支部セミナー「2011年事業開運のコツ ~家族と事業を占う~」 ·...

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支部セミナー「2011年事業開運のコツ ~家族と事業を占う~」 日時:平成23年6月21日(火) 15:30~17:00 会場:名古屋栄東急イン 講師/大田 昌和氏 伊庭 夢希実さん 主催:名古屋中法人会栄東支部 支部長 辻本 昌孝氏 占いの世界では、過去の関東大震災・阪神淡路大震災を 予言したらしい。しかし今回の東日本大震災は、「びっく りしました! 東南海大地震がいつ来るのかも分かりませ ん!」と正直に語る講師。『当たるも八卦 当たらぬも 八卦』と知りつつも、興味深い易経のセミナーが開催され た。 「貴方は、93歳で死ぬ。貴方は…」 講師の大田昌和氏とアシスタントの伊庭夢希実さんの 手相見では、講師は全員が85歳以上生きると太鼓判を押 し、「一番前のこの女性だけが、長生きで金持ちでした。 この人の運気をいただきます」と両手でニキニギと握手し て笑いを誘っていた。 生年月日で人の運勢は決まっているそうだ。易経の九 星で私は、『二 こく せい 』とある。マスの1から9までの数 字を縦横斜め3マス合計が全て15になるという不思議な 『九宮魔方陣』を見ながら、◎○△×の記号を運気サイク ル表に書き込み、今年から平成31年までの9年間のバイ オリズムを知ることができる。 「易学をネガティブに考えてはいけません。家相も鬼門 にあまりこだわらないこと。家を新築できるような人は幸 運に恵まれたということ。幸運な人は、運気サイクルのバ イオリズム表も幸・不幸の水準線が他の人より下にあるの です。水運の年は、転ばぬ先のツエと構えれば、何も問題 ないとポジティブに考えることが大切です。 9年に必ずやってくる厄年も、社会に奉仕する『お役が 回って来た』と歓迎しましょう」。講師のポジティブなア ドバイスと巧みな話芸に感心させられた。 栄東支部長の辻本昌孝氏は、被災地石巻での炊き出しの 体験と地元新聞を手に、子どもたちの防災意識の大切さを 紹介した。 児童数108名の石巻市大川小学校は74人が死亡・不明 する悲劇に見舞われた。一方、震災で1,300人を超す犠牲 者が出た釜石市では、約3,000人の小中学生が無事であっ た。4月24日の新聞によれば、「平成22年4月、群馬大 学大学院の片田敏孝教授は、『人は危機に際し、率先して 避難できず、危険を過小評価し、心の安定を保とうとする “正常化の偏見”という傾向がある』と指摘して、市内14の 小中学校の全学年を対象に、発達段階に応じた津波防災教 育を正規の授業で実施するプログラムを立ち上げ、『自分 の命を守る行動を最優先しろ。それが周囲を救う』と指導 を始めた。大津波が襲ったのはその取り組みの途上であっ た。教授は『指導が至らず子どもたちを死なせてしまった のでは』。状況もわからぬまま、3月14日に陸路釜石入り した。教授を待っていたのは、『学校にいた子どもたちは 全員無事。先生ありがとう』と再会した市職員の感謝の言 葉。教授は涙を抑えられなかった」と報道している。 東南海大地震に備えた新たな防災教育の実施が不可欠と なっている。ところが、中区の各戸に配布する「平成23 年度 ~あなたの街の避難所マップ~」は、厳しい市の財 政で未だに発行できないと聞く。 支部セミナー『2011年事業開運のコツ』は、易の世 界からヒントを得てこれからの行動と心構えを学びなが ら、同時に、一人ひとりの防災の心得を改めて自覚するこ とができた。 東南海大地震は、いつ来るのか? 36 NAKA 平成23年秋号

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支部セミナー「2011年事業開運のコツ ~家族と事業を占う~」日時:平成23年6月21日(火) 15:30~17:00 会場:名古屋栄東急イン 講師/大田 昌和氏 伊庭 夢希実さん 主催:名古屋中法人会栄東支部

支部長 辻本 昌孝氏

占いの世界では、過去の関東大震災・阪神淡路大震災を予言したらしい。しかし今回の東日本大震災は、「びっくりしました! 東南海大地震がいつ来るのかも分かりません!」と正直に語る講師。『当たるも八卦 当たらぬも八卦』と知りつつも、興味深い易経のセミナーが開催された。「貴方は、93歳で死ぬ。貴方は…」講師の大田昌和氏とアシスタントの伊庭夢希実さんの

