egarchモデルについて · 2018-07-09 ·...

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!!!!!!! !!! !!!!!!! !!! はじめに ファイナンスの計量分析においては,ボラティリティは日々確率的に 変動するという考え方が有力となってきており,このようなボラティリ ティの変動を明示的に定式化するボラティリティ変動モデルが注目を集 めてきた。ボラティリティ変動モデルの代表的なものは,GARCHモデ ルであり,Engle (1982)によって提案されたARCH autoregressive con- ditional heteroskedasticity)モデルがその最初である。Engle(1982) ではARCHモデルをインフレーションの分析に用いているが,以降は金 融時系列の分析に用いられるようになった。その後,Bollerslev (1986) によってARCHモデルを一般化したGARCHgeneralized ARCH)モデ ルが提案された。GARCHモデルは最尤法によって簡単に推定できるた め,資産価格に関する分析の多くに利用されてきた。たとえば,Tsay (2010)あるいはFrancq and Zakoian(2010)にGARCHモデルの詳し い解説がある。また,邦文では渡部(2000)を参照されたい。 一方,株式市場では、株価が上がった日の翌日よりも下がった日の翌 日の方がボラティリティがより上昇する傾向があることが古くから知ら れており,GARCHモデルではこうしたボラティリティ変動の非対称性 を捉えられない。このような現象を考慮に入れたモデルとして,Nel- EGARCHモデルについて 西埜 晴久 大津留 千葉大学 経済研究 第26巻第3号(2011年12月) (305) 129

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Page 1: EGARCHモデルについて · 2018-07-09 · ルであり,Engle(1982)によって提案されたARCH(autoregressivecon-ditional heteroskedasticity)モデルがその最初である。Engle(1982)

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1 はじめに

ファイナンスの計量分析においては,ボラティリティは日々確率的に

変動するという考え方が有力となってきており,このようなボラティリ

ティの変動を明示的に定式化するボラティリティ変動モデルが注目を集

めてきた。ボラティリティ変動モデルの代表的なものは,GARCHモデ

ルであり,Engle(1982)によって提案されたARCH(autoregressive con-

ditional heteroskedasticity)モデルがその最初である。Engle(1982)

ではARCHモデルをインフレーションの分析に用いているが,以降は金

融時系列の分析に用いられるようになった。その後,Bollerslev(1986)

によってARCHモデルを一般化したGARCH(generalized ARCH)モデ

ルが提案された。GARCHモデルは最尤法によって簡単に推定できるた

め,資産価格に関する分析の多くに利用されてきた。たとえば,Tsay

(2010)あるいはFrancq and Zakoian(2010)にGARCHモデルの詳し

い解説がある。また,邦文では渡部(2000)を参照されたい。

一方,株式市場では、株価が上がった日の翌日よりも下がった日の翌

日の方がボラティリティがより上昇する傾向があることが古くから知ら

れており,GARCHモデルではこうしたボラティリティ変動の非対称性

を捉えられない。このような現象を考慮に入れたモデルとして,Nel-

論 説

EGARCHモデルについて

西埜 晴久 大津留 峻

千葉大学 経済研究 第26巻第3号(2011年12月)

(305) 129

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son(1991)によって提案されたEGARCH(exponential GARCH)モデ

ルがあり,本稿ではこのEGARCHモデルをとりあげる。

本稿の構成は下記の通りである。まず,次節においてGARCHモデル

とEGARCHモデルについてモデルの説明を行う。3節では実際の

TOPIXのデータを用いてGARCHモデルおよびEGARCHモデルの推定

を行い,AICによりモデル選択を行い,各モデルのあてはまりを検討す

る。そして,4節では3節で実際のデータから推定されたパラメータの

値を元に,正規分布とt分布の誤差項をもつEGARCHモデルのシミュ

レーションを行う。ここではこれまで得られている漸近理論の結果や

モーメントの性質についても調べている。5節には本稿のまとめを行う。

2 モデルについて

まず,対数収益率をrtとし,Xt=rt-μを時点tにおけるイノベーション

とする。Bollerslev(1986)によるGARCH(m, s)モデルは,

Xt=σtZt �

σ2t=α0+m

Σi=1αiX2t-i+

s

Σj=1βjσ2t-j �

となる。ここで{Zt}はiidな確率変数列であり,平均0,分散1の正規

分布またはt分布に従う。α0>0,αi>-0,βi>-0,Σmax(m,s)i=1 (αi+βi)<1

であり,最後の条件はαの非条件付き分散が有限であることを示してい

る。

GARCHモデルはボラティリティ変動モデルとしてすぐれているが,

株式市場において株価が上がった翌日より下がった翌日の方がボラティ

リティがより上昇するという特徴を捉えることはできない。そこで,こ

のような傾向をとらえるため,Nelson(1991)によるEGARCHモデル

をとりあげる。EGARCH(1,1)モデルによると,ボラティリティは,

logσ2t=α+βlogσ2t-1+γZt-1+δ|Zt-1| �

EGARCHモデルについて

130 (306)

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と書ける。ここで,α∈R,|β|<1である。ボラティリティをこのよ

うに書くことで,株式市場におけるボラティリティの非対称性をとらえ

ることができる。第4節では,このEGARCHモデルを用いてシミュ

レーションを行い,EGARCHモデルの最尤法による推定のパフォーマ

ンスを測る。

なお,GARCHタイプのモデルの推定にはQMLE(準最尤推定法)を

用いる。たとえば,{Zt}に標準正規分布N(0,1)を仮定したときの

GARCH(1,1)モデルあるいはEGARCH(1,1)モデルの対数尤

度は,

logL=-T-12 log2π-12

n

Σt=2{logσ2t+

X2tσ2t} �

に,それぞれ�,�を代入したものを用いる。一方,{Zt}に自由度νの

標準化されたt分布を仮定したときのGARCH(1,1)モデルあるいは

EGARCH(1,1)モデルの対数尤度は,

logL=-T-12 log{ Γ(ν+12 )

�π(ν-2)Γ(ν2)}-ν+12 n

Σt=2log(1+ X2t

(ν-2)σ2t)

に,それぞれ�,�を代入したものを用いる。

また,EGARCHモデルを発展させたものとしてBollerslev and Mik-

kelsen (1996)によるFIEGARCHモデルがある。FIEGARCHモデルは

ボラティリティに長期記憶性を仮定したものであり,次のようなモデル

に拡張される。

(1-βL)(1-L)d{ln(σ2t)-α}=(1-ψL)g(Zt-1) �

g(Zt-1)=γZt-1+δ|Zt-1| �

Lはラグオペレータを表し,Lixt=xt-i(i=0,1,…)である。実数

差分の(1-L)dは次のように表せる。

千葉大学 経済研究 第26巻第3号(2011年12月)

