電波(ミリ波・サブミリ波)観測...2016/07/14 ·...
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電波(ミリ波・サブミリ波)観測
宇宙地球環境研究所気象大気研究部水野亮
[1]
電波(ミリ波・サブミリ波)観測の概要・目的
電波分光観測システムとビーム伝送系
ミリ波・サブミリ波の受信機
伝送線路と導波管
ミクサ
極低温冷凍機とクライオスタット
1.電波(ミリ波・サブミリ波)観測の
概要・目的
[2]
いろいろな電波望遠鏡
単一鏡
干渉計 = 複数の望遠鏡をつなげて大きな電波望遠鏡を構成
名大なんてん4m鏡 JCMT15m鏡 アレシボ300m鏡 グリーンバンク100m鏡
SMA6m鏡×8素子基線長 ~500m
VLA25m鏡×27素子基線長 ~36km
ALMA 7m・12m鏡×66素子以上基線長 ~10km
角分解能 = 波長 / 口径 回折限界で決まる
[3]
NANTEN2 サブミリ波望遠鏡(口径 4m)
[4]
電気的な偏り+と-の電気をもった分子が回転
+と-の電気が振動
電波の放出
量子力学で回転エネルギーは量子化離散的なエネルギー準位
上の回転準位から下の回転準位に落ちると
電波が出る
è2
2LEI
= E = !2J (J +1)2I
L:角運動量、I:慣性モーメント
J:全角運動量子数
J
J-1ΔE
[5]
J → J −1
E =hνΔE = !2J (J +1)2I
− !2(J −1)J2I
= !2JI
ν = !J2πI
hν
線スペクトル
分子が放射(吸収)する線スペクトル
電波で見た天の川=分子雲の分布
なんてん望遠鏡(@ラス・カンパナス)による宇宙空間の一酸化炭素(CO)から放射される電波の観測
[6]
線スペクトルから分子(ガス)の運動がわかる[7]
この中に超伝導受信機があるミリ波地球大気観測装置
パラボラ鏡(10cm)
8[8]
線スペクトルデータから高度分布を求める (1)
線幅 (MHz)
気圧
(hPa
)
高度
(km
)
圧力幅∝ PTx
ドップラー幅∝ ν(T/M)1/2
スペクトル線の幅と圧力の関係
運動学的なスペクトル線幅 = ドップラー幅
量子力学的なスペクトル線幅 = 圧力幅、自然幅
上の準位の平均的な滞在時間(⊿t)
・自発放射の遷移確率
・衝突による遷移確率
大気の密度(~圧力)が高いと衝突による
遷移確率が大きくなり、支配的になるè 高密度ほど⊿tà小さくなる
ハイゼンベルグの不確定性関係から
一方
[9]
Δν ∼ Δvc
ν
ΔEΔt ∼ "
E =hνΔν = ΔE
h∼
12πΔt
線スペクトルデータから高度分布を求める (2)
線幅 (MHz)
気圧
(hPa
)
高度
(km
)
圧力幅∝ PTx
ドップラー幅∝ ν(T/M)1/2
スペクトル線の幅と圧力の関係
[10]
オゾンスペクトルの解析例
つくばミリ波分光計で観測されたオゾンスペクトルと鉛直分布
Nagahama et al. (1999)
[11]
電波望遠鏡を用いた日本で初めてのオゾン計測
名古屋大学:電波天文学での星間分子スペクトル観測
=> 高感度超伝導受信器の開発世界最高感度の達成
4メートル電波望遠鏡によるオゾン計測 (1986)
電波望遠鏡では長期間連続観測ができない
1990年ごろから大気観測専用の観測装置作りを始めた
[12]
地球型 木星型(ガス惑星) 木星型(氷惑星)
・非磁化惑星における太陽
(風)の影響は?・地球の形成過程は?
・太陽系の形成過程は?
・系外惑星に生物は存在するか?
