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患者さんの心が聴ける コミュニケーションスキル 岡山大学病院 精神科神経科 岡部伸幸

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患者さんの心が聴けるコミュニケーションスキル

岡山大学病院 精神科神経科

岡部伸幸

本日の内容

緩和ケア研修会プログラムを用いてロールプレイをやってみる

19:00~19:15グループ分け、自己紹介、ロールプレイオリエンテーション

19:15~19:45ロールプレイ(15分×2回)

19:45~20:00コミュニケーションスキルミニ講義

ロールプレイオリエンテーション

一人、2役まで

本日の目的

医師役が試す基本的なコミュニケーション技術

医師役、患者役、観察者役の手引き

フィードバックのポイント

CopyrightⒸJapan Psycho-Oncology Society

I-1. 目的

学習目標

グループワーク(ロールプレイの経験)を通して、

がん医療における患者・医師間のコミュニケー

ションスキルの重要性を認識する

患者役を体験することにより、患者の置かれて

いる状況や気持ちを理解する

講義を通して、がん医療において悪い知らせを伝える際のコミュニケーションスキル(SHARE)に関する知識を得る

CopyrightⒸJapan Psycho-Oncology Society

I-2. 方法

ロールプレイの手順

3人ひと組・交代でロールプレイ

初に自己紹介

「難治がん診断を伝える」

医師役

(基本コミュニケーションを試す)

患者役

(悪い知らせの疑似体験)

観察者

(コミュニケーション技術の観察

・タイムキーパー)

医師役

患者役

観察者

I-2. 方法

ロールプレイの時間配分

シナリオ決定・役作り→ロールプレイ→フィードバック

ロールプレイ(3-7分)

役作り(3-5分)

15分

フィードバック( 3-5分)

・シナリオ決め・全員で共有(役名、がん種、背景など)

・試すスキルを決める

・役づくり

1. 医師役が感想や、議論したいことを話す

2. 観察者が取り入れたいと感じたコミュニケーションを話す

3. 患者役が気持ちを話す

CopyrightⒸJapan Psycho-Oncology Society

I-2. 方法

医師役の手引き

医師役がシナリオを決定・修整する

患者役とシナリオ、患者役背景、これまでの経緯を共有する

医師役が取り入れる基本的コミュニケーション技術を決める

本当の診察場面と同じように演じる

ロールプレイが終了したら、完全に役からおりる

感じたこと、難しかったこと、観察者や患者役とディスカッシ

ョンしたいことを話す

CopyrightⒸJapan Psycho-Oncology Society

I-1. 目的

基本的なコミュニケーション技術

コミュニケーションの準備身だしなみを整える

座る位置に配慮する

話を聴くスキル目や顔を見る

相槌を打つ

質問するスキルYes/Noで答えられない質問(オープン・クエス

チョン)を用いる

CopyrightⒸJapan Psycho-Oncology Society

I-1. 目的

基本的なコミュニケーション技術

共感するスキル気持ちを受け止める

患者の気持ちを繰り返す例 ・・・(沈黙)・・・死にたいくらいつらいのですね

沈黙(5-10秒)を積極的に使う

例 患者が目を上げ、発言するのを待つ

気持ちや気がかりを探る例 ご心配を教えていただけますか?

気持ちが理解できるものであることを示す患者の背景と気持ちがつながれば、理解できるものであることを明確に伝える

例 このような症状の中でお仕事をされてさぞつらかったでしょう皆さんそのように思われますよ

多くの患者さんも同じような経験をされています

CopyrightⒸJapan Psycho-Oncology Society

I-2. 方法

シナリオ例 医師役(呼吸器)

医師氏名 : (高橋英明)医師

専門科 : (呼吸器)科

患者氏名 : (山田隆弘)

年齢 : (48歳)

これまでの経緯 : (検診で右肺に異常影あり、精査のため受診。左鎖骨上リンパ節腫大認め、自覚症状は咳)

検査所見 : (胸部X線、胸腹部CT、針生検)

診断 : (肺腺)がん IV期 (対側肺転移)

今日の面談 : 10日後の今日は、外来で手術不能の難治がんの診断結果を伝える

CopyrightⒸJapan Psycho-Oncology Society

I-2. 方法

シナリオ例 医師役(消化器)

医師氏名 : (高橋英明)医師

専門科 : (消化器)科

患者氏名 : (山田隆弘)

年齢 : (48歳)

これまでの経緯 : (検診で便潜血を指摘、精査のため当院を受診。鎖骨上リンパ節腫脹あり。自覚症状は便通異常)

検査所見 : (大腸ファイバー、胸腹部CT、血液検査)