手相見では、講師は全員が85歳以上生きると太鼓判を押し、「一番前のこの女性だけが、長生きで金持ちでした。この人の運気をいただきます」と両手でニキニギと握手して笑いを誘っていた。生年月日で人の運勢は決まっているそうだ。易経の九

星で私は、『二じ

黒こく

土ど

星せい

』とある。マスの1から9までの数字を縦横斜め3マス合計が全て15になるという不思議な『九宮魔方陣』を見ながら、◎○△×の記号を運気サイクル表に書き込み、今年から平成31年までの9年間のバイオリズムを知ることができる。「易学をネガティブに考えてはいけません。家相も鬼門

にあまりこだわらないこと。家を新築できるような人は幸運に恵まれたということ。幸運な人は、運気サイクルのバイオリズム表も幸・不幸の水準線が他の人より下にあるのです。水運の年は、転ばぬ先のツエと構えれば、何も問題ないとポジティブに考えることが大切です。9年に必ずやってくる厄年も、社会に奉仕する『お役が

回って来た』と歓迎しましょう」。講師のポジティブなアドバイスと巧みな話芸に感心させられた。

栄東支部長の辻本昌孝氏は、被災地石巻での炊き出しの体験と地元新聞を手に、子どもたちの防災意識の大切さを紹介した。児童数108名の石巻市大川小学校は74人が死亡・不明する悲劇に見舞われた。一方、震災で1,300人を超す犠牲者が出た釜石市では、約3,000人の小中学生が無事であった。4月24日の新聞によれば、「平成22年4月、群馬大学大学院の片田敏孝教授は、『人は危機に際し、率先して避難できず、危険を過小評価し、心の安定を保とうとする“正常化の偏見”という傾向がある』と指摘して、市内14の小中学校の全学年を対象に、発達段階に応じた津波防災教育を正規の授業で実施するプログラムを立ち上げ、『自分の命を守る行動を最優先しろ。それが周囲を救う』と指導を始めた。大津波が襲ったのはその取り組みの途上であった。教授は『指導が至らず子どもたちを死なせてしまったのでは』。状況もわからぬまま、3月14日に陸路釜石入りした。教授を待っていたのは、『学校にいた子どもたちは全員無事。先生ありがとう』と再会した市職員の感謝の言葉。教授は涙を抑えられなかった」と報道している。東南海大地震に備えた新たな防災教育の実施が不可欠となっている。ところが、中区の各戸に配布する「平成23年度 ~あなたの街の避難所マップ~」は、厳しい市の財政で未だに発行できないと聞く。支部セミナー『2011年事業開運のコツ』は、易の世界からヒントを得てこれからの行動と心構えを学びながら、同時に、一人ひとりの防災の心得を改めて自覚することができた。

東南海大地震は、いつ来るのか?

36 NAKA 平成23年秋号

第60回広小路夏まつり なごや昇龍みこし日時/平成23年8月20日(土)・21日(日) 17:00~21:00

ダ・カ・ラ・オ・モ・シ・ロ・イ

40.9度の記録に多治見と熊谷が「日本一暑い町」を競い、名古屋も昔から京都と並んで暑い町と知られているが、祭り大好きな市民の心意気は熱い。2008年に誕生した秋元康プロデュースのアイドルグルー

プ「SKE48」、名古屋市が開府400年に結成させた「名古屋おもてなし武将隊」と愛知県の「あいち戦国姫隊」も今夏から活動を始めた。中区では「大須の世界コスプレサミット」「久屋大通公園

のにっぽんど真ん中祭」が開催され、恒例の「広小路夏まつり」は、名古屋の顔として歴史ある広小路一帯で展開される納涼夏まつりとして知られ、沿道には屋台が並び、いたるところでライブが繰り広げられ、市民に解放された広小路は、和太鼓、警察音楽隊・学生たちのブラスバンド、名妓連・婦人会の踊り、デパートなどの山車や華やぎ、毎年30万人以上が祭りを楽しむ。ハイライトは名古屋中法人会支部の錦三丁目・御園・栄東

が後援する「なごや昇龍みこし」である。

中区の木「イチョウ」で製作された龍の形のみこしと赤と青のハッピ姿のみこしクイーンと男衆が朝日神社境内に集結している。今年は法人会からも初めてみこしクイーンがエントリーされ、中区育ち在中の生粋の栄っ子を自認する加藤紘子さんは奨励賞に輝いた。なかでも強力な助っ人は、一際目立つ富永啓之氏(身長