惑星大気の電波観測
ESAのヴィーナスエキスプレスのWebページよりhttp://www.esa.int/esa-mmg
大阪府立大、前澤先生提供
火星
[13]
線スペクトルから惑星大気の温度分布がわかる
線スペクトルから温度がわかる
火星 SMA干渉計 Clancy et al.. より
[14]
2.電波分光観測システムと
ビーム伝送系
[15]
電波望遠鏡のしくみ
基本的な仕組みは光の望遠鏡と同じ。
なんてん望遠鏡は、カセグレン方式の反射望遠鏡
クーデ系ナスミス焦点
ナスミス=横に取り出すクーデ=ナスミス軸が望遠鏡の駆動軸と一致è高度角が変わっても受信機の位置が変化しない
主鏡面:パラボラ=放物面
副鏡: 双曲面
電波望遠鏡のしくみ[16]
開口とビームパターン
q
dd
離散的な開口(アンテナ)
2つの無指向性アンテナを並べてその出力の和を取ってみる
位相差から指向性(感度の角度依存性)が生まれる
[17]
E0 sin ωt +kd sinθ( )+E0 sin ωt −kd sinθ( )= 2E0 sinωt cos(kd sinθ )~ 2E0 sinωt cos(kdθ )
d = λ4 のとき
k = 2πλ, ω = 2πν⎛
⎝⎜⎞⎠⎟
θが小さければsin θ~ θ
kx=kxと置き換えると
( )20)( axxE >= として積分範囲を∞にのばし
θ方向の感度は開口面の電場分布のフーリエ変換に他ならない
アンテナを増やし、間隔を狭くする
q 方向の強度は位相差を考慮して足し合わせ
連続開口とビームパターン
極限単一開口アンテナ
(ふつうのパラボラ)
( )位相差 ( )位相差和から積分に
[18]
E θ( ) ∝ E x( )−a 2
a2∫ exp ikx sinθ( )dx k = 2π
λ⎛⎝⎜
⎞⎠⎟
E θ( ) ∝ E x( )−∞
∞
∫ exp ikxθ( )dkx
開口分布とビームパターン
これが単一鏡のビームパターン
遠方界:無限遠、または十分遠いとき
フラウンホーファー回折
開口面電場分布のフーリエ変換
端の電場強度が強いとサイドローブが高くなる
ガウシアンはサイドロー
ブが低いがビームサイズが大きくなる。
[19]
ビーム能率とアンテナの指向性
ビームパターン Pn(θ,φ):パラボラアンテナの感度を角度の関
数で表す。感度のピーク(通常はパラボラの光軸上の感度)は1に規格化。
全ビーム立体角 = ΩA
主ビーム立体角 = ΩM
ΩA = Pn (θ ,ϕ )d0
2π
∫−π
π
∫ θdϕ
ΩM = Pn (θ ,ϕ )
< sidelobe∫∫ dθdϕ
ΩM
ΩA
主ビーム能率 =
[20]
ビーム伝送光学系
NANTEN2望遠鏡の光学系曲面鏡の組み合わせ主鏡(M1):放物面鏡副鏡(M2):双曲面鏡M3,M4,M5 :平面鏡M6 :楕円面鏡
[21]
ビーム伝送光学系
ガウスビーム近似 波面光学的な取り扱い
ω0
ω(z)
ω(z)ω0
z
z=0ビームウエスト
等位相面
z=0
z=z
E(0)/eE(z)/e
E(0)/e
E(0)
0
E(0):中心強度E(z):中心強度*E(0)>E(z)
断面強度分布図
E(z)
E(z)/e
O ω(z) r
E(0)
E(0)/e
O ω(0) r
電界強度分布
等位相面と曲率半径
[22]
Ez (r )Ez (0)
= exp − r 2
ω 2(z )⎛⎝⎜
⎞⎠⎟
ω0
ω(z)
ω(z)ω0
z
z=0ビームウエスト
等位相面
z=0
z=z
E(0)/eE(z)/e
E(0)/e
E(0)
0
E(0):中心強度E(z):中心強度*E(0)>E(z)
断面強度分布図
E(z)
E(z)/e
O ω(z) r
E(0)
E(0)/e
O ω(0) r
ガウスビームの伝播
ある波長λに対してビームウェストの大きさω0
を決めれば、ビームウェストから任意の距離zにおけるビームサイズωと曲率半径rが一意的に決まる
収束ビームは1点に収束せず、ビームウェストでのビームサイズの広がりをもつ。
