鉄(fe)の硫化に関するポテンシャル図 - aist · 2019. 1. 17. · fes(s) fes2(s)...
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鉄(Fe)の硫化に関するポテンシャル図
Keyword:ポテンシャル図計算、自由エネルギー、硫化反応、硫黄分圧の計算
はじめに
金属鉄(Fe)は、硫化することにより硫化鉄と総称される。硫化鉄に数種類が存在する。
硫化鉄(II:FeS)には、磁硫鉄鋼とトロイリ鉱(FeS)がある。磁硫鉄鋼は、組成式が Fe1-
xSとなり、鉄と硫黄の割合が整数比でない不定比化合物である。硫化鉄(III:Fe2S3)は硫
化第二鉄とも呼ばれる。二硫化鉄は組成式が FeS2であり、天然には黄鉄鋼として算出する。
ここでは、金属鉄の硫化に関するポテンシャル図について以下の 4 課題に関して熱力学ソ
フトの使用方法とともに簡単な熱力学的説明も行う。
課題 1:圧力 1.01325bar で、温度を室温から 1000℃、硫黄分圧を 10-30bar から 1bar ま
で変化させたときの、鉄の相変化のポテンシャル図を表示せよ。
(本ソフト使用すると簡単に Feの硫化に伴うポテンシャル図を表示できるので、その方法
について説明します。)
課題 2:圧力 1.01325bar で、温度を 700℃と固定して、硫黄分圧を 10-30bar から 1bar ま
で変化させた時の鉄の相変化を表示せよ。(本ソフト使用するとポテンシャル図と同様に簡
単に組成変化も表示できるので、組成変化も含んだポテンシャル図の表示方法について説
明します。)
課題 3:圧力 1.01325bar で、温度を 700℃と固定して、硫黄分圧を 10-30bar から 1bar ま
で変化させた時の鉄の自由エネルギーを表示せよ。(温度一定で、硫黄分圧を変化させた時
の鉄の自由エネルギーの変化について説明します。)
課題 4:圧力 1.01325bar で、温度を 700℃と固定して、硫黄分圧を 10-30bar から 1bar ま
で変化させた時の鉄の自由エネルギーの変化と、相変化(Fe→FeS)時の硫黄分圧を求め
よ。(鉄が流化して硫化鉄に変化するときの自由エネルギーの変化並びに流化に伴う相変化
時の硫黄分圧を求める方法を熱力学の基本式をベースに説明しています。計算に必要な熱
力学情報を得る方法も説明しています。)
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課題 1:圧力 1.01325bar で、温度を 0℃から 1000℃、硫黄分圧を 10-30bar か
ら 1barまで変化させたときの、鉄の相変化のポテンシャル図を表示せよ。
●計算熱力学ソフトの使用方法(状態図の表示のための事前入力法1)
パソコン画面上の CaTCalcを立ち上げ、画面上段の Systemをクリックする。
●計算熱力学ソフトの使用方法(状態図の表示のための事前入力法2)
(*データベースの「RICT-Pure.EDB」は製品版です。お持ちでない場合は「PureLiq.adb」
「PureSol.adb」「IdealGas.adb」の三つすべてのデータベースを選択してください)
①最初に鉄の Feクリックする。
②次に硫黄の Sをクリックする。
③データベースとして RICT-Pure.EDB を選択する。
④最後に Load をクリックする。
・下図に示すような画面が表示されるので Dataボタンをクリックする。
①②
③
④
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●計算熱力学ソフトの使用方法(状態図の表示のための事前入力法3)
①Phasesリストの Pure Solisをクリックする。
②Solid Phasesリストの Fe(s)の項をクリックする。
③Fe(s)の欄で、右クリックして、プルダウンメニューの中のFeed Speciesをクリックする。
④Feed Species for Calculation の項に Fe in Fe(s)が表示されていることを確認する。
以後、S2の場合は、Gasの項をクリックして、上記と同様に S2を選択して Feed speciesの
欄に S2が表示されていることを確認する。
⑤Calculateボタンをクリックします。(calculate画面が開きます)