(307) 131

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(1-L)d=1+∞Σ

k=1d(d-1)…(d-k-1)

k! (-L)k �

実際の推定は,

logσ2t=α+(1-L)-d(1-βL)-1(1-ψL)g(Zt-1)

の式を求め,logσ2tの指数関数をとったσ2tを�式に代入することにより

行う。なお式の右辺第2項は,(1-L)-d(1-βL)-1(1-ψL)=ψ*

(L)=Σ∞j=0ψ*j Ljの展開式から求められる。FIEGARCHモデルの推定にあ

たってはTaylor(2000)も参照されたい。さらに,Bollerslev and Mik-

kelsen(1996)によれば,d=0であれば�式はEGARCHモデルとなり,

d=1であればIntegrated EGARCHモデルになる。なお,実数差分

(fractional difference)はHosking(1981)によって導入されたもので

あるが長記憶過程と関連が深い。長記憶過程については邦文では矢島

(2003)を参照されたい。

3 実際のデータによるモデルの推定

まず,GARCH,EGARCH,FIEGARCHの3つのモデルを用いて実

際のデータによるモデルの推定を行う。推定に用いたデータは,

TOPIXの2006年1月から2008年6月までの日次データの対数収益率で,

データ数は614である。リーマンショックの影響は含まれない範囲を選

択した。各モデルにつき複数の次数について推定し,推定結果のAICを

比較し,推定のパフォーマンスを検討する。

調査対象期間の実際のTOPIXとその対数収益率の推移はFigure1の

ようになっている。

推定結果はTable1のようになった。括弧で囲われた数値は標準誤差

である。各モデルの推定結果のAICを比較すると,EGARCH (1,1)

モデルの推定結果が比較的良いパフォーマンスを示していることがわか

る。GARCHモデルの場合は,特にGARCH(1,1)モデルがEGARCH

EGARCHモデルについて

132 (308)

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(1,0)やEGARCH(0,1)よりも低いAICを示している。誤差

項に正規分布とt分布を仮定した場合では,t分布を仮定した場合の方が

低いAICを示した。最もAICが低かったのはFIEGARCH(0,d,0)

モデルであった。渡部(2000)によると,1990年1月4日から1997年4

月10日までのTOPIX日次リターンのボラティリティ変動を表すモデル

としてEGARCHモデルが適していることが示されているが,今回の

データ範囲でも同様の結果が得られた。最もAICの低かったモデルは

FIEGARCHモデルであるが,FIEGARCHモデルの分析は別の機会に譲

ることとし,次節ではEGARCH(1,1)モデルによるシミュレーショ

ン分析を行い,このモデルについていくつかの考察を加えることとする。

4 シミュレーション

前節の結果を受けて,ここからはEGARCH(1,1)のシミュレー

Figure1:TOPIXの2006年1月から2008年6月までの日次データとその対数収

益率

千葉大学 経済研究 第26巻第3号(2011年12月)

(309) 133

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Table1:各モデルの推定結果モ デ ル μ α0 α1 α2 β1 β2 ν AIC

GARCH(1,0) -0.0095661 1.5085 0.22306 ― ― ― ― 2,124.02正規分布 (0.053664) (0.11942)(0.066443) ― ― ― ― ―

GARCH(0,1) -0.036769 2.1540 ― ― -0.11994 ― ― 2,148.42正規分布 (0.056114) (2.4924) ― ― (1.2979) ― ― ―

GARCH(1,1) -0.0035119 0.044431 0.088404 ― 0.88963 ― ― 2,061.91正規分布 (0.047231)(0.021587)(0.21933) ― (0.027654) ― ― ―

GARCH(2,1) -0.0032674 0.043260 0.091009 -0.0057564 0.89244 ― ― 2,063.87正規分布 (0.047285)(0.020249)(0.022657)(0.012927)(0.026968) ― ― ―

GARCH(1,2) -0.0035731 0.043959 0.084411 ― 0.90052 -0.0084839 ― 2,063.68正規分布 (0.047239)(0.020070)(0.021847) ― (0.027648)(0.012928) ― ―

GARCH(2,2) -0.0065110 0.043649 0.038427 0.049647 0.94872 -0.060075 ― 2,064.95正規分布 (0.046859)(0.019759)(0.050373)(0.053062)(0.054333)(0.055796) ― ―

GARCH(1,0) 0.011648 1.5779 0.19093 ― ― ― 7.4588 2,111.72t分布 (0.051864) (0.15751)(0.071794) ― ― ― (2.4486) ―

GARCH(0,1) 0.010080 2.5677 ― ― -0.30453 ― 5.9562 2,125.27t分布 (0.052921) (2.3493) ― ― (1.1877) ― (1.5468) ―

GARCH(1,1) 0.019044 0.058552 0.10788 -0.86655 ― 11.197 2,060.4t分布 (0.047469)(0.027603)(0.25726) ― (0.030622) ― (4.8918) ―

GARCH(2,1) 0.024305 0.085366 0.047050 0.081384 0.83244 ― 10.847 2,063.56t分布 (0.047301)(0.033571)(0.046251)(0.054786)(0.038845) ― (4.5668) ―

GARCH(1,2) 0.026059 0.12262 0.15976 ― 0.30674 0.47497 11.791 2,065.75t分布 (0.047936)(0.048862)(0.045179) ― (0.29599) (0.26111) (5.5399) ―

GARCH(2,2) 0.022552 0.068953 0.028400 0.071516 1.1664 -0.29798 10.792 2,064.72t分布 (0.047123)(0.030465)(0.040115)(0.049855) (0.28455) (0.25092) (4.4679) ―

モ デ ル μ α β γ δ ν ― AIC

EGARCH(1,0) -0.023721 0.39099 ― -0.16431 0.28399 ― ― 2,121.5正規分布 (0.053269)(0.081543) ― (0.054619)(0.076462) ― ― ―

EGARCH(0,1) -0.036657 0.84467 -0.29125 ― ― ― ― 2,148.41正規分布 (0.055994) (0.95233) (1.4542) ― ― ― ― ―

EGARCH(1,1) -0.063675 -0.050047 0.95241 -0.15838 0.094191 ― ― 2,029.01正規分布 (0.046262)(0.023842)(0.014753) (0.30085) (0.031307) ― ― ―

EGARCH(1,0) 0.0021108 0.44788 ― -0.21158 0.23070 6.9563 ― 2,109.13t分布 (0.051501) (0.10996) ― (0.069389)(0.094030) (2.1486) ― ―

EGARCH(0,1) 0.011798 0.75043 -0.10848 ― ― 5.9493 ― 2,126.95t分布 (0.053006) (2.4244) (3.5946) ― ― (1.5463) ― ―

EGARCH(1,1) -0.031243 -0.053586 0.96795 -0.15584 0.084317 15.666 ― 2,026.2t分布 (0.047081)(0.023772)(0.013877)(0.029625)(0.032457) (8.1971) ― ―

