伊勢湾の表層における水温, -p ※ 平年値 …6 月 din/po4-p 地点平均 渥美湾...

14
17 伊勢湾の表層における水温,DINPO 4 -P の変化 ※ 平年値 (2006~2015 年度) 5 10 15 20 25 30 10月上旬 10月中旬 10月下旬 11月上旬 11月中旬 11月下旬 12月上旬 12月中旬 12月下旬 1月上旬 1月中旬 1月下旬 2月上旬 2月中旬 2月下旬 水温(℃) 平年値 2016年度 0.0 20.0 40.0 60.0 80.0 100.0 120.0 140.0 月上旬 月中旬 月下旬 月上旬 月中旬 月下旬 月上旬 月中旬 月下旬 月上旬 月中旬 月下旬 月上旬 月中旬 月下旬 DIN(μg/L) 平年値 2016年度 0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 30.0 35.0 40.0 10月上旬 10月中旬 10月下旬 11月上旬 11月中旬 11月下旬 12月上旬 12月中旬 12月下旬 1月上旬 1月中旬 1月下旬 2月上旬 2月中旬 2月下旬 PO 4 -P(μg/L) 平年値 2016年度 115

Upload: others

Post on 17-Feb-2020

3 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: 伊勢湾の表層における水温, -P ※ 平年値 …6 月 DIN/PO4-P 地点平均 渥美湾 低い 1 8 月 全珪藻類 地点平均 知多湾 低い 1 図20 各項目の値の分布図(P

図 17 伊勢湾の表層における水温,DIN,PO4-P の変化 ※ 平年値 (2006~2015 年度)

5

10

15

20

25

30

10月

上旬

10月

中旬

10月

下旬

11月

上旬

11月

中旬

11月

下旬

12月

上旬

12月

中旬

12月

下旬

1月上

1月中

1月下

2月上

2月中

2月下

水温

(℃)

平年値

2016年度

0.0

20.0

40.0

60.0

80.0

100.0

120.0

140.0

10月

上旬

10月

中旬

10月

下旬

11月

上旬

11月

中旬

11月

下旬

12月

上旬

12月

中旬

12月

下旬

1月上

1月中

1月下

2月上

2月中

2月下

DIN(μ

g/L)

平年値

2016年度

0.05.0

10.015.020.025.030.035.040.0

10月

上旬

10月

中旬

10月

下旬

11月

上旬

11月

中旬

11月

下旬

12月

上旬

12月

中旬

12月

下旬

1月上

1月中

1月下

2月上

2月中

2月下

PO 4-P(μ

g/L)

平年値

2016年度

115

Page 2: 伊勢湾の表層における水温, -P ※ 平年値 …6 月 DIN/PO4-P 地点平均 渥美湾 低い 1 8 月 全珪藻類 地点平均 知多湾 低い 1 図20 各項目の値の分布図(P

図 18 伊勢湾ノリ漁場および三河湾における珪藻主要種の最高密度の変化

0

1

10

100

1000

10000

100000

10 11 12 1

細胞密度(

cells

/mL)

Skeletonema spp. 伊勢湾ノリ漁場

三河湾

0

1

10

100

1000

10000

100000

10 11 12 1

細胞密度(

cells

/mL)

Chaetoceros spp. 伊勢湾ノリ漁場

三河湾

0.1

1

10

100

1000

10000

100000

10 11 12 1

細胞密度(

cells

/mL)

Eucampia zodiacus伊勢湾ノリ漁場

三河湾

116

Page 3: 伊勢湾の表層における水温, -P ※ 平年値 …6 月 DIN/PO4-P 地点平均 渥美湾 低い 1 8 月 全珪藻類 地点平均 知多湾 低い 1 図20 各項目の値の分布図(P

表 3 H. circularisquama の発生状況(cells/mL) 年/月 5 6 7 8 9 10 11 2000 1 4,000 700 2001 2002 2003 2004 2005 168 2006 1 2007 11 18 2008 2009 2010 86 3 2011 2012 2 2013 8 2014 38 3 2015 183 28 1 2016 43 2,800 1,538 15 2

図 19 各項目の調査地点

117

Page 4: 伊勢湾の表層における水温, -P ※ 平年値 …6 月 DIN/PO4-P 地点平均 渥美湾 低い 1 8 月 全珪藻類 地点平均 知多湾 低い 1 図20 各項目の値の分布図(P