211㎝)であった。バスケットボールの名門・高校洛南高校から日本大学へ進み、強豪三菱電機ドルフィンズ(現 ダイヤモンド・ドルフィンズ)に入団、1998年の世界選手権のメンバーに選ばれた名選手である。富永氏は「本当は僕も担ぎたかったんですが、バランスが

取れそうもないので声援に廻りました。みこしは初めての体験でしたが、とても楽しかったです。来年も機会をいただけたらぜひ参加したいと思いました」と温かいコメントを寄せられ、友人の法人会経営研究会の加藤幸博氏は、「彼のハッピは、上から下まで全部特注!」と愉快な舞台裏話も聞くことができた。

強力な助っ人参上!

広小路を練り出す「なごや昇龍みこし」

朝日神社境内のみこしクイーンと男衆 1日目 2日目

栄広場特設ステージ「みこしクイーン2011」発表(21日)法人会御園支部長の武藤 俊明氏(21日)

龍の大うちわと富永 啓之氏

NAKA 平成23年秋号 37

みんなに笑顔を、クラウンがやってきた!

名古屋中法人会主催の、地域にあいさつの大切さを普及するスマイルキャンペーンのツール。“笑顔であいさつ”ワッペン

花の種

38 NAKA 平成23年秋号

県立名古屋養護学校は、肢体不自由児のために、昭和31年県下最初の養護学校「愛知県立養護学校」として開設され、以後各地に特別支援学校が設立されたことに併せて、昭和38年現在の校名に名称変更された。西区・北区・中区・中村区・東区と北名古屋市・清洲市を校区として、小学部・高等部の児童生徒の教育課程のほか、身体機能の回復や増進を図るとともに、障がいによる学習並びに生活の改善・克服する姿勢を育てる「自立活動」を行っている。校内には、昭和43年3月の皇太子・皇太子妃両殿下(今上天皇・皇后両陛下)が子どもたちの学習をご見学された写真や、桑原幹根前愛知県知事・杉戸清前名古屋市長の書が掲げられている。公演前に、大場幸校長からこの学校の特色を伺った。「開設当初は、腰掛けに座れる子どもたちも多かったようですが、現在は児童の9割が車椅子で、寝たきりの子も増え、呼吸器などが欠かせない子どもたちもいます。小出さんよりこの企画をいただいてから、子どもたちとスタッフがとても楽しみに待っていました。今日は公演以外にもノート・ボールペン・下敷き・ゲゲゲ漫画・ファイル・スマイルキャンペーンワッペン(笑顔であいさつ)などの素敵なプレゼントもいただき、本当にありがとうございました」と笑顔で話された。廊下には宮沢賢治の『雨ニモマケズ』の書や、子どもたちの絵画、スタッフたちの手作りの作品が貼ってあり、この学校の温かさを感じさせた。児童会の子どもたちの歓迎のことばに、5名のクラウンたちのパフォーマンスは、いつもより張り切って見える。広い講堂の入り口付近から舞台まで空中を飛ぶコマに驚かされ、2本の縄を巧みに操る縄跳びの妙技は、クラウンの定期公演では披露されることがあったが、施設では初めて観た。気が付けば、他の学部からの見学者が増え、会場は熱気に包まれた。恒例の皿回しもいつもに増して盛り上り、会場のいたる所で記念写真が撮られていた。公演後、児童会のお礼のことばを受け、クラウンが「アリガトウ! マタ、遊ボウネ」とゆっくり大きな声で応えると、子どもたちから大喜びの拍手と歓声があがった。後日、小学部教務主任の小林智子先生から、児童会の心温まる礼状が寄せられた。

愛知県立名古屋養護学校・小学部日  時/平成23年6月15日㈬ 10:20~11:40所 在 地/名古屋市西区中小田井対 象 者/小学部1~6年生約110名・スタッフ80名クラウン/ナッツ、タマ、チャン、ジュン、げっこー 5名参  加/事業委員 山本 敦子さん紹  介/女性部会 小出 朋子さん

みんなに笑顔を、クラウンがやってきた!