診断 : (直腸)がん IV期 (肺転移)

今日の面談 : 10日後の今日は、外来で手術不能の難治がんの診断結果を伝える

CopyrightⒸJapan Psycho-Oncology Society

I-2. 方法

シナリオ例 医師役(乳腺)

医師氏名 : (高橋英明)医師

専門科 : (乳腺)科

患者氏名 : (鈴木弘子)

年齢 : (48歳)

これまでの経緯 : (地域の検診で触診にて右乳房のしこりを指摘され精査目的で当院を受診。自覚症状は腰痛)

検査所見 : (マンモグラフィ、吸引細胞診、腰椎MRI)

診断 : (乳)がん IV期 (腰椎骨転移)

今日の面談 : 10日後の今日は、外来で手術不能の難治がんの診断結果を伝える

CopyrightⒸJapan Psycho-Oncology Society

I-2. 方法

患者役の手引き

患者役の背景を決定・修整する

医師役とシナリオ、患者役背景、これまでの経緯を共有する

事前に十分な役作りを行う(例:心配事や気持ち、家族と何

を話し合ったか想像する、など)

平均的な反応をする患者を演じる

ロールプレイが終了したら、完全に役からおりる

医師役、観察者の後、フィードバックのポイントを参考に発言

する

CopyrightⒸJapan Psycho-Oncology Society

I-2. 方法

シナリオ例 患者役①

患者氏名 : (山田隆弘)

年齢 : (48歳)

家族背景 : (妻美代子(46歳)、娘多香子(16歳)、息子真治(13歳)の4人暮らし。田舎に父母2人暮らし。兄、妹の3人兄弟)

職業 : (商社勤務)

生活歴 : (地元国立大学卒業後、○○商事入社、29歳で結婚。現在人事部部長)

趣味 : (釣り、読書)

受診までの経緯 : (会社の検診で異常影を指摘され精査目的で総合病院を紹介受診。)がんの可能性は伝えられているが、手術不能の進行がんということは予測していない

CopyrightⒸJapan Psycho-Oncology Society

I-2. 方法

シナリオ例 患者役②

患者氏名 : (鈴木弘子)

年齢 : (48歳)

家族背景 : (夫慶一(49歳)、娘陽子(19歳)、千春(16歳)の4人暮らし。田舎に父母2人暮らし。兄、妹の3人兄弟)

職業 : (専業主婦)

生活歴 : (地元短大卒業後、地元企業でOL、26歳で結婚現在主婦をしながら家庭菜園を楽しんでいる)

趣味 : (家庭菜園、音楽鑑賞)

受診までの経緯 : (地域の検診で触診にて右乳房のしこりを指摘され、精査目的で当院を受診。自覚症状は腰痛)がんの可能性は伝えられているが、手術不能の進行がんということは予測していない

CopyrightⒸJapan Psycho-Oncology Society

I-2. 方法

観察者の手引き

取り入れたいコミュニケーションスキルを見つける

・座る位置に配慮する ・目や顔を見る

・相槌を打つ ・オープン・クエスチョン

・患者の気持ちを繰り返す ・沈黙の時間をとる

・患者の気持ちを探る ・理解できることを伝える

長7分でロールプレイを止める

医師役の後、フィードバックのポイントを参考に発言する

CopyrightⒸJapan Psycho-Oncology Society

I-2. 方法

フィードバックのポイント

気づいたことすべてではなく、受け手が対処できる量(1つか2つ)を扱う

医師役の気持ちに配慮して発言する

医師役の利益となるかを考える

押し付けるような発言は控える

医師役が解決したい問題点を話し合う

良い、悪いといった評価、批判、指摘ではなく、具体的に

どうしたら問題が解決するかを話し合う

CopyrightⒸJapan Psycho-Oncology Society

I-2. 方法

ロールプレイの注意点

基本的コミュニケーションスキル、患者役の体験が目的なの

で、7分間で面接が終了しなくてよい

役になりきって演技する

対応の難しい患者役を演じない

ロールプレイが終了したら、完全に役からおりる

(気持ちがつらくなった方はおっしゃってください)

CopyrightⒸJapan Psycho-Oncology Society

I-2. 方法

グループワークのまとめ

グループ内ではどのような話し合いが行わ

れましたか?

1. 医師役を演じて、どのような気持ちを経験し

ましたか?

2. どのようなコミュニケーションが参考になりまし

たか?

3. 患者役を演じて、どのような気持ちを経験し

ましたか?