表 4 解析に用いた項目

区分 細目 摘要*1 調査点 期間 項目数/年

プランクトン 調査結果 (細胞密度) *2

Heterocapsa circularisquama Skeletonema spp. Chaetoceros spp. Nitzchia spp. Thalassionema nitzchioides Thalassiosira spp. 全珪藻類 *5

地点平均 最高

三河湾 12 点 うち渥美湾

8 点 知多湾

4 点

5~8 月 *6 186

赤潮発生状況 件数,延べ日数 5~8 月 14

アメダス観測 データ *3

降水量 月平均,月計 蒲郡 5~8 月 30 気温 月平均 蒲郡 5~8 月 15 風速 月平均 蒲郡 5~8 月 15 日照時間 月平均,月計 名古屋 5~8 月 30 全天日射量 月平均,月計 名古屋 5~8 月 30

海況自動観測 ブイデータ *4

水温(表層,底層) 塩分(表層,底層) DO(表層,底層) 水温較差(表層-底層) 塩分較差(表層-底層) DO 較差(表層-底層) 気温

日平均の 月平均

1 号ブイ 2 号ブイ 3 号ブイ

5~8 月 450

水質調査結果 *2

水温,塩分,NH4-N,NO2-N, NO3-N,DIN,PO4-P, クロロフィル a,フェオ色素,

透明度,PON,TN,TP, ON(TN-DIN),DON(ON-PON), OP(TP-DIP),DIN/DIP, DIN/TN,DIP/TP

地点平均

三河湾 12 点 うち渥美湾

8 点 知多湾

4 点

5~8 月 285

苦潮発生件数 件数 三河湾 5~8 月 4 貧酸素水塊 調査結果 面積(≦10%,≦30%) 合計 三河湾 7,8 月 10

計 1,069 * 1:それぞれ期間中の各月の値及び期間の平均値(プランクトン調査結果については平均値

に加え期間の最大値,赤潮発生状況及び貧酸素水塊調査結果については平均値に加え期

間の合計値及び最大値)を用いた。 *2:毎月上旬の調査のうちの表層(0.5m)の調査結果を用いた。 *3:各旬からの 1 ヶ月平均を用いた。 *4:3 カ所に設置している海況自動観測ブイのうち,2 号ブイ(西尾市沖)及び 3 号ブイ(田

原市沖)のデータを用い,表層(3.5m 層)及び底層(B-2m 層)の毎時 1 回の観測値を

日平均とし,各旬からの 1 ヶ月平均を用いた。 *5:Heterocapsa circularisquama,Skeletonema spp.,Chaetoceros spp.,Skeletonema spp. +

Chaetoceros spp.,主要珪藻類 5 種(Skeletonema spp.,Chaetoceros spp. ,Nitzchia spp.,Thalassionema nitzchioides,Thalassiosira spp.の合計),全珪藻類

*6:H. circularisquama については 7~11 月。

118

Page 5: 伊勢湾の表層における水温, -P ※ 平年値 …6 月 DIN/PO4-P 地点平均 渥美湾 低い 1 8 月 全珪藻類 地点平均 知多湾 低い 1 図20 各項目の値の分布図(P

表 5 統計的に有意(P <0.01)な項目

月 項目 摘要 調査点 H. circularisquama 発生年の値 項目数

5 月 水温(表層) 日平均の上旬からの月平均 1 号ブイ 高い 1

5 月 水温(表層) 日平均の上旬からの月平均 日平均の中旬からの月平均 3 号ブイ 高い 2

6 月 DIN/PO4-P 地点平均 渥美湾 低い 1 8 月 全珪藻類 地点平均 知多湾 低い 1

図 20 各項目の値の分布図(P<0.01 となった項目) 表 6 H. circularisquama 増殖速度との比較を行った項目 項目 層 データの由来 水温,塩分,比重,溶存酸素,DIN,PO4-P,珪藻細