モ デ ル μ α β γ δ ψ fractional d AIC

FIEGARCH(0,d,0) -0.033256 0.16010 ― -0.32665 0.0067680 ― 0.62232 2,013.95正規分布 (0.040937) (0.16049) ― (0.051174)(0.017366) ― (0.047739) ―

FIEGARCH(0,d,1) -0.035561 0.15619 ― -0.32050 0.0078601 -0.047843 0.61225 2,015.91正規分布 (0.042415) (0.16298) ― (0.059923)(0.017893) (0.24165) (0.068310) ―

FIEGARCH(1,d,0) -0.038227 0.24267 0.044988 -0.32057 0.0070972 ― 0.61306 2,016.41正規分布 (0.042760) (0.16027)(0.23247) (0.059883)(0.017839) ― (0.071970) ―

FIEGARCH(1,d,1) -0.035963 0.15580 0.10295 -0.32016 0.0080551 0.055283 0.61078 2,017.9正規分布 (0.043015) (0.16330) (1.6422) (0.060000)(0.018218) (1.7064) (0.073077) ―

EGARCHモデルについて

134 (310)

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ションを行い,データを発生させて最尤法により推定を行う。その後,

分散や尖度の理論値とシミュレーションデータの比較等を行う。Deb

(1996)によると,有限な標本サイズに対するEGARCH(1,1)モ

デルの最尤推定では,βとδの推定値に下方のバイアスが存在すること

が示されている。バイアスは標本サイズの増加とともに減少するがβの

バイアスの減少速度はゆっくりであることも示されている。本稿では2

種類のデータサイズに対してシミュレーションを行い,バイアスおよび

RMSEの比較を行う。また,誤差項には正規分布とt分布を仮定して検

証を行う。

4.1 EGARCH(1,1)モデルの推定値のシミュレーション

EGARCH(1,1)モデルのシミュレーションを行う際のパラメー

タの母数については,まずはDeb(1996)がシミュレーションを行った

値を参考にし,近い値を選択した。αについては(-0.4,-1.1),βに

ついては(-0.4,0.4),γについては(-0.3,0.3,0.6,-0.6),δ

については(0.5,0.9)の値でデータを発生させ,そのすべての組み合

わせについて検証を行った。次に,実際のデータを推定したときのパラ

メータの推定結果の値についても加えてシミュレーションを行った。推

定結果の値は,正規分布の場合はα=-0.05,β=0.95,γ=-0.16,

δ=0.09,t分布の場合はα=-0.05,β=0.97,γ=-0.16,δ=0.08,

ν=16である。t分布のシミュレーションについてはDeb(1996)に準じ

た値の時はν=9と設定し,実際のデータを推定したときのパラメータ

の推定値を当てはめた時には推定値に合わせてν=16とした。データの

標本サイズは100と300,繰り返しの回数は80回,{Zt}には標準正規分

布とt分布を仮定している。シミュレーションの結果はTable2~5のよ

うになった。

Table2~5の結果によると,推定値やRMSEについては,全体的に

千葉大学 経済研究 第26巻第3号(2011年12月)

(311) 135

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n=300のときの方がバイアスが小さく,RMSEも小さくなっている。β

に着目すると,母数と推定値の絶対値を比較した場合,推定値の方が小

さくなっており,絶対値にして下方のバイアスが存在する。その傾向は

n=100のときに顕著である。n=300になるとバイアスは改善されるが,

依然として絶対値にして下方へのバイアスが存在している。δについて

も同じような傾向がみられる。αにも多少のバイアスが見られるが,そ

の大きさはβやδほど大きくはない。γの推定値は最も安定しているよう

に見える。そしてこのような傾向は誤差項に正規分布を仮定した場合と

t分布を仮定した場合の両方に同じように観察された。

EGARCH(1,1)モデルのパラメータの推定値について,推定値

の分布をヒストグラムに示すとFigure2,3のようになる。Figure2,3

ともにパラメータの母数は (α,β,γ,δ)=(-0.4,0.4,-0.3,0.5)

の場合であり,t分布の自由度はν=9としている。標本サイズはn=600

とし,ヒストグラム作成のため繰り返し回数を1,000回とした。

ヒストグラムをみると,γの推定値はほぼ真の値付近に分布していて

正規分布に近い形を示しているのに対し,βの推定値は幅広くばらつい

て分布に歪みがみられるなど,パラメータごとに違いが見受けられる。

これらの違いが推定値のバイアスを生じさせている原因と考えられる。

4.2 標本標準偏差と漸近標準偏差

GARCHモデルに対する漸近理論の研究はしばらくは現れなかったが,

Lee and Hansen(1994)がGARCH(1,1)に対する漸近理論を構築

したのを皮切りに,GARCHモデルの漸近理論に対する研究が進展した。

こうした研究をまとめているものにStraumann(2005)がある。これに

はStraumann and Mikosch(2006)の結果も含んでいる。Straumann

(2005)によれば,GARCH型モデルのパラメータの漸近共分散行列は,

h^t(θ^n)を条件付き分散,残差を Z^(n)t =Xt/(h^t(θ^n))1/2とした場合,

EGARCHモデルについて

136 (312)

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Table2:SimulationResults正規分布