CopyrightⒸJapan Psycho-Oncology Society

I-2. 方法

講義

基本的なコミュニケーション

がん医療における患者ー医師間のコミュニケーション

コミュニケーションの語源と意味

情報の種類

基本的なコミュニケーション技術

悪い知らせを伝える

がん医療における悪い知らせとは

インフォームドコンセントと心の機能

コミュニケーションに対する患者の意向

悪い知らせを伝えるコミュニケーション技術

CopyrightⒸJapan Psycho-Oncology Society

II-1. 自己紹介

一人2分程度

内容

現在の仕事内容

コミュニケーション・スキルに関する学習の経験

ロールプレイの経験

本研修会参加動機

その他(年齢、趣味、出身地など)

CopyrightⒸJapan Psycho-Oncology Society

シナリオ決定・役作り→ロールプレイ→フィードバック

ロールプレイ(3-7分)

役作り(5-7分)

20分

フィードバック(5-10分)

•シナリオ決め・全員で共有(役名、がん種、背景など)※あまり細部にこだわりすぎないでください

•試すスキルを決める

•役づくり

1. 医師役が感想や、議論したいことを話す

2. 観察者が取り入れたいと感じたコミュニケーションを話す

3. 患者役が気持ちを話す

確認

ロールプレイの時間配分

CopyrightⒸJapan Psycho-Oncology Society

II-3. まとめ

グループ内ではどのような話し合いが行わ

れましたか?

1. 医師役を演じて、どのような気持ちを経験し

ましたか?

2. どのようなコミュニケーションが参考になりまし

たか?

3. 患者役を演じて、どのような気持ちを経験し

ましたか?

CopyrightⒸJapan Psycho-Oncology Society

III. 講義

III-1. 基本的なコミュニケーション

がん医療における患者ー医師間のコミュニケーション

コミュニケーションの語源と意味

情報の種類

基本的なコミュニケーション技術

III-2. 悪い知らせを伝えるコミュニケーション

がん医療における悪い知らせとは

インフォームドコンセントと心の機能

コミュニケーションに対する患者の意向

悪い知らせを伝えるコミュニケーション技術

CopyrightⒸJapan Psycho-Oncology Society

III-1. 基本的なコミュニケーション

基本的なコミュニケーション

例:通常の診療

悪い知らせを伝える例:難治がん、再発、抗がん治療中止を伝える

困難なケースに対応する例:否認、怒り、「私死ぬんですか」

精神疾患に対応する例: 重症うつ病、自殺

CopyrightⒸJapan Psycho-Oncology Society

コミュニケーションの語源と意味

語源:communicare (共有する)

→臨床コミュニケーションは双方向の情報共有

言語的メッセージ 非言語的メッセージ

・挨拶、日常会話

・病名、病状、治療法など

・気持ちを支える言葉「一緒にやっていきましょう」「大丈夫ですよ」

・説明文 など

・身なりだらしない、整った

・声の調子いらいらした、落ち着いた

・表情、視線、姿勢

・沈黙 など

CopyrightⒸJapan Psycho-Oncology Society

基本的なコミュニケーション技術

コミュニケーションの準備

身だしなみを整える

静かで快適な部屋を設定する

座る位置に配慮する

挨拶をする

名前を確認する

礼儀正しく接する

時間を守る

ことわりを入れて電話に出る

CopyrightⒸJapan Psycho-Oncology Society

基本的なコミュニケーション技術

話を聴くスキル

目や顔を見る

目線は同じ高さに保つ

患者に話すよう促す

相槌を打つ

患者の言葉を自分の言葉で反復する

患者の話を遮らない

CopyrightⒸJapan Psycho-Oncology Society

基本的なコミュニケーション技術

質問するスキル

Yes/Noで答えられない質問(オープン・クエス

チョン)を用いる

病気だけでなく患者自身への関心を示す

わかりやすい言葉を用いる

CopyrightⒸJapan Psycho-Oncology Society

基本的なコミュニケーション技術

応答するスキル

患者が言いたいことを探索し理解する

患者の言葉を言い換えて理解したことを伝える

事実に基づいた情報を提供する

CopyrightⒸJapan Psycho-Oncology Society

基本的なコミュニケーション技術

共感するスキル気持ちを受け止める

患者の気持ちを繰り返す例 ・・・(沈黙)・・・死にたいくらいつらいのですね

沈黙(5-10秒)を積極的に使う

例 患者が目を上げ、発言するのを待つ

気持ちを探る患者の気持ちや気がかりを探り、理解する

例 ご心配を教えていただけますか?