胞密度 表層,2m 層,

5m 層,底層 三重県水産研究所

表層と底層の水温の差,表層と底層の塩分の差,表

層と底層の比重の差 ― 三重県水産研究所

平均気温,降雨量,日射量,平均風速,風向,最大

風速 ― 南勢町アメダス

満潮時と干潮時の潮位差日合計・最大・最小 ― 鳥羽潮位

項目 水温 水温 水温 DIN/PO4-P 珪藻類細胞数

時期 5月 5月 5月 6月 8月

内容日平均中旬からの月平均

日平均上旬からの月平均

日平均中旬からの月平均

地点平均全珪藻類合計の地点平均

地点 1号ブイ 3号ブイ 3号ブイ 渥美湾 知多湾

U値 0 2 2 0 2

分布図

18.0

18.5

19.0

19.5

20.0

20.5

21.0

0 1 2 3

[℃]

○…非発生×…発生16.0

16.5

17.0

17.5

18.0

18.5

19.0

0 1 2 3

[℃]

17.5

18.0

18.5

19.0

19.5

20.0

0 1 2 3

[℃]

0.0

2.0

4.0

6.0

8.0

10.0

12.0

14.0

0 1 2 33,000

30,000

0 1 2 3

[cells/mL]

119

Page 6: 伊勢湾の表層における水温, -P ※ 平年値 …6 月 DIN/PO4-P 地点平均 渥美湾 低い 1 8 月 全珪藻類 地点平均 知多湾 低い 1 図20 各項目の値の分布図(P

表 7 各時期における増殖速度と水質,気象等との相関関係の有無 増殖

速度

の層

項目

の層

6 月 7 月 8 月 9 月 10 月 11 月

項目 上

表層 気象 降水量 ◎ ○

日照時間 ○

風東西 ○

風南北 ○ ○ ○

同層 珪藻類 ○

水温 ○

比重 ○

溶存酸素 ○ ○

2m DIN ○

水温 ○

比重 ○

溶存酸素 ○ ○

2m 気象 日照時間 ○ ○ ○ ○ ○

風南北 ○

同層 DIN ○

珪藻類 ○

水温 ○

表層 DIN ○ ○ ○

溶存酸素 ○ ○

5m DIN ○

5m 気象 降水量 ○

日照時間 ○

風東西 ○ ○

風南北 ○ ○

同層 PO4-P ○

珪藻類 ○

DIN ○ ○

2m PO4-P ○ ○ ○

底層 PO4-P ○

珪藻類 ○

底層 気象 風東西 ◎ ○

風南北 ◎ ◎ ○

潮汐最小 ○

同層 DIN ○ ○ ◎ ○ ○ ○ ○

PO4-P ◎ ◎ ◎ ○

比重 ○

溶存酸素 ○

5m 溶存酸素 ○ ○ ○ ○ ○ ○

表層,2m 層,5m 層,B-1m 層の増殖速度と水質や気象等との相関関係を調べ,有意な相関関

係がみられた項目について示した。水質は増殖速度と同じ層,隣接した上層および下層につ

いて調べた。相関関係は,各時期 1 か月間について確認し,P<0.05 を〇,P<0.01 を◎で示し

た。

120

Page 7: 伊勢湾の表層における水温, -P ※ 平年値 …6 月 DIN/PO4-P 地点平均 渥美湾 低い 1 8 月 全珪藻類 地点平均 知多湾 低い 1 図20 各項目の値の分布図(P

図 21 7 月上旬~8 月中旬における底層の

増殖速度と底層の DIN 図 22 7 月上旬~8 月中旬における底層の

増殖速度と底層の PO4-P

図 23 7 月上旬~8 月中旬における底層の増

殖速度と 5m 層溶存酸素量 図 24 8 月下旬~9 月中旬における底層の増

殖速度と風東西成分

図 25 8 月下旬~9 月中旬における底層の増

殖速度と風南北成分 図 26 10 月下旬~11 月中旬における表層の

増殖速度と表層水温

図 27 10 月下旬~11 月中旬における表層の増殖速度と降水量

y = 0.1813x - 0.5326R² = 0.0782

-5

0

5

10

15

0 5 10 15増殖

速度

底層

(div

isio

ns/d

ay)

DIN 底層(μM)

y = 2.0891x - 1.5373R² = 0.1794

-5

0

5

10

15

0 1 2増殖

速度

底層

(div

isio

ns/d

ay)

PO4-P 底層(μM)

y = -0.2078x + 1.1558R² = 0.0722

-5

0

5

10

15

0 5 10 15

増殖

速度

底層

(div

isio

ns/d

ay)

