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インドネシアの天然林択伐コンセッションの持続性
公開セミナー「インドネシアの森林管理政策・制度の現状と課題」2016/12/15 東京大学農学部中島董一郎記念ホール
鮫島弘光地球環境戦略研究機関
Sustainability of Natural Forest Concession in Indonesia
2222
5.68
2.470.15
5.23
0.7432.31
インドネシア木材生産量46.6 million m3 (2015)
民有林（主にジャワ）
天然林択伐コンセッション
天然林から農地への転換に伴う木材生産
Sumatra
Sulawesi
Kalimantan
Java
Papua
Maluku
Nusa Tenggala
民間に数十年間のコンセッション方式でリースされた国有林からの
木材生産
林業公社（ジャワ）
産業造林（主に紙・パルプ原料）
(Directorate General Sustainable Production Forest Management 2016)
3333
Sumatra
Sulawesi
Kalimantan
Java
Papua
Maluku
Nusa Tenggala
281社 （10.7 million ha）主に紙・パルプ原料のアカシア、ユーカリ生産量の過半はスマトラ（特にリアウ州）現在拡大中のカリマンタン・パプア低地からの生産量も今後増えていく見込み
5.68
2.470.15
5.23
0.7432.31
産業造林 （IUPHHK-TI / HTI）
4444
Sumatra
Sulawesi
Kalimantan
Java
Papua
Maluku
Nusa Tenggala
269社 （19.9 million ha）カリマンタン（メランティ、カプールなど）、パプア（メルバウなど）に多い
5.68
2.470.15
5.23
0.7432.31
天然林択伐コンセッション（IUPHHK-HA / HPH）
5555
Sanggau
Kotawaringin Barat
Ketapang
Pontianak
Tarakan 2
Samarinda 4
Sibu 6
Pasir
Banjarmasin 3
Barito Kuala 2
Tawau 4
Sandakan 2Keninggau3
Kuching 2 Tatau 2Bintulu 6
Miri 3
Muka 2
South Sulawesi 2
Pahang 2
Kedah 1
North Sumatra 1
Riau 2
Jambi 1
Lampung 1 S. Kalimantan 5
E. Kalimantan 7
Sabah 9Sarawak 21
C. Kalimantan 5
W. Kalimantan 3
E. Jawa 8
C. Jawa 7Jakarta 1
W. Jawa 3Banteng 3
Factory in Sabah & Sarawak
Factory which has concession in Kalimantan
JAS認定合板生産工場（休止中のものも含む）
主にカリマンタン（原料：カリマンタン産メランティなど）と、ジャワ（原料：カリマンタン産メランティ、ジャワ産センゴンなど）に所在
6666
0 10 20 30 40
日本への合板輸入は主に５建材商社＋住友林業が担っている
Annual sale 2014 (million USD)
Indonesia Malaysia
Indonesia & Malaysia
China
Vietnam
4社の取扱量で日本のインドネシア産合板輸入量の66%、マレーシア産輸入量の50%を担う（2015年）他にジャパン建材、ユアサ木材など
2017年1月に合併予定→SMB建材
（木材建材ウイクリー）
住友林業
双日建材
丸紅建材
伊藤忠建材
三井住商建材
トーヨーマテリア
7777
STUDDaya Sakti
KTC
Kutai Timber Industry
Sumber Mas
Intracawood
IDEC
Kayu Lapis
Tirta Mahakam
Wijaya Tri Utama
Tanjung Raya
Surya Satrya Timur
Tanjung Selatan
Korindo
Alas Kusuma
Erna Djuliawati
伊藤忠建材
住友林業
丸紅建材
三井住商建材
トーヨーマテリア
双日建材
KalabakanSinora
WTK
RH (Jaya Tiasa)
Shin Yang
Samling
Ta Ann
KTS
Indonesia Sabah
Sarawak
(2011-2012 木材建材ウイクリー)
各社はインドネシア・マレーシアの多数の合板製造事業者（シッパー）から輸入
8888
天然林からの木材は、適切に管理すれば持続的な生産が可能
Just after 2nd harvestingZedteeSarawak
6 years after 2nd harvestingZedteeSarawak
2nd log production after 35 yearsRatah TimberEast Kalimantan
About 30 years after 1st harvestingDeramakot, Sabah
天然更新によって再生した商用樹大径木
9999
二次林化した生産林商用樹（メランティなど）の天然更新は厳しい
Bintulu, Sarawak
Just after 1st harvestingUpper Baram, Sarawak
しかしながら多くの択伐コンセッションでは天然林の劣化・減少→二次林化が進行してきた
原因• 小径木までの過度の伐採→次世代木の消失
• 収穫用ブルドーザーの無計画な進入による林床の破壊
• 短期での伐採の繰り返し（本来インドネシアの法規では35年、サラワクでは25年間隔）
• 重複した単年度伐採許可の発行• 違法伐採の進入
10101010
Kalimantan
(185コンセッション)
Maluku
(28コンセッション)
Papua
(59コンセッション)Sumatra
(29コンセッション)
Sulawesi
(28コンセッション)
択伐コンセッション中の天然林*面積率の変化（2000-2010年）*:二次林を除く自然林
※解析は現在活動停止中のコンセッションも含めて行った
0
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
0.7
0.8
0.9
1
0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1
20
10年の天然林率
2000年の天然林率
2010年の天然林2000-2010年に消失した天然林
天然林被覆が顕著に失われたコンセッション
11111111
2000
2010
2000
2010
2000
2010
2000
2010
2000
2010
2000
2010
0.0
0.2
0.4