n=100

TrueValue

Estimates

RMSE

αβ

γδ

αβ

γδ

αβ

γδ

-0.4

-0.4

-0.3

0.5

-0.47470

-0.25460

-0.32142

0.50514

0.25576

0.32100

0.15911

0.20511

-0.4

-0.4

-0.3

0.9

-0.42276

-0.32114

-0.32286

0.85404

0.24064

0.22393

0.13967

0.16708

-0.4

-0.4

0.3

0.5

-0.44301

-0.23200

0.27711

0.50201

0.26247

0.40522

0.16973

0.22713

-0.4

-0.4

0.3

0.9

-0.40507

-0.31979

0.28638

0.83705

0.28401

0.29158

0.15275

0.20339

-0.4

-0.4

-0.6

0.5

-0.44195

-0.34808

-0.62768

0.48842

0.23587

0.17473

0.14010

0.20167

-0.4

-0.4

-0.6

0.9

-0.39984

-0.34081

-0.62540

0.85153

0.23693

0.17785

0.12921

0.15594

-0.4

-0.4

0.6

0.5

-0.45229

-0.39651

0.57575

0.48883

0.26457

0.22333

0.16936

0.21376

-0.4

-0.4

0.6

0.9

-0.39378

-0.39152

0.58674

0.82874

0.31607

0.19773

0.14616

0.20624

-0.4

0.4

-0.3

0.5

-0.40398

0.33866

-0.32108

0.45679

0.20765

0.30563

0.15760

0.24301

-0.4

0.4

-0.3

0.9

-0.30145

0.30266

-0.31677

0.79444

0.26109

0.28351

0.15762

0.20288

-0.4

0.4

0.3

0.5

-0.39599

0.31885

0.28735

0.45475

0.24035

0.38193

0.17764

0.26532

-0.4

0.4

0.3

0.9

-0.28551

0.29073

0.27912

0.78850

0.28005

0.28448

0.17044

0.22741

-0.4

0.4

-0.6

0.5

-0.39069

0.37873

-0.61872

0.45525

0.20587

0.18122

0.15868

0.24040

-0.4

0.4

-0.6

0.9

-0.29654

0.33504

-0.61092

0.79151

0.29169

0.24145

0.16745

0.20000

-0.4

0.4

0.6

0.5

-0.36920

0.38991

0.59258

0.43298

0.21684

0.22259

0.16340

0.26148

-0.4

0.4

0.6

0.9

-0.29541

0.34885

0.57860

0.77780

0.28276

0.20696

0.16754

0.23123

-1.1

-0.4

-0.3

0.5

-1.0690

-0.24058

-0.32359

0.50873

0.30278

0.32336

0.16313

0.21196

-1.1

-0.4

-0.3

0.9

-1.0592

-0.29648

-0.33031

0.85068

0.26263

0.25014

0.14029

0.18741

-1.1

-0.4

0.3

0.5

-1.0629

-0.22152

0.28065

0.50992

0.37335

0.40990

0.16863

0.24313

-1.1

-0.4

0.3

0.9

-1.0263

-0.27982

0.28685

0.82405

0.32468

0.30738

0.15443

0.23379

-1.1

-0.4

-0.6

0.5

-1.0909

-0.32572

-0.62682

0.48747

0.27800

0.19855

0.14092

0.21149

-1.1

-0.4

-0.6

0.9

-1.0406

-0.30835

-0.62950

0.84243

0.27927

0.23049

0.12887

0.17693

-1.1

-0.4

0.6

0.5

-1.1297

-0.37684

0.57508

0.48512

0.31197

0.22767

0.17132

0.22194

-1.1

-0.4

0.6

0.9

-1.0271

-0.35522

0.59114

0.81659

0.35548

0.23620

0.16001

0.23841

-1.1

0.4

-0.3

0.5

-1.1722

0.34772

-0.32017

0.46157

0.47295

0.31915

0.15799

0.24927

-1.1

0.4

-0.3

0.9

-1.0779

0.37336

-0.32013

0.79939

0.25459

0.22760

0.16407

0.21050

-1.1

0.4

0.3

0.5

-1.1086

0.38546

0.28892

0.44837

0.46968

0.29528

0.16325

0.26275

-1.1

0.4

0.3

0.9

-1.0877

0.36038

0.28674

0.79789

0.27528

0.26959

0.17147

0.22382

-1.1

0.4

-0.6

0.5

-1.1189

0.38575

-0.61842

0.46331

0.32439

0.17652

0.15735

0.24060

-1.1

0.4

-0.6

0.9

-1.0507

0.39752

-0.62190

0.79846

0.22119

0.16546

0.16920

0.20651

-1.1

0.4

0.6

0.5

-1.0929

0.39754

0.58800

0.44979

0.37149

0.21793

0.16682

0.25895

-1.1

0.4

0.6

0.9

-1.0272

0.40931

0.58922

0.78491

0.25742

0.18592

0.16714

0.24001

-0.05

0.95

-0.16

0.09

0.047464

0.55875

-0.19134

0.13114

0.25043

0.40378

0.16319

0.17221

千葉大学 経済研究 第26巻第3号(2011年12月)

(313) 137

Page 10: EGARCHモデルについて · 2018-07-09 · ルであり,Engle(1982)によって提案されたARCH(autoregressivecon-ditional heteroskedasticity)モデルがその最初である。Engle(1982)