パラボラ主鏡面は、入射平面波(r=∞)に対してビームウェストになっている
無限遠 z→∞ では ω/z→λ/(πω0) c.f. ω/z~λ/D エッジレベルで20dBぐらい
[23]
r (z ) = z 1+ πω02
λz⎛⎝⎜
⎞⎠⎟
2⎡
⎣⎢⎢
⎤
⎦⎥⎥
ω (z ) =ω0 1+λzπω0
2
⎛⎝⎜
⎞⎠⎟
2
ω0 =ω 1+ πω 2
λr⎛⎝⎜
⎞⎠⎟
2
z = r 1+ λrπω 2
⎛⎝⎜
⎞⎠⎟2⎡
⎣⎢
⎤
⎦⎥
ビーム伝送光学系の設計
例)南極用小型ミリ波分光計
等価なレンズ光学系に置き換え
設計:各光学コンポーネント(鏡)における
曲率半径とビーム径を合わせる。
拘束条件:(1)ビームウェストの位置とビーム径(2)鏡の物理的サイズ = 物理的な干渉
放物面鏡(パラボラ)
楕円鏡楕円鏡
ホーン
[24]
放物面鏡、楕円鏡
入射波と反射波では鏡面上でのビームサイズは同じ。曲率半径をrからr’に変える。r, r’は点Pから楕円の焦点f, f’までの長さ。前ページの第2式からわかるようにω0が有限である限り、rよりzは短い( ω0 à0の極限でr=z)。
つまり、楕円の焦点とビームウェストの位置は異なる。
放物面鏡は平面波(曲率半径∞)を任意の曲率半径ρに変換する。
pfyz4
2
=
θ=0°なら
θ=90°なら
2 pf
[25]
ρ = f pρ = 2 f p
ホーンと設計
Hslant Rl =Ω=1.302(円錐)Ω=1.554(コルゲート)
ω
R
主鏡でのωとRを決める
ビームウェストの位置zとω0が決まる
ω0
ビームウェストの大きさがω0になるようにホーンを決める
[26]
ωH = D2Ω
ω0 =ωH 1+ πωH2
λRH
⎛⎝⎜
⎞⎠⎟
2
zH = RH 1+ λRH
πωH2
⎛⎝⎜
⎞⎠⎟
2⎡
⎣⎢⎢
⎤
⎦⎥⎥
• 短冊を動かすことでビームパターンとビーム半径を測定(E面とH面の2方向)
組み立てと実測評価 [27]
光学系 ~ビーム測定~
ビーム測定器の開発(2009 GCOE 若手研究経費)
回転鏡放物面鏡
PLM
楕円鏡②
楕円鏡②の4軸(x-y-θ―Φ)
調整機構
新光学系
[28]
昭和基地向け改良型小型ミリ波分光放射計
新コルゲートホーンと
超伝導SISミクサマウント
高精度放物面鏡と楕円鏡
BIAS供給IF出力
冷却黒体強度較正系
x-y-θ-φ精密調整ステージ
回転ミラー
[29]
ビームは位相と振幅で決まる
近傍界:有限距離だけ離れた場合、フレネル回折
基本はフレネル-ホイヘンスの原理
球面波の重ね合わせ
Wikipediaより
R
[30]
E ′x , ′y( ) ∝E x ,y( )exp ik R 2 + ′x − x( )2 + ′y −y( )2( )
R−a 2
a2∫ dxdy
E ′x , ′y( ) ∝E x ,y( )sin k R 2 + ′x − x( )2 + ′y −y( )2( )
R−a 2
a2∫ dxdy
平面だと簡単に積分ができる
例:電波フレネルレンズ
プログラムでfor ~ nextループを4回回せば電解強度分布が求まる
[31]
r1 =14λ
r2 =34λ
r3 =54λ
r4 =74λ
12λ
32λ
λ
鏡面が曲面だとちょっと面倒
任意の2点間の距離を計算するのが面倒
これが曲面になる
・ガウスビーム近似計算を用いる。・よくできたソフト(GRASP)を
用いる。
[32]
(GRASPによる計算)
ビーム径の変化(250GHz)
0
5
10
15
20
25
30
0 300 600 900 1200 1500 1800
ホーンからの距離(mm)
ビーム径(mm)
ω(mm)
E面(mm)
H面(mm)
-0.001
0
0.001
0.002
0.003
0.004
0.005
0.006
-20 -15 -10 -5 0 5 10 15 20
EM2_161.8068_E
y = m1+m2*exp(-2*(M0-m3)*(M0...
