色彩の情動反応と音楽聴取による 気分誘導の相互作用

情報学研究科

IDプログラム

漁田研究室

7093‐0047

福田容子

2011/2/22  修士論文最終審査発表

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発表の構成

• 序論

– 感情・情動・気分

– 気分研究

– 色彩心理研究

– 本研究の目的・結果の予測

• 実験的検証

– 実験１・２・３

• 全体的考察

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感情・情動・気分の分類

経験の情感的，情緒的な面を表す総称的用語

肯定的，否定的かの判断

急激に生起し，短時間で終わる比較的強力なもの

ある程度の長さを持つ記憶，意思決定，評価判断に影響

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気分研究の3つの分類気分一致効果 (Bower,1981) 

PNA (positive‐negative asymmetry) 現象

気分一致効果の出方ポジティブな気分 >

ネガティブな気分

気分評定で使用する尺度の研究多面的感情状態尺度 (寺崎ら，1992)

関連する研究谷口 (1995b)，古賀 (2006)

音楽聴取によって抑うつ

気分を誘導する群と統制

群にわけ，絵画の印象を

評定

同質の原理 (Altshuler,1954)

気分に一致した音楽を聴取させることで気分を改善する例) 悲しい時

→悲しい曲

4

感情状態と刺激の感情価の性質同方向

→

刺激の処理が促進

逆方向

→

抑制

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音楽聴取による気分誘導の研究結果

音楽聴取による気分誘導○

＞

＞

絵画の印象の変化○

＞

古賀 (2006)

問題点

実験後気分のみの調査絵画を１枚しか使用していない

赤や青などの“色”にも情動喚起の作用があり,色彩の情動反応についても

これまで分析されてきた。5

統制群

抑うつ群

2曲

親和群

2曲

音楽聴取後の気分調査絵画の印象評定

※

音楽聴取時間実験中

or 

１分間

親和群 統制群

抑うつ群 親和群

親和群

抑うつ群統制群音楽聴取

実験中条件

色彩の情動反応とは？

• 色刺激を見たときの感情的な反応のこと

Ｒ (red) ，Ｙ

(yellow) ，Ｇ

(green) ，Ｂ

(blue) ，Ｐ

(purple)

などの色刺激を使用

色彩の情動反応の評定

PAD感情モデル (Mehrabian, 1978) を使って分析

※古厩 (2007) はこの形容詞を日本語訳化

P (快ー不快) 反応，A (覚醒ー不覚醒)反応，D (優越ー服従) 反応

の3つで分析6

実験で使う色見本

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本研究の目的

• 音楽聴取で誘導された気分が，色刺激の見方

に影響を与えるかどうかを検討

• 色刺激の観察にも情動誘因効果があることも考慮し，

一方向的作用か，両方が作用するかの検討

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結果の予測

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実験で用いる材料

• 実験1– 音楽刺激 (以下，音楽に省略)

– 色刺激 (以下，色に省略)R (赤)，Y (黄)，G (緑)，B(青)，P(紫)5色相×5種類

計25枚

– 色の評定形容詞PAD感情モデル (Mehrabian, 1978)

より12形容詞

– 気分の評定形容詞多面的感情状態尺度(寺崎ら，1992)

8因子×4項目

9

P群（ポジティブな音楽を聴取） N群（ネガティブな音楽を聴取）

キャンディード序曲 秋 第3楽章

シチリア島の夕べの祈り 椿姫 (第3幕への序曲) 

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実験で用いる材料

• 実験2

– 音楽

– 色，色の評定形容詞実験1と同様

– 気分の評定形容詞多面的感情状態尺度(寺崎ら，1992)

6因子×4項目

• 実験3

– 音楽，色の評定形容詞，気分の評定形容詞実験2と同様

– 色R,

Y

の2色相

×5種類

計10枚

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P群（ポジティブな音楽を聴取） N群（ネガティブな音楽を聴取）

春 第1楽章 アルビノーニのアダージョ

ラプソディ・イン・ブルー ロミオとジュリエット

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手続き (実験1～3)

P群，N群(音楽聴取＋色観察)

CM‐P群，CM‐N群，CC群(音楽のみ or 色のみ観察)