Table3:SimulationResults正規分布

n=300

TrueValue

Estimates

RMSE

αβ

γδ

αβ

γδ

αβ

γδ

-0.4

-0.4

-0.3

0.5

-0.40278

-0.39588

-0.30576

0.50324

0.15090

0.16529

0.0808620.13377

-0.4

-0.4

-0.3

0.9

-0.38304

-0.39425

-0.30168

0.88338

0.15849

0. 12094

0.0669380.10993

-0.4

-0.4

0.3

0.5

-0.40278

-0.40481

0.29453

0.50075

0.15908

0.17163

0.0657830.12577

-0.4

-0.4

0.3

0.9

-0.38755

-0.39924

0.29880

0.88549

0.15559

0.12866

0.0531280.10569

-0.4

-0.4

-0.6

0.5

-0.38598

-0.38869

-0.61356

0.49213

0.15218

0.0848770.0824300.12788

-0.4

-0.4

-0.6

0.9

-0.35174

-0.35940

-0.62240

0.87137

0.16765

0.14909

0.10388

0.11970

-0.4

-0.4

0.6

0.5

-0.40416

-0.41338

0.59695

0.50225

0.15518

0.0847640.0643400.11476

-0.4

-0.4

0.6

0.9

-0.38734

-0.40294

0.60185

0.89062

0.14879

0.10971

0.0700250.093635

-0.4

0.4

-0.3

0.5

-0.37404

0.37830

-0.31638

0.46987

0.14826

0.17033

0.0852680.16550

-0.4

0.4

-0.3

0.9

-0.34536

0.37966

-0.31332

0.84739

0.15224

0.12267

0.0815600.13891

-0.4

0.4

0.3

0.5

-0.38976

0.35023

0.29132

0.47648

0.14832

0.22078

0.0762910.16509

-0.4

0.4

0.3

0.9

-0.35853

0.36481

0.29387

0.86124

0.14742

0.14953

0.0717090.12799

-0.4

0.4

-0.6

0.5

-0.36871

0.39328

-0.61770

0.46608

0.13773

0.0949860.0849390.15641

-0.4

0.4

-0.6

0.9

-0.34010

0.38103

-0.61510

0.84530

0.14804

0.0850940.0841940.13316

-0.4

0.4

0.6

0.5

-0.38337

0.38506

0.59399

0.47176

0.14980

0.11794

0.0756520.17082

-0.4

0.4

0.6

0.9

-0.36426

0.37690

0.59631

0.86428

0.13155

0.10582

0.0712470.12714

-1.1

-0.4

-0.3

0.5

-1.0828

-0.37718

-0.30991

0.49763

0.17861

0.18920

0.0818660.14414

-1.1

-0.4

-0.3

0.9

-1.0699

-0.38455

-0.30448

0.88561

0.14917

0.13906

0.0673430.10727

-1.1

-0.4

0.3

0.5

-1.0966

-0.39197

0.29448

0.50072

0.16999

0.19997

0.0661680.12660

-1.1

-0.4

0.3

0.9

-1.0734

-0.39743

0.30150

0.88691

0.15220

0.12735

0.0538090.10572

-1.1

-0.4

-0.6

0.5

-1.0722

-0.38215

-0.61646

0.48995

0.15714

0.0894310.0828950.12815

-1.1

-0.4

-0.6

0.9

-1.0264

-0.37038

-0.61603

0.87763

0.20437

0.13382

0.0881610.10784

-1.1

-0.4

0.6

0.5

-1.1071

-0.41222

0.59771

0.50126

0.15075

0.0857750.0641050.11483

-1.1

-0.4

0.6

0.9

-1.0783

-0.39849

0.60620

0.89094

0.14433

0.10705

0.0635150.094021

-1.1

0.4

-0.3

0.5

-1.0957

0.38403

-0.31710

0.47259

0.24582

0.16437

0.0858810.16843

-1.1

0.4

-0.3

0.9

-1.0634

0.39993

-0.31497

0.85430

0.15086

0.12640

0.0843880.13701

-1.1

0.4

0.3

0.5

-1.1233

0.37009

0.29158

0.47518

0.31814

0.21809

0.0780330.17310

-1.1

0.4

0.3

0.9

-1.0918

0.37940

0.29234

0.86480

0.14146

0.15187

0.0746530.12861

-1.1

0.4

-0.6

0.5

-1.0776

0.39707

-0.61869

0.46961

0.17029

0.0917930.0861240.15718

-1.1

0.4

-0.6

0.9

-1.0584

0.40023

-0.61598

0.85185

0.13411

0.0818740.0793430.13102

-1.1

0.4

0.6

0.5

-1.1044

0.38510

0.59421

0.47518

0.22691

0.12178

0.0768410.17131

-1.1

0.4

0.6

0.9

-1.0896

0.38099

0.59916

0.86766

0.13215

0.10885

0.0723860.12690

-0.05

0.95

-0.16

0.09

-0.033500

0.93132

-0.17719

0.081232

0.0374120.0481790.0562060.060282

EGARCHモデルについて

138 (314)

Page 11: EGARCHモデルについて · 2018-07-09 · ルであり,Engle(1982)によって提案されたARCH(autoregressivecon-ditional heteroskedasticity)モデルがその最初である。Engle(1982)

Table4:SimulationResults

t分布(ν=9,ν=16)

n=100

TrueValue

Estimates

RMSE

αβ

γδ

αβ

γδ

αβ

γδ

-0.4

-0.4

-0.3

0.5

-0.40463

-0.13788

-0.31222

0.42805

0.28434

0.40106

0.17447

0.26237

-0.4

-0.4

-0.3

0.9

-0.41058

-0.30778

-0.30612

0.79933

0.27175

0.32478

0.15864

0.22640

-0.4

-0.4

0.3

0.5

-0.39862

-0.21007

0.28619

0.43794

0.29196

0.39229

0.17077

0.25108

-0.4

-0.4

0.3

0.9

-0.40671

-0.25149

0.28777

0.80987

0.27254

0.33034

0.16394

0.22177

-0.4

-0.4

-0.6

0.5

-0.39785

-0.30837

-0.60828

0.42464

0.28579

0.27378

0.17303

0.23230

-0.4

-0.4

-0.6

0.9

-0.35895

-0.30824

-0.59894

0.75304

0.28542

0.27268

0.16650

0.25303

-0.4

-0.4

0.6

0.5

-0.42444

-0.33337

0.58898

0.41945

0.31354

0.27976

0.17340

0.23795

-0.4

-0.4

0.6

0.9

-0.38871

-0.28505

0.56936

0.80083

0.26098

0.30040

0.18492

0.20749

-0.4

0.4

-0.3

0.5

-0.37096

0.31419

-0.31173

0.39691

0.23765

0.41244

0.18038

0.26445

-0.4

0.4

-0.3

0.9

-0.29995

0.35303

-0.30792

0.72690

0.21440

0.31196

0.16708

0.24666

-0.4

0.4

0.3

0.5

-0.37694

0.24233

0.28924

0.40050

0.27543

0.39710

0.16264

0.26095

-0.4

0.4

0.3

0.9

-0.28603

0.34183

0.28443

0.74166

0.21039

0.24579

0.15219

0.24028

-0.4

0.4

-0.6

0.5

-0.34987

0.36702

-0.61790

0.39155

0.22783

0.28328

0.18351

0.26003

-0.4

0.4

-0.6

0.9

-0.29843

0.38458

-0.59100

0.71835

0.21127

0.23799

0.17903

0.25248

-0.4

0.4

0.6

0.5

-0.35185

0.35439

0.59907

0.38600

0.23881

0.24233

0.16398

0.25014

-0.4

0.4

0.6

0.9

-0.29693

0.36373

0.58282

0.74079

0.20649

0.20063

0.16685

0.23283

-1.1

-0.4

-0.3

0.5

-0.93797

-0.13036

-0.30253

0.42419

0.45412

0.45107

0.18919

0.28309

-1.1

-0.4

-0.3

0.9

-0.93890

-0.23062

-0.30522

0.76228

0.42784

0.41423

0.15986

0.29180

-1.1

-0.4

0.3

0.5

-0.95068

-0.20967

0.28465

0.41802

0.45723

0.42570

0.17876

0.27547

-1.1

-0.4

0.3

0.9

-0.96569

-0.29827

0.28450

0.79865

0.41782

0.34819

0.17524

0.25411

-1.1

-0.4

-0.6

0.5

-0.99533

-0.28865

-0.61180

0.41490

0.41706

0.30810

0.19128

0.24381

-1.1

-0.4

-0.6

0.9

-0.96938

-0.32464

-0.62099

0.77238

0.43728

0.28578

0.18138

0.27181

-1.1

-0.4

0.6

0.5

-1.0269

-0.33012

0.59136

0.40731

0.44358

0.27639

0.17530

0.25633

-1.1

-0.4

0.6

0.9

-0.98901

-0.32502

0.59816

0.78375

0.42162

0.26925

0.16859

0.25385

-1.1

0.4

-0.3

0.5

-1.0984

0.36868

-0.30767

0.38826

0.52651

0.33942

0.18195

0.28003

-1.1

0.4

-0.3

0.9

-1.0277

0.35448

-0.31020

0.72621

0.36736

0.36075

0.17580

0.27585

-1.1

0.4

0.3

0.5

-1.1887

0.30519

0.27593

0.40605

0.52379

0.36100

0.18658

0.25352

-1.1

0.4

0.3

0.9

-0.98487

0.40314

0.29090

0.71228

0.35653

0.27286

0.15432

0.30131

-1.1

0.4

-0.6

0.5

-1.0549

0.39355

-0.61797

0.38105

0.40408

0.23680

0.18192

0.27624

-1.1

0.4

-0.6

0.9

-0.98866

0.39580

-0.60474

0.71080

0.32854

0.24276

0.18145

0.28607

-1.1

0.4

0.6

0.5

-1.0830

0.37378

0.59944

0.39273

0.34438

0.19406

0.15727

0.25169

-1.1

0.4

0.6

0.9

-0.99215

0.39298

0.59610

0.72347

0.28596

0.18766

0.15547

0.27829

-0.05

0.97

-0.16

0.08

-0.078003

0.60141

-0.20073

0.22967

0.16136

0.36660

0.10981

0.23072

千葉大学 経済研究 第26巻第3号(2011年12月)