エラー値1.2243e-51.6864e-5m1
5.6274e-50.0053283m2 0.040988-0.51998m3
0.0849056.8021m4 NA1.2056e-6カイ2乗NA0.99602R
-0.001
0
0.001
0.002
0.003
0.004
0.005
0.006
-20 -15 -10 -5 0 5 10 15 20
EM2_161.8068_H
y = m1+m2*exp(-2*(M0-m3)*(M0...
エラー値2.8166e-67.7435e-6m1
1.2609e-50.0050495m2 0.010121-3.8279e-8m3
0.0210067.1092m4 NA6.3172e-8カイ2乗NA0.99978R
鏡から任意の位置でのビーム形状が計算可能
E面 (若干非対称) H面 (ほぼ対称)
ほぼ期待どおりの
特性をもつ光学系を設計できた。
GRASPによる光学系の再設計 [33]
E面方向
H面方向
ビーム
光学系 ~ビーム測定~
ホーンの変更、鏡の再設計により理論値通りのビーム径を再現!!
初期設計時のビーム径
特殊なバイトを用い、高精度旋盤で加工溝:幅約0.2mm 深さ約0.3mm 精度20-30µm
[34]
ミリ波・サブミリ波の受信機
35
ミリ波・サブミリ波のヘテロダイン受信 37
電波スペクトルの観測装置
ヘテロダイン分光=スペクトル線の情報を
そのままに、信号周波数を下げる
fIF = |fRF – fLO|差周波をとりだす
ミクサ
RF: Radio Frequency 〈信号周波数)LO: Local Oscillator (局部発振器)IF: Intermediate Frequency(中間周波数)
37
電波スペクトルの観測装置
G(利得)
Psig
Gmix Gamp
Gmix(Psig+Nmix)
Gamp(Gmix(Psig+Nmix)+Namp)
Gamp2(Gamp(Gmix(Psig+Nmix)+Namp)+Namp2)
÷Gamp2 Gamp Gmix
出力
欲しいのはPsigなので
+ + +amp amp2sig mix
mix mix amp
N NP N
G G G1, ~ 100 1000 , ~ 20 50
~ ~100 10000 (20 40 )
K KdB dB
mix mix amp
amp amp2
G N NG G
ミクサと初段アンプの雑音が大きく効く
入力信号
入力換算雑音(ノイズ)
38
電波スペクトルの観測装置
G(利得)
Psig
Gmix
Gamp
Gmix(Gamp(Psig+Namp)+Nmix)
Gamp2(Gmix(Gamp(Psig+Namp)+Nmix)+Namp2)
÷Gamp2 Gamp Gmix
出力
割るのはさっきと同じ + + + amp2mixsig amp
amp mix amp
NNP NG G G
Gamp(Psig+Namp)
Gampが大きいので雑音はあまり効かない
1, ~ 100 1000 , ~ 20 50
~ ~100 10000 (20 40 )
K KdB dB
mix mix amp
amp amp2
G N NG G
39
受信機 [41]
伝送線路と導波管
41
伝送線路 (ケーブル、導波管)
同軸 レッヘル線
ストリップ線路 コプレナ線路
42
伝送線路 (ケーブル、導波管)
ケーブルの等価回路
コイル(インダクタ)
低周波:通す高周波:通しにくい
コンデンサ(キャパシタ)
低周波:通しにくい高周波:通す
Low Pass Filter(LPF)
High Pass Filter(HPF)
伝送線路は基本的にLPFである。è高周波は減衰。
43
集中定数回路と分布定数回路
分布定数回路:電波の波長が、実際の回路の大きさと同程度あるいは短い