溶存酸素量 5m層(mg/L)

y = 0.4687x - 0.1229R² = 0.0597

-4

-2

0

2

4

6

-2 0 2 4増

殖速

度底

層(d

ivis

ions

/day

)

風東西成分(m/s)

y = -2.2887x + 0.9585R² = 0.2283

-4

-2

0

2

4

6

-0.5 0 0.5 1 1.5

増殖

速度

底層

(div

isio

ns/d

ay)

風南北成分(m/s)

y = -0.1814x + 3.4676R² = 0.5061

-1

-0.5

0

0.5

1

10 15 20 25

増殖

速度

表層

(div

isio

ns/d

ay)

水温 表層(℃)

y = -0.0419x + 0.2615R² = 0.4636

-1

-0.5

0

0.5

1

0 10 20 30

増殖

速度

表層

(div

isio

ns/d

ay)

降水量(mm/d)

121

Page 8: 伊勢湾の表層における水温, -P ※ 平年値 …6 月 DIN/PO4-P 地点平均 渥美湾 低い 1 8 月 全珪藻類 地点平均 知多湾 低い 1 図20 各項目の値の分布図(P

項目 係数 標準化係数 項目 係数 標準化係数

DIN 底層 0.1554 0.3630 風東西成分 0.1827 0.0953

PO4-P 底層 0.4511 0.1357 風南北成分 -2.1361 -0.4459

溶存酸素 5m 0.0054 0.0007 切片 0.8689 0

切片 -0.9292 0 P 0.02295

P 0.00278

表 10 10 月下旬~11 月中旬における表層の

増殖速度,表層の水温,および降水量 に関する重回帰解析

項目 係数 標準化係数

水温 表層 2.6563 -0.5070

降水量 -2.1361 -0.4512

切片 -0.0278 0

P 0.00233

図 28 鈴鹿地区における珪藻の発生密度と DIN 濃度との関係

0

100

200

300

0 9,000 18,000 27,000 36,000

DIN

(μg

/L)

珪藻合計密度(cells/mL)

表 8 7 月上旬~8 月中旬における底層の増殖

速度,底層の DIN,底層の PO4-P および

5m 層の溶存酸素量に関する重回帰解析

表 9 8 月下旬~9 月中旬における底層の増

殖速度,風の東西成分および南北成分

に関する重回帰解析

122

Page 9: 伊勢湾の表層における水温, -P ※ 平年値 …6 月 DIN/PO4-P 地点平均 渥美湾 低い 1 8 月 全珪藻類 地点平均 知多湾 低い 1 図20 各項目の値の分布図(P

表 11 伊勢湾ノリ漁場における珪藻プランクトン種類ごとの各漁期年における発生最高密度 漁期(年度)

H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28

種名(属) 発生最高密度(cells/mL)

Skeletonema spp. 12,500 5,400 8,900 12,300 4,000 9,000 30,000 12,100 3,190 49,800 25,775 16,250 22790

Chaetoceros spp. 10 10 4,800 10 3,500 12,000 12,000 2,000 17,450 710 813 6,025 6370

Rhizosolenia spp. 800 980 6,200 8,900 50 1,000 200 310 300 250 10 250 120

Thalassiosira spp. 1,100 1,900 2,200 10 8,200 500 2,200 870 1,770 413 900 140 16270

Leptocylindrus spp. 3,000 2,680 510 960 540

Pseudo-nitzschia spp. 10 10 2,400 10 1,500 2,000 2,180 140 230 1,090 2,850 1,160

Eucampia spp. 800 1,960 620 10 198 800

Detonula spp. 1,190 550 46 180

Stephanopyxis spp. 990 80 140 20

Ditylum spp. 940 60 40 10 100

Thalassionema spp. 240 790 190 560

Lauderia spp. 750 115 80

Guinardia spp. 250 490 195 240

Nitzschia spp. 30 440 300

Melosira spp. 190

Coscinodiscus spp. 102 50

Licmophora spp. 10 60

Actinoptychus spp. 80

Asteromphalus spp. 50

Asterionellopsis spp. 780

Navicula spp. 10

Bacillaria spp. 60

図 29 鈴鹿地区,津地区における Eucampia spp.の発生密度と DIN 濃度との関係

0100200300400500600700800900

0 500 1,000 1,500

DIN

(μg

/L)