NAKA 平成23年秋号 39

愛知県立名古屋養護学校児童会の礼状

ごみばこにスッポリ入ったクラウンにビックリです。

1年生

4年生

6年生

4年生

6年生 5年生 4年生

4年生 1年生

1年生 一輪車の絵のようです。1年生

右の「またきてね」が見えなくほど元気イッパイです。1年生

クラウンが赤い鼻の上に新聞紙を逆立ちさたコラージュ作品です。

40 NAKA 平成23年秋号

[雨にも負けず]

雨にも負けず風にも負けず

雪にも夏の暑さにも負けぬ丈夫な身体を持ち慾はなく決して瞋

いか

らず(※1)いつも静かに笑っている

一日に玄米四合と味噌と少しの野菜を食べあらゆることを自分を勘定に入れずによく見聞きし分かりそして忘れず

野原の松の林の蔭の小さな萱ぶきの小屋にいて

東に病気の子どもあれば行って看病してやり

西に疲れた母あれば行ってその稲の束を負い

南に死にそうな人あれば行って怖がらなくてもいいと言い

北に喧嘩や訴訟があればつまらないからやめろと言い

日照りのときは涙を流し寒さの夏はおろおろ歩き

皆にデクノボーと呼ばれ褒められもせず苦にもされず

そういう者に私はなりたい

2011年4月11日、米国ワシントンのナショナル大聖堂で、宗派を超えた東日本大震災の追悼式が開かれ、サミュエル・ロイドⅢ大聖堂長による復興の祈りの後、『雨ニモモケズ』が英語で朗読された。

宮沢 賢治(1896-1933)岩手県花巻出身 詩人・童話作家『雨ニモモケズ』は、賢治没後、遺品の鞄の中から偶然発見された黒手帳に鉛筆で書かれた遺作メモ。原文は漢字とカタカナ。

齋藤 宗次郎(1877-1968)岩手県花巻出身 無教会主義キリスト教創始者内村鑑三の弟子“サウイフモノニ ワタシハナリタイ"と結んだ『雨ニモモケズ』のモデル。

禅寺の三男に生まれた宗次郎は、内村鑑三に影響されクリスチャンになったが、「ヤソ教」「国賊」と蔑まれ親からも勘当された。投石でガラスを割られたり、近所の火事では嫌がらせの放水で自宅を壊されなどの迫害を受ける。9歳の長女愛子は男子生徒に腹を蹴られ腹膜炎を起こし、両親に賛美歌を歌って欲しいと願い、『神は愛なり』と書き天に召される。教師を追われた宗次郎は、他国に移住せず、人々に神の愛を持って仕える道を選ぶ。毎日40㎞の牛乳・新聞を配達する道すがら、村人から「デクノボー」と呼ばれながら、雨の日、風の日、雪の日も戸口で祈りを捧げ、子どもにはアメ玉をやり、病人を見舞い、励まし続けた。やがて宗次郎は、村人から「名物買うなら花巻おこし、新聞をとるなら斎藤先生」と慕われるようになった。1926年、東京の内村鑑三に招かれて花巻を去る日、駅舎には、町長、有力者、教師、生徒、神主、僧侶、一般人や物乞いにいたるまで身動きをとれないほどの人々が集まり、駅長は発車時刻を延ばし汽車がプラットホームを離れるまで徐行させた。その群衆の中に若き日の宮沢賢治がいた。

※1 瞋(しんい)は、仏教で言う三毒・十悪のひとつ。怒り・憎しみ・怨みなどの増悪の感情。現代語表記では「怒らず」を用いている。

NAKA 平成23年秋号 41

木々と池の小幡緑地、竜泉寺と庄内川。2つの会場は自然に恵まれた閑静な住宅地の中にある。33回を数える公演で、2ヶ所のクラウン派遣は初めて。手慣れたとはいえ、設営・撤去・移動、そして設営・撤去と大忙しの一日であったが、一方発見もあった。一輪車・ジャグリング・玉乗り・風船・皿回しの妙技に、認知症で入所された方たちの歓声と拍手が絶えない。いつもと違う明るい会場の雰囲気に、介護スタッフの人たちも笑顔が溢れていた。発見はクラウンの横断幕の使い方。これまで公演後、全員が会場を退出してから横断幕を片付けた。今回は入所者の退出に時間を要することもあり、移動のため横断幕を早々に収納しなければいけなかった。「その幕をみなさんに持っていただいて、記念写真を撮ってもいいですか」。介護スタッフの突然の申し出で、記念撮影に花を添えることができた。残念ながら肖像権・個人情報を守る観点から広報誌には掲載することは適わないが、公演を盛り上げるアイデアを見つけることができた。女性3名のクラウンはハピネス守山の公演後、化粧や衣裳そのままで、15分程離れた第二会場のハピネス吉根に急行した。道中、クラウンが運転する車を見た人たちはビックリしたに違いない。“みんなに笑顔を、クラウンがやってきた!!”社会福祉施設への派遣が“町に笑顔を”となったエピソードも愉快であった。