質問紙

45秒：色を観察15秒：交代，準備

11

or色観察5枚×1分

音楽聴取(一曲全体)

Positive  musicor

Negative music約3分間

①②

実験1

実験１

①音楽聴取 + 色観察

気分誘導×

色観察に及ぼす

音楽の効果×

古賀 (2006) では気分誘導

○

結果

先行研究の問題点の解消

Ｐ群 (ポジティブ音楽＋色)

Ｎ群 (ネガティブ音楽＋色)

ＣＣ群 (色のみ評定)

12

• 絵画一枚

→

色刺激

に変更

• 実験前後の気分を評定する

実験参加者静岡大学学部生

60名

以下の3群にランダムに振り分けた

→音楽と色の両方が作用したため

結果が見いだせなかった？

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実験2

実験２ 結果

色が音楽聴取後の気分に与える 影響を検討

音楽聴取のみで気分誘導されているか調べるため，音楽聴取のみの群を設置

実験参加者静岡大学学部生

60名 ＋ 15名

以下の4群にランダムに振り分けた

13

Ｐ群（ポジティブ音楽＋色）

Ｎ群（ネガティブ音楽＋色）

ＣＣ群（色のみ評定）

ＣＭ－Ｐ，ＣＭ－Ｎ群（音楽聴取のみ）

②音楽聴取

気分誘導○

①音楽聴取＋色観察

気分誘導×

色観察に及ぼす

音楽の効果○

（A反応：N群 ‐

C群間）

色観察

気分誘導

○

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実験３－目的

• 実験２より，色観察も気分に影響を与えている

• これまでの実験では５色相評定後の気分しか評定できていない

• どの色が気分に影響を与えているか→

RedとYellowで検討

？ ？

？

？？

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なぜRedとYellow？

•

実験２

色彩の情動反応の結果より，

P (快ー不快) 反応で最大値

→ Yellow

A (覚醒ー不覚醒) 反応で最大値

→

Red

最大値＝気分誘導への影響も大きい？

MAX

平均

P

得点

平均

A

得点

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実験3

• 色刺激R と Y が気分誘導に影響を与えるか検討

• 実験参加者

• 静岡大学学部生96名

以下の6条件にランダムに割り当てた

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P N

R P‐R条件 N‐R条件

Y P‐Y条件 P‐Y条件

なし CM‐P条件 CM‐N条件

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結果ー気分誘導効果 (P群)

ポジティブ音楽

＋

色

による気分誘導効果 は有意な差あり

音楽聴取による気分誘導

○

ポジティブ

音楽のみ

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結果ー気分誘導効果 (Ｎ群)

ネガティブ音楽

＋

色

による気分誘導効果 は有意な差あり

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音楽聴取による気分誘導

×

ネガティ

ブ音楽の

み

全体的考察

19

•実験3 P群

•実験2，3のCM‐P群，CM‐N群

•実験1，2，3

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全体的考察

1

同質の原理の現象

ポジティブ音楽で誘導された気分

快の強いY覚醒の強いR

を観察≒ 同じような性質の刺激を

組み合わせたため？

○

20

気分一致効果 ×

実験参加者の感情状態と刺激の感情価の性質が同方向

→

刺激の処理が促進

逆方向

→

抑制

実験3のＰ群では刺激の処理が促進される場合にあてはまる→色刺激をより明るく評定？

色刺激の見え方に音楽の違い，音楽の有無が影響していなかった

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全体的考察

2

PNA現象による気分一致効果の差

実験3のCM‐P群，CM‐N群間で見られた

快感情はできるだけ持続させ，不快感情は低減させようとする力が働くため(Isen,1985；Clark & Isen,1982)

臨床的なうつの研究でも観察うつ病患者は，ネガティブな感情価を持つ単語の記憶が促進，

or ポジティブな感情価を持つ単語の記憶が抑制

本研究の実験参加者は一般の大学生であることがこの結果をもたらした？

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全体的考察

3

視覚と聴覚の性質や役割による差

•用語の分類から情動→短時間で強力に生起される気分→ある程度の持続性を持つが，情動ほど強くない

• 実験教示

音楽 → リラックスするため色

→

色見本を集中してみるよう指示

• 視覚は能動的に，聴覚は受動的に認知されたから？

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今後の課題

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今後の課題

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