①
② ③
④
⑤
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●計算熱力学ソフトの使用方法(状態図の表示のための事前入力法4)
下図のような状態図を計算するための入力画面が現れる。状態図を計算するためのデー
タの入力方法を以下に示す。
①Fe(S)の項の Value に 2 を入力する。2 モルを意味するが、1 モルでも計算結果は同じで
ある。ここでは、後の説明のために 2モルとしている。
②Gasの項の Unit欄をクリックし、プルダウンメニューより log10(P)を選択して Valueに
xを入力する。
③xの項に-30と 1を入力する。この場合は 1の代わりに 0でも良い。
④Temperatureの項に 0と 1000と入力する。
⑤Phase Diagramを選択する。
⑥全項目を確認し、Calculateを実行する。
①②③
④
⑤
⑥
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●計算結果の説明(ポテンシャル図の表示)
①状態図をワード等に貼り付けたい場合は、メニューバーの Edit をクリックし、Copy to
clipboardを選択すると、ワード等のソフトに図をコピーできる。
ポテンシャル図の計算結果が下図に示すように自動で表示されます。
(*デモ版のデータベースは試供版のため結果が若干異なります)
・鉄(Fe)、及びその硫化物は、硫黄分圧が大きくなるに従い、放物線的に、高温側に安定
領域がシフトしている。
・硫黄分圧(logPS2)が-15 以上で低温領域では、unstable と表記されている。例えば、
List で 200℃の等温線でチェックすると、log10(P_S2_gas)=-5.74 以上では活動度が
37.9となり、1よりも大きな値となり、安定に存在しないことがわかる。
・上図の赤い線は、これから説明する 700℃での硫黄分圧の変化を示す等温線である。一緒
に 600℃のケースも紹介する。
2Fe-S2 P=1.01325bar
CaTCalc
log10(P_S2_Gas)
-10-20-30
Tem
pera
ture
(C)
1000
900
800
700
600
500
400
300
200
100Unstable!
FeS2(s)
Fe2S3(s)
FeS(s)
Fe(s)
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課題 2:圧力 1.01325bar で、温度を 700℃と固定して、硫黄分圧を 10-30barか
ら 1barまで変化させた時の鉄の相変化を図示せよ。
●計算熱力学ソフトの使用方法(700℃における各相の表示方法)
①Fe(S)の項の Valueに 2を入力する。2モルを意味するが、先述と同様に 1モルでも計算
結果は同じである。ここでは、後の説明のために2モルとしている。
②Gasの項の Unit欄をクリックし、プルダウンメニューより log10(P)を選択して Valueに
xを入力する。
③X をの項に-30 と 0(1)を入力する。さらに 0.1 を追加すると、より詳細に計算できる
が、本計算では、入力してもしなくても結果は同じである。
④Temperatureを 700℃と入力する。後述する 600℃の場合は 600を入力する。
⑤Equilibrium Calc を選択する。
⑥全項目を確認し、Calculateを実行する。
①②
③
④⑤
⑥
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●計算結果の説明(700℃における各相の表示結果)
硫黄の分圧の変化(x軸)に伴う、鉄及び硫化鉄のmolが出力される。
・鉄(Fe)は logPS2が-10.41まで安定である。鉄のmol数は 2モルになっている。最初の
設定を 1モルとすると、その場合は、mol数は 1モルとなる。
・硫化鉄(FeS)は、logPS2の値が-10.41以上で安定に存在している。mol数は 2原子の 2
倍なので 4モルとなる。
●計算結果の説明(600℃における各相の表示結果)
(*デモ版のデータベース CaTCalcSEBasicは試供版のため結果が若干異なります)
・600℃では4相が出現する。Fe2O3のmol数は、(5×2)/(2)=5となる。