珪藻合計密度(cells/mL)

123

Page 10: 伊勢湾の表層における水温, -P ※ 平年値 …6 月 DIN/PO4-P 地点平均 渥美湾 低い 1 8 月 全珪藻類 地点平均 知多湾 低い 1 図20 各項目の値の分布図(P

表 12 1999~2014 年度のノリ色落ち被害を伴う赤潮発生状況

年度 赤潮発生状況 種類と最高密度

期間 発生日 終息日 原因種 最高密度 (cells/mL)

1999 13 日 1. 6 1.18 Skeletonema spp. 28,000

Eucampia zodiacus 294 8 日 1.11 1.18 Skeletonema spp. 51,000

2003 57 日 12.25 2.19 Eucampia zodiacus 2,067 30 日 1.19 2.17 Eucampia zodiacus 1,416

2004 22 日 2.15 3. 8 Chaetoceros spp. 26,000 Eucampia zodiacus 8,394

2006 23 日 1.17 2. 8 Eucampia zodiacus 2,030 2008 4 日 1.20 1.23 Eucampia zodiacus 1,445 2009 6 日 11. 4 11. 9 Skeletonema spp. 5,100

2010 18 日 1. 7 1.24 Detonula pumila 2,980

Chaetoceros spp. 840 1 日 1.13 1.13 Detonula pumila 772

2011 49 日 1. 5 2.22 Eucampia zodiacus 6,088

2012 8 日 1. 9 1.16 Skeletonema spp. 51,850 5 日 2.18 2.22 Ditylum brightwellii 247

2013 9 日 1.21 1.29 Skeletonema spp. 49,300

16 日 1.21 2. 5 Skeletonema spp. 44,600

2015 23 日 12.26 1.23 Thalassiosira spp. 1,244 Rhizosolenia spp. 778 Chaetoceros spp. 561

計 292 日(16 件)* *複数種の場合はそれぞれ 1 件とカウントした。

124

Page 11: 伊勢湾の表層における水温, -P ※ 平年値 …6 月 DIN/PO4-P 地点平均 渥美湾 低い 1 8 月 全珪藻類 地点平均 知多湾 低い 1 図20 各項目の値の分布図(P

表 13 解析に用いた項目

区分 細目 摘要*1 調査点 項目数 /年

アメダス 観測データ

降水量 月計,日最大 1 時間最大 南知多,蒲郡 24

気温

日平均の月平均 日最高の月平均 日最低の月平均 最高,最低

南知多,蒲郡 40

日照時間 月計 南知多,蒲郡 8 風速 月平均,最大 南知多,蒲郡 16 風向 最大風速時 南知多,蒲郡 8

プランクトン 調査結果 (細胞密度)

*2

Eucampia zodiacus Skeletonema spp. Chaetoceros spp. Nitzschia spp. Thalassionema nitzschioides Thalassiosira spp. 全珪藻類 *4

地点平均 最高

三河湾 12 点 うち知多湾 4 点

96

水質調査結果 *2

水温,塩分, NH4-N,NO2-N,NO3-N DIN,PO4-P,クロロフィル a フェオ色素,透明度,COD TN,TP,PON,ON(TN-DIN) DON(ON-PON), OP(TP-DIP)

地点平均 三河湾 12 点 うち知多湾 4 点

136

海況自動観測 ブイデータ *3

水温(表層,底層) 塩分(表層,底層) 水温較差(表層-底層) 塩分較差(表層-底層)

日平均の月平均 2 号ブイ 3 号ブイ 48

赤潮発生状況 件数,発生延べ日数 三河湾全域 8 計 384

*1:それぞれ 10~12 月の各月の値及び 3 ヶ月分の平均値を用いた。 *2:毎月上旬の調査のうちの表層(0.5m)の調査結果を用いた。 *3:3 カ所に設置している海況自動観測ブイのうち,2 号ブイ(西尾市沖)及び 3 号ブイ(田

原市沖)のデータを用い,表層(3.5m 層)及び底層(B-2m 層)の毎時 1 回の観測値を日

平均した。 *4:Eucampia zodiacus,Skeletonema spp.,Chaetoceros spp.,Skeletonema spp. + Chaetoceros spp.,