グループホームハピネス守山認知症対応型共同生活介護施設

日  時/平成23年7月22日㈮ 13:30~14:00所 在 地/名古屋市守山区西城

グループホームハピネス吉根認知症対応型共同生活介護施設

日  時/平成23年7月22日㈮ 14:30~15:00所 在 地/名古屋市守山区桔梗平

クラウン/シャンティー、ガーコ、タマ 3名紹 介 者/青年部会 岩田 明子さん

みんなに笑顔を、クラウンがやってきた!

町にも笑顔を

42 NAKA 平成23年秋号

この日は、施設の夏まつりに併せて行われた。ロビーと昨年9月に開催したホールには、敬老会を歓迎する焼きそば・かき氷、みたらし団子・タコ焼き・わらび餅コーナーが設営され、施設スタッフによるソーラン踊り、さらにカラオケ大会など多彩なイベントも開かれていた。入所者とその家族が待つ3階のクラウンバフォーマンス特設会場は満席で、熱演するクラウンたちの額に汗がにじみ、盛んな拍手を受けていた。色とりどりのゆかた姿の入所者も見られ、記念写真に華やかさを添え、夏まつりの雰囲気を一層盛り上げていた。公演後、クラウンたちは会場に出向けない重度の入所者の部屋を訪問し、家族と一緒に楽しいひとときを過ごすこともできた。後日、事務局に届けられた色紙には、カラフルなハートを背景に、クラウンと一緒に撮った切り抜き写真に「生まれてはじめて『ピエロ』をみましたがとても面白かったです」「笑いはコミュニケーションに一番!!ありがとう」などがそれぞれ添えられ、スタッフからも「とっても楽しいひとときでした。利用者の皆様も大変喜ばれていました。ありがとうございました」とお礼の言葉をいただいた。

昨年3月の訪問以来二度目となったこの日は、施設では夏まつりのイベントが開かれ、孫・ひ孫を連れた多くの家族が訪れていた。会場ではタコ焼きの実演とクラウン・サーカス、それにスタッフによるソーラン踊りも披露され華やいでいた。客席一番前のご婦人が大きな手拍子で声援されていた。スタッフに尋ねるとこの方は、三味線を80過ぎまで奏でられ、この4月107歳の誕生日を迎えられたそうだ。 今年は大正元年から数えて100年。明治・大正・昭和・平成と4時代を生き、笑顔で力強くクラウンの手を握る凛としたお姿を拝見することができた。

特別養護老人ホーム・ユートピアつくも社会福祉法人九十九会

日  時/平成23年8月10日㈬ 13:40~14:40所 在 地/名古屋市中区新栄クラウン/カノン、タマ、アイアイ 3名紹  介/中区社会福祉協議会 大野 裕代さん

社会福祉法人デイサービスセンターなか中区介護保険事務所

日  時/平成23年8月4日㈭ 14:30~15:30所 在 地/名古屋市中区上前津クラウン/カノン、ジュン、げっこー 3名紹  介/女性部会 津田 純子さん

みんなに笑顔を、クラウンがやってきた!みんなに笑顔を、クラウンがやってきた!

夏まつりとクラウン入所者の作品

NAKA 平成23年秋号 43

「当たり前のこと」を

 「当たり前にする」ことで創造性が生まれる

御菓子所 

松河屋老舗 

代表取締役社長 

西野 嘉高氏

取材日時/平成23年8月31日㈬取材場所/御菓子所 松河屋老舗き き て/森田文二・加藤育美・     古市晴比彦・清水正彌

良品廉価が支持されて創業百五十年――ご創業についてお聞かせください。

創業は文久2年(1862)、幕末の頃と聞いております。 正確な文献が焼失していますので、昔からの言い伝えでは、創業者は岐阜の大垣辺りで木曽駒・美濃駒の仲買業(馬貸し業、運送業)をしていましたが、名古屋の八事でおてんとう祭りがあったときに、蕎麦饅頭を売ったのが菓子を取り扱ったきっかけと聞いています。――最初は兼業されていたのですね。