2Fe-S2 T=700C, P=1.01325bar
CaTCalc
log10(P_S2_Gas)
-10-20-30
mol (a
tom
)
4
3.5
3
2.5
2
1.5
1
.5
Fe(s)
FeS(s)
金属鉄(Fe)
硫化鉄(FeS)
-10.41
2Fe-S2 T=600C, P=1.01325bar
CaTCalc
log10(P_S2_Gas)
-10-20-30
mol (a
tom
)
6
5.5
5
4.5
4
3.5
3
2.5
2
1.5
1
.5
Fe(s)
FeS(s)
FeS2(s)
Fe2S3(s)
-12.30
金属鉄(Fe)
硫化鉄(Ⅱ:FeS)
硫化鉄(Ⅲ:Fe2S3)
2硫化鉄(Ⅲ:FeS2)
-3.77
-1.70
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課題 3:圧力 1.01325bar で、温度を 700℃と固定して、硫黄分圧を 10-30barか
ら 1barまで変化させた時の鉄の自由エネルギーを図示せよ。
●計算熱力学ソフトの使用方法(700℃における各相の表示方法)
①Axisタブをクリックする
②[Y-Axis]-Variableのプルダウンメニューを表示する。
③Energetic Quantitiesを選択する。
④Applyをクリックする。
●計算結果の説明(700℃における各相の表示結果)
硫黄の分圧の変化(x軸)に伴う、各相の Gibb Energy(y軸)が出力される。ここでは
Gibbs Energyを自由エネルギーと呼ぶことにする。
①
②
③
2Fe-S2 T=700C, P=1.01325bar
CaTCalc
log10(P_S2_Gas)
-10-20-30
Gib
bs E
nerg
y (
kJ)
-80
-100
-120
-140
-160
-180
-200
-220
-240
-260
-280
-300
-320
-340
-360
-380
GFe
GFeS-10.42
logPS2=-10.42
-303.95(kJ/mol)
④
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・最上段の直線は鉄の自由エンルギー(GFe)である。鉄は固体であるため、圧力の影響は
ほとんど受けない。そのため、硫黄分圧が変化しても、自由エネルギーの変化はほとんど無
い。何故変化しないかは課題 4で説明する。
・鉄が酸化第一鉄(FeS)に変化するのは硫黄分圧が logPS2=-10.42の時である。何故こ
のような値になるかは課題 4で説明する。
・鉄の自由エネルギー(GFe)と硫化鉄の自由エネルギー(GFeS)の差は硫黄の自由エネルギ
ー(GS2)に相当する。何故このようになるかは課題 4で説明する。
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課題 4:圧力 1.01325bar で、温度を 700℃と固定して、硫黄分圧を 10-30barか
ら 1bar まで変化させた時の鉄の自由エネルギーの変化を熱力学の式をベース
に説明し、相変化(Fe→FeS)の時の硫黄分圧を求めよ。
●熱力学の基本式をベースに鉄の相変化の説明
鉄が硫黄と反応して硫化鉄に変化する反応は以下のようになる。
鉄の自由エネルギーを GFe、硫黄の自由エネルギーを GS2、硫化鉄の自由エネルギーを GFeS
とすると、反応に伴う自由エネルギーの変化(ΔG)は以下の式となる。
ガス相である硫黄の自由エネルギーは以下のように与えられる。
ここで、GoS2は硫黄の標準自由エネルギーである。
固相である鉄の自由エネルギーは、圧力の低い場合には、以下の式で与えられる。
ここで、Goは鉄の標準自由エネルギー、Vmは鉄のモル体積である。鉄のモル体積は 7.4×
10-6(m3/mol)である。分圧は非常に小さいので、1.01325barとして PV項を計算すると
0.74(J/mol)となる。この値は Fe の自由エンルギーの 40574(J/mol)に比較して非常に小
さいく、体積項は無視しても構わない。鉄、硫化鉄の固相の自由エネルギーが分圧の影響を
受けずに、ポテンシャル図でフラットであるのはこのためである。
これより、
この式を展開すると
となる。ここで、
とおくと、以下の式になる。
GFe=GoFe+Vm(Po-1)