(315) 139

Page 12: EGARCHモデルについて · 2018-07-09 · ルであり,Engle(1982)によって提案されたARCH(autoregressivecon-ditional heteroskedasticity)モデルがその最初である。Engle(1982)

Table5:SimulationResults

t分布(ν=9,ν=16)

n=300

TrueValue

Estimates

RMSE

αβ

γδ

αβ

γδ

αβ

γδ

-0.4

-0.4

-0.3

0.5

-0.38975

-0.38189

-0.30455

0.49065

0.16003

0.15672

0.090570

0.12877

-0.4

-0.4

-0.3

0.9

-0.36512

-0.41053

-0.29148

0.87069

0.16105

0. 0909010.070618

0.10254

-0.4

-0.4

0.3

0.5

-0.38691

-0.40970

0.29223

0.47716

0.17889

0.20072

0.11086

0.14621

-0.4

-0.4

0.3

0.9

-0.37044

-0.40460

0.28654

0.85193

0.17860

0.11355

0.11998

0.13610

-0.4

-0.4

-0.6

0.5

-0.38180

-0.39464

-0.60696

0.48711

0.15571

0.0919270.096803

0.11877

-0.4

-0.4

-0.6

0.9

-0.36111

-0.40860

-0.59294

0.87355

0.16256

0.0694600.085799

0.09842

-0.4

-0.4

0.6

0.5

-0.39069

-0.41020

0.58742

0.48312

0.17818

0.0996720.13263

0.13737

-0.4

-0.4

0.6

0.9

-0.36333

-0.39754

0.55116

0.83412

0.17922

0.0979120.22445

0.16520

-0.4

0.4

-0.3

0.5

-0.36463

0.34742

-0.30352

0.45591

0.13041

0.23658

0.097266

0.15211

-0.4

0.4

-0.3

0.9

-0.32291

0.34420

-0.29892

0.84300

0.13898

0.16763

0.094428

0.13117

-0.4

0.4

0.3

0.5

-0.36950

0.34880

0.29049

0.45265

0.14546

0.24603

0.12015

0.15983

-0.4

0.4

0.3

0.9

-0.34418

0.29918

0.25920

0.80801

0.13302

0.25448

0.17954

0.17036

-0.4

0.4

-0.6

0.5

-0.35519

0.38886

-0.60906

0.44844

0.11849

0.12280

0.10301

0.14663

-0.4

0.4

-0.6

0.9

-0.33739

0.35890

-0.58975

0.82885

0.12533

0.16880

0.10612

0.13772

-0.4

0.4

0.6

0.5

-0.37012

0.39002

0.59614

0.45326

0.13026

0.15700

0.13587

0.14127

-0.4

0.4

0.6

0.9

-0.36345

0.31749

0.52929

0.80590

0.12510

0.24731

0.27252

0.17255

-1.1

-0.4

-0.3

0.5

-1.0725

-0.37712

-0.30614

0.49020

0.16784

0.15272

0.090387

0.12923

-1.1

-0.4

-0.3

0.9

-1.0500

-0.40593

-0.29478

0.87213

0.16856

0.0922950.073383

0.10252

-1.1

-0.4

0.3

0.5

-1.0701

-0.39685

0.29217

0.47610

0.20178

0.21891

0.11035

0.14717

-1.1

-0.4

0.3

0.9

-1.0479

-0.40895

0.29371

0.85808

0.18150

0.12049

0.099622

0.12943

-1.1

-0.4

-0.6

0.5

-1.0712

-0.39048

-0.60917

0.48571

0.16015

0.0907560.096225

0.11932

-1.1

-0.4

-0.6

0.9

-1.0251

-0.40173

-0.60912

0.87842

0.21734

0.0720020.099826

0.10035

-1.1

-0.4

0.6

0.5

-1.0795

-0.40817

0.58893

0.48133

0.19312

0.10146

0.13228

0.13833

-1.1

-0.4

0.6

0.9

-1.0226

-0.40330

0.56919

0.84813

0.20803

0.0881170.19137

0.13511

-1.1

0.4

-0.3

0.5

-1.1173

0.35688

-0.30460

0.46022

0.29599

0.21455

0.096151

0.15159

-1.1

0.4

-0.3

0.9

-1.0956

0.35466

-0.29840

0.84813

0.16435

0.13915

0.092837

0.12860

-1.1

0.4

0.3

0.5

-1.1162

0.34932

0.29492

0.45878

0.33653

0.26464

0.11514

0.14895

-1.1

0.4

0.3

0.9

-1.0699

0.36717

0.29350

0.83724

0.18733

0.17536

0.11409

0.14247

-1.1

0.4

-0.6

0.5

-1.0775

0.38609

-0.60976

0.45406

0.18784

0.12092

0.10274

0.14527

-1.1

0.4

-0.6

0.9

-1.0582

0.38915

-0.60376

0.84192

0.12613

0.10372

0.10317

0.12620

-1.1

0.4

0.6

0.5

-1.0694

0.40083

0.60987

0.45696

0.21865

0.12846

0.093544

0.13953

-1.1

0.4

0.6

0.9

-1.0613

0.39802

0.60522

0.84716

0.15643

0.11249

0.092035

0.12487

-0.05

0.97

-0.16

0.08

-0.030014

0.84875

-0.16069

0.097581

0.0383400.26443

0.081749

0.10467

EGARCHモデルについて

140 (316)

Page 13: EGARCHモデルについて · 2018-07-09 · ルであり,Engle(1982)によって提案されたARCH(autoregressivecon-ditional heteroskedasticity)モデルがその最初である。Engle(1982)

Figure2:正規分布 n=1,000

Figure3:t分布 ν=9,n=1,000

千葉大学 経済研究 第26巻第3号(2011年12月)

(317) 141

Page 14: EGARCHモデルについて · 2018-07-09 · ルであり,Engle(1982)によって提案されたARCH(autoregressivecon-ditional heteroskedasticity)モデルがその最初である。Engle(1982)

V^(n)0 =(14n

n

Σt=1((Z^(n)

t )4-1))(1nn

Σt=1

(h^′t(θ^n))T h^′t(θ^n)h^t(θ^n)2 )