和菓子屋を生業としていたのではなかったようです。業態をシフトさせていったのでしょう。――この地で営業されたのは、いつ頃からですか。

昭和25年に株式会社松河屋を現在地で設立いたしまして、今年61周年になります。それ以前は千種にお店があり、東新町に移り、最終的にこちらに移転したと聞いています。――表の看板は歴史を感じさせますね。

いつの頃のものかわかりませんが、ここに移転する前の店のときからあったと聞いております。――150年の歴史を守り続けられた秘訣はどこにあると

お考えですか。

和菓子屋は、地域の方に愛されて育つ商売ですから、当社の“良品廉価”の商いが地元の人のご愛顧を賜ったのではないかと思っています。

44 NAKA 平成23年秋号

菊は高貴で目出度い花――販売店はどのくらいありますか。

店舗は本社、平針店、春日店の3カ所を旗艦店として、あとは13府県の駅や空港などのターミナルビル、量販店などに展開、300店舗ほどあります。――お店の特色をお聞かせください。

昔からレシピが変わらない商品の他に、あっさりした後味になるように、できる限り高価で良い材料を使い、それを企業努力で安価でお売りする。それも地域・文化に合わせた商品で展開するのが当社の考え方です。――13府県で販売されておられますと「名古屋のお菓

子」ではなくて、全国的なお菓子になりますね。

お客様のご贔屓で13府県に店舗を出店させて頂いておりますが、地元の人に愛されて育てていただいたのですから、お菓子で恩返しできればと思っています。基本は名古屋で愛されるお菓子でありたいと思っています。――和菓子は彩り豊かで見ていても美しいですね。

和菓子は、自然のものをモチーフにしているものが多いです。これからは芋、栗などがメインになります。上生菓子は二十四節気に合わせて作ります。(※1)

9月9日は重陽の節句と申します。古来中国の思想では9という数字が一番目出度いので、9が重なる9月9日には、菊の花弁を酒に入れて飲み、長寿を祝います。9月にはいろいろな菊の生菓子が作られます。

愚直な努力に勝る天才はいない――お生まれはどちらですか。

名古屋市郊外の岩倉で生まれ、高校までいました。いま住んでいるのは名古屋市内です。――他店で修行はされましたか。

大学卒業後、大阪高麗橋にある老舗和菓子屋の菊屋さんで5年ほど修行させて頂きました。菓子屋の息子は採用しないという和菓子屋さんですが、ご紹介をして頂き働かせてもらいました。丁稚奉公です。修行後名古屋に戻ってきました。 ――当主を受け継がれたのはいつでしたか?

こちらに来て11年目のとき、先代の代表が病気で急逝しまして、昨年の9月に当主になり、約1年経ちました。まだ私は39歳の若輩者、役不足ですが拝命させていただきました。私で9代目の代表になります。――先代から教えられたことはありますか。

私が社員によく言うことは、「当たり前のことを当たり前にやって欲しい」です。そうしたときに新しいもの、創造性が生まれるのです。「愚直な努力に勝る天才はいない」と思うからで、くどいほど繰り返し言っています。職人が「まぁいいか」と妥協したり諦めてしまうと、先が見えなくなります。基本の手を抜く人間に本物は創れませんし、お客様に感動を伝えることは絶対にできません。

NAKA 平成23年秋号 45

――子どもさんも楽しめるのがいいですね。

小さい子どもさんがおられると、アンパンマンとか即興で作るのですが、大喜びされます。喜んで参加していただけるのがいちばん嬉しいです。

赤提灯で、わいわい飲めばストレスもなし――社長の一日を教えてください。

工場は6時にボイラーの火が入り、それぞれの部所に分かれて製造をしていきます。現場には普段から立ち入りますが、繁忙期には製造にも携わります。普段は会社に来てメールをチェックして、商談、打ち合わせ、外回り、新商品開発などをしていると一日が終わります。――お菓子の繁忙期はいつですか。

年に3回、盆と年末、年始です。あとは春先の3月、4月の人が動く時期が忙しいです。職人が生菓子を作る数には限界があります。作った日に販売するのですから、お彼岸のおはぎなど、たくさん作らなければならないものは朝の4時5時から作り始めます。上生菓子はできたてが最高ですが、焼菓子など1日2日経って美味しくなる物もあります。固さのなかに柔らかさが戻ってきて食感がすごく良くなるのです。作り立てのほうが美味しいお菓子が多いのですが、羊羹は、くるんである包装をはがして一日ほど置いておく