2Fe+S2=2FeS
ΔG=2GFeS -(2GFe+GS2)
GS2=GoS2+RTlnPS2
ΔG=2GoFeS-(2GoFe+GoS2+RTlnPS2)
ΔG=2GoFeS-2GoFe-GoS2-RTlnPS2
ΔGo=2GoFeS-2GoFe-GoS2
ΔG=ΔGo-RTlnPS2
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鉄から硫化鉄(FeS)に変化するときは、平衡状態となるので、両者の自由エネルギーは等
しくなり、ΔG=0となる。よって
となる。これより、Feと FeSの平衡状態における硫黄分圧は以下の式で求められる。
上記の式より(ΔGo)を求めることができると、窒素分圧を計算することができる。具体的
な硫黄分圧の求め方は、これから説明する。
●硫黄分圧の計算に必要な自由エネルギーの値を求める3方法
・硫黄分圧を求めるには、個々の自由エネルギーの値が必要である。以下に示すように、
自由エネルギーを求める方法は以下の 3 通りがある。ここでは全てについて説明するが、
必要に応じて選択すると良い。
(a)個々の自由エネルギーを求める方法
(b)一括して個々の自由エネルギーを求める方法
(c)反応式より直接、反応の自由エネルギーを求める方法
(a)個々の自由エネルギーを求める方法
●計算熱力学ソフトの使用方法(個々の自由エネルギーの値を求める方法)
・個々の自由エンルギーを求める方法は Fe-O2系と同じであるので、Fe-O2の手法を使用
する。
①②
③
④
⑤
ΔGo=RTlnPS2
lnPS2= ΔGo/RT
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①Data画面にて、Phasesリストの Pure Solid の項をクリックする
②Solid Phasesリストの Fe(S)を選択して、ダブルクリックする。
③Property Calculation画面が表示される。
④Temperatureを 700℃と入力する。
⑤Calculateを実行する。
●計算結果の説明(700℃における鉄の自由エネルギー等の結果)
以上にように鉄に関する自由エネルギー他の数値を得ることができる・
・同様な方法で S2と FeSのデータも下の表のように得ることができる。
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(b)一括して個々の自由エネルギーを求める方法
●計算熱力学ソフトの使用方法(一括して自由エネルギーを求める方法)
・この方法も Fe-O2系と同様なので、FeOが FeSに変化しているのみである。
①Data画面にて Phasesリストの Pure Solid の項をクリックする。
②Solid Phasesリストの Fe(s)と FeS2(s)に+の印をつける。(その他の+は外す)
③メニューバーのUtilityをクリックする。
④List Speciesを選択する。
⑤Only G value選択する。エンタルピーやエントロピー等の他の熱力学情報が必要な場合
は G,H,S,V,Cpをクリックする。
・その後、計算を行うための温度条件を入力する指示がでる。今回の場合は 973.15K を入
力する。この計算の場合は、K のみしか対応していないので、℃で入れないように注意す
る。
・計算結果がクリップボードにコピーされているので、Excel等に貼り付けることで以下の
情報が得られる。
① ②
③ ④
⑤
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●計算結果の説明(一括して Excelにコピーしたデータ)
・指定された以外の液相等の情報も出力されるが、必要な Fe と FeS の固相の自由エネル
ギー、及び硫黄の自由エネルギーの値を得ることができる。。Gas と Liquid の情報が必要
でない場合は、Data画面にある Phasesの Gasと Pure Liquid の+を外すと良い。
・多くの反応式を計算する場合、この方法を使用すると、この系の反応に寄与する全ての情
報を得ることができるので便利である。
(c)反応式より直接、反応の自由エネルギーを求める方法
●計算熱力学ソフトの使用方法(反応式を利用して求める方法、その1)
・計算方法は Fe-O2系と同じなので、O2の代わりに S2となっている。