主要珪藻類 5 種(Skeletonema spp.,Chaetoceros spp. ,Nitzchia spp.,Thalassionema nitzchioides,Thalassiosira spp.の合計),全珪藻類

125

Page 12: 伊勢湾の表層における水温, -P ※ 平年値 …6 月 DIN/PO4-P 地点平均 渥美湾 低い 1 8 月 全珪藻類 地点平均 知多湾 低い 1 図20 各項目の値の分布図(P

表 14 統計的に有意(P<0.01)な項目

月 項目 摘要 調査点 E. zodiacus 赤潮発生年度の値 項目数

11 月 気温 日最高の月平均 南知多 高い 1

12 月 Skeletonema spp.+ Chaetoceros spp. 細胞密度

最高 三河湾 12 点 少ない 1

11 月 水温(表層,底層) 日平均の月平均 2 号ブイ 高い 2 12 月 水温(表層) 日平均の月平均 2 号ブイ 高い 1 11 月 水温(表層,底層) 日平均の月平均 3 号ブイ 高い 2

計 7

図 30 ノリ色落ち被害発生年度における珪藻類 3 種(E. zodiacus,Rhizosolenia spp.,Thalassiosira spp.)の増殖推移

1

10

100

1,000

10,000

10/1 11/1 12/1 1/1 2/1 3/1

cells

/mL

2003

1

10

100

1,000

10/1 11/1 12/1 1/1 2/1 3/1

cells

/mL

2004

1

10

100

1,000

10,000

10/1 11/1 12/1 1/1 2/1 3/1

cells

/mL

2006

1

10

100

1,000

10,000

10/1 11/1 12/1 1/1 2/1 3/1

cells

/mL

2015

E.z. R. spp. T. spp.

126

Page 13: 伊勢湾の表層における水温, -P ※ 平年値 …6 月 DIN/PO4-P 地点平均 渥美湾 低い 1 8 月 全珪藻類 地点平均 知多湾 低い 1 図20 各項目の値の分布図(P

⑤日本海西部海域

山口県水産研究センター外海研究部

南部智秀,白木信彦 兵庫県立農林水産技術総合センター但馬水産技術センター

鈴木雅巳 鳥取県栽培漁業センター

門脇慧史 鳥取県水産試験場

清家 裕 鳥取県立とっとり賀露かにっこ館

田中 靖 島根県水産技術センター

松本洋典,古谷尚大 水産研究・教育機構瀬戸内海区水産研究所

鬼塚 剛 1 全体計画

(1)目的 近年,日本海西部海域では有害赤潮プランクトン,Cochlodinium polykrikoides による漁業被

害が発生し,本赤潮の発生状況の監視と予察が求められている。また,対馬暖流上流部であ

る中国や韓国沿岸では,1990 年代以降,有害渦鞭毛藻による赤潮が頻発しており,今後もそ

れら有害赤潮の山陰沿岸への漂着や将来的には新奇有害赤潮種の定着が懸念される。赤潮に

よる漁業被害を未然に防止,および軽減するために,赤潮発生海域を網羅した広域連携調査

を実施する必要がある。本課題では,日本海西部海域において各機関が連携して広範な海域

を調査し,有害赤潮プランクトンの発生状況および海洋環境を監視するとともに,衛星デー

タや数値モデル等を用いた解析を組み合わせ当該海域における有害赤潮発生シナリオの構築

および検証を行い,赤潮発生予察や漁業被害軽減に資することを目的とする。 (2)試験等の方法 山陰沿岸で C. polykrikoides の赤潮が発生しやすい 7 月から 9 月末までを中心に,沖合およ

び沿岸モニタリング調査並びに衛星画像解析等により発生機構を解明するとともに,赤潮輸

送シミュレーション等による発生予察技術を開発する。また,有害赤潮の発生状況などから,

随時,臨時調査を実施する。なお,モニタリング体制の高度化を目指して,LAMP 法による

有害赤潮種の分子同定も行う。 2 平成 28年度計画及び結果

(1)目的:「全体計画」と同じ (2)試験等の方法:「全体計画」と同じ (3)結果及び考察

本事業では,これまでに得られた成果から,C. polykrikoides が山陰沿岸および隠岐諸島で

127

Page 14: 伊勢湾の表層における水温, -P ※ 平年値 …6 月 DIN/PO4-P 地点平均 渥美湾 低い 1 8 月 全珪藻類 地点平均 知多湾 低い 1 図20 各項目の値の分布図(P