好評の和菓子教室――名古屋の和菓子事情、将来のビジョンについてお聞

かせください。

名古屋の生菓子組合に所属していますが、年々組合員が減っていますので、業界全体で盛り上げることがいちばん大事と思っています。いまはどこででも手軽に手に入る時代になり、本当の和菓子の良さが伝わっていないと思います。和菓子は日本古来の伝統文化であり、私たちが守り継承・伝えていくのが使命であり、義務だと思います。最近は“食育”という言葉をよく聞きますが、日本の行事すべてに関わるものが和菓子で、例えば誕生餅、赤飯、葬儀用の饅頭など、常に生活に密着しています。和菓子の魅力をアピールするために、力を入れているのが和菓子教室です。小さい頃からお菓子に触れていただきたいと思い、特にお子様連れの人に参加していただいて、ご自分で作ったものを食べていただくのですが、すぐに予約がいっぱいになるほど好評です。そういう地道な努力を続けていくのが肝要であると考えています。――和菓子教室ですか、面白そうですね。

眼の前で作る職人の技を見るのは楽しいですし、同じように作っていただくのですが、当然、同じようにはできません。しかしながら、それがまたいいのです。

お子様連れの和菓子教室は大好評です。

46 NAKA 平成23年秋号

と再結晶してガリガリになるくらい真っ白になります。それを私どもは“シャる”と言いますが、砂糖が再結晶したところをサクッと食べるのは最高に美味しいですよ。――ご趣味は?

昔、ギターと三味線を弾いていましたので、いまでもジャンルを問わず音楽鑑賞が大好きです。暇さえあれば音楽を聴いていますね。――三味線とは珍しいですね。

もともとはギターが好きで弾いていましたが、和の楽器に興味がわきまして、目に留まったのが三味線でした。弾いてみたら面白くなってしまい、地唄をやっていました。それ以前はバンドもやっていました。――ゴルフはされますか。

最近始めたばかりで、まだまだ皆様の足を引っ張っている状況です。――ストレス解消法は何ですか。

お酒が好きなので、気分転換を図るために、先輩、同僚、同業の人と赤提灯で、わいわい飲むのが楽しいです。そうすると辛いことがあってもスパッと忘れられます。――JCとかは?

社外活動をする余裕があまりなく、そういうところに参加することができませんでした。いま、お誘いは頂戴するのですが、ご無礼させていただいています。――法人会の青年部会は出席義務が緩いので、気軽に入

会してください。こんな講演は面白くなさそうだなと思

いつつ参加すると、意外にこれが面白いです。異業種の

友人が増え、自分の領域が広がりとても勉強になります。

 では最後に夢を教えてください。

「ああいう会社になりたい」「ああいう会社っていいよね」と言われる会社にしたいです。私は人、特に社員を大切にしたいと思っていますので、社員が地域を愛し、誇りをもって、伝統文化である和菓子を継承、伝えていくことができる職場作りのために頑張っています。会社の夢を数字で言うのは味気無いです。大切なのはハート、それだけは見失わないようにと心掛けています。――東日本大震災があって、人と人の絆の大切さが言わ

れましたが、本当に人、ハートが大切だと思います。

これからもますます発展されることをお祈りしています。

取材の折り、出していただいた菓銘「一重草(いちえぐさ)」。桔梗の別称で、「桔梗の花弁は1弁ですが、途中から5弁になります」とのお話でした。

※二十四節気中国の気候をもとに季節を表す名称を付したもので、日本の気候とは合わない名称や時期もあります。日付は年によって変動します。季節 節月

春一 月 立春(2月4日)・雨水(2月19日)二 月 啓蟄(3月6日)・春分(3月21日)三 月 清明(4月5日)・穀雨(4月20日)

夏四 月 立夏(5月6日)・小満(5月21日)五 月 芒種(6月6日)・夏至(6月21日)六 月 小暑(7月7日)・大暑(7月23日)

秋七 月 立秋(8月7日)・処暑(8月23日)八 月 白露(9月8日)・秋分(9月23日)九 月 寒露(10月8日)・霜降(10月23日)

冬十 月 立冬(11月7日)・小雪(11月22日)十一月 大雪(12月7日)・冬至(12月22日)十二月 小寒(1月5日)・大寒(1月20日)

NAKA 平成23年秋号 47