-1

によって求められることが示されている。t分布の場合は h^(θ^n)に�

式の指数をとったものを代入すればよい。この式を使って,実際に標本

標準偏差と漸近標準偏差を比べてみたものがTable6,7である。パラ

メータの母数については(α,β,γ,δ)=(-0.4,0.4,-0.3,0.5)

と(α,β,γ,δ)=(-0.05,0.97,-0.16,0.08)の2種類を採用し

た。また,αについて詳しく調べたものがTable8である。母数はα=

(-0.4,-0.05)とし,t分布の自由度は,Table6,7についてはν=(5,

9,16),Table8についてはν=(5,9,16,100)の場合について検

証した。なお,繰り返し回数はTable6,7,8全て80回である。

Table6~8をみると,標本標準偏差は発生させたデータサイズが大き

くなるにつれ小さくなっており,推定の精度が上がっていることがうか

がえる。しかしながら理論値との隔たりが存在し,標本サイズを大きく

すれば偏差は減少するという傾向は同じであるが,(α,β,γ,δ)=

(-0.4,0.4,-0.3,0.5)のときは漸近標準偏差の方が小さくなり,

(α,β,γ,δ)=(-0.05,0.97,-0.16,0.08)のときは漸近標準偏

差の方が大きくなった。この隔たりは標本サイズの増加とともに小さく

なるが,依然として差異は生じる。これらのことより,理論値の計算方

法が完全でないか,もしくは標本サイズまたは繰り返し数を増やす必要

があると考えられる。

4.3 EGARCHモデルの尖度と歪度

次に,実際のデータによって推定されたパラメータの値を使って

EGARCH(1,1)モデルによってシミュレーション・データを発生

させてみる。正規分布の場合は(α,β,γ,δ)=(-0.05,0.95,-0.16,

0.09),t分布の場合は(α,β,γ,δ,ν)=(-0.05,0.97,-0.16,0.08,

EGARCHモデルについて

142 (318)

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Table6:標本標準偏差と漸近標準偏差の比較

n=300,ν=5 α β γ δ

母 数 -0.4 0.4 -0.3 0.5推 定 値 -0.40199 0.36928 -0.30233 0.46676標 本 標 準 偏 差 0.033339 0.056558 0.012162 0.033878漸 近 標 準 偏 差 0.0095405 0.019681 0.0042388 0.0090486

n=1,000,ν=5 α β γ δ

母 数 -0.4 0.4 -0.3 0.5推 定 値 -0.36205 0.36050 -0.30438 0.45593標 本 標 準 偏 差 0.0052100 0.015188 0.0035374 0.0062692漸 近 標 準 偏 差 0.0034924 0.0069673 0.0015886 0.0033949

n=300,ν=9 α β γ δ

母 数 -0.4 0.4 -0.3 0.5推 定 値 -0.39801 0.39372 -0.29741 0.49565標 本 標 準 偏 差 0.016268 0.048772 0.0093829 0.023428漸 近 標 準 偏 差 0.0069356 0.014804 0.0028592 0.0067585

n=1,000,ν=9 α β γ δ

母 数 -0.4 0.4 -0.3 0.5推 定 値 -0.38677 0.38864 -0.30115 0.48070標 本 標 準 偏 差 0.0048670 0.011391 0.0027078 0.0079260漸 近 標 準 偏 差 0.0019662 0.0037318 0.00080215 0.0019519

n=300,ν=16 α β γ δ

母 数 -0.4 0.4 -0.3 0.5推 定 値 -0.36323 0.39143 -0.30537 0.43740標 本 標 準 偏 差 0.016216 0.047789 0.0081402 0.018719漸 近 標 準 偏 差 0.0051967 0.010623 0.0019740 0.0050820

n=1,000,ν=16 α β γ δ

母 数 -0.4 0.4 -0.3 0.5推 定 値 -0.39070 0.39987 -0.29613 0.48257標 本 標 準 偏 差 0.0059426 0.011707 0.0019882 0.0067804漸 近 標 準 偏 差 0.0016043 0.0029518 0.00061737 0.0015980

千葉大学 経済研究 第26巻第3号(2011年12月)

(319) 143

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Table7:標本標準偏差と漸近標準偏差の比較

n=300,ν=5 α β γ δ

母 数 -0.05 0.97 -0.16 0.08推 定 値 -0.030397 0.95953 -0.17462 0.055811標本標準偏差 0.0018970 0.0012404 0.0027407 0.0039634漸近標準偏差 0.011969 0.018034 0.0045182 0.0094975

n=1,000,ν=5 α β γ δ

母 数 -0.05 0.97 -0.16 0.08推 定 値 -0.042537 0.96776 -0.16497 0.070501標本標準偏差 0.00056796 9.4932e―005 0.00074849 0.0010611漸近標準偏差 0.0039213 0.0039017 0.0015762 0.0033690

n=300,ν=9 α β γ δ

母 数 -0.05 0.97 -0.16 0.08推 定 値 -0.031299 0.96355 -0.16647 0.058939標本標準偏差 0.0014733 0.00082919 0.0020558 0.0029778漸近標準偏差 0.0092889 0.012873 0.0029633 0.0069551

n=1,000,ν=9 α β γ δ

母 数 -0.05 0.97 -0.16 0.08推 定 値 -0.043160 0.96954 -0.15906 0.071542標本標準偏差 0.00063107 6.2109e―005 0.00053769 0.0011113漸近標準偏差 0.0023697 0.0020554 0.00082484 0.0019994

n=300,ν=16 α β γ δ

母 数 -0.05 0.97 -0.16 0.08推 定 値 -0.023416 0.96291 -0.16796 0.049064標本標準偏差 0.0016596 0.00056780 0.0018901 0.0033185漸近標準偏差 0.0063995 0.0072903 0.0020218 0.0051693

n=1,000,ν=16 α β γ δ

母 数 -0.05 0.97 -0.16 0.08推 定 値 -0.040170 0.96989 -0.15739 0.067602標本標準偏差 0.00064394 6.8958e―005 0.00042966 0.0011577漸近標準偏差 0.0019068 0.0015250 0.00062741 0.0016193

EGARCHモデルについて

144 (320)