赤潮を形成するシナリオを策定し,それをもとに,①長期予測(~1 ヶ月程度):7 月以降の

韓国沿岸および九州北部沿岸での C. polykrikoides の発生状況とその際の風向風速(特に南西

寄りの風)の監視,②中期予察(~1 週間程度):対馬暖流流路の検討,衛星画像によるクロ

ロフィル高濃度域の時空間変動の監視と赤潮輸送シミュレーションによる赤潮の到達可能性

の検討,③短期予察(~数日程度):調査船等による現場調査(赤潮プランクトン細胞密度等),

衛星画像によるクロロフィル高濃度域の監視,山陰周辺海域の気象・海象条件の検討,とい

った 3 段階の赤潮監視・予察を行っている。今年度も上記の手順に従って赤潮の監視・予察

を行うとともに,発生シナリオの検証と予察精度の向上について検討した。 1)韓国沿岸における C. polykrikoides 等の出現状況 2016 年は大規模化しなかったものの C. polykrikoides の赤潮が発生した(図 1)。発生期間

は 14 日間(8 月 16 日~29 日),期間中の最高細胞密度は 15,400 cells/ml (8 月 22 日,麗水)

であったが,発生海域は韓国南部沿岸域(麗水周辺)の局所的なもので最高細胞密度が 5,000 cells/ml を超える濃密な赤潮を形成したのは 1 日のみであった。また,C. polykrikoides の出現

とほぼ同時期に C. polykrikoides の出現海域に近接する南部沿岸域(莞島周辺)で Karenia mikimotoi が高密度化し,8 月 19 日に最高細胞密度 1,360 cells/ml が観測された(図 1)。

2)対馬海峡部における風向・風速 韓国南部沿岸域でC. polykrikoidesおよびK. mikimotoi赤潮が発生していた 8月中旬から下旬

にかけては,強い北から北東の風が連吹していた(図 2)。

3)対馬暖流の流路 9 月上旬の 50 m 深水温分布によると,隠岐諸島の東西に冷水域が位置しており,水温フロ

ントは山陰沿岸に比較的近かった。そのため,水温フロント位置から想定される対馬暖流の

沖合分枝の流路は接岸傾向にあったと推察された(図 3)。

4)衛星画像によるクロロフィル高濃度域 7 月上旬から 9 月下旬の衛星クロロフィル画像によると(図 4),プランクトン構成種は不

明ながら,比較的高いクロロフィル濃度域が韓国南部沿岸域や対馬海峡付近で確認された。

ただし,韓国南部沿岸域で C. polykrikoides および K. mikimotoi 赤潮が発生していた期間は 8月中下旬で出現海域も局所的だったことから,クロロフィル高濃度が当該種によるものとは

考えにくい。一方,8 月下旬から 9 月にかけて山陰沿岸域や隠岐諸島付近でもクロロフィル

高濃度域が分布しているが,珪藻など無害の植物プランクトンで構成されていたと推察され

た。

5)赤潮輸送シミュレーション 拡張版日本海海況予測システム(JADE2)の流動場を用いて,韓国南部沿岸域で C.

polykrikoides および K. mikimotoi 赤潮が発生していた 8 月中旬から下旬にかけて,韓国南部沿

岸域(麗水沖)を始点とする赤潮輸送シミュレーションを実施した(図 5)。粒子の分布深度

を変えた 3 通りの条件(Case1: 5 m 一定,Case2: 20 m 一定,Case3: 日周鉛直移動(5~20 m))

で計算を行った結果,いずれの条件においても多くの粒子は韓国南部沿岸域に留まるか朝鮮

半島東岸に沿って北上し,9 月下旬までに隠岐諸島や山陰沿岸に粒子は近付かないという結

果となった。これは,韓国沿岸域での有害プランクトン出現期間中の物理条件が,韓国沿岸

域から日本沿岸域への輸送に適していなかったことを示唆しており,2016 年夏季に日本海西

部海域において有害プランクトンがほとんど確認されなかったことと整合している。

128