とき、伝送線自身がもつ CやLを考慮する必要がある。CやLが線路上に「分布」している
集中定数回路:波長が十分長ければ、伝送線の長さはほとんど気にしなく
てよい。部品の抵抗、コンデンサ、コイルなどでフィルタが組める。
波長が短いと
同じコンデンサを使っても違う
44
伝送線路 (ケーブル、導波管)
ケーブルの特性:ケーブルがもつ静電容量(C)と自己誘導係数(L)で特徴づけられるè特性インピーダンス:Z0
0LZC
=
同軸ケーブルの場合:芯線と外皮の半径、間の誘電体の誘電率で決まる。通常Z0は50Ωか75Ω。
ストリップ線路の場合:上面パタンの線幅、間の誘電体の誘電率と厚さで決まる。特性インピーダンスは自由に変えられる。
45
分布定数回路をうまく使う
分布定数回路で作った多段のローパスフィルタ
46
導波管と遮断周波数 47
導波管と遮断周波数
谷
山
48
導波管と遮断周波数
谷
山
が最大
遮断周波数
49
a sinθ = λ2
λ = 2a sinθ
λ = 2a
νc =c2a
導波管と遮断周波数
遮断周波数
導波管は遮断周波数より低い周波数の電波は伝えない
導波管は基本的にHPFである。è低周波は減衰。
同軸ケーブル等の伝送線路と逆!
50
νc =c2a
導波管を伝播する波のモード
ba 2=導波管の形
通常は基本のm=1,n=0の電波だけ伝えるように
の間の周波数で使う
ちなみに...導波管の特性インピーダンスは
ab
周波数が上がると..高次モードが現れる 51
νc =c2
ma
⎛⎝⎜
⎞⎠⎟2
+ nb
⎛⎝⎜
⎞⎠⎟2
c2a
≤νc <ca
= c2b
⎛⎝⎜
⎞⎠⎟
に比例する
ミクサ
52
電圧-電流特性
I∝ V
I∝ V2
I∝ V5
I∝ exp(V)
Vsig sin(ωsigt)+VLO sin(ωLOt)( )2=Vsig
2 sin2(ωsigt)+VLO2 sin2(ωLOt)
+ 2VsigVLO sin(ωsigt)sin(ωLOt)
= 12Vsig
2 1− cos(2ωsigt)( )+ 12VLO2 1− cos(2ωLOt)( )
+VsigVLO cos (ωsig −ωLO )t( )−VsigVLO cos (ωsig +ωLO )t( )
超伝導受信器
差周波を取り出す=ミクサ
電流-電圧特性の非線形性
!++++= 33
2210 VaVaVaaI
ωsig -ωLO ~数GHz
この成分のみ取り出せる
ωsig
ωLO
ωsig +ωLO
>100GHz
同軸線路で減衰
, 2ωLO
, 2ωsig
電流
電圧
[53]
超伝導受信器
54半導体ミクサ
超伝導受信器
SIS(超伝導-絶縁層-超伝導)ミクサ
超伝導体(ニオブ(臨界温度9.2K))で絶縁層(厚さ数nm)をサンドウィッチ
0
100
200
300
400
500
0 2 4 6 8 10
Voltage[mV]
Current[mA]
Room temp.(Normal metal)
NN I
eV
エネ
ルギ
ー
状態密度
hn
4KLO off
4KLO on エ
ネル
ギー
状態密度
SS I
Δ2eV
常温
超伝導
hne
55
約300μm
フィードポイント
ミクサブロック
差周波信号
超伝導素子
IF基盤
超伝導素子
ボンディング
SISミクサ素子とミクサマウント 56
SISミクサ素子とミクサマウント 57
装置電波強度を表す単位としての等価温度
黒体放射(プランクの放射式)
電波領域では、
ある決まった周波数(n)では、放射強度(B)は黒体の温度(T)に「比例」する
Rayleigh-Jeans Law
100GHz
100K10K
[58]
Bν =2hν 3
c 21
exp hνkT( )−1hνkT≪1 then exp hνkT( ) ∼1+ hνkT
Bν =2kc 2
ν 2T
ミリ波強度の校正には液体窒素を使う
天窓