気持ちが理解できるものであることを示す気持ちを理解し、理解できるものてあることを明確に伝える

例 このような症状の中でお仕事をされてさぞつらかったでしょう皆さんそのように思われますよ

多くの患者さんも同じような経験をされています

CopyrightⒸJapan Psycho-Oncology Society

III-2. 悪い知らせを伝えるコミュニケーション

基本的なコミュニケーション

例:通常の診療

悪い知らせを伝える例:難治がん、再発、抗がん治療中止を伝える

困難なケースに対応する例:否認、怒り、「私死ぬんですか」

精神疾患に対応する例: 重症うつ病、自殺

CopyrightⒸJapan Psycho-Oncology Society

がん医療における悪いしらせとは

「悪い知らせ」とは、患者の将来への見通しを根底から否定的に変えてしまうもの Buckman 1984

52万人/年 32万人/年闘病者300万人

難治がんの診断

がんの再発・進行

積極的抗がん治療の中止

Fallowfield 2004

CopyrightⒸJapan Psycho-Oncology Society

インフォームドコンセントと心の機能

説明→(気持ち→)同意

知 ⇔ 情 ⇔ 意

CopyrightⒸJapan Psycho-Oncology Society

コミュニケーションに対するがん患者の意向の構成概念:SHARE

対象:がん患者571名、医師7名方法:半構造化面接、質問紙調査

解析:内容分析、および因子分析

結果:619の発言内容から70項目、及び4つの構成要素が抽出された

H ow to deliver the bad news

A dditional information

R eassurance and E motional support

S upportive Environment

Fujimori 2005, Fujimori 2007

CopyrightⒸJapan Psycho-Oncology Society

Supportive environment支持的な環境を設定する

十分な時間を設定する

プライバシーが保たれた、落ち着いた環境

を設定する

面談が中断しないように配慮する

家族の同席を勧める

CopyrightⒸJapan Psycho-Oncology Society

How to deliver the bad news悪い知らせを伝える

正直に、わかりやすく、丁寧に伝える

患者の納得が得られるように説明をする

はっきりと伝えるが「がん」という言葉を繰り

返し用いない

言葉は注意深く選択し、適切に婉曲的な表

現を用いる

質問を促し、その質問に答える

CopyrightⒸJapan Psycho-Oncology Society

Additional information付加的な情報を提供する

今後の治療方針を話し合う

患者個人の日常生活への病気の影響につ

いて話し合う

患者が相談や気がかりを話すよう促す

患者の希望があれば、代替療法やセカンド・

オピニオン、余命などの話題を取り上げる

CopyrightⒸJapan Psycho-Oncology Society

Reassurance and Emotional Support安心感と情緒的サポートを提供する

優しさと思いやりを示す

患者に感情表出を促し、患者が感情を表出したら

受け止める

例:沈黙

「どのようなお気持ちですか?」

うなずく

家族に対しても患者同様配慮する

患者の希望を維持する

「一緒に取り組みましょうね」と言葉をかける

CopyrightⒸJapan Psycho-Oncology Society

悪い知らせを伝えるコミュニケーション技術

面談までに準備する・事前に重要な面談であることを伝えておく ・家族の同席を促す・プライバシーが保たれた部屋、十分に時間を確保する ・面談の中断を避ける

・身だしなみや時間遵守など基本的態度に留意する

面談を開始する・面談の始めからいきなり悪い知らせを伝えない ・経過を振り返り病気の認識を確認する・現実とのギャップの埋め方の戦略を立てる ・気持ちを和らげる言葉をかける・聴くスキルを使用して患者の気がかりを聞く ・家族にも同様に配慮する

承悪い知らせを伝える・心の準備のための言葉をかける ・写真や検査データを用いる、紙に書く・わかりやすく明確に伝える ・患者の理解度を確認し、速すぎないか尋ねる・感情を受け止め、気持ちをいたわる ・質問や相談があるかどうか尋ねる

転治療を含め今後のことについて話し合う・標準治療、とりうる選択肢について説明する ・推奨する治療法を伝える・がんの治る見込みを伝える ・セカンドオピニオンについて説明する・患者が希望の持てる情報も伝える ・患者の日常生活や仕事について話し合う

結面談をまとめる・要点をまとめる ・患者の気持ちを支える言葉をかける・説明に用いた紙を渡す ・責任を持って診療にあたること、見捨てないことを伝える

SHAREを時系列に並べ替えたもの

CopyrightⒸJapan Psycho-Oncology Society

起:面談までに準備する

事前に重要な面談であることを伝えておく

面談の重要性に対する患者の認識を高めるために家族の同席を促す「次回は検査結果をお伝えする大事なお話がありますので、ご家族の方など、どなたかご一緒にいらしていただくこともできます」

