヨード
• グルコン酸クロルヘキシジン
• 逆性石けん(塩化ベンザルコニウムなど) など
・(追加)熱湯消毒:ウォッシャー・ディスインフェクター
煮沸消毒器(シンメルブッシュ)
アズワン社カタログより(AT-40) 印西市立印旛医科器械歴史資料館HPより
ウォッシャー・ディスインフェクター
熱水消毒に関し,わが国ではリネン類で80℃・10分間の基準があるが,器具類に対しては規定されていない。欧米では,ドイツ(リネン:90℃・15分,器具類:93℃・10分)などの規定がある。
熱水を用い,洗浄と消毒を同時に行う機械。食器類の洗浄,リネンの洗浄・消毒,医療器具の洗浄などに用いられる。
(医療器具用の例)
自治医大病院のセレウス菌血流感染アウトブレイク事例
○2006年4月頃から,自治医大病院の血液培養サンプルからBacillus
cereus分離例が頻発することが同病院ICTによって発見された。
○調査の結果,24例から同菌が分離されたが,菌血症起因菌である
と考えられたものが8例,その他はコンタミと考えられた。8例中,
2名が死亡,1名が失明,残り5名はその後の治療で寛解した。
○環境調査の結果,病棟の未使用の清拭用タオルから平均177.75
CFU/cm2と,通常では考えられない量のB. cereusが検出され,リ
ネン類の汚染が強く疑われた。
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自治医大病院のセレウス菌血流感染アウトブレイク事例 工業用大型連続洗濯機
http://www.c-online.net/exhibit/asahi2008/
消毒薬(化学消毒剤)
どうしてこんなにいっぱい種類があるんだろう。覚えるのも大変だしなあ。ええい,いっそのこと。。。
(中野原図)
消毒薬(化学消毒剤)
こうはならないのだろうか。
☆すべての微生物種(一般細菌,結核菌,芽胞,ウイルス,真菌の胞子など)に有効!☆どんな消毒対象(手指,粘膜,環境,金属製品など)でも適応できる!
(中野原図)
消毒薬
つまりこういうことなのね。
有効な微生物種(スペクトル)が広い消毒薬は消毒対象が限られる。消毒対象が広い消毒薬は抗微生物スペクトルが狭い。
×「諸刃の剣」
状況に応じて適切な消毒薬を選択する必要がある。↓
Spauldingの分類などを参考にするとよい。
(中野原図)
消毒薬の種類
消毒適応部位
人体 医療
器材
水
準 消毒薬
手指
術野皮膚
術野粘膜
皮膚創傷部位
粘膜創傷部位
腟洗浄
外性器皮膚
結膜嚢
口腔粘膜
金属
非金属
環境※1
排泄物※2
高 グルタラール × × × × × × × × × ○ ○ × ×
次亜塩素酸ナトリウム × × × × × × × × × × ○ ○ ○
ポビドンヨード ○ ○ ○ ○ ○ × ○ × ○ × × × ×
ヨードチンキ ○ × × △ × × × × △ × × × ×
エタノール ○ ○ × × × × × × × ○ △ ○ ×
イソプロパノール ○ × × × × × × × × ○ △ ○ ×
0.5%クロルヘキシジンエタノール液 × ○ × × × × × × × ○ △ ○ ×
フェノール △ × × × × × × × × △ △ △ ○
中
クレゾール △ △ × × × △ × × × △ △ △ ○
塩化ベンザルコニウム ○ △ ○ △ ○ ○ × ○ × ○ ○ ○ △
塩化ベンゼトニウム ○ △ ○ △ ○ ○ × ○ × ○ ○ ○ △
塩酸アルキルジアミノエチルグリシン △ △ △ △ △ × × × × ○ ○ ○ △ 低
グルコン酸クロルヘキシジン ○ ○ × ○ × × ○ ○ × ○ ○ △ ×
真菌 ウイルス
水
準 消毒薬
グラム陽性菌
グラム陰性菌
酵母
糸状菌
結核菌
芽胞
エンベロープ有
エンベロープ無
HIV HBV
高 グルタラール ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
次亜塩素酸ナトリウム ○ ○ ○ ○ ○ △ ○ ○ ○ ○
ポビドンヨード ○ ○ ○ ○ ○ △ ○ ○ ○ ○
ヨードチンキ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ -
エタノール ○ ○ ○ △ ○ × ○ △ ○ ?
イソプロパノール ○ ○ ○ △ ○ × ○ △ ○ ?
0.5%クロルヘキシジンエタノール液 ○ ○ ○ △ ○ × ○ △ ○ ○
フェノール ○ ○ ○ △ ○ × △ × - -
中
クレゾール ○ ○ ○ △ ○ × △ × - -
塩化ベンザルコニウム ○ ○ ○ △ × × △ × - -
塩化ベンゼトニウム ○ ○ ○ △ × × △ × - -
塩酸アルキルジアミノエチルグリシン ○ ○ ○ △ ○ × △ × - - 低
グルコン酸クロルヘキシジン ○ ○ ○ △ × × △ × - -
抗微生物スペクトル 適応できる消毒対象vs
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トピックス(なかの分)