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Table8:標本標準偏差と漸近標準偏差の比較

α=-0.4

ν n 推 定 値 標本標準偏差 漸近標準偏差

300 -0.38120 0.014326 0.0047130100 1,000 -0.40087 0.0049774 0.0014059

5,000 -0.39799 0.00059634 0.00028112

300 -0.36323 0.016216 0.005196716 1,000 -0.39070 0.0059426 0.0016043

5,000 -0.39762 0.00097999 0.00032555

300 -0.36205 0.016268 0.00693569 1,000 -0.38677 0.0048670 0.0019662

5,000 -0.40019 0.0011185 0.00039229

300 -0.40199 0.033339 0.00954055 1,000 -0.39498 0.0052100 0.0034924

5,000 -0.39801 0.0012449 0.00075136

α=-0.05

ν n 推 定 値 標本標準偏差 漸近標準偏差

300 -0.021839 0.0019240 0.0062525100 1,000 -0.040946 0.00056062 0.0017291

5,000 -0.049050 0.000074917 0.00032978

300 -0.23416 0.0016596 0.006399516 1,000 -0.040170 0.00064394 0.0019068

5,000 -0.050773 0.00010573 0.00037736

300 -0.31299 0.0014733 0.00928899 1,000 -0.43160 0.00063107 0.0023697

5,000 -0.050574 0.00012557 0.00044209

300 -0.030397 0.0018970 0.0119695 1,000 -0.042537 0.00056796 0.0039213

5,000 -0.048800 0.000092471 0.00081290

千葉大学 経済研究 第26巻第3号(2011年12月)

(321) 145

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Figure4:推定値を使ってのデータの発生

16)の値を用いた。標本のサイズは実際の標本サイズとなるべく近くな

るように600を選択した。発生させたデータのグラフをFigure4に示し

ている。

実際のTOPIXのデータと発生させたデータのヒストグラムは

Figure5に示されている。実際のTOPIXのデータのヒストグラムは発

生させたデータのヒストグラムと似ているように見える。後のTable9

では尖度および歪度の計算を行うことでこの3者のデータを細かくみる

こととする。一方,モデルそのもの分布を知るためには,Figure5のよ

うな時系列だけでなく,i番目の時点を固定して一時点での分布に着目

することが必要となる。尖度や歪度を分布のモーメントより求めた時の

値はこちらの分布と比較したほうがよい。そこで,i番目の時点の分布

を調べるため,標本サイズn=600のデータを発生させて,その500個目

のデータを抜き出した。これを600回繰り返して生成したデータのヒス

トグラムをFigure6に示す。

EGARCHモデルについて

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Figure5,6のようにEGARCHで発生させたデータが実際のデータの

特徴をどの程度とらえているかを調べるために,これらのデータの尖度

と歪度を比較してみることとする。尖度には正規分布が0となる定義を

採用した。尖度は,データの平均周りのi乗モーメントをμiとすると,

β2=μ4μ22-3 �

によって計算される。一方歪度は,

β1/21 =μ3μ3/22

によって計算される。

実際のデータとシミュレーションによって発生させたデータの尖度と

歪度を計算して比較すると,Table9のようになる。

Table9をみると,実際のデータの値,シミュレーションの値は共に

Figure5:TOPIXのデータと発生させたデータFigure4のヒストグラム

千葉大学 経済研究 第26巻第3号(2011年12月)

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尖度が0より大きく,正規分布と比べて尖っていて裾が厚い分布となっ

ている点で共通している。また,歪度については,t分布を用いた時に

実際のTOPIXデータと同様に負の値をとることが確認された。

また,He et al. (2002)によると,誤差項に正規分布を仮定した

EGARCHモデルの尖度が

β2=3exp{(δ+γ)2

1-β2}

Figure6:500番目のデータのヒストグラムの比較

Table9:Figure5の尖度,歪度の比較

尖 度 歪 度

TOPIX 1.2554 -0.39427正規分布 1.5498 0.07736t 分 布 1.5304 -0.13875

EGARCHモデルについて

148 (324)

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Table10:Figure6の尖度,歪度の比較

尖 度 歪 度

式の尖度 1.25975 ―

正 規 分 布 1.1409 0.01360t 分 布 1.4026 0.14624

×Π∞i=1Φ(2βi-1(δ+γ))+exp{-8β2(i-1)δγ}Φ(2βi-1(δ-γ))[Φ(βi-1(δ+γ))+exp{-2β2(i-1)δγ}Φ(βi-1(δ-γ))]2-3,

によって計算できることが示されている。なお,Φ(・)は標準正規分

布の分布関数である。これはモデルから生成された分布自体の尖度なの

で,比較はFigure6のデータに対して行う。結果はTable10のように

なった。

Figure6の尖度と歪度はTable10のようになっている。He et al.

(2002)から得られた 式の尖度と正規分布の場合の尖度は近い値になっ

ており,シミュレーションの精度が確認された。

5 結び

本稿では,GARCH型モデルによる金融時系列のパラメータ推定と,

特にEGARCHモデルによるシミュレーションを行った。実証分析の結

果,やはりボラティリティの非対称性をとらえることができる

EGARCHモデルの方が,通常のGARCHモデルよりも良い推定のパ

フォーマンスを見せることがわかった。そして誤差項に正規分布を仮定

した場合とt分布を仮定した場合では,t分布を仮定したときの方が当て

はまりがいいこともわかった。一方で,ボラティリティに長期記憶性を

仮定したFIEGARCHモデルも良い結果を得ることが出来た。本稿では

FIEGARCHモデルは参考にとどめたが,研究の余地のある有用なモデ

ルであるといえよう。

千葉大学 経済研究 第26巻第3号(2011年12月)

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シミュレーションについては,標本サイズ300の場合は正規分布,t分

布の場合ともに真のパラメータに近い値を推定することが出来ていた。

標本サイズが100の場合には,Deb(1996)の場合と同様に,β,δの推

定値については絶対値にして下方のバイアスが発生しており,その傾向

は標本サイズが300になっても変わらないが値としては小さくなる。

EGARCHモデルを実際にデータに当てはめて推定するには,標本サイ

ズが100では少し小さいと考えられる。今回のシミュレーションはデー

タの標本サイズが100と300であったが,より標本サイズを大きくすれば

推定の精度が増すことが予想される。推定結果をもとに発生させたシ

ミュレーションデータについては,尖度を比較すると実際のデータとシ

ミュレーションデータの値が近い値になり,正規分布よりも裾が厚く

なっている分布となっている点で一致しており,実際のデータの特徴の

一部をとらえることが出来ていたと考えられる。

今回対象としたTOPIXのデータはリーマンショック以後を含まない

ものであった。世界的な金融危機が起こった時のデータを用いれば,ま

た違った結果が生まれると推察される。

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EGARCHモデルについて

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(2011年9月20日受理)

千葉大学 経済研究 第26巻第3号(2011年12月)

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Summary

EGARCH Model and its Application

Haruhisa NISHINO, Shun OHTSURU

This paper considers the EGARCH(exponential GARCH)model,

which is one of the conditional heteroscedastic models. The EGARCH

model allows for asymmetric effects between positive and negative as-

set returns. First, with the daily return data of TOPIX used, the paper

estimates parameters of EGARCH models and comparing them with

other GARCH models by AIC. Next, the paper conducts a simulation

study to compare biases and RMSEs for different sample sizes, and

moreover calculates kurtosis and skewness using the TOPIX data and

the simulated data.

Summary

196 (372)