プライバシーが保たれた部屋、十分な時間を確保する

面談の中断を避けるため電話が鳴らないように配慮する

面談中に電話に出る場合には患者や家族に一言ことわりを述べる

身だしなみや時間遵守など基本的態度に留意する

注:初回診断、再発、積極的抗がん治療中止でポイントは異なる

CopyrightⒸJapan Psycho-Oncology Society

起:面談を開始する・・・

重要な面談に際して患者は緊張しているため、面談の始

めからいきなり悪い知らせを伝えない

あいさつ (時候の挨拶やオープン・クエスチョンで気持ち

を和らげる)

「今日は暑いですね」

「大変お待たせしました」

「この1週間いかがお過ごしでした?」

患者の気がかりを聞く

経過を振り返り、病気に対する患者の認識を知る

「・・・ご家族の方にはどのように説明されましたか?」

「・・・その後病気についてどのようにお考えになりましたか?」

CopyrightⒸJapan Psycho-Oncology Society

・・・起:面談を開始する

患者が使う語彙に注意を向け、現実とのギャップの埋め方

や何をどの程度伝えるかという戦略を立てる

家族にも留意する

「ご主人も心配されたでしょうね」

医療者の同席がある場合は目的を伝え、予め了承を得る

「一緒に○○さんを担当する看護師の△△です。後で質問や相談を

していただけるように同席してもよろしいですか?」

CopyrightⒸJapan Psycho-Oncology Society

承:悪い知らせを伝える・・・

心の準備のための言葉をかける

「ご心配されていた結果かと思いますが」

「大変申し上げにくいのですが」

「残念な結果なのですが」

悪い知らせをわかりやすく明確に伝える

(がんを伝える際にはあいまいにせず「がん」とい

う言葉を用いる)

写真や検査データを用いる、紙に書く

CopyrightⒸJapan Psycho-Oncology Society

・・・承:悪い知らせを伝える

患者の理解度を確認し、速すぎないか尋ねる

「ここまではご理解いただけましたか?」

「わからないことがあれば話の途中でもご質問くださいね」

質問や相談があるかどうか尋ねる

感情を受け止め、気持ちをいたわる言葉をかける

(沈黙、探索、保証、共感の言葉)「・・・(沈黙:5秒間)・・・どうお感じになりました?」

「・・・(沈黙)・・・大丈夫ですか?皆さん、混乱されます」

「・・・(沈黙)・・・とても驚かれたことでしょうね」

CopyrightⒸJapan Psycho-Oncology Society

転:今後のことについて話し合う

治療について話し合う標準的な治療法、その他の治療法、治療の危険性、有効性を説明した上

で推奨する治療法を伝える

治る見込みについて話し合う「がんを完全に取り去り完治することは難しい状況ですが・・・現在の生活

を保つことが目標になります」

セカンドオピニオンについて説明する

治療選択に誰が関わるか尋ねる

日常生活、家事、仕事など生活面への影響について話し合う

利用できるサービス (心理的援助、高額医療負担、訪問看護・・・)

患者が希望を持てる情報も伝える「痛みをとる治療はあります。我慢せずにおっしゃってください」

CopyrightⒸJapan Psycho-Oncology Society

結:面談をまとめる

要点をまとめる

「今日は○○についてお話しました・・・」

説明に用いた紙を渡す

責任を持って治療にあたること、見捨てないことを

伝える

「私たちは 善の努力を続けます」

「ご希望があればいつでもおっしゃってください」

患者の気持ちを支える言葉をかける

「一緒にやっていきましょうね」

シナリオ(医師役)シナリオ(医師役)

医師氏名 : ( )医師

専門科 : ( )科

患者氏名 : ( )

年齢 : ( )

これまでの経緯 : ( )

検査所見 : ( )

診断 : ( )がん IV期診断 ( )がん 期

今日の面談 : 10日後の今日は、外来で手術不能の難治がんの診断結果を伝える

試すスキル:

□ 座る位置 □ 目や顔を見る □ 相槌を打つ □ オープン・クエスチョン

CopyrightⒸJapan Psycho-Oncology Society

□ 気持ちを繰り返す □ 沈黙 □ 気持ちを探る □ 理解できることを伝える

SE003DTI
テキストボックス
別紙1

シナリオ(患者役)シナリオ(患者役)

患者氏名 : ( )

年齢 : ( )

家族背景 : ( )

職業 : ( )

生活歴 : ( )

趣味 : ( )

受診までの経緯 : ( )

がんの可能性は伝えられているが、手術不能の進行が 測進行がんということは予測していない

CopyrightⒸJapan Psycho-Oncology Society

SE003DTI
テキストボックス
別紙2