・まず、Dataの画面で、赤印で囲まれた Reaction Calculationをクリックする。
●計算熱力学ソフトの使用方法(反応式を利用して求める方法、その2)
・上記と同様に Fe-O2系と同じなので、FeOや O2が FeSや S2に変化する。
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①Phasesリストの Pure Solidを選択する。
②Fe(S)の項を右クリックし、Add to reactant listを選択する。
③Reactantsの項に Fe(s)が表示されていることを確認する。
④moleとの項に 2を入力する。
⑤上記と同様にして Gas の項の S2を選択して、Add to reactant list をクリックして、
Reactantの項に Gasの S2が選択されていることを確認する。
⑥moleの項に 1を入力する。
⑦Pure Solid から FeSを選択し、今度は Add to product listをクリックする。Productsの
項に FeS(S)が表示されていることを確認する。
⑧moleの 2を入力する。
⑨Temperatureの項に 700を入力する。
⑩Calculateをクリックする。
●計算結果の説明(反応式と熱力学情報の表示)
① ②
③ ④ ⑤ ⑥
⑦ ⑧
⑨
⑩
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・2Fe(S)+S2(Gas)=2FeS(S)の反応に伴う各種情報が表示される。
・反応の自由エネルギーは、dG=-194.1(kJ)となる。この値は、後述の個々の自由エネル
ギーを基に計算した結果と良く一致している。
・この方法を用いると、直接、反応に伴う自由エネルギー変化(ΔG)を求めることができ
る。
・いろいろな反応式に適用できるので、各種計算のチェックに利用できるのでとても便利で
ある。
●上記の方法で自由エネルギー変化(ΔGo)の値を求めて、Fe→FeS の相変化の
硫黄分圧の求める方法
●鉄から硫化第一鉄(FeS)への変化
熱力学の式の項で説明したように、上記反応の ΔGは以下の式となる。
ΔGoは以下の式となる。
上記の方法で求められた個々の自由エネルギーを基に計算すると、
ΔGo = 2×(-192.5)―2×(-40.6)―(-109.8)=-194.0(kJ)
となる。この値は、先述の反応の自由エネルギーの式から求めた-194.1(kJ)の値と一致し
ている。この値を以下の式に代入する。
となる。これより
となる。この式に R=8.314(J/molK)、T=973.15(K)を代入して計算すると
logPS2=10.41bar
となり、本ソフトで計算した値の 10.42とほぼ同じ値となる。
以上のように、ΔGoを求めて、相変化の硫黄分圧を求めることができる。
●600℃において、FeSから FeS2への変化は、以下の式で与えられる。
上記反応の自由エネギーを求めて、以下の式に代入する。
ΔGo=2GoFeS-2GoFe-GoS2
ΔGo=RTlnPS2=2.303 logPS2
lnPS2= ΔGo/RT
ΔG=2GoFeS-2GoFe-GoS2-RTlnPS2
2FeS+S2=2FeS2
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上記の式より、これまでの手法で ΔGo(ΔGbo)を求めて、以下の式に代入する。
上記の式より、FeS→FeS2の相変化の分圧を上記のように求めることができる。
●600℃において、FeS2から Fe2S3への変化は、以下の式で与えられる。
上記反応も同様に反応の自由エネルギーを求めて、以下の式に代入する。
上記の式より、これまでの手法を用いて ΔGo(ΔGco)を求めて、以下の式に代入する。
上記の式より、FeS2→Fe2S3の相変化の分圧を求めることができる。
以上にように、本ソフトを使用して、どのような計算手法で硫黄分圧が求められているか
を知ることができるので、ソフトの使用方法と同時に熱力学の基本概念を理解することが
できる。
ΔG=2GFeS2 -(2GFeS+GS2)
lnPS2= ΔGbo/RT
ΔG=2GFe2S3-(2GFeS2+GS2)
lnPS2= ΔGco/RT
2FeS2+S2=2FeS2