0.6
0.8
1.0
Sumatra
Kalimantan
Sulawesi
Maluku
Papua
Sarawak
(163コンセッション)
Kalimantan
(185コンセッション)
Maluku
(28コンセッション)
Papua
(59コンセッション)Sumatra
(29コンセッション)
Sulawesi
(28コンセッション)
択伐コンセッション中の天然林*面積率の変化（2000-2010年）*:二次林を除く自然林
• サラワク（マレーシア）の択伐コンセッションの劣化はインドネシアのどの地域よりも著しい
• インドネシアでもスマトラ、スラウェシでは顕著な減少
• カリマンタン、パプアでの維持が重要
※解析は現在活動停止中のコンセッションも含めて行った
2010年の天然林2000-2010年に消失した天然林
天然林の面積／コンセッションの面積
Sarawak
(Malaysia)
12121212
持続的に維持できなくなった天然林は最終的には皆伐→アカシア・ユーカリなどの産業造林・オイルプランテーションへ転換
13131313
インドネシア天然林択伐コンセッションの持続的な管理のための近年の努力
14141414
IHMB (Inventarisasi Hutan Menyeluruh dan Berkala) 10年ごとにコンセッション全域で立木量調査
コンセッションの全域に植生プロットを設置
大径木 （胸高直径35cm以上）の密度分布
(1) 森林調査・モニタリング
SBK (Central Kalimantan)
15151515
(2) 10年間管理計画（RKU）の策定
Harvesting plan of SBK (Central Kalimantan) 2011-202035 years cycle
2013 2012 2011
2010
20142015
Harvesting plan of Ratah Timber(East Kalimantan)2006-201535 years cycle
IHMBの結果に基づき、次の10年間の伐採林区が決定され、環境林業省の認可を申請
16161616
毎年の大径木全木マッピング→年間伐採計画（RKT）の作成
(3) 低インパクト伐採（RIL）
Ratah Timber (E Kalimantan)
大径木分布地図に基づいた、ブルドーザー搬出路の事前設計
伐採によるインパクトを低減するためケーブルによる集材の多用
Log fisherZedtee(Sarawak)100m先までケーブル集材可能
17171717
(4) 伐採後の補植TPTI （択伐＋補植）
TPTJ（択伐＋列状植栽）
その施業はむしろ森林に対する負のインパクトのほうが大きいという意見もある現在は減少 25社→6社
Gunung Gajah Abadi (E Kalimantan)主にメランティの稚樹を生産
SBK (C Kalimantan)
18181818
• FSC 特にカリマンタンの択伐コンセッションで増加• PHPL 政府による義務化された認証制度（SVLKの出発点）• PEFC 産業造林で始まる
(5) 森林認証制度の普及
0
20
40
60
80
100
120
140
160
2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016
PHPL認証択伐コンセッション146社（2014年9月時点）12,232,232 ha （全コンセッションの59%）
FSC認証択伐コンセッション19社（2016年11月時点）1,988,056 ha（全コンセッションの10%）
認証天然林コンセッション数
カリマンタンのFSC認証択伐コンセッション
<ALAS KUSMA>Sari Bumi KusumaSuka Jaya Makmur
<LYMAN>Erna Djuliawati
<INTEGRA>Narkata Rimba
<Dwima>Dwima Jaya UtamaCarus Indonesia
<KAYU LAPIS>Sarmiento ParakancaTimber (Sarpatim)
<CCM>Intracawood
<RODA MAS (Tirta Mahakam)>Kemakmuran Berkah TimberRoda Mas TimberRatah Timber
<SURYA SATRYA TIMUR (SSTC)>Indexium Utama
：グループ内で合板工場を持つ
<GUNUNG GAJAH>Gunung Gajah Abadi
これらのコンセッションからの木材は合板として日本にも輸出されている
20202020
0 20 40 60 80 100
02
04
06
08
0
Duration of harvest cycle (Total area / RKT area)
Inte
nsity o
f h
arv
est (R
KT
vo
lum
e / R
KT
are
a: m
3/h
a)
PT. SUKA JAYA MAKMUR
PT. DWIMA JAYA UTAMA
PT. ERNA JULIAWATI
PT. INDEXIM UTAMA CORP.
PT. SARI BUMI KUSUMA (UNIT I DAN II)
PT. SARMIENTO PARAKANCA TbrPT. BELAYAN RIVER TIMBER
PT. INTRACA WOOD IND
PT. KEMAKMURAN BERKAH TIMBER
PT. NARKATA RIMBA
PT. RATAH TIMBERPT. RODAMAS Tbr KALIMANTAN
50,000 ha
100,000 ha
500,000 ha
Area of HPH
Deramakot (Sabah)
2007-2012
201120122013
2014
Anap-Muput
(Sarawak)
ただしFSCを認証しているコンセッションの伐採強度は必ずしも低いわけではない
（特にTPTJ実施コンセッション）
コンセッション面積／年間伐採面積≒伐採間隔の長さ（年）
収穫量／収穫面積≒伐採強度（m
3h
a-1）
伐採強度弱
FSCは基本的に管理の内容に対しての認証
→結果的に森林が維持されているかについては長期的
なモニタリングが必要
伐採強度強
FSC認証コンセッション
非認証コンセッション
カリマンタンの全コンセッションデータ(Ministry of Forestry 2011)
21212121
まとめ
• インドネシアの天然林択伐コンセッション（IUPHHK-HA
/ HPH）は主にカリマンタンとパプアに分布• 択伐コンセッションは（サラワクなどにくらべれば）比較的天然林の維持に成功してきたが、それでも森林の衰退を招いてきていることは否定できない
• 近年、天然林択伐コンセッションの持続的管理のための制度の導入や森林認証の普及が進んできた
• これらの制度は木材資源の合法性を高めることに寄与すると考えられるが、持続性の確保のためには第三者による森林のモニタリングと、その結果の施業へのフィードバック制度の確立が必要