側窓
| fSIG – fLO | = fIF250GHz è500MHz
fSIG
fLO
fIF
[59]
受信機からの出力は電圧
Vsignal =α (Tsignal +Tnoise )
Vhot =α (Thot +Tnoise )Vcold =α (Tcold +Tnoise )
本当に知りたいのはTsignalそのためにはαとTnoiseが必要そこでThotとTcoldの温度既知の2つの電波源を用いる
α =Vhot −Vcold
Thot −Tcold
Tnoise =Vcoldα
−Thot
等価雑音温度(T雑音)測定 Y-factor測定
雑音
雑音
TKTK
PP
YK
K
++
==)(77)(300
)(77
)(300
中間周波系
局部発振器
スペクトラムアナライザー
オシロスコープ
4K Stage温度計
シンセサイズド信号発生器
300K観測時
77K観測時
超伝導受信器
局部発信器
300K
77K
製作したT雑音測定システム
[60]
T�� = 300 [K ]− 77 [K ]⋅YY −1
)( 雑音TTPout +
S/Nと雑音(温度)
時間
雑音TTrms
T PoutT雑音
ある電波の強度はプランクの公式によって、黒体の温度で表すことが出来る
のときレーリージーンズ近似 Trms
[61]
Bν =2kc 2
ν 2T
hνkT≪1
∝ ∝
極低温冷凍機とクライオスタット
[62]
ヘリウムを用いた機械式冷凍機
超伝導受信機を動作させるため、4Kに冷却が必要
安定動作のための必要条件: 冷却能力 > 外部からの熱流入
熱流入:
空気分子による熱伝導
ケーブル、導波管による熱伝導
内部発熱(アンプ等)
熱放射
定常観測のために機械式の極低温冷凍機を用いて4Kを作る。
[63]
東芝マテリアルのWebページより
ヘリウムを用いた機械式冷凍機
GM冷凍機:Heガスの断熱膨張、断熱減圧で低温を作り、蓄冷器(Er3NiやHoCu2等の磁性蓄冷材)に冷気をため込む
GMーJT冷凍機:Heガスのジュール・トムソン(等エンタルピー)過程。理想気体では温度は下がらないが、実際の気体で分子間力がある場合は温度が下がる。運動エネルギーの一部を分子間の結合に吸い取ってくれる。
[64]
2つのタイプのヘリウムを用いた機械式冷凍機
GMーJT冷凍機はJT過程で大きな冷却能力が得られる。また、温度安定性もよい。しかし、GM回路とJT回路でそれぞれコンプレッサが必要è消費電力が大きい
GM冷凍機は新しい蓄冷材の発見でGM-JTより遅れて実用化。しかし、温度安定性が悪い。そこで、Heポットと呼ばれる熱溜(Heの潜熱を利用)で安定化する。
デジタル
分光計
南極用小型ミリ波分光計の冷却系
・低冷却効率の冷凍機でも冷える冷却系è内部楕円鏡の採用により窓サイズを縮小
二重放射シールドコールドヘッドを下向きに設置
・光学系をユニット化・鉛直方向に設置・着脱式のサポートè可搬性に富む
ULVACの0.3W GM冷凍機を使用
消費電力の制限=冷却効率が低い冷凍機でも安定して動作するシステム
受信機部
LO IN
RF IN
楕円鏡①
コルゲートホーン
カプラ
温度計
アイソレータ
HEMTアンプ
4K ステージ
SIS ミクサ
熱アンカー 熱絶縁
熱絶縁
放射シールド
・放射シールドで全体を囲う・内側は60Kステージに落とす
外側はテフロンを間にはさんで浮かせる
・熱アンカーで外からの熱流を60Kステージに流し込む
・外から直接4Kステージに熱が入りにくいように、直接接触しそうなところは、テフロンやカーボンファイバで熱的に切る
・ケーブル等は細く、長めにし、60Kシールドにはりつける。
・熱接触をよくするため、間にインジウムをはさむ、またはアピエゾンを塗る。
・300K側の導波管や同軸は熱抵抗の大きなキュプロニッケルを使用
などの細かなノウハウの積み重ね